友「おい、男」
男「ん? なんだ友?」
友「これに名前を書いてくれ」
男「はぁ? いきなりなんだよ」カキカキ
友「……ふっ、バカめ! 書いてしまったな!」
男「えぇ?! 何だこれ『デレ大会参加証』?」
友「ふははは! いまさら気付いても遅いわ! ようこそ『デレ大会』へ」
男「なんだよ、『デレ大会』て」
友「次々に襲いかかってくる女の子をデレさせる大会だ!」
男「はぁ? 意味がわかんねーよ」
友「ちなみに負けると10万円没収」
男「きっつ! ペナルティきっちいなおい!」
友「優勝景品は1万円……………………と、好きな女の子」
男「女子の人権ねーじゃねーか! 人身売買じゃねーかよ!」
友「はっ、いまさら文句を言っても無駄さ! もうサインはしてしまったのだ!」
男「くっ……卑怯な」
友「では、いくぞ! 最初の相手はこいつだぁ!」
幼馴染(以下幼)
「とやー、ここは私が相手だぁ……って男?」
男「幼までいんのかよ……」
幼「ふふん、この大会は学校中から各属性の娘が集められているのだ!」
男「属性?」
幼「うーん、ウチのクラスだとツンデレちゃんとか委員長ちゃんとか」
男「そっちの属性ね……」
幼「とぉう、話がそれちゃった よーしかかってこい!」
友「さぁて始まりました1回戦、解説は私 友が務めます」
男「えっ? 友? お前そんな立場なの?」
友「どういたしましたか男さん、なにか問題でも?」キリリ
男「……口調までちがうよ」
幼「もー、早くしてよ! 暇なんだけど!」
友「さあ、幼さんに男さんはどう立ち向かうのか! 緊張の一戦です」
男「デレ……ねぇ」
(要はほめたりして照れさせればいいのか?)
(そうなると、可愛いとことか言ったりするか)
友「男さんは幼さんと幼馴染ですからね、どう攻めるか見ものですね」
男(幼が自信を持っているとこは……まぁ、あそこか)
幼「……」ジィ
男「幼」
幼「なに?」
男「可愛くなったなお前」
幼「っ……そうね、自分でもそう思うよ!」フン
男「あぁ、すごく可愛いよ! すらりとした腕とか整った顔とか!」
幼「……うぅ」
男「特に、そのきれいな指とか!」
幼「!!!……あぅ」カァ
男(これだ! 昔から幼は指にはすごく自信を持っていた)
(俺が怪我させてしまった時も泣いて怒ってたしな)
(「この指は男に指輪をはめてもらう大切な指なの!」だっけか)
(? アレ? 何か引っかかるような……まぁいいか)
幼「そうかなぁ、男はそう思う?」テレ
男(よし! 効いてる! このままいっきに!)
男「あぁ! つぅっとしてきれいだし、細くて白くてとってもいいよ!」
幼「そ、そんな……ねぇ」テレテレ
男「指輪とかつけたらもっときれいになるな!」
幼「はぅ?! ゆ、指輪……男から指輪」ボンッ
カンカンカァン!
友「そこまで勝負あり! この勝負 男選手の勝ち!」
男「おし! 何とかいけた!」
幼「新婚旅行……子供はいっぱいほしいな……」フワフワ
友「それでは、トリップ中の幼さんには退場してもらいまして」
「次の相手はこの人だ!」
寝ます
……ウザいかもしれないが聞くけど
見てる人いる?
無口(以下無)
「……ども」
男「ほぇー、無口もいるんだな! イベント嫌いのお前が」
無「……そんなこと……ない」
男「んじゃ、行くか! 二回戦」
無「…………」スッ
友「さて始まりました二回戦」
「幼選手に鮮やかな手際で勝利しました男さん」
「この戦いではどのような作戦で行くのでしょうか」
「どう思われますか、コメントの幼さん」
幼「男は『千里眼の男』と言われるほどの観察眼を持ってますので」
「やはり、相手の弱点を的確に突いてくると思いますね」
男「幼までそっちサイドかよ! てかなんだよその二つ名は!」
男(まぁ、確かに相手に効果のありそうな事で攻めはするが)
(無口は、うーんあまり話せたこともないし)
(顔はすごくいいと思うんだが、前髪で隠れてるし)
(だいたい本人が可愛いって言われるの嫌らしいし)
友「男さんはその観察眼のおかげで様々な相手の事をよく知っていますからね」
幼「ま、きちんとそれらを覚えてることもすごいけど」
男(しかし、『無口』 裏を返せば会話に耐性がないという意味でもある)
(だとしたら)
(多少時間がかかるが、あの策で行くか)
男「なぁ、無口……なんか話しようぜ」
無「なに…………いきなり」
男「いいじゃんいいじゃん世間話! 一度お前としっかり話してみたかったんだよ」
無「……つまらないよ?」
男「話してもいないのにわかんないだろ」
無「…………」
無「……話すこと……ない」
男「んーじゃあ、いろいろ質問してっていいか?」
無「…………」
男「はいはい、オッケーね」
幼「うーん、無口ちゃんは話すの苦手だからね」
友「しかし、苦手からデレにつなげることができるのでしょうか」
幼「そーなんですよね、男はどうするつもりなんでしょう」
男「じゃあ、インタビュー! いろいろ聞いていくからな」
男「それでは、お名前を教えてください」
無「もう……知ってる……」
男「いいからいいから、雰囲気だよ雰囲気」
無「……無口」
男「部活は何か入っていますか」
無「……何も」
男「趣味は」
無「……ない」
男「特技とか」
無「…………はぁ」
男「……うん、ないか」
「じゃあ、次は……」
友「男選手、苦戦している模様です」
幼「ちなみにこれ男が降参するまで終わらないんで、ご了承」
男「さてと」
(うん)
(つまらねーーーーーーーーーいよ)
(話が続かないどころの話じゃないよ、由々しき問題だよ)
(ぐはー、開始早々で降参か断念の二択だよ)
無「……やっぱり……つまらない……よね」
男「っ!」
男(どうする、なんて答えればいいのか)
(ここで嘘をついてまでも否定するか……)
(いや、でも……)
無「……ごめんね?」
男「……っ!?」
(ちくしょう!)
(こいつに嘘なんてつけねえよ)
(……)
(そうだ!)
男「無口」
無「……なに」
男「お前との話は正直、つまらない」
無「…………」
男「だからな」
無「…………」
男「俺と練習しないか?」
無「……え?」
男「いや、これからいっぱいしゃべってさ!」
「それで、面白い話できるようにしようぜ!」
無「……でも……迷惑じゃ」
男「そんなわけないだろ?」
「友達と仲良く話せるんだからさ」
「それが女の子なら尚更さ?」
無「……ホントに?」
男「本当さ! 嘘なんてつかないよ」
無「……男は優しいね」
「ありがと」
カンカンカァン
友「それまで!」
「二回戦、男選手突破です!」
幼「わー、ぱちぱち」
男「これ何回戦あるんだろうか」
友「さーてさて、休む間もなく次の勝負です」
「次の相手はこいつだ!」
ネガティブ(以下負)
「次の相手はわたヘブッ」ドタッ
男「開始早々いきなりこけたーーーーーー」
負「やぁ、男君……私はもう駄目だ」
男「ネガ先輩、こけただけじゃないっすか」
負「いや、男君に醜態をさらしてしまった……もう死ぬしかない」
男「えぇー」
(ダメだこの先輩)
(ネガティブなうえに不幸だから最悪だ)
友「えぇっと、このままでは勝負になりそうにありません」
幼「実況班も混乱しています」
負「はぁ……でも死ぬとみんなに迷惑かかるなぁ」
男(そこは、しっかり考えてるんだ)
(しかし、確かにこのままでは)
(どうする、俺)
負「はぁ、ダメだ私なんて」
「どうだい? 男君、私を奴隷にしてみないかい?」
「私にはそのくらいしかできることがないダメ人間だからな」
男「いやいやいや、ダメっすよ」
負「そうだ、こんな私の話でも聞いてくれるかい?」
「私はバスケの試合で『勝利の女神』と、呼ばれているんだ」
「……」
「相手チームから」
男(うわー)
(ちょっと難易度高すぎだろこの人)
(どうする? 俺)
男(うーん、この先輩には地道に褒めたり優しくしたりはきかないからなぁ)
(全部、ネガティブにとっちゃうからな)
(つまりは一発技でがっちりと攻めねば)
(ネガティブにとる隙も与えずにデレさせねば)
(つまりは……あれでいくか)
負「もう駄目だ、私なんて」
男「先輩!」ガシッ
負「え、えぇ?! 男君いきなり抱きついてきてどうしたんだい?!」
男「ダメじゃないです!」
負「え? えぇ?」
男「先輩は俺の事を楽しませてくれるじゃないですか!」
負「あわわわわ」
男「だから簡単に死ぬなんて言わないでください!」
「悲しいじゃないですか!」
負「はわわあわわわ」
友「どうやらネガ先輩は混乱しているようです」
幼「………………うらやましい」
負「……えっとぉ」
負「こんな私でも一緒に居てもいいのかい?」
男「もちろんですよ」
負「君は優しいな」
「ふふっ、たまにはいいこともあるもんだ」
カンカンカァン
友「勝負あり! 三回戦突破です!」
幼「いやぁ、あの状況からよくひっくり返せましたね」
友「この驚異的な手際、次の勝負も期待です」
「次の相手はこの人だ!」
ねまーす
見てくれてありがとーございます
高飛車(以下高)
「ふっふっふ、次は私が相手ですよ」
男「うわー、めんどくせぇ人が来ちゃったよ」
高「め、めんどくさいとはなんですか! 失礼な!」
男(うーむ)
(この人には……ね、いい攻略法があるけど)
(ちょっと、良心が痛むようなね)
(やるの? どうすんの、俺?)
高「ふふふ、さあどこからでもかかってきなさい」
「あなたごときにやられる私では無いんですから」
男(……)
(……決行!!!)
男「……ふぅ」
高「……」
男「……」
高「……」
男「……」
高「……?」アセアセ
男「……」
高「……どうしたんですか?」
男「……」
高「さ、さぁ……かかってくるんじゃないの?」
男「……」
高「……もしかして降参ですか?」
男「……」
高「どうしたというんですか……」
幼「ううむ、これは……いったい」
友「今回はこれが攻略法だと言うのでしょうか」
幼「無視するのが、ですか……お? 携帯を取り出しましたよ」
ピロリン
友「お……『降参じゃないよ』 だそうで」
幼「つまりこれも攻略法と言うことですか」
男「……」
高「……えっと」
男「……」
高「……男君?」アセアセ
男「……」
高「……う、」
高「どうしたんでしょうか、男君? さっきから一切話しませんし」コソコソ
「私何かやってしまったのでしょうか……だから」
「もう私なんて倒す価値もないと思われてしまって……」
「いや、もっと……嫌われてしまったとか」
「……それはいやです」
男(ふっふっふ、計画通り)ニヤリ
高「お、男君?」
男「……」
高「あの、私何か」
男「……」
高「気に障るようなことを……」
男「……」
高「男君」ジワ
男「……っ」
高「もしかして私の事を」
男「……」
高「き、嫌いになって……とか」
男「……」
高「う、ぁ」
男「……」
高「……いやです」
男「……」スッ
高「……え? こっちに近づいてきて」
男「……」テクテク
高「もしかして怒って」
男「……」スゥ
高「な、殴られてしまうのですか?」
男「……」ギュ
高「…………へ?」
男「いやぁ、ごめんね」
高「……え? えっ」
男「いつもタカビーなお前を見てたらいじめたくなっちゃってね」
高「……じゃぁ」
男「うん、大丈夫だよ」
「君の事を嫌ったりはしないって」
「ね?」ギュ
高「……ばか」
カンカンカァン
友「それまで! 男選手! 強い強すぎるぞぉ!!!」
幼「ぎゅって……いいな」
男「そろそろ疲れてきたんすけど」
友「さてさて、休んでる暇など与えません!」
男「ひでぇっ!」
友「次はだれが来るのかぁ! どうぞ!」
幼「そして! 男はその後快進撃を続け
ヤンデレちゃん、いいんちょ、図書委員、ボーイッシュ、百合、アホの子
邪気っ子、オタクちゃん、お嬢様、会長、童女ちゃん、留学生ちゃん、ハーフ
姉御、妹、後輩、神、ミス高校、メイドちゃん、男の娘、、ジト目ちゃん
ドジっ子、食いしん坊、クーデレ、貧乳ちゃん、巨乳ちゃん……」
男「ちょっとまてぇ!!!!!!」
幼「何、男? まだ三分の一しか言ってないけど」
男「俺の頑張りは……俺の、おれのぉ」
友「ダイジェスト、さいこーーーーー!」
男「おのれぇーーーーーーーーーー!」
友「さてさて、そんな男選手のがんばりのおかげでとうとう!」
「決勝戦でございます!」
幼「長い道のりだったねぇ」
友「はい、ヤンデレさんの時なんて男選手死にそうでしたしね」
幼「でわでわ! 最後の相手はこの人だぁ!」
?「くははははは、さてさて」
「まあ、せいぜい楽しませてくれてまえよ」
「さぁ! かかってくるがいい!」
男「何やってるの、お前」
友「え? ラスボスだけど」
男「……はぁ」
友「まぁ、かかってきなって」
幼「いやーびっくりですね、まさか友さんがラスボスだったなんて」
「ねぇ、解説の無口さん」
無「……」コク
男「人選……間違えすぎだって」
無「……失礼な」フンス
友「ひゃっはー、おいおい男ぉ! そんなに余裕に構えてていいのかい?」
男「……それはラスボスより雑魚っぽいんじゃないか?」
男(さ、てと)
(まさか友がラスボスだったとは)
(いや、まぁ友が言いだした時点ですでに考えちゃぁいたんだが)
(こいつの攻略は……)
(いやー……ま、そのね)
(もうほんと、勝利確実なのがいっこあるんだけど)
(こればっかしはもうね……)
(俺が恥ずかしい! というか勇気が出ない!)
友「はっはー、さては怖気づいたか! 臆病者め!」
男「いやー、うんホント俺は臆病ですよ」
男「と、友! お前可愛くなったよな!」
友「……む?」
男「ほ、ほら……そのねいろんなとこがね?」
幼「おや? 男にいつものような切れが有りませんね」
無「……不自然」
友「……どうしたんだ! 本気でかかってこいよ!」
男「いやね、もうだからさ」
幼「いつもなら、ここで弱点をパコーンと撃ち抜くんですが」
無「……変」
男(だめだ)
(もう駄目だ)
(降参……するか?)
(それとも、やるか)
友「もしかして……」
男「ん?」
友「私なんかと戦いたくなんて無いのか」
男「……なっ!?」
友「まぁ確かに、口調とかも男っぽいし」
「女なんて思ってないかもしれないけど、さ」
「だから戦うまでもないと」
「私だってその……お前……を」
男「ちょっと待って」
友「……んぁ?」
男(ふぅーーーーー)
(ったく、俺は友にそれ以上言わせる気かよ)
(なにが恥ずかしいだ)
(やんなかったらもっとバカな奴だよ)
(まったく)
男「まぁ、お前らの言う観察眼とやらでね」
「前々から気付いていたんだけどね」
「おし! おし!」
「好きだ、友」
友「……」
男「……」
友「……えぇー!?」
「ちょ、ちょまっ」
「マジで? これってえ? 両……」
男「おいおい、まさか俺が気が付いてないとでも?」
「俺が言うのもなんか変だが、分かりやすすぎだろお前」
「もう、日ごろの行動全てにおいて俺への好意があふれ出てたっつーの」
友「でも、でも私なんか、ただの友達としてつるんでたんじゃねーの?」
男「まっさか! 俺はお前と一緒にいたいからつるんでたんだよ」
「好きでもなきゃ、そう四六時中ずっと一緒にはいないって」
友「えちょ、ふぇぇっ!?」
男「あー、もうまどろっこしい!」
「大好きです、俺と付き合ってください」
友「……あ、ぅ」
男「……」ジー
友「え! あ、う、はい! よろ、よろこんでぇ!」
カンカンカンカンカァン
幼「男! ついについに優勝です!」
無「……」パチパチ
幼「そして私の気持ちは伝わることも無く粉々に打ち砕かれてしまいました!」
無「……よしよし」ナデナデ
幼「うえーん、無口ちゃ~ん」ズビズビ
男「さてと」
友「……///」ボシュゥウ
男「えーっと、優勝『賞品』は……確か」
友「!!!!!!……あぅぅ」
男「うーん、『友』で」
幼「お持ち帰り一つ入りましたぁ! こんちきしょー!」ビエーン
無「……泣かない……泣かない」ナデナデ
男「さーってと、帰るか友」
友「……」コクン
男「……えいっ」チュ
友「!むぐ……んーー」パタパタ
男「……ぷはっ」
友「……きしゅ、きす いきなり」フラフラ
男「なーに静かになってんだ! ほら置いてくぞ」ダダダダダ
友「……はっ! あ、まて! 走るなぁ! 無理追いつけないってば!」
幼「うあーーー、おとこーーーーー」ジタバタ
無「……全く」ギュッ
終わり
みなさまありがとうございました
ねます
あるよ
無口ちゃんと、ね
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