探偵「被害者の頭を鈍器で殴ったのは、あなたではないんですか?」
男「バカいうな、俺はモーニングスターなんて持ってないから犯人じゃない!」
探偵「おや? あなた、なぜ凶器を知ってるんですか?」
探偵「私は“被害者の頭を鈍器で殴った”といっただけです」
探偵「凶器がモーニングスターだとは一言もいってませんよ?」
男「くっ……!」
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男「ま、待て……今のは想像でいったんだ!」
探偵「想像? ずいぶん都合のいい話ですね」
男「だって……鈍器といったらモーニングスターだろ」
探偵「くっ……!」
探偵「しかし、あなたが疑わしい点はまだあります!」
探偵「被害者が亡くなれば、あなたに多額の保険金が入りますからね」
探偵「しかもあなたはお金に困っていたようですし……十分すぎるほどの動機だ」
男「くっ……!」
男「だけどさ……そんだけ分かりやすい動機があったら、逆に犯罪なんてしないだろ」
男「自分がまず疑われるのは間違いないんだからな。いくら金が必要とはいえ、リスクが高すぎる」
探偵「くっ……!」
探偵「じゃあ、凶器であるモーニングスターにべっとりとついてたあなたの指紋は」
探偵「いったいどう説明するというのです?」
男「くっ……!」
男「それは……あれだ!」
男「俺に罪を着せようとした奴が、俺の指紋をでっちあげたんだよ!」
探偵「くっ……!」
探偵「しかし、あなたの犯行を目撃してる人がこんなにいるのですよ?」
目撃者A「この人がモーニングスターで被害者を攻撃するのを見ました」
目撃者B「思いっきり頭を殴りつけてました」
目撃者C「これで保険金が手に入るぜ……と邪悪な笑みを浮かべてました」
男「くっ……!」
男「も、目撃者がウソをついてるんだ! そうに決まってる!」
男「人間ってのは、結構ウソをつく生き物だからな!」
探偵「くっ……!」
探偵「ならば、とっておきの証拠を提示しましょう」
男「とっておきの証拠……!?」
探偵「監視カメラにも映ってましたよ、モーニングスターで被害者を殴るあなたの姿がね」
探偵「人はウソをつくかもしれないが、監視カメラはウソをつかない!」
男「くっ……!」
男「たしかに監視カメラ、つまり機械はウソをつかない……」
男「だけど、その監視カメラが細工されてる可能性だってあるじゃないか!」
男「今はCGとかもすごく発達してるしさ! 本物と区別がつかないくらいに!」
探偵「くっ……!」
探偵「ならば、ここで実は生きていた被害者に登場していただきましょう」
被害者「私、こいつに殴られました! 間違いありません!」ビシッ
男「くっ……!」
男「だけど……だけど! 被害者は頭を殴られている!」
男「記憶が混乱してる可能性が高い!」
男「殴られた張本人とはいえ、この証言を鵜呑みにすることはできない!」
探偵「くっ……!」
探偵「やれやれ、これほど粘り強い犯人は初めてですよ……。さてどうしたものか……」
男「……」
男「あの、ふと思ったんですけど――」
男「もしかして……犯人ってあなたなのでは?」
探偵「!?」
探偵「な、なぜだ!? なぜ分かったのだ!? なぜこうも見事にバレてしまったのだ!?
あなたが危害を加える動機のある人間の頭をモーニングスターで死なない程度に殴りつけ、
凶器には、密かに採取しておいたあなたの指紋をべっとりとくっつけ、
金でニセ目撃者を三人も雇って、
監視カメラの映像もコンピュータグラフィックスで細工して、
さらに重傷の被害者の記憶を操作して、あなたが犯人だと証言させることで、
あなたに殺人未遂犯の汚名を着せるという私の計画がぁぁぁぁぁ!!!」
― 完 ―
男「あの、ふと思ったのですけど――」
男「被害者が生きているのであれば殺人事件にならないのでは?」
探偵「くっ……!」
的な落ちだと思ってた
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