赤城「提督って…美味しそうですよね」ジュル メタルスライム「」 (30)


初めに:メタルスライムが鎮守府に現れました、これより艦隊の指揮を執ります。













ボクはメタルスライム、海で友達のしびれくらげ君と遊んでた筈なのに気付いたら…

暁「ねぇねぇ!この子って何なのかしら!?結構重いんだけど…」ジーッ

響「鉄みたいなのに柔らかい…ハラショー」ツンツン

雷「でも抱えられなくは無いわよね、連れて帰りましょ!」ダキッ

電「お顔も何だか可愛いのです!」ニヘー

小さな女の子達に捕まってました。どうしよう…

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~鎮守府~

暁「第六駆逐隊、ただいま帰艦したわ!」扉ガチャ

大淀「お疲れ様です皆さん、何時も遠征ばっかり任せてしまって申し訳ありません」

雷「心配しなくても大丈夫よ!雷は大丈夫なんだから!」

響「遠征だって立派な任務さ」

電「そ、そうなのです!それにこうして頑張っていれば…きっと何時か…此処にも司令官さんが着任してくれる筈なのです!」

大淀「………ええ、そう…ですよね」

雷「あっ…そうそう!それよりもこの子!この子うちで飼っても良い!?」ズイッ

メタルスライム「…………」ガタガタガタガタガタッ

大淀「こ、これは…鉄の塊…?じゃ、ないですよね…動いてますし…」ジィィ

メタルスライム「…………」ブルブルブルブルブルッ

雷「どう?すっごく可愛いでしょ!?」

電「なのです!」

暁「暁たちが遠征で見つけたのよ!」

響「鋼材を入手出来る洞窟内の、岩の間に挟まってたんだ」

第六「「「「ねぇ大淀さん!飼っても良い(でしょ)(ですか)(かな)っ?」」」」

大淀「う、うぅ…流石にこんな得体の知れない物を鎮守府に置くのは…」

メタルスライム「…………ボク、悪いメタルスライムじゃないよ」ポソッ

大淀「!?」

暁「ぴゃっ!?」

響「ハラショー」

雷「えぇっ!?」

電「はわわっ!?」


「「「しゃ、喋ったああああああああああああああああっ!?」」」


暁「あ、あなた…喋れたのっ!?」

響「君は一体何者なんだい?可愛い蛞蝓とかかな?」

雷「響ったら失礼よ!タマネギに決まってるじゃない!」

電「い、雷ちゃんも失礼なのですっ!と、兎に角お話してみるのです!」

メタルスライム「ぴ、ピキー…」

大淀「」

暁「大淀さんは放心しちゃってて反応が無さそうね…」

響「仕方ないよ、誰でもびっくりする」

雷「それで…あなたは、タマネギさんなの?」

響「違う、蛞蝓だよ」

暁「何でどっちかの二択なのよ」

メタルスライム「ぼ、ボクは…モンスター…」

電「もんすたー?」

暁「モンスターって…ゲームとかに出て来るあのモンスターかしら?」

メタルスライム「げーむ…って言うのは、知らないけど…ボクはスライム族の…モンスター」

響「スライム、か…。蛞蝓じゃなかったんだね…」シュン

暁「なんでそんなに残念そうなのよ」

雷「じゃあ…あなたの名前はスライムちゃん?」

メタルスライム「ううん、ボクは…メタルスライム。金属を沢山食べて固くなったスライムだよ」

電「金属を食べられるなんて…何だか電達と少し似てるのです!」


響「メタルスライム、良い響きだな…嫌いじゃない」

暁「でもちょっと長すぎない?それにそれって種族名みたいなものでしょ?」

電「暁ちゃん、ゲームいっぱいしてるだけあって詳しいのです!」

暁「な、何よー!一人前のレディーだってゲーム位するんだから!」

雷「あなた、他にも名前があったりする?」

メタルスライム「ピキー…メタルスライムってしか…呼ばれた事無いよ」

響「こんにゃく」手サッ

雷「じゃあゼリーくんね!」手ババッ

電「プルルちゃんなのです!」手ピシッ

暁「な、何よあんた達…いきなり」

響「この子の名前さ」

雷「絶対ゼリーくんよ!こんなに可愛いんだから!」

電「み、見た目はプルプルしてるのです…」

暁「とりあえず響のは論外として…あんた達、意思の通じる相手に勝手に名前付けるなんてレディー失格でしょ!!」

「「「!!!」」」

雷(あ、暁が珍しくお姉ちゃんっぽく正論だわ…!レディー関係ないけど!)

響(甲を…いや、功を焦っては仕損じる…。成る程、ハラショーだね…でもレディーは関係ない)

電(はわわわ…暁ちゃんの言う通りなのです…電は自分の名前を気に入って貰う事しか考えてなかったのです…でもレディーは関係ないのです…)

暁「全く…あなたも変な名前を付けられる前に自分で考えないとダメなんだからね!」

メタルスライム「ぼ、ボクの名前…?」

暁「そうよ!何か名乗りたい名前とか無いの…?種族名じゃなくて…あなただけの名前よ?」

メタルスライム「ボク…そんな事考えた事も無かった…。考えようとも思わなかったから…」

暁「そ…そうなの…」

メタルスライム「うんとね…だから、君に決めて欲しいな」

暁「えっ!?わ、わた…私!?」

雷「えー!そんなのずるいわよー!」

電「雷ちゃん、今回は仕方ないのです…ちゃんとあの子の身になって考えてた暁ちゃんが選ばれて当然なのです」

響「スパスィーバ」

暁「じゃあ…えーっと…えーっとぉ…うーん」


暁「ん~…じゃあ、メタリンなんてどうかしら?」

響「メタリカ、バンド名か何かかい?」

暁「メタリカじゃなくてメタリン!メタルスライムの”メタ”と…何となく可愛い感じがする”リン”で、メタリン…なんだけど。どう…?」

メタリン「…!ぼ、ボク…その名前が良い…!よく分からないけど…すごく…しっくり来るよ!」

暁「ほ、ホント…?」

雷「良かったわね暁、気に入って貰えたみたいじゃない?」

暁「…い、一人前のレディーなんだから当然よね!」フンス

電「可愛い名前なのです!」

メタリン「プルプル…みんな、ありがとう…!」ポヨン

暁「ふふん、レディーに掛かればこんなの朝飯前よ!」

雷「ところで…飼うなんて話してたけど、メタリンに意思があるって分かっちゃったし…どうしようかしら」

響「メタリンが嫌じゃなければ鎮守府で一緒に暮した方が良いと思う」

暁「そうね、行く宛も今は無いんでしょう?」

電「此処はご飯も美味しいのです!」

メタリン「で、でも…ボク…いじめられないかな…?」

雷「いじめられそうな時は、私達を頼れば良いのよ!」

暁「それに、メタリンを理由も無くいじめる酷い人は居ないわ。居たら私が許さないんだから!」

響「艦娘だって曲りなりにも軍人、腐った性格が居たら修正する。ウラー!」

電「と、兎に角…!心配な時は遠慮せず電達に話して欲しいのです!お友達なのです!」

メタリン「友達……、うん…!ボク、ここに住ませてもらうよ…!」


こうしてボクは、カンムスメって人達が暮している鎮守府という所でお世話になる事になりました。


~加賀さんが現れた~

メタリン「………」

加賀「………」ジーッ

メタリン「………」汗

加賀「………」ジィィーッ

メタリン「………」汗ダラダラ

加賀「………ねぇ」

メタリン「ぴっ!?ピキーーーーーッ!!!!」ガサガサガサッ

加賀「あっ………。」

加賀(……………可愛い)


~間宮さんと赤い人が現れた~

間宮「はい、メタリンちゃんの分」ニコッ

メタリン「あ…ありがと…間宮さん」

ここはご飯を食べる所。食堂って言うんだって。ここの主人の間宮さんはとっても優しいんだ。

あいすくりんっていう食べ物も美味しくて大好きだ。

メタリン「…」アイスぺろぺろ

間宮「そう言えば…メタリンちゃんは普通のご飯も食べられるの?」

メタリン「ボク、メタルスライムになってからは金属しか食べてなかったよ。後は、お水と時々植物とか…」

間宮「ご飯とか食べるのは良くないのかしら…」

メタリン「ぷるぷる…多分、だけど…塩だけとかじゃなければ…大丈夫…だと思う」

間宮「そう?じゃあ、みんなと同じように美味しいご飯を振舞って上げられるわね!」

間宮さんはご飯のプロだって暁が言ってた。きっと誇りっていうモノがあるんだろう。

赤城「ガツガツガツガツガツガツ!」モシャグシャグチャムグムグッ

…隣の赤い人は何時もここでご飯を食べている、食事中は間宮さんか鳳翔さんの言葉にしか反応しないんだって。

赤城「ガツガツガ…」ピタッ!

赤城「……」横ジーッ

メタリン「……」

赤城「……鋼材」ボソッ

メタリン「……」ガクガクガクガクッ

赤城「…ボーキサイト」ボソッ

メタリン「………」汗ドドドドドッ

赤城「…………上々ね」ジュル

メタリン「ピィィィィィィィィ!!!!」ガサガサガサガサッ!



赤城のこの言動は第六の面々に伝わり、罰としてボーキサイト一週間禁止令が出された。

「かんむすめ」じゃなくて「かんむす」だな
文字媒体だけだとたまに勘違いする

>>20
ご指摘ありがとナス!もう数年艦これしてるのに間違えるとはお恥ずかしい…

~深海棲艦が現れた~

放送『緊急入電!キス島で前線防衛に当たっていた他鎮守府の艦娘2人が島内に孤立!敵勢力内には戦艦・空母も確認しています!』

メタリン「!」

雷「助けに行かなきゃ!」

明石「大淀は大本営と随時通信する必要がある状況だから、今回は代理で私が指揮を執ります」

加賀「では直ぐに出撃の準備を…」

明石「いえ、加賀さんではダメです」

加賀「…何故?」

明石「今回の孤立した艦は既に艤装が半壊しているらしく、援軍としてではなく救助が主な任務となります」

赤城「つまり…速さが求められる作戦となる訳ですね」鋼材バリバリ

明石「はい、加えて敵の索敵から素早く逃れられる艦種である必要もある…つまり」

加賀「駆逐艦…のみの構成、ですか?」

明石「ええ。ただ…旗艦だけでしたら軽巡も出撃は可能かと思います。ですが…敵の目を掻い潜れる可能性は1%でも上げた方が…」

加賀「…幾ら夜戦では有利とは言え、駆逐艦のみで戦艦や空母の多い海域に出撃させるなど…」

赤城「加賀さん…」ムシャムシャ

暁「く、駆逐艦だからって馬鹿にするつもり!?」

加賀「馬鹿にはしていないわ…。危険だから行かせたくないだけ。私の勝手な我儘よ」

明石「加賀さん…」

赤城(うちの加賀さんは他鎮守府の加賀さんと違って母性が強すぎるんですよねぇ…)ボーキパクパク

加賀「でも、代理とは言え指揮官の指示に私情で反対した身だし…これ以上は口を挟まないわ。」少し下がり

電「あ、あの…!」

明石「ん?どうしたの電ちゃん」

電「その…電を、救助部隊に加えて欲しいのです!」

暁「!」

響「……Хорошо」

雷「!」

電「助けられるのが…電達駆逐艦だけなら…何とかして助けて上げたいのです!」

響「同感だね、私も行くよ」

暁「響…あんたまで…」

雷「…もー、しょうがないわね!だったらこの雷様もついて行って上げるわ!響と電だけじゃ心配だし!」

暁「あ、あんた達…危ないって理解してるの?」

響「勿論」

雷「でも、私達は艦娘だもの」

電「海の平和も、仲間達の命も…電達が動いて助けられるなら…!」

メタリン「…」

ボクは、同じメタルスライムに何度か人間達と戦った話を聞いた事がある。

ボク達メタルスライムは…他の仲間の命を心配する余裕なんて無い。体の外が固いだけで中身の強さはスライムと同じだから。

だから戦ったというより…呪文を数回人間に当てて、後は周囲の誰がやられようがお構いなし。自分がいかに素早く逃げ切れたかを語る。

それを自慢げに話す他のメタルスライムを見て、ボクは何かよく分からないもやもやを感じた。

それをしびれくらげ君に話した時、「君は変わったメタルスライムだなぁ」と笑っていた。

暁「…分かった!分かったわよもうっ!…明石さん!第六駆逐隊はその救助作戦への出撃を具申するわ!」

暁も仲間を助けに行く、と言った時の姿を見て…ボクはまた少しもやもやした…どうしてなんだろう?


ボクは他の艦達と一緒に、埠頭で第六駆逐隊のみんなが出撃するのを見送った。

メタリン「ピキー…」

暁「ちゃんと良い子にしてるのよメタリン?」

雷「私達が居ない間は、間宮さんにお願いしてあるから心配せず留守番してて」

響「お土産は鋼材」

赤城「!」ガタッ

加賀「空気を読みましょう赤城さん」

赤城「」スッ…

明石「みんな、くれぐれも無理はしないようにね?」

電「大丈夫なのです!ちゃんと仲間を助け出して来るのです!」

そう言ってみんなは笑顔で青くて綺麗な海の向こうへと出撃していった…だけどそんな光景を見ても、ボクのもやもやは晴れない…。

何でなんだろう…?

赤城「…心配なのですか?」

赤い人、がボクの隣にしゃがむように座り込んだ…

メタリン「…」

赤城「大丈夫ですよ、今は何もしません」

………今は!?今は、って言った!

赤城「……」

メタリン「…ボク…分からないんだ。何でもやもやするのか…これが、心配ってキモチなの?」

赤城「きっと…あなたがあの子達を大切に思ってくれているのなら、そうでしょうね。」

メタリン「…そうなの、かな」

赤城「先程、加賀さんがあの子達の出撃を拒んでいたでしょう?それも1つの心配の形です」

メタリン「……」

赤城「…深海棲艦と戦う事が艦娘の本懐、それは間違い無いことです。」

赤城「だけど…今の私達には心があります」

メタリン「…心」

赤城「戦う事だけ、自分の事だけ…そんな考え方だけの生き方だったら…悲しいでしょう?」

メタリン「……、…!」ハッ

そうだったんだ…、ボクは…他のメタルスライムの話の時は…仲間を気遣っていない事が悲しくて…

暁達の出撃の時には…彼女達が心配で…もやもやしてたんだ…。…心って、深いなぁ…

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