海未「永遠フレンズ?」ことり「ずっと一緒だよ!」 (341)

SS初投稿です
ホラー要素あり
そしてことりちゃんファンの方ごめんなさいm(._.)m

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ー朝の通学路ー

穂乃果「海未ちゃーん!おっはよーう!」

海未「おはようございます穂乃果、待ち合わせ時間よりも前に来るなんて珍しいこともあるものですね」

穂乃果「えへへ~今日はなんかすっきり目が覚めちゃってさ、天気もいいし早く外に出たくて飛び出してきちゃったよ!」

海未「とはいえもう待ち合わせの2分前ですし、決して早いわけではありませんよ?大体もう朝練が無くなったとはいえその時と同じように朝起きていれば遅れることなど… 」

ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんおはよ~♪」

穂乃果「おはようことりちゃん!今日は穂乃果いつもより早く来れたんだ~」

海未「人の話を最後まで聞きなさい!」

ことり「穂乃果ちゃん偉い!そんな穂乃果ちゃんはことりがなでなでしてあげましょう♪」ナデナデ

穂乃果「ふわぁ~ん///ことりちゃんの優しさがしみわたるぅ~///」

海未「まったく…ことりはいつも穂乃果に甘いんですから…」

ペコッ

海未「?」

穂乃果「………」

海未「なぜ私に頭を………なるほど、ようやく穂乃果も素直に謝罪をすると言うことができ「違う!」

海未「はい?」

穂乃果「海未ちゃんも穂乃果の頭撫でてよ!」

海未「はぁ…今までの私の話を聞いてなかったのですか?私はことりのように甘くありません!」

穂乃果「海未ちゃんのケチ!もう知らないもんね!」プイッ

海未「あっ、ちょっと!ま、まあどうしてもというならその…明日も早く来れたらなでてあげてもいいですよ///まあ三日坊主どころか一日坊主の穂乃果には無理だと思いまが///」

穂乃果「おーい!海未ちゃんことりちゃん置いていっちゃうよー!」

海未「っていつの間にあんなに遠くに…」

ことり「あはは……穂乃果ちゃんは今日も元気いっぱいだねぇ」

海未「穂乃果は良くも悪くも小さい頃から変わりませんが、いつまでもあのままで大丈夫なんでしょか……」

ことり「ことりはいいと思うよ♪もちろん海未ちゃんもね。今までずっとこうして過ごして来たんだもん♪だから変わっちゃうなんてことりには考えられないし、そんなの嫌かも」

海未「ふふ、ことりらしいですね。安心してください、私はなにがあってもずっと私のままです。そして穂乃果も」

ことり「これからもずっと傍にいるってことりと約束してくれる?」

海未「ことりの寂しがり屋なところは変わらないですね、もちろん私達3人ずっと一緒です。約束しますよ」ニコッ

ことり「やったぁ♪」

海未「ふふ♪」

穂乃果「ちょっと~!!2人ともまだ~!?」

海未「あ、今行きます!」タッタッタッ

ことり「穂乃果ちゃんまってぇ~」ヤンヤン

穂乃果「もちろん穂乃果も一緒だよ!約束!」

海未「ちゃんと聞こえてたんですね…」

ことり「穂乃果ちゃんだいすきーっ♪」モッギュ-

穂乃果「うわっ!こ、ことりちゃんぐるじい……」

キャイキャイ

私達3年生ががアイドル研究部を引退してから数ヶ月、今は受験シーズンの真っ最中です。

ここ最近の私達はというと今まで当たり前のように励んでいた練習が無くなった寂しさからたまに3人で部の後輩達の様子を見に行ったりもしましたっけ。

以前はまだ頼りなかった花陽も今ではすっかり頼もしくなって、後輩達を部長としてしっかりまとめてくれていますし、新しく入った雪穂や亜里沙も、1年生ながらとても練習熱心で非常に今後が楽しみです。

部活は後輩達に任せても安心ですね。

そんなこんなで私達は練習が無くなったことと、勉強が忙しくなったこと以外特に今までと変わりない日常を過ごしていたのです。






この日の放課後までは…

とりあえず一旦ここでお終わりにします。
続きは後ほど。

ーその日の帰り道ー

海未「さて、今日も穂乃果の家にお邪魔して勉強会です!数学アタックです!」


穂乃果「ええ~っ!海未ちゃん今日も来るの!?しかもよりにもよって穂乃果の嫌いな数学……」


ことり「………」


海未「当たり前です!私とことりは推薦入試を受けるのであまり時間がないのですよ?それにいくら穂乃果が進学しないからといって残りの高校生活で勉強をしなくていい理由にはなりません!」フンス

穂乃果「だからって毎日穂乃果の家でやらなくても…」


海未「別に私の家でも構いませんが?」


穂乃果「あ!もしかして海未ちゃんほむまん食べたいから毎日家に来てるとかだったりして~」ニヤニヤ


海未「な!ち、違いますっ!違いますよ?」アセアセ


穂乃果「海未ちゃんはほむまんに目がないことくらい穂乃果は知ってるもんね!」

穂乃果「この前家のお店に海未ちゃんのお母さんが来て話してたよ!海未ちゃんたら家に買ってあったほむまんをお父さんとお母さんのひとつずつだけ残して後は全部食べちゃったって!」

海未「え?いや、それはですね」アタフタ


穂乃果「勉強会でもほむまん食べて、家に帰っても食べてるなんて。一時期ダイエットとかうるさく言ってたのはどこの誰かな~?」


海未「ぐぬぬ……お母様なんてことを…」

ことり「………」


海未(ことりは相変わらず口を開きませんね…昼休みの時からずっとですが…)

ーー数時間前の昼休みーー

穂乃果「今日もパンがうまいっ♪」モグモグ


海未「よくまあここまで飽きずにパンを…ある意味尊敬に値しますね」


ことり「ことりもチーズケーキなら毎日食べでも飽きないかも♪」


穂乃果「あっそうだ!」


海未「どうしたのですか急に?」


穂乃果「穂乃果ね、大学には進学せずに穂むらで働くことに決めたんだ!」

ことり「!」

海未「家を継ぐ…ということですか?」


穂乃果「そうだよ!今まではずっと餡子飽きた~とか言ってたけどやっぱり穂乃果は穂むらの和菓子が好きって改めて気づいたんだ。そうしたらだんだん自分でも作ってみたくなっちゃって…」

海未「きっと穂乃果のお父様も喜ぶでしょうね。あの素敵なお父様ならきっと穂乃果を立派な和菓子職人に育ててくれるはずです!私も応援しますよ!」

穂乃果「ありがと海未ちゃん!だから穂乃果、いつか巡り会う旦那さんに和菓子の作り方教えてあげるんだ~。だからお父さんに負けない和菓子職人になるっ!穂乃果やるよ!やるったらや……


グシャア!!!



ほのうみ「!!!!」


突然響きわたった凄まじい音に反射的に振り向くと持っていた弁当箱を地面に叩きつけ、俯きながらワナワナと小刻みに震えることりがいました。

海未「こと……り?」


穂乃果「はわわ……ことりちゃ…お弁当が…」


ことり「………つき…」


海未「?」


ことり「2人とも………う……だよ……」


穂乃果「ことりちゃん…大丈夫?…具合……悪いとか」


ことり「ちがう」


いつものことりらしくない鋭く、そして冷たい声


穂乃果「ほ、穂乃果こぼれたお弁当かたづけるの手伝うねっ」


海未「私も手伝いますっ」


ガサゴソ


チラツ

ことり「………」ジ-……


海未「……!!」ゾクッ


横目で確認したことりのその顔は、怒っているとも悲しんでいるともとれない色々な感情がぐちゃぐちゃに混ざり合ったような顔。
そしてせっせとこぼれた弁当を回収する私達2人を光を失った瞳で交互に見下ろしているのです。

海未「とりあえずこぼれた物は私のビニール袋に入れましょう…」


穂乃果「うん…!」


私は急に別人のようになった心友が恐ろしくなって、ことりの顔を見ないようにと思わず意識してしまう程でした。


それからというもの、ことりは放課後の今に至るまで一言も発していません。
私達の側にはいるのですが、私と穂乃果の会話や一挙一動をぼんやりと生気のない顔でただただ眺めているのです。

私も穂乃果もそのただならぬ雰囲気に不気味さを感じ、今まで声をかけられずにいたのでした…

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira112385.jpg

今日はこれで終わります。
書き溜めがないので続きはまた明日の夜にでもと思います。
慣れないもので遅筆です(>_<)

レスありがとうございます!
あくまでホラー要素にとどめるつもりなのでガチホラーにはしないと思います(多分)
つい癖のようなものでネタを挟んでしまいまして…これからもちょくちょく雰囲気に合わないネタが突っ込まれるかもしれませんがご了承くださいませm(._.)m

IDが変わってしまったので酉をつけました。
ここから少しホラー的な表現があります

ーその日の帰り道ー

海未(さすがにこのまま無言で別れるというのも……思い切って声をかけましょう!)


海未「あの、今日の勉強会ことりも来ますか?穂乃果は別として私とは試験日も近いですし追い込みをと…」


スタスタ

ピタッ…


ことり「……つきだ…!」


穂乃果「ことりちゃん…?」


グワッ


ことり「2人とも嘘つきだっ!!」


ほのうみ 「!!」

ことり「家を継ぐ?ことりとの約束は忘れたの?」


穂乃果「うっ……」


ことり「お前もだ!」


海未「…っ!!」


ことり「ことりと同じ大学を志望に入れておきながら、最後は別の大学を選んだよね?」


海未「それは…」

ことり「結局ことりとの約束なんてどうでもよかったんだよ!!」


海未「私達にもそれぞれ志す道というものがあるのです…!」


海未「それを理解せずにあの約束をしたというのなら、それはあなたの我儘。自分勝手というものではないのですか?」


ことり「……」

海未「それに私達は例え遠く離れても!共に過ごす時間が減ったとしても!互いを想い合う気持ちはずっと一緒のはずです!」


海未「私達幼馴染の絆はその程度で崩れてしまうものではないはずです!」


ことり「適当なこと言うな!!!」


海未「ことり…どうか落ち着いてください!」


ことり「黙れ!!!」


海未「そんな……」


穂乃果「うっ………ぐすっ…もうやめてよ…」


穂乃果「そんなことりちゃん…見たくない……」


ことり「やめないよ!!お前達のせいでこうなったんだ!!!」


ことり「2人ともずるいよ……!!」


ことり「ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい!!!!」


海未「………」


ことり「絶対に許さない!!必ず罰を受けてもらうから!」ダツ


ことりはそう言い残すと足早に去って行きました。


結局私は豹変したことりの剣幕に狼狽え、返す言葉を失ってしまったのでした。


海未「行ってしまいましたね…」


穂乃果「うっ……うっ」


海未「穂乃果……」


穂乃果「うぅ…うわああああああん!!」


穂乃果「穂乃果が…和菓子職人になろうなんて思わなければこんなことにならなかったのにぃ!」


海未「ことりの言い分なら私も同罪です…あまり自分を責めないでください」


穂乃果「だってっ……いつもあんなに優しいことりちゃんがっ…あんな風になっちゃうなんて…」


穂乃果「きっと穂乃果たちはとんでもないことをしちゃったんだよ……!」


後悔の言葉を並べながら柄にもなく泣き続ける穂乃果を、私はなだめることしかできませんでした。


ー数分後ー

海未「落ち着きましたか?」


穂乃果「少し……」


海未「もう暗くなってきましたしそろそろ帰りましょう」


穂乃果「うん……」


穂乃果「ねえ海未ちゃん…」


海未「なんですか?」


穂乃果「今日の勉強会、なしにしない?」


海未「ええ、私もさすがにそんな気分ではなくなりました…」


穂乃果「帰ろ……」


海未「はい……」



すっかり薄暗くなったいつもの帰り道を穂乃果と2人で帰りました。

結局いつも別れる場所に着くまで私も穂乃果も無言でひたすら歩き続けました。


きっと穂乃果も私と同じように、ことりのことが頭をめぐってそれ以外何も考えられなかったのでしょう。


ー園田家ー

ガララ ピシャ

海未「ただいま帰りました」


海未母「お帰りなさい海未さん、またこれから穂乃果ちゃんの家で勉強ですか?」


海未「いえ、今日はなしになりました。先にお風呂に入ってきますね」


海未母「あら、そうですか。お風呂ならすぐ沸きますからどうぞ」


海未「はい……」


海未母(海未さん、見るからに落ち込んでいるようですが学校でなにかあったのでしょうか……)


ー風呂ー

カポ-ン…

海未「はぁ……」


海未「こんな気持ちになるのは久しぶりですね……」チャプン


あの時は穂乃果が側にいたからまだ冷静さを保てていたものの、いざこうして1人になると抑えていた感情がこみ上げてきます。


海未「ひぐっ……うっ…」


気がつけば私は悲しみと恐怖から涙を流していました。


海未「私は……なにか間違っていたのでしょうか……」


今までに見たことのないことりの姿……


激昂し、あんなに強い語気で私達を捲し立てるのに表情だけは一点を見据えたまま決して変わることのない。



その不釣り合いから生み出されるなんとも言えない不気味さは、私が今までの人生で見たものの中で間違いなく一番の恐怖でした。



カタカタッ


海未「ん?」

ぼんやりと眺めていた鏡に映る風呂の戸の曇りガラス越しに何かが動いたような気配がありました。


海未「お母様?そこにいるのですか……?」


返事がありません。しかし確かに脱衣所に『何か』がいる気配を感じるのです。


じっと目を凝らして様子を伺っていると、ぼんやりと戸の曇りガラスにその『何か』の輪郭が浮かび上がってきます。

そしてその輪郭は徐々に鮮明さを増し

やがて


海未(まさか……!)












海未(ことり……!?)


はっとして直接曇りガラスに振り向きましたがそこにはもう何も映ってはいませんでした。


しかしあの時一瞬見えた輪郭はまぎれもない、ことりそのもののように見えたのです。

ーーーー
ーー


ー居間ー

海未「お風呂あがりました……」


海未母「海未さん今日は随分と早かったですね、なにかありましたか?」


海未「いえ、特になにも……あ、ところでお母様」


海未母「?」


海未「私がお風呂に入ってるあいだに脱衣所のほうには来ましたか?」


海未母「いえ、行ってませんよ?」


海未「っ……では誰か訪ねてきたり、家に入れたりはしませんでしたか?」


海未母「誰も来ていませんよ?お父様もまだ帰ってきていませんし……それがなにか?」


海未「私がお風呂に入ってるあいだに脱衣所のほうには来ましたか?」


海未母「いえ、行ってませんよ?」


海未「っ……では誰か訪ねてきたり、家に入れたりはしませんでしたか?」


海未母「誰も来ていませんよ?お父様もまだ帰ってきていませんし……それがなにか?」

すみません重複させてしまいましたm(._.)m


海未「いえ……ならいいのです」
(いいわけがありません!私が風呂で見たものは一体何だったというのですか……!)


海未母「海未さん今日は様子が変ですよ?帰ってきた時から思い詰めているみたいで……母として心配です」


海未「大丈夫です、気にしないでください」


海未母「そう言われても…」


海未母「まあもうすぐお父様も帰ってきますし、お夕飯も準備できますからそれまでここでゆっくりしたらどうです?」


海未「すみませんお母様、今日は夕飯食べられそうにありません、風呂も入りましたし今日はこのまま寝ます……」


海未母「海未さんいくらなんでもそれはいけません!」


海未母「疲れているなら寝るのは構いませんが……」


海未母「せめて何か口にしなくてはだめです!」

???「ほらこのお饅頭だけでも食べて~♪」スッ

その時饅頭を差し出す母の姿と声がその時一瞬だけ



ほんの一瞬だけことりに変わったように感じたのです。


海未「いりません!おやすみなさい!」
ダダダッ


海未母「あっ、ちょっと海未さん!?待ちなさい!」


ガララピシャン!!



海未母「部屋に閉じこもってしまいましたか……」



海未母(お饅頭にも食いつかないなんてこれはかなり重症ですね)


ー海未の部屋ー

海未「はあ……はあ……」


海未「なんなんですか……なんなんですか本当に……!!」



立て続けに起きた理解できない現象に、まだ鼓動が早くなっているのがわかります……!


海未「駄目ですこういう時こそ落ち着かなくては……!」


海未「落ち着いて今私の身に何が起きているのか、冷静に考えるのです…」


その後、私は部屋から縁側に出て、池の鯉に餌をやったり、ぼんやりと月を眺めたりしましたが、それでは今の私の心を落ち着けるには到底及びませんでした。

ー縁側ー

海未「ひとまず瞑想をしましょう……」


海未「……………。」



海未「……………。」



海未「………」




海未「」

………………………………………

………………………………………


…………………………………………

…………………………………………



海未「心を無にするのです……」

………………………………………

………………………………………


…………………………………………

…………………………………………




……………………………………………


……………………………………………


…………………………………ア

海未「?」






海未(気のせいですよね…)


……………………………………


………………………………………


………………………ヨ…………ア




海未「声?」


………………………………………………

………………………………………………


…………コ………ウ………ヨ………アアアアア!


海未(気のせいなんかじゃない…!
それに!)



海未(……はっきりと視線を感じます………!)



このままここにいてはいけないと本能的に確信した私は平静を装いつつ素早く自室に戻りました。


そして厳重な戸締りの後に念のため部屋の入り口にタンスを移動してバリケードまで作ると、心身共に疲れ果てて布団に倒れ込んでしまいました。


ー海未の部屋ー

海未「結局何だったのかさっばりわかりません……」ゴロゴロ


海未(そもそももし風呂に現れたのが本当にことりで、庭にいた何かもことりであったとしたら……)


海未(いえ、そんなことあっていいはずがありません!)


海未(第一人の家に勝手に侵入するなど犯罪以外の何物でもありませんからね!
海未(そんなことをあのことりがするでしょうか……?)


しかし……



ーーー絶対に許さない!!必ず罰を受けてもらうから!ーーー




あの時のことりの言葉が何度も頭の中に蘇ってきます。


海未「ことり……これがあなたの言う罰なのですか?」


部屋の壁に飾ってある写真。


穂乃果とことりと友達になった年。私の誕生日を家で祝ってくれた時のものです。


その写真の中で私と穂乃果と並んで無邪気に笑顔を振りまく幼いことりに、私は無意識に語りかけていました。


海未「あなたはこんなことをする人ではありませんよね?」


私は無理矢理に結論を出し、納得することにしました。


全ては私がことりのことを恐れ、考え過ぎたために見た、そして聴いた幻覚や幻聴なのだと。


こうして無理矢理にでも自分を納得させなければ、私は正気を保っていられそうになかったのです。


海未「もう今は……何も考えたくありません」




私はそっと明かりを消すと、死んだように眠りにつきました。

ここで一旦終わりにします
なんとか土日で終わらせたいところですがどうなることやら…

読んでくださった方ありがとうございましたm(._.)m
続きはまた明日更新しようと思います。

続き更新していきます


ー海未の部屋ー

海未「」zzZ


海未「ふゅう………あなたの……は~と……うちぬくぞぉ…」zzZ


海未「ん…」パチッ


海未(さすがに早く寝過ぎたようですね……目が覚めてしまいました)


ザザ-ッ


海未(外は雨ですか……朝にはあがっているといいですね)


海未(暗さからしてまだ真夜中でしょう、こんな時間から活動を始めるのは海の男くらいです。私は海未ですが……)


海未(朝まではまだまだ時間があります。さあ、もう一眠りしましょう)


海未(は?)


私は寝返りをうとうとしてようやく自分に起こっている異変に気付きました。


海未(か、体が動かない!!)


どれだけ体を動かそうともしても、そもそも全身に力が入らないのです。


海未(だ、誰かぁっ!お父様ぁ!お母様ぁ!!)


海未(ああだめですぅ……いくら力を振り絞っても声すら出ません!!)


海未(とりあえずいろいろ試してわかったのは今の私にできるのは目を動かすことと瞼を動かすことだけ……!)


海未(くっ…お願いです!……動いて!!)


そしてこの状況に追い討ちを掛けるような事態に、また私は気付いてしまいました。


海未(う……嘘ですよね…!?)






海未(部屋の中に誰かいる……!!)

海未(首を動かせないので視界には入っていませんが……確実に足元、
部屋の入り口の方に誰かが……!)


海未(まずいですよこれは!…本当にまずいです!)


体を動かそうと必死で今まで意識していませんでしたが、激しい雨音に紛れて声が聞こえてきます。


×××ヲオイテイク…ズルイ………ウソツキ…ニクイ


ハナレルナンテユルサナイ…………ウラギリモノ…ユルサナイ


ゴホンユビソックス……キモチイイ…


海未(あ…あああ……!!)


パタッ


パタッ

徐々に近づいてくる畳の上を歩く足音


段々と声も近づいてきます


海未(来ないで!来ないでくださいぃ!!)


パタン…




海未(お、恐ろしくて目が開けられません……!)


「絶対に許さないよ………」


海未(も……もう私の枕元まで…)


海未(ああ……園田海未、もはやここまでなのですか……)


海未(ならば最期くらい潔く負けを認め…この私を討つ者の姿、しかとこの目に焼き付けてやります!!)

カッ!


ことり「逃げられないよ……海未ちゃん」







海未(ああああああ!!)


私の目に飛び込んで来たのは放課後に走り去って行った時と同じ姿、制服を着たことりその人でした。



ガシィッ!!


海未(い、痛い!!)


ことりが動けない私の左腕を、彼女からは想像もできない凄い力で掴んできます。


海未(痛い!痛い!離して……!離してください!!)


ことり「あはは!海未ちゃんが罪を償うまで!いつまでもことりが苦しめ続けてあげる!」


海未(ことり………もうやめて…)


ことり「だからそれまでは何度だってこうして遊びに来るからね!」


海未(もう…許して……)


ことり「ねえ海未ちゃん?」



海未(はぁ…あぁ)




ことり「次は」



海未(くっ……)


ことり「腕くらいじゃすまないよ?」


海未(う……ううぅ……)


パッ


海未(はぁ…はぁ……腕が)



グワツ!


海未「!!!」







ことり「 明 日 も く る か ら ね ♪ 」









海未「」


ーーーー
ーーー


チユンチユン


海未「あああっ!!」ガバツ!


海未「はぁ……夢!?」


海未(恐ろしい夢を見ました…)


海未(最悪です……夢の中でまでことりに襲われるなんて)


海未「あら?」グッショリ…


海未「ああ…パジャマも布団もびちゃびちゃです……」


海未(悪夢を見たせいでしょう…私は尋常ではない量の汗をかいていました。それはパジャマを濡らしてしまったどころか掛布団から敷布団に至るまで被害を与え……
ん?
はいはいなるほど、これはこれは……
そうですね、あえて例えるならその……まるでお漏らしを///
してしまったかのようなという表現が実にしっくりくる状態になっていまして///
………///
破廉恥です!
いや!誤解なさらないで頂きたいのは、今のはあくまで比喩表現としてお漏らしを用いただけであって、断じて私がお漏らしをしてしまったわけではないということです!
そもそも高校3年生にもなるこの私が今さらお漏らしなどと幼稚なことするわけないじゃないですか……
ない……じゃないですか
ああもう!!
とにかく信じてくださいお願いします!!!!!)



海未「はぁ、着替えますか…」


ズキッ

海未「ぐっ……」


着替えようと腕を上げた瞬間左腕に激痛が走りました。


海未「これはっ……」



ー次は腕くらいじゃすまないよ?ー


私の左腕にはくっきりと手の形のアザが残されていたのです……


海未(夢ではなかったと言うのですか…!?)


私は全身の血の気が引いていくような感覚に襲われました。


そうです、この腕に残されたアザは昨夜起きた出来事が現実であると証明するのに充分なものでした。


海未「こんなもの私にどうしろというのですか……」


全身の力が抜けてしまった私は再び布団に座り込みます。


海未「ひゃあぁっ!冷たいっ!」フトンナオシ-


海未「おや?」


海未(これは何かのメモでしょうか?)


海未(こんなもの枕元に置いた覚えはありませんが……)


ペラッ




ド(・8・)ブ

お 前 を 見 て い る



海未「うわあぁっ!!」ビリビリッ


バコンッ!!


私はたまらずその怪文書を破ってゴミ箱へ叩き込むと制服に着替えて一目散に部屋を出ようとしました


海未「た、タンスが邪魔です!!」ゲシゲシ


ドゴン!


海未「お母様おはようございます!」


海未母「海未さん!朝から一体部屋で何をしてるんですか?いくらなんでもうるさ過ぎますよ!?」


海未「朝食は昨日のほむまんをもらっていきますね!!」サッ


海未母「え!?海未さん?」


海未「行って参ります!」ガララッ


タッタッタッ


海未母「海未さーーん!!」


海未母「海未さん……スカートを…!!」

海未母「はぁ、海未さん……元気になったのは良い事ですが今度は壊れてしまいましたか……」


ー通学路ー

海未(いつもなら絶対にこんな真似しませんが、もう今の私はなりふり構っていられません)


海未(とにかく家は危険過ぎます!なんとしてもいち早く家から出たかった!)


海未(このままでは本当にいつか)


海未(殺されてしまいます……)



海未(この闘いが終わるまで…どうかお母様、海未の奇行をお許し下さい………!)


ー海未の部屋ー

海未母「電話にも出ないですし早く気づいて帰って来てくれるといいのですが……」


海未母「あ!」


海未母「まったく!海未さんは布団も片さずに出かけてしまって!」


海未母「まさか今頃反抗期になってしまったのでしょうか……」


海未母「海未さんがやらないのなら私がしまってあけるしかありませんね」」


バサッ




海未母「」


ー通学路ー

海未「ふう、いつもの待ち合わせ場所には着きました」


海未(はたして穂乃果とことりは来るのでしょうか……)


海未(いや昨日の様子からすればことりは私を狙ってここに来る可能性がありますね)ゾクッ


海未(念のため物陰に隠れて待ちましょう)

ササッ


海未(それにしても本当に昨日から理解が追いつきません……)


海未(昨夜私を襲ってきたのは信じたくありませんが間違いなくことり本人でした)


海未(それまでの影や気配だけではなく姿も見て、声も聞いてしまった)

海未(いや、しかし……)


海未(そもそもどうやって私の部屋に入ったのでしょうか?)


海未(部屋の窓は完全に施錠していましたし、入り口は外からは入れぬようタンスで塞いでいました)


海未(どこも壊されたり破られたりした形跡はありませんでしたね……)


海未(ということは天井から!?)


海未(いえ、そんな忍のような技をことりが使えるとは思いませんしね……)


海未(しかもあの恐ろしい腕力……)


海未(もう今のことりは私の知らない完全に危険な存在へと変貌してしまいました)


海未(そして私の枕元に置かれていた物騒な怪文書…)


海未(あれは常に私を監視しているという脅迫なのでしょうか)


海未(まさか今も見られている?)キョロキョロ


海未(とにかく事実なのは私はもうかなりことりに追い詰められていて、命までも奪われようとしているということです……)


海未(通報したら警察は動いてくれるでしょうか)


海未(でも……)


海未(理解されないかもしれませんが、こんなことをされてまでも尚、私にはまだ親友を信じたいという気持ちが残っています……)


海未(何か方法があるはずです!)


数分後

海未(いつもの待ち合わせの時刻ですが誰も来ませんね……)


海未(これでことりが来ないことはほぼ確定ですが、穂乃果はまた遅刻でしょうか?)


5分後


海未(穂乃果が来ません…)


海未(昨日のショックで打ちのめされてしまったのでしょうか?)


海未(ですが穂乃果はアイドルを辞めると言って揉め事を起こした時も平然と学校に来れる鋼のメンタルの持ち主ですからね……)


海未(もう少しだけ待ちましょう)


さらに10分後


海未(さすがにおかしいです……!)


海未(いくら穂乃果でもここまで遅れることはありませんし、ましてや何の連絡もなしに……)


海未「あっ!携帯のことをすっかり忘れていました!」


海未(昨日からいろいろありすぎて完全に携帯に意識が向かっていませんでした)


海未「何か連絡は……おや?」


海未(電源が入りません……)


海未(昨日から放置している間に充電が切れたのでしょう、全くこんな時に限って!)


そしてここで私に一抹の不安と恐ろしい可能性が頭をよぎります。


海未「まさか穂乃果……!」


私は浅はかでした。


自分の命の危険を回避することばかり考えて、もう一人の親友の身の安全にまでは意識が向いていませんでした。

海未(そうです!私はてっきり自分だけがことりの襲撃を受けているものだと勝手に思い込んでいましたが……)


海未(私も穂乃果も条件は同じです!)


海未(そしてこの時間まで現れない穂乃果)



嫌でも不穏な想像が掻き立てられます。


海未(連絡を取る手段がない今私にできること……!)


海未(こうしてはいられません!穂乃果の家に向かいます!!)


ダダッ!


海未「まだ学校までは時間があります!」


数分後

海未「はあ…はあ……もう、もう無理ですぅ」ヨロヨロ


ドサッ


海未(そういえば私、昨日の昼休みもことりの件でまともに弁当も食べられず、今まで何も口にしていませんでした……)


海未「ああ、立ち上がれません……」


海未(はぁ……こんなところで動けなくなるとは情けない)


ゴロン


私はアスファルトの路面に寝転がりました。


海未「もう私は充分頑張りました…動けなくなるまで走って来たんです」


いざ親友を助けに行くというその時に、私は精も根も尽き果ててしまいました。


海未「私は親友を救えなかった不貞者と皆に笑われるでしょう、そして私のせいで園田家も笑いものにされるのです………」


海未(もう何もかもどうでもよくなってきました。)



海未(こんなあっけない終わり方が私の運命だったのかもしれません)



海未(穂乃果……こんな私を許してください………)


海未(もし私の悪い予感が当たって……その……穂乃果が死んでしまっていたら)


海未(私は死ぬより辛いです……)


海未(私は永遠の裏切り者。そうなってまで生きるくらいなら私は穂乃果と共に死にます)


海未(それともいっそ悪人として生きてみましょうか?)



海未(私には園田家という家柄がありますし、日舞の跡取り、コネだってあります)



海未(両親も、まさか可愛い一人娘を勘当などしないでしょうしね……)


海未(愛だ正義だ友情だなんて、よくよく考えてみればくだらない!)



海未(人を蹴落として自分が生きる、これが人間社会の常だったではありませんか……)



海未(どうせ私は醜い裏切り者です!もう勝手にしてください!)



ガサッ


海未「ん?」



地面に何かが落ちる音が聞こえました。





海未「昨日のほむまん……」





そっと拾い上げ、一口食べました






長い溜め息のあと、まるで夢から覚めたような感覚……





海未「まだ歩けます……!行きましょう!!」






海未(私の疲労の回復と共に、わずかな希望が生まれました。)



海未(友のために我が身を投じ、名誉を守る希望です!)


眩しい朝日が園田海未を照らし、心地よい風がその下着のみの下半身を優しく撫でる。


海未(先程までの悪魔の囁きは悪い夢です!)



海未「いざ!園田海未、参ります!」


ダダダッ


時刻は間もなく8時30分


海未(ああ……時計さん許してください!!私は小学生の頃からずっと無遅刻無欠席でした。せめて無遅刻無欠席のまま死なせてください!)



道行く人を押しのけ、跳ね飛ばし、海未は青い潮風のように走った。



リリストバンドを取り損ねて坂道を駆け下りた星空凛と矢澤にこの10倍は早く走った。


ー穂むらー

ガララッ

海未「おはようございます!」


穂乃母「あれ?海未ちゃん?」


海未「いきなりですみませんが上がらせていただきます!」


穂乃母「あ、上がるのは構わないけどその格好は///」



穂乃父「………」イッタイドウシタ?


穂乃父「………」////


海未「穂乃果あーーーーっ!!」


ドドドドド


海未「神も照覧あれ!園田海未はここです!!」


ガラッ



穂乃果「海未………ちゃん!?」


海未「あああ!穂乃果穂乃果穂乃果ぁ!!」

モッギュ-


穂乃果「あわわ、どうしたの海未ちゃん!?」


海未「無事だったのですね……!本当に良かった!本当に………良かった!」


海未「穂乃果!私を殴ってくださいっ、私は途中で悪い夢を見ました!悪魔に魂を売りそうになりました!」


海未「殴ってくれなければ私にはあなたと抱擁する資格もありません!」 オ-イオイオイ


穂乃果「もう抱きついてるじゃん……」


穂乃果「それより海未ちゃんさ……」



海未「はい」



穂乃果「スカート…………履こ?」


海未「え」


海未「………」↓


海未「」

一旦終わりにします!
半分以上は昨日の深夜テンションで書いたので方向性がおかしくなってる気がしますが物語から脱線はしてないのでしっかり完結させます。
明日、明後日には完結できると考えています

読んでくださったかたありがとうございましたm(._.)m

寝る前に少し続きを投下します

ー穂乃果の部屋ー

穂乃果「はいスカート、2着あるから安心して!」


海未「ありがとうございます……」


穂乃果「本当にびっくりしたよ……いきなり叫びながらスカート履いてない海未ちゃんが突入してくるんだもん」


海未「穂乃果のことが心配なあまり我を忘れていました……」


穂乃果「てことは海未ちゃん自分の家からここまでずっとスカート履いてなかったってことだよね///」


海未「言わないでください///破廉恥です!」


穂乃果(海未ちゃんが一番破廉恥だよ……)


海未「はあ……もうお嫁に行けません……」


穂乃果「それにしてもただ風邪ひいただけなのにわざわざ家まで来てくれるなんて何かあったの?」


海未「風邪で学校を休むだけだったんですね……」


穂乃果「ちゃんと朝にLINE送ったんだけどなぁ~」


海未「その、充電が切れているのに気づかなくて……」


海未「そんなことより穂乃果!私は昨日から恐ろしい目に逢っているんです!」


私は昨日自分が体験した事を全て穂乃果に話しました。


穂乃果「そんな……ことりちゃんがそんなことするわけないよ!」


海未「それが本当なんです…何より私は直接面と向かって襲われていますし……」


穂乃果「そんなの信じられない……」


海未「私だって信じたくありません!ですが腕を痛めつけられた時も次は腕ではすまないなどと物騒なことを言われましたし」


海未「あの目は私に明確な殺意を持っていました……」


海未「きっと散々痛めつけて終いには殺すつもりなのでしょう、恐ろしい女です……」


穂乃果「殺すだなんてそんな……」


海未「だから私は穂乃果の身に何かあったのではないかと思い、こうして飛んできたわけなんです」


穂乃果「そうだったんだ……」


海未「実際穂乃果は昨日の夜何か被害を受けなかったのですか?」


穂乃果「穂乃果は特になにもされてないよ……」


穂乃果「あ、でもことりちゃんが夢には出てきた!」


海未「それ、本当に夢なのですかね……?」


穂乃果「夢だよ!だって海未ちゃんと違って場所が自分の部屋じゃなかったし……」


海未「どんな夢だったんです?」


穂乃果「穂乃果が昨日のあの場所でまたことりちゃんに同じように怒られる夢……」


海未「ただ怒られただけですか?」


穂乃果「うん、確かに怖かったけど別に怪我させられたとかはないし……」


穂乃果「それに今の穂乃果も風邪はひいちゃったけど別にどこも怪我してないよ?」


海未「そのようですね……」


穂乃果「そう、だから穂乃果のは間違いなくただの夢だよ!」



穂乃果「それにね?穂乃果はことりちゃんがそんなことしないって思う理由がちゃんとあるよ」


海未「理由……ですか?」


穂乃果「うん、実は昨日海未ちゃんと別れた後、穂乃果はことりちゃんの家に行ったんだ」


海未「え!?」


穂乃果「本当は怖かったけどやっぱりいてもたってもいられなくて、あのあと謝りに行ったんだよ」


ー昨日の夕方ー

トボトボ

穂乃果(これから穂乃果たちどうなっちゃうんだろ……)



穂乃果(小さい頃からずっとずっと、今まで一緒に過ごして来たのに……)



穂乃果(こんなにあっけなく終わっちゃうものなの……?)



穂乃果「そんなの………やだ……」ジワァッ


穂乃果「………」


クルッ


穂乃果(謝りに行こう……!!)



穂乃果(許してもらえなくてもいい……)


タッタッタッ


穂乃果(何も言わないまま終わるのが穂乃果は嫌だ!)


穂乃果「気持ちだけでもぶつけよう!当たって砕けろだよ!」グッ


ー南家ー


穂乃果(とうとう着いちゃった……)


穂乃果「………」


穂乃果(チャイムを押すのが怖い……)


穂乃果(今まで数え切れないくらいことりちゃんの家に遊びに来てるのに)


穂乃果(こんなの初めてだ……)



穂乃果「………」 ソ-ッ


穂乃果「ゆ、指が震える……」


穂乃果「えいっ!」


ピンポ-ン…


穂乃果(押しちゃった……)


穂乃果(そもそもことりちゃんは出てくれるのかな)



シ-ン……


穂乃果「………」


穂乃果(出ない……)



穂乃果(そうだよね……あんなに怒ってたんだもん)



穂乃果(もう穂乃果の顔も見たくないはずだよ……)


クルッ



穂乃果「ばいばい、ことりちゃん……」






ガチャッ




穂乃果「!」




ことり「穂乃果ちゃん……?」



穂乃果「ことりちゃん……」


タッタッタッ


穂乃果「ことりちゃあああん!!」


ギュッ


穂乃果「さっきはごめんなさい……!本当に…ごめんねぇぇ!!」ポタポタ




ことり「さっきって……お昼のこと?」


穂乃果「お昼から今までずっとだよぉっ!!穂乃果、ことりちゃんの気持ちもわかってあげられなくて……!」


ことり「穂乃果ちゃん……泣かないで?」




穂乃果「だって…だってもうことりちゃんと2度と話すこともできないんじゃないかと思ったら悲しくてぇっ!!」


穂乃果「そんなの穂乃果には辛すぎるよぉっ……!」


ことり「ほら、これで波を拭いて?」スッ


穂乃果「ありがと……」ゴシゴシ



ことり「大丈夫だよ穂乃果ちゃん、確かに最初はショックだったし結構落ち込んじゃったけど……」


穂乃果「やっばり……」


ことり「嫌われちゃったんじゃないかって思った……でもね?」



ことり「こうして穂乃果ちゃんが直接謝りに来てくれて、全部ことりの思い違いだったんだなってわかった!」




ことり「だから穂乃果ちゃんのこと今回は許してあげちゃいます♪」ギュッ


穂乃果「うわぁぁん!ありがとおぉぉ!」


ことり「あはは……穂乃果ちゃんまた泣いてる」


穂乃果「こんなの我慢できるわけないよおお」


ことり「ことりは泣いてる穂乃果ちゃんの顔は見たくありません♪」フキフキ


穂乃果「あ、それとね?和菓子職人になるって決めてたけど穂乃果やっぱり……」




ことり「立派な職人さんになってね♪」


穂の果「え?」



ことり「いつかことりにも穂乃果ちゃんの手作りの和菓子食べさせて欲しいな~♪」




穂乃果「いいの?」


ことり「何で穂乃果ちゃんが聞くの?穂乃果ちゃんのやりたいことなんだからことりは応援するよぉ」


ことり「ことりが応援隊長になっちゃおうかな!なんて♪」



穂乃果「やっぱりことりちゃんはことりちゃんだ~っ!大好きぃ~っ!」

ガバツ


ことり「あっ……」クラッ


穂乃果「うわっ!ことりちゃん危ない!」


ガシッ


ことり「あ、ありがとう穂乃果ちゃん……」



穂乃果「大丈夫?」


ことり「ことり実は凄く頭が痛くて……それに熱もあるみたいなの」



穂乃果「じゃあ寝てなきゃダメだよ!穂乃果のために無理して出てきてくれたんだね」


ことり「わざわざ来てくれたのに心配かけでごめんね……でも穂乃果ちゃんに会えて少し元気をもらえたよ」フラフラ


穂乃果「危ない危ない!穂乃果が支えてあげるから一緒にベッドのところまで行こう?」


ことり「穂乃果ちゃんは優しいね…」


穂乃果「当たり前だよ!幼馴染だし親友だもん!」


ことり「ふふ♪」


ーことりの部屋ー

穂乃果「よっと!布団を掛けてっと、これで大丈夫かな?」


ことり「うん……明日はまだ学校行けるかわからないけど早く治せるように頑張るね」


穂乃果「ちゃんと治るまでゆっくり休むんだよ?無理しちゃだめだからね!」


ことり「はぁい♪」


穂乃果「じゃあねことりちゃん、また学校で会おう!それまでファイトだよ!」


ことり「うん♪またね穂乃果ちゃん!」

ーーー
ーー


ー穂乃果の部屋ー

穂乃果「というわけだよ」


海未「…………」


穂乃果「穂乃果が会ったことりちゃんはもういつもの優しいことりちゃんだったんだよ」


海未「そうですか……」


穂乃果「とにかく今話したのが海未ちゃんの知らない昨日のことりちゃんとのやりとりの全部だから」


穂乃果「だから穂乃果は海未ちゃんを襲ったのはことりちゃんじゃないと思う!」


海未「そう言われても……姿も声も服装も完全にことりだったのですよ?」


穂乃果「じゃあことりちゃんに完璧に変装してたんだよ!変身できるとか!」


海未「そんなめちゃくちゃな……」


穂乃果「とにかく穂乃果はことりちゃんが犯人だなんて絶対認めないからね!」


海未「じゃあもしことりが穂乃果と仲直りした演技をしただけだったらどうするんです!?」


穂乃果「ひどい!海未ちゃんがそんなこと言う人だとは思わなかったよ!」


海未「穂乃果はいいかもしれませんけどねぇ!私は命がかかってるんです!」


穂乃果「でもいくら海未ちゃんだからって言っていいことと悪いことくらいあるよ!」


海未「もう!穂乃果なんか餡子の海に溺れて沈んでしまいなさい!」


穂乃果「なんてこと言うのさ!海未ちゃんなんか豆腐の角に頭ぶつけて豆腐まみれになっちゃえばいいんだよ!」

海未(そりゃそうなりますよ……)


穂乃果「この石頭!」

海未「この饅頭女!」

穂乃果「露出狂!」

海未「………!」

穂乃果「くまさんパンツ!」

海未「うっ………」ジワァ

穂乃果「変態ランナー!」


海未「うわあああん!ひどすぎますうぅぅぅ……!!」オ-イオイオイ


穂乃果「ふん!」


海未「ぐすっ……とにかく穂乃果が私に協力してくれないことはよーくわかりました!」


海未「では私は学校に行きますのでこれで……」ガララッ




穂乃果「海未ちゃん………遅刻だね」



海未「9時30分…」(終わりました……)


ー通学路ー

スタスタ

海未(なぜ穂乃果は許されて私は許されないのですか……)


海未(そもそもことりは本当に穂乃果を許したのですか!?)


海未(もしや穂乃果がことりと結託して私に嘘を言っている!?)


海未(あああ!穂乃果まで疑いたくありませんっ!!)


海未(考えれば考えるほど、頭が混乱してきます……)


海未(とにかく今夜までにこの事態に終止符を打たなければ……)


海未(さもなければまた深夜にことりに襲われ、昨日より更に酷い事をされます)


海未(最悪、死を覚悟することになる……!)


海未(そうならないために次に私が出来ること……)


海未(ことりとどうにかして話をしましょう!)

以上です
それではまた明日m(._.)m

続きです
ーーーーーー
ー教室ー

ガヤガヤ

海未(結局教室に入りづらくて業間休みまで少し待ってしまいました)


モブ「あの園田さんが遅刻なんて……」

モブ」なにかあったのかな?」

モブ「まさかぐれちゃった?」

モブ「これは明日は大雪かな……」


海未(うっ……これはかなり恥ずかしいです)


ヒデコ「おはよう園田さん、みんなどうしちゃったんだろうって心配してたんだよ」


園田さん「あっ、皆さんおはようございます」


フミコ「今日はいつもの3人が揃ってないからなんだか寂しいね」



海未(やはりことりも来ていませんでしたか……)


海未「確かにことりも穂乃果もいなくて私だけというのは初めてかもしれません。何だか不思議な感じです」



海未(そうだ携帯電話……、誰かに充電器を借りましょう)


海未「すみませんちょっと3人にお願いがあるのですが……」


ミカ「ん?ソロライブでもやっちゃう?設営、音響、照明、撮影!全部私たちにまかせといて!」


海未「ライブなんてとんでもない!ただ携帯の充電器を貸しててもらいたいと思いまして」

ミカ「何かと思ったらそんなことかぁ、誰か持ってる?」


ヒデコ「私今日忘れちゃった…」



フミコ「じゃあ私のを貸してあげるよ、ちょっと待っててね」ガサゴソ



フミコ「はいどうぞ」スッ



海未「ありがとうございます」



フミコ「困った時はお互い様だからね」


カチッ

海未(さて、とりあえずLINEを確認しましょう)


カチッ

海未(さて、とりあえずLINEを確認しましょう)

ボチッ


海未(穂乃果から3通と……)



海未(ことりからもメッセージが来ています………!)


海未(………とりあえず穂乃果のほうから見ましょうか)



LINE

穂乃果 海未ちゃんおはよう!

穂乃果 穂乃果風邪ひいたから学校お休みするね(>_<)

穂乃果 あと昨日ことりちゃんと仲直りできたよ!よかったぁ!


海未(これは今朝来たメッセージですね、朝に穂乃果の家で話した内容とも一致しています)


海未(これを先に見ることができていれば余計な心配をする必要はなかったですね……)


海未(さて問題はことりからのメッセージですが)


LINE

南ことり 海未ちゃんお疲れ様

南ことり 今日のお昼のことだけど、なんでことりのこと無視したの?

南ことり 海未ちゃんと穂乃果ちゃんに嫌われるようなことしちゃったのかな……

南ことり すごく悲しいよ

海未(送られてきたのは昨日の夕方、私が穂乃果と帰り道を歩いている時ぐらいでしょうか)


海未(なんでしょう……凄く違和感を感じます)


海未(まずあんなに怒っていたのにこの文面ではただ悲しんでいるように感じます)


海未(あれだけ私たちを怒鳴り散らしてそう時間も経たないうちにこんな内容を送ってくるでしょうか……)



海未(感情の起伏げ激しくてこうなったとも考えられますが、あまり釈然としませんね)


海未(それに夕方の出来事ではなく昼のことにしか触れていません)


海未(そもそも昼に私と穂乃果がことりを無視したとはどういうことでしょう?)



海未(穂乃果はことりに体調が悪いか確認して違うと答えていましたし……)



海未(そこから夕方まで会話はしていませんがことりから何か話かけてきたわけではわかりません)



海未(ここはひとつ賭けにでましょう……!)


LINE

南ことり 凄く悲しいよ……


園田海未 返事が遅れてすみません


園田海未 昨日の件で話をしたいのですが昼休みに電話をかけてもいいですか?

海未(返事はくるでしょうか……)

ビコン♪


LINE

南ことり いいよ

海未(よし……)

LINE

南ことり いいよ

園田海未 では12時30分に電話します

海未(とりあえず電話をかけても大丈夫そうですね……)


海未(昼休みまではまだなのにもの凄く緊張します……!)


ー屋上ー
昼休み

海未(まずはあえて昨夜のことは追及せずことりの言っている昼のことについて聞きましょう)



海未(何か私とことりの間に大きな食い違いがあると思うのです……)



海未(きっとことりのメッセージを読んだ時の違和感はそこから生じているのだと思います)



海未(12時30分になってしまいましたね……)


海未「すぅー…………はぁー……」


プルルルル

プルルルル


海未「………」


ガチャッ


ことり「ことりです……」


海未「もしもし、海未ですが」


ことり「…………」


海未「………」


ことり「海未ちゃん……怒ってるの?」


海未(ふざけるなと言いたいところですがここは抑えます!)


海未「あの、昼の件なのですが……」


ことり「昨日穂乃果ちゃんは謝りに来てくれたよ…」


海未「はい、それは穂乃果から聞きましたが」


ことり「海未ちゃんにライン送っても既読もつかないし……もう嫌われちゃったのかと思って」


海未(人にあんなことをしておいて何を言ってるんですかこの女は……)ワナワナ


ことり「ことりが嫌われりような事したのかもしれないけど……だからって無視するなんてひどい!」



海未「そもそも無視とは何なのですか?私には身に覚えがありません!」



ことり「まだそんなこと言うんだ……ひどいよ、しかもことりが保健室に行くって言ってるのにだよ……」



海未「保健室?」


ことり「ことりが海未ちゃんたちとお弁当食べてた時の話だよ?」



海未「確かに3人で昼食をとりましが……ことりが保健室に行こうとしてたなんて私は知りませんよ?」



ことり「あの時海未ちゃんと穂乃果ちゃんは2人で何をしてたの?何かが見えてたの?」


海未「は?……え?」



ことり「だってあの時……」




ー昨日の昼休みの中庭ー


穂乃果「今日もパンがうまいっ♪」モグモグ



海未「よくまあここまで飽きずにパンを…ある意味尊敬に値しますね」



ことり「ことりもチーズケーキなら毎日食べでも飽きないかも♪」


ことり(ふふ♪3人でお喋りしながらお昼を食べる時間がことりは一番好きかも♪)


穂乃果「あっそうだ!」


海未「どうしたのですか急に?」


穂乃果「穂乃果ね、大学には進学せずに穂むらで働くことに決めたんだ!」


ことり「!」

ことり(ぐっ………急に頭が………!!)



海未「家を継ぐ…ということですか?」


ことり(はあ……痛い!痛いよ!)


穂乃果「そうだよ!今まではずっと餡子飽きた~とか言ってたけどやっぱり穂乃果は穂むらの和菓子が好きって改めて気づいたんだ。」



ことり(ああ……視界がぐらぐらして……)




穂乃果「そうしたらだんだん自分でも作ってみたくなっちゃって…」


海未「きっと穂乃果のお父様も喜ぶでしょうね。」


ことり(これは………さすがにダメかも………)


海未「あの素敵なお父様ならきっと穂乃果を立派な和菓子職人に育ててくれるはずです!私も応援しますよ!」

ことり(とりあえずまずは保健室に………!)

穂乃果「ありがと海未ちゃん!だから穂乃果、いつか巡り会う旦那さんに和菓子の作り方教えてあげるんだ~」

ことり「はあ…はあ…2人ともごめん……ことり今から保健室にいくね……」


ほのうみ「!!!!」

ことり「え?」


海未「こと……り?」



穂乃果「はわわ……ことりちゃ…お弁当が…」



ことり「お弁当は途中だけどしょうがないよ……今鞄にしまうから…」
ゴソゴソ



穂乃果「ことりちゃん…大丈夫?…具合……悪いとか」



ことり「なんか頭が痛くて……あっ!」 クラッ

ドサッ


ことり(ううっ……頭がくらくらしてうまく歩けないよぉ)




ことり「もし……よかったら保健室までことりのこと支えて行ってくれないかなぁ……」 フラフラ



穂乃果「ほ、穂乃果こぼれたお弁当片付けるの手伝うねっ」



ことり「お弁当…こぼれてないよ……それより……」ヨロヨロ



海未「私も手伝いますっ」



ことり「ねえ……穂乃果ちゃんたち何してるの…………?」



ほのうみ「………」 セッセセッセ


ことり「何もないよ………早くぅ」




海未「とりあえずこぼれた物は私のビニール袋に入れましょう……」



穂乃果「うん……!」



ことり(もう限界………!!)




ことり「もういいよ……ことり……1人で行くから」ヨタヨタ


ことり(海未ちゃんたち……怖いよ……)

ーーー
ーー


ことり「ことり凄く怖かった……」



ことり「いきなり2人が何かに怯えて固まったと思ったら意味のわからないことを言い始めて……」



ことり「次は何もない地面から何かを袋に入れる真似をしたり……ことりの声もちゃんと聞こえてない見たいだったし……」



ことり「ねえ、あれは何だったの?」



海未「嘘です……」


海未「そんなことありえません!」


ことり「嘘なんて言ってないよ……」



海未「ことりが地面に叩きつけてこぼしたお弁当を私達が片付けてたんです!」



ことり「ことりそんなことしてない……してないよ!!」



海未「大体ことりは私達とその後も、帰り道の途中まで一緒にいたではありませんか!」



海未「それまてまは喋らずに私達2人を不気味な顔で眺めていたと思ったら、最後には突然怒り出し、私達を散々に罵ったのです!」


ことり「わからない……ことりにはわからないよ……」



海未「挙句の果てには深夜に私を襲撃し、物騒な言葉で脅迫しながら私に怪我まで負わせました。」



海未「いつ謝罪をしてくるかと思えば訳のわからない冗談で誤魔化して!わからない?知らない?そんなのが私に通用すると思ってるんですか?」


ことり「本当に知らないのにっ……海未ちゃん怖いよぉっ……ぐすっ」



海未「なに泣いてるんですか!泣きたいのはこっちです!ふざけないでください!」

ブチッ

プ-…プ-…



海未「はあ…はあ……」


海未「もう……何も信じられません」



海未「私はどうしたらいいんですか?頭がおかしくなりそうです……」


ー生徒会室ー

放課後

海未(結局何の進展もないまま放課後を迎えました)



海未「1人で行う生徒会の仕事がここまで大変とは……」



海未(本当はこんなことをしてる場合じゃないんです……もう時間があまりありません)



海未(ん?この書類、理事長の印鑑が必要ですね)



海未「早く終わらせて何か解決の手がかりを探さなくては」


ー理事長室ー


海未(そもそも理事長は娘のことりがあんなことをしていると言うのに何も知らないのですか?)



海未(まったく、ここでことりの悪行を全て告発してやりましょうか)


コンコン


理事長「どうぞ」



海未「失礼します」



理事長「あら海未ちゃんじゃない」



海未「理事長、お手数ですがこの書類に印鑑を」


理事長「はい、ちょっと待っててね」


海未「わかりました」



理事長「ところで海未ちゃん、今日はことりも穂乃果ちゃんもいないから寂しかったんじゃない?お仕事も大変だろうし」ウフフ



海未「ええ、まあ……」



海未(理事長はどうやら本当に何も知らないようですね……)



理事長「ことりが迷惑かけてごめんなさいね、昨日だってずっと体調管理には気をつけなさいって言ってるのに体調崩しちゃって……」



海未「……?」


理事長「おまけにお昼頃保健室から電話がかかってきて、1人で帰れないからお母さん車で送って~ですって」



海未「!」



理事長「他に方法がないから仕方なく家まで送ってあげたのよ?」



理事長「やっぱり子供は幾つになってもかわいいからつい甘やかしちゃうのよね~」ニコニコ




海未(ありえない……!)


理事長「もし暇かあったらことりに電話して声を聞かせてあげて?大好きな海未ちゃんが電話してくれたらきっと喜ぶと思うから」



海未(……!)



理事長「どうかしたの?」

ダッ



海未「すみません!失礼しました!」


理事「あ!ちょっと書類!!」

バタンッ!!

理事長「なんだったのかしら……」コ-ヒ-ズズッ


ー廊下ー


ダダダツ


海未(嘘です……!嘘です嘘です嘘です!!)



海未(ことりが昼頃帰った!?)



海未(そんなわけないじゃないですか!やはり親は娘の味方ですか!そりゃそうですよねぇ!)


海未(ことりが帰ったなら私と穂乃果と一緒にいたあれは誰ですか!?



海未(私だけが見た幻なんかじゃありません!穂乃果という証人がいるんです!)



ダダダッ



海未(ああああ!)




ー職員室ー


ダダダッ


ガララッ バァン!!!



海未「失礼します!!山田先生!!」



山田先生「うわっ!なんたよ急に!!」



海未「クラスの出席簿を見せてください!!」


山田先生「見るのはいいけと落ち着けよお前らしくないぞ!?」



海未「はあ…はあ…」

ベラベラベラ



山田先生「なんなんだよもう……」



海未(あ、か、さ、た、な、は、ま、み!あった!)



海未(南ことり!!)






南ことり 午後13時05分 早退





海未「…………」



山田先生「ん?南は昨日昼に帰っただろ、まさかいつも一緒にいんのに気づかないわけないよな?」



海未「………」


山田先生「お~い園田?固まってんぞ~?」



海未「」ガクッ



山田先生「お、おい!大丈夫かよ!?」



私はもう何もわからなくなって目の前が真っ暗になってしまいました。


とりあえずここまで
土日づ終わらせようと思ったのに終わらねえええ!( ;´Д`)

亀更新で申し訳ないです……

寝る前にほんの少し明日の導入部分を

ー保健室ー

海未「ん……ここは……?」



山田先生「お?気がついたか!急に倒れるなんて勘弁してくれよ」



海未「すみません……」



山田先生「保健の先生が帰ったみたいだから代わりにあたしが様子を見てたんだ」


海未「ありがとうございます……」



山田先生「なんだ?受験勉強の追い込みで寝不足とかか?頑張るのは大いに結構だがそれでぶっ倒れちゃもともこもないぞ?」


海未「いえ……そういうわけではないんです……」



山田先生「そっか……とりあえずもう動けそうか?」



海未「なんとか大丈夫です……」



山田先生「じゃああたしは部活の面倒みなきゃなんないからそろそろ出る」



山田先生「まあ鍵は後で閉めとくから落ち着いたらもう帰っていいぞ」



海未「ありがとうございます、お忙しいところすみませんでした……」


山田先生「よし!じゃあ気をつけてな」

ガララピシャ


海未(もう時間がありません……)



海未(でも……解決しようと動けば動くほど私は余計に混乱して追い詰められているような気がします)


海未(にわかには信じがたい話ですが、ことりが早退していたのが事実であった以上、電話での話は事実なのでしょう……)


海未(ことりは帰っていたはずなのに確かに私と穂乃果と一緒にいたことり……)


海未(あれはことりとらまったく別の何者かなのでしょうか)


海未(皮肉なことに今まで起きてきたことはそう考えたほうが一番辻褄があいます……)


海未(普段のことりとはまったく違う残忍で攻撃的で悪意に満ちたもう1人のことり)


海未(私は今そんな恐ろしいものにつけ狙われているというのですか?)


海未(これが本当なら、私はもう人間の理解を超えた存在を相手にしていることになります)



海未(そんなのを相手に私に何ができるというのですか……)



海未(今さらこんなことを誰かに相談したところで、私は頭のおかしい人間と思われて終わりです)



海未(考えてもみてください。いきなり知人から、最近夜な夜な幼馴染の分身が私の命を狙ってくるなんて言われたら……)


海未(気が狂ったのかライトノベルのタイトルだと思われるだけです……)



海未(はあ……誰もこんな話を信じてくれる人は……)



海未(いや………います!!)



海未(少なくとも1人います……!まともにこんな話を聞いてくれそうな人が!!)


海未(解決策など見つからなくても、とにかく私の話を信じて聞いてくれさえすればい。私はもうそれで満足です……)




海未(これが私の)




海未「最後の望みです!!」




プルルルルル



海未(お願いします!!電話に出てください……!)



ガチャッ

希「もしもし?」


海未「希!希ですか!?私です!海未です!!」


希「ちゃんと名前でとるからわかるよ~久しぶりやね!どうしたん?そんなに慌てて……」


海未「希に私の話を聞いてもらいたいのです!今どこにいるのですか!?」



希「ウチは今から神田明神のお掃除をさせてもらうところなんよ、もうすぐ着くとこ!話って電話じゃ難しいのかな?」



海未「直接会って話をしたいのです!今から神田明神に向かってもよろしいですね!?」


希「おぉ~えらいぐいぐいくるなぁ、まあ掃除しながらでも話はできるしウチはいいよ?」



海未「わかりました!それでは!」




希「あ!もしかして海未ちゃんからウチへの愛の告白かなぁ~?それにしても神社で告白なんてなかなかスピ…」ブチッ!

ツ-…ツ-…



海未(神田明神に向かいます……!!)


それではまた明日
読んでくださった方ありがとうございました!

続きです

ー神田明神ー

タッタッタッ


海未(はあ…はあ…この階段を階段を駆け上がるのも数ヶ月ぶりですね)



海未「希ー!!」



希「お?きたきた」



海未「さっきはいきなりすみませんでした……!どうしても話を聴いて頂きたくてつい、もう私には時間がないのです!」」



希「その様子からしてあまり楽しい話じゃなさそうやね……」



海未「実は私、ことりに命を狙われているんです……」



希「え……!?」



海未「正確には希も知らないもう1人のことりですが……」



希「どういうこと……?」



私は希に昨日の昼から先程までの話をなるべく詳細に話しました。


もう希が私の話を理解してくれる最後の人物だと思ったからです。

ーーー
ーー


希「………なるほどなぁ」



海未「こんな話、自分でしていても充分おかしいのはわかっているんです……」



海未「ですがこれは嘘偽りない真実なのですです……!信じてくれますか?」



希「普通は信じられんやろうけど……
海未ちゃん嘘をついたりからかってるようには思えん、ウチは信じるよ」



海未「ありがとうございます……」



希「それで海未ちゃんはどうしたいん?」



海未「どうしたい……といいますと?」


希「だってそのもう1人のことりちゃんにおめおめ殺されて終わりでいいわけないやろ?」


海未「それはもちろんです!私はどたいにかこの現状を打破していつもの日常に戻りたいのです!」



希「よしその意気や!なら行動せな、行動!」


海未「ですが私はそんな得体の知れないもの相手に何ができるというのですか?」


海未「あんなもの、とても正面からから立ち向かえる相手とは思えません……」


希「それなんやけどね」


海未「はい……」


希「まあウチは専門家やない、だからこれはあくまでウチの推測。話半分で聞いてくれて構わんよ?」



海未「いえ、今はそうも言っていられません!何か思い当たるのであれば是非教えてください」



希「うん、まあまずはそのもう1人のことりちゃんの正体やね」



海未「正体…ですか」



希「ずばり、その正体は……」



海未「………」ゴカリ


希「ことりちゃんの生霊なのだ!」デデドン!



海未「生霊……聞いたことはありますが私にはよくわかりません……」



希「まあ簡単に言えば死者の霊を死霊と呼ぶのと同じで生霊はつまり生きてる人間の霊ってところやね」



海未「生きた人間の霊……でもそれってなんだか矛盾していませんか?」



希「別に矛盾はしてないよ?」



希「霊というのは魂、魂は情念や強い思いからできてるん。別に魂は死んだ人間にも生きてる人間にもあるやろ?」



海未「そうですね……」


希「生霊はその人の恨みや嫉妬、あらゆる負の感情からできた魂の破片。それが思う対象のところへ行って悪さするんや」



海未「思う相手の所……それなら私と穂乃果にしか見えないというのも納得ができますね」



希「昼休みの後から一緒にいてことりちゃんが他の誰かと話をしてるとこ見てないんやろ?」



海未「はい、私も穂乃果も話しかけたりしませんでしたから周りにも不審に思われず、そもそも存在自体気づかれていなかったんだと思います。」



海未「帰り道でことりが突然喋った時も周りには私と穂乃果以外いませんでしたし」




希「ただ怖いのはここからなんよ……」



海未「………!」


希「生霊が与える影響は、大抵はその人の存在や気配を感じさせたり、体をだるくさせたりする程度……」



希「それがことりちゃんの場合、実体化して会話までして、さらに命まで狙ってくる……どういうことかわかるやろ?」



海未「それほど強い感情……ということですか……」



希「そういうこと……生霊の力の源は強い負の感情。それはその感情を長く、そして常に抱いているほど生霊の力も強くなるんや」



海未「ですがそれては……!」



希「ん?」


海未「ことりは……ことりはいつも私を殺したいと思っていたということなんですか!?」



希「それはちょっと違うかな」



海未「え?」



希「ウチはあんまり長くないけどことりちゃんと一緒に過ごしできた……」



海未「それがなにか?」



希「でもことりちゃんが怒ってるところなんてウチは一度も見たことないんよ」



希「海未ちゃんは小さい頃から一緒にいるだろうけど見たことある?」



海未「言われてみれば…ないかもしれません」



希「それが問題なんよ……」




海未「なぜです?」


希「多分ことりちゃんはそういう負の感情を表に出さず、小さい頃から今までずっと溜め込んでたんやろうね……」



海未「………」



希「そしてそれが昨日の昼休み、穂乃果ちゃんや海未ちゃんと進路が分かれてしまった。今までと同じようには一緒に過ごせない」



希「それを知ってしまった事により感じた悲しみ、怒りが引き金となって、これまで溜め込み続けてきた負の感情を全て詰め込んだ生霊が誕生したん」



海未「うっ……!!」



希「ことりちゃんの心の闇、負の部分の寄せ集めやね」



希「ま、ウチなりの予想はここまでやね」


海未(ことりにとって私と穂乃果がそこまでの存在になっていたなんて……)




海未「しかし気になることかまあります……」



希「ん?」



海未「なぜ穂乃果も私も条件は同じなのに私だけがこんな目に遭うのかということです」



希「うーん、そうやね~……」



海未「何か心当たりがあるのですか?」



希「心の隙間やろうね、魂の傷ともいえるかな」



海未「魂の傷……」


希「つまり、生霊につけいる隙を与えすぎてしまったんやなぁ」



海未「難しいですね……」



希「まあウチも受け売りの知識やからなんとも……」



希「とりあえず海未ちゃんは昼休みの件からずっとことりちゃんを怖がってたやろ?」



海未「怖がるなというほうが無理ですよ……」



希「それに対して穂乃果ちゃんは謝りに家に行ったことで、いわば本来のことりちゃんに会って安心感を得た」



希「ここが2人の大きな分かれ道やね」


希「悪い霊ってのはな?怖がれば怖がるほど寄ってくるん、つまり海未ちゃんは泥沼にはまってしまったんよ」



海未「そんな……」



希「でも危ないのは海未ちゃんや穂乃果ちゃんだけやないんよ?」



海未「え?」


希「ことりちゃん自身も実は結構ピンチじゃないかとウチは思う……」


海未「どういうことですか?」


希「さっき生霊は魂の破片っていったよね」



希「破片だからそもそもは魂の一部。それがあれだけ強力な生霊として放出されていれば、そのぶんことりちゃんは魂を失ってしまってる状態なんよ」



希「きっとことりちゃんの体調不良も別に病気とかじゃなくて、魂が欠けているせい」



海未「ならばその破片を元の魂と繋げなければならない……」


希「そのとおり、それも綺麗に浄化してね」


海未「私にはそんなこと……」


希「いや、それができるのは海未ちゃんしかおらんよ?」



海未「私に……できるのですか?」



希「もちろん、ただそれには今回この生霊が誕生した引き金を解決する必要があるん」



海未「引き金……」



希「今の段階では一時だけのその場しのぎかもしれない」



希「でも完璧でなくてもことりちゃんの望みを叶えてあげることが重要や、その後どうなるかは海未ちゃん次第ってとこやね」


海未「ことりの……望み」


希「ことりちゃんは悪い言い方をしてしまえば海未ちゃんと穂乃果ちゃんに凄く依存してるんよ」



海未「なんとなくわかる気はしますが……」



希「でも逆を返せばそれだけ思われてるってこと、大切にしてあげないとね」



海未(私だけでなくことり自身も救う……)


希「…………」ジ-…



海未「私……ことりの家に行ってきます!!」


希「…………」ジ-



海未「希?」



海未「希!?どうがしたのですか?」



希「ん!?いや、何でもないよ!ちょっと喋りすぎて疲れただけやん?」アセアセ



海未「ならいいのですが……」



希「こういう大事な話は誰かに盗み聞きされたらまずいから、もっとこっそりしたほうがよかったかもやね……!」チラッ


海未「?」


希「さあ!そうと決まれば善は急げ!ことりちゃんが待っとるよ」



海未「そうですね、希は私の話を信じてくれました。だから私も希のことを信じます!」



海未「それでは行って参ります!」タッタッタッ



希「ほなね~♪」フリフリ



希「…………」



希「さてと……」

クルッ



希「盗み聞きとは関心しないなぁ~」



希「ずっとそこにいるの、気づいてたんよ、『ことりちゃん』」



ヒョコッ



ことり「あ~あ、見つかっちゃったぁ♪」



希「一体、どういうつもりなん?」



ことり「ことりが隠れてるのよくわかったねぇ、これもご自慢のスピリチュアルパワーのお陰なのかなぁ?」



希「ば、馬鹿にしないでよ!!」



ことり「あらあら、標準語になっちゃいましたね~♪ねぇ怖い?ことりのことが怖いの?」



希「うっ………こ、怖くなんかない……!!」


ことり「♪」


希(もしかしてこいつが海未ちゃんの………!!)



希「!?」



希(で、でもどうして……?)



ことり「ねえ、もっとお話しようよぉ♪」



希(なんでウチにも見えるの!?)



ことり「海未ちゃんとのお話全部聞かせてもらったよ~」



希「海未ちゃんと穂乃果ちゃんをどうするつもり!?答えによってはただじゃすまないから……!」


ことり「そんなの聞かなくてもわかるよねぇ、さっき海未ちゃんと話をしてた通りだよ」



希「……!」



希「そんなこと絶対させない!いや、させんよ!」



ことり「随分威勢がいいなぁ、でも希ちゃんに何が出来るの?」



ことり「またカードで占いでもしてみる?そんなに死神のカードが引きたいのかな?」



希「さっきから言いたい放題言って……!」


ことり「でも、ことり希ちゃんのオカルト知識は凄いと思ったよ!ことりの正体のこととかもピンポイントで当てちゃうしね~」



ことり「でもね?知識だけじゃ自分の身は守れないよ?それに希ちゃんの推理も完璧とはいえません♪」



希「どういうこと……!?」



ことり「私はことりの魂から分裂して生まれた存在、そこまでは希ちゃん正解です」



ことり「でもことりは私に魂を分けすぎたために、もう私のほうが魂として上の存在になってしまってるんです♪」


希「……!」


ことり「もしこのまま時間がどんどん過ぎていけば、そのうち私とことりの立場は入れ替わりる」



希「そうなったらことりちゃんは……!」



ことり「逆に生霊の存在になって、そしてやがては消滅するね」



ことり「そうしたら私が新しい南ことりとして生き続けるんだよ」



希「嘘やろ……」


ことり「私は生まれた時に気付いたんだよ、南ことりは2人も必要ないって」



ことり「でもこのまま勝手に消えちゃうのはさすがにかわいそうだから、いっそことりのことも殺しちゃおうかなぁ♪」



希「は!?」



ことり「そうしたら、これから殺す海未ちゃんと穂乃果ちゃんとあの世でまた楽しく暮らせるよ!素敵なハッピーエンドだねぇ!あはははは♪」


希(完全に狂ってる……)



希「そんなこと……ウチが絶対させないよ、3人ともウチの大切な仲間……」



希「やっと巡り合えた仲間なんよ!!」


ことり「あのさぁ……熱くなってるところ悪いけど、これから希ちゃんも死ぬんだよ?」



希「な……なんでウチまで!?」



ことり「そもそも初めから気づいてたんじゃない?だってことりのことが見えてるんだもん」



希「でもそんなのおかしいやん!なんでウチまであんたに殺されなきゃならんの!?」



ことり「理由は簡単だよ……私はことりの今まで溜め込んだ負の感情の化身。ことりが希ちゃんに心の中で敵意を向けたことがあるってことだよ」



希「そんな……ことりちゃん……」


ことり「ふふふ♪悲しいの?でも安心してよ、今はそんな感情ないはずだから」



ことり「ま、これから死ぬからもう関係ないよね♪」



希「ここでウチがあんたを止める……!!あんたはもうことりちゃんの皮を被った悪魔や!」



希「ウチがようやく手に入れられた8人の仲間、絶対誰1人欠けさせたりはしない!!」



ことり「………」シュッ…



希「……消えた!?」



ことり「お前のそういうところが気に入らないんだよ……」


希「!!」ビクッ



希(いつの間に背後に!?)


グイッ!!



希「いだっ!!あああっ!髪の毛っ引っ張らないで!」



ことり「なにがやっと手に入れた8人の仲間だ……!」グイグイ



希「ぐっ……とうとう本性を現したね…!」



ことり「もとはといえば穂乃果ちゃんがグループを立ち上げたのに!!あんたが勝手にいろいろ根回ししてぶち壊したんだ!!」



希「違う!ウチはそんなつもりじゃ……!!」



グイイイイッ!!!


希「あああああ!!」


ことり「しかも勝手に根回ししていた癖に一番の功労者気取り?笑わせるな!!」



希「う、うぐうう……!」



ことり「あげくの果てには最後にちゃっかり自分まで入ってきて!あんたが入るって言った時のことりの顔、もう一度見せてやりたいよ!!」


クルッ!

ドサッ!



希「あっ!」


ことり「こうして馬乗りになっちゃえばもう逃げられないね……」



希(このままじゃ……本性に殺される……!!)




ことり「あんなにかっこいいこと言ってた割に随分あっけなかったな~、残念」



ことり「さてさて、どうやって殺してあげようかな♪このまま殴り殺してもいいし~、絞め殺そうかな~?それとも首をへし折っちゃおうかなぁ」



希「やめて………やめてよ………死にたくないよ……」



ことり「抵抗する気もなくなっちゃったのぉ?つまんないな~」



希「殺さないで……お願いだからぁ………」



ことり「じゃあもう殺しちゃうね?苦しでる顔ことりにたくさん見せて♪」


ガシッ!


希「かはっ……!」

希(く、苦しい!!息が……!)



ことり「はぁ~ん?希ちゃんの苦しんでる顔かわいいよお♪ほら~どんどん首が絞まっちゃうよ?」



希(ああ……ウチ本当に死んでしまうんやね……)




ことり「♪」ググッ!



希(はぁ……中学校のころまでは色々あったけど、高校に入ってからは本当に毎日楽しかった……)


希(特に最後の年は……)


希(えりち………ごめんな………ウチはもうだめみたいや)



ことり「思ったよりもしぶといねぇ、いつまでもつかな~♪」



希(えりち………助けにきて……)


希(ん?えりち?)



ーーー
ーー


ーいつかの部室ー

絵里「やめてよ希ぃ!!私、本当にそういうのだめなんだからぁ……」グスッ



にこ「いくらなんでもビビりすぎよ……」



希「えりちは本当に怖い話が苦手やね~」ニシシ



にこ「普段クールだから余計に情けないわねぇ~」




絵里「そんなこと言われてもぉ……」



希「えりちはダメダメさんやなぁ~、そんなんじゃ本当に幽霊に襲われた時なんも対処できひんよ?」



絵里「そもそも幽霊に襲われないから大丈夫よ!」


希「そんなのわからんやん?」



にこ「にこはぁ~?にっこにっこに~!のラブにこスマイルでぇ~、幽霊だって虜にしちゃうニコッ☆」



希「あぁ……にこっちは助からんね」



にこ「ぬわぁんでよっ!!」



絵里「思いだしたわ!!」



希「わっ!?どうしたん急に?」



にこ「?」



絵里「その……聞いた話なんだけど幽霊ってね?」


希「ふむふむ」



絵里「エッチなことが苦手なのよ!!!!」ドヤチカァ


にこ「ば、バカっ///声が大きいわよ!」


希「///」


ーーー
ーー


希(これだ!)



ことり「絵里ちゃんのことでも考えてるのかな?」



ことり「私が本当のことりになったら寂しいなら絵里ちゃんも殺してあげるよ♪」



希(本当かどうかわからんけど、何もせずに死ぬよりはよっぽどましや!」



ことり「だから先に逝って楽しみに待っててね♪希ちゃん」



希「……」ニヤッ



ことり「?」



わしっ!!



ことり「!!?」


わしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわし!!!



ことり「ひゃああああぁん!!いやっ?あっ///や、やめろ!やめろお!!やめてえええええええ////」


わしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわし!!!



希(力が抜けたっ!?今や!)


シュバッ!

わしっ!


ことり「あ!///」



希「背後はもらったで?これで形勢逆転やね!」


希「おりゃああああ!!!わしわしMAX!!」


わしわしわしわしわしわしわしわし!!
わしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしし!!!



ことり「あ!あああ///ああああああああああああああ???」



希「どうや!初めてのわしわしの味は!!」



希(そういえばウチ、ことりちゃんをわしわししたことなかったんだっけ……だからこんなに効く……!?)


ことり「だめ///だめええええええええええ?」


ことり「あ?」ビクンビクン


希「これで終いや!!」


ペタッ!!



ことり「!?」



ことり「か、体が動かない……!!どうなってるの!?」



希「ウチががいつも持ってる魔除けのお札を貼ったんよ」



ことり「くそぉ!はがせ!はがしてええええ!」



希「はがすわけないやん?」



ことり「ちくしょおおおぉぉ!!」


希「それにしてもとっさに貼ったお札にこんな高価があったなんて……」



希「ウチはやっぱりラッキーガールやね!」


ことり「希ちゃんお札はがしてぇ、おねがぁい?」



希「やかましい!そこでおとなしく転がっとき!」



ことり「ぐすん……」



希(でもあのお札)チラッ



希(ほんの少しずつだけど端っこから焦げていってる……)



ことり「こんなの嫌だよぅ……」



希(結局は時間稼ぎにしかならない……)



ことり「やだやだやだやだぁ!!」



希(お願い!海未ちゃんどうか間に合って!)



希(ことりちゃんを早く助けてあげるんよ!)ギュッ!

今日はここまでです!
明日から多忙なのでもしかしたら2、3日空けてしまうかもしれません……
あと少しなんですけどね(>_<)
読んでくださった方ありがとうございました!

読み返してみたらことりちゃんがわしわしされてる時の台詞のハートマークがなぜか?マークになってる( ;´Д`)

そう言われるとそれもありな気がしてきました!


続きを更新します。今回で完結です


ー南家ー

海未(私はことりになんて酷いことを言ってしまったのでしょう……)


ピンポ-ン


海未(まずそのことを誤らなければ……、そしてもう一つ)



海未(私は今ある決意をしました……)



海未(それをことりに伝えます)


ガチャ


ことり「海未ちゃん……」



海未(やっぱり……いつものことりです……!)



ことり「あがって……」


海未「はい……」


ーことりの部屋ー

ことり「座っていいよ……」


海未「………」



ことり「………」



ことうみ「あの(ね)…!」


ことうみ「あっ 」


海未「ことりからどうぞ…….」


ことり「海未ちゃんからでいいよ……」



海未「ことり……」


海未「本当にごめんなさい!!」ペコッ


ことり「海未ちゃん……」



海未「私は……私は……!!ことりに酷いことをしてしまいました!!」



海未「幼馴染であり、親友でもあるあなたを私は疑って……!私の勘違いであなたを責めて!酷いことをたくさん言ってしまいました!!」



海未「いくら謝っても謝りきれません!!」


ことり「海未ちゃん顔を上げて?」



海未「うっ……うぅっ」



ことり「ことりも海未ちゃんに謝らなくちゃいけないよ……



海未「ことりは何も謝ることなどありませんよ……」



ことり「ううん、ことりも海未ちゃんのこと疑っちゃったんだ……」



ことり「もうことりのところには戻ってきてくれないんじゃないかって……」



ことり「今までみたいにことりとは一緒に過ごしてくれないんじゃなかって…」



ことり「やっぱりこうして海未ちゃんは戻ってきてくれたのに……!」



ことり「だからことりのほうこそごめんなさい」ペコッ


海未「本当はこんなことになってしまった原因を説明しなければいけないと思うのですが……」



海未「今ことりに全てを話したら、きっとあなたは傷ついて、自分を責めてしまうと思うのです」



ことり「話さなくてもいいよ、海未ちゃんがあんなに怯えてるの初めて見た」



ことり「お昼の電話のことだって正直者の海未ちゃんが嘘をつくとは思えないし…」


ことり「確かにことりには海未ちゃんに何があったのかはよくわからない。でも海未ちゃんが凄く怖い思いをして、1人で戦ってたんだってことだけはわかるよ」


海未「ことりぃ…!」ダキッ


ことり「海未ちゃん……」ダキッ


海未「私怖かったです……!凄くっ…怖かったですぅ!!」



ことり「海未ちゃんっ……海未ちゃんっ……」ギュッ


海未「すみませんっ……ぐすっ……謝りに来た私が……慰められてしまって……」



ことり「ううん、ぃいの」



海未「あと……まだもう1つ……謝らなければいけないことがありますっ……」



ことり「なあに?」



海未「ずっと一緒にいるという約束……守れなくて……ことりを悲しませてしまいました……」



ことり「大丈夫、みんなそれぞれ目指す道があるんだもん、だからことりは海未ちゃんと穂乃果ちゃんを応援するだけだよ」


ことり「それに離れてたって3人はずっと一緒だもん!」


ことり「でもね……でも……うぅっ」



海未「思ってること……全部言ってください……私が全部受け止めます。そうしたらきっと楽になれるはずです」



ことり「でも……でもやっぱり寂しい……!!ことりの我儘なのはわかってるけど……離れたくないよぉっ……」


ことり「高校を卒業したら……もう今までみたいに、ほとんど一日中毎日一緒に過ごすことなんてできなくなるってわかってた………」


ことり「でもことりには今までそれが当たり前で………その当たり前だった海未ちゃんと穂乃果ちゃんとの毎日がなくなっちゃうなんて!」



ことり「嫌だよ……いつも海未ちゃんと穂乃果ちゃんの後ろをついていってたことりには……そんなの辛すぎるよ……」」


海未「ことり、少し私の話を聞いてください……」



ことり「なあに?」



海未「私もずっとことりと穂乃果と幼いころから共にとても楽しい時間を過ごして来ました……素敵な思い出です」



海未「小さい頃がらずっと一緒で、私達はずっと一緒にいようと数えきれないほどお互いを確かめるように言い合ってきましね」



海未「私がずっと2人を守るなんて言ったこともありましたっけ」



ことり「うん……」



海未「もちろん私も表面上だけでそんな約束をしたつもりはありません。ですが私の中でその約束は当たり前に感じ過ぎて、無意識のうちにふわふわしたものになってしまったんだと思います」





海未「でもことり、あなたは違った。いつもどんな時も変わらずに私と穂乃果のことをかけがえのない存在だと思い続けてくれていたのですね……」


ことり「………」


海未「もし私が2人と初めて会った公園で穂乃果に声をかけられていなかったら、私は今こうしてことりの前にいなかったかもしれません……」


ことり「ことりはそんなことないと思うよ。きっとあそこで会ってなくても必ずいつかどこかで友達になれてたと思う……」



海未「それもそうかもしれません。ですがあの時、あの場所で巡り会えたからこそこうして今の私がいる……これは変わりようのない事実なのです」



海未「だから私はことりと穂乃果に感謝しなければならないと改めて気づかされました」



ことり「ことりだってあの時海未ちゃんに会えて本当に良かったって思ってるよ!」



海未「そしてあなたへの感謝を思い出した私は決めたのです」



ことり「?」


海未「私はことりと同じ大学に行きます……!」



ことり「え……でもそれじゃ海未ちゃん……」



海未「なにか?」



ことり「だめだよ海未ちゃん、それじゃあまたことりの我儘で……」



海未「いえ、私はあなたとの約束を守る、ただそれだけです。武士に二言はありませんよ?」



ことり「海未ちゃあああん」ギュウウウ



海未「ことり…」


ことり「ごめんねえええ!いつも……いつもことりが弱くて……こんなだからああああ!!でも……嬉しいよぉ!」


海未「今は弱くてもいいんです。でもいつか、私が守らなくてもいいくらい強くなりましょう」



ことり「うんっ……!」



海未「だからそれまでは私が必ずあなたを守り続けます」



ことり「海未ちゃあああん」



海未「これからはもっと怒って、もっと泣いて、そしてその何倍も笑って。今までより素敵な時間を過ごしましょう、私との約束ですよ?」



ことり「ありがとぉ海未ちゃん………うわああああん!!」



海未(だから今は思いっきり泣いてください……涙が枯れるまで…)


海未「………」


ことり「………」


ことり「すぅ……すぅ……」


海未(泣き疲れて寝てしまいましたか)


海未(ことりの寝顔……癒されますね……)


ナデナデ


ことり「ん……んみちゃ……あったかい♪………すぅ……」


海未「ふふ」


ー神田明神ー


希(ああっお札が……燃え尽きた…)



ことり「なんでこんなやつにぃ!!ん~っ!ん~っ!」



ことり「あれ?」



希(海未ちゃん……間に合わなかったか……)



ことり「体が動く!動くよ~♪」



希(お札くらいじゃこの強すぎることりちゃんを食い止めるのは、やっぱり無理だったんよ……)


スクッ


ことり「さぁ~て♪さっきはよくもあんな真似してくれましたねぇ」



希(今度こそお終い……)


ことり「もう2度同じ手は通用しないよ?」



希「……もう煮るなり焼くなり好きにすればいいやん……」



ことり「完全に諦めモードだね、じゃあまた面倒な事されるのも嫌だから1発で終わらせるね♪」


希(死後の世界なんて本当にあるんかなぁ……)


ことり「その顔に風穴あけてやる!!」

グワッ


希(あったとしても、まだお呼ばれするには早すぎるやんなぁ……)


ことり「終わりだ」


ビユオッ!!


希「みんなごめん!!」ギュッ


希「…………!!」



希「…………」



希「………」



希「……?」



希「あれ?」パチッ



ことり「嘘!?なんで!なんで~!!」ブンブン



希(あいつの腕がウチの顔をすり抜けてる!?)



ことり「ああぁん!なんで当たらないのぉ~!?」ブンッ!ブンッ!



希「海未ちゃん……やってくれたんやね……」ガクッ



ことり「そんな~!!ことりまだ誰もおやつにしてないのにぃ~!!」ジタバタ



希「ああ……安心したら全身の力が抜けてしまったわぁ……」


ことり「ああっ!?体がだんだん消えていくぅっ!?」



希「あんたは負けたんよ、海未ちゃんの親友を想う気持ちに」



ことり「終わりじゃない!ことりがいつかまた同じ悲しみを背負う事になれば、私はまた生み出される!その時は必ず……!!」



希「その時はもうきっと2度とないと思うよ?あんたの出番もね」



ことり「いやああああ!まだぁ……!まだ海未ちゃんの負けて悔しがる姿だって………見れて……………な……」


シュワアアアア……


ことりの姿は白く輝く無数の光の粒となって、遥か彼方へと風に乗り飛んで行った


希「ふ~、とりあえず一件落着かな?」



希「それにしてもことりちゃんもなかなか手のかかる子やね……」



希「海未ちゃんもまだまだ甘いなぁ~……でも今回は、その甘さにウチも救われたわ……」



希「よぉし!掃除の続きをやらんと!」



希「っと、その前にせっかくここにいるんだし神様にお願いしとこかな」スタスタ


チャリン
ペコペコ
パンパン!


希(神様、私を守ってくれてありがとうございます!そして、これからも私達が助け合って幸せに過ごせますように!)

ペコッ


希「……」



希「さあ掃除掃除!神様にお礼をしなきゃ」

サッサッサッ


ーことりの部屋ー

海未「………ん」パチッ



海未(私もすっかり一緒に寝てしまいました)



ことり「すぅ……」



海未(ことりはまだ眠っていますね)


シュワアアア


海未「……!?」


海未(なんでしょう!?窓の外から光の粒が……!)



ことり「すぅ…すぅ」シャラシャラシャラ



海未(ことりに降り注いでいます……!)


横たわることりに幾千もの光の粒が降り注ぐ様子はとても神秘的で、その美しい光景に私は思わず見入ってしまいました


海未(なんだか心が清らかになっていくようです……)


海未「この光の粒が、ことりの魂の破片なのでしょうか……」



海未「だとすればこれは、今までの悪夢の終わりを告げるのに実にふさわしい光景といえるでしょう」



海未「私は救われたのですね……」


ことり「ん~……ふわぁ~……あれ?ことりいつの間にか寝ちゃったみたい……」



海未「おはようございますことり♪まあもう夕方ですが」ニコッ



ことり「おはよう海未ちゃん……ん?」



海未「どうしました?」



ことり「起きたら具合悪いのが嘘みたいに治っちゃったぁ……!色んなお薬飲んでも良くならなかったのに!」



海未「それは良かったです!」



ことり「今はなんだか凄く全身に力が湧いてくるよ♪2、3曲踊れそうなくらいかもっ」


海未「まだ病み上がりなのですから油断は禁物です!今日はゆっくり休んでください」



ことり「わかりましたぁ……」シュン



海未(ことりが元気になって良かったです!)


ことり「~♪」


海未「あ、そういえばことり」



ことり「どうしたの?」



海未「先ほど部屋の中を見渡していて気づいたのですがその人形はことりの手作りですか?」



ことり「えっ!ど、どれのことかな?」アセアセ



海未「ほら、そこの棚に置いてあるやつですよ、私に似ている気がしたので目についたのです」



ことり「どれのことかな~」シラ-



海未「もう!その私にそっくりなやつですよ!なんだか悲しそうというか悔しそうな表情してますが……」



ことり「ナンデモナイノヨナンデモ」カクシカクシ



海未「ふふ、変なことりです」



ことり「さっきのは忘れてください……」



海未「さて、ことりも元気になりましたし私はそろそろ帰りますね」



ことり「海未ちゃん今日はありがとう!大げさかもしれないけどことりはなんだか生まれ変わったような気分です♪」



海未「もしかしたら本当に生まれ変わったのかもしれませんよ?」



ことり「へ?」



海未「冗談です♪」



ことり「あ、そういえば穂乃果ちゃん風邪ひいちゃったんだってね……」



海未「そうなんです、まったく穂乃果はだらしないんですから」ハア…


ことり「だから海未ちゃん、明日学校が終わったらお見舞いに行ってあげようよ♪」



海未「そうですね、体調管理もおろそかなようではこの先やっていけません!ここはひとつきつくお説教を……」



ことり「あはは……そのへんはほどほどに……」

ガチャ


海未「ことり、ではまた明日学校で!」


ことり「うん♪また明日ね!」フリフリ



ことり(ふふ♪海未ちゃん大好き!)




ー帰り道ー


海未(この2日間は間違いなく今までの私の人生で最も壮絶な2日間でした)



海未(なにはともあれ、今はまるで憑き物がとれたようなとても晴れやかな気分です!)



海未(そういえば明日穂乃果の家に行く時にスカートを返さなければいけませんね……)



海未(いけません///思い出したら無性に恥ずかしくなってきました///)



小学生A「おい、この辺りの怖い噂知ってるか?」


小学生B「え~、何それ教えろよ~」


小学生C「気になる気になる!」



海未「?」



海未(怪談話でしょうか……?小学生はああいった話大好きですよね、怖い怖いと思いながらもついつい聞きたくなってしまうものなんです)


小学生A「なんでもここの近所でさ……」


小学生B「うんうん」



海未(まあ私は本当に洒落にならない怖い体験をしましたけどね、忘れられるものなら早く忘れたいです)


小学生A「全力疾走する女の化物が出るんだって……」


小学生B「マジかよ……」


小学生C「怖いよぉ」



海未(あー、ありがちな怪談ですね~。やはり小学生が考える話、まだまだかわいいものです)


小学生A「しかもここからが凄いんだよ、その女の化物ってさ」


海未「?」


小学生B「げ、まだなんかあんのかよ……」


小学生C「もう聞きたくない……」



小学生A「なんと!スカート履いてないんだよ!!」



海未「!?」



小学生B「じゃあパンツ丸出しじゃんか!」


小学生C「エッチだ……///」



小学生A「しかも女子高生で……」


海未「ちょっと坊やたち」ゴゴゴゴゴ


小学生ABC「ひっ!?」


海未「楽しそうなお話してますね~?実は私その化物についてとっても詳しいんですよ」ゴゴゴゴゴ


小学生A「えぇ……」


小学生C「このお姉ちゃん怖い…」


海未「どうやらその化物、その話を聞いたり話したりした人のところに現れるらしいですよ?」ゴゴゴゴゴ


小学生B「えっ、じゃあもう俺たち……」


海未「だからもうその話は誰にもしてはいけません、あなた達のためにも……」ゴゴゴゴゴ


小学生A「あ……あああ……」


海未「 い い で す ね ? 」ドドドドドドドド



小学生ABC「いやあああああ!助けてえぇぇぇ!!!」ダダダッ!



海未「やれやれ……とんだ厄日です」



海未(家路を急ぎましょう……)スタスタ


しばらくして


海未(ああ、ようやく我が家です)



若者A「なんかさっき近くで声かけ事案あったらしいぜ、不審者は高校生の女だと」


若者B「小学生男子に声かけるとかショタコンかよ……」


若者C「俺が逆に声かけられてーわそんなの」



海未(聞かなかったことにしましょう)ソソクサ



ー園田家ー

ガララピシャ

海未「ただいま帰りましたー!」


海未(やっばり我が家は落ち着きます)



海未母「 海 未 さ ん ? 」



海未「はっ…はひっ!」



海未母「なぜ私がこんなに怒っているのかわかりますか?」



海未「いえ……あの……その……わかりません……」



海未母「布団、と言えばわかりますね?」



海未「うあ!?」



海未母「まったく高校生にもなって何をしてるんですか!最悪してはしまったことは仕方ないとしてもそれを黙って出て行くなんて!!」



海未「申し訳ございません!!」ドゲザ-


海未母「朝はスカートも履かずに家を飛び出し!なぜあんなに急いで出て行ったかと思えばこういうことですか!黙って隠し通せるわけないでしょう!」



海未「うわあああん!!」



海未母「泣いてもダメです!布団はそのままなので罰として海未さんが洗いなさい!でなければ新しい布団は出しませんからね!」



海未「わかりましたぁ……」



海未(今日はほんとについてません……)トホホ


ー庭ー


フミフミ ザブザブ

フミフミ ザブザブ


海未「ひいいい冷たい!!足が凍ってしまいますぅ!」



海未(布団は大きすぎてこうして庭でたらいに入れて踏んで洗うしかありません!)



海未「ああ、これでは穂乃果にお見舞いに行く前に私が風邪をひいてしまいます……」


池の鯉「パシャパシャ」



海未「あなた達は平和でいいですね~……」



海未「あなた達がのほほんと泳いでる隣で、あなた達に餌を与える私は自分が粗相をした布団を寒空の下で洗わされているのです……」


フミフミ ザブザブ

フミフミ ザブザブ



海未(ああ、私は鯉になりたい……今だけは切にそう思います……)



ー海未の部屋ー


海未「あ~、さむ」ブルブル



海未「なんとかお母さまには許してもらえましたが風邪をひいてしまいそうです!」


ピッ

ブオオオオオオ


海未「部屋にヒーターがあって助かりました」


ブオオオオオオ


海未「ああ~、ぬくぬくですぅー」


モフッ


海未「?」


海未(今背中に何か当たったような……)


モフモフッ


海未(?、まるで羽毛のような感触……そんなクッション部屋にありませんしね……)


海未(なんでしょうか)

クルッ



(^8^)「ウッミ冷えてるちゅんか~?」



海未「いやああああ!なんですかあなたあああ!!」



(・8・)「ウッミが冷えてるみたいだから日頃のお礼に温めてあげようと出てきたちゅん」



海未「日頃のお礼!?」



(・8・)「何日か前にウッミの部屋に迷い込んでしまって、とっても快適だから住ませてもらってたちゅん」



海未「何て勝手な……」



海未「ちなみにあなたが言ってるウッミというのは私のことなのですか?」



(・8・)「そらそうちゅんよ」



海未(鳥?なのでしょうか……ですが全体的にとても丸々としています。それに普通に喋ってますし不思議な生き物です……)



海未(しかもどことなくことりに声が似ているというか……いや、この姿どこかで見たことありますよ!?)



(^8^)「やっぱりことほのうみなんだよちゅんなぁ…」



海未(今の言葉!!)


海未「あ、あなたまさか!?」



ーーー
ーー


昨日の夜

ー縁側ー

海未「とりあえず瞑想をしましょう」


海未(心を無にするのです……)



………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ア


海未「?」



海未(気のせいですよね…)


…………………………………………………………………………………………………………………………………………ヨ……ア


海未(声?)


…………………………………………………………………………………………………………………コ……ウ………ヨ………アアアア!





ヤッパリコトホノウミナンダヨチュンナァァァァ!



ー今日の朝ー

海未「こんなもの枕元にに置いた覚えはありませんが……」


ペラッ



ド(・8・)ブ

お 前 を 見 て い る




海未「うわあああああ!」

ーーー
ーー

海未「あなただったんですね!?」



(・8・)「ずっと見ていたちゅんよ~」



海未「はあ……あなたに驚かされたせいで私はあんな格好で家を飛び出してしまったんですよ!?」



(・8・;;)「まさかあんなことになるとはさすがに思ってなかったちゅん……反省しているちゅん」



海未「そうですか……」



(・8・)「まあもう姿を見られてしまったしこれからは堂々とウッミの部屋で過ごさせてもらうちゅん!これからよろしくちゅん」



海未「は!?何勝手に決めてるんですか!!」





海未「はあ……今日は本当にお疲れ様でした私……少し早めですがもう寝ましょう」


ガラッ


(・8・)「ウッミ!一緒に寝るちゅん!」ポンポン



海未(ああ…そういえばこの子がいたんでした……)


海未「もう!何勝手に私の布団に入ってるんですか……しかたないですね」」ゴソゴソ



(^8^)「あ^~いいちゅんね^~」



海未「電気消しますよ」



(・8・)「ちゅん」



海未「そういえばあなた、名前はなんというのですか?」



(・8・)「トッリちゅん」



海未「トッリですか……なんだか呼びづらい名前です」



(・8・)「こればっかりはどうにもならんちゅん」


海未(なんでしょう、最初は得体の知れない生き物でびっくりしましたが害はないようではすし……)


(・8・)「?」


海未(なんだか憎めない感じですね、それにお饅頭みたいにまんまるでかわいいです)


海未「うふふ♪」



(・8・)「なにわろてんちゅんねん」



海未「あの……」



(・8・)「どうしたちゅんか?」



海未「トッリのことを抱いて寝てもいいでしょうか……?」



(・8・)「いいちゅんよ」



海未「では失礼します」モッギュ-


(;8;(「ヂュン!ウッミ苦しいちゅん!少し加減してほしいちゅん!」



海未「ああっ!すみません!」


(・8・)「…………」



海未「………」



海未「あったかいですね」



(^8^)「あったかいちゅん」



海未「………」zzz



(・8・)「寝つきがいいちゅんねぇ」



海未「……ことり……」zzz



(・8・)「ウッミはいろいろ大変だったちゅん、今はゆっくり休むちゅんよ」


ーーー
ーー




チュンチュン


( ´8`)「ふぁ~…ウッミは早起きちゅんなぁ」



海未「ここ数日バタバタして朝の稽古ができていませんでしたからね、心機一転!今日から稽古再開です!」



(・8・)「気合い入ってるちゅん!」


ー道場ー

海未「めぇーーーん!めぇーーーん!」ブンッ ブンッ


(・8・)「せいがでるちゅん」



海未「いつもは1人でやってますが横で誰かに見られていると更に気が引き締まるというものです」



( ・8・)「そういえばウッミはちゃんと面とか胴とかしっかり発音してるちゅんね」



海未「それが何か?」



(・8・)「なんか剣道って上級者になるほどキエエエエエエエ!!とかピエアアアアアアアア!!みたいな奇声発しててちょっとビビるちゅん」



海未「あははは……」


海未「あ、そうだ!トッリも私と一緒に剣道やってみませんか?」



(・8・)「いや、トッリはそういうの苦手だから遠慮しておくちゅん。そもそも竹刀持てないちゅん」



海未「では私が今度トッリ専用の竹刀を作ってあげますね!」



(・8・)「ちゃんと話聞いてたちゅんか!?」



しばらくして



海未「では私は学校へ行って参りますのでいい子で留守番してるのですよ」


(・8・)「了解ちゅん!ウッミも勉強頑張るちゅん!」



海未「はい♪それでは行ってきます」フリフリ



(・8・)「いってらっしゃいちゅん」


ー通学路ー

テクテク


海未(最初はどうなるかと思いましたがトッリはとっても私に懐いてくれてますし、いい関係が築けそうです)



海未(ただいくら教えても私を海未とは呼んでくれませんけどね……)



海未(とにかくようやく平和な朝を迎えることができました!)



ことり「海未ちゃんおはよ~♪」



海未「おはようござぃますことり」ニコッ



ことり「その……海ちゃん昨日は本当にありがとう///」



海未「いいのですよ、全て私の意志で決めたことですから」




ことり「はい♪」


海未「あ、そういえばことり、穂乃果から連絡はありましたか?」



ことり「ううん、なんにもきてないよ?やっばり今日もお休みなのかなぁ」


海未「ではいつもより少しだけ早いですがそろそろ行きましょうか。穂乃果のところには放課後に2人でお見舞いに行きましょう」



ことり「そうだね♪」





「おーーーい!!!」




ことうみ「?」


穂乃果「海未ちゃーん!!ことりちゃーん!!おっはよーー!」



海未「穂乃果!?風邪はもう直ったのですか?」



ことり「穂乃果ちゃん元気になったんだね♪」



穂乃果「もっちろん!糖分さえ撮れば風邪なんてイチコロだよ!」



海未(どんな体してるんですか……)



海未(あ、そういえば……)



海未「穂乃果」



穂乃果「ん?」



ナデナデ



穂乃果「………海未ちゃん///」



海未「ふふ♪ちゃんと早く起きてこれたご褒美です。私は約束は守りますよ?」



ことり「あ~ずる~い!ことりもことりもぉ!」



海未「はい」



ナデナデ


ことり「えへへ♪」




穂乃果「そうだ!こうしてまた3人仲直りできた記念に、海未ちゃんとことりちゃんの受験が終わったら3人でどこか行こうよ!」



穂乃果「穂乃果は遊園地がいいかな!」



ことり「温泉もいいよねぇ♪」



海未「山」


穂乃果「却下」



ことり「ことりもちょっと……」



海未「なぜです……」



穂乃果「なーんてね!こうなったらもう3人の行きたいところぜ~んぶ行っちゃおう!」



ことり「ええ~山も行くのぉ……」



海未「それなら山の中の秘湯に行きましょうか、ことりの希望も私の希望も両方一緒に叶います!」



穂乃果「おぉ~、探検みたいで楽しそうだね!」



ことり「それならことりも興味が沸いてきたかも!」



穂乃果「いや~考えただけで今から楽しみだよ~!」



海未「さすがにまだ気が早いですよ……」



穂乃果「山の奥地で謎の未確認生物とか、部族に遭遇とか!」



海未「私たちとどこに行くつもりなんですかあなたは!」



ことり「あはは……」



穂乃果「いや~昨日1日休んじゃったから力が有り余って困っちゃうねー!」 ブンブン


海未「あんまり暴れないでくださいよ」



ことり「でもことりも昨日やすんじゃったからその感覚わかるかな」




穂乃果「よぉーし2人とも!穂乃果今凄く歌いたい気分!だからみんなで歌いながら学校行こう?」


海未「朝から近所迷惑になるからやめましょうよ……」



ことり「ことりは賛成♪」



海未「え?ことり!?」



穂乃果「さすがにそんな大声で歌わないからさ……」



海未「そんなこと言って穂乃果!突然歌いながら走り出して道路に飛び出したりしたのを忘れたのですか?」



穂乃果「それとこれとは関係ないよ!」



穂乃果「すぅ…………………」



穂乃果「♪いつでも側にいること 普通に感じてたけど もしかしたら明日は違う道の一歩♪」



海未(永遠フレンズですか……)


海未(今思い返してみればこの曲、私達3人のことを想って歌詞を書いていたのかもしれませんね)



海未「♪いつでも側にいること 普通に感じてたんた♪」



ことり「♪もっと大事にしよう 失いたくない この手を離さないで♪」


ギュッ


海未「え!ことりっ///」



ことり「♪」ニコッ



穂乃果「あ~!穂乃果も手繋ぐ!」


ギュッ


海未「わ…私が真ん中ですか///」



ことほのうみ「♪友達だよ La la la la……Forever!♪」


きっと私達はこの2日間でより一層絆を深められたのだと思います。



穂乃果、ことり、私はあなたたちに巡り会えて本当に良かった。






私は今とっても幸せです!


…………………………………


ー強いふりをしてみたから 強くなれた共に頑張ったねー


穂乃果「海未ちゃんことりちゃん合格おめでとう!」



ことり「穂乃果ちゃんが応援してくれたから頑張れたよ♪」


海未「文句を言いながらも一緒に勉強に付き合ってくれていましたからね」


ーひとりじゃないって嬉しい気分 悩みがあっても聞いてくれて助かってたんだよー


穂乃果「さあ!今日は思いっきり楽しんじゃおう!」


ことり「お~♪」


海未「あんまりはしゃぎ過ぎないでくださいよ?」

ーーー
ーー

海未「うっぶ……酔いました……」


穂乃果「海未ちゃんってば気合い入れてコーヒーカップ回しすぎなんだよ~!


ことり「あはは……むこうで休も?」



ー変わらないで 願う想い 僕だけのわがままなのかな?ー


穂乃果「あ!海未ちゃんのアイス美味しそう!一口ちょうだい」パクッ



海未「こら!まだ食べていいとも何も言ってませんよ」



ことり「ことりもいただきます♪」パクッ


海未「もう!ことりまで……後で2人のアイスも一口もらいますからね!」


ことほの「おいしい!」


ーだけどずっと一緒がいいんだずっと……ー


コツッ コツッ


ことり「怖いよぉ……海未ちゃん、穂乃果ちゃん……」



穂乃果「穂乃果も怖いから海未ちゃんにつかまってよ……」



海未「2人とも情けないですね~、お化け屋敷など所詮はスタッフの方がやってるんです。そんなに大げさに怖がる必要は………」


ヴェエエエエ!?


穂乃果「いやああ!でたああああ!」ダダダッ


ことり「ぴいいぃぃぃぃ!!」ダダダッ



海未「あっ!?ちょっと!!私を置いていかないでくださいいぃぃ!!」



ー夢見て笑って泣いて 過ごした日々よ輝け どんな宝石よりもまぶしい宝物さー


ことり「はあ…はあ…ことりもう歩けないよぉ……」



海未「弱音を吐いてはダメです!そんなようでは山では生き残れませんよ!」



穂乃果「別に山では暮らさないよ!?」


ー夢見て笑って泣いて 過ごした日々の愛しさ もっと重ねてみたいー


穂乃果「やっほーーーーー!」ヤッホ-



海未「凄い絶景です……」



ことり「大変だったけど頑張ったかいがあったかも♪」



ー次はなにを目指そう? 決めてないけどー


海未「はあ……いいお湯ですぅ」



ことり「本当にこんな山の奥に天然の温泉があるなんてびっくりです」



穂乃果「結局、未確認生物は見つからなかったね……」ブクブク



海未「もうそれは諦めてください……」


ー今だけだと言わないでよ永遠だよ 今だけだと言わないでよ Wow wowー



ガタンゴトン ガタンゴトン


海未「また3人で必ずきましょう!」



ことり「うん♪」



穂乃果「………」zzz



ことり「穂乃果ちゃんもう寝てる……」



海未「あれだけはしゃいで山で走り回ってましたからね……」



穂乃果「……うみちゃん……ことりちゃん……まってぇ」zzz



海未「ふふふ」


海未(穂乃果、ことり、これからもずっと一緒ですよ)








ー友達だよ La la la la …Forever!ー








おわり


これにて完結です!
初SSなんとか完走することができました。
最初はただことりちゃんが幼馴染2人をおやつにしてバッドエンドまっしぐらの短いSSのつもりだったのですが、書いてるうちに楽しくなってきてこんなSSになりました。
ことほのうみSSのつもりがほとんどことうみになってしまいました……
最後まで読んでくださった方にこの場を借りて感謝申し上げます。
それではまたどこかでノシ

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