ガコォン
魔王「来たか勇者よ、だが貴様の旅もここまでだ、この私自ら貴様を葬ってくれるわ」
側近「魔王様、その必要はありますまい、こやつらなど私一人で十分です」
魔王「ほう……ならばやってみせよ」
側近「お任せを……さあゆくぞ勇者よ」
剣士「あのなあ……悪いんだけどさ」
側近「何だ?今更命が惜しくなったのか?」
剣士「いやそうじゃなくて」
魔王「では何だと言うのだ?」
剣士「俺ただの剣士で、別に勇者じゃないんだけど」
魔・側「「は?」」
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魔王「いやいやいや、待った待った、おかしくない?ここは普通勇者だろ?」
剣士「いやそう言われても」
側近「魔王を倒しにくるのは勇者と、相場が決まっていてだな」
剣士「いやそれはそっちとかの都合だろ?俺には関係ないし」
魔王「第一貴様が勇者でなかったら、誰が勇者なのだ?勇者が旅に出たのは間違いないはずだぞ」
側近「偵察隊がこぞってお前の事を報告してきたぞ?お前が勇者で間違いないと」
剣士「いや知らんし、俺勇者っぽい事何もしてないぞ?」
魔王「嘘をつくな!」
側近「東の町を襲った百体の魔物を斬り捨てたと報告が」
剣士「俺達の住んでる町だからな、そりゃ守るだろ」
側近「北の塔にいた魔物を倒したと」
剣士「そこにある物が必要だったからな、邪魔だったから斬った」
側近「南の山のドラゴンを倒したと」
剣士「あの山にしか咲かない花が必要でな、邪魔だから斬った」
側近「しっ四天王を倒したと」
剣士「炎と氷は倒さなきゃいけなくなってな、あと二人はここに来るのに必要だったから斬った」
側近「そっそもそも何故魔王様を倒そうとするのだ?」
剣士「え?決まってんじゃん、結婚する為だよ」
魔・側「「え?」」
魔王「けっ結婚?」
側近「世界の平和とか、王様の命令とかじゃなくて?」
剣士「そうそう結婚、お前倒さなきゃ結婚できなくてさ、だから悪いけど斬られてくれ」
魔王「ふっふざけるな!そんな理由で倒されてたまるか!」
剣士「そんな理由だと!?もういっぺん言ってみろ!たたっ斬るぞ!」
側近「なっ何だ急に」
剣士「いいか?お前たちには分からんだろうがな、俺は心に決めた相手がいるんだ、俺はあいつと絶対に結婚するんだ!」
魔王「くっ……なんという気迫」
剣士「よし行くぞ魔導士!魔王を倒してあいつにプロポーズだ!」
魔導士「……」コクコク
魔王「いや待て!お前が勇者じゃないのはまあ分かった、だがそっちのはなんだ?さっきから一言も喋らずに」
剣士「ああ……こいつは俺の仲間の魔導士だ」
魔導士『よろしく』カキカキサッ
側近「筆談!?」
剣士「なんか喋れないらしくてな、まあ魔法は普通に使えるからいいけどな」
魔導士『魔王覚悟』カキカキサッ
魔王「何そいつ!明らかに変じゃん!えっ何?俺こいつらと戦うの?」
剣士「うるせえ、確かに変わっちゃいるが俺の大事な仲間だぞ?悪く言ったら許さねえぞ」
魔導士『剣士……ありがとう大好き』カキカキサッ
側近(あれ?今大好きって?大好きって書いてなかった?)
剣士「さあ覚悟しろ!」
魔導士『やっちゃえ剣士!』サッ
側近「それだけ準備してあったの?」
剣士「どおうりゃぁぁぁぁぁ!」バッ
魔王「おのれ勇者……じゃない剣士よ、だがこれで終わりではない、いつの日か蘇り必ずこの恨みを晴らす」
剣士「じゃあ帰るか、証拠に魔王の兜もってこうぜ」
魔導士『戦利品戦利品』カキカキサッ
魔王「いやあの……こういうのって、黙って聞くもんじゃ?」
剣士「知るかよ、そういうのは復活した後で勇者とやってろ、んじゃ帰るぞ」
魔導士『帰還魔法!』カキカキサッキュィーン
側近「……」
魔王「……こんなのありかよ」ガクッ
側近「魔王様ー!」
剣士「よし!じゃあ俺は早速プロポーズに行ってくるぜ、またな魔導士」タタタッ
魔導士『バイバイ』カキカキサッ
魔導士「……さてと、私も急がなきゃ」
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剣士「ども!魔法使いはいますか?」
魔法母「あら剣士くんいらっしゃい、娘ならもうじき帰ってくるから、待っててくれる?」
剣士「はい!」
友「あれ?剣士じゃん、もしかして魔王倒してきたの?」
剣士「ああそうだ、まあちょいと強かったが、俺達の敵じゃなかったぜ」
友「そりゃすげえ、やっぱり強いなお前は」
剣士「まあな……それほどでもあるぜ」フフン
友「事実だからってその返しはないだろ」アハハ
剣士「そうか?割と自信があったんだがなぁ、いまいちだったか?」
友「いや悪くはないぜ」アハハ
女「あら剣士くん、帰ってたの?」
剣士「よう!元気だったか?魔法使いと一緒じゃないのか?」
女「ん?まあ……ね」
剣士「出掛けてるらしいから、てっきりお前らと一緒かと思ってたが」
友「いやいや、一人で出掛ける事だってあるだろ?」
剣士「まあそうだな、少し時間を潰すべきか?」
友「いや……すぐだと思うぞ」
魔法使い「剣士!お帰り!」
剣士「おう魔法使い!ただいま!言われた通り魔王倒してきたぜ!この兜が証拠な」
魔法使い「わぁすごい!」
剣士「さあ魔法使い!今度こそ!俺と結婚してくれ!」
魔法使い「あっえと……その……わっ私も……私も……私と結婚したかったら、西の国に居る魔神を倒してきて!」
剣士「何?魔神?くそっまだダメなのか、分かった魔神を倒して来ればいいんだな」
魔法使い「えっあっうん」
剣士「よし分かった!明後日からまた行ってくるぜ!じゃあな魔法使い!次こそ結婚してくれよな!」タタタッ
友「……」
女「……」
魔法使い「……ま」
友「あーあ」
女「あんたねぇ」
魔法使い「またやっちゃったよぉ!どうしよう!西の魔神って魔王よりも強いって言われてるのに!」
友「これで8回目だっけ?」
女「もういいんじゃないの?」
魔法使い「だって……だって!嬉しくて恥ずかしくてつい……」
友「そのついの照れ隠しで、あいつは魔物を倒してドラゴンを倒して」
女「四天王を倒してとうとう魔王まで、さすがにもう終わりかと思ったら」
魔法使い「うう……私だって早く剣士と……」
友「しかも明後日からって言ってたな」
魔法使い「あっそうだ!私も準備しなきゃ!ただいま!」タタタッガチャバタン
女「やれやれ……一月振りに帰ってきたのに」
友「忙しい事だな」
剣士「よし!準備はいいな……魔導士もいいな?」
魔導士「……」コク
剣士「じゃあ魔神を倒しに行ってくるぜ」
友「いってらっしゃい」
女「頑張ってね二人共」
剣士「おう!」
魔導士『任せて』カキカキサッ
剣士「しかし今回も魔法使いは見送りにこなかったな」キョロキョロ
魔導士『いっ忙しかったんじゃない?』カキカキサッ
剣士「いやまあ、昨日そう言ってたけどよ、なんつうかこう……な?」
友「ははっまあなぁ」
女「来たくても来れないのかもね」チラッ
剣士「ん?どういう事だ?」
魔導士『はっ早く行こう!少しでも早く帰ってくる為に!』カキカキサッ
剣士「あぁまあそうだな、今度こそプロポーズを成功させてみせるぜ!サポートは頼むぞ魔導士!」
魔導士『任せて』サッ
友「……行ったな」
女「毎度毎度大変ねぇ」
友・女「「二人共」」
一旦終了。
また来ます。
基本こんな感じでほのぼのだと思います、質問あったらどうぞ。
どうも1です。
何か勇者について疑問みたいなんで、説明代わりに小話を一つ。
王様「ふむ……お主が大会優勝者か」
勇者「はい!」
王様「ではお主を正式に勇者と認めようぞ」
勇者「ありがとうございます!」
大臣「これが勇者選抜トーナメントの優勝賞金です、これで魔王討伐の為の準備をしてください」
勇者「はい!必ずや魔王を倒してまいります!」
王様「ゆくのじゃ勇者よ!」
勇者「はい!」
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勇者「よし!念願の勇者になったぞ!まずは北の塔に魔物がいるんだったな、よし行ってみよう」
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勇者「既に誰かに倒されてた、この報奨金どうしよう?倒した人分からないよ」ハァ
勇者「まあいいや、次は南の山のドラゴンを倒しに行こう」
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勇者「また倒されてた、違うって言ってるのに報奨金出たし、仕方ないな……また家の地下に閉まっておこう」ズン
勇者「次は--
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--またか、一体だれなんだろう?見たところ同じ人みたいだけど、報奨金も貰わずに帰るなんて」ズン
勇者「報奨金随分貯まっちゃったなぁ、早く渡してあげたいなぁ」
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勇者「魔王城なのに魔物がほとんどいない、と言うか斬られてる……となると」ガチャ
側近「くっ誰だ!」
勇者「えっと……一応勇者何だけど、お前が魔王か?」
側近「……魔王様なら先ほど、剣士と魔導士と名乗る二人組に……」
勇者「剣士と魔導士?そうかその二人がいろんな魔物を倒してくれていたのか」
側近「と言うかお前が勇者か!全く報告が無かったぞ!」
勇者「実は僕が行く前に、その二人が倒してしまったらしくて」
側近「なるほど……勇者が旅立ったと言う情報だけで偵察して、それでアイツを勇者だと勘違いしたのか」
勇者「違うと言ってるのに報奨金を渡されて、早くその二人に渡したいよ」
側近(自分で使えばいいのに、あの二人要らなそうだったしなぁ)
勇者「まあ魔王がいないならいいや、僕はもう帰るよ」スタスタ
側近(……ああこれからどうしよう?)
勇者「魔王討伐の報奨金すごいな、もう地下室が埋まりそうだよ」ズン
勇者「さて……次はどうするか、西の国の魔神でも倒しに行こうかな?あっその前に剣士さんと魔導士さんを探そうかな?」スタスタ
剣士「食料の追加はこのくらいでいいか」
魔導士『十分だと思う』カキカキサッ
勇者「あっこんにちは、また会いましたね」
剣士「ん?ああ勇者さんか、久しぶりだな調子はどうだ?」
魔導士『こんにちは』カキカキサッ
勇者「調子はいいですよ?でもまた僕が行く前に魔物が倒されてて、一体誰なんでしょう?」
剣士「またか?あんたもついてないなぁ」
魔導士『獲物を横取りされてる訳だし、本格的に調べた方がいいんじゃ?』カキカキサッ
勇者「いえ、魔物が減って平和に近づくのは良いことですから、ただ僕が違うと言ってるのに報奨金を渡されるのが」
剣士「金も受け取らずにねぇ、そいつは何が目的なんだろうな?」
魔導士『きっと世界平和とかじゃない?』カキカキサッ
勇者「まあもし会えたら、貯まった報奨金をすべて渡しますけどね」
剣士「もう自分で使えばいいのに、真面目だねぇ」
魔導士『その人が受け取らないかもよ?』カキカキサッ
勇者「だとしても、自分がやった訳ではないですから」
剣士「そっかまあ頑張ってな」
魔導士『私達はそろそろ』カキカキサッ
勇者「あっすみません引き留めてしまって、ではまたどこかで」
剣士「またな」スタスタ
魔導士『バイバイ』サッスタスタ
勇者「ふふっ今度はどこに行くのかな?あっまた名前聞き損ねたや」
勇者「うーんどうするか、……やっぱり西の国の魔神を倒しに行こうかな、剣士さんと魔導士さん探しはまたにしよう」スタスタ
こんな感じで。
あくまでこのSSの勇者は、職業の一つと言いますか、大会優勝者の称号みたいな物です。
剣士は大会に参加してないので、どんな偉業を成しても、勇者ではない訳です。
過去の魔王も当時の勇者に倒されているので、魔王も自分を倒しに来るのは勇者だと思ってました。
ちなみに勇者は剣士とどっこいぐらい強いです、剣士より先に魔王城に行けば、勇者が魔王を倒してた、くらいに強いです。
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