ちひろ「奇異怪々」 (607)


モバP「シュレディンガーの事務所」
モバP「シュレディンガーの事務所」 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1377/13774/1377428564.html)

こちらのパラレルワールドで妖怪の世界となっております
AKIBA'S TRIPの世界観を基にしているので若干のネタバレが含まれます
キャラ崩壊につき注意


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400499221



奇奇怪怪(奇々怪々)【ききかいかい】
 常識では理解できないような不思議な出来事


奇異【きい】
 不思議なさま


怪怪【かいかい】
 非常に怪しいさま



奇異怪々【きいかいかい】



――ガチャ

早耶「お疲れ様ですぅ!」

ちひろ「あ、おかえりなさい!ダンスレッスンお疲れ様でした」

早耶「ありがとちひろさんっ!でもちょーっとだけ、早耶には難しいダンスでしたよぉ」

ちひろ「新曲の振り付けですよね?どんなダンスなんですか?」

早耶「うーんとぉ……じゃあちょっとだけ、見せてあげますぅ☆」

早耶「こーんなダンスですっ!」



モバP「ちひろさんの容態はっ!?」ツカツカ

看護士「め、面会謝絶ですよっ!?」


――後日・CGプロダクション・事務所


ちひろ「説明して下さい!」バンッ

モバP「……はぁ?」

留美「どうしたの?」

ちひろ「この事務所についてですよっ!」

モバP「そりゃまぁ……アイドル事務所ですよ?」

留美「変な事を聞くのね」

ちひろ「フツーのアイドル事務所だったらこんな質問してませんよ!」バンバンッ

モバP「あぁ、そんなに机を叩くと……」

輝子「……な、なに……?」スッ

モバP「ほら、輝子の迷惑になっちゃいますよ?」

ちひろ「デスクの隙間から出て来るようなアイドルなんて聞いたこと無いですよ!!」

留美「そりゃあスキマ女ですもの……」

輝子「……ど、どういうことだ親友……」オロオロ

モバP「いやー、ちひろさんが荒れてるんだ。ごめんな」

期待
前のも面白かった


ちひろ「ごめんね輝子ちゃん……でも、そろそろちゃんっと話を聞いておこうと思いまして」ズイッ

モバP「うーん……」

留美「……どうするの?」

モバP「……説明するのはいいですけど……」

ちひろ「けど?」

モバP「……一度聞いてしまったら、もう逃げられませんからね?」

ちひろ「」ゾッ


ちひろ(え、普通『一度聞いてしまったらもう戻れない』じゃないの?逃げられないってどういう事?)

ちひろ(……いや、よく考えなくても輝子ちゃんとか留美さんとかが妖怪っていうのは知ってるし)

ちひろ(今の時点でもう逃げられない状態なんじゃ……)


留美「流石ねちひろさん、よく解ってるじゃない」

ちひろ「ナチュラルに人の思考読まないで下さいよ!」

留美「ごめんなさい。それで、どうするの?」

ちひろ「そ、それは……」

留美「今の状態なら、まだ記憶操作でどうとでも出来るわ」

ちひろ「あぁー聞きたくない言葉出ちゃったよおおおおおおおお」

輝子(あ、キノコの世話しなきゃ)スッ


ちひろ「何ですか記憶操作って!もしかしてもう既に色んな記憶消されたりしちゃってますか私!?」

モバP「いや、まだやってませんよ」

留美「辞める時とかに消すつもりでいたわ」

ちひろ「マジですか……」

留美「大マジよ」

モバP「まぁホラ、存在を消されるよりかはいいじゃないですか」アハハ

ちひろ「何朗らかに笑ってんですか!?」

留美「それで?説明を聞くか、全てを忘れて事務所を去るかどっちにするの?」

ちひろ「わずか数秒で退職を迫られた!?」


ちひろ「あぁもうっ!説明を聞かせて貰いますよっ!」

留美「……そう」

ちひろ「その代わり!ちゃんとぜんっぶ説明してもらいますからねっ!」

モバP「ええ、そのつもりですよ」

留美「じゃあ私はNIROの方に連絡を入れておくわ」

ちひろ(ないろ?)

モバP「えぇ、お願いしますね」

留美「……説明は一人で?」

モバP「えぇ……さて、どこから説明したもんかなぁ……」


『鍵開開』


ちひろ「え、えっと、まずは……どうしてアイドル事務所に妖怪さんが?」

モバP「んー……そうですね、その辺から説明しておきましょうか」

モバP「まずは、十年前のアキバ暴動事件はご存じで?」

ちひろ「えーっと、イベントでオタクさん達が騒動を起こしたっていうアレ……ですか?」

モバP「そうそう、それです」

ちひろ「……その事件と、ウチと何か関係があるんですか?」

モバP「この事務所の前身が出来るきっかけになった事件ですからね」

モバP「実際にはそんな騒動ではなく、陰妖子(カゲヤシ)という妖怪達と人間側との大規模な戦闘です」

ちひろ「……へ?」

モバP「妖怪というより吸血鬼とかの鬼に近い生き物ですね。吸血鬼と違って――」

ちひろ「ストォォーップ!!」


モバP「どうしたんですか急に叫んだりして」

ちひろ「叫ぶわ!!何ですか大規模な戦闘って!!」

モバP「そのまんまですよ。カゲヤシと、カゲヤシを退治する専門機関『NIRO』との戦闘です」

ちひろ「……なんでまたアキバなんかで……」

モバP「当時、多くのカゲヤシが隠れ住んでたらしいですよ」

モバP「一部は一般市民を襲っていたんですが、一方で大部分は普通に生活していたようです」

モバP「中には喫茶店のマスターや、メイドカフェの店員まで様々な……ちひろさん?」

モバP「……ちひろさん?」

ちひろ「ホァッ!?き、聞いてますよ!!はい!!昔の話ですよね!」

モバP「まぁ、今もですけどね」ハハハ

ちひろ「マジですか……」


モバP「さて話を戻しましょう」

モバP「この戦闘の結果、カゲヤシ側もNIRO側も大きく消耗した上に双方のトップが共倒れしてしまいまして」

モバP「トップを失ったNIROに対して、カゲヤシ側の次期トップの方から和平交渉を申し込んだんです」

ちひろ「和平交渉……ですか?」

モバP「えぇ。『彼女』も普通に生活していたカゲヤシですからね」

モバP「彼女は蜂で言う所の女王蜂でしてね。ほぼ全てのカゲヤシが彼女の意見に賛同」

モバP「オマケにどこで情報を得たのか、アキバの住民達もカゲヤシの味方についたんです」

モバP「こうしてカゲヤシと人間は共存の道を歩き始めるワケですが……」

モバP「ビックリしたでしょう?」

ちひろ「もう何が何だか……理解が追いつきませんよ……」

モバP「僕もそうでした」アッハッハ


ちひろ「えぇと……あれ?じゃあカゲヤシ以外の妖怪さんっていうのは?」

モバP「これから説明する所ですけど、飲み物いりません?」ガタッ

ちひろ「え?あぁ、そういえば喉が渇きましたね……あ、お茶入れて来ますね」ガタッ

モバP「あぁ、じゃあお願いしますね」


――


モバP「さて」

ちひろ「はい」

モバP「カゲヤシ以外の妖怪についてですが、その前にNIROについて説明しておきましょう」

モバP「NIRO……National Intelligence and Research Organizationの略でして、日本語で言うと国内情報調査機構」

モバP「元々は日本国内の妖怪退治を行う機関でして、特に人を襲うカゲヤシの活動が活発になってからはカゲヤシ退治を専門にしたようです」

ちひろ「あの……」スッ

モバP「はいちひろさん」

ちひろ「妖怪さんって人を襲うものなんじゃ……?」

モバP「……そこについては後で説明しましょう」

モバP「さてこのNIRO、カゲヤシとの和平交渉を受けてからは活動内容がガラッと変わりまして」

モバP「その内容って言うのが要するに、妖怪や鬼の保護、社会復帰を目的とした活動なんです」


モバP「これによって全国的に妖怪達の調査を行った結果、既に人間との混血が進んだ種族が多数確認されました」

モバP「そういった種族も含めて、人間と共存出来るように造られた学習施設……まぁ学校ですね」

モバP「それが、この事務所……いや、現在のアイドル事務所の前身です」


ちひろ「妖怪さん達の学校……ですか……」

モバP「えぇ。しかしどうしても人間社会に出られない子がいましてね」

モバP「例えば、みく」

ちひろ「あぁ、そういえば……」


――


留美「ある妖怪と人間が恋に落ちて、共存する世界のために尽力したっていう話よ」

ちひろ「へぇ……あ、おはようございます留美さん!」

留美「驚かせてしまったみたいね。おはよう」

ちひろ「その、妖怪さんと人間のお陰で、今みたいになったんですか?」

留美「ええ。そもそも人に化けていれば、人間社会には溶け込めるもの」

ちひろ「確かに、言われなければ判りませんでしたからね……」

留美「ただ、この子みたいに完全に人に化けられない妖怪もいるの」

みく「猫耳と尻尾は隠せないんだにゃあ」

ちひろ「へぇ……」


――


ちひろ「――って言ってましたね」

モバP「なんだ、ほとんど聞いてたんじゃないですか」

ちひろ「つい数日前の話ですけどね」

モバP「あぁ、で、説明が欲しいと」

ちひろ「そういう事です……ところで、さっきの私の質問の答えは?」

モバP「あぁ、妖怪が人を襲うモノっていうやつですね」


モバP「それは間違いですよ、ちひろさん」

ちひろ「えっ?」

モバP「現在言い伝えられている妖怪の話の多くは、江戸時代ごろに流行った『この妖怪最強にしようぜwwwww』って遊びが――」

ちひろ「なんだその遊び!!」

モバP「いや、色んな妖怪に設定を付け足して遊ぶというまことに厨二な遊びが流行ったそうでして」

ちひろ(何やってんの先人――!!)

モバP「実際には妖怪というのは九十九神(ツクモガミ)と言う、神様見習いなんです」

ちひろ「付喪神……って、モノを大切にしてると神様が宿るって話じゃないんですか?」

モバP「どちらも神様見習いには変わりませんね。そうだなー……」

ちひろ「?」


モバP「実際の妖怪達は、基本的には人を戒めたり、道を踏み外さないように色んな行動をするんです」

モバP「そうして徳を積む事で神様から認められ、より高位の存在になれる、と」

ちひろ「えーと……?」

モバP「例えば誰かを応援する、誰かの心の支えになる、誰かを笑顔にする」

モバP「さて、じゃあみくみたいに人間社会に溶け込めない妖怪はどうするか?」

ちひろ「……あっ!」


――


留美「まぁともかく、こういう子達にとって、アイドル活動はベストポジションなの」

留美「ケモミミ、シッポ、何でも御座れ、ってね」


――


ちひろ「そっか!それでアイドル事務所なんですね!!」

モバP「……すっごい説明しにくかったんですけど、解ってもらえたようで何よりです」ハァ

前作は残念だったけど期待してる


ガチャ


留美「話は終わったかしら?」

モバP「ええ。そっちはどうでした?」

留美「えぇ、アナタの時と同じで大喜びしていたわ」

留美「それと、久しぶりに事務所に来るって言ってたわよ?」

モバP「へぇ……」

ちひろ「何の話です?」

モバP「あぁ、さっき言ってたカゲヤシのトップ……いや」


――


瑠衣「喜べ鈴!また私達の理解者が増えたみたいだ!」

鈴「る、瑠衣ちゃん?」

瑠衣「あ、そうだ。明日にでも顔を合わせたいって言っちゃったんだけど、スケジュールは空いてるかな?」

鈴「きゅ、急過ぎるよぉ~」


――


モバP「NIROのトップが遊びにくるそうですよ」


『鍵開開』おしまい

ひとまずここまで


文月瑠衣
ttp://i.imgur.com/N9iDZWg.jpg

森泉鈴
ttp://i.imgur.com/0iLc2ja.jpg


>>5
>>17
ありがとうございます。今回もヤマナシオチナシですがお付き合い下さいませ

まってたおつ

妖怪噺がアキストベースになるとは思わなんだww久々にNIROルート以外やり直そうかな
そういえばアキスト2では1の話は作中のラノベの話にされてて残念だった


『怪人アンサー』


怪人アンサーは携帯電話を用いた儀式で呼び出せる怪人

10人が円形に並び、同時に隣の人に携帯電話を掛けると、すべてが通話中になるはずであるが

一つだけ別のところにつながる電話がある

それが怪人アンサー

呼び出せばどんなことでも答えてくれるが、最後にアンサーから質問してくる

問題に答えられないと「今から行くね」と――


――某日


モバP「う~ん……」

ちひろ「あら?どうかされました?」

モバP「あぁちひろさん……いや、ちょっと考え事を」

ちひろ「何か悩み事ですか?私でよければ聞きますよ♪」

モバP「んー……そうだ。いい機会なのでちょっと『怪異慣れ』してもらいましょう」

ちひろ「こ、怖いのはゴメンですからねっ?」

モバP「いやいや簡単な事ですよ。卯月に電話して、僕が何で悩んでるか聞いてみて下さい」

ちひろ「……はい?」

モバP「ついでに色んな事を聞いてみるといいですよ。さて、出掛けてきますね」

ちひろ「あ、はい……いってらっしゃい」


ガチャ

バタン


ちひろ「……どういう事?」


prrrrrrrr


ちひろ(さて、電話してみたはいいけど……何なんだろう)

卯月『はい!島村卯月です!』

ちひろ「あ、もしもし卯月ちゃん?ちょっと今いいかしら?」

卯月『はい卯月です!大丈夫ですよ!聞きたい事ですか?』

ちひろ「!……な、何でわかったの?」

卯月『私に電話してきたからですよ!』

ちひろ「……どういう事?」

卯月『あ、ちひろさんは聞いてなかったんですね!』

卯月『私は怪人アンサーの一族で、電話を通じてなら何でも本当の事を話すんです!』

ちひろ「怪人アンサー……?」

卯月『はい!どんな質問にでも答えますよ!』

ちひろ「あ、じゃあ――」

卯月『あ、でもさっきので五つ質問されましたから、今日はもう何も答えられません!ごめんなさい!』

ちひろ「えっ」

卯月『それじゃあ、何かあったら明日電話下さいね!では!』プツッ


ツー ツー ツー ツー


ちひろ「……あ、こないだ渡された妖怪図鑑……えーと怪人アンサー怪人アンサー……」


なお、どんなことでも答えるというサガを利用されて最後の質問の答えを聞かれてしまってからは悪さを止め

電話相談を個人で請け負っている

ただし質問は五つまでで、それ以上聞こうとするとやんわりと断られる


『怪人アンサー』おしまい

短いですが今日はここまで

安価+3
次回登場アイドル一人を選択
・本田未央
・楊菲菲
・渋谷凛


>>20
2は未プレイだけどそうなってるんですね。そういう平行世界って大好物です
あとアナタの記憶は正しい。NIROのトップには立ってません
ココの世界では、ゲームのどのエンディングでも無いと思って下さいませ


『孟極【モウキョク】』


その姿は白き豹

人の語を操るといふ


――某日


ガチャ


みく「おっはよーにゃー!」

ちひろ「あ、おはよーみくちゃん」

みく「にゃ!ちひろさん!ついにNIROの一員になったって聞いたにゃ!」

ちひろ「え、えぇ……まぁ、仕事の内容自体に変化は無いんだけどね」

みく「だからこそ採用されたんだろうにゃあ」

ちひろ「?」

みく「だってちひろさん、みく達アイドルに対してすごく頑張ってくれてるからね」

みく「改めて、いつもありがとにゃ♪」

ちひろ「……め、面と向かって言われると照れちゃうね……」

みく「にゃはー♪」


ちひろ「ところで、今日はみくちゃんはフェイフェイちゃんとお仕事だったよね?」

みく「にゃ、料理雑誌の仕事にゃあ」

ちひろ「……フェイフェイちゃんも、その、妖怪さん……なの?」

みく「うん。孟極っていう、中国の妖怪にゃあ」

ちひろ「もうきょくもうきょく……えーと」パラパラ

みく「いつ見てもぶあっつい図鑑だにゃあ……」

ちひろ「えーと、なになに……人の言葉を話す白い豹?これだけ?」

みく「うん。特に何かしたりするワケでもないにゃ」

ちひろ「へぇ……」

みく「って言うかぶっちゃけ妖怪の半分以上ってそういうのが多いんだにゃあ」

みく「たまたま殺人事件の近くにいて、助けを呼ぼうとしてたのに『祟り』だの『呪い』だの難癖つけられたりね」

ちひろ「そんなの濡れ衣じゃない……」

みく「まぁ、喋る動物がいたらそりゃビックリするだろうからにゃあ」

みく「あとやっぱり『この妖怪最強にしようぜwwwww』って遊びが……ね」

ちひろ「先人の罪は重いね……」



ガチャ


菲菲「グッモーニンダヨー!!」

みく「お、フェイチャンおっはよーにゃー!」

ちひろ「お、おはようフェイちゃん」

菲菲「あ、ちひろサン。NIROの一員になったって聞いたヨー」

菲菲「だから自己紹介アゲインネー!私は孟極っていう妖怪の一族ダヨー!」

菲菲「あ、デモ中国の妖怪だから知らないかもネ」

ちひろ「あ、大丈夫よ?妖怪図鑑(最新版)は渡されてるし……」

菲菲「ンー、なら大丈夫だと思うケド、私は今まで通りがイイネ!」

菲菲「改めて、よろしくデース!」

ちひろ「うん、こちらこそ、これからもよろしくね」ニコッ


ガチャッ


モバP「おはようございまーす」

<オハヨウゴザイマス
<オハヨーダヨー
<オハヨウニャー


バタン



性格はとても人懐こく柔和であり

人里に出てきては子供たちと遊んで過ごすといふ


『孟極【モウキョク】』おしまい

短いですが今日はここまで。指の怪我が開いてしまいましてキーボードが血塗れです
ちゃんみおとしぶりんは次回

アイドル名か妖怪名か、どっちで安価出す方が参加しやすいんでしょ?


『すねこすり』


人の足の間を行き来し

歩みの邪魔をするといふ


――某日


ちひろ「はいPさん、頼まれてた資料ですよー」

モバP「ありがとうございます。その辺置いといて下さい」カタカタ

ちひろ「はいはいっと……もうそろそろ卯月ちゃん達も来ますし、切り上げたらどうです?」

モバP「あぁ、コレはNIROのお仕事ですよ。僕達の担当地区に新しく付喪神が出たかもしれないとかで……」カタカタ

モバP「来週、留美さんと一緒に話を聞きに行く予定なんですけど」

モバP「ちひろさんにも同行してもらいますからね」

ちひろ「こ、怖いヤツじゃないですよね……ね?」

モバP「えぇ、害は無いハズですよ。当日まで秘密ですけど」

ちひろ「そういうのやめて下さいよ!」



ガチャ


未央「おっはよー!!」

凛「おはよう、プロデューサー、ちひろさん」

モバP「おう、二人ともおはよー」カタカタ

ちひろ「おはよ♪相変わらず仲良しねー♪

未央「うん!あ、でも皆とも仲良しだよ!モチロンちひろさんも!」ギュー

凛(やっと離れてくれた)ホッ

ちひろ「はい、ぎゅーっ♪……あら?卯月ちゃんは?」ギュー

凛「部屋の片づけしてた時に見つけた漫画にハマって夜更かしして寝坊だってさ」

モバP「あぁ、聞いてる」カタカタ

ちひろ「なんでそんな具体的に……」

未央「電話で聞いたからね」

ちひろ「……何にでも答えるってそういう……」

凛「あ、ちひろさんにも正体明かしていいんだっけ」

未央「お、ククク……遂に私の正体を明かす時が来たか……」

凛「未央、蘭子みたいになってる」

未央「はっはっはー、私は何を隠そうすねこすりなのだー!」


ちひろ「えぇとすねこすりすねこすり……」パラパラ

ちひろ「『イタチのような姿をした妖怪で、人の足の間を行き来しては歩く邪魔をする』」

未央「そうそう!こうやってしぶりんの足の間を――」グッ

凛「ちょ、やめてよ未央!」バッ

未央「ふははは♪良いではないか良いではないか~♪」グリグリ

凛「本田」

未央「はい」

ちひろ「えーっと、じゃあいつも凛ちゃん達と腕を組んで歩いてたりするのは……」

未央「そういう習性なんだ!」

ちひろ(音無さんは知っててキマシタワってたのかな)

凛「何かあるとすぐ引っ付いてくるもんね」

未央「これもすねこすりの悲しいサガってヤツなのさ……」フッ


未央「というワケでしぶりんの右側ゲットー!」ガバッ

凛「わっ……まったくもう……プロデューサーからも何か言ってやってよ」

モバP「未央ー」

未央「なーに?」

モバP「好きにしていいぞー」

未央「聞いたかね凛ちゃん?彼はこう言っている」

凛「プロデュウサアアアアア!」

ちひろ(いーなー微笑ましーなー)ホンワカ


ちひろ「ところで、凛ちゃんは?」

凛「ん?」

未央「え?」

ちひろ「え?いや、凛ちゃんも妖怪さんじゃないの?」

凛「……私、人間なんだけど」

ちひろ「」

凛「プロデューサー!何で説明してないのさ!」

モバP「さ、二人ともそろそろ出るぞー」ガタッ

未央「あいあいさー♪」

凛「あ、コラー!待ってよ!ちょっと!!」


<ガチャ


<バタン


ちひろ「……何で説明しないんだあの人は!」

輝子「……」

輝子(あ、遊びに来たらちひろさんが一人で憤慨してた……)


何も無い所でこけそうになったりする原因

好奇心旺盛で人懐こい、子犬のような性格をしているものが多く

主人やそれに類する人物の周りをうろちょろしている


『すねこすり』おしまい

本日はここまで
じゃあ試しに妖怪名で

次回登場妖怪一人を選択
安価+3
・琵琶牧々
・経凛々
・洗濯狐

うまづら的オカン枠は誰や


『琵琶牧々【びわぼくぼく】』


鎌倉時代、鬼をも魅了する音色を奏でる名器と謳われた琵琶が二つあった

一つは「玄上(ゲンジョウ)」

一つは「牧馬(ボクバ)」

この二つの琵琶がそれぞれ付喪神と化した物

頭は琵琶、身体は人間という奇妙な外見としているといふ


――某日


ガチャ


夏樹「うーっす、おはよー」

李衣菜「おはようございます!」

ちひろ「おはよー二人とも♪」

モバP「おう、おはよー」

モバP「って待て、二人とも今日はオフじゃないか」

夏樹「まぁいいじゃんか。だりーの事もちひろさんに紹介しとかなきゃだし」

モバP「あ、そっか」

ちひろ「だからPさんはいい加減全員のプロフィール見せて下さいよ!」ウワアアアア

モバP「それじゃ面白くないじゃないですか」

ちひろ「そんな面白さはいりません!」


モバP「だってホラ、それ読んだとしてちひろさん、偏見持たないって言いきれます?」

ちひろ「ぐ……い、言いきれます!私はこの事務所の事務員ですから!」

モバP「怖い話嫌いなのに?ホラー映画見たら夜中眠れないのに?」

ちひろ「なんで知ってるんですか!?」

モバP「小梅と涼から」

ちひろ「言わないでって言ったのに!」

モバP「留美さんが読み取った」

ちひろ「読心術厄介過ぎですよ!」

モバP「そういえば見たら死ぬとかいうタイプの妖怪が「あーあーあー!」何ですかうるさいなー」

ちひろ「やめて下さいよそういうの!」


夏樹「なぁ、そろそろいいか?」

李衣菜「二人ともいい加減にして下さい」

モバP・ちひろ「「ごめんなさい」」


李衣菜「オッホン!じゃあ改めて、私は琵琶牧々!付喪神です!」バーン

夏樹「と言っても、ほとんど人間と一緒だけどな」

ちひろ「そうなの?」

モバP「混血が進んだ結果ですね」

ちひろ「へー……李衣菜ちゃんが琵琶……なんかイメージと違うかも……」

李衣菜「でしょ!?やっぱ私と言ったらギターでしょ!ね?」

夏樹「間違えてベース買ったヤツが何言ってんだ」

李衣菜「ぐぬぬ……」


モバP(琵琶弾かせたら一流なのになぁ……)



現在の多様化した音楽に感化されてミュージシャンを目指す一族

が、壊滅的にミーハーでにわかなので成功者は少ない


『琵琶牧々【びわぼくぼく】』おしまい

本日はここまで。NIRO側の人達も出していいもんかどうか迷う


>>52
それ婚活妖怪の方じゃないですかー!


次回安価+3
・経凛々
・洗濯狐
・ひきこさん


『ひきこさん』


雨の日に現れる女の姿をした妖怪で、ボロボロになった何かを引きずって歩いている

大きなぬいぐるみに見えるそれは、よく見ると――


――某日


ちひろ「あーあーきこえなーいきこえなーい!!」ガクガクガクガク

留美「P君、あんまりちひろさんイジメちゃダメよ?」

モバP「もうちょっと怖い話に慣れといてもらわないと困るんですが……」

みく「本音は?」

モバP「反応が面白いのでつい」

ちひろ「ついでトラウマ植え付けようとしないで下さいよ!」


モバP「大体、説明してくれって言ったのちひろさんじゃないですか……」

ちひろ「う……そ、そうですけど……ガチなヤツじゃないですか……」

留美「なるほど、図鑑の解説が怖くて最後まで読んでないのね」

みく「ちゃんと最後まで読む事をオススメするにゃあ……」

ちひろ「うぅー……だ、大丈夫ですよね?」

ちひろ「最後まで読んだら呪いが移るとか無いですよね?」

留美「大丈夫よ、移っても私達で祓うから」

ちひろ(否定されない――!!)


ガチャ


きらり「おっつおっつーっ☆」

杏「おつかれさまー、さぁ帰らせてもらうよ」

きらり「ダメ」

モバP「ダメ。お仕事」

杏「えぇーめんどくさー……」


杏「……それよりさ、あの事務所の隅でガタガタ震えて命乞いしてるちひろさんは何かあったの?」

きらり「吸血鬼でも出たにぃ?」

留美「いえ、どうも怖い話が苦手らしくてね……」ハァ

みく「杏チャンのご先祖様の話したらコレだにゃあ」

杏「ふーん。自己紹介どころじゃなさそうだね」

モバP「じゃあさっさと現場行くか」

杏「行ってらっしゃい」

モバP「杏の仕事でしょーが。きらり、悪いが頼む」

きらり「えいしゃおらえいしゃー☆」ガバッ

杏「あー楽チン楽チン……」

モバP「まったく……」


ガチャ


バタン


留美「……ちひろさん放ったらかしにして……」

みく「ちひろさーん?」


ちひろ「……おばけなんてうそさ……おばけなんてないさ……むかしいたひとが……みまちがえたのさ……」ブツブツ


みく「いやみく達まで否定されるのはちょっと……」

留美「意外とメンタル弱いのね……」



呪いを潅がれた事で人畜無害な妖怪となった

その後の一族は幼少期に気に入ったぬいぐるみを見つけ

それを一生手放さないという奇妙な習性を持っている


『ひきこさん』おしまい

いったんここまで

安価+3
次回登場妖怪一人(選択肢無し、自由)


『毛羽毛現【ケウケゲン】』


家の湿った場所に棲みつく疫病神(ヤクビョウガミ)

毛むくじゃらで正体の判らない姿をしており

棲みついた家の人を病気にするといふ


――某日


モバP「――っていう妖怪がいるんですけどね。誰だか判ります?」カタカタ

ちひろ「ええっと……あれ?図鑑には載ってないですね……」パラパラ

モバP「疫病神ですからね」カタカタ

ちひろ「毛むくじゃら……毛むくじゃら……髪のボリュームが多そうな感じがしますね」ウーン

モバP「あぁー……例えば?」カタカタ

ちひろ「え?えー……若葉さん……とか?」

モバP「……」カタカタ

ちひろ「……」ドキドキ

モバP「……ちひろさん」ッターン

ちひろ「!」



モバP「毛羽毛現なんて妖怪、実は存在しないんすよ」


――たるき亭


ちひろ「ばかにしやがってよおおおおおおお!!」グビグビ

留美「それは……確かにイラッと来るわね」

小鳥「あ、あはは……通りで荒れてるワケですね……」

ちひろ「なんだよもぉー……ナゾナゾなら年少組に出せってんだばかやろぉー……」ヒック

小鳥(酒癖悪いなー……)

留美「……そうそう、毛羽毛現という妖怪はいないけど……」


希有希現【ケウケゲン】

 稀にしか見る事が出来ないという意味


「こんな苔生すような家に住んでりゃ病気にもなるわな」という事で造られたかもしれない妖怪

但し、妖怪の文献の中には最後に『という俺の妄想』や

『人が仕込んだイタズラでした』といった内容の文が書かれている物が散見される事から

そうする事で祟りを回避しようとしたのではないか、とも言われている


『毛羽毛現【ケウケゲン】』おしまい

本日はここまで。毛羽毛現は伝承ではなく完全な個人の創作らしいのでこんな内容になりました

安価+3
次回登場妖怪一人を選択
・ぬらりひょん
・猫又
・スキマ女

しかし
希有毛現→PaP

>>80

   彡ミミミ
    ( ・ω・)   ありのままの・・・・・・


     ミミミ
      川

    彡 ⌒ ミ
    (`・ω・)  地肌、見せるのよ

           ありのままの 自分になるの
           何も怖くない



 
                 ノ
          彡 ノ
        ノ
     ノノ   ミ

   〆⌒ ヽ彡     
  (´・ω・`)    風よ吹け 
         少しも寒くないわ


『ぬらりひょん』


妖怪の総大将とも言われているが

各地の伝承で姿形やその特性までも異なるといふ

なんとも掴み所の無い妖怪


――某日


モバP「――ん、じゃあみくは五ポイントな」ポンポン

みく「にゃー……好き嫌い克服の壁が高いにゃあ……」

ちひろ「……あのー、何ですかそのラジオ体操のスタンプカードみたいなの」ヒョコ

みく「徳スタンプだにゃ!」

ちひろ「とく?」

モバP「前にちょっと説明しましたけど、妖怪は徳を積む事で位が高くなるんです」

モバP「で、どれくらい徳を積んだかを査定するのにこういうシステムを導入してるんですよ」

みく「アイドル活動だけじゃなくて、私生活の分も含まれるんだにゃ」

ちひろ「えーと……例えば?」

みく「一番簡単なのは早寝早起きだにゃあ」

モバP「早起きは三文の徳って言うでしょ?」

ちひろ「え?三文の得じゃないんですか?」


モバP「……ハンッ」

ちひろ「そのアメリカンなジェスチャーでバカにするのやめて下さいすっごいイラッときますんで」

みく「現在ではどちらも正しいから気にしなくていいからね?」

ちひろ「みくちゃんそっちは壁よ?」



ガチャ


留美「おはようPくん、ちひろさん」

モバP「おはようございます」

ちひろ「おはようございます留美さん」

留美「さっそくだけど、ちひろさんには今回からNIROの業務を手伝ってもらうわ」

ちひろ「は、はいっ!」

ちひろ(NIROの業務……いったいどんな……)ゴクリ


ちひろ「――で」カタカタ

モバP「……」カタカタ

留美「ちひろさん、どうかした?」カタカタ

ちひろ「いや、たださっきのスタンプカードの集計してるだけじゃないですか」カタカタ

モバP「人数多いから、三人で出来るのはとてもありがたいですよ」カタカタ

留美「えぇ、今まで二人で捌いていたものね……」カタカタ

留美「その前は私一人でやってたんだけど」カタカタ

ちひろ「!?」

モバP「あぁ、ちひろさんは知らないですよ」カタカタ

留美「そう。ちひろさん、私がぬらりひょんっていうのは聞いてるかしら?」カタカタ

ちひろ「え、えぇ、はい、みくちゃんから聞きました」カタ

留美「ぬらりひょんっていうのは世間一般的には妖怪の総大将とか言われているけれど……」カタカタ

留美「実際は各地域に一人ずつ配属された神の遣いなの」

ちひろ「……神!?」ガタッ

モバP「ちひろさん、手ェ止まってますよ」カタカタ

ちひろ「止まりますよ!」


留美「まぁ落ち着いて。それで、そうしてそれぞれが担当する地域の妖怪達の監査をするのが仕事ってわけ」カタカタ

留美「後は、その監査の内容を見た神から昇格降格の通知を各妖怪に伝えるのも私達の仕事ね」カタカタ

留美「あぁ、そうは言っても私達は神と直接の面識は無いわよ」カタカタ

留美「その間にもうワンクッション、四聖獣がいるから……」カタカタ

留美「……ちひろさん?」

モバP「目ぇ開いたまま気絶してますね」

留美「そういえば、瑠衣ちゃんと話した時も気絶してたわね」

留美「……刺激が強すぎたかしら?」

モバP「困ったなぁ、今度付喪神のスカウトに同行してもらうつもりだったんですけどね」カタカタ

留美「まぁ、慣れてもらうしかないわね」カタカタ


――

――――

天照大御神「書類仕事やーだー朱雀手伝ってー」バタバタ

朱雀「半分!半分ならやって下さいますか!?」

天照大御神「……あとアイス。美味しいやつ」

朱雀「青龍!ダッシュでハーゲンダッツ買ってきて!」

青龍「俺かよ!」

天照大御神「やったーダッツダッツー♪」

――――

――



神の遣いと言えば聞こえはいいが

神と担当地域の妖怪達とに板挟みされる中間管理職


『ぬらりひょん』おしまい

どうもPaPです。本日はここまで

安価+3
次回登場妖怪を一人選択
・経凛々
・洗濯狐
・煙羅煙羅
・猫又
・スキマ女
・座敷童


『座敷童子【ザシキワラシ】』


棲みついた家に吉事を、去る家に凶事を招くといふ

妖怪とも精霊とも言われ

その姿は名前の通り童(ワラベ)とも武士とも、また男女とも伝えられている


――某日


ちひろ「……ねぇみくちゃん」

みく「にゃー?」ゴロゴロ

ちひろ「その……神様っているのかしら?」

みく「いるよ?神話に出て来る神様はほとんど実在してるにゃあ」

ちひろ「」

みく「そもそもみく達妖怪は神様見習いなんだにゃ」ムクッ

ちひろ「そ、そういえばそんな話が……」

みく「まぁ、茄子チャンなんかは弁天様の一族だから正真正銘神様なんだけどね」

ちひろ「えっ」

みく「あ、まだ聞いてなかった?」

ちひろ「えぇー……なんで説明しないかなあの人はー……」

みく「みくでよかったら説明しようかにゃ?」

ちひろ「うん、お願い」


みく「じゃあ、ちひろさんは七福神って分かるかにゃ?」

ちひろ「えぇと、毘沙門天とか恵比寿とかが船に乗ってるアレよね?」

みく「そうそう。その七人の神様はそれぞれ福の神って言われていて」

みく「その中の紅一点が弁天様。音楽や芸の神様なんだにゃ」

ちひろ「へぇ……じゃああの幸運も納得できるね……」

みく「にゃあ。でも茄子チャンの場合、その幸運の強弱が調整できないらしくって――」


――

市杵嶋姫命(イチキシマヒメノミコト)『この子ソッチで修業させて欲しいんだけど!』

――


みく「――で、ウチでアイドル活動してるんだにゃあ」

ちひろ「か、神様直々……」

みく「ぶっちゃけそーいうアイドル結構いるにゃあ」

ちひろ「あ、もしかしてほたるちゃんが貧乏神……とか?」


みく「違うにゃ」

ちひろ「えっ」

みく「ほたるチャンは座敷童子だにゃ」

ちひろ「えぇっ!座敷童子って幸運を呼び込むんじゃないの!?」ガタッ

みく「座敷童子にも色々あって、ちひろさんの言うように幸運を呼ぶのもいれば」

みく「不幸を呼ぶのもいるんだにゃ。で、ほたるちゃんは不幸を呼ぶ方の一族なんだけど……」

みく「一族の長が『このままじゃワシら滅んでまうなぁ』って事で修業中らしいにゃ」

ちひろ「……よ、妖怪さんにも色々あるのね……」ストン

みく「にゃあ。妖怪は人に忘れられると消えちゃうからにゃあ」

ちひろ「」

みく「その辺は神様も一緒。覚えといてね?」

ちひろ「アッハイ」


みく「そうそう、幸運を呼ぶ方の座敷童子はあずきチャンね」

ちひろ「あ、何か納得できるかも……」


――


ほたる「だってそうでしょ♪ 勇気なんて 一人じゃ起こせないよ♪」

ほたる「そっと背中押す キミの ちかーらにーなるー♪」


茄子「しろーいはーねで おおーぞら♪ 高く 飛びー立つときー♪」

茄子「せかーいじゅーう 味方なのです♪ ずっと負けないでー♪」

「「おっけー!」」

茄子「全然 心配なーいでしょ♪」フリフリ

「「ピース!」」

ほたる「悩むだけ 無駄な時間♪」フリフリ

「「順調!好調!絶好調!!」」

ほたる「かなり 超ハッピー なのでーす♪」フリフリ

「「おっけー!!」」

ほたる「全然 心配なーいでしょ♪」フリフリ

「「ピース!」」

茄子「ドジッ娘だってたーまには♪」フリフリ

茄子「純な ハート ドキドキ♪」フリフリ

茄子「かなり 超ラッキー なのでーす♪」フリフリ


なお、現在では家に棲みつき姿を見られると通報されるという事案が懸念されるため

勝手に人の家に入る事は無く、主に旅館などで活動している


『座敷童子【ザシキワラシ】』おしまい

ひとまずここまで
七福神は元々七柱の荒神を鎮めるために祀ったのが始まりなんて言われてますね
弁財天も元は戦いの神だとか

次回安価+3
・経凛々
・洗濯狐
・煙羅煙羅
・猫又
・スキマ女


『煙羅煙羅【エンラエンラ】』


煙々羅(エンエンラ)とも呼ばれる煙の妖怪

風呂の湯気や焚火の煙の中に姿を表し

人を驚かせるといふ


――某日


ちひろ「――はい、はい、かしこまりました。では伝えておきますね」

ちひろ「……ふぅ」ガチャ

藍子「お疲れ様です。お茶どうぞっ♪」コトッ

ちひろ「ひゃあっ!?」


ちひろ「あああ藍子ちゃん!?いつの間に!?」

藍子「電話されていたので気付かなかったみたいですねー」アハハ

ちひろ「うっわーゴメンナサイ……あ、お茶ありがとね」

藍子「いえ、いつもちひろさんにはお世話になってますからねっ」

藍子「そうだ、この前オススメしてくれたお店に行ったんですけど――」


――数刻後


藍子「――あ、そろそろレッスン行ってきますねっ」スッ

ちひろ「そっかー。うん、頑張ってね♪」

藍子「はい♪ちひろさんも頑張って下さいね」

ちひろ「はーい♪」


ガチャ

バタン


ちひろ「いやぁ盛り上がっちゃったなー……って一時間経ってるっ!?」ガタッ


ガチャ


モバP「ただいま戻りましたー」

モバP「……ちひろさん、その書類の山は?」

ちひろ「いやぁー、そのー、ですね……」アハハ


バタン


煙のように薄くたなびく姿として、心に余裕のある人にしか見えない精霊

余裕のない現代人達から忘れ去られそうになったが

逆に人々の心に余裕を生むリラクゼーション施設や喫茶店などで生計を立てる事で盛り返している


『煙羅煙羅【エンラエンラ】』おしまい

本日はここまで
個人的に煙羅煙羅は幸せの象徴だと思ってます。料理の湯気の中には絶対いるはず


次回安価+3
・洗濯狐
・猫又
・スキマ女

洗濯狐

座敷わらしっぽい新アイドルが追加されましたな

>>112
座敷童っぽさならハロウィン丹羽ちゃんもなかなか
でも芳乃ちゃんいいよね


『猫又【ネコマタ】』


長年生きた猫が物ノ怪へと転じたモノ

飼い主、或はそれに類する人物によく似た容姿に化けるといふ


―― cold hand warm heart


雨は嫌いだ

髪は濡れるし服は濡れるし

靴だって汚れてしまう

何より

あの日も雨だったから


思い出すのは病床に伏すあの姿

頭を撫でるのは冷たい手

それでも主人は

最後まで私を撫でてくれた


昔話をひとつ

ある日ある時ある場所で、猫が一匹、鳴いていました

雨の降る中町中で、猫が一匹、泣いていました

猫は空に向かって鳴き続けます

雨よ止め

今すぐ止め

オマエのせいでご主人は

私のそばを去ってしまった

雨よ止め


それでも雨は止む気配を見せません

あぁ、私に力があれば

人にも化けられぬ程度では

この雨は止ませられないか

鳴き声も枯れ涙も枯れ

俯いた猫の周りだけ

急に雨が止みました


顔を上げた猫の前

長い黒髪の少女が傘を差しているのが見えました

少女は猫に話しかけます

その手を差し出し話しかけます

ヒドイ顔だどうしたんだ

コッチへおいで化け猫よ

こんな雨では――


取ったその手はあの時の

主人のような冷たさで


――某日


みく「にゃー……」

ちひろ「土砂降りねー……」

みく「傘持って来てないのにー……」

ちひろ「降水確率はそんなに高くなかったのにね……帰りまでに止んで欲しいなぁ」


雨は嫌いだ

セットした髪は濡れるし

お気に入りの服は濡れるし

せっかく綺麗にしている靴だって汚れてしまう

何より

あの日も雨だったから


モバP「みくー、そろそろ出るぞー」

みく「あ、はいにゃー!」


それでも今は


モバP「だーかーらー……」

モバP「相合傘はしないって!」

みく「傘忘れちゃったんだもーん」



雨の日も悪くないかな

そう思い始めている


元は人の姿に化ける猫であったが、現在では猫の姿になれないのが一般的

それでもネコミミとシッポは残っている


『猫又【ネコマタ】』おしまい

本日はここまで。すのーの!すのーのおおおおおおおおおお!!
あ、あとRWBY二期のOP公開されてましたね。相変わらずカッコいいので是非是非


次回安価+3
・洗濯狐
・スキマ女


『猫又』おまけ


――某日


瑠衣「――ホラ、あんなに観客も盛り上がってる」

鈴「ほわぁ~……スゴイなぁみくちゃん……」

瑠衣「やっぱり私の目に狂いは無かったんだよ」ドヤァ

瑠衣「時間があれば、もっとすかうと出来るんだけどな……」ブツブツ

鈴「あ、今日はふんばり入道の長さんからアポイントメントが入ってるよ~」

瑠衣「……」

鈴「だ、ダメだよ~瑠衣ちゃ~ん?そんな嫌そうな顔しちゃ~」オロオロ


『ふんばり入道【~にゅうどう】』


人のトイレを窓から覗いては「カモン!カモォン!イェス!!」と声援を送ってくる妖怪

現在では窓から覗けるトイレが激減したため絶滅一歩前であったが

助産婦や保育士、介護士に活路を見出し精力的に活動している


『猫又』おまけ おしまい


『洗濯狐【センタクギツネ】』


川でじゃぶじゃぶと音を立てる妖狐の一種

その姿を見たものは魂を抜き取られると言ふ


――某日


ちひろ「『焚火の煙や風呂の湯気の中に姿を表し、人を驚かせる』――」

ちひろ「『しかし、火の取り扱いを注意したり、長湯で逆上せるのを防ぐためである』」フムフム

ちひろ「へぇー……こういう妖怪さんって多いんだなぁー……」パラ

ちひろ(なんか、今まで怖がってたのがバカみたいかも……)ウーン


モバP「煙羅煙羅ですか」

ちひろ「あ、Pさんおはようございます!」パタン

ちひろ「勇気を出して、説明文を最後まで読むようになってから怖くなくなりましたよ!」ムフー

モバP「そりゃ何よりですよ。あ、そうだ。女子寮の備品チェックって今日でしたよね?」

ちひろ「あ、はい!もうすぐ始めますけど?」

モバP「じゃあ足りない物があったらメールで送って下さい。帰りに買ってきますんで」

ちひろ「そういえば、今日は藍子ちゃんの撮影に洋子さんのロケでしたね。じゃあすいませんが、よろしくお願いしますね」


――女子寮


ちひろ(大浴場の方の備品が数点と、ランドリーの洗剤が……あら?)

瑞樹「あらちひろさん。おはよう」ドッサリ

ちひろ「おはようございます瑞樹さん……あの、その洗濯物は……?」

瑞樹「あぁコレ?こんないい天気だし、皆のシーツやお布団を洗っておこうと思って」

ちひろ「すごい量ですねー……ところで」

ちひろ「そのデッカイ桶と洗濯板は……?」

瑞樹「……?桶と洗濯板よ?」キョトン

ちひろ「いやそんな当然みたいな顔されましても」


瑞樹「あぁ!そう言えばちひろさんには正体を明かしてもよかったのね」ポン

ちひろ「え?じゃあ瑞樹さんも……」

瑞樹「ええ。私は洗濯狐の一族なの。キツネの妖怪の一種よ」

瑞樹「そうそう、ランドリーの洗剤がほとんど無くなりそうだから、備品のチェックに全部入れといてもらえるかしら?」

ちひろ「はっ、はいっ!」

瑞樹「さぁーやるわよー!」



青い空と緑の芝生に挟まれて

温かな風に吹かれるまま

綺麗に洗われた洗濯物が心地良さそうに揺れていた


『 No laundry No life 』を掲げるロックな一族

洗濯機が普及した現在でもヒマがあると手洗いで丁寧に洗濯している

妖狐の中でも位は低い方で、洗濯中はキツネミミとシッポが出てしまうとか


『洗濯狐【センタクギツネ】』おしまい

ひとまずここまで。今後の順番としては今の所
・スキマ女
・経凛々
・豆腐小僧
の予定


『スキマ女』


彼は毎日のように部屋の中で誰かに見つめられているような感覚に襲われていた

その感覚は日増しに強くなり、ついに形として表れ始めた

家具の配置が出掛ける前と違う

雑誌や本が整理整頓されている

帰ってきたら出来立ての料理が作られている

部屋のどこかに誰かが隠れているのではないかと思い家捜しをしても誰もいない

そもそも一人暮らしの狭いアパートの一室なのだから当然である

散らかした部屋を片付けている最中に、彼はついに怪異の主を発見する

タンスと壁の間にあるほんの数ミリの隙間の中に女が立っており、じっと彼を見つめ続けて――


――某日・輝子の部屋


ちひろ「――っていう都市伝説よね?」

輝子「フヒッ……そ、そうそう……」

ちひろ「いい話よねー、まぁ、この男性からすれば怪奇現象以外の何物でもなかったんだろうけど……」

みく「一族総出で極度の照れ屋さんだからにゃあ」

ちひろ「あ、じゃあ乃々ちゃんも?」

乃々「え……えっと、あの、その……」モジモジ

ちひろ「……あ、もしかして人間だったパターン?」

乃々「あ、いや、違うんですけど……ようかい、ですけど……」


ちひろ「あ、そんな無理に聞き出そうってワケじゃないからね?」ワタワタ

乃々「あう……はい……」

みく(妖怪って言うか山霊なんだけどね)

輝子(本人の口から言わせるのが一番だゼェ!)

乃々(心の声とかダダ漏れなんですけど)

みく・輝子「「!?」」

ちひろ「?」


ちひろ「それにしても……前に来た時よりも部屋が広くなってるような……」

輝子「そ、それは……と、徳を積んでるからな……」

ちひろ「最近頑張ってるもんね♪自由に行き来できれば言う事無しで泊まるんだけどなぁ……」

みく「ショーコチャンに引きずり込まれないと来れないからにゃあ」


モバP「ここに居たか森久保ォ!仕事行くぞ!!」グニャア

乃々「ひゃっ!?む、むぅーりぃー……」


みく「……例外もいるけどにゃあ」

ちひろ「なんで!?」



その後、男と女は結婚して幸せな家庭を築いたという


『スキマ女』おしまい


『経凛々【キョウリンリン】』


長年保管されていた経文の付喪神

鳥のような嘴を持った頭に経文を広げた長い胴を持ち、龍に似る


――


照り付ける日差しの中を、二人並んで歩く

聞こえてくるのは蝉時雨

手にしたバケツの水が跳ねる音

並んで歩く二人の足音


――


ちひろ「調査……ですか?」

モバP「えぇ、こないだ言ってた付喪神ですよ」

留美「ちひろさんが調査する機会は無いとは思うんだけど、一応見ておいてもらおうと思ったの」

ちひろ「は、はぁ……?」

モバP「まぁ横で見てるだけですから大丈夫ですよ。危険は無いですから」

ちひろ(どうして言い切れるんだろ……)

モバP「じゃあ説明しますね。今回調査するのは付喪神の一種『経凛々』です」

ちひろ「えーっと……」パラパラ

モバP「場所は山梨ですから早速移動しますよ」

ちひろ「えっ」

留美「留守番は任せなさい。二人とも気を付けて行ってらっしゃい」

モバP「はい、よろしくお願いしますね。行ってきます」

ちひろ「えっ」


ちひろ「えっ」


二時間近くかけて着いたのは、山奥にある一軒の大きなお屋敷

プロデューサーさんが玄関先の呼び鈴を鳴らし、出てきたのは人懐っこそうな笑顔を浮かべたお爺さん


「おはようございます。本日お世話になりますCGプロダクションの者です」

「おぉーよぉ来たねぇ。ホラ上がって上がって」


お爺さんに促されるまま屋敷の中に入り、畳張りの応接間に通されます

冷房もかかっていないのに涼しいのは、お屋敷がそういう造りになっているからだろうか?

そんな事を考えていると襖が開き、小さな女の子がお盆にお茶を載せて入ってきました


「こ、こんにちは。お茶、どうぞ」

「おぉーありがとなぁ幸子」


幸子と呼ばれた、少したどたどしい喋り方の女の子がお茶を配り終えると

お爺さんは少し乱暴気味に幸子ちゃんの頭を撫でまわしました


冷たい麦茶に口を付けて一息。うん、美味しい

早速プロデューサーさんが口を開きました。『調査』開始です


「その、幸子さんが?」

「おぉ、そうそう。ウチの蔵の中に居てなぁ」

「どっかの娘さんが迷子になったかと警察に連絡したんだけど――」


お爺さんの話をまとめると、掃除に入った蔵の中に幸子ちゃんが居た

お爺さんは慌てて警察に連絡。当然警察もNIROと協力関係にあるので情報が入った

そしてその調査に私達が派遣された、という事らしい


幸子ちゃんの今後の事を話すプロデューサーさんとお爺さん

それを不安そうに見守る幸子ちゃん

する事のない私

改めて幸子ちゃんを見る。どこからどうみても普通の女の子だ

それでもこの子は経凛々。付喪神さん


「あの、どうか、しましたか?」

「ファッ!?いや、その、あ!お茶!美味しかったよ!」


私の視線に気付いた幸子ちゃんに声を掛けられてキョドった私は、咄嗟にお茶の礼を言う

幸子ちゃんは嬉しそうに、本当に嬉しそうな笑顔でありがとうございます、と返した


「――では、こちらの方で預からせてもらう方向でよろしいですか?」

「おぉ、おぉ。幸子はこのままじゃあ学校にも行けんのだろ?それは可哀想だからなぁ」

「いや、です」


トントン拍子に進んでいた話が止まった


「ボクは、おじいちゃんと、一緒です、ずっと」

「幸子……」


目に涙を堪えながら、幸子ちゃんが言葉を続けます


「おじいちゃん、は、ボクの事、嫌いになりましたか?」

「そんなワケない。でもなぁ幸子、ココでずぅっとおる事は出来んぞ?」

「ワシは幸子に、もっと広い世界を見て欲しい」

「でも、ボクは……」


幸子ちゃんの言葉が、ついに嗚咽で続かなくなりました

幸子ちゃんにとって、このお屋敷が、このお爺さんが、世界の全て

そこから一歩を踏み出すのは――


「なぁ幸子。じゃあこうしよう」

「?」


そう言ったお爺さんの顔は、イタズラを思いついた少年のようでした


「ワシは幸子のわがままをひとつ聞く。幸子はワシのわがままをひとつ聞く。これでどうだぁ?」

「わがまま、っ、ですか?」

「そうだ。ワシは幸子にもっと広い世界を見て欲しい。幸子はどうだ?」

「っ、ぼ、ボクは、っ、――」


涙と嗚咽に邪魔されながらも、小さな声は凛とした意思を持っていました


――1年後・某日・山梨県某所・墓地


ちひろ「……」

幸子「……」


照り付ける陽射しの中を、二人並んで歩く

聞こえてくるのは蝉時雨

手にしたバケツの水が跳ねる音

並んで歩く二人の足音


墓周りの雑草を引き抜き終わると、墓前に花を供えて線香をあげて手を合わせた


幸子「……ボクと初めて会った日の事、覚えていますか?」

ちひろ「え?あぁ、うん、覚えてるよ」

幸子「……ボクはあの日、おじいちゃんのワガママを聞き入れましたけど――」

幸子「――おじいちゃんは、ボクのワガママを聞き入れてくれたんでしょうか?」

ちひろ「うーん……うん、聞き入れてくれてると思うよ?」


人間だって妖怪さんだって一緒だ

きっとこう言うに決まってるし

少なくとも私は今そう決めた


ちひろ「ずっと、天国からでも、幸子ちゃんを見守ってるよ」


幸子「……天国、ですか……そうですか……そうですね……」


何か呟いていた幸子ちゃんが立ち上がり


幸子「さぁ、帰りましょうちひろさん」

幸子「ボクを応援してくれているのは、おじいちゃんだけじゃないですから」


彼女の凛とした意思は翳りを見せる事は無く

この陽射しのように、きっといつまでも強いままでいるんだろう


ちひろ「あ、お土産買って帰らないと」

幸子「そうですね、ボクが選んであげればプロデューサーさんがよろこ……何笑ってるんですか!」

ちひろ「いやー何でもなーい♪」



『経凛々【キョウリンリン】』おしまい

ひとまずここまで



――某日


ちひろ「~♪」

ちひろ(んん?なんだか事務所の中が騒がしいような……)


ガチャ


ちひろ「おはようございま――」


事務所の扉を開けた先

目の前には白い何かが飛来していた


『豆腐小僧【トウフコゾウ】』


夜に豆腐の賞味を勧めてくる童(ワラベ)あり

この豆腐を食べてしまうと全身にカビが生えてしまうといふ


ちひろ「――で、なんで私が出社早々顔面に豆腐ぶつけられなきゃならないんですか」

心「ごっめーん☆プロデューサーがはぁとの言う事聞いてくれないかrいやマジすいませんでした」

モバP「すぐに豆腐を投げる癖は治そうな。ライブ会場でもやってたろ」

心「バレてたかー……でも当たった方も嬉しそうだったしシュガースウィーティーな魔法nすいませんでした」

ちひろ「ところで、何で豆腐なんです?」

心「あ、自分豆腐小僧の一族なんで」

ちひろ「えっ」

心「あっ」


心「はぁとはぁー☆実は豆腐小僧って妖怪なんだー☆」

モバP「いや言い直さなくていいからな?」


ちひろ「えぇと、豆腐小僧豆腐小僧……」パラパラ

心「魔法の力で豆腐を無限に生み出せるんだー☆」

モバP「魔法じゃないからな?」

ちひろ「その豆腐って、ちゃんと食べれるヤツなんですか?」

心「しっつれーな☆ちゃんと絹も木綿も練乳入りもシュガー☆スペシャルも揃えてあるんだぞ☆」

モバP「練乳入りはやめろって言ったよな?」

心「もぉー☆さっきからうっせーぞっ☆」ブンッ

モバP「もめんっ!」ビシャッ

ちひろ「ひゃっ!?」


心「まったくぅー」


――


心「はぁとねー、おっきくなったらあなたのおよめさんになるからねー」

モバP「えー、やだよー」ビシャッ

心「だめなのーぜったいなのーっ」

心「ちゃんとおぼえとけよっ」

モバP「うえええええええええええん」


――


心「あの頃は可愛かったのになー」ボソッ

ちひろ「あの、心さん?」

心「な、なぁに☆っていうかはぁとって呼べよー☆」

ちひろ「いえ、それが……」


響子「飛び散った豆腐とか掃除が大変なんですからね?」

凛「プロデューサー大丈夫?眼に入ったりしてない?」フキフキ

まゆ「~♪」フキフキ

留美「何か言う事はあるかしら?」


心「やっべ☆」


が、そういうのは一部のイタズラ好きな者だけであり

基本的には人畜無害という謎の多い妖怪である


『豆腐小僧【トウフコゾウ】』おしまい

本日はここまで

次回安価+3
登場妖怪一人(登場未登場問わず)

・小豆洗い
・のっぺらぼう

ちょっと少ないのでリク受け付けようかと思います

シュレディンガーで確定済みは↓かな?
メアリー:メリーさん
周子:妖狐
紗枝:人間
アーニャ:スネグーラチカ
智香:雪女
まゆ:化け狸

この中の書きやすいやつ

・小豆洗い
・のっぺらぼう
・野槌
・影女
・見上げ入道
・天邪鬼

ごめんなさい、餓鬼は妖怪や九十九神から外れてるので除外させてもらいました
リクありがとうございました。引き続き募集致します。皆さん誰を想像してリクしたんでしょうね
ではまた、次回に


>>170
ありがとうございます
そのメンツの話はちょこちょこと挟んで行きたいですねー

天狗


『幕間・わからない事もある』


美羽「あ、もしもし卯月ちゃん?単刀直入に聞くね?」

美羽「私にピッタリのアイドル路線って何かな?」

美羽「……」

美羽「……え?待ってわからないってどういう事?」

美羽「あ、ちょ、待って待って待って!!」


『幕間・わからない事もある』おしまい


『小豆洗い【アズキアライ】』


小豆とぎとも呼ばれる妖怪

川で小豆を洗っており、その音に気を取られると川に落ちるといふ


――某日・女子寮一階・食堂・キッチン


響子「~♪」

菲菲「~♪」

モバP「~♪」


ちひろ「プロデューサーさんまで一緒に何やってんですか……」

モバP「料理です」

ちひろ「またまた~、レタスちぎってるだけじゃないですか~」

響子「こないだは肉じゃがをご馳走になりましたよ?」

ちひろ「あ、負けたわ私」


響子「む、ダメですよーちひろさん?コンビニのお弁当やインスタントにばっかり頼っちゃ」

ちひろ「返す言葉も御座いません」

菲菲「ここならいつでも練習できるからネー、都合さえあれば一緒に作れるヨー!」

響子「あ、いいですねそれ!私なら今晩空いてますけど、どうですか?」

ちひろ「あー……じゃ、じゃあお願いしよう、かなー……」

モバP「響子、みっちり教えてやってくれな」

響子「ふふ、はーい♪」


――その晩


ちひろ(ちょっと遅れちゃったな……響子ちゃんは……あ、灯りがついてる)

ちひろ「ごめんね響子ちゃ――」

響子「300……301……302……あ、こんばんはちひろさん!」

ちひろ「う、うん……あの、何してたの……?」

響子「いや、お米研いでたら何粒くらいあるのか気になっちゃいまして……」エヘヘ

ちひろ「いや、それはいいんだけど……」

ちひろ(夜の厨房で真顔で米粒の数を数える姿とか立派なホラーなんですが)

響子「さ、じゃあ簡単な物で……今日は野菜炒めとお味噌汁にしましょう!」

ちひろ「はいっ、お願いします!」

響子「?」


小豆を使った料理に掛けては右に出る者がいないと言われるほどの一族で、イタチの妖怪

圧力鍋が販売された時には一族総出で買いに出かけ、使い方のレクチャーを受けるという珍事もあったとか

また、細かい物を見ると数えたくなるという習性も持つ



『小豆洗い【アズキアライ】』おしまい


『幕間・父と母』


女「……ねぇ、私キレイ?」

男「あぁ、いつでも君はキレイだよ」

女「ホントに?」

男「ホントさ。僕が君に嘘を吐いた事がある?」

女「……これでも?」スッ


凛「……なんだか事務所の中が騒がしいね?」

加蓮「今日は……あ」

奈緒「スッゲー嫌な予感がする……」


<ガチャ


女「わーたーしーはー♪」

男・モバP・ちひろ・留美『キーレーイー♪』

女「マスクを付けても♪」

『キーレーイー♪』

女「マスク外しても♪」

『キーレーイー♪』


奈緒「コラアアアアアア!事務所で何やってんだコラアアアアア!!」


女「私の娘は♪」

『かーわーいー♪』

奈緒「やめろ!やめろ恥ずかしいからやめろってば!!」

女「ちょっぴりツンデレ♪」

『かーわーいー♪』

奈緒「凛と加蓮も一緒になってんじゃねええええ!!」


バタン


『幕間・父と母』おしまい


『のっぺらぼう』


顔の無い人間の姿をした妖怪

貉が化けた姿だといふ


――某日・女子寮


ちひろ(さて、次は浴場の備品整頓しとかなきゃ……)

ちひろ(あら?誰か入ってるのかな?)

ちひろ「お邪魔しまーす」

里美『ほぇ……?ちひろさんですかぁ~?』

ちひろ「あ、里美ちゃんだったのね。備品入れたらすぐ出るから、ゆっくり入ってね♪」

里美『あ、私も手伝いますよぉ~』

ちひろ「いいよいいよ、これくらい――」


<ガラッ


ちひろ「」

里美「……ほぇ?なんで寝てるんですかぁちひろさん?ちひろさぁ~ん?」


留美「――で、気絶したと」

ちひろ「気絶もしますよ!里美ちゃんがのっぺらぼうだったんですから!!」ウガー

留美「ダメじゃない里美ちゃん。気を抜いちゃ」メッ

里美「ふぇ……ご、ごめんなさぁ~い……」シュン

ちひろ「違うの里美ちゃんが悪いんじゃないのこれもプロデューサーってヤツの仕業なの」

里美「ぇ~とぉ~……?」

留美「まぁ、ちゃんと説明してないんだものね……」

ちひろ「そうですよ!留美さん今からでも説明お願いしますよ!」

留美「ダメよ。面白くないじゃない」

ちひろ「留美さんまで!?」

里美「ふふ……ちひろさんが元気になったみたいで何よりですぅ~」


貉が人を驚かせるために化けたモノ

……と言われているが、実際は人間の顔を再現しきれずこうなってしまっただけである

タヌキであれば半人前、それ以外なら一人前に化けた事の証だとか


※貉【ムジナ】タヌキ・アナグマ・テンの旧い総称



『のっぺらぼう』おしまい

本日はここまで。福笑いの再現は誰でやっても胸糞悪くなるので止めておきました

・野槌
・影女
・見上げ入道
・天邪鬼
・枕返し
・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧


『野槌【ノヅチ】』


野の神様

直径15センチ、体長1メートルほどのヘビのような姿をしているがくびれは無く

顔に当たる部分には口しかなく、野ウサギやリスなどの動物を喰らうといふ


※非常にショッキングな画像が入ります。ご了承ください


――某日


<キャッキャッ


ちひろ「……」カタカタ ッターン

ちひろ「ふぅ……みんなー、何してるの?」

卯月「あ、子供の頃のアルバムを見せ合ってるんですよ!」

紗枝「なかなか皆はんの家に集まれませんよってに、事務所でやろ言う事になりましてなぁ」

凛「ちょっと恥ずかしいけど、ね」

未央「おぉ、しぶりんの膝に絆創膏が……」パラッ

智絵里「結構、その、やんちゃだったの……かな?」

凛「前言撤回、すごい恥ずかしい」


周子「いーなー、アタシはそーゆーの残ってないから羨ましいよ」

紗枝「もう、拗ねんといておくれやす」

紗枝「それに、一緒になってからの写真がありますやろ?」

周子「……あぁもう可愛いなぁ紗枝はんはー!」グリグリ

紗枝「きゃー♪」


ちひろ「まぁあの二人はさて置き、これは……智絵里ちゃんの?」

智絵里「あ、はい、そうですよ?」

ちひろ「へーぇ、じゃあ見させてもらうねー♪」パラッ



ttp://i.imgur.com/IYfR43q.jpg




ちひろ「……」パタン

智絵里「あ、あの……どうしたんですか?」

ちひろ「……」パラッ


ちひろ「……」パタン

未央「おぉ、ちひろさんが笑顔のままアルバムを開いたり閉じたりしている……」

卯月「どれどれー……?あ、これが智絵里ちゃんの小さい頃?」

智絵里「う、うん……」

ちひろ「んなワケあってたまるかあああああああああああああ!!」

智絵里「ひゃっ!?」


ちひろ「こんなフルフルみたいなのがどうなったら智絵里ちゃんみたいな天使に育つの!?」

智絵里「ふ、フルフル……?」

卯月「あ、そっか。ちひろさんは知らないんだ」

未央「ちひろさん落ち着いて。智恵理ちゃんは野槌っていう神様なんだよ」

ちひろ「……は?神様?」

智絵里「うぅ……はい……」

紗枝「野山の神様どしてなぁ」

周子「生まれた時はそんな姿だけど、何年か経つと蛹になって、人間の姿で顕れるんだってさ」

ちひろ「」


――


草祖草野姫(クサノオヤカヤノヒメ)「誰がフルフルだコラアアアアア!!」

玄武「待て落ち着けちひろさんに悪気は無い」グググググ

草祖草野姫「キィー!部屋中に草いきれの匂い充満させてやるわ小娘がっ!!」


――


名前の元は古事記に登場する野椎神(ノヅチカミ)であり、ツチノコ伝説とも関わりがある

幼生期はクリーチャーめいた姿であるが

生まれた野原で蛹となって人間として姿を顕す際には、蝶が集まりとても神秘的な光景が見られる

……が、滅多に見れる物ではない



『野槌【ノヅチ】』おしまい

ひとまずここまで



  | |     |      | |    / ̄ ̄/アー──ァ'  ̄ ̄ 7゚\| |   |
  | |     |      | |  /   //     /       /   | |   |
  | |     |      | |  /   //___ /       /   .i| |   |     お…お許し下さいCuP様!
  | |     |      l i/| u.  | 「 ̄ ̄\\     |     i| |   |
  | |     |      i/  |    |┴──‐ 〉/     |     i| |   |
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  | |     |      ||二i|      }\_ /{      ヽ   i| |   |
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_| |   /     i||二」_| |    l_l |   |   }_|  .i| |   |
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'                   L_L_|\      //i|  |   /
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『人形使い【ニンギョウツカイ】』


人形を使役する魔術

ネクロマンサーの枝分かれ


――某日


亜里沙「そ・れ・じゃ♪お知らせしましょう♪」

亜里沙「ウ・サ・コの元気予報♪」


亜季「亜里沙殿もお気に召されたようですな」

泰葉「よかった、ウサコちゃんも入るドールハウスって聞いたときは無理だと思ったんですが……」

ちひろ「それより由愛ちゃん、あのドールハウスを見てどう思う?」

由愛「すごく……おっきー……です……」


ドールハウスの中で踊るウサコちゃんと、それを見守る数体のシルバ○アファミリーの仲間たち

内二体だけ何故か兵隊さんの格好で銃を持っている以外は微笑ましい光景です


ちひろ「……ところで、この二体だけ雰囲気が違うのは……?」

泰葉「あ、それは亜季さんが――「あー!あー!」なんですか亜季さん」

亜季「いえっ!これはっ!そのっ!」

由愛「こっちが……パッキー……こっちが……ボタスキー……です……」

ちひろ「へぇ……亜季ちゃんが……」

亜季「うぉああああああ!!」

ちひろ「どうしたの亜季ちゃん、顔が真っ赤よ?」

亜季(き、消え去りたいっ!!)


ガチャ


アヤ「お疲れ様でーっす……お?なんだ?」

ちひろ「あ、おかえりなさい♪」

亜季「あばばばばば」

由愛「みんなで……お人形遊び……」ニコ

ウサコ『ウサ!アヤちゃんお疲れ様ウサ!』

泰葉「お疲れ様ですアヤさん」

アヤ「おう……なんか一人スゴイ事になってんな」

亜季「自分はっ!自分は関係無いでありますからっ!」


由愛「こっちが……パッキー……こっちが……ボタスキー……です……」

アヤ「へぇ、亜季さんがねえ……」

亜季「あばばばばばばばば」


アヤ「そうだ。じゃあこういうのはどうだい?」ニッ


イタズラっぽい笑みを湛えたまま、アヤちゃんが指先で人形たちをトン、トンと静かに叩いていきます

亜里沙さんの手から外したウサコちゃんを最後に、全部の人形を叩き終えたアヤちゃんがパチン、と指を鳴らすと


由愛「わぁ……♪」

泰葉「わ……」

亜里沙「まぁ♪」

亜季「なっ……」


人形たちが独りでに動き始めました

ウサコちゃんが踊り、他の仲間達もそれを真似るように踊り始めます


ちひろ「これは……」

アヤ「アタシの家系は代々魔法使いでさ、これもその一つさ」

アヤ「……と言っても、これしか使えないんだけどな」

ちひろ「いやいや充分過ぎるでしょ」

泰葉「そうですよっ!スゴイスゴイ!」キャッキャッ

由愛「撫でても……大丈夫かな……?」ドキドキ

ちひろ「……少なくとも、ここにいる皆を笑顔に出来る魔法だと思うよ?」

アヤ「……ヘヘ、そうかもな」


照れくさそうに笑うアヤちゃんの顔は、誇らしげでした


ちひろ「ところで、これって全部アヤちゃんが動かしてるの?」

アヤ「いや、この子達が普段遊んでる時の『想い』を基にして、勝手に動いてるんだ」

ちひろ「想い……」


ステージ上の亜里沙さんのように踊るウサコちゃん

その周りで一緒になって踊ったり、皆の肩や手に乗ろうとする由愛ちゃんの人形

椅子やテーブルの配置を直したり、プラスチック製の料理を運ぶ泰葉ちゃんの人形


その周りを無駄のない動きで警戒するパッキーとボタスキー


ちひろ「……」

亜季「……」プルプル

アヤ「……あー……その、亜季さん?」

亜季「うわああああああああああん!!」


バタバタバタ

ガチャ

バタン

バタバタバタ


ガチャ


モバP「……なんか、亜季が顔真っ赤にして走って行ったけど何かあったのか?」


人形を巧みに操る大道芸者

その想いは人形に宿り

やがて人形は動き出す

歌うように

踊るように


『人形使い【ニンギョウツカイ】』おしまい


『影女【カゲオンナ】』


夜な夜な障子に映る女の影

障子を開けても誰もいない


――某日


ちひろ「調査ですか?」

モバP「えぇ、今度アヤのロケが入ったんですけど、そこの旅館で怪現象が起こるそうでして」

ちひろ「あ、危ないヤツじゃないですよねっ!?」

モバP「ええ、大丈夫ですよ。多分」

ちひろ「多分って!」

モバP「まぁこういう時に強い味方がいますからね」ポパピプペ

モバP「あ、卯月。今度ロケで入る旅館の怪現象の正体は?」

モバP「……影女ね。わかった、ありがとう」

ちひろ「さすが卯月ちゃん……えぇと影女影女……」パラパラ

モバP「どんな時でも助けてもらってますからね……」

モバP「ところでちひろさん」

ちひろ「はい?」

モバP「なんかスゲェ夏の草原みたいな匂いしてません?」

ちひろ「気のせいです」


ちひろ「それより、アヤちゃんのロケってどんなお仕事なんですか?」

モバP「あぁ、青森県人形ツアーです」


――旅館


ちひろ「ふわぁ……アイドルのお仕事って結構ハードなのね……」グッタリ

アヤ「あぁ、仕事に同行するのは初めてなんだっけ?」

アヤ「今回はツアーで移動時間も長かったしな。お疲れ様」

ちひろ「うん……もう温泉入って寝ゆ……」

アヤ「お、おう……結構キテるなぁ」


――夜


アヤ「……zzz」

ちひろ「……ん……」


寝静まった二人の傍に一つの影が近づく

影はゆっくりとその手を伸ばし、ちひろの布団を剥いでいく

ゆっくり、ゆっくりと、少し肌蹴た浴衣から白い首筋が顔を覗かせる

ふくよかな乳房に押し上げられた浴衣は腰の帯で一度締まると

今度はすらりと伸びた両の脚で裾に向かって広がっていく


影はその姿を堪能するように、全体を眺めるように少し引いてから、再度手を伸ばした

手の甲をちひろの首筋に軽く当て、ゆっくりと下に下りていく

鎖骨で少し寄り道して、浴衣の合わせに合わせて胸の中央辺りまで来た手を返し、浴衣の中に入っていく


「ん……」


ちひろの口から吐息が漏れた

温かな体温

柔らかな感触に挟まれて、浴衣の薄い生地が手を刺激する

その柔らかな感触を確かめるように、二度、三度とゆっくりと、優しく乳房を揉みしだく

空いていたもう片方の手も伸ばし、同じく空いているもう片方の乳房へ――


「……何やってんだオメェ」


突然着いた灯りに、ちひろに取り付いていた影が飛び退いた


「逃がすか!」


アヤの荷物の中にあったバイオリンケースが開き、中から何かが飛び出す

何かは影を布団(ちひろが使っていたもの)で簀巻きにすると軽々と担ぎ上げた


「……さて、アイツ呼んでくるか」


――


ちひろ「うわああああああんもうお嫁に行けないいいいいいい!!」

影女「うわあああああああああんごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」バタバタ

アヤ「まったく……」

モバP「……」

モバP(顔を真っ赤にして泣き叫ぶちひろさん……はアヤの話によると完全な被害者)

モバP(アヤが持ってきた等身大シュワチャン人形@ブーメランパンツ一丁に担がれて泣いてる簀巻きにされた女の子が影女)

モバP「……見事なカオスだなぁ」

アヤ「言ってる場合かよ」

モバP「……それで?アナタが影女で間違いないですね?」

影女「間違い無い!間違い無いからこの人形から降ろして!!」バタバタ

モバP「よしアヤ、やっちまえ」

アヤ「おう」

シュワチャン人形「マ゛ッ」


等身大シュワチャン人形が、肩から降ろした影女の前でボディビルダーよろしくポーズを決め始める

影女の泣き声が一層大きくなった。どんだけイヤなんだ


モバP「旅館の怪現象の被害が女性にしか出てないってのが解せないなぁ」

アヤ「そりゃオメー、妖怪にだって同性愛者はいるだろうよ」

影女「アタシは同性愛者じゃないよ!ただ二つのお山に興味があるだけだよ!」

シュワチャン人形「マ゛ッ」

影女「嘘じゃないよ嘘じゃないからコイツ近づけないで!」

モバP「どうしたもんかなぁ……」

アヤ「取りあえず近くのNIRO支部に突き出そうぜ」

モバP「いや、それはそうなんだけど」

ちひろ「ふぇぇぇぇぇ……」

モバP「あのちひろさんをどうしたもんかなぁ、と」

アヤ「あー……こっちのぬらりひょんに任せればいいんじゃねーか?」


――数日後


愛海「ひゃっほうお山がいっぱい!!(今日からこちらでお世話になる棟方愛海です!よろしくお願いしますね!)」

モバP「よおし覚悟はいいな?」

愛海「う、うそうそ冗談だってば!」

ちひろ「お山……あれ?頭が……」

留美「あら、大丈夫ちひろさん?」

ちひろ「だ、大丈夫です……」


障子の少なくなった現在では居場所を無くしつつあったが

カーテン女として生きる道を選んだ逞しい一族である


『影女【カゲオンナ】』おしまい

本日はここまで。毎度ありがとうございます


・見上げ入道
・天邪鬼
・枕返し
・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧
・送り犬
・蛤女房
・豆狸
・分福茶釜
・ナマハゲ
・静か餅


『幕間・長電話』


未央「おはようございまー……ふぁ……」

ちひろ「おはよー……どうしたの?眠たそうだけど」

未央「あぁ、昨日しまむーの長電話に付き合わされてさー……」ギュ

ちひろ「長電話……って、卯月ちゃん長電話出来るの?」ナデナデ

未央「うん、しまむーから掛かってきた時は普通なんだよ?」スリスリ

ちひろ「へーえ……そうなんだ」ナデナデ


愛海「本田センパイそこ代わりやがって下さいお願いします!あぁでもサンドイッチもいいかも!」

清良「あら、まだ躾が足りなかったかしら」


『幕間・長電話』おしまい


『見上げ入道【ミアゲニュウドウ】』


商人が山道を歩いていると、前方で仁王立ちした巨人が通せんぼしている

近づけば近づくほど大きなその巨人

顔を一目見てやろうと商人が見上げると、それに合わせて巨人の背も伸びていき

ついに商人は尻餅をついてしまった

それを見た巨人は笑い声を上げながら姿を消したといふ


――某日


ちひろ「何がしたいねん」

モバP「何がやねん」

留美「どないやねん」

ちひろ「あ、いえ、この見上げ入道の解説文なんですけどね」

モバP「あぁ、イタズラ好きと言うか何と言うか……」

留美「地方によっては尻餅をついた人は魂を抜かれる、と言われてる物もあるわね」

ちひろ「理不尽過ぎません?」


きらり「きゃー☆たかいたかーい!」キャッキャッ

舞「きゃー♪」キャッキャッ

美由紀「次あたしー♪」

薫「じゃあその次はかおるねー!」


ちひろ「……まぁ、もしこの事務所にいれば間違いなくきらりちゃんですよねー」

モバP「は?」

ちひろ「え?」

モバP「……見入り入道この指止ーまれ」サッ

美由紀「はーい!」サッ

ちひろ「なんですと」


ちひろ「……え?マジ?美由紀ちゃんマジ?」

美由紀「そうだよー!」

きらり「きらりはフツーの女の子だにぃ☆」

杏「フツーじゃないと思うけどね」

ちひろ「うわー……意外過ぎて逆に納得しました……」

留美「まだまだ甘いわね」


輝子「……お、お疲れ様……」スゥッ

美由紀「きゃあああああ!おばけえええええ!!」

輝子「おばっ!?」

モバP「はっはっは、美由紀は怖がりだなぁ」ナデナデ


ちひろ「んん?」

留美「私達にだって怖いものはあるわよ?」


そんなイタズラを繰り返している内に神の目に触れ、人間の平均身長よりも低くなる戒めを受けた一族

また、昔から通せんぼばかりしていた罰として方向オンチになる戒めも受けているとか


『見入り入道【ミイリニュウドウ】』おしまい


『幕間・鎌鼬【カマイタチ】』


<ガチャ


――最初の一体が人を倒し


北斗「チャオ☆マイエンジェル達」


――次の一体が刃物で切り


翔太「北斗くん?共演者さんにその挨拶は止めよって言ったよね?バカなの?」


――最後の一体が薬をつけていくため出血がなく


冬馬「すいません俺たちの方からしっかり叱っておきますので、あ、今日はよろしくお願いしますっ!」


――痛みもない。この三体は兄弟のイタチである


<バタン


卯月「……なんか」

凛「嵐みたいに去って行ったね」

未央「ね」


『幕間・鎌鼬【カマイタチ】』おしまい

短いですが本日はここまで。リクエストにあった鬼は種族全体の説明って事ですかね?

・天邪鬼
・枕返し
・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧
・送り犬
・蛤女房
・豆狸
・分福茶釜
・ナマハゲ
・鵺

あと途中から見上げ入道が見入り入道になっちゃってました。お恥ずかしい

(試してみるか……)
宵闇の妖怪:蘭子



海坊主、牛鬼、百々目鬼、肉人


『鬼【オニ】』


頭に角を生やした人間に近い姿と強大な力を持つ妖怪

様々な種類がおり、怨嗟から鬼と化した人間の話も少なからず伝えられている


――某日


ちひろ「鬼……やっぱり豆が苦手だったりするんでしょうか?」

モバP「いや、豆じゃなくても何か投げられながら追いかけられたら逃げますからね普通?」

ちひろ「そうですか?」

モバP「じゃあちょっとやってみましょうか。はぁとー」

心「なぁにー☆っていうかはぁとって呼ばれるの何年ぶりだと思ってんだ豆腐ぶつけんぞっ☆」

ちひろ「照れ隠しに豆腐ぶつけるのはやめて下さい」

心「はーい☆で、何か用?」

モバP「いや、ちひろさんを――」

ちひろ「あ、もう結構です」

モバP「あ、さいですか」

心「なんだよー☆じゃあソファで昼寝続行するわ……昨日徹呑みだったから……」

モバP「寮で寝てろよ。あとメンツ教えろ後で叱っとくから」


モバP「さて、話を戻しまして……鬼ってのは実際は」

ちひろ「まぁ話題が急カーブ」

モバP「ちひろさんが振ったんでしょうよ……で、鬼ってのは実際は超能力者の事なんです」

ちひろ「超能力?」

裕子「呼ばれました!」バーン

モバP「呼んでません」

裕子「むっ、超能力の話にスーパーサイキックアイドルユッコは外せませんよ!」

モバP「どういう理屈だよ……」

ちひろ「じゃあユッコちゃんは鬼?」

裕子「へ?私は普通のスーパーサイキックアイドルですよ?」

モバP「普通のスーパーサイキックアイドルってなんだ……ホラ、さっさとレッスン行ってきなさい」

裕子「はい!サイキックレッスン頑張ってきますっ!」


モバP「で」

ちひろ「はい」

モバP「超能力者にも色々ありまして、単純に力が強い者や人の心を読む者」

モバP「手を使わずに物を動かす者などなど……そんな超能力者への畏怖の念が生んだのが、世間的な鬼の姿ですね」

ちひろ「へぇー……あ、じゃあ妖怪さんとかじゃなくて人間なんですね」

モバP「そういう事です。吸血鬼なんかも有名ですね」

ちひろ「へ?吸血鬼って血を吸うんですよね?」

モバP「ええ。動物の血を主食にしていて、力が強くて、人を操れたりする超能力者ですよ」

ちひろ「……に、人間?」

モバP「だから化け物【チート】って言われてるんですよあの種族は……」


人間達から忌み嫌われ行き場を無くした彼らは人里離れた地に住み

自分たちを迫害した人間達に対して悪事を働くようになる

見かねた神の手によって祀られた者もいれば

退治された者もいる


『鬼【オニ】』おしまい


『幕間・先祖』


――某日


瑠衣「――さて、ほとんど彼から聞いてる内容だったかな?」

ちひろ「そう、ですね……」

瑠衣「うん、じゃあちひろさん。NIROの一員として、これからもよろしく頼むよ」

ちひろ「はっ、はいっ……あの、所で質問なんですが……」

瑠衣「うん?あぁ、もしかしてちひろさん自身の事かな?」

ちひろ「あ、はい……」

瑠衣「しっかり調べさせてもらったけど、正真正銘純血の人間だったよ」

ちひろ「そ、そうでしたか……」ホッ

ちひろ「あ、それとプロデューサーさんって何者……なんですか?」

瑠衣「あぁ、彼も人間だよ。ただ、小さい頃から妖怪達と触れ合っていたのと――」

瑠衣「渡辺綱【ワタナベノツナ】の子孫、って言うのが特殊なんだけれどもね」



『幕間・先祖』おしまい


『橋姫【ハシヒメ】』


橋を護る女神であり、悪縁を断ち切る縁切りの神でもある

嫉妬深いと言うか何というか、橋の上で他の橋の事を褒めると呪いをかけてくる

時折荒ぶっては川を氾濫させる川の神とは犬猿の仲だとか


――某日


留美「おはよう……あ、そうか。今日はプロデューサー出掛けてるのね」

ちひろ「あ、おはようございます。765プロでイベントの打ち合わせですよね?」

留美「えぇ。失礼な事してなきゃいいんだけど……」

ちひろ「大丈夫だと思いたいですね……そうだ、765プロにも妖怪さんっているんですか?」

留美「えぇ、いるわ。事務員の音無さんが橋姫っていう女神の一族でね――」


――765プロ


モバP「――では、失礼致します」


<ガチャ

<バタン


P「さてと……どうしたんですか音無さん」

小鳥「むぅ……どうもあの人が苦手というか……」

小鳥「あ、いや、悪い人じゃないのは知ってるんですが、なんか接しにくいというか……」ウーン

P(因縁でもあるのかな)


元々は夫に浮気されて、貴船神社で丑の刻参りを続けて鬼と化した鬼女

夫と情婦の親類縁者イトコのハトコのマタイトコまで滅ぼした後に一条戻橋近辺で通行人を襲っていた

討伐を命じられた源頼光【ミナモトノヨリミツ】の部下であり頼光四天王が筆頭、渡辺綱【ワタナベノツナ】によって退治され

後に鬼女にしたのは貴船神社の明神である事が発覚し、詫びて神として祀られる事となった


『橋姫【ハシヒメ】』おしまい

いったんここまで。意訳?なんの事かな?(すっとぼけ)


>>252
よく知らない作品で書くのは双方に失礼になるので申し訳
そもそも正体が明かされてない時点で書ける気がしないです、ハイ

>>253
海坊主はぬらりひょんの姿の一つ、とも言われているので申し訳


・天邪鬼
・枕返し
・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧
・送り犬
・蛤女房
・豆狸
・分福茶釜
・ナマハゲ
・鵺
・海坊主
・牛鬼
・百目鬼
・ぬっぺほふ
・龍
・川姫


『幕間・ぬっぺほふ』


――某日・通勤路


ちひろ「……」スタスタ

ちひろ「……」

ちひろ「……」スタスタスタスタ


――事務所


モバP「――で、見て見ぬ振りしてきたと」

ちひろ「いやだって怖いじゃないですか!白くて丸い何かって!」

モバP「あー、もしかしたらそれ、ぬっぺほふだったかも知れませんよ?」

ちひろ「何ですかぬっぺほふって……」

蘭子「ぬっぺほふ!(何だか可愛い響きですね!)」

モバP「肉人とも呼ばれてる妖怪でしてね」

蘭子「ぬ、ぬっぺほふ……(な、なんだか怖い名前ですね……)」

モバP「その肉を食べると幸運が舞い降りるとか、無病息災で一年過ごせるとかのご利益が――」

ちひろ「ちょっと捕まえて来ますっ!」ダッ

蘭子「ぬっぺほふー♪(行ってらっしゃーい♪)」

モバP「……」ナデナデ

蘭子「ほふー♪」


ちひろ「いない!」


『幕間・ぬっぺほふ』おしまい


『ぬっぺほふ』


白い肉の塊のような外見をした……何コレ?

基本的に人畜無害であり、時折道端で倒れていたりする

撫でたり食べ物を供えたりすると体の一部を落として去って行き

この残された体の一部を食べるとご利益があると伝えられている


『視肉』


中国は崑崙山で無限の再生を繰り返す肉塊

神が食べる肉と言われ、人間が食べると不老長寿になるとも罰が当たるとも言われている

ぬっぺほふは崑崙山から何らかの理由で抜け出した視肉が行脚しているもの、かもしれない

短いですが本日はここまで。一旦リクの方は締切とさせて頂きます、参加ありがとうございます


・天邪鬼
・枕返し
・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧
・送り犬
・蛤女房
・豆狸
・分福茶釜
・ナマハゲ
・鵺
・牛鬼
・百々目鬼
・龍
・川姫
・土蜘蛛


『天邪鬼【アマノジャク】』


昼を夜、前を後ろとあべこべな事を言っては人を困らせる鬼

人の心を読むとされる


――某日


みりあ「悪い子だからデスクの物を勝手に動かしちゃうぞ~♪」ゴソゴソ


――


ちひろ(あぁ、そろそろデスクの整理しなきゃ……)

ちひろ「……あれ?綺麗になってる」


――某日


みりあ「悪い子だからホワイトボードに落書きしちゃうぞ~♪」キュッキュッ


――


モバP「……あれ?予定が更新されてる」


――某日


みりあ「悪い子だから冷蔵庫の中無茶苦茶にしちゃうぞ~♪」ゴソゴソ


――


響子「あれ?冷蔵庫の整理したっけ?」


――某日


みりあ「悪い子だから人の楽しみを奪っちゃうよ~♪」ガサガサ


――


麗奈(事務所に仕掛けたイタズラが全て解除されてるっ!?)


――某日


モバP「みりあは悪い子だから徳スタンプ一個なー」ポンポンポンポン

みりあ「ほめてほめて☆」キャッキャッ


天探女【アメノサグメ】という女神の一族で、その祖先は人の心を読む超能力者

その能力を気味悪がられて鬼と呼ばれ、天邪鬼の名に変じた

あべこべな事をするのは一部のイタズラ好きだけであり、それ以外は先読みで仕事をこなす優秀な秘書として活躍している


『天邪鬼【アマノジャク】』

おしまい入れ忘れた…短いですが本日はここまで


『枕返し【マクラガエシ】』


人は寝ている間、身体から魂が抜けて夢の世界へ旅立つといひ

枕はその間、身体と魂を繋ぎ止めて魂が無事に帰ってこれる道標だといふ

枕を返される事は即ち身体と魂の繋がりを断つ事であり

繋がりを断たれた魂は――


――

もしよろしければ、紙を用意して描いてみてください

まず点を描きます

その点を始点とした直線を描いてください

線の長さも方向もご自由にどうぞ

では説明しますね

まず最初に描いた点は、地球が生まれた日か、宇宙が生まれた日か

そうですね、世界が生まれた日、にしましょうか

そしてそこから伸びる線は、今までの世界の時間

線の終点は、現在


この直線に平行な線を描けば、それが平行世界

というのは一般論で、実は違うんですよ

では先ほど描いた線と反対方向に、直線を描きましょう

今度は最初の点から垂直に

今度は最初の点から右に1度傾けた線

今度は最初の点から右に2度傾けた線

分度器の目盛り、がいい例でしょうか

最初の点を始点とする直線が、360本


平行世界の数は359個?

いえいえ違います

世界は立体で構成されていますからね

今度は球になるように、線を描いていきましょう

もう直線が何本か、数えられなくなってきましたね

この歪な球が、もっとも簡単な「平行世界の概念図」


これを完全な球にしたものが、正しい平行世界の概念図

そのためには、線と線の間を、もっと細かく埋める線を描いていきます

もちろん、線が延びる……つまり、世界の時間が進めば

線と線の間は広がり

その間を埋める線が生じ

球は大きくなっていく


そして隣接した線どうし……つまり、最も近い平行世界どうしでは

人の魂が行き来してるんです

夢で見た事ありませんか?

自分の性別が違う

言語が違う

風景が違う

生き物が違う

食べ物が違う

それらは全て

自分の魂の

平行世界での記憶


――


――某日


ちひろ「――って言う夢を見たんですよ」クルクル

モバP「へぇ……そんな小難しい事も考えられたんですね」

ちひろ「どういう意味ですか!」

モバP「事務椅子でクルクル回りながら夢の話されても困るんですよ……」

ちひろ「だって大体の仕事はプロデューサーさんが終わらせてるじゃないですか……」クルクル


<ガチャ


あやめ「おはようございますっ!」

ちひろ「あ、おはよーあやめちゃん」

モバP「おーうおはよう」


あやめ「ちひろ殿!昨夜はよく眠れたようでございますね!」

ちひろ「へ?」

あやめ「いつもなら布団を蹴っ飛ばしてベッドからずり落ちそうになっていましたのに……何かあったのですか?」

ちひろ「いや、ちょっと待って、なんで私の寝相の事知ってるの」

あやめ「……プロデューサー殿?」

モバP「うん、正体バラしていいぞー」


あやめ「では……実は私、枕返しという物の怪の一族が末裔でして……」

あやめ「……その、寝相が悪い方が風邪など引かぬよう起こして回ったりしておるのですが……」

ちひろ「……酷かった?」

あやめ「……その、パジャマの前を肌蹴るのは「アアアアアアアアアアアア」――ニンッ!?」

ちひろ「アヤメ=サン。アナタは何も見ていない。イイネ?」

あやめ「アッハイ」


人が寝ている間に魂を奪う悪い妖怪として伝えられているが、本職は寝相の悪い人を起こす事

わざわざ布団を掛け直さない辺りに拘りが感じられる


『枕返し【マクラガエシ】』おしまい

深夜に忙しい事で
というかアイドルと両立なんて出来るの?
それと草いきれ臭の中お疲れ様です


『幕間・七日間戦争』


草祖草野姫「よっし」フンス

白虎「うわー……ホントにやっちゃったんですか」

草祖草野姫「私の一族をバカにした罰にしちゃ軽すぎるくらいよ」

白虎「まぁまぁ……あ、帰ってきたみたいですよ?」

草祖草野姫「ふふふ……さぁ!草いきれの匂いでむせるがいいわ!」


白虎「……しばらく呆然としてましたけど、すぐに出て行っちゃいましたね」

草祖草野姫「……あ、か、帰ってきたわ!」

白虎「……両手に消臭グッズ抱えてますね」

草祖草野姫「」


草祖草野姫「ふ、ふふふ……」

白虎「どうしました?」


草祖草野姫「生意気な小娘ね!もうちょっと慌てたり面白い反応をすれば許してやったものを!」

白虎(うわぁメンドクサイ)

草祖草野姫「神の力に科学の力が勝るなんて馬鹿にも程があるわ!これは勝負を挑まれたと思って間違いないわね!」フンスフンス

白虎(なんで勝負にならないって言わないんだろ……勝負って同レベル同士でしか……)

白虎(あぁ、同レベルなのか)

草祖草野姫「さぁ!どっちが先に根を上げるか!勝負よ小娘!」



朱雀「――で、どうなったの?」

白虎「科学の力には勝てなかったよ。はい、桃剥けたよー」


『幕間・七日間戦争』おしまい

考えがまとまらないので本日はここまで


>>300
その辺は後々ちょこっと出て来るかもしれません


『静か餅【シズカモチ】』


コツコツと餅の粉をはたく様な音を出す怪現象

音が近づいてくると幸運が訪れる兆しであり

また、音が遠ざかると不運が訪れる兆しであるといふ


――某日


ちひろ「……」カタカタ

ちひろ「……んーっ……ふぁ……」ノビー

ちひろ「あら……もうこんな時間……」

ちひろ(プロデューサーさんは仮眠室だったっけ。声かけてから帰ろう)

ちひろ(『どうせ明日も来ますし』って……どうかと思うんだけどなぁ……)


――仮眠室前


ちひろ(うわ、廊下真っ暗)

ちひろ(っていうかプロデューサーさんもう寝てるんじゃ……灯り見えないし……)


シ ン


ちひろ(……な、なんだろうこの静けさ……あ、そうだスマホのライトを灯りにして……)ゴソゴソ

ちひろ「……電池切れ?」

ちひろ(あ、そういえば今朝はギリギリに起きちゃったから……)ハァ


<カタ


ちひろ「っ!」ビクッ

ちひろ「っ!」→

ちひろ「っ!」←

ちひろ「っ!」↑

ちひろ「……」


シ ン




ちひろ「……」

ちひろ「……ら~ら~……ららら~……こわーくなーい!」


シ ン


ちひろ「……」



<チ



ちひろ「っ!」ビクッ

ちひろ「っ!」→

ちひろ「っ!」←

ちひろ「っ!」↑

ちひろ「……」


シ ン


ちひろ(さ、さっさとプロデューサーさんに声掛けて帰ろううんそうしよう!)カツッ

ちひろ(うわあああああああ自分の足音すら怖いよおおおおおおおおおおお)カツッ カツッ

ちひろ(真っ暗だから壁に手をついてないと歩けないし……)カツッ タッ カツッ

ちひろ「ん?」カツッ  タッ

ちひろ(あ、明らかに私の足音以外の音が……)

ちひろ「……」


タッ


ちひろ(ま、前の方から音が……でも仮眠室はコッチだし……)


タッ


ちひろ(そうだ!これはきっとプロデューサーさんが仮眠室で何かしてる音!)

ちひろ「……」

ちひろ(何かって何……?)



シ ン


ちひろ(ほ、ホラ!夜食に何か作ってるとか!)

ちひろ(……給湯室は事務所の中……)

ちひろ(トイレ!トイレじゃないかなぁ!)

ちひろ(……水を流す音が聞こえない……)


シ ン


ちひろ(ね、寝がえり!そうプロデューサーさんは寝相が悪いとか!)

ちひろ(それ私もだわ……)

ちひろ(ええいこのままじゃラチがあかない!私だってNIROの端くれ!怖がっちゃダメよちひろ!)カツッ

ちひろ「……」カツッ コツッ カツッ タッ コツッ

ちひろ「……」カツカツカツ タッ カツカツカツ

ちひろ「……」ピタ



シ ン


ちひろ「っ!」カツカツカツカツカツ

ちひろ「ひゃっ!?」ドタッ

ちひろ(……あぁ、ドアノブに触ったのか……ビックリしたぁ……)ハァ

ちひろ「……」コンコン

ちひろ「プロデューサーさーん?お先に失礼しますねー?」

ちひろ「……寝ちゃってるのかな?」


タッ


ちひろ「!」

ちひろ(この音……仮眠室の中から聞こえる)

ちひろ(なんだ、やっぱりプロデューサーさんが原因じゃない)ホッ

ちひろ(あ、鍵開いてる……不用心だなぁ……)カチャ

ちひろ「プロデューサーさーん?」ガチャ


椿「よいしょっ」ペタッ

ヘレン「ヘーイ!」コネ

椿「よいしょっ」ペタッ

ヘレン「ヘーイ!」コネ

椿「よいしょっ」ペタッ

ヘレン「ヘーイ!」コネ

椿「よいしょっ」ペタッ

ヘレン「ヘーイ!」コネ

椿「よいしょっ」ペタッ

ヘレン「ヘーイ!」コネ

モバP「……」モグモグ


ちひろ「……」バタン


ちひろ「え?なんで餅ついてるんですか?」ガチャッ

椿「あ、ちひろさん。お疲れ様です」ペタッ

ヘレン「お疲れ様。アナタも食べる?」


モバP「……」モグモグ


ちひろ「プロデューサーさん?これはいったい……」

モバP「……」モグモグ

モバP「……」ゴクン

モバP「夜食です」

椿「ちひろさんもどうですか?」

ヘレン「海苔と醤油……スタンダードでありながら最高の味付けよ」スッ


美味しかったです


三方(鏡餅を置く台)の付喪神

現在ではスーパーなどで買えるセット物が一般的であるが、キチンとした物は檜(ヒノキ)で造られている

好物は餅と蜜柑、得意料理も餅系だとか


『静か餅【シズカモチ】』おしまい

短いですが本日はここまで
静か餅……というか登場する妖怪の設定に関しては色々混ぜたり勝手に書いたりしてます。テヘッ


・一本だたら
・ろくろ首
・後追い小僧
・送り犬
・蛤女房
・豆狸
・分福茶釜
・ナマハゲ
・鵺
・牛鬼
・百目鬼
・龍
・川姫
・土蜘蛛


牛鬼と土蜘蛛、百々目鬼と一本だたらで難航気味なので他から消化していきますね

そもそも鍛冶屋のアイドルなんて居ましたっけか?

おつ

思い付きで牛鬼やら百々目鬼なんか挙げちゃってゴメンナサイ

>>324
鍛冶関係で刀剣や鉄まで範囲を広げてもピンと来ないので各文献を調べまわっております

>>325
いえいえ、自分じゃ思いつかなかったのでリク出してよかったと思ってますよ
某上皇が出たらどうしようか不安でしたけどw


昼過ぎから投下する予定


『ナマハゲ』


包丁を振り回して悪事を働いた者を懲らしめ、吉をもたらすとされる鬼

しかしてその実態は――


――某日


モバP「あ、ちひろさんこの資料読んどいて下さいね」スッ

ちひろ「何ですかコレ?」

モバP「アイドル達のグッズに関する資料ですよ。販売はまだ未定ですけどね」

モバP「今度の会議の前に、ちひろさんの意見も聞いておきたいんです」

ちひろ「へぇ……団扇やハッピ……周子ちゃんは扇子?」ペラッ

モバP「紗枝とお揃いがいいって聞かなくて」

ちひろ「あはは……ほんと仲良いですよねー」ペラッ

ちひろ「みくちゃんは……やっぱり猫よね……」

ちひろ「待って下さい瑞樹さんが洗濯板ってどういう事ですか」

モバP「瑞樹さんの希望なんですよね」


ちひろ「そう言えば洗濯狐……でしたっけ」

モバP「ファンの方々はそういうキャラなんだって事で受け入れられますからね」

モバP「コッチとしても有難い話です」

ちひろ「みくちゃんの尻尾も何も言われませんもんね……」ペラッ

ちひろ「……」ペラッ

モバP「……」カタカタ

ちひろ「ライブ中に洗濯板を振るファンですか……」

モバP「団扇なんかよりインパクトありますよね」

ちひろ「止めた方がいいと思いますよ?」

モバP「やっぱそう思います?」


ちひろ「ヘレンさんは団扇とハッピ……ってなんじゃこりゃ!」

モバP「なんです?」

ちひろ「なんでハッピの背中にナマハゲの顔が!?」

モバP「あぁ、そりゃヘレンはナマハゲですからね」

ちひろ「は?」

モバP「はい」

ちひろ「え、いや、でも、出身地が海の向こうって……」

モバP「あぁ、それは――」


――回想


ヘレン「出身地?あぁ、秋田だげんども」

ヘレン「あぁ?だっで他の国がら見だら日本は海の向ごじゃねぇが」


――


モバP「――だそうですよ」

ちひろ「まぁワールドワイド」

モバP「未だにこの理論が理解出来ないんですよね」

ちひろ「私達とはレベルが違いますからね」


――女子寮の一室


ヘレン「さぁ、今日選ばれたDVDはコレよ!」バッ

沙織「ちょ、超神ネイガー!」

光「ヒーローか!?なるほどアタシを呼んだのはこのためか!」

志乃「あら、ワイン置いてないのここ?」ゴソゴソ

ヘレン「わがっだわがっだサクライザーも今度用意しどぐがら呑むのはやめで」


その実態は山の神からの遣いであり、立場的にはぬらりひょんと同クラス

山の神自身が『もっと世界に目を向けなきゃダメなの!』と言った事からナマハゲ達も感化されて外に出始めたとか


『ナマハゲ』おしまい

短いですが今日はここまで


『#1』


――某日


ちひろ(NIROの代表さんが遊びに来るって言ってたけど、いつ来るんだろう?)


ガラーン


ちひろ(今は事務所に私だけだからこのタイミングで来られても困るし……)

ちひろ(……いやいやそんなアポ無しで来る訳無いか)

ちひろ(それより、何か聞いておきたいこと考えとかなきゃ……)


まず第一に、事務所のアイドルに妖怪さんが居る事

これに関してはプロデューサーさんから説明を受けたからいいか

次に、どの子がどの妖怪なのか

プロデューサーさんが教えてくれない以上、皆に聞いていくしかない

そう考えると質問すべきことはそんなに無いような気がしてきた



あった

前任の事務員さんは?


私が事務員としてここで働き始めた頃から、すでにアイドルはいたし寮もあった

事務員としてのマニュアルまで用意されていた


――「……一度聞いてしまったら、もう逃げられませんからね?」


――「今の状態なら、まだ記憶操作でどうとでも出来るわ」


――「まぁホラ、存在を消されるよりかはいいじゃないですか」



ちひろ「――っ」ゾクッ

ちひろ(……ま、まさか……ねぇ……)

ちひろ(って言うかアレよね、偉い人に聞くべき質問じゃないよね、ウン)



<ピンポーン


ちひろ「あら……?」

ちひろ(今日は来客の予定なんて無いのに)

ちひろ「はーい?」

『やぁ、P君は居るかな?』

ちひろ「あ、Pは現在外出中ですが……」

『あぁ、じゃあ中で待たせて貰っていいかな?』

『ちょ、ちょっと瑠衣ちゃん!』

『瑠衣さん、アポ無しで来ておいてそれは失礼ですよ?』


ちひろ(なんか向こうで始まってるけどどうしたんだろ?)


『え……?そうなの?前に留美さんが出てきた時は中で待たせて貰えたけど……』

『瑠衣ちゃん……』

『……瑠衣さん?それで、本当に中で待っていたんですか?』

『うん。お茶とお菓子も貰ったよ』

『……瑠衣さん、後でお勉強しましょう』

『え?だ、ダメだったの?』


ちひろ(留美さんの名前が出てきた……と言う事はもしかして……)


ちひろ「あ、あのー」

『え?あ、はい』

ちひろ「もしかして、NIROの関係者ですか?」

『……そうだ!何で先に名乗らなかったんだろう……ごめんごめん、NIROの代表の文月瑠衣だよ』


ちひろ「来客用のコップにお茶にお茶菓子は何があったかしら(少々お待ち下さいませぇ!)」


――


メイド「本当に申し訳御座いませんでした……てっきり、瑠衣さんがアポイントメントを取っている物と思っていましたので」

ちひろ「いやいやそんな腰を直角に曲げて謝らなくても結構ですから!あは!あはは!」


ちひろ(どうしろってんだこの状況ゥ!)

ちひろ(長い黒髪の子がさっき名乗ったNIROの代表さん)

ちひろ(さらにメイドの格好をした女性と、小柄なメガネの女の子の三人組……)

ちひろ(三人とも妖怪さん……なのかな?)


瑠衣「そうだよ、サラさんが謝る事じゃない」ズズッ

メイド「……じゃあ瑠衣さん、ちゃんと謝りましょうね?」ニコリ

天使「ヒッ」


瑠衣「う……千川ちひろさん……だよね?先程から失礼を重ねてばかりで申し訳無い」ペコリ

瑠衣「改めまして、文月瑠衣だ。よろしく」スッ

ちひろ「はっ!はいっ!」ギュッ

ちひろ(わ、冷たい手……)

瑠衣「P君から聞いてるかもしれないが、私は陰妖子という妖怪なんだ」

瑠衣「人間の常識と認識がずれている所があるから、色々と失礼が多くなるかも知れないけれど、そういう時は教えてほしい」

ちひろ「は、はぁ……?」


メイド「陰妖子と人間は、長らく交流を持ちませんでしたからね……あ、申し遅れました。サラと申します」ペコリ

ちひろ(なんでメイド服なのかはツッコミ待ちなんだろうか?にしても綺麗なお辞儀……)

サラ「秋葉原のカフェ『エディンバラ』でメイド長を務めていますものですから」ニコ

ちひろ「あぁ、道理で……って何で!?」

サラ「何となく、そういう顔をしておられましたから……違いましたか?」

ちひろ「あ、いえ、当たってます……けど(あ、この人絶対妖怪さんだ)」

サラ「ご心配無く、私は人間ですよ」ニコ

ちひろ「」


サラ
ttp://i.imgur.com/Vi63Vec.jpg


天使「あ、あのっ、大丈夫ですかぁ?」

ちひろ「……はっ、だ、大丈夫ですよ!うん!」

天使「あ、えっと、私は森泉鈴って言います!」

鈴「えっと、えっと、わ、私も瑠衣ちゃんと同じで陰妖子ででふっ!?」

ちひろ「!?」

鈴「うぅ~……噛んじゃったぁ~……」ウルウル

ちひろ「……だ、大丈夫?」

鈴「うぅ~……はい~……」

ちひろ(何だこの庇護欲をそそるオーラは可愛いなぁ)

瑠衣「自己紹介も終わったし、そろそろ本題に入ろうか」

サラ「そうですね」

鈴「うぅ~……」コクコク

ちひろ「はいっ?」


瑠衣「P君から聞いてないかな?」

ちひろ「ええっと、NIROの代表さんが遊びに来るとは言ってましたが……」

瑠衣「うん、その通り。ちひろさんはUNOって知ってるかな?」

ちひろ「……はぁ?」


――


瑠衣「なんだ……姉さん達も知らなかったから珍しい物だと思ってたのに……」ブツブツ

サラ「だからそう申し上げたじゃないですか」

鈴「ま、まぁまぁ、ルール説明する手間が省けたんだしいいんじゃないなかぁ?」

瑠衣「……ルール説明したかった……まぁいいや、始めようか」スッ

ちひろ「いやいやいやいや、え?もっとこう、真面目な話じゃないんですか?」

瑠衣「真面目な話だよ?」キョトン

鈴「あ、あのっ、瑠衣ちゃんは本気で遊びに来てるんですよ」ヒソヒソ

サラ「ちひろさん……と言うか、事務所の人達と交流を深めようとの事です」ヒソヒソ

ちひろ「は、はぁ……?」

ちひろ(何か、緊張しちゃったのがバカみたいだなぁ……)

サラ「私としても、後任の方とお話してみたかったですし」

ちひろ「えっ?」

サラ「以前、此方で事務員をしていたんですよ」


瑠衣「さぁ、カードも配り終わったぞ。早く始めよう」ワクワク

サラ「ふふっ、この話はまた……始めましょうか」スッ

ちひろ「え?あ、はい」スッ

鈴「きょ、今日こそジャンケンでグー以外出すぞ~……」ボソッ

ちひろ(グー以外……いや、この手の明かし方は不自然……何を出して来る……?)

瑠衣(パーだな)

サラ(パーですね)

鈴「……」フンス


『#1』おしまい

本日はここまで
鈴ちゃん普段は本屋の店員カワイイ


『豆狸【マメダヌキ】』


小さな子に化け悪戯を働く狸の妖怪

人をからかってはよく笑う


――某日


ちひろ「――ねぇ麗奈ちゃん?何してるの?」

麗奈「イタズラの仕込みよ……これでよしっ」

麗奈「これでアイツがドアを開けたら上からバケツが降ってきて頭に被るって寸法よ!」

麗奈「慌てふためくさまが目に浮かぶわ……ちひろも楽しみにしてなさい!あーっはっはっはっはっはhヴォェッ」

ちひろ「はいはい無理に高笑いしなくていいからねー?」サスサス

麗奈「ゲホッゲホッ……」

ちひろ(今の所イタズラが成功した所を見た事が無いんだけど……)



<ガチャ


モバP「ただいまかえりま――」スポンッ

麗奈(掛かったわ!)

ちひろ(頭に青いバケツを被ったまま微動だにしないけど……)

モバP「……」スタスタスタ

ちひろ(あれ?普通にデスクに向かって……普通にパソコンに向かって作業してる)

麗奈「ちょっとアンタ!せっかくこのレイナサマが仕掛けたイタズラなんだからもっと驚きなさいよ!」

モバP「……」カタカタカタカタ

麗奈「ねぇ!ちょっと!無視なんていい度胸ね……!」

モバP「……」カタカタカタカタ

麗奈「ちょ、ちょっと!何とか言いなさいよ!」

モバP「……」

モバP「……」カタカタカタカタ


ちひろ(バケツを被ったまま一言も発しないプロデューサーさん……なるほど、今回はこういうやり返し方か)

麗奈「ちょっと……わ、悪かったわよ……い、イタズラした事は謝るから無視はやめなさいよ……」

ちひろ(お、きいてるきいてる)

モバP「……」カタカタカタカタ

麗奈「う……そ、そっちがその気ならアタシも負けないわよ!もう口きいてやんないから!」

モバP「……」

モバP「……」スッ

ちひろ(お、バケツを外して――)



バケツを外したプロデューサーさんは

頭がありませんでした


――


麗奈「洒落にならないくらい怖かったんだからねアンタ!」

ちひろ「イタズラにしてもタチが悪すぎますよ!」

モバP「いやぁ、ちひろさんまで気絶するとは思わなくて……」

まゆ「ごめんなさい……でも、私が化けてるのに気付かないなんて、麗奈ちゃんもまだまだですねぇ?」

麗奈「まだまだで結構よ!」ムキー

ちひろ「もうこういうのは勘弁して下さいね?」

モバP「麗奈がイタズラやめたら考えます」

麗奈「ちひろまで巻き込むのはやめなさいよ!」


ちひろ「まゆちゃんも、こんな事に付き合う必要無いんだからね?」

まゆ「Pさんの頼みですからぁ……」


里の中で寂しがっている子供達と遊んでいる内にイタズラがエスカレートし

親御さん達に正座で説教を受ける事も多かったとか

しかしその関係は良好であり、比較的早い時期から人間と交流していた種族である


『豆狸【マメダヌキ】』おしまい


『#2』


モバP「――で」

瑠衣「うん。あ、スキップ」

鈴「えぇっ!もう私三回もスキップされてるよぉ~……」グズグズ

モバP「来るなら来るで連絡入れて下さいよ……」

サラ「申し訳御座いませんプロデューサー様……ワイルドの青です」

ちひろ「わ、私も何がなんだか……あ、青の5」

モバP「……瑠衣さん、ちゃんと説明しましたか?」

瑠衣「大体の説明はP君がしてくれたんだろう?ならいいじゃないか。青の8」

鈴「えっと、青、青……あ、赤の8っ!」

サラ「リバースです」

鈴「ふぇ~ん……」

モバP「……陰妖子の説明は?あと鈴さんいぢめるのやめてあげて下さい」


瑠衣「え?P君が説明したんじゃないの?」

モバP「してませんよ……アナタにしてもらうつもりでしたからね」ハァ

瑠衣「そうなの?じゃあコレが終わったら――「ダメです」――ご、ごめん」

瑠衣「じゃあウノはまた後にして、真面目な話をしようか」キリッ

モバP「まったく……」

ちひろ(ジャンケンもウノも出すたびに目をつぶる鈴ちゃん可愛かったなぁ……)


瑠衣「じゃあ改めて私達陰妖子(カゲヤシ)について説明しておこう」

瑠衣「その前に、鬼については聞いてる?」

ちひろ「えぇ、超能力を持った人達ですよね?」

瑠衣「そう。私達は人より力が強かったり、寿命が長かったり、吸血した相手をカゲヤシにしたり出来る」

ちひろ「それって……」

瑠衣「うん。吸血鬼に近いかな」

ちひろ「わぁお」

瑠衣「……そんな顔をするのも当然……なのかな」

瑠衣「安心して。私達は人の血を吸わなきゃ『生きていけない』訳じゃないから」

鈴「わ、私なんか、どちらかと言うとご飯の方が好きですよぉ?」


ちひろ「と、取り乱してしまって申し訳ありません……でもカゲヤシだからって、まだ高校生くらいなのに」

モバP「言っときますけど、ちひろさんの倍以上は生きてますからね?」

ちひろ「は?」

瑠衣「P君、女性に年齢の話は失礼だよ」

モバP「シツレイシマシタ」

サラ「カゲヤシは寿命が長く、若い身体でいる期間が長いので」

ちひろ「そ、そうだったんですか……あ、そ、そうだ!サラさんはどうしてNIROなんかに?」

サラ「はい、NIROが現在のような体制になる以前から、メイド長として調ky教育していた子達の中にカゲヤシが何名かおりまして――」

サラ「その子達が私の事を信頼して、本当の事を告白し、相談してくれた事が切っ掛けで瑠衣さん達と知り合ったのです」

ちひろ「そうだったんですか……」

サラ「その後はちひろ様もご存知の通り、旧NIROとカゲヤシの戦闘を瑠衣さん達が止めて共存の道を選び――」

サラ「今に至る、という訳で御座います」


瑠衣「――さて、そろそろいいかな?今度はP君も交えてウノを――」

モバP「あのですねぇ」ハァ

瑠衣「いいじゃないか。私はこういうのが苦手なんだ」

サラ「まぁまぁプロデューサーさん、よろしいでは御座いませんか」クスクス

モバP「……ではご一緒させて頂きますよ」

瑠衣「うん。ありがとう」


ちひろ「あのー、サラさん、ちょっといいですか?」

サラ「はい、何でございましょう?」

ちひろ「サラさんは前に事務員をやってたんですよね?」

ちひろ「何で辞めちゃったんです?」

サラ「あぁ、それはですね――」


――


モバP「サラさん!また食堂の模様替えしましたね!」

サラ「お帰りなさいませプロデューサー様。今回も気合を入れさせて頂きました」

サラ「後はメイドたちがいれば支店に――」

モバP「やらせませんからね!?」

留美「どうかしらP君?私もメイド服を着てみたんだけど――」

モバP「何やってんのおおおお!」

サラ「いけませんよ留美さん、言葉遣いと姿勢が乱れております」

留美「失礼しましたメイド長」スッ


――


サラ「――という事を繰り返す内に、プロデューサーさんの方から外すよう頼まれたそうですよ?」

ちひろ「そういう理由でしたか……」ホッ

サラ「……ふむ」ジーッ

ちひろ「?」

サラ「ちひろさんも少し磨けば、良いメイドになれそうですね」ニコッ

ちひろ「ッ!」ゾクッ

ちひろ「あ、私はそういうの、あんまりしたくないかなーって、あは、あはははは!」

サラ「あら、それは残念」


『#2』おしまい


『後追い小僧【アトオイコゾウ】』


山道を歩いていると後ろを着いて来たり、前を歩いていたりする童

人が道に迷わぬよう見張っていると言ふ


――某日


モバP「どこ行ったかなぁ」スゥッ

ちひろ「わぁー!!」ガタッ

モバP「あ、ちひろさん……どうしたんですか腰抜かして」

ちひろ「抜かすわ!輝子ちゃんみたいに出てこないで下さいよ!」

モバP「そりゃ輝子の部屋にいましたからね」

モバP「あ、そうだ。乃々見ませんでした?」

ちひろ「はぁービックリしたぁ……乃々ちゃんなら――」


――女子寮の一室


クラリス「……」ペラ

乃々「……」ペラ

杏「zzz……」


<コンコン


クラリス「はい……あら、プロデューサー様」

モバP「どうも……乃々コッチ来てます?」

クラリス「あぁ、乃々様ならあちらに」

乃々「」ビクッ

モバP「ちょっとお邪魔し……クラリスさん、また本棚増えてません?」

クラリス「えぇ、乃々様の助力もありまして、少女漫画用の棚を置きました」

モバP「もうすでに女子寮三部屋使ってるんですから加減して下さいよ!」

クラリス「一部屋は懺悔室ですからノーカンです」キリッ

モバP「あぁもう俗世に染まっちゃってまぁ……あのキリスト様なら許すんだろうなぁ……」


――


キリスト「うっわスゴイ!漫画喫茶みたいじゃん!」

クラリス「お褒めに預かり光栄です」ボタボタ

キリスト「うわああああちょ鼻血鼻血!」

クラリス「おっと失礼しました……」

キリスト「はぁー……にしてもスゴイなぁ……あ、封神演義全巻揃ってないの?」

クラリス「はい……なかなか見つからないものでして……」

キリスト「そっかぁ……ジャンプ系充実して欲しいなぁ」ボソッ


――


クラリス「――と仰られておりましたね」

モバP「フランク過ぎるって伝えといて……いややっぱ僕が言いに行くわ」


乃々「あの……もりくぼを探しにきたんじゃないんですか……」

モバP「あ、そうだった」

乃々「うぅ……忘れるとか何ですかいぢめですか……いえ別に忘れたままでよかったんですけど……」

モバP「はいはい、そろそろお仕事だから出るぞー」

乃々「あう……はい」

モバP「それじゃクラリスさん、お邪魔しました」

乃々「ま……また来るんですけど……」

クラリス「はい、お二人とも行ってらっしゃいませ」


――車内


モバP「……」

乃々「……あの」

モバP「んー?」

乃々「あ……いえ……今の右なんですけど」

モバP「あ、すまん。考え事してた」

乃々「……そうですか……」

モバP「まーたまには回り道もいいか。案内頼めるか?」

乃々「は……はい……あの……」

モバP「んー?」

乃々「……道案内するの……久し振り……なんですけど」


モバP「あぁ、そういや出会った時以来だっけ」

乃々「灯りも持たずに山に入るとか……信じられないんですけど……」

モバP「はっはっは、甘く見てたからなぁ……ありがとな」

乃々「……いえ……そこ右なんですけど」

モバP「はいはい……あの時みたいに、僕の前を歩いてもいいんだからな?」

乃々「……それは……むぅーりぃー……」クスッ


もりくぼはアナタの後ろを付いて行きます

きっとこれからもずっと


正しい道を歩いている人の後ろを歩き

間違った道を歩いている人の前を歩く山霊(山の精霊)

人見知りが激しく声を掛けると姿を消すが

供え物を置いておくとひょっこり顔を出して礼を述べ、一族の元に持って帰るとか


『後追い小僧【アトオイコゾウ】』おしまい


『鵺【ヌエ】』


正体不明の妖怪で、文献によって姿形が違うが総じて様々な動物の部位が組み合わさっている

文字通り夜に鳴く鳥であるトラツグミに似た声で鳴くとされ、一説には雷獣であるとも言われている


――某日・長野・回転寿司屋


モバP「……はぁ」

清良「あら、どうしましたプロデューサーさん?」モグモグ

モバP「……いや、このロケ着いてこない方がよかったなぁ、と思いましてね」

清良「スキーは嫌いでしたか?」

モバP「いや、スキーが嫌いなんじゃなくて……」

モバP「撮影やってる間、僕ほとんど立ちんぼでしたからね……」

洋子「あぁ、身体動かしたかったんですね……あ、ハンバーグ巻きっ」ヒョイ

モバP「そうそう……まぁ仕事柄仕方ないんですけどねー」

洋子「じゃあ明日は皆で雪合戦しようか?」

モバP「あぁーそれもいいかも」ヒョイ

清良「あら、腕が鳴りますね」コキコキ

モバP「笑顔で手首鳴らすの止めて下さい怖いです」


洋子「あ、でもプロデューサーはアレがあるんじゃないの?アレ」

モバP「アレって……あぁ、スカウト?やらないぞ?」

清良「あら?今回着いてきたのはそういう理由じゃないんですか?」

モバP「……まぁ確かにどっか行くたびにスカウトしてますけどね。そういう体質なんです」

洋子「怪異を惹いちゃうんだっけ?何か前に言ってたね」

モバP「それに現地のNIRO支部に連絡が行くから、押し付けられる時の方が多いんですよ」トホホ

清良「それはまた……」

洋子「苦労してるんだねぇ……」

モバP「今回だって……っと、愚痴っぽくなっちゃってスイマセンね。そろそろ帰りましょうか」


――数刻後・旅館


洋子「さぁーっ温泉温泉!清良さんも行きましょうっ!」

清良「あらあら、ではプロデューサーさん、また明日」ペコリ

モバP「はい、お疲れ様でした」


モバP(旅館で晩飯食えばよかったなぁ……街に出ても回転寿司ばっかだったし……)

モバP(明日はコッチで頂いていこう)ウン

モバP(あ、そうだ土産買って――)

モバP「……ん?」

?「……ん~?」

モバP(あぁもうやだこの体質)


モバP「……あ、スイマセン地酒置いてありますか?」

?「ん~?んん~?」

モバP「あ、じゃあそれとこれと……あと野沢菜もお願いします」

?「ねぇ~?ねっねっ?つんつん」ツンツン

モバP「……はいはいもうちょっと待ってて下さいね」

?「ん」

?「待った!」ドヤ

モバP「早いわ!」


――ロビー


モバP「でぇ、君みたいなジョシコーセーがオジサンに何の用ですかー(棒)」

?「む、気に入らないなぁその態度は。でも今は許したげる!」

?「でもまたやったらNIROのkもがががががが」

モバP「……残念ながらキミみたいな子の扱いには慣れてますんで」パッ

?「むぅ、でもやっぱそうなんだ?」

モバP「……なんで判ったんです?」

?「ん~?どっかでこんな感じの匂いを嗅いだな~って思ってねー」

?「でもさっきの手の匂いで判ったよ!キミの方がいい匂いがする!」ビシッ

モバP「そうですか……さて、鵺さんの名前をまだ聞いてなかったですね」

?「その呼ばれ方は嫌いだからねっ!さっさと名乗ろう!」

志希「あたしは一ノ瀬志希って言うんだよん♪だからヌエは無しでお願いね?」


モバP「解りました。あ、これ名刺」スッ

志希「CGプロダクション『プロデューサー』……ねぇ」ニヤニヤ

志希「それでそれで?芸能事務所のプロデューサーさんが何であたしの正体を知ってたのかな~?」

モバP「コッチの人達から、保護していた子が一人逃げ出したと聞きまして」

志希「で?それがあたしだって?違ったかもしんないよ?」ニヤニヤ

モバP「いえ、合ってますよ。なぁあやめ?」

あやめ「はっ」シュタッ

志希「!?」

モバP「この子に調べて貰ってましたからね。ありがとう、助かった」

あやめ「はっ!身に余る光栄に御座います!」

あやめ「もうこの分身は必要無さそうですね……ではっ」ドロン

志希「……なるほど、枕返しの分身かぁ~……こんな遠い場所にも出せるんだね!面白い!やるじゃんキミ!」

志希「ぜ~んぜん気付かなかったなぁ……」

モバP「……」


志希「ま、捕まっちゃったらしょうがないか♪ホラ、連れて帰るんでしょ?ホラホラ」

モバP「ええ。ですがその前にちょっと失礼して……」ポパピプペ

志希「?」

モバP「卯月、一ノ瀬志希がNIRO長野支部でどんな扱いを受けていたか判るか?」

志希「!」

モバP「……そうか、うん、わかったありがとう」pi

モバP「……」ポリポリ

志希「あはは~……あたしって珍しいらしくてさ、いやぁレアモンスは辛いよ!」

モバP「肉体再生実験」

志希「っ!」ビクッ

モバP「……遅くなってしまって悪かった」ピポパプペ

志希「えっ?」


――二日後・電車内


洋子「私達だけで帰れって……まったく、何考えてるんでしょうね」

清良「ふふっ、まぁ、大方この子に関係してるんでしょうけれど……」チラッ

志希「んにゃ~……ふにゃっ……」グー


――


モバP「――って言うのが志希がここに来るまでの理由ですね」グググ

志希「ホラホラこのハンカチ嗅いでみて!いいからいいから~♪」グイグイ

ちひろ「結局どうなったのか気になる部分は気にしない方がいいんでしょうね」アハハ

モバP「えぇ、そうしておいて下さい……志希、やめなさい」グググ

志希「あんまり扱いが悪いとまた失踪しちゃうからね~♪」グイグイ


鵺の正体に関しては依然不明であるが、謎は謎のままで置いておくべきという通達があった事から研究されていない

なお、当時鵺を保護していた長野支部は人員の配置換えがあった模様


『鵺【ヌエ】』おしまい

本日はここまで


『幕間・内容』


「前回の傷は五分で治ったか」

「やはりカッター程度では」

「ふむ……今回は包丁を使うか」

「分かりました」


「今回は遊びに来た幼馴染みが手料理作ろうとして指を切っちゃうってシチュで」

志希「毎度毎度変なシチュだね~♪」


モバP「ーーって感じだったそうで」

ちひろ「なんてひどいじっけんなんだー」

モバP「一番人気があったのがジャケットのほつれを直してたら針が指にってシチュだったそうで」

ちひろ「何ですかそのフェチ集団……」


『幕間・内容』おしまい


『#3』


ちひろ「――ところで、カゲヤシさんも人間の血を吸うんですよね?」

瑠衣「ん?あぁ、必要不可欠って訳じゃないんだけどね」

ちひろ「それで、そのぉー……吸われた人ってどうなるんです?」

瑠衣「!」ピタッ

サラ「!」ピタッ

鈴「あ、え、え~っと……」オロオロ

モバP「……血を吸ったカゲヤシの配下になります」

ちひろ「それってやっぱり吸血鬼的な……グールとか……」

モバP「あぁ、そういうのじゃないですよ。NIROの方でそうなった人の治療法は確立されてますし」

ちひろ「そ、そうなんですか」ホッ

瑠衣「……だからって、私達の行いが許される訳じゃない」ボソッ

鈴「る、瑠衣ちゃん……」

瑠衣「ん……大丈夫だよ鈴。私は、もう逃げない」

瑠衣「ごめんちひろさん。まだ説明してない事があった。聞いてほしい」キッ

ちひろ「はい?」


瑠衣「カゲヤシは……ううん、私達はたくさんの人達の血を吸って生きてきた」

瑠衣「私達を退治しようとしていた人達も、何の関係も無い人も……たくさん……」

サラ「……」

瑠衣「……私はそれにウンザリしていたんだ」

瑠衣「その頃の私は時期妖主と言われ、カゲヤシの長としてそんな事を考えちゃダメだって、周りから言われて……」

瑠衣「だけど、あそこで、秋葉原で暮らしている内に、色んな人と出会って……」

瑠衣「この人たちと一緒に、生きる未来があればいいなって、その想いは日に日に大きくなって……」

鈴「……」

瑠衣「だけど、私達がしてきた事を考えたら、そんなの許される事じゃないって、思ってたのに……」

瑠衣「なのに――」


――


『うんうん、辛かったね……瑠衣ちゃんは、今のままでいいんだよ』

『だ、ダブプリの二人とも知り合い……っていうか姉妹なんだよね……?じゃ、じゃあさ!サインとか貰えたりして……あ、ダメ?』

『素晴らしい提案だと思います。私も、お手伝いさせて頂きます』

『カゲヤシだか何だか知らねーけど、やってみなきゃわかんねーじゃん?』

『……大丈夫、僕達は瑠衣の傍にいる』


『秋葉原自警団は、秋葉原の事を考える人の味方だよ』


『カゲヤシ……?』

『妖怪?マジで!?』

『うっひょー!あんな美少女の為に働けるとか!』

『こんないい子を退治するなんてバカじゃないの!』

『超展開過ぎワロタ!』

『っしゃあ!アキバは俺たちのもんだって思い知らせてやろうじゃんか!』


――


瑠衣「みんな……みんな受け入れてくれて……」グスッ

瑠衣「私達がしてきた事……全部、全部受け止めて……」ポロポロ

ちひろ「……」ギュッ

瑠衣「!……ちひろさん……」

ちひろ「……大丈夫ですよ。大丈夫……」ナデナデ


――


瑠衣「……取り乱してしまってすまない。どうもまだ、私は弱いみたいだ」グスッ

サラ「そんな事ありませんよ?」クスッ

鈴「そ、そうだよぉ~瑠衣ちゃん!」

ちひろ「私も、その人達と同じです……瑠衣さん、いえ、代表。改めまして、よろしくお願い致します」ペコリ

瑠衣「!……うん、よろしく頼むよ」

モバP「……」

ちひろ「もうっ、黙ってないで何とか言ったらどうなんですかプロデューサーさんっ」

モバP「……皆、飯食べて行きます?」

ちひろ「プーローデューサーさーん?」キッ

瑠衣「P君の手料理か……うん、久し振りに食べたいな」

サラ「お手伝い致しますね」スッ

モバP「あぁ、頼む」スッ


<ガチャ


ちひろ「まったくもー……」

鈴「あ、あの、Pさんの照れ隠しですよぉ?」

ちひろ「……照れ隠し?」

瑠衣「そうだったの?」

鈴「瑠衣ちゃんも気付いてなかったんだ……」



モバP「……材料足りるかな?」

サラ「鈴さんがいますから……ちょっと足りませんね」クスッ


『#3』おしまい


『幕間・ロックな人』


――某日


優「……阿倍野優、だ。瑠衣から聞いてるだろォがカゲヤシだからなぁ、数年前まで人を襲ってたんだゼェ?」

李衣菜「優さーん?優さーん?」

優「ヘヘ、怖いか」

李衣菜「ねーねー優さん無視しないで下さいよー」

ちひろ「いやもうまったくこれっぽっちも怖くないんですけど……」

優「あぁもううっせェな!オメーのお陰で空気が腑抜けちまったじゃねぇか!」ウガー

李衣菜「無視する優さんが悪いんじゃないですか!」ウガー

優「わかったわかった後で聞いてやるからオイコラ千川ぁ!生暖かい眼で見てんじゃねぇぞ!」

ちひろ「んんー?何の事ですかぁ?」ニコニコ

李衣菜「優さんギター教えてくれるって言ったじゃないですか!」

優「だあぁもうっ!スタジオ借りるぞクソッ!着いてこいバカ!」スタスタ

李衣菜「バカとは何ですかバカとは!」スタスタ


ちひろ「仲良いですね~」ホンワカ

モバP「いやもうまったく」



『幕間・ロックな人』おしまい

筆が乗ってしまいました。本日はここまで


阿倍野優
ttp://i.imgur.com/QQdnGfg.jpg


補足:
鈴ちゃん、別名『ゆるふわ系モンスター』は自称小食ながらゲーム中で以下の量を食べて腹八分目と言うカワイイ

ケバブ   ×5
おでん缶  ×10
らーめん缶 ×20
オムライス ×1


『化け狸【バケダヌキ】』


狸と狐は古くから人間に化けると伝えられ

その多くは名有りの妖怪として有名である


――某日


モバP「はいこれ、この前の写真」

モバP「綺麗に撮れてるぞ」

まゆ「うふっ♪ありがとうございます♪」

まゆ「それより……婚前に着ると婚期が遅くなるそうですよぉ?」

モバP「なんだ、そんな事気にしてるのか。まゆも女の子だなぁ」ナデナデ

まゆ「大事な事だから」ピョコッ

ちひろ「まゆちゃん耳、耳」

まゆ「あら?いいんですよぉ、事務所ですからぁ♪」


ちひろ「そーいえば、まゆちゃんは狸の妖怪さんだったっけ」

ちひろ「麗奈ちゃんは手に負えなくなったからって別の支部から押し付けられたって聞いたけど……」

ちひろ「まゆちゃんは何でまたこの事務所に?」

まゆ「……そうですねぇ……うん、お話しておきましょうかぁ」

まゆ「プロデューサーさんが、私のお父さんを助けてくれた恩人だから、と言うのが一つ」

まゆ「もう一つは、一目惚れです♪」

ちひろ「恩人?」

モバP「……あ、そろそろ昼食の用意手伝ってきます」ガタッ

まゆ「……」

ちひろ「……」

「「ふふっ」」


まゆ「照れ屋さんなんですから……♪」

ちひろ「まったくねー……で、恩人って言うのは?」

まゆ「はい、私のお父さんが車に轢かれてしまった時に、プロデューサーさんが助けてくれたんですよぉ」

ちひろ「轢き逃げ?それって警察に――「いえ」――?」

まゆ「人に化けてない時、ですよ?」

ちひろ「あ、そっか」

まゆ「たまたま旅をしていたプロデューサーさんが、動物病院に連れて行ってくれたんです」

まゆ「それから、プロデューサーさんがNIROの関係者だって当時お世話になっていた人達から教えて貰って」

まゆ「こっちに移してもらったんです♪」

ちひろ「なるほどねー……」


ちひろ「……ん?旅をしてたってどういう事?」

まゆ「あぁ、それは――」


――厨房


モバP「あ、響子胡椒取って」

響子「はい♪」

みく「キョーコチャン、味見して欲しいにゃあ」

響子「ん……美味しいよ!もっと自信持っていいのに」

リキッド「あァコラ手ェ休めんなヨ」

モバP「あいよー」

響子「……今誰かいませんでした?」

モバP「え?」

周子「お疲れー♪お、今日はプロデューサーご飯だ♪」

紗枝「楽しみどすなぁ♪」

志乃「ご飯はまだかしら?」

ヘレン「座っでねぇで手伝え!」


――


まゆ「怪異を呼び寄せる体質をどうにかしたかったから、色々回ってたそうですよ?」


なお、化け狐が人を誘惑して利を得ようとするのに対し、化け狸は化ける事自体が好きでやっていると言われている

イタズラ好きが多いのもそのためだとか


『化け狸【バケダヌキ】』おしまい


『文福茶釜【ブンブクチャガマ】』


人に助けられた化け狸が恩返しに奔走する、という昔話

見世物小屋が成功し、その恩人と共に達者に暮らしたといふ


――某日


美羽「う~ん……」

ちひろ「どうしたの美羽ちゃん?悩み事?」

美羽「あ、はい……今度の営業なんですけど……」

美羽「このカエルの着ぐるみと馬の着ぐるみ、どっちがいいと思いますか?」

ちひろ「どっちもダメっていう選択肢は無いのかな?」ニコッ

美羽「だ、ダメでしたか……うぅ……」

ちひろ「普通にオシャレして行ったらいいと思うんだけど……」

美羽「そっ、それじゃキャラが立たないじゃないですか!」

ちひろ「無理にキャラ立てなくていいんじゃないかなぁ?」

美羽「それじゃダメなんです!このアイドル業界で目立つ為には強力なキャラが無いと!」

ちひろ(毒されてるなぁ)


美羽「それにホラ!見て下さい!」ビシッ


薫「あはははは!鈴帆さんもうやめてぇ!」

千枝「……んふっ……んん……」プルプル

鈴帆「ホラホラ笑うばーい!笑うの我慢しとったらええ事無かよー!」ドンチャカドンチャカ

ヘレン「ヘーイ!」ドンチャカドンチャカ

心「ヘレンさんと組むのは卑怯だって☆あー笑い皺増えるわー……」


美羽「私はあの人達と肩を並べたいんです!」

ちひろ「悪い事言わないからやめよ?ね?」

美羽「でもっ……」

鈴帆「おー、美羽しゃん怖か顔しとるねぇ」ヒョコッ

美羽「ひゃあっ!」ビクッ


鈴帆「ホラホラウチ見て笑いんしゃい!元気になるとよ!」ドンチャカドンチャカ

美羽「……もうっ、やっぱり勝てないや……」クスッ

ヘレン「素晴らしいわ鈴帆……この笑いはセンセーショナル……!」ドンチャカドンチャカ


ちひろ(カバの着ぐるみとかインパクト強すぎるわー)


元気の無い人達を元気付ける為に身体を張る事が一族の掟だとか

その徳の高さから位の高い一族であるが、あくまで腰は低い



『文福茶釜【ブンブクチャガマ】』おしまい


『送り犬【オクリイヌ】』


深夜、道を歩いているとピタリと寄り添ってくる犬の姿をした妖怪

人が転ぶと襲い掛かるが、座ったように見せかけたり、休憩を取る振りをすると襲われない


――某日


モバP「……ありゃ、降りだしましたね」

ちひろ「うわ……今日傘持って来てないのにー……」

美世「送りましょうか?」ヒョコッ

モバP「おうお疲れー」

ちひろ「あ、美世ちゃんお疲れ様♪でも終業まで時間あるし……」

美世「大丈夫ですよ、待ってますから♪」

ちひろ「うーん……じゃあお願いしちゃおうかな」

美世「はい!」


――十分経過


ちひろ「あ、プロデューサーさん、ココなんですけど――」

モバP「あぁ、そこは――」

美世「……」パラパラ


――二十分経過


ちひろ「……げ、これもあるんだった……」

モバP「手伝いますよ」

ちひろ「すいません……」

美世「……ふわぁ……」ノビー


――三十分経過


ちひろ「……」カタカタ

モバP「……」カタカタ

美世「……」ソワソワ


――


ちひろ「よしっ、おしまいっ」

美世「!」バッ

ちひろ「ゴメンね美世ちゃん、待たせ――って、尻尾?」

美世「え?あ、あはは……」ブンブン

美世「そ、それよりホラ!行きましょう行きましょう!」ブンブン

ちひろ「え?あ?ちょっと、あ、プロデューサーさんお先に失礼しますねー!」

美世「お先に失礼します♪」ブンブン


<バタン


モバP「……」

モバP(犬っぽい子とユニット組んでみるのもいいかもな……)


実際は人に襲い掛かるという事は無く、転んだ人の心配をして駆け寄ってくるだけである

また、何度も顔を合わせている内に懐かれ、尻尾を千切れんばかりに振って付いてくる姿も確認されているとか


『送り犬【オクリイヌ】』おしまい


『幕間・L M O 』



――「……超能力持つとなァ、周りの人間が利用しようとしてきやがンだよ」

――「そのせいで相手が苦しむ事も知らずになァ」

――「アイツに必要なのはよォ、自分を理解してくれた上で、ちゃんと付き合ってくれる相手だ」


――某日・ちひろの部屋


ちひろ「ん」パチッ

あやめ「あ」

ちひろ「……」

あやめ「……」

あやめ「……その、いくら寝相が悪くても下を脱ぐのは如何かと……」

ちひろ「わー!わー!」


――事務所


ちひろ「――っていう夢を見たんですけどね」

モバP「また夢の話ですか……」

ちひろ「えぇ、そう考えると、瑠衣ちゃんもウチのアイドルも、何て言うんでしょうか……」

モバP「恵まれている、と?」

ちひろ「んー……うん、そんな感じですね」

モバP「やけに歯切れが悪いじゃないですか」

ちひろ「いえ、前に話した夢と合わせると、あれも別の世界の私の記憶なのかなーって思ってですね」クルクル

モバP「ふむ……別の世界ねぇ……」

ちひろ「んー……ま、夢は夢ですからね。さぁ仕事仕事っ」

モバP(別世界の僕はどんな感じなんだろうなぁ)


――別の世界


李衣菜「 Hey !! Don't do it ! Just do it ! だーんしん――」

フェンダー「ホラソコ!また間違ってるじゃん!」

李衣菜「ご、ごめん……えーっと、うん……よしもう一回!」

フェンダー「よっしその意気じゃん!ワンツースリーフォッ!」


モバP「頑張ってるなぁ李衣菜のヤツ」

ハルカ「マスター、そろそろ帰らせた方がいいのでは?」

モバP「ん。何か飲み物持って行ってやるか」


――


――また別の世界


乃々「 Hey !! Don't do it ! Just do it ! Dancin' all night !! 」ギター

モバP「 woo hoo ! 音楽に乗って!」ベース

乃々「 Hey !! Don't do it ! Just do it ! Dancin' all night !! 」

ちひろ「 woo hoo !! 」タンバリン

「「「 shake it ! shake it ! shake it ! shake it ! 」」」



悠貴「ぱ、パワフルですねっ」ソーッ

芳乃「まことにーよき魂でしてー」ヨキカナーヨキカナー

悠貴「?」

芳乃「いえー、こちらの話でございましてー」

芳乃「ではー参りましょうかー」


<ガチャ


――


――またまた別の世界


卯月・李衣菜「「 Hey !! Don't do it ! Just do it ! Dancin' all night !! 」」ポクポクポクポク

悠貴・芳乃「「 woo hoo ! 音楽に乗って!」」


――


『幕間・L M O 』おしまい

志保さんSRああああああああああああああああああ走ってやる!副業辞めて走ってやる!
あ、拡大版のほたるちゃん可愛かったですね

本日はここまで


『川姫【カワヒメ】』


川辺に現れる女性の姿をした妖怪

見惚れた男性から精気を吸い取るといふ


――某日


モバP「――っと、昨日言った通り今日は北海道支部の人が来ますんで……」

モバP「ちひろさんは前に会ってましたっけ?」

ちひろ「は、はいっ。入社した頃に挨拶だけ……ですね」

留美「あの人の事だから秋葉原に寄り道して……昼過ぎくらいかしら?でも安心して」

留美「決して悪い人じゃないから。えぇ、決して」

ちひろ「よ、余計に不安になっちゃうじゃないですか……」


――秋葉原・某所


「いやぁー久し振りのアキバは最高だねぇ♪北海道の大っ自然もいいけど、このコンクリートジャングルも捨てがたい!」

「プロデューサーさん、こんな所に寄り道してていいの?CGプロへの挨拶が先だと思うんだけど……」

「いーのいーの♪オレにとっちゃコッチへの挨拶の方が大事なんだから♪」

「それに、あの人なら解ってくれるって」

「……まぁ確かに、代表と会うのも久し振りだし、ね」

「そうそう、皆元気にしてるかなぁー?」


――数刻後・事務所


<ピンポーン


モバP「お、来たかな?」

ちひろ「私が出てきますねー」スッ


ちひろ「はいー?」ガチャ

「どぉもぉー、いやぁー遅くなっちゃってすいませんねぇー」

ちひろ「いえいえ、お疲れ様です。どうぞ」

「そいじゃ、お邪魔しますよっと」

「まったく、ちゃんと挨拶も出来ないのかしら……」ブツブツ


モバP「お久し振りです、ノブさん」

ノブ「んだよー、敬語は無しで頼むぜプロデューサーさんよ?」

モバP「……相変わらずで安心した。黒川さんも、お久し振りです」

千秋「えぇ、お久し振りです」ペコリ

ちひろ「あ、お茶淹れて来ますね」パタパタ

ノブ「あ、お構いなくー」


ノブ
ttp://i.imgur.com/OBNchEg.jpg


――

ノブ「さて、んじゃ改めて自己紹介しとこう。オレはノブ、去年くらいに挨拶したよね?」

ちひろ「はい、あの時はほとんど話せませんでしたけど……」

ノブ「そうそう、まだ入りたてだったもんね。慣れた?」

ちひろ「はい、お陰様で」クスッ

千秋「……コホン」

ノブ「あぁ、で、コッチの美人さんがオレの担当してるアイドルで――」

千秋「黒川千秋と申します。よろしくお願いします」ペコリ

ちひろ「はい、こちらこそ」

ちひろ(何て言うか、凸凹コンビって感じだなぁ)

千秋「そうだ、ちひろさんもNIROの関係者……なんですよね?」

ちひろ「あ、はい、そうですけど?」

千秋「じゃあもう一つ、私は川姫という妖怪なのですが……」

ちひろ「えぇと、川姫川姫……」


ちひろ「」

ノブ「ありゃ、どしたの?」

モバP「あぁ、ちひろさんはちょっと怖がりと言うか何と言うか……」

千秋「まぁ、確かに良い妖怪では無いものね」

ちひろ「せっ、精気を吸い取るって!大丈夫なんですかノブさん!」

ノブ「ん?あぁ、オレならへーきへーき。三次元なんかに負けやしないって」

ちひろ「さんじ……?」

モバP「要するに、生身の女性に興味が無いヤツですなんですよノブは」

ノブ「興味が無いって訳じゃないんだけどさー、やっぱほら、二次元にしかないモノってあるじゃん?」

ノブ「永遠の美貌とか、ツンデレとかヤンデレとか――「せいっ」――あいたっ」

千秋「プロデューサー、そこまでにして……お恥ずかしい所をお見せしました」

ノブ「あんだよー、趣味の話は悪くないだろー?」

ちひろ「え、えーと……?」


ノブ「どっから説明したもんかなぁ……まずオレが北海道の担当になってから、初めての調査で会ったのが千秋なんだ」

ちひろ「調査……って事は、何かあったんですか?」

ノブ「うんにゃ、ただ担当地区の九十九神達の不平不満を聞いて回るのも調査だからね」

ちひろ「そうなんですか?」

モバP「えぇ、そうですよ」

ノブ「うん、で、そん時に千秋の親に会ったらさ――」


――

「新しい担当ですか……それなら私達の魅了に負けない精神力を持っているんでしょうね?」

――


ノブ「――つって、いきなりテストさせられてさぁー」

千秋「その時にまったく、ピクリとも動じなかったのよこの人」ズーン

モバP・ちひろ「「うわぁ……」」


ノブ「んでそれがまたプライドを傷付けちゃったみたいでさ、んもう毎日のように千秋が事務所に顔出して来て――」

千秋「私は、アナタを落とせれば一人前と認めてやるって言われただけで……」

ノブ「あ、そうだったの?ただ負けず嫌いなだけだと思ってた……」

千秋「……プロデューサー?」

ノブ「あ、いや、スマン!ただ負けず嫌いなのはホントだろぉ!?」

千秋「まったく……」フィッ

ノブ「でもあん時は大変だったなー、事務所にいる他の人が見惚れちゃってバンバン倒れちゃうしさー」

千秋「……ほ、本気でやっても適わなかったんだもの」ボソッ

ちひろ(それって割と大惨事なんじゃ……)

ノブ「そんなんじゃ仕事にならないじゃん?だから、制限付きでウチに所属してもらったって訳」

ちひろ「制限……ですか?」

ノブ「そ、魅了させるの禁止ってね」


ちひろ「で、でも魅了させないと精気が……」

ノブ「あぁ、へーきへーき」

千秋「普通に食事で賄えるから、そもそも必要ないの」

ちひろ「へっ?」

モバP「大体の妖怪は人間との混血が進んでますから」

ちひろ「あ、あぁ、そういえばそうでしたね……」

ノブ「ま、そんな訳で今じゃウチの看板アイドルって訳だ。そーいや敬語が抜けてきたな」

千秋「……誰かさんに似たのよ」

ノブ「うし、んじゃー真面目な話にすっか。千秋の仕事でコッチに来たってのは電話でも言ったけど」

ノブ「その間、コッチの女子寮とか事務所のデスクとか借りる事になるけど、いいか?」

モバP「あぁ、もう準備してあるけど……ノブはドコに泊まるんだ?」

ノブ「あぁ、それなら――」


――数刻後


ノブ「んじゃオレ達は明日に備えてお先に失礼するぜー」

モバP「あぁ、お疲れ様」

ちひろ「はいっ、お疲れ様でした」

ノブ「あ、そうだ。ちひろさんちょっと」チョイチョイ

ちひろ「?……なんですか?」

ノブ「ん、はいこれ」コソコソ

ちひろ「……これって、皆のプロフィール……!」

ノブ「シーッ!ホラ、アイツの事だから渡されてないんだろ?持っときなって」コソコソ

ちひろ「……はい、ありがとうございますね」コソコソ

千秋「……何の話かしら?」

ノブ「ん、新人にNIROの心得ってヤツを教えてたんだよ」


サキュバスのように直接触れ合わなくとも精気を吸える上に、複数人に対しても効果がある範囲ドレインタイプ

現在では人間との混血が進み、精気を吸わなくても生きていける体質になっている



『川姫【カワヒメ】』おしまい


『幕間・ LET ME OUT 』


――「そう、アナタがこの世界の鍵……」

――「そ、んな……私が……全部……?」

――「この8の字の中から出たいなら、その力を私に頂戴」

――「ッ!」

――「『あげます』!……こんな力、私にはいりません!欲しくなかった!」

――「……えぇ、確かに『貰った』わ。これでこの世界は回り始める……けれど」

――「それはもう一度、『最初から』よ」


――某日・事務所


ほたる(変な夢だったなぁ……私もこの不幸とさよならできたらいいのに……)

ほたる「はぁー……」

未央「どったのほたるちゃん?また溜息なんか吐いちゃってー」グリグリ

ほたる「み、未央さん……いえ、変な夢を見ちゃって……」

未央「お、ほたるちゃんの夢かー、どんなの?どんなの?」

卯月「未央ちゃーん、無理に聞き出しちゃ悪いよ?」

凛「ほたるも、話したくなかったら話さなくていいからね?」

ほたる「あ、いえ……そんなに面白い話じゃないですよ?」

未央「いいよいいよ!ほたるちゃんがこういう話するの初めてだしさ!」

凛「ん……そう言えばそうだね」

卯月「ほたるちゃんってあんまり自分の事話さないもんねー……あ、いや、責めてる訳じゃないからねっ!?」

ほたる「……はい、わかってます」クスッ

未央「守りたいこの笑顔」スリスリ

ほたる「ひゃあっ!?」

凛「……何してんの……」ハァ



『幕間・ LET ME OUT 』おしまい

ひとまずここまで


『龍【リュウ】』


中国において古来より崇められてきた神獣

日本においては川の神として祀られている


――某日


薫「お疲れ様でーっ!」

肇「ただいま戻りました」

モバP「お疲れ様ー」

ちひろ「はいお帰りなさい♪薫ちゃん、初めての釣りはどうだった?」ニコニコ

薫「んっとね、んとね!楽しかった!」ピョンピョン

ちひろ「そっかー」ナデナデ

薫「えへへー♪」

肇「いい筋をしていましたよ。この仕事を取ってきて下さったプロデューサーさんに感謝です」ニコニコ

モバP「ん、あぁ……」

ちひろ「ご飯の支度にはまだ早いですねぇ?」ニヤニヤ

モバP「ちひろさんキャラ変わってませんか?」


薫「あ!あとね!あとね!肇さんに乗って川をくだる?っていうのも面白かったよ!」

肇「あっ、薫ちゃ――」

モバP「……そっかー、楽しかったかー」ニコニコ

薫「うん!すごかったよー!ビューンって!」

肇「」

モバP「……肇、ちょっと」

肇「うぅ……はい……」ショボン


薫「?せんせぇどうしたの?」

ちひろ「さぁ?次のお仕事の話じゃないかな?」



モバP「誰かに見られてたりしなかったか?」

肇「だ、大丈夫ですよ、スタッフさんも知ってる方だけでしたし……」


多くの聖獣、霊獣、神獣がろりk――もとい子供に対して友好的な例に洩れず

溺れている子供を助ける事が多いが、姿を表す事は稀な一族

四聖獣の内、東を司る青龍もこの一族の出身である



『龍【リュウ】』オシマイ


『セイレーン』


西洋に伝わる海の怪物で、半人半鳥の姿をしている

その美声で多くの船乗り達を魅了しては船を遭難させ、食い散らかしたという


――某日・キッチンスタジオ


宮本「フンフンフフーン♪」

清美「……」カチャカチャ

泰葉「……」カチャカチャ

乃々「……」カチャ

夕美「……」カチャカチャ

宮本「フフンフー♪」


<ガチャ


音葉「ショオオオオオオシュウウウウウウリイキイイイイイイイイイイイ!!」


宮本「……」

音葉「……」


宮本「……」ダッ

音葉「……」ダッ


<ドタバタドタバタドタバタ


<フーレーデーリーカー!!

<ショオオオオオオシュウウウウウウリイキイイイイイイイイイイイ!!


<デデーン

李衣菜「ぜーいん、アウトー」


日本近海で活動していた所、天照大御神に目を付けられてスッゴイ日照りで焼き鳥寸前にされるまで懲らしめられた

それ以来悪さを止め、その美声を活かした仕事に精を出しているという

なお、何故かマーメイドと混合されるのが目下の悩みだとか


『セイレーン』おしまい


<ガチャ


清美「!」

泰葉「!」

乃々「!」

夕美「!」


愛海「ヒィーハァー!!」



全員揉まれた

音葉さんとフレデリカさんも揉まれた

ひとまずここまで。リク消化しきれるかなぁ

・一本だたら
・ろくろ首
・蛤女房
・牛鬼
・百目鬼
・土蜘蛛


『化け狐【バケキツネ】』


狸と狐は古くから人間に化けると伝えられ

その多くは名有りの妖怪として有名である


――某日


ちひろ(『九尾狐』……あ、コレは有名なヤツだよね)

ちひろ「……もしかして……」チラッ

朋「あ、そろそろ行ってきますね!」

ちひろ「あ、はい、行ってらっしゃーい♪」

周子「……」ジーッ

紗枝「……どないしはりました?」

周子「んー?なーんでーもなーい♪」ギューッ

ちひろ「……」ジーッ

紗枝「んもう……ま、言いたくない事もありますやろしええどすけどぉ?」

周子「拗ねないでよー。シューコちゃんには秘密が沢山あるのだっ」

周子「そんなアタシに何か用かなちひろさん?」クルッ

ちひろ「うへっ!?」ガタッ


周子「いやぁ、さっきから随分無遠慮な視線を投げかけてたからさー」

ちひろ「ご、ごめんなさい……ちょっと気になった事があって……」

紗枝「なんどすか?」

ちひろ「あ、いや、ホントどうでもいい事かもしれないんだけど……」

ちひろ「周子ちゃんの尻尾って何本なのかなぁ、って」エヘヘ

周子「それ割とどうでもよくないタイプの質問だよ?」

ちひろ「へぇ?」

紗枝「妖狐は位が高いほど、尻尾の数も増えていくんどす」

ちひろ「そ、そうなの……?」

周子「そーなの。だから、アタシに取っては大事なステータスなんだ」

ちひろ「ご、ごめんなさい……私ったら知りもしないで失礼な事を……」オロオロ

周子「いいよいいよ、知らなかったんなら仕方ないもんね」

周子「そんなちひろさんには特別に、尻尾を見せてしんぜよー」

ちひろ「ははーっ」

紗枝「ノリのええ方どすなぁ」クスクス


ちひろ「わーすっごいふかふかー……」モフモフ

紗枝「ふふ……小さい頃は、よぉこれを枕にして寝てたんを思い出しますわぁ」モフモフ

周子「そうそう、夏場は暑いからすぐ起きて、また寝てたんだよねー」ニコニコ

紗枝「は、恥ずかしいわぁ」ポカッポカッ

周子「HAHAHAHAHA」

ちひろ「HAHAHAHAHA……あら?八本?」

周子「ん?そうそう、シューコちゃんは八尾狐なのだ」

ちひろ「九尾狐まであと一歩、って事?」

周子「そーそー、でもさすがにそう簡単に位が高くなる訳ないしさー」

ちひろ「へーぇ……」

紗枝「……」


紗枝(ウチの見つけたこの勾玉が、その最後の一本やいうんは……)


周子「どったの紗枝はん?」

ちひろ(ヤバイ周子ちゃん独占し過ぎちゃったかも)

紗枝「……いえ」

紗枝「なんでも、ありまへん」ニコッ


なお、化け狸は化ける事自体が好きで化けるのに対し、化け狐は人を誘惑して利を得ようとして化ける

美人が多いのもそのためだとか

ある男を誑かそうとして天然系ドジっ子型後輩キャラを演じていたつもりが、すっかりそのキャラから抜けられなくなるなど

どこか詰めが甘い事が多い



『化け狐【バケキツネ】』おしまい

妖狐の尻尾に関しては諸説あり、九尾が最高でそれ以上増えないとも
九尾まで増えた後、今度は色が変わって減っていくとも言われております
個人的には後者の方が好きですね。面白い


『悪霊【アクリョウ】』


何らかの無念を残して亡くなった者の魂が霊として現れる事がある

それが生ける者達が無意識に放出した負の念によって、害をなす存在へと変化したモノ


――某日


周子「PさんPさん、ちょっといい?」

モバP「んー?どした?」ッターン

周子「いや、朋ちゃんの事なんだけどさ……何か最近ヘンじゃない?」

モバP「うん?……あ、そういや最近パワースポットによく行ってるそうだ」

モバP「今度のライブが成功するようにって願掛け……どした?」

周子「ん?んーん、そーゆーことならいーんだ」

モバP「?」


――某日・某所


朋(ライブまであと数日……練習もしっかり仕上がってるし体調もバッチリ)

朋(でも、やっぱり不安だし……いつまでも神頼み占い頼みって訳にはいかないけど)

朋(今日のココでパワースポット巡りは最後にしよう!)




朋「なになに……この岩を撫でればいいのかな?」

朋「……あれ?」

朋(この本違う!)

朋(パワースポットじゃなくて、心霊スポット特集だわ!)


この地に足を踏み入れてから感じていた感覚が、急に強くなる

周りの空気が、自分を押しつぶしてくるかのように重く感じられ、身体が緊張で強張る

身体が、動かない

(あ、あれ?金縛り?)

呼吸が浅くなる。さっきまでうるさいくらいだった木々のざわめきが遠ざかっていく

がさり

急に背後から物音が響くが、振り向く事が出来ない

がさり

どうして木々のざわめきが聞こえないのに、この音だけクリアに聞き取れるのか

がさり

(ふ、振り向いちゃダメ!)

がさり

本能的に振り向いてはいけないと悟った。しかし、金縛りにあっている今

背後から近付いてくるソレに、ただただ怯える事しかできなかった。

がさり


(きょ、今日の運勢大凶なのに出掛けるんじゃなかった!私のバカァ!)

がさり

背後からの気配が、段々と濃くなってくる

(えー、えーとえーとなむあみだぶつなむあみだぶつ!!)

ギュッと目をつぶるが、それはただ、視界を無くした事で他の感覚が研ぎ澄まされてしまっただけだった

がさり

背後からの気配が、近い

「せっ!」

「朋、大丈夫か!?」

フッと、さっきまでの空気が一変する

聞きなれた人の声、ざわめく木々の音

金縛りが、解けた


――


朋「あの、なんで皆ココに?」

モバP「あぁ、最近朋の様子がおかしいって周子から言われてな」

紗枝「心配になって、後をつけさせてもらいましたんどす」

周子「まぁ案の定、憑きモノだったみたいだね」

朋「つきもの?って?」

周子「悪霊に取り憑かれてたんだよ。今までホラ、パワースポット巡りしてたでしょ?」

朋「え?あ、うん……でもパワースポットって運気を上げる――」

周子「うん、まぁ、それはそうなんだけどさ」ポリポリ

周子「そこで不安を拭い切れずに、次のスポット巡っちゃってたワケじゃん?」

朋「う……」


モバP「パワースポットにしろ寺や神社にしろ、不安を持った人が集まる場所だから……」

モバP「その不安に引かれて悪霊が集まるんだ」

朋「……えぇっ!?」

周子「あぁ、大丈夫。敷地内には入れないよ」

紗枝「でもその分、出てきやはる人に取りつきますんやろ?」

周子「そのとーり。例えば――」

モバP「不安を取り除けないまま敷地から出てきた人、とかな」

朋「」


朋「あ、その、あたし……」

モバP「……朋が不安に思ってたのは解ってたつもりだったけど、フォローできなかった僕の責任だ」

モバP「すまなかった、許してくれ」

朋「っ!プロデューサーが悪いんじゃないよ!あたしがもっとしっかりしてれば……」

モバP「いや、朋は――」

周子「はい二人ともそこまでー」

紗枝「こんなジメジメした場所でそんな話しとったら、また取りつかれてしまいますえ?」

朋「……そ、それもそうだね……」

モバP「……すまん」

朋「まぁ、でも、その……」

モバP「?」

朋「あ、ありがと……今度からはプロデューサーの事を信じるから……」


――後日・事務所


朋「プロデューサー!延長コード無い!?」

モバP「あぁ、確かこの辺に……って待て、まさか今日のラッキーアイテムじゃないだろうな?」

朋「その通り!今日蟹座最下位だったから早く!」

モバP「占いが悪いくらいで死にゃしないんだから落ち着いてくれ……」


モバP「って言うか延長コードどうすんだ?」

朋「えーっと……首に巻く、とか?」

モバP「斬新過ぎるわ」


ちひろ「へぇ、そんな事が……と、ところでそ、その憑き物はどうなったのかなー……?」ガクガクガクガク

紗枝「周子はんが美味しく頂きましたえ?」

周子「あんなの美味しくなーい!」


最近ではそもそも霊なのかどうかすら怪しいと言われ

生きとし生けるモノ全ての負の念が集まって出来たモノなのではないか、とも言われている


『悪霊【アクリョウ】』おしまい

本日はここまで

ふひひ☆さんも聖獣、霊獣、神獣の可能性がが微レ存?


『霊【レイ】』


亡くなった者の魂が、何らかの無念を持って現世に姿を現したモノ

しかし見える人が限られるため、無念を晴らしきれずに現世に留まるうちに悪霊になる場合が多い


――某日


小梅「……そ、それで、目を開けたら目の前に髪の長い女の子の霊が……」

ちひろ「ふ、ふふ……その程度なら耐えられるようになってきたよ……」カクカク

涼「ちひろさん、無理すんなって……」

小梅「そ、それでね、この話なんだけど……ぷ、プロデューサーさんの実体験なんだ」

ちひろ「ん、んん……そ、そうなんだ……」

小梅「こ、この女の子の霊は……ちひろさんも知ってるよ?」

ちひろ「えっ」

小梅「ふふ……」


――後日・事務所


ちひろ「――っていう話を聞いたんですけど、詳しくお願いできますか?」

モバP「あぁ、あの時は――」


連日残業+怪奇現象で心身共に参った状態で就寝



何となく気配を感じたら程なくして金縛り



何とか音を鳴らして目を開けると女の子の幽霊がいた。土足だったのに腹が立って怒鳴ったら消えた



翌日出てきた時は靴を脱いでた


モバP「――ってな感じで悪い子じゃなかったみたいなんで居座らせてたんですが……」

留美「男性の部屋に、幽霊でも女の子がいるのはどうかと思ってね。ウチの寮に引っ越してもらったの」

ちひろ「そうなんですか……あ、小梅ちゃんから私も知ってるって聞きましたけど?」

留美「?……そりゃ顔合わせてるわよ?」

モバP「名前も思い出せなかったみたいなんで、雪美って名前でウチに所属してもらってます」

ちひろ「ちょおおおおおお大丈夫なんですかそれ!?」

留美「今の所問題ないわ」

モバP「何が心配なんです?」

ちひろ「いえ、もう何でもないです……あは、あはははは……」


しかし、どれだけ現世に留まっていても悪霊にならない幽霊の方が多かったため

現在では幽霊と悪霊は別のモノである、と考えられ始めている


『幽霊【ユウレイ】』おしまい

ひとまずここまで。「ここはアメリカじゃねぇ」って怒鳴ってました。ハイ

>>474
フラミンゴじゃなくて孔雀ならそれっぽいですね。ローマ神話で聖獣扱いされてた気がしたんですが
ヘラ姐さん関係で御座いましたわ


『蛤女房【ハマグリニョウボウ】』


釣り上げられた蛤の妖怪が、釣った男に命だけは助けてくれと懇願する

男は渋々承諾して蛤の妖怪を海に帰し――

鶴の恩返しの元になった御伽話だとも伝えられている


――某日・ちひろの部屋


ちひろ「――次は麻理菜さんが……えっと、蛤の妖怪……?」パラ

ちひろ「蛤の妖怪なんているんだぁ……どれ検索検索ぅ……」カチカチ

ちひろ「……蛤女房?」


――後日


ちひろ「……あのぉ、麻理菜さん……」

麻理菜「ん?なぁにちひろさん?」

ちひろ「……あの、蛤女房って知ってますか?」

麻理菜「知ってるも何も、私の先祖よ?」

ちひろ「やっぱり……」

麻理菜「?」


ちひろ「……あの、味噌汁の隠しあj――「うわあああああああああああ!?」――ひゃっ!?」ビクッ

麻理菜「ばっ!いやっ!あれはあれよ!後になって変な人が書き足したの!!」

ちひろ「いやでも当時は貝類はそういう比喩で――「わあああああああああ!!」」

麻理菜「もうっ!いい加減にしないと怒るわよ!?」

ちひろ「ご、ごめんなさい!」

麻理菜「あ~もうっ……顔あつ……」プイッ


李衣菜「ネットの情報を鵜呑みにするのはよくありませんよね!」

モバP「李衣菜も気を付けろよ?」

夏樹「だな」

李衣菜「なんで私!?」


人間との混血が進んだ今では内陸部で生活している者が大半であるが、やっぱり海が懐かしいとか

得意料理はスープ類


『蛤女房【ハマグリニョウボウ】』おしまい


『幕間・神職』


――某日


ちひろ「そういえば、歌鈴ちゃんって巫女さん……だよね?」

歌鈴「ひゃいっ!」

ちひろ「なんでまたアイドル事務所に……?」

歌鈴「そ、その、神職なんだから怪異慣れしておくよう言われまして――」

茄子「お疲れ様ですー」ガチャ

歌鈴「ひゃあっ!?おおおおお疲れ様っです茄子様!!」ビシッ

ちひろ「」ビクッ

茄子「え~と……あのね?もうちょっと気楽にしてくれていいんですよ?」

歌鈴「ひゃいっ!」

ちひろ(クラリスさんもそういう理由なのかな?)


――女子寮の一室


杏「zzz……」

乃々「……」パラッ

クラリス「……」パラッ

クラリス「……」チュー ゴク

クラリス「……」フー ブクブクブク

由里子「クラリスさん、はしたないからやめるんだじぇ」パラ

クラリス「あら、失礼しました」

比奈「あぁっ!水滴が原稿にィィィィィッ!!!」



『幕間・神職』おしまい

本日はここまで
御伽話が加筆修正される大半の理由は、内容が官能小説だからだと言われておりますね
異種間恋愛モノ(R18)のご先祖様と言うかそのものズバリというか…先人ェ…


『牛鬼【ギュウキ】』


牛の頭に蜘蛛の様な数本の手足を持つ巨大な体躯の妖怪

海辺に現れては毒を吐いて海を汚し、人を喰い、見ただけで重い病に罹り

石臼で磨り潰して粉になるまで死なないといふ


――某日


ちひろ(ちひろです。昨日調べた牛鬼という妖怪が今目の前にいます)


芽衣子「やった~♪久し振りの地方ロケだっ!」

楓「旅に出ます……じゃあにぃ☆」

モバP「楓さん、無表情できらりのテンションで喋るのやめて下さい」

楓「えぇ~?ダメだったかにぃ?」

モバP「はいはい、んじゃお仕事の説明しますんで――」


ちひろ(この牛鬼という妖怪、RPGで例えると普通に戦っても勝てないタイプのボス)

ちひろ(別の場所にある心臓を潰すとか、特定のアイテムが無いと倒せない、そんなタイプの妖怪と言われていますが……)


楓「温泉……いいですね」

芽衣子「入浴シーン撮られちゃう……かな……」

モバP「その辺は向こうと相談かなぁ……悪いけど、あると思っといてくれ」

芽衣子「うぅ~……」


ちひろ(実はこの言い伝え自体は牛鬼の事では無く、姿の似た別の妖怪の事だそうです)

ちひろ(ではどんな妖怪なのか?本人に直接聞いてみましょう)


モバP「――説明はこんな所ですけど、何か質問は?」

楓「……あの、砂浜を歩く絵を撮りたいとの事ですが」

楓「海に入る時間はあるんでしょうか?」

モバP「えーと、撮影の合間なら大丈夫だと思いますけど、入れておきますか?」

楓「いえ、水着が必要かな、と思っただけですから。いらないならそれでいいです」

芽衣子「泳ぎに行くならもっと人数欲しいもんね~」

楓「……」

芽衣子「あ、いや、楓さんだけじゃ詰まらないって訳じゃなくて!!」

楓「えぇ、解ってますよ」クスクス

楓「あ、でも水鉄砲は持って行きましょうか」

芽衣子「それ結局水着いるんじゃ……」

モバP「ハメ外さないで下さいよ?」

楓「善処します」フンス


ちひろ「三人ともお疲れ様です、お茶どうぞ♪」

モバP「あぁ、今打ち合わせ終わったトコです。ありがとうございます」

芽衣子「ありがとちひろさんっ」

楓「ありがとうございます……ちひろさんちひろさん」

ちひろ「はい?」

楓「温かいお茶でほっとします」

ちひろ「あ、ありがとうございます」

楓「……」

ちひろ「あぁっ!ホットと温かいですねっ!あは!あはははは!」

モバP「ちひろさん、無理に付き合わなくていいですから」

芽衣子「こないだの千早ちゃんとのラジオは酷かったよね……」


――

春香「どうしたの千早ちゃん?」

千早「この前のラジオ収録で笑い過ぎて顔が痛いのよ……」

765P(向こうさんはテレビにすればよかったって悔しがってたなぁ)

――


ちひろ「ところで話は変わるんですけど、芽衣子ちゃんって牛鬼っていう妖怪なんだよね?」

芽衣子「そうだよっ!あ、ちゃんとした方の牛鬼だからね?」

ちひろ「そうそう、調べて見ても違う方の言い伝えばっかりで……よかったら教えてくれない?」

芽衣子「うん!いいよ!」

モバP「それじゃ、僕はデスクに戻りますね」

楓「……」ズズッ


芽衣子「何から話そうかな……まず、私達は人助けをするのが使命なんだ」

ちひろ「使命?」

芽衣子「うんっ。生まれたからには誰かを助けなきゃいけないって決められててね」

芽衣子「ただ、ご先祖様はその……自分の命の代わりに誰かを助けるって決められてたみたいなんだ」

ちひろ「命の代わり……って?」

芽衣子「うん。誰かを助けると、自分は死んじゃう決まり」

ちひろ「……」

楓「……」ズズッ


それで、ある時海で溺れた若者を助けた牛鬼がいてね

その牛鬼は当然、若者を助けた後に亡くなっちゃったんだけど

助けられた若者が、その牛鬼に礼も言っていない、恩返しをしたいって願掛けして

その願いを聞いた神様が優しい神様でね。牛鬼を少しの間だけ黄泉還らせてくれたらしいんだ

若者は大喜びして牛鬼を家に呼んでいっぱい御持て成ししようとしたんだけど

一族の掟を破ってしまったって思った牛鬼は若者に辛くあたって、自分を遠ざけようとしちゃった

でも、その時に牛鬼の事を知った若者は、今度は神様相手に怒り始めたんだ

――こんな辛い業を背負わせるなんてあんまりだ

ってね


これを聞いた神様も前々から牛鬼に同情してたんだけど、立場上何度も同じ人の願いを叶える訳にいかない

だから若者に、牛鬼の為に自分の命を差し出せるかって聞いたんだって

若者は一も二も無く差し出せるって答えて、海に身を投げ出しちゃった

これを察した牛鬼が大慌てで若者を助け出したのを見て、神様はこう言ったんだって

―― 一人の牛鬼から二度も魂は取れません


芽衣子「――そうして二人は、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし」

楓「……」グスッ

ちひろ「……良い話ですね」グスッ

芽衣子「うんっ。それで、これは私の夢なんだけど……」

芽衣子「もっと徳を積んで神様の傍に行けたら、さっきの話に出てきた神様にお礼を言いに行きたいなって」

芽衣子「……ちょっと、恥ずかしい夢だけどねっ」アハハ

ちひろ「いや、芽衣子ちゃんなら叶えられるよ、絶対」

芽衣子「そ、そうかな……いや、そんな真剣な顔されるとなおさら恥ずかしいんだけど……」


――

天照大御神「だってさ!」

綿津見神(ワタツミノカミ)「楽しみで御座いますね」ニコニコ

――


『牛鬼【ギュウキ】』おしまい


『夜雀【ヨスズメ】』


夜に山を歩いていると、雀の鳴く声がする

山を過ぎるまで鳴き声は後を追うように続き

山を過ぎたら聞こえなくなったといふ


――

ちひろ「――って話でしたけど?」

楓「えぇ、私も山霊ですから……乃々ちゃんに似てますね」

芽衣子「でも楓さんの場合、悪い事から守ってあげてるんだよね?」

楓「えぇ、だから今度のロケも大丈夫ですよ」クスッ

ちひろ「……あ、もしかして楓さん、酔った時によく舌打ちしてるのって……」

楓「……チッチッチッ♪」

ちひろ「アレやめて下さいよ!無表情でやるからスッゴイ怖いんですからね!?」

楓「チッ」

ちひろ「やめて!」


厄から人を護る山霊であり、声だけで姿を見せないのが一般的

人間の姿に化けていても、舌打ちの癖は抜けないとか


『夜雀【ヨスズメ】』おしまい

本日はここまで

私事を書くのはどうかと思うんですがこれだけ書かせて下さい
リストラされました

それは……気の毒に…………とり


『化物【バケモノ】』


――夢を見ていた

――僕は船に乗っていた

――轟く爆音と、高く大きく上がる水柱

――大きな揺れの中、僕は怒号を飛ばしていた


――そこは戦場だった


――某日


prrrrr


モバP「……ん……」ムクッ

モバP(何か変な夢を見たような……っと電話電話)

モバP「……はい、おはようございます」

瑠衣『おはようP君。急で悪いんだけど、君達の力を貸してほしい』

モバP「……事件ですか?」

瑠衣『そうだ。君達の管轄している地域でね。詳しくは本部に着いてから話すよ』

モバP「……わかりました。すぐに向かいます」

モバP(……事件?妖怪が人間を?それとも――)


――NIRO本部


モバP「――一日で五人、無差別ですか……」

瑠衣「あぁ。オマケに地域がバラバラでね……誰の仕業なのか、仲間達に聞いても解らないんだ」

瑠衣「そこで、卯月君やマキノ君の力を借りたいと思ってね」

モバP「わざわざ僕を通さなくても結構ですよ?」

瑠衣「君の管轄だからね。じゃあ卯月君に電話しておくよ」

モバP「マキノの方には僕から……あと、資料は持ち帰っても?」

瑠衣「あぁ、頼んだよ」

モバP「はい、では失礼します」

モバP(……都も呼んでおくか)


――事務所


ガチャ


モバP「はい……はい……そちらはメールで送って下さい……はい、では失礼します」

ちひろ「……?どうしたんですか?」

モバP「NIROの仕事ですよ……留美さんは?」

ちひろ「留美さんなら、さっき少し遅れるって電話が――」


ガチャ


留美「おはよう、遅れたわ」

モバP「僕もちょうど来た所です。じゃあマキノの所に」

留美「ええ」

ちひろ「ちょ、ちょっと、何があったのか説明して下さいよ!」


ちひろ「――無差別襲撃……」

モバP「被害者は全員、魂を抜かれたように無気力な状態だそうです」

留美「目撃証言無し、地域はこの辺り一帯でバラバラ、被害者に共通点無し……」

ちひろ「そ、それで犯人は卯月ちゃんに聞いても解らない、と……ど、どうするんですか?」

モバP「犯人を探し出して、捕まえるだけです」


――モニタリングルーム


モバP「――という訳で、この時間にこの場所が映ってる監視カメラの記録を洗ってくれるか?」

マキノ「えぇ……全部監視カメラの範囲内ね。すぐに終わらせるわ」

ちひろ「監視カメラの記録って……だ、大丈夫なんですか?」

留美「あら、忘れたのちひろさん?NIROは警察とも繋がってるのよ?」

ちひろ「そうでしたぁ……」

マキノ「……出たわ。再生するわよ」

モバP「……何だこりゃ」

留美「機器の故障じゃないの?」

マキノ「いえ、右上の時間の所を見て下さい。ちゃんと動いてます」

ちひろ「じゃあ、なんで……」

ちひろ「なんでさっきまで歩いてた人が、いきなり倒れてるんですか!?」


マキノ「コッチが聞きたいくらいよ……人が倒れる時は、倒れるまでの姿が映るはず……」

留美「けどさっきの映像にその姿は無かったわね」

モバP「……録画を止めない限り出来ない映像だな……他のカメラは?」

マキノ「えっと……見て、これが同じ時間の別のカメラの映像」

ちひろ「……普通ですね……」

マキノ「この時間だけ、これらの監視カメラの録画が止まった理由……」


<ガチャ


都「おはようございます!早速詳細を聞かせて下さい!」バーン

マキノ「あら、頼もしい助っ人だわ」

モバP「はいコレ資料。説明していくぞ――」

本日はここまで。今更ながらリクの中に天狗を入れ忘れている事に気付きました
>>179ごめんなさい

>>505-506
最後のとりが気になるとかこんなもん読む時間は睡眠時間に充てて体内時計調整しなさいとか色々言いたいですけれども
ありがとうございます!愛してる!キラッ☆


『百々目鬼【トドメキ】』


両手に百もの目を持った鬼

藤原秋郷によって討伐されたかに思われたが、一命を取り留め若い娘の姿に化け

周囲の寺を焼き滅ぼそうと悪事を働いていた所を僧に見破られ、説法を受けて改心したと言ふ


都「――むむむ……コレは難事件ですね……」

都「しかし!この名探偵ミヤコにお任せ下さい!マキノさん!」

マキノ「ええ、この地域の監視カメラが設置されていない範囲に色を塗って置いたわ」ハイ

都「流石ですね!ありがとうございますっ!」ペコリ

都「あ、それとプロデューサーさんは卯月さんに、次の被害者を聞いてみて下さい」

モバP「次の……そうか」ポパピプペ

都「留美さんは……」

留美「えぇ、この地域の九十九神達に注意をしてくるわ」

ちひろ「……あの」

都「はい、何でしょう?」

ちひろ「卯月ちゃんに聞くなら、次の犯行時刻と場所も聞いておいた方がいいんじゃ?」


都「ちひろさん……残念ながら、卯月さんは『決まっている事』しか答えられないんです」

ちひろ「え?いや、だから、次の被害者が判るならそれも解るんじゃ?」

マキノ「それは無理よ。犯行に及ぶ時間と場所を決めても、それと一寸違わず実行する事はまず不可能」

都「特に時間ですね。何時何分何秒と犯人が心に決めていても、実際は数秒の誤差が起こっちゃいますから」

マキノ「そう。そこまで決まっている事が誤差なく行われる事が確定した時に、初めて怪人アンサーは答えられるの」

ちひろ「そ、そうだったんだ……」

モバP「……都、次の被害者のリストが上がったぞ」

都「犯人は既に襲う相手を決めている……しかし被害者に共通点は……」ブツブツ

都「……あ、すいません!じゃあ被害者にボディガードを手配しなきゃですね!」

モバP「この後本部に報告に行くから、その時に頼んでおく」

都「はい!お願いします!」


都「さてちひろさん、私達は外回りですよっ!運転お願いします!」

ちひろ「へ?」

都「カメラは誤魔化せても、私の眼は誤魔化せませんからねっ!」

モバP(張り切ってんなぁ)


――街中


都「……まずはここですね」ペタッ

ちひろ「ねぇ都ちゃん、それ何を貼ってるの?」

都「……?プロデューサーから聞いてないんですか?」

ちひろ「えぇと……あ、プロフィール事務所だわ……」

都「やっぱり教えてなかったんですね……私は百々目鬼という鬼の一族なんです」

ちひろ「とどめき?」

都「百目、と言った方がいいでしょうか?」

ちひろ「あぁ」ポン


都「私達一族は元々千里眼の持ち主なんですが、こうして色んな物を自分の『眼』にする事も出来るんですよ」

都「……本当は狙われている人の私物に付けられるのが一番なんですが……」

ちひろ(なんかさらっと言ってるけどスゴイ能力なんじゃ……)

都「さぁ!次に行きましょう!」ガチャ

ちひろ「えぇ!」ガチャ


その後、その僧に仕える事で徳を高めた百々目鬼は

千里眼を以て山の上から村々を見渡し、いざこざがあれば仲裁に向かっていたという

人間との混血が進んだ現在でもその血は濃く、無機物有機物問わず自分の眼を付ける事も出来るようになっている


『百々目鬼【トドメキ】』おしまい


――NIRO本部


モバP「――以上です」

瑠衣「うん。ボディーガードに関してはこちらから手配しよう」

優「しっかし、相手が出て来るまで何も出来ねェってのは気にくわねェなァ」

舞那「同感。アンタと同じってのは悔しいけど」

優「あァ?やんのかテメェ?」

舞耶「何よ?」

瀬那「二人ともやめなさい……まったく……」

優「……チッ」ガタッ

瀬那「どこに行くの」

優「どぉせボディーガードやらされんだろォ?早い方がいいじゃねぇか」

優「……だが予定じゃ五人、オレ達だけじゃ足りねェ。アイツら人間にも任せられねェ……どうすんだ?」


舞那「えぇと、姉さんと私と優と瑠衣と……あと一人か」

瀬那「……瑠衣はここから離れられないでしょ」

舞那「あ……そっか」

瑠衣「私も動ければいいんだけど……」

サラ「……」ニコッ

瑠衣「……ごめん。無理そうだ」

モバP「それなら――」

優「もちろんテメェがやるのもナシだぜ『人間』」

優「だからってテメェんトコのアイドルから出すとか言ってみやがれ」

優「……ぶっ殺すぞ『プロデューサー』」

モバP「……すまん」

鈴「あっ!あのぅ!それなら私が!」

優「テメェに何が出来んだよ」

鈴「う……わ、私だってカゲヤシです!」


優「相手の正体も判ってねェんだぞ?」

鈴「そ、それは皆さんも同じじゃないですかっ!」

優「オレ達は早々死にゃしねェ……眷属だからなァ」

鈴「う……で、でもっ、でもっ」グスッ

優「……死ぬかもしんねェんだぞ?」

鈴「……わ、わかってます!そ、それでもっ!」

鈴「それでも私だってNIROの一員なんでふっ!?」ガリッ


鈴「うぇ~……舌噛んじゃったよぉ~」エーン

優「……チッ」


優「……わかった……」

鈴「ふぇ?」

優「わかったっつったんだよ」

優「但し、相手を倒そうなんて考えるんじゃねェぞ」

鈴「……!はいっ!」

瀬那「決まりだね。じゃあ担当を決めて行こうか」

舞那「そういう訳だ。オマエはもう帰っていいぞ」

モバP「えぇ、では失礼します」

瀬那「舞那、言い方」

舞那「え?」


<バタン


モバP(さて、一旦事務所に戻って……)

「やぁ。久し振りだね」ヒョコ

モバP「うわああああああ!?びゃ、白虎様!?」

留美「ごめんなさい……止めたんだけど……」

白虎「コッチでも問題になっててね。調査員としてやって来たよ」

モバP「ソッチって……神様が干渉していいんですか?」

白虎「ん?コレはあくまでボク達聖獣の独断だよ」

白虎「見てるだけだから何も問題無い。いいね?」

モバP「……はぁ……それともう一つ……」

白虎「何だい?」

モバP「その身体はどうしたんですか?」

白虎「あぁ、なんだか妙に波長の合う子だったからね。身体を貸してもらっているんだ」


白虎「ボクの正体も明かした上で頼んだら、快く願いを聞いてくれたよ。どこかの神様も見習って欲しいね」

留美「白虎様、黒いです」

モバP「はぁ……身元は判ります?親御さんに連絡しておかないと……」

白虎「あぁ、名前は依田芳乃。歳は――」

本日はここまで。アイドルギャラリーの演出がいつの間にか変わってたんだけど、あれシャッフル表示にしてもいいと思うんだ


北田瀬那
ttp://i.imgur.com/sLi4Dry.jpg

北田舞那
ttp://i.imgur.com/STrteDp.jpg

>>527
>優「……だが予定じゃ五人、オレ達だけじゃ足りねェ。アイツら人間にも任せられねェ……どうすんだ?」
>予定じゃ五人
> 五 人


瀬那、舞那、優、鈴、うん四人だね。オジサン数数えも出来なくなったね死にたいわ


『異世界【イセカイ】』


自分がいる世界とは別の世界。天国と地獄、あるいは神界の他

並行世界、パラレルワールドなども含まれる


――モニタリングルーム


<ガチャ


モバP「ただいま。どうだ?」

都「……」ブツブツ

マキノ「お疲れ様。今の所動きは無いみたいね」

都「……」ブツブツ

モバP「みーやこー?アンパン買ってきたぞー?」

都「あ!お疲れ様ですプロデューサーさん!流石解ってますね!」

モバP「マキノも、ホレ」

マキノ「……コレも張り込みって事なのかな……」

モバP「まぁ、そうなんじゃないか?」

都「いただきます!あむっ……」


――

目の前を、壁が遮った

誰かがその壁を抑えているのが見えた

何が起きたのか考える

次の被害者と思われる人物の尾行をしていた

周りの灯りも人も消え、黒い霧に囲まれた

熊の様な化物に遭遇した

倒そうとしても手に負えなかった

逃げようとしても足が動かなかった

背後から短い悲鳴が聞こえて我に返る

そうだ。ひとまずはこの人間を安全な場所に――


「リューヌ!」


壁を抑えていた少女が叫ぶと同時、壁が二つに割れた

と思ったら今度はグローブのように少女の両腕を包むように変形する


「だるぁああああああああ!!」


力任せに放った一撃が化物の頭に命中する。頭を砕かれた化物が『消えた』


「ふぅ……あ、大丈夫か?」


気が付くと霧は晴れ、周りの灯りも点いていた

化物を倒したのは、ジャージ姿の少女

両手を覆っているグローブを見て、思わず身構える


「……あ、味方だから心配すんな」


そんな私を見て、少女は両手を軽く上げる


「……信用出来ない」

「んだよぉ、せっかく助けてやったのに」

「……それは、感謝してるけど。オマエは何だ?」

「ん?あー……ま、魔法少女、ってヤツだ」

「はぁ?」


思わず声を上げてしまった


「魔法少女ってアレじゃないのか?スペシウムなんとかーって光線出して悪いヤツをやっつける――」

「スゲェなコッチの魔法少女。それ絶対違うヤツだろ」

「どう見たって今のはただ殴っただけだろう。アタシでも歯が立たなかったのに……」

「んな話はどーでもいいんだよ。他のヤツらがどうなったか――」


コイツ、仲間がいるのか

こんなのが後何人いるんだ勝てないぞ


「――あぁ、そーいや自己紹介がまだだったな。アタシは奈緒ってんだ」


ナオ?

そーいえば何となくとっかで見たような気が

目つきとか顔つきとか違うような気がするけど


「あ、オマエ神谷奈緒じゃないか?」

「あぁ?コッチの世界のアタシと知り合いなのか?」

「はぁ?」

「いや、それは後で聞くからいいか。で、アンタは?」

「……舞那。北田舞那」


――NIRO本部


瑠衣「……異世界からの怪物か……」

ナナ「はい。ナナ達はその怪物を倒す為に、コチラの世界に来た異世界人です」

瑠衣「異世界人……」

サラ「そう言われましても……渋谷様、北条様、神谷様、佐久間様……では無いのですよね?」

リンリン「……?……あ、そっか。コッチの私は渋谷凛なんだね」

レンレン「まぁ、普通信じないよね」

ナオナオ「本人連れてきた方がいいんじゃねーか?」

マユリン「そうですねぇ……この世界の自分とお話もしてみたいですし……」

優「……オイ」

マユリン「はい?」


鈴「リボンコワイリボンコワイリボンコワイ……」ガクガク

優「テメェ鈴に何しやがった」

マユリン「い、急ぎ過ぎて怪物の頭をグシャッと……」

ナオナオ「何スプラッタな事してんだよ……」

舞那「オマエもだろ」

リンリン「私としてはそれよりも――」チラッ

あやめ壱・弐・参・肆・伍「「「「「なんでしょうか?」」」」」

リンリン「この五つ子達が気になって仕方ないんだけど」

瑠衣「あぁ、それは誰が誰を護るか話していた時に――」


――


モバP「やっぱどう考えても一人足りないじゃないですか!!」バンッ

白虎「いやぁーツッコミ無かったから秘密にしておこうと思ったんだけどね」

留美「白虎様、それ以上いけない」

モバP「という訳であやめの分身なら本人へのダメージもありませんから、使ってやって下さいね!」


――


瑠衣「――という事があってね」

リンリン「分身なんだ……カッコいいね」

あやめ壱・弐・参・肆・伍「「「「「忍者ですからね!ニンッ!」」」」」

ナナ「ナナも最初見た時は何が何だか判りませんでしたよ……」ウフフ


瑠衣「それで……これから君達はどうするんだい?」

ナナ「この世界にいる怪物は討伐しましたけど、出入り口になる『門』の改造がまだ済んでいません」

ナナ「なので、それまでの間はコチラにいるつもりです」

瀬那「ちょっといい?その『門』の改造って何をしてるの?」

ナナ「怪物が入って来れないように、魔法を掛けてるんですよ。それさえ終われば、もうこんな事はありませんよ!」

瑠衣「なるほど。じゃあその間の衣食住はコチラで保証するよ」

優「……いいのかァ?」

サラ「よろしいので?」

瑠衣「恩人には違いないだろう?」

瑠衣「それに、他の世界の住人だなんて……何て言うのかな……ワクワクしてこないか?」

リンリン「ふふっ……アナタもそう思う?」


ナオナオ「どうしよう加蓮。あの人メンドそうだ」

レンレン「凛で慣れてるでしょ」

マユリン「凛さんみたいに押しつけがなければいいんだけど……」ハァ



『異世界【イセカイ】』おしまい

『化物【バケモノ】』おしまい


『幕間・蒼穹』


モバP「……でぇ」

瑠衣「うん」

モバP「何でウチに連れてきたんですか!」

瑠衣「ほら、ここならこの世界の事も説明しやすいかなって思ったんだ」

瑠衣「白虎様にも報告しておかなきゃいけなかったしね」

白虎「ありがとー。でもコレ、ボク達でもどうしようもない話だねー」ゴロゴロ

留美「白虎様、借り物の身体でゴロゴロしないで下さい」

白虎「おっとそうだった。馴染み過ぎてもダメだね」ムクリ


ちひろ「と、トライアドプリムスが二組……」

リンリン「あれ?お姉ちゃん?」

ちひろ「え?」

リンリン「あ、ごめんなさい。私は千川凛。コッチの世界だと、えーと、ちひろさんが姉なんだ」

ちひろ「そ、そうなんだ……」

凛「ふーん」(魔法少女なんだ……っていう事はもしかして私も……?)

ナオナオ「コッチもトライアドプリムスなんだな……なんか凛に変な事強要されてないか?大丈夫か?」

レンレン「そんなに蒼くなってないし大丈夫そうじゃない?」

加蓮・奈緒((やっぱ蒼いんだ))


『幕間・ so cute 』おしまい


――某日・事務所


まゆ「魔法少女……ですかぁ……」

マユリン「化け狸……」

まゆ「……」ジー

マユリン「……あ、あの、そんなに見られると恥ずかしいです……」

モバP(なにあのきれいなまゆ)

まゆ「……プロデューサーさん?今何か考えましたかぁ?」

モバP「いや何も」

ナナ「コホンッ……えー、そろそろ改めて自己紹介させて頂いても?」

モバP「あぁ、はい」


ナナ「ではまず私から……アンドロイドSR-Cu-t7e、安倍菜々といいますっ!」

リンリン「ナナとは違う世界から来た魔法少女、黒のトライアドプリムス筆頭!リンリンよ!」

レンレン「北条加蓮だよ。よろしく」

ナオナオ「神谷奈緒だ」

リンリン「なんでさ!三人そろって黒のトライアドプリムスってやりたいのに!!」

マユリン「さ、佐久間まゆですっ、よろしくお願いしますっ、あっ、魔法少女ですっ」

瑠衣「じゃあ次は私から。文月瑠衣だ。NIROの代表を務めているカゲヤシという妖怪だよ」

モバP「プロデューサーのモバPです」

ちひろ「事務員の千川ちひろです」

留美「和久井留美と申します。この辺りを担当してるぬらりひょんという妖怪です」

白虎「四聖獣の白虎だよ。よろしく……さて、異世界について詳しい話をお願いできるかな」


凛「……ねぇプロデューサー、私達は自己紹介しとかなくていいの?」コソッ

モバP「ん?あぁ――」

白虎「これだけ同じ顔が揃ってると混乱しそうだね。瑠衣さんと留美さんとナナさん、会議室に行こうか」


ちひろ「行っちゃいましたね……にしてもこう同じ顔が並んでると……」

モバP「えぇ、ある種壮観です」

あやめ壱・弐・参・肆・伍「「「「「そうですね!」」」」」

モバP「あぁ、もうその分身消していいからな」

リンリン「それで、この世界の私達の自己紹介は?」

凛「あぁ、それじゃ私から。渋谷凛。人間だよ、よろしく」

加蓮「同じく人間の北条加蓮だよ」

奈緒「名前も顔も同じなのに名乗る必要あんのかコレ……あ、神谷奈緒、口裂け女だ」

ナオナオ「口裂け女ァ?」

レンレン「まぁそれは後でいいじゃん。最後はまゆだよね」

まゆ「はい♪佐久間まゆ、化け狸ですよぉ」ピョコ

マユリン(あ、カワイイ)


モバP「ん、これで全員か」

ナオナオ「なぁなぁ、この世界は妖怪がいるんだよな?」

奈緒「あぁ、そっちの世界にはいないのか?」

ナオナオ「あぁ……にしても、異世界の自分が口裂け女とはねぇ……」

レンレン「っていうか口裂けてないよね?」

奈緒「本気出したら裂けるぞ?見るか?」

ナオナオ「いや遠慮しとく」

レンレン「あ、アタシはちょっと見て見たいかなー」

奈緒「……ん、じゃあちょっとコッチ来い」

レンレン「はいはいっと」

ちひろ「……」

モバP「……」

加蓮「思い出しちゃったよ……」

凛「やめて」

リンリン「?」


<ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


リンリン「!?」

ナオナオ「加蓮ってこんな叫び方すんだなー(棒)」


――数刻後


瑠衣「――という訳で、NIROも彼女達に協力する方向で行こうと思う」

ナナ「と言っても危ない事はさせるつもりはありませんので……」

ナナ「主に異世界間の交流に関する管理などを手伝ってもらう事になると思います」

モバP「あの、そんなに自由に行き来出来るもんなんですか?」

ナナ「いえ、そう簡単じゃないですよ?世界と世界の間にある『狭間』には普通の人は入れませんからね」

留美「それで私達、という訳よ」

白虎「あくまで偶然だけどね。その辺りの管理は神様に聞いてみないと分からないけど、ボク達がする事になると思うよ」

ナナ「えぇ、お願いしますね白虎様」

瑠衣「じゃあ私は本部の方に戻るよ。ナナさん達の住む場所も案内しないとね」

白虎「ボクも戻るよ。じゃあまたねー」

留美「白虎様、身体身体」

白虎「おっと忘れてた」

ひとまずここまで


――後日


依田芳乃「改めましてー、わたくし依田は芳乃でしてー」

モバP「あぁ、今日からよろしくな」

ちひろ「よろしくお願いしますねー♪」

ちひろ「えぇと、NIROデータベースから登録して……」カタカタ


<ガチャ


ノヴァ「見つけたわよ」

芳乃「あぁー……見つかってしまいましたかー」

モバP「失礼、どちら様ですか?」

ノヴァ「私はノヴァ、世界の狭間の番人よ。それよりその子を連れて行っていいかしら?」

留美「……アナタが狭間の番人かどうか確認してからよ」

ノヴァ「面倒ね……『元に戻りなさい』」

芳乃「あらー……」


モバP「……何をした?」

ノヴァ「簡単な事よ。この子についてもう一度調べてみれば解るわ」

留美「どういう事?」

ちひろ「あ……ふ、二人ともコレ!!」


――

NIROデータベース 検索結果:0件

検索ワード 依田芳乃 に関する情報は登録されていません

――


モバP「……どういう事だ?」

ノヴァ「異世界からの迷子よ。この子が門を開けてしまった為に、この世界に化物が入り込んだ」

留美「……という事は……」

ちひろ「帰る場所が無いって事ですか?」


芳乃「えぇー、わたくしのヤシロは既に無くー」

ちひろ「ヤシロ?」

留美「……ちひろさん、それより彼女が今回の騒動の引き金みたいだけど……」

芳乃「それについてはー、大変申し訳無く思っている訳でしてー」

芳乃「門に術を施すほどにー、わたくしの力も残っておりませんのでー」

ノヴァ「門は入ってから封印するつもりだった訳ね……それで、どうしてこの人達を騙したの?」

芳乃「それはー……わたくしが異界の神ですが故にー」ショボン

ノヴァ「……」

モバP「異界の神って……」

ちひろ「か、神様……」

留美(神様と直接触れ合うとか私明日にでも死ぬかも)


モバP「えぇと、その、つまり、依田、様は異世界の神様で……」

モバP「そっちを追い出されてここに迷い込んだ、という事ですか?」

芳乃「追い出された訳では無いのでしてー」

ノヴァ「この世界のあなた達なら解るでしょう?忘れられた者がどうなるか」

モバP「あっ……」

ちひろ「じゃあ、忘れられた神様……」

芳乃「……」ジワッ

ちひろ「あああああああいやいやいやいやごめんなさいごめんなさい!!」

モバP「神様泣かすとか何してんだ千川ァ!」

留美「ちひろさん、減給ね」

芳乃「大丈夫でしてー、な、泣いてませんのでしてー」ゴシゴシ

ノヴァ(面白いわね)


芳乃「そこでお願いなのですがー……」

モバP「もしもし代表ですか。異世界からの神様が迷い込んでいたのでこちらで保護しました」

モバP「詳しい話はまた後日しますがウチに登録しておいて大丈夫ですか?大丈夫ですね?大丈夫以外ありえませんね?」

留美「ちひろさんは依田様のプロフィール作成急いで。私は社の建設を荻原組に掛け合ってくるわ」

ちひろ「じゃ、じゃあ依田様、こここちらの用紙にききき記入をお願いしまふっ!」

芳乃「……ほー?」

ノヴァ「……あら、私から頼もうと思ってた事をしてくれるなんてね」

モバP「はい、はい、ではまた……依田様、ご心配無く。コチラの世界で受け入れ態勢を造りますから」

芳乃「……」ポカーン

モバP「あ、ですが我々人間と九十九神と一緒になってアイドルとして活動して頂く事になりますが……」

モバP「その、大丈夫でしょうか……?」

芳乃「……なんという僥倖でしょうかー……」


芳乃「いえ、偶然では無いのでしょうー」

芳乃「そなたに必要だから芳乃がまいったのでしてー、そこに理由などー……」

モバP「えぇと……」

ノヴァ「一件落着ね……アナタ、その子の事をよろしくね」

モバP「えっ?」

芳乃「ではこれから、よろしくお願いしますー」ペコリ

モバP「ああああああ頭なんか下げなくて結構ですから!結構ですから!」

芳乃「そうですかー……ではもう一つー」

芳乃「わたくしの事は芳乃、と御呼び下さいませー」

モバP・ちひろ「「出来ません!」」


『奇異怪々』おしまい


『天狗【テング】』


「人にて人ならず、鳥にて鳥ならず、犬にて犬ならず、足手は人、頭は犬、左右に羽根はえ、飛び歩くもの」

山の神とも災いをもたらす妖怪とも言われている


――某日


モバP「……」カタカタ


<ガチャ


蘭子「闇に飲まれよ!」(お疲れ様です)

モバP「おはよう蘭子」

ちひろ「おはよー蘭子ちゃん」

蘭子「ふむ、我が行くべき道は……」(えっと、今週のスケジュールは……っと)

蘭子「あぁ、時に我が友よ。我が父から文を預かって来たぞ」(あ、そうだプロデューサー。お父さんからコレ預かって来ましたよ)

モバP「あぁ、ありがとう……何だろ」カサッ

ちひろ「蘭子ちゃんのお父さんって大天狗様ですよね?また山の清掃活動の誘いじゃないですか?」

蘭子「しかし彼の者の身体は既に……」(こないだそれで腰をやってたからそれは無いと思いますよ?)

モバP「今度お見舞いに行くか……あ」

ちひろ「何て書いてあるんです?」ヒョコ

蘭子「?」ヒョコ


モバP「……」

蘭子「……」プルプル

ちひろ「……娘のグラビアがけしからんからああいう仕事は減らせ、と……(意訳)」

モバP「……まぁ、他の親御さんからも言われる事ですけどね……」アハハ


蘭子「……もしもしお父さん!?何あんな手紙書いるの!?見た?じゃないよもう!」

蘭子「……私の為私の為ってそれでプロデューサーに迷惑掛けてどうすんのさ!」

蘭子「……もう知らないっ!お父さんのばかっ!」

蘭子「……う~……」

モバP「あぁこら、大天狗様だって蘭子の事が心配で――」

蘭子「そんな事は解ってるのっ!」プイッ

モバP「あぁ、こりゃしばらくご機嫌斜めそうだな……」


その正体は長年生きて妖怪となった鳥が位を高めた山神の一族

現在では人間との混血も進んだが、背中に生えた羽根で飛ぶ事は出来る


『天狗【テング】』おしまい

本日はここまで。まだもうちょっと続きます

・一本だたら
・ろくろ首
・土蜘蛛

前回のリクエストで残ったこの三つですが、一本だたらと土蜘蛛だけはどうしてもピンとこないので書けそうにないです
本当に申し訳御座いません
代わりと言っては何ですが、残りでまたリクエスト取って書こうかなと思っています

あとfigma蘭子買った人出て来なさい。幸せおすそ分けしやがって下さいプリーズ(土下座)

さて本編も一旦終わりを迎えましたので、これ以降はオマケとなります
これまで以上に何でもアリになるのでご了承下さいませ


『幕間・世界レベル』


ヘレン「ヘーイ!」

金剛「ヘーイ!」

モバP「っ!」ガバッ

モバP「……」

モバP(夢か)ハァ


『幕間・世界レベル』おしまい


『ろくろ首【~クビ】』


首が伸びる女の姿をした妖怪

中には首が取れて頭だけで飛び回る者がいたとも言われている


――某日


麗奈「ふ、ふふふ……遂にこの日がやってきたわね……」

ちひろ「だ、だからって前と同じイタズラは……」

麗奈「いいのよ!まだアイツ本人は引っかかって無いからノーカンよ!」

ちひろ(留美さんはみくちゃんを連れて異世界の調査に行っちゃったし……)

ちひろ(あとこの事務所に来る予定があるのはプロデューサーさんだけ……)

麗奈「……よしっ!バケツセット完了よ!今日こそバケツを被ったマヌケな姿を晒すがいいわ!」

麗奈「アーッハッハッハッハッハhヴォェッ」

ちひろ「あぁまた高笑いするから」サスサス

麗奈「ヴォェッ」


<ガチャ


麗奈「きたわ!」


ポスン

奏「キャッ」

麗奈・ちひろ「あ」

ゴトッ

ゴロゴロゴロ

麗奈・ちひろ「」

奏「もう、麗奈ちゃんね。こういうイタズラをするのは……」

奏「……あら白目向いて気絶してるわ」


――


<ガチャ


モバP「ただいま戻りま……どうしたんです?」

奏「あ、お帰りなさいプロデューサー」

麗奈「ごべんなざい!ごべんなざい!」エグッエグッ

ちひろ「あ、頭だけのまま喋らないで!」

モバP「奏、やめなさい」

奏「はーい」

ちひろ「あぁもう寿命が縮む……」

モバP「麗奈もいい加減イタズラやめなさい。また奈緒に叱られるぞ」

麗奈「……うん」グスッ

モバP「それで、奏はどうしたんだ?今日はオフだけど」


奏「学校帰りに遊びに来たんだけど、思ったより誰もいなかったみたいね」

奏「せっかくだし、遊んでくれない?」

モバP「ちひろさんで散々遊んだでしょ」

奏「まぁ、確かにあの怖がり方は面白かったわね……」

ちひろ「ヒドイ!」

モバP「はいはい、まぁ最近あんまり話してなかったからなぁ」ナデナデ

奏「んっ……ふふ、そうよ。寂しかったんだから」

奏「このままキスしてくれたら、チャラにしてあげるけど?」

モバP「年頃の娘さんが軽々しくキスとか言わない」

奏「あ、出来れば頭だけ持ち上げてキスしてくれると――」ハァハァ

モバP「やめなさい」


漂流して流れ着いたデュラハンの一族であり

首だけで飛んでいたのは近所の子供と遊んでいた所を勘違いされた物だとか


『ろくろ首【~クビ】』おしまい


ちひろ「ところでデュラハンって、元々頭が無いって伝えられてますけど?」

モバP「伝説は伝説ですよ。みくだってそうでしょう?」

ちひろ「あぁ、そう言えば尻尾は一本ですもんね……」


――その頃の異世界


のあ「ねこみみメッチャかわいい!かわいい!」ギュー

みく「ゔに゙ゃあああああああああああ」バタバタ

みく「酒臭いにゃあああああああ!!」バタバタ


『ろくろ首のおまけ』おしまい


『新生メリーさん』


<バターン


メアリー「ダアアアアアアアアアリイイイイイイイイイイイイン!!」ダッ

モバP「あぁこらドアは静かに開けなさい。あと半袖は着ちゃダメだって何回も……あれ?」

メアリー「ふふふ♪判るかしら?」

モバP「無い!球体関節が無い!?」

ノヴァ「いつまでも造り物の身体では不便でしょう?」

メアリー「コレでアタシはもう一人前のレディーよ!コレからはセクシーなファッションで――」


モバP「なんで生身の身体なんか与えたんですか?」

ノヴァ「この私をプレッシャーだけで正座させるなんて、やるわねアナタ」バーン


モバP「いやでも本人の為を思えば……いやでも……」ブツブツ

メアリー「……ダーリンのお気に召さなかったかしら?」

モバP「いやそんな事は無いぞ?」キリッ

ノヴァ「そろそろ正座を解いてもいいかしら?足が痺れたのだけれど」ソワソワ


ちひろ(異世界と交流があっても、今日もここは平和です)ズズッ


『新生メリーさん』おしまい

ひとまずここまで


『負けた』


――某日・22:00過ぎ


ちひろ(あぁ帰り遅くなっちゃった……)トボトボ

ちひろ「あっ」ピタッ

ちひろ(……ここの公園通ると早いけど……暗いから嫌だし……)

ちひろ(でもさっさと帰って寝ちゃいたいし……うー……)

ちひろ(……大丈夫!私はあの茄子ちゃんが所属する事務所の事務員だから大丈夫!)

ちひろ(……大丈夫だよね?)


――公園


ちひろ「……」スタスタスタスタ

ちひろ(結局通る事にしたけどなんでこんなに暗いの広いの!)スタスタスタ


ガサッ


ちひろ「っ!」ビクッ

ちひろ「……お、おばけなんてうーそさ、おばけなんてなーいさ……」

ちひろ「怖くなんかなーいさ……」


シ ン


ちひろ(……早く帰る!)ザッ


??「うわん!」

ちひろ「うひょえわあああああああああああ!!」

??「!?」バタッ

ちひろ「何!?何!?……あら?」

??「きゅ~……」


――数刻後・公園のベンチ


清良「――ただ気絶してるだけですね」

ちひろ「よかったぁー」ホッ

モバP「――あぁ、ありがとう。ちひろさん、この子の事が判りましたよーっと」pi

ちひろ「あ、どうでした?」

モバP「『うわん』っていう妖怪ですね。家出の捜索願いが数時間前に出ていました」


――後日


美玲「あ、あの時はお腹が空いてただけだからなっ!」

美玲「別にオマエの声にビックリして倒れたワケじゃないからなっ!」ブンブン

ちひろ「えぇ、判ってるからその爪振り回すのやめましょうね♪」ニコニコ

美玲「何笑ってんだ!ホントに判ってんのかっ!」

輝子「……お、おはようござい、ます……」スゥッ

美玲「うわああああ!!」ビクッ

輝子「ヒャアアアアハアアアアアア!?」ビクッ

美玲「だから!いきなり出て来んのやめろよ!ビックリするだろ!!」ビクビク

輝子「ご、ゴメン……」

ちひろ「いきなり出て来るなって言う方が無理だと思うなー?」


モバP「賑やかなヤツですねー」カタカタ

留美「ウチらしくていいじゃないの」カタカタ

蘭子「……真なる聖衣よ……」(あの衣装可愛いなぁ)ジーッ


『うわん』


夜道を不用心に歩く者を叱る九十九神。三本爪が特徴的だが正体は不明

「うわん!」と叫んで相手を怖がらせて帰路を急がせるが

「うわん!」と叫び返されると、その気の強さなら心配無いと涙目でその場を立ち去る


『負けた』おしまい


『要沸騰石』


――六月某日・雨


<ガチャ


智香「おはようございます!」

ちひろ「あ、おはよう智香ちゃん」

モバP「あぁおはよう智香。ちょうどいい所に来てくれた」

智香「はい?」

モバP「ちょっと茜を元気付けてやってくれないか?」

智香「茜ちゃんですか?」


――談話室


<ガチャ


卯月「あ!智香ちゃん大変なの!茜ちゃんがブレイザーバルキリーみたいに!!」

ちひろ(ぶれいざーばるきりーってなに……)

智香「落ち着いて卯月ちゃん。あとブレイザーバルキリーって何?」

卯月「ええとね!マクロス7に登場する可変戦闘機なんだけど――って今はそれどころじゃないよ!」バン

智香・ちひろ((えぇー))

茜「あの、別に大丈夫ですから」ショボーン

ちひろ(大丈夫じゃなかった!)

卯月「大丈夫じゃないよ!いつものファイアーバルキリーな茜ちゃんはドコに行ったの!」

茜「いや、だからそのファイアーバルキリーって――」

卯月「マクロス7に登場する可変戦闘機なんだけど――って今はそんな事どうでもいいんだよ!」バン


ちひろ「ま、まぁまぁ卯月ちゃんその辺にして……」

智香「茜ちゃん、元気なさそうだけどどうしたの?」

茜「え?いや、そのー……」

ちひろ「あ、もしかして最近雨が続いてるから身体が鈍ってる、とか?」

茜「……」

智香「……ちひろさん、その、さすがにそれはちょっと……」

ちひろ「はい、ごめんなさい……」

茜「……どうして判ったんですか?」

智香「えっ」

茜「えっ」


――数刻後


茜「私間違ってました!!!どんな天気でも楽しめるようにならなきゃダメですねっ!!!」

智香「うんっ!雨の中でも元気が一番だよっ☆」

茜「ありがとうございます智香さんっ!!!てるてる坊主作ってきます!!!」ダッ


<ボンバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


卯月「ふふっ、茜ちゃんは元気だなぁ♪」

智香「うんっ、やっぱり茜ちゃんはこうでないと」


<アアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああ


茜「皆さんも一緒に作りましょう!!!」

ちひろ「その布どこから持ってきたの?」

茜「わかりません!!!!!!」

智香「よーしっ☆私も頑張るぞっ!」

卯月「私もやります!」


――数刻後


モバP「……でぇ」

ちひろ「あ、あはは……」

モバP「どうすんだよこの大量のてるてる坊主……」

ちひろ「じょ、女子寮に飾りましょうか……それでも余りそうですけど……」


茜「あ!雨上がってますね!!!!」

智香「てるてる坊主のパワーだねっ!」

茜「じゃあちょっと走ってきますボンバアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ダッ

智香「ファイトー☆」


モバP「……智香でも茜を抑えられないかぁ……」

ちひろ「雪も溶かして走る勢いですもんね……」


『雪男・雪女【ユキオトコ・ユキオンナ】』


豪雪地帯に住む山霊で、吹雪の中遭難している人を家に連れ込んでは暖かい飯を振舞うなどして保護していた一族

しかしその飯が美味過ぎた為にリピーターが殺到し、大量の遭難者を出してしまった事が原因で一時的に活動を停止していた

現在では人間との混血が進み、一族内ではどれだけ南に行けたかを自慢するのがホットな話題らしい


『要沸騰石』おしまい

ヤッター奏出たー
ありがとうございます

楓さんがどれだけ上手い事言っても放置して拗ね顔を眺めていたいPHAGEです。本日はここまで


>>593
その奏ちゃんをこんな扱い方してしまって申し訳ありませんでした。いや奏ちゃんだけじゃないけども


『圧政』


アヤ「へーえ、人間の身体かぁ」

メアリー「アヤに貰ったボディも良かったけど、メンテナンスが大変だったんでしょ?」

アヤ「そんな事気にしなくていいのに……にしても、だ」

アヤ「そのノヴァってヤツは何でも出来るんだなぁ」

モバP「ホントは神様か何かだったりしてな……」


――その頃の世界の狭間


ノヴァ「秘石、この魂に合う器を用意して頂戴」

青い秘石「オイ番人」

赤い秘石「三つもあるじゃないですか」

ノヴァ「アナタ達には朝飯前でしょう?それとも……」スッ

ノヴァ「お父様を殺そうとした件、忘れてないでしょうね?」

赤い秘石「喜んで引き受けさせて頂きます」

青い秘石「やるからその金属バットは降ろせ。な」


『圧政』おしまい


『その後』


――某日


留美「ただいま、戻ったわよ」

ちひろ「留美さん!お疲れ様でした!」

モバP「あ、お疲れ様でした。ご無事で何よりです」

みく「当然にゃ」

輝子「フヒ……あ、暴れたりないぜ……」

ちひろ「お茶淹れて来ますね!」パタパタ


モバP「……それで?」

留美「えぇ、無事に世界は救われたわ」

みく「凛チャンがお姫様やってたにゃあ」

モバP「おー、そりゃすごい」

留美「それよりノヴァさんの方から頼まれたんだけど……」


――後日


ありす「橘ありすじゃ。皆の者、よろしく頼むぞ」

ちひろ「えぇと、扱いはどうします?」

モバP「魔法使いにしといて下さい。あともう一人来るはずなんですが……」

ちひろ「そうなんですか?」

モバP「えぇ。戦艦の付喪神だそうですよ」


『その後』おしまい


『その後のその後』


――『異世界から訪問していたアヴェンジャーズ代表、キャプテンアメリカが今日来日し――』pi

――『アメリカ航空宇宙局、NASAが昨晩の記者会見で異世界との技術協定を結んだと発表した件について――』pi

――『はいこちら宇宙移民船メガロード01の中からお伝えします!――』pi

――『俺ちゃん的には大歓迎だぜこういうの?ジャパニメーションはカワイコちゃんも多いしな!』

――『それより俺ちゃんがプロデューサーやるって話はどうなったんだい?え?無いの?ウッソー』pi


ちひろ「……とんでもない世の中になっちゃいましたねぇ……」ズズッ

モバP「全くですね」ズッ

留美「まぁ、それでも私達がやる事に変わりは無いんだけどね」モグモグ

ちひろ「そうですねー……」モグモグ

モバP「さ、そろそろアイツらも帰ってきますし――」


<ガチャ


ちひろ「あ、おかえりなさい!」



『その後のその後』おしまい

おまけも含めて、これにておしまい
読んで下さった方々、ありがとうございます

まとめると↓かな?(書き損じがあるかもしれない)
早耶:くねくね 輝子:スキマ女 卯月:怪人アンサー
菲菲:孟極 未央:すねこすり 凛:人間
李衣菜:琵琶牧々 杏:ひきこさん 留美:ぬらりひょん
ほたる:座敷童子(不幸) 茄子:弁天様の一族 あずき:座敷童子(幸運)
藍子:煙羅煙羅 みく:猫又 瑞樹:洗濯狐
乃々:後追い小僧 幸子:経凛々 心:豆腐小僧
響子:小豆洗い 奈緒:口裂け女 里美:のっぺらぼう
智絵里:野槌 アヤ:人形使い 愛海:影女
美由紀:見上げ入道 きらり:人間 ちひろ:人間
北斗・翔太・冬馬:鎌鼬 裕子:普通のスーパーサイキック
モバP:渡辺綱の子孫 小鳥:橋姫 みりあ:天邪鬼
あやめ:枕返し 椿:静か餅 ヘレン:ナマハゲ
麗奈:豆狸 志希:鵺 まゆ:化け狸 鈴帆:文福茶釜
美世:送り犬 千秋:川姫 肇:龍 音葉:セイレーン
周子:化け狐 雪美:幽霊 麻理菜:蛤女房 歌鈴:巫女
芽衣子:牛鬼 楓:夜雀  都:百々目鬼
芳乃:忘れられた神様(白虎と波長が合う) 加蓮:人間
蘭子:天狗 奏:ろくろ首 メアリー:メリーさん
美玲:うわん 智香:雪女 ありす:魔法使い

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