このSSは"美希「センスがないからアイドルやめます」"という前編があります。
このSSはいわゆる地の文が大半を有しています。
このSSは起承転結さえあやふやなものです。
このSSはプロデューサーが主人公です。
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千早「どうぞ歌ってくださいと、話しかけてきた」
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千早は弟が死ぬのを目の前で見ていた。
千早と共にあった命は一瞬で消えてしまう。
そこに千早本人の罪は一切ない。事実だけが十年近く千早を絞めつけていた。
仲間。
否定したがる人はいるかもしれないが、千早を救ったのは紛れもなく765プロの仲間だ。
彼女たちの勇気、想い、結束が千早の歌と思い出を溶かした。
プロデューサーでありながら俺が千早にしてやれたことはほとんどない。
約束のステージの前、頭を下げる千早に対して俺は無力だと感じていた。
代わりという訳でもないが、俺は千早に最高のステージを用意しようとした。
フェス、クリスマス、そして二回目のオールスターライブと……イギリス行き。
正直に言ってしまうと、俺にとって千早は重荷だった。
新人のプロデューサーには扱いきれない代物。
ひたすら仕事を与えることで千早との差を埋めようとしていた俺に千早が心の奥底に抱えていた思いを汲み取ることなどできるはずがない。
「美希、起きろ。着いたぞ」
「ん……あふぅ……」
俺はこれから千早に会う。
そして判断しなければならない。
ハリウッドで研修を受けた俺が今の千早をプロデュースできるほどになっているのか――
「アメリカから、よく来てくれた」
「お久しぶりです。急な訪問で申し訳ありません」
「いいや、ちょうど良い時期だよ」
イギリスの芸能活動をマネジメントしているチャップマン氏と握手を交わす。
「ちょうどいい?」
「チハヤは今、二回目のホームシックにかかっている」
困っている風でもなく彼は続けた。
「ホームシックは二回ある。一度目は故郷への寂しさから。二度目は凱旋のためにだ」
チャップマン氏は言っているのだ。
千早のイギリス入りは大成功だと。
「私にチハヤを預けてくれてありがとう。彼女は私の最高の生徒だ」
「……こちらこそ、ありがとうございます」
それから氏は美希のアメリカの成功を讃えてから、俺たちをスタジオに案内してくれた。
「君たちが来ることはチハヤには内緒にしてあるんだ」
「千早さんに会うのも一年ぶりだから、すっごい楽しみなの」
美希は楽しそうだが、俺は緊張している。
俺は既に千早を手放すことを決めていたのだから。
千早は既にこの会社から1枚アルバムを出しており、トップ10入りしている。
アイドルではなく、歌手として。
ドレスを纏い、洒落た雰囲気を漂わせていた。
歌手として成長した千早を前に俺はどんな顔をすればいいのだろうか。
葛藤している間にスタジオのドアは開き、千早と再会した。
千早はミキサールームからアクリル越しに歌っている。
マイクを通して調整された声が心地良く響き渡り、歌う表情はアップテンポの局長ピッタリに笑っている。
一年半ぶりに見る千早は少し背が高く見えた。
澄みきった川のように流れる歌詞は、あなたと並んで歩く、それが待ち遠しくて仕方ない、と聴こえた。
ちょうど1テイク終わったようで、千早が一息つき、こちらを向いて目が合った。
千早の目から涙が零れた。
あの頃の俺たちの知らない、晴れた泣き顔でドアを開け、
「プロデューサー!」
俺の胸に飛び込んできた。
「すみません、プロデューサー。あれ以来、自分でも涙が止められなくなってしまって……」
涸れるまで泣いて、止んだかと思ったらまた泣き出して……美希を見てまた泣いて、途中、喉が涸れるといけないから水を飲んで、また泣いた。
それから、スタジオの面々を紹介してくれた。
どこかサロンを思わせるスタジオ内は柔らかな風格を漂わせていて、千早でさえ小さな子供のように見えてくる。
「ポール。素晴らしいピアニストなんです」
最後に握手を交わした彼は、俺の二つ年下だった。
伊織や貴音に通じる悠然と張った肩肘、金の糸で編んだような指先、平均年齢が40を超えるサロンでもまた別格と言える雰囲気をもっている。
「あなたのことはいつも聞かされています」
「千早からですか? 随分と話が膨らんでいるようですけど」
「えぇ、ジョン・レノンでも来るのかと思っていました」
「それは申し訳ない」
「いいえ、彼女が信頼するに足る人だということは、一目見てわかりました」
その後、美希と千早。チャップマン氏を交えて夕食に出かけた。
主題は当然、千早と美希の活躍だったが、俺の興味はポールにあった。
「彼の困ったところは、ステージに立つことを頑なに拒むことなんだよ」
氏はスープからすくった豆を見つめてため息を吐く。
「たしかにステージ嫌いのアーティストは多くいる。しかし彼のそれは度が過ぎている。どんなに小さな場所でも依頼を受けようとはしないんだ。彼が演奏するのはあのスタジオの中だけだ」
美希はしきりに千早に話しかけている。
「どんな場所でも、ですか……?」
「あぁ、ギャラリーが一人でもいれば、弾かない。私たちは仲間として聴くことができる反面、彼のピアノが発表できないことをいつも苦々しく思っている」
「極端な話ですね。どんな人間嫌いでも、作品を発表したい気持ちはあるはずです。音楽家なら、生の演奏を聴いてほしいはずです」
「彼は人間嫌いではない」
「えぇ、それはわかります」
「だからこそ、不思議なんですね」
不意に千早が口を挟んだ。
いつの間にか、美希もこちらの話を真剣に聞いている。
「ポールからは強い意志を私は感じます。演奏を聴けばプロデューサーにもわかるはずです」
「だけど、俺が聴かせてもらえるかな」
「それは、ポール次第だからね」
「ハニーならきっと大丈夫なの。ミキも聴きたいって思うな」
期待は膨らんでいく。
「――申し訳ない」
翌日、スタジオで聞いたのは謝罪の言葉だった。
期待が大きかっただけに残念だった。
はじめ、ポールは演奏を快諾してくれたのだ。
チャップマン氏と千早の催促も不要だったのだが、ピアノの前に座り、いざ鍵盤に指を伸ばした瞬間、彼は硬直してしまった。
石のように動かないポールは数秒後には脂汗を滲ませ、ちらりと俺のほうを見ると、立ちあがって先の謝罪を口にした。
「ポール、大丈夫? すごい汗……」
千早がハンカチを出す。
「もう大丈夫だ、やっぱり治らないね」
「……病気だったの?」
「恥ずかしい話だけど、あがり症なんだ。隠し通したかったけど」
「あがり症? そんなの……」
「わかるだろう、尋常じゃないんだ」
びっしょりと光を反射する彼は手のひらを見せた。
「ボクだって聴いてもらいたかった」
結局その日は千早のレコーディングを見るだけとなった。
千早は現在2枚目のアルバムを企画中で、収録は今月中にも終わる予定だ。
その発表と同時にイギリスでのラストライブを開催、俺たちは帰国する。
それまでおれはイギリスのレコーディングをたっぷり勉強させてもらうことにした。
気になることもある。
あの時、ポールは嘘をついた。
弾けないのは事実だが、決してあがり症ではない。
彼ははっきりと俺を見た。俺と千早を見た。
「ハニー、千早さんのことで悩んでるでしょ?」
夕食、運ばれてきたステーキを切り分けていると、美希が話しかけてきた。
「千早さんはこっちにいるべきだとか、そんなコト」
「悩むほどのことじゃあないよ」
「ホント?」
「千早はどこに行っても成功する。イギリスに残っても、日本に帰ってもいい。いっそのこと違う国に行っても……」
なぜか美希は不満そうに視線をはずしてステーキを口に含んでいる。
「千早さんも、ハニーと一緒がいいって思ってるはずだよ」
「でも、少し千早に接するやり方……というか、スタンスは変えようと思う」
「どんな?」
「最終的な判断は全て千早がするようにする」
仕事の選択、レッスンの時間、歌についての考え方――千早は多くの意見を俺に求め、俺の答えに従っていた。
千早はもう十八になる。その頃には選択しないといけない
アイドルを続けるか否か――
今のままだと選択を迫った時、間違いなく千早は言う。
「プロデューサーはどちらが良いと思いますか?」と――
出会ったばかりの千早なら歌手と即答するはずだが、今はアイドルを続けても良いとも考えている。
柔らかさを得た代わりに、氷のような意志を失った。
それは失わず、併せ持つべきものでなければならない。
再会した千早に俺はそう感じた。
「音大に進んでもいいな」
「オンダイ?」
「音楽中心の大学だ。のだめカンタービレとか」
「あ、ミキのだめちゃん好きなの。いいなー、ミキも行きたい」
「ミキも進路ことは考えておけよ。ただでさえ高校も休学しているんだから」
「んー……だったらミキの将来は決まってるもん」
「なんだ?」
「ハニーのお嫁さん」
「……」
いったいいつまではぐらかしあうのだろうか。
翌日、俺はチャップマン氏から連絡をもらい、ポールが自分の家に来てほしいという伝言を受けとって日当たりの良い住宅街を歩いている。
ぐずる美希を千早に預け、着いたポールの住所は他より一等広い邸宅だった。
インターフォンから名前を告げると、出てきたのは立派な白髭の執事で目の前の大きな家ではなく、庭はずれの小屋に案内された。
「旦那様は家でピアノをお弾きになられる時は、地下に行かれます」
「旦那様、ということは……」
「えぇ、昨年お父上がお亡くなりになられまして……」
「そうですか、失礼しました」
「いえ……こちらです」
階段を降りきったところに扉。
執事はまた階段を上り始めた。
「あなたは?」
「私は入室を許可されていませんので」
足音が消えるのを待って扉を開けた。
中は意外と広い。チャップマン氏のスタジオブースと同じくらいはある。
机とソファ、何枚か散らかっているのは楽譜だろう。腐った卵の臭いがする。
「やぁ、よく来てくれたね」
「いや、こちらこそ。わざわざ呼んでもらって」
「さぁ中へ。ワインでも開けようか」
「え、いや……まだ仕事があるから……」
ポロシャツにパンツというラフな格好からか、あけっぴろげな態度のポールに戸惑いつつも中に入っていく。
「昨夜、テレビは見たかい? いや、そもそもボートに興味はあったかな?」
「い、いや、ない訳ではないが……」
「父は興味薄かったが、私はささやかながらケンブリッジのレースにスポンサーとして名を上げていてね。そうだな、賭けをしようか。まだ季節には遠いが……なに、君はアメリカから来たのだ、オックスフォードに賭ければよい。そもそもだな、テムズ川のボートとは――」
こちらの話を聞いているのか疑わしくなるほど口やかましくワインを注いではまくしたてる。
それにしても、スタジオの彼が仕事の顔だとしても、変化が大きい。
何より、顔と意識はこちらにあるのに、目は俺を見ていなかった。
「ところで、何か用だったっけ?」
「……君が曲を聴かせてくれると聞いたんだけれど」
「そうか、じゃあ聴かせよう。どれだったかな、これかな。名前は何だっけ? ちょっと探してくれないか?」
彼はおどけているのだろうか。
背を向けて鼻歌まじりに楽譜を集めている。
俺は足元の楽譜をいくつか手に取り、その中に自分の名前があるのを見て驚いた。
「これじゃないか?」
「それか? あぁそれか。君か」
あれは本当に俺への曲なのだろうか。
人への曲に五十番目の悪夢などと名づけるだろうか。
ポールがピアノの前に座り、俺はどこか腰を落ち着ける場所を探し、傍らのチェストに千早を飾った写真立てを見つけた時、演奏は始まった。
穏やかな眠りのような導入、と思った途端、彼は荒々しく鍵盤を叩きだした。
旋律は緻密、リズムも精確。背筋は垂直で、手だけが駄々をこねる子供のように振り下ろされている。
たびたび訪れる静かな眠りに洪水のような恐怖がまた襲い掛かり、ピアノ一つとは思えない音符の羅列が鼓膜を支配する。
これは鳥籠だろうか?
だんだんと視野が狭まり、捉えられなくなった側面に死に神が立っているような緊張感。
死に神が刃をそっと俺の喉にあてがい、血の気が引いて頬に痺れを覚えた刹那――
ガンッ!!
「!?」
一番の強打が鍵盤を弾いた。
あの一撃が死に神を打ち倒し、俺を悪夢から解放したのだ。
旋律は再び穏やかになり、安心した俺は少しだけふらつき、チェストに手を置いた。
カシャン――
プラスチックの音に視線を引かれ、俺は戦慄に瞠目した。
彼の生活にはドラッグがあった。
「チハヤには言わないくれ……」
演奏を終えた彼を問い詰めると、最初に言った言葉がそれだった。
今は薬が抜けた喪失感でおとなしくなっている。
どうやら昨夜未明のあたりに打って、ずっとそのままだったらしい。
アメリカでもドラッグをやっている人はいたが、今ほど強い怒りを覚えはしなかった。
「千早に会う君はどっちだったんだ?」
「知っている人はいないと思う……少なくともチハヤは……うぐっ!」
俺は胸倉を掴んでポールを壁に押し付けていた。
「千早に会う時、ドラッグを使っていたかどうかを聞いているんだ……!」
「使っていない……! 使わなくてよかったんだ……!」
解放すると、恐ろしく小さな声でうわごとのように語りだした。
ドラッグは16の時から。
音楽的に伸び悩んでいた時、友人に勧められてというお決まりのパターン。
父親は楽器流通の会社を経営していたが、病気で亡くなり、家を継いだポールは会社を人に譲って父親の友人であり恩師でもあるチャップマン氏のスタジオに入った。
そして、千早に逢った。
「外を歩くにはドラッグを抜かなければならないボクは、外では死体のようだった。今のボクが外を歩けるのはチハヤがいるからなんだ……それを……」
俺が奪おうとしている。
「チハヤがいるからボクはまだ生きていられるのに、君が連れて行く。チハヤと君がいる。それだけでこの全身は震えて止まらないんだ。いいだろう? 君にはあのハニーと呼んでくれる子だっているんだ。日本に帰ればまだいるんだろう。チハヤが言っていた。チハヤはさみしそうだったんだ。チハヤは一人だったんだ。チハヤはボクが支えたんだ。チハヤはボクを助けて……う、うぅ、げぇっ! うぇ! おご、うぅ……! うぐぅ、うぅ……」
呟き、しがみつき、えずいて、千早の写真を握りしめてのたうちまわる。
その様子は舞台で見たグレゴール・ザムザそっくりだった。
たった三日で人間の見方はここまで変わってしまう。
あの時の千早もそうだったのだろう。
だとしたら、彼の痛みは彼自身で乗り越えなければならない。
「ポール」
彼は泣いていた。千早の前で泣いていた。
「君がやらなければならないのは、まずドラッグを絶つことだ。そのために君は俺を呼んだのだろう?」
「明日、もう一度訪ねてきてほしい」
そう言われて俺は屋敷を後にした。
スタジオに行き、千早のラストライブに美希を出すことを承知した。
「プロデューサー、ポールのピアノは聴けましたか?」
「あぁ、衝撃を受けた」
「ふふ、そうですね。なぜあれほどの才能をもっとみんなに聴いてもらおうと思わないんでしょう……」
「千早は、とにかく私の歌を聴いてくれって噛みついていったものな」
「そんな……噛みつくだなんて、私は……」
照れて赤くなる千早。
ポールはもう千早に会わない。
そうすれば、ほぼ確実に千早は日本に変えることを選ぶだろう。
「プロデューサー」
まるで罠に自ら嵌まるように千早が訊ねてきた。
「私が日本に戻ったら、また一緒に仕事をしてくれますか?」
俺は考えていたことを全て千早に打ち明けた。
「千早が音楽で生きていきたいなら、俺や律子の仕事も勉強していったほうがいい」
「プロデューサーのようになんて、私にできるとは思えないです……」
「自分の面倒くらいは、自分で見られるようになってくれよ」
「そういえば、萩原さんが最近、律子や音無さんの仕事を手伝うようになったと、美希が……」
「そうだな、雪歩はあんな馬鹿だった頃の俺の言うことをよく聞いていたな」
自分を変えることの難しさは今の俺が痛感している。
「私には、まだプロデューサーが必要です」
千早の言葉を借りないと変われないんだからな。
「もう少しだけ、あなたに甘えさせてください……」
千早のプロデューサーを続けよう。
イギリスに来て四日目。
俺は再度ポールの屋敷を訪ねた。
「旦那様から、これをお渡しするようにと」
入り口の門で執事から封筒を受け取った。
千早宛て。右手に当たる硬くて薄いものはCDケースだと思う。
「旦那様は、昨夜私にだけ話をしてくださいました」
老執事は声を震わせて自分の手を握った。
「二十数年、誰よりも旦那様を見てきたと思いあがっておりました。そのお気持ちに気付くことができなかった」
「……ポールはきっと、隠しごとが得意だったんです」
千早と俺に遭って、ポールはついに隠すことができなくなってしまった。
それほど千早は大きな存在になってしまった。
「プロデューサーとして、自分はこれを千早よりも先に確認しなければなりません。承知してもらえますか?」
まさかポルノが入っている訳でもあるまいが。
「承知しておられると思います」
「伝えてください。必ず、また会いに来ると」
次はあの大きな屋敷に入れてもらいたいと思う。
「――私は、男性運が悪いのかもしれません」
高さ二十センチしか段差のないステージ下がわずかにざわついた。
美希の発案により、イギリスでのラストライブは二部構成となった。
一部を通常の予定通り行い、急きょ取り付けた二部はチャップマン氏の知る店で日本人限定となっている。
スタッフも可能な限り日本人もしくは日本語を話せる人を集めたので、歌詞からMC、テーブルの会話までほとんど日本語となった。
「弟の、優のことがあって、こちらに呼んだ父は言い訳ばかり並べた手紙をぎりぎりになって送ってくるし、男性向けの仕事柄、似合いもしない水着やカエルの着ぐるみなんかも着せられたりしました」
元々千早はMCを長くとらない。
たいてい歌った後に「ありがとうございました」とだけ言って、時間が欲しい時に次の曲の説明をするぐらいだ。
「このイギリスで、ようやくまともな人と会えたと思っていました。音楽に真剣に向き合って、素晴らしい曲を作る人です」
ここにはデビュー当時からのファンも来ている。
ライブで大騒ぎしている彼らだが、アイドルが男の話をしているのに、失望もなく聞いてくれている。
「ちょうど一ヶ月前、消息を絶ちました。必要なことだったのだと思います。たった一曲だけを残して、それきりとなりました」
千早からそう見えるように説明したのは俺だ。
真実をそのまま伝える必要はないと思った。
「この一曲には詞がついていました。作詞をしたのは生まれて初めてだそうです。手にとった時、詞を読んだ時、曲を聴いた時、マイクの前に立った時、楽譜が、詞が、曲が、マイクが、どうぞ歌ってくださいと、話しかけてきました」
千早は微笑み、息を吸うと陰を落とした。
千早は、この曲は失望から這いずり出そうともがく詞だと言った。
「歌います。Reborn」
千早は、歌いますと言った。
終わりです。HTMLだします。
一年前に書いた紙が出てきたので。
AAはないです。
タイトルは掛布です。
最後の千早の曲はsyrup16gのものがイメージです。
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