女「私は決してあなたを見捨てません」(132)
男「……」
「おい……あいつの……」
男「……っち」
「……怖いわぁ……」
男(どいつもこいつも信じられん)
「……ようやく教室から出て行ったよ……ったく、学校くるんじゃねぇよ、カスが……」
男「……はぁ……」
男(本当、ロクな事ねぇな)
先生「よぉ、男」
男「あ、先生……こんちは」
先生「元気……てな訳は無いようだな」
男「……まぁ」
先生「あんな事があればな……っとこれは禁句か」
男「できれば……お願いします」
先生「すまんな、配慮が足りなかった」
「……軽々しく人と話してるんじゃねぇよ……」
先生「……こえぇな、人ってのは」
男「先生、それだと先生は人じゃなくなります」
先生「はっはっはっ!」
男「……ふ」
先生「お、久々に笑ったな」
男「いえいえ……そういえばお手洗いに行きたかったので、もういいですか?」
先生「っと、引き止めてすまなかったな。じゃ」
男「はい」
「……おい、教室から出て行ったんじゃねぇのかよ……」
男(うるさいな。聞こえてるんだよ……)
男(教科書はっと……あぁ、英語は破かれたんだっけ)
「おーい、授業始めるぞー。席に着けー」
男(無くてもどうにかなるか)
「……となるから、ここの訳は」
男(……暇だ……寝るか?)
「おい、男答えろ!」
男「ーーーです」
「……っち、正解だ。そうだよなぁ、教科書無しで授業出るくらいだもんなぁ… 」
男(無い、じゃなくて使えねぇんだよ)
「……なんだ、その目は?」
男「何でもありません。次にいってください」
「それでここの文法だが」
男(……さて、帰るか)
「おおい、男ぉ」
男「あ?」
「宿題やってこいよ!友達だろ?」
男「お前とは友達になった覚えは無いんだが」
「うっせぇ、根暗!いいからやりゃいいんだよ!」
男「嫌だ」
「く、この野郎!」
男(いってぇ……)
「いいからやれよ!このーー」
男「それ以上言うんじゃねぇ!」
「がっ!」
「おい、あいつ殴ったぞ!先生呼んでこい!」
先生「おい、どっちが先に殴った?」
「勿論男です。僕から殴るわけないじゃないですか」
先生「そうか、じゃあお前はさっさと出ていけ」
「はい。先生、そいつをきつーくしぼってくださいね」
先生「あぁ。分かったから……殴ったのあいつからだな?」
男「うん」
先生「分かった……そういえば英語の担当から聞いたが教科書無しで受けてるんだって?」
男「無し、じゃなくて使えないんですよ」
先生「あぁ……なるほどな」
男「では……さようなら」
先生「あぁ、またな」
男(バッグは……良かった無事だな。中には……また誹謗中傷の手紙か……一々紙の無駄なんだよ)
男(あいつらも暇なんだな。俺なんかに一々つっかかるぐらい……)
男(……数学だけは落書きだけだし平気かな)
男(そういや筆箱は……)
男「あ……」
男(情けねぇな。中身ぶちまけちまった)
?「大丈夫ですか?」
男「あん?」
?「手伝いますよ」
男「余計な事をするな」
?「困ってる時は手伝うのが私のモットーです」
男「っち……助かる」
女「いえいえ~」
男(……これはフリか?それとも知らないのか?)
女「これバッグに入れますねー」
男「あぁ、助かる……って」
女「……これ何ですか?」
男(……くっそ、バッグ見られるから分かってた話じゃねぇか)
女「あのー……」
男「……見るな」
女「何で『死ね』と書いてあるんですか?」
男「……あんたには関係ない」
女「関係ない分けないです」
男「あんたに俺と何が接点有ったんだ?」
女「そ、それは……」
男「もういい……助かったよ」
女「……あっ」
男(ふぅ……まぁもう会う事は無いよな)
男「ただいま、母さん」
母「…………」
男「バイト行ってくるから……留守番お願いね」
母「…………」
男「んじゃ、行ってきます」
男(ごめんね、母さん。絶対に病院に連れていくから……)
母「…………」
「いい加減あいつ学校やめればいいのに……」
男「……ふぅ……」
?「あのー……」
「ん、あれ生徒会長?」
男(……今日は何だっけな……英語、情報、物理に……)
?「居ました!」
「ここに誰か生徒会居たっけ?」
「居ないよ?」
男(えーと、次は……)
?「おはようございます!」
男(あ、やっべ。ノート切り刻まれたままだったな……どうするか)
?「反応しろ、この馬鹿!」
男「ぐぉっ?!」
女「ようやく反応してくれましたね。おはようございます」
男「あぁ、おはよ……じゃねぇよ」
女「……は?」
「おい……男と生徒会長知り合いなのか?」
「知らねぇよ……何だあいつは。人と話してるんじゃねぇよ……牢屋に行け牢屋に」
女「……なるほどね」
男「……分かったか?だったらもう俺に関わるな。ロクな事がーー」
女「昼休み、生徒会室に居ますから」
「おい、男。ツラ出せや」
男「嫌だ」
「うっせぇ!来いってんだろ!」
男「っち……」
「またあいつ殴られるのね、うっけるー」
「次は骨折れまくって入院かもね」
男「……うぜぇ」
「お前は生徒会長に泣きついたのか?」
男「んな訳あるか」
「だよなぁ。仮に泣きついたら俺はお前を完全にぶっ潰しにかかるけどな」
男「あっそ、勝手にしろ」
「てめえは喧嘩売ってるのか?」
男「もともと売ってきたのはお前だ」
「うるせぇ、黙れゴミが……おい、取り押さえろ」
男「……ふっ!」
「くそ、こいつまた殴りやがった!」
「いいから抑えろってんだ!ボコボコにしてやる!」
男「ーーっぅ……」
男(くそ、授業放棄かよ……動けねぇ)
男「……あぁ、くそ」
女「……ようやく見つけましたよ」
男「……関わるな、と言った筈だが?」
女「こんなにボロボロになってるのに見捨てたら人間として腐ってると思います……立てますか?」
男「あぁ……すまん」
女「ワイシャツ抜いでください」
男「俺に露出の趣味はないぞ」
女「いいから脱げ」
男「はい」
女「痣が多いですね……少し痛いですよ」
男「っ……」
女「背中も凄いですね……何されたんですか?」
男「……羽交い締めされて、滅多打ち」
女「これ先生達にに言いました?」
男「いや……言ったが動いてくれてない。知ってるのは先生だけだな」
女「そうですか……やめさせる、と言う事は無理なんですか?」
男「できるなら苦労はしてない」
女「……ですよね。はい、終わりです」
男「……あんたのお陰でさっきよりマシになった。ありがとう」
女「あんた、じゃなくて女ですよ」
男「あぁ……ありがとう、女」
女「いえいえ。男さん、で有ってますよね?」
男「何で俺の名前を?」
女「上履き見ました」
男「そうか……授業出るか」
女「大丈夫ですか?」
男「あぁ。世話になった」
「おい、男!授業サボりか?!」
男「はぁ、すんません」
「おい、立てない位にボコボコにしたんじゃねぇのか?」
「した筈なんだが……したりねぇのか」
男(今でも十分いてぇよ)
「まぁいい……座れ」
男「はい、ありがとうございます」
こういう連続更新よろしくないのかしら。
どうなのかな。
男(……バイト体持つか?)
女「また会いましたね」
男「……よう」
女「怪我は、どうですか?」
男「たった数時間で治ったら俺は人間じゃない」
女「……そうですね。これから帰りですか?」
男「いや、バイトだ」
女「シフトずらして貰うとかは……」
男「無理だな。小さな喫茶店だからバイトが俺しかいねぇんだ」
女「そうですか……」
二、三時間ほど離脱します。
店長「おう、来たな……男、隣のはこれか?これなのか?」
男「小指立てんでください」
女「あの、あのっ、男君が心配で着いて来ました!」
店長「……こいつは信用できるやつなのか?」
男「恐らく」
店長「ま、いい。よし、着替える前に湿布貼ってから出てこい」
男「あぁ……って湿布?」
店長「お前が今無理してんのは分かってんだよ。分かったか?」
男「いや、分かりませんよ」
店長「まぁ、いい。いいから着替えてこい」
男「はいはい……」
男「店長、着替えてきました……ん?」
店長「よう、あの娘いい子じゃねぇか。嫁に欲しいくらいだ」
男「……店長、奥さんに言いつけますよ?」
店長「すまん、調子に乗った……で、あの娘はお前の事知ってるのか?」
男「……多分知らない」
店長「……知られてない方が幸ってか。でも、お前と居るといずれか知る事になるぞ?」
男「その時はその時だ」
店長「……そんなんだからお前は……いや、何でもない」
男「?」
店長「よし、お客様のオーダー聞いてこい」
男「……はい」
女「男さん、その制服いいですね」
男「そうか?……ご注文は?」
女「ではコーヒーでお願いします」
男「了解です。店長ー、コー……」
店長「聞こえてるから反復して言わなくていいから」
男「普通俺が店長に伝えて始めて作るんじゃないんですか?」
店長「それは大手のレストランとかだろ?うちはそんなの無いから関係ない」
男「俺いらないじゃん」
店長「じゃ、明日から……」
男「店長、洒落にならないからやめてください」
女「ふふふ……仲がいいんですね」
男「ここの店がアットホームなだけだな」
店長「おーい、もう上がっていいぞー?」
男「はい……お疲れ様です」
女「終わりましたか?」
男「あぁ……帰ってても良かったのに」
女「怪我が悪化しないか、心配なんですよ」
男「もう大丈夫だって」
女「本当ですか?」
男「本当だって……っとと」
女「ほら、ダメじゃないですか」
男「それで何で手を繋ぐんだ?」
女「男さんが転ばないように、ですよ」
男「…………」
女「何で顔が赤いんですか?」
男「……何でもねぇよ」
?「男……クソが……」
先生「おう、男。最近元気そうだな」
男「そうですか?」
先生「あぁ。何か前より何かイキイキとしているな……これか?」
男「小指では無いです」
先生「何だ。つまらん」
先生「……昔に、居たな」
男「昔、ですか?」
先生「そうだ。ま、大した事ではないから気にすんな」
男「そうすか」
先生「あぁ、またな」
?「へらへらしてんじゃねぇよ」
男「昼飯誘うなんて聞いてねぇよ」
女「いいじゃないですか……男さんお昼ご飯は?」
男「……無い」
女「作りますよ?」
男「何その嬉しいイベント」
女「イベント?何かお祭りでも?」
男「いや、何でもない……やめておくよ」
女「でも、男さんいつもお昼ご飯食べてませんよね?」
男「便所飯なんだ」
女「いつも見てますけどそんな事はないですよね?」
男「いつも見てる?」
女「あら……たまに見ますけどそんな事はないですよね?」
男「説明願おうか」
女「嫌です」
男「なら……」
女「弁当は?」
男「だから……」
女「お 弁 当 は ど う し ま す か ? 男 さ ん 」
男「……お願いします」
女「始めからそう言えばいいのです」
男「……性悪女」
女「男さん?殴られたいのですか?今なら英語辞典付きですがどうですか?」
男「ごめんなさい、いつも通り可愛い生徒会長様です」
女「か、かわいいだなんて……」
男(マスコットみたい)
「よう、今日も生徒会長に寄生してたのか?」
男「……お前に関係ないだろう?」
「俺に関係あるんだなぁ」
男「訂正する。お前には直接関係ないだろう?」
「お前が幸せなのは絶対に許さねぇ」
男「……俺は俺だろ?」
「ならその言葉を遺族の前で言ってこいよ、この殺人鬼の息子」
女「え……」
眠いから終わり。
軽くなりすぎたかしら。
男「っ!?」
女「殺人鬼……?」
「おぉ、生徒会長。今まで殺人鬼の息子の世話をしてたんだろ?体は平気だったかぁ?」
女「ちょ、ちょっと、男さん!それは……」
男「本当だ。殺人鬼の息子、で合っている」
女「あっ……」
「ふはははっ、これでお前の味方が減っていったな!殺人鬼に人間らしい事はしちゃいけねぇんだよ!」
女「お、男さん……」
女「は、始めから知っていれば……私……」
ーーあなたと関わらなかったのにーー
男(きっと、そう言うだろう……)
女「お、男さん?!」
男「じゃあな、おん……生徒会長。明日からは他人だ」
女「男さん!」
男「それと俺に関わるな、もう」
ーー辛いんだよーー
男「……」
長音(ー)じゃなくてダッシュ(―)使えばいいのに
男(いつかはこうなると分かっていた)
男(今まで関わってきたやつらも同じ反応をして……)
男(そうして周りから離れていった……)
男(だから慣れてるはずだ。男女関係なく同じ反応をされてきた……なのに……)
男「……うゎ……」
男(何でこんなに悲しいんだろう?)
>>60 スマホだから無いっす
男(……今までが夢物語だったんだ……)
「男、ようやくいつものしけたツラに戻ったな。こっちの方がやりがいあるぜ!」
男(もう、痛みとかどうでもいい……)
「おい、何か反応しろ!」
男(うるさい……もう俺は疲れてんだ)
男「ただいま、母さん」
母「……」
男「今日ね……俺の事をきにかけてくれた女の子がね……」
母「……」
男「……俺の……俺達の家の事情知っちまったんだ」
母「……」
>>62
「ダッシュ」って打って変換とか記号から呼び出すみたいなのもできない?
なんか長音で代用すると間抜けな印象を受けるんです…
>>65 うーん……探したけどなさそう。- ー ― これのどれかかな?
右じゃね?
>>66
その中だと左から三番目の棒線がダッシュですわ
けどごめんね、邪魔しちゃったみたいで…
男「そうしたらね、やっぱりショックを受けてた」
母「……」
男「そりゃそうだよね。今まで世話を焼いてきてたのが殺人鬼の息子なんだから……」
母「……」
男「でもね……今まで好意で接してくれてた人に……消えられるのは辛いよ……」
母「……」
男「……あんな事が無ければ……俺も平和に過ごせたのかな」
母「……」
数年前――
父「おい、男。学校はどうだ?」
男「う、うん。ボチボチやってるよ」
父「そっか。お前ももう小学二年生だもんな……楽しいか?」
男「うん」
父「そっか、そっか」
母「あなたー、男ー。夕食できましたよー?」
父「あぁ!今行く!……さ、怒られる前に行くぞ」
男「うん……お酒飲んじゃダメだからね?」
父「あぁ。大丈夫、大丈夫」
男「ただいまー……母さん?」
父「……ヒック……よぅ、帰ってきたなぁ、男!」
男(……っ!)
父「おら、こっちにこい……」
男「ぼ、僕これから遊ぶ約束が……」
父「あぁん?俺の言う事が聞けねぇのかぁ?」
男「でも……」
父「いいから来いって言ってんだろ!」
父「いいから来いって言ってんだろ!」
男「っ!痛い!」
父「痛い、じゃねぇんだ!分かりました、だろ?!」
男「うっ……うっ……」
父「ちっ……おい、母。酒ねぇのか?」
母「も、もう無いです」
父「んだとぉ?!巫山戯んな!」
母「きゃっ!」
父「いいから買って来い!」
母「……はい」
父「……お前はいつまでそこに這いつくばっている?!」
男「っっっ!」
父「一々イライラする野郎だな……オラッ!」
男「ぎゃん!」
父「ふははは……そうれ、もっと殴ってやる!」
母「――男!大丈夫?!」
男「……うん。何とか」
母「父さんは?」
男「父さんは……多分寝室で寝てる」
母「……出かける支度して」
男「えっ……」
母「家を出るわ」
今夜は終わりです
母「できた?」
男「うん」
母「オモチャは置いて行きなさい」
男「でも……」
母「また帰れる時が来るから、ね?」
男「うん……バイバイオモチャさん達」
母「いい?おばあちゃん家に行くわよ?」
男「うん」
父「……ちくしょう、どこに逃げやがったあいつら!」
母「気づくの早すぎるわよ……逃げるわよ!」
男「走る?」
母「ええ!」
「おい……何だアレ」
母「すみません!通してください!」
父「おい!待て!」
「おい、あいつ包丁持ってるぞ!」
母「嘘っ?!マズイわよ、これ!」
父「……うっせぇな!見せもんじゃねぇんだ!」
「――ゴボッ」
父「てめぇが邪魔すっからだ!」
「おい!人刺しやがったぞ!」
「救急車!呼んで!返事して!ねぇ!」
「警察も呼べっ!」
母「人通り避けるわよ!」
男「はあっ……はあっ……」
父「そこかぁ!待てや!」
母「きゃっ!」
「いたたた……」
「お、おい?!」
母「す、すみません……急いでたもので……大丈夫ですか?!」
「はい、大丈夫で……」
「!?」
父「おい……待てって言ってんだろ?!」
「おい!返事しろ!おいっ!」
「……はぁ……痛い……」
「あそこだ!取り押さえろ!」
父「待てって……おい!何をするんだ!」
「現行犯逮捕する!」
今日は終了。
すまんね、忙しくて……
「――遺族に謝罪しろ!」
「そうよ!私の子供を返して!」
「あいつはお腹に子供が居たんだ!なのにお前の夫はそれすら潰しやがった!」
母「も、申し訳ありません!」
「土下座で涙流して許されると思ってるんか!?一人一人に誤ってこい!」
男「母さん!母さん!大丈夫かや?」
母「ええ、大丈夫だから……心配しなくても平気よ」
男「本当?無理してない?」
母「大丈夫よ……あなただけは守るから」
「母さん!?連続通り魔殺人についてお聞きしたい事があるのですが」
母「答えられる事は……ありません」
「何か一言無いのですか?遺族への謝罪は?!」
母「謝罪はしっかりとさせていただきました」
「この事件は家庭内暴力から始まった、と聞いてますがどうなんでしうか?」
母「そこまでは話せません」
「母さん?まだ聞きたい事が―」
男「……お客様帰ったの?」
母「ええ……うるさくしてごめんね?」
男「ううん、大丈夫」
「おまえんちの父ちゃん人殺しなんだってなー!うちの母ちゃん言ってたぞー!」
男「っ……」
「何か言えよー!この人殺し!」
男「ぼ、僕は何もやってな……」
「そういや、お前の母ちゃんテレビに出たがらないなー!しゃざいかいけんての開けよ!」
男「黙れ……」
「はっはぁ!じゃあな!」
男「うっ……」
男「……母さん、ただいま」
母「がっ……ぐっ……」
男「母さん?」
母「ぐふっ……」
男「母さん?!母さん母さん!」
「原因は……首吊りで自殺未遂、か。うん、男くん。君のお陰で死ぬ事は免れたよ」
男「本当ですか?」
「うん、良かったね」
「……お母さんに会いたい?」
男「うん」
「どうしても?」
男「うん」
「なら、おいで」
男「母さん!母さん!」
母「……」
男「母さん?返事してよ、母さん!」
男(言語、身体障害、か)
男(きっと母さんも……耐えられなかったんだな。今ならよく分かる)
男(……きっと身元捜索で母さんは
保護してくれるだろう。これで俺の保険金が降りれば足りる筈だ)
男(手紙は……書いてきたから誰かしら見てくれるだろう)
男(ロクな事が無かったな、俺の人生……)
男(どうか、生まれ変われるなら。貧乏でもいいから幸せでありますように……)
男(ははっ……何で最期の最期に女の顔が出てくるかな……)
男(空が綺麗だ……溶けてしまいそう)
女「何してるんですか、男さん!」
男「っ?!女?!何を……」
女「あなたがフェンス乗り越えるのを止めようとしてるんです!」
男「っ、やめろ!もう……」
女「死んでしまったら終わりです!」
男「ーーっ」
女「敵ばかりではありません!少なくとも私はあなたの味方です!小さいし生徒会長なのひ頼りないかもしれませんけど少なくとも私はあなたの味方です!」
男「女……」
女「だから生き抜いてください!今は辛くてもいい事がきっとありますから!」
男「っーー」
女「きゃぁ!」
何となくだが「ー」じゃなくて「―」使ってくれ
し、しつけええええええええええ
女「きゃぁ!」
男「……グス……」
女「男さん?泣いてるのですか?」
男「……泣いてねぇよ」
女「……私は何も見てないですし、聞いてません。好きなだけ……泣いてもいいですよ」
男「……うわぁ……うわああああああああああ――!」
男「…………」
女「目が、ウサギさんみたいです」
男「……気のせいだ」
女「こんなにも……溜め込んでいたんですね」
男「…………」
女「もう、溜め込むのはダメですよ?」
男「……あぁ」
女「私が居るので、しっかりと話してください……ね。話せますか?」
男「……あのな――」
>>103 ダッシュになってる?
女「――そうですか……そんな話が」
男「あぁ……分かったか?」
女「そう言えばそのような事件ありましたね……子供心ながら怯えた記憶があります」
男「そうか……」
女「…………」
男「……何で抱きつく?」
女「いえ、温めてあげようかと……」
男「暑いから」
女「……惚れますか?」
男「いきなりなんだ……脈絡が分からない」
女「傷心で傷ついてる青年の元に慰めに入った女の子ですよ?少しくらい……」
男「無いから」
女「……っち」
男「お前、本当性格悪いよな」
女「……実は男さんと初めて会った日に私は一目惚れしています」
男「……はっ?」
女「一目惚れです。聞こえましたか?」
男「いや、そんなそぶり一切見えなかったんだが……」
女「結構、積極的だったと思いませんか?心配だからと言ってバイト先まで着いてきたり……」
男「……もしかして弁当の話も……」
女「そうです。分かりませんでしたか?」
男「わかんねぇよ……」
男「……ありがとうな」
女「何がですか?」
男「女のお陰で生きる気力得られた」
女「そうですか。それなら私も嬉しいです……ん」
男「何だそれは?」
女「え、そこは抱きしめて優しくキスじゃないんですか?」
男「ないから」
女「チッ」
女「――え、お母様喋れないのですか?」
男「あぁ、後は体もロクに動かせない」
女「……そうですか」
男「まぁ、お前に話しても……」
女「お母様を私の家に連れてきてください」
男「はっ?いや、そこまで……」
女「いいから、連れてきてください」
男「……でっけぇ」
女「私の家です」
男「……そんな事知らなかったぞ」
女「聞かれませんでしたし」
男「……もしかして丁寧な物腰は……」
女「そういう教育されてきましたから」
男「……」
女「惚けてないで早く入ってください」
男「あ、あぁ……」
女「良かったですね、男さん。お母様病院に入れてくれるようで」
男「本当だ……お前の親父さんには感謝するよ」
女「いえいえー」
男「俺の家系の事を聞かれた時は……ひやっとしたがな」
女「うちの父はそう言う事は気にしませんから」
男「あぁ。それに助けられたよ」
女「明日は……学校に来てくれますか?」
男「……善処する」
女「来ないと首締めますよ」
男「……」
女「今すぐ締めます」
男「ちょっ、やめろ!」
女「冗談ですよー……男さんまた明日」
男「あぁ、じゃあな」
う、うるせええええええ
女「男さん、聞きたい事があるのですが……」
男「ん?何?」
女「いつもあなたにつっかかる人なのですが、その方は……」
男「その方は……?」
女「その……遺族の方なのですか?」
男「いや、違う筈だ。そもそも引っ越してるから……」
女「そんな話きいてませんよ?」
男「聞かれなかったから話さなかった」
女「話してもくださいよ……」
男「すまん」
女「でも……」
男「ん?」
女「言っちゃあれなんですけど……たかが殺人事件の事を関係無い人が引っ張りますか?」
男「……確かにそうだな」
女「まだこの学校にいるんじやないのですか?恨みを持ってる人が……」
男「…………なるほどな」
女「一度被害者一覧を調べてみてはどうですか?」
男「……探してみるよ」
女「分かりました。私の方も何か手を打ちます」
男「助かるよ」
男「女、家に有ったリスト持ってきたぞ」
女「あ、はい。私も色々と調べてきました」
男「どうする?あまり学校で話すような事ではないが……」
女「私の家にきてください」
男「分かった」
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