海未「好きですが?」 (39)


ことうみのようなものと、うみぱなのようなもの。たぶん短いです。

二作目なので見にくいかもしれません。

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スズメの甲高い鳴き声が耳を刺激し、海未は小さく身動いで体を起こした。

長い長い夜が終わり、また朝がやってきた。

体を包み込んでいた肌触りの良い掛け布団を引き剥がし、右へ左へと目を動かす。



右隣には、ふんわりとした肌のことり。

そして左隣には、ぷにぷにお肌の花陽。

海未は昨晩の行為のことを思い出して、深くため息をつき、ああこれが賢者タイムというものなのですね……と独り言ちた。


◇◇◇


階段を駆け上がる。

その姿は、つい先ほど工事現場でのアルバイトが終わったとは思えないほどの走りっぷりであった。

しかし決して疲れを感じていないというわけではなく、いくら体力があれど女であり、更には先輩に怒鳴り散らされた後であったため、心身ともに疲弊していたのだが、海未には走らねばならない理由があった。

海未「ただいま戻りました!」


はぁはぁと息を吐きながらも、玄関の扉を開けてそう呼びかける。

すると中からパタパタと足音をならして駆け寄ってくる二つの影。


ことり「海未ちゃんおかえりなさい!」

花陽「おかえりなさい……」


幼なじみの南ことりと、高校生の頃の後輩であった小泉花陽。

仕事から帰れば、いつも二人が出迎えてくれる。

それだけで海未の心は癒された。

ことりはサイドで結った髪の毛を揺らしながら、元気よく海未に抱きつき、背中へ腕を回した。

掃除をしていたのだろうか、少し埃のにおいと、それをかき消すような甘い香り。

それだけで海未は少しばかり自身に熱をもたせる。

もう一つの影の花陽は、相変わらず少しばかり恥ずかしそうにおどおどと海未の腕にしがみついた。

腕にあたる花陽の服越しでも伝わる柔らかな胸の感触に、前屈みになりたいようなトイレに駆け込みたいような気持ちになる海未であったが、その花陽の表情が少ししょんぼりしているようなことに気付き、問いかける。


海未「花陽、どうかしましたか……?」

海未「なんだか悲しそうな顔をしています……」

花陽「ふぇっ!?な、なんでもないよぉ」

海未の問いかけに慌てたように笑顔を取り繕う花陽を見たことりは、海未ちゃんに嘘ついちゃだめだよ、と耳打ちする。


海未「本当ですか?」

花陽「……あ、あのね、海未ちゃん……。今日のご飯、わたしが作ったの……!」

海未「そうなんですか!花陽の料理は久しぶりですね。楽しみです」

花陽「うぅ……楽しみにしちゃだめだよォ……」

今にも誰かに助けを呼びたげな顔で海未を見上げる。

目尻に小粒の涙をたずさえた上気した頬に見つめられた海未は、たまらず2人を引き剥がし風呂場へと駆け込んだ。


海未「すみません!先にお風呂いただきますね!」

ことり「一番風呂だなんて亭主関白〜・」

花陽「……」

ことり「……大丈夫だよ!海未ちゃんは優しいもん!」

花陽「うん……」

花陽から事情を聞いていることりは、花陽の頭を撫でてにっこり微笑む。


ーーそんなに心配しなくてもいいのになぁ。


と、ことりは思ってしまうほど、それほどに小さな過ちなのだが、花陽にしてみればそうではない。

きっと逆の立場なら花陽は怒りを通り越して涙を流してしまうだろう。

花陽にとってそれは重大なことであったのだ。

◇◇◇


海未「ふぅ……」

海未「……一発やってしまいましたね」

海未「これが徹夜明けなら、ことり達が使っているシャンプーに混ぜてましたよ」

ことりや花陽と比べると、決して肉付きがよいとは言えない体についた水滴を、バスタオルで丁寧に拭いてゆく。

以前ならばゴシゴシと乱雑に拭いていただろうが、二人が心を込めていつでも柔らかなままに使えるように丁寧に洗っていると知ってからは、海未も心を込めて優しく扱うようになった。

そのせいか、まるでことりと花陽の全身で体を拭かれているような気持ちになり、体が熱くなる。


海未「……私は思春期の中学生なのでしょうか」

海未「いけませんね。食事をしましょう」



リビングに戻ると、待っていたかのように夕食をちゃぶ台の上に並べ始めることりと花陽を眺めつつ、部屋を見渡す。

海未の給料で借りれる部屋であるため、広くはないし、壁も薄い。

しかしそんな狭い部屋を少しでも窮屈に感じさせないように、かつ、オシャレにことりがコーディネートをしてくれているおかげで、快適に暮らせている。

さらに、花陽が毎日隅から隅まで掃除をしてくれているおかげで、海未はこの家に不便さなど感じたことはなかった。


海未(……いえ、壁の薄さだけが少し……)

海未(ふたりとも声が大きいですから)

そうこうしている間に、目の前にはとても美味しそうな食事が並び終わっていた。

そういえば先ほど花陽が今日の夕食担当だと言っていたことを思い出し、花陽に微笑みかける。


海未「すごく美味しそうです!花陽、ありがとうございます」

花陽「う、海未ちゃんっ、待って……」


花陽の制止虚しく、いただきますと、スープカップに口をつけた。


海未「…………ふむ」

花陽「あわわわ」

海未(砂糖ですね。典型的なやつです)


中に入っている玉葱から出たとは思えないほどの甘さが口の中に広がる。

先ほどの表情にようやく合点がいった海未は、再びスープを口に含み、花陽の唇と自分のそれを合わせて舌を差し込む。

滑り台を滑るように流れ込んでくる生暖かいスープに、花陽は嘔吐きながらも顔を真っ赤にして、頭を押さえつける海未の腕に手を添えた。

海未「ふふ。花陽のように甘いスープですね」

花陽「ぅ、不味いってこと……?」

海未「美味しいってことですよ。ご馳走様です」

ことり「やーん!花陽ちゃん羨ましいなぁ」


こんなにもクサイ台詞でも、海未にめろめろな二人は目をハートにして心をときめかせるのだ。

恋は盲目、とはよくいったものである。

海未「早く食べてしまいましょう。冷めてしまいますからね」


折角花陽が作ってくれたのですから、と付け加える。

海未ちゃんは意地悪だねと頬を膨らませながら、花陽もようやく胸のつっかえが取れたのか、箸を手にとり山盛りの白米を頬張った。

うみこと「ごちそうさまでした!」

花陽「おそまつさまでした……私お皿洗ってくるね」

ことり「手伝うよ〜」

花陽「ことりちゃんは海未ちゃんお願い!私はさっき、ズルしちゃったから」

ことり「あっ、やっぱりわざとだったんだね、むぅ」

エヘヘと笑う花陽の頬をぐにぃと引っ張りながら唇を尖らせることりを遠目で眺めていた海未は、そんなオンナの駆け引きの内容など聞こえず、少し仲間はずれにされているような気持ちになり眉を下げる。

そんな気持ちを知ってか知らずか、ことりは海未に駆け寄り肩に手を置いた。


ことり「うーみちゃん!」

ことり「疲れてるでしょう?ことりが肩を揉んであげます!」

海未「わっ、ありがとうございます……きもちいですね……」


もーみもーみと鼻歌を歌いながら、優しい指づかいと力が入った指づかい、絶妙な力加減につい微睡んでしまう。

高校を卒業して、大学に進学したのはいいものの、大学に通いながらことりと花陽を養うのは厳しく一年もせずに中途退学した。

勿論、父や母には反対され、殴られもしたが、ことりと花陽との生活を守るためならば、仕方のない犠牲であるといえる。

時折鼻歌の合間から聞こえる、かたいねぇという声や、疲れてるんだねという声に、返事をしているかどうかすらわからなくなってきた頃、ふと指の動きが止まった。

海未「ん、あれ……」

ことり「おしまいです!次は海未ちゃんが私を気持ちよくさせてくれる番だよ」

花陽「あの……花陽も、気持ちよくしてほしいですっ」

海未(ああ、また睡眠時間が……)

スウェット姿の海未を、生まれたままの姿のことりと花陽が柔らかなシーツの上に押し倒す。

まるで服を着ている海未が異質かのように映し出すシーツをぐしゃりと握りしめて海未は形式上の拒否をする。


海未「あぁぁ……いけません、いけませんよ、ことり、花陽っ!」

ことり「そんなこと言っちゃって……・」

花陽「海未ちゃんのココ、女の子なのにすごくおっきくなってるよぉ……?」


花陽とことりにやわやわと股間を揉まれるだけで軽くイってしまいそうになる。


スウェットを脱がそうとする刺激に耐えきれず、さすがにその動作だけで暴発してしまうのは情けないと思ったのだろうか、海未は脱がさないでと涙を浮かべ懇願した。


ことり「仕方ないですねぇ〜。じゃあ、ことりのえっちなところ舐めてくださいっ」


海未ちゃん好きでしょ?と言いたげな顔で、海未の口元に腰を降ろしてリズミカルに腰を揺らす。

すでに溢れきっていたそこを口元だけでは受け止めきれず、顔中を液体でどろどろにしながら海未は丁寧にことりの奥へ奥へと舌を進める。


ことりの腰の律動によって時折クリトリスが海未の鼻先にあたり、そのたびにことりは甲高い声で鳴く。まるで夜のスズメのようだと海未は笑った。


ことり「ひゃん、イ、今海未ちゃん笑ったでしょっ……!」

ことり「うみちゃンッの息がっ、おまんこにあたってェェきもち、いッ」


口元が塞がれているためことりの言葉に返事は返せないが、せめてもの肯定の証として、クリトリスを舐めあげた。

しおからい、独特の味がする。

決して美味いわけではない、しかしそれが愛しのことりから分泌されているものなのだと思うと、舌の動きの激しさは増していく。

グチョグチョという音とことりの甘い声に海未の耳は支配されていく。

視界に広がる白いお腹、見上げれば豊満な胸、そしてにやりと頬を上気させながらまるで夢魔のごとく微笑むことり。

息はさらに荒くなり、ことりの愛液はとどまることをしらない。

完全に二人の世界に入っていた海未は花陽の声に気づかなかった。



花陽「…………私のことはほったらかし……?」

花陽「花陽はことりちゃんと比べてスタイルも悪いし、かわいくないから、海未ちゃんは花陽とえっちしてくれないの……?」

花陽「うぅ、ひどいよ……」

花陽「そんなの……興奮しちゃう」

まるで泣いてるかのように震えた声からは想像できないほどの恍惚とした表情で海未の足先に口づけた。

おしゃぶりをしゃぶる赤子を想像させるような動きで、海未の親指を口に含みちろちろと舐める。


海未「っんあ!?」

花陽「んみひゃん、ひゃんとゆびしゃきまで、あらっら……?」

口を塞がれている海未にはその問いかけに答えられない。先刻風呂には入ったが、それから時間も経っているし、汗もかいているはずだ。

抵抗とばかりに花陽の口の中で親指を暴れさせる。

生温かい花陽の口内は、さながら花陽の膣のようにうごめいており、海未の性感を高める。

花陽の舌のざらつきが余計にそう感じさせた。

海未からは花陽の表情も動きも見えなくて、擬似目隠しのようになる。

舌はことり、指は花陽に弄ばれながら、別々のことをやるのがこんなにも大変だなんて高校生の頃の私が今の私を見たら卒倒するでしょうかーーなどとあの頃に想いを馳せつつ、指の動きは激しくなっていく。


花陽「いたいよぉ……んみひゃんやさしくして……」

花陽「んん、ちゅ、」


ちゅぽんと糸を引きながら花陽の口の中から出てくる親指をことりは一瞥し、海未の股間を撫でた。


ことり「あはは、もしかして花陽ちゃんに足舐められながらイっちゃった?」

花陽「わ、ほんとだ……おもらししたみたいになってるよ……」

海未「んンーーっ」

ことり「あっ、ごめんね、苦しかったね」


ことりの腰と海未の唇を繋ぐ、てらてらときらめく糸が途切れるのをうつろな瞳で見つめながら、ようやく解放された口元を右腕でぬぐい、海未は涙ながらにことりと花陽を引き寄せる。

節約のためにこの家は冬でも暖房をいれていないのだが、今このシーツの上だけは、まるで季節が逆転しているかのごとく、身体を火照らせた。

じわりと滲む三人分の汗が、今までのことを、これからのことを再現するかのようにみだらに混ざり合う。

海未はことりと花陽の身体を押し倒した。


◇◇◇


スズメの甲高い鳴き声が耳を刺激し、海未は小さく身動いで体を起こした。

長い長い夜が終わり、今日も朝はやってくる。

体を包み込んでいた肌触りの良い掛け布団を引き剥がし、右へ左へと目を動かせば、右隣にはふんわりとした肌のことり、左隣にはぷにぷにお肌の花陽。

海未は昨晩の行為のことを思い出して、深くため息をつき、ああこれが賢者タイムというものなのですね……とことりと花陽のハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみを抱きしめ、独り言ちた。


◇◇◇



ことり「わぁ!これが私たち用の歌詞?かわいい〜っ」

花陽「ぴゃぁ……恥ずかしいよォ……」

海未「駄目でしたか……?」

練習終わりの放課後、海未はことりと花陽を呼び出し、昨晩書き上げたデュエット曲用の歌詞を手渡した。

ことりの反応は上々、対して花陽は不安げで、うっかり昨夜の妄想を思い出してしまいそうになる。


花陽「かわいいけど、花陽に合うかなぁ……?」

ことり「花陽ちゃんかわいいから大丈夫だよ!楽しみだね〜〜・」

花陽「えへへ、ありがとう」


ことりの言葉に花陽の不安もとれたようで、海未も一先ず安心する。

後はここからどうしてあの妄想を現実にしていくかが今後の課題なのであった。


終わり。


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