剣士「ずいぶん錆びてきたな…」(465)

剣士「でも愛着あるしなぁ」

剣士「この剣とも数十年の付き合い。買い換えるなんてしたくない…」

ポクポクポク
チーン

剣士「そうだ、錆を取ればいいんだ。でも錆ってどうやって取るんだろうか」

スマホ デ ケンサク

剣士「酢…重曹…メラミンスポンジ…なるほどなるほど、探せば色々なやり方があるんだなぁ」

剣士「酢なら簡単に手に入るな。よし、町に行って買ってこよう」

テクテク
ガチャリ

・ ・ ・ ・ ・

剣士「久々に外に出た気がする。町までは、この山道を通るしかないからなぁ」

テクテク

ガサガサ

剣士「…なにやら気配が」

バッ

?「ぴぎー」

剣士「魔物…スライム系か」

?「僕はアシッドスライム。酸性の体を持つゲル状のモンスターだ!」

剣士「酸性の…?」

キュピリィィィン

剣士「いいこと思いついた。お前、俺の剣にションベンしろ」

スラ「え、え、何て?」

剣士「だから、俺の剣にションベンしろって」

スラ「な、ななな…なにを」

剣士「お前、酸性なんだろ。ならションベンも酸性に違いない」

スラ「ででで、なんで剣に…」

剣士「…」

スチャ

スラ「やだ…おっきい…剣…///」

剣士「で?ションベンすんの?しないの?どっちなんだい?」

スラ「…やります。やらせてください!」

剣士「急にやる気になったな」

スラ「僕はね、錆を見ると自分の酸の力でキレイにしたくて堪らなくなるんだよ」

剣士「なら話しは早いな。さぁ、全力でションベンしろ」

スラ「その指示に、僕はYESだ。そして、ションベンは!」

グニュグニュ

剣士「スライムが…人型に…」

スラ「僕は軟体生物。どんな姿形にもなれるんだ」

剣士「人間…女…の姿…」

スラ「どう、可愛いでしょ」

ビンッ

剣士「これはフル勃起ですわ」

スラ「へへ、なんだか嬉しいな…」

ジュンッ

スラ(…あれ、何だか体が熱く…火照って…)

剣士「どうした、早く剣の錆を取ってくれよ」

スラ「う、うん」

スラ「…っん」

フルフル

スラ「んはっ…」

剣士「…」

ゴクリ

チョロ…

剣士「おっ…」

ジーッ

スラ「んぁぁ…」

チョロチョロチョロ…

剣士「…」

スココココ
ドビュッシー

剣士「し、しまった」

ケフィア…

剣士「つい興奮して剣を精子まみれにしてしまいましたなぁアッハッハ」

スラ「んっ…」

チョロ…

剣士「おい、興ざめや。もうションベンいらへんわ」

スラ「そんな…急に言われてもションベンは止まら、止まら、止まらららららららら」

チョロ…ジョボ…ジョボヴィッチ…
ドバババババババババ

スラ「押し寄せてくる尿の波…ヴォルカニック・アシッドウェェェェイブ!」

ジョボヴィッチ!

スラ「は、早く逃げて!ヴォルカニック・アシッドウェェェェイブは、強酸性の尿波が押し寄せる狂気の技よ!」

剣士「ハッ、おもしれェじゃねぇか…尿波ごときに飲まれる俺…俺様じゃあねぇ!」

チャキッ

剣士「こいよ、全力で!」

ドバババババババババ

剣士「錆びてはいるが、仮にも聖剣…そう、こいつは俺様の相棒…」

『バルエクスカリバルムンク』!

スラ「長ぇぇぇ!」

剣士「そうか?バルエクスカリバルムンクって、そんなに長い名前か?だってよ、バルエクスカリバルムンクなんだぜ?俺様はバルエクスカリバルムンクが長い名前だとは思わないムンクがなぁ」

スラ「なんかいろいろ変ですよ…」

剣士「そうムンクか?」

スラ「語尾語尾!混ざってるから!」

剣士「よく分からないムンクよ…」

スラ「そんなこと言ってるうちに、尿波が!」

ジョボヴィッチ!

剣士「やっべぇぞ!」

スラ「私は元々酸性だから大丈夫だけど、人間の貴方が尿波に触れたりしたら…!」

\やべぇ/

剣士「ハッ、上等よ!」

チャキッ

剣士「伊達に聖剣持っちゃいねェよ…見てな、これが俺様の…『剣鬼』と呼ばれた男の技よ!」

ユラリ

スラ「け、剣が…揺れて…」

ブワン ブワン ブワン

スラ「け、剣が増えた!?いや、おそらく、おそらくだが、質量を持った残像に違いない!」
剣士「へぇ、わかるんだ。そうさ、これは質量を持った剣の残像を無数に発生させる技…」

『ソードフエール』!

スラ「そ、ソードフエール!?」

剣士「この技を使えるのはこの世に三人だけ。俺様と俺様の師匠…そして…いや、なんでもねぇ。ちょいと喋りすぎたな…」

スラ(急に悲しそうな目を…一体、一体彼の過去に何があったというの!?)

剣士「まぁいい、この無数の剣の残像で、尿波を押さえ込む!」

ザシュン ザシュン

剣士「いったらぁぁぁぁぁ!」

ザシュン ザシュン

ドビュッシー

ザシュン ザシュン

ドビュッシー

スラ「互角…いや、若干、若干ではあるが、尿波の勢いが弱く…」

剣士「!、見えた、そこだぁぁぁ!」

ザシュン クパァ

剣士「ハッ、スケベな尿波だ。こんなに股開きやがって…」

パカッ ザパァァァン

スラ「に、尿波が真っ二つ…すごい…」

剣士「俺様のバルエクスカリバルムンクは何だって斬るんだよ…!」

剣士「だから…生きているのなら、神様だって斬ってみせらァ」

ド☆ン!

スラ「デュエルスタンバイ!」

こうしてなんやかんやで
尿波を斬った剣士。
だが
彼の剣はいまだ錆び付いたままであった。

(続く)

【第二話】
あれからなんやかんやあって
剣士とスライムは意気投合
共に町を目指すこととなったのだった…

・ ・ ・ ・ ・

テクテク

スラ「遠いですね、町」

剣士「ん、そうだな」

スラ「…」

剣士「…」

剣士(もう三日も抜いてないな。ムラムラしてきた)

ムラムラ

剣士(あーやりたいやりたい)

剣士(やりたいやりたいヤリドウィッヒ!)

ムクムク
バキバキ
ズヒューン

剣士「うぉっ、しまった」

スラ「きゃあ、何か立派なものが現れて…!」

ビンビン

スラ「ま、まさかそれって…」

剣士「そうさ、人間の…男性器(rod)だ」

スラ「ひぃっ」

剣士「ハッ、見るのは初めてかよ!」

スラ「は、早くしまって下さい!」

剣士「無理だ。ここまで隆起しているんだ、そう簡単には収まらんさ!」

キリッ

スラ「なぜそうも自慢げに言い切れるのか」

剣士「頼むよ~ヌいてくれよ~」

スラ「しょうがないに゛ゃ゛あ゛…」

剣士(なぜにニャンちゅう声…)

スラ「では変身…」

グニュリ

スラ「名器ちゃんモード!」

『説明しよう!』

『やっぱりやめよう!』

剣士「やめんのかよ!てか誰だよ!」

『私は俗にいう天の声。山寺宏一の場合が多いな』

剣士「山ちゃん…」

しずちゃん「呼んだ?」

剣士「お前は相方やんけ!」

剣士「そんなことより、早くこのビッグダディをどうにかしてたもう!」

スラ「よっしゃ」

ヌプリ

剣士「オナホ形状になったスライムが俺のビッグダディに…!」

ヌプリ

剣士「さ、さすらoh…」

スラ「さらに奥へ…奥へ…」

剣士「やっ…いぐぁぁぁぁぁぁぁ!」

スラ「爆発四散しろぃ!」

ググンッ

剣士「!」

ドビュッシー
ドドドド ドビュッシー

スラ「そのまま破裂しろ!」

ギュゥッ

剣士「だ、めぇ!」

ググンッ
パァァ…ン…

剣士「あ…俺様の…ビッグダディが…破裂した…?」

スラ「汚ねぇ花火だぜ」

剣士「う、わぁぁぁぁ!」

スラ「カーッカッカッカ、ちんこが爆発四散して気が狂ったか!」

剣士「なぁんちゃって」

スラ「!?」

剣士「アシュラマンみてェな笑い方しやがって…俺様のちんこを爆発四散させたのがそんなに嬉しいかよ」

スラ「ど、どうしてそんなに平気でいられる…ちんこが、ちんこが消えて無くなったんだぞ!?」

剣士「確かにちんこは爆発四散した…だが俺様のちんこは爆発四散してねェよ…」

スラ「ど、どういう意味だ…」

剣士「ハッ、まんまの意味だよ。まぁ見てな…!」

ギュォォォ

スラ「風が…風が騒ぎ出した…」

ザザッ
ギュワン

スラ「剣士の股間に…何かが…」

剣士「バックアップファイルAー32から、データ読み込み…構成…構築…」

ギュワン
ギュワン

剣士「修正ファイル1から15まで読み込み…実行開始…追加ファイルchinko.exeを実行…」
ギュワン
ギュワン

剣士「…でいやぁぁぁ!」

バシュゥゥゥ

チィンコォ………

スラ「ちんこ…ある…」

剣士「俺様はちんこを電子データ化しているんだよ。だから、ちんこはいくらでも再構築できる。俺様の脳が無事な限り、な」

スラ「馬鹿な…性器の電子化はまだ実現不可能な技術なハズ…」

剣士「理論はずっと前から完成していたんだ。なら、実現するのは簡単だ。なんたって俺様だからな」

スラ「しかし電子法で失われた部位の再構築は禁止されている筈…そもそも構築の為の有機マイクロナノマシンの入手さえ一般人には不可能…貴方、一体何者…?」

剣士「ハッ、剣を振るしか能のない、ただの剣士さ…」

スラ「…」

剣士「…」

ムラムラ

ムクッ

剣士「…」

ビンッ

剣士「股間ライダー隆起!」

スラ「何にライドしているというのか」

剣士「マラ、イカなければ生き残れない!」

スラ「大量の精子は死ぬけどね!」

スココココ
ドビュッシー

剣士「でたァ…」

スラ「何回射精してんねんコイツ…」

剣士「スッキリしたら腹減ったぞ!」

スラ「…そうね、食事にしましょうか。」

・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・

スラ「その辺の木の実を集めてみた」

剣士「俺様はキノコを採ってきた」

スラ「山の中では、これくらいしか食べ物が…しかたないわ」

剣士「では手始めに木の実から食べるか…」

ヒョイ パクッ

剣士「…酸っぱいし、鮮やかな幻覚が見えてきた」

スラ「やっべぇぞ」

剣士「次はキノコだな」

ヒョイ パクッ

剣士「うむ…苦いし、ババアの悲鳴のような幻聴がしてきた」

スラ「やっべぇぞ」

スラ「どうやら食べるのは危険ね」

剣士「でも、他に食べ物がないぞ」

スラ「まぁ僕ならしばらく食べなくても大丈夫だけどね。スライムって、そういうもの」

剣士「そうなのか」

スラ「そうなのよ」

剣士「うーむ、食欲が満たされたら性欲がふつふつと沸いてきた」

スラ「へぇ」

剣士「いいこと思い付いた。お前、俺のちんこにションベンかけろよ」

スラ「へぇ」

剣士「早く~早く~」

ヌギッ
ポロリ

スラ「裸になるの早っ」

剣士「そして既にぃ、はちきれんばかりにぃ、膨らんでいるぅ」

スラ「こらえ性のない男!」

スラ「しょうがないに゛ゃ゛あ゛…」

剣士(やはりニャンちゅう声…)

グニュリ

スラ「細ネジモード!」

剣士「スライムが細いネジの形に…ま、まさかお前!」

スラ「そのまさかよ、剣士。そのちんこを入れるのではなく、ちんこに入れるのよ」

ズモッ

剣士「や、やめ…ゆる…」

スラ「祈りの時間さえ、与えはしない」

ズンムッ
グルグルグル

剣士「や…やぁ…ネジが、ネジが尿道を犯して…ナァァー」

グルグルグル

スラ「おおっと、ここで一旦ストップだ」

剣士「な…なぜ…」

スラ「おたのしみは…これからよ」

ニマァ

剣士「い、いけずや…あんはんは、ほんにいけずや!」

ウルウル

スラ「アハハッ、いいよいいよその顔!ねじ込みがいがあるってもんさ!」

グルグルグル

剣士「あっ…がっ…い…」

スラ「さて、細ネジの僕の体が全部入った訳だが…感想は?」

剣士「うびゅるぅぅぅなぁぁぁぁぁ!」

スラ「ちっ、もう精神崩壊しやがったか」

スラ「こいつも、つまらないただの人間だったか…もういい、このまま爆発四散するかな」

剣士「…」

スラ「ちょっとは楽しめるかなって期待したのに…した、のに…この人間なら…『竜帝』を倒せるかなって…期待…したのに」

ザザッ…

剣士「…」

スラ「ん?」

剣士「…」

グググッ カッ

スラ「なっ…急にちんこが固く…ナァァー」

剣士「ハッ、ちょいと寝ちまったがよ、俺様は元気だぜ」

スラ「でも、依然として細ネジの僕はちんこの中だ…!」

剣士「上等よォ!」

ギュォォォ

剣士「見てな、気合いってヤツの凄さをよォォォ!」

ゴゴゴゴゴ

スラ「これは気の高ぶりか…うっ、僕の体が…?」

ルグルグルグルグ

スラ「細ネジが逆回転しだした!?」

剣士「そのまま抜けろ!」

ニュポン

スラ「うわぁ」

ポトリ
グニュリ

スラ「くっ…通常形態に戻ってしまった」

剣士「やれやれ、いざこざはよそうぜ」

スラ「そうね」

剣士「それより質問だ。あんたがさっき言っていた『竜帝』ってのは…」

スラ「…」

剣士「答えてもらうぜ。俺様にも関係ある話だからな」

スラ「…竜帝は、竜の谷に住む竜の頂点にして帝王。名の通りの存在よ」

剣士「竜の帝王…ハッ、随分偉くなったもんだな、竜ってのは」

スラ「一時は絶滅の危機に瀕していた竜族…確かに今は魔物の中では弱い勢力だわね」

剣士「奴らは同族同士で小競り合いばかりしていたからな…プライドばかりの老害が種族を衰退させたのさ」

スラ「…やけに詳しいわね」

剣士「まぁ、ちょいと、な」

剣士「で、その竜帝ってのは、かなり強いみてェだな」

スラ「えぇ。単純なレベルでいえばLv.70はあるでしょうね。間違いなく魔王クラスよ」

剣士「Lv.70…ひとつの国で対処できる域じゃねェな」

スラ「でも竜帝の恐ろしさは、そのLvじゃないわ。本当に恐るべきなのは、従えている魔物よ」

剣士「へぇ」

スラ「直属の部下…『竜四天王』は皆Lv.50前後。さらにその四天王の配下はLv.40台の精鋭揃い。その下っ端でさえLv.30が揃っているのよ…!」

剣士「そいつはまた…ゾッとしねぇなぁ」

スラ「えっ」

剣士「ん?」

スラ「ゾッとしないの?」

剣士「ん?」

スラ「いやいや、普通ゾッとするでしょ」

剣士「ん?」

スラ「ゾッとしねぇなぁって、どういう意味なの?」

剣士「ん?」

スラ「まぁどうでもいいわ」

剣士「ん」

スラ「とにかく、竜帝はヤバいのよ」

剣士「…」

スラ「なに?」

剣士「なんか変じゃねェか。竜族ってのは今じゃ弱い種族って話だろ、なのに…」

スラ「竜帝は竜族だけど、その配下は竜族じゃないわ。竜の谷は、今じゃいくつもの種族が集まった魔窟と化しているわ」

剣士「そうか…」

スラ「そもそも竜族なんて、もう竜帝以外存在しているかさえ怪しいわ。それくらい弱い勢力になったのよ」

剣士「そうか…」

スラ(また悲しそうな目…彼は一体…)

突如として浮かび上がった
『竜帝』という存在。
そして竜族と何やら関係がありそうな剣士…
その悲しそうな目に惹かれつつあるスライム…
そして依然として錆びたままの剣…
物語はまだまだ始まったばかりである

【続く】

ちなみに『剣士』で検索すると糞まみれなSSに出会えるよ!

こうしてなんやかんやで
竜帝の存在を知った剣士。
何やら竜族と関係があるようだが、果たしてそれは…

・ ・ ・ ・ ・

スラ「で、そろそろ町に着きそうね」

剣士「あぁ。だいぶん歩いたからな」

スラ「早く宿屋で休みたいわ」

剣士「…」

ムラムラ

剣士(いかんいかん、疲れのせいか勃起が…)

ムクムク

剣士(いかんとゆーとろーに!)

ブンッ ボコッ

剣士「ぎやあああ」

スラ「自分で自分のちんこを殴るなんて…」

剣士「俺様はトチ狂っちまったのかよ、ちくしょう!」

ガンッ ガンッ

剣士「ぎいやあああ」

スラ「何度もちんこを殴るなんてまともじゃあないわ!」

剣士「くそっ、俺様は…」

ガンッ

剣士「ぎいやあああ」

チンコハレテラァ…

剣士「でもよ、だんだんとよ…」

ニマァ

剣士「気持ちよくなってきたってばよ!」

ハッ!
デンデデデン
ハッ!

ハッ!

スラ「NARUTOのBGMが聞こえてきた…まさか!」

剣士「その、まさかだ」

グワッ

剣士「多重影ちんこ分身!」

シュパパパパパ!

スラ「ちんこの雨…」

剣士「右に左、上に下。ちんこはすべての角度から現れる。もはや人類に逃げ場無し」

プルルン

スラ「くそっ…しずくちゃんみたいに可愛く震えやがって…これがちんこだってのかよ、ちくしょう!」

ムキッ

スラ「ちんこ剥けとるやないか!」

ムキッ ムキッ

スラ「次々とちんこ、剥けとるやないか!」

ムキッ

スラ「いかん…このままでは包茎ノイローゼになってしまう」

剣士「包茎ノイローゼ…皮を剥く音が耳から離れなくなり、やがて死に至る…ハッ、恐ろしいねェ!」

スラ「嫌だ…僕は包茎ノイローゼで死ぬなんて、嫌だ!」

ムキッムキッ ムキッ

スラ「あぁ…わぁぁ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁらっぱー!」

グニャァァァァァァ

剣士「おやおや、先に精神が壊れちまったかよ…ナァァー」

スラ「嫌だ…ちんこが僕の…家族…ママ…パパ…うわぁぁぁぁぁぁ!」

グニュリ

スラ「あ゛あ゛あ゛!」

グニュリ グニュリ
グバァァァン

剣士「なっ…それは…その姿は…!」

スラ「くおぉぉぉぉぉん!」

剣士「その姿は…ドラゴン…」

スラ「くおぉぉぉぉぉん」

スゥゥゥゥゥ

剣士「っ、まさかブレスを吐く気か!?」

スラ「くおぉぉぉぉぉん!」

ブァァァァァ

剣士「ファイアブレスか…いや、これは熱量が無い?」

コォォォ

剣士「無属性のただのブレス…しかし果てしなく強大なエネルギーのブレスかっ!」

コォォォ

剣士「このブレス…危険だ!」

チャキッ

剣士「防御態勢…凌がねばな、これはな!」

スラ「くおぉぉぉん!」

コォォォ
ブワァァァ

剣士「ぐっ…肌が焼けるような、凍てつくような…ハッ、正直耐えきれるか分からンなぁ!」

コォォォ

スラ「くお、くおぉぉぉん!」

剣士「ぐっ…意識が飛びそうだ…」

クラッ

剣士「こ、ここまでなのか…」

ザッ
パァァァァ

?「よう、大丈夫かい、あんた」

剣士「っ、だ、誰だ…?」

?「それは今重要ではない。俺の防御魔法壁、それほど長くは保たん」

剣士「…」

?「さぁ俺につかまれ。この場を一旦離脱する」

・ ・ ・ ・ ・

剣士「…」

?「ここまで退けばとりあえずは安心だ」

剣士「助かったぜ。正直もう駄目だと思った」

?「いきさつは分からんが、無属性のブレスを剣で受け流そうとするなんて、どうかしてるぜ」

剣士「ハッ、違ぇねぇ」

?「おぉっと、紹介がまだだったな。俺は料理人。山菜を採っていたんだ」

剣士「俺様は剣士。なんやかんやあって、さっきのモンスターと対峙していた」

料理人「ほぅ、訳ありのようだな」

剣士「まぁ厄介事に縁がある体質でね」

料理人「へぇ…」

ジッ

剣士「…なんだね」

料理人「いや、実にいい肉体をしているなと…」

ジュルリ

剣士「…」

料理人「…」

ヌギヌギ
ポイッ

料理人「君の股間の山菜は、どんなんかな~」

ズモッ

剣士「なっ…」

料理人「どんなんかな~」

ガシッ

料理人「どんなんかな~」

サワサワ
ヌプリ

剣士「はっ…あふぃぃぃぃ…」

料理人「どっどどどどど、どんなんかな~」

ズボンヌ!

剣士「はっ、遙か遠き理想郷!!!」

ジュワ~

料理人「ふぅん、荒々しくもみずみずしい、上質の山菜の如しぞなもし!」

剣士「んっ、んっ…」

料理人「さて、どこからともなく取り出したるは、天ぷら粉を水でといたもの…これを」

剣士「これを?」

料理人「どうすると思う?…いや、どうしてほしい?」

剣士「塗って…」

料理人「うん?」

剣士「塗って!全身にくまなく塗りたくって!」

料理人「それから?」

剣士「油で…油で揚げてぇぇぇぇぇ!」

料理人「イエェェェェェス!」

ぺちゃり。

ぺちゃり。

適度に粘性を持った小麦粉が

剣士の体を容赦なく犯していった。

ときおり発せられる

剣士のくぐもった声は

これから行われる行為を

期待しているかのようであった…

【続く】

こうしてなんやかんやあって
ドラム缶いっぱいのオリーブ油が
いや、正確には
オリーブ油:8に対して
ごま油:1
ラード:1
の割合の油が
揚げ物には最適である180℃まで熱されていた。

料理人「ふふ、油の準備はできた」

剣士「あぁ…早く…早く…」

クネクネ

料理人「あわてんなって!」

剣士「あぁ…揚がりたい…揚がりたいんや…」

料理人「あわてんなって!」

剣士「はよせな…はよせな…」

料理人「あせんなって!」

料理人「こらえ性の無い、いけない子は…こうだ!」

ショラッ
ズンム

剣士「あぶりゅ!?」

料理人「喉を突かせてもらった。次は喉をつぶす」

剣士(こいつ…目玉焼きの黄身を潰すかのように、なんの躊躇いもなく…俺様の喉を…!)

料理人「ほら、おとなしくしてな。衣を付け直すから」

コムギコ ドロー

料理人「まんべんなく、まんべんなくだ、これがな」

ペチャリ
ペチャリ
ヌッパー
モプリンチョ
ナッパパ ナッパパ ナッパパ
モッサン ゴッサン!

料理人「よし、これであとは揚げるだけだな」

剣士(…とうとう俺様も天ぷらになるのか…ハッ、面白い人生だったぜ)

料理人「よし、油の温度は最適だ。さぁ剣士、油の…神聖なる油の子宮へと…さぁ!」

剣士「…」

コクリ
テク…テク…

剣士(揚がる…揚がりたい…揚がらねば…揚がるなら…俺様は…!)

ズキッ
キィィィン

剣士(っ!?)

キィィィン

剣士(頭痛…いや、これは…脳内に…記憶の断片…フラッシュバック…)

キィィィン
キィィィン

剣士(俺様は…大切な…何かを忘れ…て…)

キィィィン

剣士(お、俺様の脳細胞が…40倍に…!)

グシュグジュ

剣士(あ…ぼんやりだが…ぼんやりだが何かを思いだし…)

料理人「ええい、何を突っ立っておる!早く入油せぬか!」

剣士(…)

キュアーン

料理人「ぬっ…治癒魔法の光…?貴様、一体何を…」

剣士「ん、あーあーテステス。よし、喉は治ったぜ」

料理人「貴様…」

剣士「悪ィな料理人。俺様、天ぷらになる訳にゃあいかんのよ…ちょいと野暮用を思い出してな」

料理人「野暮用、だと…?」

剣士「あぁ。それが無意味なことだとしても…最終的に砕け散る事になるとしても…やらなきゃならねェ、野暮用さ」

料理人「訳のわからん事を…天ぷらにならないなら、生かしてはおけんな!」

剣士「…旋風吹けェェェ!」

ビュオーン ビュオーン
テンプラコ フキトビー

剣士「これでもう俺様は…自由だ!」

料理人「お、のーれ!」

ビキッ

料理人「私を怒らせたようだな、二流のヘボ剣士がぁぁぁ!」

ビキッ ビキッ
フク ビリー

料理人「ふしゅる…見ろやこの筋肉…カッチカチやぞ…」

シュッ
クルクル
シュタッ
クルクル
キメッ

料理人「カッチカチやぞ!」

剣士「すげぇ筋肉…まるでダイヤモンドだな」

料理人「そう、私の筋肉は最早ダイヤモンド…決して砕けんのだぁぁぁぁぁ!」

ムッキリィィィン

剣士「だが所詮人間の肌よ。剣で斬れぬ筈は無いだろうよ」

料理人「やってみるがいい…やってみるがいい!」

剣士「ハッ、お言葉に甘えて!」

チャキッ

剣士「いくぜ相棒…」

『バルエクスカリバルムンク』!

グォァァァ

剣士「封印術式参ノ弐、限定解放!」

グォァァァ

剣士「見せてやる、聖剣と呼ばれるバルエクスカリバルムンクの、その力の一部を…!」

こうして色々あって
剣士と料理人は戦うこととなった。
その傍らでは、熱された油が
まだまだ揚げ物に最適な温度を保っており
依然として剣は錆びたままなのであった…

【続く】

料理人「ホーッホッホ…威勢のいい奴だ。だが私はコーヒーシュガーのように甘くはないぞ」

剣士「ハッ、上等!」

料理人「ならば手加減は無しだ…くらえぃ、超硬質ナックルぅ!」

ブゥンッ
バキィ!

剣士「危ねェ…さすがダイヤモンド級の肉体だ。当たれば痛そうだ!」

料理人「そうさ、当たれば痛い、当然だ!」

ブゥンッ
バキィ!

剣士「ふぅ…避けるだけで精一杯だ」

料理人「そらそら、どんどん地面がえぐれ、逃げ場が無くなっていくぞ!」

ブゥンッ
バキィ! バキィ! バキィ!
ハンマー バキィ!

剣士「らちがあかねェな…さらに術式解放が必要かねェ」

ブツブツ…

剣士「術式伍ノ伍解放…展開、さらに展開、展開、展開…ハッ、おまけだ、展開展開展開!」

ヴァァァン
グニャァァ
ニャーン
ワオーン
ジラフ ジラフ

剣士「バルエクスカリバルムンク、霊剣モード!」

チャキッ

料理人「霊剣…モード、だと?」

剣士「名の通りさ。その強さは身をもって知るんだな…いくぜバルエクスカリバルムンク、霊を食えぇぇぇい!」

グァァァァァ
ウワァァァ

料理人「なっ…なんだこのおぞましい声は…」

剣士「霊…いや悪霊、死霊どもの声さ」

料理人「あ、悪霊…?」

剣士「そうさ。霊剣モードとは、周辺の悪霊を食らい、霊的攻撃力に変換するモードのことだ」

料理人「趣味の悪い…聖剣が聞いて呆れるな」

剣士「ハッ、違ェねぇ」

グァァァァァ
ギャァァァ

剣士「だが、こうでもしなきゃ勝てない敵がいた…こうでもしなきゃ守れないものが…あったんだよ!」

料理人「それを口実に…外道を歩むか!」

剣士「外道、結構!泥ならいくらでも被る。慣れてンだよ、そういう役にゃ」

料理人「お前は…一体…なにものだ…?」

剣士「知らなくていい。知る意味もない。俺様は世界の影。希望という光をよりよく輝かせる為の、影だ」

料理人「影…なるほど、世界の影か。人知れず世のため人のため、戦い続けてきた、名も無き英雄という事か」

剣士「英雄なんざガラじゃねェさ」

料理人「だがその英雄が外道に成り下がったのならば…倒すしかあるまいよ」

ビキッ ビキッ

料理人「葬ろう、過去にすがる悲しき男よ…!」

剣士「ハッ、やってみな!」

『おい、お前ら早よ戦えや』

剣士「て、天の声か…」

『だらだら喋りすぎやねん。てかお前のバルエクスカリバルムンク、悪霊食いすぎでエラいことになってんで』

剣士「ほ、ほんまや!」

ウワァァァ
ギャァァァ

料理人「きゃあ。なんておぞましい!」

ジョボボボボ

料理人「しまった、怖くてもらした」

ジョボボボボ

剣士「…!」

ピキュリィィィン

剣士「ションベン…もらしたか…これは好都合!」

料理人「はにゃ?」

剣士「お前、俺様の剣にションベンしろよ」

『やっぱりそうなるのね…』

恐怖のあまりションベンもらしたのは料理人!
その窮地を逆手に取ったのは剣士!
その展開を読んでいたのは天の声!
もはやほったらかしのスライム!
様々な想いが交錯する中
いよいよ剣士の剣の錆が取れるのかもしれない…!

そして依然として油は適温であった…!

【続く】

~そのころスライムは~

スラ「疲れた…理由は分からないけど、少しの間気絶していたようだ」

キョロキョロ

スラ「んく…剣士がいない」

キョロキョロ

スラ「置いてかれちゃったのかな…」

シュン

スラ「なんだかんだで、一緒にいるの、楽しかったんだけどなぁ…」

スラ「…」

ウキュ…

スラ「ん…なんだろ…悲しいな…」

スラ「胸にぽっかり穴が空いたみたいだ…」

キュン

スラ「つらいよ…切ないよ…」

ウルウル

スラ「会いたくて会いたくて震えるよ…」

プルルーン

スラ「寒い…夜だから…」

イージドゥダッ↑
イージドゥダッ↓

スラ「どうして僕がこんなに辛い気持ちにならなくちゃいけないんだ…」

フツフツ

スラ「何が…誰が原因だ…そうだ…そうだよ、ぜぇんぶ、あの剣士のせいだ」

ニタァァァ

スラ「あの剣士がいなければ、こんなに切なくなる必要も無い…そうだよ…あの剣士がいなくなれば…ははっ、あははははははははは!」

スラ「ようし、あの剣士を…消さなくちゃ…消さなくちゃ…」

グニュリ

スラ「こんなこともあろうかと、剣士に発信機を取り付けていたんだ。くれぐれも悪用はしちゃいけないけど…いいよね、博士…」

クレアクジャゾー

スラ「早速、発信機を使って剣士の居場所を突き止めねば」

カチャカチャ
スマホ イジイジ

スラ「よし、居場所は分かった。すぐ近くだ…決して焦らず急いで行くか…徒歩で!」

こうして
剣士に歪んだ感情を持ってしまったスライム。
剣士を亡き者にしようとするのであった…

そして
やはり
油は
まだまだ適温であった。
【続く】

・ ・ ・ ・ ・ ・

あれから
なんやかんや
なんやかんや
かなり、なんやかんやあって
剣士と料理人は争う事の虚しさを痛感し
戦うことを止めた。
そして今、二人は
一粒の果汁グミを
仲良く半分に分け合っていた…

剣士「おいしい?」

料理人「うん」

剣士「よかったぁ」

料理人「えへへ…」

剣士「…」

料理人「…」

剣士「グミ、なくなっちゃったね」

料理人「…うん」

剣士「…」

サワッ

料理人「っ、ひゃっ…」

剣士「あれれー、まだグミがあるぞー?」

料理人「そっ、それはグミじゃ…な…っはぁっ…」

―そして―

―未熟な一輪の薔薇は―

―散った―

―そう、散ったのだ―



料理人「…もう、引き返せない」

剣士「俺様は…俺様達は」

「「運命共同体」」

【続く】

『運命共同体』

つまりは、そう
互いが互いを必要とし
決して離れる事はできない。
絡み合った蔦のように
また、つがいの鳥のように
それは
それらは
ふたつにして、ひとつ…

チュッ チュッ
ヌパッ ヌパパッ
キリッ タンポォ…

剣士「んぐぐっ…」

料理人「はっ、はぅえん…」

剣士「ま、まさか…その餃子の皮を…!」

料理人「君の思考が凡人のそれならば、想像通りなのだろうな…だが私は、こと料理に関しては天才だと自負している!」

ヒラッヒラ…

剣士「餃子の皮…空を舞う…」

ヒラ…ヒラ…

剣士「ま、待って…餃子の皮…どこへ行く…」

ヨロヨロ

料理人「ふふ、あんよは上手、あんよは上手…」

剣士「ま、待って…」

ヨロヨロ

剣士「皮…皮…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

グルンッ

剣士「…」

バタリ

料理人「気絶したか…まだ君には刺激が強すぎたかな」

ユビ パッチン
ギョウザノカワ バクハツー

料理人「不規則に宙を舞う餃子の皮が人の中枢神経を犯し、精神を高ぶらせる…これが私の料理魔法…『ダンシング・ハイ』…!」

こうして剣士は気絶した。
それをいやらしい目で眺めていた料理人。
その後、二人はどこへともなく消えていった…

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

~一方そのころスライムは~

スラ「うーん、突然剣士に付けた発信機から信号が消えたぞ…」

『チャドの霊圧が消えた!?』

スラ「違う。てか急に喋らないでよ、天の声」

『すまんすまん。それより残念なお知らせだ』

スラ「ん?」

『剣士はここにはいない。発信機に気付いた、料理人という男が取り外して壊したのだ』

スラ「くっ、発信機が壊されたとな…」

『今頃剣士と料理人は、もよりのラブホテル…ラブホにいるに違いない、あぁ違いない』

スラ「…」

スラ「誰よ、その料理人って…」

イライラ

『ひょんなことから剣士と行動を共にしている…男だ』

スラ「っ!」

ギリッ
ギリギリギリ
ハグキカラ チ ダラリ

スラ「なんなんだよ…そいつ…剣士を…剣士を!」

ダンッ ダンッ

スラ「っ、こんなにも僕の心を惑わせる…剣士…くそっ、その料理人って奴も、まとめて…ぶっころ!」

『「す」は!?』

スラ「ぶっころぶっころぶっころぶっころぶっころぶっころぶっころ…」

ケヒヒヒヒヒ

『く、くるってる…』

スラ「みんなみんな、僕の心から…思い出から…消し去ってやるるるるるるるるRRRRR!!!」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!!

スラ「だ、脱糞しちゃっ…た…」

こうして
なんやかんやあって
糞まみれになった
【続く】

スラ「んっ…くぅん…」

プスッ ブピーッ
プリュリュリュ
プスー

スラ「が、ガスばかり出る…腸内活動が活発であるな!」

ニマァ

『なぜ誇らしげなのか』

スラ「このガス…有効利用できないかな」

『わーおエコだねぇ』

スラ「試しに、僕の腸内ガスに炎を近づけてみたら…」

シュボッ
ゴワァァァァァ!

スラ「ぎいやあああ」

『予想できた展開だよね。無謀だよね』

スラ「だ、誰か助けて下さい!助けて下さい!」

『瞳を閉じて』

スラ「いやいや助けて下さいよ!」

『しょうがないに゛ゃ゛あ゛…』

スラ(なぜにニャンちゅう声…)

『天の心の名のもとに命じる…大気よ、シンフォニーを奏でよ!』

カゼ ビュワー

スラ「か、風で炎が消えた…助かった」

『造作もない事よ』

スラ「で、あるか」

『うむ』

スラ「さて、そんなことより、だよ」

『うん?』

スラ「剣士を追わなくちゃ…ついでに料理人とやらをぶっころしなくちゃ」

『頑張れ。ガッツ…だっぜ!』

スラ「ありがとう天の声。じゃあ、僕行くよ」

テクテク

『行ったか…』

?「…ずいぶんと優しいのね。私に対してとは大違いだわ」

『君を娘くらいには大切におもっているつもりだけどね』

?「…うれしくないわね」

『それより急がなくていいのかい?このままでは君の王子様が…』

?「そんなんじゃないわよ、彼は」

『ふぅん…まぁいいや』

?「行くわ」

『あぁ。竜族の姫に君に幸多からん事を…』

テクテク

『行ったか…無理はするんじゃあないよ、竜子…』

こうしてなんやかんやあって
誤字脱字もあって
スライムは剣士を追うのだった。
やたら喋る天の声!
さらに現れた謎の人物、竜子!
果たして彼女は何者なのか?

そして、やはり
剣士の剣は錆びたままで
油は適温を維持しているのだった…
【続く】

・ ・ ・ ・ ・

剣士「んっ…朝か…」

コケコッ
ウボラア゙ア゙ア゙ア゙ア゙

剣士「これが鶏の鳴き声かよ!」

料理人「あの鳴き声は、魔界鶏ぞなもし」

剣士「あっ、料理人…」

ポッ

料理人「目覚めたようだな。安心しろ、ここは私の家だ」

剣士「料理人の…家…」

ドキドキ
トクン トクン

料理人「はっはっ、そう固くならなくてもいい」

剣士「俺様は一体…」

料理人「私の料理魔法を見て、気絶したんだよ」

剣士「料理魔法…」

料理人「いかにも。食材に魔力を込めて発動する魔法ぞなもし」

剣士「驚いたぜ、あんな魔法があるなんて」

料理人「魔界には、自分の得意技をベースに魔法を使う者がいるのだ」

剣士「魔界…そうか、あんた魔界の住人だったのかよ」

料理人「そうさ、私は魔人…父は悪魔で母は人間だ」

剣士「魔人…異種族だったのかよ」

料理人「ははっ、それは君達人間側からしたらの話だ。そもそも異種族…異なる種族なんてのは、この広い世界であたりまえに存在するものだろう?」

剣士「…」

料理人「実を言うとだ、私は君を知っている。人間以外の種族を容赦なく斬り、その存在を認めない典型的迫害者…剣士…」

料理人「酷い話だ。人間はそうやって我が物顔で魔物を追いやり、この魔界へと閉じこめたんだ!」

剣士「…なるほど、魔物の世界で魔界…そもそもは人間の所業だったのか」

料理人「私は君のような存在を許さない。互いの存在を認め合い、ともに手を取ることを、なぜしない!?君のような奴がいるから…君のような奴がいたから…!」

剣士「…ハッ、言いたいことはそれだけかよ」

料理人「…なにィ?」

剣士「俺様だって、意味も無くこんな風になった訳じゃねェ…誰にだってあるンだよ、理由ってのが」

料理人「君は…」

剣士「話は終わりか?なら俺様はてめぇを斬らなきゃならねェ。半分とはいえてめぇは悪魔…異種族だ」

料理人「そうやって、斬って…斬って斬って斬って!いつ終わる!?どちらが滅ぶまでか!?それは…いつになる?それは…終わりがあるのか…?」

剣士「関係ねェ…まるで関係ねェよ。俺様は、斬るだけよ。なァに、難しい話じゃねぇ…これはただの八つ当たりさ。無力な自分への…この世界への…八つ当たりさ」

料理人「愚かなり…愚かなり!」

バッ バササ
フク ヌギステー

料理人「そんなわがままで自分勝手な奴は…指導が必要だな。そう、特別な指導が…」

ボロン

料理人「指導棒だ」

剣士「やだ…甲鱗のワーム…///」

料理人「私の指導棒は凶暴ぞなもし」

剣士「こ、壊れちゃう…」

料理人「なぁに、痛いのは最初だけさ。後はだんだんよくなるね」

ブルン ブルン
ビターン ペチ ビターン ペチ

剣士「指導棒が…ビターンって…」

料理人「さぁ、指導開始だ」

剣士「やらせはせんぞ!」

ダダッ

料理人「逃げるか、臆病者め!」

剣士「ハッ、戦術的撤退だ!」
ダダッ

料理人「くそっ…待て、待てぇぇぇい!」

ダダッ

ダダッ
ビターン
ダダッ
ビターン

料理人「くっ、チンポがビターンして走りづらい!」

ダダッ
ビターン

料理人「いかんな、逃げ切られてしまうぞ」

ビターン ビターンビターン

料理人「それに、だんだん気持ちよくなってきたし…」

ビターン ビタタタタタターン

料理人「うっ…駄目よ…駄目駄目ぇぇぇ!」

ビタ…
ドビュッシー

料理人「エレキテルレ…んごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

ドババババババババババ

料理人「んほぉ」

ネバリュ…

料理人「…あぁ、すがすがしい気分だ」

料理人「人は何故戦争などするのだろう」

・ ・ ・ ・ ・ ・

料理人「はぁ…ああぁ…ムムッ?」

キュィィィン
ラクテンカードマーン

料理人「マイクロウェーブ、来る!」

ムクムク

『説明しよう!料理人はマイクロウェーブにより勃起するのだ!』

料理人「説明ご苦労」

料理人「魔界では8秒に1人がマイクロウェーブで勃起しています」

『まるで楽天カードだな…』

料理人「しかし、そのおかげで私のツインサテライトキャノンが回復しましたよ」

『それはよかっ…ツインサテライト?』

料理人「ええ。マイクロウェーブの影響で、チンポが二本に増えました」

『なんと奇遇な!』

料理人「これでチンポビターンをチンポビターンにより相殺できる…!」

ビンッ

『なんてこった…そんな事ができるのか』

料理人「さぁ剣士…私から逃げきれるかな…フフフ」

ビンッ ビンッ ビキッ

料理人「クンカ…クンカ…」

スンスン

料理人「ふむ、剣士の臭いがする方向が分かったぞ」

『すごい嗅覚に違いない』

料理人「フハハ、では参るぞ参るぞ…参るぞ参るぞ!」

ダダダッ
ビタ…ビターン
ビタ…ビターン

『なるほど。チンポがビターンってなるのを、もう一本のチンポがビターンして相殺しているな…やるじゃん』

料理人「フハハ、これで全速力でも射精する事は、無い!」

ダダダッ

料理人「臭いが強くなってきた…近いぞ」

ダダダッ

料理人「よし、見えた。距離、500m!」

ダダダッ

料理人「ハーッハッハ!」

ズザザザザ
クルクル
ターン

剣士「なっ…料理人!?」

料理人「おハロー」

アイズオンミィ…

料理人「やぁ剣士、追いついたよぉぉん」

ニマァ

剣士「料理人…なっ、貴様、チンポが!?」

料理人「見ての通り、二本だが?」

剣士「なんと奇遇な!」

オシリ ブリンッ

剣士「俺様の尻穴も二つあるんだぜ!」

料理人「なんと奇遇な!」

剣士「なんと奇遇な!」

それは
奇跡と呼ぶには
あまりにも…
【続く】

・ ・ ・ ・ ・ ・

~前回のあらすじ~

なんやかんやあって
料理人のチンポは二本になり
たまたま剣士の尻穴は二つだったのだ…

剣士「で、どうするンだよ?」

料理人「…」

ゴクリ

剣士「答えろよ」

料理人「…」

ハァ… ハァハァ…

料理人「あ…うわぁぁぁ…んぐぬぅ!」

ビキッ ビキッ ボッキン

料理人「天を切り裂く巨大な二本の剣…私のチンポの事だ!」

剣士「で?」

料理人「振り向かぬ…涙も、見せぬ!ただ、挿し貫くのみ!」

料理人「ロックオンした…狙い挿すぜ!」

ダダダッ
ズブリ

剣士「んhooooo!!!」

料理人「俺達は、ひとつだぁぁぁぁぁぁぁ!」

ズブッ ズブッ
モッサン ゴッサン!

剣士「ぎ、銀河が生まれる…」

料理人「そして始まる…神話が始まる!」

ヌプッヌプッ
モッサン ゴッサン!

剣士「ナァァー」

料理人「ナァァー」

『ナァァー』

…全てが、ひとつになる!
世界も、空間も、時間も
もはや意味は無く
境界を超え、その意識は混ざり合う。
やがてそのひとつになった意志は
とろけ、流れ出し
大地へ還り、再び生まれる…
【続く】

・ ・ ・ ・ ・ 

シンメトリカル・ドッキングした剣士と料理人。
しかし料理人のチンポはダイヤモンド並に固かったので
剣士の尻穴には激痛が走るのだった…

剣士「無理無理、もう無理」

料理人「耐えろ、根気が大事だぞ」

剣士「固すぎ…マヂ無理…悪魔将軍…」

料理人「えぇいヘタレめ、ゆとり世代め!」

ヌポン

料理人「君では、『扉』は開かぬようだな」

剣士「…扉?」

料理人「尻穴の快楽によって現れる…この世の理に触れる事ができる、真理の扉さ」

剣士「なるほど、テメーはそれが狙いだったのか」

料理人「扉に触れたなら、その者は超越者になれるのさ。人間だろうと魔族だろうと…種族を超えた、頂点になれるのさ!」

剣士「ハッ、メデテー!そんな夢物語、誰が信じるかよ」

料理人「そう思うかね?実際、扉に触れた者がいるのだよ。君も知っている筈だ…」

剣士「俺様が知っている…?」

料理人「全てを見透かし理解し、気まぐれに声をかけ傍観する…しかし自ら干渉はしない…そう」

剣士「…!」

料理人「分かったようだね」

剣士「天の声、か…」

料理人「そうさ、彼は遙か太古に扉に触れた。もはや肉体は失われ、意識体になってなお現代まで存在している。それが天の声の正体さ」

剣士「…」

『よく知っているね。そこまで私の事を知っている奴はそうはいないよ』

料理人「天の声…」

剣士「テメーは…」

『私は超越者にして傍観者。ただ眺め、なりゆきに任せる。そこに大義名分はないさ』

剣士「ハッ、そうかよ」

料理人「天の声…貴方のように、私もなりたいのだ。超越者に…超越者になれば、私は世界を変えることができる!」

『世界を、ね。確かに超越者は万能の力を持つ。たいていのことはできるさ。でもね…』

『君がしたい事は、ただの復讐だ』

料理人「!」

『私は天の声…超越者にして傍観者。全てを知り、理解している。もちろん君の事も君の過去も、だ』

『超越者になんて、なるもんじゃないさ』

料理人「…ならどうすればいい…私の…私の怒りは…父の無念は…母の涙は!」

ギリッ

料理人「解決できる方法を!力を持っていながら、傍観していた貴方が!何を言ったって!」

ギリッ プルプル

料理人「全ては失われた後なのだ…もはや私には、復讐する事くらいしかあるまい…あるまいよ…」

料理人「…」

スッ

剣士「何だそれは…ドリンク?剤か」

料理人「フフフ、これは…レボリューポーション。禁断の進化を促す危険なドリンクだ」

剣士「禁断の進化…?」

『ま、まさかそれは…止めろ、戻れなくなるぞ!』

料理人「戻る?…戻るべき場所など…とっくにないさ。進化の先に死があるか…何かが間違って、超越者になれるかもしれない」

『止めろ…それは、それだけは…使っちゃならない…!』

料理人「これは超越者が作ったんだろう?何でもできると自惚れた超越者のひとりが作った、愚かなドリンク剤だろう…?」

『っ…どこでそれを手に入れた?』

料理人「知る必要は無いし、教える意味も無い…どうせ私は…」

カシュッ

料理人「ではみなさん、ごきげんよう!!!」

ゴキュ ゴキュ ゴキュ

『っ…愚かな…愚かな!』

料理人「ぐぅっ…体が…熱い…いや、寒い…いや、やっぱり熱い!」

剣士「どっちさ!?」

料理人「ぐぁぁ…何だか変な気分に…ぐっがぁあ゛…ぐぅっ…ナァァー」

ビキッ ビキッ

剣士「料理人の体が…」

『進化…』

剣士「進化だって!?あんなおぞましい姿が進化なものかよ!」

『そう。レボリューポーションがもたらすものは…進化なんかじゃない…破滅だ』

料理人「グォォォォォン!」

剣士「ば、ばけもの…」

料理人「グォォォォォン!」

『進化なんて強制的にさせるものではない…あれは、禁忌に触れた、存在してはならなら物だ…』

剣士「あんなものを生み出す超越者って奴は…あんたは、あんた等は一体なんなんだよ!何様なんだよ!」

『…』

ザッ

?「馬鹿ね、彼らが答えるわけないじゃない」

それは、さも当然のように
そうであるかのように
魔物のように鋭い鋭い目を
大国の姫の様に美しい姿を
悪魔のように異様な気配を
天使のように眩い金髪を
持ち合わせていた。

『り、竜子…』

竜子「巨大な魔力がしたから来てみれば…何なのこれは」

剣士(何者だコイツ…ただならぬ気配を持ってはいるが…)

竜子「…」

ジッ

剣士「!」

竜子(剣士…いや、正確には剣士の同位体…私の知っている剣士は既に…)

竜子「で、何なのあの化物は」

『なんやかんやで化物になった料理人という男だ』

竜子「…本当にロクな物を作らないわね、貴方達超越者は」

『フヒヒ、サーセンwww』

竜子「まぁそれにすがる奴も。ロクな奴じゃないか…」

料理人「グォォォォォン!」

バキィ
ジタバタ

剣士「あ、あいつ暴れ出したぞ!?」

『もはや彼に自我は無いだろう。ただ破壊するだけの洗剤になってしまった…』

剣士(洗剤?)

竜子(洗剤?)

『…』

『もはや彼に自我は無いだろう。ただ破壊するだけの存在になってしまった…』

竜子「しょうがないに゛ゃ゛あ゛…」

剣士(こいつもニャンちゅう声…)

竜子「ちゃちゃっとやっちゃって、と」

チャキッ

剣士(剣…なんだ、見覚えがあるような…)

ズキッ

剣士「ッッ?」

ズキッ ズキッ

剣士(なんだ…俺様は…知っている…あの剣を…竜子って奴が持っている剣を…)

ズキッ

剣士(剣だけじゃない…俺様は…この竜子って奴を…知っている…!?)

竜子「…ちょっと、そこの剣士」

剣士「!」

竜子「今から大技出すから。巻き込まれたくなかったら下がって」

剣士「む…俺様に指図するかよ」

竜子「…ま、どーでもいいけど」

ツーン

剣士「こいつ…可愛くねェな」

竜子「…」

竜子「火の精霊…ザラマンディル…力を貸して…!」

ボワッ
ゴォォォォォ
グワォォォォォ!

竜子「フレアソード!」

剣士「すげぇ熱量に違いない!」

竜子「肉を焦がし骨を焼き尽くす、この剣で!」

ブゥン
ザクッ…ゴォォォォォ!

料理人「痛いし熱い!」

剣士「こうかはばつぐんだ!」

料理人「っ貴様ァァァ、よくも私の美肌に傷をつけたな…つけたナァァー!!!」

げきおこぷんぷんまる!

料理人「簡単には殺さぬぞ…苦しめて…苦しめて苦しめて苦しめて、苦しめて殺してやる!」

もうっ!
げきおこぷんぷんまる!

料理人「ただれて悶えろ…アシッドブレス!」

コォォォォォ…

『いけない!強酸性の息だ!』

竜子「アシッドブレス…上位の竜族しか使えない技を…まったく笑えないわね…!」

ダッ

料理人「かわせると思うな!」
クルッ
コォォォォォ

竜子「っ!?…しまっ…」

『あ、あれはかわせないに違いない!』

剣士「チッ、しゃーねーな!」
ダダダッ

剣士「力を貸しやがれ…ザラマンディル!」

ポワッ
キュィィィン

剣士「炎の防壁よ、俺様達を守れぇぇぇ!」

コォォォ…ォォ…
バシュゥゥゥ

剣士「ハッ、間一髪ってやつかよ!」

竜子「貴方も…火の精霊を…」

剣士「まァな。あんた程扱いがうまくねェから防御に使うくらいしかできねぇがな」

竜子「…助かったわ、あり…ありがとう…」

剣士「ハッ、案外素直で可愛いねェ」

料理人「ハァハァ…アシッドブレスは体力とMPの消費が激しいのだ…ハァハァ…」

『こ、これはチャンスに違いない!』

剣士「ハッ、そうかよ!」

チャキッ

竜子「だったら!」

チャキッ

「「行くぜ!/行くさ!」」

料理人「どピンチ!」

剣士「細切れにしてやる」

料理人「ま、待て、剣士。一度は尻穴を貪り合った仲…話し合いで解決しないか?」

剣士「一理ある」

竜子「あるの?」

剣士「剣を振らずに済むなら、それでいい…それでいいじゃないか」

ニンマリ

『で、出た~剣士のゲロキモスマイルwww』

剣士「キモいのは認めるが、ゲロ呼ばわりって…」

竜子「ゲェーーーーッ!」

ゲロゲロゲロ
ボタボタボタ ビチャッ

剣士「本当にゲロ吐くとは…タマゲタマ…」

竜子「胃液が酸っぱいナァァー」

剣士「傷つくわ―」

料理人「くっさ!ゲロくっさ!」

『ズバリ、私もゲロがくさいと思うでしょう!』

竜子「乙女の吐くゲロがくさいわけ無いでしょ!」

クンクン

竜子「くっさ!」

ゲロゲロゲロ
ドビチャ ボトボトボト
モッサン! ゴッサン!

竜子「まさか私のゲロがこんなにくさいとは…やられたわ」

料理人「…!」

ピカー
ビキッ ビキッ

料理人「あ、あまりの臭さにレボリューポーションの効果が消えて、元の姿に戻った私がいる!」

『それでいい。進化なんてのは無理矢理してはいけないんだ』

剣士「ハッ、ちげぇねぇ」

竜子「なんやかんやで一件落着ね」

料理人「うむ、終わりよければ…」

剣士「全て良し!」

『YES!YES!YES!』

竜子「yaaa,haaa!」

料理人「んまらっぱ!んまらっぱ!」

剣士「にゅるべると~にゅるべるき!」

モッサン! ゴッサン!

・ ・ ・ ・ ・ ・

こうしてなんやかんやで
料理人は元に戻った。
新たに竜子が加わり
剣士と愉快な仲間たちは
さらに賑やかさを増すのだった…

ついでに言っておくと
剣士の剣は錆びたままだし
ドラム缶の中の油はまだまだ適温だ。

【続くんだに゛ゃ゛あ゛】

・ ・ ・ ・ ・

なんやかんやあって
剣士と愉快な仲間たちは
焼き肉を食べていた。
そう…焼き肉チェーン店に
彼らは、いる。

剣士「では、なんやかんやあったけど」

料理人「今日の出会いに」

一同「かんぱ~い!」

カンッ
ゴキュッ ゴキュッ

剣士「うめぇ!」

料理人「最ッッ高!」

竜子「たまらない!」

『いいねみんな。私は思念体だから飲み食いできないのだよ』

料理人「知るか」

竜子「そんなことより肉、肉!」

剣士「焼くぜ~超焼くぜ~」

ジュワ~
いや、ジュン ジュワ~

剣士「いいね、肉の焼ける音だ」

料理人「うンまそ~!」

竜子「我慢できないよ」

ジュン ジュワ~

剣士「よし、そろそろだ」

料理人「!」

竜子「ナァァー!」

カツン カツン ザザザッ

竜子「その肉、もらった!」

ズビシ

料理人「やらせはせん!」

ガキィン

剣士「ハッ、お留守になってるぜ!」

ガシッ
ヒョイ パクッ

剣士「うめぇ!」

料理人「くそっ…スーパー食いしん坊みたいなリアクションしやがって」

竜子「よそ見している場合!?」

ザザザッ

ガシッ ヒョイ パクッ

竜子「ウォォォン!」

料理人「くそっ…発電所みたいなリアクションしやがって」

ヒョイ パクッ ヒョイ パクッ

剣士「どうした、肉がなくなるぜェ?」

竜子「遅い遅い!駄目でノロマな亀ね!」

料理人「…意地があんだろ、男の子には!」

グォッ

料理人「宣言しよう。残りの肉は全て私が食べる…一枚たりとも、食わせてはやらんぞ!」

剣士「ハッ、やってみな!」

竜子「その自信を完膚無きまでに叩き潰して、私は肉を食う!」

こうして熱き焼き肉バトルは
終盤戦にさしかかったのだった…

【続くんだに゛ゃ゛あ゛―お゛ね゛え゛さ゛ん゛】

『おねえさんって誰さ!?』

・ ・ ・ ・ ・

そのころスライムは
色々めんどくさくなったのか
自宅に帰っていた。

スラ「便所水うまうま」

ゴキュッ ゴキュッ

スラ「なんか色々やることあった気がするけど、忘れちゃった」

ゴキュッ

スラ「便所水うまうま」

そう、便所水は魔性の飲み物。
記憶を忘れるほどに!

スラ「あーなんかすべてどうでもよくなってきた」

?「ふぬけたな、スライムよ」

スラ「誰だ」

?「私は…そうさなァ…さすらいの魔法使いとでも名乗っておこうか」

スラ「魔法使い…?」

魔「私は超越者といってね、常人を遥かに上回る能力を持っている。実は君のことを色々見てきたのだ」

魔「まぁ、なんというかね…超越者ってのは退屈なんだよ」

スラ「退屈ぅ~?」

魔「なんでもできるようになるとね、なんにも面白くないんだよ」

スラ「へぇ」

魔「だから、暇つぶしができそうな事には首をつっこみたくなるんだよ」

スラ「首を…」

魔「…」

スラ「…」

クニュクニュ ニュパン クパァ…

スラ「つっこみたくなるのは、首だけかしら?」

魔「…へぇ、人の形になれるんだ」

魔「でも残念。私は女よ」

スラ「まじかよ。童顔のイケメンかと思ったわーマジ思ったわー」

魔「ははは、よく言われるわ。まぁでも、超越者たる私なら…」

ヌギッ

ビンッ

魔「この通り、瞬時にチンポを生やす事ができるのさ、しかも、二本!」

グニュグニュ アナ フタツー

スラ「なんと奇遇な!」

魔「へぇ、形状を変化させて、ツインマンコゥ…」

スラ「ご存じね」

魔「よく濡らせよ~濡らせよ~」

グチャリ

スラ「アッヒィ」

魔「死のわしづかみ!」

グチャリヤァァァ

スラ「ぽっ、ポニョー」

魔「よし、塗れたな!」

ビンッ

スラ「開店やで~、ヘイラッシャッ」

クパァ
ピタリ
クパァ
ピタリ

魔「と、閉じたり開いたりィィィ!!!」

スラ「ワンエントゥ、ワンエントゥ…」

・ ・ ・ ・ ・

こうして
魔法使いという新キャラが現れ
なんやかんやあって
スライムと魔法使いは
肉欲の海に沈んでいった。

それでもなお
剣士の剣は錆びていて
油はとうとう冷めてしまっていた…

【続く】

『あれ、ニャンちゅう声じゃないの!?』

~ちょっと豆知識①~

この世界の人物は数人を除き
とある別世界の人間達の『同位体』です。

同位体とはつまり
あれです
あれ…です。

~ちょっと豆知識①~

・ ・ ・ ・ ・

あれからなんやかんやあって
焼き肉を腹いっぱい食べた
剣士と愉快な仲間たち。
いい感じにアルコールも入り
すっかりできあがっていた…

剣士「うぇーい」

料理人「まっぺるちゃっぺる」

竜子「うーん、まつぼっくり先輩、まつぼっくり先輩!」

ゴロゴロゴロ

剣士「ちょwwwおまwww、道で寝るなしwww」

料理人「邪魔wwwテラ邪魔www」

竜子「うぇーい吐き気してきエロエロエロ」

ビチャビチャ

料理人「つくねwwwゲロの中にさっき食べたつくねwww」

剣士「つきみつくねwwwきったねwww」

つ き み つ く ね

つ き み つ く ね

つ き み つ く ね

つ く ね

      つ き み

TU KI MI
       TU KU NE

つ き み つ く ね

HUUUUUUUUU!

ウィー アー
ツキミツクネ!

アー ユー
ツキミツクネ?

オゥ リアリー!?

ワッツ ユア ネーム?

アーハン ツキミツクネ!?

イエス イエス イエス!

輪廻の渦に飲まれてツキミツクネ!

爆ぜよ!
ツキミツクネ!

約束の場所…それは…
ツキミツクネ!

つ゛き゛み゛つ゛く゛ね゛
なんだに゛や゛あ゛!!!

【続く】

・ ・ ・ ・ ・ ・

輪廻の渦にツキミツクネが飲まれ
なんやかんやあって
剣士と愉快な仲間たちは
ヤンキーにからまれていた。
ちなみに彼らがいるのは
日本の東京に似た都市である。

ヤンキー「あぁん?」

剣士「…」

ヤンキー「やんぞコラァ?」

料理人「…」

ヤンキー「死んだぞテメー?」

竜子「…」

三人(ヤンキーめんどくせぇぇぇ)

剣士「ホーリーランドが愛読書の俺様が…やってやろうか」

料理人「いや、暴力沙汰は…」

竜子「いや、時には力を誇示する事も必要よ」

剣士「ハッ、ちげーねぇ」

ヤンキー「なにブツブツいってんだよコラァ?」

剣士「ヤンキー狩りを自称している俺様の実力、見せてやるぜ!」

ヤンキー「あぁん?」

剣士「オラァ、『右封じ』!」

~右封じとは!?~

『ホーリーランド読め』

剣士「ハッ、そういうこった!」

ガシッ

ヤンキー「あぁん?」

剣士「エアラッ」

ヤンキー「何っ!!」

ズバァ!!
ドッ

竜子「ウォオオ!!」

料理人「すっげぇ!!」

~一体何がすごいのか?~

『だから読め』

料理人「間違っても友達には使うなよ!」

竜子「絶交されるに違いない!」

剣士「とかなんとかやってるうちに」

ヤンキー「」

剣士「八割殺しちゃいましたよガッハッハ!」

竜子「な、なんて豪快な笑い方!」

料理人「海賊やないか!」

剣士「やはり俺様は路上のカリスマだな」

~路上のカリスマとは?~

『だから読めって』

料理人「しかし、このままではヤンキーボコボコ罪に問われる恐れがあるぞなもし」

竜子「ヤンキーボコボコ罪?」

料理人「この辺の条例さ。ヤンキーを必要以上にボコボコにしたら罪に問われるんだ」

竜子「まじかよファッキン!」

剣士「丁寧に言ったら、おファッキン!」

料理人「おファッキンでございますですわ!」

剣士「だが待てよ、必要以上にボコボコにしたとは言えないかもしれない」

料理人「た、確かに」

竜子「一理ある」

剣士「これは必要な暴力だったんだよ!」

竜子「な、なんだか分からないけどすごく納得できる!」

料理人「そうだ、罪には問われない!」

剣士「そうと分かればぁ~」

料理人「酒でも飲むか!」

竜子「賛成の反対なのだ~」

こうしてヤンキーを必要程度にボコボコにした三人は
再び飲みに
街へ繰り出したのだった…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・ ・

あれからなんやかんやあって
魔法使いとスライムは
仲良くなっていた。

魔「ハッサン×チャモロって案外よくね?」

スラ「よいよい」

魔「だよね、テリーとかいうエセトランクスはポイーで」

スラ「所詮引換券よ」

魔「いやー知り合いにBL好きいないからさー話できて嬉しいわ」

スラ「僕も、魔物の知り合いにはいないからねー」

魔「まったく、やおい穴は最高だぜ!」

スラ「受け!攻め!タチ!ネコ!」

魔「腐っ腐っ腐…」

魔「ところでスラさんや」

スラ「えう?」

魔「あなたの知り合いに男子…男子はおらぬかね?」

スラ「知り合いかぁ…そうだ!」

魔「ムムッ?」

スラ「最近知り合ったんだけど、剣士っていう、かっこいい男子がいるよ」

魔「!」

ジョバー
シッキン…

魔「け、剣士…ですって…」

ジョバババババ

スラ(事情は分からないけど、尿もらしすぎィィィ)

魔(剣士…まさか…この『再編された世界』にも剣士が…いるの…?)

ジョバー
ジョバー
ジョバンニ

スラ「そろそろ脱水症状を心配する」

魔(私の知っている剣士と同位体…?いや、まさか…でも…だとしたら…私…)

ジョラララララ ジョラァ!

魔「スタープラチナ!ザ・ワールド!」

キィィィン

魔「尿を止めた…これで脱水症状の心配はない」

スラ「時じゃなく尿を止めるなんて…計り知れねェ…この人は…この人だけは!!!」

魔「いささかアンモニア…ammonia臭くなってしまったわね」

クンカクンカ

スラ「実は僕、アンモニアの臭いが好きでして…」

クンカクンカ

スラ「鼻を突き刺す刺激が…僕を快楽の渦へ誘う…ハァッ…ハァァァァァァンッッ」

ジョバー

魔「えぇ…あなたも放尿するのォ…?」

こうしてなんやかんやで
アンモニア臭くなった

魔法使いが知っている
『再編された世界』とは?
剣士との関わりとは?
それら全てが謎のまま
次回へ続く…

もちろん剣士の剣は錆びたまま!
油は冷えっ冷え!
【続く】

『そういうのが好きな人は、いまぁす!』

『一般に理解されない性癖は、ありまぁす!』

『あなた達には分からないでしょうけどねェッヘッウワァァァァァン!』

天の声は
ちょっと一般的ではない性癖をお持ちのようで…

さて、これをご覧の皆様方は
どのような趣味嗜好を
お持ちですかな…?

『てか誰だよテメー!?』

わたくし?
わたくしは…そうですね

『神』と言えば分かりやすいですかねェ…

『か、神…?』

神「はい。この世界の登場人物であり、決して表舞台には出ない…脚本家のような…」

『こ、こいつ…気でも狂ったのか…?』

神「ふふ、超越者風情が…なめた口を…」

ザザザ
ボヤ~
ヒトカゲェ…

神「ふふ、無能の貴方にも見えるように受肉してあげましたよ」

『紳士の姿…それで神を名乗るとはな』

神「この姿、けっこう気に入っているんですよ?このダンディズム溢れる髭なんて最高じゃないですか?」

ヒゲ サワサワ

『…ふん、髭ごときでナニができるというのか』

神「…ナニが、できますよ?」

ピクッ

『ななな、ナニ…だと?』

神「えぇ。つまり、髭コキ…!」

シュパッ
パッパッ クルクル ターン
タタッカ タタッカ サワッ ホマレェ…
ズンダンダダタン キメッ!

『じ、ジーザス…』

神「このロマンスグレーの髭ならば、極上にして至高の快楽を得られるでしょう…いや、得られるに違いない!」

『く、狂ってる…狂気の沙汰だ』

神「ククク…面白い。狂気の沙汰ほど面白い」

『だが残念。私は既に肉体を失い精神だけの存在。貴方のように受肉する事もできない』

神「それは困りましたねぇ。私は既にスタンバイできています。やらないわけには、いかない」

『うーん、手頃な男性がいればなぁ…あ、そうだ』

神「うん?」

『私の知り合いに、剣士という男がいる。彼なら、なかなかいい肉体をしているし、恐らく歪んだ性癖を持っている筈だ…いや、そうに違いない!』

神「ほぅ…いい肉体…それはそれは」

ジュルリ

『あせんなって!』

神「では、その剣士とやらにわたくしの自慢の髭コキを…!」
ズヒシッ
クルクル ターンッ
クルクルクルクルクルクル
ターン…タターンッッ!

神「御馳走して差し上げましょう!!!」

『無意味に回転ポーズしすぎィィィ!』

神「では、その剣士を探すとしますか…ヌヌゥゥン…」

シュウチュウ…

神「衛星にアクセス…サーバー検索…データベースと照合…照合…照合…ふむ、見つけた」

『…さすが神を名乗るだけはある。過去の遺産…今は誰もその存在を知らない衛星を使うとは』

神「今は魔法が主流ですからね。科学技術はなかなか発展しないのでしょう」

『うむ。何度目の再編世界か忘れたが、科学が発達しすぎるのは、好ましくないからな』

神「ええ。過ぎた技術は世界を破壊する…飽きるくらい見てきましたからねぇ」

『で、早く剣士の所に行かなくていいのかい?』

神「おっとそうだった。では…参るか!」

神「…神テレポート!」

『説明しよう!神テレポートとは、わりとふつうにテレポートである!』

神「ふつうのテレポートってなんですかァァァン!?」

シュインシュイン
手淫!

神「あの、卑猥な効果音止めてもらえますか」

『ブハハハハ!』

ギュワワワワ

神「テレポート中…」

神「テレポート中…」

ギュワワワワ
ギュワワワワ

神「テレポート中…」

ギュワワワワ

神「テレポート中…」

『しばらくかかりそうですから、場面替わりまーす』

・ ・ ・ ・ ・ ・

~そのころ剣士は~

剣士「ッフッ…」

さんざん飲み歩いた剣士と愉快な仲間たち
今は各々、自宅に戻っていた。
剣士「あー飲み過ぎた。いや、飲みスギちゃん」

クラクラ

剣士「明日は特に予定無いし、ゆっくり寝るか…」

と、そこに
神がテレポートによって
じわり、じわりと
忍び寄っているのだった…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・ 

剣士「zzz…」

『穏やかな顔で寝ている…だがすまない。私は君のその寝顔を守ることが、できない…』

キュィィン
ギュワン!

神「呼ばれて飛び出す精子ちゃん!」

『到着してしまったか…』

神「ふむ、そこで寝ているのが剣士か…」

ジュルリ

神「ウホッ、私好みのすばらしい肉体だ」

『…』

神「もちろんお楽しみは後回しです。まずは髭を使う…使うんですよ!」

シュルルル

神「伸びろ、そしてまとわりつけ!」

シュルルル
キュッ
ケンシノ チンポ シメツケェ…

剣士「zzz…っ、んんむぐぅ!?」

神「髭はこう使う!」

『なぁにが髭だ!』

キュッ キュッ ギシッ

剣士「あっあ…」

アワ ブクブク
シロメー

『おいおい死んじゃうよ』

神「快楽とは、即ち死ぬ事也…生命の危機に瀕することでその魂はより美しく、高貴に輝くのです!」

ギシッ ギシッ

『く、くるってやがる…』

神「ほぅら、死の一歩手前…いや、半歩手前で味わう性快楽はどうですかなぁぁぁ!」

剣士「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

『!』

『知っている…これを私は、知っている!』

『まさに断末魔と呼べるこの声を発した後…どうなるかを!私は!』

グキュルルルル
ヒクッ ヒクッ ヒクッ ヒクッ

剣士「…」

ヒクッ アナル ヒクッ…

アナル ヒクッ…

剣士「んんんwww」

プルプル

『こ、これは糞もらすに違いない!』

神「へぇ…」

キュッ

神「だが、それがどうした?」
ニマァ

神「糞をもらしたとして、それは髭コキを止める理由にはならない」

キュッ キュッ

剣士「んぁ…んのぁぁぁぁ!」

神「そろそろ決めますよ」

神「髭を高速に…縦、横…右、左…三次元、四次元…そして時空を超える!」

ギュワァァァ
キュッ ヌパパパパパパパパ

モッサン! ゴッサン!

剣士「ナァァー…」

ドビュッシー!
ドバドバドバ
セイッ シッ

剣士「あ…ああああああああ!」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!
ブツチチブブブチチチチブリリィリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

『なんてことだ…なんてことだ…』

神「くっさ!」

『でしょうね!』

剣士「あ…俺様は…なんてはしたない事を…もう、お婿に行けない…」

神「情けない…それでも男ですか!」

剣士「だが、射精と脱糞を同時にするなんて…前代未聞だぜ?」

神「うむ」

剣士「俺様は恥ずかしいよ…こんなこと、やっちまって…」

神「だが、私は…この世界で、私だけは、君の事を…恥ずかしいとは思わないでいよう」

剣士「!」

キュンッ

神「髭コキをして分かった。君と私は、似たもの同士だ。だから、理解できる。分かり合える…通じ、あえる!」

キュン キュンッ

剣士「し、信じていいの?」

神「あぁ」

キュンキュンキュンキュンキュンッ!

剣士「…ありがとう」

ドクン
ドクン

剣士「…」

神「…」

『なにこれ見つめ合う二人なにこれ』

剣士「…」

神「…」

『ねぇ何か話してよ見つめ合うと素直におしゃべりできないの君達』

ツナミ…

アイノゥ…

オビエテルゥ…

フゥー!!!

剣士「抱いて!」

神「ホールドオンミー!」

ヌギッ
ムキッ
ガシッ

「「神剣合体・ゴーチンポ!」」

ペチンペチン
チンポ ト チンポ ペチンペチン

神「肉という名の欲が!」

剣士「性という名の罪悪が!」
『二人を!』

「「二人を」」

『「「焦がし、焦がす!!!」」』

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

あれからなんやかんやあって
肉と肉がぶつかりあっていた…

神「ハイ、ニイ、ヤッ!」

剣士「あぁぁぁぁッッ!」

神「セイ、セイ、セ~イ!」

剣士「か、かんにんや!」

神「知るか!まだまだねじ込んでやるぜ!」

パンッパンッパンッ

『容赦ねぇ!』

神「比叡山を焼き討ちせよ」

『容赦ねぇ!』

剣士「あ…あふァ…」

ブルブルッ
ボヤン

剣士(意識…溶けて…何も考えられなくなり…体…脳…俺、様が…消えて…世界は…意志…)

神「ははは!そうだ!すべては!そうなんだよォォォ!」

『これが肉欲の力かよ…大したモンじゃねぇか…』

剣士(そうか…そうだったのか…今なら分かる…分かることができる…)

ズキッ ズキッ

剣士(この脳の痛み…時折フラッシュバックする記憶…いや、前世の記憶、罪、罰…そして俺様の贖罪は…そう…)

ズキッ ズキッ

剣士(俺様の…妹…あぁ…そうだ…お前がすべての…はじまりだった…)

ズキッ ボヤ~ グニャ
モッサン! ゴッサン!

剣士(意識が…過去、に…)

《次回予告!!》

剣士の過去…前世…
そして、妹の存在。
果たして彼に何があったのか?
断片的だった記憶の欠片が
集まり、姿を成した時
真実がおぼろげに
見えてくるのであった…!

【続くッッ~!】

・ ・ ・ ・ ・

ちなみに

『男「尻触り放題?」』

ってのを読んでおくと
ちょっとした予習に
なったりならなかったり…

・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・

~今とは違う、何度目かの再編された世界にて~

・ ・ ・ ・ ・

~とある山奥、小さな小屋にて~

?「♪~」

トントン グツグツ

?「味見、味見…ん、バッチリ!」

トントン グツグツ

?「朝ご飯はオッケー、あとはあの寝坊助を起こすだけね…」

テクテクテク

ガチャリ

?「兄さん、起きて」

ユサユサ

?「…って、そう簡単には起きないわよね」

チャキッ

?「はーい忠告忠告。三つ数えるまでに起きないと見事蜂の巣になりまーす」

?「いーち、にー…」

ダダダダダダダダダダダダ

ピョーン

?「チッ…おはよう、兄さん…剣士兄さん」

剣士「オメーは、目覚めのキッスの代わりにその鉛玉をくれるのか…妹よ」

妹「目覚めのキッスとか…マジキモイんですけど」

剣士「ハッ、確かに。兄妹でそれはねーわな」

俺の名前は剣士。
とある山奥で、この凶悪凶暴な妹と二人で暮らしている。
この世界は、いわゆる剣と魔法の世界で

魔物がいる
魔法がある
王が統治する国々がある
領土を争い戦争がある
そんな平和で血みどろな世界だ。

妹「と、朝のミニコントはここまで。朝ご飯にしよ」

剣士「コントで殺す気満々なのかよ…怖えーよ妹怖えーよ」

妹「はいはいはい、早く早く」

テクテクテク…

妹「はい、では今日も天の恵みに感謝して…」

剣士「はいはい、感謝感謝、シェーシェイシェーシェイ」

妹「もうっ、お祈りはちゃんとしなきゃ…」

剣士「では、いただきまー」

バクバクバク

剣士「うまいうまい」

妹「もーっ…」

パクパク

剣士「しかし今朝は…全部ドラゴンゾンビ料理だな…」

妹「ドラゴンゾンビのスープ、ドラゴンゾンビの水煮、ドラゴンゾンビのサラダ、ドラゴンゾンビの炊き込みご飯…ドラゴンゾンビ尽くしだよー」

剣士「味は確かにいいんだが、元を見てしまうとなぁ…」

妹「いーじゃんドラゴンゾンビ。安いし栄養たっぷりの良食材だよー?」

・ ・ ・ ・ ・

妹「ごちそうさまー」

剣士「腹ァ、いっぱいだぁ」

カチャカチャ

剣士「いいよ、今日は俺が片付けるから。今日は買い出しの日だろ?」

妹「そう?じゃあお願い」

剣士「おう。先に準備してな」
妹「はーい」

・ ・ ・ ・ ・

凶悪凶暴な妹だが
仲はいい方だと思う。
まぁ、唯一の肉親だし
仲良くしなきゃな、と
ちょっとだけ兄貴らしい事を
考えていたり、いなかったり。

そんなどうでもいい
考えても意味の無い事が
浮かんでは消えているうちに
食器は洗い終わっていた。

平凡な日々
でも、大切な日々

それが当たり前で
当たり前すぎて
つい
忘れていたんだ、俺ァ
この世界が悪意に満ちた
糞みてーな世界だって事を…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

それから俺達は
隣の村で買い物をし
帰りの山道を歩いていた…

テクテク

剣士「ドラゴンゾンビの肉買ったな…まだ家にあっただろ」

妹「保存が利くから、いくらあっても困らないんだよ。てか元から腐ってるし」

剣士「たまにはレッドドラゴンの肉でも食べてぇなぁ」

妹「無理。高い。無理」

剣士「くっ…すべて貧乏が…いや、世間が悪いのか」

妹「責任転換の理由がしょぼすぎよ兄さん…」

妹「あ、忘れてた」

剣士「ん?」

妹「聖水買うの忘れてた。あれがないとドラゴンゾンビの肉が安全に調理できないのよ」

剣士「おま…一番大切なものを…」

妹「ちょっと戻って買ってくる。すぐ思い出してよかったわ…」

剣士「聖水って、調理用にどれくらいいるんだ?」

妹「うーん、1㍑瓶くらいあれば、来週まで十分持つと思うけど」

剣士「なら、俺がその辺のスライム狩って精製するよ。10匹も狩ればそんくらいになると思う」

妹「あー、そういや兄さん錬金術もかじったたんだっけ」

剣士「あぁ、簡単な精製・錬成くらいならな」

妹「ひさびさに兄さんをべん…便利だと感じたわ」

剣士「言い直せてないよね便利って言い切ったよね」

妹「ま。そういうことなら兄さんに任せる」

剣士「おう」

テクテク

・ ・ ・ ・ ・

剣士「じゃあ、ちょっくら出てくるわ」

妹「ん、よろしく」

ガチャリ

テクテク
テクテク

~暗がりの森~

剣士「この辺なら下級モンスターがいるだろう」

テクテク
テクテク

剣士「…いた。緑色…メロンスライムか」

メロンスライム「にゅるーん」

剣士「メロンスライムは比較的温厚な魔物、必要以上に狩る必要はないな…」

メロスラ「にゅる?」

剣士「悪いが、ちょっとだけ、もらっていいか」

メロスラ「んにゃる、にゅるる」

プルーン プチン

剣士「ありがとう。礼といっちゃなんだが…砂糖菓子だ」

メロスラ「にゅる!」

パクン

メロスラ「にゅるーん」

グニュグニュ

剣士「ふぅ…他にもメロンスライムがいればいいな。彼らは人間とは、割と共存しようとする節があるからな」

テクテク

剣士「む、あれは…ブラックスライム」

ブラスラ「!」

剣士「しまった、目が合ってしまった。目なんてどこにあるのか知らんが」

ブラスラ「ぶぶぶぶ!」

ヌチャヌチャ

剣士「まずいな、こっちに来たぞ」

ブラスラ「ぶるぅぅぅぁ!」

剣士「こいつは攻撃的だな…やりたくはないが、しょうがねぇ」

チャキッ

剣士「安物の青銅の剣だが、まぁなんとかならァな…!」

ブラスラ「ぶるぁ!」

ガバァ!

剣士「のしかかり…避ける!」

ヒョイ

剣士「スライム族に捕まるのはまずい。その粘性の体で口や鼻を塞ぎに来るからな」

ブラスラ(こいつ独り言多いなる)

ブラスラ(独り言多くてキモいなる…ぶっ殺してやるなる!)
ピョーン
ガバァ

ブラスラ(おっぴろげアタックなる!)

ブハハッ
ピッチリ

剣士「!」

剣士(くっ…顔にまとわりつかれた!息が…)

ブラスラ(しね)

ギュッ

剣士(しんだ)

剣士(…なんてな)

ポワッ
ゴゥゥゥ!

ブラスラ(あ、熱いなるぅぅ!?)

ピョーン

剣士「ようやく離れたか…あやうく窒息死するところだったぜ」

ブラスラ(こいつ…今何を…)

剣士「軟体であるスライムには、有効なンだよ…この、火炎魔法は!」

ポワッ
ゴゥゥゥ!

剣士「火の精霊ザラマンディルよ…焼き尽くせ!」

ヒヲハナテ!
ヒエイザンヲ ヤキウチセヨ!

ブラスラ(容赦ねぇ)

ゴゥゥゥ!

ブラスラ(あ、あ、あづぃぃぅぅぅしぬぅぅぅ!)

ゴゥゥゥ!

ブラスラ(母さん…父さん…嫌だ…死にたくない…死にたくない!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

ブラスラ(あ…つ…………)

コゲッ

ブラスラ(…)

剣士「へへっ、燃えたかよ」

剣士「焦げちまったな…まぁ使えなくはないから、持って帰るか」

ブラスラ「な…なるぅ…」

剣士「おっ、こいつまだ息があるのか」
ザシュー

ブラスラ「な…」

剣士「異種族は斬る」

ブラスラ「…」

剣士「美味しいドラゴンゾンビ料理の為だ…すまんな」

剣士「さて、もうちょい必要だな…スライムでてこーい」

・ ・ ・ ・ ・

剣士「で、なんやかんやで十分な量のスライム片が手に入りました」

ドサッ

剣士「帰宅するやで」

テクテク
テク…
タッタッタ
タッタッタ
ピタ
テクテク
タッタッタ

『インターバル走法ゥ!』

テクテク

ガチャリ

剣士「帰宅した俺」

妹「出迎える私」

剣士「聖水を精製するためのスライムを狩ってきた事を報告する俺」

妹「よろしくねと私」

剣士「じゃあさっそく精製してくると言う俺」

妹「よろしくねと私」

・ ・ ・ ・ ・

剣士「ここに取り出したるはスライムの肉片」

ズラリ

剣士「これに、湧き水、魔界の塩、サンショウオの汗、魔女の涙、人魚のタン、中年男性のせつなさと愛しさと心強さ、あと色々を入れ、かき混ぜる…」

グルグル

剣士「そして容器に移し冷蔵庫で三時間冷やす…」

サッ スササ

剣士「あらかじめ冷やしていたものが、こちら。うーん、見事に聖水になっていますねぇ」

剣士「これをガラス瓶に移し、はい、聖水の完成です。さっそく妹に渡してきましょうか」

剣士「愛しの妹ちゃん、聖水完成したやで」

妹「おぅ、はよよこせや」

ムンズ

剣士「あっ…そんなに乱暴に…」

妹「ほぅ、これだけあれば今週はドラゴンゾンビの調理には困らんな、ブハハハハ!」

剣士「こ、言葉遣いが下品よ、妹ちゃん…」

妹「兄者こそ、オカマのような口調、であるな!」

剣士「そうでもあるがぁ!」

さ、先に半分作っただけだから(失禁しながら)

・ ・ ・ ・ ・

妹「で、なんやかんやあって」

剣士「はいはい」

妹「ドラゴンゾンビの煮凝り、完成です!」

プルルン

剣士「濃い紫…ゼラチン質…あまり食欲をそそらないなぁ」

妹「でも味はグンバツよ!」

ヒョイ パク

妹「うん、うまく出来たわ」

剣士「どれどれ」

ヒョイ パク

剣士「うむ、まったりかつこってり…なのにあっさり…だがコクがある!」

妹「これもうわけわかんねぇな」

妹「セックス…じゃなかった、さっそく晩御飯にしましょ」

剣士「よかろう、配膳はまかせろ!」

テキパキ テキパキ クルクルッ ターン

妹「手際いいけど無意味に回るのは何なの」

剣士「そこに意味は無くても…意味は、あるんだよ…奇跡も、魔法も、あるんだよ…」

妹「お前昨日まどマギ見たやろ」

剣士「とかなんとか言ってるうちに、食事の用意が出来たんだな、これが」

妹「YES!さっそく食べましょう」

剣士「食事の前のお祈りだな…アーメンザーメンエックスメン!」

サササッ ペコリ

妹「アーメンザーメンエックスメン…さ、いただきましょう」

パクパク
パクパク
パクヨンハ

妹「おいしいね」

剣士「…」

妹「おいしいね」

剣士「…」

妹「…おいしいね」

剣士「…」

妹「おい…しいね」

剣士「…」

こうしてなんやかんやで

静かな食事は続くのであった…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

剣士「満腹だァ」

ゲプ

妹「おいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいねおいしいね」

剣士「し、しまった。無視しすぎて妹が…妹が、『おいしいね』だけを繰り返す機械になってしまった」

ビルギット ダケヲ コロスキカイカヨ!

剣士「このままでは、明日のドラゴンゾンビ料理に影響が出る。妹を正気に戻さなければ」

妹「おいしいねおいしいね…」

剣士「幸いな事に、俺は錬金術をかじっている。混乱治療薬を精製するか…」

妹「おおおおおいしいね…」

剣士「待ってな妹、すぐに正気に戻してやるからな…だがもう夜も遅い。今日は一旦寝て、明日朝一で材料探しに出かけるとするか」

どうやら明日の朝一で
剣士は出かけるようですね…

急がねば、妹の精神は
崩壊していくばかりですよ…

急ぐのです、剣士よ!

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

~朝~

妹「おいおいおいおいしいね」

剣士「うぉっ、やっぱり治ってないか~。しょうがないなぁ、混乱治療薬の材料を探しに行くかぁ…」

ヤレヤレダゼ

剣士「待ってろ妹…すぐに治してやるからな。しかし、腹が減っては何とやら…まずは朝ご飯だ」

カチャカチャ

剣士「冷蔵庫には…ドラゴンゾンビの酢の物があるな…妹が作っていたものだろう」

剣士「これをいただくとしよう」

パクパク

剣士「程よい酢の加減…ドラゴンゾンビ特有のぬめり…舌先を撫でるのが面白いわい」

パクパク
ゴクン

剣士「あまり腹は満たされなかったが、しょうがない」

剣士「さて、そろそろ行きますか」

妹「おいしいねおいしい、ねおい…し…い、…おに…」

剣士「ん?」

妹「お…おに…オニケテ…」

剣士「お兄ちゃん、決して走らず、急いで歩いて、そして早く私を助けて…まるで、そう言っているようだ」

妹「オニケ……おいしいねおいしいねおいしいね」

剣士「任せな、すぐに正気に戻してやるからな…!」

テクテク
ガチャリ

剣士「行ってきまーす」

・ ・ ・ ・ ・

~毒の沼地~

剣士「ここは毒の沼地。死骸や廃棄物が沼に沈み、混ざり腐敗し、なんやかんやで毒をもったんだ」

ツプ
ユビイレー
ペロッ

剣士「ふむ、なかなかの毒だ」

ビリビリッ

剣士「っ!?」

ビリビリッ

剣士「しまった、毒か!」

ビリビリッ

剣士「し、ぬ…」

バタリ

剣士「しんだ」

剣士「…」

ガサッ

ギュインギュイン
パァーッ

?「…時空転移完了。肉体損傷0.00002%、問題なし」

ギュインギュイン…

?「時空ゲート閉門」

ギュイ…ン…ギュ……

?「位置、タイミング…完璧だな。さすがはあいつだ。さて、さっそく仕事にとりかかるかね」

・ ・ ・ ・ ・

~次回予告~

ウッス、オラ剣士!
毒で死んじまったオラのもとに現れた謎の人物
時空ゲートとか、あいつとか
よくわかんねぇ事ばっか言ってっぞ!?
こいつ、なんかわけありなんじゃねーのかぁ?
オラ、ムラムラしてきたぞ!

次回
【時空を超えて来た?世界で一番スゲェ奴!】

もうちょっとだけ続くぞ!

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

剣士「…っ」

?「目が覚めたかい」

剣士「俺は毒の沼で…そうだ、毒を舐めて一旦死んだんだったな…」

?「ああ。君は確かに一旦死んだ。だが拙者が復活させた」

剣士「復活…あんたは一体?」

?「申し遅れた、拙者は忍者。とある時空からやってきた、忍びでござる」

剣士「忍者…変な格好をしているな」

忍者「自分、忍びですから…」

剣士「その忍びの忍者さんが一体何の用だい?」

忍者「うむ。すぐに信じる事はできぬだろうが、拙者、この時空とは別の時空…いわゆる平行世界からやってきたのでござる」

剣士「平行世界…ハッ、まるで小説か漫画だな」

忍者「そう思うのも無理はないでござる。だが事実だ…」

剣士「そうかよ…そう、かよ…」

忍者「で、だ。拙者はお主に会いにやってきたのでござる」

忍者「お主の遺伝子…というか精子には、世界を破滅させる成分が含まれているのでござるよ」

剣士「俺の精子に…?」

忍者「にんにん。そして、それは時空を超え、あらゆる空間、平行世界、時代に拡散し、破滅を呼ぶ…恐怖の精子なのでござるよ」

剣士「恐怖精子か」

剣士「で?」

忍者「おろ?」

剣士「その恐怖精子を持つ俺を殺しに来たのかい?」

忍者「おろ~、そうではないのでござるよ。拙者…いや、拙者の所属する機関は、恐怖精子からワクチンを作る事を目的としているのでござるよ」

剣士「ワクチン…つまり恐怖精子とはウイルスなのか?」

忍者「うーむ、説明が難しいでござるな。恐怖精子はウイルスであり、悪意であり、殺意であり、データである…つまりなにものでもあるのでござるよ」

剣士「…わかんねぇな」

忍者「とにかく、まだ恐怖精子としての効果が発動していないうちに、お主の精子からワクチンを作り出すのでござるよ」

剣士「…まぁ、特に問題はないわな」

忍者「にんにん。では早速…」

ギラリ

忍者「精子、出そうか」

チャキッ

剣士「なぁにそれ」

忍者「どこにでもある精子絞り機でござるよ」

『説明しよう!』

『精子絞り機とは、バネとかテコの原理とか歯車とか、何か色々な仕組みにより』

『なんやかんやで精子を強制的かつ効率良く絞り出す機械なのである!』

忍者「痛くないから~痛くないから~」

剣士「嘘付け、絶対痛いやろ。バネで竿挟むんやろ!」

忍者「…確かに精子絞り機は痛い。だが抵抗すると、もっと痛いでござるよ?」

ニマァ

剣士「やらせるかよ…あがいてやる…あがいて、みせらァ!」

忍者「ふぅ、仕方がないな…少しお仕置き、しようか」

チャキッ

剣士(ジャパニーズナイフ…あれが噂のクナイか…材質は青銅か…今時青銅製だと…なめやがって!)

チャキッ

剣士「たたっ斬ってやる!」

忍者「そういやお主は剣士であったな…獲物は剣か…おもしろい、やってみるがいい…やってみるがいい!」

こうしてなんやかんやで
剣士と忍者の戦いが始まった。
負ければ強制搾精子!
がんばれ剣士、負けるな剣士!
力の限り生きてやれ!

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

~前回までのあらすじ~

精子絞り機は精子を絞る機械なのである。

・ ・ ・ ・ ・

忍者「いくでござるよ、にんにん」

剣士「来いよ…来いよ来いよ来い」

ハイハイハイハイ!

忍者「ではお言葉に甘え…テェェイ!」

ザザッ

剣士「早い!」

忍者「…そこっ!」

シュッ

剣士「っぶねぇ!」

キィン

忍者「チッ…弾いたか。あと少し反応が遅れていたら喉を貫いていたのだがな」

忍者「だが弾いたのは間違いだったな…それは避けるべきだった…」

剣士「なに…っっっ!?」

ブワワワワワ

剣士「お、俺の剣が錆びて…?」

ブワワワワワ
ズモォ…

忍者「この青銅製のクナイには物質を朽ちさせる魔法を内包させている…にんにん…」

剣士「魔法だと…忍者が使う技かよ!」

忍者「にんにん」

忍者「拙者の所属する組織は魔法に長けているんでな…」

剣士「語尾普通になってんぞ」

忍者「しまった…で、ござるよ」

剣士「おろ~」

忍者「それ拙者の口癖ェ!」

剣士「いや本来お前の口癖じゃないからな、とある人斬りの口癖だからな」

忍者「おろ~かおるどの~」

ブタゴリラ「呼んだ?」

忍者「かおる違いやんけ!」

剣士「あーもうむちゃくちゃだよ」

忍者「ふぅ…なんだか疲れたでござるよパトラッシュ」

剣士「誰がパトラッシュやねん…まぁ確かに疲れたわな」

忍者「この辺に自販機ない?」

剣士「あぁ、この先にあるぞ。五分くらい歩かなきゃならんけどな」

忍者「なんか飲み物買いに行かね?」

剣士「そだな」

こうしてなんやかんやあって
2人は飲み物を買いに
歩く
歩く
歩くのであった…

【続く】

~前回までのあらすじ~

剣士と忍者は喉が乾いたから
飲み物を所望しているのだ。

剣士「お、あれだあれ」

忍者「おろ~、けっこう歩いたでござるよ。何が5分くらいでござるか10分以上歩いたわ」

剣士「あんまりこの辺の地理に詳しくなくてな。距離感がいまいち分かってないんだよ」

忍者「まぁいいでござるよ、それより早く早く飲み物!」

剣士「あせんなって!」

チャリンチャリン

忍者「さて肝心のラインナップは……ぬぅっ!」

オシルコー オデン オデン オデン

忍者「特殊なやつばっかり」

剣士「喉を潤すようなやつは…」

忍者「お、これかな」

剣士「なになに…激甘砂糖水?」

忍者「なんでござるかこれは…砂糖水を売ってるとか初耳やでぇ」

剣士「だが他にはおしるこくらいしかないぞ?」

忍者「どっちもどっちでござるな」

忍者「せっかくだから拙者はこっちを選ぶぜ!」

ポチー
ガシャン

忍者「おし…るこ…」

剣士「では俺は砂糖水を」

ポチー
ガシャン

剣士「げき…あま…」

忍者「では飲むでござる」

カシュッ
グビー

忍者「あンまァァァァァァイッッッグゥゥゥゥゥゥ!」

ビクンビクン
ジョバババババ

剣士「えぇ…」

忍者「あまいにょるぉぉぉ…あまいにょるぉぉぉぉぉぉ!!!」

ジョバババババ
ジョバババババ

剣士「どんだけぇ~」

剣士「しかし、おしるこであの反応…この激甘砂糖水なんか飲んだら俺ァ…俺ァどうなっちまうンだよ…」

ワクワク
ムラムラ

剣士「ハァ…ハァ…ん…ハァ…」

ゴクリ…

剣士「い、いくぜ…」

カシュッ
グビー

剣士「…ん?」

剣士「あれ…そんなにあま…」

ドクン

剣士「っ!?」

ゾワワワワワ
ドシタノワサワサ

剣士「あ…ぶ…ドゥ…リュ…」

フルフルフル
ビクンビクン

剣士「あ」

グルンッ
ジワッ

剣士「お、おだやかな尿意が…だが、これは…制止できな…」

ジワッ
ジュン ジュワ~

剣士「…っ、ごべらっ!」

ブフッ

剣士「口の中が…甘味で満たされ…いや、これはもはや支配…甘味の暴力!」

ジワッ

剣士「野郎…ゆっくり確実に放尿させる気かよ…」

ジワッ

剣士「この程度なら問題ないが…忍者の放尿ペースは…!」

忍者「ンブルルルル」

ジョバババババ

剣士「やばいな、あれでは30分も保たん…脱水死しちまうぞ」

剣士「ちくしょう、どうすればー」

忍者「ンブルルルル」

剣士「俺に…俺に尿を止める力が…力があれば!」

キィィン…

剣士「っ!?」

キィィン…

剣士「頭痛…っぐっ…ぁぁっ」
キィィン…

声「力が…」

剣士「!?」

声「力が…欲しいか?」

剣士「ほ…欲しい…力が…力が欲しい!」

声「ならば…くれてやる!あらゆる困難を払い…あらゆる願いを実現する…絶対可能の存在である…我を…我を呼べ!」

剣士「呼ぶ…どうすれば…どうすればいい!?」

声「ただ呼べばよい。我は…我は自身を認識する事ができぬ。貴様が我を呼べ、我を認識せよ…それが我…それが力…!」

剣士「力…」

声「さぁ、呼ぶがいい!」

剣士「力…俺が欲するのは!」

剣士「力を貸せ…お前の名は…聖剣…」

【聖剣・バルエクスカリバルムンク】

剣士「…」

声「よかろう…我は聖剣バルエクスカリバルムンク!剣士よ、貴様に力を…絶対可能の力をやろう!」

ギュィィィ
ズキュゥゥゥン

剣士「そ、空から何かが…」

ヒュゥゥゥ
ザクゥゥゥ
プシュゥ…

剣士「剣…」

ガシッ

剣士「そうか…そうかよ」

ズボッ チャキッ

剣士「これがバルエクスカリバルムンク…絶対可能の力だ!!!」

【続く】

~前回までのあらすじ~

剣士は力を求めたので
なんか剣が空から降ってきた。

剣士「で、この剣どう使うのか」

忍者「な、なんか知らんが助けてくれるのか?」

剣士「あ、うん、まぁ」

忍者「早くしてくれ、そろそろ尿の勢いが弱くなってきた…限界が近いっぽい」

剣士「あ、うん、わかった」

忍者「はよせな」

剣士「なんか絶対可能の剣とかいう話だしな…なんか尿を止める能力とかないかなぁ…」

カチャカチャ

剣士「てかこの剣、能力発動とかどうやってするんかなぁ…」

忍者「もっと危機感もって!」

剣士「だってよ…能力付きの剣とか使ったことないし…てか能力発動のオンオフとかどうやってんのさブリーチとかブリーチとかブリーチとか」

忍者「な、なんか言葉で発動するんじゃねーの?」

剣士「なるほどな」

忍者「溢れる尿意、せき止める灼熱の竜の息吹…ドラゴンフレア!」

剣士「なにその恥ずかしいセリフ。てかおまえが言うのかよ!」

ピカァァァ
チュゥゥゥ

剣士「なんか剣が光り出した」

忍者「お、まじでドラゴンフレアでるのか」

剣士「剣から炎出てきた、あっちゅい」

忍者「オッホゥ、ドラゴンフレアきましたよー!」

ゴゥゥゥゥゥ

剣士「熱い熱い、これは死ぬに違いない!」

忍者「その炎で拙者の尿を蒸発させるんや!」

ジュワ~
いや
ジュン ジュワ~

忍者「拙者の尿が蒸発して塩に!」

これが後のエリート塩である。

剣士「お、塩やんけ」

ペロー

剣士「ライザッ!」

プゥ

忍者「な、何舐めとんねんワレー///」

剣士「俺はまだまだ舐めるぞジョジョー!」

剣士「ペロペロペロペロペロペロ…」

ビクンッ

剣士「うっ、塩分過多…」

バタリ

忍者「きゅ、急な塩分接種で剣士が倒れたでこざるよ、おろ~!」

忍者「だが拙者の排尿は、なぜか止まった。これでもう脱水症状の心配はないでござるよ」

忍者「これでゆっくり精子絞り機を使えるでござるよ、おろ~」

カチャカチャ

忍者「剣士、失礼するでござるよ」

ヌガセ ヌガセ ボロンッ

忍者「この押さえを固定し、バネを…で、歯車を三回転…レバーAを下ろして、安全ロックを外し…ペニスに差し込みバネを…よし、準備完了でござるよ」

ガッチリ

忍者「では起動するでござるよ、おろ~」

ポチットナ

ウィーン
ウィーン
ウィーン ショウネン ガッショウダン

忍者「おっ」

ジャコン ジャコン ギュッ
スココココ スココココ スココココ

忍者「いい感じだ」

スココココ スココココ スココココピュッ

忍者「いい感じだ」

ピュラララララララララ

忍者「いい感じだ」

ピュラララララララララ

忍者「いい感じだ」

忍者「もういいわ」

ムンズ ガシッ

忍者「目的は果たした。帰るネン」

ギュワワワワ

忍者「ゲート開門」

ギュワワワワ

忍者「ほな、また…」

カエール

・ ・ ・ ・ ・

それから数時間が経過した。

剣士「うぅ…目覚めた」

キョロキョロ

剣士「あれ、忍者がいない…」

そう、忍者はいなくなっていた。
そこにはただ
高品質の塩だけが残されていた…
【続く】

~前回までのあらすじ~

エリート塩を舐めた剣士が気絶している間に
忍者は帰ったのだった。

剣士「しかし、よくわからん奴だったな」

カチャカチャ

剣士「ま、なんやかんやで素敵な剣が手に入ったし、よしとするか」

よしとした。

剣士「で、な~んかよぉ~、忘れてる気がすンだけどよぉ~」
ウーム

剣士「何だったかよぉ~忘れちまったんだよなぁ~」

剣士「ま、いいか。一旦家に帰るか」

こうして大切な何かを忘れたまま

剣士は帰宅するのだった。

そして、思い出すだろう。

自分が何を忘れていたかを

決して忘れてはならない

大切な、大切な事を…

テクテクテク

剣士「よし、自宅だ」

ガチャリ

剣士「ただいマラドーナ」

シーン

剣士「あれ、いつもなら妹がおかえりと言ってくれるはずだが…」

キョロキョロ

剣士「あれ、妹は…」

ハッ

剣士「そ、そういえば…妹は…そうだった…」

ダダダッ

剣士「奥の部屋…」

ガチャリ

妹「おいしいね、おいしいね…」

剣士「そうだった…妹は…おいしいねだけを繰り返す肉人形に成り果てていたのだ…」

剣士「なんやかんやあって、忘れていたぜ」

妹「おおおおいすぃーね」

剣士「すまん妹、こんな大切な事を忘れるだなんて…俺は、俺は悪い兄貴だ…」

妹「オイッスオイッスオイッスぃーね」

剣士「だがまだ間に合う…正気に戻す薬を飲ませれば…」

剣士「急がねばなるまい。薬を調合しようと思っていたが…時間がない。少し遠くの街まで買いに行くか。その方が調合するより早い」

早いらしい。

始めから買いにいっとけよ、というのは無しの方向で。

【続く】

~前回までのあらすじ~

妹の事をすっかり忘れていたんだぜ?

剣士「さて、少し遠くの街まで行くわけだが…腹が減ったな」
テクテク
ガチャリ

剣士「冷蔵庫に何かあるかな…」

ガサゴソ

剣士「未調理のドラゴンゾンビ肉…オークの耳…ゴブリンの目玉か…適当に炒めて、焼き肉のタレでもかけるかなぁ」

剣士「オラァ、適当に中華鍋にぶちこんでやらァ!」

ザッパァァァ

中華鍋「嫌ァ!そんなに乱暴にぶちまけないでェ!」

剣士「うるせぇ!鍋が…誰にでも股を開く鍋がよ!」

グリグリ

剣士「へへ…どうだ、おたまを押しつけられるのはよォ!」

中華鍋「嫌ァ…具材こんがりさせちゃうのりゅぅぅぅぅぅ!」

剣士「ハッ、淫乱鍋が!いやらしい油を流してよがってやがらァ!」

中華鍋「あぁ…ゴマ油あふれりゅぅぅぅ!」

ジュワ~ いや、ジュンジュワ~

中華鍋「具材美味しく炒めちゃったぁ…」

コンガリィ…

剣士「ハッ、仕上げに焼き肉のタレだ!」

ドバァ

剣士「これさえあれば、だいたいなんでも美味しくなるよね」

中華鍋「あ…あぁ…う…」

剣士「さーて、あとは白米をよそって…よし、飯の時間だぁぁぁぁぁぁ!」

ハフッ! ハフッ! ハフッ! ハフッ!
ガツ! ガツガツ!
ガツ! ガツガツ!

剣士「うめぇ!」

スーパークイシンボォ…

剣士「うめぇ…食えば食うほどあふれる…パワー!!」

ムキムキムキ

剣士「やはりドラゴンゾンビはどう調理してもうまいのだ」

ガツ! ガツガツ!

剣士「あぁ…我が血肉になれ…!」

ムキムキ ビンッ

剣士「勃起!」

中華鍋「きゃあ!」

中華鍋「そそり立ってるやんけ!」

剣士「勃起!」

中華鍋「いや言わなくてもわかるわ」

剣士「ぼっ…!」

ビクンッ

バタリ

剣士「…」

中華鍋「…」

中華鍋「…」

中華鍋「…死んだのか?」

中華鍋「嘘だろ…そんなにきれいな顔してるのに…もう、動かないのか…?」

剣士「…」

中華鍋「…嘘…だろ」

剣士「…」

中華鍋「…お前が死んだら…妹はどうする…あのまま『おいしいね』を言い続けて…だんだん衰弱し、やがては…それでいいのかよ…いいのかよ!」

中華鍋「俺はそんなの認めねぇ…認めねぇし許さねぇ!許さなねぇからな!」

中華鍋「ちくしょう…シャクだけどよ…助けてやるよ…ちくしょう…俺が最後に見せるのは…中華鍋としてのプライド…魂の輝きだ!」

パァァァ

中華鍋「最初で最後の、とっておきだ…」

テレテレテレン

中華鍋「メ・ガ・ザ・ル!」

中華鍋「あばよ涙…」

パァァァ

剣士「ぐっ…よ、よろしく勇気」

こうしてなんやかんやで剣士は生き返った。

腹も満たされたし

一旦寝るか、と思う吉宗であった。

【続く】

~前回までのあらすじ~

中華鍋は犠牲になったのだ。

剣士「さて、一息寝るか」

ガクッ

剣士「zzz…」

『説明しよう!剣士は立ったままその場で寝る特技を持っているのだ!』

剣士「zzz…」

こうして剣士は寝た。

・ ・ ・ ・ ・

チュンチュン

コケコッコー

剣士「…!」

パチッ

剣士「朝か」

剣士「ふぅ、体力満タンだぜ」

ムクッ

剣士「ンフフフフ…朝勃ち」

剣士「さて、さっそく隣街まで行って薬を買ってくるか」

ギュワン

ダダダダダダダダ

剣士「急ぐぜ」

ダダダダダダダダ

剣士「十傑集走りなら、あっというまに隣街に着くな」

ダダダダダダダダ

んで

なんやかんやあって

薬、手に入れました。

剣士は急いで帰宅する。

だが彼に待ち受けていたのは

残酷な現実だったのDETH…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

~前回までのあらすじ~

妹を正気に戻す薬を手に入れた剣士。
途中、ラーメン屋巡りをしながら
帰宅するのだった。

カランコロンカラーン

剣士「ただいま」

ガチャリ

剣士「さっそく妹に薬を…」

タッタッタ

剣士「急がなくちゃ…ってわぁぁ」

ズッコケ

ガシャーン

剣士「あぁ、薬瓶が!」

剣士「薬を入れた瓶が割れた…ちくしょう、ちくしょぉぉぉ!」

ダンッ

剣士「せっかく手に入れたのに!あと少しだったのに!」

ダンッ ダンッ

剣士「くっそぅ…なんて日だ!」

ダンソンッ

剣士「一体どうすりゃいいの」

ポロポロ

剣士「へへっ、涙が出てきやがったぜ…」

ポロポロ ズズッ

剣士「ちくしょう…なんでいつもよぅ…いっつも、こうなんだ…大事なところで、トチるんだ…俺ぁ…俺ぁよ…ドジでノロマな亀さ…あぁ、亀さんさ!」

剣士「泣いている場合じゃねぇってのによぅ…涙が止まらねぇ…止まらねぇんだよ…あぁ…まったく…なんてこった」

剣士「なんとかしなけりゃなんねぇのは分かってんのに…もう気力が…残ってねぇ…奮い立たねぇ…」

ガサゴソ

剣士「た、タバコ…とりあえずタバコを吸ってから…」

ブルブルブル

剣士「手が…手の震えが…ち、ちくしょう…」

ブルブルブル カシュッ カシュッ カシュッ

剣士「ちくしょう…なかなか火が…手が震えて…!」

カシュッ カシュッ カシュッ

剣士「あぁ…くそっ」

カシュッ カシュッ カシュッ ポロッ

剣士「…」

剣士「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!
ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!

[りゅぅぅぅ!?]

ブシュゥゥゥ

[おじゃ!おじゃ!まろの存在力が…アアィィェ!]

{い、いったい何がおこ…アアィィェ!}

ブシュゥゥゥ

ブシュゥゥゥ

《ど、どうした2人とも…アアィィェ!》

ブシュゥゥゥ

《これ、は…我の存在力が…まさか…否、否…断じて否!創造主の存在力が…存在力がぁぁぁぁぁぁ!》

ブシュゥゥゥ

『い、いったい何が…三人の創造主が…一瞬にして無に…!?』

?「ハッ、ざまぁないな」

『なっ…だ、誰だ!?』

?「誰だ、か…知っているなら教えてもらいたいくらいだねぇ」

『な…おま、おま、お前…お前は…剣士…なのか…?』

剣士?「へぇ、あんたは俺をそう呼ぶのかい、天の声さん」

『お前がなぜ…いや、それより、創造主達の存在力を消したのは…お前か…?』

剣士?「あぁ…厳密には、存在力を分割して別次元に移動させ続けてるんだけどな。まぁ死んだも同然さ」

『そんな方法が…』

剣士?「それより、あんた、俺を…この姿の俺を知っているんだな?」

『あ、あぁ…別人、というには似すぎている…その様子だと、記憶が、ないのか?』

剣士?「あぁ。俺は自分が誰か分からない。気が付いたら、何も無い空間に全裸でいた。ただ一つ、このペンダントを持ってな」

ジャラ…

『ペンダント…ん、なんだか見覚えがあるような、ないような…』

剣士?「俺は次元や時空を渡る能力を持っている…なぜだか分からないがな。そうやって、数多の時空・次元を渡り、自分探しの旅をしていた」

『…』

剣士?「そうやって、ついさっき、たまたまここにたどり着いた。そこにいた創造主って奴らが、何故だか無性に憎かった。これまた理由は分からないがな…」

剣士?「脳内が…奴らを、創造主どもを決して許すなという…憎しみに満ちた声で満たされた。俺はよく分からないうちに、創造主どもの存在力を消し去っていた」

剣士?「やり方なんか知らない。ただ勝手に手が動き、意味不明な文言を唱えていた。頭が真っ白になって、いつの間にか、創造主どもは消えていた。それがさっきの出来事だよ」

『お前は…いや…今は何を考えても意味はなさそうだな…』

剣士?「ところで、あんたの知っている剣士って奴は、そんなに俺に似ているのか?」

『あぁ。姿形はもちろん、雰囲気…纏う空気が…まさに本人のそれだ』

剣士?「そう、か…」

剣士?「ハッ…どうやら目的ってのが、できちまったなぁ」

『ん?』

剣士?「自分が何者なのか…その手がかりになるかもしれない…」

『ん?』

剣士?「その剣士って奴に会いに行って来らァ」

ビュイン

剣士?「あ、そうそう」

『ん?』

剣士?「俺の事さ。剣士って奴に似てるとはいえ、俺は俺だ…俺の事は、旅人とでも呼んでくれ…」

ビュイン

『消えた…いや、ワープか』

世界が糞の炎に包まれ

再編されようとしている時

突然現れた、旅人。

剣士とうり二つの彼は

一体何者なのか…

そしてなんやかんやあって

世界はほどけ、編み直され

再編された…

【続く】

・ ・ ・ ・ ・

~とある小さな村の畑にて~

?「ふぅ…」

ザッザッ

?「これでよし。はぁ~たのしみだな~。大きく育てよ~ジャガイモたち」

?「ま、さっさと成長しなきゃ、この竜子様が得意のブレスで焼き払っちゃうからな~、なんちって」

竜子「さて、次は根菜畑だな」

バサッ

竜子「一っ飛び~…とはいかないか」

パタパタパタ

竜子「うー…疲れる…」

パタパタパタ…

この、小さな羽をパタパタさせ
超低空飛行している少女
名を、竜子という。
竜と人間の、いわゆる竜人(ドラゴヒューマン)である。

彼女は小さな小屋で畑を耕しながら
一人暮らしをしている。

竜子「よいしょー」

ズボンヌ!

竜子「おー、色鮮やかな人参だねぇ」

ズボンヌ! ズボンヌ! ズボンヌ!

竜子「やー大漁大漁。今夜は何作ろうかなー」

カゴニ ズッシリ

竜子「う…重い。こりゃ歩いて帰った方がいいか」

テクテクテク

竜子「にんっじん、にんっじん、美味しそうなにんっじん~」

竜子「ふんふ~ん…ん、あそこに誰か倒れて…」

テクテク

竜子「おい」

ゲシッ

?「…」

竜子「生きとるかワレ」

ゲシッ ボグッ

?「うぼぁぁぁ」

ゲロー

竜子「きたね」

?「う…腹減った」

竜子「おう、このまま見捨てたら竜族の名折れやきん、家まで来いや、飯食わしたるわ」

?「た、助かる。ちなみに俺様の名は…剣士だ…」

こうしてなんやかんやで
行き倒れの剣士を拾った竜子。
そのあとなんやかんやあって
数年の時が流れた…

~竜子の家~

剣士「うーむ」

竜子「どしたん剣士?」

剣士「ん、あぁ。俺様の剣なんだがな…」

チャキッ

剣士「いつまでたっても錆がとれないんだよ」

竜子「あー。家に来たときから、ずっとだよね」

剣士「あぁ。メラミンスポンジとか、酢とか重曹とかいろいろ試したんだが、あまり効果がなくてな」

竜子「うーん。他に何かないかなぁ…」

スマホ ポチー

ポチポチ

竜子「あ、これなんかどうかな」

剣士「ん…なになに、セスキ炭酸ソーダ…?」

竜子「今話題のおそうじグッズらしいよ」

剣士「へぇ」

竜子「さっそくネットで注文しとくわ」

剣士「サンキュ」

・ ・ ・ ・ ・

竜子「…で、届きました」

剣士「セスキ炭酸ソーダ!」

竜子「さっそく…」

タラリ ゴシゴシゴシ

竜子「おっ」

剣士「おおっ」

ゴシゴシゴシ サビ ハガレ

剣士「いけるやん!」

竜子「どんどんいくやで!」

ゴシゴシゴシ
ゴシゴシゴシ

ゴシュッ

ピカーッ

剣士「すげ…ピッカピカ」

竜子「いやー綺麗になったわね」

剣士「…」

ポロッ…

竜子「え、剣士…泣いてるん?」

剣士「あ…なんでだ…よく分かんねえ…けど」

ポロポロ…

剣士「なんか、すごく嬉しいんだ…長年の願いが叶ったような…そんな気持ちが…して…」

竜子「へー。よくわかんないけど、よかったね」

剣士「あぁ」

こうして
剣士の剣の錆は取れた。
時代や時空を超え
幾度と再編された世界で
ようやく錆は取れた。
取れたったら、取れた。

セスキ炭酸ソーダって、凄い。

【完】

※注意※

実際にセスキ炭酸ソーダで剣の錆が取れるかどうかは分かりかねます。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom