これはモバマスssです
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P「カップ麺食べたい」
響子「ダメです」
P「はい……」
響子「それでは、レッスン行ってきますね!」
P「行ってらっしゃい……」
バタン
P「……」
ちひろ「……」
P「……ちひろさん」
ちひろ「ダメです」
P「はい……」
P「なんでこうなるんだよ……俺はただ、カップ麺が食べたかっただけなのに……」
ちひろ「それはそうですよ、誰だって止めます。以前貴方がどれだけカップ麺を食べてたと思ってるんですか!」
P「一日に三つだけです!」
ちひろ「一日一食しか食べてなかったのに、ですから!」
P「いやほら、朝ってお腹空かないじゃないですか」
ちひろ「分かりますけど。健康的には最悪ですよ」
P「お昼、正直飯食べる暇あったら働きたいじゃないですか」
ちひろ「いや、意味がわからないです」
P「働かせてる奴が何を言っているのか」
ちひろ「は?」
P「すみません……」
ちひろ「つべこべ言わず働いて下さい」
P「はい……」カタカタカタ
ちひろ「……」カタカタカタ
P「…………」カタカタカッ
ちひろ「…………」カタカタカタ
P「…………」カタカタカップ
ちひろ「…………」
P「…………」カップメン
ちひろ「タイピングでカップ麺食べたいアピールやめません?」
P「っ?!俺、無意識のうちに……」
P「……1つだけなら……もう3日も何も食べてないんです……」
ちひろ「プロデューサーさんの食事の選択肢、カップ麺以外ないんですか?」
P「帰ってちゃんと料理する程体力残ってないんで……」
ガチャッ!
響子「呼びましたかっ?!」
P「……響子、頼むから……カップ麺……」
響子「ダメです」
P「……はい」
響子「……か、代わりに今日の晩御飯……私が振る舞っちゃいます!」
P「響子が……カップ麺を振る舞ってくれる……」
響子「いや、カップ麺は振る舞いませんけど……」
P「じゃあ、何を……」
響子「今日の晩御飯ですっ!」
P「晩御飯……カップ麺……」
響子「カップ麺じゃありませんけど……」
P「え、晩御飯ってカップ麺以外あるの?!」
ちひろ「カップ麺以外の食事を取った場合、早過ぎる朝ご飯に認識すり替えるのやめませんか?」
ちひろ「それと、アイドルが担当プロデューサーの家に晩御飯を作りに行くなんて立場上認められません!」
P「朝食なら?」
ちひろ「なんで許されると思ったんですか?」
P「でももう割と結構作りに来て貰っちゃってますし……」
響子「だからこそ、不安になっちゃうんですっ!私が作らないと、本当にいつもカップ麺じゃないですか」
P「だって美味しくて楽だし……」
響子「プロデューサーさん。鍵、開けておいて下さいねっ!」
P「なら大丈夫だ、いつも掛けてないから」
ちひろ「響子ちゃん、ダメですよ?」
響子「ちひろさんっ!私っ!お料理っ!得意なんですっ!!」
ちひろ「圧力凄いですね……」
P「ダメですか?」
ちひろ「ダメです」
~夕方、P宅~
響子(プロデューサーさんが帰ってくる前に、色々と仕込みを終えておこうと思いますっ!)
ガサゴソ、ガサゴソ
響子「……え……もうっ!またカップ麺買ってる!前回来た時にもう買わないって約束したのに……」
響子「こーんな手抜き愛抜き不健康な塊の何処が良いんだろ……」
響子「……敵を倒すにはまず情報から。一回食べて解析する必要があるかも知れませんね」
1分後
ティファアル「ぷぉー!」
響子「……お湯、沸くの早いなぁ……」
響子「作り方も蓋を開けてお湯を注いで待つだけ……確かに手軽ですね」
響子「これは……侮れませんっ!」
3分後
響子「…………」グゥゥ
響子(……良い匂いが……そろそろですかね)
響子「……」ぺリッ
緑色のたぬき「ぶぁぁぁぁぁっ……」
響子「……美味しそう……」ゴクリ
響子「だ、ダメですっ!カップ麺なんかに、私は負けたりーー」
P「ただいまー……ん?」
響子「……おかえりなさい、プロデューサーさん……うぅ……」ズルズルッ
P「ど、どうしたんだ響子!」
響子「思ったより、カップ麺が美味しかったんです……うぁぅ……」
P「な、なら良かった。俺としても、響子にこの手軽さと美味しさを理解してもらえて嬉しいよ」
響子「夕ご飯、準備出来てないんです……」
P「なら、さ。一緒に……カップ麺、食べよう」
響子「……はいっ!」
ちひろ「プロデューサーさん、今日は随分と調子が良いみたいですね」
P「カップ麺の規制が解除されたんですよ」
ちひろ「え……?あの響子ちゃんが、ですか?」
P「響子もカップ麺の良さを分かってくれたんです。とは言え、以前程カップ麺だけで暮らしてる訳じゃないですけどね」
ちひろ「自炊もしてるんですか?」
P「響子が作りに来てくれてるんです」
ちひろ「断りましょう」
P「……後ろ向きに検討しておきます」
がちゃっ!
響子「プロデューサーさん!今日新発売のカップ麺、一緒に食べませんかっ?!」
P「おうっ!」
P(響子がカップ麺の良さを理解してくれて、本当に良かった)
P(勿論それでも響子は、夜は手料理を振舞ってくれて)
P(お昼は新しいカップ麺を食べて、こんな味も悪くないな、なんて話し合って)
P(幸せな日々を、送れていた)
P(なのに……その、筈だったのに)
P「ゔぁー……付き合いで飲まされて頭痛い……」
ガチャ
P(……ん?こんな時間なのに、俺の家に誰かいる……?)
響子「……お帰りなさい、プロデューサーさん」
P「きょ、響子っ?!」
響子「……何時に帰って来れますか?って、連絡しましたよね?」
P「す、すまん……スマホ開くタイミングが無くて……」
響子「……だから、帰ってくる時間が分からなくて晩御飯用意出来て無いんです」
P「ほんっとうにすまん……以後気をつける」
響子「……なんて、えへへっ!こんな時こそカップ麺ですよねっ!直ぐに出来上がりますからっ!!」
P「……響子?」
響子「お湯は沸かしてありますから、プロデューサーさんは座って待ってて下さい!」
P「……お、おう……ありがとう……」
P(そんな出来事があってから)
P(夕ご飯に、カップ麺が出される機会がどんどん増えた)
P(勿論美味しいっちゃ美味しい、が……)
P(それはつまり、響子にとって……)
P(今日もまた響子はカップ麺を食べていた)
P(最近響子は、ずっとカップ麺を食べている気がする)
P(その笑顔に、以前の太陽のような輝きは無くて)
P(そして……)
ちひろ「ふー……今年一年、お疲れ様でした。それでは、良いお年を」
P「はい、良いお年を」
P(12/31、大晦日。俺は仕事を終えて会社を出た)
P(既にもう22時を回っていて、家に着く頃には23時くらいになるだろう)
P「……ん?」
P(家の電気が、点いていた)
P「響子、こんな日も来てくれて……っ!」
P(嫌な予感がした。急いで鍵を開けて、リビングに向かう)
P(そこには……)
響子「ずるずるっ……お帰りなさい……ずるずっ……プロデューサー……さん……」
P(無表情で、カップ蕎麦をすする響子が居た)
響子「……美味しいですよね、カップ麺……とっても手軽ですし、プロデューサーさんの口にも合うみたいで……」
P「……違う……そうじゃない……っ!」
響子「いつ帰ってくるか、何時になるか分からない人には……ぴったりの時間に暖かい料理を振る舞うより、よっぽと簡単ですから……」
P「俺は、ただ……響子にカップ麺の良さを……」
響子「分かってます、理解しました。とっても素敵ですよね。こうして大晦日の夜に、プロデューサーさんを待ちながら一人で食べてましたから」
P(違う、そうじゃないんだ!俺は……)
P(ずっとカップ麺ばかり食べている人を見ると、こんなにも不安になるのか。体調が気になってしまうのか)
P(それを響子は、ずっと俺に対して思ってくれていて……)
P(でも、それ以上に。やっと、気付けた事があった)
P(失って、初めて気付いた。大切なモノ、嬉しかったモノ。それが当たり前になり掛けていたせいで、今まで気付かなかったんだ)
P「……俺は……響子の手料理が、食べたいんだ……っ!」
響子「……え……?」
P「俺はな……響子……っ!お前が茹でた蕎麦で、年を越したいんだ……!!」
響子「……あ……」
P「お前が俺の為に茹でてくれた蕎麦をっ!愛情がこもった健康な蕎麦を!お湯を注げば出来上がる温かさなんて、俺は……俺はっ!」
響子「わ、わた……し……」
P「俺が悪かった!遅かったかもしれない!響子を傷付けたのは間違いない!それでも!もう一度チャンスをくれないか?!」
響子「ぁ……うぁぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
響子「私はっ!プロデューサーさんに、美味しい夕ご飯を作ってあげたかったのにっ!なのに……っ!いつ、間違えちゃったんだろう……うぅぁぁっ!!」
P「ごめん……!ごめん、響子っ!俺に……蕎麦を、茹でてくれっ!!」
響子「……っ!はい……っ!任せて下さいっ!お料理、得意なんですっ!」
P(二人で涙を流しながら、強く抱きしめあって)
P(やっと、心は通じ合えた。もう、こんな思いをさせはしない)
P(それからしばらくして、どちらからともなく蕎麦を打ち始める)
P(お湯の注がれたカップ蕎麦は、既に伸びきっていたーー)
P「って訳で、色々と心配おかけしました。あと明けましておめでとうございます」
ちひろ「明けましておめでとうございます」
響子「プロデューサーさんっ!今夜も、その……一緒に蕎麦を打ちませんか?」
P「……おい、響子……そう言うのは二人っきりの時に」
響子「そ、そうですよねっ!」
P「……麺棒、手入れしとくから」
響子「……まな板、綺麗に洗って待ってます」
バタンッ
P「ふー……夜はカップじゃなくて手作りの蕎麦だなぁ!」
ちひろ「だめです」
P「……ちひろさん」
ちひろ「だめです」
P「俺、響子にそばつゆなんです」
ちひろ「一生独りでカップ麺食べてて下さい」
以上です
あけまして、おめでとうございます
お付き合い、ありがとうございました
過去作です、よろしければ是非
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