さようなら、みんな
その言葉を皮切りに彼女は私の前から突如として消えた、はずだった。
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「真姫ちゃん、真姫ちゃん!」
耳元で誰かの囁く声が聞こえる。意識が朦朧としているせいか、誰の声かわからない。
「真姫ちゃん起きてよ〜」
どうやら私を起こそうとしているらしい。私は疲れているから寝たいのになんで迷惑な声なんだろう。そう思った。
「まーきちゃーん、まきちゃん、まきちゃん、まきちゃーん!」
酷く眠いので無視をしていると、その声は何回も何回も、私の名前を呼び始めた。
最初のうちは誰の声かわからなかったけれど、その声はどんどん大きくなっていくので、だんだんと夢うつつな気分が抜け、意識が覚醒するにつれて誰の声だかわかってきた。
この声の主は、ほんの数時間、いや、ほんの数分前に私の目前から消え去った彼女の、高坂穂乃果本人の声に違いなかった。
あれは夢だったのだろうか?
そう思った瞬間に、私は肩への衝撃で目覚めた。
「重いわよ」
そう一言静かに呟いて、私は目を開いた。
顔を上げるとそこには水色を基調としたリボンが見えた。
両肩がやけに重たいので、おそらく両手を私の肩に乗せ、体重をかけているのだろう。
いい加減肩から手をどけてくれないかしら?
そう思い始めたとき、やっとその手は私から離れた。
「重いわよ、穂乃果」
私は改めて彼女にそう言った。
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