吹雪「どう考えてもこの鎮守府はおかしいです!!」 (1000)

吹雪「吹雪です!本日もよろしくお願い致します!」ビシィ

提督「え、あ、はい」ピシッ

吹雪「……」ニコニコ

提督「……」ポカーン





※長くなるかもしれないが↓から読んでってくれ、すまぬ……すまぬ……

1スレ目「この鎮守府はおかしいです!!」 
吹雪「この鎮守府はおかしいです!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422813372/)

2スレ目「やっぱりこの鎮守府はおかしいです!!」
吹雪「やっぱりこの鎮守府はおかしいです!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424708332/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426297599


やっとパソ子ちゃんが機嫌直してくれた……まさか一晩かかるとは……
というわけでお風呂入ったら始めるぜ

酉テス

最後の一文字打ち忘れるだけで全く違う鳥になっちまった、すまん

自販機室

提督「全く……呉も横須賀もなんでこうワケの分からないトラブルを起こすんだ……何飲む?」

伊58「上がダメだと下が苦労する、そして下も下で足を引っ張り合ってるでち……あ、サイダーで」

提督「組織そのものがダメダメじゃん……と言うか下もダメなの?うちの軍って」ピッガタンッ ピッガタッ

伊58「資材確保がゴーヤ達リンガ便りって地点でもうお察しでち」プシッ ゴクッ

提督「確かになー……一応遠征出せば君ら便りでなくても資材は手に入るけど……」カチャッ ゴクッ

伊58「実際そうはいかないからねー……面倒でち……」

提督「…………吹雪ちゃん大丈夫かな……?」

伊58「……さぁー……」

提督「……オレンジジュースでも渡せば機嫌直るかな……」ピッガタッ

伊58「気休め程度にしかならないと思うでち」

提督「……確かにそうだな……まぁないよりはマシだ」


提督「……それにしても……」

伊58「……?」

提督「…………何結局言われたの?吹雪ちゃん……」

伊58「……一言で言えば、役立たずは役立たずらしくしてろ……でち」

提督「…………」

提督「……なるほど……それだけ?」

伊58「外の世界を知って間もないあの子には十分過ぎる起爆剤でち、それにあのしゃべり方じゃ……ね……」

提督「ふぅん…………」

伊58「…………」トケイカクニン

伊58「そろそろ落ち着いたかな……」

提督「……そうだな、30分位経っただろうし……ちょっと見に行くか」


カラッ カラッピシャ

提督室

天龍「…………」

横督「…………」カタカタカタ

天龍「…………ったく……お前は本当に……」

横督「用がないなら失せろ、仕事中だ」カタカタ

天龍「いい加減素直になれってんだ、まともに会話もできねぇのか?」

横督「私はしっかり会話している、言葉が通じない向こうが悪い」

天龍「またそれかよ……チッ……」

横督「それを伝えるためにわざわざ来たのか?随分暇を持て余してるようだな」

横督「そんなに暇なら外でも歩いていろ、貴様とは違ってうちは忙しいのでな、仕事が無いなら探せ」

天龍「……わーったよ!クソ提督が」

横督「目障りだ、恨み言を言う前に視界から消えろ」

天龍「……いつか刺されるぞ、お前」バタンッ









休憩室前

吹雪『…………』

吹雪『…………』

吹雪『…………うぅ……!!!』ガクッ

提督「…………」チラ

伊58「……」コクッ

提督「……よし……」

コンコン

吹雪『……誰?』キッ

提督「吹雪ちゃん、俺だよ、落ち着いた?」

吹雪『…………ゴーヤさんもいるんですか……?』

伊58「ここにいるよ……?吹雪ちゃん大丈夫?」

吹雪『はい…………入って……いいですよ……』

提督「おう、じゃあ入るよ」

ガラッ ガラッピシャッ



提督「……大丈夫か?」サスサスッ

吹雪「……」コクリ

提督「…………」

吹雪「……司令官……」

提督「…………」

吹雪「ぐっ……うぅう……」ギュゥゥ

提督「…………」

吹雪「……ひくっ……うっ……うぅ……!!」ポロポロ

吹雪「…………何で私だけ……なんでぇ……!!!」ギュゥゥ!!!

提督「…………辛いな……」

提督「…………辛いよな…………」ポンポン

提督(何人もの妹を持つ姉が、妹より劣ってる……ねぇ……)

提督(……俺は一人っ子だからよく分からんが……)

吹雪「……白雪ちゃんも……グズッ……皆……皆頑張ってるのに私は……っ!!私はぁ……!!」

吹雪「私だって…………私だって誰かに役に立ちたいよ!!!」

提督「…………」

提督「……そうだよな……お姉さんだもんな……吹雪ちゃんは……」ナデナデ

吹雪「…………司令官……!!しれい……かん……」ジワァ

提督「……吹雪ちゃんの頑張りは俺が一番よくわかってる、ベタなセリフだけどこれは本当だ」

吹雪「司令官…………」

提督「いつも俺を叱ってくれるし、川底棲艦だって吹雪ちゃんがいなかったら見つかってなかった……」

吹雪「でも私は……!!他の皆みたいに命がけで働いてない……!こんなの頑張ってるって言えないよ!!」

提督「何言ってるんだ、命がけだけが頑張りじゃないよ」

吹雪「私は艦娘なの!!戦うために生まれてきたの!!こんなんじゃ……何のために生きてるのかわからないよ……!!」ポロポロ

提督「それだけが艦娘……というか吹雪ちゃんの存在意義じゃあないと思うぞ?」

吹雪「……司令官に何が……!!」

提督「分かるさ、こう見えても吹雪ちゃんを1ヶ月弱面倒見てるからね」

吹雪「じゃあ私の存在価値はなんだって言うの!?答えてよ!!」

提督「二丁目を運営するには君がいないと鎮守府が成り立たないじゃないか」

吹雪「……それだけですか……!?」

提督「十分すぎると思うけどね、俺からすれば君の存在がとても大きなものに感じる」

提督「逆に君が居なかったら俺は今でも空き家同然の所でニートみたいな生活を続けてるんだ」

吹雪「でも……!!」

提督「君がいることによって俺はちゃんと提督の俺でいられる」

提督「俺からすれば吹雪ちゃんは役立たずなんかじゃない、二丁目鎮守府の立派な秘書艦だ」

提督「…………それだけじゃ、不満かな?」

吹雪「でも……!!でも私は……!!」

提督「……まぁ……すぐに分かれとは言わないよ、吹雪ちゃんの気持ちだってよく分かる」

提督「……俺も吹雪ちゃんと同じで、他の鎮守府の活躍を見ることしか出来ないからね」

提督「……だからさ吹雪ちゃん、こう、上手く言えないけどさ……俺達は俺達で最善を尽くそうよ、変に背伸びしないでさ」

吹雪「……司令官……でも……でも……!!」

提督「なぁに少しずつ良くなる、気長にやればきっと幸せ来る、その幸せが歩いてくるまで待つんだ、勿論、笑顔でな」

吹雪「…………司令官………………司令官…………うぅ……ごめんなさい……ごめんなさい……!!」ポロポロ

提督「……言ったそばから泣いて……まぁいいか……笑うのは明日でもできるし」ナデナデ

ウゥ……グスッ……ウウウウ……

伊58(……おかしな鎮守府でち……)

ガラッ ガラッピシャッ

伊58(……戦う生き物であるはずのゴーヤたちに戦いを共用しない鎮守府……)

伊58(……そんな鎮守府があるなんて……)

伊58(……いまだに信じられないよ……)

伊58(もしかしたら二丁目鎮守府は艦娘の新たな可能性を見出してくれるかもしれないでち……)

伊58(戦う以外のゴーヤたちの使い方……)

伊58(深海棲艦が居なくなった後の事を想定されてないゴーヤたち艦娘を……助けてくれるかも……)

伊58(…………買いかぶり過ぎかな)フッ

伊58「さーって……吹雪ちゃんも少しは落ち着いたし、ゴーヤはもう少し鎮守府を探検しようかなーっと」

タッタッタッタッタッタ

隠れ棲地

空母ヲ級「さて……作戦決行は明日だ……何か懸念点はあるか?」

戦艦レ級「はい!あります!」ビシィ

空母ヲ級「何だ」

戦艦レ級「今日の真っ昼間に呉から飛んできた哨戒機を撃ち落としました!」

空母ヲ級「あぁ……落としたな……それがどうした?」

戦艦レ級「で、えへへ……それでなんですけど……」テヘヘ

空母ヲ級「何だ、もったいぶらずに話せ」

戦艦レ級「…………えーっと……」ナハハ

空母ヲ級「早くしろ、でないと知らんぞ、蹴るぞ」

戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「……弾薬、底ついちゃいましたー」ニハーッ

空母ヲ級「歯ァ食いしばれぇええええ!!!!」ベシコォォン!!!

空母ヲ級「弾薬が底をついただとぉ!?冗談だな!?冗談に決まってる!!」

戦艦レ級「ホンットに申し訳ないです……まさか二発使うことになるとは思わなくて……」

空母ヲ級「何してくれてるんだお前!!どうするつもりだお前は!これじゃお前ただの笑顔がキモいお姉さんだぞ!?」

戦艦レ級「キモイだぁ!?てめぇそんなこと考えてたのか!?アァ!?聞き捨てならねぇなコラァ!!」

空母ヲ級「黙れ!!お前のせいでまた作戦を考えなきゃならないんだ!!お前はそこで座ってろ!!」ビシッ!!


めっちゃ尖った岩「ドーゾ」


戦艦レ級「だぁれが座れるか!!んな尖った岩の上で座ったら尻が破滅するわ!!」

空母ヲ級「罰だ!!座れ!!」

戦艦レ級「やだ!!」ツンッ

空母ヲ級「座れ!!!」

戦艦レ級「絶対に嫌だ!お前が座れ!!尻開いて座れ!!」

空母ヲ級「弾薬使いきった犯人がよくそんなエラい口開けるな……えぇ!?」ギロォッ!!

戦艦レ級「うぐっ……だ、誰が座るかよ!!お前が座らないならアタシは座らない!!」ツーンッ

空母ヲ級「いいからっ!!座れって!!」ローキック ニーキック

戦艦レ級「うぎゃんっ!やめっ!!いでぇ!!なにしやが……ヒッ……!?」

空母ヲ級「言ってるだろうが!!!」マワシゲリ

戦艦レ級「うぎゃぅっ!?」ブワッ


ズンッ アッーーーー!!





空母ヲ級「全く……作戦を考えなおさないと……どうする……」ムムム

戦艦レ級「ウゥ……アタシ犯された……おしり痛い……」ウルウル

空母ヲ級「弾薬がないとなるとあえて変装せず威圧だけで勝負する方が効果的か……」

戦艦レ級「ね、ヲ級……アタシのお尻変じゃないよね……しっぽ穴あいてない?」フリフリ

空母ヲ級「となると…………早い所あの駆逐艦を人質にとって提督を脅迫するk」

戦艦レ級「ねーってばぁー、しっぽアターック」ペチペチ

空母ヲ級「…………」ビキッ

ガシッ グニグニグニグニッ

戦艦レ級「ひゃんっ!?い……あぁん……やめ……」

キュゥゥゥゥ

戦艦レ級「やぁぁん!!やめてっやめてってばぁ!!わかった……分かったもうしないから!しないからぁ!!」

空母ヲ級「……哨戒でもしてろ!全く……!!」

夕方

横須賀鎮守府 正門前

提督「……ふぅ……とりあえずこれで荷物は全部だな……意外と多いもんだな……」

提督「念のためもう一度……えっとまず勲章だろ?階級章……海軍カレー(レトルト)……で、各種書類」

提督「……書類ねぇ………」ペラ

提督「……」

提督(……帰ってから読むか)ゴソッ

提督「吹雪ちゃーん?58ちゃーん?行くよー?」

伊58「準備オッケーでち!」タッタッタッ

吹雪「は、はーい!」トテトテ

提督(機嫌直ったみたいだな……良かった)

提督「一応挨拶とかは済ませたし、後は帰るだけだ、忘れ物はない?」

吹雪「はい!大丈夫です!」

伊58「ゴーヤも大丈夫、もう思い残すこともないでち!」

提督「そうか、じゃあ行くか」


正門前

若葉「……ん、帰るのか?」

提督「あぁ、門開けてくれるかな?」

若葉「分かった……」カチャッ

若葉「二丁目提督がお帰りです」

若葉「………了解」カチッ

若葉「開けるぞ」

提督「ありがとう」

ガララララララララララ ッガゴン

提督「さ、行くか」

吹雪「えぇ、行きましょ」

横督「待て」コツコツコツコツ 

吹雪「ひっ!!」ビクッ 

提督「……横須賀提督……」

横督「変える前に来れを受け取れ」ポイッ

提督「……?」パシッ

提督「……USBですか?何でこんなものを……」

横督「……このUSBの中身を呉に送れ、私が送ったことは伏せるように、と叢雲に頼まれた、拒否は許さん」

提督「は、はぁ……はい」

横督「それと特型駆逐艦、吹雪」

吹雪「……」ギロッ

横督「……白雪を守れ、貴様の出来る方法で支えろ、いいな」

横督「……呉だけでは頼りない、ヤツらに吹雪型を扱う器量があるとは思えん……お前が影で吹雪型を支えろ
    ……吹雪型の長女である貴様なら出来るはずだ」

吹雪「………………それは命令ですか?」

提督(……いきなりどうしたんだろ……)ヒソヒソ

伊58(男のツンデレというやつでち)ヒソヒソ

提督(……やっぱりそうなのか……)ヒソヒソ


横督「……命令ではない、助言だ」

吹雪「…………」フゥ

吹雪「…………なら、長女として当然の行為を自分の意志で行います、あなたには関係ありません」

横督「そうか、なら……好きにしろ」

吹雪「分かっています、助言、感謝します」

横督「……」

横督「伊58」

伊58「……」

横督「……体は資本だ、大事にしろ、以上だ」

伊58「ホント……ゴーヤは何しにここに来たんでち……?」

吹雪「……」ムスッ

提督「……はは……じゃ、行くか……」

伊58「……うん」

テクテクテク

若葉「……特型駆逐艦……だったな?」

吹雪「……?」

若葉「龍田さんからの伝言だ」

吹雪「龍田さんから?」

若葉「……自分に自信を持て……だそうだ」

吹雪「!」

若葉「……横須賀の艦娘はお前を応援している、無論私もだ、提督はどうか知らんが」

若葉「……がんばれ、お前なら大丈夫だ」フッ

吹雪「は、はい!」


提督「おーい、吹雪ちゃーん!」

伊58「置いていっちゃうよー?」

吹雪「は、はい!……えっと……」

若葉「若葉だ」

吹雪「若葉さん……ありがとう……!じゃあ……失礼します!」

タッタッタッタッタ

モー、シレイカーン!オイテイカナイデクダサイヨー! ダッテオソイモン ナニヤッテタンデチ?



休憩室

叢雲「……姉さん……行ったみたいね」 

天龍「……珍しいな、お前が姉のことを姉さんって呼ぶの」

叢雲「……今日くらいいいじゃない、せっかくあの子が来たんだから……」

天龍「……提督にこっぴどく絞られた見てぇだが、あの様子じゃ乗り越えたみたいだな」

叢雲「…………また司令官がわけ分かんないこと行ったんでしょ?」ハァ

天龍「…………まぁな……人と話せない病気ってのは怖いもんだ」

叢雲「……ったく……」

ってなわけで……今回はこの辺でオリョクるでち
……酒飲んだ後は誤字が目立つな……

龍が如くのムービーって長いな……とりあえず11時には始めたいです

さて、やりますか

電車内

吹雪「ふぅ……疲れたぁ……よいしょっと」ストッ

伊58「色々ありすぎて疲れたよぉ……」ポスッ

提督「はぁ…………やっと電車かぁ……これで少しは落ち着けるな……空いててよかった……」トスッ

吹雪「空いてますね……何でだろ……」キョロキョロ

提督「さぁ……夕方といえば通勤ラッシュで一番混む時間帯だけど……空いてるな……」

伊58「こんな所で仕事する人なんか居ないでち、この辺の土地は全部横須賀鎮守府のものだしね……」

伊58「乗る人といえば遠くに買い出しに行く艦娘か演習目当ての軍事マニアだけでち」

提督「そうなのか……横須賀については詳しくないからなぁ……」

伊58「ゴーヤもこのくらいしか知らないでち……ふぁぁ……疲れた……着いたら起こしてねー……」

吹雪「…………」スヤスヤ

提督「……全く……まぁいいか……」

ガタンゴトンッゴトンゴトン


提督(……情報伝達役ねぇ……)

提督(…………)

提督(……帰ったら長門さんに話聞いてみようかな……)

提督(……にしてもMI作戦か……FSはもう大丈夫なのか?……)

夜中 前浜町 バス停

提督「…………ふぅ……着いた……よっこいしょ……」

伊58「んー……てーとくー……」ムニャムニャ

吹雪「司令官、重くないですか?」

提督「重くない重くない、あ、でもさすがに荷物は持って欲しいかも」

吹雪「はーい……よいしょっと……」

提督「悪いね、58ちゃんの荷物は俺が持つからさ」

吹雪「はい!……泊まりにならなくてよかったですね……」

提督「そうかな……せっかく荷造りしたんだし一泊くらいしても良かったけどなぁ……」

吹雪「ヲ級やレ級たちを待たせたくなかったから……それに司令官……明日の朝ご飯作ってなかったでしょう」ジッ

提督「あ、そういやそうだったな……」

吹雪「……全く……」

提督「すまんすまん……じゃ、帰るか……」

吹雪「はい……ん?」ピクッ

吹雪「……?」チラッ


ササッ



吹雪「あれ…………気のせいかな……」

提督「どした?」

吹雪「あ、いえ……行きましょう、ヲ級たちが待ってます」

提督「あぁ、さっさと帰ろう……流石に疲れた……」




物陰

レ級「……艦載機の観測通りだ……あのガキ共1日早く帰ってきやがった……」ヒソッ

ヲ級「…………ついに燃料も底をついたな……帰りはどうするんだ」

レ級「海の底歩いて帰れば問題ねぇよ……取り返しゃこっちにがっぽり資源が入んだ」

ヲ級「そうか……まぁそうだな……」

レ級「……腹減ったな……」ゲッソリ

ヲ級「あぁ……生活がかかってる……確実に…………うぅ」グゥゥ

ヲ級「……失敗は許されないぞ……深海棲艦が海の底で餓死など……シャレにならないからな……」

レ級「当たりめぇだ……アタシは生き残る……生き残るためにアイツを捕まえる……」

ヲ級「だが焦るな……何とかしてあの二人を分散させるんだ……燃料も弾もない私達じゃあの男にも勝てない……」

レ級「あのガキが艤装背負ってなくて安心した……アイツ一人なら二人がかりで勝てる……!」

ヲ級「ずいぶん自信なさげだな……戦艦だろお前」

レ級「燃料も弾がないんじゃ人間と大差ねぇよ……ほら、尾行るぞ」テクテク

ヲ級「……あ、あぁ……」テクテク

前浜町

提督「艦娘一人背負うと……この坂道もキツイな……っと……」テクテク

吹雪「二人分の荷物も……なかなか腰に来ますね……」

提督「はは……帰ったらお互いマッサージしなきゃな……」

伊58「…………」

提督「この子は俺らよりもずっと大変な思いしてたんだよなぁ」ナデナデ

吹雪「鎮守府のライフラインの一人ですからね……ゆっくり休ませたいです……」

提督「あぁ……積年の疲労を少しでも和らげてあげないとな……」


ヒュン カツッ カラカラカラ


提督「龍田さんってどんな人だったの?」

吹雪「最初は怖い人でした……本当に……」

吹雪「笑顔と猫なで声だけで命の危機を感じるほど……」

提督「そ、そんなに怖い人なのか……?」

吹雪「あれで天龍さんの妹……未だに信じられません……」

提督「そ、そうなんだ……むしろ会ってみたいな……」

吹雪「でもアドバイスは的確でしたし、ちゃんと話したらとてもいい人だったんです!」

吹雪「また会えたらいいなぁ……」


ア、アレ、オカシイナ… モウイチドナゲテミロ 

カッ カッ コロコロコロコロ


提督「あぁ……疲れた……」

吹雪「お疲れ様です……帰ったらゆっくり休んで下さい」

提督「あぁ、そうするよ……ビールが恋しい……」

吹雪「司令官、そういえば最近お酒飲んでませんよね」

提督「飲兵衛じゃないからな、飲みたいときに飲む派なんだよ」

吹雪「そういうものなんですか?」

提督「あぁそうとも、お酒は毎日飲むシロモノじゃないからな」

吹雪「ふぅん……あ、つきましたよ」

提督「やっと着いたか……えーっと鍵鍵……」


カンカンカンッ コロコロコロコロコロ


提督「……っと……ただいまーっ」カチッ ガラララ

吹雪「ただいまー……」

ガララララッ ピシャッ


物陰

空母ヲ級「無視されてるのか!?気づかれてないのか……くそっ!!何で気づかないんだ!!」

戦艦レ級「…………さぁ……」

空母ヲ級「どうするんだ!!もうあいつら家に入ってしまったぞ!?」

戦艦レ級「……まだ手はある……!」

空母ヲ級「何だ……その手っていうのは」

戦艦レ級「こうなりゃやるしかねぇ……こいつの家に直接乗り込んで猫艦戦を取り返すぞ」

空母ヲ級「な、何を言っている!お前死ぬ気か!?」

戦艦レ級「石で分散作戦が失敗となりゃ……もう強行突破しかねぇ……」

戦艦レ級「今帰ったら夜が明けて哨戒機か艦娘の巡回でぶっ殺されるのが関の山だ……」

戦艦レ級「燃料も弾も尽きたアタシたちは……もう前に進むしかねぇんだよ」

空母ヲ級「……だが……!」

戦艦レ級「安心しろ……アタシたちは変装してない、お前も帽子脱いでるせいで分からねぇけど見た目はヲ級そのものだ」

戦艦レ級「上手く行けば見た目と虚勢の脅迫だけであの間抜け面人間を屈服させられるはずだ」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「腹くくれ……」

空母ヲ級「……あぁ……」

戦艦レ級「……お前と一緒にいて楽しかった……何年の付き合いだったかな……?」

空母ヲ級「ふっ……4年だ……暇な毎日だったな……」

戦艦レ級「二人で遊びを探して……哨戒しながら連絡取り合って……」

空母ヲ級「喧嘩したけど仲直りして……全く……楽しかったよ……」


戦艦レ級「……生きて帰ろう、かならず!」ギュッ

空母ヲ級「……あぁ!」

戦艦レ級「……行くぞ……!」

ガッ

戦艦レ級「……っん!!」

ガッ

戦艦レ級「…………あれ?」

空母ヲ級「……?」

ガッ ガッ ガッ

戦艦レ級「……ドアが開かねぇ……」

空母ヲ級「……まさか……」

戦艦レ級「……鍵……かけられた……」

空母ヲ級「……万策尽きた……」ガクッ

リビング

吹雪「……?」

ガタガタガタッ

提督「……どうした?」

吹雪「いえ……誰かドアの前にいるのかな……?」

提督「マジ?こんな時間にか?」

吹雪「えぇ……」

ヒソヒソヒソッ

吹雪「ほら……やっぱり誰か居ますよ……」

提督「ホントだ……何か話してるみたい……」ピクッ

提督(……まさか……またあの深海棲艦か……?)

提督(……となると……もう迎撃するほうがいいか……いや……相手はあの戦艦レ級が居る……)

提督(…………吹雪ちゃんでは無理だ……ここは普通に追い返す方がいい……)

提督(だが……3回目となると万が一があるな……吹雪ちゃんには艤装を装備させよう……!)


提督「吹雪ちゃん」

吹雪「?」

提督「艤装を装備して俺の後ろに居てくれ、ちょっとヤバイかもしれない」

吹雪「!」

提督「……全部装備しなくていい、機関部と艦砲だけ装備してくれればいい」

吹雪「は……はいっ……!」

提督「あまり面倒が起きないようにするけど……頼む」

吹雪「司令官……お気をつけて!!すぐ戻ります!」


ガチャッバタンッ ギィギィギィギィ……!!


提督「全く……猫艦戦はないって言ってるのに……!今度は何しに来たんだ……」

スタスタスタスタ カチッ ガララッ!!!



玄関前

空母ヲ級「そういえば、家主を呼び出すボタンが…………あ?」

戦艦レ級「そうだ!忘れ……ん?」

提督「…………」

提督「…………」

ガラッピシャッ カチッ

空母ヲ級「開いたぞ!急げ!!」ビターーンッ!!

戦艦レ級「あぁーあ……また閉まっちまった……」

空母ヲ級「…………くそっ……顔が痛い……」ヒリヒリ

戦艦レ級「だが……アタシたちも勉強してないわけじゃない、えっと……『いんたぁほん』を押すぞ」

空母ヲ級「そうだな、最初の勉強で覚えたあのボタンだ、これを押せばあいつらは出てくる」ピンポーン

シーーン

空母ヲ級「……出てこないじゃないか!!」ピンポーンピンポーンピンポーン

玄関

デテコイ!デテコイトイッテイルダロウ!インタァホンオシテルノニナゼデナイ!!

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン


提督「…………」

提督(……一体どうした……!?何があったんだあの子達に……!?)

提督(……もう普通に人間と同じ言語じゃないか……!?)

提督(……というかやっぱりヲ級の声が……いい声だ……)

提督(……いかんいかん……敵に何考えてるんだ……考えなおせ俺……)

提督「……ちょっと聞き耳を……」コソッ

空母ヲ級『…………出ない……』

戦艦レ級『……警戒されたのか…………く、く……そぉ……』ガッ ドサァ

提督「……?」

空母ヲ級『どうした……?はっ……ま、まさか……!?』

戦艦レ級『……あぁ……どうやらア……タシはここま……でみたいだ……もう動けねぇ……半日も地上にいりゃ当然か……』

空母ヲ級『おい……おいしっかりしろ!!……くそっ……どこかに水は……!』

空母ヲ級『ない……ない……!!何でこんな山沿いに……!!畜生……!!』

戦艦レ級『もういい……早く逃げろ……お前も死ぬぞ……!』



提督「……えぇ~……なんか何もしてないのにレ級倒せそうなんだけど……どうしよう……」

空母ヲ級『……見捨てられるか……!!お前を見捨てて海に帰れるか……!!』グスッ

戦艦レ級『バカ言え……アタシにとっちゃ……お前が死ぬのが一番嫌なんだよ……』

空母ヲ級『そんなこと……私だって……!!うぅ……何であなたが死ななきゃ……!』

戦艦レ級『…………なぁ……最後に……』

提督「……いや……さすがにこのままはマズいよな……」





風呂場

提督「…………残り湯でいいか……洗面器は……うん、ある」

提督「…………」チャプッ

テクテクテクテク

カチッ ガラララッ

バシャーーーッ!!!

戦艦レ級「うっ…………プハッ……ゲホッ」

提督「…………死ぬならよそで死んでくれないか?」

空母ヲ級「……お前は……!?」

戦艦レ級「あれ……ヒィッ!?」

提督「……全く……そんな極限状態で襲撃に来ないでくれ……いや、というか上陸とかまじでやめてくれ……」ガクブル

戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「…………」

提督「さぁ、分かったなら早く帰ってくれないか……?こっちは怖くてちびりそうなんだ……」

ガラララッ…………ピタッ

提督「……あぁ、そうだ……ほれ、これ」ポイッ 

カランカラン

戦艦レ級「…………これは……」

空母ヲ級「…………燃料……」

提督「……間違ってもこれ使って悪さするんじゃないぞ、それは確か1本(500ミリ)で400キロ先の海まで進めるから」

提督「君らの棲地までは持つはずだ、それ飲んでさっさと帰るんだ、いいな?」

ガラッ ピシャッ カチッ



戦艦レ級「……」

空母ヲ級「……」

戦艦レ級「……」ゴクッ

空母ヲ級「……」ゴクッ

戦艦レ級「……助けてくれたんだよな……あいつ……」

空母ヲ級「……うぅ……」ジワッ

戦艦レ級「……どうした?」

空母ヲ級「帰ろう……うぅ……グスッ……帰ろう……」ギュゥゥ

戦艦レ級「……心配かけたな……ごめん……」

空母ヲ級「……大丈夫?淡水……大丈夫……?」

戦艦レ級「大丈夫だよ、アタシはそんなにヤワじゃない……ほら、帰ろ、襲撃はまた明日だ」ナデナデ

空母ヲ級「うん……うん……!よかった……良かったよ……!」

戦艦レ級「泣くなよみっともない、ほら、行くぞ」

タッタッタッタッタ

リビング

提督「……」グテーッ

提督(……これに懲りてやめてくれればいいけど……)

提督「……」

吹雪「司令官!深海棲艦は!?」ガシャコン

提督「帰ってったよ……」

吹雪「……そうですか……ふぅ……」カチッ ゴトッ

提督「なぁ……吹雪ちゃん」

吹雪「?」

提督「……」

吹雪「何でしょう?」

提督「……いや……何でもない、艤装片付けて来なよ、あともう今日は遅い……寝たほうがいいよ」

吹雪「あ、はーい」

ガチャッ バタン

ギィギィギィギィ

提督「……さて……長門さんに電話するか」

夜中 

長門『二丁目提督、よくご無事で……!』

提督「あ、あいや……そんな戦場帰りじゃあるまいし……」

長門『……申し訳ありません……』

提督「……でも、心配してくれてありがとうございます……」

長門『……奴はあなたに何を?』

提督「いいえ、特に何も……勲章と階級章を渡されて、今の鎮守府の進捗を伝えただけです」

長門『……そうですか……』

提督「……」

提督(叢雲ちゃんとの会話は伏せといたほうがいいな)

長門『お疲れ様でした……』

提督「えぇ、ありがとうございます……」

提督「所で、そちらの提督はどうなっています?何か進展は?」

長門『いいえ……未だ行方がわからないままです……現在周辺を捜索隊がくまなく探しているのですが……』

提督「そうですか……早く見つかるといいですけど……」

長門『えぇ……指令書のとおりに行動しているのですが……MI作戦……私達だけで遂行できるかどうか……』

提督「……ですが、必要な改装はもう終わっているんでしょう?」

長門『はい、白雪の改装は終了しました……あとは作戦開始を待つだけです……ですが……』

提督「?」

長門『……やはり、彼女の不安はどうやっても拭い去れないようです……』

提督(やっぱりそうか……)

長門『当然です……正規空母の赤城、加賀の護衛艦として最前線に駆り出されるのですから……
    その役を駆逐艦の彼女をメインで任せるとなると……』

提督「辛い役目ですね……」

長門『白雪自身も迷っているようです、自分にその役が務まるのか……本当に自分のような艦娘でいいのかと』

提督「……」

長門『……大規模改装で自身がつくかと思っていましたが……まだ足りないようです……』

長門『……』

提督「…………なるほど…………」

長門『二丁目提督……』

提督「なんでしょう」

長門『……こういう時、どうすれば白雪は自分に自信を持つことができるのでしょうか……?』

長門『白雪をMI作戦遂行に集中させるにはどうすればいいのでしょうか……?』

長門『……教えてください……私達の提督は……初陣後に傷心していたどうやって白雪を励ましたのですか?』

提督「……そうですね……私ではどうとも言えません……」

長門『……そうですか…………つまらないことを聞いてしまって申し訳ありません……では……』

提督「……私ではどうにもなりませんが、吹雪ちゃんならどうにかしてくれると思いますよ?」

長門『…………!』

提督「………………が、この話は直接二人の顔を見ないとどうにもならない……そこで……だ……」

提督「……一度……呉の鎮守府の皆さんと演習をしようかと思いましてね……どうでしょうか?」

長門『……演習……!』

……とりあえず今日はここまでじゃな……
……吹雪ちゃんは普通の声もかわいいけど、こう疲れた時や弱った時に出す声も可愛いと思うの

さて、そろそろ始めますか

提督「えぇ、演習です。と言ってもそんなに本格的なものじゃないですけどね」

長門『で、ですが……』

提督「えぇ、艦娘が足りないです、ですから今回の演習は白雪ちゃんと吹雪ちゃんの一対一とさせて欲しいのです」

長門『いいえ、それは構いませんが……肝心の吹雪です、恐怖心は……?』

提督「それは……大丈夫です、心配いりません」

長門『ですが……』

提督「長門さん……吹雪は艦娘です、箱入り娘じゃないんです、いずれ戦う時が来ます」

提督「彼女が成長したいと望むなら私はその思いに応えてあげたいんです……まぁお節介と言われたらそれまでですけど」

長門『…………』

提督「……ダメですかね……?」

長門『…………分かりました、では……演習の日時は……』

提督「できるだけ早いほうがいいかなぁ……MIまで日程に余裕があるとは言えないですし……」

長門『分かりました、では、明日の昼で大丈夫でしょうか?』

提督「了解です、明日の昼ですね?」

長門『はい、私達がそちらの海域に移動しますので到着次第演習を開始します。
    演習形式は通常砲雷撃戦でよろしいでしょうか?』

提督「はい、集合は前浜町の灯台で……」

提督(何言ってるかわからないけど……まぁ普通の戦闘だよな……)

長門『了解しました……では……明日の1400、前浜町、灯台で』

提督「よろしくお願いします……」メモメモ

長門『はい、本日はお疲れ様でした』

提督「はい、ありがとうございます……では……」

長門『はい、失礼致します……』

ツーッツーッツーッ

提督「…………さて……寝るか……」

提督「っと……その前に……ビールでも飲んでリラックスするか……」


階段

吹雪「…………」

吹雪(……白雪ちゃんと演習……か……)

吹雪(……また司令官勝手に決めて……)フゥ

吹雪(…頑張らないとね……)


ギィッギィッギィッギィッ 

スゥーッスゥーパタン



深夜 提督の部屋

提督「……」カチャカチャ

提督「……」シューッシューッ

提督「……汚し加工って何でこうも難しいのかねぇ……」シューッ

提督「……そもそもダンボーに汚しって必要なのか……?」シューッ

提督「…………」

【こんなんじゃ……何の為に生きてるのかわからないよ……!!】

提督(……吹雪ちゃんも悩んでたんだな…………)

提督(……ラバウル都の演習以降、自主トレーニングは欠かさなかったみたいだけど……)ペラッ

提督(弾薬の消費が減ってたんだな……今の今まで気にしなかったけど……)

提督(今回の演習がうまくいったら、少しは自信がつくだろう……そう信じよう)

提督(でも逆に今回の演習が上手くいかなくて、動けなくなったら……)

提督(……いや、そのことは考えないでおこう)キィッ

提督「明日は頑張ってくれよ……」シューッシューッ

次の日 朝 リビング

提督「……というわけなんだ、昨日決まったことなんだけど……」

伊58「横須賀の次は呉でちか!?……てーとくってものすごいコネがあるんだねー……」

提督「コネっていうか……何て言うんだろうか……?」

吹雪「私はコネではないと思いますよ?」

提督「そう?」

吹雪「でも、私もどうして司令官が呉の司令官や横須賀の人に知られてるのか……不思議です」

提督「……全ては川底棲艦から始まったんだよなぁ……」チラ

ヲ級『?』コポコポ

レ級『!』ニコー

吹雪「そうですね……この子達のお陰で昇進できたようなものですし……あ、そういえば新しい階級章は?」

提督「あぁ、そういえば部屋に置きっぱなしだったな……」

吹雪「じゃあ後で縫っておきますね、後でリビングに置いといてください」

提督「え?できるの?」

吹雪「はい!こう見えても裁縫は得意なんです!」

伊58(どう見ても裁縫が得意そうでち)ジトー

提督「そうなんだ、じゃあお願いしてもいいかな?」

吹雪「お任せ下さい!久々に腕がなります!」

提督「頼んだ……あ、そうだ58ちゃん」

伊58「ん?」

提督「ちょっと昨日気になる情報がメールで送られてさ、ちょっとあとで部屋に来てくれない?」

伊58「はーい……でもいいの?ゴーヤ、部屋に入っちゃうけど……」

提督「まぁ俺は問題ないけど、58ちゃんこそいい?」

伊58「ゴーヤは問題ないよー?そういう本がおいてあっても」ニコニコ

提督「ド阿呆、俺が気にしてるのはそういう本の事じゃなくて……あぁもう、じゃあ大丈夫なんだな?」

伊58「もっちろん、むしろ積極的に入りたいなぁー……ゴーヤがいいことしてあげるのにー……?」ユウワクノカオ

提督「……いいこと……ふむ……」

吹雪「司令官……何考えてるんですか……」ジトー

提督「別に興味はないぞ?だが……」

伊58「?」

提督「もし本当にお願いしたらどうなるのか想像しただけだ」

吹雪「なっ……!?」

伊58「ほー……てーとくも中々スケベーな一面があるんだー?」ニマニマ

伊58「で?で?どうなった?ゴーヤはどんな姿で……」ニヒヒ

吹雪「ご、ゴーヤさん!し、司令官もそんなことを朝から……」

提督「いや、大丈夫だ。間違っても58ちゃんに手を出さないって結論がすぐに出た、どうやらストライクゾーンから外れてたようだ」

伊58「……つまんないのっ、じゃあゴーヤ先に部屋に行ってるから」ガチャッ バタンッ

提督「はいよー」

提督「さて……」

吹雪「あ、あの司令官……?」

提督「ん?どうした?」

吹雪「いえ……あの……司令官ってもしかして……」

提督「な、何だ?ヤバイこと?」

吹雪「いや……もしかして司令官って……えっと……その……」オソルオソル

吹雪「お、おと……おと……男の人が……好きってことじゃ……ない……ですよね?」

提督「はい?」

吹雪「だ、だって……司令官、瑞鶴さんやゴーヤさんの誘惑に負けないですし……」

吹雪「その、私がスクール水着来て……その……み、見えちゃった時や……ふ……服着るの忘れてた時も……反応なかったし……」

提督「…………ハァ」

吹雪「ご、ごめんなさい!こんな……変な事聞いちゃって……」

提督「えっとだな……吹雪ちゃん……別に俺はホモじゃないぞ?」

吹雪「そ、そうですよね……!ただ……その……えと……その……おち……あの……それに問題」

提督「……性機能に問題があるわけじゃないぞ……」

吹雪「じゃ、じゃああの……やっぱり私よりも小さい」

提督「違う!極度のロリコンでもない!分けてるだけだ!人の付き合いとそういう行為を!」

吹雪「そ、そうですよね!ご、ごめんなさい……!」ペコリ

提督「全く……変な誤解をしないでくれ……別に君らが可愛くないとかそういうワケじゃないんだ……」

提督(実際エロ本読んで吹雪ちゃんする妄想とかもするし……)

提督(俺はインポではない!今日も元気だ!)

提督「……わかった?」

吹雪「は、はい……ちょっと安心しました」

吹雪(男の人が好きだったらどうしようかと思った……望みはあるよね……)

提督「ならよかった……じゃあ階級章頼んだよ?」

吹雪「はい!」


ガチャッバタンッ

ギィッギィッギィッ


吹雪「……さてっと……裁縫箱はどこかなぁ……ヲ級知ってる?」

ヲ級『ヲッ』ユビサシ

吹雪「棚の中?」パタン

吹雪「あったあった、ありがとう」ゴトッ

提督の部屋

伊58「……これって?」

提督「呉から貰った情報だよ、ドラク島の資材が一部消えるって事件なんだけど……不審者が出たんだって」

伊58「ふんふん……それで?」

提督「これが監視カメラの映像らしいけど……ひとり小さな人が入ってるんだってさ……」カチッ


ジィーーー……


伊58「本当だ……大人の……多分女の人でち……」

提督「倉庫内のカメラは壊されてたらしい……あ、出てきた……」

伊58「…………あ、今顔写った……ちょっと止めて!」

提督「どこどこ?」

伊58「ほらここ、6分21秒……」カチッ

提督「ん?あ、本当だ……誰だこれ……こんな子艦娘名鑑になかったぞ?」

伊58「?……どこかで見たことあるような……」

提督「マジ?誰?」

伊58「…………いや、思い出せないでち……気のせいかなぁ……その続きは?」

提督「あぁ……その後すぐに……」カチッ


ジィーーーーッ カシャッ フゥッ


伊58「消えた……え?艦娘にこんな便利な能力あった?」

提督「分かんないな……誰だろう……その後朝が来て倉庫見たらVH鋼板がごっそり無くなってたらしい……」

伊58「VH鋼板って……あの戦艦大和に使われた……VH鋼板……?」ハッ

伊58「思い出した!この人もしかして……ホームセンターの!?」

提督「は?」

伊58「……って……そんな訳ないか……アハハ」

提督「いきなり何言い出すかと思えば……びっくりさせないでくれ……」

伊58「でもなんでこんなドラク島にVH装甲が置いてあるんだろ……確かドラク島って前哨基地で艦娘はほとんど居ないんじゃ……」

提督「まぁ確かに……でも前哨基地だからこそって可能性はある、だって前哨基地に大和型みたいな戦艦が来たらどうする?
    前線の補給を重視する前哨基地だからこそこういった装備に敏感になるんだ……誰が管理してるかは知らないけど」

伊58「ふぅん……じゃあこの事件は大変だね」

提督「あぁ、動画ファイルと概要を説明した文書を横須賀に送るけど、これでいいかな?」カチカチッ

伊58「んー…………いいと思うよ?間違ってない」

提督「オッケイ、じゃあ送るよ」カチッ

提督「……にしても、誰なんだろ……たしかにどこかで見た顔だよなぁ……」

伊58「ねー……」

昼 リビング

提督「そろそろ……かな……っと」

吹雪「そうですね、そろそろ艤装のチェックをしないと……」

伊58「うん、手伝おうか?」

吹雪「あ、お願いします!」

伊58「うん、肝心なときに誤作動起こしたら大変だからねー」

吹雪「はい!司令官も無線機のチェック、忘れないようにしてくださいね?」

提督「わーかってるよー」

ガチャッ バタンッ ギィギィギィギィ


提督「……しかし……」ゴソッ

提督「……これの中身を渡す……どういうことなんだろ……」

提督「……見てみるか……さっぱり意味がわからないんじゃなぁ……」

ガチャッ バタン
ギィッギィッギィッギィッ


提督の部屋

提督「…………」カチッ

提督「リムバーブル……何かのファイルらしいけど……かなり古いファイルだな……」カチッ

提督「…………何かの仕様書っぽいけど……改装……と言うより……再設計か?」

提督「……艦娘に関する何かってことは……分かるけど……ここまで具体的な大規模設計……」

提督「…………これ以上は見ないほうが良さそうだな……俺みたいなのが見ていいシロモノじゃないぞこれ……」カチ

提督「俺が頼まれたのは中身を届けることだ……中を理解することじゃない……」スポッ


シレイカーン! イキマスヨーッ!


提督「今行くー!」

提督「さて……そろそろ行くか」

1400

提督「お……来た」

吹雪「……」ゴクッ

伊58「落ち着いて、練習した通りにやればきっと、うまくいくでち」ポンッ

吹雪「は、はい……!」

提督「よし……俺は長門さんたちと一緒に演習を見るから……吹雪ちゃん、がんばれよ?」

吹雪「はい!見てて下さい司令官!」

提督「おう、しっかりな」

吹雪「……」コクッ

吹雪「行きます!」タタタッ!バッ!! ザシャゥウ!!!

伊58「頑張って……あ、てーとく!待ってよー!」



灯台横


長門「……二丁目提督」

提督「長門秘書艦……ご足労ご苦労様です」ビシッ

長門「……」ビシッ

提督「提督の代理は大丈夫だったんですか?」

長門「陸奥に艦隊の指揮を任せています、心配要りません」

提督「そうですか……なら良かった…………」


白雪の所属艦隊は? ↓3

1.三水戦(神通・那珂ちゃん・川内・睦月・夕立改二・白雪)
2.第五遊撃部隊(白雪・大井・北上様・デース・加賀さん・瑞鶴)

提督「そちらの人たちは……」

長門「白雪の所属艦隊、第五遊撃部隊の艦娘です……現在は大井が秘書官を務めております」

大井「第五遊撃部隊旗艦、大井です、本日は宜しくお願いいたします」ピシッ

提督「こちらこそよろしくお願いします」ビシッ

北上「二番艦の北上です、よろしくねー?」

提督「うん、よろしく」

北上「それにしても……白雪と吹雪ってすっごい似てるよねー」

提督「そうなの?」

北上「うんうん、制服も輪郭もそっくりだもん、あの子達髪の毛下ろしたら多分見分けつかないよ」

提督「いや、案外気づくかもよ?吹雪ちゃんみたいな目したこはあんまり居ないからね」

北上「そー?」

金剛「姫とブッキーの違いを見分けるのはー……そうですネー……」

提督「目でしょやっぱ」

金剛「ノンノン……テートクは甘いネ!姫はくすぐるとキュートな声を出すデース!」

提督「んな、吹雪ちゃんだってくすぐ……ったことはないな……」

金剛「oh……スキンシップは大事デスよ?」

提督「……多分、今後そういう機会は訪れないと思う……ところで君は……たしか金剛さんだっっけ?」

金剛「イエース!英国で生まれた帰国子女の名は前浜シティにまで届いてたんデスネ!」

提督「あぁ、多分この街でテレビを見てる人なら大体の人は知ってるだろうなぁ」

金剛「oh……人気者は辛いデース……」テレテレ

提督「……maybe」

金剛「ぜかましの方が知名度は上ですからネー……」

加賀「ここの提督は、よく喋るんですね」

金剛「イエース!ほらテートクも!」

提督「い、イエース!」

加賀「私は正規空母加賀、前浜町の提督とは一度演習を行いました」

提督「…………え?そうなの?」

加賀「えぇ、ラバウル海軍基地の追加戦力として呉から派遣されました、やはり覚えていませんでしたか」

提督「すまない……あの時は吹雪ちゃんに集中してたから……」

加賀「いいえ、提督が謝る必要はありません、私も、瑞鶴改の航空機に集中していましたから」

瑞鶴「瑞鶴改……」ピクッ

提督「……君はたしかラバウルに居た……」

瑞鶴「えぇ、覚えてたのね」

瑞鶴「元ラバウル海軍基地所属、正規空母瑞鶴よ、改めてよろしく、二丁目提督さん」

提督「あぁ、よろしく、こうして話すのは初めてだな……」

瑞鶴「えぇ……いつも遠目で見てばかりだったもの、意外といい人なのね」







秘書艦じゃねぇや旗艦だ、これもゴーヤの仕業だな、ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

伊58「……ん?あ、吹雪ちゃんと白雪ちゃん、合流したみたいでち」

長門「そのようだな、そろそろ始まるぞ」

大井「……」スッ

提督「ん、あ、双眼鏡ありがとう」

大井「……吹雪と白雪の戦いですもの、貴方が見なくてどうするんですか」

提督「そうだな、愛娘の活躍を鑑賞させてもらうよ」

瑞鶴「……瑞鶴改とは仲良くやっていましたか?」

提督「あぁ、君に似てとてもいい子だったよ」

瑞鶴「私なんかいい子じゃないわ……人を妬んでばかりの……」

加賀「あら、誰を妬んでいるのかしら?」

瑞鶴「黙ってなさいよ元戦艦は!!」

加賀「妬む……ということはやはりあなたの負けを認めるのね、素直になったじゃない、瑞鶴さん」

瑞鶴「きぃー!!!言葉の綾よ言葉の綾!!負けを認めるくらいなら首吊って自爆してやるわ!!」

瑞鶴「あ、べつに認めるっていうのは劣勢ということを認めたわけじゃ……いや認め……んもぉーー!!!あんたなんか大っ嫌い!!」

提督「あはは……」




太平洋沖

吹雪「……白雪ちゃん」

白雪「……姉さん」

吹雪「今日はよろしく、お互いベストを尽くそう」

白雪「えぇ、よろしくお願い致します、悔いのない戦いに致しましょう」

吹雪「うん!じゃあ……」ジャキッ

白雪「はい……」ジャキッ


ザザーァッ ザザァーッ


長門『用意……始め!!!』


吹雪「目標駆逐艦!!吹雪!砲撃戦を開始します!!」ドドォン!!

白雪「目標を敵駆逐艦と認識……白雪、発砲いたします」ドドォオン!!

という感じで今日は区切ろう、そうしよう、明日はちゃんと書く

瑞鶴と瑞鶴改が会話したらどうなるかなっと

>>219
利根「別にどうなるというわけではないが……よく似た他人と話すような感覚ではないか?」

瑞鶴「そんなもんね、妙に自分と似てて気持ち悪くなるってのはあるけど……」

瑞鶴改「そんなに気になるものでもないわ、むしろ話しやすいって感じ」

瑞鶴「いい方に考えるのね」

瑞鶴改「まぁあんたと違って加賀が近くに居ないからってのもあるけど

瑞鶴「……あんたも第五に来たら分かるわよ」

瑞鶴改「お断りよ、誰が行くもんですか」

利根「…………目を瞑ったらどっちが喋ってるか分からん……」

--------------------------------

というわけで始めよう

吹雪「うっ!!」ドドォン!!

白雪「っ……!」ヒュンッドォン!

白雪「初弾命中……!次も当てます……!!」ジャコッ

吹雪「くぅ……!」ザシャゥ

吹雪(とにかく動かないと……!改装してる分火力では負けてる……!それにの長10……!)

白雪「…………」ドドォン ドドォン ドドォン!! 

ヒュンッ ヒュン! ヒュン!!

吹雪「!」ザシャゥッザシャァッゥ!!シュゥン!!

白雪「……流石の回避能力……ですが……!」 ドドォン!!ドドォン!!

吹雪(なんて連射……!!でも必ずどこかに好きがあるはず…………)

吹雪「…………好きには!」ジャキッ

白雪「止まった……そこ!!」ドドン!!ドドン!! 

吹雪「な―」

ドォォン!!!

吹雪「ぅああ!!!うっぐぅっ……!!!」バシャッ!!バシャァァッザシャァァアン!!

白雪「直撃確認!やった……!」グッ

吹雪「う……くぅ……!!つ……強い……!」ガッ……コン……




前浜町 波止場

北上「あー……今のは完全に入ったねー」

提督「凄いな……あれが改の力かぁ……」

北上「でも吹雪ちゃんも中々やるじゃん、後ろを振り向かずに後進回避運動が取れる艦娘なんかそうそう居ないよ?」

提督「あれ凄いことだったんだ……でもどこでそんな運動方法を……」

北上「さーねー……エリートの動きでも真似たんじゃない?」

提督「見よう見まねか……あるかもなぁ……」

ドボォーッ ドンドン バタタタタタッ!! ドォンドォン!!

金剛「ブッキー、見かけによらず中々elite艦娘だったんデスネー……」

提督「俺何も教えてないけど……」ポカーン

提督(……今の所恐怖心は出てないか……良かった……成長したなぁ……ちょっと見ないうちに)


太平洋沖

白雪「くっ……当たらない……!!」ザシャァゥ!!シュゥゥン!! ジャキッ ドドォン!!

吹雪「反撃しないと……反撃を……!!」ジャコッ ドドォン!! 

白雪「後進しながら……くっ!!」ガァン! ドボォーン!!

吹雪「弾かれた!?」

白雪「今度は外しません!!徹甲弾!!」ジャキッ ドドォン!!!

吹雪「く……避けきれ……!!!」

吹雪(……できるはず……私だって!!)

吹雪「だぁぁ!!!」ブンッ ガァン!! ドボォーン!!

白雪「!?」

吹雪「っ……いたぁ……っ」ビリビリ

白雪「まさか……今の一瞬で先ほどの技術を真似た……?」

吹雪「見よう見まねだと……やっぱり痛いね……」エヘヘ

白雪「ふふ……流石です、その根性は昔から変わっていませんね……」ジャキッ

吹雪「白雪ちゃんは……変わったね……こんなに強くなってるなんて……」ジャキッ

白雪「えぇ……鎮守府に着任してから私は強くなりました……昔の弱い自分は捨てました!」

吹雪「うん、とても強くなったよ、でも私だって何もしてなかった訳じゃない……!」

白雪「私はあなたを倒して本当の強さを見つけます!そして赤城先輩を守る!!」

吹雪「それでいいよ……私は白雪ちゃんの為に全力を尽くすだけ!!」

吹雪「今度はこっちから行くよ……用意はいい?」

白雪「いつでもどうぞ……覚悟はできています」

吹雪「……じゃあ……行くよ…………」グゥゥン…!!

吹雪「はぁっ!!!」ジャキン ドドォン!!

白雪「っ」ヒュンッ

吹雪「!!」フッ

白雪「速……!?後ろ!?」

吹雪「当たってぇ!!」ドドォン!!

白雪「くっ!!」ヒュンッ

白雪「ですが……そんな単調な動きでは!!」ガシッ!!

吹雪「……!!」

吹雪「……この距離なら……」ジャキッ

白雪「距離ならこちらも!!」ジャキッ


ドドォン!! ドカァーーン!!


吹雪「うぐぅ……!!」

白雪「っ……!!」

吹雪「まだ……まだ!!」ジャキッ

白雪「っ……まだやれます……!!」ジャキッ


ドドォン!! ドカァーン!! 

ドドォン!! ドカァーン!!!


吹雪「はぁ……はぁ……!!!」ガシィ!!

白雪「……はぁ……!!くぅ……!!!」ガシィ!!

吹雪「…………」キッ

白雪「…………」ギンッ!!

ジャキッ ドドォン!!! ドカァーーン!!!

前浜町 波止場

長門「……火力と火力のぶつかり合いか……」

加賀「……はい、人間で言う殴り合いに近い状態かと」

長門「…………」チラッ

提督「…………」

提督「…………」

長門「……殴り合いで絆を深める……か……」

長門「単純な発想だ……」

提督(……爆炎で何も見えないけど……二人が必死になってるのは分かる……)

提督(……がんばれ、どっちが勝っても恨みっこなしだぞ……吹雪ちゃん、白雪ちゃん)

伊58「……てーとく!二人が見えた……!」

提督「!」



太平洋沖

シュゥウウウゥゥゥ……

吹雪「……はぁ……はぁ……!!」フラフラ

白雪「くっ……はぁ……はぁ……うぐ……!!」フラッグッ

吹雪「……まだやれるよね……白雪ちゃん……」グッ ガチャコン

白雪「えぇ……まだ始まって20分も経っていません……まだまだ勝負はこれからです……!姉さん」ジャコン

吹雪「良かった……弾もまだまだ残ってるし……魚雷も全然使ってない……」

白雪「えぇ……!!」グゥゥン

吹雪「お互い考えてることは同じだね……!!」グゥゥン…


ドォォォン!!! ガシィッ!!

白雪「たぁぁっ!!!!」

ブンッ!! バシャァン!!

吹雪「ぐっ!!!」

白雪「人の姿となったからには体術も必要……ですね?」ジャキッ

吹雪「……そう、だから……」ガッ グィ!!

白雪「っ……!!」バシャァッ!!

吹雪「少し濡れるかもしれないけど、大丈夫だよね?」ジャキ!

白雪「もちろん……ですが、こう近づくと魚雷の危険性が高まることもお忘れなく……」バシュッ 

ドバシャァァーーーン!!!

吹雪「ぐっぁぅ……!!」フワ…!!バシャァン!!

白雪「っ……流石に接射となるとダメージが……発射管損傷……!」

吹雪「……砲身がやられた……!っ……片方くらいなんて事ない……!!」

ドドォン!! スコォン ドバァン!! ドンッドォンドォン! ガンガン!!

北上「あんなに必死になる理由ってなんなんだろうねぇ……二人共ボロボロじゃん……」

大井「……さぁ……姉妹の愛って言うものでしょうか……?」

提督「…………」ポカーン

提督「……相手が変わるとこんなに強くなるものなのか……」

提督「…………予想以上というか……何というか……」


バシャァッ ドドォン!! ドンッドンッ!!


提督「……知らない間に成長するものなんだなぁ……艦娘って言うのは……」

提督「……ん?」ソウガンキョウノゾキ

提督「……………………なんか光ったような……」

加賀「……」ピクッ

加賀「敵艦見ゆ、十二時の方向」

長門「何……!?」

瑞鶴「こっちの哨戒機も同じ位置に敵艦を発見したわ、一隻はヲ級……もう一隻は……なんですってっ!?」

加賀「……戦艦レ級……」キッ

大井「!?」

北上「レ級……まさかこんな所で出くわすなんてねー……しかも最悪のタイミングだよー……」

金剛「ワッツ!?レ級が何でこんな所に居るんデース!?」

長門「……まさか……」

提督「はぁ……もう来るなって言ったのに……とりあえず一時中断します」

長門「了解……!吹雪!白雪!至急もどれ!!」


太平洋

吹雪「な!?」

白雪「中止……!?」

長門『深海棲艦を発見した!12時の方向……ひとつは空母ヲ級!もう一つは戦艦レ級だ!!』

吹雪「ヲ級とレ級……!?まさか昨日の……!」バッ

白雪「……せ、戦艦レ級……!?な、何故こんな所に!?」

長門『不明だ、だが敵勢勢力であることは確かだ!白雪と吹雪は通常兵装に換装!接近次第迎撃する!』 

白雪「りょ、了解!姉さん!」

吹雪「……う、うん……!……司令官!」

提督『……とりあえず言ったん戻ろう、そんなボロボロの状態じゃ戦えないだろ?』

吹雪「は、はい!」

ザシャゥ シャァゥ!

隠れ棲地付近 領海

空母ヲ級「バカ!何仁王立ちしてるんださっさと戻れ!」

戦艦レ級「いいじゃねぇか、別に誰が見てるわけでもねぇしさ、こうやって無意味に潰し合う艦娘の演習を」

空母ヲ級「見 ら れ た ん だ よ !!!!お前の対空電探は飾りか!!!!」

戦艦レ級「……え」

空母ヲ級「あぁぁぁああ!!お前は!!お前は何で!!!馬鹿!!馬鹿だお前は本物の馬鹿だ!!」

戦艦レ級「安心しろって、今日補給あっただろ?アタシの射撃能力で」

空母ヲ級「弾は何発来た?」

戦艦レ級「HEが3発だな、久しぶりだ……なぁに確実に当てて全めt」

空母ヲ級「……艦娘は、何人ですか?」

戦艦レ級「はえ?えっといちにーさんしー……8に……あ……」

空母ヲ級「…………なぁ……私さ……」

戦艦レ級「あん?」

空母ヲ級「レ級って艦種が信用できなくなってきたよ……もう……やだぁ……」エグッヒッグ……

戦艦レ級「あぁっ……ごめん……ほんとゴメンヲ級!な?泣くなって!な?」


前浜町

提督「……」

長門「……」グッ

加賀「……動きがない……向こうも気付いたみたいね」

瑞鶴「こっちから仕掛ける?」

加賀「焦らないで、向こうの動きを良く見てからしかけるのよ」

大井「……向こうも慎重ね」

北上「相手はあのレ級だよ……どこから来るかわからないから見張りは怠らないで……」

金剛「カモーン……レ級……」キョロキョロ


提督「……何が狙いだ……あの二人……」

長門「加賀、どうだ?」

加賀「いいえ……まだ動きはありません……対空砲火がない……?」

長門「はっ……まさか…………」

瑞鶴「罠!?まさかこの2隻は囮……!?」

長門「周辺の警戒を怠るな!!前浜町周辺の海域をくまなく偵察しろ!!何が来るか分からんぞ!!」

加賀「了解、偵察機発進」バシュッ ボォッ バッ!!

瑞鶴「私は反対方向を偵察するわ……こんな平和な街に……深海棲艦……!」バシュッ ボォ!! バッ

提督「囮作戦とは考えたな……!だが自分が自ら囮になるのか……?」

提督(まさか昨日の失態のせいで囮にされたのか……?だとしたらかなり可哀想だが……)

加賀「……レ級に牽制攻撃をかけます」

長門「頼む」



隠れ棲地付近 領海

戦艦レ級「!また飛行機が増えた……」

空母ヲ級「もうおしまいだ……私達はおしまいだ……全部お前のせいだ……恨んでやる……」ブツブツ

戦艦レ級「……!」

空母ヲ級「…………はっ!1機降りてくる……急降下爆撃か!?あぁもうだめだぁ!!」

戦艦レ級「……なんだ、ただの艦爆かよ」ガシッ

九九艦爆「……!!?」

メキッ グシャッ

空母ヲ級「……あれ……生きて……」

戦艦レ級「ふぃっ……燃料があるとヤッパ違うなぁ……」ポイッ

空母ヲ級「……すまん、前言撤回する、やっぱりお前頼りになるよ……」




吹雪「はぁっ……はぁっ……司令官!戦艦のレ級は!?」タッタッタッタッタッタ

提督「あぁ、まだ動いてないみたいだ……白雪ちゃんは」

吹雪「ふぅっ……ふぅ……かなり疲弊していたみたいで……部屋で休んでいます……ですからここは私が……」

吹雪「……し、深海……棲艦を……」カタカタカタ

提督「……無理しなくていい、ここはあの6人に任せるんだ」

吹雪「…………」ガタガタ

提督「……」

吹雪「……分かりました……待機しますっ」

提督「後でお礼言わないとな」

吹雪「は、はい……」

空母ヲ級「…………だが、これからどうするつもりだ……?こちらからは手出しできない……」

戦艦レ級「今から隠れ棲地に戻ったら居場所が割れて艦娘の……だろ?アタシだって馬鹿じゃねぇ」

空母ヲ級(いや馬鹿だろ)

戦艦レ級「聞こえてんぞ……まぁいい…………でだ……HE今持ってるか?」

空母ヲ級「あぁ……持ってるが……どうするんだ?」

戦艦レ級「いいから寄越せ」

空母ヲ級「あぁ…………街は傷つけるなよ」

戦艦レ級「あ?何でだよ」

空母ヲ級「私達は人間を絶滅させるために生きてるんじゃない、海を自分たちの世界にするために生きてるんだ
       忘れるな、何を狙うかは知らんが狙うならそいつだけを狙え、施設と地上の人間は殺すな」

戦艦レ級「ちぇっ……めんどくせぇな……わかったよ、ガキをちょっとビビらせるだけだっての」

空母ヲ級「……アイツは交渉材料だ、痛めつけるなら死なない程度に痛めつけろよ」

戦艦レ級「分かってる、これでアタシたちの要求が伝わればいいけどな……」ガコンッ ピピピピピピッ ビビッ

戦艦レ級「……ギリギリで外れて……相手をションベンチビラせるくらいビビるところって言えば……ここか」

空母ヲ級「軽く水柱をあげるだけでいい、私達の本気を見せつけてやるんだ」

戦艦レ級「あいっよ!!!!」グバァッ ズッドオオオオオオオオンン!!!!!!

空母ヲ級「っ…………相変わらず衝撃が凄いな……」

戦艦レ級「よし、帰るぜ」

空母ヲ級「あぁ、周りには注意しろよ?絶対に!」





前浜町 灯台

吹雪「…………」ポケーッ

提督「強くなってたんだなぁ吹雪ちゃん」

吹雪「そうですか……?何だか夢中になってて……よく覚えてないんです……」

提督「ははは、それはいいことだよ、無意識のうちにそう言う行動ができるってのは凄いことだ、頑張ったな」

吹雪「ありがとうございます司令官!私……まだ頑張りますから!」


ヒュゥゥゥゥッ  ドボッ……

ドブッ……オオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!


吹雪「ひっ!?」ビクッ

提督「んなんだ?!」

吹雪「ほ、砲撃……!!!!」

提督「嘘だろ……この距離から!?レ級か……!?あぁもう全く案の定か!!」

吹雪「…………」ドキドキドキ

提督「ん……?吹雪ちゃん……?」

吹雪「はぁ……!はぁ……!!駄目……落ち着いて……私が落ち着かないと……!!」ドクッドクッ

提督「吹雪ちゃん……いや……今はそれどころじゃない……ここでじっとしてたらやられる……」

ダキッ タッタッタッタッタッタ

長門「くっ……奴ら本気か……!!」

金剛「私達の射程外からこうも正確に……ストロングな相手デース……」

長門「どうしても届かんというのか……!?」

金剛「無理デース……水平線のそのまた向こうからの砲撃なんて届く訳無いデース」

長門「ちぃ……バケモノめ……!!」

北上「でも何でこんな辺鄙な所にレ級がいたんだろうねぇー……」

加賀「おそらくこの前浜町に存在する生き物か、提督が鹵獲した兵器の奪還が目的ね」

瑞鶴「猫艦戦……だっけ?確か提督さんが手に入れたのよね?」

大井「だとしたら……またここに来る可能性があるわね……」

長門「……交渉が通じる相手ではないな……だとしたら迎え撃つしかあるまい……」

長門「……戦力の増強が必要になるか……伊58は……?」

伊58「……」チラ

長門「……隠れていたか……まぁ、仕方がないな……」

伊58「す、すみません……療養中とはいえ戦力の一人なのに……」

長門「いや、気にするな……二丁目提督は?」

伊58「……」ユビサシ


提督「ほら、落ち着いたか?」サスサス

吹雪「はぁ……ふぅ……」ドキドキ

吹雪「……はい、もう大丈夫です……でも……やっぱりまだ恐くて……これじゃ役に……」シュン

提督「いや、大丈夫だよ、実力は十分証明できたからさ」

吹雪「……」コクリ


伊58「吹雪ちゃんのメンタルケアの真っ最中でち」

長門「そうか、終わったら来るように伝えてくれ」

伊58「はい!了解でち」ピシッ

長門(……)

長門(……後2日伊58を待機させたとして……次の護衛艦娘は誰にすればいいんだ……)

長門(……レ級の件も視野に入れるとなると……)

長門(……)

長門(……二丁目提督と相談して決めるべきことか……)ハァ

1時間後

加賀「……周辺海域に深海棲艦の姿なし……レ級、及びヲ級の姿はありません」

瑞鶴「こっちの海域にも何も居ないみたい……レ級を追跡してた彩雲は未帰還……落とされたわね」

加賀「落とされた……?対空砲火なしにどうやって……」

瑞鶴「撤退中の艦載機曰くレ級は彩雲を近接攻撃でたたき落としたみたい……近づいても地獄ね……」

大井「……でも、何で今回は一発だけ撃って帰っていったのかしら……」

北上「さぁねー……今回は挨拶代わりの一発って感じじゃないの?今度は町ごと吹っ飛ばすって意味かもねー」

北上「あそこまでピンポイントに吹雪と提督を狙ったんだから相当二丁目提督に恨みがあるみたいだよ?」

金剛「キャット艦戦はお手柄だけどそれと同時に深海に狙われる理由を作ってしまったみたいデース……」

長門「あぁ…………二丁目提督……」

提督「え、あはい」

長門「……今回の演習は一旦中断とさせていただきますが……よろしいでしょうか?」

提督「えぇ、こうなってしまった以上、白雪ちゃんと吹雪ちゃんも再戦として決着を付けたいでしょうし」

長門「……申し訳ありません……艤装の修理資材と消費弾薬はこちらで負担致します」

提督「え、いいんですか?」

長門「勿論です、せめてもの気持ちです、受け取って下さい」

提督「はい……ありがとうございます」



吹雪「あ、あの!長門秘書艦!」タッタッタッ

長門「吹雪か」

吹雪「は、はい!ラバウルの際は伝言の電話、有難うございました!」ビシッ

長門「あぁ……演習、ご苦労だった」

吹雪「はい!……あの……私……白雪ちゃんの役に立てたでしょうか?」

北上「うん白雪も多分感謝してるよ、MIみたいな大規模作戦を前にして強くなった実の姉と戦えてさ……」

大井「うちの駆逐艦と対等に戦えるってだけで褒められるべきよ、あの子をあぁまで必死にさせたのよ?
    あんな表情、深海棲艦と戦ってる時でもしないわ」

加賀「……彼女には赤城さんを任せることができる、再認識することが出来ました、吹雪さん、ありがとう」

瑞鶴「流石、改が認めるだけある……ラバウル提督さんにも伝えておくわね」

吹雪「皆さん……ありがとうございます!!」ペコォ!!

提督「……MI作戦……って事は……やっぱ……」

長門「えぇ……空母4隻を運用することになります……」

提督「……長門さん」

長門「はい……」

提督「さっきの白雪ちゃんの言葉から察するに恐らくあなたの運用する空母を信頼しているでしょう……加賀さんや赤城さんを」

長門「えぇ、特に赤城は白雪の心の拠り所というべき存在となっています……」

提督「守ってあげてください、空母4人と白雪ちゃんを……必ず……」

長門「はい、そのつもりです」

提督「……要らぬ世話でしたかね?」

長門「いいえ、あなたが言ってくださった事で改めて決心がつきました、守って見せます、秘書艦として提督の大切な艦娘を」

提督「……えぇ……今回の作戦、陰ながら私達も応援させていただきます」

長門「ありがとうございます……」

白雪「長門秘書艦」テクテク

長門「……白雪、もう体は平気か?」

白雪「えぇ……演習はまた次の機会……ですね」

長門「あぁ、すまないな……」

白雪「構いません……姉さん……」

吹雪「……」コクリ

白雪「今度は、しっかり決着をつけましょう」

吹雪「うん、それまで……ちゃんと体大事にしてね?」

白雪「えぇ……」

吹雪「…………」


ギュウッ


白雪「今日は有難う……吹雪ちゃん」

吹雪「……うん……頑張ってね、白雪ちゃん」

白雪「うん……絶対戻ってくるから……絶対に……!」

吹雪「……うん!」



加賀「……愛ね」

瑞鶴「姉妹愛か……いいなぁ……」

大井「案外積極的なんですね、吹雪も」

北上「あぁやって見てるとまるで私達みたいだねー」

大井「北上さんも一緒に抱き合いますか!?」

北上「んあー、いいよいいよ、こんな所で恥ずかしいしー」

金剛「私も帰ったら比叡とハグしようカナー……」




吹雪「……」

白雪「……じゃあ、行くね」

吹雪「……うん」

大井「案外積極的なんですね、吹雪も」 吹雪× 白雪○

でち公!!貴様ぁ!!!


夕方

長門「では、私達はこれで……」

吹雪「…………あ!」

吹雪(司令官!横須賀の人からのあれ!持ってますか?)ヒソッ

提督(え?横須賀…………あ!!)ヒソッ

提督「……あ、そうだそうだ、忘れるところだった長門さん!」ゴソゴソ

長門「?」

提督「これ、横須賀の叢雲ちゃんが長門さんに渡せって……」

長門「!」

提督「中は見てないですけど、重要なものだと思いますから帰ってから確認して下さいね?」

長門「叢雲が……分かりました、すぐに確認します」

提督「えぇ、頼みます……」

長門「では……私達はこれで……失礼します、よし、帰還するぞ」

ジャーネーフブキー キタカミサン!カエッタラナニシマス? オクレナイデ、ズイカク マチナサイヨ! グッバイ!ニチョーメティートクー!!

白雪「……」クルッ

吹雪「……」

白雪「……」ニコッ

吹雪「……」ニコッ

シラユキー? ア、ハイ、オクレテシマイマシタ


提督「……忙しい部隊だったなぁ……」

吹雪「えぇ……」

伊58「……ふぅ……やっぱり主力艦隊は馴染みにくいでち……」

提督「ん?58ちゃんはああいうの苦手なの?」

伊58「裏方は基本前に出ないでち、裏方がしゃしゃり出るのはマナー違反でち」

提督「そういうもんか……して、本音は?」

伊58「いつ次の砲撃が来るかでビクビクしてました」

提督「正直な女の子は好きだ」

伊58「そ、そう……?」

吹雪「……ふふ……じゃあ、帰りましょうか」

提督「あぁ……そうだな……」

提督(……レ級とヲ級か……あの深海棲艦……警戒しないとな……)

提督(……なんだかんだ言って何もしなさそうだけど)

というわけで吾輩はしばらく寝る!ではな!

ふぅ、さて始めますか

深海 夜 隠れ棲地

ゴボゴボッ

戦艦レ級(…………逃げ切ったかぁー……はぁ~疲れた……)ヘナァ

空母ヲ級(……全く……世話のやける奴だ……しかし何だあの艦隊は……)

戦艦レ級(さぁなぁー……でもあの青空母が居たってことはかなり強豪の艦娘なんだろうよ)

空母ヲ級(青空母……赤空母の片割れか……って事は……呉……!?)

戦艦レ級(そうみてぇだ、でも横須賀の化け物共に比べりゃ……)

空母ヲ級(馬鹿お前……赤と青、2色の空母と言えばたった二人で棲地を壊滅させたっていう……)

戦艦レ級(……まぁ、あの噂がホントならかなりやべぇけどよ……)

空母ヲ級(……あの様子を見るとレ級との接敵は初めてみたいだな……動きに焦りが出ていた)

戦艦レ級(あぁ、呉の周りの戦艦はル級ばっかだ、最近は増員するって話も出てるけどよ)

空母ヲ級(アリューシャンとミッドウェーの影響か?)

戦艦レ級(あぁ、いつもの横須賀方面じゃなくて呉方面の守りを固めるつもりらしい、姫もそっちで忙しいみてぇだ)

空母ヲ級(……そういえばミッドウェー防衛には私達は出るのか?)

戦艦レ級(出るわけねぇだろ、待機だよ)プカーッ

空母ヲ級(……だろうな……)プカーッ

空母ヲ級(……となると……姫達はミッドウェーで忙しいんだな?)プカプカ

戦艦レ級(あぁ……)

空母ヲ級(……今のうちに大きく動いて猫艦戦を取り返すことができる……って事か)

戦艦レ級(まぁそうなるけど……同時に補給もなくなるぜ?)

空母ヲ級(……結局状況は変わらないか……はぁ………)コポコポ

戦艦レ級(いつも通りだ、明日こそあのガキを捕まえるぜ)

空母ヲ級(あぁ、隙を伺おう……じゃあまた明日、今日は寝るぞ)

戦艦レ級(おぅ……ふぁぁ……)ゴロン

コポコポコポ……



風呂場

伊58「ふんふんふーん……」チャプ

吹雪「今日の湯加減はどうですか?」

伊58「夏の気候に合わせてよく温度調節ができてるよー……気持ちいいねー」

吹雪「良かった……最近練習怠ってたから……」バシャッ

吹雪「横、失礼しまーす……」チャプッ

伊58「はいはーい」

吹雪「ふぅ……」

伊58「んー……」

伊58「……吹雪ちゃんって……意外とアグレッシブな戦い方するんだね……」

吹雪「あぐれしっぶ……?」

伊58「ほら、今日の演習、あんな至近距離……というか相手を掴んで砲撃するなんて聞いたことないよ?」

吹雪「あぁ……あれ……あれはー……そのー……必死というか……」

吹雪「……全部見よう見まねで試してみただけですよ、まさか自分でもうまくいくなんて……」テヘヘ

伊58「へぇー……ということは……龍田さんの技なの?」

吹雪「いえ、テレビで見ただけです……その、アクションシーンなんですけど」

伊58「アクションシーンで?その技を再現したの!?」

吹雪「は、はい……本当は壁に叩きつけてから撃つシーンだったんですけど……」テレテレ

伊58「へぇ……あの海に引きずり込んで撃とうとしたところも?」

吹雪「あ、あれは龍田さんに教えてもらいました、もしも人型に組み伏せられた時は足を狙いなさいって言われたので……」

吹雪「うまくいくなんて自分でも思ってませんでしたけど……」

伊58「……へぇぇ…………さすが万能の特型駆逐艦……」

吹雪「そ、そんな万能だなんて……私なんてまだまだですよ……」

伊58「あとは、深海棲艦と戦うだけでち、頑張ろうね!ゴーヤは明後日帰っちゃうけど」

吹雪「は、はい!よろしくお願いします!」

伊58「うん、明日はまた一緒に練習しよう」

吹雪「はい!」



提督の部屋

提督「えぇ、今回の件は私達二丁目鎮守府で処理しました、外出制限は必要ありません」

提督「えぇ……はい…………では……」ピッ

提督「……あの砲撃騒ぎはやっぱまずかったか……さすがに周りの不安が……」

提督「一応警戒した方がいいな……」

提督「…………」

提督「今日は13日か……となると……明後日だな……」

提督「……明日は吹雪ちゃんの練習が終わったら……川底棲艦の調査をやってもらうべきか……」

提督「しかも今回は補給線が重要になる……確かMI作戦は……」カチカチッ

提督「…………はぁ……明々後日か……伸ばせないよなぁ……」

提督「……うぅーん……名残惜しいなぁ……だが……仕方ないのか……」


コンコン


提督「ん?」

吹雪『吹雪です……あの、司令官……お時間よろしいでしょうか?』

提督「あぁ、構わないよ、入ってくれ」

吹雪「失礼します」

スゥーッスゥーパタン

提督「どうした?」

吹雪「す、すみません……えっとその……」

提督「?」

吹雪「あ、あの、今日は……どうでした……?私……成長しました?」

提督「あぁ、十分だと思う、長門さんたちも評価してたしね」

吹雪「ほ、本当ですか……?よ、よかった……」

提督「あぁ、さすがは特型と呼ばれるだけはある、見事だった」

吹雪「あは……!やった……!司令官!ありがとうございます!」

吹雪「あとは……本物の深海棲艦に圧倒されない心を持たないと……それに駆逐艦以外の艦娘とも戦いたいです!」

提督「あぁ、そうだな……58ちゃんも褒めてたろ?」

吹雪「はい!……あの、司令官……ゴーヤさん、たしか明後日帰るんでしたっけ……」

提督「うん、そうなるな……明後日から帰ってすぐ資材確保だってさ……」

吹雪「そうですか……」

提督「あぁ、だから聞けることは明日のうちに聞いとくんだぞ?」

吹雪「……はい!」

吹雪「……」キョロキョロ

提督「……どした?」

吹雪「い、いえ……プラモデルが増えてるような……」

提督「あぁ、最近やっと3つくらい完成したからね、どう?かっこいいだろ?旧式のF-15Cだ」

吹雪「……」ジトー

提督「?」

吹雪「司令官……本当に仕事してます?」ジトー

提督「し、失礼な、一応仕事はしてる、こういうプラモは仕事が終わってからやるものだ」

吹雪「……本当ですね?」

提督「勿論だ、誓ってサボってなんかない」

吹雪「……信用出来ないなぁ……」

提督「ほう、証拠がほしいのか?」

吹雪「えぇ、出せるものなら」ミクダシ

提督「なら見たまえ、今日の演習の報告書だ」カチカチッ

吹雪「……」ノゾキコミ

吹雪「…………ふむふむ……」

提督「被弾状況、弾薬庫内の残弾数、結果から考察までちゃんと書いてるぞ?」

吹雪「……ふぅん……」

提督「そ、そんなに読むのか?」

吹雪「……あることないこと書いてますよね……これ……」

提督「そりゃ……よく見えなかったし……」

吹雪「じゃあ私に聞いて下さい……長門さんの報告書と差異があったらどうするんですか……」ハァ

提督「うぅ……すまん……」

吹雪「じゃあ、ちゃんと報告しますね?」

提督「ぇー……書き直し?」

吹雪「当たり前ですっ!ほら、ちゃんと座って!」

提督「へいへい……」ギィッ

吹雪「まず、初弾ですけど……」

提督「えー?そこはいらなくね?」

吹雪「やるなら完璧に仕上げるんです、それが嫌なら普段からちゃんとして下さい!」

提督「はーい……」

吹雪「じゃあ言いますよ?」

マズショダンハメイチュウ……メイチュウット……

数十分後 

提督「って事で……白雪ちゃんは中破、吹雪ちゃんは大破OK?」

吹雪「はい、あのまま戦ってたら私が先に倒れてましたから……」

提督「はいよー……じゃあこれで完成だな」カタカタカタ

吹雪「ふぅ……全くもう……司令官ったら……」

提督「悪かったって……所で58ちゃんは?」

吹雪「多分先に寝たと思いますけど……」

提督「そうかー……ふぁぁ……っ疲れた……」

吹雪「お疲れ様です……」

提督「久々にちゃんと仕事したな……適当がいつまでも続くとダメだ……」

吹雪「…………」

吹雪「司令官…………」チラッ

提督「ん?」

吹雪「はっ…………!」

提督「ど、どうした?」

吹雪「い、ぃいえ!何でも……な、ないです!」

吹雪「わ……私、そろそろ寝ないと……夜も遅いし……」

提督「……??」

吹雪「長々とすみません……じゃ、じゃあ!」

提督「ん、あ、あぁ、おやすみー」

スゥーッ スゥーッパタン

提督「…………」チラ

提督「12時……もうこんな時間か……」



部屋の外

吹雪「……」

吹雪「……」ポケーッ

伊58「……ふぁぁ……喉乾いた……」スゥーッスゥーパタンッ

吹雪「……」

伊58「ん……吹雪ちゃん?どしたの?」

吹雪「……」

伊58「……聞こえてないでち……おーい」ツンツン

吹雪「うわぁっ!?あ、はいなんでしょう!」

伊58「大丈夫?眠い?」

吹雪「い、いえ……」

伊58「そー?もう遅いし吹雪ちゃんも寝た方がいいよー?明日も練習だし」

吹雪「は、はい……ゴーヤさんも……」

伊58「ゴーヤはお水飲んだらすぐ部屋に戻るから……ふぁぁ……眠っ……」

ギィッギィッギィッギィッ

吹雪「…………」スゥーッ スゥーッパタン

台所

伊58「……んっ……んぐっ……」ゴクッ

伊58「ぷはぁっ…………」

伊58「夜中に飲む水道水ってどうも好きになれないなぁ……」コトッ

伊58「……」チラッ

伊58「12時過ぎかぁ……」

伊58「…………」

伊58「……少し待ってから部屋に戻ろうかな……」

レ級『クゥー……ンー……クゥー…』スヤスヤ ギュゥゥー

ヲ級『ヲヲッ…………ヲ……』ウンッウンッ

伊58「……よいしょ」ツマミッ

ヲ級「ヲッ……フゥ……」パシャッ

伊58「熱い抱擁だったね、大丈夫だった?」

ヲ級「……ヲヲ……」コクコク

伊58「……眠い?」

ヲ級「ヲッ」フルフル

伊58「じゃあちょっと話し相手になってくれる?」

ヲ級「ヲ?ヲー……ヲッ」コクコク

伊58「ありがと、じゃあ……ゴーヤが眠くなるまでつき合ってね、ソファ、どうぞ」

ヲ級「ヲッ」チョコン

伊58「じゃあ何から話そうかなぁ……」

ヲ級「……」ワクワク

吹雪の部屋

吹雪「…………」

吹雪(……なんだろう……時々……司令官を見るとドキドキというか…………)

吹雪(…………)

吹雪(…………)

吹雪(あの時……した時も……司令官のこと考えてたし……)

吹雪(……この気持ちってやっぱり……)

吹雪(……ううん、駄目だよ私……司令官は上官……そういう考えで見ちゃ駄目……)

吹雪(…………)

吹雪(……駄目なんだから……)

吹雪「…………」ゴロッ

吹雪「…………」


提督の部屋

提督「…………たしかこの辺に……」ゴソゴソッ

提督「…………」コトッ パカッ

提督「…………渡す前に玉砕したんだよな……これ……」

提督「…………使う日……来るかね……」

ホーッ ホーッ リッリッリッ……

提督「…………渡す前ってか……渡す相手探す前だけど……」ハハ

提督「………………一人で何言ってんだ俺……」ポンッ ゴソゴソッッ パタンッ

提督「……」ゴロッ

提督「……」

提督(……最近ご無沙汰だったな……)ゴソッ ペラッ

提督(…………あれ、抜けなくなってる……飽きたのかな……)ポイッ

提督「ええい、不完全燃焼だな畜生……寝る……!」

キリがいいかなー……とりあえず本編はこのへんで失敬するぜよ

さて、やりますぜ……

次の日 朝 太平洋沖

吹雪「…………」ジャキッ ドドォン!!

ヒュンッカァンッ!!

吹雪「……もう少し……下……?」キリリッ ドドォン!!

ヒュヒュン!! ドボッ

伊58「今のは下げ過ぎでち、1くらいでよかったねー」

吹雪「うーん……微調整って難しいですね……」

伊58「遠距離戦になると少しの微調整が勝負を決めることだってあるでち、まぁ……夾叉が当たり前になるけど」

吹雪「そうですけど、やっぱりうちの鎮守府、弾薬が絶望的ですからそうなると……」

伊58「全弾命中が一番ってこと?それはちょっと無茶でち」

吹雪「ですよねぇ……うーん……」

伊58「……まぁ砲撃戦は専門外だけど魚雷だと出来ないことはないよ?ちょっと無理することになるけど」

吹雪「本当ですか!?」

伊58「うん、艦娘のゴーヤたちだからこそできる技能だけどね」

吹雪「教えてください!多少の無理は承知です!」

伊58「うん、じゃあちょっと上がろう、ここで説明するのはちょっと難しいし」

吹雪「はい!」ザシャゥッ

伊58「……水上艦にできるかは不安だけどね……」スィーッ




岩場

吹雪「……魚雷を……叩きつける……!?」

伊58「うん、魚雷を完全に命中させる方法の一つなんだけど…魚雷を自分の手で持って……あ、的出すね」スコッ

ピョンッ サプンッ……

カタンッ

伊58『まず……目標に全速力で接近して……っ!!』スィーッ ドシュゥーン!!

吹雪「…………」

伊58『敵艦の直下に来たら艦種を90度近くまで上げて急浮上!!』スゥゥッーーッドバァーーッ!!

伊58『ったぁあ!!!』 グゥッ!! ブンッ!!

メキメキメキィッ!!

吹雪「っ!」

伊58『今みたいに敵の上半身もしくは背中に投げつけるように魚雷を叩きつけるのが確実でち……そして……』

ドォォォーーーンッ!!

吹雪「うわっ……!?」

伊58『遅延信管が爆発までに目標から逃げる……これが潜水艦の使用方法だよ』

吹雪「は……はい……」

伊58「よいしょっと……どう?今の方法を駆逐艦風にアレンジしてみない?リスクはあるけど確実に当たると思うけど……」チャプッピタピタ

吹雪「……」コクッ

吹雪「や、やってみます……!」

伊58「色々研究してみるといいでち、イムヤもこれを編み出すのにかなり苦労したらしいからね……」

カタンッ カタンッ カタンッ

伊58『いーい?魚雷は遅延信管付きのやつを使って、目標に完全に叩きつける!』ザザッ

吹雪「は、はい!」

伊58『完全に刺さったことを確認したら一気に転身!もしくは機関を急後退、水上の魚雷の爆発力は半端じゃ無いから、
    生半可な後退だと自分にもダメージが来るでち、特に水上艦は注意が必要だよ?』

吹雪「……」

伊58『じゃあ、一回目……やってみて』

吹雪「はい……魚雷発射管展開……」カコッ

吹雪「遅延信管の魚雷を……自分の手で持つ……」スコッ ギュゥッ

吹雪「標的の距離を……最大船速で詰める!!」クゥゥン…ドォォォーーンッ!!!

伊58『敵が撃ってこないとは限らないよ!!回避運動も忘れずに!!』

吹雪「は、はい!」ザシャァゥッ ザシャァゥッ ドシュゥーーンッ!!

吹雪「距離は十分……今っ!!!」ガッ ドゴォォッッ!!

メキメキメキィッ

吹雪「やった……!」

伊58『吹雪ちゃん!すぐ目標から離れて!!』

吹雪「は……!」

カチッ…ドカァーーンッ!!!

吹雪「っつぅ……!!!」フワッ! ガシャッガシャァァンンッ……バシャァァァ……

伊58『あーあ……大丈夫?』

吹雪「は、はい……一応演習弾なので……失敗しちゃいました……」

伊58『全く……でも今の方法で大丈夫でち、後はいかに確実に魚雷をめり込ませて逃げられるか……』

吹雪「人型だと正面では回避されるかもしれませんし……そうなったら格好の的です……」

伊58『その通りでち、水上艦は潜水艦とは違ってほとんど目視できないからその問題は解決できたけど……』

吹雪「……難しいですね……」ウーン

伊58『吹雪ちゃんは龍田さん仕込みの格闘術があるからそれを上手く使えば?』

吹雪「……と言うと?」

伊58『昨日みたいに足をとってから追い打ちとして魚雷を叩きつけるとか……その代わりすぐに逃げるっていう課題が難しくなるけど』

吹雪「ふむふむ…………」

吹雪「……ちょっとやってみます!」

伊58『うん、試せることは何でも試してみるべきでち、じゃあ人型標的出すよ?』カタンッ

吹雪「はい!やってみます!」


標的前

吹雪「…………」キッ

吹雪「……はぁっ!!」ガッ ドポンッ!!

吹雪「ここから……魚雷発射!」スコンッ ガシッ

吹雪「たぁぁぁあ!!!」ブンッ!! ベキィィッ

吹雪「……退避!!」ザシャゥッ

吹雪「……!」ジャキッ ドドォンッ

ドカァァァンッ!!!

吹雪「……出来た」

伊58『お見事……と言いたい所だけど……これの実用性は余りなさそうだねー……』

吹雪「そうですね……一対一の戦闘ならこの方式で大丈夫ですけど艦隊戦となるとどうしても隙が出来てしまいます」

伊58『相手を組み伏せるのはどうしても隙と隣り合わせだから……となるとー……』

吹雪「立ったまま相手を叩く……後ろからならそれも可能ですけど……相手の後ろを確実に取るのは難しいですね」

伊58『うーん……投錨して超信水旋回かな……?』

吹雪「超信水旋回?」

伊58『そう、超信水旋回、アンカーターンともいうけど日本の艦娘では超信水旋回って呼び方が一般的になってるんだ』

吹雪「へぇ……どんな技術なんですか?」

伊58『水上艦の超高等技術なんだけど……例えば吹雪ちゃんの艤装って錨があるでしょ?』

吹雪「えぇ、背部艤装の底部に錨が設けられていますけど……」

伊58『ん?どれどれ……』チャプッ スィーッ

伊58「ぷはっ……うん、あるね、これ外せる?」

吹雪「?……」カチャッ

吹雪「う………重……」ズシィッ

伊58「それを、足につけて……うん、一応その機構もあるみたい」カチャッ

伊58「もう一つはゴーヤの錨を使っていいよ、両足で出来たほうがいいでしょ?」カチャッ

吹雪「は、はい……足に錨取り付けられたんだ……」

伊58「念のため投錨テストしてみよっか」

吹雪「はい……えっと……よっ!」ドシュッ ドボッ

伊58「……うん、これなら十分でち、じゃあその状態で投錨してない方向だけ機関を動かしてみて」

吹雪「はい、えっと……」スゥゥ

伊58「右足も動いてるよ?」

吹雪「あ、はい!」スィーッ

クルーーー

吹雪「あ、あれ?回ってる……」クルクル

伊58「そう、それが超信水旋回の基本でち」

吹雪「でもどうしてこんな技能が編み出されたんでしょうか?」

伊58「確かね……呉の不知火っていう駆逐艦が戦闘中に編み出した技で……
    その戦術を多用した一斉射撃で戦艦を滅多打ちにしたらしいよ?左右の超信水旋回を多用して弾を全部避けたらしいって」

吹雪「へぇ……凄いですね……」

伊58「ただ、素人が超信水旋回で急転身したら……」

吹雪「…………っ!」ドシュッ グルンッ 

吹雪「……あれ?」グルンッグルンッグルンッ!

吹雪「あ、あぁぁ~~あぁ~~!!と、止まらない!!と、止めて!止めてぇーー!!!!」

伊58「こうなるから注意した方がいいって言ったのに……」

吹雪「うわぁぁわぁあああーー!!!あうっ!」ドッテーンッ







>>330
水上艦は潜水艦とは違ってほとんど目視できないからその問題は解決できたけど……』

潜水艦は水上艦~~だった、これはまるゆの陰謀だな……陸軍め……やることが汚いぞ
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吹雪「あぅ~ぅ……」キリリリッ カチャッ

伊58「だいじょーぶ?」ツンツン

吹雪「し、不知火さんって……凄いんですね……」グルグル~…

伊58「あの艦娘は他とは違うからねー……簡単にできることじゃないでち」

吹雪「はぃ……うぅ……目が回った……」ムクリッ フラフラ

伊58「フラフラでち……まぁ仕方ないね……ちょっと休む?」

吹雪「すみませんゴーヤさん……ちょっとだけお休みします……」

伊58「そだね、じゃあ灯台戻ろっか?」

吹雪「はいっ……あ、そろそろ日が真上に……お昼ですね」

伊58「てーとくもいるかも……じゃ行こっか」

吹雪「はーい……っとと……やっぱり錨は足じゃなくて……よいしょ……」カチッ

吹雪「背中が一番しっくり来るよね……」ザシャァーッ

伊58「あ、錨もうやめる?」

吹雪「はい、あ、これ返しますね?」

伊58「はーいっ」カチッ


灯台

提督「…………」

提督「……お、来た」

吹雪「司令かーん!」ピョンッスタッ

伊58「てーとくー!」ピョンッピチャッ

提督「おー、お帰りー頑張ったか?」

吹雪「はい!また強くなれた気がします!」

伊58「この子は本当に才能があるでち、まさか1~2回見ただけで基本ができるようになるなんて……」

提督「そうか、さすがは吹雪ちゃんだな」ナデナデ

吹雪「あ……髪の毛濡れてます……」

提督「ん?こけたの?」ワシワシ

吹雪「ちょっと吹き飛ばされたり転んだりしちゃって……あ、でも服は乾いたので大丈夫です!」

提督「そうかー、まぁ大丈夫ならいいか、帰ったら風呂かシャワー浴びなよ?ゴーヤちゃんも」

吹雪「はーい」

伊58「ゴーヤは潮水から上がったら塩とかもすぐ取れるんだけどね」

提督「まぁ58ちゃんだけさっさと側に行くってのもあれだろ?、一旦帰ろう」

伊58「はぁい」

言い訳はしない……これ以外思いつかなかった
でち公がアンカーターンって最初に言わないからこんなことになったんだ、言い訳すること無くでち公の仕業だ
責めるならでち公を責めるんだ!

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リビング

提督「超信水旋回……?超信地旋回とは違うのか?」

吹雪「戦車のあれとは違うみたいです、こう、錨を水中に沈めてその場で旋回する技術らしいんですけど……」

提督「…………もう少しわかりやすく」

吹雪「片足に錨のような支えを落として、それを軸に回転する……でしょうか?」

提督「…………」

提督(……ATのターンピックみたいな奴か?)

伊58「名前の由来は誰だか知らないけど海外ではアンカーターンって言われてるでち」

提督「ふぅん……」

吹雪「大失敗しちゃいましたけどね……」テヘヘ

伊58「超信水旋回は難しい技術でち、これを初見でできる艦娘はほぼ居ないから安心していいよ?」

吹雪「でもいずれできるようになりたいなぁ……これからも練習します!」

伊58「うん、頑張って!」

提督「…………錨で回転か……マーシィドックのジオラマに使えそうだ……あ、いや、無理だな……あいつ錨持ってない」

提督「……まぁいいか……さて……そろそろ行く?」

伊58「うん、川底棲艦の調査だよね?」

吹雪「でも……これ以上何かいるんでしょうか?」

提督「あぁ、前から上流あたりでも同じような緑色の光が見えるって通報があったんだ」

吹雪「と、いうことは……」

提督「あぁ、今日はその通報のあった上流の調査に行こうと思う、大丈夫か?」

伊58「いいけど……上流になると水深の浅いところと深い所が出てくるから艦娘艤装じゃキツイと思うよ?」

提督「あぁ、だから吹雪ちゃんには非常時のための武装部分だけを持っていくようにする、大丈夫か?」

吹雪「は、はい!」

提督「……まぁ川底棲艦だしそれすら要らないかもしれないけどね……念のためだ」

伊58「ゴーヤはどうすればいい?」

提督「その深い所の調査をお願いするけど、大丈夫?またネ級みたいな子がいるかもしれないしさ」

伊58「うん、おまかせくだち!」

提督「よし……じゃあ、そういう感じで10分後に出発できるようにしてくれ」

吹雪「はい!」

伊58「はーい」

前浜町 二ツ木山 河川上流 


ザザザザザァーーッ ザザァーッ 

吹雪「ふっ……ふぅ……っはぁ、つきましたね…!」

提督「やっと着いたか……はぁーよっこいしょ……」

伊58「潜水艦と駆逐艦が山登り……シュールこの上ないでち……」ヘトヘト

吹雪「それにしても二ツ木山……こんな川の上流が山になってるなんて……知らなかったです……」

提督「前浜町と言うよりは後乃木市に近い所だな……歩いて行く距離じゃなかった……」

提督「にしてもでかい山だな……前浜山とは大違いだ」

吹雪「はい!まだ半分も登っていないのにマンションが低く感じます……」

伊58「ねーてーとくぅー……そろそろ調査しようよぉ……」

提督「ん、あぁ、そうだな、悪い悪い、じゃあ早速始めるか……えっと確か……」ペラッ

提督「写真によると、そこの深い所と、滝の近くで見かけたみたいだな……丸がしてある」

吹雪「滝ってことは……あそこですか?」


ドドドドドドォォーーーー……


伊58「うわぁ……綺麗……」

提督「あぁここだな、この滝の下はかなり深くなってて、夜にここ来ると赤とか緑色の光で彩られるらしい」

吹雪「って事は……川底棲艦もそこに?」

提督「あぁ、そうなる、ここは吹雪ちゃんにお願いしていいかな?」

吹雪「はい!任せて下さい!」

伊58「じゃあゴーヤはこっちの深い所を潜って探してみるね?」

提督「あぁ、俺はいつも通り釣り上げられる川底棲艦を釣り上げてみるよ」

伊58「はーいっ!」ヌギッ チャプン

川 二ツ木山 上流

伊58『…………』コポコポッ

伊58『……水が澄んでてかなり綺麗でち……でも川底棲艦は居ないなぁ……』

伊58『…………石の下とか?』コトッ

沢蟹『……』カカカカ

伊58『……ただの蟹でち、ごめんね?』

沢蟹『……』

伊58『……』

伊58『……ん、穴?』スィスィ

沢蟹レ級『……ン』スィーー

伊58『あ、レ級!おーい!』スィーッ

レ級『……!!』ピューンッ

伊58『あ、逃げちゃった…………でも一応ここにも川底棲艦は居るんだね……』キョロキョロ

レ級『ゥウー……』ガルルル

伊58『ごめんね?ちょっとだけ居ていい?』

レ級『ウゥゥー…………』ガルルルルル カチカチ

伊58『相当警戒されてるみたいでち……』コポコポ




滝付近 

吹雪「…………うーん……司令官、居ましたー?」キョロキョロ

提督「ん?今の所竿に当たりは来てないな……」

吹雪「箱メガネにも川魚しか映らなくて……ねぇ司令官……川に入っていいですか?」

提督「靴ビシャビシャになるぞ?」

吹雪「靴と靴下は脱ぎますよ、深さも膝まで位ですし、いいでしょう?」

提督「うーん……俺は別に構わないけど、尖った石とかには注意するんだぞ?」

吹雪「はい!じゃあちょっと入りますね……」ヌギッヌギッ チャプ

提督「んー……そうだな……じゃあ俺も入るか……」ヌギッポイッ ジャブ


提督「…………」ジャブジャブ…

吹雪「…………」チャプッチャプ…

提督「…………」

吹雪「…………」

提督「……いた?」

吹雪「……いいえ……うーん……」

提督「そうかー……」

吹雪「……司令官、ちゃんと探してます?」

提督「ん?ちゃんと探してるよ」

吹雪「そうですか……うーん……居ないなぁ……」

提督「……そういえば、前浜中学校の滝には巣穴があったよな……?」

吹雪「えぇ……ありましたけど…………あ……」

提督「あぁ、多分いるかも……」

吹雪「そうですね……あ、でもゴーヤさんはもう向こうに……」

提督「……」チラ

吹雪「私は金槌です、と言うか船ですから……」チラ

提督「……じゃあ……」

吹雪「…………」ジーーッ

提督「…………」メソラシ

吹雪「…………」ニコニコ

提督「…………いや、でも……」

吹雪「あぁー早くしないと日が暮れちゃいますよー」チラッチラッ

提督「…………しゃーないな……俺が行けばいいんだろ?」ヌギッ

吹雪「え?司令官って泳げるんですか?」

提督「人の子とガン見しといて何言ってんだ……」ヌギッポイッ

吹雪「……肌、白いですね、シャツ焼けしてますよ?」チラ

提督「典型的なリーマン焼けだ、全身真っ白よりマシだろ?」

吹雪「余り運動してない証拠ですね」ニヤ

提督「うっせ、とりあえず滝に行けばいいんだろ?」

吹雪「はい、お願いします!」

提督「全く……」ザバザバザバ

滝近く

提督「……深いな……スゥーッ」ドブン

提督(…………)

提督(……一応見えるけど……やっぱ見にくいな……)ゴボゴボ

提督(……ん?何だ……?)ゴボゴボ

提督(…………緑色に光る何かがある……なんだこれ……)スカッスカッ

提督(……このタイプ……いや、よく分からん……それにしても深い……)スイスイスイ 



提督「ぷはぁっ!!……ゲホッ……」

吹雪「司令官!居ましたか!?」

提督「はぁ……あぁ!予想通りだ、川底棲艦は大きいサイズになると深いところに巣を作るらしい!」

吹雪「ホントですか!?どのタイプかわかりますか!?」

提督「いや、そこまでは分からなかった……ハァ……何か、ゴーグル的なもの無い?」

吹雪「ごーぐる?」

提督「水中メガネだ、なんかあったらいいんだが……」

吹雪「……うーん……箱メガネくらいしか無いですね……」

提督「そうか……うーん……どうしようか……」

吹雪「……ちょっと私も見ていいですか?私もゴーヤさんと同じ艦娘だから見えるかも……」

提督「え?でもいいの?濡れるしそれ吹雪ちゃん……」

吹雪「……えっと……あの……」

提督「?」

吹雪「か、抱えてくれますか?」

提督「は、え?か、抱える?」

吹雪「は、はい……それなら……大丈夫かなって……」

提督「あ、あぁ……構わないけど……服は?」

吹雪「ぬ、濡れても誰も見ないでしょう?」

提督「まぁ……そうだけど……いいのか?」

吹雪「は、はい!大丈夫です!これも川底棲艦のためですから!」

提督「わ、わかった……じゃあ、ちょっと失礼……」ザバザバ 

吹雪「……」コクッ

提督「じゃあ、背中から抱えるから……よっと……」

吹雪「……っ……」

提督「苦しくない?」

吹雪「は、はい」

提督「じゃあ、水入るぞ」

吹雪「……」ドキドキ


上流

伊58「ぷはっ……てーとくー!こっちにも新しい川底棲艦が……」チラ

モ、モウチョットユックリ…… コワイナラヤメルゾ? ダ、ダイジョウブデス……コレモカワゾコセイカンノタメ……

伊58「……な……な……あの抱え…………てと……てーと……く……てぇーとく!?!?!?」カァァァァ

よし、今日はこの辺りかなぁ……またどこかで設定をまとめたい

私の出番ネー!follow me!

テートク! チョットテートク!! ナニシテンノー!!?


吹雪「し、沈むんですね……」

提督「……大丈夫だ、吹雪ちゃんは目を開けるだけでいいから……じゃあ……いくぞ……」ザブザブ

吹雪「……は、はい……スゥーッ」

提督「…………スゥゥー」


ザブン


伊58「……え」

伊58「……水中プレイ……ってそんな訳ない!」ブンブンブン

伊58「……あの中に何が……」バシャバシャ




川の中

ゴボゴボゴボ…コポコポ……

吹雪(……水の中…………深い………潜水艦や川底棲艦の世界……)ブクブク

吹雪(…………まさか生きてるうちにこんなに深い水の中に入るなんて思わなかった……)キョロキョロ

吹雪(それにしても……滝壺にこんな穴があるなんて……司令官の言う緑色の光はどこにあるんだろう……)キョロキョロ

吹雪(司令官、何処ですか?)ツンツン

提督(もっと下だな、大丈夫?)ハンドサイン

吹雪(私は大丈夫です)コクコク

提督(OK、じゃあもう少し潜るぞ)

吹雪(はい!)コクッ

ブクブクブクブク

水上 滝

伊58「……」ノゾキコミ

伊58「……ほっ……別にそう深くないでち……安心した」

伊58(……でも……広さはさっきの倍くらい広い……って事は大型艦が?)

伊58(……念のため……あ、あった……)キョロッ

伊58(吹雪ちゃんの艦砲借りとこ……)ガコッ

伊58「万が一のためでち……川底棲艦が全部無害ってのは信用ならないからね……」

伊58「…………」

伊58「……人間なのに中々浮かんでこないなぁ……」ソワソワ


水中 

ブクブクッ……コポポポ……

吹雪(…………ん?穴……?)

吹雪(…………生き物の巣穴みたい……この中に……)ジーッ

ピカッ ピカッ 

吹雪(!……やっぱり……何か居る……)

吹雪(この緑色の光……やっぱり川底棲艦)

提督「……ゴボッ!!」

吹雪(だ、大丈夫ですか?)

提督(む、無理、一旦上がろう)ゴボボ

吹雪(は、はい!……)ゴボッ…

吹雪「ムグゥッ……ンンゥー!!」ゴボゴボッ

吹雪(……い、急ぎましょう!私もそろそろ限界っ……!!)

提督(お、おう……じゃあ上がるぞ)

スイスイスイ
ザバァッ


提督「プハッ!!ゲホッゲホッ……!はぁ……大丈夫だった?」

吹雪「はぁっ……ふぅ……ごほっ……ふぅ……は、はい……」

提督「……ふぅ……で、何か居た?」

吹雪「は、はい……川魚の他に色々穴があって…………その中に緑色の光が……多分川底棲艦です……」

提督「やっぱりか……」

吹雪「はい……!じゃあもう一度……」

伊58「水上艦と人間が何一丁前に潜水しようとしてるでち」ザブザプッ……チャプンッ

吹雪「!」

提督「うおっ……58ちゃんじゃない、向こうはどうしたの?」

伊58「向こうにも新種が居たけどこっちにも居るみたいだね、でしょ?」

吹雪「はい、あの、ゴーヤさんも一緒に見てくれませんか?」

伊58「うん、任せて、てーとくはどうする?」

提督「そうだな……せっかくだし潜るだけ潜ってみるか」

伊58「分かった…………じゃあ行くよ?」ザブンッ ブクブクッ

チャプッ ザブッ ブクブクブク……

ブクブクブク

伊58『で、その緑の光ってどこ?』

吹雪(な、なんでゴーヤさんは水中で声が届くんだろう…)

提督(……潜水艦って本当に特殊だな……水中でも普通に見える吹雪ちゃんも吹雪ちゃんだけど……)

吹雪(もっと下です)ハンドサイン

伊58『もっと深い所?』

吹雪「……」コクコク

伊58『はーい、じゃあ先行ってるね、あ、そうだ……てーとく』

提督(……?)

伊58『吹雪ちゃん、離しちゃ駄目だからね、水上艦は本当にカナヅチだから』

提督(分かってるよ、だからこうやって恥ずかしいけど掴んでる……って言っても伝わらないな……)

提督「……」コクッ

伊58『素直でよろしい、じゃあ早めに沈んできてねー』スィーッ

提督「……」ゴボゴボ

吹雪(速い……さすが潜水艦……司令官)トントン

提督(……?)

吹雪(……私達はゆっくり行きましょう)ニコッ

提督(あぁ、勿論)コクッ

ブクブクブク




川底 巣穴

伊58『……ここ?』

提督「……」コクッ

伊58『ふぅん……』キョロキョロ

伊58『……』ピクッ

伊58『……確かに大きいのが一匹……こっち見てるね』

吹雪(分かるんだ)

提督(なんで分かるんだろ……)

伊58『……結構大きいタイプの川底棲艦でち……多分↓2だと思う』


この中の川底棲艦は?

1.戦艦タ級
2.戦艦ル級
3.戦艦棲鬼
4.飛行場姫


伊58『珍しいでち、目が緑の飛行場姫だね』

提督(……というと?)クビカシゲ

伊58『多分……多分……いや、よく分かんないや、ちょっとゴーヤが話し聞いてくるね』

吹雪「ンッ……ンゥゥーッ……」ゴボッゴボボ……

伊58『……大丈夫?てーとくと吹雪ちゃんは先に上がっといて』

吹雪「ンッ……ンッ……!!」トントン

吹雪(は、早く……!)

提督(あぁ、分かった、じゃあ後は任せたよ)グッ

伊58『んー、じゃあね』

スィスィスィ


吹雪「ぷはっ!!はぁっ……げほっげほっ……はぁ……!はぁ……!」

提督「大丈夫?」

吹雪「は……ふ…………ふぅ……い……いった……ん……陸に……」

提督「あぁ、すまないな、長い間潜っちゃって」ザバザバザバ

吹雪「い、いえ……大丈夫です……」






川縁

吹雪「…………」ゴロンッ

提督「ふぅーっ……しかし……飛行場姫か……何で飛行場が沈んでるんだ……?」

吹雪「……多分……見た目こそ飛行場姫かも知れないですけど……違うのかも……」

提督「多分それだろうな……目も緑だったし……どんな名前になるんだろ……」

吹雪「……滝壺姫?」

提督「もはや別人じゃないか」



川中島姫『…………』

伊58『…………姫ってことは多少の言葉が通じるんだよね……ねぇ、聞こえる?』

川中島姫『……ウン』

伊58『よかった……名前って分かる?』

川中島姫『……カワナカジマキ』

伊58『……えっと……?』

川中島姫『……カワナカジマキ』

伊58『あ、あぁ……川中島姫ね、うん、分かる』

川中島姫『……』

伊58『……でさ、川中島姫……あの、さっきの男の人と女の子、見た?』

川中島姫『……ウン』

伊58『…………』

伊58(なんか話のペースが合わないなぁ……)

川中島姫『……?』

伊58『えっとね、その人たちが川中島姫と話したいんだって……だから一緒に来てくれる?』

川中島姫『…………』コク

伊58『……うん……ありがと、じゃあちょっと来てくれる?』スィーッ

川中島姫『……』フワッ

伊58『……』

伊58(……かわなかじま?って誰?)スイスイー

提督「……お、出てき……ん?」

吹雪「?」

提督「……いや……本当に見た目は飛行場姫そのまんまなんだなぁって……」

吹雪「……!」ビクッ

川中島姫「……フゥ」プルプルッ

吹雪「びっくりした……本当ですね……目が緑色なだけで普通の飛行場姫です……」

川中島姫「……」

伊58「ぷはっ!……川中島……あぁもう、名前が長い……中島ちゃんでいい?」

川中島姫「……チガウ……カワナカジマキ……」ムスッ

伊58「……だめ?中島ちゃん」

川中島姫「ダメ」

伊58「うーん……分かったぁ……てーとくー!川中島姫ちゃんつれてきたよー!」スィスィッ ザバザバッ

川中島姫「…………」ザブザブッ ヒタヒタ


川縁

提督「おー、ご苦労さん……って、かわなかじまき?」ムクリッ

吹雪「滝壺姫じゃなかったんだ……」ムクッ

川中島姫「…………ニンゲン?」クビカシゲ

提督「うん、人間だ……こっちは艦娘の吹雪……艦娘って知ってる?」

川中島姫「……」フルフル

吹雪「……あれ?知らないんだ……」

提督「ふむふむ……まぁいいか……にしても大きいなぁ……吹雪ちゃんと大して背丈変わらないんじゃないの?」

吹雪「な……私はこんなに小さくないです!」

川中島姫「…………ソウ?」

吹雪「そうだよ!」

提督「じゃあ、背比べしてみる?」

吹雪「えぇ……私のほうが大きいです、絶対」フンッ

川中島姫「………………ナラブ」ヌッ

吹雪「私のほうが絶対大きいんだから!」ヌッ


吹雪 推定140センチくらい

川中島姫 推定130センチくらい(吹雪談)


伊58「…………」

提督「…………」

川中島姫「…………」ジトッ

吹雪「…………どうですか?どうですか?」

提督「あぁー……えっとだな……」

伊58「……うーん……」

吹雪「な、なんですか?」

川中島姫「……オオキイ」

吹雪「でしょ?でしょ!?」チマーン

ワタシノホウガオオキイヨ! ソウ バカニシテルデショ! シテナイ

提督「うーん……」

提督(深海棲艦的な強さではどっこいどっこいのレ級と川中島姫……レ級のほうが強いらしいけど)

提督(なのに背丈の大きさはタラちゃんとワカメくらいの差がある……)

提督「58ちゃん、この子とレ級たちの背丈……なんか違い分かる?」

伊58「……うーん……よく分からないでち……でも」

提督「でも?」

伊58「多分だけど……生き物的な規模で変わってくるのかなって思う……」

提督「生き物的な規模……?」

伊58「うんほとんど憶測でしか無いけど、例えばレ級は生き物的に区別すると蟹でしょ?」

提督「あぁ、しっぽの形からして完全に沢蟹だからな」

伊58「で、そのレ級の大きさはヲ級と対して変わらない程度だよね?」

提督「うん、空母ヲ級と戦艦レ級もほとんど背丈が変わらなかったし同じようなものかなって思うけど……」

伊58「そなの?」

提督「あぁ、二人共高校生か大学生の女の子くらいの背丈だったぞ、加賀さんと同じくらいだ」

伊58「……へぇー……そうなんだ……まぁそれは別に重要な事じゃないけど……」

提督「あぁ、そうだな……で、何だっけ……」

伊58「えっとね、だから、沢蟹みたいに規模が小さい川底棲艦はああやって小さいけど……
   川中島姫みたいに存在の大きい感じの生き物はあぁやって普通の人間と変わらない大きさになるんだと思う」

提督「なるほどね…………じゃあ、浄水ネ級は?」

伊58「……えっと……それは……」

提督「あぁいう特殊なタイプはどうやって大きさが決められるんだろう……」

伊58「うぅーん……あの子の大きさはどれくらいだっけ?」

提督「えーっとだな……確か吹雪ちゃんの膝くらいの大きさだったと思う」

伊58「って事はゴーヤの脹脛くらい……かな…………」

提督「そうなるな」

伊58「…………そういえば皆小さいんだね……」チラッ


吹雪「……」

川中島姫「ソンナニキニスル?」

吹雪「気にするよ……」ショボン

川中棲姫「……カンムスハヨクワカラナイ……ン?」

吹雪「……?」ビショビショ

川中島姫「……フブキノヌノ……ハダニハリツイテル……キツクナイ?」

吹雪「あぁ、大丈夫、服が濡れてるだけだから……さすがにここじゃ脱げないし……」

川中島姫「……ソウ」



伊58「…………比較的大きなあの子も子供くらいの背だしねぇ……」

提督「……まだ種類は多そうだな……58ちゃんの所の新種ってどんな子だったの?」

伊58「あぁ、連れてこようか?」

提督「あぁ、頼むよ」

伊58「連れてきたよー!」

提督「ん?小さいな……」

伊58「うん、こっちはかなり小さいタイプみたいで……えっと……この子は多分……ホタル?だっけ?」

提督「ほ、ホタル?なんでホタルが川の底に居るのさ?」

伊58「島が水の中にあるのに何言ってるんでち、ほら、来て来て」

ホタル↓2「…………」


このホタル、何?

1.軽巡棲鬼
2.潜水ソ級
3.雷巡チ級
4.猫艦戦
5.イ級後期型

蛍艦戦「……」フヨフヨ

伊58「ね?ホタルっぽいでしょ?」

提督「…………」

伊58「?」

提督「……58ちゃん、もう一度確認しとくよ?」

伊58「え?何?」

提督「コレ……本当に今の今まで水の中に沈んでたの?」

蛍艦戦「…………」フヨフヨ

伊58「うん、さっきまで水の中でピカピカ光ってたよ?」

レ級「……」チャプッ

レ級「…………ヴゥーー」ガルルルル

伊58「でもこの子のお気に入りみたい」

提督「あれ?レ級じゃん、ここにも居るの?」

伊58「うん、でもこの子はうちのレ級とは違ってかなり警戒心が強い子みたい……説得は難しそうだねー……」

提督「そうかぁ……吹雪ちゃんに頼ってみる?」

伊58「試してみよっか、おーい、吹雪ちゃーん!」


吹雪「あ、はーい!」タッタッタッタ

川中島姫「……」テクテク

伊58「あのさ、この子……ちょっと警戒心が強いんだけど……何て言ってるか分かる?」

川中島姫「…………この子……」

レ級「!」

レ級「……」ジッ

吹雪「レ級ですか?ここにも居たんだ……」

レ級「……ン……?」ジロッ

吹雪「……?」

レ級「……ヴゥー……」ガルル… カチカチ

吹雪「…………」

レ級「…………ゥ」ルル…ウルル……

吹雪「この子……自分の宝物を取られて怒ってるみたいです」

伊58「宝物?……ホタルのことかな?」スッ

吹雪「……猫艦戦?……ねぇ、コレのこと?」スッ

レ級「!!ッ……ンッ!ンッ!」ピョンッピョンッ

吹雪「やっぱり?……司令官、これ、返していいですか?」

提督「……うーん……そうしたい所だが……」

レ級「ウゥー……」ピョンッピョンッ

提督「………………他に同じものがないか、聞いてくれるか?」

吹雪「は、はい……ね、コレと同じもの……無い?形が似たものでもいいから、ね?」

レ級「……!ンッ」コクコク

テテテテッ ピョンッ チャプッ

チャプン

レ級「ッ!」スッ

蛍艦戦「……」フワフワ

吹雪「これ?いいの?」

レ級「ン……」コクッ

レ級「…………」ミブリテブリ

吹雪「……そう……でも……それじゃこの子は……」

レ級「…ウゥ…」フルフル

レ級「………………」ニコッ

吹雪「そう、じゃあ……この子はもう通じないんだね……」

レ級「……」コクッ

レ級「…………」

吹雪「……」

吹雪「司令官、この子です」スッ

川中島姫「……イイノ?」

レ級「……ン」コクッ

川中島姫「ソウ……」

提督「……ふむふむ……分かった……すまないな、こっちは返すよ」スッ

レ級「……!」ニコッ

レ級「……」ムムッ

蛍艦戦「……」ヒューンッ

レ級「……!」パァァッ

レ級「……♪」

タタタッ ピョンッチャプンッ



蛍艦戦「……」フヨフヨ

吹雪「……こっちの子は、長い間使っててレ級とのリンクがとれなくなったみたいなんです」

川中島姫「……アタラシイノアゲテカラ……ズットツカッテナカッタ」

吹雪「はい、だから自由に使っていいらしいです」

提督「そうなのか……それにしても猫艦戦そっくりだな……」

伊58「ねー……本物は見たこと無いけど同じだよねー」

吹雪「……」チラッ

提督「……」コクッ

伊58「……?」

提督「さて、そろそろ時間もいい頃だし、今日はそろそろ帰るか」

川中島姫「カエルノ?」

提督「あぁ、また近いうちに話聞くかもしれないけど、その時はまたつき合ってくれる?」

川中島姫「ウン……ヒルマハヨンダラクル……イツデモイイヨ」

吹雪「また来るからね!」

川中島姫「バイバイ、フブキ」

……よし、今日はこの辺で失敬しましょ
まぁこの艦戦の使い道は1つか2つしかないよね

さて、そろそろ始めますか

吹雪「……あの……司令官……」

提督「ん?……って……あぁ……」

吹雪「はい……」ビッショリ

提督「そうだな……」キョロッ

提督「俺も同じくらい濡れてるしなぁ……」

伊58「替えの服とか持ってこなかったの?」

提督「俺も吹雪ちゃんも潜ることは想定してなかったしなぁ……ね?」

吹雪「……」コクッ

伊58「はぁ……本当に似たもの同士というか……ほら、吹雪ちゃん」ゴソゴソッ スッ

吹雪「へ?」

伊58「ゴーヤの替えの服、向こうの茂みで着替えるでち」

吹雪「あ、ありがとうございます……でも、いいんですか?」

伊58「いいのいいの、そんな格好じゃ蒸し暑いし周りの目とか気になるでしょ?」

吹雪「あ、は、はい……じゃあ……ちょっと着替えてきます……」チラ

提督「覗かないから安心しろ」

吹雪「絶対ですよ?じゃあ……すみません……」ガサガサ

伊58「サイズが合わなくても文句言わないでねー」

ハーイ


提督「……58ちゃん替えの服持ってたんだ」

伊58「いつも水着ってワケじゃないし、突然泳ぐことになっても安心でしょ?」

提督「……ちなみに水着はいつも着てる感じ?」

伊58「そうだねー、下にいつも着てるよ?今もだけど」

提督「流石だな」

伊58「そこら辺の下着よりずっと着心地がいいから別に苦じゃないよ?」

提督「そういうもんなの?」

伊58「潜水艦からしたらスクール水着はもう肌の一部でち」

提督「……ノーパンみたいな」

伊58「言うと思った、違うよおバカ」ペシッ

数分後

吹雪「はぁ……ふぅ……すみません、お待たせしました!」ガサガサ

提督「おお、来たか……へー似合うじゃん」

伊58「おー……以外に着こなせるんだね、吹雪ちゃん」

吹雪「そ、そんなにですか……?」テレッ

提督「あぁ、似合う似合う……ただ……」

吹雪「?……あ、袖口……」ブカブカ

提督「サイズの問題だな……まぁ、ずり落ちないだけましだ」ポンポン

吹雪「うぅ……」

伊58「あはは、まぁ自分に似合う服がいつか見つかるよ、じゃあそろそろ行こっか」

提督「あぁ、そろそろ日が傾くし、早めに帰ったほうが良さそうだ」

吹雪「はい、ヲ級たちもお腹をすかせちゃいますし……」

提督「夕飯までに帰れるかな……割と道遠かったし……」

伊58「途中走れば日が沈むまでに帰れるよ、急ごっ!」タッタッタ

吹雪「あ、ゴーヤさん!私も付いて行かないと……」タッタッタ

提督「下り坂は走ると危ないぞー」テクテクテク




呉鎮守府

長門「…………」

陸奥「今回の作戦の成功の鍵になるのは……やはり赤城達一航戦と蒼龍達ニ航戦……」

長門「あぁ……MI作戦を呉と他の鎮守府で行うのは今回が初だ……提督の指令書の指示通りにやれば上手くいく」

陸奥「えぇ、そうだといいけど……この航空自衛隊って言うのは?彼らを戦力に加えるのは指令書に書かれていなかったわよ?」

長門「……この追加戦力は万が一の為の保険だ……赤城達にこの部隊を使うことは伏せておけ」

陸奥「……でも、そうなるとこの隊はどこで?」

長門「遠方からの増援が確認できた場合、彼らを迎撃部隊として使用する、ジェットエンジンなら増援部隊追いつくのも速い」

陸奥「でもMI島にジェット機を送るなんて無茶よ?あなたも知ってるでしょう?」

長門「そのための第042特務飛行隊だ、彼らの使用する機体は知っているだろう」

陸奥「……例の猫艦戦の技術を使用したF-15……あぁ……なるほどね……」

長門「あぁ……W島防衛にも参加した機体だ、これで少しでも赤城たちを……」

陸奥「……でも問題はまだあるわ……」

長門「あぁ……この4人をよりによってMIで使うことになるとは……」

陸奥「どうするの?」

長門「この編成は提督の編成の主軸となる、私はそれに従うだけだ……この4人での決行は変えない」

陸奥「……そう……」

長門「…………ふぅ……さて……ALの方も、少し修正しなければな……陸奥、ALの海図を見せてくれ」

陸奥「えぇ、少し待ってて」

ガチャ バタンッ

長門「……フゥ……」

長門「未来ある若者を殺すな……か……」

長門「…………犠牲なくして勝利はない……とも言うが…………どっちが正しいのやら……」フッ

横須賀鎮守府

横督「赤城、加賀、蒼龍、飛龍……MI攻略の鍵となるが同時に悲劇の引き金となる四隻……」ペラッ

横督「……引き金を引いて危機を呼び寄せた上で脱するか……そのまま悲劇の弾丸を喰らうか……」

横督「…………」ニヤリ

叢雲「……MI作戦ねぇ……」

叢雲「決行は明後日か……」チラ

横督「叢雲」

叢雲「……何」

横督「MI作戦、貴様はどう見る」

叢雲「さぁね、私は何とも思わないけど?」

横督「そうか」

叢雲「……ただ、呉だけの力では不安ってのは確かにあるわね」

横督「……ALの軽空母は誰が出る」

叢雲「……さぁ?」

横督「……単冠の龍驤と隼鷹に伝えろ、あの女ならあの二隻を選びかねん」

叢雲「分かったわ……何を伝えるの?」

横督「……現時刻より訓練内容を変更、旗艦としての指揮能力の向上に尽力せよ」

叢雲「……」カキカキサラサラ

叢雲「……ん、じゃあ伝えてくるわね」

ガチャッ バタン

横督「…………」

横督「…………まともな軽空母の一つ、自分で用意してほしいものだ……」ガタッ

横督(泊地も基地もまとめて「他の鎮守府」呼ばわりしながら作戦を立てているのだろうな……全く、学のない艦娘はこれだから……)

二丁目鎮守府 リビング


蛍艦戦「……」フヨフヨ

ヲ級「ヲー……」キラキラ

レ級「……?」ジーッ

蛍艦戦「……」ヒューン

ヲ級「ヲッ」タッタッタ

レ級「……」タッタッタ


吹雪「興味津々ですね」

提督「あぁ、一度見たっきりあの調子だ」

吹雪「……この後どうするんですか?あれ……」

提督「……うーん……色々考えてるんだけど方法は6つくらいかなぁ……」

吹雪「6つも考えたんですか?」

提督「あぁ、まぁ……ほとんど似たようなものだと思うけど……吹雪ちゃんはどうする?」

吹雪「私ですか?私は……↓2にしようと思いますけど……」


猫艦戦、どうする?

1.このままヲ級たちの遊び道具としてあげる
2.例の深海棲艦に渡して事態の解決を促す
3.横須賀の人たちに送って新兵器の開発を促進させる
4.呉鎮守府に送って大規模作戦の攻略に役立てる
5.とりあえずゴーヤさんに聞いてみる
6.司令官に任せる

ヲ級「ヲッ」ギュッ

レ級「ンッ!」ガシッ

蛍艦戦「……」ピューンッ

ヲ級「ヲヲー♪」フラフラーッ

レ級「アゥー♪」フラフラーッ


吹雪「……」チラッ

提督「……」

吹雪「あの子達も楽しそうですし……あの艦戦自体に戦術的価値はなさそうです」

提督「実際の猫艦戦はもう向こう側に送られてるし……わざわざ上げる必要もないか」

吹雪「写真と説明だけでいいでしょうか?」

提督「あぁ、大丈夫だと思うよ、はいカメラ」

吹雪「はーい…………」スッ


蛍艦戦「……」クルクルーッ

ヲ級「ヲーーッ」クルクルクル

レ級「ゥーイ♪」クルンクルンクルン


吹雪「…………」ムムム

吹雪「この子達がぶら下がって……上手く……」

提督「一緒に撮ったら?楽しく遊んでる的な感じでいいと思うけど」

吹雪「そうでしょうか?……まぁ一枚くらいなら」カシャッ

吹雪「そういえば川中島姫の写真は撮りましたか?」

提督「あぁ、吹雪ちゃんも写ってるけど大丈夫?」

吹雪「川中島姫と喋ってるところならいいですけど、というかいつの間に……着替え中とかは撮ってませんよね?」

提督「撮ってるわけ無いだろ、健全な写真だ」

吹雪「…………」カクニンチュウ

吹雪(……やっぱり濡れてると下着が透けて……まぁいいか……)

吹雪「……大丈夫ですね……」

提督「だろ?何度も言うけど仕事と自分の趣味は分けてるんだ、そのへんは忘れないでくれ」

吹雪「…………趣味?」ジトッ

提督「……エフンッ……ご、58ちゃんはどこいったんだ?」

吹雪「ゴマカシタ……かなりお疲れだったみたいで、部屋で昼寝中です」

提督「そうか、吹雪ちゃんは大丈夫か?」

吹雪「私は大丈夫ですよ、司令官は?」

提督「俺はまだまだ、それに昼寝ってのはあまり好きじゃないんだよなぁ……」

吹雪「そうなんですか?」

提督「あぁ、なんか一日が無駄に消費されてる感じがしてなぁ……そう思わない?」

吹雪「私はそうは思いませんけど……そうですか?」

提督「うーん……まぁそれくらいやることが無い暇人ってことなんだろうなぁ……」

吹雪「あはは……で、これからどうします?」

提督「特に用がないなぁ……報告書は夜書くし、今何時?」

吹雪「6時前ですね」

提督「おぉ……そんな時間か……夕飯の下ごしらえはしてるし……そうだなぁー……」チラッ

吹雪「…………」チラ

カッカァッカァッカァッ……ブンブンマルユウカンデース……カァッカァッ

提督「ちょっと夕涼みでもするか」

吹雪「風流ですね」

提督「そうでもないような……どこ行く?」

吹雪「いつもの灯台とかはどうでしょうか?」

提督「お、いいね、じゃあ行くか、ヲ級」

ヲ級「ヲー?」

提督「俺達ちょっと出かけるから、58ちゃんが起きたら言っといてくれるか?」

ヲ級「ヲッ」グッ

吹雪「お願いね?」

ヲ級「ヲヲーッ」コクコク

提督「よし、じゃあ行くか」

吹雪「はいっ!」

灯台

ザザーンッ ザザーンッ

吹雪「あ!ちょうど日が沈みそうですよ!」

提督「お、本当だ、ちょうどいい時間だったんだな」

吹雪「…………」

提督「うーん……やっぱ日没っていうのはいいものだな……」

吹雪「そうですね……」

提督「……静かな海だな……よっこらせ……」

吹雪「……」コクッ

提督「…………」

吹雪「…………」

提督「…………」

吹雪「……ね、司令官……」

提督「ん?」

吹雪「……人と艦娘って……違うと思いますか?」

提督「……違わないと思うぞ?人間のような生き物で、艤装を装備できる以外は人間と変わらないんだろ?」

吹雪「……それと、年を取らない……」

提督「……あぁ、大きな違いだなそれは、そういやそうだった……でも寿命はあるはずだ」

吹雪「……」コクッ

提督「なら、人間と同じものとして見ても許されると思う、人の体を持った艦艇の女の子って事で艦娘なんだ」

提督「艤装がない今みたいな格好なら人と変わらないだろ?なら人と変わらないよ」

吹雪「……」コクッ

提督「……急にどうした……?」ポンッ

吹雪「あ、いえ……司令官はどう考えてるのかなぁって思って……」

吹雪「私達みたいな存在が、こうやって人間たちの住む世界に溶け込んじゃって……」

吹雪「本当は深海棲艦同様にこの世に存在するはずのなかった私達がこうやって生きてる……」

吹雪「違和感とか、感じないのかなって……」

提督「はは、今更何言ってんだ、感じるわけ無いじゃん」

吹雪「で、でも!」

提督「だって吹雪ちゃんはこうやって俺の隣で座ってるんだ、実在してる女の子に違和感なんか感じないよ」ポンポンッ

吹雪「……そうですか?」

提督「あぁ、吹雪ちゃんは俺の秘書艦、それで俺は十分だ」

吹雪「……」

提督「な?」ニコ

吹雪「……あの!」

提督「ん?」

吹雪「その……えと!」

↓4
1.これからもよろしくお願いします!
2.私司令官のことを、信頼しています!
3.あの……司令官……あの……(告白)

吹雪「司令官、これからもよろしくお願いします!」

提督「ん?あぁ、勿論だ」

吹雪「…………」

提督「…………」

吹雪「……日が沈みますね」

提督「あぁ……そうだな……」







隠れ棲地

空母ヲ級「……何か見えるか?」

戦艦レ級「あぁ、いつもの灯台にあのガキと提督が二人で三角座りしてる」

空母ヲ級「そうか……何か変わったものは見えるか?」

戦艦レ級「……白だ、ナチュラルだな」

空母ヲ級「……??」

とりあえず今回はここまででち、そろそろオリョクル行ってくるでち

一息入れて11時辺りから始めるでっちっち
夜中にちょっと安価取るってことを先に行っておくでち

さて、やりますか

夜 風呂場

吹雪「ふぅっ……」ゴシゴシッ

伊58「ふぅー……今日でこの生活も終わりかぁー……」チャプ

吹雪「えぇ……しっかり休めました?ずっと働かせてばかりだったような気がして……」バシャッ

伊58「そんなことないよぉ、いつもの生活とは違って寝転んだりぼんやりしたりして……」

伊58「美味しいもの食べたり作ったりして、変わった生き物と触れ合えて……」

吹雪「…………」

伊58「ゴーヤからしたら何もかもが天国みたいなところだったよ」フゥッ

吹雪「そうでしょうか……?」

伊58「うん……怪我の功名っていうのかな?こういうの……ここに来てよかった」

吹雪「なら……良かったです……あ、ここに来たいからってまた怪我しないでくださいね?」

伊58「分かってる、今度来る時は平和になった時でち、療養で来るのは今回が最初で最後だよ」

吹雪「えぇ、今度は皆で来てくださいね?……あれ……リンス出ない……しれいかーん!リンスありますー?」カチャッスコッスコッ

リンスー?アァーアルアルー

伊58「もっちろん!うちのてーとくも連れてくるし、泊地全体をお休みにしてでも来るでち!」

提督「そうなったら家改装しなきゃならんな……ここ置いとくぞー」カラッ

伊58「うぇぁああああ!!!!???な、何のつもりでちぃーー!!??」バシャァーンッ!!!

吹雪「あ、ありがとうございます」

提督「のぼせるなよー」カララッピシャッ

伊58「…………???……????」

吹雪「……治らないなら利用するしかないよ……」ワシャワシャッ

伊58「……え?ふふ、ふぶきっっちゃん?大丈夫?」

吹雪「え、えぇ……」ワシャワシャッ

伊58「…………」

伊58(…………)

吹雪「とーどけーとーどけー……ふーふふーふふーふふーん……♪」

伊58「でち……」プクプク…

伊58(……イクたち……元気してるかなー……)

伊58(……てーとくも……元気だといいけど……)

伊58「あ……」

吹雪「?」

伊58「帰りの空港までのバス代……忘れてた……」サァーッ

吹雪「え……?どこまでのバスですか?」

伊58「確か関空のSSTOだったから……まぁ5000ちょっとだと思うけど……」

吹雪「あぁ……びっくりした……それくらいなら司令官に頼めば大丈夫ですよ」

伊58「え?ホント!?」

吹雪「えぇ、多分貸しになると思いますけど」バシャッ カポッ

伊58「そりゃそうだよ、帰ったら返すから……ごめんね?迷惑かけて」

吹雪「大丈夫です!……っと……失礼しまーす」チャプッ

伊58「んー……」

吹雪「チケットは大丈夫ですか?」

伊58「うん、それは大丈夫、旅行バックに入ってるから」

吹雪「良かった……帰れなかったら大変ですもんね……」チャプッ

伊58「ほんとにねー……」

吹雪「…………」

伊58「……ゴーヤがいなくなった後さ、どうなるんだろ」

吹雪「…………しばらく一人……ではないと思います……」

伊58「そうなの?……あ、そうだったね……」

吹雪「え?知ってるんですか?」

伊58「うん、一応その話は聞いてるよ?」

吹雪「……うーん……」

伊58「……ま、考えても仕方ないか……そろそろ上がろっか?」

吹雪「はい!さすがにちょっと入りすぎました……」ホカホカッ

伊58「たまには長湯もいいよ?……さすがに一日中入るのはいただけないけど」

吹雪「そんな人居ます?」

伊58「例えばの話だよー」

アハハハハハ



呉鎮守府

赤城「っくしゅん……」

白雪「大丈夫ですか?」

赤城「えぇ、大丈夫です……少し肌寒くなりましたね……」






リビング

提督「…………」カタカタッカチッ

提督「……うーん……誰にするべきか…………」カタカタ

提督「……最近戦傷艦娘が増えてるな……ついに横須賀からも一人か……」

提督「……ってこの人……マジか……こないだ完治してまたか……」

提督「……ふぅーん……やっぱりあの辺は厳しいのか……」

吹雪「司令官!お風呂開きましたよ!」カラッ

伊58「ふぅーっ……あったまった……」

提督「おー、あとで入るから蓋閉めといてー」

吹雪「はーい」

??「カタパルトが不調でな、延期をお願いしたいのじゃ」

提督「…………ふーん……」カチッ

吹雪「……パソコンですか?」

伊58「エッチなサイト?」

提督「全年齢向けだ……一般人は禁止だけど」

吹雪「?……横失礼しますね……何々……」ノゾキコミ

伊58「んー?」ノゾキコミ

提督「……狭い……まぁいいか……戦傷艦娘の最新情報だよ、リハビリの進捗とか健康状態とか色々載ってるんだ」カチッ

伊58「あぁ……このページかぁ……ゴーヤも見たことある」

吹雪「……これって……インターネット上の情報ですか?」

提督「似てるけど違うな、全世界に公開してる情報ではないよ、軍関係者だけが見れるネットだ」

吹雪「そんなものまで……」

提督「呉鎮守府も一応こういうのは登録してるよ?全くログインしないけど」

伊58「まぁあそこは仕方ないでち、あそこだけ大戦中みたいなローテクぶりだからねー……」

提督「そうなの?」

伊58「うん、まぁそっちのほうが使い慣れてる艦娘が多いからねー……文字も右から左読みだし」

提督「徹底してるなぁ……吹雪ちゃんもそっちのほうがいい?」

吹雪「私は別に不便は感じてませんよ?」

提督「そうかー……俺も普通読みのほうが読みやすいし……別にいいか」

吹雪「ゴーヤさんの所はどっち読みですか?」

伊58「ゴーヤは相手によって変えるよ?送る相手が横須賀系の所属なら普通に送るし、呉側なら右から左にするね」

吹雪「へぇ……そういうやり方もあるんですね……」

提督「俺はどっちにも普通の読み方で送ってるな……横須賀と呉の派閥知らなかったし当然っちゃ当然だが」

吹雪「気遣いがなってない証拠ですね」ニヤッ

提督「低学歴の弊害だなこりゃ」テヘペロ

伊58「あははー……で?次の艦娘はどうするの?」

提督「そーだなぁ……出来れば軽巡以上の大型艦がほしい所だな……」

伊58「軽巡が大型……まぁいいや……とっなると……面識のある摩耶さんかなぁ……」

提督「俺もそう考えてたんだけど……この怪我の具合じゃリハビリの療養よりも外傷の手当を優先させたいな……」

吹雪「腹部に炸裂徹甲弾が直撃……艤装を貫通し一命を取り留めるも治療必至……考えるだけで目を覆いたくなる光景ですね……」ゾワァァ

提督「炸裂ってことは貫通した後に爆発したんだろうな、中で爆発してたら完全に沈んでただろうに」

伊58「さすがは横須賀の艦娘でち……運もトップクラスだねー……」

提督「時間はかかるけど近いうちにここで療養できそうだな……一応ピックアップしとこう」

吹雪「はい!他には……」

伊58「あ、山城さんも戦傷艦娘なんだ……回復に向かいつつあるって!」

吹雪「え!?山城さん!?あの山城さんが……」

伊58「あ、備考……『不幸不幸うるさい』だってさ……」

提督「砲撃のいろはとか教えてくれそうだな……この子もキープしとこ……」

吹雪「少し探してみましょうか」

提督「そうだな、58ちゃん、そこのメモ用紙くれる?」

伊58「はーい」ペラッ

吹雪「……ふむふむ……これはかなり……多いですね……」

伊58「……でも……この中から一人かー……」

提督「中々……戦線が激化してるせいかかなり多いな……骨が折れそうだ……」

吹雪「……それにしても……青葉さんも呉鎮守府に居たんですね……」イヤソウナカオ

伊58「で、負傷してるんだよねぇ……入居じゃなくて負傷って何があったんだろ……」

吹雪「どうせ、また変なことして誰かを沈めたんですよ」プンッ

提督「この子嫌いなの?」

吹雪「……あまり好きではないです」

提督「そうかぁ……まぁ一応キープしとこ……」メモメモ

提督「……後は……こんなもんか……」

吹雪「えっと……いちにーさんし……多いですね……」

伊58「この中から決めるのかぁ……誰がいいかな……」

提督「よし……じゃあ……ここは正当にじゃんけんで決めよう……行くぞ……」

吹雪「……」ムッ

伊58「……」フフーン

ヲ級「……」ヲッ

レ級「……?」クビカシゲ


提督「……まぁ二人増えたことには突っ込まないでおこう……行くぞ」

提督「じゃんっけんぽん!!」


吹雪 グーッ

提督 チョキッ

伊58 チョキッ

ヲ級 グーッ

レ級 シッポ (アトダシ)


吹雪「勝ちました!やった!」

伊58「あぁー……てーとくも負けかー……」

提督「まぁ仕方ない……ヲ級は勝ちだぞ?」

ヲ級「ヲッ!」ヨッシャ

レ級「……??」クビカシゲ

提督「レ級は……まぁ負けでいいか……」




吹雪「じゃ、ヲ級、どうする?」

ヲ級「ヲー?」

吹雪「あははわからないか……次に来て欲しい子だよ、ヲ級が決めていいよ?」

ヲ級「ヲー……ヲッ!」ユビサシ

吹雪「あ、やっぱり?私もこの人にしようと思ってたんだ!」

ヲ級「ヲー……♪」テレテレ

吹雪「じゃあこの人ね、司令官!」

次の艦娘はだーれだ ↓7 

※出来れば損傷箇所が決まってる艦娘以外は損傷箇所も居れてくれると助かる


1.重巡洋艦摩耶(重傷により着任に時間がかかる)(損傷箇所腹部)

2.不幸型戦艦山城

3.重巡洋艦ワレ青葉(呉所属)

4.軽巡洋艦鈴谷(呉所属)

5.重巡洋艦古鷹

6.ブッキー改二(1日の療養で十分)

7.ヒエー改二

8.工作艦明石

9.軽巡洋艦天龍

10.揚陸艦あきつ丸

11.戦艦武蔵

2、左目の一時的な失明状態

提督「左目打撲って……どうなんだ?」

吹雪「……さぁ……でも古鷹さんかぁ……」

提督「知ってるの?」

吹雪「記憶にはありますけど……実際に見たことはないんです……」

提督「……?」

提督(……あぁ、なるほど)

提督「ふむふむ……じゃあ今回は古鷹さんを呼ぶことにしようか……左目まさか打撲して黄色くなったのか?」

吹雪「多分違うと思いますけど……」



吹雪「ヲ級と一緒の考えだったんだね、古鷹さん、ヲ級はどこが気になったの?」

ヲ級「ヲー」ユビサシ

吹雪「やっぱり?私もあったら聞いてみようと思うんだ」

ヲ級「ヲッ」

吹雪「うん……でも打撲してるんだよね……司令官、ちょっとパソコン借りてもいいですか?」

提督「あぁ、構わないよ」

吹雪「ありがとうございます、ちょっとだけ……」カチッ

吹雪「確かここに備考欄が……」カチッ

吹雪「……えっと……先の単冠近海で深海棲艦リ級と格闘……その際の負傷により撤退……」

吹雪「視力の大幅な低下が認められ一時戦線を離脱……推定療養期間2週間……現在9日経過……」

吹雪「ということは明日来るから……療養期間は4日かぁ……更に短くなっちゃった……」

提督「ん?」ノゾキコミ

提督「……あぁ……なるほど……視力低下ね……となると視力自体の治療は終わってるんだ……」

伊58「できるだけ遠くを見せて戻った視力を直さないとね、艦娘にとって視力は命だから責任重大だよ?」ポンッ

提督「分かってるよ……58ちゃんも吹雪ちゃんも早く寝な、明日早いだろ?」

伊58「うん、そうだね、吹雪ちゃん、行こっか」

吹雪「はい!じゃあ司令官!お先に失礼しますね!」

提督「あぁ、後のことは任せてくれ」

ヲ級「ヲ……」コックリッ カクンッ

レ級「ウー……ヲキュ……ンー……」スピーッ

提督「……」


スッ テクテクッ チャプンッ


提督「よしっ……電話するか……」



伊58「できるだけ遠くを見せて戻った視力を直さないとね、艦娘にとって視力は命だから責任重大だよ?」ポンッ

直す  ×
慣らす ○

黒いぜでち公

夜中 

提督「……というわけで、次の艦娘は古鷹さんに来てもらおうかと思うんです……」

長門『古鷹……?加古ではなく?』

提督「えぇ、戦傷艦娘で比較的療養期間が伸びない艦娘はこの子かなーと思いまして……」

長門『……ですが古鷹は佐世保鎮守府の戦傷艦娘……療養期間は伸ばしても3日以内となってしまいますが……』

提督「佐世保……ということは……」

長門『えぇ、女性の提督です。佐世保は今第1艦隊の2番艦が負傷して気が気でない状況……』

長門『交渉次第では療養期間を二丁目鎮守府で満了できるかと思われますが……』

提督「佐世保といえば完璧主義……となるとここに来て不抜けるのは何よりも嫌いますよね……」

長門『えぇ……ですから、出来る限り彼女のみが鈍らないような生活をお願いしたいのですが……』

提督「……なるほど……となると……」

長門『吹雪のトレーニングが主体になり……最悪の場合戦闘をしていただくかと……』

提督「……うーん……しかしまた気むずかしい鎮守府の艦娘を選んでしまいましたな……』

長門『……えぇ……ですが古鷹は佐世保の中でも特に働く艦娘です……』

長門『……一度こういった所で羽根を伸ばさせるのも悪くない判断かと思われます……』

提督「……だといいですけど……」

長門『働き詰めの伊58をここまで回復させたのは二丁目提督の力です』

提督「58ちゃ……伊58がですか?回復してますか?」

長門『えぇ、一度顔色を見ましたが昔見た姿と比べるとかなり良くなっていました』

長門『それに作り笑いでなく純粋な笑顔でした』

長門『これも単にあなたの思いやりの賜だと思いますが……?』フッ

提督「……そう言ってくれると嬉しいですけど……」

長門『……ですから、古鷹もあなたのような自然な人間の癒やしを受ければきっと……』

提督「……きっと、ね……根拠はありませんが最善をつくすつもりですよ……で、いつ来られますか?」

長門『恐らく交渉に一日要しますので……明後日かと、それにちょうどその日から3日までが満了となります……
    早ければ明日中に来るかもしれません、私も早めに交渉を切り上げるつもりで努力しますが……』

提督「……うーん……分かりました、じゃあその日を視野に入れて用意させてもらって大丈夫でしょうか?」

長門「えぇ、そうしていただけると助かります……では……」プチ


ツーッツーッ


提督「……佐世保か……大丈夫かなぁ……」




>>579

ながもん「お~よちよち♪良い子でちゅね~」

>>581
階級は川底達から見れば『変質者』だな

済まない、寝てしまっていた……今日の夜から本気出す

古鷹エルでダメなら北上様、それでもダメならブキ改二、我々は刺客を送り続けるのみよ……

11時半辺りに始められたらニャァ

それじゃ、始めるにゃ

夜中 提督の部屋

提督「……」カチャカチャッ シャカシャカッ

ポパッ

提督「?……あ、横須賀さんからか……」カチッ

----------------------------

ヨッコさん『古鷹を使うのか』

出前二丁『えぇ』

ヨッコさん『何で』

出前二丁『なんとなくですけど』

ヨッコさん『阿呆』

ヨッコさん『よりもよって古鷹か』

出前二丁『駄目なんですか?』

ヨッコさん『いや』

ヨッコさん『面倒なことになる』

ヨッコさん『それだけ』

出前二丁『マジですか』

ヨッコさん『だいたい何で怪我人ばっか引きとるんだ』

ヨッコさん『あの女の力なら通常業務の艦娘の一隻や二隻くらい引き抜けるだろ』

出前二丁『僕が希望してるんです』

ヨッコさん『何で』

出前二丁『こっちの都合で戦力割けないでしょ』

ヨッコさん『そうか』

ヨッコさん『ただ、佐世保の提督には気をつけとけ』

ヨッコさん『気むずかしいぞ』

出前二丁『気をつけます』

ヨッコさん『ん』

ヨッコさん『寝ろ』


ヨッコさんさんはオフラインです

--------------------------------------


提督「……そんなにヤバイんだ……」

提督「……ってか何で横須賀さん、俺が古鷹さんを預かるって知ってたんだろう……」

提督「…………盗聴?」

吹雪の部屋

伊58「……」

吹雪「…………」スゥッスゥッ

吹雪「……んぅ……」ゴロッ

伊58「……」ムクッ

伊58(……寝れない……)

伊58(ここに来て寂しくなっちゃった……)

吹雪「……」スヤスヤ

伊58「……」

伊58(……ここから出たら……またオリョールで資材を集める……)

伊58(前みたいな触雷や……深海棲艦の奇襲を受けることだってある……)

伊58(…………帰りたく……ないな……)

伊58(……ううん……帰らないと…………イクやはっちゃん達が待ってるんだから……)フルフル

伊58(ゴーヤは艦娘、戦うために生まれた潜水艦でち……)

伊58「……明日から忙しくなるし……寝よ……」ゴロッ

伊58「…………」

伊58「…………」

伊58「……っく……ひっ……く……ぅ……」ポロポロ

伊58(……ダメ……寂しくなんかない……早く帰るんだから……帰って皆で潜るんだから……)

伊58(………………泣いちゃ駄目……駄目……)

伊58「…………ひくっ……ぐすっ……」ギュゥゥ

伊58(……声が出る……あぁ……もうダメ……吹雪ちゃんが起きちゃう……)

伊58「……ぐすっ」ムクリッ


スゥーッ スゥーパタンッ


吹雪「…………」ピクッ

吹雪「……?」ムクリッ

吹雪「ゴーヤさん……?」キョロキョロ

提督の部屋

提督「……もうちょっと……ヤスリ掛けてっと……って……こいつもう使いもんになんねぇや……」

提督「……こういう消耗品ってすぐなくなるんだよなぁ……確か予備が……」ガタッ

スゥーッ スゥーパタン

ギィッギィギィギィギィッ



リビング ソファ近く

提督「…………」ガチャッ 

提督「……んー……っと……3番目だっけか……」

クスンッ ヒグッ…テートク……

提督「ん?……誰か居るのか?」パチッ

伊58「うぅぅ……っぐ……グスッ……」

提督「58ちゃん?どうした……眠れないのか?」

伊58「…………ぐすっ」コクッ

提督「……そっか……」

伊58「…………スンッ……明日が来るのが……怖い……」

提督「…………」

伊58「てーとく……ゴーヤ怖いよ……もう……怖いのやだ……やだよぉ……!」ギュゥッ

提督「…………」

提督(……震えてる……)

提督「……あぁ……怖いよな……」

提督(……吹雪ちゃんもそうだけど……艦娘って……本当に女の子なんだよな……)

伊58「……てーとく……ひぐっ……ゴーヤたちは……ゴーヤたちは何で……何で戦ってるの?」

提督「……何でだろうな……」ポンッポンッ

伊58「……てーとく……っ……てぇとく……」

伊58「…………また……一緒にお話したり……皆でゴロゴロできるよね……?」

提督「58ちゃんが、この戦いが終わるまでちゃんと生きてたら、きっとその時が来るよ」

伊58「…………自信……ないよぉ……ひぐっ……ゴーヤ……弱くなっちゃったのかな……ぐすっ……」

提督「……自信がないか……そうだな……ないならないでいい」

伊58「え?」

提督「こういう訳のわからない世の中だ、自信がなくてビクビクしてるほうがちょうどいいことだってあるよ、多分ね」

伊58「……」

提督「……俺も、大学行く自信がなくて回り道に回り道を繰り返した結果こうやって腰を下ろせる所に来たんだからさ」

提督「……ま、艦娘みたいに誰かに未来を握られてたらそういう回り道が難しいかもしれないけどさ」

提督「一度初心に戻って自信のない仕事生活を送ってみたら?むしろそうしたほうが確実に仕事をこなせると思うよ?」

提督「……まぁ、帰りたくないって言葉の返しになってないかもしれないけどね……」タハハ

提督「俺、こういう妙な雰囲気にはまだ慣れてないんだ……ごめんな?気の利いた言葉かけられなくてさ……」

伊58「…………ううん……いいよ……でもなんだろ……言ってることはメチャクチャだけど、何か、励まされたのかな?楽になったでち」

伊58「……ありがとね」




ホーッホーッ

伊58「……」

提督「……」

伊58「……」チラ

提督「……?」

伊58「ね、てーとく」

提督「ん?」

伊58「ゴーヤ、ここに来てよかったと思う」

提督「そうか……そう言ってくれると嬉しいな」

伊58「うん……」

提督「……また来てくれるか?」

伊58「うんっ勿論でち」

提督「良かった、吹雪ちゃんも楽しみにしてると思うぞ?」

伊58「……」コクッ

提督「……明日から、また頑張りな、じゃ、お休み」ポンッ

伊58「おやすみってーとく」


ガチャッ バタンッ


伊58「お休み……」ゴr

提督「あ……そうだ、紙やすり……別に58ちゃん励ますために下りてきたんじゃないんだっての……」ガチャッ バタンッ

伊58「……あはは……」

次の日 朝

吹雪「ゴーヤさんっ!起きて下さいっ!」ユッサユッサッ

伊58「んにゃぁ……あと2年……」

吹雪「ソファの上でミイラになっちゃいますよっ!ほら起きて下さい!」ユサユサ

提督「やっぱ夜更かしに慣れてなかったか……58ちゃーん、起きろー、バス行っちまうぞー」トントンッ

伊58「やーだー……ゴーヤもっと寝るー……」

提督「こりゃ駄目だ……」

吹雪「はぁ…………レ級!」

レ級『?』

吹雪「ゴーヤさんの耳に水かけてくれる?体拭かないでいいから」

提督「え、ちょ」

レ級『!』グッ ゴクッゴクッ

レ級「ンーッ」ピョンッ グググッ

提督「ちょ、ちょ待て!ソファっ!ソファだから!吹雪ちゃん!今すぐやめ」

吹雪「え?…………あぁー!!レ級!レ級ちょっと待って!!中止!射撃中止!!」

レ級「プヒューーー!!」ビシャァァーーッ

伊58「いきゃぁああああ!!???」ビックゥンッ

提督「ソファァアアアアア!!!!」

吹雪「待ってぇええええええ!!!!」

レ級「……レッ♪」ケイレイ



吹雪「……」ショボーン

提督「ま、まぁ……こういう日もある……58ちゃん、バス大丈夫?」フキフキ

伊58「あ、うん、大丈夫……それにしても吹雪ちゃん思い切ったこと考えるねー……」フキフキ

吹雪「ご、ごめんなさい……で、でもゴーヤさんが起きないのが……」フキフキ

ヲ級「ヲー…」フキフキ

提督「こらこら、責任の押し付け合いは虚しくなるだけだぞ、みんなのソファはみんなで拭きあげるんだ」

レ級「~~」ソローッ

ヲ級「ヲ」ガシッ

レ級「ヒッ」ビクッ

ヲ級「ヲッ!」ユビサシ

レ級「ンー……」フキフキ


数分後


提督「ふぅ……よし……まぁこんなもんでいいだろ」

吹雪「本当にすみません司令官……私がレ級に変なこと頼んだせいで……」

提督「いいのいいの……とりあえず今は58ちゃん、行く準備しよう、そろそろ時間ヤバイんじゃないの?」

伊58「うん、ちょっと急がないと……すぐ着替えてくるね!」

提督「おーう」

吹雪「バスの時間は……後30分ですね、バス停まで間に合うでしょうか?」

提督「大丈夫だ、あそこまでの距離くらい走れば15分でつく、帰りはキツイけど」

吹雪「……私が変なこと」

提督「大丈夫だって、腐るわけじゃないんだし忘れろ忘れろ」

提督「とりあえず今は……58ちゃんの忘れ物チェックだな……」






二丁目上空

深海棲艦艦載機「…………」ジィーッ

艦載機「…………」ピリッピピピーピピピピピーー




隠れ棲地

空母ヲ級「……来た……艦載機からの報告だ、潜水艦が消えるぞ」

戦艦レ級「潜水艦だぁ?そいつが消えた所でどうすんだよ」

空母ヲ級「分からないのか?アイツが一人で孤立するチャンスが生まれるってことだ」

戦艦レ級「おぉっ!そうか!遂にアタシたちの時代が来るってことだな!!」

空母ヲ級「あぁ……度重なる屈辱……苦労、苦悩……これらが報われる日だってことだ…今日こそやるぞ」

戦艦レ級「あぁ!これでアタシたちは自由の身だ!!やったな!!」ピョンピョン!

空母ヲ級「……長かった……本当に長かった……!!」グスッ

くっ……ここまでが限界か……済まないぐだぐだで……少し休む……
いいか……風邪には……注意するでち……

さて、やりますか

朝 バス停

プシューッ ガットン

伊58「ふぅ……なんとか間に合ったねー」

提督「あぁ……悪いな、世話かけて」

吹雪「色々教えてくれてありがとうございました!私、ゴーヤさんのお陰で本当に強くなれた気がします!」

伊58「いいのいいの、これからもいっぱい勉強していい船を目指してね?」

吹雪「はい!」

伊58「うん、じゃあ……てーとくも元気で」

提督「あぁ、辛くなったらいつでも来るんだぞ」

伊58「うん、ありがと、じゃ!」

提督「元気でな!」

吹雪「ゴーヤさん!また会いましょう!」

伊58「うん!またね!……運転手さん、待たせてしまい待って申し訳ないでち」

バスの運ちゃん「もういいんですか?じゃ、行きますね」


プシューッ ゴットン  ブロロロロロローッブロロロー……


吹雪「……」

提督「……なんか、58ちゃんがいなくなると急に静かになった気がするな」

吹雪「えぇ……寂しくなるというか……大きな穴が開いたような気がします……」

提督「そうだな……全く、存在感の大きい子だ」

吹雪「はい……リンガ泊地に帰っても、あの明るさで乗り切って欲しいです」

提督「やれるさ、多分」

吹雪「……えぇ」

提督「……さってと……どうする?今日の予定は58ちゃんを見送る以外なにもないけど……」

吹雪「うーん……どうしましょう?とりあえず帰りましょうか」

提督「そうだな、帰ってから考えるか」テクテク

吹雪「はい、えっと……何かあったかな……」テクテク




二丁目鎮守府 リビング

提督「……うーん……やることがないと暇だな……」

吹雪「プラモデルは作らないんですか?」

提督「作るものはだいたい作ったからなぁ……それに今はそういう気分じゃない、吹雪ちゃんは何かある?」

吹雪「私も司令官と同じで……艤装の整備は昨日やったし、朝のトレーニングはもう終わったし……」

吹雪「買い出しするものも特に……補給物資は揃ってますか?」

提督「んー……まだ金庫1個分あるし大丈夫だな」ガチャ 

提督「ヲ級達も寝てるし……テレビを見るくらいしかやることがない……ってな訳で……」ボスッ 

提督「……俺はテレビを見させてもらうぞ」ピッ

吹雪「……でも、今の時間面白いの無いですよ?」ポスッ

提督「たまには面白くない番組をぼんやり見るのも悪く無いだろ?」

吹雪「そういうものですか?」

提督「そういうものだ」

吹雪「ふぅん……あ、寝転んでいいですか?」

提督「狭くしないなら」

吹雪「はーい……」ゴロン

提督「……」ボンヤリ

吹雪「……」ボンヤリ



40分後

TV『今週のグルメは……』

吹雪「……こういうのって美味しいんですか?」

提督「普通に美味いけど、毎日食おうと思わない物ばっかだな」

吹雪「でしょうね……それに毎日こんなものばっかり食べてたらお腹が……」

提督「グルメ芸能人って大変らしいな、体型の維持とか何やらで」

吹雪「そうなんですか?やっぱり太るんですね……」

提督「食い過ぎからの嘔吐でガリガリになるか、でっぷり糖尿病コースかだな、いいことなんか一つもない」

吹雪「……あまり想像したくないです」

提督「だなー……」ピッ

TV『あれは嘘だ  ウワーァーーーー!!』

吹雪「あ、映画」

提督「お、懐かしいな……見る?」

吹雪「はい!」

提督「…………」

ハネノツイタカヌーヨ

吹雪「…………」ウトウト

提督「…………」

ダッタラコゲバイイダロ

吹雪「…………」

提督「んー……」

吹雪「…………ハッ」ピクッ

吹雪「……」ムクッ

提督「?」

吹雪「?」

提督「いや、何も」

吹雪「?そうですか……」

提督「……」ポケーッ

吹雪「……」ボンヤリ


ドドドドドドド ウワーッ カチッ ドカーン


吹雪「銃身溶けちゃいますよ?あんな撃ち方じゃ」

提督「主人公の銃身は溶けないんだ、映画の常識だよ」

吹雪「うーん……そうなんですか?」

提督「あぁ、そう捉えれば別に不思議じゃない」

吹雪「ふぅん……」


ミテコイカルロ


提督「……」

吹雪「……」

提督「ポップコーンが欲しくなるな……」

吹雪「え?何でですか?」

提督「そりゃ映画といえばポップコーンだろ」

吹雪「?」クビカシゲ

提督「……違うのか?」

吹雪「いえ……よく分からなくて……」

提督「……これがジェネレーションなんたらか……」

提督「…………」

吹雪「……」

モウアウコトハナイデショウ

提督「……終わりか……」

吹雪「激しい映画でしたね……」

提督「何回見ても飽きないなやっぱ……」チラ

提督「……昼か……昼何食べたい?」

吹雪「そうですね……司令官は何が好きですか?」

提督「俺か?俺はーそうだなー……今日は暑いし冷たいものかなぁ……」

吹雪「冷たいもの……冷やし中華とか、冷やしうどん……とか?」

提督「その辺だな、冷奴でもいいけど」

吹雪「そうですね……じゃあ冷やし中華にしましょうよ!」

提督「そうだな、たまにはそういうのも悪くない……が、材料だな……」

吹雪「あ、じゃあ私買ってきます!」

提督「いいの?一緒に行こうか?」

吹雪「いえ、今日のお昼は私が作りますから、司令官は休んでて下さい!」

提督「ほー……じゃあ任せてみるかな……」

吹雪「期待して下さい!えっと……いくら位必要でしょうか?」

提督「カニカマって高いしな、それに麺とか他の材料もあるし……3000円位渡しとくよ」

吹雪「そんなに?いいんですか?」

提督「あぁ、冷やし中華って結構変わった材料を多く使うし、適当に買ってきなよ」

吹雪「あ、ありがとうございます!やった……」

提督「お釣りは返してくれよ?」

吹雪「……そうですよね……」シュン

提督「お金持ってても使わないじゃん」

吹雪「使いますよっ私だって女の子なんですから」

提督「ほう……例えば?」

吹雪「それは勿論…………エット……エット……」

提督「……使ってないじゃん……」

吹雪「こ、これから使うんです!」

提督「……そうか、じゃあ、お釣りあげるよ、好きなもの買ってきな」

吹雪「あ、ありがとうございます!」

提督(って言っても……お釣り千数百円で何買うんだろ……)

吹雪「行ってきまーす」

提督「いってらー」

ガララッ ガラララッピシャッ

提督「……胸騒ぎがするようなしないような……」

レ級「ム……ナ?」フキフキ

提督「お、レ級、起きてたのか」

レ級「ン」コクコク

提督「……だんだん喋れるようになってないか?お前……」

レ級「ンー」ムムム

レ級「……」フルフル

提督「そうか?まぁ、まだまだ練習が必要だよな」ナデナデ

レ級「ウー…」モジモジ

提督「ん?どうした?」

レ級「ウー……ンー……」キュゥー

提督「お腹痛いのか?」

レ級「ンーン」フルフル

レ級「……」サスサス

レ級「アゥ……」キュゥ

提督「……腹減ってるのか?」

レ級「ンッ!」コクッコクッ

提督「なるほど、待ってろ、すぐ用意してやるよ」

レ級「ーッ!」ニカッ



前浜町 

吹雪「っふぅ……」

吹雪「よしっ……この3000円……カニカマと麺と野菜で1500円減る……減らし過ぎかな……」

吹雪「……これで司令官が喜ぶものを……」

吹雪「何買おうかなー……司令官の好きなものはー……」ルンルン

隠れ棲地

空母ヲ級「……家を出たか、おい、そっちはどうだ?」

戦艦レ級「マエハマ進行ルートに敵艦娘なし、敵機も確認できず、呉の連中はミッドウェーに向けての作戦会議だ」

戦艦レ級「……あいつらの心配はない……横須賀は……」クルッ

戦艦レ級「こっちも大丈夫だ、巡回はあるもののアタシたちには気づかねぇ」

空母ヲ級「了解、お前の艦載機はどこに居る?」

戦艦レ級「えっとだな……姫の命令で1機は呉空域、もう一機はお前の編隊に紛れて散開してる」

空母ヲ級「……はぁ……隊列を乱す艦載機が混じってると思ったらお前のか、そいつも呉に回せ、邪魔だ」

戦艦レ級「あいよ」

空母ヲ級「………………異常はないな……よし……行くぞ!弾はあるな!?」

戦艦レ級「昨日APが一個届いた、装填済みだ!行くぜ!!」

空母ヲ級「あぁ!今日こそ年貢の納め時だ!」キュゥゥン……!! ドシュゥーーン!!!

戦艦レ級「最後に笑うのはアタシたちなんだよ!!」グワァン…ヴヴン……ドシュウウウウウウ!!!









AL海域 

北方棲姫(……遅い……!あの役立たず何やってんのよ……!!)

北方棲姫(戦闘機が揃わないんじゃ呉の艦娘に対抗できないっていうのに……!)

北方棲姫(……艦娘の出撃はもうすぐ……時間がない……飛行場の戦闘機が揃って何で私のが揃わないのよ!)

北方棲姫(…………今日中に戦闘機が来なかったら……あいつらを裏切り者とみなすしかないわね……)

北方棲姫(……そうよ、私に我慢をさせるノーマルタイプなんて生意気にも程があるもの)

北方棲姫(……姫級の私を馬鹿にしたこと、沈んでも後悔させてやるんだから……)ニヤ

北方棲姫「……フフフ……シズメナイ……コロシテヤル……」ニタァ

寂れ商店街 外れ

吹雪「……安く買えるお店があってよかったぁー……後乃木市よりこっちの方が安いよね……」

吹雪「やおやさんは閉まってたから……えっと次はバスで……」テクテク

吹雪「……バス停ってこっちのほうが近かったっけ……」キョロキョロ

吹雪「うん、この道を抜ければ……」テクテクテク

吹雪「…………」テクテク





バス停

吹雪「ふぅ……着いた……ん?」

??「…………」

??「…………」

吹雪「あ、こんにちは」

??「あ、は、はい……こんにちは」

??「……こんちは」

吹雪「……」

??「……」

??「……」

吹雪「……」チラ

??「……」

??「……」

吹雪「……あの……」

??「は、はい!」

吹雪「……風邪、ですか?顔が青いような気がしますけど……」

??「え、えぇ……私達……い、今から病院に行くところでして……あは、あはは……」

??「ゴホッゴホッ……アタシも、カゼ、めっちゃこじらせちゃって……ゲホッ」

吹雪「そうですか……マスク、苦しいでしょう?」

??「えぇ、ま、まぁ……あ、あなたは?か、カゼとか、大丈夫ですか?」

吹雪「私ですか?私は別に……」

??「そ、そっか、あ、アタシたちとは違うもんなー……」

吹雪「え?」

??「オイ!! あ、いえ、このこの言うことは気にしないでください……それにしても、ばす?バス、遅いですね」

吹雪「えぇ……」

??「……アタシ、もうダメだよー……早く病院行きたーい」

吹雪「…………」

吹雪(変わった人たちだなぁ……)

空母ヲ級(……バレないな)ヒソッ

戦艦レ級(単純なんだな)ヒソッ

吹雪「……」

空母ヲ級(……ばすって、何だ?)

戦艦レ級(……さぁ?)

空母ヲ級(さぁ?じゃないだろ、じゃあ何でこいつはここに立ってるんだ?)

戦艦レ級(あたしに聞くなよ、こいつに聞けこいつに)

空母ヲ級(馬鹿言うな、バス停?って書いてあるこれに立ってる以上ばす?知ってないとおかしいだろうが)

吹雪「……?」

戦艦レ級(……知らないのは仕方ねぇだろ……こいつに付いて行けばなんとかなる……多分な)

空母ヲ級(……そうか……?)


ブロロロロロロー……


吹雪「あ、バス来ましたよ!」

戦艦レ級(……上手くやれよ)

空母ヲ級(……で、でかい箱が来た……あれがバスか……)

吹雪「……えっと……運賃は……」

空母ヲ級「うん……!?」カァァ

戦艦レ級「……」ドンビキ

空母ヲ級(いきなりなんて言葉口走ってるんだこいつ……)カァァ

戦艦レ級(赤の他人のど真ん中だぞ……正気かこの艦娘……)

吹雪「?」

空母ヲ級「……コホンッ」

戦艦レ級「…………」


運転手「お客さん?乗らないの?」

吹雪「あ、すみません、すぐ乗ります!」

戦艦レ級「あ、乗る?乗る」

空母ヲ級「失礼します……」

バス 車内

吹雪「……」コックリッコックリ…

戦艦レ級「っとと……」

空母ヲ級「…………随分揺れるな……」

戦艦レ級「……あぁ……」

空母ヲ級「一体どこに向かっているんだ……」

戦艦レ級「知らね……だが……」チラッ

吹雪「……ん……んぅ……」スヤスヤ

空母ヲ級「……チャンスだな……」

戦艦レ級「あぁ、ここでこいつを持って帰れば……」

空母ヲ級「……よし……善は急げだ……」スクッ

戦艦レ級「あぁ……艦娘を捕獲するぞ」ダキッ

吹雪「…………」ダランッ

空母ヲ級「おい、手はちゃんとお腹の上に乗せろ、起きるだろ」

戦艦レ級「おっと、すまねぇ……んしょっ」

吹雪「…………」スヤスヤ

空母ヲ級「よし、脱出するぞ」

戦艦レ級「……どうやって?」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「…………窓、割るか?」

空母ヲ級「そんなことしてみろ、二度とマエハマに入れなくなるぞ……」

戦艦レ級「……じゃあどうすんだよ」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「……」

空母ヲ級「……止まるまで待つか」ストッ

戦艦レ級「……そうすっか……でも艦娘はどうすんだ?」ストッ

空母ヲ級「あぁ……睡眠薬とかは?」

戦艦レ級「ねぇよ」

空母ヲ級「……とりあえず……一旦元の場所に置いとこう」ポスッ

吹雪「……」スヤスヤ

戦艦レ級「……結局何も変わってねぇじゃん」

空母ヲ級「バスから脱出してからまた攫う方法を考えよう……」

ツギットマリマス

吹雪「ふぁぁ……さて……降りようかな」

空母ヲ級「……よし、私達もおりるぞ」

戦艦レ級「……うんち払わないといけないぞ?」

空母ヲ級「……分かってるよ……少し後ろ向いてろ」ヌギッ

戦艦レ級「……あたしもやらなきゃならねぇのか……」ヌギッ

吹雪「!?……ちょ、ちょっと何やってるんですか!?」

戦艦レ級「え?うんち払うんでしょ?」

吹雪「運賃は払いますけど体では払えませんよ!?」






数十分後 後乃木市役所前


吹雪「……ふぅ……びっくりしましたよ…………バス、知らなかったんですね……」

空母ヲ級「……///」コクッ

戦艦レ級「……///」メソラシ

吹雪「まぁ……いいや……帰りは大丈夫ですか?」

空母ヲ級「……はい」

戦艦レ級「えぇ」

吹雪「次からは気をつけてくださいね?では……」テクテク

吹雪「はぁぁ……残り1000円か……」テクテク






空母ヲ級「……」クイッ

戦艦レ級「……」コクッ

戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「おい何やってる……早く行け……」

戦艦レ級「え?少し待ての合図じゃなかったのか?」

空母ヲ級「あの無防備な後ろ姿で攻撃指示を出さないバカが居るか、いいから早く行け!」

戦艦レ級「はいはい……人使いの荒い女だよホント……」ヌギッ ダッ!!

スタタタタタタタッ!! 


戦艦レ級「…………」キッ

吹雪「……?」クルッ

吹雪「ひっ!?深海棲艦!?ムグッ!?」ガッ

吹雪「んぐっ!!ぐぅっ!!!?」

吹雪(な、何で……?何でこんな所にレ級が……!?く、苦しい……声が出ない……首が……絞まって……)バタバタ

戦艦レ級「……軽いな」ゴキッ

吹雪「う……」カク ダランッ

吹雪(嘘……私……こんな所で……)

戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「捕まえたな?逃げるぞ!」

戦艦レ級「何処に逃げるってんだ?」

吹雪「……」

空母ヲ級「……」キョロキョロ

戦艦レ級「……」キョロキョロ

空母ヲ級「どこだ……ここ……」

戦艦レ級「…………」クビカシゲ


キャーーー!!! シンカイセイカンヨー!!!

ニゲロ!! コロサレルゾ!!

ナンデコンナトコロニイルンダヨォ!!! カンムスハドコダ!!



空母ヲ級「と、とにかく逃げるぞ!」ダッ

戦艦レ級「あぁ!」ダッ

よし、いい時間じゃな、今回はここまでとしよう
明日から本気だすつもりだけど明日はもしかしたらかけないかも

ちょっとだけ、何か書いてみようかしら……

本編は今書いたら中途半端なので夜か明日じゃ
というわけで番外編を一丁……

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ある日 横須賀鎮守府 提督室

横督「……何?東京湾に深海棲艦が?」

龍田「えぇ……2週間前、埠頭で釣りをしていた男性が重巡リ級のような人型の生き物を釣り上げたと……」

天龍「本人が通報したのか?」

龍田「うん、そうみたい」

横督「……重巡リ級と言えば深海棲艦の中でもかなり好戦的な生き物……一般人が無事に帰ってこれるはずがないだろう」

龍田「……それが、本人はほぼ無傷で……」

横督「馬鹿げた情報だ、そもそも埠頭で深海棲艦が釣れるはずないだろう、どうやって釣ったというのだ」

龍田「…………」ペラッ

龍田「リール式の釣り竿に……コンビニ弁当を餌にして釣り上げたと……」

天龍「ふざけてんのか……ちょっと見せろ」ペラッ

天龍「…………」

天龍「…………本当みてぇだ……」

横督「……まぁ、一応信じるとしよう、だがいったいその男はどうやって生き延びたのだ?」

龍田「それが……天龍ちゃん、読んでくれる~?」メソラシ

天龍「…………あ?」ペラッ

天龍「……素手で殴り倒した……?」

横督「…………何だと……?見せろ」

天龍「……ほらよ」ペラッ

横督「……この報告書を作ったのは誰だ……」

天龍「本営からの正式な報告書だ、嘘偽りはねぇよ」

横督「……一体どうなっているというのだ……」

天龍「……俺達以外の人間が深海棲艦より強いってのか……?……ったく……どうなってんだ日本は……」





沖縄 砂浜

??「…………来た!」

キリリリリリリリリリ  ギリリリッ 

??「……っらぁ!」

バシャァーーン

レ級(フラグシップ)『ニ、人間!?……コロシテヤル!!!』

??「……また深海棲艦か……」バサァッ

レ級『コノ私ヲ釣ロウナンザ1000年ハエエンダヨ!!!』ジャカコンッ

??「うおおおおおお!!!」

ドォンッ!!

次の日

天龍「提督!!」ドンッ

横督「何だ、騒々しい」

天龍「今日のニュース見たか!?」

横督「……何の話だ」

天龍「んだよ世間知らずだな……ほら、例の深海棲艦の話だよ!新聞読んでんのか?」バサッ

横督「……」バサッ

新聞『沖縄本土に深海棲艦出現か 養護施設付近の海岸で戦艦レ級出現』

横督「………………遂に沖縄まで……周辺の探索は済んでいるのか?」

天龍「あぁ、佐世保の連中が躍起になって探してる……けど……」

横督「……どうした、何か引っかかるところでもあるのか?」

天龍「まぁな……」

横督「言え、貴様の意見でもたまには役に立つかもしれん」

天龍「……まぁ、俺の考え過ぎかも知れねぇけどよ……レ級が出たのにも関わらず、荒らされた所が海岸だけだったんだよ」

天龍「そこが妙に引っかかってよ……破壊の象徴みたいなアイツが何も壊さずに帰るか?」

横督「…………」

天龍「騒動の割には被害と戦闘規模がやけに小さすぎるんだよ、何かおかしくねぇか?」

横督「……ふむ……」

天龍「…………」

横督「そのレ級はどこに行った」

天龍「居ねぇよ、ただ岩の近くに青い血が飛び散ってたってことは誰かにやられて引き返したんだろ」

横督「……誰にやられたんだ……あのレ級を倒せる艦娘など貴様を含めた軍でも指折りの人数しか居ないはずだが」

天龍「……分からねぇ……」

横督「…………」

天龍「ただ、その施設には妙な老人が居てよ……」

横督「老人?」

天龍「あぁ……80超えた爺さんの割に偉く厳つい面してやがるんだ」

横督「おい、天龍……まさか」

天龍「……いや、んなわけねぇか……ハハハ」

横督「当たり前だ、老人如きに何が出来るというのだ」

天龍「…………」

新聞『戦艦レ級を「釣り上げた」男性、桐生一馬氏(83)は…………』

天龍「……ありえねぇよ」

サブストーリーXX「艦隊これくしょん 1」

例の艦娘が相手にしている深海棲艦という奴か……
手強い相手だった。
だがあの女…… 何やら満たされない思いがあるようだ……

桐生ちゃんは強い、爺さんになっても小牧さんレベルの強さを持ってると思う
というわけで番外編はここらへんにしとこう
また気が乗ったらなんか書くかも

遅くなったな、では始めよう

後乃木市 市街地

戦艦レ級「くそっ……!アタシの足は……!陸上を走るにゃきついってのに!!」タタタタタッ

空母ヲ級「その上艦娘一隻を片手に走ってるんだ……!きついならその子供……私が運ぶぞ……!」タタタタタッ

戦艦レ級「いいよ!アンタは頭ン中でお守りもしてんだ!こいつ一匹……アタシ一人で!」


パトカー『今すぐ止まれ!!貴様らは完全に包囲されている!逃走をやめろ!!』ウゥーーウゥゥーーー!!


戦艦レ級「ッチ……妙なもの出してきやがった……おい、止まるぞ……」ザザァッ……

警察「……」チャキッ

警察「……」チャカッ

空母ヲ級「人間の防衛部隊か何かか……だがあのタイプは見たことがない、艦娘の類か?」キョロッ

戦艦レ級「……どっちみちこっちには人質が居るんだ、下手に手出しはできねぇよ……だが……」ギロッ

警察ヘリ『…………』バタバタバタバタバタ

戦艦レ級「さっきからアイツが邪魔だな……領海内だからかジェットエンジンでついてきやがる……」

空母ヲ級「……ここは人間の街だ、周辺の被害を考えると艦載機は飛ばせない……どうする?」

戦艦レ級「決まってんだろ」ジャコンッ グゥゥゥン

空母ヲ級「な……おい!」

警察「っ……尻尾が動いたぞ」チャカッ

警察「攻撃を止めさせろ!!だが人質には当てるな!!」パンッ!

パンッタァンッタンッ!!

戦艦レ級「……狙いよ~し……へへ、目標を「消したら」大丈夫だろ?」チュンッチュンッティゥンッ!!

空母ヲ級「……間違っても周辺に被害は出すなよ……私は知らん」

戦艦レ級「まぁかせとけって……ってぇー!!!」ガコン!! ズドオオオオオオオオオン!!!!!!!!



ヒュンッ


ボッ―――――



戦艦レ級「…………」クイッ

空母ヲ級「…………」コクッ


キーーーーン……

ィーーーーーン……


戦艦レ級「…………」タタタタタッ

空母ヲ級「…………」タタタタタタ

電気屋 駐車場

戦艦レ級「……はぁっ……はぁっ……ここに来りゃ……しばらくは大丈夫だろ……」クタァッ

空母ヲ級「あの連中……っ……はぁっ……くっ……なかなかしつこい……っ……はぁ……!」

戦艦レ級「ぜぇっ…………」チラッ

戦艦レ級「ちっ……乾いてきやがった……どっかに水……ねぇか?」カサッ

空母ヲ級「……はぁっ……はぁ……淡水しかないぞ……」クイッ

戦艦レ級「十分だ……どこだ?」

空母ヲ級「どうやら人間は……乾きを潤すために『ジハンキ』を使うらしい……あれだ」ユビサシ

空母ヲ級「……この箱の中に、いろいろな水があるらしいが……」テクテク

戦艦レ級「……どれを選べばいいんだ…………アタシたちは普通の水じゃなきゃ……さすがに……」

空母ヲ級「……恐らく、この『天然水』って書いてあるこれなら……色も透明だ……これを取り出すぞ」

戦艦レ級「ど、どうやって……」

空母ヲ級「……」キョロキョロ

戦艦レ級「安心しろ、誰も見てねぇ……」

空母ヲ級「……分かった……許してください……姫……」ガシッ


メキメキメキッ バキンッ!!!

ベキッ バキッ ガタガタガタガタガタッ!!!



空母ヲ級「……これだ、『天然水』この文字が書かれた小型タンクをありったけ詰め込む、格納庫に空きはあるか?」

戦艦レ級「アタシの艦載機はみんなで払ってる、あと今の一発でHEは空だ、使いな」ガコンッ ガコッ

空母ヲ級「すまない……」ゴトゴトゴトゴトッ

戦艦レ級「うぎゅ……意外と重いな……まだ入る?」

空母ヲ級「……よし、これでお前のは限界だな……私の格納庫に入れてくれないか?」グィィィィ

戦艦レ級「あぁ、まかしとけ」ゴトゴトッゴトトトトトッ

空母ヲ級「……よし……ひとまず建物に立てこもる……どこかで休める所を探そう」タタタッ

戦艦レ級「あぁ……だが人間が居たらどうする?」

空母ヲ級「お前の威圧で全員追い出せ、殺すなよ」

戦艦レ級「あぁ、分かってるよ、アタシだって馬鹿じゃない」

空母ヲ級「……既に本土の人間を数人殺したがな……本当にお前は……」

戦艦レ級「ハハハ、まぁいいじゃねぇか数人くらい」

二丁目鎮守府 リビング

提督「…………遅いな……」ソワソワ

提督「…………」ピッ

TV『……在、深海棲艦の二隻は後乃木市を逃走中、警察のヘリ数機が撃墜され、多数の死者が出ています!』

TV『なお、深海棲艦の艦種は空母ヲ級、戦艦レ級と推測され、一名の人質をとっている模様です!』

提督「…………」ポトッ

提督「…………え」

提督(……え……え?……え?)

提督「……」

TV『後乃木市といえば日本の中でも深海棲艦の被害のない平和な地と言われていましたが……』

TV『今回の騒動で日本の安全区域の見直しが必要と判断されてしまいました』

TV『今後日本はどうなってしまうのか!この深海棲艦は何が目的なのか……警戒が続いています!』

提督「……あの二人……チキショウ!あの時見捨ててたら……全くもう!!」ガラッ ガラピシャッ!

提督(無事で居てくれ……吹雪ちゃん!!)ダッ!!









電気屋 マッサージチェアコーナー

吹雪「……う……うぅ……」

戦艦レ級「……椅子って……これで良いのか?変なボタンが付いてるが……」ビチャビチャ

空母ヲ級「これくらいしかこの辺に椅子なんてないだろう……これを使うしかない」ビチャビチャ

戦艦レ級「……ぷはっ……淡水も悪かねぇな」ポイッ

空母ヲ級「……体に合わないが……仕方ないか」ポイッ

戦艦レ級「…………」ピッ

吹雪「う……んっ……く……」グリグリ

戦艦レ級「……」ビクッ

戦艦レ級「……なんだこれ……椅子が変にガキをこねくり回してやがる……」

空母ヲ級「馬鹿!余計なことするな!止めろ!」

戦艦レ級「え?あ、あぁ……えっと……これか?」ピッ

吹雪「んっ……くぁ……!?うぅ……」ヴーーンッ

戦艦レ級「え、お、おい!これ!どうなってんだ!?おいっ!」

空母ヲ級「ば……あぁもう!何やってるんだよお前は!貸せ!こういうのは赤いボタンで……」ピッ

吹雪「っ……ふぅ……はふぅ……」ブゥーン……

空母ヲ級「……もう余計なことするなよ」

戦艦レ級「ご……ごめん……」



戦艦レ級「おい、縛れるもの持ってきたぞー!」タッタッタ

空母ヲ級「でかした、で、何だそれは」

戦艦レ級「さぁ……ロープみたいなものだと思うが……」

LANケーブル

空母ヲ級「……よし、その中のロープでこの子供を縛れ、動けないようにしろ

戦艦レ級「あ、あぁ……でもいいのか?腕とか千切れないよな?」

空母ヲ級「千切れるまで縛るバカが居るか、普通に縛れ普通に」

戦艦レ級「はいよ」ギュッ

吹雪「…………」ギュッ

戦艦レ級「終わったぜ」


吹雪「…………」ウデダケ


空母ヲ級「おい、私今なんて言った?」

戦艦レ級「普通に縛るんだろ?」

空母ヲ級「……その前だ」

戦艦レ級「千切れるまで縛る馬鹿」

空母ヲ級「…………」ベシコーン

戦艦レ級「いてぇっ!何すんだよ!」

空母ヲ級「動けないようにしろって言ったんだ!!足も縛れ足も!!この鳥頭!!!!」

戦艦レ級「……んな怒らなくてもいいのによ……」ブツブツ


空母ヲ級(……後戻りできなくなった……こうなったらこの街全員を皆殺しにする覚悟でやらなければ……死ぬ……)

空母ヲ級(……猫艦戦を……なんとしても取り戻さなければ……!!)




後乃木市 市街地

提督「…………ここでいいです……ありがとう」チャリンッ

バタンッ 

提督「…………」

提督「……死者って雰囲気じゃなさそうだが……」キョロキョロ

提督「確かに全体的に埃っぽいけど……そんなに死んでるのか……?」

警察「…………」

提督「あの……」

警察「……?何ですかあなたは、此処から先は立入禁止ですよ」

提督「ここらへんで深海棲艦が出たって聞いたんですけど……死者も出てるんですか?」

警察「今の所出ていませんが?」

提督「え?そうなんですか?でもニュースでは……」

警察「……ハァ……今時ニュースを信じる人なんて居ませんよ?まさか貴方もヘリが落とされて死人が出たって信じてるんですか?」

提督「……違うんですか?」

警察「あのね……この空が封鎖されたご時世、有人ヘリを飛ばす物好きなんて居やしませんよ……せいぜいマスコミくらいですよそんな事するの」

警察「それに戦艦レ級の砲撃能力だ、破片も消え去るような爆風です、死んだ生き物といえばその辺を飛んでる鳥くらいですよ?」

提督「はぁ……そういうもんですか……じゃあ今の所誰も死んでないんですね?」

警察「…もういっぺん言いますけど…今時有人の飛行物に乗りたがる人間なんて居ませんよ、乗れって言われたら仕事辞めます」ケッ

提督「……」

提督(……でもこの街の荒れようは擁護できないな……兎にも角にもあの二人に会わないと……ここは……)ゴソッ

提督「えっと……ここを通るにはどうすればいいですか?」

警察「……はい?」

提督「あの……私、人質の女の子の関係者なんです……前浜町二丁目鎮守府のものなんですけども」

警察「……証拠を」

提督「あ、はい……えっと、これでいいですか?軍人手帳です」パッ

警察「……」ペラッ

警察「……」チラ

警察「……海軍の人間が来ました」カチッ ザザッ

警察「……了解、では案内します……」ザッ


提督「……」

警察「では、こちらへ」クイッ

提督「ありがとうございます」タッタッタ

吹雪「…………う……うぅ……?」

吹雪(……私……どうなったの……)

吹雪「…………?」

吹雪(……う、動けない……?)

吹雪「……っ……嘘……私……捕まったの……?」

戦艦レ級「……ようやく目覚めたか……」

吹雪「っ……!?」ゾクッ

戦艦レ級「……よう……何時ぶりかな、駆逐のガキ」

吹雪「し……深海棲艦……!!」キッ

戦艦レ級「おー、怖いねぇ……さすが野蛮な艦娘、目つきも最悪だ」

吹雪「あなたに言われたくない……!!私をどうするつもりなの!?」

戦艦レ級「安心しろ、殺しはしねぇよ……ただ……」ブンッ!!

吹雪「ひっ……!?」ドゴォ!!

戦艦レ級「お前の態度とお前んとこの提督の判断次第では……相当苦しんでから死ぬことになるけどなぁ……?」ニタァ

空母ヲ級「よせ……」

吹雪「……!」

吹雪(あのマント……あの被り物…………あれは……空母ヲ級……!?)

吹雪(戦艦レ級と空母ヲ級……それに二人共喋れる……まさかこの二人……!)

吹雪「……っ」

空母ヲ級「……私達はなるべく事を穏便に片付けたい」

吹雪「……だったら、この手足を縛ってるケーブルを外して」

空母ヲ級「……外して貴様が逃げないというのなら、外してやる」

吹雪「…………」

空母ヲ級「…………保証しないというのなら、そのままだ」

吹雪「……」

吹雪「……あなた達の目的は何なの……!?ここを本土上陸の足がかりにする気!?」キッ

空母ヲ級「違う、貴様らの鎮守府に用があるから来た」

戦艦レ級(何回も来てるけどな)

空母ヲ級(黙ってろ)ペシッ

空母ヲ級「貴様らの鎮守府は、我軍の最新兵器「猫艦戦」を所持しているはずだ」

吹雪「猫艦戦……それが何なの?」

戦艦レ級「物分りの悪いクソガキだな……」ガッ

吹雪「っ……」

戦艦レ級「アタシたちには猫艦戦が必要なんだよ……分かんだろ?え?」

空母ヲ級(私には必要のないものだがな……元はといえば全部お前のせいだし……)

戦艦レ級(カッコつかないテレパシー送るんじゃねぇ)ベシッ

吹雪「……でも、あれはあなた達が渡し」

戦艦レ級「うるっせえええええ!!!!」ガンガンガンッ!!!

吹雪「っ……!!」ビクッ

吹雪(……助けて……司令官……誰か……!!)

戦艦レ級「てめぇに発言権はねぇ!!!」ビシィッ!!

吹雪「……」

空母ヲ級(いや、あるだろ)

戦艦レ級「いいかぁ!!てめぇ如き艦娘!アタシがちょっと拳動かしゃ頭が消え去んだよ!?あぁ!?」

吹雪「……っ……」

戦艦レ級「今度ナメた口聞いてみやがれ……腕一本引きちぎってやるからな……」ギロッ

吹雪「……うぅ……」

空母ヲ級「……」

戦艦レ級「……気分が悪い……見回りに行ってくる!!艦娘!!!」

吹雪「!」ビクッ

戦艦レ級「逃げたら……潰す」コキッコキッ

吹雪「…………」ギロッ

戦艦レ級「……あんだその面ぁ……!!上等だ……今この場で殺してやらァ!!!!!」ダッ!!! ブンッ!!!!

吹雪「っ……嫌―!!!!」グッ

空母ヲ級「ちっ……」バッ


バシィィィッ!!!!


吹雪「う……うぅぅ…………え……?」

空母ヲ級「いい加減にしろ」ギリギリギリ

戦艦レ級「お、おい……!!離せ!!この艦娘…生かしておいて何の得が!!」

空母ヲ級「馬鹿が……!!」バッ

戦艦レ級「……っ!この野郎……!!」

空母ヲ級「……ちっ……おい、艦娘」

吹雪「……」

空母ヲ級「少し待っていろ、このバカと話をしてくる、おい、来い!!」テクテク

戦艦レ級「離せ!!離せってんだ!!艦娘が……殺す……殺してやる!!」


ガチャッ バタン


吹雪「…………」

吹雪「もう……嫌だ……何で……何で私がこんな……誰か……」

吹雪「誰か……助けて……」


スタッフルーム

空母ヲ級「……お前……っ……本気であの艦娘殴るつもりだっただろ……関節が外れたぞ馬鹿……!!」ズキズキズキ

戦艦レ級「ご……ごめん……あまりにもあの艦娘の睨みがムカつくもんだったから……」シュン

空母ヲ級「……何だ、お前、あの艦娘に恨みでもあるのか?」

戦艦レ級「だって!ガキのくせにあの目つき、あの正義感に満ちた顔……ムカつかねぇか!?」

空母ヲ級「だからってそう敏感になるな、お前はたまに殴るふりしてアイツを怯えさせるだけでいい、交渉は私がやる」

空母ヲ級「……あの機体の場所さえわかれば適当な部隊に応援を要請して私達が休暇だ……今は耐えろ」

戦艦レ級「うぅ……わかったよ……我慢する……」ショボンッ

空母ヲ級「いい子だ……」ナデナデッ ズキッ

私達が休暇だ ×

私達は休暇だ ○

横須賀鎮守府

叢雲「吹雪が人質に取られてるのよ!何で出撃させてくれないのよ!!」ダンッ!!!!

叢雲「あんた……まさか姉さんを見捨てるっていうの!?」ガッ!!!

横督「貴様如きが出撃した所で何になるというのだ?」

叢雲「決まってるわ!ヲ級とレ級を細切れにして姉さんを助けだすのよ!!」

横督「ほう……何の特徴もない特型にそんな曲芸が出来るとはな、意外だよ」

横督「やれるものならやってみるがいい、陸上でそんな芸ができるならな」

叢雲「っ……」

横督「チッ……出来ないことをさも当然の事のように言う女だな……私はそういう女が許せない質でね……」

叢雲「……」

横督「フッ……貴様を1日自室での謹慎処分とする、部屋から出るな、いいな?」

叢雲「なんですって……!?そんな理由で……!!」

横督「もし命令違反を犯して外出しようとした場合、その場で処分する……今日は何もするな、部屋で寝ていろ」

叢雲「……あんた……!!!」ギリッ

横督「聞こえなかったか?消え失せろ」

叢雲「……」ブチッ!!!

叢雲「これで吹雪が死んだらアンタを殺すわ!!いいわね!!!」ダンッ!!!バタン!!!

横督「好きにしろ、出来るものならな」

横督「……」

横督「二丁目提督が窮地に陥った艦娘を救う程の器があるか……ここで試されるということか」

横督「…………全く、最近はどこもかしこも試練試練……」

横督「いい加減にしてほしいものだ、高みの見物も楽じゃないというのに……」

横督(……そろそろ見つかってもいい頃だがな、あの男……)

後乃木市 電器屋前

提督「……」

警察『出てきなさい!お前たちは完全に包囲されている!!』

警察『今すぐ武器……いや、武装を解除して投降しなさい!!!』

警察『深海のアンコウ達も泣いてるぞ!!』

提督「……」

提督「……」

提督「……ん?」

空母ヲ級『……貴様らの中に!!鎮守府の提督は居るか!!!』

ザワザワ

警察「……喋った?」

警察「深海棲艦が言葉を……?」

警察「……割と綺麗な声だな……凛々しい……」

空母ヲ級『どうした!!居ないのか!!!ならばすぐに連れて来い!!』

空母ヲ級『……従わないというのなら……』カコンッ ヒュン!!ヒュン!!

提督「やべ……艦載機だ……」

空母ヲ級『ここに居る人間!動物を一人残らず殺害する!!いいな!!!』

警察「……」

提督「……これは……行くしかないのかな……」ダッ

警察「あ、危険です!!」

提督「スミマセン!ちょっと町の人と吹雪ちゃん守ってきます!!」タタタタッ!!


提督(ガラスなど……突き破ってくれる!!)ブンッ!!!

ゴキッ

電器屋 エレベーター

提督「…………」

提督「…………完全にやられた……左足……関節逝った……」

提督「吹雪ちゃんや叢雲ちゃんなら片足でドアくらいふっ飛ばしてただろうなぁ……」


ピンポン 5カイデス シタヘマイリマス


提督「…………」ズルッズルッ

提督「…………」チラ

看板『5階、インテリアと家具のコーナー』

提督「吹雪ちゃーん!!いるかー!!」


……シーン


提督「…………最上階じゃないのかよ……こういうのって……」

提督「……吹雪ちゃんどこ行ったんだ……」

提督「…………」ズルッズルッ

提督「……」ポチッ


ピンポーン ガッコン


提督「…………」

提督「……次は家電コーナーだ……多分マッサージチェアとか置いてあるところに居るはず……どこだ……」

提督「……3階だ……吹雪ちゃんたちは3階にいるはず……」ポチッ

提督「……居てくれ……頼むから…………」






3階 生活に役立つ家電のコーナー

ピンポーン

空母ヲ級「……来たか……!!」 

提督「……く……空母……ヲ級……!!」ズルッズルッ

空母ヲ級「……ど、どうした!?な、何があった!?」

戦艦レ級「あ、足から血が出てやがる……!あ、アタシは何もしてねぇぞ!?」

提督「吹雪ちゃんを……返せ……!!うぐっ……いてぇ……」ドサァ

空母ヲ級「おい!!どうした!!誰にやられた!何があった!?」ユサユサ

吹雪『し、司令官!!あなた達!!司令官に何したの!!!?司令官!!司令官!!!』

空母ヲ級「…………」

提督「ぐ……!!」

空母ヲ級「と、とにかく……人間を治療出来そなものを探すぞ!!こいつが死んだら猫艦戦がパーだ!!」ダッ

戦艦レ級「あ、あぁ!!」ダッ

提督「……」

吹雪「し、司令官!!司令かぁん!!!」

提督「……」

吹雪「しれいかん……」

提督「す、済まない……吹雪ちゃん……君を助けるどころか……こんなことになるなんて……」

吹雪「……ごめんなさい……私が油断したせいで……司令官が……」

提督「…………ホント……役に立たないなぁ……俺は……」

吹雪「そ、そんなこと……司令官ともう一度会えただけで私は……!!わたしは……」ポロポロッ

吹雪「……ありがとう……司令官……!!」

提督「あぁ……俺ももう会えないと思ってた……会えて良かった……吹雪ちゃん……」





スタッフルーム

空母ヲ級「こ、こういう時はどうすれば治るんだ……!?おい、関節が壊れた時お前はどう直してる!?」

戦艦レ級「あ、アタシが知るかよ!!反対方向に曲がったなら逆向きに曲げれば治るだろ!!」

空母ヲ級「あれ死ぬほど痛いんだぞ!人間が耐えられるわけない!!」

戦艦レ級「じゃあ知らねぇよ!冷やしとけ!何かあるだろ!!」

空母ヲ級「クソ……なんで私達が人間の怪我を直さなきゃならないんだ……帽子邪魔!!」ヌギッ

戦艦レ級「……お前、帽子脱いだら意外と可愛いよな」

空母ヲ級「そ、そう……?…………って、いきなり何言ってるんだ、いいから探すぞ!」

戦艦レ級「わ、あ悪い……えっと……何かキューキュー箱とか言う箱にそういうのが入ってるらしい……それ探してみろよ」

空母ヲ級「きゅーきゅーばこ……何だったか……何か変な記号があるんだったな……」

戦艦レ級「これか?、なんか輪形陣みたいなマークだけど」

救急箱

空母ヲ級「あぁ……それだ!!すぐに持って行こう!!急ぐぞ!!」

戦艦レスキュー「治療はあたしに任せとけ!!」

戦艦レ級「……えっと……関節だよな……この損傷……」

提督「……」

吹雪「……」ジー

戦艦レ級「あんだよ、文句あんのか」ギンッ

吹雪「……え、あ、い……いや……」

戦艦レ級「……アタシの治療に文句あるのか?あ?」

空母ヲ級「……集中しろ、とにかく今はこの人間が死なないようにするんだ、死んでもらったら困る」

提督「……」

戦艦レ級「わーってるって……ったく……一体誰にやられたんだ?え?」

提督「……お前たちには関係ない」

戦艦レ級「……同じ人間か?お前らの種族は同じ種族同士で争うのか?」

提督「関係ないって言ってるだろ……」

戦艦レ級「……ってなると……アタシたちと同じか……」

空母ヲ級「……多分な、似ても似つかない私達深海棲艦と人間だが……やはり同じ種族でもいがみ合うものなんだな」

提督「……」

提督(否定したいけど否定出来ない)

提督(ガラスにやられたって言いたいけど人間同士で争ってるのも事実だしなぁ……)

吹雪「違う……違う!!」

提督「吹雪ちゃん?」

吹雪「司令官は……誰かに恨まれるような人じゃない!!」

空母ヲ級「だったらこの怪我はなんだって言うんだ、人間同士で争った傷だろう」

吹雪「あなた達の罠でしょ!司令官はいい人なのに……こんな目に合うなんて……」

空母ヲ級「……少なくとも、私達に罠をはる時間はなかった……」


戦艦レ級「痛むか?」

提督「いてて……」

戦艦レ級「無理するな、完全に折れてるからな……」


吹雪「……何で、司令官がこんな目に……私達が何を……」

空母ヲ級「……多分、このへんは立入禁止になっている……そこに無理やり入ったんだろう」

吹雪「……ということは警察に?」

空母ヲ級「……多分そうなる……」

吹雪「そんな……こんなの酷いよ!!」

空母ヲ級「私達が想像している以上に、人間というのは冷酷な生き物なんだ……艦娘には分からないだろうが」


提督「……手、小さいんだな」

戦艦レ級「まぁ……アタシだって一応女だし……ちょっと押さえるぞ」グッ

提督「……いててて……!」

戦艦レ級「あぁ……悪い!大丈夫か?」

提督「へ、平気だ……すまないな……」

空母ヲ級「……だが、こうなってしまった以上……この場で猫艦戦の行方を聞く訳にはいかないな……」

戦艦レ級「……提督もこんな風になっちまったし……この注目具合じゃ棲地に戻るのも無理だ……」

空母ヲ級「それにこんな行動を起こしてノコノコ帰ってきたとなったら姫の機嫌が……」

戦艦レ級「それが一番問題だ……どうする……」

提督「……少なくとも警察は乗り込めない……それに深海棲艦相手となると特殊部隊の突入も無理だ……」

提督「陸軍が来るまではなんとか時間を稼げそうだが……それまでに何とかしないと……」

吹雪「何とかって……まさか司令官……この二人を助けるつもりなんですか!?」

提督「このまま見捨てるわけにもいかないだろ……吹雪ちゃんをさらった事は勿論許せないけど……」

吹雪「でも相手は川底棲艦じゃないんですよ!?深海棲艦……私達の敵です!」

空母ヲ級「あぁ、艦娘の言う通りだ……私達は貴様らに助けられる気なんてない」

戦艦レ級「そうだ……アタシにもプライドがある、艦娘に助けられるくらいなら死んだ方がマシだ」

吹雪「えぇ……私もあなた達を助ける気なんてありません!」

提督(……そういうものなのか……)

提督「……だが、これからどうするんだ……陸軍が来るのも遅い訳じゃないんだぞ」

空母ヲ級「……正直、策はない……」

提督「だろう、だったら」

空母ヲ級「だが、このまま待ってても死ぬだけだ!なら死に際に大きな花を!」

提督「何言ってる、猫観戦を知る前に死ぬつもりか……?」

空母ヲ級「猫艦戦などあとで聞けばいい!」

戦艦レ級「……あぁ、今は生き残るだけだ……怪我人はついてこない方がいい」

空母ヲ級「……そうだ、お前たちは次に来る陸軍に助けられろ、私達は逃げながら生き残ってやる」

提督「……」

吹雪「……」

戦艦レ級「……北方樣……怒ってなければいいが……」

空母ヲ級「……本当に怒ってるなら……今頃すぐに無線が来r」


ビビビーー!!ビビビーーー!!!


提督「……本気で怒ってるみたいだな……」

吹雪「そうみたいですね……」

空母ヲ級「……」サァーーッ

戦艦レ級「…………」フラッ ドサッ

ふぅ……今日はここまでじゃな……さて……どうしようか……

マウス、感度大丈夫?チェック……ワンツー……よし
投下よ!さて……どう書こうかしら~!

戦艦レ級「……」ピクピク

空母ヲ級「……」ッビービービー

提督「……出たら?」

空母ヲ級「……あ……あぁ……」スッ

空母ヲ級「は、はい……お、お呼びでしょうか……」

北方棲姫『……まぁ、言わなくても分かるわね(深海用言語)』

吹雪「この声……北方棲姫……でも……言葉が分からない……?」ヒソッ

提督「……そうなの?……北方棲姫って確か……」ヒソッ

吹雪「はい……北方海域や北方港湾に潜む姫級の一人で……その中でも上位に立つ強さを持つ深海棲姫……」

提督「……急にグローバルな立ち位置の人が出てきたな…………」

吹雪「やっぱりこの深海棲艦達……かなりの重鎮……?人間の言葉もスラスラ話せるし……」

提督「……多分な……俺達の鎮守府に侵入して情報を探る……的な特命を受けたんだろう……」

北方棲姫『……片割れは?声が聞こえないけど……』

空母ヲ級「うぇ……!?……え、えと……」チラ

戦艦レ級「…………」ビクビク

戦艦レ級(ムリムリムリムリムリ……)ブンブンブン

空母ヲ級「い、今ー……ちょっと手が離せなくて……ほ、ほら!人間と戦闘中で……えと……」アタフタ

北方棲姫『洋上以外での戦闘行動は禁止、片割れはともかくあんた仮にも学業成績上位でしょ?そんなことも忘れたの?』

空母ヲ級「そ、それはこいつと出会うよりも昔の話で……」

北方棲姫『関っ係ない、決まりを破ったのは事実よ』

空母ヲ級「……も……申し訳……ございません……」

北方棲姫『……この罪単体でも除隊処分……人間の死者が出たなら海底謹慎……』

北方棲姫『加えてあんたたちには機密漏洩という大罪まで犯してる……』

空母ヲ級「ま、待ってください!!猫艦戦は補給の遅れで……」

北方棲姫『……あんたらノーマルタイプの報告書偽装が私達に通用するとでも思ってるの?』

空母ヲ級「……っ……!」

北方棲姫『……はぁ…………信じてたのになぁ……こんな形で裏切らないでよ、こんな最悪な形でさ』

空母ヲ級「……申し訳……」

北方棲姫『その言葉、聞き飽きた……私はこれでもあんたたちを信頼してたのよ?』

北方棲姫『こういうの上司と部下の関係ってさ、お互いを信用しあうことでいい関係が築けるものでしょ?』

北方棲姫『それなのにこうやって裏切られちゃってさ…………私、残念なの……』

戦艦レ級「……ひ……姫……」

空母ヲ級「姫……姫!待って下さい!!私達はまだやれます!今からでもチャンスを!」

北方棲姫『忌々しい人語で命乞いしないで、耳が腐る』

北方棲姫『……もういいわ、あなた達にはがっかり……悪いけど……』

北方棲姫『殺すしかないの……現時刻を持って空母ヲ級00221番艦、戦艦レ級012番艦を適正勢力と判断し処分する』

空母ヲ級「そ、そんな!!姫!?姫!!!お考え直し下さい!!姫ぇ!!!」

戦艦レ級「おい冗談だろ!!ふざけるな!!アタシはまだ!!」

北方棲姫『悪いわね、深海棲艦の裏切りはこうやって処分するって決まってるのよ、じゃさよなら、せいぜい頑張って』ブチッ

ザザザザーーーッッ ブツンッ

空母ヲ級「……」ガクッ

空母ヲ級「そんな……う、嘘だろ……?」

戦艦レ級「………………」

空母ヲ級「……私……殺されるのか?今まで心の拠り所にしていた姫に殺されるのか……?」カタカタ

戦艦レ級「…………」

提督「……あ、あの……」

空母ヲ級「…………っ……何処で間違ったんだ私は……興味本位であんなボロ屋に行ってから……滅茶苦茶だ」

戦艦レ級「……アタシが悪いんだ……あの時こいつらに猫艦戦を渡してなかったら……アタシのせいで……!!」

空母ヲ級「いや……!!私があそこに行くと計画したんだ……お前は悪くない……悪くないんだ……!!」

空母ヲ級「悪いのは私だ!!私があんな事を計画しなければ……お前をこんな目に……!!」ポタポタッ

戦艦レ級「……ヲ級……うぐっ……く……くそぉ……!!涙が……涙がぁ……!!」ポタポタッ



ウワァァーーーン!!!


吹雪「……」ギッチリ

提督「……あー……えっと……」

吹雪「……司令官、少し待ちましょう……折れた足と私の自由は……」

提督「……そ、そうだな……」

吹雪「……所で司令官、その足……結局誰に?」

提督「え、えっと……」メソラシ

吹雪「やっぱり……警察やマスコミ……?」

提督「いや……違う、吹雪ちゃんが知らないで良い世界の話だ……」

吹雪「……?」クビカシゲ

空母ヲ級「……」クスンッ

空母ヲ級「……こ、これから……どうするんだ……」

戦艦レ級「……スンッ……どうするって…………分からねぇよ……ここから出ても殺される……この中にいても乾いて死んじまう」

空母ヲ級「……海にも……戻れない……安全なマエハマも今じゃ……」

戦艦レ級「あぁ……人間にもアタシたちの存在が……どうすんだよ……畜生……」

提督「……」

提督(……ここは……放っとく訳にもいかない……が……)

提督(……確かに……今回の立てこもり騒ぎで前浜町や後乃木市の深海棲艦を見る目が完全に変わってしまった)

提督(……前浜町の灯台なら誰も来ないが……最悪の場合明日来る古鷹さんを……)

提督(佐世保鎮守府の人たちは中途半端を嫌う、ここに深海棲艦を残してるって知られたら……マズいことになる)

提督「……吹雪ちゃん」ヒソッ

吹雪「……」コクッ

提督「悪いな……吹雪ちゃんや古鷹さんには少し辛いかもしれないけど……」

吹雪「……」フルフル

吹雪「空母ヲ級の会話を聞く限り、この『人』達は既に私達と同じ深海棲艦の敵です……もう深海棲艦ではありませんから……」

吹雪「後は司令官の判断次第で、彼女たちを生かすか殺すかを決めます……私は何も言いません」

提督「あぁ……そうか……じゃあ……悪いけど好きにやらせてくれ」

吹雪「はい!」

提督「……さて……どうするか……」



元深海棲艦の行く末は ↓3

1.しばらく鎮守府で匿う
2.前浜町の灯台で匿う
3.二ツ木山の川中島姫に預ける
4.自由安価



提督「…………空母ヲ級と戦艦レ級……だったな?いてて……よいっしょ……」

空母ヲ級「……人間……何だ」

戦艦レ級「おい、無理するな、座ってろ……」スッ

提督「…………さっきの会話の内容……詳しく聞かせてくれないか?あと……深海棲艦の行動範囲も知りたい」

空母ヲ級「……私は仲間を売るような真似は」

戦艦レ級「いや、ヲ級……もうアタシたちは……」

空母ヲ級「っ……それでも!」

戦艦レ級「……ハァ……仕方ねぇ……マエハマ周りだけでいいか?」

提督「十分だ……君たちには海の水が必要なんだろ?」

戦艦レ級「あぁ……淡水じゃ長く持たないみたいでな……いよいよ体の自由が聞かなくなってきやがった……」コキコキ

空母ヲ級「!……私もだ……ど、どうしよう……」

提督「……そうか……ならこっちも早く行動しないとな……悪いレ級ちゃん、吹雪ちゃんの縄をといてくれるか?」

戦艦レ級「あ、あぁ……ゴメンな……確かフブキだったな……痛かったか?」シュルッ

吹雪「あ、いえ……睨んだりして……すみませんでした」

戦艦レ級「……いや、気にするな……人間、フブキに何を頼むんだ?」

提督「あぁ、そうだな……吹雪ちゃん、その辺にノートか何かある?あとペンがあれば嬉しい」

吹雪「は、はい!多分レジに……」タタタッ 

空母ヲ級「……ど、どうするんだ?」

提督「君たちの知ってる深海棲艦の情報と吹雪ちゃんの知ってる艦娘の巡回の情報を照らし合わせる」

提督「……艦娘もそうだけど君たちの視力は尋常じゃないから生半可な隠れ場所じゃすぐに見つかってしまう……だから死角を探すんだ」

空母ヲ級「……」

提督「……まぁ……今から作るのは仮のものだからこれが役に立つのは持って3日だろうな……」

提督「……俺達もなるべく君らを匿うけど、君たちも俺達が情報をまとめやすいように少し協力して欲しい……いいかな?」

戦艦レ級「……」コクッ

空母ヲ級「……信じて……いいんだな?」

提督「敵だと思ってるなら今頃全力で助けを求めてるよ」

空母ヲ級「……なら、信じさせて貰う……」

提督「あぁ、俺も君たちを信じるよ」

吹雪「司令官!ありました!地下にスケッチブックとペンが沢山……んしょっと……」バサッ

提督「相変わらずここの品揃えは凄いな……じゃあ適当に書いていくか…」

提督「…………」

空母ヲ級「……姫の艦隊の大半は浮遊要塞とル級を旗艦とした重巡艦隊で構成されている……」

戦艦レ級「それに姫の飛ばす艦戦は地球の反対側だろうがつきまとうって言われてる……見つけ次第潰さねぇと厄介だ」

吹雪「……川の彼女たちなら……?」

提督「ダメだ……この子達は海水じゃないと生きられないみたいだからな……今だって天然水で生き延びてるけど体の自由が聞かなくなってるみたいだ」

空母ヲ級「……川?川に私達の仲間が……?」

提督「あぁ……君らによく似た深海棲艦のような生き物がいるんだ」

戦艦レ級「……お前んちの水槽に居たやつか?ありゃ違うぞ、深海棲艦じゃねぇ」

提督「……川底棲艦って読んでるんだが」

戦艦レ級「ありゃアタシ達のと同じ時期に生まれた全くの別種だ、縄張り意識も戦闘力もない落ちこぼれ種だ」

空母ヲ級(……そうだったのか?)

戦艦レ級(知らなかったのかよ……勉学で習わなかったのか?)

空母ヲ級(……雑学は苦手だ)

空母ヲ級「……コホンッ……形こそ似ているが、あれと一緒にしないで欲しい、あれは戦闘用じゃない、愛玩用の私達だ」

提督「……よく分からんが、劣等種ってことでいいのか?」カキカキカキ

戦艦レ級「ったりめぇだろ」

提督「…………一番厄介なのは北方棲姫の飛ばす艦戦か……うちに防空設備はないからなぁ……」

吹雪「えぇ……私一人では到底間に合わない数の艦戦が飛んで来るかと……最悪本土爆撃も……」

空母ヲ級「いや、それは心配ない」

吹雪「でも!この間呉鎮守府が……」

空母ヲ級「あれは洋上に浮かぶ艦娘と輸送用艦艇のみを始末する作戦だった筈だが……」

吹雪「そんなこと……鎮守府や呉鎮守府の司令官まで……!」

空母ヲ級「何!?」

戦艦レ級「…………鎮守府そのものを……!?おい……お前の先輩の今の所属は!?」

空母ヲ級「……ミッドウェーの旗艦の筈だ、それと中間棲姫様の応急修復要因となっている」

戦艦レ級「……姫の艦隊じゃないんだな?」

空母ヲ級「あぁ……そこは心配ない……だが今回の騒ぎでマエハマに爆撃が来る可能性も否定できん」

戦艦レ級「……だな……」

提督「……一応対空警戒を厳にしておくか……吹雪ちゃん……事が収まるまで少し忙しくなるかもしれないぞ」

吹雪「えぇ……」ゴクリッ

提督「…………とりあえず警戒すべきは対空防御と戦艦種の視力か……灯台周りに隠れられる所ってあったか?」

吹雪「……」ウーン

吹雪「あの辺はかなり水深が浅いところですし……深海のように完全に姿を消すことは出来ませんね……」

吹雪「……唯一隠れる場所があるとすれば……灯台内部でしょうか?あそこは誰も入りませんし、明かりもつきません」

提督「灯台内部?」

吹雪「えぇ、あそこの灯台、かなり前から使われてないんです、証拠として灯台の入り口は南京錠で施錠されて、鍵も腐っていますから」

提督「でも海水の問題はどうするんだ?」

吹雪「それは……うーん……」

提督「やっぱそうなるか……難しい問題だな……」

空母ヲ級「……すまない……」

提督「……」

提督「……吹雪ちゃんの情報は……まぁこんなもんか……」

吹雪「えぇ、周辺海域を巡回する艦娘はほとんど居ません……ですが……」

提督「?」

吹雪「レ級さんの砲撃……ですよね?あの演習中の砲撃って」

戦艦レ級「あぁ……まぁ……な……」

吹雪「あれ以降トレーニング中に呉の弥生ちゃんが定期的に異常がないか確かめにくるんです……」

提督「マジか……となると今回の騒動以降前浜町のパトロールが厳重になることは間違いない……か」

吹雪「そうなると一番問題になるのが二人のこれからの住処です……何処かに海水に浸かれて見張りが来ない場所があればいいんですけど……」

提督「……うーん……」

吹雪「……」


バタバタバタバタ

吹雪「!」

戦艦レ級「……!?」

空母ヲ級「……遂に来たか……」

提督「早いな……陸軍か……」

???『警告する、貴様ら深海棲艦はここに居ていい生物ではない!今すぐ人質を開放し!投降せよ!!』

提督「凛々しい女性の声……って事はやはり……」

???『前浜町提督殿!無事でありますか!?』

提督「……その声は、あきつ丸さんか!?」

あきつ丸『えぇ!!助けに来たであります!!』

戦艦レ級「……ちっ!余計な奴が……!!」

空母ヲ級「人間……どうするんだ……!?」

あきつ丸『今からこの扉を打ち破り、提督殿をお助け致します!それまで耐えて下さい!!』

提督(耐えるもクソも無いんだよ……考えろ……考えろ……)

あきつ丸『…………あれ、鍵が開いてる』ガチャガチャッ

あきつ丸「陸軍所属艦娘あきつ丸!提督救出任務開始であります!!」ッダン!!!


あきつ丸「提督殿!ご無事ですk」


空母ヲ級「おいコラァ!!!レ級お前ェ!!!!!!」ガシィッ ベシッベシッベシッ!!

戦艦レ級「あ、アタシ!鍵があるなんて知らなかったんだよ!!それに来るのは明日か明後日だろ!」

空母ヲ級「だからって鍵もかけずに立てこもるアホが居るかぁ!!!用心しろ用心をぉぉ!!!」

吹雪「レ級さんヲ級さん!とりあえず今は落ち着いて!落ち着いて逃げる方法を!!」

提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……どうも……」

あきつ丸「……あ、どうも……」

陸軍兵「……」ジャキッ

陸軍兵「……」ジャキッ

あきつ丸「……」スッ

陸軍兵s「……」スッ

あきつ丸「……さて……一体どういうことか説明をお願いしたいであります」

提督「……いや……その……話すとかなり長くなるんですけど」

あきつ丸「我ら陸軍は一蓮托生、提督殿が満足するまでいつまでも待つであります」

提督「そうですか……えっとですね……その……」

あきつ丸「……深海棲艦と田舎提督殿の禁断の恋……」ワクワク

提督「だ、断じて違う!」

空母ヲ級「……//」メソラシ

あきつ丸「や、やっぱりそういう関係……!?」キャーッ

提督「を、ヲ級!何照れて……」

あきつ丸「…いかんいかん…!でもっ敵同士の恋というものは実らぬものであります……ここはお二人の身柄を……」

提督「……待ってくれ!これにはもっと深い訳が……!」

あきつ丸「軍人ならば……恋する相手を選ぶべきであります……お心苦しいでしょうが……仕方なの無いことであります」


空母ヲ級「っ……!!レ級!!」キッ


戦艦レ級「あぁ…………悪い提督!アタシらは捕まるわけにはいかねぇんだ!!」ガシッ

提督「うげっ!?」

空母ヲ級「済まないフブキ!!」ガシッ!!

吹雪「えっ……うわぁ!!!」

あきつ丸「!……足を止めろ!!撃て!!」

陸軍兵s「!」タタタタタタンッ!!タタンッ

空母ヲ級「飛び降りるぞ!!フブキ!目を瞑れ!!」カンッチュンッチュンチュンッ!!!

吹雪「っ!」グッ

戦艦レ級「舌噛むなよ!!」

提督「だがお前たち!これでは本当に軍全体を敵に……!」

戦艦レ級「今は生き残ることを考えんだ……!!よっ!!!」ブン!! 


ガシャァーンッ!!!!


バッ!!



後乃木市 市街地

戦艦レ級「っ!!」スタッ!!

空母ヲ級「走れ!!」ダッ!!

戦艦レ級「あぁ!!提督!ここから一番近い海は!!」

提督「あ、あぁ……えっと……ここをずっと真っすぐ行けば前浜町方面だ、そこは海沿いの道だから飛び降りられる!」

空母ヲ級「分かった……!!行くぞ!」ダッ!!

戦艦レ級「提督、大丈夫か……?」

提督「あ、あぁ……!だが気をつけろ、警察や陸軍が躍起になって追ってきてる……」

戦艦レ級「分かってるって、行くぜ!」

提督「自衛隊もそろそろ来る……危なくなったら俺を置いてすぐに逃げるんだ!」

戦艦レ級「お前置いてったらアタシたちも死ぬんだよ!お前は何が何でも連れてく!」タタタタタッ

提督(こういう時……どうすりゃいいんだ……)




後乃木市郊外

空母ヲ級「……っ!」タタタタタッ!!!

吹雪「装甲車……!警察です!道を塞いでますよ!」

空母ヲ級「問題ない!突っ切る!!」ダダダッ バッ!!

警察「……と、飛んだぁ!?」ジャキッ タタタタタァン!!

吹雪「っ……!!」ヒュンヒュンヒュンッ

空母ヲ級「…………」スタッ

空母ヲ級「……我ながら見事な飛び越えだ……」タタタタタッ

戦艦レ級『邪魔だぁぁああああ!!!』ガシャァァーーン!!!!

ウワァァーーー!!!  ガシャンッガシャンッ プシューーーッ

戦艦レ級「……」ズザァァッ

戦艦レ級「……よし、全員無傷だ……装甲車が無人でよかった……」

提督「……街の被害は……アスファルトだけか……見事だな……」

提督「だが、守られてる手前大声では言えないが……生きた心地がしない……」

戦艦レ級「今はな……ほとぼりが冷める場所まで急ぐぜ!!」ダダダッ

空母ヲ級「……追っ手は……今ので全員無力化出来たか……?」

戦艦レ級「不安ならさっきの装甲車ってのを通路上に置いときゃ足止めできる」ヨイショッ ガシャンッ

戦艦レ級「よし……行くぞ」

空母ヲ級「あぁ……!」

あれ、自衛隊≠翌陸軍なのか?

>>833

利根「陸軍と自衛隊は違うぞ、解体されたのは海上自衛隊(と海保)のみで陸自と空自は普通に残っておる」

利根「日本を守る機関は今現在の所……警察、陸自、空自、陸軍、海軍の5つの勢力となっておるのじゃ
    陸自と陸軍の戦力上の違いは特に変わらんが、
    陸軍には艦娘と大口径砲重歩兵、通称大歩兵と言うパワードスーツのような物を着た兵科がある
    その他の装備品や支給品は陸上自衛隊と大差ない、制服の色以外では見分けがつかんからな……戦闘服になるとどれもおなじに見える」

利根「……それと、陸軍は内閣の許可を得ること無く戦闘行動を開始できるという利点があるの、
    その場の上層部の指示もしくは分隊長の指示で攻撃をすることができるのじゃ」

睦月「それが利点となるか欠点となるかは未だに謎ですねー……」

利根「そうだな、自衛隊のように慎重に行動するのも大事だと思い知らされることがあるからのう……」


あきつ丸「そもそも陸軍にはアパッチなどのジェットジャイロや一○のような高度な戦車が」

利根「さて、本編に戻ろうか、ジェットジャイロではなくヘリと呼ばんかヘリと」ズルズル

あきつ丸「待って下さい!自分はまだ言いたいことが~~~……」


※無論のこと独自設定です
---------------------------------------

郊外 トンネル

タッタッタッタッタッタ

空母ヲ級「……後ろからは誰も来てないな……水だ」グィィィーン ゴソゴソッポイッ

戦艦レ級「……ありがとよ」ビチャビチャビチャ

戦艦レ級「っぷは……くっ……力が出ねぇ……もう少しか?」

提督「……あぁ、もう少しかかる……時間がないな……」

吹雪「……何も出来ないのが歯がゆいです……何か助けられませんか?」

提督「……たとえ吹雪ちゃんが艤装をつけててもこの子達を助けることはできないよ……」

空母ヲ級「あぁ、お前は海軍の艦娘だ、ここで問題を起こせばお前も両方から追われる身だ」

吹雪「でもヲ級さん!」

戦艦レ級「心配ねぇ、艦娘でもねぇ限り全部アタシが片手で捻り潰してやるよ、いいからフブキは守られてろって!」ニカッ

吹雪「……!」

沢蟹レ級『……!』ニカッ

吹雪「……レ級………?」

戦艦レ級「……?どした?」

吹雪「……は、はい!私達……レ級さんに守られます!」

戦艦レ級「よっし!そう来なくちゃ!提督!案内頼む……足……大丈夫か?」

提督「あぁ……っつつ……問題ない、行くぞ!」

戦艦レ級「おう」ガシッ タッタッタッタッタ

空母ヲ級「フブキ……巻き込んですまない……」カカエッ

吹雪「いえ……いいんです……行きましょう」

空母ヲ級「あぁ……今は生きるぞ……」タッタッタッタ



提督「トンネルを抜けたらすぐ海だ、急ぐぞ!」

吹雪「!ヲ級さん!後ろ!!」

ヴゥゥッッドドドドドドドドドドォンッ!!!!

戦艦レ級「ちっ!!」ガッガッチュンチュン……!!!

空母ヲ級「っ…すまない……」

戦艦レ級「気に知るな……はっ……大したことねぇじゃねぇか……APかよ」ポイッ ガランガランガランッ

戦艦レ級「……にしても何だありゃ、人間の兵器にしちゃデケェな」タタタッ

提督「陸自の旧式の兵器……装甲戦闘車だ、油断するな……対空砲に使われてるのを主砲にしてるぞ」

戦艦レ級「なるほどね……そりゃ厄介だ……んじゃ、逃げるか」タタタタタッ

提督「……俺に当たったら一撃で血の煙になっちまうぜ……?」

戦艦レ級「深海棲艦には障壁ってのがあるんだ、忘れたか?」

提督「あぁ……そういえばそうだったな……とりあえず走るぞ!!」


ッドドドドドドォンッ!!ドドドドドドォンッ!!


提督「俺方向に弾が飛んでないのは感心だ、流石陸自、精密射撃に定評がある……吹雪ちゃん!大丈夫か!?」

吹雪「は、はい!!!」

提督「それは良かった!もうすぐトンネルを抜ける!それまで耐えてくれ!」

吹雪「はい!!」

空母ヲ級「トンネルを抜けるぞ!!どっちに飛べばいい!?」

提督「右だ!」

空母ヲ級「分かった!!レ級!」

戦艦レ級「お前より近い位置で聞いてたんだ!聞いてたに決まってんだろ!!」

空母ヲ級「そうだったな……行くぞ!!」



前浜町外れ、海

戦艦レ級「だりゃあああああ!!!」バッ

空母ヲ級「うわああああああ!!!」バッ

バッシャーーーンッ!!!

吹雪「んぐっ……ぐぐ……」ブクブクブクッ

空母ヲ級『フブキ……!!』ガシッ

空母ヲ級『このまま海の中を進む……行くぞ!』

吹雪「……っ!!」コクッ

空母ヲ級『……レ級着いて来い!!』ドシュゥーーンッ!!!

戦艦レ級『あいよ!海の中にはいりゃこっちのもんだ!!』ドシュゥウウーーーンッ!!!

提督(息が続くまでに目的地についてくれよ……)

さて、時間も時間だしこのへんで区切るかな……何時になったらほのぼの出来るのやら

待たせたな

太平洋、とある無人島

吹雪「……げほっ!!ごほっ!!……はぁ……はぁ……」

提督「………………」

戦艦レ級「……おーい、生きてるか?」ペチペチ

空母ヲ級「……」キョロキョロ

提督「っぶふっ!!」

戦艦レ級「うぇっ!?汚ねっ!」ペッペッ

提督「あぁー……畜生……魚数匹踊り食いした気分だ…………あれ……ここは?」

戦艦レ級「……秘密の隠れ家……って訳じゃねぇけど……ひとまず身を隠せそうな場所だ」ヌグイッ

提督「身を隠す……」キョロッ

ギャギャギャ……ガサガサガサガサ……

提督「……ここが?」

戦艦レ級「寝心地と飯の質は我慢してくれ、とりあえず今日一日はここで何とかしなきゃならねぇからな」

提督「……あぁ……それは心配ないけど……吹雪ちゃん、ここってさ……」

吹雪「え……えぇ……」キョロキョロキョロ

提督「…………だよ……なぁ……」

空母ヲ級「……追っ手は無いが……艦娘の捜索隊があちこちに居る……しばらく出歩くことは出来そうにない」

戦艦レ級「……」グィーッ

戦艦レ級「……みてぇだな……槍持ち円盤の部隊も居る……こりゃ厄介だぞ……」


提督「……あの……お二人さん?」

戦艦レ級「あ?」

空母ヲ級「……?」

提督「……あのー……すご~く言いづらいんだけど」ポリポリ

空母ヲ級「……何だ……?」

吹雪「えっとー……ここって……実は……」アセアセ

空母ヲ級「……フブキも知ってるのか?……提督、ここは何だ?」

提督「…………うーん……」

戦艦レ級「……何だよ、知ってるなら言ってくれ」


提督「……多分さ、ドラ……じゃないトラック島だと思う……艦娘側の前哨基地だな」

吹雪「……言えば……艦娘たちの秘密基地です……」


空母ヲ級「……何……」

戦艦レ級「だと……」

無人島改めトラック島


提督「………列島からはるか遠いトラック島まで数十分で着くのか……」

吹雪「海を潜って周りも殆ど見えないのに……凄いですね……」

提督「あぁ……全くだな……にしても空気が綺麗だなぁ……足が動けば泳ぎに行きたいよ」

吹雪「本当……でも少し暑いですね……」

提督「まぁ熱帯だしなぁ……」

空母ヲ級「ぼんやりしてる場合か!!すぐにここを離れるぞ!!」

戦艦レ級「いや待て!今は慣れるのはあまりにも都合が悪い……辺り一面索敵してみろ……」ジィー

空母ヲ級「な……東西南北全部が艦娘に囲まれてる……!場所は把握されてないが……いま出たら……!」

戦艦レ級「あぁ……アタシら二人まとめて袋叩きだ、横須賀の連中は居ないが戦力で差がありすぎるぞ……」

提督「だが……この島にも何だかよく分からない艦娘が居るぞ……名前は分からないけど」

吹雪「その話、聞いたことがあります……機密として隠されている超弩級戦艦って言われてますけど……」

提督「あぁ、それにココらへんには見当たらないけど最近資材の盗難がこの島で相次いでてな……監視カメラもある」

提督「このままじゃ動ける範囲はかなり制限されてしまう……」

空母ヲ級「何て事だ……まさか逃げた先が敵の餌場だとは……私はまたミスを……!!」アタマカカエ

戦艦レ級「ミスは誰だってある……今は生きる道を考えんだよ、悲観するな」ポンッ

提督「あぁ……それにまだ手はある……」ムクリ

戦艦レ級「どうした、ほら、肩」

提督「悪いな……よいしょ…………」

吹雪「手……ですか?」

提督「そう、この島は呉の管轄下だ……それを利用するしか無い」

戦艦レ級「呉?呉って言や、ミッドウェー攻略の主メンバーか?」

提督「あぁ……恐らくこの島の超弩級戦艦もその攻略メンバーになってるはずだ……となると長門さんと話ができるはず」

空母ヲ級「だが、呉の艦娘と話をした所でどうすると言うんだ?敵を呼び寄せる可能性だって出てくるぞ!?」

提督「………………事情を説明すれば……理解してくれるはずだ……」

空母ヲ級「しかし……相手は艦娘だ……それに呉といえば鎮守府を爆撃されて深海棲艦に対する恨みが深刻な筈……」

空母ヲ級「いくらお前と呉の関係が深いものだからって敵である私を助けるなど……!」

提督「だが今はそれしか生き残るすべがないだろ?逃げられる可能性は0%、このまま震えて助かる可能性も0%だ」

提督「なら起死回生の成功率5%の技にすべてを賭けるしかないよ」

吹雪「……司令官……」

戦艦レ級「…………でもよ」

提督「?」

戦艦レ級「その超弩級戦艦っての?どこに居るんだ?」

提督「……」

提督「……さぁ……」クビカシゲ

戦艦レ級「さぁ……って……お前なぁ……」

吹雪「はぁ……誰か見つけない限り……状況は変わりませんよ……」ガクッ

空母ヲ級「……」ガックシ

空母ヲ級「……だが、ここは人の住む島……という事は……猛獣の危険はないんだな?」

提督「あぁ、その心配はない……と思う」

吹雪「……だ、大丈夫……ですよね……私、艤装つけてないからトラとか蛇にも殺されちゃいますけど……」

提督「トラは出ないだろ……でも蛇に殺されるのは俺だって同じだ……正直ヘビは不安だな……」

吹雪「……」ウルウル

提督「……そ、そんな目で見ないでくれ、俺だって怖いんだ……」

空母ヲ級「……」チラ

空母ヲ級「……日が沈んできたな……もうすぐ夜か……」

戦艦レ級「……提督、お前のペット、餌大丈夫か?」

提督「……!!」ビクッ

吹雪「!!」ビクッ

戦艦レ級「やっぱりか……家の中に食べ物はあるよな?」

提督「あ、あぁ……それは大丈夫だが……でも……」

戦艦レ級「……明日までに家に帰れないとまずいな……明日までには何とかしようぜ」

提督「あぁ……すまないな……」


数時間前

前浜町 二丁目鎮守府 リビング

ヲ級「……ヲッ!!」ユビサシ

レ級「……」ジーッ

TV『現在拘束され、行方不明となっている二名は二丁目鎮守府に住む艦娘と提督と推測され……』カオジャシン

ヲ級「―!!!」クチオサエ

レ級「っ!!」ビクッ

ヲ級「ヲッ……ヲヲ……!!」アワアワ

レ級「……」ギュッ

ヲ級「…………」ブルブル

レ級「……っ……」ポンポン

レ級「……」ナデナデ

ガラッ!!!

ヲ級「ヲッ!?」ビクッ

レ級「……」ギロリ

瑞鶴改「ヲ級!レ級!!いる!?」

ヲ級「……!」メシツカイ!?

レ級「……ホッ」

瑞鶴「……良かった……あなた達は無事だったのね……提督さんのことは知ってる!?」

ヲ級「……」コクッ

レ級「……」コクッ

瑞鶴「そう……とりあえずここは危険よ……深海棲艦が来るかもしれないから一旦W島に行くけど、いい!?」

ヲ級「……」コクコク

瑞鶴「いい子ね……バケツに入って!淡水だから大丈夫よ!……翔鶴姉!提督さんの家族を確保したわ!すぐ合流ポイントに向かう!」

翔鶴改『えぇ、急いで!深海棲艦が前浜町のトンネルに入ったわ!!』



吹雪「ヲ級……レ級……」ソワソワ

空母ヲ級「劣等種の事か……ややこしいな……」

吹雪「劣等種……その言い方……少し酷いです」

空母ヲ級「……すまない……川底棲艦だったな……大切にしていたんだな、その子の事……」

吹雪「えぇ……捕まえる……と言うかついて来たんですけど……家の前で倒れてて……」

吹雪「その時は体が乾きかけてて、急いで水に入れて、治ったら返す~みたいな感じだったんですけど……いつの間にか家族になっちゃって」

空母ヲ級「……よくある成り行きみたいな物か……」

吹雪「えぇ、まぁ……しばらく一緒に飼ってたらレ級もついて来て、レ級もいつの間にか家族になってて……」

吹雪「……今じゃ二人とも大事な家族の一員なんです……でも今日は餌やれないし……もしかしたら……」ソワソワ

空母ヲ級「……大丈夫だ、きっと大丈夫……」ポンポン

吹雪「ヲ級さん……っくしゅん!」

空母ヲ級「ん……寒いか?」

吹雪「い、いえ……さっきまで水に浸かってたから……それかな」プルプル

空母ヲ級「そういえばそうだったな……ほら、近くに寄れ」

吹雪「す、すみません」ピト

空母ヲ級「……少し湿ってるかもしれないが……そこは許してくれ」

吹雪「…………でも、少し暖かいです……」

空母ヲ級「……そうか、ならいいんだが……」

吹雪「……こういう時、火を付けられたら……温かいんですけど……」

空母ヲ級「……火は嫌いだ」

吹雪「そうですか?」

空母ヲ級「あぁ、何故か火を見ると嫌なことを思い出す……何でだろうな……フブキには無いのか?そういうの……」

吹雪「私ですか?……確かに……私も車のライトとか灯台の光とかを直接見ると……嫌な気分になります」

空母ヲ級「……何でだろうな……」

吹雪「……よく分かりません」


提督「……」

戦艦レ級「……まだ、痛むか?」

提督「いや、大分マシになった、ありがとう」

戦艦レ級「……すまねぇな……」

提督「?」

戦艦レ級「……こんな大事になるとは思わなかった……人間の建物も壊しちまったし……お前に怪我させちまった」

戦艦レ級「裏切り者として処分されるよりも罪が重いと思う……ずっと前からちょっかいばっかかけてたしな……」

提督「……今となっちゃ過ぎたことだよ、気にするな」

戦艦レ級「それじゃアタシの示しがつかないよ!アタシが許されることなんて」

提督「阿呆、許した訳じゃない」

戦艦レ級「じゃあ何で気にするななんて言葉を……」

提督「後でその罪を償ってもらうからだよ、ほとぼりが冷めてある程度自由になったら今度は俺達のために働いてくれ」

提督「君らはもう深海棲艦じゃないからな、そのことが全員に正しく日本中に伝わって、君たちの存在が認められたら……」

戦艦レ級「……人間のために……働くのか……」

提督「あぁ、漁の手伝いや溺れた人の救助、水害の早期発見とか、戦う以外でも海で出来る仕事は沢山あるからな」

戦艦レ級「……」

提督「……死に急ぐことはない、この騒ぎが終わったら一度生まれ変わってみるといいよ、しっぽの装備を捨てて、やれることをやってみな」サスサスッ

戦艦レ級「やぁっ!?」ビクッ

提督「!?」

戦艦レ級「ちょっと……やめろよ……何触ってんだよ!……もう……」ゾクゾク

提督「ご、ごめん……ってそこ……敏感なところなのか?」

戦艦レ級「あ、あんた…じゃねぇ…お前!仮にも劣等種飼ってんだろ…!?そうだよ……敏感なとこなんだよ!」

提督「悪い悪い……」

戦艦レ級「ったく……気をつけろよな……」プイ

提督「……難しい生き物だな……深海棲艦って……」

戦艦レ級「……こういう高度な感情があるのはリ級やアタシみたいな完全人型だけだ……そう難しくねぇよ……」

提督「……そうなんだ」

戦艦レ級「……それ以外は知らねぇ、チ級辺りから自分で考え出すみてぇだけどな……」

提督「……ふぅん……」

戦艦レ級「……ま……そういう事だ……尻尾はもう触るなよ」クルン

提督「……あぁ、分かってるよ」

戦艦レ級「……寝てる時に踏むなよ?踏んだらいくらお前でも殺すからな……」ギロリ

提督「わぁかってるってそう念を押すな」

戦艦レ級「……不安だ……」

提督「……にしても……明かりがないとやっぱりキツイな……」

空母ヲ級「……どうした?」

提督「あぁ、何も見えないんだよなぁ……どうしたものか……」

吹雪「司令官、私達こっちですこっち」

提督「……え?こっちか?」クルッ

吹雪「あぁ、行き過ぎ、もう少しこっちです、見えますか?」ジィーッ

提督「ん……あぁ……いたいた……」

吹雪「……本当に見えてないんですね……」

提督「まぁな……吹雪ちゃんは見えるのか?」

吹雪「まぁ、障害にならない程度には……」

提督「いいなぁ……ヲ級ちゃんたちも見えてるの?」

空母ヲ級「……ちゃん?……まぁいい……私は問題ない、昼と大して変わらん視認距離だ」

戦艦レ級「アタシも普通に見えるけど……提督は見えねぇのか?」

提督「そうか……さすがは艦艇だな……」シミジミ

吹雪「……」キョロッ

吹雪「艦娘の巡回も減ってきましたね……」

戦艦レ級「…………」ジィー

戦艦レ級「…………」コォーン……コォーン……

戦艦レ級「あぁ、この辺のビーチあたりの見張りはない、上空に黒空母共の零夜戦が飛んでるが、あたしたちを見つけるには至らねぇだろ」

空母ヲ級「……今のうちに海水を貯めこむのが吉だな……提督、何かタンクのようなものはないか?」

提督「た、タンクか?……いや、そんなのは無いぞ?」

空母ヲ級「……そうか、なら海水に入るだけにしておこう……すまないが少し待っててくれ、フブキ、提督を頼む」

吹雪「は、はい!ヲ級さん達もお気をつけて!」


戦艦レ級「よし、行くぞ」

空母ヲ級「あぁ」

ザッザッザッザッザ




ビーチ

戦艦レ級「……対潜電探感なし」コォーン…コォーン…

空母ヲ級「……対空電探に感なし……」ピピピピ

戦艦レ級「目視圏内に艦娘巡回なし……心配ねぇ」

空母ヲ級「……あぁ……ん?……あれは……」チラ

戦艦レ級「?……ど、ドラム缶じゃねぇか!ありがてぇ!」

空母ヲ級「大型のドラム缶か……中のアサリだのシジミだのハマグリだのの貝を捨てればかなりの水が入るぞ!」

戦艦レ級「あぁ……さっさと水くもうぜ!」

空母ヲ級「あぁ!」ザッザッザッ

空母ヲ級「……」ザブゥン

空母ヲ級「……っはぁ……染みわたる……」ジワァァァ…

戦艦レ級「……ここの海は……綺麗でいいな……」ジワァァァ…

空母ヲ級「あぁ……しばらくゆっくりしていたい……」ジワァ…

戦艦レ級「……あうー…………」チラ


ザッザッザッザ……


戦艦レ級「……ん……なんだありゃ……人間か?」

空母ヲ級「……提督か?」

戦艦レ級「いや……違う……吹雪でもねぇ……何か馬鹿みたいにデケェもん抱えてやがる……」

空母ヲ級「……?」ムクリ


……カシャッ   フッ


空母ヲ級「……何も居ないじゃないか……」

戦艦レ級「え?……あれ……ホントだ……幽霊かなんかか……?」

空母ヲ級「……馬鹿なこと言ってないで上がるぞ、何時艦娘が来るか分からん」

戦艦レ級「あぁ、そうだな……水汲んでさっさと帰るか……」ガボッ ゴボボボッ ザバァァッ

空母ヲ級「私が持とうか?」

戦艦レ級「いや、いい」

ザッザッザッザッ






ガサガサガサガサ!!!

大和「っはぁ……!はぁ……!!くっ……また逃げられた……一体どこに消えるっていうの……!!あの紫色の泥棒女……!!」

大和「……」キョロッ

大和「……貝のドラム缶まで……!せっかく白雪さんが取った貝なのに……!!」

提督「……おー……あったのか!」

空母ヲ級「あぁ!これで一晩はしのげる!」ザッブン

戦艦レ級「おい、もっと詰めろって!」ザッブン

空母ヲ級「馬鹿!これは一人用だ!あふれる!」バシャバシャ

戦艦レ級「二人でも頑張ればいけるって!ホラ詰めろ!」

空母ヲ級「ば……おま……どこ触って……胸やめろ!!おい!」

戦艦レ級「動くな!暴れるな!!あば……うわっ!!」グリッ

空母ヲ級「あ」グラッ

ゴトン バシャァァーーーーーン!!


提督「……」ビチャビチャ

吹雪「……」ビチョビチョ

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「…………さて、ねるk」

空母ヲ級「汲み直してこい」

戦艦レ級「…いや、これは事故であ」

空母ヲ級「汲み直せ」

戦艦レ級「だって、重いs」

空母ヲ級「早く」ゴゴゴゴゴゴ……

戦艦レ級「話をk」

空母ヲ級「早く」ドドドドドド……

戦艦レ級「あ」

空母ヲ級「早く」ギュピーーーン!!!

戦艦レ級「……はい……」


提督「今のはレ級ちゃんが悪い」

吹雪「私もそう思います」

空母ヲ級「……ったく……」

レ級「……ったく……何でアタシばっかこんな目に……」

レ級「……アイツが悪いだろいまのは……人間的に言えば譲りあいだ、譲り合い」

レ級「……今度はアタシが一番乗りに入ってやる……」ブツブツ

レ級「それにしても……何だったんだろうな……あの幽霊……」ドンッ

レ級「あいたっ……ん?」チラ

大和「…………」

レ級「……」

大和「…………」アセダク

レ級「……」アセダク

「「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」




イヤァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!


吹雪「!」ビクッ

提督「レ級ちゃんの声だ!」ムクリッ ズキィッ

提督「あだぁっ!!あだだだ……!!」

空母ヲ級「提督、肩を貸す!フブキ!お前は先に行って様子を!!」

吹雪「は、はい!!レ級さん……!!」ザッザッザッザッザッザ!!

提督「……今の悲鳴……別の人の悲鳴も混じってた……もしかしたら超弩級戦艦と鉢合わせたかも……」

空母ヲ級「だとしたらフブキだけじゃ不安だ…抱える……急ぐぞ!」

提督「あぁ!」

ザッザッザッザッザッザッザッザ


大和「な、なななな!何で何でしんか……深海棲艦の……れれ!!レ級が!!!」ガクガクガク

レ級「な、何でこ、こんな所によりにもよって艦娘のヤバいタイプがガガガが!!??」ガクブルガクブル

大和「ひぃいいやあああ!!!な、何で人語喋ってるのよぉーー!!!!」

レ級「何でこんな辺鄙なジャングルに居るんだよおお~~~!!!!」

大和「っ!!ここは落ち着いて!大丈夫……艤装はなくとも戦艦大和……格闘戦なら!!」グワッ!!

レ級「ひぃっ!!来るか……来るってのか!!やってやる!!アタシだってレ級なんだ!!」ブン!!

ザッザッザッザッザッザッザ!!!!

吹雪「レ級さん!!やめて!!!!」




レ級「な!?」ピタッ

大和「!」ベキッ

レ級「ぐぇ!!?」ブワッ ドサァーーーッ!!!

吹雪「レ級さん!!」

レ級「いてぇっ……っててて……さすがは超弩級戦艦だな……チキショウ……」

大和「……あなたは……!」

吹雪「……艦娘……?」

レ級「あぁ……艤装なしでこの力……間違いねぇ……こいつが超弩級戦艦だ……」グシッ

吹雪「でもこんな人……見たことないですよ……?」

大和「……戦艦大和……と言えば分かりますか?」

吹雪「!!」

大和「初めまして、吹雪さん、トラック島所属艦娘、大和と申します」

吹雪「……は、初めまして……前浜町二丁目鎮守府所属、吹雪です!」ビシィッ

大和「……」

大和「……その深海棲艦は……知り合いですか?」キッ

吹雪「……えぇ……ですが……」

戦艦レ級「……アタシはもう深海棲艦じゃねぇ……ただのレ級だ……元012番艦……一番の落ちこぼれだ」

大和「……元……?」

戦艦レ級「……見限られたんだよ……行くあてがねぇ所をこいつとこいつの提督に救われたんだ、結果的にな」ケッ

大和「…………」



空母ヲ級「おい!無事か!!……な……!?」ザッザッザッザ

提督「……この人は…………」

吹雪「……戦艦大和さん……このトラック島の所属艦娘です……」

提督「大和ぉ!?」

空母ヲ級「……戦艦……大和……!」

大和「……ヲ級……と言うことはこの二杯が二人を連れ去った深海棲艦ね……」

吹雪「は、はい……ですが……」

大和「理由は後で聞きます……レ級、ヲ級……来なさい……あなた方も」



……と言う感じで今日はこの辺で失敬しまっしょい……どないしよ

さて、やりますか

提督「……」ガサガサ

吹雪「んしょ……んしょ……司令官……重い……」

提督「まぁ……これでも一応大人だからな……」

大和「……」チラ

吹雪「……?」

大和「吹雪さん……でした?」

吹雪「え、えぇ……」

大和「……あなた……艤装なしでどうやってここに?」

空母ヲ級「……私達が連れてきた、人間から逃れるために誘拐まがいのことをしてしまったがな……」ジャラッ

戦艦レ級「足の折れた提督を運んで来たのもアタシたちだ、文句あるか?」ジャラッ

大和「誘拐犯にしては随分献身的なのね」

空母ヲ級「……好きでやってる訳じゃないからな……」ジャラッ

戦艦レ級「……おい戦艦」

大和「…………」

戦艦レ級「吹雪と提督に酷いことするなよ、わかってるだろうがコイツラはお前らを裏切ったわけじゃねぇ」

大和「承知の上よ……だけどあなた達の無事は保証できないわ」

戦艦レ級「……二人が無事なら私は構わねぇ」

戦艦レ級(死にたくねぇ……)

空母ヲ級(見栄張なよお前……私まだ死にたくないぞ)ジロッ

戦艦レ級(……私だって死にたくねぇよ)ジト…

大和「……呉の判断次第ね」

ヲ級&レ級「「私(アタシ)ら死んだな……」」

吹雪「あ、あきらめないで!長門さんはそんな酷い人じゃないですから!」

空母ヲ級「無理無理無理無理……先輩が訳分からん行動したせいでながと?って艦娘私達の事物凄い恨んでるって」

戦艦レ級「やられたらやり返す……って言葉が昔流行ったらしいな……それが本当ならアタシら煙も残らねぇぞ……!?」

大和「…………」

提督「……長門さんか……大丈夫かな……」

大和「……提督が見つからない今、長門秘書艦はかなり深海棲艦に敏感になっています……恐らく……」

提督「だろうなぁ……はぁ……」

大和「……とにかく、基地についたら手当しなければ……平気ですか?」

提督「患部はよく見てないから詳細は不明ですけど……多分大丈夫だと思います」

大和「……急ぎましょう」

ガサガザ……

トラック島基地 フロント

ギィッ…

吹雪「……」ポカーン

提督「……ほー……」

空母ヲ級「……これが……艦娘の……」

戦艦レ級「で、でけぇ……?」

大和「……空母ヲ級、戦艦レ級、あなた達はこちらへ」グィッ

空母ヲ級「っとと……」ジャラ

戦艦レ級「うげっ……」ジャラララ

大和「しばらくお待ちを、吹雪さん、提督をそちらのソファに」

吹雪「は、はい!司令官……」

提督「あぁ…すまないな……」


キナサイ 

オイ、ヒッパルナ…ワタシハチャントアルケル
イデデデデ……!オイヤマト!コレゼッテェサイズアッテネェヨ!オイ!


ガチャーン




提督「……ふぅー……うちのソファの数千倍は柔らかいな……さすがは艦娘用の前哨基地だ」ゴロッ

吹雪「……服も体もぼろぼろです……落ち着いたらお風呂にはいらないと……」

吹雪「……」チラ

提督「……?」

吹雪「……司令官……痛そう……」

提督「ん……まぁ、痛くないって言えば嘘になるな……それに生まれて初めての骨折だ、貴重な体験だよ」

提督「……ただ気になるのは、骨折って出血もするもんなんだな……初めて知ったよ」サワッ 

吹雪「それ……もしかして皮を突き破ってるんじゃ……!?」

提督「あぁ、レ級ちゃんにも言われて、レ級ちゃんが近くにいる間は障壁かなんかで血を止めてくれてたんだけど……」

吹雪「……そうか……居ないから……」

提督「あぁ……できるだけ……大和さんには早く来てもらわないと……ヤバイかも……」ドクドク

吹雪「し、司令官、動かないで!血が……」

提督「え、うわ……やべ……ドッぺり出てんじゃん……」

吹雪「……こんなこと……一体誰が……私が知らなくて良い世界ってなんですか!?」

提督「いや、マジで知らない方がいい……多分吹雪ちゃん失望する……」

吹雪「そ、そんな……暴力団ですか!?この事件もしかして……暴力団が関わってるんですか!?」

提督「違う!……誰も悪くない……だから……気にしないでいい……」ゼェッゼェッ

吹雪「……でも……!」

提督「いいから!!この事は……もう話に出すんじゃない……!!いいな!!」ギッ

吹雪「っ……りょ、了解……!!」

吹雪(……司令官……!!)


大和「……二丁目提督、お待たせしま」

吹雪「司令官!しっかり……!!」

大和「……!」

提督「うーん……痛い、これは痛いぞ……いかんいかん……洒落にならん……」ズキズキズキ

大和「二丁目提督!吹雪さん!怪我の具合は!?」

吹雪「殴打によるえっと……骨が出てくるほどの骨折で……出血がひどいです!」

大和「開放骨折……!?車にでも跳ねられたんですか!?」

提督「うぐぅ…………いや、人身事故じゃない……」

大和「まさか……さっきの深海棲艦に!?」

提督「いや……それでもない……」

大和「……じゃあ一体どうしたっていうんですか!!正直に言って下さい!!」キッ

吹雪「司令官……!やっぱり私知りたいです!!仇をとらないと……!!!」キッ

提督「…………うぐぐ……くそぉ……」

吹雪「司令官!!言って!!私に嘘つかないで!!!」

提督「…………でも……」

吹雪「私を信用してよ!!!!」

提督「……うぅ……分かった……言うよ……」

吹雪「……」

提督「…………ぶつけたんだよ……」

大和「……?」

吹雪「……ぶつけた……?」

提督「…………実は…………」








提督「……というわけだ……」

大和「…………」ポカーン

吹雪「…………」

吹雪「は?」

提督「……」ショボン

吹雪「……カッコつけてガラス突き破ろうとしたら膝から下を折って挙句の果てに罪をあの二人になすりつけようとしたんだ」ミクダシ

吹雪「ふざけてるの?」

提督「いや、ふざけてないよ、あの時はマジだったし」

吹雪「いや、ふざけてるよね、どうせこんなガラス膝蹴りで~とか思ったんでしょ?」

提督「……ハヒ」

吹雪「馬鹿でしょ、何考えてるの?」

提督「……カエスコトバモアリマセン……」

吹雪「……はぁ……」

提督「……あの、そろそろ治療を……」

大和「では、こちらに……医務室なら」

吹雪「いえ、もっと最適な場所があります、大和さん、あの場所、使えます?」

大和「……あの場所?」

吹雪「……」ヒソッ

大和「え?……まぁ使えますけど……でもこの怪我じゃ……」

吹雪「大丈夫です、うちの鎮守府のとは違うでしょう?」

大和「まぁ……うちのは全鎮守府の中でも指折りですけど……大丈夫かな……」

吹雪「では、連れて行きますね、ほら、掴まって」

提督「……かたじけない……」ダキッ

大和「…………あの子……恐ろしいわね……」



ギィッ バタン 

エ、ココッテ、エ、チョ、フブキチャン?フブキサン?フブキサンチョットマッテ!チョ!エ、コレカンムスヨウ……

ヨイショ 

ポイッ ザッブーンッ

ウワッチャァアアアア!!!!イデデデェェ!!!シミル!!シミルゥウウウウ!!!!!!





フロント

吹雪「……明日には治ると思います」

大和「そ、そうですか……」

艦娘用入居ドック(緊急用)


提督「……」プカーーー

提督「……いでででででで……」ジクジクジク

提督「…………普通服着たまま風呂に投げ込むかよ……全く……」

グギギギギギギッ

提督「!!!うぎゃあああ!!!あぎゃあああああああ!!!!誰だ!!誰だ痛いとこ触ってるのおおお!!!」バシャバシャ

ゴキッ

提督「あがふっ!!」バシャッ

提督「……」プカーーッ

提督「……」チラ

提督(……うそぉ……もう治ってんじゃん……なんだこれ……魔法の水かなんかか……)

地下牢

アギャアァァァァアアア!!!ダレダ!ダレダイタイトコサワッテルノォォーーー!!!!

空母ヲ級「…………」ビクッ

戦艦レ級「…………あんだよさっきからキョロキョロしやがって……逃げ道なんかねぇぞ?」

空母ヲ級「……いや……そうじゃ無いんだ……なんかさっき悲鳴……聞こえなかったか……」

戦艦レ級「…………」

イギャァァーーーー!!!!!

空母ヲ級「ほらまた!!」

戦艦レ級「な、なななな……ナンノコトダヨ……ゴウモンナンカコワクネェダロ!あははははー!!」

空母ヲ級「な、なぁ!ここ!ほんとに大丈夫だよな!?生きて帰れるよな!?」ガシッ ウルウル

戦艦レ級「あ、あああ、当たり前だろ!?あは!あは!あははー……」ガクガクガク

空母ヲ級「……私怖いよ……まだ死にたくない……」サンカクズワリ

戦艦レ級「だ、大丈夫だって……な?」

ギャアアアアアアアーーーーー!!!!!

シヌゥーーーーー!!!!!

空母ヲ級「うぅ……ううう……」アタマカカエ

戦艦レ級「ひぃぃぃ……」ビクビクビク



入渠ドック

提督「ひっぎゃあああああ!!!!じぬ!!傷口ひげぁああああ!!!除菌されるぅううう!!!」バシャバシャバシャ

提督「いでぇ!!マジでやめぇ!!!しみるって!!マジでしみるっての!!えぐれてんだぞこっちは!!」バシャバシャ

提督「死ぬって!!マジで死にかねねぇ!!!いげぁああああああ!!!!」バシャバシャバシャ


ジュゥゥゥゥ………………


提督「……お、終わった……」プカーー

提督(荒療治にも程があるわ……)

脱衣所

提督「…………し、死ぬかと思った……」ヒタヒタヒタ…

提督「……とりあえず脱ぐか……」ヌギッ チラッ

提督「……マジか……完全に治ってんじゃん……艦娘用すげぇ……」ペタペタ

提督(……どうやって治ってたんだろ……誰かが治してたってワケじゃないけど……)

提督(……無事だよな……色々と……)キョロキョロ

提督「顔よし、腕よし、足よし……俺のメガバズーカランチャー砲は準備万端……よし、いつもの俺だな」

提督「うむ……で、替えの服……下着まで用意してくれてんじゃん、親切だなぁ……ホテルかよ……」

提督(いや、普通ホテルでもトランクスまで用意はしないよな……まぁいいか)ハキッ

提督「で、浴衣……ふむ、男用だな、凄いな、艦娘用の施設なのに……」ススッ

提督「よし……吹雪ちゃんに謝ろう」ギィッ



フロント

大和「二丁目提督、怪我は大丈夫ですか?」

吹雪「……」ツーンッ

提督「あぁ……見事すぎるほどの荒療治だったがおかげで傷跡もなくって感じだ……ありがとう、吹雪ちゃんも」

吹雪「……ふん!知らない!」

提督「……あぁー……悪かったって……よいしょっと……」

吹雪「……」

提督「……」

吹雪「……」チラ

提督「……」ペコッ

吹雪「……!」プイッ

提督「……あはは」

吹雪「……何笑ってるんですか……」ジロ

提督「いや、怒った顔も中々に……だな」

吹雪「面白い……ですか?私本気で怒ってるんだけど……」キッ

提督「いや、可愛いなって」

吹雪「んな……!?」

提督「……そういえば、面と向かって可愛いってあんまり言って無かったよな……」テレ

吹雪「な……何言ってるんですか!!そんなこと言って許されるとでも思わないで下さい!!」

提督「はは、まぁ前々から可愛いって思ってたのは事実だ」ニヤ

吹雪「~~~~!!!」

吹雪「……し、知らないんだから!!私は今回のこと絶対!!ぜぇったい許しませんから!!!」

吹雪「そして!」ビシッ

吹雪「乙女心を刺激する言葉を責任逃れのために使う人のことなんか!私は絶対に好きになりますぇ……」

吹雪「……なりません!!」

大和(言い直した)

提督(そこまで嫌わなくても……)シュン

大和「……吹雪さんも、お風呂どうですか?怪我とかしてるならドックにします?」

吹雪「いえ、私は大丈夫です……普通のお風呂で……」ハァーッハァーッ

提督「縛られた跡は?」

吹雪「あれは大丈夫です、得に殴られたとか、どこかで切ったとかもないですし……」

提督「そう?」

吹雪「…………」プイ

提督「お、俺まだ何も……」ガーンッ!!

吹雪「……まだ?」ジロ

提督「何もしない!今日は別に補充する必要ないし普通に入ればいいって!」

吹雪「……全く……」カララッカララッピシャ



提督「……はぁ……この溝はデカイよなぁ……」シュン

大和「……割と浅い気がしますけど……」アハハ

提督「……まぁいいや……通信室ありますか?」

大和「……もう始めるんですか?」

提督「夕食前に不安を残すわけにいきませんから、早いとこやりましょう」

大和「分かりました、ではこちらに……」

テクテクッ ガチャッ バタンッ



階段

大和「ここは少し前に長門秘書艦と陸奥副秘書艦が使用していて……少し前までは賑やかな基地だったんです」

提督「へぇー……ここで指揮してたんだ……」

大和「えぇ、数年前までは横須賀鎮守府の皆さんもこの基地を前哨基地の拠点として利用されていました」

大和「叢雲秘書艦が慣れない手つきで提督代行のような指揮をされていて、それでも的確な指示を出していましたね」

大和「……大規模作戦以外ではご覧の通り大きいだけで寂しい基地ですけど……」

提督「…………確かに……この規模を運用するには一人では流石に……」

大和「……慣れれば簡単です……ただ最近は妙な泥棒が現れますが……」

提督「姿を消す泥棒……ですか、報告書で読みました」

大和「えぇ……困ったものです、装甲板や建造資材を根こそぎ持って行かれてしまって……」ハァ

提督「……大変ですね」

大和「いつかきっと捕まえてみせます……どうぞ」ギィッ ガゴーンッッ


吹雪「この鎮守府はおかしすぎます!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427736104/)

吾輩が次スレである!吾輩が居ればもう埋まる心配はないぞ!

~艤装の構え方~

吹雪型の艤装の持ち方

1.リュックのように機関部を背負いましょう、ベルトは外れないようにしっかりと固定しましょう
2.砲身を持ちましょう、グリップをしっかり握り、射撃時以外は人差し指の引き金から手を離すようにしましょう。
3.魚雷発射管はしっかりと固定されていることを確認しましょう、念のため発射管の角度の可動テストを行いましょう。
4.脚部ユニットは予め付けておきましょう。スクリューの回転は正常ですか?
5.準備ができたら海に降りましょう、最終チェックを怠らないように。


提督「お、重い……!!!」ギチギチギチ ドシャァーー!!!

吹雪「司令官!」

※自分が吹雪型艤装適合者であることを確認しましょう。

翔鶴型艤装の使い方

1.矢筒と弓がしっかり自分の者であることを確認しましょう
2.換えの弦は忘れずに分かりやすいところに入れておきましょう。
3.艦載機、パイロットの最終チェックを行いましょう。
4.飛行甲板を腕部に取り付けましょう、艦載機が着艦できる角度を維持することを忘れずに。
5.脚部ユニットの取り付けに異常はありませんか?
6.準備ができたらry

提督「は、はっかん!」ビヨーン ポチャ

瑞鶴「し、震電!!」

※才能がない男に弓矢を貸さないようにしましょう、艦載機は貴重です

……よし、アホみたいなこと書いてないで埋めよう

でち!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月22日 (日) 14:34:06   ID: caw8BJ_-

面白い(・ω・)

2 :  SS好きの774さん   2015年04月11日 (土) 12:46:13   ID: gOOfIbMA

読んだ感じアンカーターンて超信地旋回よりは信地旋回の方が近い感じしますね。超信地旋回は左右の履帯の回転方向を逆にするやり方なので

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