フレデリカ「交換日記ごっこ」 (16)


これはモバマスssです

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フレデリカ「フンフンフフーン、ジューン」

文香「梅雨の季節ですね…湿度は、本の天敵です…」

杏「雨もう止んでるけど、帰り道蒸し暑いのめんどいなぁ」

肇「昔は雨が降るとはしゃいで遊びましたけど、流石にこの年になると困る事だらけですね」

フレデリカ「じゃー交換日記やろー?」

杏「脈絡」

肇「そんなもの、この場所にはありませんよ」

文香「交換日記、ですか…」

フレデリカ「交換日記やってみたい!」

杏「大したもんだね。続くと思ってるの?」

肇「フレデリカさんの順番を最後にすれば一周はするのでは?」

フレデリカ「じゃー文香ちゃんから!」

肇「持ち時間は一人15分です!」

杏「えぐくない?」



杏「って言う会話したのが5分前だったじゃん?」

肇「…その筈ですけど…」

フレデリカ「わぁお、文香ちゃん凄い!もうすぐ二冊目!」

杏「…今日、そんな書く事あったっけ?」

肇「それ以前に筆速おかしくありませんか?」

フレデリカ「ページ捲ったあと書き込んでるのが目で捉えられないねー」

杏「交換日記の意味分かってるのかな」

肇「やった事ないんでしょう。いかに沢山書いて相手の心を折れたら勝ち、みたいなゲームと勘違いしてるんじゃないですか?」

フレデリカ「アタシ次のゲームやりたいなー」

杏「せめてやってから飽きてよ」



杏「で、あの超高速でペンを動かす文香ちゃんへ一言どうぞ」

フレデリカ「インク保つのかなー?」

肇「次の人、15分で読み切って書き切れるんでしょうか…」

杏「杏次は嫌だなー」

肇「でしたら、私がいきます」

フレデリカ「肇ちゃん速読自信あるのー?」

肇「大丈夫です、やりきってみせます」

杏「これほど肇ちゃんが頼もしく見えたのっていつ以来だろ…」




文香「ふう…整いました」

肇「何がですか?」

杏「文学少女としての体裁でしょ」

フレデリカ「それじゃー次誰書くー?」

肇「それでは、私のターンで」

杏「それじゃ次杏がいいな」

フレデリカ「杏ちゃんはラスト!上手くまとめて貰わないと困るからねー」

杏「オチ要員にするのやめて」

文香「それでは肇さん…よろしくお願いします」

肇「任せて下さい!」

杏「…交換日記ってこんな高速スピードで回すものだったっけ」




杏「って会話をして5分」

文香「…私の書いたページ、最初の1ページ目しか読まれていなかったのですが…」

フレデリカ「しかも墨と筆まで用意してるねー」

杏「ちゃんと読め…ってのも15分じゃ無理だよね、ノート二冊分まるまるの日記とか」

文香「それにしても…筆を握った肇さんの表情、とてもキリッとしていますね」

フレデリカ「筆を持つと人が変わったみたいだねー」

杏「最初は普通に今みたいなキャラだったんだけどね」

フレデリカ「あ、スマホで何か調べてる」

文香「…陶芸セットの値段を調べていますね」

杏「販促でもするつもりなのかな」




フレデリカ「そーいえば、文香ちゃんはどんな事書いたのー?」

文香「ふふっ…貴女の番が回ってくるまでのお楽しみです」

杏「肉の部位について事細かく書き込んでそう」

文香「…その手が…」

フレデリカ「あ、肇ちゃんよく見たら縦書きで書いてない?」

文香「ノートを横にして、縦書きで書いてますね…」

杏「次読む人の事全く考慮しないあたり、流石このユニットって感じだよね」



肇「ふぅ…書き終わりました」

文香「お疲れ様です…」

杏「肇ちゃんは4ページ、良心的…なのかな」

フレデリカ「それじゃー次はフレちゃん!」

杏「頼むから日本語でね」

フレデリカ「フレちゃんフランス語ぜんぜん喋れないよー?」

肇「一般的日本人が理解できる文章で、という意味では?」

文香「肇さん、それは貴女の理解力が足りていないだけかと…」

杏「はいはいフレデリカちゃん書いてねー」




杏「って言ってフレデリカちゃんが書き始めて14分」

文香「…何も、書いていませんね」

肇「フレデリカさんの事ですし、バカにしか読む事ができない文字だよーなんて言い出すんじゃないですか?」

杏「しかもフレデリカちゃんも前二人の日記読んでなかったし」

肇「交換日記って…」

文香「肇さんも私の書いた部分読み飛ばしていたじゃないですか…」

肇「だって長いんですから」

杏「いやあの自信満々に言ってたやりきってみせますは何だったよ」

文香「…んふっ、そんな事言ってたんですか肇さん」

肇「一文目で読む必要が無いと判断しましたから」




肇「あ、書き始めました!」

文香「あのフレデリカさんが…文字を…っ!」

杏「いやバカにし過ぎでしょ、幼稚園生の初めてのお使いを見守る親かよ」

肇「…名前…間違えずに書いています!」

文香「年齢まで…算数、出来るようになったんですね…」

杏「お前ら一回フレデリカちゃんに怒られてこい」

フレデリカ「書き終わったよー!」

杏「やっぱ杏が全員に怒るわ」



杏「さて、杏のターンか…読むのが怖いなぁ」

フレデリカ「杏ちゃんふぁいと!」

文香「頑張って、読み切って下さい…」

肇「杏ちゃんは時間制限気にしなくて大丈夫ですから、全て読み切って下さいね」

杏「…やってやるよこんちきしょう!」

フレデリカ「それじゃー杏ちゃん!」

肇「張り切って、どうぞ!」





杏(えっと、まずは文香ちゃんのノート二冊分の長編日記が…)

著:鷺沢文香 初版:2017年6月25日

杏(…既に突っ込みどころしかない…えっと…)


 長い長い夢を見ていたような気がします。私の知らない世界で、私の知らない人たちと、楽しく過ごす夢。それはとても暖かくて、新しい物事ばかりで、新しい出会いばかりで、幸せな夢。
 起きてしまった今、既にその記憶は少しずつ薄れていってしまっていますが…それでも、とても幸せを感じていた事は覚えています。そうでなければ……現実よりも幸せを感じられる夢を見ていなければ。
 私はこうして、涙を流したりなんてしませんからーー


杏(…交換日記で自作小説書く人初めて見たよ)

杏(しかもこれノート二冊分続いてるんでしょ…ふざけんな、筆速すぎるだろ、妄想力含めておかしいって)

杏(適当にノートの真ん中まで飛ばすか)パラパラ


「私に同じ攻撃が通用するなんて……考えない事です」
 悪の組織『マッドドール』の追っ手である、ミスフジワラの攻撃は、確かに脅威的な威力を誇ります。ですが、それは既に一度見た事のある攻撃。そんなもの、私の解析力の前では無力。
 私が両手をかざし即席で構成した魔法陣は、彼女の攻撃を完全に防ぎ切りました。流石のミスフジワラも動揺を隠し切れ無い様子です。
「そ、そんなっ!」
「ふふっ……本は泥よりも強し、です。タブレットを使えるからって調子に乗り、修行を怠っていた様ですね」


杏(…なんだこれ、なんだこれ)

杏(肇ちゃん、読み飛ばして正解だったね)

杏(ってか全部読むのダルすぎるし、もう二冊目の最後までとんじゃお)ペラペラ




 ようやく、私も……
 タブレットを使える様になったのにーー

 つづく


杏(…何の冒険譚だったんだこれ…)

杏(まぁもういいや、考える事はやめよう)

杏(肇ちゃんのページ読もう)

藤原肇 六月二十五日

杏(あ、肇ちゃんは縦書きなんだった)

杏(字が達筆過ぎて読みづらいし、そもそも交換日記に墨っておかしいって)

今日は 雨が降っていました

杏(…続くだったんだから続き書いてあげなよ)

杏(…いやいや、よく考えたらこれリレー小説じゃなかったね)

雨もまた 一つの天気です

杏(…知ってる)

天気が雨の時 雨が降っています

杏(…分かってるって、書くネタ思いつかなかったなこれ)

鬱 薔薇 檸檬

杏(書くネタ無いからって難しい漢字書ける自慢してんじゃねぇ!!)

陶芸セット 二割引 あと二日 五セット買う

杏(交換日記をメモ書きに使うな!!)

 



杏(さて…最後はフレデリカちゃんか)

宮本フレデリカ 19歳 今日も元気にハッピー!

杏(…フレデリカちゃん…悩んでた14分は何だったのさ…)

杏(…私は何書こう)

杏(……)

杏(……)

杏 疲れた、二度とやらないからな!!



交換日記って二週目以降何書けばいいのか分からなくなりますよね
お付き合い、ありがとうございました

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