~事務所~
P「……」カタカタ
乙倉悠貴「……」ソワソワ
P 「……」カタカタ
悠貴「……あのっ、プロデューサーさんっ。少しいいですかっ?」
P「ん? なんだ、悠貴」
悠貴「お仕事中に申し訳ないんですけどっ……」
P「別にいいよ。急ぎの仕事でもないしな」
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悠貴「ありがとうございますっ。あのっ……プロデューサーさんに手伝って欲しいことがあるんですっ」
P「おう。なにを手伝えばいいんだ?」
悠貴「ドラマの役の、練習をっ……」
P「ああ、『探偵・鬼ヶ島羅刹』のか。面白いよ、あれ」
悠貴「ですよねっ!トリックとかっ、毎回驚かされます……って、そうじゃなくてっ」
悠貴「……実は、次の撮影で告白する場面があるんですっ」
P「うん」
悠貴「それでっ、そのっ……プロデューサーさんに、あ、相手役をしてもらいたいなって……」 モジモジ
P「……俺に?」
悠貴「はいっ……」
P「……」
悠貴「ダ、ダメでしょうかっ……?」
P「……もしかして……」
悠貴「えっ?」
P「いや、なんでもない。……もちろんOKだよ」
悠貴「ありがとうございますっ!」
P「おう。でも、俺に天ヶ瀬冬馬の代わりがつとまるのかな 」ハハハ
悠貴「大丈夫ですよっ!天ヶ瀬さんも、よくセリフ忘れちゃったりしてますしっ」
P「そうなのか……完璧な人だと思ってた」
悠貴「天ヶ瀬さんは、結構おっちょこちょいですよっ。……でも」
悠貴「ぶっきらぼうに見えて……実は気配りができる、優しい方ですっ」
P「……よかったな、そんな人と組めて」
悠貴「プロデューサーさんが頑張ってくださったおかげですよっ」
P「……ありがとな。これからも、もっともっと頑張るよ」
悠貴「私もっ、プロデューサーさんに負けないくらい頑張りますっ!」
P「その意気その意気。……じゃ、とりあえず始めるか」
悠貴「はいっ!」
P「悠貴、台本くれるか?」
悠貴「あっ、そうですねっ。えっと……」ゴソゴソ
悠貴「……ありましたっ。はいっ、プロデューサーさんっ」
P「サンキュー。……ふーむ」ペラペラ
P「おっ、ここかな。えっと……」
P「『ありがとう。俺も同じ気持ちだ。……好きだよ、○○』……まあ、普通だな」
悠貴「普通かもしれないですけどっ、私は好きですよっ? 変にかっこつけるよりもいいと思いますっ」
P「そうだな。俺もキザなセリフはできれば……って思ってたんだ」
悠貴「そうですよっ! プロデューサーさんにキザなセリフは似合いませんっ」
P「おおう、断言するか……」
悠貴「だって、プロデューサーさんはいつもの姿が一番……か、かっこいいですからっ!」
P「そうか? ありがとな。……悠貴も、いつも通りが一番かわいいよ」
悠貴「えへへっ……ありがとうございますっ!」
P「まあ、悠貴はどんな時でもかわいいんだけどな」
悠貴「えっ……か、からかわないでくださいっ」
P「ははは」
悠貴「もうっ……」
P「すまんすまん。……ところで、そろそろやらないか?」
悠貴「あっ、そうですねっ。やりましょうっ!」
P「じゃあ、始めるぞ。えっと……」
悠貴「あ……! ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
P「どうした?」
悠貴「あの……名前を、わ、私の名前で呼んでくれませんかっ?」
P「えっ? 役の名前じゃなくて?」
悠貴「はいっ……」
P「あ……うん、いいぞ……」
悠貴「……ありがとうございますっ! それじゃあっ、セリフお願いしますっ」
P「……」
悠貴「……プロデューサーさん?」
P「……なんでもない。よし、やろう」
~廊下~
緒方智絵里「~♪」テクテク
智絵里 (えへへ……今日も四葉のクローバー見つけちゃった。最近、幸せだなあ……)
智絵里 (どれもこれも、Pさんと……事務所のみんなのおかげ……)
智絵里 (Pさんと出会って……アイドルになれたから私も変われた……)
智絵里 (このままずっと、幸せが続くといいな……あれ?)
『どうしたんだ? こんなところに呼び出して』
智絵里 (Pさんの声……誰かと話してる……?)
『あのっ……実は、私……』
智絵里 (悠貴ちゃん、かな……? どんなお話を……) チラッ
悠貴「私、あなたのことが……あなたのことが好きなんですっ!」
智絵里 (!?)
P「……」
悠貴「……初めて会ったときから、ずっと好きでしたっ。だけどっ、関係が壊れるのが怖くて今まで打ち明けられなかったんですっ……」
悠貴「でもっ、もうあなたへの想いを抑えることができなくなって……お願いしますっ、あなたの気持ちも聞かせてくださいっ」
P「……」
智絵里 (ど、どうしよう……このまま見ててもいいのかな……) アタフタ
P「……ありがとう。俺も同じ気持ちだ。……好きだよ、悠貴」
智絵里 (……えっ)
悠貴「……嬉しいですっ」
智絵里 (そ、そんな……まさか……)
P「悠貴……」
悠貴「Pさん……」
智絵里 (……!)
智絵里 (も、もう、ダメ……!) タタタッ
P「……で」
P「このあと、悲鳴が聞こえてきて」
悠貴「はいっ」
P「そこで起きた事件を、天ヶ瀬冬馬演じる鬼ヶ島羅刹がビシッと解決すると」
悠貴「はいっ」
P「なるほどな……というか、台本なしでもできてるじゃないか。すごいぞ」
悠貴「えへへっ……」
P「だけど、最後だけ間違ったな」
悠貴「えっ!?」
P「Pさん、じゃなくて羅刹さんだろ?」
悠貴「あっ……」
P「俺の名前を呼んでどうする」ハハハ
悠貴「……そう、ですねっ……」
P「どうする? もう一回やるか?」
悠貴「……はいっ、お願いしますっ!」
~廊下~
智絵里「…………!」タタタッ
智絵里「はあっ……はあっ……」
智絵里「……」ヘタッ
智絵里 (そんな……こんなことって……)
『好きなんですっ!』
『好きだよ、悠貴』
智絵里 (こんな……ことって……) グスッ
智絵里「うぅぅ……ひっく……」
??「あれ?……どうしたんですかぁ、智絵里ちゃん」
智絵里「悠貴ちゃんが……Pさんに……好きだって……」
??「それで?」
智絵里「Pさんも……ゆ、悠貴ちゃんのことが……好きだって……ひっく」
??「……そう、なんですかぁ」
智絵里「うぅ……って、えっ? ま、まゆちゃん!?」
佐久間まゆ「……悠貴ちゃんは、私のかわいいかわいい後輩ですけどぉ……ちょっとお話する必要がありそうですねぇ……」ニコォ
智絵里「あ、あああ……」
智絵里 (どっ、どどどうしよう……ま、まゆちゃんに話しちゃうなんて……)
まゆ「いつもの部屋ですよね?……ちょっと行ってきますねぇ」
智絵里「ま、待ってまゆちゃん!」
まゆ「……どうしてですかぁ?」
智絵里「えっと……それは……」
まゆ「なにもないなら、もう行きますよぉ」スタスタ
智絵里「ああ……」
智絵里「ど、どうしよう……!」
水本ゆかり「あれは……智絵里ちゃん?」
五十嵐響子「どうかしたんでしょうか?」
ガチャ バタン
まゆ「おはようございます」
悠貴「あっ、まゆさん。おはようございますっ!」
まゆ「……悠貴ちゃん、Pさんはどこですかぁ?」
悠貴「ああ、プロデューサーさんなら、もうお仕事に行かれましたよっ?」
まゆ「……そうですか」
悠貴「はいっ」
まゆ「……」
悠貴「……? まゆさん、どうかされたんですかっ?」
まゆ「……ちょっと、悠貴ちゃんとお話したいんです。……いいですかぁ?」
悠貴「はいっ。大丈夫ですっ!」
まゆ「うふ、じゃあ別の部屋でお話しましょう……来てください……」
悠貴「……? はいっ」
~~~~
ゆかり「……それで、まゆちゃんが行ってしまったと」
智絵里「うん……」
響子「悠貴ちゃんと、Pさんが……ねぇ……」
ゆかり「ちょっと意外ですね……」
智絵里 (ちょっと……?)
ゆかり「でも、二人はどうするんでしょう? もしも手を出してしまったら犯罪ですよ?」
智絵里「それは、わからないけど……」
ゆかり「まあ、Pさんに限ってそんなことはないと思いますが……」
智絵里「……」
響子「……よしっ! Pさんを思いとどまらせましょう!」
ゆかり「えっ?」
響子「このままだと、取り返しのつかないことになるかもしれません! そうなる前に早く!」
智絵里「だ、だけど、どこにいるのかわからないし……」
響子「ですよね……」ガクッ
ゆかり「……取り敢えず、現場に行ってみては? ここにいるよりはいいでしょうし」
智絵里「確かにそうだね……」
響子「それじゃあ、行きましょう!」
タタタッ
智絵里「さっきは、この部屋にいたんだけど……」
ゆかり「誰もいませんね」キョロキョロ
響子「違うところ、探してみましょうか……」
P「あれ? お前たち、なにやってるんだ?」
智絵里「ひっ!?」
ゆかり「ぴ、Pさん……いたんですか」
響子「も~っ、驚かせないでくださいよ!」
P「す、すまない。……で、こんなところでなにやってるんだ?」
響子「なにって、Pさんを探していたんですよ!」
P「俺を? どうしてだ?」
智絵里「そのっ、Pさんに……か、考え直してもらうためです……」
P「……?」
ゆかり「……間違っていたらすみません。……Pさんは、悠貴ちゃんと付き合っているんですか?」
P「……は?」
ゆかり「違うんですか?」
P「ちょっと待ってくれ。どうして、そうなってるんだ?」
響子「智絵里ちゃんが、告白するところを見ていたらしくて……」
智絵里「す、すみません……覗き見するつもりはなかったんですけど……」
P「告白……悠貴に……ああ、もしかして……」
ゆかり「心当たりがあるんですか……? まさか本当に……」
P「違う違う。智絵里が見たのは多分、演技の練習しているところだ」
智絵里「え、演技?」
P「ああ。次のドラマに、告白する場面があるから、相手役をやってくれって悠貴に頼まれたんだよ」
三人「……」
P「うん」
ゆかり「……ということは、つまり」
響子「これは……」
智絵里「すっ、すみません! 私が勘違いしたばっかりにっ」
ゆかり「……いえ、いいんです。勘違いは誰にでもありますし」
響子「むしろ、よかったですよ! Pさんが正常な人だってわかったんですからっ」
P「……お前たちには、俺がそんなことをするような奴に見えていたのか」 ハァ
響子「あっ!?そ、そんなことは……はい、 すみません……」
P「冗談だよ。……とにかく、誤解が解けてよかったよかった」ハハハ
ゆかり「ふふっ、そうですねっ」
響子「あははっ……」
智絵里 (はあ……私の勘違いで、みんなに迷惑かけちゃった……)
智絵里 (でも、勘違いでよかったな……えへへ)
智絵里 (……あれ? なにか忘れてるような……)
P「……そうそうみんな、まゆがどこにいるか知らないか? もうすぐ仕事なんだけど……」
智絵里 (そうだ、まゆちゃんのこと忘れてた……)
ゆかり「まゆちゃんなら、悠貴ちゃんと一緒らしいですよ? ですよね、智絵里ちゃん」
智絵里「う、うん。そのはずなんだけど……」
響子「悠貴ちゃんの居場所もわからないんですよね……」
P「だよな……探しに行かないと――」
響子「……! ちょ、ちょっと待ってください!」
P「ん?」
響子「なにか、聞こえませんか……?」
『……やめて………どうし……』
『……こと………関係ない……』
P「確かに……多分、あっちの部屋からだな」
ゆかり「なにか、不穏な単語が聞こえたような気がしましたけど……」
響子「いったい、なにが……」
『ま、待って! せめて話を……話を聞いてくださいっ!』
P「!?」
ゆかり「今のって、悠貴ちゃんの声ですよね……?」
『聞く必要などないわ。……死んでちょうだい』
智絵里「ま、まゆちゃん……」
『そんなっ! ひっ……こ、来ないで……』
『うふ、うふふふふふふふふふ……』
『い、いや……いやあああああああああっ!!』
ガチャ バタン
P「悠貴っ!!!」
まゆ「あら……?」
P「おいまゆ!! 悠貴になに……って」
悠貴「あれっ? プロデューサーさん、どうしたんですかっ?」
P「ゆ、悠貴……大丈夫なのか……?」
悠貴「えっ? ど、どうしてですかっ?」
P「だって、あんなに大きな声で悲鳴を……」
悠貴「悲鳴?……ああ」
ゆかり「……! もしかして……」
悠貴「……あれは、まゆさんに手伝ってもらってたんですよっ。演技の練習を」
響子「あ、やっぱり」
P「な、なんだ……よかった」
まゆ「……Pさん、まゆになにか言うことがあるんじゃないですかぁ?」
P「ああ、そうだな。……まゆ、怒鳴ったりして悪かった。すまない」
まゆ「うふ、いいですよ♪ 許してあげます」
智絵里 (よかった……大変なことになってなくて……) ホッ
P「……そうそう、まゆ。そろそろ仕事だぞ? 準備できてるか?」
まゆ「はい♪ いつでも大丈夫ですよぉ」
P「よし、じゃあもう行こうか。……そうそう、悠貴」
悠貴「はいっ、なんでしょう?」
P「演技の練習を続けるなら、ゆかりたちにアドバイスもらったらどうだ?」
ゆかり「私たちに、ですか?」
P「三人とも色々な役を経験してるだろ? ホラーとか、ファンタジーとか……」
響子「あ、確かにそうですね……聖靴学園とか」ナルホド
P「よろしく頼むぞ。……待たせたな、まゆ。行こうか」
まゆ「はい♪……悠貴ちゃん」
悠貴「……? なんですかっ」
まゆ「……頑張って、くださいね?」
悠貴「……!はいっ、頑張りますっ!」
まゆ「うふふ……」
ガチャ バタン
悠貴「それじゃあ、皆さん。お願いしても……?」
ゆかり「ええ、いいですよ」
響子「教えられることなら、なんでも教えます!」
智絵里「わ、私でよかったら……」
悠貴「みなさんっ、ありがとうございますっ!」
ゆかり「いえいえ」
響子「よしっ、じゃあ始めましょう!」
~車内~
P「……」
まゆ「……」
P「まゆ。珍しく黙ってるけど……なにかあったのか?」
まゆ「……Pさん」
P「おう」
まゆ「Pさんは……まゆのこと、好きですか?」
P「……おう」
まゆ「じゃあ、みんなのことは?」
P「……まゆのことも、みんなのことも、好きだ」
まゆ「……Pさんなら、そう言うと思ってました」
P「……まゆ」
まゆ「……少し、お話してもいいですか?」
P「……ああ」
まゆ「まゆは、Pさんが大好きです。……いえ、愛しています」
まゆ「でもPさんは、いつもみんなを見てました。……まゆだけじゃなくて、みんなを」
まゆ「まゆだけを見ていてほしい、まゆだけを好きでいてほしい、まゆだけを……愛してほしい」
まゆ「そんなふうに、いつも思ってました」
まゆ「……でもまゆ、気づいたんです」
まゆ「そんなことをしても、Pさんは……みんなのことが大好きなPさんは、絶対に喜ばない」
まゆ「まゆは……Pさんが悲しむ姿なんて見たくない。まゆのせいでそんなことになるのだけは……絶対にイヤなんです」
P「……」
まゆ「もちろんまゆは……いつか、Pさんの隣に立ちたいですけど」
まゆ「もしも、その時……別の人が立っていたとしても」
まゆ「それが、Pさんが心から望んだことなら……まゆは、Pさんの幸せを願います」
まゆ「だって、Pさんの幸せは、まゆの幸せ。……Pさんの悲しみは、まゆの悲しみですから」
P「……すまない、まゆ。俺は……」
まゆ「うふふっ。もちろん、諦めるなんてこと、しませんよ? Pさんが振り向いてくれる、その時まで……」
P「まゆ、お前……」
まゆ「いいんです。……さあ、お仕事頑張りましょう?」
P「……ああ」
まゆ「……」
まゆ (……やっぱり、厳しい道ですね。でも……)
~~~~
まゆ「……演技の練習?」
悠貴「はいっ」
まゆ「なんだ、そうだったんですかぁ……」
悠貴「す、すみませんっ。勘違いさせてしまったみたいで……」
まゆ「……いえ、いいんです。智絵里ちゃんも悠貴ちゃんも悪くないですから」
~~~~
まゆ「……演技の練習?」
悠貴「はいっ」
まゆ「なんだ、そうだったんですかぁ……」
悠貴「す、すみませんっ。勘違いさせてしまったみたいで……」
まゆ「……いえ、いいんです。智絵里ちゃんも悠貴ちゃんも悪くないですから」
まゆ (でも、そんなお願いをするってことは……やっぱり……)
悠貴「そうだっ!まゆさん、もしよければ練習に付き合ってもらっても……まゆさん?」
まゆ「……」
悠貴「まゆさん? どうかしたんですかっ?」
まゆ「……悠貴ちゃん」
悠貴「はいっ」
まゆ「悠貴ちゃんは、Pさんのこと好きですかぁ?」
悠貴「えぇっ!? え、えっと……」
まゆ「正直に、お願いします」
悠貴「……はいっ、大好きですっ!」
まゆ「……そうですかぁ」
まゆ (やっぱり、ですね……)
悠貴「でも……」
まゆ「?」
悠貴「……子どもの私なんて、相手にされてませんよねっ……」
まゆ「……」
悠貴「事務所のみなさんは、素敵な方ばかりですし……」
まゆ「悠貴ちゃんも、十分素敵ですよぉ?」
悠貴「そうでしょうかっ……」
まゆ「……」
まゆ「……大丈夫、悠貴ちゃん」
まゆ「確かに、今は相手にされていないかもしれません」
まゆ「……でもそれなら、自分を磨けばいいんです。いつかそんな日が来ると信じて」
悠貴「まゆさん……」
まゆ「待って、待って、待ち続けて……その間に、自分にできることをやりきるんです。……そうすれば」
まゆ「……どんな結果になっても、悔いはないと思うから」
悠貴「……!」
まゆ「……でも、みんなも譲る気はないと思いますけどね。もちろん、まゆもです」
悠貴「……わ、私も負けませんっ!」
まゆ「うふふ、その意気です。……それじゃあ練習、始めましょうかぁ」
悠貴「……まゆさんっ」
まゆ「はい?」
悠貴「あのっ、うまく言えないんですけどっ……ありがとうございましたっ!」
まゆ「いえいえ。……頑張って、くださいねぇ?」
悠貴「はいっ、頑張りますっ!」
まゆ (……絶対、負けませんよ? 悠貴ちゃん)
~~~~
P「ただいま……なんて言っても誰もいないか」
悠貴「あっ、プロデューサーさんっ!」
P 「……」
悠貴「お疲れ様ですっ!」
P「……ありがとう、悠貴。まだ残ってたのか」
悠貴「す、すみませんっ……」
P「いや、別にいいんだけど……どうしたんだ? 俺になにか用か?」
悠貴「……そのっ、プロデューサーさんに、伝えたいことがあって……」
P「……!」
悠貴「今、いいですかっ?」
P「……おう」
悠貴「あのっ、私……私っ」
P「……」
悠貴「――私、トップアイドルになりたいんですっ!」
P「え……?」
悠貴「今までは、かわいくなれれば……かわいいアイドルになれればいいなって思ってましたけどっ」
悠貴「でも、今は違います……今は、トップアイドルを目指してみたいんですっ!」
P「……簡単な道じゃないぞ」
悠貴「……確かに、私一人で進むには長すぎる道です……でもっ」
P「プロデューサーさんや……事務所のみなさんと一緒に進んでいけば、きっと……」
悠貴「進んでいった先にある……明るくてきれいな景色を、見ることができると思うんですっ!」
P「……」
P「……そうだな。確かに、景色を見せるのは俺の仕事だ」
P「だけど、見ようと思わなければ……決して見ることはできないよな」
P「……嬉しいよ。悠貴が気持ちを伝えてくれて」
悠貴「私も……私の気持ちを、伝えられてよかったですっ」
P「……ただ、一つだけ聞いてもいいか? いったい、どうして……」
P「……」
悠貴「どうして、なんですかっ?」
P「……いや、なんでもない。忘れてくれ」
悠貴「? わかりました……」
P「……もう遅いし、送っていくよ」
悠貴「はいっ」
~寮~
P「……ここまでだな」
悠貴「送ってくださってありがとうございましたっ!」
P「どうしいたしまして。……じゃあな悠貴」
悠貴「あっ、プロデューサーさんっ」
P「ん?」
悠貴「私、トップアイドル目指して頑張りますからっ」
悠貴「明日からも……プロデュース、よろしくお願いしますねっ!」
P 「おう。……任せてくれ」
悠貴 (……もしも私がトップアイドルになれたら、その時は――)
悠貴「ふふっ……じゃあおやすみなさい、プロデューサーさんっ」
P「おやすみ、悠貴」
悠貴 (――私の心からの気持ち、伝えますからねっ!)
これで終わりです。
思いやりの気持ちは大切だと思います。自分勝手になってはいけませんよね。
見てくれた方々、どうもありがとうございました!
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