海未「なんですかこの書類の山は！！」

穂乃果「……」

海未「あれ程ため込まないようにと言ったでしょう！！」

穂乃果「……」

海未「それになんですか、このお菓子の散らかり放題は！！」

穂乃果「……」

海未「これは山の不法投棄のゴミの数々を揶揄しているんじゃないですか！！」

穂乃果「……」

海未「聞いているのですか！！」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

穂乃果「……」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

ことり「穂乃果ちゃん元気だして！」

穂乃果「……」

ことり「今日は怒られちゃったけど、明日はきっと大丈夫だよ！」

穂乃果「……」

ことり「海未ちゃんも怒りたくて怒ってたわけじゃないと思うの」

穂乃果「……」

ことり「ほら部室からにこちゃんが隠してた、ハッピーターンの粉貰ってきたんだ。一緒にたべよう！！」

穂乃果「……」ｼｭﾝ

ことり「ホノカチャア……」

【翌日】

海未「なんですかこれは……μ's のランクがダウンしてるじゃないですか！！」

穂乃果「……」

海未「穂乃果被告……何か私たちに言うことがあるんじゃないですか」

穂乃果「……」

海未「ランクダウンしたのは私のせいです。ごめんなさい」

海未「って、一言あってもいいんじゃないですか？」

穂乃果「……」

海未「それと私の名前のことなのですが……」

海未「”うみ”で変換しても一発で出てこないじゃないですか！！」

穂乃果「……」

海未「穂乃果のせいでいちいち、”うみ＋みぜん”で変換して末尾を消さなければならないのですよ！！」

穂乃果「……」

海未「言い訳なんてやめなさい！！みっともないですよ！！」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

ことり「……」

穂乃果「……」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

ことり「今日のは穂乃果ちゃんのせいじゃないよ」

穂乃果「……」

ことり「そう気を落とさないで……穂乃果ちゃんに元気がないと、私まで気が病んじゃうから」

穂乃果「……」

ことり「”海未”を一発変換できないのも、穂乃果ちゃんのせいじゃないからね」

穂乃果「……」

ことり「ほらこれにこちゃんが部室に隠してた、ゴールデンチョコレートの粉だよ。一緒に食べよう」

穂乃果「……」ｼｭﾝ

ことり「ﾎﾉｶﾁｬｱ……」

　【翌日】

海未「やってくれましたね、穂乃果」

穂乃果「……！？」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

海未「しらばっくれるんですか？」

穂乃果「……」ﾌﾟﾝｽｺ

海未「穂乃果のせいで、学校前の信号に引っ掛かってしまいましたよ」

穂乃果「……」

海未「いつもだったらスムーズに青信号をスルーしていたはずなのに、穂乃果にはしてやられましたよ」

穂乃果「……」

海未「それに自動車にすれ違いざま、アクセルを唸らされて少し驚いてしまいました」

海未「横隔膜がズーンってなりましたよ、穂乃果のおかげでね」

穂乃果「……」

海未「聞いているのですか、穂乃果！！」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

ことり「穂乃果ちゃん大丈夫……？」

穂乃果「……」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

ことり「ここ最近ずっと顔色悪いよね」

穂乃果「……」

ことり「やっぱり海未ちゃんと上手くいってないからなのかな？

穂乃果「……」

ことり「大丈夫だよ！　またすぐ仲直りできるから！」

ことり「海未ちゃん鳥頭だから、明日には綺麗さっぱり悪いことは忘れてるよ！」

穂乃果「……」

ことり「ほら今日はこれ！！ にこちゃんが隠してたメロンパンの皮！！ 一緒に食べよう！！」

穂乃果「……」ﾊﾟｧｧ

ことり「うん、やっぱり穂乃果ちゃんは笑顔が一番だよ！！」

穂乃果「……」ﾌｧｲﾄﾀﾞﾖ

ことり「ファイトだね、穂乃果ちゃぁん！！

【翌日】

海未「遂にやってくれましたね、穂乃果！！」

穂乃果「……」ﾋﾞｸｯ

海未「今朝のニュース見ましたか？」

穂乃果「……」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

海未「児童ひき逃げ事件」

穂乃果「……」

海未「遂にやってしまいましたね」

穂乃果「……」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

海未「言い訳ご無用！！　あなたは恥ずべき存在です！！」

穂乃果「……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

海未「反省しなさい、穂乃果！！」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

ことり「……」

ことり「ねえ海未ちゃん」

海未「なんですかことり？」

ことり「穂乃果ちゃんのことなんだけど……」

海未「そうですね、穂乃果はさらに猛省するべきですよね！！」

海未「全く、穂乃果は自堕落で人に迷惑かけてばかりで、今日も明日も人を困らせて、陰でこっそりほくそ笑んでいるのです」

海未「筆舌に尽くしがたい、許せなさです」

ことり「そうじゃなくてね……」

ことり「海未ちゃん、なんでもかんでも穂乃果ちゃんのせいにし過ぎじゃない？」

海未「ですよね穂乃果は全く……って、え？」

ことり「最近の海未ちゃん、穂乃果ちゃんを貶めて喜んでるみたいだよ」

海未「は、え、はぁ？　そんなわけ、はぁ？」

ことり「そんなわけで、明日からは穂乃果ちゃん虐めちゃだめだよ？」

海未「虐め？　は？　私が？　え、はぁ？」

ことり「その”はぁ？”は肯定の意として、受け取っていいんだよね？」

海未「ちょ、え、はぁ？」

ことり「明日からは穂乃果ちゃんにキツくあたらないこと、いい？」

海未「ゆゆゆ勇気のりりりリーズン……」

ことり「じゃあね！！」ﾀﾞｯ

翌日】

海未「穂乃果～」ﾁﾗ

穂乃果「……」ﾋﾞｸｯ

海未「その手に持ったフォークで何をするんですかね～？」

穂乃果「……」ｸﾞｻｯ

海未「フォークでウインナーを突き刺しましたね～？」

海未「次は誰にフォークを突き刺すんですかね～？」

海未「先の尖ったフォークで、誰の何を突き破るんですかね～？」

穂乃果「……」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

海未「首を左右に振りましたね～？ 辺りに誰もいないことを確認しているんですか～？」

海未「悪行を誰にも見られないために、顔を左右に振っているんですかね～？」

穂乃果「……」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

海未「謝るなら今のうちですよ～？」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

ことり「……」

ことり「いやごめんなさいはおかしいでしょ……」

穂乃果「ごめんなさい……」ｼｭﾝ

ことり「完全に謝り癖がついちゃってるし……」

穂乃果「……」

ことり「もちろん悪いのは海未ちゃんだけど、三点リーダーで応対してる穂乃果ちゃんもおかしいんだよ？」

穂乃果「……」ｶﾞｰﾝ

ことり「きついようだけど、友達だから言わせてもらうね」

ことり「穂乃果ちゃんは三点リーダーに甘え過ぎだよ！！」

穂乃果「……」

ことり「ほらそれ、それがいけないんだよ？」

ことり「その三点リーダーが海未ちゃんのイビリを助長させてるんだからね」

穂乃果「……」ｸﾞｯｽﾝ

ことり「ごめんねキツく言っちゃって。でも、これ以上海未ちゃんを野放しにはできないから」

ことり「明日からは頑張って海未ちゃんに抗議するんだよ！」

穂乃果「……」

ことり「わかったなら今日のおやつは、にこちゃんが隠してたオレオのクリームだよ」

穂乃果「……」ﾊﾟｧｧ

ことり「ﾎﾉｶｯｯﾁｬｧ……」

【翌日】

にこ「私の隠しておいたおやつがなぁい！！」

海未「なんですって！？」

にこ「誰よ私の大事な大事なおやつに手をだしたのは！！」

海未「穂乃果……まさかあなたじゃないでしょうね？」

穂乃果「……」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

にこ「じゃあ盗人は誰だってのよぉ！！？」

海未「私ではないです」

花陽「私も」

凛「凛も」

真姫「私も」

絵里「私も」

希「ウチも」

ことり「……」ﾂﾂｰ

ことり「わ、わたしも違うかなぁ～……」

にこ「消去法で穂乃果ね」

海未「また穂乃果ですか！！　あなたという人は！！」

にこ「あんたのこと一生許さないから」

花陽「人の楽しみを奪うのはよくないかな……」

凛「被害者が凛だったら、ぶん殴ってるにゃー」

真姫「そんなことして恥ずかしくないの？」

絵里「あなたに着いて来た私がバカだったわ」

希「ウチかて許せないこともあるんやで（威圧」

ことり「ほ、ほのかちゃん……ダメでしょー」

穂乃果「……」ｶﾞｰﾝ

穂乃果「…………」

穂乃果「……………………」

穂乃果「…………………………………………」

【その後】

みんなからの罵声とことりの裏切りに心を病んでしまった穂乃果。
彼女が心身ともに立ち直るのに要した時間は、青春のそれを遥かに超えたという。
酸いも甘いもまわり次第。自分の力じゃまわりは動かせない。
弱い者はただただ落涙するのみである。
世の中は厳しいのだった。