ここは蒸気の世界
男「~~♪」
バスン! バスン!……プシュー
男「なんだ?」
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おっさん「だあぁ! クソ…」
少女「パパ…大丈夫?」
おっさん「あぁ、大丈夫だ。すぐ 直るからな」
男「!…どうかしましたか?」
その世界の、とある町
少女「パパのオートモービルがこわれちゃったの…」
男「少し、見せてもらえます?」
少女「パパ?」
おっさん「良いが…お前さん、直せるのか?」
男「大丈夫ですって。僕、蒸気エンジンの技師なんですから」
男「ほら、仕事道具の工具もバッチし!」
おっさん「ほぉー」
とある町の、ある青年
カチャカチャ…モァ〜〜〜
少女「キャ!」ビク!
男「大丈夫。ただ蒸気がもれただけだよ」カチャカチャ
おっさん「…ば…爆発しないよな?」
男「しませんよ……おそらく」カチャカチャ
おっさん「……おそらく?」
ある青年の物語
バン!
男「うっし! 直った!」
少女「お兄さん、ありがとう!」
男「ふふふ、どういたしまして」
おっさん「ありがとうな! 見ず知らずの兄ちゃん!」
男「いやいや、対したことはしてませんよ。ただズレてた歯車を元の位置に戻しただけですよ」
おっさん「いやいや! それでも俺等が助かった事には変わりないぜ」
男「いやぁ〜」テレッ
少女「あっ、そうだ! お兄さん」ガサガサ
男「ん? なんだい?」
少女「お駄賃!! あげる」
男「お、ありがとう」
おっさん「そんじゃあ、さいなら。兄ちゃん、また何かあったら頼んだぞぉー」
少女「さよなら〜」
ブロロロロッ!
男「あっ! えぇーと……何かございましたら、『M&Dの蒸気機関工房』までぇぇ〜〜!!」
おっさん「はいよぉー」ノシ
ブロロ……ロロ………
男「……ふふふ」
男「アメ玉もらっちゃった」
・
・
・
・
〜【M&Dの蒸気機関工房】〜
メガネ「うーむ…」
デブ「いやさ、ココを真鍮(しんちゅう)製のバルブにしたらより高圧に耐えれるようになるだろ?」
メガネ「だけどな……真鍮は高いからな…どうしても、これ自体が高くなるよな…」
デブ「かまやしないさ!」
タン…
タン…
タン…
デブ「お? 誰か登って来る」
メガネ「従業員に30だ」
デブ「そんじゃあ、客に30!」
タン…
タン…
デブ「……」
メガネ「……」
……ガチャ
男「ただいま戻りました」
デブ「なんだ…男か」
メガネ「ほれ、30よこせ」
デブ「ツケでな……そんな事より。男、修理と点検お疲れさん」
メガネ「乙〜」
男「いやいやそんな///」
メガネ「業務上のお約束な、なにマジになってんだよ」
男「……」ムス‥
メガネ「そういや、整備点検はいいとして、営業の方はどうだった? 上手くいった?」
男「………」
デブ「……」
メガネ「……」
男「……ごめんなさい」
メガネ「えぇ〜〜……」
デブ「まあ、売れるわけないわな……あんなの」
メガネ「あんなのって言うなよ! 小生の最高傑作だったんだぞ!!」
デブ「へぇー、蒸気機関の目覚まし時計がね…」
メガネ「そりゃさ、デカくて、重くて、燃費悪いけど……俺の傑作だったんだぞォオ!! 馬鹿にするな!」
デブ「なあ、自分で言ってて悲しくない?」
メガネ「むっちゃ悲しいし、むっちゃ不憫」
デブ「つかさぁ〜、あんなガラクタを超える傑作なんて、もうあるじゃん」
メガネ「違いねぇ」
男「……なんですか? その傑作って?」
デブ「あ……やべ、極秘だったのに喋っちゃった」
男「何だか、すっっごく気になります。教えてください!」
デブ「どうしよっかな」
男「教えてくださいよぉ〜〜」ユサユサ
デブ「どうしよっかなぁ〜〜」ユラユラ
メガネ「どうしよっかなぁ〜〜」
デブ「そんじゃあ、俺がジャンケンをして、右手が勝ったら教える。左手が勝ったら教えないにしよ!」
メガネ「おう! 実に合理的」
男「よし! そうしましょう」
デブ「そんじゃあ行くぞ!」
男「がんばれ、右手」
デブ「最初は…グー!」
男「……」
デブ「ジャンケン……」
メガネ「……」
男「……」
デブ「……いやさ、こんな事しなくてもチャンと教えるよ」
男「あぁ、ボケでしたか」
メガネ「マジでこれやってたら、こいつアウトだろ」
デブ「そんじゃあメガネ、例の物を」
メガネ「了解ぃ〜〜とって来るわ」
タッタッタッ……
男「なんでしょうね、ワクワクして来ました」
デブ「きっとそのワクワクに応えれる物だぞ! なんてったって、世界を新歓させる物だからな!!」
男「世界を…」
ガラガラガラガラ
メガネ「お待た〜」
メガネ氏が台車で、シーツに包まれた、その世界を新歓させる発明とやらをスキップしながら陽気に運んで来た。
男「おぉ…」
デブ「ムフフ、それじゃあ…」
デブ「ご対面といこうか!!」
そう言うと、ワシッとシーツを掴み。
スルスルと慎重に、焦らしながら、シーツを剥がしていった。
スル…
デブ「パンパカパーン!」
男「……これは?」
デブ「ムフフフフ。男、お前にはこれが何に見えるよ?」
デブ「ちな、俺には希望に見える」
メガネ「小生には光に見える」
男「僕には……」
台車に載せられた発明をマジマジと見る男。
だが、いくら見ようと男には二人のように特別な物には見えなかった。
男「……鎧に見えます」
デブ「そう、まあ鎧に見えるわな」
鎧。圧倒的、鎧。
中世ヨーロッパの騎士が着込んだような、金属板で構成された鉄仮面の鎧そのもの。
しかし鎧は間接部から見え隠れするシリンダーや、歯車で、自分はただの鎧では無いと訴えている。
男「……これ何なんですか?」
メガネ「これは、『蒸気機関式 駆動補助鎧』なり」
男「蒸気機関式……駆動補助鎧?」
デブ「そそ、何と! これを着ると、ほんのチョロっとした力でも重い物が持てたり」
メガネ「100Mフラットで世界記録を出したり出来るのさ」
男「おぉ〜……スゴイ…」
男「きっと多くの人の役に立つ物になるでしょうね!! 医療機関や、土方や……えぇーと」
男「……」
男「……えぇと…まあ、とにかく多くの人に喜ばれますね!」
男「……なんだかそう考えると、この鎧がみんなを救うヒーローに見えてきました!」
デブ「うむうむ、ヒーローか…」
メガネ「良い表現だ!……発表する時に使おう」
男「……というより」
デブ「え?」
メガネ「なんぞ?」
男「二人ともこんなスゴイ物、僕に隠して……」
デブ「まあ、そう膨れるなよ」
男「……」ムス~
メガネ「あぁ〜めんどくさ……」
メガネ「……あっ、おいデブ氏、耳かせ」
デブ「なんぞ?」
メガネ「あんな……」
デブ「……あぁ……スー…まあいいか」
デブ「なあ、男」
男「……なんですか?」
デブ「これ、今から着てみたくない?」
男「!…いいんですか!!」
メガネ「いいよ、男には…まあ、これのこと言わなかったのあるし」
デブ「そそ。まあ、テストプレイヤーのついでだけど。どう?」
男「是非是非! お願いしますッ!!」
デブ「それ来た!」
メガネ「男、運ぶの手伝え! 小生のオートモービルに載せるぞ」
男「え? どっか行くんですか?」
デブ「ここで動かすわけにはいかないだろ、常識的に考えて」
メガネ「そうそう、だから運ぶぞ」
男「はい!」
デブ(怪我とかしたくないし、丁度テストプレイヤーをさがしてたんだよな)
メガネ(まあ、安全面は多分だいじょうぶだと思うし、男が怪我することはないよな…多分メイビーアーミー)
〜【倉庫】〜
ガタガタ! ゴトゴト!
男「重い〜〜」
メガネ「辛い〜〜」
デブ「えぇーと…そおい〜〜」
メガネ「男! モービルに上がれ!」
男「はい! あ…ちょっと待って下さい! なんか引っかかって……」
メガネ「うるせえ! 小生の腕、腰がもう限界なんだ!」
デブ「よし! 載せるぞ! せーの!」
男「ち…ちょっと待って!」
ドスンッ!
男「ぎゃああああ!!」
デブ「ハァ…」
メガネ「重かった…」
メガネ「男は小生のモービルに乗ってよ」
デブ「俺は二輪で行くわ」
男「あたた…二輪? もしかして買ったんですか?」
デブ「おう! 欲しかったから買っちゃった」
デブ「へへ、これよこれ」
男「……おぉー良いですね」
デブ「スー……なんか反応うすいな…」
男「そりゃ、これよりスゴイ物を見ましたし」
デブ「鎧みせる前に、二輪みれりゃ良かったぜ…」
メガネ「ハハハ、なにアホ言ってんだよ。行くぞ」
デブ「おう!」
ブロロロッ!
・
・
・
・
〜【山奥の実験場】〜
ガチャガチャ
男「この鎧、一人で着れないんですね」
デブ「将来的には一人で着たり、脱いだり出来たらなぁ〜…って思ってる」ガチャガチャ
メガネ「うーん…」ガチャガチャ
メガネ「……おし、終わった」
男「後はボイラーを点けるだけですね」
デブ「いや、ボイラーは点けない」
男「え…それじゃあ、動かせないじゃないですか」
メガネ「グヘヘ、それが目的よ」
男「!?」
メガネ「グヘヘ、このまま動けないお前を手篭めにするのよッ!!」
男「ひっ!」
デブ「まあ、それはジョークだとして」
メガネ「″だとして″じゃねぇーよ、ジョークだよ」
デブ「ボイラーの代わりにこれを付けるんだ」
男「……すいません、視界が悪くて…もう少し横へズラしてくださいませんか?」
ガリガリ…ガリガリ……
デブ「ほら、これで良いか?」
男「どうも……あ、これ確か…『蒸気圧縮タンク』ですね」
デブ「そそそ、これが鎧の動力なのさ」
男「へ〜……これ一本でどれだけ動けるんですか?」
デブ「え… そうさな……どんなもんだろ?」
メガネ「うーん…普通に使って…ザッと2~30分ってとこかな」
男「ほぉーー! 30分も!!」
デブ「すげぇだろ…よっと!」
ガチャンッ!
デブ「タンク接続完了」
メガネ「そんじゃあ、男、計測とかしたいから来い」
男「はーい」ガチャ‥ガチャ‥
デブ「まずは、100M走ってもらおうかな」
男「分かりました」
タッガチャタッガチャガチャタッタッガチャタッ!!
男「おおおお! 体が軽いぃぃい!」ガチャガチャ
メガネ「9秒 08か…記録たのむ」
デブ「9秒! すんげぇ〜」カキカキ
男「何秒でした?」ガチャガチャ
メガネ「9秒08、世界記録を塗り替えたぞ!」
男「おぉー、軽く走って世界記録ですか……スゴイですね」
デブ「そんじゃあ、次はこれを持ってもらおうか」
男「……大丈夫ですかね…」
メガネ「ザッと250kgの鉄板の塊。まあ、持てるよ」
男「腕、ブチッといきませんかね?」
デブ「250ぐらいだったら大丈夫」
デブ「つか、早くやれよ」
男「………よし」
ガシッ!
男「ぬぉぉぉ!!」
ヒョイ
男「あら軽いですね。まるで紙だ…」
デブ「ふむふむ、パワー、スピード共にすんげぇ〜」カキカキ
メガネ「発表する時は『すんげぇ〜』じゃダメだからな。他の言葉を見つけろよ」
男「……ふっと思いましたが」
メガネ「なに?」
デブ「お?」
男「これ、今度の展覧会に持って行くんですよね?」
メガネ「あぁ〜〜……」
デブ「そのつもりだったんだけどねぇ〜〜…」
メガネ「ねぇ〜…」
男「?」
デブ「いや、実は……」
デブ「展覧会に間に合わなかったんだよね……」
男「……」
メガネ「いやぁ〜締め切り過ぎてから完成しちゃったし…」
デブ「まあ、来年これを出そうかなって思ってる……」
男「いや! 待ってください!!」
デブ「なんぞ?」
メガネ「?」
男「今日……は遅いから、明日出しに行きましょう!」
デブ「いや、だからさ…締め切り過ぎたんだって」
メガネ「つか、明日は展覧会開催日じゃん……無理でしょ」
男「もしかしたら、OK貰えるかもしれませんし。行けるだけ行きましょうよ」
デブ「……」
メガネ「……」
メガネ「………だな! 持ってこう」
デブ 「いや、無理でしょ。常識的に考えて」
男「大丈夫ですって! いけますよ!」
・
・
・
・
〜【展覧会当日】〜
男「いけませんでしたね」
メガネ「予想通りだな」
デブ「ほれみたことか。やっぱ展覧会当日じゃあダメだろ」
男「まあ切り替えて、今日は展覧会を楽しみましょうよ」
メガネ「おっ、いいね! 行こう行こう」
デブ(……こいつ…展覧会に来たかったから出そうとか言ったな…)
男「デブさんも廻りに行きませんかぁ〜?」
メガネ「置いてくぞ」
デブ「おう! 行く行く!!」
デブ(まあいっか。俺も展覧会来たかったし)
男「まずは何処行きましょうか……迷いますね」
メガネ「小生はケンブリッジ大学のやつ見たい」
デブ「ケンブリッジつーと……なんつったけ? あのー……バベッチの計算機の…えぇーと」
男「えぇーと…なんでしたっけ?」
メガネ「階差機関ね」
デブ「そうそうそう! それ!」
メガネ「バベッチ氏が新しいやつ作ったそうだから、小生見たい」
男「へぇ…気になりますね。行きましょう!!」
デブ「おー!」
デブ「おっ」
デブ「おい、見ろよこれ」
メガネ「なになに……『超高圧蒸気ボール』?」
男「えぇーと…『このボールには一世帯が暮らす為に必要となる3日分の蒸気が入っています。』……ほえーー」
デブ「こんな小さい物になぁ……すっげぇ〜」
メガネ「どうやって入れたんだろ?」
デブ「スタッフに聴こ」
メガネ「……そうだ! バベッチ氏!」
男「え……あぁ、そう言えば」
デブ「うっかりてっきり忘れてた」
メガネ「いそがなくちゃ!」
男「…」
男「デブさん、メガネさん、ここ色々食べ物が売ってますよ!」
デブ「どこだ! 買う買う!」
メガネ「マジで?」
男「オホー! バスク料理に、ギリシャ料理! おぉ、中華もある!!」
デブ「ここは天国じゃあーー!!」
メガネ「まだ時間はあるし……腹ごしらえだーー!!」
・
・
・
・
ガヤガヤ…
ワイワイ…
おい!! 押すなよ!
パチ…パチ…
痛いな!
見えない…
デブ「ゲフ…ちょっと遅れちまったな」
男「ですね」
メガネ「楽しみだな〜〜!」
『ザザ…ケンブピーガガ…あーあー…ザザッ!』
デブ「おっ、もうそろそろ始まるか?」
メガネ「来たァーーー!!!」
『ザザ…ケンブリッジの計算機、すごかったですね! じゃあ、続いては…』
メガネ「」
デブ「……」
男「……」
デブ「……他のやつ見て、楽しもうぜ」
男「そ、そうですよ! ほら、次のやつ来ますよ」
『ピーガガ…続いては、フロント武器商会の出展です! では、代表の形は前へどうぞ!』
メガネ「…フロントか……」
代表「どうも、どうも。よろしく」
代表「えぇー……今日は、この展覧会に参加させていただき、ありがとうございます」
メガネ「けっ…大量殺人兵器ばっかり作って、金儲けしている会社のクセに…神聖な展覧会に来やがって」
メガネ「ここはな…未来や平和を語る場所なんだぞ!! お前みたいな奴が来るところじゃない!」
デブ「妬みか?」
メガネ「その通り! くぅ〜〜……うらやましい!!」
男「あはは…」
代表「我々は国民を守ろうと我々は武器や兵器を作ってきました」
メガネ「……けっ」
デブ「やめーや」
代表「……ですが、武器を扱う仕事っという事で、どうしても殺人鬼だと思われがちであります」
代表「しかし、当たり前ではあります」
代表「我々が作る武器、兵器は皆さんが日常では役にたたないからです」
代表「そこで、我が社は皆様の役にたち、皆様が頼りになる味方を作りました」
代表「そう、例えるならば……ヒーローを」
デブ「ウチにいるよな」
メガネ「へへっ」
代表「さあ、ご覧あれ!」
代表がそう言うと同時に手で合図を送ると、スーッとステージのカーテンが上がっていた
男「おぉ…」
デブ「すんげぇ…」
メガネ「……」
代表「これぞ我が社が作り出した、皆様のヒーローとなる物!!」
代表「全長5M!!」
代表「重量、約9t!!」
代表「最大547馬力のパワーと! 最大100mmの装甲!!」
代表「腕には20mm機関銃 十丁に加え、胴体には100mmの火砲が一門!!」
代表「この我らがヒーローとなる彼の名は!」
代表「『ジャイアント・ウォーカー』!!」
代表「来年からは各警察、軍へと配備されます!! 皆様、これからウォーカーをよろしくお願い申し上げます!!」
男「オォォォォ!!」
デブ「指が機関銃になってんのか…」
メガネ「分かってるねぇ〜」
『ザザ…では、記者の皆さん。これから質問を受け付けますザザッ!』
記者「はい!」
代表「はい、そちらの方、どうぞ」
記者「あの〜…このジャイアント・ウォーカーの乗員数は何人でしょうか?」
代表「あれ? 言わなかったですか?」
記者「えぇーと…私の耳には、乗員数の事はなにも…」
代表「……なあ、俺言わなかったっけ?」
< 言ってませんよ
代表「あ…そうか」
代表「失礼いたしました」
代表「えぇー…先ほど質問をいただきました乗員数の事ですが……」
代表「乗員数は″0″です」
記者「ゼロ?…つまりは乗る必要がないと?」
代表「はい。ウォーカーには、人が誰一人としても必要がありません」
代表「おーい、彼の腰をはずしてくれ」
< はーい、分かりました
記者「?」
代表「先ほど、ウォーカーには人が要りませんと言いました」
代表「それが何故かをお見せましょう」
ガチャガチャ…カチャカチャ……ガコン!
代表「背中のボイラーのせいで見えずらいでしょうか? そういうお方はどうぞ前へ」
メガネ「人混みで見えんな」
男「気になります! 気になります!!」
デブ「見てえ〜…でも、人混みに入りたくねぇ〜」
代表「これが、ウォーカーに乗員が要らない理由」
記者「……」
代表「人工知能です」
男「見たい…」
デブ「人工知能?!」
メガネ「人工知能……欲しい!!」
ざわざわ…
ざわざわ…
記者「……人工知能?」
代表「えぇ。蒸気機関、計算機の発達により、近年、複雑なプログラムが可能となりました」
代表「そして、その複雑なプログラムにより機械に思考を吹き込むことに成功しました」
記者「おぉー…」
代表「自らの危機を感じ、自ら動き……」
ロボ『』
・
・
・
・
[ ][ ][ ][E][R][R][R][O][ ][ ][ ][ ]
[S][Y][S][T][E][M][ ][E][R][R][R][O]
[Ⅱ][Ⅱ][Ⅱ][Ⅱ][Ⅲ][M][ ][E][R][R][R][O]
[ ][ ][U][P][G][R][A][D][E][ ][ ][ ]
・
・
・
・
代表「……であるからして」
ロボ『……』プシュー
プシュー……ウゥゥゥゥゥゥゥン…
代表「?!」
記者「?」
ググググググッ……プシュー……
メガネ「おっ、動いてる動いてる」
男「デモンストレーションですかね?」
デブ「かっけぇ〜」
代表「……今はデモンストレーションしないハズだが?」
代表「……俺が間違えたのか?」
なんだ?
デモンストレーションか?
動いてる…
代表「えぇーと…」
代表「ただいまからウォーカーのデモンストレーションを……」
ロボ『マ″』
ガチャッ!
ウォーカーの機関銃の手が代表を指差した。
代表「え?」
ダンッ
男「……」
デブ「……」
メガネ「……」
記者「あぁ……」
記者「撃った…ウォーカーが……代表を」
ウアアアアアアアアッッ!!!
ガヤガヤ…
キャー!
逃げろォォ!
デモンストレーションじゃないのか?!
デブ「おいおいおい! ヤバイんじゃないか?」
メガネ「デモンストレーションの一巻じゃないのか?」
男「それにしては…悪趣味過ぎますよ…」
ロボ『マ″』
ズガガガガッッ!!!
男「おわぁ!」
メガネ「撃ってきた!」
デブ「伏せろ!」
ズガガガガッ!!!
キャー! キャー!
ウワー!
男「……」
いったい、このような事になろうとは誰が想像したのであろうか
メガネ「メチャメチャに撃ってきやがる」
夢を見て、平和を語り、未来を想像する展覧会が
デブ「……メチャメチャじゃんねぇ。人を狙って撃ってる」
硝煙が包み、ガレキが散乱する戦場になろうとは
男「くっ!」
誰が思ったであろうか。
今日はここまで
ちなみにこのスレのライダースーツのステータスをまとめると
パンチ力 500kg
キック力 800kg
弱い
ズガガガガガガガッ!!
デブ「ふ…ふせてろよ!」
メガネ「お母ぁ〜ちゃーーん!!」
男「なんとか止めることは出来ませんか?!」
デブ「無茶言うなよ! 俺等じゃ無理だ! 警察が来るまで耐えるぞ!」
メガネ「警察じゃ止まらん! 軍を呼べ!!」
キュラキュラキュラキュラ…
男「!」
キュラキュラとクローラーの駆動音を響かせ、煙をゴウゴウと吐き出し
観覧席をなぎ倒しながら、
何か鉄の塊がウォーカーへと近づいて行った。
男「!……ブルドーザー!」
恐らく、誰かが暴走するロボット、ウォーカーを止めるために動かしたのであろう
ブルドーザーが雄々しく向かって行った。
メガネ「あんなんで止まるかよ…」
ガヤガヤ…
重機だ!
なにやってんだ! 逃げろよ!!
ロボ『!…マ″!』
ズガガガガガガガッッ!!
ウォーカーが自分に向かって来る重機に気付き、そくざに腕を向け機関銃の弾幕を張る。
カンカンカンカン…
ロボ『マ″?』
男「弾いてる!」
メガネ「機関銃はな…」
デブ「今のうちだ! 逃げるぞ!」
ロボ『マ″!!』
ウォーカーは、機関銃での攻撃は無駄だと分かるとクルッと体をブルドーザーに向け。
ガコンッ!
胴体にある100mmの超火砲で狙いを定め始めた。
メガネ「100mmの主砲! あんなん食らったら、ひとたまりもないぞ!!」
男「!」
男「う…運転手! 逃げてくださいッ!!」
ロボ『マ″ーーッ!!』
ドゴンォオンッ!!!
ォォン……ォォ…ォ……
男「……」
デブ「……」
メガネ「……」
パチ…パチ…
ゴォォ…
ザワ…ザワ…
パチ…パチ…
ロボ『マ″ーマ″マ″!!』
男「た…たった一撃でブルドーザーが……」
デブ「なにボサっとしてんだ! 逃げるぞって言ってるだろ!」
メガネ「あかん! 野次馬してる余裕じゃなかった!」
男「逃げましょう!」
メガネ「賛成!」
ロボ『マ″』
ズガガガガガガガッッ!!
パチ…パチ…
キャー!
ゴォォ…
『パパ!』
男「!」
デブ「ほれ、トンズラするぞ」
メガネ「よし」
男「……」
デブ「男もほら」
男「デブさん、ちょっとすいません!」
ダッ!
デブ「あ、おい!」
男「先に行っててください!」
デブ「おい! 本当に行っちゃうぞ!」
メガネ「達者でな!」
パチ…パチ…
男「ハァ…ハァ…」タタタ
男「どこだ…どこにいる」
男「ここら辺から聞こえた気が……」
少女「パパ!」
男「!…いた!」
少女「パパ! しっかりしてぇ!」
少女「ゴホゴホ…ハァ…ハァ……パパァ!」
男(この子は…たしか昨日オートモービルの……)
男「お嬢ちゃん…」
少女「ハァ…ハァ……お兄さん」
男「お嬢ちゃん、大丈夫?」
少女「お兄さん…助けて、パパが…パパが中に!!」
少女がそう途切れ途切れの言葉で助けを求め、そっと近くをゆび指す。
男「……」
男はゆっくり、目で指の先を追った。
先には、ガレキの山が築き上げられている。
男「…」
男はそのガレキを見て鳥肌が立った。
恐らくは、この少女の父親がこのガレキに押し潰されてしまったのだろう、
そしてその事を少女はまだ父親が生きていると信じて、助けを求めている、そう男は憶測をたてた。
少女「パパが中にいるの…助けて」
男「……」
男「……分かった、助けるよ」
男「でも、ここは危ないから先には僕と避難しよう。お父さんは君の避難が終わったらすぐに僕が助けに行くよ」
少女「…………本当に…」
男「……あぁ、本当だよ。約束するよ」
少女「……」
男「…僕はウソが嫌いなんだ。ウソはつかない」
少女「………うん」
少女「約束だよ」
・
・
・
・
デブ「……男、遅いな」
メガネ「無理矢理でも連れてきゃ良かったか?」
デブ「……ここもそろそろヤバイかもな。バイク出す準備しよ」
メガネ「小生も、車を出す準備をしよかな。デブ、終わったらマッチ貸して」
デブ「ほれ」
メガネ「あんがとさん」
タッタッタッ…
メガネ「お?……おぉぉ?」
デブ「なに?」
メガネ「男だ!」
デブ「マジか?!」
男「た…ただいま帰りました……」
少女「……」
メガネ「そうか、その子を助けに行ったのか」
デブ「うんうん、偉い! 素晴らしい!」
デブ「そんじゃあ逃げるぞ。二人はメガネのモービルに乗れよ」
少女「あの…お兄さん……」
デブ「なんだ? 嬢さん」
メガネ「お前じゃねぇよ」
男「な…なんだい?」
少女「パパを…助けてくれるんだよね……」
デブ「……」
デブ「……ちょっと男、来い」
男「は、はい。ちょっと待っててね」
男「……なんでしょう」
デブ「なにがあったの?」ヒソヒソ
男「えぇと…」ヒソヒソ
少女「……」
男「その…」
メガネ「ハッキリ言えよな」ヒソヒソ
男「はい……実は…」ヒソヒソ
男「あの子の父親がガレキに埋まっているんです…それで…」ヒソヒソ
デブ「ははん、なるほど。それでお前、適当なこと言ってこうなったか」ヒソヒソ
少女「適当なこと…」
メガネ「」
デブ「ヤバ」
男「……」
少女「お兄さん……約束したよね 」グス
男「……」
少女「お…エグッ…お父さんを…助けるって」
メガネ「おい…どうすんだよ」
デブ「いや……その…」
少女「エグッ…お…お父さん…」
男「あの…」
少女「お父さん… 苦しんでた……」
少女「痛いって…苦しんでた…」
メガネ「?…なあ、お父さんがそう言ってたのか?」
少女「ヒグ…ぅうヒグ…うん」
メガネ「……」
デブ「なんてこった…」
男「……まだ生きてる」
メガネ「どうするよ」
デブ「いや、どうするもこうするも無いって…」
男「……」
男「デブさん、メガネさん…頼み事があります」
メガネ「……おい、まさか」
デブ「……ジョークだよな」
少女「?」
・
・
・
・
ガチャガチャ
デブ「なあ、やめとこうぜ…」ガチャガチャ
男「………いや行きますよ」
少女「……」
男「この子に約束したんですから」
メガネ「いやさ…だからって、お前が命張る必要はないよ…」ガチャガチャ
男「……」
デブ「決意バリカタ」
ガチャンッ!
デブ「タンク接続完了」
デブ「蒸気圧…確認」
男「行きますよ」ガチャ…ガチャ…
プシュー……ググググググッ…プシュー
メガネ「……」
デブ「……」
デブ「おい!」
男「!……止めても無駄ですよ」
デブ「ちげぇよ、これ」
男「え?」
デブ「最新式の二輪オートモービルだ。大事にしろよ」
男「……」
デブ「鎧だけじゃあ、あのウォーカーの弾幕をこの子のお父さん抱えて抜けれねえだろ」
デブ「このバイクなら行ける。持ってけ!!」
男「……」
男「……はい!」
ガチャ!
男「……行ってきます」
デブ「絶対に返せよ」
少女「……」
男「……」
男「お父さん助けるからね」
男「約束は絶対に叶えるよ」
ブロロロロロッッ!
デブ「俺のバイク…返ってこない気がする……」
メガネ「鉄仮面の騎士がバイクに乗る姿……」
デブ「それも蒸気を撒き散らしながらの姿……」
メガネ「なかなか、かっこいいな」
デブ「中身はあの男だけどな」
メガネ「なあ」
デブ「なんぞ?」
メガネ「あれ見てて、小生さ…なかんかこう……とある言葉が浮かんだわけよ」
デブ「?」
メガネ「″仮面ライダー″」
・
・
・
・
ブロロロロロッッ!!
男「……」
鎧の排出口から出る蒸気をマントの様にまとい、たなびかせ、仮面ライダーが少女の願いの為に走ってゆく。
男「待ってろよ…」
ゆけ、仮面ライダー! 己の約束を守るため、正義を貫くため、突き進め!
ゆけ、仮面ライダー″スチーム″!
次回、仮面ライダー《スチーム》
二人の技術者の手を逃れたスチームを待っていたのは、また地獄だった。
たった一体のロボットが生み出した混沌の場。
悪徳と野心、頽廃と混沌とを、コンクリート・ミキサーにかけてぶちまけた、
ここは未来の祭典、展覧会
次回『ダメポ』
次回もスチームと地獄に付き合ってもらう
・
・
・
・
ロボ『マ″ーマ″ー』
女性「やだ…来ないで!」
子供「……」
ロボ『マ″!』
ガチャ!
この心を持たぬ考える機械は、どれだけの人を傷つければ気が済むのであろうか。
またウォーカーが人へ機関銃をかまえた。
女性「…ぁぁ……」
子供「…ママ」
ロボ『マ″ーー!!』
女性「ひっ!」ギュ
子供「……」ギュ
ガガガガガガッッ!!
機関銃の細かな爆発音が、また会場に響き、また弾丸が人を肉片にした。
女性「……」
と、思いきや
女性「……?」
女性「え?」
また、が起きなかった。何故なのか、そう思い女性が恐る恐る顔を上げる。
見ると、女性に向けられていた筈の機関銃が横下へとズレ、攻撃が外れたようだ。
いったい誰がやったのか? その疑問の応えが目の前にいた。
男「……」
この人物だ、この人物がウォーカーの機関銃をハタキ、狙いを外させたのだ。
蒸気の白きマフラーに、鉄板で構成された鋼色の鉄仮面、
そして、黒く鈍く光る、二輪のオートモービルにまたぐこの男が。
子供「……かっこいい」
女性「……あの」
男「大丈夫ですか?」
女性「は…はい」
男「よかった…では、早く逃げてください」
女性「すいません! ほら、行くよ」
子供「おぉーかっこいい…お母さん、かっこいいね!」
女性「ほら! 行くよ!」
タッタッタッタッ!
ロボ『……』
男「……どうしようなぁ〜」
ロボ『マ″?』
男(こいつからは隠れて救出作業をしたかったんだけど…)
ロボ『マ″』
男(まあ、流石にあれは見逃せないからね…しょうがないか)
ロボ『マ″!』
ガチャン!
男「!」
男「狙いを定められた! クソ!」
ロボ『マ″!』
ズガガガガガガガッッ!!
男「おわわわ!! 逃げろ!」
ブウゥゥゥンッ!
ロボ『マ″!』
ズガガガガッ!
男「危な…こわ……」
ブウゥゥゥブロロロッ!
男(どうするよこれ。こいつは完全に僕に狙いを定めた。コソコソと救出は出来なくなった)
男(じゃあ倒すか? こいつを)
ロボ『マ″ー』
男(……無理だ。100mmの装甲は貫けない)
男「ん?」
男「……いや待てよ」
・
・
・
・
代表「おーい、彼の腰をはずしてくれ」
< はーい、分かりました
記者「?」
代表「先ほど、ウォーカーには人が要りませんと言いました」
代表「それが何故かをお見せましょう」
ガチャガチャ…カチャカチャ……ガコン!
・
・
・
・
男「あの時…たしか腰の装甲を外した」
男「そこだ! そこを叩く!」
ロボ『マ″』
ズガガガガガガガッッ!!
男「おわぁぁ!!」
ガコン…
男「!…100mm火砲! マズイ!」
ロボ『マ″ー!!』
ドゴンォォオ!! ォォ…ォ……
来た、超重量級の重機を一撃で吹き飛ばす火砲が仮面ライダーへと放たれた!
男「!」
マズイ! もし直撃したのなら、ライダーは吹き飛び粉々に、スプレーの様に血肉が撒き散らされるだろう。
その火砲から、ライダーは避けるため、とっさに足が出た!
ダッ! とバイクが地面から離れ、宙へと跳んだ。
そして、火砲が着弾! とたんに地面が弾け飛ぶ。
男「ひぇーー!」
ダン!
キィー! グラグラ…
男「おおおお!」
男(バ…バランスが! 立て直せ!)
ブロロロッ!
男「フー…」
男(どうする! いつまでも避けきれないぞ)
男「突撃するか?」
男(……無理…無理!)
男(怖すぎ……あの弾幕をくぐり抜けれないな…)
男「なんとか注意をそらせたらな」
男「……無理か」
男(どうする…早くしないと…早くしないとあの子の親が……)
男「……」
男「!…そうだ!」
男「退却しよ」
ロボ『マ″?』
ブゥゥゥゥン…ブロロロッ!
ロボ『マ″……マ″?』
ロボ『……』
ブゥゥゥゥンッッ!
男「逃げろ逃げろ」
男「おって来てないよな…よし! おって来ない!」
男「よし! 行けるぞ行けるぞ!」
ブゥゥゥゥンッ!
・
・
・
・
デブ「……遅いな」
メガネ「ちらっと行って、助けるつもりじゃなかったのかよ」
デブ「……」
メガネ「……」
デブ メガネ((……逃げたい))
デブ(でも一人じゃ逃げづらいしな……)
メガネ(誰か逃げないかな)
少女「……」
デブ「!」
デブ「……なあ、君。とりあえず避難しようか?」
メガネ「!……小生が送るぞ」
少女「……ううん…待ってる」
デブ「そうか」
デブ メガネ((万策尽きた…))
メガネ(せめて、デブが逃げたいって言ったら、まだ逃げれられるのに…)
デブ(メガネが言ったらな…)
メガネ「……ハァ」
デブ「……ハァ」
・
・
・
・
ロボ『マ″』
ロボ『マ″!』
ブゥゥゥゥンッッ!
どこからだ?
何処からともなくエンジン音が聞こえてくる。
男「……」
ライダーだ、ライダーが戻ってきた。ライダーは決して逃げてはいなかった!
ロボ『マ″!』
ズガガガガガガガッッ!
男「くっ!」
男(もう少しだ…もう少し近づく!)
ブゥゥゥゥン! ゥゥゥン!!
ロボ『マ″ーッ!!』
ガガガガガガガッッ!
ヒュン
ヒュン
男「……」
ガリッ!
男「うわぁ?!」
男「……うわ…」
男(か…かすた…)
男(そりゃ、やっぱり近づくと当たりやすくはなるよな…)
ヒュン
ヒュン ヒュン
男「……も…もうそろそろやるぞ」
仮面ライダーがバイクを走らせながら、鋼鉄製のボールを、懐から取り出す。
男「くらえぇえ!!」
ロボ『マ″?』
プシューーー!!
ロボ『マ″ー?!』
金属球から大量の蒸気が吹き出し、瞬く間に辺り一面を白一色にした!
そう! 金属球の正体は展覧会の出展品、『超高圧蒸気ボール』
ライダーは煙幕を張る為に、これを取りに一旦撤退していたのだ。
ロボ『マ″? マ″?』
ライダーが蒸気に包まれ、姿が消えた!
だが、しかし
ブゥゥゥゥゥンッ!!
ロボ『!』
音は消えてはいなかった!
ロボ『マ″!』
ガコンッ!!
ウォーカーが音へと向けて火砲をかまえる。
そしてッ!
ロボ『マ″ーーッ!!』
ドンッッ!!
球が弾かれた。
衝撃波で煙幕が晴れ、着弾した弾が地面を爆ぜさせ撒き散らせ
バイクが金属片になりながらバラバラに吹き飛んでゆく。
ロボ『マ″?』
だが、宙を舞う破片の中には仮面ライダーの姿は無い!
ロボ『マ″? マ″?』
男「残念でした」
なんと! ライダーはウォーカーの後ろにいた!
そう! 何を隠そうライダーはあの煙幕の中をバイクを囮にし回り込んでいたのだ!
ロボ『マ″?!!』
その事に気づいたウォーカーが後ろを向くために体を捻ろうとする。
だが、時すでに遅し
グググ…
男「くらえ!!」
ライダーの鉄拳がッ!
ロボ『!』
グシャッ!!
ウォーカーの命である人工知能にメリ込んだ!
ロボ『マ″……ァァ…』
ロボ『 ……マ″…マ″』
ロボ『……』
男「……よし! やった!」
ロボ『……』
ロボ『…………マ″』
男「!」
ロボ『マ″ァァァーーッ!!』
男「まだ動くか!」
ロボ『マ″ァァァーーッ!!』
なんと、息が耐えたかに思えたウォーカーがライダーを振り払おうと突如、息を吹き返し、暴れ出した!
男「うぉぉ!」
ハチャメチャに暴れるウォーカー。
死の瀬戸際とゆうのに何故これだけの生き生きとした動きがあるのだろうか?
ズガガガガガガガガッッ!
ヒュン
ヒュン
男「おおおおおッ!」
男(脱出…脱出しなきゃ!)
ここは危険だと判断した仮面ライダーが手を引っ込め、逃げようとする。
だが!
男「え…」
男「ウソだろ…」
男「……手が引っかかった」
そう、手が引っかかってしまった!
歯車や、欠けた部品に絡まって手を引っ込め様にも引っ込める事が出来なくなったのだ!
ズガガガガガガガッッ!
ヒュン
ヒュン
ビスッ!
男「がァ!」
男「いっ……ぁ…足が…」
男(足に…被弾した…)
男「〜〜〜ッ」
男(熱い! 痛い!)
ヒュン
ヒュン
男「………クソ、痛い」
ロボ『マ″ァァーーッッ!!』
ズガガガガガガガガッッ!!
男「……」
ズガガガガガッッ!!
男「動けない…逃げれない…」
ロボ『マ″ァァァーーー ッッ!!』
男「……だったら」
ライダーが残る手の拳をグッと握り締める。
男「攻撃だ!」
ガンッ!
ロボ『マ″ガァァーーッ!!』
男「早く倒れろよォォオ!!」
ガンッ!
ガンッ!
ベキャ!
ロボ『マ″ァ! ァァァアアア!!!』
ズガガガガガガガガッッ!
ビスッ!
男「ッ!…ぐぅ…」
ガンッ! ガンッ!
ガンッ!
ガンッ!
ガンッ! ガンッ!
ガンッ!
ガンッ!
ロボ『マ″ァァ……ァァ…』
ロボ『………マ″…』
ロボ『……』
ウゥゥゥゥゥン…
ロボ『』
男「ハァハァ…」
男「ハァ…止まった?」
ロボ『』
男「ハァハァ……よし…」
男「よし…よし!」
男「よっしゃぁぁあ!!! 」
ベキ…
男「あ…手が抜けた」ハァハァ
男「ハァ…ハァ……さてと…あの子のお父さんの所に行かなきゃ」
男「ッ!」ズキ
男「あたたた…」
男「っ〜〜…こ…こっちだったかな」
・
・
・
・
〜【M&Dの蒸気機関工房】〜
デブ「うーむ…」パラ
【ロボット暴走! 地獄と化した展覧会! 死者50余名、負傷者180余名】
デブ「……」ペラ
【突如現れた、騎士! 奴は何者か?】
デブ「ふふん…」ペラ
【ジャイアント・ウォーカー VS 謎の英雄! 激闘に迫る!】
デブ「おい、メガネ見ろよ! 新聞全てに俺らの発明が載ってるぞ」
メガネ「おぉー、すげぇ」ガチャガチャ
デブ「全国紙から地方紙まで! これは鼻が高い!」
メガネ「おぉー、すげぇ」ジジッ!
デブ「……」
デブ「パンクはパンクでも、食べられないパンクはな〜んだ?」
メガネ「おぉー、すげぇ」ジジッ!
デブ「おい、話聞けよ!」
メガネ「うるせぇ!! 今、修理で忙しいんだよ!」
デブ「だから、今は休憩しろよって言っただろが!」
メガネ「イヤだね! すぐに修理して今の騒ぎを気に発表するんだい!!」
メガネ「そして、小生達の工房はいっきに有名に!! グヘヘヘ」
デブ「だからさ、発表するんだったらさぁ〜、ゆっくり丁寧に直そうぜ」
デブ「その方が人様に顔見せした時キレイで好感持たれるだろ」
メガネ「………なるほど、そうか。そうだな」
デブ「だろ?」
タン…
タン…
タン…
メガネ「お? 誰か登って来る」
デブ「従業員に30だ」
メガネ「男は病院だから従業員は無いな…客に30!」
タン…
タン…
デブ「……」
メガネ「……」
……ガチャ
男「ただいま戻りました」
メガネ「ウソぉ!? 男!」
デブ「ほれ、30よこせ」
メガネ「こないだのツケで+−な……そんな事より。病院行ったよな?」
男「いやはや、ちょっと抜けて来ました」
デブ「そうか、まあ無理はすんなよ」
メガネ「うんうん」
男「……デブさん」
デブ「お前にはキッチリ、二輪の弁償してもらわなきゃならないからな」
男「……いゃあ〜〜……あはは、そこをなんとか」
デブ「うるせぇ……あれいくらしたと思ってんだよ」
男「……治療費…弁償代…ぁぁぁ」
メガネ「あと鎧の修理費も、男の給料から引いとくからな」
男「ぁぁ…ヒーローなんて……ヒーローなんて」
男「ヒーローなんてもう懲り懲りだァァァア!!」
・
・
・
・
ブロロロ……バスンッ! バスンッ!
おっさん「よっと…」
おっさん「ここがあの兄ちゃんの工房だな」
おっさん「病院にいなかったから、多分ここだよな」
少女「…お父さん」
おっさん「ん? どうした。お姫さん」
少女「本当にケガ大丈夫?」
おっさん「へへ、大丈夫。大丈夫だから、こうやって出歩いて、お礼を言いに来てんだよ」
少女「……分かった」
おっさん「ほら、行くぞ」
少女「うん!」
〜FIN〜
くぅ疲w
また暇があれば第二部を作る予定です。
それじゃあ、HTMLに出してきます
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