「ねえパパ、どうして深海棲艦は普通の人には倒せないの?」
「そうだな……やっつけられる武器が無いから、かな」
「イージス艦、ジェット機、核ミサイル……どれも深海棲艦を倒すために開発(つく)られたものじゃない」
「モチロン深海棲艦をやっつけられる武器もある。だけど、それを扱えるのは艦娘さん達だけなんだ」
「……よくワカらないけど、パパでもやっつけられないの? パパの拳骨、アレ凄く痛いのに」
「ン~~~~~~……チョット無理かな。深海棲艦は、岩よりもずっと硬い体を持っているからね」
「でもパパは、そんな深海棲艦を拳骨で倒す人を二人も知っているんだ」
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「ホント!? それってパパの友達!? どんな人達なの!?」
「ハハ……残念ながら友達じゃない。その二人が喧嘩しているところを見ただけさ」
「この目で見ているのに信じられない――まるで御伽噺のような闘いをね」
「ねえパパ、その人達のことをもっと教えてよ!」
「ああ、いいとも。話してあげよう」
「『地上最強の親子喧嘩』のことを――」
・『艦隊これくしょん -艦これ-』と『バキ』のクロスオーバーです
・バキ特有のガバガバな捏造アリ
・片方の作品しか知らない、という人もなるべく楽しめるよう書くつもりです。その分説明が多くなりますが、ご容赦ください
【鎮守府】
大和「地上最強の親子喧嘩、ですか?」
提督「知らなくたって無理はねェさ。まだ艦娘も深海棲艦も居ない頃のハナシだ」
※『範馬刃牙』最終話……2012年8月16日発売号に掲載
『艦隊これくしょん -艦これ-』……2013年4月23日より正式サービス開始
大和「いえ……そういえば聞いたことがあります。数年前、機動隊や自衛隊さえ出動させた親子喧嘩があったと」
大和「ですがあくまで小耳に挟んだという程度で。いま提督が仰るまで、すっかり忘れてしまっていました」
提督「そうかい。そいつはちいとばかし勿体ねェことだなァ」
大和「もったいない、とは……どういう意味でしょう?」
提督(画像はイメージです)
大和(大和型戦艦一番艦)
提督「なァ大和よ。おめェさんも知ってのとおり、ここ数年でとんでもねえ事件が立て続けに起きた」
提督「数年前、突如深海から謎の艦艇群が出現(あらわ)れる」
提督「そいつらは世界中の海で暴れまわり、あっという間に人類から制海権をブン捕っちまった」
提督「のちに人類は、それらの艦艇を『深海棲艦』と呼称するようになる」
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira101544.jpg
提督「その脅威に対抗すべく登場したのが、おめェさんをはじめとする『艦娘』だ」
提督「一見ふつうの女性達だが、その正体は第二次世界大戦で活躍した軍艦の生まれ変わりであり」
提督「艤装(ぎそう)と呼ばれる装備を身に着けることにより、かつての軍艦だったころと同等以上の戦力を持つ」
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提督「俺(おい)ら達『提督』の指揮のもと、艦娘たちは数多の激戦に勝利を刻み」
提督「ついに深海棲艦から幾つもの海域の制海権を奪回し、現在に至る」
提督「いまだ戦いの終わりは見えねェものの、ひとまずは小康状態といったところか」
提督「よ~~するに、欠伸(あくび)なんざしたくても出来ねェような数年間だったってことだ」
大和「私がこの鎮守府に着任したのは比較的遅い時期ですが……最初期の混乱ぶりは耳にしています」
大和「着任してからも、次々に現れる新型の深海棲艦や敵の奇襲攻撃など、息をつく暇もありませんでしたね」
提督「その通りだ。しかし、世の中ってのは広いもんでよ」
提督「毎日がビックリドッキリだった激動の数年間も霞んじまう」
提督「そんな途轍もないシロモノも存在する」
提督「それが『地上最強の親子喧嘩』ってワケだ」
大和(え~~~~~~~……)
提督「おいおい大和よう、その反応はねェだろうよ。恥ずかしがらずにもっと驚きなって」
大和「いえ、さすがにそれは無いです。あと前フリが長いです」ジトー
大和「深海棲艦との戦争よりスゴい親子喧嘩って……。駆逐艦の娘たちでも冗談だと分かりますよ」
提督「いやいやホント、大マジだよう。あ、そうだ」ポン
提督「どうでえ、今から一緒にその親子喧嘩の動画を見てみるかい」
提督「『史上最強の艦娘』と呼ばれるおめェさんが『地上最強の親子喧嘩』をどう見るのか」
提督「こいつは何とも興味深いところだぜ」
大和「はあ……提督がそう仰るなら構いませんが」
<司令室の家具一覧>
・椅子+机……マホガニーの机
・床……ダンベル&ミット on 絨毯
・装飾……サンドバッグ
・家具……ベンチプレス
大和「この部屋に映像機器は置いてないですよね?」
提督「酒保にいる明石から何か借りてくるかァ……」
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【視聴後】
提督「いやァ~~~~……何度見てもたまらねえ喧嘩だぜ」
提督「特に虎王が極まるシーンなんざ、今でも震えが止まらねェ」
提督「どうだい大和、感想は――おっと」
大和「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!??」ブルブル
提督「ハハハ、しばらく待たなきゃ口も利けねェか」
キリのいい所まで投下したかったのですが、夜も遅いのでとりあえずここまでです
艦これ×バキは現行で一つありますが、そちらとはネタも登場キャラも被っていないっぽいので、うまく住み分けていけるかと
マイペースでやっていくので、よろしくお願いします
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シュル…(バキ特有の上品にお茶を飲む音)
提督「少しは落ち着いたかい」
大和「はい……申し訳ありません。提督の仰ったとおりでした」コト…
大和「カメラ越しの映像でもハッキリと理解(わか)ります」
大和「艤装どころか寸鉄さえ帯びない、生身の身体であるにも関わらず」
大和「あの親子の戦力は、戦艦や空母の戦力をはるかに凌駕しています」
提督「だろう? おいらも初めて見た時、数日はカレーの味もワカらなくなっちまってよう」ハハハ
提督「だが、おめェさんもただの戦艦じゃねえ。世界最強の戦艦『大和』の生まれ変わりだ」
提督「なあ大和よう」
提督「おめェさん、あの親子と闘り合ったとしたら勝てるかい」
大和「」シュル…
大和「」コト…
大和「これは、あくまで仮定ですが」
大和「おそらく、勝負にならないのではないでしょうか」
提督「ほう」
大和「正確には、戦闘そのものが発生しない、というべきでしょうか」
大和「彼らは地上での徒手格闘、私は海上での砲撃戦」
大和「戦闘スタイル、用いる空間のスケール――全てが違いすぎて、まったく噛み合いません」
大和「噛み合わない者同士が戦った場合、何が起こるか……提督ならご存知でしょう」
提督「なるほど、『猪狩・アライ状態』かい」
提督「1976年、マホメド・アライVSアントニオ猪狩の異種格闘技戦が行われた時のことだ」
提督「『グレイテスト』ボクサー・アライを相手に、猪狩が採った作戦とは」
提督「リング上に寝転がり、寝技(グラウンド)に徹するというもの」
提督「お互い、相手の土俵に上がれば敗北は必至。それゆえ試合は完全な膠着状態となり」
提督「一時間あまりのにらみ合いの末、ついに無決着。のちにこの試合は『世紀の凡戦』と称されることになる」
提督「おめェさんと親子の関係は、この猪狩とアライに似るというワケだ」
大和「その通りです。先ほど私は、あの親子の戦力は戦艦に勝ると言いましたが」
大和「対等の条件で戦うという状況は、現実にはほぼあり得ません」
大和「もし、あの親子と戦うとすれば――いかにこちらの有利な条件で戦うか」
大和「つまり、作戦や状況作りこそが肝要になるのではないでしょうか」
提督「ふむ、つまりさっきのアライや猪狩で例えりゃ」
提督「アライの息子(ジュニア)を人質に取って、寝技勝負に誘い込めば猪狩の勝ち、ってことかい」
大和「その例えはどうかと思いますが……そういうことです」
大和「もっとも、あの親子が水の上を走れるならハナシは別ですが」クスッ
提督(十五メートルまでなら……ってのはナシだよなァ)
提督「しかしチョット意外だぜ。けっこうキチンと分析が出来てらァ」
提督「さっきの動揺っぷりからして、ムキになって否定してくるかなァ~なんて思ってたんだが」
大和「ふふっ……ありがとうございます。大和はこれでも、戦士の端くれですから」
大和「どんな時でも、戦力を分析するときは冷静になるよう努めています」
大和「……と言っても今は、こうして気を抜くだけで、震えが出ちゃうんですけど、ねっ……」
提督「ふむ……いい刺激になったかい」
大和「ご覧の通りです……ッッ」ブルブル
提督「そいつは良かったぜ。見せた甲斐があるってもんだ」
提督「ただし、まだ認識が足りねェ」
提督「大和よう。おめェさんは動画でしか見てねェから、ワカらなくても仕方ないんだが」
提督「あの親子の強さとは、そんなに底の浅いシロモノではない」
大和「……ッッ」
提督「確かに彼らは水の上は走れねえ。数十キロ先の相手に攻撃することも出来ねえ」
提督「それでもなお、たとえ戦場が海だったにせよ、たとえ相手が大和だったにせよ」
提督「どっちが勝つのかは、ぶっちゃけ俺らにもワカらねェ」
提督「それほどまでに、あの二人は強えのさ。特に父親の方はな」
大和「提督……? ひょっとして、この親子をよくご存知なのですか?」
提督「オウ、よ~く知ってるさ。父親とは以前、立ち会ったこともある」
提督「父親の名は『範馬勇次郎』。そして息子の名は『範馬刃牙』」
提督「艦娘たちの間にとっての『大和』がそうであるように」
提督「われわれ格闘士(グラップラー)にとって、この二つのビッグネームは絶対なのさ」
大和「範馬勇次郎……範馬刃牙……」
大和「…………え?」
提督「かーっ、いっぺんで良いんだがなあ。『大和』と『範馬』を同時に指揮(つか)ってみたいもんだぜッッ」
提督「現時点における陸海最強のそろい踏みだぜぇ? 一体どんな戦いになるのか、想像も……って」
大和「ぐうっ……」ガタガタガタガタ
提督「おいおいおい、武者震いにしちゃチョット震えすぎだぜ。具合でも悪いのかい」
大和「いえ……大丈夫です。何でもないです……ッ」フウ…
大和「……ああ、そろそろヒトキューマルマルですね。すぐにお夕食の準備をしてきます」ス…
提督「待った」
提督「ストップだ。今日はこのまま休みなさい。とても料理など出来る顔色じゃあねえ」
提督「それとも念のため医務室で診てもらうか。今ドクターに――」
大和「ホントに大丈夫ですからッッ!!」
大和「……ごめんなさい。今日は、休ませて頂きます……」
ギイ……パタン
提督「…………???」ポツン
『翌日――鎮守府に接近する一群の深海棲艦が発見される』
『これに対し提督は、大和を旗艦とする迎撃部隊を編成』
『敵艦隊の脅威を排除すべく、ただちに出撃命令が下された』
とりあえずここまでが序章ということで。ここまでは一気に投下したかったなー
すみません、現在リアルの方が多忙過ぎてどうにもなりません。
このスレは一度落として、余裕が出来たら改めてスレ立てします。
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