由比ヶ浜「いろはちゃんを慰める」 (31)
クリスマス直前、みんなでディズニーランドに行ったときのこと。
いよいよ花火が上がる
結衣「なんだか懐かしいね」
しかしのそのとき、いろはちゃんと葉山君が2人きりになって何かを話してるのが見えた。
それが何なのか、私にはなんとなくわかった。
いろは「わたし、葉山先輩のことが好きです。」
葉山「ごめん。気持ちは嬉しいけど、君の気持ちには答えられない。」
いろは「・・・そうですか」
いろは「ぐすっ・・・」
いろはちゃんは泣き出して行ってしまった。
戸部「いっいろはす、ちょっ、いろはすー」
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結衣「ゆきのん、これってつまり・・・」
雪乃「一色さんが葉山くんに告白して、フラれたってことね。」
結衣「なんで? いろはちゃん、あんなにかわいいのに。」
雪乃「そりゃあ、葉山くんだからでしょう。」
八幡「だな」
結衣「私、いろはちゃんのとこ行ってくる」
八幡「ちょっと待てよ!」
いろは「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」
結衣「いろはちゃん・・・」
いろは「由比ヶ浜先輩・・・、今は一人にして下さい・・・」
結衣「一人で泣いてちゃダメだよ。」
結衣「悲しいのはわかるし、泣かないでっていうのは酷いと思うから」
結衣「だから泣くなとはいわないから、人前で泣こうよ。私がそばにいさせてくれないかな。」
雪乃「由比ヶ浜さん、今は一色さんを一人にさせてあげましょう。」
雪乃「フラれて泣いてる人を慰めに行ったりしたら、かえって嫌われることもありますから。ソースは私。」
結衣「・・・わかった。」
結局ゆきのんに促されて、私はいろはちゃんを1人にしてあげることにした。
私には失恋した女の子の気持ちはわからない。でも私にも今、ちょっと好意をもってる人がいるから、他人事だと思えなかった。
ヒッキーは葉山くんと何かを話していたらしい。戻ってきて・・・
結衣「ねえ、ヒッキーも中学のころ片思いしてた女の子に告白したんだっけ?」
八幡「そう。フラれたどころか、クラスメートに言いふらされたけどな。」
結衣「ヒッキーはフラれた後どうしたの?」
八幡「なんとも思わねえよ。今思えば、そんなに好きでもなかったし。」
結衣「そうか。」
八幡「でもやっぱり傷ついたな。一度はあいつ、俺のこと好きなのかもって勘違いしちゃったわけだし。」
結衣「でもいろはちゃんは、本気で葉山君のこと好きだったみたいだから、やっぱ可哀想だよね。」
結衣「葉山君と何を話してたの?」
八幡「わからん。一色の気持ちはうれしいけど、多分それは俺じゃない、とかなんとか言ってた。」
結衣「・・・そうなんだ」
八幡「なんだその間は?」
結衣「ううん、なんでもないよ。」
八幡「何ならあとでお前が一色のとこ行ってやれよ」
結衣「うん・・・」
結衣「さっきのこと、気にしてたら謝る」
いろは「いいです。由比ヶ浜先輩は私のことを気にしてくれたんですから。」
いろは「・・・ダメでしたね。」
いろは「なんだろう、フラれるって分かってたくせに。でも涙が止まらなかったんです。」
いろは「由比ヶ浜先輩はいい人ですね」
結衣「そうかな。私なんていろはちゃんみたいに告白する勇気ないな。今好きな人いるのに。」
結衣「ダメだよね、私。フラれるのが怖い、フラれたら多分泣いちゃいそうだし。」
そうだ。私にはいろはちゃんのような勇気はない。むしろ今日いろはちゃんがフラれたのを見て、ますます怖くなってしまった。
いろは「私も、自分は傷つきたくないから、告白は相手にさせようと思ってました。」
いろは(先輩のことがあったから。私も、本物が欲しくなった。)
いろは「でも今日、勇気を出して告白してよかったです。」
結衣「そうか。でも大丈夫、まだ終わったわけじゃないよ。」
結衣「きっと葉山くんだって、フッた相手のこと気にしちゃうから。可哀想だと思っちゃうから。」
結衣「だからまだあきらめちゃダメだよ。この敗北は布石なんだ。」
結衣「女の子は、失恋で強くなれるんだよ。」
いろは「はい。私もまだ葉山先輩のことあきらめてないんで。」
結衣「・・・ねえ、いろはちゃんはヒッキーのことはどう思ってるのかな?」
いろは「興味ないです。私は葉山先輩一筋ですから。」
結衣「そうか。」
さっきのヒッキーの伝聞による葉山くんの言葉を聞いて、もしかしたら葉山くんは気づいていたのかもしれないと思った。
いろはちゃんが本当に好きな人のことを。
当事者のヒッキーは気づいてないみたいだけど。
もしそうだったら、いろはちゃんも私のライバルってことになっちゃうのかな。
結衣「ねえ、ヒッキー。」
結衣「今いろはちゃんを慰めてあげられるのはヒッキーだけなんじゃないかな。」
八幡「なんでだよ」
結衣「だって、失恋した気持ちがわかるのはヒッキーだけだし。」
八幡「なんだよそれ。」
八幡「まあ、別に断る理由ないし・・・」
八幡「・・・わかったよ。」
・・・
モノレールでのこと
いろは「だってしょうがないじゃないですか。盛り上がっちゃったんだから。」
八幡「意外だな。お前はそういう場の雰囲気とかに振り回されないやつだと思ってたから。」
いろは「私も意外でした。もっと冷めてるんだと思ってました。」
八幡「ああ、お前は恋愛脳に見せかけて、結構クレバーっていうか」
いろは「私じゃなくて、先輩の話です。
いろは「あんなの見せられたら、心動いちゃいますよ。」
いろは「私も本物が欲しくなったんです。」
八幡「聞いてたのか。忘れてくれ」
いろは「忘れられません。だから今日踏みだそうと思ったんです。」
いろは「ていうかまだ終わってませんし。むしろこれこそ、葉山先輩への有効な攻め方です。」
いろは「みんな私に同情するし、周囲も遠慮するじゃないですか。」
いろは「それにフッた相手のこと気にしますよね? 可哀想だって思うじゃないですか」
いろは「だから・・・この敗北は布石です。次を有効に進めるための …だから、その、頑張らないと・・・」グス
八幡「すごいな。」
いろは「先輩のせいですからね、私がこうなったのも」
いろは「責任取ってくださいね。」
・・・
あのあとヒッキーはいろはちゃんとどういう会話をしたかはわからないけど、それはおいといて、
クリスマスパーティーも終わった別の日
結衣「ねえ、私の恋の相談、乗ってくれないかな?」
いろは「そうしてあげたい気持ちもありますけど、私は由比ヶ浜先輩と雪ノ下先輩の両方と友達ですから、どっちかだけに肩入れするわけにはいきません。」
結衣「そうだよね。」
いろはちゃんがゆきのんを裏切って私だけの味方をするわけがなかった。
ましてや葉山くんが言ったとおり、いろはちゃんもヒッキーのこと好きかもしれないんだから。
いろは「でも一つアドバイスするなら、今度比企谷先輩を買い物にでも誘ったらどうですか?」
結衣「え?」
いろは「まずは仲良くなることからです。」
いろは「2人きりが不安なら、小町ちゃんあたりにもついてきてもらったらいいと思います。」
結衣「そうだね。誘ってみるよ。」
結衣「小町ちゃんもついてきてくれたら心強いし。」
そして、私とヒッキーと、小町ちゃんの3人で買い物に行った。
なぜか小町ちゃんは先に帰ってしまった。私たちを2人きりにしてあげようと思ったのだろうか。
こうしてヒッキーとのデートが始まった。
終わり アニメ10話Bパートに続く
超短編SSでした。
今後また続きを書くかもしれない。
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