女勇者「勇者が女である必要は?」 (14)

女勇者「あるの?」

戦士「あるだろ」

僧侶「ありますね」

賢者「え、急に何を……」

女勇者「それはどうして?」

戦士「そりゃあだってお前…男ばっかりの勇者一行なんてやってる方も見てる方も辛いだろ」

女勇者「見てる方って……?」

戦士「それは……」

戦士「み、見てる方は見てる方だよ!!」

賢者(うわっ、トートロジー……)

女勇者「ふーん」

女勇者「でも勇者一行っていうのは魔王だとか、この世界の悪を倒す戦闘集団を指すでしょ?」

戦士「ああ」

女勇者「なら非力な女を入れるより屈強な男で固めたパーティの方が理にかなってない?」

戦士「はぁ、だから言ってるだろ! 男しか居ないパーティはなんつーか、こう……士気が下がるというか」

戦士「良いパフォーマンスが出来なくなるんだ! だから一人くらい女が居た方が皆やる気が出て、むしろ強いパーティになる!」

女勇者「そっかぁ……うーん、パーティに女が必要なのはちょっと分かったけど……」

女勇者「それが勇者である必要は無いと思うな。だって、居るだけでいいなら剣を握らせなくていいじゃん。後方支援の、例えば僧侶だとか魔法使いを女の子にすればいいと思う」

戦士「それは……」

僧侶「……やれやれ、代わってください戦士さん」

戦士「? ああ」

賢者(何これターン制なの……?)

女勇者「なに、僧侶くん」

僧侶「勇者さん、貴女は男心を全く分かっていない」

僧侶「さては生娘ですね?」

女勇者「なっ……そんなの関係ないっ!」カァ

僧侶「いいですか、仮に貴女が男だったなら……」

女勇者「うん」

僧侶「前線に立つ女勇者……男に負けじと剣、或いは魔法で敵を仕留めていく」

僧侶「泣き言は吐かない。自分は勇者だから、強くなければいけないから。そう自分に言い聞かせ、痛む傷をひた隠しにして、健気に戦い続けるのです。そんな彼女を後ろから見ている貴方……」

女勇者「う、うん」

僧侶「ですがやはり勇者も人の子であり女の子。人並に悩み、人一倍苦しむ。年頃の女の子ならば当然するおしゃれや恋に憧れているが、鎧姿の自分とその下の数え切れない傷を見て、叶わぬ夢と一人枕を涙で濡らす……」

僧侶「そこに貴方が間が悪く部屋に入ってきた! 涙を見られて焦燥する勇者、しかし貴方は彼女の境遇をすぐさま察して、ただ優しく抱き締めてあげる……勇者は誰かに初めて自分の本当の気持ちをぶつけ、その時だけは普通の女の子になる!」

僧侶「そして二人は幸せなキスをして……」

僧侶「ああ、いいッ!! 勇者いいッ!!」

僧侶「やはり女勇者は最高だと思いませんか勇者ァ!!? どうですかァ!! ええッ!!?」

女勇者「!?」ビクッ

賢者「正体現したね。後半はただの妄想吐露だったんだけど」

戦士「おい勇者怯えてるぞ」

女勇者「僧侶くんの言ってることは何となく分かるよ、うん」

賢者(目が死んでる……)

女勇者「つまりは、勇者が女であることで『勇者』という肩書きの価値があがるってことでしょ?」

女勇者「選ばれてしまった不幸、戦い続けなければならない重責、普通への憧れ……そういった要素に女であるというのを加えれば、より勇者というのが特別な存在になる……と」

僧侶「そう、頼もしい主人公という仮面の下に、か弱いヒロインの貌を隠している、素晴らしい存在なのですよ女勇者というものは!!」

僧侶「こういった深みを持っているのは女勇者だけ!! だからすべからく勇者は女であらべきなんですよ!!」

女勇者「うっ……」フラッ

戦士「テンションを抑えろ僧侶、お前が上がれば勇者が下がるんだよ」

僧侶「あっすいません、つい……」

女勇者「大丈夫だよ僧侶くん…戦士さん、ありがとう」

女勇者「……僧侶くん。君の話を聞いても私はやはり勇者が女である必要はないと思うよ」

僧侶「えぇっ!? そんなぁ!!」

僧侶「なぜですっ!!!」

女勇者「だって、それってショタ勇者でも同じこと出来るじゃない」

賢者「……なるほど」

僧侶「ショタ…つまりは男ォ!? な、なぜそんなおぞましいことを言うのです、勇者さんっ……!!」

女勇者「ショタっ子が年不相応の苦しさを我慢して気丈に振る舞う……その姿に男も女も庇護欲をかき立てられると思うの、女勇者と同じかそれ以上に」

女勇者「または何かハンデを抱えた男の勇者でも、同様に言えるかも。守ってあげたい系男子みたいな」

女勇者「だから別に女勇者『だけ』が僧侶君の言う、理想の勇者じゃないと私は思う。好みは人それぞれだけど」

女勇者「勇者が女である絶対的な必要性は、ない」

僧侶「いや、でもっ、あのっ、ショタも女みたいなものでっ、男というには、つまりはそのっ……」

賢者(壊れた)

戦士「ちょっと眠ってろお前ッ」ガンッ

僧侶「ぐふっ」バタッ

女勇者「……」bグッ

戦士「……」bグッ

女勇者「はぁ、やっぱり無いじゃん、必要」

戦士「そうだな……」

僧侶「」

女勇者「あー、なんか一気に勇者やる気なくなったなぁ。なんで神は私を勇者にしたの……」

賢者「今更なにを言ってもしょうがないよ。与えられたからには全うしなきゃ駄目だよ、勇者としての使命は」

女勇者「……それもそうだね」

女勇者「ごめんね皆。旅を続けよう――――」


「――――待て」


勇者一行「「「「!?」」」」

賢者「こ、この魔翌力はまさかっ……!!」

魔王「話は聞かせてもらったぞ」

戦士「いきなり現れて何者だお前は!」

魔王「俺は魔王、お前達が逢いたくてしょうがなかった魔王様だよ」

魔王「ほら、王だぞ。頭を垂れよ」

女勇者「これが魔王っ!? でもなんでこんな所に魔王が……」

魔王「いや、遠くから水晶玉的なアレでお前らの会話を盗聴していたら、なかなか興味深いことを話していたから、ついな……」

賢者「ストーカーかな?」

女勇者「……さいてー」

魔王「ふっ、なんとでもいえ矮小な生物よ」

賢者「涙拭きなよ」

戦士「…茶番はいいからさっさと戦闘しないか?」

魔王「まあそう早まるな。俺は勇者、お前に答えを教えにやって来たのだ」

女勇者「答え……?」

魔王「そう、なぜ勇者が女である必要があるのか、それを今からお前に教えてやろう」

女勇者「ほんとう!?」

魔王「ああ、それは――――」

魔王「俺の子を孕む為だよおおおおおおおッ!!」パンパンパンパンッ

女勇者「ひぎぃ! い、痛いッ! そんなに強くおまんこ突かないでぇーッ!」

魔王「孕めッ! 孕めッ! 孕めッ!」パンッパンッパンッ

女勇者「な、なんか中でおっきくなってるううう!! 精子いやぁ! 赤ちゃんいやぁ!!」

魔王「うっ」

ドビュルルルルル…

女勇者「はぁはぁ……あ、熱いのがっ…中にたくさん…」

魔王「これが勇者が女である必要性、だ!」

戦士「なるほど、これが……!」

賢者「これが、答え……!」

僧侶「……これは……」ムクリ

魔王「さあ、お前らも俺と一緒に女勇者を孕ませるのだ!! 陵辱されることこそ、こいつの存在価値なのだからなぁ!!」

女勇者「ち、違うっ! 私は世界を救うためにっ……

(ズボッ)

ひぃんっ!?」

戦士「さっきまで処女だったからな、やはり締まりがいい!」パンパンパンパン

女勇者「せ、戦士さぁんっ!? や、やめっ」

賢者「後ろは僕が貰うね」

僧侶「さあ俺のをくわえろこの淫売ィ!!」

女勇者「むぐむっ…ぅううんっ!!」


陵辱は三日三晩続いた。
邪悪な魔王と信じていた仲間達に絶えず子種を注ぎこまれる。
絶望しか無い。もう光が見えない。
精神が崩壊する直前、彼女は思った――――


女勇者(……って、これもやっぱり勇者である必要無いよねーッ!!?)


いつの日か彼女が答えに辿り着けるのを信じて……。


END

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