「亜美のグルメ」 (24)
都内某所。
亜美「あ~~~~~~!! お腹すいたYO~~~!!」
携帯を入れたカバンをにーちゃんに渡したのは失敗だった。
お財布はあるけど、これじゃにーちゃんにも真美にも連絡できないよ。
亜美「別現場に行くのに亜美のカバンも持ってっちゃうなんて、にーちゃんも抜けてるよね」
律っちゃんがお休みで代わりに来てくれたのはありがたいんだけどね。
ホントなら終わったら真美と一緒にごはん行こうと思ってたんだけど、これじゃどうにもならない。
でもお腹は空いた。
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亜美「う~ん、真美には悪いけど。ここは亜美一人でごはんに行っちゃおう」
そうと決めたらお店を探そう。
繁華街だし、お店はいくらでもあるよね。
問題は亜美が何を食べたいかって事。
亜美は今何腹なんだろう。
ぷらぷらと街中を歩いていると、お肉の焼ける美味しそうな匂いが漂ってきた。
その匂いに、さっきから鳴りっぱなしのお腹が、余計に空腹を主張してきたので、匂いのする方に行ってみると、洋食屋さんがひっそりと店を構えている。
時間的には夕食どきだけど、店内を覗いてみたらあんまりお客さんは入っていなかった。
案外こういう所のお店が当たりだったりするんだよねぃ。
と、言うわけで今日はこの洋食屋さんに入ることに決めた。
扉を開けると、ドアの上につけてある鐘がからんからんと小気味良い音を奏でて入店を知らせている。
その音に反応して、店員さんが入り口までやって来た。
店員「いらっしゃいませ、一名様でよろしいでしょうか」
亜美「はーい」
店員「それではご案内いたします」
シンプルだけど、可愛い制服に身を包んだ店員さんの後ろに着いて、席に案内された。
二人がけの席だ。
椅子を引いてそこへ腰掛ける、対面の席に荷物を置いて、メニューを眺めながら何を食べるか絞り込んでいく。
店員「お水失礼いたします」
お盆に乗せたグラスを亜美の前に置いてくれた。
仕事終わりでそこそこ喉が渇いてたから、早速一口だけ流し込む。
冷たい水が喉を潤してくれた。
店員「本日はこちらのメニューがおすすめになっております」
そう言って店員さんが指差したメニューは、オムライスのセットだった。
美味しそう。
亜美「うむむ……」
悩んでいる間に店員さんはテーブルから離れていった。
写真のオムライスは美味しそうだけど、ここに誘わてきたのはお肉が焼ける匂いだから、亜美としてはお肉が食べたい!
店員さんには悪いけど、亜美は別のメニューにするよ!
メニューをめくり、肉料理のページに進める。
ステーキだったりシチューだったり、美味しそうな肉料理の写真がずらり。
亜美「う~ん、どれも美味しそうだな~」
ステーキとかは結構良いお値段しちゃうから除外するとして、今日は気分的にガッツリお肉! って感じの気分だから……。
亜美「よし、決めた! すいませーん!」
メニューが決まり、すぐに注文するべく店員さんに声をかける。
店員「ご注文お決まりでしょうか」
心に決めたメニューを、はっきりと目を見て伝える。
亜美「ハンバーグセットの200グラムで!」
店員「200グラムのハンバーグセットですね。かしこまりました」
注文を受け、それを伝えるために厨房へ入っていく店員さんを見送と、手持ち無沙汰になっちゃった。
仕方なくメニューをぱらぱらとめくってみる。
どのメニューも美味しそうだなぁ。
店内に目をやると、相変わらずお客さんはまばらで、とても繁盛しているようには見えない。
とはいえ、お店自体そんなに大きくないのでこんなものなのかもしれない。
そんなことを考えながら、メニューを見たり、店内を見たりを繰り返していると
店員「お待たせしました。200グラムのハンバーグセットでございます。鉄板お熱いのでお気をつけください」
ジュージューとお肉の焼ける音をさせながら、ハンバーグが2つ乗った鉄板が運ばれてきた。
店員「ソースをかけますので紙ナフキンをテーブルに広げて、手前半分をテーブルから垂らすようにしいてください」
テーブルに備え付けられた、折りたたまれた紙ナフキンを広げ、言われた通りにテーブルの上に敷く。
その上に、ハンバーグの鉄板が置かれた。
この音と匂いが、よりお腹を空かせるねぃ。
店員「ソースが跳ねますので、垂らしたナフキンを持ち上げてください」
なるほど、と思った。
半分だけテーブルから垂らしたナフキンを持ち上げる事で、こっちに跳ねる油とかソースが服にかからない仕組みになってるんだね。
亜美「おぉ~」
ソースをかけた瞬間、じゅわっという音と湯気、さらにはソースが焼ける匂いが一気に襲ってきて、空腹がそろそろ限界を迎えてきた。
ライスを置くと店員さんは、ごゆっくりと言ってテーブルから離れていく。
両手を合わせて。
亜美「いっただっきま~す!」
鉄板の上には2つのハンバーグ。
大きさはそんなに大きくない。
200グラムのセットだから、一個が100グラムくらいなのかな?
片方はシンプルなハンバーグで、もう片方にはチーズが乗っている。
右手にナイフを、左手にフォークを持って、早速お肉を切ろう。
持ち方、合ってるよね?
最初にシンプルなハンバーグの方を一口分切り取り、切ったお肉をフォークで口に運ぶ。
亜美「あ~んっ。むぐっあぐっ……んっ!」
思わず目を見開いてしまった。
めっちょ美味しい。
いかにも肉っていう肉なんだけど、柔らかくて、かつジューシー。
そこにデミグラスソースの深い味わい、っていうのかな? それが合わさって、何か口の中が凄いことになってるYO!
亜美「じゃあ次はチーズの方、っと」
オレンジがかった黄色いチーズの乗ったハンバーグを、一口大に切り取って、同じように口に運ぶ。
亜美「は~むっ。んむっ、あむっ……ん、ん~~~!」
チーズがめ~っちょ濃厚!
何チーズか亜美にはよく分かんないけど、お口の中で、肉! チーズ! 肉! チーズ! ってそれぞれがアピールしてくる。
だけどそれがぶつかり合わないで一つになってるんだよね。
多分デミグラスソースがその橋渡しになってるんじゃないかな。
亜美「なんか竜宮小町みたいだ」
チーズのハンバーグは亜美といおりんとあずさお姉ちゃんで、律っちゃんがデミグラスソース。
4人が揃って初めて竜宮小町だもんね。
亜美「はむっ……あむっ……んくっ……ぷぁ。んっふっふ~、ごはんとの相性もバッチリですな~」
ソースのかかったハンバーグを受け入れるごはんはファンのにーちゃんねーちゃん達かな?
さてさて、美味しいお肉は一旦お休みして、付け合せの方に箸、もといフォークを向けよう。
ハンバーグの定番お供、ミックスベジタブルと、まるまる一個の蒸かしたじゃがいも。
まずはミックスベジタブルから。
亜美「フォークだとすくうのが難しいんだよねぇ……んしょっと。はむっ」
柔らかくなったニンジンとグリンピース、そこにコーンのプチプチとした食感が交じり合っている。
なんかあずさお姉ちゃんとお姫ちんに翻弄されるひびきんみたいな、そんな感じだ。
ニンジンの甘さとやわっこさがあずさお姉ちゃんで、グリンピースのよく分かんない味とやわっこさがお姫ちん。
ひびきんは何か、やわっこそうだけど弾けてるもんね。
ミックスベジタブルをペロリと平らげて、次はじゃがいも。
小さめのじゃがいもが、皮付きでまるまる一個ドンと乗っている。
真ん中に切れ込みが入っていて、そこへ塩とコショウを軽く振りかけてからナイフで一口大に切る。
亜美「はぐっ……はむっ……んぐんぐ……ん~、ほっくほくだYO~」
蒸かして、塩コショウしただけのじゃがいもがこんなに美味しいなんて。
シンプルだからこそ、美味しさがストレートに伝わってくるよね!
亜美「はむっ……あむっ……このシンプルさ……んぐっ……まるではるるんみたいだ」
じゃがいもも片付けて、さぁ、残るはハンバーグのみ。
鉄板のおかげでハンバーグは冷めておらず、最初とほぼ変わらない熱さを保っていた。
亜美「ん~~~~、ほいひい~」
肉、ごはん、肉、ごはんと順番に口へ運び、どんどん鉄板の上のハンバーグが小さくなっていく。
食べ終わってしまうのは残念だけど、お腹が膨れていく幸福感の方が大きい。
なんて考えていたら気づけばあと一口になっていた。
亜美「あぐっ……はぐっ……んっく……ふぁ~、ごちそうさまでした!」
ナイフとフォークを鉄板の上に置く。
食べたら暑くなったので、お水を飲んで一段落。
お腹も膨れて大満足!
さてさて、一息ついたらお金を払って帰ろうっと。
レジへ向かって伝票を店員さんに渡す。
店員「お会計1054円になります」
結構お安いよね。
美味しくてお腹いっぱい食べてこのお値段はかなり良いお店だと思う。
亜美「じゃあ1100円で」
店員「46円のお返しです」
亜美「どもども、めーっちょ美味しかったよん!」
店員「ありがとうございます!」
入ってきた時のように、ドアベルをからんからん鳴らしてお店の外へ出る。
暑くなった身体に、風がすごく心地いい。
さて、帰ろう。
亜美「と思ったけどカバンにーちゃんが持ってるから事務所寄らなきゃじゃん!」
にーちゃんめ!
帰ったらいたずらしてやるかんね!
おしまい
終わりです。
ハンバーグを食べたから書きました。
少しでもお腹を空かせられたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。
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