穂乃果「さすが花陽ちゃん」 (33)
穂乃果「さすが凛ちゃん」
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とある日
穂乃果「う~ん、なんか穂乃果は毎回じゃんけんで負けてるような気がする」
花陽「そうかな?」
穂乃果「うん。負けてる。買い出しのじゃんけんの負けてる回数では穂乃果に勝てる人はμ'sにはいないと思うよ」
花陽「えっと…にこちゃんとかの方が負けてるイメージがあるけどな」
穂乃果「にこちゃんはイメージだけだよ。実際は穂乃果の方が買い出しに行ってるって」
花陽「そうかなぁ」
穂乃果「そうだよ」
穂乃果「…あっ、あの制服…うちの制服だよね?」
花陽「橋の上から下を覗いてどうしたんだろう?」
穂乃果「…まさか」
花陽「まさか…だよね?」
穂乃果「うん…そんなね…昼間っから」
花陽「時間とかは関係ないよ」
穂乃果「そうだよね?」
花陽「…様子がへんだよね?」
穂乃果「…」
花陽「…」
穂乃果「ちょっとォォォォォォォ!」
花陽「ダレカタスケテェェェェ」
女子「え?」
穂乃果「ま、まだ死ぬには早いよ。生きてれば良いことあるって」
女「な、何?」
花陽「だ、大丈夫ですか?…あ、あなたは」
穂乃果「花陽ちゃん知ってるの?」
花陽「うん。野球部の3年生の方ですよね?」
女子「…うん。そうだけど」
~
女子「それで?私が自殺しそうに見えたと?」
穂乃果「…はい。お騒がせしました」
花陽「すいません」
女子「自殺なんてしないよ。そんな事は…」
穂乃果「でも、何かあったんですか?」
女子「…何で?」
穂乃果「何か…思い詰めてるように見えたので」
女子「…ちょっとね」
花陽「…悩み事とか?」
女子「普通、初対面の相手にそんな事は聞かないよ?聞かれたくない人だっているかもしれないし中には怒る人だっているかも知れないよ?」
穂乃果「そ、そうですよね…軽率ですよね?すいません」
花陽「あっ…え、えっと」
女子「でも、君達は優しいね。私は…私はそういう人好きだな。せっかくだから話、聞いてくれる?」
穂乃果「は、はい」
女子「私ね、小さな頃からずっと野球をやってたの」
穂乃果「はい」
花陽「…」
女子「近所の少年野球でね。ピッチャーだったんだ。幼なじみの子ともポジション争いでよく競いあったんだよね」
花陽「…はい」
女子「中学に入っても野球は続けたくて野球部に入部したの。でもさ、学年が続くにつれて幼なじみとも他の男子部員とも差が開いていくんだよね」
穂乃果「…」
女子「それでも、野球は辞めたくなくて進路も女子野球部がある音ノ木坂に入ったの」
花陽「よく…グラウンドで投げてますよね?」
女子「うん。頑張ったわ。自分でもよく頑張ったと思う。でもね、ダメだった。地区予選も勝ち上がれなかった。うちってもともと音楽とか…文系の学校だしね…それだけじゃないんだけどさ」
女子「小学校の頃ポジション争いした幼なじみの試合を見に行ったの。愕然としたわ。私とは違う…遠い存在になっちゃったんだなって。それでも、甲子園じゃ一回戦でボロ負け。上には上がいるんだなって言ってたよ。もう、野球は辞めるって」
花陽「…そんな」
女子「ずっと憧れてた甲子園に、私がどんなに頑張っても行けなかった甲子園に行ったくせに諦めるんだって…」
穂乃果「…」
女子「それじゃあ…どんなに頑張ったってどんなに憧れたって無駄だって言われたみたいじゃない」
穂乃果「そんな事は」
女子「そんな事はない?地区予選も勝ち上がれなくて男と女差を見せつけられて憧れにもてが届かなくて…」
花陽「私は…私は小さな頃からアイドルが好きでした」
穂乃果「花陽ちゃん?」
女子「…知ってる。あなた達、スクールアイドルでしょ?うちじゃ有名だもの」
花陽「最初はただ見てるだけでした。だって私は人見知りだし声も小さいし運動が得意な訳でもないし背も小さいし少し…ポッチャリしてるし。とてもアイドルに向いてるとは思えなかったから」
女子「…でも」
花陽「私の親友が言ってくれたんです。ずっと憧れていたんでしょ?ならやるべきだって」
穂乃果「…花陽ちゃん」
花陽「もし、あの時に親友が背中を押してくれなかったら向いてないと最初から努力する事もなく憧れているだけだったと思います」
女子「…」
花陽「私は野球の事は全然分からないし…だから、私にこんな事を言われたらきっと不愉快かもしれません。だけど、頑張って来た事が無駄だったなんて言わないで下さい」
女子「…ふふっ」
花陽「え?」
女子「ねえ?自分から話しといてこんな事を聞くのは変だけど…どうして初めて話した様な人間の為にそんなに必死なの?」
花陽「…アイドルは人を笑顔にさせるのが仕事だって私の尊敬する先輩…μ'sは先輩禁止なんですけど…尊敬する人が言ってたんです。私は…アイドルだから」
女子「そう」
花陽「はい」
女子「決めた!」
花陽「え?」
女子「やっぱり、大学に行っても野球やろ!」
花陽「本当に?」
女子「うん。ずっと悩んでたの。でも、あなたのお陰で吹っ切れたわ」
花陽「はい」
女子「女子のプロ野球リーグもあるしね。上には上がいるかもだけど最初から諦めてしまったら可能性は0だものね」
花陽「はい!」
女子「それに、日本のプロ野球も女はダメなんて規定もないし」
花陽「そうなんですか?」
女子「うん」
女子「ありがとう!あなた達に相談して良かったわ」
穂乃果「いえ…私は何も…お礼は花陽ちゃんに」
女子「あなたがμ'sを作ったんでしょ、生徒会長さん?」
穂乃果「あ、私の事も知ってたんですか?」
女子「ふふ、当たり前でしょ」
穂乃果「そうですねぇ、ハハ」
女子「それじゃあ、あなた達も頑張ってね、ラブライブ。私がプロに行ったら入場曲はμ'sの曲にしたいから」
花陽「はい!」
穂乃果「頑張ります」
女子「じゃあね~」
~
穂乃果「花陽ちゃん、珍しく熱く語ってたね?」
花陽「うん…そうだね」
穂乃果「やっぱり、花陽ちゃんはアイドルに向いてないなんて事はないよ。穂乃果の目に狂いはなかったね。…さすがだよ」
とある日の休日
ピンポーン
花陽「はーい」
凛「かよちん!遊びに来たよ!」
花陽「凛ちゃん…急だね。いつもの事だけど」
希「ウチもいるよ」
花陽「あ、希ちゃんも」
凛「かよちん、遊ぼうよ」
花陽「今ね、にこちゃんから借りたDVD見てるんだけどもし良かったら一緒に見る?今、話題のアイドルのライブのDVDなんだけど」
希「じゃあ、一緒に見よっか?」
凛「うん。そうするよ」
1時間後
花陽「でね、このアイドルの凄い所はね」
希「このDVDこないだにこっちの家で見たやつやん」
凛「まさか、1週間後にまた見るとは思わなかったね」
希「…うん」
ピンポーン
花陽「誰だろう?」
凛「お客さん?」
花陽「うん…今、お母さん居ないから私が行かなきゃいけないからちょっと待ってて?」
凛「うん」
希「了解」
ガチャ
セールスマン「こんにちは」
花陽「あ、どうもぉ。こんにちは」
セールスマン「○○の○○と申しますが。お家の方いらっしゃいますか?」
花陽「すいません。今、私しか…」
セールスマン「そうですか?では、あなたにお話を聞いてもらいましょう。お時間大丈夫ですか?」
花陽「あ、はい」
セールスマン「今、お客様の食卓では主食は…」
花陽「白米です」
セールスマン「ですよね?」
花陽「はい」
セールスマン「日本人ですからね。ですけど、今 日本人の殆どがちゃん炊けたご飯を食べれていないのが現状なんです」
花陽「そうなんですか?」
セールスマン「その原因のほとんどが炊飯器にあるんです」
花陽「ええ?」
セールスマン「驚いたでしょう?」ニヤり
花陽「…はい」
セールスマン「そこでですね」
花陽「まさか…日本人のほとんどが美味しい白米を食べれていないなんて…そんな残酷な事が…」
セールスマン「ん?」
花陽「私の家では…私はお米の炊き方に物凄く気をつけているんです」
セールスマン「…えっと」
花陽「まずは計量から、私の家では5日以内に精米したものを1合150gを計測します。次に150gのお米に対して、浸水用の水を195g準備します。水は必ず硬度30度、水温19度にする様気をつけて下さい。ナトリウム量などは変わったりしますけど基準水を使って大差がない環境で炊飯する様にしています」
セールスマン「あのぉ、」
花陽「そして、計測したお米を炊飯釜の中に入れます。ちなみに家の炊飯器は大火力と高圧力で…」
セールスマン「…あ、炊飯器もこだわっていらっしゃるのですね?」
花陽「はい…あ、もしかして炊飯器の紹介に…す、すいません。つい、調子に」
セールスマン「い、いえ。あ、でも、お米の炊き方にこだわっていらっしゃるならお水の方もこだわった方が」
花陽「もちろん、お水もこだわっています。南アルプスの…」
セールスマン「ですよねぇ」
花陽「あ、また。ごめんなさい」
セールスマン「…えっと」
花陽「…ご、ごめんなさい」
凛「かよちーん。電話が鳴ってるよ~」
希「凛ちゃん。お客さんが来てるんだからあんまり…あっ」
セールスマン「…ああ!」
凛「…あ、こないだにこちゃん家に来た人だ」
希「本当だ」
セールスマン「はは」
花陽「え?凛ちゃん?え?知ってるの?」
凛「こないだ、にこちゃん家に行った時に来たの」
セールスマン「お、お友達?」
花陽「はい」
セールスマン「どおりで」
花陽「へ?」
セールスマン「あ~、えっと、大丈夫そうなんでこれで」
花陽「え、はい」
セールスマン「…では」
花陽「えっと、ご苦労様です」
…
希「…花陽ちゃん?」
花陽「なんか悪い事しちゃったみたい」
希「何したの?」
花陽「炊飯器を売りに来たみたいなんだけど…白米の炊き方について熱く語っちゃって」
希「…なるほど」
凛「かよちんはアイドルと白米が大好きだからね」
希「それに加えて凛ちゃんが登場したから…」
花陽「へ?」
凛「ん?」
希「ぷっ…くくっ…アハハハハ」
花陽「何がおかしいの?」
希「いや、フフ、な、なんでも…ヒィ、お腹痛い。いやぁ~、君達は最強コンビやね。さすが。アハハハハハ」
とある日の教室
花陽「あ~、教室に忘れ物しちゃったよぉ」
同級生A「でさ、西木野さんがね」
同級生B「へえ」
同級生C「さっすが才女って感じぃ~」
花陽「…誰か教室にいる?というか真姫ちゃんの話をしてる」
同級生A「あの時は声かけたらさぁ、イミワンナイって言われちゃってさ」
同級生B「そうなの?」
同級生A「あの時、冷たい人だなって思ったよ」
同級生C「そうだよねぇ」
同級生A「さすが、出来る女は違うな~みたいな?」
アハハ
ガララ
同級生A「あら?」
花陽「あ、ちょっと忘れ物を」
同級生B「これから、部活?」
同級生C「あ、スクールアイドルの?」
花陽「う、うん」
同級生A「へぇ、頑張ってね」
花陽「あ、ありがとう。じゃあ」
同級生A「また明日~」
同級生B「バイバ~イ」
同級生C「さよなら~」
花陽「…」ダッダッダッ
ピタッ
花陽「あ、あの」
同級生A「何?」
花陽「真姫ちゃんは3人が思ってるような人じゃないよ?」
同級生B「え?」
花陽「真姫ちゃんは冷たい人なんかじゃないよ?」
同級生A「…」
同級生B「…それは」
花陽「真姫ちゃんは確かにクールで冷静だから冷たく見えるかも知れないけど物凄く友達思いで優しいんだよ」
同級生C「あのね」
同級生A「しっ」
同級生C「え?」
同級生A「どうして?わかるの?」
花陽「分かるよ。この半年間ずっと一緒に居たんだから」
同級生A「でもねぇ」
同級生B「ちょっと?」
同級生C「どうしたのよ」
花陽「何も知らないでしょ?」
同級生A「何が?」
花陽「真姫ちゃんの事」
同級生B「え?」ビクッ
同級生C「小泉さん。そんなに大きな声が」
同級生A「…何も知らないわ」
花陽「何も知らないならそんな事言わないで」
同級生A「…」
花陽「真姫ちゃん、言ってくれたの。私や凛ちゃんの事が大切だって。いつしか自分に欠かせない宝物になってたって。普段クールな真姫ちゃんが…」
同級生B「そうなの」
花陽「私が悩んでいるんだったら一緒に悩んでくれるって。一緒に泣いて一緒に笑って私が間違えたら叱るから自分の事も叱って欲しいって」
同級生A「…」
花陽「私がμ'sに入ったのだって真姫ちゃんと凛ちゃんが背中を押してくれたから何だよ?そんな真姫ちゃんが冷たい人間な訳ないの」
同級生A「知ってる」
花陽「え?」
同級生A「ごめんなさい。ちょっと意地悪しちゃった」
花陽「?」
同級生B「そうだったの」
同級生C「何かおかしいと思ったんだよね」
花陽「一体どういう事?」
同級生A「別に西木野さんの悪口を言ってた訳じゃないの」
花陽「ええ?」
同級生B「最近まで西木野さんの事を勘違いしてたな~ってさ」
同級生C「ね!ただ、ちょっと不器用なだけなんだって話してたの」
同級生A「そう言うことなの」
同級生B「最初は確かに冷たい人だなって思ったけどね」
花陽「じゃあ、私の勘違い…ごめんなさい」
同級生A「ううん。私の方こそ意地悪な事してごめんなさい。ちょっと意外だったから。小泉さんの事も勘違いしてたみたい」
同級生B「ちょっと、羨ましかったなぁ」
同級生C「ね。小泉さんも友達思いで優しい人なんだね。普段はあんなに声がちっちゃいのに」
花陽「うう。それは…」
同級生A「…これから部活何でしょ?」
花陽「う、うん」
同級生A「頑張ってね」
同級生B「応援してるから」
同級生C「ラブライブ、勝てると良いね!」
花陽「うん。ありがとう!」
花陽「それじゃあ」
ガララ
凛「…」
花陽「あ、凛ちゃん」
凛「ごめんね。途中から聞いちゃった」
花陽「えぇ…」
凛「さっきまで真姫ちゃんもいたんだけど…顔を真っ赤にして部室に走っていっちゃったよ。廊下は走っちゃダメなのにね?」
花陽「うん。ダメだね」
凛「これはお説教した方が良いのかな?」
花陽「…そうだね」
凛「きっと今頃部室で隠れてニヤニヤしてるかも」
花陽「う~ん。どうかな?」
凛「真姫ちゃんは意外とむっつりにゃ」
花陽「それは…どうだろ?」
凛「凛、知ってたよ?」
花陽「え?」
凛「かよちんが友達の為に大きな声を出せる事も底抜けに優しい事も…聞いててさすがだなって思ったもん」
花陽「…うん」
完
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