妹「おはよー」

女「お！　おはよー妹ちゃん！」

幼「お誕生日おめでとう妹ちゃん！」

妹「幼馴染ちゃん覚えててくれたの！　ありがとうっ」

女「げっ、しまったプレゼントとか用意してない」

妹「別にプレゼントなんて悪いよ」

女「いーや、友達の誕生日なんだから何かしないと気が済まない！」

女「まってて、今日中になんか考えとくから！」ﾑｰ

妹「あはは、ありがとねっ」

妹「ふふふーん、ふんふふんふーん♪」

女「むむむむ……ん？　妹どうしたんだいそんな上機嫌で」

妹「えへへ、今日は帰ったらパーティやるんだ！」

妹「いつもは帰りが遅いお兄ちゃんも今日は早く帰って来てくれるって」

女「あー、妹はお兄さんのこと相変わらず好きだねぇ」

妹「うんっ！　お兄ちゃん優しいし、かっこいいし……」

女「あーあー、また始まったよ妹の兄自慢」

妹「えへへっ、自慢の兄ですから！」

キーン　コーン　カーン　コーン

妹「んじゃ！　みんなバイバイっ！」ﾀﾞｯ

幼「うおっ、速っ」

女「あいつどんだけブラコンなんだよ……」



妹「えへへっ、たのしみだなぁ」ﾋﾞｭﾝ

妹「んふふ」ﾆﾔﾆﾔ

妹（まだかな、まだかな）

妹（早く帰ってきてねお兄ちゃん）

妹「えへへ」

かち……かち　かち……かち

妹「……遅い、なぁ」

妹「早く帰ってくるって言ったのに、お兄ちゃん」

妹「帰ってきたら怒ってやるんだから」


かち……かち　かち……かち


妹「遅い……」

妹「…………」

妹「遅すぎる……」

ぴりりりり　ぴりりりり

妹「ん、電話……お兄ちゃんかなぁ」

妹「もしもし？」

…………

妹「え？」

…………

妹「おにい、ちゃん……が？」

…………

妹「はい…………」

…………

妹「中央病院……はい」

…………

妹「今すぐ行きます」

妹「お兄ちゃん！」

兄「…………」

妹「トラックにはねられたんだってね……」

妹「乗っていた自転車もぐちゃぐちゃ、あれお兄ちゃん気にいってたよね」

妹「命に別状は無くても……いつ目を覚ますかわからない……か」

妹「…………」

妹「お兄ちゃん」

妹「私の……」

妹「私のせいだ……」

妹「早く帰ってきてだなんて言わなければ」

妹「うぅぅ……おにい、ちゃ……」ｼﾞﾜｧ

兄「…………」

妹「おにっ、おにぃ……ちゃんっ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

妹「えぐっ……お兄ちゃん、うぁぁっ」

兄「…………」

妹「うぅぅぅ……いやだぁ、いやだよぉ」ｷﾞｭｩ

兄「…………」

妹「起きてよ、目をあけて？」

兄「…………」

妹「妹、って呼んで？　頭なでて？」

兄「…………」

妹「いつもみたいに笑ってよ、お兄……ひっく……お兄ちゃん」

妹「…………」

兄「…………」

妹「…………」

兄「…………」

妹「……う、ぐっ」

妹「うぇぇええぇぇっ……っぁ……うあぁぁぁぁ」

妹「すん……ひっく」

兄「…………」

妹「おにい、ちゃん」ｷﾞｭｳ

妹「…………」

妹「くんくん……おにい、ちゃん」

兄「…………」

妹「お兄ちゃんの匂いでいっぱいだよぉ」ﾊｧﾊｧ

兄「…………」

妹「お兄たん……ちゅーするよ、いいよね、いいよね」

兄「…………」

妹「ん………ぷはっ」

兄「…………」

妹「ねぇ、お兄ちゃん……」

妹「こんなにいろいろ、しちゃってるのに」

妹「どうして目を覚ましてくれないの？」ｼﾞﾜｧ

兄「…………」

妹「やだよぉ……起きて、よっ、お兄ちゃん」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

今日は終わり

妹「私、お兄ちゃんのこと好きなんだよ？」

兄「…………」

妹「兄妹なのに変なんだよ？」

兄「…………」

妹「お兄ちゃんなんだから、妹をまともな子にしなきゃだめだよ」

兄「…………」

妹「だから目を開けて？　私は間違ってるって怒ってよ」

兄「…………」

妹「きちんと怒ってくれるまで……」ﾁｭｯ

兄「…………」

妹「んっ……何回もこうしちゃうから」ｼﾞﾜｧ

妹「もうすぐ私の誕生日終わっちゃう」

兄「…………」

妹「結局、おめでとうって言ってくれてないよ」

妹「……今年はちゃんとお祝いしてくれるって約束した……じゃん」

兄「…………」

妹「ほら、後五分しかないよっ」

妹「約束やぶ、っ……たらぁ……ゆ、許さな、いんだからねっ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兄「………………」

妹「もうずっと……このまま」

妹「いつになったら、目を覚ますの？」

兄「…………」

妹「心臓もとくとく動いてる」

兄「…………」

妹「息だって普通にできてる」

兄「…………」

妹「お兄ちゃん」

妹「お兄ちゃん」

兄「…………」

妹「お兄ちゃん……お兄ちゃん、お兄ちゃん」

兄「…………」

妹「私をっ、一人にしないでよっ！　お兄ちゃん！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

妹「目を覚ましてよ！」ﾎﾟｶﾎﾟｶ

兄「…………」

妹「ねぇ、ねぇっ！」ﾎﾟｶ、ﾎﾟｶ

妹「お願いだよぉ、ねぇ……」ﾎﾟｶｯ

兄「…………」

妹「…………」

兄「…………」

妹「……あったかい、お兄ちゃん」ｷﾞｭｩ

妹「あれ……寝ちゃってた、の？」

兄「…………」

妹「お兄ちゃんがあったかくて気持ちよかったからかな」

妹「……やっぱり、落ち着くなぁ」ｷﾞｭ

兄「…………」

妹「お兄ちゃん……」ﾁｭ

妹「…………」ﾁｭ

兄「…………」

妹「…………」ﾁｭｯ ﾁｭ

兄「…………」

妹「大好き、お兄ちゃん」









兄「…………」ﾋﾟｸｯ

妹「さて……」

兄「…………」

妹「学校……いってくるね」

妹「何日も休んじゃったから、いろいろ大変だ」

兄「…………」

妹「……いってきますの、ん」ﾁｭｯ

兄「…………」

妹「キス……いってきます！」



兄「……けほっ」

妹「ただいま」

兄「…………」

妹「んー……」

兄「…………」

妹「はぁ……」

妹「おにーちゃん」ﾁｭｯ

兄「…………」

妹「らいすきぃ……」ﾁｭ

兄「…………」ﾋﾞｸ

妹「っ!?」

妹「お兄ちゃん!?」

兄「……ｳﾄ」

妹「う……そっ」

兄「……ｲﾓ……ｳﾄ」

妹「お兄ちゃん！　お兄ちゃんっ！」ｶﾞｼｯ

兄「かふっ」

妹「よかった、よかったよぉ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兄「――っ!!」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

妹「大好きだよ、お兄ちゃん！　もう絶対離さないもん！」

兄「妹っ……」

妹「な、なに？」

兄「苦し……い」ｶﾌｯ

妹「ご、ごめっ」

妹「えっと」

兄「なに？」

妹「おはよう、お兄ちゃん」

兄「おはよう、妹」ﾆｺ

妹「う、ぁ……」ｼﾞﾜｯ

妹「うぇぇぇええぇぇん、うわぁぁぁあああぁぁん」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兄「ちょっ!?」

妹「おに、いちゃんがぁ……また笑ってくれたぁ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

妹「よかったよぉ……うれしいよぉ」

妹「お兄ちゃん、大好きだよぉ」

兄「あー、えっと……そのことなんだけど」

兄「俺のこと好きって……」

妹「うん、大好き」

妹「やさしくって、かっこよくって、ニコって笑うとドキドキするような雰囲気があって、いい匂いで」

兄「」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

妹「それで……って、お兄ちゃん？」

兄「」

兄「はっ！」

妹「大丈夫？　まだ具合悪いとこある？」

兄「いや……それより」

妹「？」

兄「さっき、その、ち、ちゅ……口づけ……を」

妹「ぁ……」ｶｧ

妹「え、えっと……それはねっ」

妹「泣きながら抱きついたお兄ちゃんがいい匂いで……」ｱﾜｱﾜ

妹「不安になったときとか何度もしちゃったけど」

兄「えっ、さっきの初めてじゃないの？」

妹「あっ……」ﾎﾞｯ

妹「あうぅ……」

妹「えっと、その」

兄「あー、うー」

妹「ほ、ほら、愛する人のキスで目を覚ました、ってことで」

妹「あは、あははは」

お兄ちゃんはそれから退院して

いつも通りの生活に戻ることができた


いろいろ検査をした結果、後遺症などは何もなかったらしい

よかった、本当によかった

兄「さてと……」

兄「いってきまーす」

妹「あ！　まってお兄ちゃん！」

兄「なに？」

妹「車とか気をつけてね？　自転車に不具合とかないよね！　もう絶対事故おこしちゃだめだよ？」

兄「心配し過ぎだって」

妹「でも……でもっ」

兄「大丈夫、もう妹を一人にはしないから」

妹「絶対だよ？　約束だよ？」

兄「あぁ、いってきます」

妹「いってらっしゃい」

妹「あ！　まってお兄ちゃん」

兄「今度はなんだよ」

妹「えへへ、いってらっしゃいの」

　チュッ

妹「キス……ね？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　完