提督「暁!朗報だぞ!」バァン
暁「わわ、びっくりした…急になんなのよぅ」
提督「改二だ改二!駆逐艦暁の改二がついに解禁されるって大本営からの通達だ!」
暁「えっ…!ほ、ほんと!?」パァ
提督「よかったなあ、ずっと響のことをうらやましがってたもんな」ナデナデ
暁「そ、そんなことないし…ってさりげなく頭なでないでー!」
提督「おっと、つい…んで、詳細は近日中に連絡来るだろうから少し待っててくれ。練度は…まあ暁なら心配ないな」
暁「とーぜんよ!」フン
提督「じゃ、確かに伝えたぞ」
暁「えへへ…司令官、暁が急に魅力的なレディーになってもびっくりしないでよね!」
提督「はいはい、楽しみにしてるよ」ナデナデ
暁「だからなでるなー!」
暁(ついに改二かあ…改二といえば成長、成長といえばレディー!)
暁(響も他の子たちも、改二になったらどことなく大人っぽくなった…きっと私だって)
暁(レディーになるために地道な努力を続けてきたけど、これで一気に素敵なレディーになれるはず…♪)
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~1週間後~
シュゥ…
暁「………」
提督「改装完了…暁、改めて改二おめでとう!」
暁「え、あ…うん…」
提督「なんだか凛々しくなったな。探照灯もカッコイイぞ」
提督(あっ、しまった。カッコイイとかじゃなくレディーらしいとか言わないと機嫌を損ねるかも…)
暁「ありがとう…」ボー
提督「……?どうした、ぼーっとして。どこか不具合でもあったか?」
暁「ち、違う違う!感動を噛みしめてたのよ!」
提督「あー、長いこと待ち望んでたもんな、うんうん。改二になった気分はどうだ?」
暁「え!?えーっと、そうね!と、とってもレディーになった気がするわ!」
提督「そ、そうか…よかったな。これからも頼りにしてるぞ」
提督(少し様子が変な気もするが、暁が満足ならそれでいいか)
暁(か、改装前と変わった気がしないなんて言えない…このままじゃ司令官をがっかりさせちゃう…)
暁「し、司令官!」
提督「なんだ?」
暁「え、えと…その…」
暁(レディーっぽいこと言わなきゃ…レディーっぽいこと…)
暁「こ、これから午後のティータイムなんていかがかしらっ!」
提督「お、いいな。ちょうど出張に行った時の土産もあるし一緒に食べよう」
暁「え、ええ、それじゃ行きましょ。私がおいしいお茶を淹れてあげるわ」
暁(ふ~…セーフかな?でも、油断しちゃだめね。しっかりレディーしないと!)
提督「………」ゴク
暁「………」ドキドキ
提督「……うん、美味い」カチャ
暁(やった!大成功!)パァ
提督「暁って紅茶を淹れるの得意だったっけ?そんなイメージ無かったんだが」
暁「ふふふ…えーと…なんだっけ…そう、能ある鷹が爪を隠してただけよ!」
提督「へえ…やるなあ」
暁(金剛さんに教えてもらったんだけどね…そのあと何回も練習したし)
提督「そうだ、これが例の佐世保土産のカステラな」
暁「わあ!おいしそ…!」ハッ
提督「?」
暁「ご、ごほん…おいしそうね。いただきます」
提督(どうもさっきから暁の振る舞いに違和感があるな。抑え気味というか…どうしたんだ?)
暁「………」パクッ
提督「どうだ?有名店の味は」
暁「おーいしい!なにこれこれすっごくおいしいわ!」キラキラ
提督(あ、いつもの暁に戻った)
暁「ごちそうさまでした!」
提督「ん?カステラもういいのか?まだ暁の分けっこう残ってるじゃないか」
暁「うん、すっごくおいしかったから、妹たちにも分けてあげるの!」
提督「ああ、なるほど…」
暁「じゃあこれ部屋に持っていくから、またあとでね!」ダッ
提督「おいおい、急ぎすぎてこけるなよー」
暁「こっけなーいもーん!」
タッタッタッ…
暁(えへへ…みんな喜んでくれるかな?)ワクワク
暁「………」ハッ
暁(し、しまった!カステラのあまりのおいしさにレディーをすっかり忘れてたー!)ガーン
暁(前半までは完璧だったはずなのに…ど、どうしよう…改二になっても中身が変わってないことバレてないかな)
暁(……でも、やっちゃったものは仕方ないわね。今からでもしっかりレディーすれば取り返しはつく!……はず!)
暁(とりあえず今はこれを届けよーっと…)
… … … … … …
暁「ただいま…」
提督「おかえり、響たちは喜んでたか?」
暁「この時間、あの子たち遠征だったわ…」ガク
提督「そ、そうだったっけか…」
暁(はっ…いけない、がっくりしてる場合じゃないわ。司令官にレディーらしさをアピールしなきゃ…)
暁(紅茶の次は…うーんと…あ!あれなら!)
暁「司令官、耳かきしてあげる!」
提督「と、唐突だな…」
暁(雷が電にやってあげてるのを見て、雷のレディー力の高さを思い知ったのよね…これはポイント高いわ)
暁「いいからいいから、ここに頭のせて?」ポンポン
提督「まあいいか…じゃあお言葉に甘えて。よっと…」
暁「ふふ…私が司令官を見降ろすなんて新鮮ね」
提督「そりゃーな…それより重くないか?」
暁「へーきへーき。耳かき準備よーし…いくわよ、動かないでね」シャキーン
提督「その耳かき棒はどっから出てきたんだ」
暁「レディーの秘密よ」
提督「さいですか…」
暁「………」コリコリ
提督「無理して細かくやらなくていいからな」
暁「ひどいわねー、絶対に傷つけたりしないわよ」コリコリ
提督「そ、そういう意味じゃなくてな…」
暁「別にいいわ、司令官の気持ちもわかるし…」コリコリ
提督「………」
提督(暁、言うだけのことはあるな。なかなか…いや、かなりうまいかも)
暁(響に協力してもらって、たくさん練習したもんね。耳かきはお手のものよ♪)
暁「……はい、終わり!」
提督「ありがとうな、すごくすっきりした気分だ」
暁「えへへ…」
提督「今度は交代して、俺が暁の耳かきしてやろうか」
暁「え!?」
提督「あ、その目は俺が下手だと思ってるな?意外とうまいんだぞ」
暁「そ、そーなんだ…へー…」
暁(そういう心配してるんじゃなくって…耳かきしてあげてはい終わり!のほうがレディーっぽくて素敵だと思ったのにぃ…)
提督「別に嫌ならいいけど…もしかして昨日耳かきしたばかりだったとかか?」
暁「う、ううん!そういうわけじゃないの。そうね、お願いするわ」
暁(殿方の提案を断るのはレディーとしてあるまじき行為…ここは甘んじて受けましょう…)
提督「………」コリコリ
暁「ほんとにうまいわね…」
提督「たまにせがんでくる奴らがいるからなー、付き合ってるうちになんだかんだ上達してしまったんだ」
暁「ふーん…」
提督「暁ほどじゃないだろうけどな。痛かったら言ってくれよ」コリコリ
暁「うん…」
暁(司令官の膝枕、安心する…)スゥ
… … … … … …
暁「……んー」パチ
提督「ん、目ぇ覚めたか。おはよう暁」
暁「しれーかん?あれぇ…なんで?」ボケー
提督「俺が耳かきしてやってたら、いつの間にか寝てたんだよ」
暁「ふぇ…?みみかき…?」
提督(耳かきしてもらいながら寝るって地味にすごい気がするが)
暁「……あっ!」
提督「思い出したか?」
暁「わわっ…ご、ごめんなさい!」ワタワタ
提督「いや、別に謝られるようなことでもないが…」
暁(ま、また司令官の前でレディーらしからぬことを…!これは本気でまずいわ)
暁「司令官!」ビシッ
提督「お、おう?」
暁「司令官の今日の夕食は、この暁が作ってあげるわ!」
提督「また藪から棒に…」
暁「腕によりをかけて作るから、ねっ、ねっ!」
提督「あー、うん…じゃあ頼むよ」
暁「任せてちょうだい!」
暁(よし、手料理という最強の一手で一発逆転よ!)
… … … … … …
提督(遅いなー…包丁で怪我とかしてないといいけど)
提督(様子を見に行くべきなんだろうか…でも、そんなことしたら怒らせてしまうかもなあ)
ガチャ
暁「お、お待たせ!」
提督「おお、来た来た」
暁「ごめんなさい、遅くなっちゃって…お腹空いたよね」
提督「ははは…まあな。でもおかげで暁の料理を最大限に堪能できるよ」
暁(あうー…一度に複数の料理をするのがこんなに難しいなんて。今までは一品ずつ練習してたから知らなかったわ…)
暁「それじゃあ…はい、遅くなった分、お腹いっぱい食べてね」カチャ
提督「こ、これは…!?」
提督(ご飯、味噌汁、肉じゃが、焼き魚…どこからどう見ても和定食だ。てっきりまたあの甘口カレーが出てくると思っていたのに)
暁(ふふーん…驚いてるわね!龍鳳さんとか、綾波ちゃんとか…他にも料理上手な人たちに色々教えてもらった甲斐があったわ)
暁「どうしたの?早く食べてよ」ニコニコ
提督「あ、ああ。いただきま――」
ぐ~…
暁「………」
提督「……今のは俺じゃないぞ」
暁「………」
提督「そういえば、暁の分は?まだ食ってないようだが」
暁「み、味噌汁なら鍋に残ってるわ」
提督「他は?」
暁「に、肉じゃがも…ちょっとあるし」
提督「………」
暁「………」
提督「……これ、ふたりで分けて食べようか」
暁「べ、別にいいわ。食堂で食べるから」
提督「この時間、もう閉まってるぞ」
ぐ~…
暁「………」
提督「………」
暁「い、いただきます…」
暁(司令官にお腹いっぱい食べて欲しかったのに…もー、暁のばかぁ…)
提督「――ごちそうさまでした」
暁「……でした」ズーン
提督「なんでそんなに暗くなってるんだよ。うまくできてたじゃないか」
暁「慰めなんていいわよ…野菜は火がちゃんと通ってなくて固かったし、魚は少し焼きすぎて焦げてたし…」
提督「いや、俺はそれでも」
暁「料理だけじゃないもん…」
提督「暁…?」
暁「……今日はずっとレディーらしく振る舞おうとがんばってたのに、ぜんぜんうまくいかない」
暁「実は、改二になっても中身はぜんぜん変わってないの。変わってないって司令官に気付かれないようにがんばったけど…ダメだったの」
提督(え、隠してるつもりだったのか)
暁「レディーらしくって考えれば考えるほど、今の自分との差が…子供な自分がはっきり見えて…」
提督「うーん、暁は充分レディーらしいと思うけどな」
暁「そんなこと…思ってないくせに」グスッ
提督「思ってるさ。それも、今日の暁を見てより確信した」
暁「なによぅ…皮肉のつもり?」
提督(難しい言葉知ってるなあと褒めてやりたいところだが、今は怒らせそうだから我慢しよう)
提督「さっきの話から察するに、紅茶と耳かきと料理はレディーをアピールするためにやったんだろ?」
暁「そうだけど…」
提督「どれも一朝一夕ではそううまくいくものじゃない。料理はまだ改善の余地があるが、それでもしっかりこなせた」
提督「その技術はどうやって身に付けたんだ?」
暁「それは…それぞれ、上手な人に教えてもらって…練習して…だけど」
提督「暁、それは暁が暁自身の力で手に入れた力なんだ。すごいことなんだよ」
暁「そう…かな」
提督「それと、カステラだ」
暁「カステラ?」
提督「とても美味しそうに食べてたのに、妹たちのことを思って我慢して残した。立派なお姉ちゃんで、とってもレディーだ」
暁「あ、あの子たちの喜ぶ顔が見たかっただけよ。そんな特別なことじゃ…」
提督「特別なことじゃないって思えるなら、それがレディーの証拠だな」
暁「………」
提督「自分では気づいていないかもしれないが、暁は一歩一歩確実に成長してる」
提督「確かにまだまだ未熟で、お前の理想には届いてないかもしれない」
提督「それでも…目標を持ってそれに向かって努力できる暁は、俺には魅力的なレディーに見えるよ」
暁「司令官…」
暁「……お菓子ひとつで大騒ぎしても?」
提督「ああ」
暁「……耳かきの途中で寝ちゃっても?」
提督「ああ」
暁「……料理に時間かかったうえに、なぜかごちそうする相手と半分こしてても?」
提督「………」
暁「………」
提督「あ、ああ」
暁「なんでそこでつっかかるのよ!」
提督「いや、まあ、うん、それは正直ちょっとアレかなと思ったけど」
暁「こ、こーいうときは最後までしっかり褒めなさいよ!」
提督「すまん、思わず本音が…」
暁「しれーかんのばか!」ポカポカ
提督「あいたたた…ははは、よしよし」ナデナデ
暁「……ばかぁ」ギュ
暁(少し、焦ってたのかもしれない)
暁(他の駆逐艦の子たちが次々に改二になって…みんな大人っぽく見えて、置いていかれてる気分になって)
暁(でも…私の目指してるレディーは、特別な力に頼ってなるものじゃなかったのよね)
暁(自分の力で、一歩ずつ…)
暁「………」ジー
提督「……暁?」
暁(ちゃんと私を見てくれる人がいる。この人のために立派なレディーになりたい。この人のためならがんばれる)
暁「司令官。私、約束する。私自身の力で理想のレディーになってみせる」
提督「……ああ、頑張れ。応援するよ」
暁「だから…その…っ」
―――――――
―――――
―――
―
提督「しかし、びっくりしたな。暁からデートのお誘いなんて」
暁「だ、だからただのレディー修行の一環だってば!一回もデートしたことないなんて、レディーとしてこけんにかかわるもの!」
提督「沽券って…まあいいか。それで、どこに行くんだ?」
暁「そ、そうね…まずはお洋服を見たいわ」
提督「あっ、今のはちょっとレディーっぽいぞ」
暁「っぽいじゃなくってレディーなの!」
提督「そ、そうか」
提督(なんか以前より褒め方が難しくなったな…)ポリポリ
暁「むー…司令官、わかってる?レディーのデート相手はジェントルマンじゃないとダメなの」
提督「はい?」
暁「私の修行のためには、司令官が紳士的にエスコートしてくれなきゃダメってこと!」タッ
提督「あっ、おい…」
暁「そういうわけだから、今日は…」クルッ
暁「一人前のレディーとして扱ってよね♪」
おしまい
以上、暁改二実装記念SSでした
最後まで読んでいただきありがとうございました
[暁関連過去作]
【艦これ】提督「安価で暁にアプローチを試みる」
【艦これ】提督「安価で暁にアプローチを試みる」 - SSまとめ速報
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【艦これ】暁「私のサンタさん」
【艦これ】暁「私のサンタさん」 - SSまとめ速報
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このSSまとめへのコメント
?「よっしゃ、アニメでこのネタ使ったろ」
今※1の家に誰か行ったぞ、気を付けろよ