・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります
-----事務所-----
ガチャ
智絵里「おはよう……ございますっ」
杏「はぁ……今日も今日とて仕事かぁ……」
かな子「そう言わないの、杏ちゃん」
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卯月「あっ、皆さん! おはようございます!」
智絵里「卯月ちゃん。おはよう、ですっ」
かな子「おはよう~! 今日は早いんだね」
卯月「はいっ。今日は朝から、ロケのお仕事があって……。島村卯月、頑張ってきました!」ブイ
杏「うぉ、いい笑顔……。浄化されて消滅しちゃいそうだよ」
智絵里「それ、他の誰かも言ってたような……?」
かな子「そうなんだ~。この後の予定は?」
卯月「実は、今から美穂ちゃんと響子ちゃんと一緒に、打ち合わせがあって、ちょうど出ようと思ってたところだったんです……えへへ」
智絵里「い、忙しいんですね……」
杏「その二人とっていうことは……あぁ、ピンクチョップの」
智絵里「チョップ……?」
卯月「もう、チェックですってば」
かな子「そういえば、今度学園祭に呼ばれてステージをやるんだよね」
杏「さっすが、売れっ子は違うねぇ。このこの」ツンツン
卯月「ひゃあ! そ、そんなことないですよ~!」
かな子「それじゃあ、また今度ゆっくりお話しようね!」
卯月「はい! では、行ってきまーす!」フリフリ
かな子・智絵里「行ってらっしゃいっ」フリフリ
ガチャ バタン
智絵里「た、大変そうだね、卯月ちゃん」
かな子「でも、楽しそうだったね」
杏「頑張り屋さんだよねー。頭が下がるよ、ホント」
かな子「卯月ちゃんといえば、『頑張ります!』だもんね♪」
智絵里「あっ。今の……結構似てたかも」
かな子「そ、そう? えへへ……」
杏「……そうか、なるほど……」
智絵里「杏ちゃん?」
杏「……こほん。『双葉杏、頑張りませんっ!』」ブイ
杏「これだ……っ!」
かな子「これだ、じゃないよ……。急にどうしたの?」
杏「いやぁ、ちょっと卯月ちゃんのアイドルっぷりにあやかろうと思って」
智絵里「あやかれてるかなぁ……?」
杏「でもさ、アイドル的にはこういうの、いくらあっても困るもんじゃないでしょ? キャッチフレーズというか、決め台詞というか」
かな子「そういえば、私たちって三人で挨拶するとき、いつも……」
杏「せーの」
三人『キャンディアイランドですっ!』
かな子「……だよねぇ」
杏「そだね」
智絵里「えっ、その……もしかして、ずっとワンパターンだと、怒られたり、しませんよね……?」
杏「別に怒られはしないだろうけど、飽きられはするかもねー」
智絵里「うぅ……」
かな子「でも、挨拶でも定番のものがあるっていうのは、それはそれで大事だと思うよ?」
かな子「このお店に行ったときは、まずは絶対このケーキを食べる! みたいなの、よくあるもん」
智絵里「う、うん」
杏「でも、『たまにはちょっと冒険して、いつもと違うケーキも食べてみようかなぁ……』っていうの、あるでしょ?」
かな子「あるある~! それで、いっぱい悩んだ結果、両方食べちゃう!」
杏「ですよねー」
智絵里「私も、優柔不断なほうだから、その気持ちはわかるな……」
かな子「ショーケースに並んでるいろんなケーキを眺めてると、もう全部が美味しそうに見えてきちゃって……」
杏「あぁ。それで『このケースの、端から端までお願いします』みたいな感じになるんだ?」
智絵里「すごいね、大人買いだ」
かな子「さ、さすがにそこまではしないよ!?」
かな子「私がそんなに買い占めちゃったら、後から買いに来た人ががっかりするだろうし……」
智絵里「あ、そこなんだね……理由」
杏「『できない』じゃなくて『しない』なあたりに可能性を感じるね」
かな子「だって、美味しいものは、みんなで共有してこそ! だよ」
杏「あはは、かな子ちゃんらしいや」
智絵里「共有といえば……かな子ちゃん、よくお店のスイーツの写真とか、プロダクションのみんなに送ってきてくれるよね」
かな子「あっ、うん」エヘヘ
かな子「スイーツって見た目も可愛くて素敵なものが多いし、見るだけでも幸せになるかなって。みんなにおすそ分け、だよ」
杏「あー。おとといだっけ? あのバケツみたいなパフェの写真きたの。あれ、普通に食べきれたの?」
かな子「もちろん! 美味しかったなぁ……♪」
杏「まじか……恐るべし、三村かな子のスイーツ吸収力……」
智絵里「あれ、もしかしたら杏ちゃんの顔ぐらいの大きさ、あったんじゃないかな……?」
杏「……かな子ちゃんって、実は血の代わりに生クリームが体内流れてたり、しない?」
かな子「しないよ!?」
智絵里「蚊が吸ったら、びっくりしちゃうね」
杏「でも血より甘くて美味しいって、めっちゃ寄ってきたりして」
かな子「だ、だからしないってば!」
杏「もー。かな子ちゃんはスイーツ大好き系アイドルとして売ってるんだからさ。それぐらい言ってもバチは当たらないって」
智絵里「そうだっ。ウサミンさんみたいに、スイーツ星からやってきました! みたいなの、どうですか?」
杏「……いや、ごめん智絵里ちゃん。それはさすがに」
かな子「だったら智絵里ちゃんは、クローバー星のお姫様、とか?」
智絵里「そ、そんな、お姫様だなんて……」テレテレ
杏「そんな異星人だらけのユニットはちょっとなぁ」
智絵里「わ、私なんて、きっとクローバー星でも、ただの平凡な女の子だと思うから……」
かな子「でも、クローバー星っていうくらいだから、四つ葉を探すのが上手な智絵里ちゃんは、きっと有名人になれるよ!」
智絵里「うーん……でも、きっとクローバーがあちこちにたくさん生えてる星なんだと思うし、そうなると、もともと住人もクローバーに詳しい人ばかりじゃないかな?」
かな子「なるほど、そっかぁ」
杏「……あのー、そろそろ地球の話に戻さない?」
智絵里「地球の話……えと、環境問題、とか?」
杏「いやいや、そんな極端に現実的な話じゃなくてさ」
かな子「もっと身近な話、っていうことかな?」
杏「そうそう。ほら、今度のライブの話とかさぁ」
かな子「ライブ! うん、楽しみだよね! 私たちの他にもいろんなユニットと合同で……」
杏「って、ぅわあぁ!」
智絵里「ど、どうしたの?」
杏「杏が……杏が自分から仕事の話を振ってしまうなんて……」
杏「もうダメだ。世界の終わりだ。アイデンティティがクライシスだぁ……」ブツブツ
かな子「あ、杏ちゃんが落ち込んじゃった……」
智絵里「ど、どうしよう、かな子ちゃん」
杏「……個性を失った杏は、おとなしくソファの裏でひっそりと過ごすよ」モゾモゾ
智絵里「……あれ。普段とあんまり、変わってない?」
かな子「そんなところに行かないで、杏ちゃん。飴、食べる?」
杏「食べる」ニュッ
かな子「あはは……やっぱりいつも通りだね」
智絵里「前に、みりあちゃんが言ってたなぁ……杏ちゃんはいつも、ソファの裏とか陰にいて、てんとう虫みたい、だって」
智絵里「……あれ? だんご虫だったかな」
杏「虫かぁ……自分で言うのもアレだけど、あんまりアイドルが例えられるものじゃないよね」
かな子「でも杏ちゃん、前に確か、自分でつちのこのモノマネとかやってたじゃない?」
智絵里「つちのこって、虫なの?」
かな子「あ、そっか。ヘビ系だったね」
杏「まあヘビの漢字に虫入るし」
智絵里「……つちのこの珍しさって、四つ葉のクローバー何本分くらいなんだろう」
かな子「幻の生き物なんでしょ? クローバーがたくさん、ブーケが作れるくらいじゃないかな」
杏「ねぇ智絵里ちゃん、もしクローバー探し中につちのこ見つけたら、捕まえて杏にちょうだい?」
杏「売ったらそのお金でしばらく遊んで暮らせそうだし」ニヤリ
かな子「もう、抜け目ないんだから」クスクス
智絵里「ふふっ」
杏「智絵里ちゃんも、世界的発見の当事者として、インタビューされまくるよ、きっと」
智絵里「ええっ!? き、緊張するなぁ」
かな子「でも、どうやって捕まえるの? もし毒とか持ってたら、危ないよ?」
智絵里「えっと……やっぱり、虫取り網とか?」
杏「まあ、妥当なとこかなー?」
かな子「でも、いつも虫取り網を持ち歩くわけにはいかないし……」
杏「じゃあ、いっそ手近なハンドバッグとか使えばいいんじゃない? そのまま虫カゴ代わりに出来るし」
ガチャ
卯月「すみませぇん……バッグを忘れてきちゃったみたいで……」エヘヘ
智絵里「じゃあ、見つけたらバッグの中身を全部出して、上からぎゅって押さえつければいいかな?」
卯月「えええっ!? そ、そんなひどいことしちゃダメですっ!」
智絵里「ごっ、ごめんなさい……! 生き物はもっと丁寧に扱わないと、ですよね……?」
卯月「わ、私のバッグ、生きてないですよ!?」
おわり
以上、お付き合いありがとうございました。
ちなみに毒薬シリーズはこれで20作目……飽きっぽい私にしてはよく続いてるほうです。
前回
キャンディアイランドの常に毒にも薬にもならないおしゃべり
第一回
キャンディアイランドの毒にも薬にもならないおしゃべり
も、よろしければどうぞ。
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