モパP「疲れ果てる前に」 (162)
P「…はぁー」
P「(しんどい…)」
P「(ここ最近ずっとそうだ…)」
P「(仕事中でも、家にいても…)」
P「(なんでこんなにつらい気持ちになるんだろうか…)」
P「(膨大な仕事量?人とのコミュニケーションが上手くいかない?)」
P「……」
P「(…全部だな)」
P「(俺に関わること全部が、俺にとってのストレスになってる)」
P「(頭ではわかっているつもりだけど…)」
P「(それを言葉にして伝えるっていうのは難しいよな…)」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452378610
P「(たくさんの仲間に囲まれて仕事をしているのに)」
P「(いざ、自分の本音をぶつけられる相手っていないんだよな)」
P「(…いや)」
P「(俺の考えがまとまっていないだけで、受け止めてくれる人はきっといるんだろうけど…)」
P「…ホントに駄目だな。俺」
ガチャ…
P「っと…」
アヤ「おはよーございまーす」
こずえ「ふわぁ…ございまーす…」
P「あぁ、二人ともおはよう」
P「(アヤとこずえか…)」
P「(歳は少し離れてるけど、仲良し姉妹って感じで良いよな…)」
P「(きっとお互いに包み隠すことも無いんだろう…)」
アヤ「…ん?」
アヤ「アンタ、大丈夫か?」
P「…えっ?」
P「だ、大丈夫って…なにがだ?」
アヤ「んー…」
アヤ「なにがって言われるとさ、上手く言葉にできねぇんだけどさ…」
アヤ「少なくとも顔色は良くないな、うん」
アヤ「あんま寝てねぇ感じだな」
P「あー…いや…」
P「(確かに最近は睡眠もロクにとってないよな…)」
P「(全然寝付けないというか…)」
P「(色々なことが頭を駆け巡ってしまって、寝れなくなってしまう…)」
P「(それで気づいたら朝を迎えてて、また仕事に向かう…)」
P「(それの繰り返しだな…)」
くいっ…
P「…ん?」
こずえ「ぷろでゅーさー…」
P「…こずえ?どうした?」ナデナデ…
こずえ「……」
こずえ「…ぐすっ」
P「!?」
P「こ、こずえ…?」
こずえ「ぷろでゅーさー…すんっ…」
こずえ「かなしいの…だめなのー…」ぎゅっ…
P「え、えっと…」
P「(な、涙顔のこずえなんて初めてだぞ…)」
アヤ「なぁ、P」
P「あ、アヤ…」
P「は、ははっ…どうしたんだろうなこずえは…」
アヤ「…アタシらは多分アタシらが思っているよりも、ずっと深い付き合いしてきたと思うぜ」
P「えっ?」
アヤ「人間、踏み入ってほしくない部分があるのはこれでも重々承知しているつもりさ」
アヤ「それでもよ…」
アヤ「やっぱ、誤魔化せないぜ。今のはアンタはさ」
P「…アヤ」
アヤ「悪いな。思ったこと結構口に出ちまうタイプだからよ」
アヤ「まぁでも、泣いてるこずえが決定的な証拠だろ?」
アヤ「子どもの方が敏感だって言うぜ?周りの人間の変化にさ」
こずえ「すん…すんっ…ぷろでゅーさー…」
P「…こずえ」
P「……」
P「…なんていうのかな」
P「俺自身、精神的に参ってたっていうかさ…」
アヤ「…うん」
P「それを誰にも話さずに抱え込んで…」
P「…いや」
P「話せなかったんだ」
P「考えがまとまらないからって自分に言い訳をしてさ」
P「怖かったんだ、もし理解してもらえなかったらっていうのが」
P「ただでさえ、対人関係でもストレス感じてる部分があるからさ…」
P「こんなの甘えにしか聞こえないかもしれないけど…」
P「でも…」
アヤ「…甘えてなんかいねーさ」
P「…えっ?」
アヤ「甘えてんならよ…」
アヤ「なんで、アンタは今つらい気持ちでいるんだよ?」
P「…!」
アヤ「対人関係のストレス?そんなのあって当然さ」
アヤ「それがいつしか抱えきれないストレスにだってなる奴はいるだろうよ」
アヤ「アンタは甘えちゃなんかいない。ただちょっと疲れちまったんだ」
アヤ「疲れちまうと、誰かと話すのもしんどいって時もあると思う」
アヤ「だから、ゴメン。無理に吐き出させるようなことしちまって」
アヤ「けど、サンキュな。本音を聞かせてくれて」
P「…っ」
アヤ「あーもう、男が泣くんじゃ…!とは言えねぇな…」
アヤ「うん!たまには思いっきり泣いてみるのも良いだろ!!」
こずえ「ぐしゅ…ひんっ…」
アヤ「…まぁ、しばらくはこずえも大号泣だけどな」
アヤ「ほら、こずえ?あとで人形遊びしようぜ?な?」
アヤ「……」
アヤ「(…精神的な疲れ、か)」
アヤ「(実際問題、理解を示さない人間もいるのは確かなんだろうな…)」
一旦ここまで
とりあえずPが疲れ果てる前にアイドルと会話する内容です
また3日後ぐらいに更新出来たらします
酉ちぇっく
タイトルがモバPじゃなくてモパPだ疲れてる
モパP→×
モバP→○
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------------
-------
P「…はぁーっ」
P「(人前で涙を流したのなんていつ振りだったかな…)」
P「(むしろ、アイドル達の前で感情を爆発させたことあっただろうか…)」
P「……」
P「(いや、無いわけないか)」
P「(CDデビューの決定やLIVEの成功…)」
P「(一緒になって喜んだよな)」
P「(あれ?俺、その時に嬉し泣きしたこともあったか?)」
P「……」
P「(なんでだろうな)」
P「(そういった楽しい記憶を振り返っても…)」
P「(結局、最後にはつらくて悲しい気持ちになるのは…)」
P「(アヤとこずえには感謝している)」
P「(今日、今の俺の状態を二人に話さないままでいたら…)」
P「(きっと、この帰り道は更につらいものになっていたと思う)」
P「(救われたような気がした)」
P「(甘えてなんかいないって言ってもらえた)」
P「(…けど)」
P「…簡単には拭えないよな」
カンカンカンカン…!
P「(…踏切)」
P「……」
P「(いっそ何も考えることなく、全部を忘れることが出来たら…)」
P「(本当の意味で救われるんじゃないかって…)」ふらっ…
「ダメですっ!!」ぎゅっ!!
P「…!?」
ガタンゴトン…!
P「……」
P「…茜」
茜「はぁはぁっ…!!」
P「いつの間に…」
P「(ていうか…)」
P「(俺は今、何をしようとしてた…?)」
茜「い…」
茜「いつとか今とか関係ありませんっ!」
茜「私は、プロデューサーのことをいつだって信じていますが…!」
茜「でも、今のは絶対に許しません!!」
茜「私、バカですけど…」
茜「今、プロデューサーがしようとしていたことが間違っていたことぐらいわかりますからっ!!」
P「茜…」
P「…すまん、茜」
P「茜の言う通り、俺は間違ったことをしようとしていたかもしれない」
P「自分でも無意識に…なんて言い訳に聞こえると思うが…」
茜「プロデューサー…」
P「……」
P「(…茜、か)」
P「(茜は何一つ、間違っていない)」
P「(そう理解していても、今は説教なんか聞きたくない…)」
P「(特に気合いとか、情熱だとか…)」
P「(それでどうにかなるなら、とっくに…)」
P「(出来るだけ早く、この場を離れたい…)」
P「(……最悪だな、俺って)」
P「…すまなかったな、茜」
P「なんかヘンに気を遣わせてしまって…」
P「俺なら大丈夫だから…な?」
茜「……」
茜「…プロデューサー!」
P「…なんだ?」
茜「私、意外とわかるほうですっ!!」
P「…えっ?」
茜「だから安心してくださいっ!」
茜「私、さっきはプロデューサーに本気で怒りました!!」
茜「でも、それはプロデューサーが私にとって大事な人だからであってですね…!」
茜「その事実はこれから先もずっと変わらないわけであり…」
P「…茜?」
茜「はいっ!なんでしょう!?」
P「わかるって…何がだ?」
茜「疲労やストレスです!!」
P「!?」
P「(あ、茜には無縁っぽい単語が二つも出てきた…!?)」
P「(いや、どっちも吹き飛ばす!!なんてことは前に言ったことがあったか…?)」
茜「それで、どこまで話をしましたっけ…」
茜「……」
茜「…まとめちゃいましょう!!」
P「う、うん…」
茜「つまり私が言いたいのはですね…!」
茜「自分一人だけじゃなくて、誰かの協力も必要だってことなんですっ!!」
茜「そう!プロデューサーとアイドル…あなたと私みたいな関係ですね!!」
茜「えっと…!だから…!」
P「……」
P「…茜、ゆっくりで良いからな?」
茜「えっ?」
P「俺、ちゃんと聞いてるから」
茜「あ…」
茜「…はいっ!ありがとうございますっ!!」
茜「……」
茜「…うん!そうですっ!!」
茜「気持ちの問題は、一人で乗り越えなくても良いんですっ!!」
P「…!」
茜「つらいって思いは、その人だけにしかわからないものかもしれませんが…」
茜「つらそうにしているのは、周りの誰かがわかるものなんです!!」
茜「そこで分かってあげられて…話も聞いてあげられて…」
茜「私、そういうものだと思っています!そうでありたいですっ!!」
茜「気合い、情熱…私のモットーですが押し付けません!!」
茜「支えさせてください!あなたのことを!!」
茜「だから…そのぉ…!」
P「……」
P「…茜」ナデナデ…
茜「あっ…」
P「ホント、なにやってんだろうな俺」
P「茜は本気で俺のこと考えてくれて…心配してくれて…」
P「情けないな、おれはっ…」
茜「…っ!」
茜「ご、ごめんなさいっ…!!」
P「なんで、茜が謝るんだよ…?」
茜「わ、私…プロデューサーのこと怒りましたっ…!」
茜「ぐすっ…間違っているって言っちゃいましたっ!!」
茜「今はそんな一言だってつらいはずなのにぃ…!」
P「…けど、俺のことが大事だから言ってくれたんだろう?」
茜「…えっ?」
P「つらい思いは本人にしか…って話してくれたな?」
茜「は、はい…」
P「でも、つらそうな俺をわかってくれたよな茜は」
茜「あ、その…」
茜「これでも元マネージャーですし、部員のみんなのメンタルケアとかやってるうちにわかっているつもりだったんですが…」
P「あぁ…なるほど…」
P「(そう考えてみれば意外ではなく当然に近いものだったか…)」
茜「けど…私ばっかり喋ってて、プロデューサーのお話は…!」
P「それは、これから聞いてくれるんだろう?」
茜「え?」
P「聞いてほしいんだ、茜に」
茜「…は、はいっ!」
茜「もちろんですっ!!」
P「…ありがとう」
P「…さっき、茜に引きとめられた時なんだけどさ」
P「正直に言うと、茜とは話をしたくないなって考えてた」
P「テンション的に今は…ホント酷い話だな…」
P「まずは、ごめんな」
茜「いえっ!そんなっ…!!」
P「それと、さっきも言ったけどありがとうな」
P「俺のこと…気持ちの問題を真剣に考えてくれて」
P「茜の一つ一つの言葉がホントまっすぐでさ…」
P「自分は情けなくて、またつらい気持ちになって…」
茜「あう…」
P「でも、嬉しかった」
P「しっかりと伝わったんだ、茜の熱い想いが」
茜「…プロデューサー」
P「俺、誰とも話をしたくない時の方が今は多いかもしれない」
P「けど、誰かと話をしたいって思う時もあると思う」
P「…上手くまとめられないんだけど」
P「こんな不安定な俺もでも茜は支えてくれるか?」
P「茜のことを信じても…」
茜「はいっ!!」
P「うおっ…!?」
茜「信じてください!!」
茜「見守る時は見守って…」
茜「支える時はずっと支えます!!」
茜「幸せな時間はたくさんありますが…」
茜「あなたといる時間が私にとっての一番の幸せですからっ!!」
茜「…えへっ♪」
P「茜…ありがとな」
P「(なんで最後にちょっとはにかむんだよ…)」
P「(可愛いな、くそう…)」
茜「ところでプロデューサー?」
P「ん?」
茜「帰り道、途中まで一緒ですけど…私はどうすれば?」
P「あー…」
P「……」
P「うん。一緒に帰ろうか?」
茜「…無理してませんか?」
P「今は、うん…大丈夫だ」
茜「…そうですかっ!」
茜「じゃあ二人で夕日に向かって歩きましょう!」
P「あぁ」
P「…あ、そうだ」
茜「どうしました!?やっぱり私は走って帰るべきですか!?」
P「あーいやいや。そうじゃなくて」
茜「?」
P「茜、いつの間に俺の後ろにいたんだろうって思ってさ」
P「全然気がつかなかった」
茜「うーん…いつの間にと言われましてもねー…」
茜「あっ!この前、あやめちゃんと遊びました!!」
P「そうか。忍者なら仕方ないな」
茜「はいっ!ニンッ♪」
茜「……」
茜「(…そのままあやめちゃんの言葉を借りちゃいますが)」
茜「(私はいついかなる時でも、全身全霊で主君をお守りしますっ!!)」
一旦ここまで
また書けたら日曜か月曜あたりに
疲れ果てる前に休もう
――――――――――
―――――――
―――――
P「ん、ぐぅ…」
P「……」
P「…あー」
P「(もう、こんな時間か…)」
P「……」
P「…仕事、行きたくないなぁ」
P「(ここ最近はそんなこと思わなかったのにな…)」
P「(アイドル達と一緒に頑張ることが嬉しくて)」
P「(つらい時でもアイドル達がいるから頑張ってこれて)」
P「(それが今じゃ、どうして…)」
P「(…休日返上で寝る間も惜しんで仕事して)」
P「(それが知らず知らずのうちに自分を追い込んでたのかもしれない…)」
P「……」
P「…いっそ思い切って休んでやろうか」
P「(うん。そうだよ)」
P「(むしろ今までが働き過ぎてたわけなんだ)」
P「(一日ぐらいサボったってバチは当たらないだろう)」
P「(たまにはリフレッシュする時間だって必要だよな)」
P「……」
P「(今日は大きな仕事は無かったよな…?)」
P「……」
P「(…って、そこで仕事のことを考えるから精神的に疲れるんだよ)」
P「(今日はもう仕事のことは忘れて眠ってしまおう)」
P「(それで目が覚めたら…たまには一人で酒を飲みに行くのも良いな)」
P「(よし!それじゃあ携帯の電源も切って…と)」
P「……」
P「(…無断欠勤か)」
P「(アヤにこずえに茜…)」
P「(3人の気持ちをこうして俺は無駄にしてしまうのか…)」
翌日
P「(…結局、良い言い訳が思いつかなかった)」
P「(事務所までの足取りが重い…)」
P「(携帯の電源も今も切ったままだしなぁ…)」
P「(かと言って、二日続けて休むわけにもいかないし…)」
P「(みんなには素直に謝るしかないか…)」
P「(はぁ…こんなことで憂鬱になるなら無断欠勤じゃなくて、ちゃんと連絡の一つでも入れれば良かったな…)」
P「(なんだか丸一日休んだのに余計に体調悪化した気分だ…)」
P「(今日はきっとみんなに凄く怒られるんだろうな…)」
P「(もしかしたら、昨日サボっただけで見限られている可能性も…)」
P「……」
P「(事務所の前までついたけど…)」
P「(怖いからやっぱり帰るか…)」
P「(もう一日だけなら…)」
ちひろ「…プロデューサーさん?」
P「…!」ビクッ…
P「ち、ちひろさん…」
ちひろ「えっと…」
P「あ、あの…ちひろさん、俺…」
ちひろ「……」
ちひろ「…大丈夫ですよ」
P「本当にすいませ…」
P「…えっ?」
ちひろ「プロデューサーさん、有休貯まってましたから」
ちひろ「昨日は有休扱いになってますよ♪」
ちひろ「ちなみに今日、明日も有休取れますから…」
ちひろ「ゆっくり休んでもらっていいんですよ?」
ちひろ「ここのところ働きづめでしたし…」
P「……」
P「…ちひろさん?」
ちひろ「はい?なんでしょう?」
P「その…怒らないんですか?」
ちひろ「怒りませんよ」
ちひろ「今日、こうして会えて嬉しい気持ちの方が大きいです」
P「だけど、俺…」
ちひろ「……」
ちひろ「私たち、いつも一緒にいたんですよ?」
ちひろ「実はあなたがちょっと疲れてたんだなってことぐらいわかってました」
P「あ…」
ちひろ「なのに、ごめんなさい…」
ちひろ「私が思っているよりもプロデューサーさんはずっと疲れていたんですね…」
ちひろ「それに気がつくことが出来なくて…私…」
P「そんな…ちひろさんが謝ることじゃ…」
P「悪いのは俺で…」
ちひろ「ストップです」
ちひろ「さっきも言いましたが、プロデューサーさんは疲れているんです」
ちひろ「風邪を引いたら安静にするでしょう?」
ちひろ「それと同じで、気持ちが疲れた時は気持ちを休ませなきゃいけません」
ちひろ「確かに無断欠勤は良くないことだとは思います」
ちひろ「だけど、そのことを責めたりしたらまた疲れてしまうでしょう?」
P「……」
ちひろ「だから大丈夫です」
ちひろ「今、あなたは有休休暇をとってリフレッシュをしているだけなんですから」
P「ちひろさん…」
P「…すいません」
ちひろ「謝らなくていいんですよ」
ちひろ「あなたの気持ちが少しでも楽になれば私はそれで良いんですから」
P「…っ」
P「ありがとう、ございます…」
ちひろ「ふふっ♪お礼を言ってもらえる方が嬉しいですっ」
ちひろ「あ、それでどうします?」
ちひろ「社長は今日も有休扱いでも大丈夫だって…」
P「でも…流石に二日連続休むのは…」
ちひろ「けど、今日も大きな仕事はありませんし…」
P「でも、アイドル達とも話を…」
ちひろ「じゃあ、それで良いんじゃないですか?」
P「えっ?」
ちひろ「そうだ!今日、裕美ちゃんがオフなんですけど…」
ちひろ「プロデューサーさんのことが心配でって、今日事務所に来てるんですよ」
P「裕美が…」
ちひろ「応接室にいますから会いにいってあげてください」
ちひろ「…きっと今のプロデューサーさんにとって今一番必要な子だと思うから」
P「……」
P「…はい」
P「―――裕美、か」
P「(裕美は最近随分と笑顔を見せるようになった)」
P「(自然で柔らかい…本当に可愛らしい笑顔だ)」
P「(最初は上手く笑えなくて、自分に自信が持てなくて…)」
P「(アイドルを辞めよう…って何度も口にしてたよな…)」
P「(だけど、彼女は諦めなかった)」
P「(最後には自分自身と向き合って、アイドルとしての一歩を踏み出した)」
P「(…今の裕美はとても幸せそうだ)」
P「(その笑顔…叶えた願い…)」
P「(確かに俺には今一番必要な姿なのかもしれない…)」
P「(それが羨ましくて…余計につらくなるだけでも…)」
P「…裕美?」ガチャ…
裕美「あっ…」
P「ごめんな?なんか待たせちゃったみたいで…」
裕美「……」
裕美「…ううん」
裕美「おはよう!Pさんっ」
P「…うん、おはよう」
裕美「……」
P「……」
P「…責めたりしないのか?」
裕美「えっ?」
P「俺は昨日、無断で仕事休んでみんなに迷惑かけて…」
P「(違う…こういうことが言いたいわけじゃないのに…)」
裕美「それは…」
裕美「……」
P「(それで裕美を困らせて…何してるんだろう俺は…)」
裕美「…怒れないよ」
P「…えっ?」
裕美「…ねぇ、Pさん?」ぎゅっ…
P「っと…」
P「…どうした?」
裕美「…ふふっ♪」
裕美「つーかまえたっ!」
P「ひ、裕美?」
裕美「つかまえたから、もう離しません」
P「離しませんって言われても…」
P「(裕美がこうしてくっついてくるのは珍しいな…)」
裕美「……」
裕美「…あのね、Pさん」
裕美「私…私ね…」
裕美「すごく、こわかったよ」
P「…!」
裕美「わがままだけど、聞いてね?」
裕美「今はまだ、そばにいてほしいの」
裕美「思い出をこれからも、一緒につくりたい…」
P「…裕美」
裕美「私の幸せはね、Pさん」
裕美「いつもPさんが、隣にいたんだよ?」
裕美「だから、お願い…」
裕美「もっと私と…」
P「……」
裕美「ホントに…本当にっ…」
裕美「こわかったよぉ…」
裕美「も、もう会えないんじゃないかって…」
P「…っ」
P「(俺は馬鹿だ)」
P「(裕美の笑顔も願いも…)」
P「(裕美が一人で手に入れたものじゃない)」
P「(そこには…俺も確かにいたんだ…)」
P「(幸せをつかんだ…幸せにした…)」
P「(…違う)」
P「(一緒に幸せになっていったんだ)」
P「(一緒に頑張って…それで…)」
P「……」
P「(ああ…そうか…)」
P「(今の俺って、昔の裕美に似ているんだ…)」
P「(ふさぎ込んでいて…だけど本当は変わりたくて…)」
裕美「…Pさん」
裕美「一緒なら、平気だよね?」
裕美「Pさんが一緒なら大丈夫って…私、知ってるよ…」
P「(そう。一緒だったんだ)」
P「(俺が裕美を変える手助けをしてあげられたように…)」
P「(裕美もきっと、俺を…)」
P「(今ならちひろさんが、裕美が俺にとって必要な子だっていう本当の意味がわかる)」
P「(裕美は…俺自身なんだ)」
P「裕美…」
裕美「…はい」
P「(俺たちは今はまだ誰かの力が無いと崩れてしまう…)」
P「(依存…他力本願…)」
P「(弱さをさらけ出して生きていくこと、それを認めること)」
P「お前は、いつまでも俺のアイドルだ」ぎゅっ…
裕美「…!」
P「(果たして正しい生き方なんだろうか?)」
P「(だけど、そこからじゃないと見いだせない幸せもきっとあるはずだ)」
P「裕美が俺をつかまえたように、俺も裕美のことをつかまえてるから…」
P「1人でどこにも行くなよ?」
裕美「…うんっ」
裕美「こんなにも近くにいるんだよ?」
裕美「より一層、一緒にいたいなって気持ちが強くなるの…」
裕美「1人になんか、なりたくないよ…」
P「…そっか」
P「なあ、裕美?」
裕美「うん?」
P「今、笑えるか?」
裕美「……」
裕美「…うんっ!!えへへっ♪」
裕美「(あなたが望むなら、いつも最高の笑顔を)」
裕美「(あなたがいれば、私は幸せだから笑えるもの…)」
一旦ここまで
また書けたらそのうち
最近、俺の関ちゃん喋ってるんだけど幻聴かな
――――――――――――
―――――――――
―――――――
アヤ「んー…」
こずえ「あやー…?おべんきょうなのぉ…?」
アヤ「おー。お勉強中だぜー」
こずえ「あいどるも…おべんきょうしなきゃだめなのー?」
アヤ「そうだなあ…」
アヤ「勉強しないと、わからないことはずっとわからないままだしな…」
こずえ「おべんきょうすれば…わかるぅー…?」
アヤ「…うん」
アヤ「きっと、な」
アヤ「(こころの病気ってのは厄介なもんだ)」
アヤ「(原因も症状も調べてみると色々ありすぎるぜ…)」
アヤ「(この前はPの奴、事務所来れなかったけど…)」
アヤ「(そっとしておいてやるのが一番なんだろうな、今は)」
アヤ「(…もどかしいけどよ)」
―――――――――――――
――――――――――
――――――
乃々「あ、あううぅ…」
乃々「(も、もりくぼは…今日も今日とて机の下に隠れようとしたんです…)」
乃々「(でも…最近はプロデューサーさん元気無くて…)」
乃々「(私が逃げてる場合じゃない)」
乃々「(…とも思ったりもしましたが、やはり習性というものがありまして)」
乃々「(でもでも…)」
茜「乃々ちゃん!新しく引っ越してきた日野茜ですっ!!」
乃々「……」
乃々「(むーりぃ…っていうか)」
乃々「ど、どうしてぇー!?」
茜「これも話すと長くなるんですが…」
乃々「な、長いんですか…」
乃々「(も、もりくぼと…真逆の人が引っ越してきちゃったんですけど…)」
乃々「(実は若干もりくぼの方が、背は大きいんですが…)」
乃々「(日野茜さんという人は、もりくぼの何倍も大きい元気玉みたいな人です…)」
乃々「(多分…フリーザぐらいになら勝てるんじゃないでしょうか?)」
乃々「(と、とりあえず…まずは話を聞いてみましょう…)」
茜「あの日…私はいついかなる時もプロデューサーのことを守ると誓いまして…」
乃々「…!」
茜「だったら、プロデューサーに出来るだけ近い場所にいなければならないと思ったんですっ!!」
茜「ですから…!」
乃々「……」
乃々「(日野さんは、やはりもりくぼよりも何倍も大きい人です…)」
乃々「(誰かを守るなんて言葉…)」
乃々「(私は、胸を張って言えますか?)」
乃々「(おかしいですよね…)」
乃々「(私は…たくさんプロデューサーさんに優しくしてもらって…)」
乃々「(厳しい時も、もちろんありましたが…)」
乃々「(それでも、いつも最後には笑顔を見せて安心させてくれて…)」
乃々「(なのに…私はっ…!)」
乃々「う、あぅ…」
乃々「…んぐ、ひっぐ…!」
茜「の、乃々ちゃん!?」
乃々「(あぁ…情けない…)」
乃々「(一番最初に出てしまうのが、涙だなんて…)」
乃々「(もう…溢れ出したら制御が効かなくってしまう…)」
乃々「(だけど、涙が止まったら…勇気を出そう…)」
乃々「(少しでも、胸を張って)」
乃々「(自分以外の誰か…)」
乃々「(そう…大切な人の為に…)」
茜「……」
茜「(…涙を流すときの感情って様々ですよね)」
茜「(悲しいとき…悔しいとき…)」
茜「(つらいときも、人が涙を流す理由になるでしょう)」
茜「(でも、悲しみやつらさを分かち合い…)」
茜「(それを嬉し涙にだって変えることは出来るはず…!)」
茜「(私はそう思える自分でありたい…!!)」
茜「(だから今、私がすべきことは乃々ちゃんの気持ちをわかってあげること!)」
茜「(押しつけがましいかもしれませんが、それが私の生き方だからっ!!)」
茜「……」
茜「(突然お引越ししてきたから、びっくりして泣いちゃったとか無いですよね?)」
茜「(…無いですよね?)」
短いけど一旦ここまで
またそのうちかけたら
もりくぼ、俺も森に逃げたいよ
>>61
脱字見つけちゃったんで訂正
乃々「(もう…溢れ出したら制御が効かなくってしまう…)」→×
乃々「(もう…溢れ出したら制御が効かなくなってしまう…)」→○
他にもあるかもだけどわからないから許して
―――――――――――
―――――――――
―――――――
裕美「あの…夕美さん、今大丈夫ですか?」
夕美「ん?」
夕美「あっ、裕美ちゃん!こんにちはっ♪」
夕美「今は平気だよ!」
夕美「私に何か用かなっ?」
裕美「あ、ありがとうございます」
裕美「(相変わらず笑顔が素敵な人…)」
裕美「(それでいて優しくて…憧れちゃうな…)」
夕美「裕美ちゃん?」
裕美「あっ…ご、ごめんなさいっ」
裕美「(…でも、私だって夕美さんみたいな笑顔を)」
裕美「(Pさんに届けてあげるんだ…自信を持って)」
裕美「その…お花のことでちょっと悩んでて…」
夕美「お花?」
夕美「それならまかせてっ!」
夕美「お世話からの仕方、花言葉…」
夕美「お花のことならなんでも聞いてね♪」
裕美「花言葉…」
裕美「そういうのもあるんだ…」
夕美「…ふんふん」
夕美「花言葉に反応したってことは、もしかしてプレゼントの相談かなっ?」
裕美「あ…そ、その通りですっ」
夕美「うんうん♪お花には想いが込められているからね!」
夕美「プレゼントには最適だと思うなっ♪」
夕美「…って、私の好みだからそう言っちゃうんだけどね…えへ♪」
裕美「(…かわいい)」
裕美「えっと、でも…お花そのものをプレゼントしようと思ってるわけじゃなくて」
裕美「お花をかたどったアクセサリーを作りたいんです」
裕美「それで、そのお花を何にしようって悩んでいて…」
夕美「私のところに来てくれたってわけなんだね」
夕美「お花のアクセサリーなんて素敵だね♪」
裕美「ほ、本当ですか?」
夕美「うんっ!」
夕美「それならやっぱり花言葉を大切にして選んで欲しいなっ」
夕美「プレゼントしたい人に裕美ちゃんが何を伝えたいのか…」
夕美「その人にどうあってほしいのか…」
夕美「ポイントはその二つだと思うっ!」
裕美「伝えたいこと…どうあってほしいのか…」
裕美「(…私が今、あの人に)」
裕美「その…色はこの色かなっていう候補があって…」
夕美「あっ、そうなんだ?」
夕美「良かったら教えてくれるかな?」
裕美「青が良いかなって…思うんです」
夕美「青色?」
夕美「プレゼントしたい人は青色が好きなのかな?」
裕美「好きかどうかはわからないんですけど…」
裕美「色の持つ意味を調べていたら…青が一番いいなって思ったんです」
夕美「青色の持つ意味…」
裕美「…休息や安全って意味があるみたいなんです」
夕美「…!」
夕美「それって…」
裕美「それに…心の平和やコミュニケーションを象徴する色だって…」
夕美「…裕美ちゃん」
裕美「…もう、気づかれてるかと思いますけど」
裕美「優しさや愛情も伝えたい…」
裕美「だけど今は少しでも…その人に癒されてほしいなって…」
裕美「あの人が幸せなら、私も幸せだから…」
夕美「……」
夕美「そっか…」
夕美「大好きなんだね、その人のことが」
裕美「……」
裕美「…うん」
裕美「大好き…です」
夕美「(…罪深いなぁ、あの人も)」
夕美「青のお花か…」
夕美「…うん!」
夕美「それなら青いバラがオススメかなっ♪」
裕美「青い…バラですか?」
夕美「昔はね、あんまり良くない意味の花言葉を持ってたんだけどね」
夕美「青いバラは作ることが出来ないお花って言われてたから」
裕美「…どういう花言葉だったんですか?」
夕美「不可能、あり得ない、かな」
裕美「……」
夕美「でも、今は違うの」
夕美「青いバラは実現された」
夕美「不可能が可能になって…」
夕美「そして、新しい花言葉が生まれたんだ」
夕美「祝福…奇跡…」
夕美「そして…夢が叶う」
裕美「夢を叶える…」
夕美「叶わないものなんて、ない」
夕美「その想いを込めて、プレゼントをしてあげたら…」
夕美「きっと伝わるよっ」
夕美「もしかしたら、その人は諦めかけている気持ちはあるかもしれない…」
夕美「だけど、気持ちの奥底では願っているはずだよ」
夕美「またいつか元気に、笑顔で、って」
夕美「…その想いは叶うよ」
夕美「だって…私たちだって願っているんだものっ!」
裕美「夕美さん…」
裕美「…うんっ」
裕美「そうですよね…きっと…ううん…」
裕美「…絶対!」
夕美「うんっ♪」
裕美「…あの、もし良かったら夕美さんも一緒に作りませんか?」
夕美「私も?良いの?」
裕美「はいっ!是非っ」
夕美「私、アクセサリーとか作ったことないけど…平気かな?」
裕美「ビーズアクセは思ってるよりも難しくなんかないですよ」
裕美「それにわからないことは私が教えるんで」
夕美「それなら…」
夕美「…ご一緒させてもらおうかなっ♪」
裕美「…!」
裕美「はいっ♪」
一旦ここまで
俺の中で相葉ちゃんと関ちゃんってなかよしだと思う
―――――――――――
――――――――
――――――
P「ふぅー…」
P「…あー」
P「(今日はちょっとダメな日っぽいな…)」
P「……」
P「(…っていうか)」
P「(ダメじゃない時の自分ってどんな感じだったかな…)」
P「(過去を取り戻そうとしても、過去の自分の姿を思い出せない)」
P「(まるで、最初から存在してなかったかのように)」
P「(嫌なことから目を背けて酒や煙草に逃げだしている今の俺は…)」
P「(アイドル達にどう映っているのだろうか?)」
P「(支えたいと、言ってくれた子がいる)」
P「(一緒にいたいと、言ってくれた子がいる)」
P「(それだけの価値が俺にはあるのだろうか…?)」
P「(俺はアイドル達の為に何もしてあげられないのに…)」
「屋上にいたのかP…今日は冷えるだろう?」
P「…!?」
晶葉「そ、そう身構えないでほしい…」
晶葉「私だって一応女の子だ…ちょっとは傷つくぞ…」
P「あ、晶葉か…」
P「…すまん。普段この屋上で誰かと会うこと無いから驚いちゃってさ…」
晶葉「…まぁ、そういうことにしておこうか」
晶葉「深追いするのも良くはないだろう…」
P「ははっ…すまないな…」
P「(晶葉か…)」
P「(晶葉は物わかりも良いし…今の俺の気持ちを察してくれそうだが…)」
P「……」
P「(…察してもらえたところで、どうして欲しいんだって話になってしまうけど)」
晶葉「…と、言いたいのはやまやまなんだが」
P「えっ?」
晶葉「たまには寒空の下でキミと語り合うのも良いなと思ったんだ」
晶葉「少しばかり話をしようじゃないか?」
晶葉「…ダメか?」
P「晶葉…」
P「……」
P「…あぁ、構わないよ」
晶葉「…煙草を吸う姿なんて珍しいな」
P「まぁ、まずアイドル達の前で吸おうとも思わないからな…」
晶葉「…邪魔をしてしまったかな?」
P「いや、大丈夫だ」
P「そもそも普段は吸わないし…健康にも悪いしな」
晶葉「そうか…」
晶葉「確かに百害あって一利なしとは言ったものだが…」
晶葉「必ずしもデメリットばかりでは無いんだぞ?」
P「そうなのか?」
晶葉「いや、もちろん私は吸っていないし吸ったこともない」
晶葉「喫煙することを勧めているわけでもない」
晶葉「ただ多少なりの知識を持っているだけさ」
P「そんなことは微塵も疑ってなかったが…まぁ、安心だな」
晶葉「こほん…話が逸れてしまったな」
晶葉「そもそも煙草に含まれているニコチンには脳に刺激を与える効果があるんだ」
晶葉「側坐核と言って…人の意欲を司る部分でな…」
晶葉「この部分が活性化すると人はやる気を出すことが出来るという」
P「へぇ…」
晶葉「あとはよく言われるのがストレスの解消だな」
晶葉「まぁ、これに関してはその場しのぎでしか無いのかもしれないが…」
P「流石だな、晶葉は…煙草一つだけでそんなに知識があるなんて…」
晶葉「ふふんっ♪」
晶葉「これでも天才という名で世に出ているアイドルだからな!」
晶葉「ロボ以外の知識だって、ここにはたくさん詰まっているよ!」
P「本当に大したものだよ」
P「…晶葉ぐらい頭が良ければ俺ももっと器用に生きられるのかな」
晶葉「……」
晶葉「…そんな悲しいことを言わないでくれ、P」
P「…えっ?」
晶葉「私は確かに天才であり…変わり者であることも受け入れている」
晶葉「だけど、それと同時に周りの女の子たちと同じでありたい思っている」
P「…!」
晶葉「去年の夏の話になるが…」
晶葉「嬉しかったんだよ、私」
晶葉「私が華やかなランウェイの上を歩いてさ…ファンのみんなが…」
晶葉「…Pが、かわいいって言ってくれたこと」
晶葉「今でも忘れない…」
P「……」
晶葉「私一人だけの力じゃ一生夢物語だっただろうな、あんな景色…」
晶葉「…他でもないPが後押しをしてくれたんだよ?」
晶葉「だから他の誰かみたいになれたらなんて言わないほしい」
晶葉「私はPがPだったから、こんなにも楽しくアイドルをやってこれたのだから…」
P「晶葉…」
P「…ごめんな」
晶葉「謝らないでくれ」
晶葉「少しでも私の気持ちが伝わったなら、それで良いんだ…」
P「……」
P「(確かに晶葉を特別視していた部分が無かったとは言い切れない…)」
P「(でも、他の女の子と同じだったんだ)」
P「(かわいいって言われて嬉しくなって、笑顔になる女の子…)」
P「(わかっていたはずなのに…俺…)」
P「(それを本人に気づかされてしまうなんてな…)」
P「…ありがとう、晶葉」
晶葉「…!」
晶葉「…うんっ」
晶葉「ま、まぁでも…あれだ」
晶葉「実は本題が別にあってな…」
P「ん?」
P「なんだ、元々用事があったのか?」
晶葉「用事と言えばそうなるのかな…」
P「…?」
P「(珍しく歯切れが悪いな…)」
晶葉「……」
晶葉「…うん!」
晶葉「今度は私がPの後押しをしたいんだ!」
晶葉「聞いてくれるか?」
P「あ、あぁ…」
晶葉「…P」
晶葉「医者に、かかってみないか?」
晶葉「所謂…メンタルクリニックにさ…」
P「……」
P「…えっ?」
一旦ここまで
やっぱりいずれは完結させなきゃねこの話も
P「メンタルクリニックって…」
晶葉「…心療内科や精神科と言った方が馴染みがあるのかな」
晶葉「こころの疾患を扱う場所のことだな…」
P「……」
P「こころの…疾患か…」
P「そっか…そう、だよな」
晶葉「あ…!」
晶葉「そ、その!気を悪くしないでほしいんだ!」
晶葉「決して私は今のPが異常だとは思っていない!!」
晶葉「ただ…P自身が思っている以上に疲れてしまっていることを受け止めてもらいたくて…!」
晶葉「……」
晶葉「…すまない」
晶葉「Pの気持ちを無視して、こんなことを言ってしまって…」
晶葉「それでも…」
P「…いいんだよ、晶葉」
晶葉「…えっ?」
P「最近の俺はな…」
P「アイドルのみんなに伝えたいことを伝えられれば…」
P「少しは気持ちも楽になるんだろうって考えてたんだ」
晶葉「…うん」
P「それは今も間違いなんかじゃないと思っている」
P「みんな…優しいしな…」
晶葉「……」
P「でも、それだけじゃダメだったんだよな」
P「俺が受け入れなきゃいけなかった」
P「今の自分が…病気だってことをさ」
晶葉「…キミが他の子たちとどんな会話をしたのかは知らない」
晶葉「だけど…その時間はPにとって必要なものだったはずさ」
P「うん…」
P「今日までみんなに救われてきたんだ」
P「あとは、俺が一歩踏み出さないとな」
晶葉「P…」
P「けど、メンタルクリニックなんて通ったことないから…」
P「ちょっと不安な気持ちもあるけどな…」
晶葉「…どうしても無理なら、今じゃなくてもいいさ」
晶葉「それまでは私たちが、Pが倒れないように受け止めているから…」
P「…ありがとな、晶葉」
P「でも、通ってみるよ俺」
P「アイドルのみんなに頼っているだけじゃない…」
P「頼られるプロデューサーに変わりたいから…」
晶葉「…そうか」
晶葉「後押しが出来たみたいなら、嬉しいよ」
P「うん…本当にありがとう…晶葉」
晶葉「だが、これだけは言わせてほしい」
P「えっ?」
晶葉「私たちアイドルとプロデューサーであるPは、仲間であり家族だ」
晶葉「これまで、何度もお互いがお互いを頼ってきたものだと思っている」
P「それは…」
晶葉「そして今も、これからも…Pは私たちにとって頼れるプロデューサーさ」
晶葉「変わりにいくんじゃない」
晶葉「取り戻しにいくんだよ、頼りになる自分という自信を」
P「…!」
P「晶葉…」
晶葉「…ね?」
P「……」
P「…あぁ!」
―――――――――――
――――――――
――――――
P「さて…」
P「(まずは予約の電話をしないといけないな…)」
P「(晶葉の情報によると…)」
P「(今、PCで閲覧してるクリニックが評判良いと聞いたが…)」
P「……」ピポパ…
trrrrrrrrrrr…
『はい、川島メンタルクリニックです』
P「あ、えっと…」
P「はじめてかかりたいんですが…」
『初診の方ですね。お電話ありがとうございます』
『日時はいつをご希望でしょうか?』
P「そうですね…」
P「出来れば早い方が良いと思っているんですが…」
『そうしますと―――』
―――――――――――
――――――――
――――――
P「……」
P「(まさか翌日の夕方に予約が取れるとは思わなかったな…)」
P「(つらいときに、すぐにわかるわをモットーにしてるクリニックらしいが…)」
P「(いざ目の前にすると、やっぱり緊張してしまうな…)」
P「(あ、入り口すぐが受付か)」
清良「こんにちは♪」
P「あ、こ、こんちには…」
P「その…予約していたモバですけど…」
清良「はいっ、お待ちしておりました」
清良「うふふっ、そんなに緊張なさらなくて大丈夫ですよ♪」
P「あ、はは…すいません…」
P「(受付の人…明るくて美人だな…)」
P「(クリニックの中も綺麗で落ち着いた感じだし…)」
P「(…少し、安心した)」
清良「まずは保険証を拝見してもよろしいでしょうか?」
P「あ、はい」
清良「――ありがとうございます♪」
清良「それでは、次にこちらの問診票をお書きください」
清良「待合席で書いていただいて大丈夫ですので、お願いしますね」
P「はい…」
P「(問診票か…)」
P「(メンタルクリニックだから、どんな悩みがあるのかって内容は当然だけど…)」
P「(俺の一番の悩みってなんだろうな…)」
P「(気分が落ちている?夜あまり眠れない?)」
P「(それともそれらの原因であると思われるストレス?)」
P「……」
P「(思いついたこと全部書いちゃうか…)」
P「――あ、書けました」
清良「ありがとうございます」
清良「モバさん、本日はカウンセリングの方も希望しますか?」
P「カウンセリング…ですか?」
清良「はい♪」
清良「カウンセリングは医師の診察とは別に、心理士にお話を聞かせていただきまして…」
清良「今後の生活でのアドバイスなどをさせていただいてます」
清良「川島メンタルクリニックはカウンセリングを重視したクリニックなんですよ」
P「そうなんですか…」
P「(要するに悩み相談のプロってところか…)」
P「(そういう人と話をすれば、俺も今の現状をしっかり整理出来るかな…)」
P「じゃあ…カウンセリングもお願いします」
清良「かしこまりました♪」
清良「では、少しの間お席の方でお待ちくださいね」
P「はい」
P「……」
P「(診察に、カウンセリングか…)」
P「(どんな風に行われていくんだろう…)」
一旦ここまで
また書けたら
この清良さんはアイドルじゃなくてクリニックで働いている設定です
清良さんPの人、ごめんね
あと医師と心理士もアイドルの中から書くつもりなので先に謝っておきます
「――お待たせしました、モバさん」ガチャ…
「こちらの方までお越しください」
P「あ、はい…」
P「(…診察室では無さそうだな)」
P「(カウセリングの方が先ってことか)」
P「…失礼します」
「どうぞお掛けになってください」
P「はい、ありがとうございます」
P「(…こう言うのも失礼かもしれないが)」
P「(随分と中性的な女性だな…)」
「では、自己紹介をしましょうか」
「はじめまして」
あい「心理士の東郷あいです」
P「モバです。よろしくお願いします」
あい「こちらこそ」
あい「では…お堅い挨拶はこれぐらいにしておこうか…」
P「…えっ?」
あい「モバさん」
P「は、はい…」
あい「私は心理士…カウンセラーとして常に患者の方とは対等な立場でいたいと思っている」
あい「これから先は貴方に対して敬語で無くなることを許してほしい」
あい「それと同時に…貴方も私に対して気を遣わないでほしい」
あい「どんなことでも気軽に話せる友人のように思ってもらいたいんだ」
あい「まずはこれらのことを了承していただきたい」
P「……」
P「(気軽に話せる友人、か…)」
P「(ただ心理士の女性って認識するよりも、その方が全部話しやすいかもしれないな…)」
P「(俺自身も、今までアイドル達とは対等な関係でやってきたつもりだったし…)」
P「…はい、わかりました」
あい「ありがとう」
P「けど、僕は東郷さんに対して敬語でも大丈夫ですか?」
あい「あぁ、もちろんそれでも構わない」
あい「フッ…貴方の真面目さが伝わってくるよ」
あい「だが、いずれは下の名で呼び合える仲になりたいものだね…」
P「あ、あはは…」
P「(…流石は心理士といったところなのだろうか)」
P「(違う意味でこころを奪われそうだぞ…)」
あい「さて…問診票には目を通させてもらったのだが…」
あい「改めて、貴方の悩みを聞かせてほしい」
P「あ…えっと…」
P「最近、気持ちに余裕が無いというか…」
P「それを理解してくれる人がいるのはわかってるんですけど…」
あい「うん…」
P「1人でいる時は、どうしても沈みがちになってしまって…」
P「最近は調子の良い日もあるんですが…」
P「駄目な時は、本当に駄目で仕事に行けないくらいになってしまって…」
P「なんていうかストレスが酷くて…凄い不安定な状態になってるなって…」
あい「…そうか」
あい「それはとても、つらかったろう…」
P「…はい」
あい「問診票によると、夜中もあまり眠れていないようだね?」
P「そうですね…」
P「あれこれ考えていたら、気づいたら朝になってしまっている感じで…」
あい「ふんふん…」
あい「眠れるときは大体何時間ぐらい眠れるだろうか?」
P「大体3、4時間程度ですかね…」
あい「食欲はどうだい?」
P「食欲は、わりとある方です…」
あい「うん…」
あい「今、話してもらった症状はいつ頃から現れたのかな?」
P「ここ数ヶ月の間になりますね…」
P「それまでは仕事や人間関係でのストレスって感じたことは無かったんですが…」
あい「なるほどな…」
あい「まずは、仕事に行けないことがあるというが…」
あい「つらい時は仕事に行きたくない、行けないというのは普通のことさ」
あい「そこでまず、自分を責めたりしないでほしい」
P「あ…は、はい…」
P「(…そっか)」
P「(普通なら…よかった)」
あい「次に、貴方のことを理解してくれている人が周りにいることを自覚をしている…」
あい「人間関係のストレスはあるかもしれないが、貴方は孤独に沈んでいるわけではないのかな?」
P「けど、時々自分が孤独だなと思い込むこともあります…」
あい「その時々というのは時間帯によるものかい?」
P「時間帯…そうですね…」
P「夜…あと天気が良くない日とかも…」
あい「ふむ…」
あい「これは私の憶測になるが…」
あい「貴方は眠ってもいい状況になれば…」
あい「実は何時間でも眠れてしまうのではないのかな?」
P「え…」
P「ど、どうなんでしょう…」
あい「今は寝つきが悪く、朝から仕事の為に睡眠時間が3、4時間に削られてしまっている…」
あい「そういう考えもあるんだ」
P「……」
P「…つまり、どういうことなんでしょうか?」
あい「言ってしまえば、仕事や人間関係のストレス…」
あい「それらを貴方はストレスと錯覚してしまっている状態にあるかもしれないんだ」
P「錯覚…ですか…?」
あい「うん…」
あい「これで貴方が眠れるときに何時間でも眠れてしまう…」
あい「むしろ過眠状態になってしまうなら色々と辻褄が合うんだよ」
あい「…私が思うに貴方は季節性感情障害にかかっていると思うんだ」
P「季節性感情障害…」
あい「今の時期だと、冬季うつと呼ばれるものだね」
あい「1年の決まった時期に明確なストレスが無いのに気分が落ちたり精神的に不安定になってしまう病気さ」
あい「貴方の場合は、気分が落ちてしまった状態からその原因を考えてしまってストレスと思い込んでいる…」
あい「そんな状態だと考えられるのさ」
P「……」
あい「今、私が言えることは朝目覚めたら、まずカーテンを開けてほしい」
あい「日光を浴びることで、体内のバランスが整いはじめ…」
あい「1日の気持ちが高まっていくんだよ」
あい「仕事が休みの日は散歩をしてみると良い」
あい「天気が悪い時は…そうだな…」
あい「室内を明るくすることを心がけよう」
あい「暗い部屋に閉じこもるよりもずっとマシさ」
P「……」
P「…その病気は治るんでしょうか?」
あい「あぁ、もちろんさ」
あい「季節性だからね、春になれば自然と良くなる」
P「そうですか…」
あい「だからと言って放置していい病気ではない」
あい「悪化すれば、通常のうつ同様に自殺のリスクも出てくる」
P「…!」
P「(この前の俺は、あの時…)」
あい「……」
あい「安心してくれ、Pくん」
あい「君がこのクリニックに来院して…私と出会った時点で約束されているのさ…」
あい「君の目指すゴールへの近道はね…」
P「東郷さん…」
P「(…一々かっこいいな、この人)」
あい「さて、名残惜しいがそろそろ時間だ…」
あい「最終的な判断は医師に任せるとしよう…」
P「あ、はい…」
あい「最後に話したいことや聞きたいことはあるかな?」
P「あ、えーと…」
P「(探せば色々ありそうだが…)」
P「(急に言われるとパッと言葉に出来ないな…)」
P「ちょっと待ってくださいね…」
あい「フッ…」
あい「無理に今、伝えようとしなくても大丈夫さ」
あい「また君が次回来院した時に伝えてほしい」
あい「私はここで待っているよ…」
P「あ、じゃあ…その時に何かあればまたお願いします…」
あい「あぁ、また会おう…Pくん」
P「それじゃあ失礼します…」
あい「あぁ、診察までごゆっくり…」
P「……」ガチャ…
P「(…最後はもうナチュラルに下の名前で呼ばれてたな俺)」
P「(…さてと)」
P「(次は診察になるのか…)」
P「(東郷さんに病名や、それを改善するためのアドバイスを受けたけど…)」
P「(東郷さん本人が言ってたように、最終的な判断は医師の人が下すんだよな…)」
P「(季節性感情障害…)」
P「(その病気が本当に俺にストレスという幻覚を見せているのだろうか…)」
P「(これで医師の人の診察が東郷さんの考えるものと違ってしまったら…)」
P「(俺はどちらを信用すれば良いのだろうか…)」
「…モバさん、診察室までどうぞ」
P「……」
「…モバさーん?」
P「あ、は、はいっ」
P「(呼ばれてたのか…)」
「モバさんですね?」
「診察を行います。こちらまでどうぞ」
P「はい…すいません…」
「では、そちらにお掛けになってください」
P「あ、はい…」
P「(東郷さんも大人の女性という感じだったが…)」
P「(この人もまた違うベクトルで大人の魅力溢れる感じだな…)」
「…こほん」
「はじめまして!」
瑞樹「私、川島メンタルクリニックで院長を務めてさせてもらってる川島瑞樹です!」
P「!?」
P「(い、院長先生だったのか…)」
P「(こんなに若くて綺麗なのに…)」
瑞樹「本日は当院に来院していただきありがとうございます!」
瑞樹「まず診察の前に、当院の理念についてお話を聞いてもらえたら幸いです♪」
P「は、はい…」
P「(み、見た目よりもエネルギッシュな人だな…)」
瑞樹「私たちが何よりも大切にしていること…」
瑞樹「それは…」
瑞樹「つらいときに、すぐにわかるわ」
瑞樹「…悩みを抱え、気持ちが落ち込む人たちは今も少なくありません」
瑞樹「そのため多くのメンタルクリニックでは初診が受けられない」
瑞樹「初診を受け付けるが1ヶ月待ちという状況…」
瑞樹「でも、考えてもみて欲しいんです」
瑞樹「貴方がもしも大怪我をした時に…」
瑞樹「治療が1ヶ月待ちになってしまうと聞かされたらどう思います?」
瑞樹「私なら、わからないわ」
瑞樹「今、つらくて苦しいのにそんな待てるはずがないじゃないっ!」
P「……」
P「(確かにそうだよな…)」
P「(翌日に予約が取れるって聞いた時はちょっと驚いたけど…)」
P「(1ヶ月後って言われたら、俺はどうなってたんだろう…)」
瑞樹「私はそんな気持ちから…当日、翌日でも受診でき…」
瑞樹「気持ちを少しでもラクにできるメンタルクリニックを目指して…」
瑞樹「この、川島メンタルクリニックを開院しました!」
瑞樹「そして祝日以外は年中無休!」
瑞樹「突然強い不安に襲われたのに、どこも受け入れてくれない…」
瑞樹「だけど安心して!」
瑞樹「ドクターミズキはいつもここにいるわ!!」
P「お、おぉ…!」
P「(思わず面を食らってしまったが…)」
P「(確かにこの院長先生なら、晶葉の言う通り評判が良いのもわかる気がするぞ…)」
瑞樹「いつもより熱く語り過ぎちゃったわね…失礼しました」
瑞樹「さぁ、診察を始めましょう!」
P「あ、は、はい!」
一旦ここまで
次回は川島さんによる診察から
このクリニックは、あいさんも川島さんもいないけど実在する元ネタがあります
つらいときはやっぱりすぐに助けてほしいよね
瑞樹「今日は、気分の低下…」
瑞樹「ストレスで精神的に不安定になってしまうことで、お悩みみたいですけど…」
瑞樹「もう少し詳しくお話をお聞きしても大丈夫かしら?」
P「はい…」
P「その…ストレスというのは僕が勝手に思い込んでいるだけかもしれないんですが…」
瑞樹「大丈夫ですよ、続けてください」
P「ここ最近、生きがいだった仕事をしんどく感じるようになってしまって…」
P「人付き合いも…ちょっと億劫になってるなって…」
P「今の僕を理解してくれている人がいるのはわかっているんですが…」
瑞樹「なるほど…」
瑞樹「仕事や人間関係のことを考えていたら、いつしか精神的に負担がかかってしまったのね…」
瑞樹「わかるわ…」
瑞樹「…貴方が現在の状態になってから、何か大きなトラブルとかはありました?」
P「トラブル…ですか…」
P「トラブルというか…ただの自己責任だと思うんですが…」
P「仕事に行くのが憂鬱で無断欠勤したことがありました…」
瑞樹「そう…他には何かあります?」
P「…正直、一番ヤバいなって思ったのが」
P「無意識に電車が通る直前の踏切に入ろうとして…」
P「(あの時、茜がいなかったら俺は今頃…)」
瑞樹「そこまで思い詰めていたのね…!危なかったわ…」
瑞樹「改めて私のところに来てくれてよかった…!」
P「い、いや…」
P「そこまで親身に…」
瑞樹「……」
瑞樹「いいの、わかってるわ」
P「え?」
瑞樹「私は、この若さゆえにまだベテランと呼ばれるにはほど遠いかもしれない…」
瑞樹「大袈裟なこと言ってると思われても仕方ない…」
P「そ、そんな…」
瑞樹「だけど、受け持った患者さんは必ず笑顔にしてみせる!」
P「…!」
瑞樹「私も名医としてのプライドがあるもの!!」
P「……」
P「(最初に、エネルギッシュな人だなとは思ったけど…)」
P「(それだけこの仕事に誇りを持って働いてるんだな…)」
P「ふふっ、自分で名医なんて言っちゃっていいんですか?」
瑞樹「…あら♪」
P「…えっ?」
瑞樹「今、とても自然な笑顔を見せてくれたわね!」
瑞樹「初診なのに信頼の気持ちが芽生えたみたいで嬉しいわぁ…なんて♪」
P「え…?あ…」
P「(今、笑えてたのか俺…)」
P「えっと…」
P「(どんな風に笑ってたのかな…俺…)」
瑞樹「…無理に笑う必要は無いんですよ?」
P「…先生」
瑞樹「少しずつでいいんです」
瑞樹「少しずつ…一緒に笑顔を増やしていきましょっ?」
瑞樹「ね?」
P「……」
P「…はい!」
瑞樹「さてと…貴方から聞いたお話を総合的に判断しますと…」
P「は、はい…」
瑞樹「ここ最近というポイントから、冬季うつを患っている可能性が考えられます」
P「…!」
P「(東郷さんと同じ意見だ…)」
瑞樹「そして、冬季うつが引き起こしてしまった精神の不安定さが原因で…」
瑞樹「適応障害の状態になってしまったというのも疑われます」
P「適応…障害…?」
瑞樹「読んで字のごとく、生活に適応できなくなる病気ですね」
瑞樹「今まで問題無かったのに、仕事をしていて不安になってしまう…」
瑞樹「人間関係であれこれ考えてしまい集中できなくなってしまう…」
瑞樹「主にこういった状態をあらわします」
P「そう…なんですか…」
P「(適応障害…名前は聞いたことはあったが…)」
P「(自分が今そんな状態にあるなんて考えたことも無かったな…)」
瑞樹「冬季うつにしても、適応障害にしても…」
瑞樹「貴方はかなり重い症状にあったみたいです」
P「……」
P「(自殺未遂の話をしたからか…)」
瑞樹「とにかくまず必要なのは休息になります」
瑞樹「そして、カウセリングやお薬での治療…」
P「…先生」
瑞樹「何かしら?」
P「この場合の休息は、休職を意味するものになるのでしょうか…?」
瑞樹「…今の職場環境が一番のストレスっていう場合は、診断書も書くわ」
P「…!」
P「(どうなんだろうか…?)」
P「(確かに仕事はつらいが……職場にはアイドルたちがいて…)」
瑞樹「……」
瑞樹「…そう言われても、また頭の中がいっぱいいっぱいになっちゃうわね」
P「…え?」
瑞樹「まずは気分を落ち着けて、不安感を和らげることからはじめましょう」
瑞樹「休職を考えるのはそれからね」
瑞樹「そして休める時にしっかり休んでストレスを軽減する…」
P「……」
P「(そうだな…)」
P「(今の俺にとって一番よくないのは考えすぎてしまうことだもんな…)」
瑞樹「…お薬をお出ししたいと思うんですが大丈夫でしょうか?」
P「…はい」
P「お願いします」
瑞樹「わかりました」
瑞樹「…マキノちゃん、わかるわね?」
P「(マキノちゃん?)」
マキノ「……」カタカタ…
P「(あぁ、後ろでデータ入力してる看護師さんか…)」
マキノ「アルプラゾラム錠0.4mg…ロラゼパム錠0.5mg…ファモチジン錠10mg…」カタカタ…
マキノ「バルプロ酸Na徐放B錠200mg…ゾルピデム酒石酸塩錠10mg…」カタカタ…
マキノ「彼の話を分析した結果、必要なデータはこの5種類…」
マキノ「あとは何日分かということになるけれど…」
マキノ「まずは2週間分で様子見というところかしら?」
瑞樹「流石ね、マキノちゃん!」
マキノ「…いつだって患者様に合った結果を叩きだしてみせるわ」
マキノ「私の理論は完璧よ…フフッ♪」
P「……」
P「(彼女も間違いなくかわいいんだけど…)」
P「(…ハイスペック過ぎて逆に怪しく感じるのは俺だけか?)」
瑞樹「そういうわけで、モバさん」
P「あ、は、はい」
瑞樹「次回のご予約なんですが、また2週間後でも大丈夫だったかしら?」
P「2週間後…ちょっと待ってくださいね…」
P「…はい、夕方以降でしたら」
瑞樹「よかった♪」
瑞樹「でしたら、今日と同じ時間でお取りしましょう!」
瑞樹「お帰りの際に、受付のスタッフまでお願いしますね」
P「わかりました」
瑞樹「では、今回のお薬の効果、副作用に関してなんですが――――」
瑞樹「―――というふうに、なりますね」
瑞樹「あまりに副作用が気になる場合は一旦やめていただいても構いませんので…」
P「わかりました、2週間それでやってみます」
瑞樹「最後に何か聞いておきたいこととかはあるかしら?」
P「えーと…」
P「……」
P「(流石にアイドルに興味はありませんか?ってのは失礼か…)」
P「とりあえず…大丈夫です」
瑞樹「そう?なら良いんですけど…」
瑞樹「…それじゃあ、今日の診察はこれまでです!」
瑞樹「2週間、ゆっくりと過ごしてね♪」
マキノ「お大事にどうぞ」
P「はい、ありがとうございました」
P「(そして、初めての診察が終わり…)」
P「―――ふぅ」
P「(やっぱり全部話せると、少しモヤモヤも晴れた気がしないでもないな…)」
P「(全てをわかったうえで手助けをしてくれるわけだし…)」
P「(何よりも俺との距離を近づけてくれるから、安心感もあるよな…)」
P「(東郷さんの言うように、メンタルケアって仲の良い友人感覚の方が良いのかもな…)」
P「(となると、俺が今までアイドルたちに弱音を吐いてきたのも間違いじゃないって思えるよな…)」
P「(それだけの信頼関係はあったと思うし…)」
P「(…うん)」
P「(やっぱりちょっとだけ前向きになれたかもしれないな…)」
P「(さてそんな俺は、クリニックで処方箋をもらって薬局に向かっているわけだが…)」
P「(…あ、ここかな)」
P「(ダンサブル薬局…)」
「来たわね」
P「え?」
「自己紹介の必要も無いと思うけれど…」
ヘレン「私が世界レベルの薬剤師…ヘレンよ」
P「あ、これ処方箋です」
ヘレン「はい、お預かりいたします」
一旦ここまで
また書けたら
当初はここらへんで終わる予定だったけど、もう少しだけだらだら書いてみます
――――――――――
――――――――
――――――
P「……」
P「(精神安定剤に睡眠導入剤、か)」
P「(こうして受け取ってみると、実感してしまうな…)」
P「(自分が病気だっていう事実を…)」
P「(だけど、受け入れることが出来たというのが何よりも大きな一歩だとも思える)」
P「(副作用の心配等もちろんあるが、焦らずにいこう…)」
P「(しかし…)」
P「…今日も冷えるな」
P「(立春なんて言うが、日が落ちればまだまだ冬の寒さだ…)」
P「(早く家に帰って暖をとろう…)」
「…Pさん、ですよねぇ?」
P「えっ?」
日菜子「あぁ、やっぱり~」
日菜子「むふ…帰り道で偶然、なんてあるんですねぇ♪」
P「おお、日菜子か」
P「ホントに偶然だな、びっくりしたよ」
P「学校の帰りか?」
日菜子「はい~♪」
日菜子「正確に言うと、部活の帰りです~」
P「部活…」
P「えーと…手芸部だったっけ?」
日菜子「あら♪よく覚えていらっしゃって!」
日菜子「むふふっ。やっぱりPさんは日菜子のことはなんでも知ってるんですねぇ」
日菜子「こころまで見透かされちゃいそう…きゃっ♪」
P「ははっ、日菜子と話すのは楽しいからな」
P「やっぱり記憶に残るんだよ」
P「(日菜子か…)」
P「(面白い子だよな)」
P「(夢見がちなところが目立つけど…)」
P「(だからこそ、誰よりも夢を追い続けて諦めない姿勢がみえる…)」
P「(気づいたら、そんな彼女のペースについついハマってしまう)」
P「(人を惹きつける…魅力溢れる女の子だ)」
日菜子「……」
日菜子「Pさん」
P「ん?なんだ?」
日菜子「なんだかPさん、楽しそう…」
P「う、うん…」
P「日菜子と話してると俺は楽しいが…」
P「…急に真顔になってどうした?」
日菜子「なんて言うんでしょうか…」
日菜子「…おかしいな」
日菜子「日菜子、上手く言葉に出来なくて…」
P「(…日菜子が言いよどむなんて珍しいな)」
P「…大丈夫か?」
日菜子「ご、ごめんなさい」
日菜子「決して心配されるようなことでは無くて~…」
日菜子「あの…」
日菜子「…日菜子、今とっても嬉しいんですっ」
P「嬉しい気持ちなのか?」
日菜子「…はい」
日菜子「そのぉ…」
日菜子「こんなこと言うのって失礼だと思うんですが…」
P「うん?」
日菜子「Pさんが楽しそうにしている顔って、久しぶりに見た気がするんです」
P「俺が…か?」
日菜子「はい…」
P「……」
P「(確かに…)」
P「(よく考えてみたら今日の俺、日菜子と会った時から自然に会話してたよな…)」
P「(ここ最近の俺は誰と話すにしても一歩引いた状態になっていた…)」
P「(無意識もあったが意識的に人との関わりを避けたいって思うことが多かった…)」
P「(少しでもストレスから逃げようとする為にだ…)」
P「(でも、日菜子に会った時には一度もそうは思わなかった)」
P「(むしろ日菜子に会えて嬉しいとまで感じた)」
P「(先ほどのカウンセリングの効果がもう出ているとまでは考えないが…)」
P「(今までのアイドル達との会話の中で…)」
P「(俺の中で少しずつ何かが変わってきているのか…?)」
日菜子「日菜子はいつもPさんのことを考えています」
日菜子「現実でも妄想でも…頭の中はいつもPさんでいっぱいです」
日菜子「そんな日菜子の最近の妄想はどうしても叶えたかった…」
日菜子「それが…日菜子の目に映る…」
日菜子「今のPさんの姿なんですよぉ」
P「今の俺…?」
日菜子「楽しそうに…」
日菜子「日菜子に笑顔を見せてくれて、お話も聞いてくれて…」
日菜子「だけど、ここ最近のPさんはどこか笑顔がぎこちなくて…」
日菜子「なんだか悲しそうでした…」
P「……」
瑞樹『…無理して笑う必要は無いんですよ?』
P「(…そうか)」
P「(…作り笑いで悲しい気持ちになるのは俺だけじゃなかったんだな)」
日菜子「でも、今日のPさんは日菜子の妄想してた…」
日菜子「いえ…」
日菜子「日菜子の妄想以上に、今のPさんでいてくれましたぁ」
P「妄想以上に…?」
日菜子「はい」
日菜子「だって…」
日菜子「Pさんは本当に楽しそうに…」
日菜子「それで、日菜子は…」
P「日菜子…」
日菜子「日菜子はPさんが元気でいてくれたら…って思っていただけなのに」
日菜子「だけど、いつもの日菜子でいないと余計を気を遣わせてしまうんじゃないか…」
日菜子「でも、いつもの日菜子でいて拒絶されたらどうしようなんてことも思ったりで…」
P「……」
日菜子「ぐすっ…ホントに嬉しかったんですよぉ…」
日菜子「日菜子と話すのが楽しいって…Pさんが言ってくれたことがぁ…」
P「…うん」ナデナデ
日菜子「ひぐっ…あ、あぅん…!」
P「ありがとな、日菜子」
P「やっぱり日菜子は本当に俺のことよく考えてくれてるよな」
P「きっと、日菜子が妄想を願ったからこそ俺も少し元気が出てきたんだって思えるよ」
日菜子「か、叶えたかったんです…」
日菜子「…いえ!叶ってほしかったんですぅ…!!」
P「(日菜子は泣いた。感情を露わにして)」
P「(夢を追うからこそ、手にした時の喜びもまた大きい…)」
P「(…日菜子、お前は必ず俺がトップアイドルにしてやるからな)」
P「―――落ち着いたか?」
日菜子「は、はい…」
日菜子「すいませんでした…Pさんに日菜子のこんな姿…」
P「気にしなくて大丈夫だよ」
P「俺だって泣きたい時には人前でも泣いてしまうことがあったし…」
日菜子「あ…」
日菜子「…むふっ」
日菜子「なんだか日菜子はまだ妄想の中にいる感じがします~…」
日菜子「王子様に大事にされるお姫様なんて、ハッピーエンドそのものです~…♪」
P「……」
P「それが妄想の中か現実の中かはわからないけど…」
P「どんな時でも日菜子のことは大切に想ってきたよ、俺は」
日菜子「Pさん…」
P「一緒に帰ろうか、日菜子。送るよ」
日菜子「は…はい~!」
日菜子「…あ、そうだ」
日菜子「突然ですがPさんに問題です~♪」
P「お?ホントに突然だな…」
日菜子「日菜子の持ってる紙袋…中身はなんでしょ~?」
P「ああ、その紙袋…」
P「どこか買い物に行ってきたのか?」
日菜子「日菜子はお仕事帰りや部活帰りはまっすぐお家に帰りますよ~」
P「ん~…?」
P「…あぁ、手芸部で作った作品か?」
日菜子「うーん…!もう半分正解ですねぇー♪」
日菜子「なので、正解したPさんにこちらの中身をプレゼントしちゃいますぅ!」ゴソゴソ…
P「お、これは…」
P「手編みのマフラー…か?」
日菜子「はいっ」
P「これ、俺の為に…?」
日菜子「…日菜子、へたっぴだから友達に手伝ってばっかりだったんですが」
日菜子「それでも、日菜子の気持ちは込めたつもりなので…」
日菜子「良かったら、受け取ってもらえたら嬉しいです~…」
P「…ありがとう、日菜子」
P「俺、凄く嬉しいよ」ナデナデ…
日菜子「あっ…」
日菜子「で、でもぉ…やっぱりちょっと形がいびつになっちゃって…」
P「こういうのは形とかじゃないと思うぞ?」
P「日菜子が俺の為に頑張ってくれたことがまず何よりの気持ちになると思う」
P「ありがたく使わせてもらうよ」
日菜子「Pさん…」
日菜子「…むふふっ♪」
日菜子「どうぞぉ!日菜子を肌に感じて、使ってくださいねぇ~♪」
日菜子「(…やっぱりPさんは日菜子の王子様なんですね)」
日菜子「(だから日菜子は王子様にふさわしい日菜子でありたい…)」
日菜子「(神様…この夢も、いつか現実に出来ますか…?)」
一旦ここまで
また書けたら
日菜子の妄想の中で眠りたい
>>153
脱字見つけてしまった
日菜子「…日菜子、へたっぴだから友達に手伝ってばっかりだったんですが」→×
日菜子「…日菜子、へたっぴだから友達に手伝ってもらってばっかりだったんですが」→○
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