提督「終戦から一年経った」 (15)

提督「戦後処理やらで大本営出向となって一年。ようやく我が鎮守府へと帰ってこれた」

提督「すっかり記憶の中のものとなっていた風景や潮の香り。うむ、いいものだ」

提督「長い間離れていたが……ここに勝る居場所は、見つからなかったな」

提督「……」

シーン

提督「……やはり、少し寂しいものだな」

提督「艦娘のいない、鎮守府は」

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提督(終戦後、すぐのこと。大本営から所持する艦娘の全解体という指令が下された)

提督(深海棲艦という脅威がなくなった今、艦娘は新たな火種を生みこそすれ利にはならないから、ということらしい)

提督(そもそもが話女子供を戦場に出すことがおかしい話だったのだ。私含め、どの鎮守府の提督も満場一致で承諾した)

提督(その後各鎮守府の提督は一度大本営に集められ、その間に艦娘の全解体が開始)

提督(元艦娘たちの退役金や仕事の斡旋、居住区の割り当てなど、一年足らずで完了したのは奇跡だと思う)

提督(ともあれ今現在日本に艦娘は存在せず、鎮守府も形だけ、解体を待つのみとなった)

提督(我が鎮守府の解体工事は三日後。せめてコイツが役を終えるその時まで、私はここにいようと思う)

提督「……む、もう昼時か。間宮――は、もうないのだったな」

提督「仕方ない。街で食べてくるとしよう――」

―――

提督「……むぅ。街も随分と賑やかになったものだ。どの店がいいやら……」

「――あの。もしかして司令、ですか……?」

提督「?」クルリ

秋月「わぁ、やっぱり司令じゃないですか! お久しぶりです、お戻りになられたんですね!!」

提督「あ、あぁ、秋月か。久し振り。元気だったか?」

秋月「はい、この通り!」

提督「そうか……いやしかし、その格好は……?」

提督(どこかの店の制服、か……?)

秋月「この服ですか? これはレストラン間宮の制服です! 今はチラシ配り中でして……」

提督「なるほどな……しかしそれならこんなところで足を止めていて大丈夫なのか?」

秋月「あ……す、すみません司令! 秋月、もう行かないと……!」

提督「ああ、頑張ってくれ。それとそのチラシ、一枚貰っても?」

秋月「はい、どうぞ! じゃあまたです、司令!」タタタ…

提督「……そそっかしいのは変わらずか。いやしかし、随分と大人らしくなった……」

提督「折角だ、今日は間宮で食べるとしよう」

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