死なない魔王と死ねない勇者 (24)
勇者「漸くここまで来たな」
戦士「ついに魔王の城か」
僧侶「これで勇者様も晴れて元通りですね」
勇者「魔王を倒せたらな」
魔法使い「絶対大丈夫よ!さぁ勇者」
ユウシャ
勇者「ああ分かってる、魔王軍も倒し後はこの城にいる魔王とその側近達だけだ!皆!一気に魔王を倒すぞ!」
ユウシャ
戦・僧・魔 「「「おおー!」」」
オイオキロ!
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勇者「ん?あれ?」
??「漸く起きたか、全くこんな日にも寝坊するとはな」
勇者「んぁ……あーおはよう」
??「おはようじゃない、もう昼が近いぞ?」
勇者「いやーベッドは久しぶりだったから」
??「野営でも呑気に寝てる癖に、まぁいいさっさと教会に行くぞ」
勇者「いや待てよ飯を先に」
??「そんな必要ないだろう」
勇者「お前はそうかもだけど俺は違うの!腹は減るんだよ」
??「はぁ……分かった飯を食ったらすぐに来いよ、私は先に行ってるから」
勇者「おう分かった……あっ魔王」
魔王「なんだ?」
勇者「お前も食わないか?」
魔王「いらん、無駄になるかもしれんのだからな」
勇者「そうか、んじゃちょっと待っててくれ」
魔王「あぁ」ガチャパタン
勇者「……夢……か……さて飯飯」
勇者「お待たせー」
魔王「遅い!いつまで食ってるつもりだ」
勇者「いやー結構美味くてさぁ」
魔王「全く……さぁさっさとやるぞ!失礼する」
司祭「ようこそ、神にお祈りに来られたのですか?」
勇者「いやここに解呪の書があると聞いてきたんだが」
司祭「解呪がお望みですか?それでしたら幾ばくかの寄付をお願いしておりますが」
魔王「構わん、金ならある」チャリン
司祭「ええ確かに、それで?どなたの如何なる呪いをお解きになりますか?」
勇者「俺たち二人共だ」
魔王「呪いも同じ」
勇・魔「「不老不死の呪いを解いてくれ」」
司祭「!不老不死……ですか?それはまた……神をも恐れぬ邪法ですな」
勇者「できるか?」
司祭「……申し訳ありませんが試してみない事には、その呪いを受けた者を解呪した記録はございません」
魔王「では頼む」
司祭「分かりました……ではこちらへ、儀式を始めます」
―――――
司祭「この者達の呪いを解きたまえ!」パァァァ
勇者「……」
司祭「これで終わりです上手く解けていればよいのですが」
魔王「では早速試すか、勇者」スタスタ
勇者「そうだな丁度教会たしな」スラァ
司祭「なっ何を!?」
勇者「せやっ」ドスッ
魔王「……」
司祭「ひいっ」
魔王「やはり無理か……」シュウゥゥ
勇者「すまんな司祭さん驚かせて」キンッ
司祭「えっ?あっ呪い……ですが一体あなた方は」
勇者「ただの腐れ縁だよ」
魔王「呪いを解いてそして」
魔王「こいつに殺される為のな」勇者「こいつを殺す為のな」
勇者「はぁ……またダメだったか」
魔王「まぁ予想はしていたがな」
勇者「次の当てって?」
魔王「もうないな、また情報集めからだ」
勇者「げぇー」
魔王「喚くな、私の方が嫌なんだ」
勇者「いや俺の方が嫌だよ、そういうのめんどくさくて苦手だし」
魔王「お前よく勇者やれてたな」
勇者「その辺は魔法使いが得意だったんだよ、しかしこれでまたお前との腐れ縁も継続か」
魔王「それはこちらのセリフだ、何が悲しくてお前なんぞと旅をせねばならんのか」
勇者「お前が悪いんだろうが」
魔王「いーやお前だ」
勇者「アホか魔族の長の癖にそんな呪い掛けやがって」
魔王「お前こそ勇者の分際でそんな呪いを掛けおって」
勇者「あ?やるか?」
魔王「構わんぞ?」
勇者「……てやめやめ、何度目だよこのやり取り」
魔王「解呪に失敗する度にやってるな」
勇者「はぁ……早く元に戻りたいぜ」
魔王「私もだ」
勇者「……今朝夢見た」
魔王「何のだ?」
勇者「魔王城に乗り込む夢」
魔王「……そうか」
勇者「懐かしいな……」
魔王「そうだな」
―――――
勇者「見つけたぞ魔王!」
魔王「……貴様が勇者か?」
勇者「残っている魔族はお前一人だ!ここで全てを終わらせてやる!」
魔王「ふん!まだだ……この私がいる限り終わらん、終わらせんぞ!」
戦士「勇者!」
勇者「下がっててくれ、こいつは今までの魔族とは次元が違う、俺が一人でやる」
僧侶「勇者様、まさかそのために」
勇者「さぁな」
魔法使い「無茶するんじゃないわよ!」
勇者「大丈夫だ、俺は負けない」
魔王「ふん!何をしようと無駄だ!この私が魔族を、全てをもう一度やり直してみせる」
勇者「いくぞ!」
魔王「こい勇者!」
――――――
勇者「でさぁ……なんでお前不老不死の呪いに掛かってんの」
魔王「こちらのセリフだ」
勇者「何べん刺しても雷で焼いても死なないし」
魔王「お前こそ炎も吹雪も潰しても起き上がってきおって」
勇者「お前のせいで俺は呪われてるんだぞ!」
魔王「それを言うならこちらもお前のせいで呪われているな」
勇者「……はぁ……なんであの時解呪の条件アレにしたかな」
魔王「全くだな、お前がそんな条件にしてなければ」
勇者「お前の事だよ!俺はお前が死ねば解けるの!そうすれば普通の体に戻るの!全部お前の条件のせいだよ!」
魔王「私のせいだと?魔族の繁栄と人間達の滅亡を望んで何が悪い!大体お前達が魔族を滅ぼしてなければ私の呪いも解けるというのに」
勇者「俺が生きてますけど?」
魔王「一人くらいは誤差だ、だが魔族の復興をしたくとももはや召喚に応じる魔物すらおらぬとは……」
勇者「魔族の繁栄不可能になったもんなぁ」
魔王「それがなければお前なんぞに殺されてやらんわ、全く忌ま忌ましい」
勇者「俺だってお前を倒さないと死ねねぇんだからな?嫌々お前の呪い解くのに付き合ってんだからな?」
魔王「……はぁ……このやり取りもいい加減飽きたな」
勇者「全くだ」
勇者「とりあえず酒場でも行くか、飲みたい気分だ」
魔王「私もだ」
勇者「えっと確かあっちに」
魔王「ん?」
勇者「どうした?」
魔王「こそこそしおって、何者だ?」
野党「ひっひっひっ勘がいいな」ゾロゾロ
勇者「げ、またこんなかよ」
魔王「ひーふーみーざっと20程か」
野党「見てたぜあんたら、結構持ってるみたいじゃねーか、ちょっとばかし恵んでくれねぇか?」ニヤニヤ
勇者「はぁ……俺右な」
魔王「なら私は左か」
野党「あ?なに言って」
勇者「雷魔法(最弱)」ピシャーン
魔王「動くなハエ共が」ブワァ
野党達「……」ドサドサドサッ
野党「……えっ?」
勇者「さて、少し聞きたいがお前達いくら掛かってる?」
野党「えっ?」
魔王「懸賞金だ、これが今の私たちの主な収入なんでな」
野党「えっと……確か……四百ちょっと」
勇者「安っ」
魔王「そんな額の小物がよくもまぁ魔王と勇者に挑んだものだ」
野党「え?魔王?勇者?」
勇者「とりあえず寝ててくれ」トスッ
野党「……」ドサッ
魔王「はぁ……懲りん連中だな、お陰で飯が食えてるが」
勇者「平和になったはずなのになぁ」シバリシバリ
一旦ここまで、こんな勇者と魔王でボチボチと書いてきます
ボチボチと続きを
衛兵「はい確かに、御協力感謝します」
勇者「それで?こいつらいくらになるの?」
衛兵「その前にあなた方はこの町の人ではありませんね?失礼ですが身分証をお持ちですか?」
勇者「はいこれ」
衛兵「失礼……え?あの?」
勇者「調べてくれていいよ本物だから」
衛兵「えっはぁとっとりあえずお待ちを」スタスタ
勇者「はぁ……毎回これで待たされるのがなぁ」
魔王「仕方あるまいお前の身分証があるだけマシだ、私など身分証すらないというに」
勇者「そりゃあるわけないわなぁ」
魔王「こんな手続きさえなければお前なぞと旅をする必要もないのだがなぁ」
勇者「おうおえ俺のありがたみが分かったか?」
魔王「現金引換券程度にはな」
勇者「こんの……口の減らない魔王だぜ」
魔王「ふん」
衛兵「おっお待たせしました、確かにご本人と確認が出来ましたのでお返しします」
勇者「はいはい、それで?」
衛兵「はい、これが報酬です」
勇者「423ゴールドか、まぁ本人達もそのくらいって言ってたな」
魔王「安いが仕方あるまい、とりあえず酒場に行くぞ」スタスタ
勇者「だな」スタスタ
衛兵「ありがとうございました!……うーんびっくりしたなぁ……さぁお前達!すぐに更正させてやるからな!」
勇者「んぐんぐぷはー美味いなこの酒」
魔王「まぁ安酒だがな、それでも癖がなくて飲みやすいのは確かだ」
マスター「この近くで造られてるお酒ですよ、旅の方にも結構評判なんです」
勇者「だろうな、何本か買ってくか?」
魔王「買わん、野営の時にまでお前と飲みたくはない」
勇者「俺だけ飲むからいいだろ」
魔王「それはもっと腹が立つから却下だ」
勇者「ちぇっ、俺だってお前と飲んでたくねーよ別に、何だってさぁ……つーかさ?前から思ってたけどさぁ」
魔王「何だ?」
勇者「何でお前男なの?せめてお前が美しい美女なら、可愛らしい女の子なら旅ももう少し華やかなのにさぁ、野郎二人って」
魔王「ふん!仮に私が女でもお前に靡きはしないだろうな」
勇者「そんなつもりは流石にねーよ、でも見た目だけでもさぁ、こうして飲んでるのも野郎二人で並んで飲んでても画にならねぇっての、はぁ……恋人とか欲しい」
魔王「結局そうなんじゃないか、そもそもお前はまだマシだろうが、国に帰れば家もある、探せば相手だって見つかるだろうが、私は家も相手もないんだぞ」
勇者「そりゃそうだ」
魔王「全く忌ま忌ましい」
勇者「あーくそっこうなりゃ飲んでやる、マスターもう一本!」
魔王「飲みすぎて潰れたら放っておくからな」
勇者「あー?何だよ自分は飲まないの?まぁ酒に関しては俺が勝ってるしなぁ」
魔王「甘く見るな、私が本気を出せば酒など樽で飲めるわ」
勇者「あっじゃあ樽で一杯」
魔王「やめい!マスター今のは無しだ!そんな金どこにある!」
勇者「やっぱり飲めねーんじゃん」
魔王「金がないだけだ!」
勇者「たくよぉ……てかさぁこうやって並んで飲んでるならさぁ、せめて酌しろよ男なのは我慢するから」
魔王「断る、何故お前に酌をせねばならん、只でさえお前と並んで飲んでると思うと酒が不味くなると言うのに」
勇者「一人で手酌して飲むよりその方がマシだからだよ!」
魔王「はっそうは思えんなぁ」
勇者「言ったな?なら俺が酌してやらぁ!おら飲め!」
魔王「やめんか!お前の酌で飲んで……何故私は少し美味い気がしているのだ!?くそぉ」
勇者「どうよ?例え男の酌でも自分で手酌するよか美味ーんだよ、ほら飲め飲め、でもって俺にも酌しやがれ」
魔王「くぅっ……いや、いいぞ?酌をしてやろう」
勇者「あ?急に何を?」
魔王「ほぉら魔王からお前へと酒を授けてやろうぞ、感謝せよ」
勇者「何だよその言い回し!偉そうに!」
魔王「国も民も無くとも私が王であることに変わりはないわ!」
勇者「てっめこの!上等だ!酌しまくってやる!」
魔王「やってみろ!」
マスター(……仲良しなんだなこのふたり)クスッ
勇者「あー流石に飲みすぎた」
魔王「……」
勇者「結局潰れてんじゃん」
魔王「……違うわ……これはあれだ……眠いのだ」
勇者「嘘つけたく、とりあえず寝るぞおやすみ」
魔王「ふん……」
勇者「流石にそこ返事しろよな……はぁ」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……おやすみ」
勇者「おうおやすみ!」
魔王「お前!まだ起きてたのか!」
勇者「いやー珍しいもん聞けたなー」
魔王「今すぐ忘れろ、でなければこの宿ごと吹き飛ばす」
勇者「俺だけ死なねーからな?それ」
魔王「くぅぅ忌ま忌ましい勇者め、ふん」
勇者「おやすみー」
魔王「おい起きろ」
勇者「ん?あー?朝?」
魔王「もう昼だ、いつまで寝てる」
勇者「ふわぁ……あーおはよ、お前早いな」
魔王「だからもう昼だと言っている」
勇者「いや朝起きてもお前がまだ寝てるの見たことないし」
魔王「私は魔族だからな、人間とは体の造りが違う、睡眠も一日三時間も寝れば寝過ぎなくらいだ」
勇者「うわーマジかよそれ」
魔王「と言うよりもこれは何度も話したと思うが?物覚えが悪いなお前は」
勇者「そだっけ?いつ?」
魔王「確か最後に言ったのは、50年程前か?」
勇者「覚えてる訳ねーだろ!お前元の寿命も長いからってスパン長すぎなんだよ!人間は百年生きれば長生きなんだよ!」
魔王「ふんどのみちお前の物覚えが悪い事は確かだろうに、ほら飯にするぞ」
勇者「はぁ……分かったよたく」
一旦この辺で、途中寝落ちしましたすみません
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