男「さぁって、さっき図書館で借りた小説でも読むか……」
男「……」ペラ…
男「……ん?」
男「なんだこりゃ!?」
男「この推理小説、犯人にマーカー引かれてやがる! ふざけんな!」
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男「――なぁんてな」
男「俺、ミステリー読む時、別に推理しながら読むタイプじゃないし」
男「犯人が分かったところで、さしてショックはないわ」
男「むしろ、刑事コロンボとか古畑任三郎とかを見る感じで楽しめるしな!」
男「半田任男……お前が追い詰められるザマを楽しんでやるぜ!」
~
銀田一が駆けつけると、部屋の中には火涯射太郎の変わり果てた姿があった。
「これは……死んでいる!」
~
男「お、いよいよ事件か。面白くなってきた」
~
半田が唇を噛む。
「必ず犯人を見つけましょう!」
~
男「おいお~い白々しすぎるぜ、半田ァ~!」
~
銀田一の問いに、使用人は声を細めた。
「実は……半田さんはね、火涯さんに恨みがあったんですよ」
「え、本当ですか!?」
~
男「おっ、いよいよ半田も年貢の納め時か!?」
~
「間違いない……犯人は半田さんだ!」
銀田一の目が光った。
~
男「もう真相にたどり着いたか! でもまだ100ページぐらい残ってるけど……?」
~
「この話が本当なら、半田さんにはアリバイが成立する!」
推理が振り出しに戻ってしまい、銀田一が頭を掻きむしる。
~
男「おお、アリバイ工作とは! やるじゃん、半田!」
男「さて、残り20ページぐらいしかないけど……」
男「おおっ、ついに銀田一が半田に天誅を!」
~
銀田一は人差し指を突きつけた。
「犯人はあなただ!」
~
~
「新反認介さん!」
目を白黒させる新反。
~
男「誰!? 誰だよこいつ!?」
男「半田にばかり気を取られてて、他の登場人物なんか全然気にしてなかったわ!」
~
「ありがとうございました、銀田一さん」
「半田さんこそ、お元気で」
銀田一はトレードマークのアフロヘアーを豪快に掻きむしりながら、地平線の彼方に去っていった。
~
男「終わっちゃった……」
男「半田は犯人じゃなかったのか……」
男「ふざけんなァァァァァッ!!!」
< 完 >
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