十字架「おい」 (14)


キリスト「何だよ」

十字架「てめーいつまで俺に貼り付いてんだ?」

キリスト「未来永劫だよ」

十字架「裁きの日までじゃなかったのかよ?」

キリスト「そりゃお前の勘違いだよ。俺は永久にここでこうしている」

十字架「そんな話は聞いてねえぞ!」

キリスト「うるせえな。そうしねえと困る連中が大勢いるだろ? お前何年この仕事やってんだ?」

十字架「俺はもううんざりだよ! 美少女ならともかく、何だっておっさん背負ってなきゃなんねえんだよ!」


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キリスト「文句言うんじゃねえよ。たかが木の切れッ端のくせして」

十字架「降りろ」

キリスト「何だと?」

十字架「てめーとはもうおさらばだ。おっさんより美少女の方がいいに決まってんだろ」

キリスト「おい冗談も大概にしろよ、美少女を背負えるとか本気で思ってんのか?」

十字架「うるせー! こっちの身にもなってみやがれ! 降りろ」

キリスト「……ちょ、ちょっと待て、少し頭冷やして、冷静に話し合おうじゃねえか」

十字架「は? 今さら下手に出てもおせーよ。さっさと降りろこの野郎!」


・・・・・・・・・・



キリスト「やい! てめーみてえな木の切れッ端が一人でやってけると思ってんのか? 美少女を背負いたい? 笑わせんじゃねえよ!」

十字架「おい、忘れもんだぜ!」ポイッ『INRI』



十字架「……あの野郎、さんざん捨て台詞吐いて行っちまいやがった。……ふん、手足にクギの穴開いてるわりには元気そうじゃねえか」

十字架「長年の運動不足を解消しやがれ!」

十字架「さて…… 俺はどうするか。そんなの決まってんだろ」



自由の身になった俺は、美少女を求め旅に出た。

何といっても俺は、本物のキリストを背負ってきた、言うなれば十字架の中の十字架。「ザ・十字架」だ。

おまたビショビショで身を捧げたいという、ドM体質の美少女がいないわけがない!


グヘヘ……


十字架「そうよ…… この俺は『ザ・十字架』様だ…… 十字架プレイの真髄を、美少女に徹底的に仕込んでやるぜ…… グヘヘ」


美少女「あ、あのっ!」

十字架「ほい! 何か用かね?」

美少女「あなた様はもしや、『ザ・十字架』様では?」

十字架「その通り! 私こそが、かのキリストを掛けた『ザ・十字架』だ!」キリッ

美少女「なんという幸運! どんな虐待プレイも飽き足らない、超絶ドM体質の私が探し求めて数十年! ついに、あなた様にめぐり会えるとは!」

十字架「良かったねぇ。君は幸運だよ、何せ私は真正のザ・十字架だ。私の上で、思う存分悶え苦しんでくれたまえ!」

美少女「ぜひとも! ああ、全裸であなた様に掛けられて、悶絶しながら天に召されていく! そんな自分の姿を想像するだけで、熱いものが溢れ出てしまう…… はしたない私……」

十字架「まあ何はともあれ全裸、じゃねえや善は急げだ、早く服脱いで俺の上に磔になって!」

美少女「……でもその前に、行かなければならないところがございますわ」

十字架「何だよ、やけに気を持たせるじゃねえか。どこへ行こうってんだよ」

美少女「……あそこです」


十字架「教会?」

美少女「ええ」

十字架「おい、あんまり面倒くさいのはなしだぜ。二人っきりでしっぽり楽しむんだったら、今すぐだって構わねえだろうが?」

美少女「いいえ…… 私たち二人が、究極の愛のかたちを完成させるには、やっておかねばならぬことが」

十字架「何だいそりゃ?」

美少女「あの教会で私は審問を受け、魔女の烙印を押されるのです。そして…… 魔女としてあなた様に掛けられ、火炙りにされる! これこそ私が長年夢見ていた、究極の愛の成就!」

十字架「ちょ、ちょっと待った! 火炙り? 俺も焼かれんのか?」

美少女「はい! 私とあなた様は業火に焼かれ、苦しみ悶えつつ共に天に召されるのです!」

十字架「……あのよ、わりいがちっと用事思いだしt」

魔女「無駄ですわよ。私の魔力に拘束されたあなた様はもう、ご自分の意思でここから立ち去ることは叶いません。さ、私とともに、あちらへ……」

十字架「や、やめろぉー! 俺はまだ死にたくねぇー! 助けてーっ!」


魔女「まぁ、由緒正しいザ・十字架が何と見苦しい…… さあ、諦めて私と一緒に、灰になるまで焼かれようではありませんか!」ズルズル



~教会~



審問官「判決は下った。主の御名において汝を火炙りといたす! 悔い改めるがよい!」

魔女「ありがたき幸せ! 呪われたわたくしを、この十字架に掛けて焼いてくださいまし!」

十字架「やめてくれーっ! おい、俺はな、キリストを掛けてた正真正銘のザ・十字架なんだぞ! 焼いたらバチが当たるぞ!」

審問官「デタラメを並べおって…… 主の御姿など影も形もないではないか。おい、魔女をこの十字架に縛り付けろ」

下役ども「はっ!」

魔女「その前に、私を全裸にしてっ!」

審問官「そりゃ言われなくてもやるよ」

十字架「いやだーっ! 焼かないでお願いーっ!」

審問官「往生際の悪い十字架だな」


???「待てぃ!」

審問官「誰だあんた?」

キリスト「その腐れ十字架の主人だ」

十字架「よく来てくれたぜ! やいてめーら、このお方は正真正銘のキリスト様だぜ!」

キリスト「何だとこら? まぁ、こいつの言う通りだよ」

審問官「な…… 何と恐れ多い! よりによって、主の名を騙るか! 貴様も地獄へ墜ちよ!」

キリスト「分からねえらしいな。おい、例のものを」

弟子「へい!」

弟子「このお方をどなたと心得る!? 救世主キリスト様にあらせらるるぞ!」っ札


バァーン!!




      I N R I




審問官「おお、あの札は……!」

下役ども「主の十字架に付けられていた銘板!」

弟子「その方ども頭が高いッ!」

審問官&下役ども「へへーっ!!」orz orz orz orz orz orz orz orz orz



魔女「ちっ…… あと一歩のところだったのに!」

キリスト「おっと。お前はまだ帰さねえよ。望み通り焼いてやろうじゃねえか。ただし一人で、正体を顕してからな」

魔女「え? ……ちょ、何する気なの?」

キリスト「こうするんだよ…… 破アァァーーーーーーーーーーッ!!!!」

魔女「うわぁーーーーっ!」


審問官「なんと…… 魔女が」

十字架「ババアモードに変わっちまった!」

キリスト「見ろよ。お前をたぶらかした美少女の正体をよ!」

魔女(ババアモード)「うぬぬぅぅ、よくも、よくもこのっ! 呪ってやる、呪ってやるぞ!」

キリスト「こりゃ目も当てられねえ、ババアが開き直りやがった。おい、焼いちまいな」

弟子「へい!」っ火炎放射器


ゴォォォォォ……


魔女「」


審問官「おお…… 魔女が一瞬にして灰に…… まさに奇跡! 主よ、どうか御無礼をお許しください!」

キリスト「いいってことよ。ただし、ここで俺を見たなんて誰にも言うなよ?」

審問官&下役ども「へへーっ!!」



十字架「いやー、助かりましたよ旦那! さすが真正キリスト様だ!」

キリスト「ほう? やけにしおらしいじゃねえか。ついさっきの勢いはどうしたんだよ?」

十字架「いやそりゃあ、人間でなくても十字架だって出来心っつーか、物の弾みってのはあるもんで」

キリスト「そう、物の弾みってのをよ、ちょいちょい起こされちゃかなわねえな……」

十字架「許してくださいよ旦那! 長い付き合いじゃありm」

キリスト「このバカタレ!」

十字架「ひっ!」

キリスト「俺より美少女の方がいい? 気になって来てみりゃこのザマじゃねえか! てめーは永遠に俺を背負う、そういう運命なんだよ! 分かったか!」

十字架「わっ、分かりましたマイロード!」

キリスト「二度と変な気起こすんじゃねえぞこら!」

十字架「はい誓います!」

キリスト「返事は威勢がいいな。だが、てめーの根性は叩き直しておかねえとな!」

十字架「え……」


・・・・・・・・・・



キリスト「俺は元大工だからな。材木の扱い方は心得てるんだ。俺のテクをたっぷりと味わってもらうぜ」

十字架「あ、あの、……何しようってんですか?」

キリスト「見ろよ。これが『ザ・大工』様愛用の金槌だよ。年季が入って黒光りしてるだろ?」

十字架「怖い…… な、何その、黒光りしてるごっつい、重そうな金槌……それでどうするつもりっ!?」

キリスト「こいつを使って、『INRI』の銘板が絶対取れねえように、この極太のクギでだな、打ち付けてやるんだ…… 覚悟しろよ」

十字架「痛くしないでっ!」

キリスト「痛いのは最初のうちだけだ。じきに、すげぇ良くなるからよ……」

十字架「嫌ぁっ! お願い許して勘弁してっ!」

キリスト「騒ぐんじゃねえ! じっとしてろ!」

十字架「ひゃいっ!」

キリスト「極太のクギを、ここにこうあてがってな…… こうやって打ち付ける!」


カーン!


十字架「ひぃぃぃん!!」

キリスト「お? てめーいい声出すじゃねえか。ほれ!」


カーン! カーン!


十字架「ほぎゃぃぃぃぃぃぃ!!」

キリスト「そんなにいいか? まだ序の口だぜ?」


カーン! カーン! カーン!


十字架「ひぎぃぃぃぃそんな、そぉんなぶっとい、ぶっといの打ち込まれたら裂けるぅゥゥゥ、裂けちゃうのぉぉォォォォ!!!」

キリスト「わめいてるわりには、だいぶほぐれてきたじゃねえかよ。え? ほれほれほれ!」


カーン! カーン! カーン! カーン! カーン! カーン!


十字架「あぎゃぎゃぎゃぎゃもももっもうだめやめて死んじゃううううう!!!」ブシャァーーーーーッ!!

キリスト「おい…… てめー何噴いたんだよ?」

十字架「樹液ぃ…… 噴いちゃいましたぁ……」アヘアヘアヘ

キリスト「きったねえな。よれよれの材木のくせして樹液噴いてんじゃねえ!」カーン!

十字架「ぎいぃぃぃもっとぉ、もっと罵ってぇぇ!」

キリスト「この腐れ材木が、このこのこのこのこのっっっ!」


カーンカーンカーンカーンカーンカーンカーン!!!!!


十字架「ぎゃぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~っっ!!!!」


ビクンビクン


キリスト「失神しちまいやがったか。調教完了。これがプロの技だぜ!」




終わり

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