浦風「…そうそう、同年代はもとより、年上連中の受けもええみたいじゃの？」

浜風「…」

浦風「整備士長のおっさんも、酒保の出入りのアンちゃんも、憲兵の兄さんも。みーんな浜風ちゃんはいい子だねって。評判じゃけん」

浜風「…」

浦風「ウチは鼻が高いのう。モテモテの出来た姉妹を持って。あっはっは！」

浜風「…」

浦風「…ええと思うんじゃがなぁ。特に憲兵の兄さんなんかお薦めじゃ。将来性もあるしイケメンじゃし」

浜風「…」

浦風「…どうじゃ？のう？浜風」

浜風「…」

浦風「…」

浜風「…」

浦風「おどりゃ黙っとらんと、とっととなんとか言えやコラ」

浜風「そんなに男に飢えてるんなら浦風がお付き合いしたらどうです？」

浦風「…は？」

浜風「だってそういうことでしょう？大丈夫。浦風だって十分モテますよ。男を誑し込むには十分な身体付きしてますし」

浦風「…」

浜風「それじゃあ、私はこの後用事があるのでこれで」

浦風「待てや」

浜風「なんですか？」

浦風「どこ行くんじゃ」

浜風「提督のところですが」

浦風「は？なんでじゃ？」

浜風「別にあなたには関係のないことでしょう。それじゃあ」

浦風「…待てやっちゅーとるじゃろが」

浜風「…しつこい。いい加減に怒りますよ」

浦風「なんでお前さんが提督のとこ行くんじゃ。今日の秘書艦はウチじゃろが」

浜風「浦風はこれから男を誑し込みに行くので忙しいでしょう？妹としての優しさです。代わってあげますよ」

浦風「あ？なんじゃワレ喧嘩売っとんのか」

浜風「は？先に吹っ掛けてきたのはそっちでしょうが」

執務室

提督「…」

浦風「おはよう提督さん！今日も元気じゃねえ！」

提督「あ…うん。おはよう浦風」

浜風「おはようございます提督。今日も、いい風ですね」

提督「あー…浜風もか。うん…ああ…おはよう」

浦風「ところで提督さん、もう朝ごはん食べたけ？ウチ、おにぎり作ってきたんじゃが♡」

浜風「…！？」

提督「ん？おお、そうか。それは助かるな。今朝は慌ただしくてちょうど何も食べてなかったんだ…」

浦風「そうじゃろうと思っとったんじゃ♪なら、はい、これ！うちの愛情たっぷりシーチキン入りじゃ♡はい、あーん…」

浜風「バクッ！」

浦風「ああ！？」

提督「…」

浜風「もぐもぐもぐ」

浦風「ああああああ！！浜風！おどりゃ何すんじゃ！？」

浜風「もぐもぐもぐもぐ」

浦風「食っとらんでなんとか言わんか！」

浜風「ふひゃふもぐもが」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

提督「浜風、とりあえずちゃんと飲み込んでから言おうね」

浜風「…ごくん」

浦風「…」

浜風「まずい」

浦風「…」

浜風「あ、沢庵がありますね。これも頂きます」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

浦風「この子舐めとるんかなウチのこと」

提督「まぁまぁ…浜風もお腹が空いてたかもしれないじゃないか…」

浦風「け、けどウチが折角提督さんのために作った朝食が…」

提督「それはまぁ…残念だったけどまた今度の機会に頼むよ。うん」

浦風「て、提督さん…ならウチ、今度はもっと豪勢な…」

浜風「ふう…ごちそうさまでした。けぷっ」

浦風「…」

浜風「げぇ～っぷ。おえっ！」

提督「こらこら浜風。女の子がそんなはしたない」

浜風「すみません提督」

提督「浦風にもちゃんと謝らないと駄目だよ。勝手に人の食べ物を取っちゃいけないよ」

浜風「すみません。浦風もごめんなさい」

浦風「…」

提督「浦風もそんなに睨まないで。妹のすることだし、軽いスキンシップみたいなものじゃないか。甘えられてるんだよ」

浦風「よくもうちの提督さんへの愛情ご飯を…」

浜風「…べー」

浦風「…！提督さん！浜風！浜風の顔見て！」

提督「え？」

浜風「なんでしょうか？」ｷﾘｯ

浦風「…」

提督「？浜風の顔に何か付いてるのかい？」

浜風「私の顔に何か？」

浦風「…いや、今あっかんべー…を…」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

提督「？」

提督「…ああ。そういうことか。浜風、ほっぺにごはん粒ついてる」

浦風「え？」

提督「取ってあげよう」ﾁｮｲｯ

浜風「…ん」

浦風「…」

提督「はい、出来上がり。このごはん粒は…っと…流石に俺が食べるわけにもいかないな。はは…」

浜風「なら私が食べます」

提督「え？」

浜風「はむっ…」

提督「…わっ」

浦風「あーーーーーーーー！！」

浜風「ん…ちゅぱ…もぐ…ん…れろ…ちゅっ…」

浦風「こらぁああああ！！何やっとるんじゃぁああ！！？！？！？」

浜風「…くちゅ…ん…ぷはぁ…今度は美味しかったです…」

提督「は…はは…びっくりした…いきなり指ごと食べられるとか…」

浦風「　　」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

浜風「…ふふっ」

提督「…っと、そ、そうこうしてるうちにもうすぐ勤務時間じゃないか！浜風、君は今日はここじゃないだろ？そろそろ持ち場に戻りなさい」

浜風「あ…」

浦風「はっ！そ、そうじゃそうじゃ！さっさと持ち場に戻らんか！」

浜風「…ちっ」

提督「ほら、浦風も。秘書艦は普段より勤務開始時刻が早いんだよ。急いで準備して」

浜風「はい…わかりました…」

浦風「はーい！ほら浜風は今日は1000から遠征じゃろ！急いで艤装の点検と持ち物確認せんと！」

浜風「…わかってますよ…いちいち言われなくても」ﾎﾞｿｯ

提督「今日は私は忙しくて見送りにはいけないんだけど、気を付けて行ってくるんだよ。遠征仲間のみんなにもよろしく言っておいてね」

浜風「はい！お心遣いありがとうございます！」

浦風「暑い中ごくろうさんじゃのう。たくさん働いて資源持ってきてなぁ」ﾆﾔﾆﾔ

浜風「…」

浦風「んー？なんじゃ？はよ行ったほうがええで。ほら遅刻するけん」

浜風「…覚えててくださいね」ﾎﾞｿｯ

浦風「おみやげよろしくぅ！！」

浜風「…っ！失礼します！！！！」

提督「ああ」

浦風「ふふん」

バタン！！！

提督「…浜風なんか怒ってた？機嫌悪かったよね？」

浦風「さあ？あの日だったりするんじゃないけ？」

提督「あの日って…それだったら今日の遠征から外さないと…」

浦風「あーウソウソ！本当は昨日の夜の陽炎型トランプ大会でボロ負けしたの引きずっとるだけじゃけん！」

提督「そんなことやってたのか。…っていうか面白そうだねそれ」

浦風「あ、あははは…それより、そろそろお仕事、はじめよか？」

提督「ああ。さて、それじゃあ今日も頑張りますか！」

浦風「うんっ！」

廊下

浜風「…」

浜風「…泥棒猫」ﾎﾞｿｯ

浜風「…っ！」ﾀﾀﾀﾀﾀ

今日はここまで