貴音「うぎゃー!! たいへんだぞ!!」 (29)



P「どうした貴音」

貴音「ち、違うってば! 自分、貴音じゃないぞ!!」

P「あぁ、その口調は」

貴音「そうだよ! 分かるでしょ!?」




P「三浦先輩だな」

貴音「!?」




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貴音「あ、あずささんは自分のしゃべりかたとは、だいぶ違うと思うけど」

P「違うのか。……とすると…………あぁ、わかった。響だろ」

貴音「うそつけ絶対最初から分かってたでしょ!」

P「で、なんで響の口調を真似してるんだ」

貴音「そうじゃなくって、自分は我那覇響!! 本人!!!」

P「??? ????」

貴音「…………自分、気がついたらこの姿で……背も高いし、きれいなウェーブのかかった銀髪だし、お尻はおっきいし、お腹は異常にすくし……」

P「どう見ても貴音だな」

貴音「なんで!? なんで自分、貴音になっちゃったんだ!?」




P「食って寝てばかりいたからだろ」

貴音「!? どういうこと!?」

P「食べてすぐ寝ると貴音になるんだよ」

貴音「そうだったの!? じゃあもしかして……貴音も元々は別の人間で、食って寝てばかりいたから…………うぎゃーーーー!! こわすぎるぞ!!」

P「ん? あれは……」



響「……」テクテク


貴音「!?!?」




貴音「ど、どうして自分が……自分は、ここに、ここにいるのに…………はっ! も、もしかして、貴音!? 貴音なのか!!??」



響「貴音?」




響「自分、我那覇響だぞ」

貴音「」




貴音「えっ……えっ??」

響「どうしたの貴音、へんな顔して」

P「俺は美希を迎えに行くから、留守番頼んだぞ」

響「分かったぞ」

貴音「いやいやいやちょっと待ってよ!!! まっ」



バタム


貴音「…………行っちゃった」




貴音「…………」

響「…………」

貴音「……いったい、誰なんだ」

響「だから、自分は我那覇響だって。よく知ってるでしょ?」

貴音「そりゃよく知ってるさー……我那覇響は…………自分なんだからなぁ!!!」ガシッ

響「うわっ!? なにすんの貴音!!」

貴音「うるさい! 正体を現せこの偽物めぇ!!」ギュム

響「いひゃいいひゃい!!」




響「もう! いきなりなんなんだ今日の貴音は!」

貴音「く…………あくまでそういうつもりなら」


貴音「はいさい!」

響「はいさい!」


貴音「なんくるないさー!」

響「なんくるないさー!」


貴音「サーターアンダギー」

響「さーたぁあんだぎぃ」

貴音「……」

響「……」




貴音「ラーメン」

響「いっぺーまぁさんどー!」


貴音「貴音ェ!!!!」

響「はて」




響「完璧なうちなーぐちだと思うのですが」

貴音「もう隠す気ないな……。で、貴音」

響「ぬー?」

貴音「方言はもういいから。なんで自分たち、入れ替わってるんだ?」

響「何も問題はありませんよ、響」

貴音「いや、自分は入れ替わった理由を聞いてるんだけど」



響「これからはわたくしが、我那覇響として生きていくのですから」

貴音「えっ」




貴音「た、貴音、それっていったい、どういう」

響「どうしたの貴音? 自分、我那覇響だぞ」

貴音「やめろぉ!!」バンッ

響「うぎゃー! どうしたんだよ貴音ぇ!」

貴音「このっ……」




響「ふふ、どうですか響。完璧でしょう? そう……」


響「自分、完璧だからな!」

貴音「……カタカナもうまく言えないくせに」

響「そ、そのようなこと……そんなことないぞー! 自分は完璧!! 完璧さー!」

貴音「違う! 貴音は面妖だ! 面妖でたくさんだ!!」

響「ぬーー!?」

貴音「それやめて」





貴音「ソーキソバ」

響「そぉきそば」


貴音「ゴーヤチャンプルー」

響「ごぉやちゃんぷるー」


貴音「ルートビア」

響「るーとびあ?」



貴音「……」

響「……」



貴音「ハイファイ・デイズ」

響「はいさい・でいず」


貴音「ニュージェネレーションズ」

響「ぬーじぇねれーしょんず」




貴音「やめて」

響「はい」




貴音「あのさぁ貴音」

響「ぬー?」

貴音「…………だから、それやめてって」

響「なんだ? わじわじ? わじってるのか? ぬーわじってるんだ?」

貴音「それだよ! そのわざとらしいウチナーグチにわじってるの!! だいたい自分そんなに方言ばっかりじゃないでしょ!」

響「これからは方言あいどるとしての側面をもう少し押して行こうかと」

貴音「勝手なことしないで」




貴音「自分に成り替わろうとかしないでよ。はやくもどして」

響「もどす?」

貴音「だからぁっ……入れ替わっちゃってる貴音と自分の体を、元にもどしてよ!!」

響「なぜ戻す必要などあるのですか」

貴音「……へ?」


響「響はわたくしのもの。わたくしは響のもの。……ならば互いに互いの肉体を所持するこの状態こそが、究極的な愛のかたちとは言えませんか?」

貴音「」

響「わたくしは、響……あなたの全てが欲しいのです。あなたの全てが知りたいのです。だから……」


響「わたくしは、我那覇響となります」

貴音「」




響「では、わたくしはそろそろ仕事に……いえ、」


響「じゃあお仕事行ってくるぞ! 今日も一日、なんくるないさー!」

貴音「いかせるかぁ!!」ガシッ

響「うわっ! あ、あぶないって!」


ガチャッ

美希「ただいまー……あふぅ」

響「あ、はいさーい! 美希。自分、我那覇響だぞ」グググ

貴音「外堀から埋めようとするのはやめろォ!!」グググ

美希「……なにしてるの? 二人共」

響「ぐ、くそ……なんて力……」ググ

貴音「今の自分は貴音なんだ! 単純な力比べなら負けはないぞ!」ググ

響「しかし、武術の心得のない腕力など!」グイイッ

貴音「うおわぁああっ!??」

美希「えっ!?」



ドンガラガッシャーン





P「お、おい大丈夫か!? なんかすごい音が……」



響「い、いてて…………あ、れ」


響「戻ってる!! 自分、我那覇響だぞ!! はいさーい! やったやったぁ!」



美希「なんと……体を奪い返されてしまいましたか……さすがは響ですね」

響「……」

美希「……」

響「えー、と」

美希「みきなの」

響「うそつけぇ!!」




響「と、いうことは…………貴音の体には」



貴音「……」

響「…………み、美希?」





貴音「ぢゅい?」

響「」




ハム蔵「ナノ! ナノ! ナンナノナノ!?」

響「美希ぃいいいいいいいい!!!!」

貴音「ぢゅいぢゅい!」

美希「面妖な……」




P「……」


P「これもうわかんねぇな」


P「おまえどう?」

貴音「ぢゅい」









おわり。





前回


千早「ハニー!! たいへんなの!!」



ではまた。

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