クーデレメイド「……夏休みの宿題が終わりません」 (84)

8月31日

近所でも有名なお屋敷

坊ちゃん「んー」セノビ

坊ちゃん「さすがに疲れたなぁー」コキコキ

坊ちゃん「勉強はそこそこにして、一休みでもしますか」

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 今日は夏休み最終日。

 僕の通う学校はあまり、勉強のレベルは高いとは言えないけどいい仲間もたくさんいる。

 みんなは宿題に終われているだろうけど、僕は違う!

 初日に全て終わらせたのだ!

 次期当主で期待されているんだ。これくらいのことはしっかりしないと。


 今は勉強をしていたところ。最近のマイブームは数学!

 長く続けていると頭がふっとうしちゃう!

 その合間に一休みでもしますかね。


坊ちゃん「メイドさんの入れてくれた紅茶……」ウットリ

 独り言を言う。

坊ちゃん「これで、優雅なひとときを過ごすのもマイブームの一つだ」

坊ちゃん「いただきます」

 コクコク。

坊ちゃん「うん! やっぱりおいしい!」


坊ちゃん「メイドさんは何をやらせても、うまくこなすなぁ」

 紅茶の透き通った水面を眺める。

坊ちゃん「ちゃんと砂糖を忘れていないところも、高ポイントだ!」

坊ちゃん「砂糖入り紅茶……。それは現代の豊かさの象徴なんだ」

 誰が聞いている訳でもないが解説をする。


坊ちゃん「ふぅー」

 椅子に深く腰かけて、斜めの窓に視線をやる。

坊ちゃん「いい天気だ」ホノボノ

 窓から見えるのは中庭一帯の景色。

坊ちゃん「中央にそびえ立つ巨木。風流でいい……」

坊ちゃん「ところでぇ……」


メイドさん「……」カキカキ

坊ちゃん「……」ジー

メイドさん「……うぅん。内角?」カリカリ

坊ちゃん「……」ジィ

メイドさん「……むぅ。外角」ガリガリ

坊ちゃん「……メイドさん?」チョット

メイドさん「……三角形の内角の和……」??

坊ちゃん「メイドさんっ!」オィッ!

メイド「……! あ、はい。何でございましょうか? 坊ちゃん」


 メイドさんは正座している。

 この無駄に広い僕の部屋の中央にふてぶてしく座っている。

 みかんが入っていたはずの段ボール箱を置いている。

 どうやらそれを机代わりにしているらしい。

 その上にはノートとペンを用意している。

 何してんの?


坊ちゃん「メイドさぁん……」

メイドさん「……はい、何でしょう」ガリガリ

坊ちゃん「何をしているのです?」キョトン


メイドさん「夏期の宿題でございます」ドンッ!


坊ちゃん「はい?」


坊ちゃん「宿題って……」ズーン

メイドさん「メイド及び使用人たちの長である、お母様からいただきました」スラスラ

坊ちゃん「はぁ」

メイドさん「恥ずかしながら、私には学がないものでありまして」ケシケシ

坊ちゃん「はぃはぃ」ドウゾツヅケテ

メイドさん「高校には通わなかったのであります」ウーン


メイドさん「メイド長からは、『お前の字は汚くて読めない。』……と」

坊ちゃん「……」ウンウンソレデ?

メイドさん「『誤字脱字も多すぎる』」

坊ちゃん「……」ヘェ

メイドさん「おまけに、私(わたくし)が毎日出すことになっている報告書ですが、『計算も間違いだらけ』などと申されておりました」

坊ちゃん「……」


メイドさん「そこで、このようなものを私にお買いになりました」

 ジャジャーン!

『漢字・計算ドリル・四年生用』

メイドさん「提出の期限は明日。それまでに終わらせなければならないのです」

メイドさん「実はさっぱりわからないところでして」

坊ちゃん「……」


坊ちゃん「……」

メイドさん「ご理解いただけたでしょうか?」

坊ちゃん「……」

メイドさん「……坊ちゃん」

坊ちゃん「……」

メイドさん「……」

坊ちゃん「……え?」

メイドさん「……はい?」




 『……他でやれよ!!!!』ドドンッ!




坊ちゃん「なんで、自分の坊ちゃんの部屋で宿題をするんだ!」

メイドさん「何をおっしゃいますか」

坊ちゃん「なに?」

メイドさん「この部屋は私の自室でもございますよ?」

坊ちゃん「あ!」ソウイエバ


メイドさん「お忘れになられたのですか?」チョットショック

坊ちゃん「いいや、そういうわけでは……」

メイドさん「毎晩、共に夜を過ごしているではありませんか」ケラケラ

坊ちゃん「おいっ! そういう言い方をするな! 誤解されるでしょ!」

 確かに、メイドさんの言う通りだ。

 僕たちは同じ部屋を使っている。理由は割愛する。

メイドさん「もしかして、お邪魔でしょうか? 気にさわったのであれば失礼いたします」ウツムキ

坊ちゃん「いや、もういいよ。ここにいても」

メイドさん「ありがとうございます。坊ちゃんのお側にいられて嬉しい限りでございます」

坊ちゃん「ふんっ//」


 ところで、軽く見逃していたが、この問題集。

 小学四年生!?

坊ちゃん「メイドさん!」

メイドさん「はい。坊ちゃん」

坊ちゃん「女性にこれを訪ねるのは、いささか配慮に欠けるのと、もちろん自負しているのですが……」

メイドさん「どうぞ、何でもおっしゃってくださいませ」

坊ちゃん「メイドさん、あなた歳いくつ?」

メイドさん「……」

坊ちゃん「……」



メイドさん「今年で27となりました」ドン!



坊ちゃん「もう、いいや勝手にしてください」

メイドさん「わかりました」

坊ちゃん「本棚は自由に使ってもらってもかまいません。辞書から参考書まで揃っていますから」

メイドさん「助かります」

 しばらく放っておこう。

 呆れてものも言えない。


 メイドさんの勉強を邪魔しちゃ悪いので僕はどこかにでも行きますかね。

 どこがいいだろう?

 そうだ、最近勉強が忙しくて使用人さんたちに挨拶をしていない!

 みんなうちで頑張ってくれているんだ!

 たまに顔を出さないとばちが当たるってもんだ。

 まずは調理室に行ってコックさんにも声、掛けてみるかな?


  お屋敷・厨房ですよ

坊ちゃん「料理長ー!」

コックさん「ん? あれは坊ちゃんの声」

坊ちゃん「料理長、何やってんの?」

コックさん「……お言葉ですが」

坊ちゃん「!」ヤベェシマッタ

コックさん「歳上に対する口の聞き方ではありませんねぇ? 紳士たるもの気遣いは大切にしてください? それと……」ゴゴゴ

坊ちゃん「あわわ」ヒイイッッ!!



 コックさん「料理長……さんだ!」ドン!



坊ちゃん「ごめんなさぁい!」


坊ちゃん「あぁ、凄く怖かったぁ。鳥肌がたったよ。」

坊ちゃん「そうだ、そうだ。コックさんああいう人だった」

坊ちゃん「次は誰にしよう?」ウーン

坊ちゃん「そうだ! ここから近いし庭に行って庭師さんに声を描けよう!」


  お屋敷・裏庭

坊ちゃん「大丈夫、大丈夫。庭師さんは起こったりするようなタイプじゃない」クサバノカゲカラコッソリノゾク

庭師さん「~♪」チョキチョキ

坊ちゃん「ぷっ! 鼻唄なんか歌っちゃって。それにしても背が高いなぁ。体格も凄いし筋肉がやばい。もしかしてメイドさんよりも背、高かったりするかなぁ?」

  ※メイドさんの身長は173cmです

坊ちゃん「それにしても……」

庭師さん「ア! ボッチャン。ナニカゴヨウデスカ?」

坊ちゃん「ぶううっっ! 声たけぇ!」ウッヒャッヒャッヒャッヒャ


庭師さん「ボ! ボッチャン!?」

坊ちゃん「あははははは! 似合わない~~!」

庭師さん「…………」ピキピキ

坊ちゃん「その体格でその声、わはははっ!」

庭師さん「ボッチャン!!!」クラアァ!

坊ちゃん「あははは! ごめんなさ~い!」


 あ、あれは!

専属運転手「おや? これは坊ちゃんではなイ~~ンですか? 何か御用でもおありですかイ~~ン!」ズシズシ

坊ちゃん「いや、ちょっと家を探検していまして……」

 コックさんよりもさらに巨漢!

 体重100kg越えの運転手さん!

 あなたのせいでリムジンの燃費がかさんでいるのですよ?

専属運転手「坊ちゃんに出会えるとはいイ~~ンこともあるものですね!」

 喋り方が独特なのはなぜだろう?


執事兼食品管理室担当「おや? 若さまではGOざいませんか? のG!」

坊ちゃん「あ、執事さん!」

 すでに定年を迎えながら衰えを感じさせない働きっぷり。

 メイドさんはこの人に、スポーツを教わっていたそうだ。

執事兼食品管理室担当「それでは、GAんばってください。……のG!!」

 この人も大概だ。


専属画家さん「オッホッホッ! モデルは動かないでいただけますか? ……ざます」

旦那様の美人秘書「え? あ、はい! わかりましたっ!」

 なにやら二人で絵を描いているようだ。

専属画家さん「素晴らしい絵が描けそうざます! このモデルができるのは世界ひろしといえどあなただけざます!」オッホッホッホ

 専属の画家さん。
 金持ちは自分の自画像を描かせるのが当たり前なんだって。
 たまにやってきては、お金もとらずに適当に誰か描いている。
 あまり好きじゃない。おばさんだし。

旦那様の美人秘書「え? 私だけ? 私が必要なの?」キュン!

専属画家さん「えぇ、その通りざます! あなたが必要ざますのよ!」

旦那様の美人秘書「私、必要とされてる!」キューン!

 この人はパパの秘書だ。
 頼まれたら断れない性格らしくて、借金がとんでもないことになっているらしい。
 そこをパパに拾われたのだ。

専属画家さん「(オッホッホッ、ちょろいざます!)」


使用人「おぉ! 坊ちゃんだすやん!」

 うーん。

弟「あぁー! 兄様ー? きゃーいたいた! 探したのよー?」

 どうしてだろう。

姪「あぁ坊ちゃんだ! 汚い、○んで?」

 なぜなのか?

御主人様「他ならない、お前の頼みだ! そこまで言うなら任せておけ!」

 なんでなんだろうなぁ?

 どうも、うちの人間はキャラが濃い。

 おまけに、実に何かと似ている。

 なんだっけなぁ?

 一端、間を空けます。
 どうですか?
 こんな感じで、ほのぼのと続きますが初心者ですのでよろしくお願いします。
 もし、アレだったらアレしてください。


 さて、お遊びも済んだことだし、そろそろ自分の部屋に戻ろうかな。

 お屋敷・裏庭から一階渡り廊下へ

坊ちゃん「へんな人ばっかりだよなぁ? もしかしてどこかの海賊団に似ている?」スタスタ

坊ちゃん「変わりものばかりだけど、足りない人もいるかもしれない……」スタスタ

 スタスタスタスタ.

坊ちゃん「うぅ……、何でこの屋敷は無駄に広いのだろう?」スタスタ

坊ちゃん「廊下も凄い長いし……。住む人のこと考えてないよ」

坊ちゃん「壁には悪趣味な絵画がこちらを睨んでいる」

坊ちゃん「……! うわあぁ、気持ち悪いつぼが自慢気に並んでるぅ」

坊ちゃん「何で、金額が記されてあるのだろう? 品格の欠片もない……」スタスタ

 お! あれはメイド長!

 メイドさんの部屋に入っていく?


 屋敷・坊ちゃんの部屋の前

メイド長「~~!」クラァ!

メイドさん「~~!」スミマセン

メイド長「~~」オィッ!

メイドさん「~~」ゴメンナサイ


 一体、中で何が起こっているのだろう?

 メイドさん、また何かやらかしたな?

 いつも、叱られている。


 ギイィッッ.

 あ、出てきた。

メイド長「まったく! どうしようもないメイドだな」ブツブツ

メイド長「あ! 坊ちゃん。これはこれは、お疲れ様です」

坊ちゃん「はい、どうも」


 坊ちゃんの部屋

坊ちゃん「入りまぁす、メイドさんはかどっていますかぁ?」

メイドさん「……ぃぇ」ズーン

 あぁ、こってり絞られたな?

坊ちゃん「何で怒られたの?」

メイドさん「……お聞きになられますか?」

坊ちゃん「……いゃ、やめときます。野暮ですし」

メイドさん「……そうですか。かしこまりました」

坊ちゃん「……あぁ、そうしてください」

メイドさん「…………」

坊ちゃん「…………」



メイドさん「……実は、答えを丸写しにしていたのをお母様にばれたのでありました」



坊ちゃん「結局、言うのかよ!」


坊ちゃん「そら、仕方ありませんよ?」

メイドさん「……はぃ」

坊ちゃん「カンニングはあまり、よろしくないなぁ」

メイドさん「……仰る通りでございます」

坊ちゃん「まぁ、説教はいいよ。どこまで済みました? 僕に見せてください」

メイドさん「……坊ちゃん!」


メイドさん「これくらいでございます」

 ハイッ!

坊ちゃん「……はぁ、案の定全然進んでいないなぁ」

メイドさん「……」

坊ちゃん「一緒にやりますか?」

メイドさん「お願いいたします」



坊ちゃん「さて、どれどれ? 小四の問題かぁ……」

メイドさん「ご覧ください」

メイドさん「ここが分からないのです」


p34 六章 計算の順序 問3 (2)

 (7×7-39)-5

坊ちゃん「なるほどねぇ」

メイドさん「さっぱりでございまして」

 (7×7-39)-5

坊ちゃん「まずはやってみてください」

メイドさん「はい」

 (7×7-39)-5  = (49-39)-5

坊ちゃん「お! できていますよ?」

メイドさん「ありがとうございます」

 (49-39)-5 = 10-5

坊ちゃん「いいですねぇ!」

メイドさん「はい!」

 10-5 = 5

坊ちゃん「なんだ! できるじゃないですか」

メイドさん「あれ? 何ででしょう? さきまで出来ていなかったのですが」


 それから、時間はかかったもののメイドさんはちゃんと最後まで宿題を終わらせた。

 僕が教えることはほとんどなかったけど。


メイド長「うぅむ、まぁ上出来でしょう!」

メイドさん「ありがとうございます」

メイド長「これからも頑張りなさい?」

メイドさん「……はい」


  第二話・メイドさんという人間

坊ちゃん「そういえば……」

坊ちゃん「メイドさんと出会ってしばらくたつなぁ」

坊ちゃん「いつも側にいるけど改めて考えるとどんな人がいまだに掴めない……」

坊ちゃん「いい機会だ。ちょっとメイドさんを意識して見てみることにしよう!」


坊ちゃん「うぅん」

 メイドさん、最大の特徴と言えばやはり、何と言ってもこれだろう。

メイドさん「坊ちゃん! 坊ちゃん!」

坊ちゃん「はいはいはいはい、どうしました?」

メイドさん「私、大変なものを手に入れてしまったようです」


坊ちゃん「いったい、なんですか?」

メイドさん「こちらです!」


  『二千円札』 ババーン!


坊ちゃん「はぁ、別に珍しくとも何ともないですけど」

メイドさん「驚くのはまだ、早いですよ!」

メイドさん「何とこの二千円……、印刷が逆になっているのです!」

坊ちゃん「は?」


メイドさん「この二千円札は、表裏が反対で製造されてしまつまたのです!」カンゲキィ!

坊ちゃん「……と、言うと?」

メイドさん「はい、表の印刷が裏に、裏が表になって存在しているのです」

坊ちゃん「それ、どうして手に入れたのです?」

メイドさん「……確か、インチョキ堂という骨董品で勧められました」

坊ちゃん「もしかして、近くに眉毛の繋がった警官がいませんでした?」

メイドさん「そういえば……見るからにがらの悪い不良警官でしたねぇ。一体、なんだったのでしょうか?」



坊ちゃん「騙されてるよ!」



メイドさん「え?」

 メイドさんの特徴①「底無しのバカ」


坊ちゃん「よぃしょ! うぅん、届かない」

 手を伸ばしても届かない、本棚のてっぺん。

坊ちゃん「えぃっ!」

 ジャンプしても無理だ。

 どうしても必要だってのに。

メイドさん「失礼いたします」

 メイドさんがやって来た。ノックもしないで。

メイドさん「いかがなせれましたか?」

坊ちゃん「メイドさぁん! 本棚の上段の方がら届かないよぉ~!」

メイドさん「お任せください。私の手にかかれば……」

坊ちゃん「さすがメイドさん!」

 やっぱり凄いなぁ! メイドさんは173cmもあるんだ。困ったときはメイドさん、だな!

 ちなみに僕と言えば……。

 ※坊ちゃんの身長は大体150くらいです。


メイドさんうお体、失礼します」ヨイショ

坊ちゃん「え!?」

 メイドさんは、僕を抱き上げる。まるで乳飲み子のように。

メイドさん「それでは」

坊ちゃん「……うぅ//」

 抱えあげて、上の方へ導く。

坊ちゃん「ほいさ!」

 本棚の奥にある、辞書を手に取る。

メイドさん「……はい」サッ

 僕が目的を果たしたのを確認してからゆっくりと丁寧に下ろしてくれた。

坊ちゃん「もぅ! メイドさんが取ってくれればよかったでしょ!」

メイドさん「そうだったのですか? てっきり、自らの手で達成したかったのかと……」

坊ちゃん「そんなに拘りはありません!」

メイドさん「そうでしたか……申し訳ございません」

坊ちゃん「……ぃぃよぉ」



坊ちゃん「…………ぁりがと」


 メイドさんの特徴②大きい


 am7:05

坊ちゃん「くかあぁーっ」zzz

 いびきをかく坊ちゃん。(メイドさん視点)

 かわいらしく寝ている。

 あぁ、かゎいぃ、かゎいぃ、かゎいぃ。

坊ちゃん「むにゅぅ……」zzz

 抱き締めてもよろしいでしょうか?

メイドさん「なんて、バカやっている場合ではありませんわ」

坊ちゃん「こぉぉーっ」zz

メイドさん「起きてくださいませ、坊ちゃん」

 私はカーテンを開けて、日の光を室内に誘います。

坊ちゃん「んん……ぉはよぅ。メイドさん」ムニャムニャ


坊ちゃん「ふゎぁー」アクビ

 坊ちゃんは背伸びする。かわいい。

メイドさん「朝食の準備が整っております。後支度を……」

坊ちゃん「はぁい……。おはようメイドさん」ニコリ

 ! ……かわいい。

メイドさん「……それではお待ちしております
!」

坊ちゃん「あぁ、メイドさんもう、出ていってしまいました。世話しないなぁ」


坊ちゃん「あの人、いつも同じ格好だけど他に服、持ってなかったりして……」



 am7:50

 リムジンカーにて

イドさん「到着いたしました……」

坊ちゃん「あぁ! もう学校ですか、早いですねぇ!」

メイドさん「ただいま、扉をお開けします」

 ウイーン.
 助手席のドアが開く。自動だ。

 がらがらとリムジンを降りる。

坊ちゃん「じゃあね! メイドさん。放課後待っています!」バイバーイ

メイドさん「お待ちくださいませ」

坊ちゃん「えぇ、どうしたのですか?」

メイドさん「髪型が崩れています。今、直します」ヒョイヒョイ

坊ちゃん「ちょっと、メイドさん! 校門前じゃ目立つよぉ//」

メイドさん「お気になさらず、はいできました。」

坊ちゃん「僕が気になるのです! それじゃあね!」ビューン

 メイドさんは恥を知らないのだ。


 pm8:45

 お屋敷・自室

坊ちゃん「ふゎあぁ・・・」アクビ

メイドさん「そろそろ、就寝のお時間ですわ」

坊ちゃん「そうだね、メイドさん」ウトウト

メイドさん「ベッドメイキングは済ませております。ごゆっくり御就寝くださいませ」

坊ちゃん「それはメイドさんもでしょう? ねまきに着替えなくていいのですか?」

メイドさん「私はすでにパジャマでございます」

坊ちゃん「そ、そうなの? どうみてもメイド服だけど……」

メイドさん「特製のメイド服は万能なのでございます」

坊ちゃん「(やっぱり変わってるなぁ、メイドさんは……)」



坊ちゃん「お休みなさい!」
メイドさん「お休みなさいませ、坊ちゃん」



 メイドさんはいつも、メイド服を着ている。

 初めて会った時から、一度もそれ以外を見たことがない。

 偶然だとは思いにくい。

 何か拘りでもあるのでしょうか?

 白と黒だけの落ち着いた色合い。

 地につきそうなくらい、長いスカート。

 小さいリボン。カチューシャ。手袋。

 以前、冬に二人でスキーとスノーボードをしに行った。
 吹き荒れる吹雪の中でやはりメイド服だった。
 まわりの視線は必然的に集まる。
 スポーツ用に体を動かしやすい設計になっているんだって。
 それでもだよ。

 夏には海に行ったこともある。
 あのくそ暑い中、やはりメイド服だった。
 しまいにはそのまま海水浴を楽しみ始めた。
 どうかしている。

 どうしてだろう……。


 さて、もうひとつ何か大きな特徴があったはずだ……。

 なんだっけ?

  お屋敷・裏庭

メイドさん「うんしょ」ベコッ

メイドさん「ふんっ」ボコッ

坊ちゃん「あ、メイドさん! 裏庭で何をしているんですか?」

メイドさん「ごみの分別をしていましたっ!」フンッ!

坊ちゃん「分別?」

メイドさん「はい、アルミ缶を……潰していたのですっ!」ベコッ!

坊ちゃん「ふぅん」

 目の前には大量の空き缶かあって。
 隣には二つのポリ袋がある。
 一つには「アルミ」。
 もう一つには「スチール」と、汚い字で書かれている。

坊ちゃん「でも、スチール缶の袋には全然入っていないみたいですね」

メイドさん「そのようです。……お母様に尋ねたところ、缶の見分け方は、手で潰せる方がアルミ缶と言われました」

メイドさん「しかし、今のところ全てアルミしかないようです」

坊ちゃん「え?」

 これ、もしかして……。


 学校帰り

坊ちゃん「あぁ、疲れだぁ」テクテク

 今日はメイドさんのお迎えがない。

坊ちゃん「僕は人一倍体力がないっていうのにぃ」テクテク

 重たい足を引きずる。


坊ちゃん「うぅ、重いぃ」テクテク

 ロッカーの鍵をなくしたので勉強道具を毎日持ち帰らなければならない。
 すごく重い。

坊ちゃん「だいたい、道も定かじゃないのに」

坊ちゃん「ここから、どうやって帰るんだろう……」

  住宅街


  住宅街・裏道

坊ちゃん「あれ? このへんなら分かるかも」

坊ちゃん「確か屋敷の側まで抜けられるんだ」

 そういえば、メイドさんが言っていた気がする。

 『人通りの少ないところは危険でございます』

坊ちゃん「まぁ、大丈夫でしょ!」


 ざっ。

坊ちゃん「(うゎ、ギャングだぁ。怖っ! 目を会わせないようにしないとぉ)」ブルブル

 スタスタ.

坊ちゃん「(絡まれませんように……)」ブルブル

ギャング「ぅおい?」

坊ちゃん「(ひいいぃぃっっ!)」


ギャング「こいつ、例の金持ちんとこの坊ちゃんじゃねぇかぁ!」

坊ちゃん「あわわわぁ」

 大パニック。

ギャング「おうおぅ、ここで会えるとは実に運がいい! てめえんとこの主人にはうらみがあるんでなぁ……」

 ギャングは二人組だ。

ギャングB「やっぱり、あいつの家は変わり者だらけなのは本当らしいなぁ……」

坊ちゃん「(どうしよう、どうしよう)」

ギャングB「まさか、坊ちゃんが女装趣味があるなんてなぁ!」

坊ちゃん「へ?」


ギャング「本当に俺たちは運がいい。特に、こいつが一人きりでいるというのが!」

ギャングB「どうしますかい? 兄貴ぃ! この変態女装野郎をさらって売り飛ばしやすかぃ?」

坊ちゃん「べ、べつに僕はっ! 女の子の格好をしているわけではっ!」グルグル

 変な風に誤解されている。

 ※坊ちゃんは150 cm程度です。

ギャングB「待ってください、兄貴ぃ! 売り飛ばす前にこいつと遊んでからでもいいですかい?」

ギャング「てめぇ、まじか! まぁ、傷つかない程度になら好きにしろい」

坊ちゃん「ええぇぇぇぇ!!??」

 僕、男ですけど?

 ※坊ちゃんは童顔です。

ギャング「こらぁ、暴れるんじゃねぇ!」

ギャングB「おとなしくしろやい! 変態坊主がぁ!」

坊ちゃん「ぎいいぃぃやああぁぁ!!」

 必死で暴れる。貧弱な僕。

 ※坊ちゃんはショタ+男の娘です




坊ちゃん「メイドざあぁぁん! だずげでええぇぇ!!」




 シュバッ.


ギャング「おい! どうした、てめぇ!!」

 ギャングの一人が横に倒れている。

ギャング「誰だっ!?」

 僕の腕を掴んでいるのは、ギャングじゃない。

 エプロンドレスを身にまとった、きれいな女性だ。

 …………メイドさん?


メイドさん「もぅ、ご安心を!」

ギャング「お、おまえ! あそこのメイドじゃねえか! なぜここに!?」

メイドさん「…………それは」


 手にナイフを持つギャング。
 もう片方にはスタンガン。
 これに生身の人間が挑むなんて無茶だ!

メイドさん「坊ちゃん……少し離れていてくださいま、危険です」

坊ちゃん「は、はい!?」

 急いで遠くに行く。


メイドさん「━━西欧武術━━━」



ギャング「くそおおぉぉ!!」


メイドさん「━━冥土拳・牧新門・初段技━━」


 拳を力強く握り締め、次の行動の準備をする。





  『フローグ・マグナム』!!!!




ギャング「ぐ、ぐあぁぁ!!」


 ただのカエルパンチとは思えないほどに威力がある。

 ギャングは思いきり後ろに吹っ飛ばされた。


 ドガッ!


 地面に叩きつけられ鈍い音が響く。


 メイドさんは、手袋をはめなおして……。




『どうして、私がここにいるのかですって? …………それは、私が坊ちゃんのメイド兼ボディーガードだからでございます』ドン!



 一旦、間をあけます。
 と言っても誰も見ていないですか?

 今後の展開は自分が好きなようにやっていきたいですが、つまらないのであれば何か助言ください。

 基本はでこぼこコンビの二人の日常。
 書きたい話はたくさんあります。

 エロの展開はあった方がいいですか?


坊ちゃん「め、めいどさああぁぁん!!」

メイドさん「坊ちゃん、お怪我は?」

坊ちゃん「うぅ、ぐすっ。大丈夫ですぅ。」

坊ちゃん「メイドさんのおかげで助かりましたぁ!」ヒック

メイドさん「それはよかった!」


 メイドさんは僕を強く抱き締めてくれた。
 メイド服がひんやり冷たい。


坊ちゃん「め、めいどしゃん!? いきなり……ハグなんてぇ……// ぁぅ……」

メイドさん「申し訳ございません。私としたことが」

坊ちゃん「それはもういいけどメイドさん、胸が//」カァァ

メイドさん「むね?」

 メイドさんの胸があ、あたって……あたって……。

 …………当たって……ない?

 ※メイドさんは貧乳です


メイドさん「それでは、帰りましょうか」

坊ちゃん「……はいっ!」

 なんだかんだでメイドさんに助けられていることが多いなぁ。

 メイドさんの特徴⑤「強い(未知数)」


 第三話・メイドさんとウエディングドレス

 今日は日曜。

 僕とメイドさんは、特に予定もないのでそれぞれ自由に過ごしていた。

メイドさん「…………」フムフム

 メイドさんは漫画を読んでいる。

 断りもなしに僕の本棚から、適当に選んで、ベッドに背中をあてて、読みふけっている。

メイドさん「…………マッハ?」

 さっきから独り言が気になるなぁ。

メイドさん「…………触手?」

 メイドさんいわく、自分はバカなので言葉をリピートしながらでないと内容が理解できないそうだ。

メイドさん「…………対先生」

 いったい、どんな漫画読んでいるんだろう。


 漫画の内容に興奮していることは分かる。

 だけど、表情が少ない。

 多分だけど僕以外は変化に気づかなかっただろう。

 相変わらずポーカーフェイスだ。

 基本、何があっても笑わない。

 効果音があったとしてもそれはフェイクだ。

 アルトで、丁寧な言葉使い。(間違いも多いけど)

 平坦な口調。

 本当にクールな性格だと思う。


 メイドさんの言うことにゃ、それはパフォーマンスのクオリティを下げないためだそうだ。

 いつも自分の心を保っていられるよう、自分を戒めているんだって。多分、嘘だ。


 そんな、メイドさんは稽古に対しては超ストイックだ。

メイドさん「ふっ! ふっ!」ワンツー!

 窓からの景色でメイドさんが見えた。

 見えない敵に向かってパンチを当てている。
 これは毎日やっていることだ。

 何でも、自分の所持している冥土拳は、今ではこの世で二人しか使える者がいないらしい。
 それを受け継ぐために毎日、技を磨いているんだって。
 嘘くさいなぁ、本当かなぁ?


メイドさん「はあっ! やあっ!」アチョーウ!

 今度は蹴り技だ。

 迫力は凄い。


 ちょっと前に偶然が重なって、メイドさんの肌を直接見たことがある。

 血管の浮き出た。手の甲。

 膨れ上がった、腕。

 筋肉が凄まじかった。

 普段の姿からはその肉体は想像できない。

 多分、着痩せするタイプなのだろう。


 さらに……。

 ちらっと見てしまったのだが……。

 これは、おそらく僕だけが知っている。



 メイドさんは腹筋がやばい!




 そんな女性らしさが皆無に等しいメイドさんと、女々しくて女々しくてつらい僕。

メイドさん「……」

坊ちゃん「……」

 二人の時間に会話はわりと少ない。

メイドさん「……」

坊ちゃん「……」


メイドさん「……」

坊ちゃん「て」

 80は誤送信です。


メイドさん「……」

坊ちゃん「……」

 バタァン!

メイド長「失礼しまぁす!」

メイドさん「!」

坊ちゃん「! メイド長さん、ノックを……」

 いきなり入ってきた。

 あーびっくりした。

メイド長「二人とも、急いで出掛ける準備をしてください!」

坊ちゃん「え?」


メイド長「結婚披露宴にお呼ばれいたしました」

メイドさん「披露宴……」
坊ちゃん「披露宴!?」

メイド長「えぇ、結婚式ではなく披露宴の方です」

坊ちゃん「今から?」

メイド長「はい」

坊ちゃん「……急すぎるよ」

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