妻「なんですかこれ」 (17)

AM4:00



夫「なにって、コーラだろ」

妻「……はぁ?」

夫「ああ、缶が良かったのか? でもあのコンビニ、ペットボトルしかなくてさー」

妻「……呆れました無能ですね」

夫「あれあれ、なんで僕は罵倒されているんだろう。妻がコーラを買ってこいと言うからわざわざ買ってきたのに」

妻「コーラと言えばペプシでしょう!」

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夫「知らねえよ! コーラはコーラだろ!」

妻「あの…………あなた誰ですか?」

夫「お前の夫だよ! 永遠の愛を誓いあったよ!」

妻「妄言はやめてください。ご近所に噂されます。そして、愛する夫ならば、
テレビの上に置かれたペプシマンのボトルキャップに、気づかぬはずがありません」

夫「いや、何かあるなとは思っていたけどさ、ドラゴンボールフィギュアばかり目がいって……」

妻「ガチャガチャを回す時の快感は、筆舌に尽くしがたいものがありますよねぇ」ゾクゾク

夫「それは凄い分かるんだけどさ、食器棚に、コップのフチ子やソコ子を置きまくるのはやめないか?」

妻「いやです。フチ子は、コップの縁にへばりつくしか能がないんですよ? 可哀想じゃないですか」

夫「そっちの方が可哀想だよ!
……ていうか夜中起きた時、潰されたソコ子と目が合うと悲しい気持ちになるんだよな」

妻「ふん、ホント貴方、暇さえあれば女の尻ばかり見てますね。あれですか、潰されフェチですか」

夫「人形に嫉妬すんな! そんな特殊な性癖は持ってねえよ!」

妻「あーはいはい、良いんですよ別に隠さなくても。
スカートを履いてる人形があれば、取り敢えず逆さまにするのが男の性でしょう」

夫「いやまあ、それは否定しないけど……」

妻「………………」ササ

夫「やめて。無言でマネdeキンを片付けないで。それは全然違うから。違うやつだから」

妻「いえいえ、改めて考えると玄関にこれはまずいかなと。私、清楚な奥様で通ってますし」

夫「ほうほう、流石は僕の妻。僕は幸せ者だなー」ヨイショ

妻「Freeze! Don't move!」

夫「……なんでしょう?」ピタ

妻「さりげなく部屋に上がろうとしないでください。マネdeキンを真似させますよ?」

夫「怖過ぎるわ! ポケットから飛び出てる首と目が合っちゃったよ!」

妻「ふん、肝っ玉の小さい野郎ですね夫くんは」

夫「それは言わない約束じゃ………………ところで、僕はいつまで玄関に立たされるんだ? いい加減足も疲れたしさ」

妻「……ちょっと待っててください」

夫「ああ、うん」

妻「……はいどうぞ」ガタ

夫「わーい椅子だー」

妻「あとこれも」カチャ

夫「……充電器?」

妻「今のご時世、携帯がないと不便でしょう。大丈夫です。コンセントくらいすぐに見つかりますって」

夫「どこの家出少女だよ! しかもこれスマホのやつじゃん僕はガラケーだよ!」

妻「あ、それ私のやつですね。返してくだs

夫「おっと!」ヒョイ

妻「……なんのつもりですか」ギロ

夫「はっはー、お前も焼きが回ったな。唯一の充電器を僕に渡すなんて。
昔の、スマホ中毒者のお前だったら、こんなミスは絶対にしなかったはずだ」

妻「……ぐぬぬ」

夫「さあて、お前のスマホはあとどのくらい持つのかな」

妻「……分かりました。取引しましょう」

夫「いいだろう、望むところだ」

妻「まず、貴方はペプシを買ってきてください。ここは譲れません」

夫「ふんふん」

妻「そしてその間に、私はスマホを充電します。
私は機嫌が良くなり、夫くんを笑顔で迎え入れる確率がグンと上昇するでしょう」

夫「なるほど、悪くない取引だ……けど、もっと手っ取り早い方法があるぜ!」

妻「なんですかそr ひゃッ!」クルクルストン

夫「……さてと」

妻「あ、あれ? いつの間に椅子の上に……はっ! 充電器のコードで手が――――」

夫「妻……愛してる」グイ

妻「あわわわわ////」

夫「I need you」ボソ

妻「~~~~ッ! わわわ分かりました条件を変えましょう////」

夫「こいつ相変わらずちょろいなー」

妻「うううるさいですよ! そういうのは心のなひゃ…………中で言うものです!」

夫「……で、どう変わったんだ?」

妻「……こほん。まず、夫くんはペプシを買いに行きます。先ほども言いましたが、ここは譲れません」

夫「ふむふむ」

妻「そしてその間に、わた、私は、妻の本分を果す準備を整えます」

夫「……妻の本分?」

妻「聞かないでください! こらニヤニヤするな!」

夫「オーケー妻よ。その条件、飲ませてもらおう」

妻「ならさっさと行っちゃってください! 日が昇ってしまいます!」

夫「分かってるって。あ、2本買ってきた方が良いよな。水分補給はしっかりしないと」

妻「貴方もペプシですからね!」

夫「えー、どっちかと言うとコカ・コーラ派なんだけどなー」

妻「ダメです! あと、走って揺らさないように!」

夫「はいはい。じゃあ、いってくるよマイハニー!」

妻「いってらっしゃいマイダーリン」

ガチャバタン

タッタッタッタッタ

妻「て、走ってるし。もう、夫くんたら……」

AM4:30



妻「ほらほら、もう出てきて大丈夫ですよ?」

俺「……旦那は行ったのか?」

妻「はい。ペプシのあるコンビニは遠いですし、流石に帰りは歩くでしょうから、5時までに終わらせれば余裕です」

俺「おいおい、ヤルのかよ」

妻「……ふふ、夫くんの甘い声を聞いたら、ウズいちゃいました」

俺「へへへ、エロい女だぜ」ニヤ



夫「お、自販機で見っけ! ラッキー!」



fin

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