男「さみぃ…」スビッ
男「時給が良いからって、ピザ宅配のバイトなんてやるもんじゃねえな…」スビビッ
男「おっ、ここか?」
男「○△団地…合ってるな」
男「しかし、何だか変わった団地だなぁ…」
男「夕方なのに誰も見かけないし」
男「住人が少ないのかねぇ」
男「まぁいいや。えーっと、a棟607号室か」
男「さっさと届けて店帰りてぇ」ブルッ
ピンポーン
男「…」
男「…」
男「…」
男「…」スビッ
ピンポーン
男「…」
男「…」
男「…」
男「…」イラッ
男「おいぃ…電話かけてみるか」
ピッポッパッ
ルルルルル…
男「…」
ルルルルル…
男「…」
ガチャッ
男「!あの、××ピザの者ですが」
?「…え?」
男「あのー、ご注文のピザをお届けにあがったんですが。チャイム鳴らしても出てこられないんで…」
?「…ねぇ、ピザが…って、うん…え…」ボソボソ
男「あ、あのー?」
?「頼んでないって…」
男「は、はい?」
?「間違いじゃないのって…」
男「いや、あの。え?」
?「じゃあ」ガチャッ
男「ちょっ…?!」
男「おいぃマジかよ…」
男「イタズラかよ?でも電話繋がったし…何なんだよ!」スビッ
男「ああもう!やってられねえー!つか、腹へった!」
男「…」パカッ
男「少しくらい…食ったっていいよな!」ガッ
男「うめー」モグモグ
男「満腹になって冷静になったが」
男「ヤバイかな、やっぱり…」
男「まぁ、最悪バックレりゃいいか」
男「とにかく一旦店に帰るか」
男「えーっと、バイクは駐車場前の広場に止めたから…」
男「バイクはっけ~ん。よっしゃ帰るぞー」ガタン
男「ふー」ブォー
男「…」ブォー
男「…」ブォー
男「…」ブォー
男「…あ、あれ?」ブォー
男「進んでる…よな?」ブォー
男「なのに…何でだ?」ブォー
男「いくら走っても団地から出れない」ブォー
男「あ、あれ?俺疲れてるのかな?んなこと、あるわけねぇっつうの」ブォー
男「…」ブォー
男「…」ブォー
男「やっぱり出れない」ブォー
男「確かに進んでるのに、走ってるのに!」ブォー
男「気づくと団地の入り口にいる…ってどうなってんだよ?」ブォー
男「と、とりあえずバイクから降りるか」ガタン
男「歩きで出てみたら…」テクテク
男「…」テクテク
男「…駄目だ」
男「何でだ?こんなことってあり得るのかよ?」
男「…」ポイッ
ヒュンッ
男「ぉわ?!」
男「団地の外に投げたピザ箱が、気付いたら戻ってきた…」
男「これって…」
男「俺…閉じ込められたのか?この団地に」
男「…」ボーゼン
男「…」
男「…」
男「…」ブルルッ
男「…さみぃ」スビッ
男「こんな時、どうすりゃいいんだ…」
男「と、とりあえず立ち尽くしてても凍えるだけだ」グッ
男「人を探そう」
男「さっきから子供の声すら聞こえてこないが、誰もいないってことはないしな」テクテク
男「…ないよな?」テクテク
男「……何でだよ」ガックリ
男「誰もいねぇ!何だよ、ここの住人は全員ヒキコモリなのかよ?」
男「仕方ない…適当な部屋を訪ねるしかないか」
男「…てか何て言えばいいんだ?団地から出れなくなったんで助けてください?」
男「頭おかしい奴みたいだな…」
c棟101号室
ピンポーン
男「…」
男「…」
男「…」
男「…」
c棟304号室
ピンポーン
男「…」
男「…っ」
男「どうなってんだよ?誰も出ないとかオカシイだろ…」
男「…何なんだよ、ここ」
ピンポーン
男「…」
ピンポーン
男「…」
ピンポーン
男「…」
ピンポーン
男「…」
男「…っ!!」
男「誰か…!」
男「誰か!誰かいませんか!?」ドンドンッ
男「開けてください!誰か!!」ドンドンッ
男「ねえ!?誰かいないのかよ!?なぁ、おい?!」ドンドンッ
男「…」
男「…」
男「だれか…」
男「誰でもいいから…いないのかよぉ…」ガクッ
男「何なんだよ?訳わかんねえよ」
男「だれか…だれかー!!」
「そこには誰もいませんよ」
男「」ビクッ
男「あ…え?」
少女「この階は誰も住んでないから」
男「ひ、人だ…」ヨロッ
少女「やっぱり」
男「は?」
少女「もしかしたら、こうなってるかもしれないから見ておいでって言われて来たけど。やっぱりだったんだ」
男「は…?」フラフラ
少女「もっと早く来てれば良かったね」スッ
男「な、なに…」
少女「泣かないで」
男「!」ハッ
少女「もうさびしくないから」ナデナデ
男「あっ、違っ…!や、やめろ触るな!」バッ
少女「あっ」
男「な、何なんだよ!」ゴシゴシ
少女「?」キョト
男「ここ!何なんだよオカシイぞ!で、出れないし誰もいないし、どうなってんだよ!?」
少女「みんな、あんまり下の方には住まないの。それにまだほとんどの人は寝てると思う」
男「はぁ?まだ寝るには早すぎるだろ」
少女「ここはそうなの。そろそろ起きる時間だけど」
男「んなことはいい!どうやったら出れるか教えてくれよ!!」
少女「出れないよ」
男「あ?はぁ?」
少女「出れなかったんでしょう?」
男「あ…あぁ?」
少女「だったら。もう出れない」
男「なに言ってんだ?」フラッ
少女「だから、ーー」ガッ
男「訳わかんねえ事ばっか言ってんじゃねえぞ!」ガクガク
少女「いたい…」ググッ
男「俺がなにしたっていうんだよぉ…」ポロッ
少女「…」
男「…」グスッ
少女「大丈夫」ナデナデ
少女「一緒においで」グイッ
男「さわ…んなよぉ」グスッ
少女「ここにずっといたら寒いよ」
男「ど、どこ行くんだよ」グシッ
少女「ボクの家」
ガチャッ
少女「ただいま」
男「…」
少女「どうぞ、上がって」
男「…」
男「(結局ついてきてしまった…)」スッ
?「おかえりぃ」
?「あ~!ほらやっぱりだったね~!」
?「ご苦労お嬢ちゃん」
少女「ほら、こっちおいでよ」
男「あ…」
男「(他にも人がいる…!)」
少女「…」
男「…」
女「あ~!目~赤いよ~?もしかして泣いてたの~?」ジィィ
男「っ!こ、これは違」バッ
青年「男だって泣くときくらいあるよなぁ?」ニヤニヤ
中年「おまえら新入りを虐めんな」
少女「…」ボー
男「…(何なんだよこいつら…)」
女「あのね~!私が迎えにいってあげたら~?って言ったんだよ~!」
男「え?あ、…っす」ペコ
青年「威張んな威張んな。お嬢ちゃんパシらせただけっしょ」
女「だって~外寒いもん!」
青年「キミも寒かったっしょ?ほらほら入りなよ、炬燵」ニヤニヤ
男「はい?」
中年「狭いけどお嬢ちゃんの隣しかスペースがないな」
少女「…ん。おいで?」ポンポン
男「…」
男「……………」ヌクヌク
中年「あ、蜜柑が切れたぞ。補充補充」
青年「えーちょっとちょっと。食べ過ぎじゃないのぉ?自分で取ってきてくださいよぉ」
女「私やだからね~。絶対炬燵から出ないからね~!」
少女「キミも食べる?蜜柑」
男「あ?」
青年「旨いぞーこの蜜柑は」
女「あ、取ってくるなら私の分も~!」
青年「おいセコいなマジで」
中年「流しの横の台にあるから、袋ごと持ってきてくれ」
少女「ありがとう」
男「…」スクッ
男「えっと…流しの横の…あぁ、これか」ガサッ
男「おーおー蜜柑が一杯…」ガサッ
男「…」
男「…」
男「…」ガサッ
男「…」テクテク
男「…」ガサガサ
女「わ~ありがと~!蜜柑蜜柑~!」ダラダラ
青年「来てそうそうパシられちゃって、大変だねぇ」ニヤニヤ
中年「悪いな」
少女「一緒に食べよう」
男「…」
男「…」フルフル
男「いい加減にしろよ!!」バシッ!
女「あ~!蜜柑が~!」
男「蜜柑蜜柑うるせえ!!」ダンッ
女「!」ビックリ
青年「おぉ荒れとるねぇ」
中年「落ち着けよ」
男「落ち着けるかよ!!」
男「な、何なんだよ!?」ダンッ
女「ちょっちょっとお~!下の人から苦情きちゃうよお~!床ドン禁止~」
青年「今は下誰も住んでないって」
女「あれえ~?そうだっけえ~?」
中年「上が煩いからって随分前に引っ越したろ」
少女「ん。ボク謝った」コク
女「そっかあ~。な~んだ、じゃあ~」
女「床ドンオッケ~!」ビシッ
男「う、うるせえよ!許可とかいらねえから!」ドンドンッ
男「はぐらかすなよ!いい加減説明してくれよ!」
女「せつめえ~?」ポカン
青年「あれ?お嬢ちゃんがここ来るまでに話してきたんじゃないの?」
少女「話したけど…」
中年「理解できなかったみたいだな」
女「あ~!頭が悪いんだ~」ビシッ
男「あぁ!?」イラッ
青年「いやいや。来て早々炬燵でヌクヌクしたりパシられたりしてるもんだからさぁ、てっきり話は済んでるかと思うじゃん?」ニヤニヤ
男「そ、それはおまえらが!」
女「何を訊きたいの~?」
男「そ、そりゃ…全部だよ!何がどうなってこうなってんのか!」
中年「とりあえず座りな」
男「あぁ!?」
少女「ん」ポンポン
男「く…」スッ
中年「お嬢ちゃんからは何を聞いた?」
男「…ここからは、出れないって」
中年「その通りだ」
男「いや、そんなのオカシイだろ?何だよ出れないって!」バンッ
女「いちいち大きい声出したり物に当たるのやめて~!ビックリするから~!」
男「お前は黙ってろ!その喋り方苛々すんだよ!」
女「ひっ!ヒド~!!」
青年「まぁまぁ。俺らは蜜柑でも食って黙っとこ」
中年「お前さんも試したんだろ?それでも出れなかった」
男「…」
中年「それで、何故かを知りたいと」
男「あぁ」
中年「しかし残念だが、お前さんが求めるような答えは無いかもしれんが」
男「は?」
少女「何か食べた?」
男「あ?」
少女「この団地の中で、何か食べたでしょう?」
男「た…」ハッ
男「(ピザを盗み食いしたことか…?)」
中年「心当たりがあるみたいだな」
男「あ、あれは別に!少しくらいいいだろ!どうせイタズラ注文だったヤツだし!」
中年「いや知らん。お前さんが何を食ったかはどうでもいい」
男「は…?」
中年「何かを食べたってことが理由なのさ」
男「どういうことだよ?」
少女「この団地でごはんを食べ人は、仲間なの」
男「な…」
少女「ごはんは家族と食べるものだから」
男「は…」
少女「…」
男「…」
少女「…」
男「あ、あの…」
中年「説明終了」
男「は、はぁ!?」
男「いや全然理解できなかったんだけど!?」
女「やっぱり頭悪いんだ~」ボソ
男「聞こえてんだよ」イラッ
青年「アレだよアレ。考えるな感じるんだ、ってヤツだよ」ニヤニヤ
中年「まぁ普通は最初はそんなもんだろ。その内分かるさ」
少女「つまり」スッ
少女「キミはもう、この団地から出られません」
男「…」
少女「だから」スッ
男「だ、だから?」
少女「キミはここに住むしかない」
男「は…」
少女「この団地でずーっと、一緒に暮らすんです」
女「じゃあ~そうと決まれば仕方ないけど歓迎会だね~!」パンッ
男「はぁ?」
青年「じゃあ一回帰るかねぇ」スッ
男「お、おい?」
中年「一時間後に集合でいいか」スッ
男「ちょ」
女青年中年「じゃあまた後で」
ガララッ
バタン
男「…」
少女「…」
男「…」ヌクヌク
少女「…」モグモグ
男「…」ヌクヌク
少女「食べる?蜜柑」モグモグ
男「…」ヌクヌク
少女「美味しいよ」モグモグ
男「…一個だけ」モグ
少女「…」モグモグ
男「…」モグモグ
男「…うまい」モグモグ
少女「ん」モグモグ
ピンポーン
女「へ~い!色々持ってきたよ~!」ガサガサ
青年「なぁなぁ、キミは結構飲める方?」ガサガサ
男「いや俺、みせ」
中年「鍋置くから炬燵の上を片付けろ」ガサガサ
女「やっぱり歓迎会といえばお鍋だよね~!」
青年「そういえば他に誰か来るの?」
少女「まだ朝早いから」フルフル
男「いや、もう夕方過ぎて夜だけど…」
少女「ここでは反対だから」
男「…(またよく分からんことを)」
グツグツ
女「美味しそお~!」
中年「もう少しで出来上がりだな」
青年「はい。キミはビールでいい?」
男「…飲んだことないけど」
中年「こっちもビールひとつくれ」
女「は~い。オジョオちゃんはジュースね~」
少女「ありがと」
青年「じゃあ乾杯しますかぁ」
女「お腹すいた~!」
中年「乾杯の音頭はお嬢ちゃんが」
少女「ん。…新しい家族に、かんぱい」スッ
女青年中年「乾杯!」カチンッ
男「…」カチンッ
中年「っぷはあ!久しぶりのビールはうまいな」グビグビ
青年「オッサンくさいっすよ」
女「ね~もう食べていい~?」
中年「あぁ、もういい感じだな」
女「はいは~い、器貸して~。よそってあげる~」
男「あ、あぁ。ありがとう」
女「主役くんにはお肉特盛にしてあげよう!」ヒョイヒョイ
女「よ~し!食べよ食べよ~!」
少女「いただきます」
女中年青年「いただきます」
男「…いただきます」
女「ん~!うま~!」パクッ
中年「ビールが足らんぞ」グビグビ
青年「ええ?ペース早くないっすかぁ?」
男「…」
少女「食べないの?」
男「あ、いや…」
女「もしかして嫌いな物とかあった~!?」
青年「毒なんか入ってないってぇ」ニヤニヤ
男「っ!わ、分かってる!」
女「え~?そんなん入ってるわけないじゃん勿体ない~!」パクパク
青年「まぁ、だから鍋にしたんだけどねぇ」モグモグ
中年「ほら、早くしないと無くなるぞ」モグモグ
少女「おいしいよ」モグモグ
男「…分かってるよ」パクッ
男「…うまい」
女「でしょでしょ~?絶品でしょ~?」ニコニコ
青年「何で誇らしげ?作ったのは親方だからね」グビグビ
男「親方?」モグモグ
中年「私だ」グビグビ
男「何で親方?」モグモグ
青年「ん?何か最初に会った時、<ザ・親方>って格好してたから」
中年「仕事帰りで作業着だっただけだけどな」
男「なんだそれ。適当だな」モグモグ
女「あ~!何か~いいね~!」ヘラヘラ
青年「急にどうした」
女「やっぱ~!家族でごはんってさ~いいよねぇ~うん!」ケラケラ
中年「酔ってんな」
女「キミちゃんと飲んでる~?食べてる~?」バシバシ
男「いたっ、ちょ、いてぇよ!」
青年「絡むな絡むな」
女「zzzzzzzzz…」
男「寝てやがる…」
青年「食って飲んで絡みまくっておねんねとか、マジ自由人だわぁ」
中年「さて、片付けるかね」カチャカチャ
青年「うぃっす」カチャカチャ
男「流しに持ってけばいいのか?」カチャカチャ
青年「あぁいいよキミは。今回は一応主役だしねぇ」
中年「色々あって疲れてるだろ。休んでろ」
少女「隣の部屋に布団あるから…眠かったら寝ていい」
男「いや、でも…」
青年「何だかんだ、まだ混乱してるっしょ?」ニヤニヤ
男「それは…まぁ」
青年「一度寝て、頭スッキリさせたらいいよ」
中年「心配せんでも、寝てる間にお前さんに悪さしたりなんかしないさ。まぁまだ信用できんのも無理はないがな」
男「…」
青年「早く慣れるといいねぇ、ここに」
男「…なぁ」
男「何でアンタたちは、見ず知らずの俺にこんなに色々してくれるんだ?」
青年「どうしたのさぁ突然」
男「だってすんなり受け入れすぎだろ?俺みたいに、ココに閉じ込められることって…よくあることなのか?だから慣れてる?それにしたって、いくらそうだとしても、見ず知らずの人間ってことに変わりはないだろ?なのに、ろくに俺のこと知りもしないのに、家に上げたり飯用意したり…アンタたち、誰にでもそうなのか?」
青年「あー…つまり、無条件の善意が信用できないってこと?」
男「…」
青年「んー、何でって言われてもなぁ。ねぇ親方?」
中年「疑うのは悪いことじゃないさ。ソトじゃぁそれが普通なんだろうよ。何でと言われりゃあ…」
少女「関係ないから」
男「え?」
少女「キミが今までどんなヒトだったかなんて関係ない。ココでは誰も気にしないし、知らなくたって困らないから」
男「気にしないって…そりゃそうかもしれないけど」
少女「みんなと仲良く暮らせるなら、それでいいの」
男「…」
少女「どんなヒトでも。ココを気に入ってくれて、一緒に暮らしていけるなら。ボクたちはいつだって歓迎するよ」
男「…」
少女「もちろん、キミも」
少女「ココに住んでるヒトたちはね…みんな、ボクにとって家族みたいなものなの」
男「…」
少女「だから、誰かが困ったり泣いたりしてたら、助けるのは当たり前なんだよ」
男「…あ」
女「私も~!私にとっても~、ココのみんなは家族なんだよ~!」ガバッ
青年「起きてたんかい」
女「ん~。ちょっと前から目ぇ覚めてたけど~、なんか大事な話してるっぽいから黙ってた」
青年「おまえ…空気読めたんだなぁ」
女「ヒド~!それくらいできるし~!」ムゥ
少女「あのね」
男「ん…?」
少女「ボク、しゃべるのが上手じゃなくてごめんなさい」ペコリ
男「え!?あ、いや…」
少女「分からないことたくさんで、しばらくは大変かもしれない」
男「…まぁ」
少女「でも、困った時はみんなで手伝う。誰かの助けがほしい時、絶対一人にはしないから」
男「…絶対」
少女「絶対。これは、みんなでの約束なの」
男「約束?」
少女「そう。誰かがひとりぼっちで悲しくならないように」
男「…」
少女「この約束はね、家族の証なの。みんなで大切に守るものだよ」
男「家族…」
女「家族が助け合うのなんて~当たり前だもんね~!」
男「っ!」ハッ
女「オジョオちゃんたくさん喋ったね~。えらいえらい~!」ナデナデ
少女「…」ナデナデ
中年「とまぁ、そういうこった。だいたい分かったか?」
男「えと…何となく」
中年「まぁアレだ。ココで問題なく暮らしていけるなら、いつどんなヤツが来ようが迎え入れるってこったな」
青年「極端な話さぁ、ソトで警察沙汰になるような犯罪者でも、俺らの生活の妨げにならないんなら住人としてオッケーってわけだよ」
男「それはさすがに言い過ぎだろ」
青年「いや?俺らにとって危ないようなヤツはお断りするし」
男「見た目じゃどんな人間かなんて分かんねぇだろ。てか、俺がその危ないヤツだったらどうすんだよ?」
青年「あぁそれは無い無い。大丈夫っしょ」
男「根拠はなんだよ…」
中年「お嬢ちゃんが連れてきたんだか大丈夫だろ」
男「何だよそれ」
青年「お嬢ちゃんは人を見る目があるからね」ヘラヘラ
男「適当だなぁ…」
女「そういえば~、新入りくんはどこに住むか決まったの~?」
男「へ?」
少女「まだ」フルフル
青年「部屋決めなんかは明日でいいんじゃない?」
中年「そうだな。今日はとりあえず休ませてやった方がいい」
男「えと、じゃあ…ちょっと休ませてもらおうかな」
少女「ん。隣の部屋に布団敷いてくる」ペタペタ
中年「あぁいいよお嬢ちゃん、私がやるから」スクッ
男「あ、いや自分でやるよ!」ガタッ
女「おやすみ~」
青年「ゆっくり休みなよー」
少女「ここ使って」
男「…おぅ」
中年「隣の部屋にいるから、何かあったら言いな」スタスタ
少女「じゃあ、電気消す。おやすみ」
男「…」
パチン
男「…はぁ」
ポフッ
男「(布団やわらけぇ)」フカフカ
男「(あいつらのこと全部信じて大丈夫なのかとか、これからどうすんだよとか、色々考えなきゃいけないんだけど)」
男「(とにかく今日は疲れた…)」ウト…
男「(とりあえず寝よう…考えるのは起きてからでいいよな…)」フワァ
男「zzz…」
・
・
・
・
・
男「…んぁ」パチッ
男「うぁー…すげぇ寝た気がする」フアァ
男「今何時だ?」ゴソ
ヒタヒタ
ガラッ
少女「…おはよう」
男「おぅ。っと…」
中年「zzz…」
男「今何時くらいだ?」
少女「お昼すぎ。みんなまだ寝てる時間」
男「あぁ、ココじゃ生活リズムが反対だっけか。お前は寝なくていいのか?」
少女「…ん」
中年「…んがっ?」ハッ
中年「あぁいかんいかん、寝ちまってたか」ボリボリ
男「っす」
中年「あぁもう起きてたか。お嬢ちゃん悪いな、あとは任せて寝てくれ」
少女「ん。お願い」
少女「おやすみ」ガララッ
中年「ああ、おやすみ」
男「あっ…」
パタン
男「…もしかして俺が起きるまで待ってたのか?」
中年「ん、まぁ気にすんな」
中年「目ぇ覚めた時にみんな寝てたら困るだろ。んまぁ私は寝ちまったんだが…おい腹減ってないか」ポリポリ
男「え、あぁそういえば」
中年「ウチ来るか?軽いもんで良いなら飯用意できるぞ」
男「え?」
男「この部屋に住んでるんじゃないのか」
中年「ここはお嬢ちゃんの部屋だ。自分の部屋は別にある」
男「そういえば昨日のあの二人もいないな」
中年「あいつらも自分の部屋に戻って、今頃はまだ寝てるだろうな」
男「そうなのか。くつろぎまくってたから、てっきりこの部屋に住んでるのかと」
中年「着いたぞ、ここが私ん家だ」ガチャッ
男「お邪魔します」
中年「おう。飯用意するから、適当に座ってな」
男「あ、はい」
男「(なんつーか、シンプルっつうか…殺風景な部屋だな)」キョロキョロ
中年「出来たぞ」カチャカチャ
男「あ、はい」
中年「有り合わせのもんで悪いな」カチャカチャ
男「(スクランブルエッグ、ウインナー、パン、コーヒー)」
男「うまそう。すげえ…これぞ朝食って感じ」
中年「何だそれ。いただきます」
男「い、いただきます」
男「うまい」モグモグ
中年「そうかい」モグモグ
男「…」モグモグ
中年「…」モグモグ
男「…」モグモグ
中年「…」ズズッ
男「…………。(あ、あれ。会話が止まっちまった…)」モグモグ
男「…あ、あのさ」
中年「んぁ?」モグモグ
男「何か今更だけど…そういえば自己紹介してないっすね」
中年「あぁ、そうだな」ズズッ
男「…」
中年「…」モグモグ
男「…(あ、あれぇ?)」
男「俺は×××××っていいます」
中年「そうか」
男「いや、そうかって…」
中年「…ん?あぁ、もしかして私の名前を聞きたいのか」
男「聞きたいっつうか、名前知らないと不便ですし」
中年「別に好きに呼びゃあいいさ。あの兄ちゃんらみたいにな」
男「はぁ…親方、でしたっけ」
男「気に入ってんすか?あんま親方って感じじゃないっすけど…」
中年「あの兄ちゃんが呼んでたら知らん間に他の奴らにも馴染んでただけで、気に入ってるとかじゃあないけどな。別に何だっていいのさ、ソトにいた頃と違う呼び方なら」
男「!や、やっぱりアンタらもソトから来た人間なのか!?」
中年「あぁ。ココにいるヤツはみんなそうだ」
男「アンタはココに来て…この団地に閉じ込められて、どのくらいなんだ?」
中年「あー、どうだったかな…ココに居るとそういう感覚がなくなるんだよなぁ。確か課長がこないだ10周年て言ってたから…」
男「課長?」
中年「私で3年とかそんなもんだな」
男「3年…」
中年「こん中じゃあ、私は新しい方なんだ。何十年も住んでるってヤツもいるしな」
男「じゃあ、それだけ長い間ココにいるヤツもいるなら、色々試しはしたんだろ?」
中年「何をだ?」
男「そりゃココから出る方法だよ。でも、出れないってことは、見つかってないんだな…」
中年「あー…。何かお前さん、勘違いしとるみたいだな」
男「勘違い?」
中年「ココに"閉じ込められてる"、なんて思ってるヤツはほとんど居ないと思うぞ」
男「は?どういうことすか」
中年「そりゃ最初はお前さんみたいに戸惑いもするがね。しかし慣れてくりゃあ別に、ココでの暮らしに不満はないし」
男「い、いやでも!一歩も団地から出れないんだぞ?不便だし…それに、家族とか、知り合いとかにも、二度と会えないってことじゃねえか!」ガタッ
中年「…そうは思わないヤツが、ココじゃほとんどってこったな」
男「…?どういう、」
中年「…あー、少し昼寝していいか?」
男「は?」ポカン
中年「早い時間に起きたもんだから眠くてなぁ。悪いが、他のヤツが起きる時間まで適当に時間潰しててくれ。何だったらお前さんも寝てていいし」フワァ
男「え、あ…」
中年「じゃあな」ガララッパタン
男「…(な、何か無理やりはぐらかされた様な…)」
男「…暇だな」
男「(団地内を少し探索してみるか)」ガタッ
男「…ちょっと出掛けてきまーす」ボソッ
中年「zzz…」
男「あー…鍵開けっ放しでいいのかな」ガチャ
男「まぁいいか」バタン
男「…良い天気だなぁ」スタスタ
男「…」スタスタ
男「…」ピタッ
男「…壁があるわけでもないのになぁ」スッ
男「…」スタスタ
スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ…
・
・
・
男「はー…やっぱしダメかぁー!」ガックシ
男「(かれこれ2、3時間は試してみたけど…)」
男「(確かに団地の外に向かって進んでる筈なのに、どうしても出られない)」
男「幽霊も超能力も信じてなかったのになぁ…こういう現象って、何ていうんだろ」
男「仕方ない、とりあえず部屋に戻るか…」
女「あ~!いたいた~!」パタパタパタ
男「えっと、昨日の」
女「オヤカタが~、起きたら居ないから探してこいって~」
男「あぁ、勝手に出てってごめん…ちょっと外も見ときたくてさ」
女「じゃあ~、後でちゃんと案内してあげるね~!」
男「あぁ、ありがと…えっと、アンタのことは何て呼んだらいいんだ?」
女「う~ん?」
女「えっと~。みんなオネエチャンとか~ジェエケエとかって呼ぶよ~?」
男「ジェー…jk?」
女「初めにそう呼んだのはメガネくんだけど~。女子高生だからだって~」
男「メガネくん?ってもしかして昨日一緒にいたあの人か」
女「うん!あ、メガネくんは~私が付けてあげたんだよ~!」
女「他にもね~黒縁眼鏡だからクロブッチャンとか~茶髪のパーマだからチャッパンとか色々考えたんだけどね~?多数決でメガネくんになったんだよ~!」ニコニコ
男「へ、へえ」
女「キミの呼び方も~あとで決めなきゃだね~。何がいいかなぁ~?」フムゥ
男「…」
ピンポーン
ガチャッ
女「ただいま~!」
男「えーと、お邪魔しまーす…」
少女「待ってた」ペタペタ
男「あ、おう」
青年「やぁ、おはよぉー」フワァ
中年「よぉ」
男「あぁ、どうも」ペコ
女「こたつこたつ~!」イソイソ
少女「ほら、おいで」ゴソゴソ
男「…」
青年「やぁ、おはよぉー」フワァ
中年「よぉ」
男「あぁ、どうも」ペコ
女「こたつこたつ~!」イソイソ
少女「ほら、おいで」ゴソゴソ
男「…」
男「…この部屋は住人の溜まり場なのか?」ヌクヌク
青年「炬燵があるからねぇ」ヘラヘラ
女「そうそう~蜜柑もあるし~」モグモグ
中年「特にやらなきゃいかん事もないからな。そういう時はこうやって駄弁ったりしてんのさ」ダラー
少女「…」ボー
男「…(駄目人間の集まりじゃねえか)」
男「で、何か俺に話があって呼んだんすか?」
青年「あぁ、そうそう。キミの部屋を決めなきゃね」
男「部屋か…貸してもらえるのか」
少女「ん。キミはどういう部屋がいい?」
男「え?そんなに違いがあるもんなのか」
青年「そりゃあねぇ。でも、その前に飯にしない?」
女「さんせ~い!」
中年「机の上片せ、ホットプレートが置けん」
女「私ハチミツかける~♪オジョオちゃんもいる~?」カチャカチャ
少女「ん」
青年「俺はイチゴジャムだなぁ」
中年「ほら、どんどん焼くぞ」ジュゥー
男「ホットケーキかよ」
女「キミはハチミツかける~?」
男「いや、いい。甘いから」
青年「だよねだよねぇ。やっぱホットケーキにはイチゴジャムだよねぇ?」
男「いや、バターでいいんだけど…」
中年「おまえら手伝えよ」ジュゥー
男「何つうか…すげえな」
女「でしょでしょ~?で、てっぺんからハチミツかけて~♪」トロトロ
青年「五段重ねのホットケーキとか、贅沢だよねぇ。さてイチゴジャムイチゴジャム」ダバァ
男「ホットケーキ食べるのなんて、何年ぶりって感じだよ。しかしこんなに甘いの食えるかな…」
女「オジョオちゃんのもハチミツかけてあげるね~」
少女「美味しそう」ワクワク
中年「あ、私にもくれ。ハチミツ」
男「!(甘いの好きなのか…意外だ)」
男「うまいな」モグモグ
女「ね~?ハチミツかけたらさらにオイシイよ~!」ヌリヌリ
男「ちょ、俺あんま甘いのダメなんだって!」
中年「そのハチミツは美味いぞ。食ってみろ」
男「えー…?」シブシブパクッ
女「どお~?オイシイでしょ~?」ワクワク
男「ん、結構ウマイ」
女「ねっ?だよねだよね~っ!」ニコニコ
青年「よし、じゃあイチゴジャムもかけてみよっかー」ダバァ
男「ちょ!?」
中年「…グロテスクな見た目だな」
男「うわ…」
少女「…美味しそう」
男「えぇ?」
男「あー甘かった…」
中年「口直しに何か飲むか?」
女「あ、私紅茶がいい~!ミルクたっぷりのやつ~!」
青年「俺は珈琲がいいなぁ」
少女「リンゴジュースが飲みたい」
男「あ、なら俺は珈琲で」
中年「私は紅茶がいいな」
男「…」
女「…」
青年「…」
少女「…」
中年「…」
男「…誰も動かないのかよ!」ガタッ
男「こういう時って言い出しっぺが動くんじゃないんすか!」ドスドス
中年「いや?私は提案しただけだから」
男「お前らも!各自飲みたいもん挙げただけかよ!」カチャカチャ
青年「んー?誰かが飲むならついでにお願いしようかなってねぇ。誰も動かないなら、まぁそれでもいいし?」
女「炬燵から出たくないも~ん」ゴロゴロ
少女「…」ボー
男「ダメ人間たちめ…」
男「誰がどのカップだ!?」カチャカチャ
女「私はピンクのやつ~!で~、オジョオちゃんがネコの絵ので~、オヤカタがシマウマ柄で~メガネくんが残ったやつ~」
青年「残ったやつて」
女「私のミルクたっぷりでね~!」
男「分かった分かった」カチャカチャ
女「あ、砂糖は3杯ね~」
男「はいはい、3杯な」
中年「私もネエちゃんと同じで頼む」
男「へーい」カチャカチャ
少女「…ストロー」
男「あーはいはい…」カチャカチャ
青年「あ、俺は砂糖5杯でヨロシクー」
男「っだー!注文多いなアンタら!」カチャカチャ
男「って5杯!?」
男「できたぞ」カチャカチャ
中年「悪いな」
女「わぁ~い!ありがと~!…よいしょ」モゾモゾ
男「せめて飲む時くらいは起き上がれ!寝たまま飲むな零れるから!」
女「こぼさないも~ん!もぉ仕方ないなぁ~」
男「どんだけものぐさなんだよ」
青年「キミってマジいい奴だよねぇ」
男「何だよ飲みもん淹れたくらいで…」
青年「いやいやぁ。ねぇ親方?」ニヤニヤ
中年「あぁ」ズズー
青年「率先して動いてくれるなんてねぇ、本当に助かるわぁ」
男「それパシリってことじゃねえか!もうやらねぇからな!」
女「この紅茶いつもよりオイシイな~!」ニコニコ
男「おだてたってダメだからな」
女「……………ちぇ」
男「!?」
少女「お話、してもいい?」
男「あぁ、えっと何だっけ。部屋か」
女「あと呼び方もきめなきゃだね~!」
青年「キミ大学生?」
男「そうだけど」
青年「じゃあ学生くんとでいんじゃない?」
男「そのまんまじゃねえか!適当だな!」
青年「そういえば、キミピザ屋さんなんだっけ?」
男「あぁうん、バイトだけど」
青年「ていうかさぁ、何でココの電話番号知ってたの?」
男「え?」
女「あ、そうそう~!うるさくてみんな起きちゃったんだよ~?出たらいきなりピザとか言うからワケわかんなかった~」
男「あ!あの電話出たのアンタだったのか?」
女「そうだよ~。何か喋り方怒ってて怖かったし~」
男「あぁごめん、インターホン鳴らしても出ないからイライラして。………しかし、電話ん時と別人なくらいテンション違くないか?」
女「だってあれ寝起きだもん。半分寝てたし~」
男「…あれくらいが丁度いいんだけどなぁ」
女「え~?どういう意味~?」
男「つか、ピザ頼んだのあんたらじゃあないのか?」
女「違うよ~。ていうか、チャイムなんか鳴ってたっけ~?」
青年「いやぁ?電話の音で目が覚めたしねぇ」
男「じゃあアレはやっぱりイタズラだったのか…くそ」
女「でも番号知ってるなんて不思議だよね~?」
男「適当な数字並べただけじゃね?それがたまたまココの番号だったと」
青年「まぁこれも運命なのかもねぇ」ニヤニヤ
男「団地に閉じ込められる運命かぁ…」
女「で~。じゃあ呼び方はピザくんでいいかな~?」
男「やめてくれ」
女「え~?カワイイじゃ~ん!ピザくん、いいと思うけどな~…」
男「本気で言ってんの?」
女「え~?」キョトン
青年「お嬢ちゃんはどう?何かいい案あるかい?」
少女「ん…」
少女「おにいちゃん」
男「え?」
女「あ~お兄ちゃんか~、うんうん」
青年「んー、じゃあお兄ちゃんで」
男「あんたに言われると寒気がするな」
中年「…ややこしいな。眼鏡の兄ちゃんとピザの兄ちゃんか。…長いから眼鏡くんとピザくんでいいか」
男「結局ピザ呼ばわりすか…」
女「よ~し!じゃ~あ~、次はお部屋決めに行こ~!」
少女「ん」コクリ
青年「何か希望とかある?」
男「いや、特には…そんなに部屋に違いあるのか?作りは大体同じもんじゃねえの?ここと親方の部屋も同じ間取りだったし」
青年「あぁうん、間取りはそんなに違わないんだけど」
女「カンジが全然違うじゃん~?」
男「感じ?」
青年「とりあえず空いてる所を適当に見ていこっかねぇ」
少女「ん」コクリ
男「そういえば、他にも人は住んでるんだよな?」
女「うん、みんな良い人だよ~!」
青年「おいおい挨拶回りもしないとねぇ」
中年
中年「おい、お前ら行くぞ」
青年「他の部屋開けるの久しぶりだねぇ」
女「あ、私開けたい~!鍵鍵~」
少女「ん」チャラ
女「ありがと~!じゃ~あ~、あっけるよ~♪」
男「お、おぉ」ドキドキ
ガチャッ
女「はいっ、オ~プ~ンっ!」
ギィィ
青年「あれぇ、何か軋しんでるねぇ」
中年「長い間使ってないからなぁ」
女「よ~し、入ろ入ろ~」
女「お邪魔しま~す」ペタペタ
青年「うわぁ…ムワッとするなぁ。窓開けよ窓」
少女「ん」カラカラ
女「この部屋のテーブルとかカーテンとか~超可愛いよね~♪いいな~」ウットリ
中年「全体的にキラキラしてて落ち着かんな…」
青年「同じく。男向きではないかなぁ」
中年「ん、どうした?兄ちゃん、そんな入り口に突っ立って」
男「あぁ、えっと…」
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