私は貴方の手を引きたい。貴方が私にしてくれたような、引いた人の未来をまるごと変えて救い出すほどのことまではできませんけど……暗い中へ閉じられ苦しんでいるのを、そこよりも明るい少し先へ連れていくことくらいはできます。

私は貴方を支えたい。貴方が私にとってそうであるように、貴方がいてくれるから今のこのここへ立っていられる……それくらいの大きな支えにはなれません。なりたいとは願っていても、まだ、届きません。でも……辛い気持ちを湧かせる貴方の傍へ寄り添って、貴方の偽りない味方でいることはできます。

私は貴方に輝いていてほしい。貴方が私を今のこんな私にまでしてくれたように、私も、貴方自身も知らないような素晴らしい輝きで貴方を彩ることはできません。だけど……手を引いて、支えて。そうして貴方を、私の知るあのキラキラとしたプロデューサーさんへまで導くことはできます。私の知る、いつも私の知る以上を見せてくれる、そんなプロデューサーさんを取り戻すことはできます。

私は貴方に……プロデューサーさんに頼ってほしいんです。

頼りないかもしれません。でもどうか。

受け止めさせてほしい。貴方を、受け止めたい。

貴方のことを抱き締めたい。貴方の頭を撫でながら、貴方の流す涙をこの胸で受け止めて、貴方のことを溶かしたい。

したい。させて、ほしいんです。

だから、ほら。何も気にしないでください。考えたりなんかせず、ただ、私のここへ来てください。

私に貴方を、抱き締めさせてください。

……。

…………。

………………ああ。

そう。そうです。いいんですよ。

もっと来てください。もっと、もっと、吐き出してください。

大丈夫。私はずっとここにいます。涙も、震えも、プロデューサーさんの辛いものが収まるまでずうっと……私は、プロデューサーさんと一緒にいますから。

ええ、だからほら。もっと泣いて。その涙を、私の胸で拭って。もっと震えて。その震えを、私の腕の中へ抱き締めさせて。もっと吐き出して。そのすべてを、私に受け止めさせてください。

いいんですよ。とっても、辛かったんですよね。

いつもあんなに働いて……私たちの、あんなにもたくさんの皆のために働いて。大変でしたよね。苦しいときもありましたよね。辛くなってしまったんですよね。

ごめんなさい。いつも貴方に頼ってばかりで。いつも貴方に支えられて、輝かせてもらって……そうして、貴方にばかり大変な思いをさせてしまって。

ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。

……でも、プロデューサーさん。

これからは違います。これからは違うんだって、私はそう、決めました。

これまでは頼ってばかり。貴方に助けられて、それだけでした。……けれどこれからは、私も貴方を助けます。

手を引いて、背中を支えて、貴方のことを救います。

貴方が私にそうしてくれたように。私も、貴方へ。

貴方のためならなんでもできます。なんでも、したいです。

だから私は、貴方の……プロデューサーさんのためになんでもします。

貴方の傍へ添います。貴方のことを抱き締めます。貴方のすべてを受け入れます。

貴方へ好意を注ぎます。貴方へ恋慕を積み重ねます。貴方へ愛を尽くします。

貴方のために……身体も、心も、叶う限りのすべての私を捧げます。

貴方の私になる。貴方の……プロデューサーさんの美優になりたいんです。

だから、プロデューサーさん。

自分勝手で、わがままばかり……でもどうか、このわがままを叶えてほしい。

こう在りたい。こう在るんだ。ってそう決めた私を……貴方のすべてを受け入れたいと願う私を、どうか貴方に受け入れてほしい。

今みたいにいつでも。今みたいにどこでも。今みたいにどんな場所のどんな時でも。

受け止めさせてほしい。抱き締めさせてほしい。愛させてほしいんです。

好きです。

好きで、好きで、大好きです。

プロデューサーさん。私は、貴方のことが。

だから、遠慮なんてしないでください。

貴方に尽くしたい。その私のわがままを受け入れてもらえるなら……私は、貴方のすべてを受け入れられます。

どんな貴方も。他の誰にも見せられないような貴方も。すべての貴方を。

大丈夫。プロデューサーさんがどんな姿を見せたとしても、私は嫌いになったりなんてしませんから。

貴方を嫌いになって、貴方と距離を置いて、貴方のことを避けたりなんてそんなこと。たとえ他の誰もがそうなったって、私は……私だけは、絶対に。

だって好きなんです。こんなに。こんなにも。

嫌いになんてなれるはずがありません。そうなってしまえるほど、私のプロデューサーさんへの想いは、弱くなんてありませんから。

だから大丈夫です。

そうやって、もっと来てもらっても。それよりも、もっと来てもらったって。

大丈夫。大丈夫ですし、嬉しいです。

震える身体を抱き締めさせてもらえる。溢れる涙で汚してもらえる。誰にも……他の誰にも見せない姿を、こうして許してもらえている。それが、とってもとっても嬉しいんです。

だから大丈夫。大丈夫なんですよ。

……もう、やめてください。ごめん、だなんてそんなこと言わないでください。

いいんです。何度も言っている通り、これは私が望んでいることなんですから。

……そう。私が望んでいること。私が、自分勝手なわがままで望んでいること、なんですから。

ええ、そうです。わがまま……私がプロデューサーさんをこうしているのは、なにも綺麗な理由からじゃないんです。

何度も何度も伝えている通り、これは私が望んでいること……綺麗なんかじゃない、汚い思いを理由にして望んでいること。

……こうして寄り添えば、他の誰も知らないプロデューサーさんを独り占めにできる。こうして一度でも受け止められれば、プロデューサーのこれからも許してもらえるかもしれない。こうして抱き締めて想いを尽くせば、プロデューサーさんにも……私へ、愛おしい想いを抱いてもらえるかもしれない。

そんな、汚い思い。

プロデューサーさんがほしい。大好きなプロデューサーさんから、大好きがほしい。愛おしいプロデューサーさんから、愛がほしい。……私を信頼して晒してくれた姿を利用して、まるで弱みに付け込むようにして、そうしてプロデューサーさんを求めて。

私はそんな汚い理由で望んでいるんです。

貴方のことが好きで……大好きで……どうしようもなく、どうにもならないくらいに愛おしくて……まるでもう、すっかりどこまでも依存してしまっているような……それくらい貴方に染まってしまっている私のように。貴方も……私に染まってほしい。大好きになって、愛おしく想って……依存、してもらえるくらいに……貴方にもなってほしい、って。

そう思って。そんなことを願って、こうしているんです。

本当に汚い。自分勝手な、わがまま。

だから、そんなふうに『ごめん』だなんて言わないでください。

プロデューサーさんがそんなことを言う必要はありません。……むしろ、言わなければいけないのは私のほうなんですから。

こんな私でごめんなさい。こんなふうに貴方を望んでしまってごめんなさい。って。

……ふふ、ありがとうございます。

やっぱりプロデューサーさんは優しいんですね。私を……こんな汚い私を、許してくれて。

ありがとうございます。……そして、だから、許してもらえてしまったから……プロデューサーさん、私、もっとわがままになってしまいますね……？

はい、わがままです。私の、プロデューサーさんへのわがまま。

受け止めさせてもらいます。このまま、プロデューサーさんがちゃんと落ち着くまで。……そしてこれからも。プロデューサーさんが辛くなる度。何かを吐き出したくなった時。そのすべてを。

支えさせてもらいます。受け止めて、支えて……プロデューサーさんのことを受け入れます。

このままずっと。これからずうっと。

プロデューサーさんが私のことを許してくれる限り、ずっとずうっと。

…………他の誰かの、私以外の誰かのところへ行ったら……その、駄目ではなくて……いいの、ですけど……でも、一番に選ぶのは私にしてくれないと、嫌……ですからね？

……。

…………ふふ。

ええ、ありがとうございます。

わがままな私を許してくれて……受け入れてくれて。

嬉しいです。とても、とっても。

……ああ、だから、プロデューサーさん。

来てください。

もっと。もっともっと。

来て……そして、受け止めさせてください。

貴方のこと。他の誰にも見せない私だけの貴方のこと。貴方のすべてを。

……ええ、そう。そうです。

私に来て。私へ寄りかかって。私を欲しいと求めてください。

……好きです。

大好きですよ。

誰よりも、何よりも、大好きです。


「プロデューサーさん……愛して、いますからね……」

以上になります。
お目汚し失礼しました。