書き溜めあり。 ただの さちりん
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テレ東内、楽屋にて
幸子「ふぅ……今日もボクはカワイかったですよね! プロデューサーさん!」
輿水のP「そうだな、今日も幸子はよく頑張ってたと思うぞ。来週はスカイダイビングだからな、覚悟しておけよ」
幸子「え、また、またそんなことを! ボクは芸人さんじゃないんですが!」
輿水のP「まあ、ほら、視聴者が楽しみにしてるぞ、幸子のカワイイ姿」
幸子「む、むう、わ、わかりました……」
輿水のP「わかってくれてありがとうな、じゃあちょっとこっちは出てくるから、ちっとまててな」
幸子「はーい、ちゃんと帰ってきてくださいよ」
輿水のP「わかってるって、じゃ」
ばたむ……
コンコン
幸子「はい?」
凛「渋谷凛です。ここ、『クイズはんぺんスペシャル』であってますか?」
幸子「あ、はい、どうやらこのあとからそうみたいですけど」
凛「あ、そうなんだ。じゃあ待たせてもらうわね」
幸子(……間が持たない)
幸子「しぶりーん」
凛「はい」
幸子「ま、まあ、ボクよりはカワイく無いですけどカワイイですね!」
凛「幸子ちゃん……」
幸子「なんですか?」
凛「顔引きつってるよ?」
幸子「なっ……そんなことありませんよ! ボクよりおっきいとか、運動神経よさそうだなとか思って引きつったりしてませんから!」
凛「ふふっ……そうね」
幸子「な、なんですかその余裕そうな顔!」
凛「いや、可愛いなと思って。この前もバンジージャンプしてたよね?」
幸子「な、あ、え? 当然です! ボクはカワイイですから! しかし……あれは酷いものですよね。引き分けだなんて」
凛「まあ、うちのCandyIslandも頑張ってたし、痛み分けってことで良かったんじゃない?」
幸子「あの杏って子ですよ……原因は……で、でも、まあ、そうですよね! ボクはカワイイのでもう、許してあげます!」
凛「ふふっ、偉いのね。幸子ちゃん」 ナデナデ
幸子「そんなに褒めないでください、ってか、ちっちゃいと思って撫でないでくださいよ!」
凛「年も一つしか変わらないのにね・・・・・ねぇ」
幸子「うぐっ……。小さくたってボクはカワイイので関係ないですけどねー」
凛「うん 可愛い! 可愛い!」 ギュー
幸子「あー/// もう…… 渋谷さんもボクの次くらいにカワイイです! 保証してあげてもいいですよ」
凛「そう? 嬉しい、有難う」
幸子「ふふーん♪」
凛「幸子ちゃんは…… アイドルって楽しい?」
幸子「な、なんでそんな真面目な話いきなり振ってくるんですか……まあ、楽しいですよ。というより、こんなカワイイ、ボクが見られないだなんて可哀想だなーって思ったので皆さんに見せています!」ドヤア
凛「成程……すごいね。自信満々なんだね」
幸子「当然です! トップを目指しているんですから! 渋谷さんは? スカウトされたんでしょ?」
凛「私ね、ホントは元々アイドルなんて目指してなかったの。今のプロデューサーにスカウトされて『何かが見つかるかもしれない』って思ってそれでアイドルになって……」
幸子「何か……ですか。 プロデューサーを信用しているんですね」
凛「うん、でもね。プロデューサーが一度、本当に頼りなげだった時があって、その時はプロデューサーをこれまで通り信じていいかどうか迷ってしまったの」
幸子「そ、そうなんですか?」
凛「うん、けどね、プロデューサーがね、『もう一度、見つけに行きましょう、大切なものを』って言ってくれたからもう一度踏み出そうと思えたの」
幸子「な、なるほど……ボクは正直、渋谷さんたちのプロデューサーはちらっと見るぐらいでしたので、ただちょっと怖い人かも……って思っていましたが、いい人なんですね」
凛「そうだね、いい人だと思う。ごめんなさい、良く知らない人の話を長々としてしまって」
幸子「いえいえ、ボクにもプロデューサーがいるので、そういう話は好きですよ?
ぶっちゃけ、渋谷さんってプロデューサーさんのことどう思ってるんですか?」
凛「ちょ、え。プロ? え?」
凛「ど、どうって……プロデューサーは、プロデューサーだし……えっと……」
幸子「あれ、いつもの冷静さがなくなって来てますねぇ?」
凛「そ、そんなことない……プロデューサーは私たちをプロデュースしてくれる人で、
勿論悪い感情なんてないよ でも、ほら、でも……そういう対象としてはさ……ほら、さ」
幸子「ほうほう」
凛「ほら、さ……幸子ちゃんはプロデューサーのことどう思っているわけ?」
幸子「ヴゥェ゛ェ゛…… ちょ、ボクですか? え、うーん……ほ、ボクのプロデューサーさんはいつもは
すっごい不真面目なんですね? 事務所のソファーで丸まってたりして、とっても手間がかかったりするんですよ。
寝言もうるさいし……でも、事務所に入ったばかりのボクをここまでにしてくれたのは感謝していますよ……?」
凛「感謝か……そう、私も感謝してる」
幸子「で、でしょ? ま、まさか、こんなスレたててまとめられちゃったりするような感情は無いですよ!
ttp://blog.livedoor.jp/h616r825/archives/43442880.html」
凛「ふふっ」
幸子「絶対に有り得ませんからね!」
凛「そうか……そういう風にとらえておくね」
幸子「は、はい、っていうか、ぼくだけ暴露分が多い気がします!」
凛「気のせいと言うか、幸子ちゃんが自分から色々喋っている様な気がするよ」
幸子「な……な」
凛「言わずにはいられないんだね、可愛い」
幸子「そ、そういえば、そちらのプロデューサーさんは他にどんな子と友好的ですか?
ほら、島村さんのお宅に行ったと聞きましたが」
凛「!?」
幸子「え?」
凛「あ、あれは……単に風邪のお見舞いに行っただけで…卯月とプロデューサーがそんな関係だってことは絶対認め……いや、有り得ないし……」
幸子「え、でも島村さんカワイイですよね?」
凛「うっ……確かに可愛いけど、卯月はさ……ほら、プロデューサーみたいな人、タイプじゃないみたいだしね、だから……」
幸子「ふふふ……」
凛「ど、どうしたの?」
幸子「島村さんって、ずっとアイドルに憧れていたんですよね? それはもう小さい時から、
他の練習生が辞めて行ってもあきらめなかったと聞きました」
凛「そうね……卯月はずっと追いかけてて、諦めなかった」
幸子「はい。で、頑張ってる最中、やっと見つけてくれた、いわば王子様みたいな人って……?」
凛「……!?」
幸子「誰なんでしょうね……?」
凛「そ、そんなこと……いや、あ、でも」
幸子「でも?」
凛「私の方が……」
幸子「渋谷さんの方が?」
凛「……/// うん 私の方が卯月のことを好き。それでいいでしょ?」
幸子「……じゃあ、いいってことにしてあげましよう」
凛「……良かった」
幸子「でも、女の子は皆王子様に憧れるものなんですよ」
凛「私だって女の子だし……、いや、なんでもないや」
幸子「あれ? きこえなかったなぁ……ふふふ」
凛「別に、プロデューサーのことを王子様だなんで思って無いし」
幸子「解りましたよ。そういえば本田さんは?」
凛「未央は、そんな好きとかっていうのはないんじゃないかな……?」
幸子「ふふふふ……」
凛「な、なによ、その不敵な笑みは……」
幸子「渋谷さんは、辛かった時に、励まされてうれしくなったことが有りますか?」
凛「それはもちろんあるよ。辛い時に励ましてくれるのはすごくうれしいし、心に響くと思う」
幸子「ですよね? 本田さんがシンデレラプロジェクトを辞めるぐらいに辛いことがあったと思うんですが」
凛「っ……」
幸子「どうしたんですか?」
凛「いや、そんなはずは……でも、あの時プロデューサーは……でも、未央が……」
幸子「そうです、本田さんはプロデューサーさんに対して酷い事を言ったと聞いています『帰れ』
とか。でも、それでも、プロデューサーさんは、本田さんの傷ついた心を癒して、復帰させましたよね?」
凛「そ、それは……未央がプロデューサーのことを? ……いや、それはだめ!」
幸子「なんですか? まあ、女の子は辛い時に寄り添ってくれる人の事を特別に思うんですよ」
凛「か、仮にだよ。もし仮に、未央がぷ、プロデューサーに好意を寄せていたとしてもさ、ほら、
プロデューサーの方がどう思っているかわかんないじゃん」
幸子「確かに、表情が読めませんよね」
凛「プロデューサーの目線を追ってるけどさ、未央の方ばっかり向いてるってわけじゃ無いし、
卯月のほうだって特別見てるっていう訳じゃないし……距離とかも、
そんなにあの二人に対して詰めてこないしさ、
そういうところからさ、恋愛感情なんてないってわかるからさ」
幸子「目線追っちゃうぐらい見てるんですね、プロデューサーさんのこと。でも、プロデューサーさんの好みを知らないといけませんね」
凛「へっ? い、いや、たまたま、プロデューサーと一緒にいるときにそうだったってだけで……
そうだよ! プロデューサーのタイプ次第だよ!」
幸子「そうですか、まあ、いつも一緒にいますからね。どんな人がタイプなのか
やはり、プロデューサーさはいっつも、こう、若い女の子に囲まれていると思うんですよ、
ですからオトナな女性がどうなのかなと」
凛「オトナな?……楓さんのような?」
幸子「そう、ですね……川島さんでもいいかもしれませんね」
凛「そうだね……いや、でも、プロデューサーには若い女の子の方がいいんじゃないかな?」
幸子「いつもの疲れを癒してくれる人の方がいいとは思いませんか?」
凛「む、むう……私だって疲れくらい癒せるし……」
幸子「ふふっ、こう、隣にいるだけで、空気が柔らかくなるような女性がいいんどゃないかなと。
プロデューサーさんの表情がぱっと緩むのが想像出来ますよ」
凛「く、くぅ……幸子ちゃんが思う理想の女性像はそんな感じなんだね」
幸子「そうですねー、外で気を張っているタイプだと思うので、まあ、若い女性でも?
いいかもしれませんが、素直なタイプがいいのかなーと」
凛「す、素直か……」
幸子「はい! だってプロデューサーさん、女の子の扱い得意じゃなそうでしょ?」
凛「うん、凄く苦手にしてる」
幸子「でしょ? だから、何考えているのか良く解らないとか、行動と思いが反対にする人は苦手なんじゃないかなと」
凛「べ、べっに、別に思ってることと行動がちぐはぐなったりとかしてないから、わ、私はいつも素直だよ!」
幸子「大丈夫ですよ、誰も渋谷さんのことなんて言ってませんよー」
凛「ぐっ……」
幸子「あれれ、あ、大切な人を忘れていました!」
凛「え? だれ?」
幸子「知りたいんですか?」
凛「い、いや、別に……」
幸子「そうですかー素直じゃないってそういう事なんじゃないんですか?」
凛「っ……! 幸子ちゃん、なかなかずるいやり口を使うんだね」
幸子「ふふふふ、僕は頭もいいんですよ! ちひろさんです。千川ちひろさんです」
凛「あっ……!」
幸子「同僚としていつもバックアップ、つねにプロデューサーさんのことを気遣っているオトナな女性……」
凛「た、確かに、今までの条件が……!」
幸子「ビンゴですね、結婚式はいつかなー」
凛「な、な、な……! で、でも、社内恋愛とかいけないし!」
幸子「いけないんですか? 確かに、アイドルとプロデューサーはいけないかもしれないですか……」
凛「うう、っえっと、ほら、やっぱり、他のアイドルを動揺させたりしちゃいけないじゃん?
ふ、プロデューサーとして。仮に、仮にでも、ちひろさんと結婚なんてしたら、ほら……ああ……」
幸子「そうですね、こんなに動揺しています。ふふふ」
凛「動揺してない……けど、ちひろさんはただの同僚だよ! きっと!」
幸子「きっとといえば、きっと一番長く、プロデューサーさんのそばにいますよね?
渋谷さんのレッスンの間とか、お仕事の間とか」
凛「でも、長く一緒にいるからって好き合う関係になるとは限ら無いし……」
幸子「単純接触効果ってのがあるんです」
凛「た、単純接触効果?」
幸子「ずっと目に入る物には親近感を覚えやすい。警戒心を解きやすいって話です」
凛「?」
幸子「例えば、よくCMでみる商品と、見たことが無い商品があって、
おんなじように見えても良く見る方を買っちゃうでしょ? 」
凛「うん……それは解る気がする」
幸子「簡単に言うと、見れば見る程、自然に見えちゃうんです。
ちひろさんのいる風景がプロデューサーさんにとっての自然……」
凛「……!」
幸子「無いと逆に不安んです」
凛「そ、そんなことないって!」
幸子「本当にそう思いますか?」
凛「そ、そんなこと……でも、確かに仕事中のプロデューサーの傍らにはいつもちひろさんが……」
幸子「じゃあ、サッカー部員とマネージャーが恋に落ちるっていう話、良く聴くじゃいですか。漫画とかでも王道な感じ」
凛「う、うん……」
幸子「それってなんでだと思いますか?」
凛「……いつも一緒にいるから……」
幸子「それと?」
凛「それと……何だろう……」
幸子「ふふふ。いっつも一緒にいて何か口に入れるものをあげるじゃないですか」
凛「!?」
幸子「サッカー部員の場合はスポーツドリンク。プロデューサーさんの場合は?」
凛「え……エナドリを確かに……渡してる」
幸子「そうなんです、人間も動物な面があるのでそういう物を渡されると弱いんですよ」
凛「ぐっ……」
幸子「それを摂取したときの幸福感が、それをくれた人の好印象につながるんです」
凛「そ、そんなの……ちひろさん……卑怯すぎだし……! そんなので、
プロデューサーがなびくなんてことないよ……うん、ない」
幸子「ランチョンテクニックと呼ばれて、例えばデートで食事を共にするのも同じような理由です」
凛「じゃあ、ちひろさんがいつも、ドリンクを渡すのって……そういう意図があって?」
幸子「意図があったとして……?」
凛「……私のプロデューサーに」
幸子「あと、先日警察からも助け出したみたいですね」
凛「うっ……ちひろさんが確かに迎えに行ったけど……」
幸子「そうですよね。いっつも頼られてばっかのプロデューサーさんが唯一頼る相手」
凛「確かに、ちひろさんはプロデューサーが恋愛対象として見る異性としては一番おあつらえ向きかもしれない」
幸子「ど、どうしてんですか、渋谷さん!」
凛「でも、それは、あくまでそうなのかもしれない! って言えるだけだよね?」
幸子「可能性ですね? まあ、そうです」
凛「そんな、本当かどうかわからないことで悩まされるなんて、おかしいよ、実際どうか解らないのに……」
幸子「そうですよね、じゃあ訊いてみましょうよ」
凛「えっ!?」
幸子「ね、ねぇ、好きな人とかいるの……? とかそんな感じで」
凛「そ、そんなの……恥ずかしいよ……仮に聞いたとして『好きな人は います』なんて返ってきたら……私は……」
幸子「誰よ! でいいんじゃないですかね」
凛「浮気された妻みたいになってる……や、やっぱり勇気のいることかな……」
幸子「まだ、妻になってないのに……でも、うかうかしてたら取られちゃいますよ……?」
凛「と、とられる……」
幸子「みんな魅力的な人ばかりですよ」
凛「……確かに」
幸子「本田さんだって、島村さんだって、前川さんだって、新田さんもいますよね。
新田さんはあのなかでは一番条件に近いですよね」
凛「美波……確かにそう……」
幸子「美人なのは当然として……おっとりしているけど、スポーツもできて、緊急時にも焦らない……かっこいいなぁ」
凛「う……私……訊いてみる」
幸子「お、唐突に訊くんですか?」
凛「へんだって思われちゃうかな……」
幸子「多分、こう、手を首にこう……」
凛「なるほど、手を首に……って、えっ、それって!? ダメダメ! 誘ってるみたいだし!」
幸子「何言ってるんですか。プロデューサーの癖ですよ」
凛「あ、ああ……」
幸子「もしかして、渋谷さんって……」
凛「な、なに……?」
幸子「ちょっと変態チックな?」
凛「ち、そ、そんなことない! 違う!」
幸子「ほんとに?」
凛「そっ、そう! さっきのだって勘違いしただけだし!」
幸子「まあ、いいですよ、アイドル的にあれですから」
凛「う、うん……アイドル的にNGな事はしないよ、うん」
幸子「NEW GENE 入れてきますね……うーむ」
凛「どうしたの……?」
幸子「いや、好きな人いますか? ってもう告白じゃないですか? 自分で言っといてなんですけど」
凛「きょ、興味本位で、訊いてみただけだから! ぷ、プロデューサーならそういうの気が付かないから……」
幸子「あー成程、気づいてくれないからそんな風になっちゃってるんですね ツライナー」
凛「うっ……別に気づいてもらおうとか、そういうのじゃないし!」
幸子「調査ですよね、調査」
凛「そうそう、あくまで調査」
幸子「事務所の雰囲気の為の」
凛「そう、アイドルのモチベーションの為には雰囲気の維持も大切だし」
幸子「でもこれ渋谷さん一人でやらなきゃですよ?」
凛「えっ?」
幸子「だって他の人がもし、狙ってて、好きな人がいないってばれたとしたら……ねぇ?」
凛「た、たしかに。……じゃなくて、別にそういうのは、どうでもいいんだけど、
まぁ、他のアイドルを巻き込むのはほら、アレだから私一人でやろうかな……」
幸子「流石です! 仲間思いですね」
凛「うん、これは私一人の問題だから」
幸子「うんうん、あ、いまちょっと想像したんですが」
凛「うん」
幸子「 プロデューサーさんも学生だった頃があったわけじゃないですか、どんなんだったのかなーって」
凛「確かに、あの姿からは全然想像できない」
幸子「あの姿で、スーツ以外の想像が出来ないです」
凛「それに、いつも敬語で」
幸子「逆にあなたたちは敬語を使うべきなんじゃ……まあいいです、
プロデューサーさんにもカノジョとかいたはずですよね」
凛「……」
凛「か、かのじょっ!?」
幸子「だって、正直カッコいいでしょ? 背も高いし」
凛「ま、まぁ、悪くないかな……」
幸子「真面目ですしね」
凛「うん、真面目だし、誠実だし、人の事ちゃんと思ってくれるし」
幸子「はい。だから、周りに女の人がいなかったとは考えられないんですよね」
凛「……た、確かに」
幸子「いまは、社会人で、いろんなしがらみとかありますけども学生時代なら
好き 好き じゃあ、付き合おっか 的な? じゃないですか」
凛「ハードルは今よりは低かったのか……」
幸子「ん、なんか言いましたか? 難聴」
凛「な、なんでもない!」
幸子「そうですか……まあ、百歩譲って彼女がいなかったとします」
凛「うん、彼女は居ない、と」
幸子「初恋は?」
凛「……保育園の頃の、保母さんとか?」
幸子「のーかんです、のーかん!」
凛「うう……」
幸子「中学生とかそのへんですよね」
凛「ま、まぁ、プロデューサーも男だしさ、そういうのは有ったんじゃないかな」
幸子「でしょ? どんな人だったんでしょうね」
凛「どんな人……例えば、黒髪ロングで……とか?」
幸子「ほうほう、ちょっとキツメな美人とか?」
凛「そ、そうね素直じゃないけれど、ホントは前向きな子……とか……どうかな?」
幸子「いいですねーでも、ボクはちょっと違う子を想像しています」
凛「えっ、それってどんな子……?」
幸子「なんか、プロデューサーさんって図書委員とか、文芸部っぽいんですよ、あくまで想像なんですけど」
凛「た、確かに……あんまり運動とかしてたってイメージはないかな」
幸子「背は高いけど、そんなにでもないやつで。で、プロデューサーさんはあのころから真面目で、サボんないで仕事してたと思うんですよ」
凛「うん。あの人なら実直に毎日仕事してるのが想像できるよ」
幸子「他の人がサボってても黙々と一人でやってるんですよ」
凛「らしいなぁ……」
幸子「で、そのときに、『あれ? Pくんだけ?』って手伝ってくれるのが……」
凛「初恋の……」
幸子「ひと……かもしれない」
凛「そういわれると……しっくりくるかも……しれない」
幸子「でも、プロデューサーさんは言えなかったと思いますよ」
凛「あの人なら、言えそうにないよね」
幸子「で、その相手の人も言えないような子で、両片思いのまま卒業……」
凛「甘酸っぱい……」
幸子「でも、ありえそうでしょ?」
凛「うん、凄く想像できる」
幸子「♪ いつでも、探しているよ、どっかに君の姿を ♪ を地でいくストーリーがあるかもしれません」
凛「あの人が、そんな物語を胸に抱いている……としたらそれは凄く素敵なことだと思う」
幸子「お相手『へぇ、これがPくんの育てたアイドル?』っていう事だって……。
すると渋谷さん、これはちひろさんの数十倍の敵です」
凛「!?」
幸子「だって思い出ですよ? 一番いい時の状態で永久に残るんですよ?
ある意味、黄金より貴いかもしれません。だって、金は永久に変わらないだけかもしれませんが、
思い出は更に美しくなることだってあるでしょう?」
凛「それは……まずい……まずいじゃなくて、成程……」
幸子「凛『好きな人は?』 P『ずっと心の奥にいます』」
幸子「これは勝てない」
凛「確かに……壊せそうもない」
幸子「ここで陥りがちなミスがあります」
凛「なになに?」
幸子「『私じゃ代わりにならないかな……私をあの子だと思って……』ってやっちゃうことです」
凛「えっ、それは駄目なの?」
幸子「考えても見てください、3人に対して失礼じゃないですか プロデューサーさんの思い出、
お相手の人格、そして渋谷さんご自身に対して」
凛「……そうだね」
幸子「誰かは誰かの代わりじゃないんです。そのときはその子がプロデューサーさんの中に
居続けることを許してあげて下さいね」
凛「……ということは、もしそういう答えが返ってきたとしたら、私は諦めないといけないってこと?
わ、私はと言うか、プロデューサーに好意を持っている人は、ってことで、別に私っていう訳じゃないけど」
幸子「確かに、自分だけが愛されたいってのは良く解ります、ぼ、ボクだってそうだしぃ……?」
凛「あ、幸子ちゃん可愛い顔してた」
幸子「でも、デキる女はその過去ごと愛してあげましょう、ってか……いままでボクがリードしてきたのにっ……」
凛「良く考えたら、幸子ちゃん14歳だよね……? 凄く経験豊富な人なようなアドバイスだけれど」
幸子「ふぇ、あ、それはですね……じ、自分でも必要だったから……いっぱい、調べて……」
凛「なるほどね」
幸子「そ、そうです!」
凛「幸子ちゃんも色々悩んで考えてたんだね」
幸子「こんなカワイイボクといっつも一緒にいるのに惚れないのがいけないんです……」
凛「ふふっ、でも何だか境遇が同じらしくて安心したかも」
幸子「よかった……渋谷さんの目がキラッっとしてない……。あ、はい!」
凛「何か聞こえたような気がするけど、取り敢えず聴かなかったことにしておこうかな」
幸子「あははー」
凛「それで、出来る女は過去まで全て包み込まなきゃいけないという話だったっけ」
幸子「はい。だっていま渋谷さんが大好きなプロデューサーさんはその歴史を歩んできたんでしょ?
だったらその歴史ごと愛してあげられたらな……」
凛「私がだいす……っ、まぁ、それはいいとして、その通りかもしれないね」
幸子「流石、懐が深い!」
凛「そうしないと、前に進めないし、大事なのは今とこれからだから」
幸子「おおお……ボクは今感激しています」
凛「ど、どうしたの急に……?」
幸子「何でもないですよー。さて、調査の方法なんですが」
凛「うん」
幸子「うーむ、思いつかない」
凛「そうだね……うーん」
幸子「アイドルが恋愛相談したらまずいしな」
凛「ドラマ出演の打診があった時を想定して、『男の人の恋愛の感情ってどういう物か?』
なんて問いかけをすれば何とか……」
幸子「お、さりげなく、好きなタイプが訊けますね」
凛「その線でいってみようかな……」
幸子「P『ショートカットで元気な子ですね』」
凛「うっ……」
幸子「じょ、冗談です、でも有り得る事ですよね」
凛「た、確かに……でもそんな答えが返ってきたら……いや、覚悟しておかないといけないのかな」
幸子「765フプロさんに三浦あずささんっていうアイドルがいるじゃないですか、直接はあったことが無いんですけど」
凛「うん、私でも知ってる、美人だよね」
幸子「突然ロングヘアからショートになりましたよね」
凛「そうだね」
幸子「もしかしてこんなことが……」
凛「なるほど、それだと……私が急に髪型を変えたら、幸子ちゃんは直ぐにそういう事だと悟られちゃうって事なんだね」
幸子「(くっ、しまった)ほ、ほら、女性が長い髪をバッサリ切るのは失恋とか疑われません?」
凛「ま、まあ、良く言われるよね」
幸子「だから、僕以外にも、簡単に……」
凛「……成程……」
幸子「ていうか、いくらあのプロデューサーさんが鈍くても、その話をした直後に髪を切ったりしたら……ねぇ」
凛「うん……」
幸子「まったく渋谷さんと違うタイプが好みだったら……は考えた方がいいですね」
凛「……覚悟しておく」
幸子「たとえば、宇宙一カワイイこのボクとか?」
凛「……ぷっ」
幸子(だ、大丈夫か……な?)
凛「ま、ぁそうなった場合、幸子ちゃんのプロデューサーを頂くから」
幸子「ええええええ……いや、あ、それは誤解です、
ボクは別にプロデューサーさんのことなんて別に……い」
凛「あ、そうなんだ」
幸子「あ、はい!」
凛「なるほど……勘違いしてたみたい」
幸子「はいぃ……」
凛「成程、成程……」
幸子「何がですか……」
凛「とにかく、覚悟はすべきって話だったよね」
幸子「はい。もし、他のシンデレラの子たちだった時、大丈夫ですか?」
凛「大丈夫……何とかする」
幸子「それなら大丈夫です。神崎さんからの好感度高いですよ」
凛「で、でもまさかタイプってことは……」
幸子「神崎さん訛りがきついだけで、言ってることカワイイし、素直だし、礼儀正しいですよね」
凛「う、それは認めるけど……」
幸子「夕暮れの噴水で二人で話しちゃったり、神崎さんのイメージを頑張ったて理解したり、
神崎さんからの好感度高いですからね」
凛「確かに、蘭子はプロデューサーのこと気に入ってるみたいだけど……」
幸子「いままで手を焼いた子が可愛い法則。まぁ、タイプかどうかは別ですね」
凛「そ、そう、! 別!」
幸子「必死ですね……」
凛「べ、別に必死とかじゃない!」
幸子「はいはい」
凛「何か幸子ちゃんに手玉に取られてる気がする……納得いかない」
幸子「凛ちゃんはかわいいなー。ボクの方が大人ですから」
凛「むぅ、こんなに小っちゃいのに……」ナデナデ
幸子「いやー///」
凛「ふふっ」
幸子「もう、止まっちゃったんでしょうかね……プロデューサーさんの好みが背が高い人だったらどうしよう……」
凛「へぇ……」
幸子「あ、ぇっ?(声にでてた……?)」
凛「さっきのは聞かなかったことにしておいてあげるね?」
幸子「だ、誰にも言っちゃだめですよ……?」
凛「大丈夫、大丈夫、心配しないで!」
幸子「わぁ……有難うございます!」
凛「私の方が大人ですから」
幸子「うぐっ……」
凛「身長伸びるといいねー」
幸子「うー、渋谷さん165ありますよね」
凛「結構高い方かな?」
幸子「高いですよー」
凛「幸子ちゃんは……142cmか、きっと伸びるから、大丈夫」
幸子「でも、もう14ですよ」
凛「人は20まで伸びるって言うし、人によって伸びる時期も違うだろうし」
幸子「じゃぁ、胸とかおっきくなって、悩殺ーっ! とか」
凛「幸子ちゃんは幸子ちゃんのままでいたらいいと思うよ」
幸子「そうですか……?エヘヘ」
凛「うん、きっと幸子ちゃんのプロデューサーさんもありのままの幸子ちゃんを好きになってくれる」
幸子「え……は、はい!」
凛「だから、応援してるね」
幸子「こっちも、応援してます!」
コンコン
AD「済みません、渋谷さん、出番ですー」
P「渋谷さん、お願いします」
凛「じゃあ、いってくるね」
幸子「はい! では」
コンコン
輿水のP「あ、いたな、よしかえろっかー、ごめんな、凄く待たせちゃっただろ」
幸子「ホントですよー! こんなにカワイイボクを待たせて!」
輿水のP「ごめん、ちょっと長引いてな、その後にまゆを探してたんだ」
まゆ「ごめんなさい、こちらも長引いてしまって」
幸子「まぁ、いいです! 今日は特別ですよ!」
輿水のP「えっ? どうしたんだ?」
幸子「いいんです、いいんです! じゃあ、行きましょう」
まゆ「ねぇ、幸子ちゃん?」
幸子「は、はい!」
まゆ「渋谷さんとのお話、楽しかったですか?」
fin
ここまで読んでくださってありがとうございます。
実はこのSSの会話はとあるチャットサービスで凛ちゃんと名乗る人が筆者に
「渋谷凛です」と話しかけてきたことから始まりました。
まあ、筆者が「ま、まあ、ボクよりはカワイく無いですけどカワイイですね!」と返したのが直接の原因
だったかもしれません。
つまり、このSSは偶然の産物なのです。もちろんいろいろセリフ入れたり、人を増やしたりなんかはしましたが
それでも、あの時、回線がつながんなかったらこのSSは生まれてません。
このSS中の凛ちゃんの中の人である「ほりかなP」さんにSS化の御諒解の感謝をささげます。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません