亜美「君の名は…?」真美「いや、真美だけど?」 (105)
※このSSはとある映画のネタバレを含みます
とある映画を見ていないとわからないかもしれません
申し訳ありませんがよろしくお願いします
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映画館
律子「はぁー!面白かった!」
伊織「まぁ、私に言わせればまだまだだけど話題作なだけはあったわね」
あずさ「あらあら、伊織ちゃん。そう言うわりには目元が赤いわよ?」
伊織「ち、ちがっ!べ、別に感動して泣いたわけじゃ…」
あずさ「うふふ♪」
伊織「ちょ、本当なんだからぁ!」
あずさ「はいはい、そうよね。伊織ちゃんは優しい子だものね~」
伊織「だからぁ!」
あずさ「うふふ…あら?」
亜美真美「「…」」
あずさ「2人ともどうしたの?」
亜美「いや…別に…」
真美「なんでもないよ…」
伊織「なんでもない顔してないじゃない」
律子「もしかしてつまらなかった?」
亜美「そうじゃないんだけど…」
真美「なんか…確かに面白かったけど…」
亜美「普通な気がして…」
律子「普通?」
真美「うん、この映画ってめっちゃ人気だけどさ…」
亜美「正直普通の恋愛モノじゃない?むしろ恋のライバルとかもいないし…」
あずさ律子「「あぁ…」」
伊織「いやいやいやいや、あんたたち何を言ってるのよ!?『入れ替わり』『タイムスリップ』『隕石から人々を守る』普通ならどれか一つで十分ドラマになるのよ?それを三つとも盛り込んで、なおかつ胃もたれしない、素晴らしい作品じゃない!」
律子「いや、あんた大絶賛じゃない!?さっきの辛口な雰囲気はなんだったのよ!?」
伊織「主演2人の演技力も入れ代わりに不自然さを感じさせない素晴らしいものだったし、音楽だって…」ペラペラ
亜美「そ、それはそうだけど…」
真美「でもなぁ…時間の違いに気付かなかったり…あんなことがあったのになんであの二人は忘れちゃうの?」
伊織「だからぁ!」
あずさ「伊織ちゃん、その辺にしときましょ」
律子「そうよ、せっかくみんな楽しめたのに喧嘩することないわ。感じ方は人それぞれよ?」
伊織「でも…」
亜美「りっちゃんやあずさお姉ちゃんはいおりんと同じ考えなの?」
あずさ「そうねぇ…さすがにあそこまで的確な評価はできないけど…」
律子「そんなもんよ。映画に限らずみんながみんな同じ感想なんてつまんないじゃない。みんな違うから大勢で見に行くのが楽しいんじゃない」
亜美真美「「うーん…」」
翌日
事務所
真美「りっちゃんはああ言ってたけど…」
春香「千早ちゃん♪昨日の映画楽しかったね!」
千早「えぇ、そうね。正直流行りモノだからと避けていたけれど…観に行ってよかったわ」
亜美「大人気だねぇ…」
真美「そうだね…」
千早「あら?あなたたち2人も観に行ったんじゃないの?」
亜美「それがさ…」
カクカクシカジカトカトカチッチッ
春香「なるほど、つまり細かいところが気になるし流行りモノだからみんないいように言ってるんじゃないかってことだね?」
真美「いや、そこまで言ってないよぉ!?」
亜美「ただ亜美たちが思う『面白かった』といおりんたちが思う『面白かった』に差があるんじゃないかなぁって…」
千早「そんなのは当たり前よ。それぞれ違う人間なんだもの」
亜美「そう言われても…」
春香「あ、じゃあみんなの感想を聞いていけばいいんじゃないかな?」
亜美「みんなの感想を?」
春香「うん、幸いものすごく流行ってるから765プロのみんなは見てるみたいだし。そうしたら2人と同じように思ってる人や、2人の違和感の正体がわかる人が見つかるかもしれないよ?」
真美「なるほどぉ!」
亜美「さっすがはるるん!」
春香「じゃあ早速私の感想からいくね!えっとねぇ、私は…」
千早「やめておきなさい。春香」
春香「ん?どうして?千早ちゃん?」
千早「こういう場で実際の作品の感想を言うと『これ作者の感想を春香に言わせてるだけじゃん』とか『おっさんの感想を春香に代弁させるな』とか『俺の春香はこんなこと言わない』とかいう人たちが…」
春香「出てこないよ!?そんなSSのまとめサイトのコメント欄みたいな人たちは出てこないよ!?」
千早「因みに私は音楽の力を再認識させられたわ。メジャーバンドのタイアップを人気重視と正直快く思わない人もいるでしょうけれど、やはりメジャーデビューしているバンドにはしっかりと裏付けされた実力が…」ペラペラ
春香「それで千早ちゃんだけしっかり感想言ってるし!?」
亜美「なるほど…音楽に注目するのは千早お姉ちゃんならではだね」
真美「確かに…自分たちだけでは見つからなかった視点だね…」
春香「でしょ?それで私は…」
亜美「ありがとう、はるるん!千早お姉ちゃん!亜美たちみんなに聞いてくるね!」ダッ
春香「いや、だから私は…」
真美「ありがとね、はるるん!」ダツ
春香「私は…」
春香「…」
亜美「さーて、まずはっと…」
雪歩「真ちゃん、昨日の映画面白かったね!」
真「うん!」
真美「出ました、ゆきまこ!」
亜美「ゆきぴょーん!まこちーん!」
真「ん?」
雪歩「どうしたの?」
亜美「あのさ…」
カクカクシカジカトカトカチッチッ
雪歩「なるほど…たしかにそういうことってあるよね」
真美「それが気になって真美たち夜しか寝れないんだよぉ!」
真「いや、夜寝れるならいいじゃないか。美希じゃあるまいし…」
亜美「だからみんなの感想を聞こうってことになったんだぁ」
真「感想かぁ…僕は…」
真美「あ、まこちんのはいいや」
真「は!?なんで!?」
亜美「どうせ『キュンキュンしたぁ!』とか『まっこまっこり~ん♪』としか言わないっしょ?」
真「最初の方はともかく、後半は感想ですらないじゃないか!」
亜美「じゃあそれ以外に感想あんの?」
真「…雪歩ぉ…」
亜美「ギブアップが早いよぉ!」
真「雪歩ぉ…亜美と真美がいじめてくるよぉ…」
雪歩「よしよし、真ちゃん。大丈夫だよ♪」ナデナデ
真美「そうやってゆきぴょんが甘やかすからダメなんだよ」
雪歩「まあまあ、真ちゃんは言葉にするのが苦手なだけでちゃんと感じてることは感じてるから」
真美「それって遠回しにバ…」
雪歩「私の感想はね!」
真美「強引に遮った!?」
雪歩「私は…ひと目惚れって、全部こんなストーリーがあるのかもって思ったかな」
亜美真美「「ひと目惚れ?」」
雪歩「うん。2人はさひと目惚れってあると思う?」
亜美「うーん、どうなんだろーね?」
真美「ひと目惚れって結局外見だけっしょ?その人の内面を知らないのに好きになるってただのチャラ男じゃない?」
亜美「亜美もそんな感じかなー」
雪歩「うん、その気持ちわかるよ。私も結構それに近い感覚だったんだ。でもね…」
真美「でも?」
雪歩「ひと目惚れするカップルって…みんな忘れているだけで…描かれていないだけで…知られていないだけで…みんな似たような経験をしてたんじゃないかなって思うんだ」
亜美「ん?」
真美「どゆこと?」
雪歩「今回はたまたまあの2人にスポットが当たって映画として描かれたけど、実は私たちも覚えてないだけで入れ替わったりしているのかもしれないでしょ?だから、ひと目惚れする人たちは忘れているだけでその人と入れ替わっていて、その人たちもその人たちなりの物語を歩んでいたのかもしれない…そんなふうに考えるのはロマンチックが過ぎるかな?」
亜美「うーむ…なるほどぉ…」
真美「ゆきぴょんらしい考察だね」
真「僕も全く同じことを思ってたよ!」
亜美「いや、それが嘘ってことは流石にわかるよ?」
真「うっ!?で、でもさ!でも…ひと目惚れだけじゃなくて!?ひと目惚れだけじゃなくて……僕と雪歩みたいな、親友もそうなのかもしれないだろ?そう考えたら…ちょっと嬉しいな、僕と雪歩は出会う前から友達だったんだって…」
亜美真美「「まこちん…」」
雪歩「わわわわわわ、わた、私が、まままままこ、まことちゃ、真ちゃんと…」
真「雪歩?」
亜美「ちょっとゴメンね、まこちん」
真美「ちょっとゆきぴょんの悪い病気(まこちん病)が出ちゃってるみたいだから」
真「病気!?雪歩!大丈夫かい!」ギュッ
亜美真美「「あっ…」」
雪歩 ボンッ
真「雪歩!?」
雪歩「ま、まこ、まことちゃ…」バタッ
真「雪歩ぉぉぉお!?」
亜美「なんか違う映画みたいになりそうだね」
真美「めんどくさいことになる前に離れようか」
亜美「バイバイ、まこちん、ゆきぴょん」
雪歩「まこと…ちゃ…ん…」バタッ
真「誰か…誰か助けてくださいぃぃぃぃい!」
亜美「さてと…」
真美「次は誰かな?」
響「貴音!貴音!だからね!あのシーンはね…」
貴音「ふふふ、響、落ち着いてください。私は逃げませんよ?」
亜美「でたなひびたか!」
真美「ひびきーん!お姫ちーん!」
響「ん?」
貴音「はて?どうされました?」
亜美「あのさ…」
カクカクシカジカトカトカチッチッ
貴音「なるほど…」
亜美「だからお姫ちんたちがどんな感想を持っていたのかが気になって…」
響「ふんふん、なるほどなるほど、なるほどなぁ。亜美ぃ、真美ぃ、自分は嬉しいぞ!」
亜美「は?」
真美「ひびきん何言ってんの?」
響「アニメ映画やラノベはそういう部分があるんだ。一般的には子供向けとされる一面はあるけれど最近のアニメやラノベにはそんな風に言いたいことやメッセージをぼやかしている場合があるんだ」
亜美「何のために?」
響「そりゃ見てる人に考えてもらうためさ。同じ作品でも人によって解釈が違うってところが面白いんだ」
真美「あ、それりっちゃんも言ってた」
響「例えば同じ作品でも子どもの頃と大人になった後じゃ感想が違ったりするだろ?」
真美「そうかなぁ?」
響「教科書なんかわかりやすいぞ。今小学校一年生の時に使ってた国語の教科書とか道徳の教科書を見てみたら絶対その時とは違った感想が出てくるぞ」
亜美「あ、それはわかるかも」
真美「今見たらめちゃくちゃ深いこと書いてあるけど、当時は『かわいそう』とか『面白かった』とかしか思ってなかったもんね」
響「だろ?それが『作品の深み』なんだ。最近のラノべやアニメはその深みがわかりやすく作ってある」
亜美「ん?それって結局浅いってことじゃないの?」
真美「あ、そうだよ!色んな経験を通してやっとわかるようになるから深みなんじゃないの?」
響「本当にいいところに気づくな。その通り。誰にでもわかる深さっていうのは浅いってことだ」
亜美「浅いのに深い?」
真美「うあうあー!?意味がわかんないよー!」
響「浅いものを深く見せる技術が凄いってことだよ。とある芸人さんを評価する言葉にこんな言葉がある。『彼の凄いところは「彼の本当の面白さがわかるのは俺だけだな」とみんなに思わせることができるところ』って言葉なんだけどな」
響「誰もが到達できるけれど、それが難しすぎず、簡単すぎない。そんな絶妙なところにメッセージを隠す…だからこそ答えは一つじゃない。議論が…物語が生まれるんだ」
亜美「ふーん…」
真美「わかったようなわからないような…」
響「ま、ここはあくまで入り口さあ!それがわかった今こそ、亜美と真美は本当の意味で作品を見ることができるのさぁ!それが自分はとっても嬉しいんだ!」
亜美「うーん…」
真美「やっぱりわかったようなわからないような…」
貴音「ふふふふ…らいとのべるが好きな響らしい解釈ですね」
亜美「そういうお姫ちんはどうなの?」
貴音「はい、私もあの作品は一般的なさいえんすふぃくしょんでは批判される要素になりかねない『なぜ忘れてしまうのか?』という部分を説明しなかった部分が気にならないほどのすとぉりぃ展開…流石と言わざるを得ません」
亜美「ほうほう」
貴音「しかし…」
真美「しかし?」
貴音「入れ替わりの方法を間違えているのはいただけません」
響「は?」
亜美「ひ?」
真美「ふ?」
貴音「勘違いしないでいただきたいのですが私はあの作品が嫌いというわけではないのです。むしろ魅了されたからこそ、そのような細かい部分に気が…」
亜美「いやいやいやいやwww」
真美「お姫ちんったらwww」
貴音「はて?何かおかしなことを言いましたか?」
響「貴音…2人が笑うのも無理ないぞ…」
貴音「何故でしょう?」
真美「何故って…」
響「そんな『実際入れ替わることができる』みたいな…」
貴音「できますが?」
亜美「うーん…」
真美「じゃあ実際にやってみてよぉ!」
貴音「いいでしょう…響!」
響「ん?どうした?たか…」
貴音 ズキュュュュュュウン
響「もが!?」
亜美「ひ、ひびきぃぃぃぃいん!?」
真美「お、お姫ちんが、ひびきんにき、き、き、キスしてるぅ!?」
貴音 チュパチュパチュパ
響「た、たか…んっ?あっ…」
亜美「さ、流石お姫ちん…」
真美「真美たちにできないことを平然とやってのける…」
貴音 ジュプジュプチュパ
響「た、たか…ふぅぅん?ふわぁぁあ?」
亜美「ねぇ、さっきからひびきんの声変じゃない?」
真美「し、知らない!ぜ、全然えっちくない!」
亜美「なんか真美もおかしくない?」
響「んっ?うんっ!?あっ…あっ…あっ…あぁぁぁん?」ガクッ
貴音「ちゅぱ…はて?気絶してしまいました…」
響「た…たか…にぇ…」
貴音「途中で気絶されては入れ替わることができません…ここからあんなことやこんなことをしなければ…」
亜美真美 ガクガクガク
貴音「いたしかたありません、それでは2人のどちらかを…」
亜美真美「「し、失礼しましたぁぁぁあ!」」ダッ
貴音「はて?面妖な…」
亜美「はぁ…はぁ…はぁ…なんとか…」
真美「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…逃げ切れたね…」
美希「ふわぁ~…うーん、うるさいの…」
真美「ミキミキ!?」
亜美「また事務所で寝てたの?」
美希「あふぅ…映画見た後だから眠いの…」
亜美「映画?」
真美「もしかして、ミキミキも…」
???「ふごふごー!」
美希「ん?」
???「ふごー!」
真美「ミキミキ?なんか抱いて寝てない?」
???「ふごー!は、離してくださいー!」
亜美「そ、その声は…」
亜美真美「「やよいっち!?」」
???「ふごー!」
真美「ミキミキ?なんか抱いて寝てない?」
???「ふごー!は、離してくださいー!」
亜美「そ、その声は…」
亜美真美「「やよいっち!?」」
やよい「ふわぁっ!?や、やっと出られました…」
美希「あ、そういえば寝ていたやよいが暖かかったから抱いて寝てたの」
亜美「それでやよいっち、涎でベトベトなんだね…」
やよい「もう、美希さんったら映画から帰ってくるなり寝ちゃうんですから!」
美希「ご、ごめんなの…」
亜美「そうだ、その話だよ」
真美「ミキミキもあの映画見たの?」
美希「見たけど?」
やよい「私も伊織ちゃんと観に行きましたぁ!」
真美「いおりんどハマりしてんじゃん!?」
亜美「2回目観に行ってんじゃん!?」
やよい「2回目?」
亜美「いや、いおりんさ、亜美たちとも観に行ってて…」
美希「ん?美希とも行ったけど?」
亜美真美「「な、なんだってー!?」」
やよい「小鳥さんとも行ったって言ってました」
真美「信者じゃん!?もう完璧に信者になってるじゃん!?」
美希「『あんまり楽しくない』って言ったらボロクソに否定されたの」
亜美「それもめんどくさい方の信者だよ!」
真美「迷惑度で言えばアンチと変わらないやつだよ!」
亜美「って言うかミキミキはそんなに面白くないって思ったの?」
美希「うーん、正直そんなに絶賛されてる理由がわからないの…」
真美「真美たちと一緒だ!」
美希「普通に考えてあんだけ入れ替わったら三年タイムラグがあるのに気づくと思うな!」
亜美「た、確かに!」
真美「真美たちが感じてた違和感はこれだったのかも…」
美希「だいたいそんな大切な思い出なのになんで忘れちゃうの?バカなの?」
真美「う、うん…」
亜美「そ、そうだね…」
美希「そもそもなんであの2人は両思いになるの?直接会ったこともないのに?出会い系みたいなの」
亜美「ま、まぁそこまで言うことは…」
美希「実際に会いに行った時もなんで背丈の違いに気づかないの?なんで勝手にフラれたって思い込んだの?」
真美「そ、そこはまぁあれっしょ?」
美希「本当に好きなら振り向かせる努力をしたらいいの。少なくともミキはずーっとそうしてきたよ?」
亜美「それは実にミキミキらしいんだけどもね…?」
美希「他にも…」
亜美「もういいよぉ!」
真美「真美たちあの映画嫌いだったわけじゃないんだよぉ!」
美希「いや、ミキだってそこまで嫌いなわけじゃ…」
真美「絶対に嘘だよぉ!」
亜美「『どうせミキミキのことだから途中で寝てるっしょ』っていう亜美たちの予想を見事に裏切る割としっかりした批判だったよぉ!」
美希「そんなこと言われても…」
真美「なんだか自分の好きだったものを否定された気分だよ…」
美希「なんなのなの…」
やよい「伊織ちゃんは『夢だからよ。夢って起きる前までは鮮明に覚えているけれど、起きた後には思い出せないでしょ?』って言ってたけど…」
亜美「さすがやよいっち!」
真美「フォローの達人だね!」
やよい「私は、あの映画を見て…ちょっと悲しくなっちゃったかも…」
亜美「へ?」
真美「なんで?」
やよい「だって…だって、あんなに大切なことなのに忘れちゃうんだよ?あれだけ大切に思ってたことなのに、あれだけ大切に想ってた人なのに…忘れちゃうんだよ?」
亜美「いや、それはいおりんの言う通り夢だからで…」
やよい「…亜美はさ、今までの楽しかったこと、全部覚えてる?」
亜美「えっ?そりゃ覚えてるよ?」
やよい「本当に?何もかも正確に?」
亜美「えっ?いや…それは…」
やよい「因みに先週は何が楽しかったの?」
亜美「せ、先週は、りっちゃんが久しぶりに遊んでくれて…真美と3人でゲームを…あれ?何のゲームで遊んだっけ?」
真美「真美も思い出せない…」
亜美「な、なんで?あんなに楽しかったのに…亜美たち…」
真美「忘れちゃったの…?」
やよい「私もね、みんなと毎日楽しく過ごしてるのは覚えてるよ?でも…でもそれを、一年後…いや、五年後、十年後、覚えていられるのかな?」
亜美真美「「…」」
やよい「今は確かに楽しいよ?でも、五年後、十年後には…状況も変わって、それよりも楽しいこととか…それよりも大切なことができて…いつか、今楽しかったことを…忘れて…」
亜美「うわぁぁぁぁぁぁぁあん!?」ダッ
真美「あっ!?ま、待ってよぉ!」ダッ
やよい「ちょ、亜美!?真美!?」
亜美「うわぁぁぁぁぁぁぁあん!?」
真美「待ってよぉ!待ってったらぁ!」
亜美「はぁ…はぁ…はぁ…」
真美「はぁ…はぁ…あ、亜美ぃ…」
亜美「うぅぅ…嫌だよぉ…嫌だよぉ…忘れたくないよぉ…」
真美「だ、大丈夫だよ亜美。やよいっちだってちょっちセンチメンタルになっちゃっただけで…」
亜美「ねぇ、真美ぃ…亜美たちいつか、はるるんたちのことも分からなくなっちゃうのかな…?」
真美「そ、それは…」
亜美「こんなに楽しかったのに…今までこんなに楽しかったのに…キラキラしてたのに…それも忘れちゃう日が来るのかな?」
真美「…」
亜美「ねぇ、真美。亜美たちってさ、はるるんたちとどうやって出会ったっけ?」
真美「え?」
亜美「亜美さ…覚えてないんだ…やよいっちに言われて考えてみたら…覚えてないんだ…最初はどんなだったのか…」
真美「…」
亜美「あんなに素敵な人たちとの出会いを覚えてないなんて…亜美は…」
P「人は忘れることで生きていける…らしいぞ?」
亜美真美「「兄ちゃん!?」」
P「もう最初に誰が言ったかもわからないほど古い、ありきたりなセリフだけどな…やよいが心配してたぞ?」
亜美「あぅぅ…」
真美「兄ちゃん…ごめんなさい…」
P「やよいも謝ってたよ…話もだいたいは聞いた…なぁ、亜美?」
亜美「なに?兄ちゃん?」
P「お前たち…それに美希もか…3人はあの映画に違和感があったんだよな?」
真美「うん、そうだよ」
P「それはな、お前たちが後悔なく今を生きている証拠なんだ」
亜美「後悔なく?」
真美「今を?」
P「人間、誰しも歳をとればとるほど『あの時ああしていれば…』とか『これさえしていれば…』って思いがある。だからそれを忘れることの大切さを知っている」
亜美「忘れることの…」
真美「大切さ…」
P「でもお前たちにはそれがない。だからこそ、楽しい思い出を忘れてしまうデメリットばかりに目がいってしまうんだ。それはお前たちが真剣に今を走り抜けている証拠だ。誰しもにできることじゃない、素晴らしいことだ」
真美「そんなこと言われても…」
亜美「わかんないよ…」
P「うーん、まぁそうだろうな…この感情は色々…楽しいことも嫌なこともひっくるめて色々忘れちまった大人にしかわからん感情だ」
真美「忘れることが大人になるってことなの?」
亜美「だったら亜美はずっと子供でいい!ずっと…ずっとみんなのことが大好きな今のままでいたい!」
真美「亜美…」
P「それは無理だ、人は誰しも大人になり、そして忘れていく」
亜美「そんな…」
P「でもそれは今を超えるためだ、今よりも楽しい未来をつくるためなんだよ」
亜美「でも…でも亜美は…」
真美「4月7日!」
亜美「へ?」
真美「三年前の4月7日!真美たちがはるるんと出会った日!真美たちが応接室で待ってたらはるるんがどんがらしながら入ってきた!」
亜美「真美…」
真美「亜美が忘れちゃっても…真美が覚えてる!だから…だから過去は…今までが無かったことになんてならない!」
亜美「真美ぃ…」グスッ
真美「だから…だから真美が忘れそうになったら亜美が教えてよね!」
亜美「真美ぃぃぃぃい!」ダキッ
真美「うわぁ!?」
亜美「真美ぃ…真美ぃ…」
真美「もう、泣き虫の甘えん坊なんだからぁ…」
亜美「あ、亜美…ひっぐ…バカだから…いっしょに忘れてるかも…」
真美「いや、そこは覚えといてよ!?カンドー的な雰囲気が台無しじゃん!?」
春香「だったら私たちが教えてあげるよ」
真美「はるるん!?」
真「僕たちと会ったのは次の日…だったよね?」
雪歩「うふふ、合ってるよ、真ちゃん」
亜美「まこちん!?ゆきぴょん!?」
伊織「全く、水臭いのよあんたらは」
やよい「亜美、真美、ごめんね?」
真美「いおりん!?やよいっち!?」
律子「そもそもあんたたちは基礎的な記憶力に問題があるのよ…先週やったのはストリートバトル2でしょうが!」
千早「…怒るところはそこなの?」
亜美「りっちゃん!?千早お姉ちゃん!?」
美希「2人ともらしくないって思うな!忘れるのが嫌なら忘れられない今にすればいいの!」
あずさ「うふふ、美希ちゃんらしいわぁ~」
真美「ミキミキ…あずさお姉ちゃん…」
響「それならいくらでも協力するさー、自分完璧だからな!」
貴音「一人ではできなくとも、仲間とならばできると…いっしょに歌っていたではありませんか?」
亜美「うん…そうだね、ひびきん、お姫ちん…」
P「じゃあみんな、この調子で『あんな青春を送りたかったぁぁぁあ!?』って落ち込んでる小鳥さんを励ましにいくぞ!」
伊織「あいつはまたどんなことで落ち込んでんのよ!?」
美希「実に小鳥らしいの…」
ワイワイガヤガヤ
亜美「…ねぇ、真美」
真美「どうしたの亜美?」
亜美「亜美はすんごく無駄なこと考えてたっぽいよ?」
真美「…うん、そうみたいだね」
亜美「こんなに、優しくって、一緒にいて楽しい人たちの名前を…忘れるわけないもんね」
真美「みんなキャラ濃いもんね…」
亜美真美「「…」」
亜美「…ぷっ…」
亜美真美「「あはははははは!」」
終わり
千早「あれ?そういえば…」
あずさ「プロデューサーさんの…」
響「名前って…」
全員「えっ?」
本当に終わり
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