～１週間後～

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

男（押し売りか）

ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

男（しつこい押し売りだな）

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

男「ｲﾗｯ」

男「うるせえっ！」ｶﾞﾁｬｯ

友「随分なご挨拶だな。人がせっかく見舞いに来てやったのに」

男「と、友！？」

友「よっ、上がらせてもらうぜ」

友「なんで電話でなかったんだよ」

男「熱で寝込んでたんだよ」

友「仮病だろ？」

男「うぐっ……」

友「ったく、１週間も学校サボりやがって」

男「ごめん」

友「ま、いいけどさ」

友「で、なにがあったんだよ」

男「女さん……他に好きな人いるってさ」

男「女さんおまえのことが好きなんだってさ」

友「…………」

男「悪かったな。あの日は勝手に帰っちまって」

男「俺、おまえの前でどんな顔すればいいかわからなかったんだ」

友「男……」

男「友はいいよな。イケメンだし成績優秀で運動もできるし」

男「そりゃモテるに決まってるよな」

友「…………」

男「ははっ、自信なくしちゃったよ」

男「何のとりえもない俺とは大違いだ」

友「そんなことないっ！」ｶﾞﾀｯ

男「え？」

友「俺は知ってる」

友「男がどれだけ頑張ってきたか。どれだけ努力してきたか」

友「俺は……知ってるよ」

男「…………」

友「それは決してむだじゃないよ」

男「それがなんだってんだよ」

男「努力したって気づかれなければ意味ないじゃないか」

男「結果を残さなければなんの意味もないじゃないか」

男「虚しいだけじゃないか……」

友「男……」

男「わるい。１人になりたいんだ」

友「……明日は学校来いよ」

友「待ってるからな」

ｶﾞﾁｬｯﾊﾞﾀﾝｯ

男「…………」

～翌日～

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

男「ふわあああああ」

男（今何時だろ。学校行くのだりーな）

男（もうなにもかもどうでもいいや）

～～回想～～

友「……明日は学校来いよ」

友「待ってるからな」

～～～～

男「…………」

男（友……ごめん）

男（おまえはいいやつだけど。俺にはもったいない友達だよ）

・・・

担任「出欠を確認する。ん？　男は今日も欠席か」

友「…………」

友（男……）

男「…………」ﾎﾞｰｯ

男（なにやってんだろな俺。学校サボって友に冷たくして）

男（完全にダメ人間じゃねーか）

男（これじゃ女さんにフラれるのも当然だよな）

男「はぁ……」

ﾋﾟﾙﾙﾙﾙｯ

男（電話？　誰からだろ）

男「もしもし」

友『もしもし友だけど』

男「なんだ友か」

友『なんだよその反応。あんまり嬉しくなさそうだな』

友『女さんなら嬉しかったか？』

男「ばっばか！　そそそそんなことっ！」

友『ははは、冗談だって冗談』

友『１日中部屋の中にこもっていてもいいことないぜ』

友『たまには外出しろよ』

男（んなこと言われたってなぁ……）

友『というわけで喜べ。おまえにいいニュースを持ってきた』

友『聞いたら外に出たくなること間違いなしだぜ』

男「なんだよやぶから棒に」

友『聞いて驚け。おまえのためにデートのセッティングをしてやったぞ』

男「は？」

友『おしとやかでかわいい子だぜ』

男「……は？」

友『日時は今日の４時。集合場所は駅前だ』

男「はああああああああああああああ！？」

男「ちょちょちょちょっと待て！　どういう状況なのかさっぱり理解できんぞ！」

友『状況もなにも簡単なことさ。おまえとデートしたいって子がいる。ただそれだけさ』

男「新手の詐欺か？」

友『あのなぁ……なんで俺がおまえを騙さないといけないんだよ』

男「だって……ありえないだろ」

友『疑り深いなぁ男は』

男「それ以前に今はデートする気分になれないよ」

男「俺はまだ……女さんのことが好きなんだ」

友『…………』

男「悪いけど断っといてくれないか？」

友『わかった。そこはおまえの意思を尊重するよ』

友『ただ行くにせよ行かないにせよ、直接会ってから決めてくれないか？』

友『その子、おまえとどうしても話がしたいって言ってたからさ』

男「わかったよ」

友『ありがとう。じゃ切るぜ』ﾌﾟﾂｯ