戦艦クラスの瞳にくちづけを【艦これ】 (31)
ぬいぬいSS。約20レスの予定。
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司令官「えーと来週の遠征計画書は、机の一番上の引き出しに……あれ、なんだこれ。司令へ?」
司令官(ちょ、ちょっと待って。この赤いハートマークは……まさか……)
司令官(ラヴレターというやつでは……)
司令官(いや、中身を見ない事には分からんな。
ラヴレターかどうかはまだこの時点では未確定! ノーカウント! ノーカウントなんだ!)
司令官(それでは中身を拝見……)
司令官「司令に大事なお話があります。フタサンマルマル、お部屋に伺うので、待っていてくださると嬉しいです」
司令官(大事な話ってなんだよ……愛か? 愛を貰いにくるのか?)
司令官「……差出人は不明か」
司令官「困ったな……」
司令官(艦娘からこういう手紙貰うのって(金剛以外では)初めてだからな……どう対応すればいいんだ?)
司令官(金剛のラヴレターは、愛のポエムだからな。しかも朗読するし。参考にならん)
司令官(ちょ、待てよ? 罰ゲームという線もあるか……もし潮ちゃんとか羽黒にそんな仕打ちをされたら立ち直れんな……)
司令官(ま、罰ゲームじゃない前提で考えるか。罰ゲームだったら、ただ涙を流せばいいだけだし……)
司令官(そうだ。宛名が『司令へ』って事は、普段も司令呼びする子ってことだよな?)
司令官(司令呼びをする子たちは……ええと)
司令官(比叡、霧島、酒匂、陽炎、不知火、黒潮、雪風、時津風、磯風、野分……くらいだが)
司令官(この中で俺に興味を持ってくれてそうな子……え、そんな子居るの?)
司令官(比叡は金剛一筋だし……)
司令官(霧島は……ちょっとありそうかな。奥手っぽいし。まあ自惚れかもしれんが……)
司令官(酒匂は手紙よりダイレクトアタックしてくるだろうし)
司令官(陽炎はちょっと触っただけで角生えるし、無いな)
司令官(不知火は……嫌われてはないけど、好かれてもなさそう。つーか俺に興味なさそう)
司令官(黒潮は司令とも呼ぶが、司令はんとも呼ぶから、判断に困るが……LOVEはなさそうだな)
司令官(雪風は、無いな。一番子供だし。貰ったら嬉しいけどさ。パパとケッコンする的な感じで)
司令官(時津風は……あるかも。普段から色々聞かれるし、べたべたくっついてくるし)
司令官(磯風は分からんな。あいつは回りくどいのは嫌いそうだが……好かれてはいる気もする)
司令官(最後に野分たんか……ないな。正直、一番欲しいけど……ないだろうな。絶望的だ……)
司令官(以上を踏まえて考えると……)
司令官(この手紙の差出人は、霧島、時津風、磯風の可能性が高い……気がする)
司令官(……で、どうすんだよ)
司令官「まー付き合えねーわな……職務そっちのけで現を抜かすだろうし」
司令官(告白は嬉しいし、付き合いたいけど、仕事があるから付き合えない)
司令官「よし、これで行こう! 完璧!」
司令官(とか言っておいて、涙目で迫られたら断れないとかありそうで嫌だ……)
司令官(三人とも泣いたら破壊力高そうだしな……いや磯風は泣かないかもな。むしろ押し倒されそう)
司令官(いや、三人以外の可能性もあるか。まーあの中の誰から貰っても嬉しいよな)
司令官(それにラヴレターと決まった訳じゃないしな。『大事な話』があるって書いてあっただけだ)
司令官(赤いハートのシール貼っておいて、もし告白じゃなかったら、とんだフェイントだが)
司令官(……告白にしろ、罰ゲームにしろ、仕事こなしながらフタサンマルマルを待つしかねえな)
司令(はぁ……今日は仕事が手に付かなかった……どんだけ浮かれてんだ俺は。中学生か)
司令(そうこうしてる間にフタサンマルマルか……)
コンコン……
司令(おいでなすったか……さて、何が出るかな? 何がでるかな?)ガチャ
司令「……あれ? 不知火?」
不知火「あの……手紙、見てないでしょうか?」
司令「あー……見たぞ、うん。ハートのシールのやつな。不知火だったのか」
不知火「はい」
司令「そっか、不知火だったか……正直驚いた。俺に『大事な話』がありそうには思えなかったからな」
不知火「そうですか……」
司令「ああ、とりあえず中にどーぞ。『大事な話』を立ち話で済ませる訳にはいかんしな」
不知火「……失礼します」
司令官「それで、話って何なんだ?」
不知火「……単刀直入に言います」
不知火「少し前の事ですが……司令が私の目を、戦艦クラスの眼光と言って、笑っているのを聞きました」
司令官「え……そ、そういえば、そんなこともあったな……」
司令官(確か陽炎や黒潮と喋っている時だった気がするな……つーか告白じゃなかったし……)
不知火「不知火はショックでした。他の誰でもなく司令に陰で笑われていたのが、とてつもなくショックでした」
司令官「それは済まなかった……今更かもしれんが、本当に申し訳ない」
司令官「……確かに茶化したかもしれんが、心底馬鹿にしていた訳じゃないし、不知火の目は好きだ。誓約書にサインしてもいい」
不知火「あの、頭を上げてください。不知火は別に謝罪や賠償を求めている訳ではありません」
司令官「え? それじゃ何を……鉄拳制裁とか?」
不知火「何故そうなるんですか……」
司令官「いや、不知火を侮辱した罪を悔い改めさせるのが目的じゃないのか?」
不知火「見当違いです……自分の目をもう一度……いえ、以前よりも好きになれるように手伝って欲しいのですが」
司令官「ど、どうすればいいんだ? 俺にはどうすればいいかさっぱり分からん」
不知火「それは、その……」
司令官(い、言うのを躊躇うような内容なのか……?)
おう朝雲、朝霜、秋月も司令呼びやぞ
不知火「不知火の目に……口づけを」
司令官「……へっ?」
不知火「口づけとは、好きな相手にするもので、嫌いな相手には出来ないと聞きました」
不知火「ですのでこの不知火に……不知火の目に口づけをしていただけるのなら、言葉よりも明確な好意の証になると思うのですが」
司令官「そ、そうかなあ……?」
司令官(目にキスをするのは難しそうだが……出来るのか?)
不知火「過去に司令がおっしゃった言葉も、口づけの前には意味を成さないと考えます」
不知火「していただけたその時にはきっと……可愛げの無いこの目つきも、悪くないと思えるはずです」
不知火「口づけをして戴けますか、司令」
司令官(このおめめちゃんにねえ……実際は可愛らしいと思うがなぁ。目にキスか……)
司令官(まあ不知火を凹ませてしまったのは俺だし……その償いはしなくちゃいけねえよな)
不知火「司令?」
司令官「ああ……気になる点が、2つあるんだが」
不知火「……何でしょうか」
司令官「まず痛いだろ、口先が目に触れたら」
不知火「いえ。全く痛くありません。お慕いする司令の口づけですので。むしろ心地良く感じるかと」
司令官(んなアホな……とは言えない空気。表情が真剣すぎる)
司令官(つーか不知火に慕われてたのか。全く気付かなかったな)
司令官「それじゃ、もう一つ。舌は細菌だらけで汚いだろ。衛生的に問題ありだ」
不知火「それはご心配なく。イソジンを持参していますので」
司令官(性サービス嬢かお前は……)
司令官「随分と準備がいいんだな」
不知火「備えあれば、憂いなし。ですので」
司令官「霧島かよ……」
不知火「……司令の口振りからすると、不知火の願いを受け入れるのも、吝かではないように聞こえますが……本当によろしいのですか?」
司令官「宜しいも何も……絶対に引かないって目をしてるじゃねえか、お前」
不知火「それは……その通りですが」
司令官「だろ? それに、王子様のキスって訳じゃない。おじさまのキスだ。出し惜しみするようなものじゃねえよ。元はと言えば俺が悪いんだし」
不知火「……そうですか」
司令官「そういう訳で、俺なんかに出来ることなら何でもするさ。かわいい艦娘の切羽詰まった悩みなら、尚更な。ほれ、イソジンくれ、イソジン」
不知火「あ、どうぞ……」
司令官「洗面所借りるぞ。あと、滅茶苦茶念入りにうがいしてくるからな。その間に心の準備を整えて置いてくれ」
不知火「りょ、了解しました……」
司令官「待たせたな。ってわざわざ正座しなくてもいいじゃねえか……」
不知火「いえ、正座でないと心構えが崩れそうになるので」
司令官「……心構えねえ」
不知火「とにかく、このままで、その……」
司令官「分かったよ。でもそんなにカチコチにならなくてもいいじゃねえか。取って食われる訳でもねえんだから。ちょっとキスされるだけだろ?」
不知火「……司令は緊張しないのですか」
司令官「お前を抱くんなら緊張もするだろうが……キスくらいなら緊張はしねえよ。ほら、俺の胸を触ってみろよ。平常心だろ?」
不知火「……凄い速さで脈打ってますが」
司令官「あ、あれ? まぁあれだ……焦っても口だけは回るタイプでな……」
不知火「ふふっ……」
司令官「し、不知火が笑った……」
不知火「な、何か落ち度でも?」
司令官「いや、落ち度は無いが……なんで笑ったんだよ」
不知火「いえ、強がってる司令が格好悪かったので、つい」
司令官「……ああ、俺は格好悪い。まぁそれで不知火が笑ってくれるなら、格好悪いのも捨てたもんじゃねえと思うがな」
不知火「なんですか、それ……」
司令官「つーかそろそろいくぞ。本来の目的を達成しなくちゃな」
不知火「……はい」
司令官「じゃ、いくぞ……」
不知火(し、司令の手に頭をホールドされて、逃げられない。そもそも逃げでは駄目ですが……)
不知火(司令の唇が近づいて……吐息が目にかかる……)
不知火(あと1cm……5mm……1mm……0)
不知火「ああっ!」
不知火「す、凄い……目が……目がぁ……」
司令官「だ、大丈夫か……?」
不知火「え、ええ……痛気持ち良かっただけですので」
司令官「気持ち良かったのか!? 普通に痛そうに見えたが……本当に大丈夫なのか?」
不知火「本当に大丈夫ですので……」
司令官「そ、それならいいんだが……それじゃこれで終わりでいいんだな?」
不知火「あ……その……逆の目もお願いします」
司令官「え、片目だけじゃないのか」
不知火「……司令が嫌というなら、無理にとは……」
司令官「嫌とかじゃなくてな……」
司令官(痛そうな反応を見てからだと躊躇してしまうのも無理はないよな? いくら痛『気持ち良い』と言われても……)
不知火「嫌でなければ……お願いします」
司令官「分かったよ……痛くても知らんからな。俺は責任もてんぞ」
不知火「承知の上です」
司令官「……ふ~、いくぞ、ぬいちゃん」
不知火「なんですかその呼び方は……ひゃああぁつ!?」
司令官「……これで終わりだな。自分の目を好きになれる『証』になったか?」
不知火「……不意打ちされました」
司令官「焦らしても仕方ないと思ってな。まぁこれで分かっただろ。不知火の目、キス出来る程度には好きだぞ」
不知火「……はい。口づけをくださった司令の言葉、信じます」
司令官「おう……でも言い振らしたりするなよ。恥ずかしいから。不知火に限って、んなことはしないと思うがな」
不知火「ご心配なく。『まだ』黙っておきますので」
司令官「いつか暴露するんかい! 勘弁してくれよ……」
その後、この二人が眼球舐め合いっこにドハマりすること、そしてケッコン式の三次会でこの出来事を馴れ初めとして暴露されることは、しばらく先の話である……おしまい。
>>12
すいません許してください!何でもしまかぜ!
うちに居ない朝霜・朝雲はまだしも秋月を忘れるとは不覚……
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