神谷奈緒「ノーパンスタイル」 (29)
カリスマファッションリーダー、ソレナンテ・エ=ロゲの提案した
ノーパンスタイルは静かに、だが確実に、若い女性を中心に広まっていった!
ノーパンスタイルとは!
スカートのときはパンツを履かない、というものである!
スカート丈はミニであることが望ましい!
なお、この場合のパンツとはズボンのことではない!
アンダーウェア、ショーツ、パンティーである!
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北条加蓮「ふーん、奈緒はまだパンツ履いてるんだー」
加蓮「私の学校の友達は結構履いてないよ」
神谷奈緒「マジかよ……じゃあ加蓮も?」
加蓮「私は履いてるけど」
奈緒「なんでだよ。言ってることとやってることが違うんじゃないか?」
加蓮「お母さんにバレて怒られちゃってさ」
加蓮「アンタは体弱いんだから風邪ひきそうなことするんじゃないって」
加蓮「ライブ出れるくらい体力ついてるんだけどなぁ」
奈緒「親が心配するのは理屈じゃないんだよ、たぶん」
加蓮「で、どうなの? ノーパン興味ない?」
奈緒「いや、まったく……」
加蓮「奈緒がノーパンになったら絶対可愛いと思うんだけどなぁ」
奈緒「やめてくれよ」
加蓮「あれ、おかしいな? いつもだったら顔真っ赤にして」
奈緒『ハアァ!? あ、あたしが可愛いなんてそんなこと……でもそう言ってくれるなら……キュン』
加蓮「って言うのに」
奈緒「キュンなんて口に出して言わねーよ」
加蓮(それ以外については認める、と)
奈緒「嫌悪感……とまでは言わないけど、抵抗感が強すぎてさぁ」
奈緒「だいたい可愛いって言っても、積極的に人に見せるわけじゃないだろ?」
加蓮「人に見せたらただの痴女だよねー」
奈緒「人に見せないファッションを可愛いなんて言われても、からかわれてるとしか思えない」
加蓮「ノーパンスタイルの本質って」
加蓮「『履かない』ことで自然と生まれる、女性らしい『艶のあるしぐさ』だからね」
加蓮「ファッションだけど、実は精神的なものなんだよ」
奈緒「なるほど……でもそれなら履いてて良いんじゃないか?」
奈緒「要は心構え次第。履いてないと思い込めば良いんだろ?」
加蓮「『履いてないつもり』と『実際履いてない』はやっぱり違うんだって」
奈緒「……」
加蓮「どうしたの?」
奈緒「ふと気付いたんだけど、さっきからあたしにノーパンスタイルを薦めてる?」
加蓮「うん」
奈緒「ねーよ! ねーから!」
加蓮「えー、なんでー?」
奈緒「そんな恥ずかしいこと、薦められたからって、やるわけないだろ?」
加蓮「ノーパンスタイルで4代目シンデレラガールになれるとしても?」
奈緒「……!!」
奈緒「いやいや、いくらなんでも……」
加蓮「ドクターストップ……じゃなくてマザーストップかかってる私じゃ出来ないけど」
加蓮「奈緒なら出来るんだよ? チャンスが目の前にあるんだよ?」
奈緒「そう言われてもな……」
加蓮「あっ、志希ー。ちょっと来てー」
一ノ瀬志希「なになに、呼んだー?」
加蓮「突然で悪いんだけど、確かパンツ履いてないんだよね?」
志希「パンツ? あー、ずいぶん履いてないねぇ」
奈緒「マジで!?」
奈緒(うわぁ……目の前にノーパンがいる……)
加蓮「ずいぶんって具体的には?」
志希「向こうにいたときから」
加蓮「海外?」
志希「そー。最近は日本でもノーパンスタイルが流行ってきたけど」
志希「向こうはもっと前から流行ってたからね」
志希「で、それがどうかしたの?」
加蓮「デビュー直後の志希がいきなり総選挙上位に入ったのは」
加蓮「ノーパンだったからじゃないかと思うんだけど……どう思う?」
志希「あー、あるかもねぇ。『強くてニューゲーム』みたいな……」
志希「いや、『Lv1で最強装備』の方が近いかな?」
加蓮「ほら。ノーパンスタイルでアイドル力アップの実例」
奈緒「まじかよ……」
奈緒「っていうか、ハードなレッスンをこなしてもノーパンであっさり追いつかれるのか……」
志希「んにゃ、それは違うよ」
志希「さっきの例だと、奈緒ちゃんは『高レベルでそこそこの装備』だと思う」
志希「地力ではまだ、結構差ついてるだろうし」
志希「奈緒ちゃんもノーパンになれば更にステータスアップする! はず!」
志希「もしかしてノーパンになるべきか迷ってるのかな~?」
奈緒「迷ってる、というか……志希には悪いけど」
奈緒「どんなに効果があると言われても、変態としか思えないというか」
奈緒「あたしがおかしいのかなぁ……なんでみんな、そんなに抵抗なくノーパンになれるんだろう」
加蓮「慣れじゃない? ライブだって、最初は人前で歌うなんて恥ずかしいって言ってたでしょ?」
奈緒「それとこれとは全く違うと思うんだけどな……」
奈緒「ただ、志希。ちょっと気になったんだけど」
志希「なーに?」
奈緒「その……ノーパン歴長いんだろ?」
奈緒「スカートめくりとか、されたこと……ないのか?」
加蓮「奈緒ムッツリ」
志希「ムッツリ~」
奈緒「ち、違うって! だって一番気になるのはそこだろ!?」
加蓮「まー、そういうことにしておこうか」
志希「で、スカートめくりね。されたことないよ」
志希「ごく初期はともかく、ノーパンスタイルが流行りだしたら」
志希「『軽い気持ちでスカートめくりして万が一ノーパンだったらヤバイ』って」
志希「男の子も気付いたんじゃないかなー。もちろん今の日本でも、ね」
奈緒「な、なるほど……そりゃそうか」
加蓮「安心した?」
奈緒「ま、まぁ……ちょっとな」
奈緒「いや、それでも、あたしがするつもりはないけどっ」
加蓮(うーん、あとひと押しでノーパンになりそう……)
志希「奈緒ちゃん、スカートめくりが心配だったんだ?」
奈緒「あ、ああ……うん」
奈緒「実は……幼稚園くらいの頃かな。よく男子にスカートめくりされてさ」
奈緒「それが本当に嫌で『なんでこんなことするの!?』って聞いたんだよ」
加蓮「それってよくある、好きな子にちょっかい出したいっていう……」
奈緒「今思えばそうかもな」
奈緒「でも当時はそんな発想なかったし……あー、思い出した」
奈緒「『お前のことなんかどうでもいいけど、パンツが見たいだけだ』って」
加蓮「それ絶対照れ隠しだよね」
奈緒「はは、だろうな。で、子供だったあたしは、それなら」
奈緒「『パンツがこの世から無くなれば良い』と思ったんだ」
加蓮「短絡的だねー。ま、幼稚園児なら仕方ないか」
奈緒「近所の神社でお願いもしたりしてさ」
依田芳乃「そのお話、詳しく聞いてもよろしくてー?」
奈緒「ん? 話って?」
芳乃「神様にー、『パンツをこの世から無くしてください』とお願いしたのでしてー?」
奈緒「えーと、たぶん」
芳乃「他になにかお願いしたことはありますー?」
奈緒「他には……ああ、お願いじゃないけど自分の状況を事細かく説明したかな」
奈緒「『これこれこうで、もうスカートめくりされたくありません』って」
芳乃「なるほどー。そういうことでしたかー」
芳乃「それとー、一つ確認したいことがー」
奈緒「なに?」
芳乃「件の流行についてー、どう思っているのでしょー?」
奈緒「ノーパンスタイルのこと? どう、と言われても……」
芳乃「例えばー……スカートめくりされることはないかと思いますがー」
奈緒「そりゃ結果的にはそうだけど。なんていうか、色々間違えてると思う」
奈緒「……それがなにか?」
芳乃「いえいえ、お気になさらずー。それではー」
奈緒「なんだろ?」
加蓮「さあ?」
芳乃(ふむー……時間がかかりすぎなうえにー、肝心のお願いも微妙な叶え方とはー)
芳乃(困った神様もいたものでしてー)
芳乃(とはいえー、全世界に影響を与えるとはー)
芳乃(わたくしの力だけではどうにも出来ませんねー)
芳乃(ばばさまに相談してみましょー)
志希「ともかく、奈緒ちゃんがスカートめくりにトラウマあるのは分かった」
志希「でもさっき言ったけど、今スカートめくりする人はいないよ!」
奈緒「あ、うん。それは……分かったけど」
加蓮「試しに1回やってみたら? 多分、ファンの反応もぜんぜん違うと思うよ」
奈緒「じゃあ加蓮がやれば良いじゃないか」
加蓮「だから私はお母さんに止められたんだって」
奈緒「そうだった……」
奈緒「いや、ちょっと待て。それでも1回はノーパンでステージに出たんだろ? 反応どうだった?」
加蓮「残念ながらお仕事中じゃなくてプライベート」
志希「あたしは最初からノーパンだったから、どれくらい違いが出るかわからないねー」
加蓮「奈緒は次のライブ近いでしょ? 良いチャンスじゃない?」
奈緒「か、考えてみる……」
~後日 ライブ会場・楽屋~
奈緒(どうする……本当にやるのか……?)
奈緒(出番まであと少し。このままステージに上っても、ファンは十分満足してくれると思う)
奈緒(でももし、ノーパンで出たら……)
奈緒(本当に、アピール力がさらにアップするんだろうか)
奈緒(せめてプロデューサーに相談すべきだったかな……)
奈緒(いやいや、出来るわけないだろ!)
奈緒(『次のステージ、ノーパンで出たほうがいい?』なんて!)
カミヤサーン ソロソロ スタンバイ オネガイシマース
奈緒「は、はいっ!」
奈緒(えーい、やらずに後悔するよりやって後悔した方がマシだ!)
奈緒(ノーパンスタイルは世界中で流行っている!)
奈緒(決して変態的な行為ではない!)←自分に言い聞かせている
シュルッ…
奈緒(いくぞ! あたしはこのステージで、4代目シンデレラガールに大きく近づくんだ!!)
~同時刻 芳乃の部屋~
Prrrr
芳乃「もしもしー、ばばさまー?」
芳乃「先日の件、分かりましてー?」
・
・
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芳乃「ふむふむー」
芳乃「この儀式をすればー、全世界にかけられた暗示は一瞬で消えー」
芳乃「人々はおかしな流行のことなど、綺麗さっぱり忘れているのですねー」
芳乃「ばばさま、ありがとうございますー」
芳乃「……えっ? ただし、お願いをした本人はー」
芳乃「もともと暗示がかかっていないのでー、一瞬で忘れることもない、とー」
芳乃「分かりましたー、後ほど事情を説明いたしましょー」
その日の奈緒のステージは
『しぐさがいちいちエロい』 『履いてないように見える』と大評判になった。
芳乃から事情を聞いた奈緒は、真っ赤な顔で『死んでしまいたい』とつぶやいたという……。
以上終了です
奈緒がノーパンでライブする夢を見た記念
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