杏「ZZZ・・・」

常務「双葉杏か・・・」

常務（小柄だが、その内には底知れぬスペックを抱えている）

常務（普段はこうだが、実は誰よりも周りを見ている）

常務（キャンデイアイランドの実質的な纏め役・・・・・）

常務（新田美波が表のリーダーなら、彼女は裏の参謀といった所か）

常務（実に不思議な子だ・・・・・）

杏「・・・・・ふああ」パチ

杏「眠っちゃってたか～」

杏「ま、まだ誰もいないからいっか・・・・ん？」

常務「・・・・・」ジー

杏「うひゃあ！」ビクッ

杏（解説しよう）

杏（事務所に来てまだ誰もいなかったからつい居眠りしてしまった）

杏（そして起きてみたら、目の前に美城常務の顔のアップが・・・・・）

杏（なにこの状況・・・・・）

常務「む、すまない、起こしてしまったか」

杏「い、いえこちらこそ社内で居眠りしてしまい申し訳ありませんでした・・・・・」

常務「今日は比較的温暖だからな、そういう気分になっても仕方ないだろう、気にしなくていい」

杏「そ、そうですか・・・・・」

杏（何かイメージ変わったなぁ・・・・）

杏「それで、この部屋に何か御用ですか・・・・」

常務「実は君達のプロデューサーに用事があってな」

杏「そ、そうですか・・・・・」

常務「だが不在のようだな・・・・」

杏「そ、そうですね・・・・・」

杏（もう帰ってくれないかな・・・・・）ハラハラ

常務「・・・なら、暫く待たせてもらっても構わないか？」

杏（ええ～！？）

常務「誰もいないのなら出直そうかと思ってたが、君がいるなら話している間に戻ってくるかもしれんしな」

杏（何でそうなるのー！）

常務「丁度君とは話してみたいと思ってた事だしな」

杏「そ、それは酔狂ですね・・・・」

常務「君は少し自分を過小評価してないか・・・・・」

杏「そ、そんな事ないですよ・・・・」

常務「今も君らしくない話し方してるぞ」

杏「あっそ、いいなら普通に話すよ」

常務「切り替え速いな・・・・・」

常務「それが君の長所の１つかもしれんな」

杏「そうかな・・・・」

常務「その力で、キャンディアイランドもこれまで上手くやってこれたのだな」

杏「２人の頑張りもあってこそだよ」

常務「最初のTVの仕事も、君の活躍で大成功したと聞いているぞ」

杏「まぁ罰ゲームは喰らったけどね～」

常務「だが、君の存在がユニットの長所でもあり、短所でもある」

杏「ほう・・・・」

常務「確かに普段は無気力な君をあえて内気な２人と組ませる事で、君のやる気を引き出すという目論見は間違ってない」

杏「お陰で杏には休む暇が無かったよ～」

常務「だが、それはつまりあの２人は君がいないと何もできなくなってしまうという事だ」

杏「・・・・・・」

常務「しかも君は凸レーションの諸星きらりとは親しい仲だと聞く」

常務「それで２人で行動する事も多い」

常務「必然的に三村かな子と緒方智絵里が２人だけで何とかしなければならない場面も出てくるという訳だ」

杏「ま、最近は２人ともしっかりしてきたし、杏としては安心だけどね～」

常務「そのようだな」

杏「誰かさんが色々急かしてくるお陰でね～」

常務「・・・・・・」

杏「全く、白紙だの時計の針は待ってくれないだの星がどうこうだのよくやるよ・・・・・」

常務「・・・・耳が痛いな」

杏「挙句の果てにはこっちには干渉しないとか言っとききながら引き抜きとかどうよ？」

常務「別にそっちを辞めろとは言ってないだろう」

杏「ま、その辺はアイツも少し大人気なかったとは思うよ？」

杏「でもね、クリア目前のゲームを他人に横取りされてED出されちゃうのってどんな気持ちかな～？

常務「・・・・・・・」

杏「ま、でも新しい可能性を見つけられたってのは結果オーライだよね～」

常務「そうか・・・・・」

杏「でも、その可能性が見つからない子がいたからって、首チョンパはいただけないな～」

常務「君は本当に聡いな・・・・」

杏「人には人のペースややり方ってもんがあるんだよ、全てがアンタの思い通りになるなんて思わない事だね」

常務「それは実感している・・・・・」

杏「ま、アンタの立場からしたらそうせざるを得なかったのかもしれないけどね」

常務「・・・・・・」

常務「君は一体何者なんだ・・・・・」

杏「ん？」

常務「周りには関心がないかと思いきや、誰よりも周りが見えている」

常務「自堕落かと思えば、仕事を与えれば人並み以上にこなす」

常務「どっちが本当の君なんだ？」

杏「・・・・・・さぁね」

常務「？」

杏「杏はカメレオンみたいに、その場の雰囲気や状況で立場を変える」

杏「怠けていいときはとことん怠け、どうにかしなくちゃいけない時は全力でどうにかする」

杏「ある意味で全てが杏なんだよ」

杏「まぁ基本は怠け者ですけど～」

常務「そうか・・・・」

杏「そして、怠けるためならどんな手段も辞さない・・・・・」

杏「さすがに杏も周りの人が泣いてる中では怠けられないからね～」

杏「だから・・・・・」

常務「？」

杏「もしまた杏の仲間を泣かせようとする奴がいたら、絶対に許さないから・・・・・」

杏「そう思っておいた方がいいよ？」キリッ

常務「う・・・・・うむ・・・・・」

杏「な～んてね♪」ドヤァ

常務「君は本当に底が見えんな」

杏「杏は全力で怠け者ですが何か？」

常務「まぁ・・・・・そういう事にしておこうか」

杏「ま、何でもやりすぎは毒って事だよ」

杏「たまには何も考えず、ダラ～っとしてるのも悪くないかもよ？」

常務「ふむ・・・・・」

ガチャ

武内P「おはようございます」

杏「お、プロデューサー、おっはー♪」（やっと来たよ・・・・）

武内P「双葉さん、おはようございます、それに・・・・」

常務「少し邪魔しているぞ」

武内P「美城常務・・・・・おはようございます」ペコ

常務「実は今度のライブで確認したい事があってな・・・・・」

武内P「そうでしたか・・・・」

杏「それじゃ、杏はこれでドロンするよ」

武内P「どちらへ？」

杏「２人を迎えに行くんだよ、あんまり難しい話横でされても居心地悪いし」

武内P「そうですか・・・・・」

常務「待ちたまえ」

杏「もう何～？」

常務「君は本当に不思議な子だ、良ければ今度食事でもしながら話さないか？」

杏「・・・・・・美味い所で頼むよ」

常務「・・・・・努力しよう」

杏「楽しみにしてるよ、じゃーねー♪」

バタン

武内P「双葉さんと何を話されてたんですか？」

常務「ちょっとした世間話だ、気にしなくていい、それより・・・・・」

武内P「？」

常務「君はとんでもないモンスターを飼い慣らしてるようだな・・・・・・」

武内P「はぁ・・・・・」ポリポリ

～ロビー～

杏（はぁ・・・・何かどっと疲れた・・・・）トコトコ

かな子「あ、杏ちゃんおはよう」

智絵里「お、おはようございます・・・・・」

杏「おっはー」

杏「ねぇ２人とも、今度の休みどっかで食事でもどうかな？」

かな子「いいけど・・・・・急にどうしたの？」

杏「たまには仲良しグループっぽい事でもしよっかな～と思ってさ」

かな子「もう・・・・私達はもう仲良しでしょ！」

杏「あ～そうだっけ、これは失敬」

智絵里「うふふ・・・・・」

杏（さ～て・・・・楽しみにしてるからね・・・常務さん？）

～後日～

今西部長「そういや常務が急にまとまった休みをとったんだが・・・・何か知らないかな？」

武内P「いえ・・・・存じませんが・・・・」

～常務宅～

常務（ジャージ）「・・・・・・」グデー

常務（ふむ・・・・たまにはこういうのも悪くないかもな・・・・）

常務（いまはあのシャツの文字、輝いて見えるぞ、双葉杏）

～おしまい～