前川みく「ムーンナイトキャット」 (38)

モバP(※以下P表記)「ただいま戻りましたー」

みく「ただいまだにゃー……」

ちひろ「プロデューサーさん、みくちゃん、お疲れさまです♪」

P「うぁー、今日も暑かった」

ちひろ「大丈夫ですか?くれぐれも、体調には気を付けてくださいね」

P「分かってますよ、健康には気を付けてます」

ちひろ「なら良かったです。それでは、私もまだ仕事があるので」

P「あい、お疲れです」


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P「ふぁぁ……」

みく「ふー……。Pチャンお疲さまー……、今日のお仕事はちょっとハードだった~」

P「だなぁ。俺も何か疲れたわ」

みく「監督さんにも、スタッフさんにも迷惑かけちゃったし」

みく「終了時間も押しちゃって……、みんなお疲れモードだったかな。みくがもっと頑張れたらよかったのに……。ごめんね、Pチャン」

P「……まぁ、仕事なんだしそういう日もあるだろ。仕方ない仕方ない」ガサガサ

みく「Pチャンはこれから残業?」

P「おう。はー、気合い入れ直さないとな」コキコキ

みく「そっか……。それ、みくのせい、かな……。みくがリテイクいっぱい出しちゃったから……、その後始末だよね」

P「え、違うよ。これは元からやんなきゃいけない仕事。みくとは関係ないから気にするな」

みく「……ありがと。Pチャンは、優しいね♪」

P「反省できてるなら、こっちから言う必要もないし。今日のことは引き摺らずに、な」

みく「うん、そうだよね、落ち込んでばっかじゃダメ!みく、絶対に次のお仕事で挽回するモンっ!」

みく「そうと決まれば、うかうかしてられないにゃ!Pチャン、みくは今夜大忙しだから、早めに失礼するね!」

みく「今度ゆっくり、反省会しよ!」

P「お、元気出たみたいだな。よろしい」

みく「Pチャンも、お仕事頑張ってね♪」

みく「……夜ご飯を食べたら、寮の近くの公園で、秘密の猛特訓にゃ……!」

P「……大丈夫か?」

みく「あ、Pチャン!何でもないの、こっちの話!」

P「あぁそう?……8時過ぎてるし、気を付けて帰れな」

みく「うんっ!Pチャンも体に気を付けてっ!みくのせいで病気になったりしたら、化け猫になって出てくるからにゃー!」

みく「ばいばい!」

―――― 公園 ――――

みく「……よし、ご飯も食べたし、明日のために頑張って練習するにゃ……!」

みく「『黒猫館に、ようこそお越しくださいませ!ここはみくが主催を務める、紳士淑女のネコチャンが集う夜想会にゃ』」

みく「『今宵の盛大なキャンドルナイトパーティ……。ゆっくりくつろいでいくにゃ!』」

みく「……うーん、なんだかイマイチ。座ってやれば上手くいくかな……?」

みく「でもベンチがないなぁ……。あ、ブランコ……。うん、ちょうどいい」

みく「よし、もう一回!あ、あー……」

みく「んにゃあ……、何だか違うよね……。どうすればいいのかな……?」

「こんな時間に、君みたいなお嬢さんが一人でいるのは感心しないね」

みく「え……?」

P「ようみく、俺だよ」

みく「あ……、Pチャン…?どうしてここに……?」

P「事務所から出る前に、寮近くの公園で秘密の特訓するって言ってただろ?」

みく「……そっか、知ってたんだね。これじゃ、秘密の特訓じゃないにゃ」

P「熱心なのは結構だけど、外にこんな時間までいるの、流石に良くないぞ」

みく「うん……、もう遅いから戻るね。部屋で特訓するとドタバタしちゃって、映画鑑賞するって言う小梅チャンたちに迷惑かけると思ったから……」

P「ん、小梅たちか?そういや、一緒に映画見る奴探してるって言ってたぞ。なんでも小梅厳選のすごいやつだから、いろんな人に見てほしいんだと」

みく「小梅チャン、厳選…………」

P「ああ、らしい。一回だけ一緒に見たが、中々エキサイティングで凄かったぞ」

みく「…………や」

P「うん?」

みく「やっぱもう少しここで特訓してようかにゃぁ……」

P「あれ、戻らないんだ」

みく「うん、小梅チャンと一緒に映画鑑賞するの、ちょっと怖いにゃ……」

P「ああそっか。なら仕方ないな」 ニャー

P「……ん?その足元の猫は?」

みく「このコ?このコはね、公園のお友達にゃ!」

みく「ほらっ、あっち見て!」

P「おう?」

みく「人のいない夜の公園。そこはまさしく、ネコチャンたちのテーマパークなのにゃ」

みく「無人のブランコやジャングルジム……、ネコチャンたちの時間が始まるにゃ……!」

P「おー、すごいな。猫がいっぱいいる」

みく「ふふー♪みんな可愛いにゃあ……♪」

P「……混ざって遊んでくるか?」

みく「ふえっ!?そそそ、それは遠慮しておくにゃ!」

P「何で?いつもなら突撃してく勢いだろ」

みく「……猫耳、持ってないにゃ。これじゃネコチャンたちの仲間に入れないよー!」

P「あーあ、そいつは残念だったな。それはまた今度ってことか」

みく「猫耳ないと調子がくるう……かな」

みく「うぅ……。次来るときは、猫耳を忘れないようにするにゃあ……」

みく「……そう言えばPチャン、残業はどうしたの?」

P「必要な分は全部終わらせて、後はちひろさんに投げた」

みく「ちひろさんにかにゃ?何か見返りを求められたでしょ」

P「今度、昼か夜に飯をおごる約束をした。安く済んだ方だな」

みく「やっぱりだにゃぁ……」

P「つーか、俺のことはいいんだよ。みく、今何時か分かってるか?」

みく「え……。ふにゃっ!?もう10時にゃ!」

P「いくら寮が近いって言っても、こんな時間に一人でいるのは本当に危ないぞ」

P「時間を忘れて集中してんじゃないか、と思って来てみて正解だった」

みく「……ごめんなさい」

P「ま、いいよ。それよか、みく」

みく「何にゃ?」

P「どうすんの?まだ特訓続ける?」

みく「んにゃぁ~……。ここにこのままいるのは良くないし、でも寮に戻っちゃったら特訓できないし……。できればみくは特訓、続けたいにゃ」

P「……なら、今の時間にも使える場所が一つだけあるな。誰にも迷惑かけないし、安全はバッチリだし、寮には近い」

みく「え!ぴ、Pチャン!ぜひそこを教えてほしいにゃ!」

P「……いいの?大丈夫?後悔しない?」

みく「え、えっ。自分から言い出しておいてその反応は無しにゃ!」

みく「それに、みくはまだ明日のお仕事のために特訓したいにゃ!そのために、良い場所があるって言うなら、そこを使わせてほしいのにゃ!」

P「……分かったよ。じゃあ案内するからついて来てくれ」

―――― 数分後 ――――

みく「え、えっ?こ、ここマンションにゃ?」

P「んんー……。よし、人の気配はないな。大丈夫だ、行くぞみく」ウィーン

みく「えちょっ、ちょっと待つにゃあ!」ウィーン


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


みく「ねぇPチャン、ここってもしかして……」ピンポーン

P「よし着いたな。ほれほれ、止まらずに出た出た」ウィーン

みく「んにゃっ」

みく「やっぱりそうにゃ……。ここ、Pチャンの家にゃあ!」

P「うん、そうだけど」ジャラッ カチャカチャ カチッ

P「よし、入って入って」ガチャ

みく「ええっ!?女のコを家に上げるのに、その反応の薄さは何にゃあ!?」

P「こらこら騒がない。とりあえず言いたいことは上がってから聞くから」

みく「えっ、あ、ああ、はいっ。すいません、お邪魔しまーすにゃ~……」

P「ただいま戻りましたーっと」カチャ

みく「うわぁ、Pチャンのお部屋、意外と大きいにゃ……。いいところに住んでるんだね」

P「この仕事柄、あんま稼いでも金を使ってる暇が無くてな。貯金してたら、こんなとこにも住めるようになった」

みく「ここ、寮と近いの?」

P「ああ。つか、寮と近いイコール事務所にも近いからなここ。そういうのも、選んだ理由」

P「あ、そこのソファに座っといて。何かあったかなー……」ゴソゴソ

みく「い、いいにゃPチャン。みくが押し掛けた形なんだし」

P「いやいや、提案したのは俺だから。あと、客を呼んだ時は何か出せってお袋に言われてんだよ」ガサガサ

P「……なんもねえ。最近買い足してなかったか……」

みく「気を使わなくても大丈夫だにゃ、Pチャン。それより、みく練習するねっ」

P「おー、防音だから大きな声出しても大丈夫だぞ」ガサゴソ

P「……うーん、俺ちょっと外出てくるわ」

みく「えっ?」

P「いや、ちょっと買い物。そんな時間かかんないだろうけど、誰か来ても入れないようにな」カチャ

みく「えっ、ええっ、えっ」

P「冷蔵庫ン中に麦茶あるから、のど乾いたら好きに飲んでなー」

みく「えっちょっPチャン」

P「んじゃ、俺以外が来ても開けないこと。それと、しっかり練習な」ガチャ バタン

みく「……行っちゃったにゃ」

みく「……こ、これは真面目に練習するところにゃ。Pチャンもそう信頼してみくを残したんだろうし」

みく「んんっ、よっし頑張るにゃ!」

―――― 十数分後 ――――

P「ただいまー」ガチャ バタン

P「みくー、ちゃんとやってるかー」ガサガサ

みく「あ、Pチャンお帰りにゃー」

P「差し入れ買ってきたぞー」カチャ

P「……おう、真面目にやってるな。感心感心」

みく「うんっ、そのためにここに来てるんだし」

P「よしよし。はいこれ、差し入れ」ガサ

みく「わぁ、たい焼きにゃ!ありがとねっPチャン♪」

P「いいってことよ。それ食べつつ、キリの良いとこまで頑張れな」

みく「Pチャンはどうするの?」

P「とりあえず、みくが帰るまでは起きてる。その間、何するかは今んとこ未定」

みく「あの……、だったらPチャン!練習、付き合ってもらえないかにゃ?」

P「え?何でさ」

みく「相手がいると、演技しやすいでしょ?Pチャン、お願い!」

P「ああ、なるほどね。そういうことなら付き合うわ」

みく「やった、ありがとにゃあ♪」

―――― 数十分後 ――――


P「……はぁ。まあ、結構疲れてたみたいだから仕方ないけどな、うん」

みく「Zzzzz……」

P「そろそろ起こすべきか……」

P「みくー、起きろー」トントン

みく「んにゃぁ…………」

P「……次のロケ、築地市場で水揚げしたばっかの魚のグルメレポだぞ」ボソボソ

みく「ん゛にゃっ!?お魚は嫌にゃっ!」

P「おはようみく。いい夢は見れたか」

みく「あ……。ご、ごめんにゃPチャン。つい寝ちゃった」

P「疲れてるんだろ?そろそろ遅いし、帰るなら寮まで送ってく」

みく「ううん。……Pチャン、もう少しだけ……、みくとお話、いいかにゃ?」

P「……家まで連れてきたしな。最後まで付き合うよ」

みく「ありがとね、Pチャン」

みく「今日はホントに上手く行かなかったにゃ……」

みく「難しい役だけど、ちゃんと出来てれば色んな人に迷惑かけなかったのに……」

P「まっ、しゃーない。今回の舞台、監督は厳しいし演出家は凝り性で面倒臭ぇからな」

みく「ず、すいぶんバッサリ言うにゃ……」

P「でもな、難しいことだけど、真面目に臨むみくならこなせるとも思ってる」

P「俺ならこういう風に面倒くさいって言うけど、みくはそう言わずに練習しようとした」

P「そうやって一生懸命に臨むなら、過程はどうあれ必ずみくの活動に役立つ」

みく「Pチャン……」

P「……と思う。投げ出さなきゃな」

みく「投げ出さないモンっ!みく、やるからにはぜ~~ったい成功させるにゃ!」

P「ならいい。最後まで頑張ってくれ。応援してる」

みく「……もう、そういうこと言うからPチャンはずるいにゃ……」

みく「でも、ありがとねPチャン。みく、明日はもっと頑張るにゃ!」

みく「それでダメでも、また明後日頑張るにゃ!」

P「おう、その調子で明日もな」

みく「うんっ!ふふっ♪」

みく「……あっ!……ねぇねぇ、Pチャ~ン?」

P「露骨な猫なで声出してきたな。何だよいったい」

みく「みくはー、気まぐれなネコチャンなのにゃ。だから明日は頑張れても、明後日は頑張れないかもしれないにゃあ」

P「……うわーなんだってー、そいつは困ったなー。どうすりゃいいんだー」

みく「Pチャン、ひっどい棒読みにゃあ……」

P「お互い様だろ。で?続きは?」

みく「むっ……。……だからー、何か頑張るご褒美が欲しいにゃん!」

P「おう?ご褒美とは珍しい方向性で来たな」

P「……まぁ確かに、あの厳しい現場を乗り越えるんだもんな。分からなくもない」

みく「うんうん!」

P「じゃあ、今回の舞台が上手く行ったら、二人で何か食いに行こうか。俺のおごりで」

みく「やったにゃー!Pチャン大好きー!」

P「あ、でも。俺から見てダメだなーと思ったら、寿司屋に連れてくから。回らないタイプ」

P「お偉いさんとしか行けないような、それはもう高級なところへ」

みく「うに゛ゃっ!?お寿司はダメにゃ!絶対ダメにゃーっ!」

P「はっはっは。どこへ行くかは財布を持つ俺次第だ。どうせ金出すなら、どこ行ったって同じだからな」

P「寿司が嫌なら、気まぐれ起こさずにマジメネコチャンでやるんだな。ほーれ頑張った頑張った」

みく「ううぅにゃああーーっ!」

―――― 数週間後 ――――


みく『黒猫館に、ようこそお越しくださいませ♪ここはみくが主催を務める、紳士淑女のネコチャンが集う夜想会にゃ!』

みく『今宵の盛大なキャンドル・ナイト・パーティ……。ゆっくりくつろいでいくにゃあ!』

ガー ガタンッ ワー パチパチパチパチ

『これにて、〈黒猫館のキャンドルナイトパーティー〉の公演を終了いたします』

『お忘れ物のございませんよう、お気をつけてお帰り下さい』

――― 舞台裏 ―――

みく「お疲れさまでした!ありがとうございました!」

「厳しいことを言ったが、君はよく頑張った。この舞台の成功、おめでとう」

みく「監督さん……。本当に、ありがとうございました!」

みく「…………」

みく「……うっ……、良かったにゃあ……」ポロポロ

「お疲れ様、よく最後までやりきったな」

みく「……あぅ、Pチャン……」

P「おうおう、本当によく頑張った。厳しいことに立ち向かって、よく乗り越えた」

P「……いい舞台だった。最高に楽しかったよ」

みく「……ふふん、当然だにゃん!」ゴシゴシ

P「まっ、感想は後だ。着替えてきな、待ってるから」

みく「うんっ♪……覗いちゃダメにゃ」ガチャ バタン

P「んなことするかって」

みく『ねえPチャン』

P「ん?」

みく『みく、どうだった?』

P「もうちょい答えやすい質問にしてくれない?」

みく『んにゃぁ……。じゃあ、舞台の上のみくは、Pチャンからどう見えたか聞きたいにゃ』

P「そうだな、立派に猫屋敷の主人だったように見えた」

みく『ね、猫屋敷……?その言い方はちょっと……、語弊があるにゃ!』

P「ああ、冗談冗談。黒猫館の主、パーティの主催者……、いや主催猫?まあどっちでもいいか」

P「その役になり切ってたというか、いつものみくがその猫に憑りつかれてた感じかな?」

みく『もーPチャン!怖いこと言うの禁止にゃ!』

P「ええ?何でだよ、猫キャラじゃなくて、猫が乗り移ってるように見えたんだぞ。その方が良くね?」

みく『んにゃっ……。そ、それはいいのか、悪いのか……、よくわからないにゃあ』

P「じゃあ普通に言えば……。やっぱり、役を完璧に掴んでた、って感じか」

みく『……Pチャン、もう一言欲しいにゃ』

P「ええ……。これ以上何言えば良いんだよ」

みく『そ、その……。み、みくは可愛いネコチャンになれてたかにゃ!?』

P「あーうん、大丈夫大丈夫」

みく『生返事やめるにゃあ!せっかくちゃんと聞いたのに、これじゃ意味ないにゃ!』

P「大丈夫だよーみくはとってもとってもキュートなネコチャンだったよー」

みく『だからって棒読みもやめて!』

P「フフフ……、やっぱみくのリアクションは面白いわー……。クックック……」

みく『んにゃー!もー!Pチャンのバカー!』

―――― 一時間後 ――――

みく「んん~~っ……。疲れたにゃあ……」

P「夜も遅くなってきたしなー。車乗れ、寮まで送ってく」

みく「…………」

P「おい、どうしたみく。帰らないのか?」

みく「……今夜は、月明かりが……ステキだにゃ」

P「……急にセリフ言い出してどうした。公演は終わってるぞ」

P「でもまあ、確かに今日の月明かりはちょうどいいな。セリフ通りだ」

みく「……みく、このまま帰っちゃうの、ちょっと嫌だにゃ」

P「置いてって欲しいのか?」

みく「そうじゃなくって。……月明かりのせいで、みくはちょっとダイタンになっちゃってるのかも?」

みく「だから……今日は、もうちょっとだけ、一緒にいてほしい……にゃ」

P「…………」ガリガリ

P「……………………」ガリガリ

P「…………………………………………ちょっとだけな。あんまり長くはダメだぞ」

みく「ふふっ……♪Pチャン、優しいにゃ」

みく「パーティの後は、二人だけの後夜祭……しちゃう?」

P「それは明日な。今日はもう遅いからダメ」

みく「はーい♪……あれ?明日って何かあったかにゃ?」

P「……もしかしなくても、覚えてないな?」

みく「うっ、は、はい。覚えてないにゃ……」

P「……まあいっか。そりゃ明日になってからで。今は今だ」

P「今日まで本当によく頑張ったな。お疲れ」ワシャワシャ

みく「んっ……。もうPチャン、もうちょっと優しくお願い……♪」

―――― 翌日・夕方 ――――

P「…………」prrrrrrr

みく『もしもし、前川です』

P「ようみく、今どこ?」

みく『あれっPチャン、どうかしたの?』

P「飯だよ飯。前に約束したからな」

みく『……あっ、昨日言ってたやつにゃ!?』

P「そうそう。っていうか何週間か前の話な。忘れてたんだろ?」

みく『うう……、ご、ごめんなさい』

P「気にすんな。で、今どこ?」

みく『寮にゃ』

P「オッケー、あと30分くらいしたら迎えに行くから、用意しといてな」

みく『どんな格好していけばいいにゃ?』

P「そんなよそ行きの服じゃなくていいぞ。あんまいいとこじゃないから」

みく『うん、分かったにゃ!それじゃあ待ってるね♪』

P「あいよー、じゃまた後で」

みく『うん、また後で!』

―――― 夜 ――――

みく「うにゃああ…………!」キラキラ

P「お気に召したか?」

みく「もちろん、もちろんだにゃ!だって、だって……!」ジュー

みく「ハンバーグだにゃ!嬉しくないわけないにゃ!」ジュー

P「何がいいか色々考えたけど、まあこれが一番いいかなって。俺も食べたかったし」

みく「PチャンPチャン、早く食べるにゃ!早く早く!」

P「まあ待て、ハンバーグは逃げないから落ち着けって。はい、手を合わせて」

みく「いただきます、にゃんっ!」

おしまい

おまけ

―――― さらに翌日 ――――

みく「おはようだにゃぁ~」

ちひろ「あらみくちゃん、おはよう」

みく「おはようございますにゃん♪」

ちひろ「昨日、プロデューサーさんと一緒にご飯を食べに行ったって聞いたわよ?」

みく「うん!おっきなハンバーグを食べさせてくれたにゃ!」

ちひろ「そう、それは良かったわね、みくちゃん♪」

みく「……そう言えばずっと前に、Pチャンに仕事押し付けられたから、そのお返しにご飯奢るように要求したって聞いたにゃ」

ちひろ「ええ。でも、プロデューサーさんの方が一枚上手でした」

みく「どういうことにゃ?」

ちひろ「『奢るって言いましたが、値段の指定はされてないですよね』って言いながら、コンビニ弁当をおごって来たんですよ、彼」グッ

ちひろ「抜かった……!プロデューサーさん、意外とお金持ってたのに……っ」ギリギリ

みく「そ、そうかにゃ……」

ちひろ「二人はどこへ行ったのかしら?」

みく「○○ってお店にゃ。Pチャンはそんなに良い所じゃないって言ってたけど、ハンバーグはと~~っても、おいしかったにゃ!」

ちひろ「……そのお店に、間違いはない?みくちゃん」

みく「えっ、う、うん……。どうかしたのかにゃ?」

ちひろ「……プロデューサーさん、みくちゃんに甘いわね」

みく「どういうことにゃ?」

ちひろ「昨日二人が行ったお店、結構人気のお店で、前もって予約しておかなきゃ入れないの」

ちひろ「だから、プロデューサーさんはかなり前から予約をしていたんだと思うわ。みくちゃんのためにね」

みく「Pチャン……。あっ、もしかして、あの時からもう……?」

みく「……ふふっ、ありがとうにゃ、Pチャン」

みく「大好き、だにゃん♪」

今度こそ終わり

終わりです。
みくと一緒にハンバーグが食べたい。

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