伊織「遅い!遅刻よ美希!」 (24)

美希「あふぅ、おはようなのデコちゃん……」

美希「今日はあったかいね、ミキなんだか眠くなってきちゃうの……」

伊織「アンタね!遅刻してきて開口一番のセリフがそれなわけ!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452846078

伊織「昨日、あんだけ確認したじゃないの!」

伊織「集合は朝9時!現地入り10時!」

伊織「電車移動だから、集合時間は厳守って!」

美希「うん、ゴメンね、デコちゃん……」ウトウト

美希「……ZZZ」

伊織「寝るんじゃないわよ!」

伊織「ったく……ホント、あんたときたら……」

伊織「大体、律子もプロデューサーもどうかしてるのよね……」ブツブツ

伊織「いくら人手が足りないからって、どうしてこの私が電車で移動しなくちゃいけないのよ……」

美希「……ね、デコちゃん」

伊織「しかも、美希のお守りまでやらなくちゃいけないだなんて、まったくありえないわ……」ブツブツ

美希「……デコちゃん?」

伊織「見てなさいよ、トップアイドルになった時にはあのバカプロデューサー、アゴで使ってやるんだから……!」

美希「ねえねえ、デコちゃん?」

伊織「何よ」

美希「ミキ、今日少し遅刻してきたんだよね?」

伊織「そうよ、だからちょっとは反省を……」

美希「じゃあ急がないと、乗りたい電車行っちゃうかもってミキ思うんだけど……」

伊織「……え?」サッ

伊織「ああ!もうこんな時間じゃない!」

伊織「美希!走るわよ!」グイッ

美希「ちょ、ちょっと待ってなのデコちゃん!美希、さっき起きたばっかりだから……」

伊織「知らないわよ!そんなこと!」ダッ

美希「もー!今のはデコちゃんだって悪いって思うなー!」タッ

伊織「うるさいわね!ていうかさっきからデコちゃん言うんじゃないわよ!」

……

ガタンゴトン、ガタンゴトン

伊織「はあ、はあ……」

伊織「ま、間に合ったわ……」

美希「み、ミキ、今日はもうジューブン頑張ったって思うな……」ゼエゼエ

伊織「な、何言ってるのよ、仕事はこれからなのよ?」ハアハア

美希「……それなら、美希のお仕事、デコちゃんに全部あげても、い、いいよ?」

伊織「……一緒のゲスト出演でしょうが」

伊織「はあ、ったくもう……」

伊織「にしてもね、美希、アンタちょっとアイドルなめてるんじゃないの?」

美希「え?」

伊織「今日の遅刻だってそうだし、他の仕事だって」

伊織「『ミキ、アイドルのお仕事は、テキトーに楽しいのが一番だって思うな』って」

伊織「そんなんだから、未だに中途半端なところでフラフラしてるのよ」

美希「むー、ミキ、そんな言い方しないもん」

伊織「私の物まねはどうでもいいのよ」

伊織「私たちはね、プロのアイドルなのよ?」

伊織「お仕事をする代わりに、お金を貰ってるの」

伊織「それなのに、遅刻はするわやる気はないわって」

伊織「正直、どうかとおもうわ」

美希「……」

美希「ミキ、お説教は嫌いなの」

伊織「でもね、私はアンタのことを思ってこうやって……」

美希「……でも、デコちゃんだってミキと人気、あんまり変わらないよね?」

伊織「んなっ……!」

美希「朝だって、デコちゃんがお喋りじゃなかったらフツーに電車、間に合ってたもん」

伊織「……」

美希「……」

伊織「……アンタ、拗ねてるわけ?」

美希「……別に、スねてないよ?」

美希「……」

伊織「……美希、アンタもうちょっと大人になりなさいよ」

美希「……それだって、美希とデコちゃんは、学年いっしょだよ?」

伊織「……そうね、その通りね」

美希「……」

伊織「そうよ、こんなだから……」

伊織「事務所の仲間の番組に、わざわざ呼んでもらってるのよ」

……

伊織「はあ、やっと着いたわ……」

美希「……」

伊織「で、スタッフはどこかしら……」


あずさ「……あら」

あずさ「伊織ちゃ~ん! 美希ちゃ~ん!」

伊織「あずさ!」

あずさ「うふふ、2人とも、おはよう」

美希「……うん、おはようなの」

あずさ「時間ぴったりね、迷わなかった?」

伊織「ええ、まあね……」

あずさ「ちゃんと2人だけで来れたのね、うふふ、偉いわ~」

伊織「ちょ、やめなさいよあずさ!」ナデナデ

美希「……あふ」ナデナデ

伊織「私たち、もう撫でられるような年じゃないわよ」

あずさ「あら、そんなことないわよね? 美希ちゃん」

美希「……ミキは、どっちでもいいって思うな」

あずさ「ほら!いいって」

伊織「そういう意味の『いい』じゃないわよ!」

美希「……」

美希「ねえ、あずさ」

あずさ「? なあに? 美希ちゃん」

美希「お仕事ちゃんとするのって、エライ?」

あずさ「え?」

美希「ちゃんと遅刻しないのって、大事こと?」

あずさ「……遅刻しないこと?」

伊織「……」

あずさ「そうねぇ……」

あずさ「やっぱり、それはとっても大事なことだと思うし……」

あずさ「それに、私はとっても凄いことだって思うかしら……」

美希「すごい?」

あずさ「ええ、だって、私はいっつも迷子になちゃって、一人だと中々目的地にたどり着けないし」

あずさ「このお仕事も、移動ロケだから、いっつも番組のスタッフさんが迎えに来てくれるの」

伊織「いや、あずさ、それはどうなのよ……」

あずさ「だから、今日も美希ちゃんと伊織ちゃんが時間どおりにここに来たのは」

あずさ「とっても凄いと思うわよ~」

美希「ふーん……」

美希「ね、あずさ」

あずさ「なあに?」

美希「遅刻しないのが凄いって、どれくらい凄い?」

あずさ「え?」

あずさ「どれくらいって……」

美希「やっぱり、ナデナデくらい?」

美希「それとも……」

あずさ「……?」

あずさ「……あっ!」

あずさ「ふふ、そうねぇ」

あずさ「……このくらいかしら!」ガバッ

伊織「きゃっ! ちょっとあずさ!?」ギュー

美希「あはっ、あずさ苦しいのー!」ギュウ

あずさ「美希ちゃんも伊織ちゃんもとってもいい子ね~」

伊織「ちょ、やめなさいよ……恥ずかしいじゃない!」

美希「ん~……あっ、あずさの服、いい匂いするね」

伊織「どうでもいいわよ、そんなこと!」

あずさ「いい子いい子~♪」


スタッフ「……あの、みなさん」

あずさ「……あっ、はい? なんでしょう?」

スタッフ「そろそろ、打ち合わせの方を……」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom