ヴィーネ「ガヴ起きて!」
ガヴ「……まだねむいんだけど」
ヴィーネ「呑気に寝てる場合じゃないんだってば!」
ガヴ「……ふわぁぁ。いったいなんなんだよ、ヴィーネ……げっ!まだ6時前じゃん……」
ヴィーネ「いいから!ほら、外見てみなさいって!」
ガヴ「はあ?…………なにこれ」
ヴィーネ「私たち今、全然知らない場所にいるのよ!」
ガヴ「寝てる間に無意識に神足通を使った……とか?」
ヴィーネ「あんた、ろくに使えてないじゃないの……」
ガヴ「そうだけどさ…………えっ?ならなんで?」
ヴィーネ「それを私に聞かないで」
ガヴ「まあいいや。とりあえずネトゲでもして落ち着こう」
ヴィーネ「違うでしょ?そ・う・じゃ・ないわよね?」
ガヴ「わかった!わかったから!今予備ないんだからケーブル切るのはやめて!」
ヴィーネ「ホントに、どこなのかしら……」
ガヴ「私に聞かれても知らん」
ガヴ「ところでヴィーネさ、なんで私の部屋にいんの?」
ヴィーネ「知らないわよ……気付いたらここに立ってたんだから」
ガヴ「ドアから向こう側は異世界って……」
ガヴ「あーこれ、ラフィかサターニャが絡んでるパターンだわ」
ヴィーネ「……考えられるわね」
ガヴ「結論は出たし、私は寝直すとしますか」
ヴィーネ「待ちなさい。どうしてそうなるの!」
ガヴ「焦ってもしょうがないじゃん。果報は寝て待てだよ、ヴィーネ」
ヴィーネ「寝てても状況は変わらないじゃない。ほーら、外を回って確かめるわよ」
ガヴ「面倒くさいなぁもう」
ヴィーネ「文句ばっかり言わないの」
ガヴ「あのさ、ヴィーネ。私の部屋だけ元の状態っておかしくない?」
ヴィーネ「それは……確かにそうよね」
ガヴ「つまりさ?この部屋を出たら何が起きるかわからないということだよ?」
ヴィーネ「ならあんた一生ここにいる気?」
ガヴ「それも悪くない……つーか眠い」
ヴィーネ「食料とかどうすんのよ?」
ガヴ「食料調達はヴィーネに任せるよ……おやすみぃ」
ヴィーネ「いい加減にしなさいよぉ~?」ゴゴゴゴゴ
ガヴ「うわ!ごめんって!冗談!冗談だから!」
ヴィーネ「もう。ガヴったら本当にしょうがないんだから」
ガヴ「で、ここどこ?」
ヴィーネ「知らないわよ。ゲートも開けなかったし。部屋の外は知らない街ね」
ガヴ「あああああ!私の部屋があああ」
ヴィーネ「え?ガヴの部屋が……消えた……!?」
ガヴ「どうするのさヴィーネ!!ほら!部屋出た瞬間部屋消えちゃったじゃないか!」アセアセ
ヴィーネ「……大ピンチかも」
ガヴ「……天界の気配がない。ゲートはほんとに開けなかったの?」
ヴィーネ「反応がないのよ。悪魔化はできるのにあっちには行けないわね……」
ガヴ「聞いたことあるかも。次元を越えたパラレルワールドってやつ」
ヴィーネ「私も聞いたことあるわ……魔界通販で」
ガヴ「つーかここ天界ないじゃん……」ペカー
ヴィーネ「魔界とも通信不可ね……」
ガヴ「ネトゲは!?」
ヴィーネ「諦めなさいガヴ」
ガヴ「なんということだ……」
ヴィーネ「見た感じ日本よね。けど天使と悪魔の存在を感じられない」
ヴィーネ「とりあえず人間とコンタクトを取りましょう。話が通じるなら図書館を探してみるのも手ね」
ガヴ「ネットカフェとか」
ヴィーネ「却下」
ガヴ「……図書館とか原始人かって」
ヴィーネ「この世界について確かめるなら案外役に立つはずよ?人間の歴史書もバカにできないんだから」
ガヴ「……ネカフェだって情報の宝庫じゃん」
ヴィーネ「図書館はタダよ?」ニッコリ
ヴィーネ「あの、すいません」
女性「はい?」
ヴィーネ「図書館ってどこにありますか?」
女性「あ、図書館はですね――」
ヴィーネ「すんなり来られたわね」
ガヴ「……疲れた」
ヴィーネ「ガヴも少しは運動したほうがいいわよ?」
ガヴ「……運動する暇あるならネトゲするって」
ヴィーネ「うーん、ざっと見た感じ日本語ね。天使と悪魔、天使と悪魔……あったわ」
ガヴ「こっちもそれっぽいのあったぞ」
ヴィーネ「ふむふむ」パラパラ
ガヴ「ふぁ~あ……眠い……」パラパラ
ヴィーネ「どうやら天使や悪魔という認識は存在するようね」
ガヴ「……エンジェルモード」ピカァー
ヴィーネ「こらっ!人前で天使化はやめなさい!」ポカッ
ガヴ「……あれ?なんか力が増してる気がする……回復力的な」パァァァ
ヴィーネ「私もそれ感じてた」
ガヴ「天界と通信もできないのになんでだ?」
ヴィーネ「たぶんだけど、この世界には実体のある天使や悪魔がいないのよ」
ヴィーネ「けど宗教的信仰の対象として、人間の中に強いイメージがあるらしいの」
ヴィーネ「だから結果的に私たちの権限が増したんだわ」
ガヴ「実際にはいないものを象徴として脳内に作り上げてるってことだな……」
ヴィーネ「こちらの世界の私たちは『ガブリエル』と『ヴィネ』と呼ばれてるらしいわ」
ガヴ「これか。天使と悪魔のなかでも地味に最強クラスじゃないか」
ヴィーネ「そうね」
ヴィーネ「……どの人間たちの中にも、私たちが『何だか凄い存在』って漠然とした認識があるみたいね」
ガヴ「その認識が力となって私とヴィーネを強化してるのか」
ヴィーネ「見て、この世界では天使と悪魔は殺し合ってるそうよ♪」
ガヴ「えー、やだよ。ヴィーネがいなかったら誰が私の世話すんのさ」
ヴィーネ「あんたねぇ……少しは自立しなさいよ」
ガヴ「ヴィーネを殺すくらいなら人類滅ぼすね私は」
ヴィーネ「……もう、ガヴったら」
ガヴ「げっ……この天使と悪魔見てみ」
ヴィーネ「うわぁ……サターニャ大悪魔じゃない」
ガヴ「いや、よく見ろよ。サターニャはルシフェルじゃなくてこっちのサタナキアじゃないか?あいつ子分だぜ子分」
ヴィーネ「あ、そうかも」
ガヴ「ラファエル……ラフィは大天使だな」
ヴィーネ「……この世界にサターニャとラフィがいなくてよかったかも」
ガヴ「同感だ。あの二人が強大な力とか持ったら面倒事しか起きないな」
ヴィーネ「たしかに」
ガヴ「ここは私たちのいた世界とは違うっぽいけど、私たちの権力はむしろ上がってる」
ヴィーネ「ネトゲするのに何の力がいるのよ……」
ガヴ「失礼な。パソコンなきゃネトゲできないじゃん。まずはバイトだよバイト」
ヴィーネ「いい心がけじゃない。これからは生活費も支給されないんだし。二人で頑張るしかないわね」
ガヴ「えっ?」
ヴィーネ「部屋も探さなきゃね。贅沢は言ってられないわ」
ガヴ「忘れてたっ!私の生活費がぁぁぁ」
ヴィーネ「とりあえずは今日の寝場所を確保しなきゃね」
ガヴ「歩くのだるい……そうだ……」
ガヴ「力が増してるなら可能かな?」パァァァ
ガヴ「おっ、神足通が普通に使えた」
ヴィーネ「私ごと移動するなんて、ガヴ成長したわね」
ガヴ「全盛期なら余裕だったし」
ヴィーネ「ところでここは?」
ガヴ「さっき通った駅前。もしはぐれたらここ集合な」
ヴィーネ「わかったわ」
モバP「……なぁ、君たち。今突然現れたよね?」
ガヴ「」
ヴィーネ「ちょっとガヴ、目立ちすぎよ!思いっきり見られてたじゃないの!!」
ガヴ「目の錯覚っすよ」
モバP「それは無理があるだろう」
ヴィーネ「あの!違うんです!私たち……その、……そう!マジシャン見習いなんです!!」
モバP「へー、マジシャンか。凄いな」
ガヴ「でしょ?」
モバP「簡単なマジックでもいいから見てみたいな。ダメかな?」
ヴィーネ「い、いいですよ!ほら、ガヴ」
ガヴ「わかったよ」
ガヴ「今からあそこまで瞬間移動しまーす……」
ヴィーネ「わぁぁぁ!ぱちぱち!」
モバP「…………」
ガヴ「神!足!通!ハァッ!」ヒュン
50m先
ガヴ「成功です」
モバP「」
人間たち「キャアアアア」
人間たち「ワァァァァ」
ガヴ(目立ちまくってんぞ……)
ヴィーネ「もちろん種も仕掛けもありますよ!?」
モバP「今普通に消えたよね?種も仕掛けもないよね?」
ガヴ「マジシャンですから」
モバP「せめて消える瞬間は隠せ」
ガヴ「あっ」
ヴィーネ「あっ」
ガヴ「だって天使ですもの……てへっ♪」
ヴィーネ「おいこら」
モバP「それで?」
ヴィーネ「……見なかったことには……できませんよ……ね?」
モバP「無理ですね」
ヴィーネ「少々お待ちください」ニコッ
ガヴ「ちょっとヴィーネ。どうすんのさ?」ヒソヒソ
ヴィーネ「わかんないわよ!なんとか誤魔化すしかないじゃない」ヒソヒソ
ガヴ「でもさ、今の私たちって監視どころか誰も止めるやついないじゃん。バラしてもよくね?」ヒソヒソ
ヴィーネ「それは……そうだけど。でも……」ヒソヒソ
ガヴ「神足通でこのまま逃げてもいいけどさ、事情話せば協力してくれるかもよ?」ヒソヒソ
ヴィーネ「たしかに。それもそうね」ヒソヒソ
ガヴ「興味持たれたまま放置したほうが危ないよ。ネットに書き込まれて都市伝説化なんてヴィーネ嫌でしょ?」ヒソヒソ
ヴィーネ「わかったわ」ヒソヒソ
ガヴ「大丈夫だって。今の私は人間の感情とか見えるっぽいんだ。あのオッサン悪いやつじゃないよ」ヒソヒソ
ヴィーネ「オッサンは失礼でしょ?まだ若いじゃない」ヒソヒソ
ガヴ「というわけで、私たちのことが知りたいならご飯奢って」
ヴィーネ「そっちが目当てかい!……すいません、失礼な子で」ペコペコ
モバP「いや、構わないよ。どこか喫茶店でいいかい?」
ガヴ「焼肉……」
ヴィーネ「はい!喫茶店でお願いします!喫茶店で!」
モバP「あ、ああ」
『喫茶店』
モバP「天使と悪魔だって?」
ガヴ「ちなみに私が天使でヴィーネが悪魔」
ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです。悪魔やってます」
ガヴ「天真=ガヴリール=ホワイト。お前たちの世界じゃガブリエルとか呼ばれてるらしい」
モバP「ガブリエル……実在したのか……」
ガヴ「信じてくれんの?」
モバP「瞬間移動とか見せられちゃね」
ヴィーネ「私はヴィネです。人間が想像するような容姿ではありませんが……」
モバP「なるほどわからん」
ガヴ「ついでにルシファーの子分と大天使ラファエルは友達だから」
ヴィーネ(サターニャとラフィが何か凄い存在みたいに聞こえる)
モバP「す、凄いな」
ガヴ「そしてこれが、いつでも人類を滅ぼせるラッパ」バーン
ヴィーネ「オモチャみたいに扱わないの!」
ガヴ(ここまで脅せば口外したりしないか)
モバP「で?どうして天使や悪魔である貴女方が人間界に?」
ガヴ「留学……かな」
ヴィーネ「人間界について学ぶためです。それとガヴは天使ですから、多くの人間たちを救いたいという想いもあるようです」
ガヴ「あー、うん。それで」
モバP「天使と悪魔が逆に見えるのですが……」
ガヴ「ほっとけ」
モバP「えと……いつまでこちらに?」
ガヴ「(帰る方法もわからないし)ずっといるんじゃない?」
ヴィーネ「そうね(帰る方法もわからないし)」
ガヴ「そこで相談なんですけど。私たち今金ないんすよね。人間界来たばっかだし(こっちの世界の)」
ヴィーネ「少し困ってて。今夜寝るところもないんです」
モバP「天使と悪魔なのに!?」
ガヴ「は?力を使えば余裕で億万長者だけど。いいの?私たちを野放しにして」
モバP「あっ、なるほど!あくまで人間らしく生活しないと意味ないですよね!」
ヴィーネ「悪魔だけに?」
ガヴ「つーわけで、バイトして返すんでホテル代貸してください」ペコリ
ヴィーネ「タカリかっ!」
モバP「ははっ。ならもっといい話がありますよ?」
ヴィーネ「いい話……ですか?」
モバP「アイドルになってみませんか?」
ガヴ「どーしてそっちいっちゃうかなー」
ヴィーネ「アイドル……」
モバP「これ名刺です」
ガヴ「……プロデューサーねぇ」
モバP「給料も貰えて住む部屋も用意されます。これで問題は全部解決です」
ガヴ「ヴィーネ頑張ってね」
ヴィーネ「なに言ってんの。私がやるならガヴもやるのよ?」
ガヴ「やだよ。アイドルなんて大変そうじゃん。ネトゲやる時間なくなるし。ヴィーネ養ってよ」
モバP「……どっちが悪魔かわからないな」
ヴィーネ「でもこっちの世界に、ガヴのやってたネトゲはないんじゃない?」
ガヴ「あああああああああ……」
ヴィーネ「いい機会だし、ガヴもネトゲはしばらく休業したら?」
ガヴ「一から他のネトゲを……」
ヴィーネ「ああん?」
ガヴ「……我慢します」
ヴィーネ「よろしい」ニコッ
ガヴ「私のアイデンティティー崩壊の危機なんだが」
ヴィーネ「これからは二人で暮らすのよ?ネトゲより二人の時間を大切にしましょ?」
ガヴ「PC二台買って二人でネトゲとかよくない?」
ヴィーネ「もうダメだこいつ」
モバP「それで、ですね?了承していただけるのでしょうか……?」
ヴィーネ「あ、普通に話してください。私たちを怖がる必要ないですから。敬語とかも使わないでくださいね」
モバP「……わかった。人間風情の俺がどう接していいのかちょっと混乱してたよ」
ガヴ「私たちだってそんな大層な存在じゃないから」
ヴィーネ「全然気にしないでください」
モバP「ありがとう。で、アイドルだけど、どうかな?」
ヴィーネ「恥ずかしいですけど、やってみたいと思います」
ガヴ「……仕事なら頑張りますよ、給料分は」
ガヴ(元の世界に帰るまでだが)
ヴィーネ「ガヴもやる気を出してくれましたし。今日からよろしくお願いします」
モバP「こちらこそよろしく。女子寮は空いてるから、一人一室大丈夫だよ」
ヴィーネ「二人で一室でいいです。ガヴすぐに部屋汚しちゃうし、食事も適当に済ませちゃう子なんで。目の届く場所にいてくれたほうが安心というか……」
ガヴ「お前は私のオカンか!?」
ヴィーネ「ガヴの生活態度が酷すぎるのが悪いんでしょ!文句があるなら掃除くらいしなさいよ!」
ガヴ「掃除はヴィーネに任せてるから」
ヴィーネ「あんたいい加減にしなさいよ!?」
モバP「仲良いんだね」
ヴィーネ「見捨てられないだけです。……親友ですから」
ガヴ(サターニャがいないと私への風当たりが――いや、扱いが問題児レベルに……)
ガヴ「サターニャ冷たくして悪かった」
ヴィーネ「突然どうした!?」
ガヴ「ヴィーネは私の一番の親友だから」ニコッ
ヴィーネ「……なんか少し気持ち悪いわね」
ガヴ「え?ちょっと辛辣すぎない?」
ヴィーネ「ごめんごめん。私もガヴが一番だよ」ニコッ
ガヴ「それはどうも。はぁ……なんか今日疲れる」
モバP「これから女子寮に案内するよ。今日はゆっくり休んでくれ」
ヴィーネ「ありがとうございます」
ガヴ「ハァ……」
霊能力者「この娘に悪魔が取り憑いている!」
智絵里「はぁっ……はぁっ……離しなさい!私を誰だと思っているのよ!」
霊能力者「くっ……!何て力だッ!!悪魔よ!この娘から出ていけ!正体を現すのだ!」
霊能力者軍団「神よ……力をお貸しください……!悪魔め!この十字架を受けよ!」
智絵里「ラフィエル!ヴィネット!ガヴリール!誰でもいいからはやく助けなさいよ!!」
霊能力者「効かないだと……!?ええい!名を名乗れ!!悪魔め!」
智絵里「胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様よ!わかったならさっさと離しなさい!」
霊能力者「サタナキアだと……!?」
霊能力者軍団「名を縛れません!この悪魔は我々では追い出せない!」
霊能力者「こうなれば最終手段を使うしかあるまい」
霊能力者「十字架室を用意せよ!少女ごと封印する!」
霊能力者「食事以外何も与えるな!」
智絵里「なんでこうなるのよぉぉぉぉ!」
絵理?「人間の身体も悪くありませんね♪」
『女子寮』
ガヴ「思ったより綺麗じゃん」
ヴィーネ「そうね」
ガヴ「同棲か……」
ヴィーネ「なによ?私と一緒は不満だって言いたいの?」
ガヴ「いや。ヴィーネならいいけどさ」
ヴィーネ「ガヴ!」
ガヴ「家事洗濯料理掃除はヴィーネ担当だから」
ヴィーネ「おい待てこら」
ガヴ「ならさ、ヴィーネは私に任せてもいいの?」
ヴィーネ「うっ……地獄絵図が浮かんできた」
ヴィーネ「わかったわよ。ただし!ガヴも少しは手伝ってよね」
ガヴ「りょうかーい」
ヴィーネ「プロデューサーさんが一万円くれたから、食材を買いに行きましょう」
ガヴ「私たちの金は消えてしまったんだな……」
ヴィーネ「元の世界にちゃんとあるわよ、きっと」
ガヴ「ふぅ……美味しかった。さすがヴィーネ。嫁に欲しい」
ヴィーネ「ガヴは世話してくれるなら誰でもいいんじゃないの?」
ガヴ「私にだって好みってもんがあるわけですよ。天使じゃないんだから、無理な奴は無理だって」
ヴィーネ「いや、あんた天使でしょ」
ヴィーネ「お風呂どうしよっか?」
ガヴ「私今日はいいや」
ヴィーネ「ダーメ。女の子なんだから毎日入りなさい」
ガヴ「うぇ~」
ヴィーネ「ガヴの髪綺麗。普段ボサボサなのに梳かすとちゃんと天使よねぇ」
ガヴ「うっさい」
ガヴ「ほら、ヴィーネの背中も洗ってあげる」
ヴィーネ「ありがと」
ガヴ「ヴィーネはさ、こうして見ても全然悪魔に見えないよね」
ヴィーネ「ぐっ……」
ガヴ「私より天使っぽい」
ヴィーネ「あんたそれ自分で言ってて悲しくならない?」
ガヴ「自分駄天使っすから」キリッ
ヴィーネ「あーはいはい。ほんとガヴは私がいないと駄目なんだから」
ガヴ「私の世話ができるとかヴィーネは光栄に思ったほうがいいよ?」
ヴィーネ「そうですね。嬉しいですよとっても(棒読み)」
ガヴ「うむ。背中洗ったよ」
ヴィーネ「ありがとね」
ガヴ「……浴槽狭くね?」
ヴィーネ「ワガママ言わないの」
ガヴ「おおっ、ヴィーネの肌綺麗だね」
ヴィーネ「ガヴだって綺麗じゃない。あんな自堕落な生活してるのにね」
ガヴ「だって天使ですもの」パァァァ
ヴィーネ「ガヴそれ何気に気に入ってるでしょ?」
ガヴ「……少し」
こうして私とガヴは、天使と悪魔が存在しない異世界へとやってきました。
いつ帰れるかもわからない不安のなか、ガヴだけが今の私の心の支えです。
早く帰れるといいな。
私の名前は月乃瀬=ヴィネット=エイプリル。
アイドルとして今日も元気に頑張っています。
サターニャ、ラフィ、千咲ちゃん
心配しないでください。
私とガヴはいつか必ずそちらに戻ります。
この手紙がそちらに届くとは思いませんが
その日まで皆お元気で。
いったん終わり
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