・ラップへの過剰なまでの想い以外は、原作寄りの八幡
・他のキャラもラッパー化・若干キャラ崩壊します
・現実にいる某有名ヒップホッパーのネタが多々出てきます
・某ヒップホップ映画のパロ要素あり
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420808379
当SSは【八幡「YO!やはり俺のはHIPHOPは間違っている。fuck!!」】の修正版です
前スレ(修正前)
八幡「YO!やはり俺のはHIPHOPは間違っている。fuck!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414002166/)
【ライブハウス】
八幡「」ガクガクガク
ズンチャ、ズンズンチャ、ズンチャ、ズンズン、キュワキュワ!
DQN「hey!何しに来たんだボウヤ!ママとはぐれて迷子かい?」
八幡「」ガクガク
DQN「なんだそのダサいフード!ママに買ってもらったのかい?」
DQN「羨ましいなキミ!俺なんか服は全部自費。マジおれの母ちゃん無慈悲!お前の母ちゃんの心はマジ慈悲!だけどお前の格好まじ地味!!」
八幡(母さんじゃねぇよ…小町に買って貰ったんだよこの服は)ガクガクガク
DQN「YO!名前なんだっけ?YO!そうだ地味(ジミー)!だっけ?足震えてるぜジミー、服に涙がこぼれて染みになるぜキミ!」
DQN「ここはガキの来るところじゃねぇ!マジ似合わねぇ!帰ってオムツの交換してもらえ!ファック!!」q
客「フゥゥゥゥゥ!!!イェェェ!!!」パチパチパチ
司会者「イェー!!最高のショーを有難うDQN!」
司会者「さあ、次は地味(ジミー)の番だぜ!」
司会者「あ、間違えた!次はMr.ボッチ!!お前の番だ!!DJカモン!!」
DJ「イェー」キュキュキュッ
ズンチャ、ズンズンチャ、ズンチャ、ズンズン、キュワキュワ!
八幡「」ガクガクガクガク
八幡「あ……あ……」ボーゼン
小町「お兄ちゃん頑張れ!!」
八幡「」ガクガクガクガク
小町「お兄ちゃん!!」
客1「いまお兄ちゃんとか呼ばれて無かったか?www」
客2「マジかよwwww笑えるわwww」
客3「ガンバー!Mr.ボッチ!!じゃなくてお兄ちゃん!!www」
客全員「wwwww」
八幡「」
八幡(だ、ダメだ…こんな空間で…ラップバトルなんてできるか…)
八幡(に、逃げたい…)ガクガクガク
客1「おい何やってんだよMr.ボッチ!」
DQN「ヘイヘイカモン!!」
八幡(カモンじゃねぇよ、お前日本人だろ。ちゃんと日本語で話せ)ガクガクガク
客2「おい!やる気ないなら帰れよ!」ポイッ
八幡「痛…」ガンッ
司会者「へいへい、落ち着いてくれみんな。ステージと人にゴミを投げちゃダメだ(棒)」
八幡(なんでそんなに棒読みで注意してんだよ…)ガクガクガク
客3「おい金払ってんだぜ!しっかりやれよ!!」ポイッ
八幡「ひぃ……」ガクガク
司会者(客が荒れ出したら止まらんからな。ガラ悪いの多いし)
客全員「帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!!」ポイポイ
八幡「すいません。俺帰ります」ボソッ
司会者「あ、ちょっ。Oh…残念だ。勝者はDQN!!」
【ライブハウス前】
小町「だいじょうぶお兄ちゃん?」チョンチョン
八幡「痛たた…消毒が染みる」
小町「ごめんねお兄ちゃん。小町がお兄ちゃんの修行のためラップバトルに参加させたけど…」
八幡「お前は悪くない。気にするな小町」
小町「………」
八幡「つーか、本当にイヤなら強引に断ることだって出来た。でもしなかった」
小町「お兄ちゃん…」
八幡「もう治療は充分だ。さ、帰ろうぜ」
客1「あ、Mr.ボッチだ」
客2「妹に手当てしてもらって良かったなwww」
客3「つーかあの娘可愛くね?ナンパしようぜ」
八幡「」ブチッ
八幡「あ“!?テメエら如きにウチの妹をやるか。ぶっ殺すぞロリコンどもが」q
客1~3「……ああ“!?」ガタッ
八幡(ヤッバ。声に出しちまった…何たる失態…)サー
八幡「小町全力で逃げるぞ」ガシッ
小町「え、ちょ、何もお姫様だっこしなくても…//」
客1~3「まてやコラ!!」
八幡「ひぃぃぃ…!!」ダダダッ
【家】
八幡「はあはあ…火事場の馬鹿力で何とか逃げ切った」
小町「もう、あんな恐そうな人達相手にしなきゃ良いじゃん」
八幡「すまんついカッとなって」
八幡「でもあのままだったら、今頃お前は奴らにナンパされてただろうが」
小町「……そのシスコン根性。ラップバトルに生かせないかね~」
八幡「無理だよ。俺なんかじゃ」
小町「……」
八幡「じゃ、おやすみ」
小町「お兄ちゃん、さっきは…そのありがとう」
八幡「気にすんな」
小町(余計なおせっかいで、お兄ちゃんを悲しませちゃった…)
小町「……」ブルッ
小町「トイレいこ…」テクテク
YO!YO!
小町「ん?洗面所から声が…」
八幡「あ……小町」
小町「うん。流石に見慣れたよ」
八幡「俺もなんか開き直った。お前の前では」
小町「へへへ、最初見た時はビックリしたけどね」
八幡「でも、もうこれで最後だ」
八幡「もうヒップホップは終わりだ。封印する。おれの中のスリム・シェイディは…いや厨二病は、完全に封印だ」
小町「……」
八幡「大好きだった彼のCDもDVDも、ダンボールに入れて押入れに封印した。もうヒップホップも二度と聞かない」
八幡「おやすみ小町」
小町「お兄ちゃん…」
~半年前~
八幡(高校に入学して半年…やっぱり俺はボッチだった)
八幡「はぁぁ…良い事ねぇな…」
小町「お兄ちゃん、まだ起きてたの?」
八幡「これから深夜アニメみるんだよ」
小町「ふーん、でも夜更かしは体に毒だよ。あ、今の小町的にポイント高い!」
八幡「はいはい高い高い」
八幡(まだ始まらないし、BSチャンネルで何か見てるか…)ピッ
『今夜はコチラの洋楽アーティストを紹介します』
八幡「……洋楽か。あの風貌からラッパーか?」
『今夜はエミネムの「Lose Yourself」をお送りします。どうぞ』
小町「あ…エミネムだ!小町も聞いてから寝ようかな!」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24930480
八幡「」
小町「あ、そろそろお目当ての深夜アニメ始まるんじゃない?」
八幡「」
小町「あれ、お兄ちゃん。どうしたの?」
八幡「」
小町「お~い」
八幡「小町、エミネムのCD持ってるのか?」
小町「持ってるけど?」
八幡「……」ウデクム
小町「どうしたの?もう始まっちゃうよ」
八幡「……よし、明日買い物にいこう」
小町「え?」
八幡「アニメは録画すれば良い。今夜は早く寝て朝一でお店に行く」
小町「??」
――――
小町「お兄ちゃん、そんなに買ったらお目当ての本買えなくなるんじゃ」
八幡「新刊は来月にでも買えば良い」ドサッ
店員「以上で宜しいでしょうか?」
八幡「はい」
小町「CDとDVDなら小町が持ってるのに。そんなにいっぱい」
八幡「俺専用のが欲しいんだよ」
小町「」
八幡「さあ、帰るぞ」
八幡「……」カチカチッ
『お兄ちゃ~んご飯だよ~』
八幡「ネットサーフィンなう」
『早く来てね』
八幡「……」カチッ
八幡「初めてエミネムの姿をテレビで見た時、俺は何かを感じた」
八幡「その『違和感』を感じながら、彼の歌う曲に衝撃を受け崇拝に至った」
八幡「『違和感』の正体を知るために、色々調べてみたが…」
八幡「エミネム…本名はマーシャル・ブルース・マザーズ3世…」
八幡「その半生は実に不遇な生い立ちだった。俺が歩んできたボッチ人生とは比較にならないほど」
八幡「俺が初めて彼を見た時の『違和感』の正体がわかった…そういう事だったのか」
八幡「………」
八幡「夢も希望も厨二病も…全部、中学時代で捨ててきたのに…なんだよ、この胸のざわつき」
八幡「青春なんて悪じゃないか……なのに何だよ、この恋焦がれる気持ちに似た思い…」
八幡「……」
八幡「俺も……なれないかな……」
八幡「エミネムみたいに」
【1ヵ月後】
小町「あの買い物を終えてからお兄ちゃん、益々引きこもり気味なっちゃったな~」
YO!YO!
小町「ん、声が?」
~~~!~~~!!
小町「お兄ちゃん…部屋で何やってるんだろ?」コソソ
カチャッ…
小町「お兄ちゃん…鏡の目の前で何やってるんだろう…?」ソロリッ
八幡「hey…YO!今日も死んでるお前の目。お前の歩んできた人生、物語っているぜその目。お前の青春マジ孤独。周りのみんなは俺をほっておく。オレは真性ボッチ」
八幡「対人会話?自己主張?それなんてナンセンス。ボッチには会話不要。か弱いオレ妹と親から扶養。俺に彼女なんて不要。厨二病も必要ない不要。オレは専業主夫希望。だからコミュ力なんて不用!」
八幡「もう勘違いで女子を好きにはなる事など無い。人生の色合いはまさに灰。痛々しいコスプレあの時に完全封印。青春への希望などとっくに封印」
八幡「だが本能には逆らえない。俺マジか弱い。理性の化け物(笑)比企谷八幡は今日で終了。始めるぜラップの修業」
八幡「厨二病解禁。理性は退勤。新たなる生命の誕生。俺の中に眠っていたスリム・シェイディ参上!」
八幡「解放されしオレのラップ。情熱解き放ちヒートアップ」
八幡「見かけ倒しの奴らとは違う。黒人ギャングの物真似してるダサい不良とは違う。ラップを盾にしたチャラチャラしたクソリア充共とも違う。奴らは偽物。俺こそ本物」
八幡「そうさオレは比企谷八幡。孤高で孤独のヒップホッパー、たった一人のMr.ボッチ!」凸凸
八幡「イェア」ドヤッ
小町「」
八幡「はぁはぁはぁ…」
八幡(なんだ…この高揚感…)
八幡(これがラップ…)
八幡「ん?」チラッ
小町「」
八幡「」
小町「お、お、お兄ちゃん…」
八幡「」
小町「え、えーと…今日も良い天気ですね~」
八幡「」
小町「そ、それじゃね~」タタッ
八幡「」
八幡「oh…」orz
【翌日】
八幡「ああ、昨日のはアレだ。比企谷八幡の黒歴史がまた更新されたって奴だ」
八幡「ははは…今更何をそんなに気に病んでるんだ。中学の時、女子に惚れられてると勘違いして、大恥を書いたのと比べればなんて事ない。クールになれ、オレ」
八幡「ははは、ははは」
八幡「……はぁ」ガクッ
ズンズン、ドッドッド、キュキュキュ!
八幡「ん?この音は…」テクテク
ズンズン、ドッドッド、キュキュキュ!
八幡「小町の部屋から…?」テクテク
八幡「小町、入るぞ?」
小町「いいよお兄ちゃん!」
ガチャッ
小町「チェケラッ!イェイ!」ススッ
ズンズン、ドッドッド、キュキュキュ!
八幡「小町…そ、それはまさか…」
小町「YO!今は小町じゃない……DJ・リトルタウンだよ!」
八幡「」
リトルタウン「YO!YO!イェイ!」キュキュキュ
八幡「直訳しただけじゃねぇか。あと可愛い」
リトルタウン「YO!こま…リトルタウン的にポイント最高にHighだよ!」キュキュキュッ
八幡「こまt…いや、リトルタウン。いつターンテーブル買ったんだ?それにレコードも沢山あるじゃねぇか」
リトルタウン「ん~去年くらい?パパ…いやダディーに頼んだらアッサリ買ってもらったよ」
八幡「マジかよダディー。なんて妹に甘い。つーかなぜ言い直したし」
リトルタウン「カッコいいじゃん。ダディー」
八幡「よくわからん。で、なぜ今までマトモにいじってなかった?」
リトルタウン「小町…じゃなくてリトルタウンの周りにヒップホップ好きがいなくて。あと、三日坊主?」
八幡「どうせ後者の理由が8割だろ。後、いちいち言い直さんで良い」
リトルタウン「余計な事は言わない!ファックだよお兄ちゃん!」凸
八幡「………」
リトルタウン「………」
リトルタウン「ねぇお兄ちゃん。昨日のアレ、正直ドン引きだったよ」
八幡「布団に包まってくる」クルッ
リトルタウン「ちょ、ちょっと待って!でも、でもね…お兄ちゃん。こm、リトルタウンね、またDJ頑張ろうって思ったんだ」
リトルタウン「お兄ちゃんの気持ち悪いラップのおかげで」
八幡「………」
リトルタウン「お兄ちゃん、私と一緒にユニット組まない?」
八幡「なん…だと…」
リトルタウン「私も本格的にヒップホップやりたい!でも周りにラップ好きな人がいなくて…」
八幡「小町、勘違いするな。アレは俺の気の迷いだ。ただの一過性だ。いやただの黒歴史だ」
リトルタウン「お兄ちゃんはエミネムに憧れてるでしょ?」
八幡「憧れてるが、ああ成りたいとは一言も言ってない」
リトルタウン「じゃあ、もし成れるならなりたい?スーパースターに」
八幡「なる気ない」
リトルタウン「もしかしたらモテるかもよ」
八幡「別にモテたいとか思ってねーし」
リトルタウン「リア充になれるかもよ」
八幡「別になる気ない」
リトルタウン「もう強がっちゃって」
八幡「とにかく俺はやらないからな」
リトルタウン「はぁぁ~カッコいいお兄ちゃんだけが頼りなのに…あ、今のこm…リトルタウン的にポイント高い!」
八幡「………」
八幡「………はぁぁ、わーったよ。わかった。可愛い妹の頼みって事で」
八幡「ユニット組むことに了承得る」
【2カ月後】
八幡(あれから毎日、俺と小町は家やスタジオで特訓に明け暮れた)
八幡(互いにスキルをある程度まで高めた…そんなある日だった)
~~~
小町「ねぇ!そろそろライブやらない?」
八幡「は?」
小町「小町もだいぶスキルを上げたし…そろそろ、人前で披露しても良いと思うんだけど」
八幡「えーーやだーーー」
小町「なんでイヤなの?」
八幡「人前で歌うとか無理だし。公開処刑も良いとこだろ」
小町「だから人前でも恥ずかしい物にならないように、スキルを磨いてきたんじゃん!」
八幡「え?ただの自己満の為にヒップホップやってたんじゃ…」
小町「うわぁぁぁ……ゴミぃちゃん。それないわー」
八幡「何だよ。間違ったこと言ったか?」
小町「間違いだらけだよ!小町言ったじゃん!頑張ればリア充に成れるかもって!」
八幡「……ああ、そういえば言ってたな。忘れてたわ。でもリア充になんかなる気ねぇよ」
小町「と・に・か・く!ライブやるからねゴミ!!」
八幡「せめてゴミの後に、お兄ちゃんと言ってくれ。お兄ちゃん悲しい」
小町「まあゴミぃちゃんがいきなり人前で歌うのなんて、無理だって分かってるよ」
小町「だから、修行をしようよお兄ちゃん!」
八幡「修行?」
小町「うん。ライブハウスとかクラブハウスで…」
小町「ラップバトルをやるんだよ!!」
八幡「」
八幡「なん…だと…」
【数日後・休日】
小町「お兄ちゃん!衣装買って来たよ!」
八幡「……なあ小町。俺にこんなダボダボな服を着ろってのか?お兄ちゃんマジで困惑してるんだが」
小町「やっぱりラッパーはこうじゃないと」
八幡「こんな服はガラじゃない。あ、小町は似合ってるぞ可愛い」
小町「ガラとかそんなの気にしなくていいよ!お兄ちゃんはこれから一人前のラッパーになる為に修行するんだから」
八幡「はぁぁぁ……つーかこういう服って結構高いだろ?財布大丈夫か」
小町「ああ、それね。安物だから大丈夫!」
小町「丁度安くて良い物があったんだ。この黒のパーカーお兄ちゃんに似合いそうって思って。ジーンズもブカブカなの買って来ちゃった」
八幡「………まあ、せっかく買ってもらったし着るけどさ」
小町「さあ!早く着替えてライブハウス行くよ!」
八幡(なるべく顔が見えないように、フードを深く被ろう)ガサッ
小町「あ!なんか怪しいラッパーっぽい!」
八幡「怪しいは余計だ」
八幡(はぁぁ~行きたくねぇ~怖ぇぇよ……)グスッ
【回想終了・現在】
八幡「……」
八幡「所詮、無理なんだよ」
八幡「俺がスーパースターに?バカ言え」
八幡「確かにエミネムも昔はボッチだった。そして俺よりも惨めだった」
八幡「でも才能がケタ違いだ。そして血の滲む努力をした。なによりカリスマ性が違う。単なる最下層ド底辺じゃなかった。一気にスターになれる素質があったんだ」
八幡「音楽に限った話じゃない。スポーツでも何でもそうだ。例え惨めなボッチでも稀にいるんだよ。飛びぬけた天才が」
八幡「天才の上に、人の二倍も三倍も努力してる。そして内に秘めたカリスマまで兼ね備えてる」
八幡「俺は天才でもないし、努力も足りないし、カリスマもない」
八幡「ネクラでただの惨めなボッチ。夢も希望もない」
八幡「俺じゃエミネムみたいには成れないんだよ…」
八幡「ま、リア充なんて、中学生時代で諦めたし。友達も彼女もいらん」
八幡「だからスーパスターにもなる気ない。面倒くさそうだしスターって」
八幡「ヒップホップも、俺の厨二病…スリム・シェイディも封印だ。もう必要ない」
八幡「もう黒歴史はうんざりだ。ただのボッチに戻ろう…」
八幡「………………」
八幡(なんでこんなに、動揺してんだ俺は…)プルプルプル
【ある日の深夜・就寝中】
八幡「……」
八幡(聴きたい。ヒップホップ…聴きたい)
八幡(歌いたい…)
八幡(いや、ダメだ…もう止めたハズじゃないか)
八幡(オレはボッチでいたいんだ。平穏でいたいんだ)
八幡(自己満足でのラップすら封印したじゃないか…何を今更、求めてるんだ)
八幡(………?)
八幡(ヒップホップで…オレは一体、何を求めて…?)
――素直になっちまえよ
八幡「!?」
――歌って楽しんでみたいんだろ?
八幡「だ、だれだ!?」
八幡「………」
八幡「何だったんだ」
八幡「寝よ…」
【時が経ち・2年生に進級後】
八幡(ラップ禁断症状が出始めてしばらくして、オレは二年に進級)
八幡(そして平塚先生に説教を受けた後、俺は訳のわからん所へ連れてかれる)
八幡(チクショー…こんな目にあうんだったら、書いたあのレポート、ラップ調に書いて、もっとディスっとけば良かった)
八幡(はぁぁ……ま、今はそれよりも)
雪乃「………」ペラッ
八幡(この状況どうにかせんと)
八幡(俺に限ってラブコメ展開なんてありえんからな。こんなハニートラップ染みた物に騙されないぞ)
八幡(……ヒップホップだってそうさ、もう騙されんぞ)
八幡(ここは挨拶代わりに…)
八幡(ファック!と言えば良いか?それともビッチ!とでも言えば良いか…いや、流石にそれは酷すぎるか?)
八幡(だがどうせ俺の敵なわけだし、中指でも立てとくか?親指を下構えるか?)
雪乃「突っ立ってないで座ったらどうなの?」
八幡「あ、ひゃい」ストッ
八幡(はぁぁ…なんだろう。ヒップホップを聞かなくなってもう半年経つのに、なんでラッパーが言いそうなワードばかり浮かぶんだ)
八幡(まだ未練が?ばか言え…俺はもう…)
~~~
雪乃「ようこそ奉仕部へ。歓迎するわ」
八幡(うるせーファック)
雪乃「アナタの問題を矯正してあげる。感謝なさい」
八幡(シャラーップ、ビッチ)
八幡(……って、なんでまたこんな汚いワードが頭の中に!!)プルプルプル
雪乃「ねぇ、聞いてるのかしら?」
八幡「………ファック」
雪乃「は?」
八幡「よ。おまえ、なにもわかって無い。おれは、国語の学年3位で2人除いて敵などない。顔はマジで、ガチで、イケメンで、人間関係は、除けば俺は、マジで、ガチで、高スペックだぜ」カタカタカタ
雪乃「よくもまあそんなこと自分で言えるわね。ある意味凄いわ」
雪乃「変な人ね。もはや気持ち悪いわ」
雪乃「それと、そのぎこちない口調は何?本当は自信がないのに無理して虚勢張ってるのかしら?」
八幡「………」プルプルプル
八幡(チクショー…何なんだよ。雪ノ下から言われてる事も、腹立つけど…)
八幡(それ以上に、何か、何かが噴火しそうだ。内側から、何かが)
雪乃「私が見たところ、どうやらアナタが一人ぼっちなのは、その捻くれた感性と腐った根性が原因ね」
八幡「………」プルプルプル
雪乃「あら、少々言い過ぎてしまったかしら。ごめんなさい。でも私、嘘は付きたくないの」
~省略~
雪乃「さて、私のような女の子と会話できたら大抵の人間とは会話できるはずよ。少しは更正できたんじゃないかしら?」
八幡「お、俺は会話が出来ないわけじゃない。む、むむ、無駄話が嫌いなだけだ。更正なんて…必要ない…」プルプルプル
雪乃「アナタは更正しないと社会的にマズイと思うのだけれど」
八幡(ラップがしたい…歌いたい…イヤだめだ…)
平塚「雪ノ下~邪魔するぞ」
雪乃「ノックしてください」
平塚「まぁ良いじゃないか。それより比企谷の更正に手間取ってるみたいだな」
雪乃「本人が問題を自覚してないせいです」
八幡「か、かかか、変わるだの、変われだの…他人に、お、おれの事、語られたく…ねぇよ」プルプルプル
八幡(震えが止まらん…久しぶりに家族以外とマトモに話したからか?いや…そうじゃない…)プルプルプル
雪乃「アナタのは逃げじゃない」
八幡「か、変わるって事も逃げだろ…どうして今の自分を肯定してやれないんだよ…」プルプルプル
八幡(ラップやってた頃の…俺はもういない。封印した)
雪乃「それじゃ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」
八幡「っ!!!!」
八幡「はぁはぁはぁ…」ダラダラダラダラ
平塚「……?どうした比企谷、息が荒いぞ。それに凄い汗だ」
雪乃「先生、やはりこの男から下卑た視線を感じます」
八幡「はぁはぁはぁはぁ…!」ガクガクガク
平塚「おい大丈夫か、保健室へ行くか?」
八幡(ふざけるな…邪気眼でも発動する訳じゃあるまいし…)ガクガクガク
八幡「や、やめてくれ…」
雪乃・平塚「…?」
八幡「ぜぇぜぇ……スリム・シェイディはエミネム自身だ。俺の中には無い」
雪乃・平塚「は?」
八幡「厨二病は封印したはずだ、頼む消えてくれ」
八幡「はぁはぁはぁはぁはぁ…!」
八幡「消えろ!似非シェィディ!死ね!偽物シェイディ!!ファック!」クワッ
雪乃・平塚「」
八幡「はぁはぁはぁ…!」ガクガクガク
雪乃「先生…彼は精神科に行ったほうが良いのでは」
平塚「比企谷すまん。私も同じ事考えた」
八幡(ふざけるな!これじゃ材木座と変わらないじゃないか!!)
八幡「俺は…俺は…」
――さあ行け
八幡(声が…聞こえる…)
――解放しろ
八幡「もう我慢…できない…」ボソッ
平塚「……比企谷の自己保身は良い意味で理解してたつもり何だがな。まさか雪ノ下に発情してるとわ」パキポキ
雪乃「……」
――感情を解き放て
八幡「」プッツン
八幡「YO」ユラリ
雪乃・平塚「ん?」
八幡「YO、YO」スーッ
平塚「……?どうした片腕をあげて」
八幡「YO、YO」
八幡(振り上げた手を、ピストルの様に構え、そのまま手首を曲げる)ミブリテブリ
八幡(体を左右、前後に揺らし、リズムを刻む)
八幡(空いてるもう片方の手で拳を作り、口元まで持っていく)
八幡「レッツ、ショータイム」
八幡(どうか足よ震えないでくれ、音楽で我を失うんだ)
八幡「Hey…yo!聞けミス・アラサー。そしてブルジョア風情の毒舌ファッキンガール」
雪乃・平塚「!?」
八幡「崇拝してるエミネムの名曲『The Real Slim Shady』でも言ってるだろ?誰にも存在するのさスリム・シェイディ」
八幡「俺は比企谷八幡。そして俺のシェイディは…そう!Mr.ボッチ!!イェ!」
Mr.ボッチ「yo!過去のトラウマ!俺を馬鹿にしてた連中にとってはメシウマ!傷ついたオレはシェイディ封じる。でも今日で解禁!いまこそ改心!これからはずっと皆勤!ラップを回帰!お前の目から見ればオレ怪奇!上等だファッキン!」
Mr.ボッチ「オレは歌うぜラップ!テンション上げてくぜアップ!もう二度と去らんラップ!」
Mr.ボッチ「ヒップホップをラッパ飲み!真のラッパーこの千葉じゃ俺のみ!」
Mr.ボッチ「目の前の女は初対面から毒舌お前シャーラップ!聞け!オレのショーラップ!」
Mr.ボッチ「ブルジョアビッチ!下卑た視線を送ってくるとか抜かすがザケんじゃねぇ!お前のぺチャパイなんかに多分興味ねぇ!ファック!」
Mr.ボッチ「オレはヒップホップ心底惚れ込むがお前はちげぇ!お前のヒップなど多分眼中にねぇ!ビッチ!」
Mr.ボッチ「自分変革?そんな物はいらねぇ、一生孤独で充分。俺が変な奴?上等!マイラップあれば充分!陰なるオレ、韻を踏むオレ!」
Mr.ボッチ「情事なリア充になる気は無い。さりとてエミネムの様になる気も無い。オレはボッチ。ただの常時ボッチ。スターには成れないし成る気も無い」
Mr.ボッチ「だが俺は本物!見かけ倒しのリア充はマジ偽物!奴らと俺は違うぜ俺こそ真の本物!リア充爆発しろ。俺の音楽へのスピリット爆発しろ」
Mr.ボッチ「俺は孤高で孤独のヒップホッパー、たった一人のMr.ボッチ!イェア!」凸凸
Mr.ボッチ「覚えておけブルジョアビッチのファッキンガール」q
雪乃・平塚「」
八幡「ぜぇぜぇぜぇ…」
雪乃「………」
八幡(久しぶりのラップ…楽しかった…)
雪乃「………」
八幡(だが)
雪乃「…………」
八幡(おい何か言えよ。何だよこの気まずい空気)
雪乃「比企谷くん」
八幡「ひゃ、ひゃい」
雪乃「気持ち悪いのだけれど」
八幡「」
平塚「比企谷」
八幡「はい?何でしょう」
ズドォォンン
八幡「がはぁぁ!!」
平塚「軽々しく女性の年齢を口にするな」ゴゴゴゴ
八幡「」ガクッ
八幡(こうして奉仕部に入部と同時に、再びヒップホップを再開した俺だった)
【翌日・部室】
八幡「うす」
雪乃「こんにちは。もう来ないかと思ったわ。もしかしてマゾヒスト?」
八幡「ちげぇよ…まあ、思うところあってな。来てやったよ」
雪乃「それじゃストーカー?」
八幡「自意識過剰も程々にしとけブルジョア」凸
雪乃「私は雪ノ下雪乃よ。奇妙なあだ名をつけないでラップ谷君」
~~~~
八幡(その後、俺への罵倒を交えた会話の中、雪ノ下の事に付いて聞かされる)
八幡(雪ノ下本人から暗い過去を聞かされる。主に同姓からの嫉妬、そこから来る嫌がらせが酷かったようだ)
八幡「大変だったな」
雪乃「ええ大変よ。私、可愛いから」
八幡「………」
雪乃「でも仕方ないと思うわ。人は皆完璧ではないから」
雪乃「優秀な人間ほど生き辛いのよこの世界は。おかしいじゃないそんなの」
雪乃「だから変えるのよ、人ごとこの世界を」
八幡「……」
八幡(世の中を生きるのは大変だからな…協調を保つために、時に嘘をついたり誤魔化したりしなければならない)
八幡(けれど雪ノ下は違う。嘘を付かない)
八幡(もしかしたら俺と彼女は…)フラフラ
雪乃「……?」
八幡「YO、YO。ショータイムだぜ。イェイ」ユラユラ
雪乃「またラップ?」
八幡「YO…聞け。俺が今日なぜ部室に来たか?教えてやる」
八幡「単にミス・アラサーに連れて来られた訳じゃない…そう、お前の『昨日くれた言葉』」
八幡「ディスるだけがラップじゃねぇ…YO、YO」
八幡「半年前のショータイム。恐怖で舞台で震えてもう退こう。不良に絡まれ妹担いで逃避行。恐怖で想いが封印されたぜそれ以降。家に帰る俺、すぐさま鏡の前でさよなラップ。新たなるトラウマ悲しみがラッシュ」
八幡「カタツムリみたいに殻に閉じこもる俺。ナメクジに塩、イコール俺。そんな時、ミス・アラサーに呼ばれ職員室の所へ。連行先でブルジョアと出会うココで」
八幡「『それじゃ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない』お前がくれた言葉。忘れられないその言葉その事が。心揺れたよ不覚にも深く。そしてMr.ボッチ復活」
八幡「へェイ!昨日はお互いをディスり、俺は孤独の生き様停止しない事を提示。でもお前には感謝の想いを提示。おかげで、ラップへの想い再び盛期して感情が満ちる生気」
八幡「センキュー、雪ノ下」
八幡「そしてきっと、俺とお前はドコか似ている。嘘、欺瞞、ファックユーベイべー!!」凸
八幡「だからブルジョア、いや雪ノ下!どうか俺と友d」
雪乃「ゴメンなさい。それは無理」
八幡「」
雪乃「無理」
八幡「チェ…チェック…」ガクッ
コンコン
結衣「しつれーしまーす!」
八幡(ショックで項垂れる時間も無く、同じくクラスの由比ヶ浜という女子と出会う)
八幡(……って、同じクラスにこんな奴いたっけ?)
八幡(そして、由比ヶ浜は手作りクッキーを食べて欲しい人がいるようで、俺たちは料理の手伝い、助言をする事になった)
【家庭科室】
由比ヶ浜「それじゃお願いね雪ノ下さん」
雪乃「ええ」
八幡「……」ムズムズ
八幡(あー家に帰って音楽が聴きたい…何でこんな活動しなきゃならないんだ、早く家に帰りたい)
八幡(てか小町にまだヒップホップ復活宣言してないんだよな。早く伝えないと)
~調理後~
八幡「これ、食えるのか?」
雪乃「死なないかしら」
結衣「やっぱり私、才能ないのかな…」
雪乃「解決方法は努力あるのみよ…所であなた、さっき才能ないなんて言ったわよね?」
雪乃「認識を改めなさい。最低限の努力もしない人間に、才能を羨む資格はないわ」
雪乃「周囲に合わせようとするの、止めてくれない?不愉快だわ。自分の不器用さ、無様さ、愚かさを他人に求めるの、恥ずかしくないの?」
八幡「うわぁぁ…ちょ、ちょっと、おい…」
八幡(しかしこの毒舌振り…フリースタイルやらせたら凄そうだな)
結衣「……なんか、カッコいい!」パァァ
八幡・雪乃「!!?」
【雪ノ下の調理後】
八幡「旨っ!これプロ級じゃないか」
八幡(料理まで出来るのか…DJとしてもいけるかな?いや関係ないか)
結衣「美味しい…私と全然違う」
雪乃「どうすれば上手く伝わるかしら…」
八幡「………」
八幡「なんでお前ら美味しいクッキーを作ろうとしてんの?」
結衣・雪乃「え?」
八幡「男心がまるでわかってないな。ビッチのクセに」スーッ
結衣「ビッチ言うなし!てか何でヒッキーは片手を上げてるの!?しかもピストルみたいな構えしてるし!」
八幡「あ」
八幡(いかんいかん、フライングする所だった…抑えろ抑えろ…まだMr.ボッチを発動させちゃダメだ)
八幡「とりあえず10分後、ココへ来てください」
【10分後】
八幡「どうぞ」
結衣・雪乃「不味い…」ゲンナリ
八幡「そっか、残念だ」
結衣「待って、何も捨てなくても…んっ!言うほど不味くないし…」パクッ
八幡「ま、これお前が作ったクッキー何だけどな」
結衣「え?」
雪乃「どう言う事かしら?」
八幡「……」ユラユラ
雪乃「また始まったわ」
結衣「……?」
八幡「聞け。これは、オレの友達の友達の話だ」
八幡「よく話かけてくる女。友達、自分に惚れてるのではと錯覚。問いかける。好きな人はいる?答えはイエス」
八幡「イニシャルH。それ、まさかオレっち?」
八幡「1、2、3、4」
八幡「止めてくれない?まじキモい。冷たい視線、俺の心マジ死線!」
八幡「ネクスト、その友達!茫然に棒立ち!黒板に嫌がらせの落書き!嘲笑の声に膝落とす泣くガキ!惨めな思い湧く泣き!イェイ、晒しの荒らし、曝しの嵐!」
結衣「ヒッ、ヒッキー…さっきから何やってるの!?」
雪乃「今の絶対、自分の経験談ね」
八幡「以上、オレの友達の友達の話、ココからはオレの話。本番。あと黙れブルジョア」
八幡「イッツ、ショータイム…YO、YO!」
八幡「世の男、みな単純で!優しくされりゃ、それりゃもうhappy day!ハートは愚かしいほど純粋で!勘違いな思いが、溢れ返るぜ!」
八幡「手作りクッキー、味は不味くても上等!内気なヒッキー、感謝の想いが心にショット!始めるブレイクタイム!イェ!ラップもキメるぜ!美味しくて最高なマイライム!」
八幡「YO!お前の作るクッキー、揺るがぬ自信持てよ!不味くても良いぜ!お菓子作りに誇りのもつ自身になれよ!貰ったやつはきっと心揺れるぜその心に地震!」
八幡「お前の頑張った姿勢!きっと伝わる至誠!なぜなら想いはきっと真正!」
八幡「男心、きっと揺れるぜ。あとヒッキーって呼ぶな。チェック!」
結衣「」
結衣「えっと…その、ヒッキーってラップとか好きなの」
八幡「好き?ああ好きだ。愛してるね」
結衣「っ!」ドキッ
結衣「そ、そそ、そんな真顔で言わないでよ!バーカ!」
八幡「?」
結衣「でも何か凄く意外だな~」
八幡「まあ否定はしない」
結衣「それより…ありがとね。ヒッキーのおかげで気持ちが固まったかな」
結衣「私、自分なりのやり方で頑張るよ。ありがとねヒッキー、雪ノ下さん」
雪乃「ええ」
【後日・部室にて】
雪乃「この間の由比ヶ浜さんの件だけど、やっぱり自分を極限まで高める努力をすべきだと思うわ」
八幡「まあそれも正論だな。努力は自分を裏切らない、でも夢を裏切る時はある」
八幡「夢が絶対叶うとは限らん。むしろ叶わない事の方が多い。でも頑張った事実があれば慰めにもなる」
雪乃「ただの自己満足じゃない。甘いのね気持ち悪い」
八幡「……………………」
八幡「YO、YO」ミブリテブリ
八幡「オレのヒップホップだって所詮は自己満。ラップだけなら常に真剣な八幡。それでもダメなら受け入れ上等だぜ覚えとけそこのウーマン。人生は何事も揃えるのが難しいぜ役満、そんな世に疑問覚えるぜ欺瞞、それでも人生頑張って送るヤツ世に百万」ミブリテブリ
雪乃「喋らないで、気持ち悪いわ」
八幡「みんなダメになって、世界中がスラム街みたいになれば解決だな」
雪乃「アナタの思想が流行れば地球は滅亡するわね…」
コンコン
結衣「やっはろー!」ガチャッ
八幡「また来たぞアイツ」
八幡(その後、由比ヶ浜は雪ノ下にベッタリで、雪ノ下も満更でもなさそうだったとさ。めでたしめでt…じゃないな、キマシタキマシタ)
八幡「さて、んじゃ帰るわ」
結衣「あ、ヒッキー!」ヒョイッ
八幡「あん?お、これは」
結衣「い、いい、一応お礼だからね!ヒッキーも手伝ってくれたし…」
八幡「お、おう。サンキュ」
結衣「あと…ヒッキーの好きなもの、知れてよかった」
八幡「そうか」
結衣「こ、今度さ!おススメのCD貸してよね!」
八幡「ああ、また今度な」
結衣「うん!じゃあね!」
八幡「さて…食うか…」パクッ
八幡「うぇぇ…なんてクレイジーな味なんだ…」
【自宅】
小町「えぇぇ!?お兄ちゃんまたヒップホップ再開するの!?」
八幡「ああ。本気だ」
小町「やったああ!!お兄ちゃん大好き!!あ、今の小町的にポイント高い!」ギュッ
八幡「所でお前はターンテーブルの方はずっと続けてたんだっけ?」ポンポン
小町「うん!お兄ちゃんがヒップホップ封印してからも続けてたから、スキルアップしてるよ!」ミブリテブリ
八幡「そうか。オレも早くスキルを取り戻さないとな」ミブリテブリ
小町「それじゃ明日からまた帰ってきたら、すぐに特訓だね!」凸
八幡「ああ…それがな小町」凸
八幡「お兄ちゃん、部活に入ったんだ」
小町「!?」
小町「奉仕部?どうしてそんなガラにも合わなさそうな部に入ったの?」
八幡「無理やり入らせられたんだよ。そういう訳だから、帰りが少しだけ遅くなるからな」
小町「何ていうかファック!って感じだねお兄ちゃん!」q
八幡「全くだ」p
小町「んで、いつラップバトルやるの?」
八幡「っ!そ、そそ、それは、あれだ。もうちょっと心の準備が出来てからで」ギクッ
小町「ふ~ん…ま、良いけど。あれだけの事が合ったわけだし」
八幡「ほっ……」
小町「とりあえずお兄ちゃんには、リハビリ期間として数ヶ月もうけます!」
八幡「なんだそれ、曖昧な」
小町「目安的には秋あたりまでかな」
八幡「秋か。時がたったらオレは再びトラウマの土地へ赴くのか」
八幡(それまでには、より多くの人前でラップが歌えるようにならないとな…)
八幡(ラップスキルってよりかは、純粋な根性が試されるな)
八幡(はぁぁ…怖ぇよ。大勢の人前でラップとかマジ怖ぇよ…)ガクガク
【教室・昼食にて】
三浦「結衣、最近付き合い悪くない?」
結衣「えと…止むに止まれぬ私事で恐縮ですというか…」
三浦「それじゃ分かんないから、ちゃんと言ってよ?」
結衣「ごめん…」
三浦「だーかーらー!ごめんじゃなくって、言いたい事あんでしょ?」
結衣「……」
八幡「……」
八幡(ふん。身内同士でつぶし合え)
八幡(……と思ったけど、知り合いの女子が目の前で泣きそうに成ってると、胃がキュルキュルして飯が不味くなる。キュルキュル音立てるのはレコードだけで良い)
八幡(それに攻撃されるポジションは俺の役目、由比ヶ浜じゃない)ミブリテブリ
八幡「おい、その辺で」ガタッ
三浦「うっさい」ゴゴゴゴ
八幡「」
八幡「そ、その辺で、飲み物でも買ってこようかな~」ガクガク
八幡(怖ぇぇ…あーしさんめっちゃ怖ぇぇよ…マジで泣いちゃうよ俺が…)ガクガク
三浦「結衣の為に言うけどさ、そういうハッキリしない態度、イラッと来るんだよね」
結衣「……」
八幡「……」
――それで良いのか?
八幡「!?」
――また勝負から逃げるのか
八幡「ま、また声が…?」
――おいおい、とぼけちゃダメだぜ。分かってるハズだ
八幡「……」
――オレは、もう一人のお前、そして影…Mr.ボッチだ
八幡「…っ」
――良いか?チャンスは逃しちゃダメだ
――お前が決めたことなら、何だって出来るぞ
――ここで立ち上がらなきゃ、また去年のライブハウスの二の舞だ
八幡「去年の…ライブハウス…」
~~~
おい!やる気ないなら帰れよ!
おい金払ってんだぜ!しっかりやれよ!!
帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!!
~~~
八幡「………」
――さあ準備は出来たか?時間だ。オレと意識を一つにしろ、そうじゃなきゃ闘えないぜ
――オレとお前が一つになる瞬間だ。行くぞ
八幡「」ビクンッ
八幡「………」
雪乃(由比ヶ浜さん…来るのが遅いと思ったらトラブルに巻き込まれてたのね)
雪乃(さっきは比企谷くんが、由比ヶ浜さんを庇っていたようだけどダメだったようね)
雪乃(それなら私が…)
八幡「……」フラフラ
雪乃「ん?比企谷くん…?」
八幡「……」フラフラ
結衣「え、あれ…ヒッキー…?」
三浦「なに?あーしがさっき言ったこと忘れたの?」ギロッ
雪乃(比企谷くん…あなた、まさか)
八幡「……」スーッ
三浦「なんで手を挙げてんの?ウザいんだけど」ギロッ
八幡「YO、YO」
結衣「え、ヒッキー…もしかして…」
雪乃(しょ、正気なの…!?)
八幡「軽視、無視、嘲笑。Yo…俺のこれまでの青春。マジ灰色」
三浦「はぁ?」
八幡「YO!俺は孤独のジョーカー、Mr.ボッチ!」
三浦「キモッ」
八幡「YO!YO!そこのビッチとは最近知り合いなった訳だが、ビッチを見殺しにする訳にもいけねぇよな!」
八幡「クイーンのせいで、にっちもさっちも行かねぇよ!テメエのせいで、ビッチはアッチにも行けねぇよ! YO!自覚しろ、有害な女王!」
三浦「ねぇ、うっさい」ギロッ
八幡「ボッチなオレ、集団の中でラップを刻めば、それはきっと嘲笑!続くはきっと中傷!内心きっと苦笑!でも負けないで続けるぜラップショー!決めてやるぜ楽勝!止まらねぇアクション!」
三浦「うっさい!!」バンッ!
クラスメイト全員「ひっ」ビクッ
八幡「俺の人生マジ、ベリーハード!孤独こそ俺の人生論理です!そんなオレはロンリネス!」ミブリテブリ
男子1(何でアイツ怯まないんだよ…)
八幡「殻に閉じこもりたいぜ!外に出ると心が痛いぜ!集団行動は苦手!おれの理想郷は引き篭って身勝手!そんな俺はマジ引き篭りヒッキー!」q
三浦「うっry」
八幡「Yo!それでもマイラップ、今ココで舞いラッシュ、キメるぜ。いざ参るぜ!マイスピリット舞いるぜ!」
八幡「ボッチライフ、自虐ネタに誇りを持つぜ!刻むぜ。感謝しろクソリア充共。ファック!」凸
八幡「ヘイ!覚悟は良いかい?女王!いや金髪クソビッチ…Yo!こっからが本番だ!ショータイム!」ミブリテブリ
三浦「」
三浦(なに、何なのコイツ…)
八幡「俺はジョーカー、孤独の道化!俺とお前の権力の差、まさにカースト上下!だけど見せ付けてやるぜラップショー!」ミブリテブリ
八幡「Yo!所で何だよその髪型!オシャレよりまず勉強しろ、やり直せ文字の書き方!んでその髪型、工事現場で使うドリル?いかれてるぜ!威張り散らす前に、小学生からやり直せ漢字ドリル!」
八幡「よおドリル!お前の髪型マジでスパイラル!今日はお前、負へのスパイラル!俺の目は、腐へのスパイラル!お前、仲間を縛って、権威を奮う!だがジョーカー負けじとラップで戦意を振るう!」
八幡「俺はラップで猛威ふるジョーカー!お前をディスりその権威を消化!」
八幡「融通も聞かない、器なきクイーン!でも自らのどんな行動でも、お前はきっと悔いん!焼きもち妬いたお前の心は、マジ嫉妬!お前にビビった俺、一度は椅子にsit(座る)!」
八幡「だが逃げる訳には行かねぇ!逃げたらライブハウスの二の舞!だから俺は闘う、そんな俺は獅子舞!お前、俺のラップに斬られて死の舞!」
八幡「仲間も思いやれねぇ女王!空気も読めず切れる低脳!ガハマさんは悲しむぜ『オーノー!』、タチが悪いぜ女王!でもこのラップ攻撃は止まないぜ衝動!」
八幡「彼女の約束!醜き嫉妬で権利を焼く即!器が小さい女王の役得!そんなお前をラップで切るのが俺の役職!」
八幡「テメェはジョーカー以下、口先だけの金髪クソビッチ!女王じゃねぇ!悔しかったらラップを武器に闘ってみろ!」
八幡「ファック!!」q
雪乃「」
クラスメイト全員「」
三浦「」
八幡「ぜぇぜぇ…」
三浦「」
八幡「さあ、次はお前の番だ」
三浦「え、え、ええ?」
八幡「片手にマイクを持った思いで、ありったけの想いで、ラップしてみろよ」
三浦「な、何…何なのアンタ…」ブルブル
八幡「……」
三浦「うっ…うぅ…」ウルウル
八幡「え」
三浦「何よ…ヒキオのクセに…」グスグス
三浦「あーしの事をビッチとか、髪型が工事に使うドリルみたいなとか…能無しとか、思いやりの無い女とか、器が小さいとか」ボロボロ
三浦「あーし…そんな酷い女じゃないし…」グスッ
八幡「」
八幡(え、えええ…三浦さん、一体どうしちゃったんですか?アナタ、そんな打たれ弱い子じゃないでしょ?なんで?どうして?いつもの気迫はドコへ?)
三浦「ひっく…うぅ…えっぐ…ぅぅ…」グスッ
ヒソヒソ、ヒソヒソ
八幡(これ完全にオレが悪役じゃん)
男子1「すげぇアイツ…『獄炎の女王』を泣かしやがった…」
男子2「でもさ、ぶっちゃけキモくねアイツ?いつも一人だしさ」
男子1「確かに。つか誰アイツ?あんなのクラスにいた?」
女子1「何アレ、キモ」
女子2「あんなクラスに浮いてるのがラップやっても滑稽だよね」
女子3「つーかここでラップやること自体キモイ」
八幡「」
八幡(まあ…そうなるよな。ははは、分かってたよ)
八幡(ははは…ははは…)
八幡(はぁ…言いたい事を言って、あの三浦を相手に泣かしたのに、なんだ、この敗北感、変な罪悪感…)
八幡(しょせんオレがラップやっても、良い事なんて無いんだな…自己満足位しか)
八幡「はぁぁ…」
戸部「ブラボー!!!!」パチパチ
八幡「は?」
クラスメイト全員「!?」
戸部「マジッパネェ!!ヒキタニ君ッパネェ!」ガシッ
八幡「肩を掴むな」
戸部「なになに?ヒキタニくんって!ラップとか好きなの?マジ意外だわ!」バシバシ
八幡「な、なな、慣れ慣れしくすんなよ。つーか肩をを叩くな」キョドッ
戸部「YO!決めたぜ!オレとヒキタニ君は今日からブラザーだイェイ!」
八幡「おい、勝手に決めるな」
戸部「YO!YO!ノッていこうぜブラザー!!イェイ!イェイ!」ミブリテブリ
クラスメイト全員「」ポカーン
結衣「」
三浦「戸部っち…あーしが泣いてる時何?バカ騒ぎして、酷いんだけど…ありえないし…」グスグス
戸部「まあまあ!優美子は気が強いんだし?大丈夫大丈夫!元気だしてこうぜ!」ポンポン
三浦「うぅ…戸部っちのバカ…」グスグス
葉山「ヒ、ヒキタニくん…まあその、優美子もキツく良い過ぎだけど、ヒキタニくんもさ?」
八幡(まあ確かに泣かしたのは想定外だが)
八幡「まあキツく良い過ぎたわ。悪い」
三浦「う、うっさい…」グスグス
葉山(しかしあのヒキタニくんがまさかラップが好きだとは…)
ゾロゾロ、ゾロゾロ
八幡(みんな、揃いも揃って教室から出て行く)
八幡(オレもいくか)テクテク
うわぁ…ラップ野朗だ
キモッ
ヒソヒソ、ヒソヒソ
八幡「……ふん」
結衣「ヒッキー」
八幡「由比ヶ浜…」
結衣「さっきは優美子に、ちょっと言い過ぎだったけど…でもありがとう。嬉しかった///」
八幡「お、おう」ドキッ
~~~
結衣「あのね…優美子」
三浦「……」
八幡(オレが教室を抜け出して間も無く、由比ヶ浜は三浦と何か話をする)
八幡(内容は簡潔に言うと、自分は本音を言うのが苦手で、周りと合わせてばかりだった事を伝えている。そして本音を言えるオレや雪ノ下の事を話してた)
八幡(……オレの罵倒を少々付け加えた後、なんとか三浦と和解した様だ)
結衣「盗み聞きだ!キモい!ストーカー!変態!え、えと…あとキモい!信じられない!マジでキモい!いや…もう、ほんとキモ過ぎだから!」
八幡「少しは遠慮しろよ」ガクッ
結衣「今更遠慮するわけ無いでしょ。誰のせいだと思ってんの!バカ!」ベー
タタタッ
八幡「……」
八幡「おい、待てよ由比ヶ浜」
結衣「ほぇ?なに、急いでんだけど」
八幡「……CD、持ってきたぞ」
結衣「え?」
八幡「前に言ってたじゃねぇか。おススメのヒップホップのCD貸してくれって」
結衣「あ……」
八幡「ほら」ススッ
結衣「うん…ありがとう!」パシッ
【数日後・ホームルーム前の教室】
戸部「YO!YO!おはYO!兄弟!」ミブリテブリ
八幡「……」
八幡(ここ数日、戸部はこんな感じよく絡んでくる)
八幡(朝っぱからウゼェ…眠いのによ)
戸部「どうしたんだYO!ブラザー!元気が無いぜ!」ガシッ
八幡「肩を組むな…慣れなれしい…」
戸部「もっとノッて行こうぜ!」ミブリテブリ
八幡「はぁぁ…」
結衣「……」ススッ
八幡「おう」
戸部「OH!結衣じゃん!」
結衣「やっはろー。戸部っちにヒッキー」
結衣「これ、CD返すね」ススッ
八幡「おう」パシッ
結衣「……」フラフラ
八幡「……?」
結衣「よ!よ!」
戸部「お、まさか結衣も!?」
八幡「え?」
結衣「よ!よ!」ミブリテブリ
結衣「ヒッキー!マジヒッキー!今日もキモくてドン引っきー!ヒッキー!今日も殻に閉じこもってヒッキー!ヒッキー!そんな今日もマジヒッキー!」
八幡「」
結衣「ヒッキー!でもそんなキモいヒッキーが!私、大好…っあわわわ!!///な、な、なんでも無いなんでも無い!!」バシバシ!
八幡「痛!痛い!痛ぇよ!!カバンで叩くな!!」
結衣「もう!ヒッキーがいけないんだから!」プンプン
八幡「訳が分からないよ」
結衣「えへへへへ…わたしもね、ハマっちゃった。ヒップホップ」
八幡「おお!マジか!」ガタッ
結衣「え、え、うん!」ビクッ
八幡「そっか…お前もエミネムの素晴らしさに気付いたか…」
結衣「今度はエミネム以外のも貸してよ!」
八幡「そうだな…今度はドクター・ドレーのCDでも持ってきてやる」
戸部「良いね良いね!俺もドレー好きだぜ!イェイ!」
八幡(かくして俺はクラスの連中に嫌われる様になったが、代わりに共通の趣味を持つ仲間(?)が増えた。まあ戸部はぶっちゃけウザいけど)
八幡(由比ヶ浜はまだリズムカルに歌えてないけど…声質は良いからな。本気でやればこれから伸びるな)
八幡「んで、特にどの曲が好きなんだ?」
結衣「んーとね、いっぱいあったけど、個人的には『Stan』って曲が一番気に入ってるかな!」
八幡「ああやっぱりか…まあ良い曲だけどな」
八幡(歌詞はちょっぴり怖いけど)
結衣「あとは『FacK』って曲。なんか曲調が変だけど面白くて好きかな!」
八幡「マジかよ。お前、やっぱマジで真性ビッチだわ。まあオレもアレは好きだけど」
結衣「はぁぁ!?なんでそうなるの意味わかんない!ヒッキーマジキモい!」プンプン
八幡「歌詞の意味を知ったら分かるよ」
結衣「……?」キョトン
【放課後・部室前】
結衣「ねぇねぇヒッキー!」
八幡「あ、何だ?」
結衣「奉仕部のメンバーでヒップホップをグループを作ろう!」
八幡「奉仕部の面子で?」
結衣「うん!」
八幡「それなら諦めろ。オレはもう妹とユニット組んでるんだ」
結衣「え、ええ~!あの妹さんと!?」
八幡(『あの』…?なんでオレが妹いること知ってるんだ)
結衣「でも…それなら!私もメンバーに入れさせてよ!」
八幡「マジかよ。面倒だな…オレは妹と二人っきりでやりたかったのに」
結衣「うわぁぁ…シスコンだ…」ヒキッ
八幡「まあそのウチ、妹に話し付けておくから。妹の了承を得てからな」
結衣「やったーー!イェイ!」
八幡「でも、アイツはどうなんだろうな」
結衣「え、ゆきのん?勿論誘うよ!」
八幡「いや…そういう意味じゃなくて」
結衣「?」
八幡(雪ノ下はDJとかやらせたら凄そうだけど小町がもうDJだし…MCだと語彙は凄そうだけど、ノリがあまり良くなさそう…)
八幡(いや、それ以前に…アイツの場合…)
雪乃「残念だけど私はお断りさせて頂くわ」ススッ
結衣「あ、ゆきのん…」
八幡「まあ予想通りの答えだな」
結衣「ゆきのん!ヒッキーから借りたCDの曲をiPodに入れたから、一緒にヒップホップ聴こうよ!絶対好きになるよ!」
雪乃「随分と自信があるのね。でもごめんなさい」
八幡「由比ヶ浜、諦めろ」
結衣「えーー!なんでなんでー!」プクッ
雪乃「ヒップホップの存在は否定しないわ。あれも一つの表現法であり文化。歌ってる人達の事も否定しない…でもね」
雪乃「私はヒップホップのあの曲調が好きになれない。と言うよりも嫌いなの」
八幡「やっぱりか」
結衣「そ、そそ…そんなの!ちゃんと聞いてみれば!気が変わるよ!私だって前まで、あんまり興味なかったもん!ヒッキーも何か言ってやってよ!」
八幡「まあオレも初めは、あまり良いイメージ無かったからなヒップホップに」
結衣「ほらほら!ヒッキーですらこんな事言うんだよ!?一緒にヒップホップやろうよ!」
雪乃「……ごめんなさい、比企谷くんは考えが逆転したようだけど…やはり私は好きになれそうに無いわ」
結衣「ゆきのん…良いもん!絶対、私は諦めないからね!」
八幡「諦めないのかよ…もうほっといてやれよ…」
結衣「所でユニット名は何ていうの?」
八幡「……BL」
結衣「び、BL!?それって、たしか姫菜とかが好きそうなヤツ?」
八幡「違う。『ボッチ&リトルタウン』の略だ。まあお前が正式加入したら改名を余儀なくされるがな」
雪乃「ややこしい名前ね」
八幡「小町がこの名前の方が『覚えてもらいやすい』と言ってきてな。仕方なく」
八幡「因みにリトルタウンは、妹の小町のステージネームな」
結衣「じゃああたしは?」
八幡「お前はまだ正式メンバーじゃないだろ」
結衣「付けてよあたしにもステージネーム!」
八幡「んじゃビッチ。MCビッチ」
結衣「はぁ!?ちゃんと考えてよバカ!死ね!キモい!」凸
八幡「中指立てるな。不満なら自分で考えろ」
結衣「それならサブレが良い!私の犬の名前だけど…」
八幡「つまらん名前だ。『サブレビッチ』ってのはどうだ?」
結衣「だから何でビッチを付けるし!」プンプン
八幡「ばっかお前、よく外国人で『○○○○ビッチ』って名前があるだろ?サブレビッチなら何の違和感も無い」
結衣「そっか、それなら良いや!サブレビッチで!」
雪乃「由比ヶ浜さん…アナタ、それで良いの…?」
【小町の部屋】
キュッキュッ!キュワキュワ!
リトルタウン「YO、お兄ちゃん!特訓の時間だYO!」ススッ
Mr.ボッチ「オーケー、今日もスキルを磨くぜイェイ」ミブリテブリ
Mr.ボッチ「……だがその前に聞きたいことが」
リトルタウン「ホワット?」
Mr.ボッチ「なんでお前の部屋に、ギターにベース、電子ドラム、キーボードがあるんだ」
Mr.ボッチ「まあギターは元々ウチにあったけど」
Mr.ボッチ「まさかヒップホップは飽きて、バンドでもやるのか?それともミクスチャー系でもやるのか?」
リトルタウン「ノーノー。まあミクスチャーもありだけどね。でも違うよ」
リトルタウン「オリジナルの曲を作るためだよ!」
Mr.ボッチ「ん?ヒップホップは既存の曲…つまり既に作られた曲をサンプリング(編集)して曲を披露するのが基本だろ」
リトルタウン「甘いよお兄ちゃん!既存の曲だけじゃなくて、オリジナリティを貫くグループだっているんだよ!」
リトルタウン「……まあぶっちゃけるとさ、著作権の問題とかで、作曲者とかにお金を支払わなきゃいけない訳だし。お給料を減らされるのイヤじゃん?」
Mr.ボッチ「マイシスター。黒い、黒いぞ」
Mr.ボッチ「……ん?ちょっと待て」
リトルタウン「なに?」
Mr.ボッチ「お給料を減らされるってどういう意味だ」
リトルタウン「決まってるじゃん」
リトルタウン「リトルタウンとお兄ちゃんが、プロになったときの話だよ」
Mr.ボッチ「マイラブリーシスター…俺はいつ、プロを目指すなんて言った?」
リトルタウン「これはリトルタウンが決めた事です!お兄ちゃんに拒否権はありません!」
Mr.ボッチ「俺はライブやることなら約束したが、プロに成る気はねぇぞ」
リトルタウン「だ~め!絶対お兄ちゃんはプロになるんだよ!」
リトルタウン「安心して!リトルタウンがお兄ちゃんを最強のラッパーに育てて見せるから!『Mr.ボッチは私が育てた』ってね!」
Mr.ボッチ「お前は星野監督か」
リトルタウン「まーそういう訳だから、死ぬ気で頑張ろうね!」
Mr.ボッチ「やだよ自己満足で良い。つーか俺は目立たずに穏やかに暮らしたい」
リトルタウン「はぁぁ…これだからゴミは」q
Mr.ボッチ「ゴミのあとにお兄ちゃんを付けてくれ。悲しいんだけど」p
リトルタウン「……」
Mr.ボッチ「何だよ急に黙って」
リトルタウン「リトルタウンね、悔しいんだ」
Mr.ボッチ「何が」
リトルタウン「お兄ちゃんがボッチな現状について」
リトルタウン「リトルタウンは知ってるよ?お兄ちゃんはネクラで捻くれてるけど、本当は誰よりも心優しい人なんだって」
リトルタウン「それなのに内気な性格ってだけで、周りの人達はおにいちゃんをバカにしたり、無視したり、相手にしようとしなかったり…」
リトルタウン「お兄ちゃんはこんなにも優しいのに…リトルタウンは悔しいよ」
リトルタウン「お兄ちゃんはもっと評価されるべきだよ!せめて人並みにって…ずっとそう思ってた」
Mr.ボッチ「マイシスター…」
リトルタウン「そんな時に、お兄ちゃんはヒップホップに出会った。しかも想像以上にヒップホップに惚れこんじゃった」
リトルタウン「私もヒップホップは好き。だからお兄ちゃんとプロのラッパーになって…」
リトルタウン「是が非でも!!お兄ちゃんの存在をみんなに認めてもらいたい!」
リトルタウン「それがリトルタウンの夢で、願いかな」ダキッ
Mr.ボッチ「リトルタウン…」ギュッ
Mr.ボッチ「リトルタウン…ありがとう」
Mr.ボッチ「でも良いんだ。お兄ちゃんは孤独が好きだし、ぶっちゃけ集団行動は嫌いだし。周りからどう思われようが構わん」
Mr.ボッチ「だから俺は…」
リトルタウン「あーそういうのいいからー(棒)」
Mr.ボッチ「おいさっきの感動を返せ」
リトルタウン「とにかく!私と一緒に高みを目指すよ!」
リトルタウン「そのためにお兄ちゃんにはリリックを書いて欲しいなぁ」
Mr.ボッチ「リリック…か。所で既存の曲を使わないのか?」
リトルタウン「勿論使うよ。でもそれとは別に、いずれオリジナルのトラックを一からリトルタウンが作る!」
リトルタウン「そのオリジナル曲を披露する時の為に、今のうちリリックを書きまくって欲しいの」
リトルタウン「お兄ちゃん国語得意だし…お願い!」
Mr.ボッチ「……」
Mr.ボッチ「はぁぁ。分かったよ」
Mr.ボッチ「可愛い妹の頼みだ。承諾する」
リトルタウン「やったー!お兄ちゃん大好き!あ、リトルタウン的にポイントハイだよ!」
Mr.ボッチ「まあリリックはいくらでも書いてやるけど、お前…大丈夫か?」
リトルタウン「え、何が?」
Mr.ボッチ「ギター、ベース、電子ドラム、キーボード…しかもターンテーブルもある」
Mr.ボッチ「これらの楽器、覚えるのは相当苦労するぞ」
リトルタウン「全てはお兄ちゃんの為だから」
Mr.ボッチ「愛してるよ小町」
リトルタウン「今はDJリトルタウンだよ!MC・ミスターボッチ!」ススッ
キュワキュワ!キュキュキュ!
Mr.ボッチ「おおっと、そうだったスマン」
Mr.ボッチ「所でリトルタウン、楽器は誰に買ってもらったんだ?」
リトルタウン「勿論ダディーだよ」
Mr.ボッチ「ダディー…」
Mr.ボッチ(しかし小町もDJとしての腕はかなりの物に成ってきたが、他の楽器は大丈夫か?)
Mr.ボッチ(周りにもし、ピアノとかギターとか弾けるやつがいたら、そいつに講師を頼めるのにな…)
Mr.ボッチ(ま、ボッチの俺にそんな人脈は築けないけどな!)
【数日後】
八幡(あれから数日後、材木座が部室に訪れた)
八幡(雪ノ下からの猛烈な酷評を喰らった材木座は、オレにトドメを刺される)
材木座「」チーン
八幡(ラップで評価してやろうかと思ったが、もはやそれすら起きん)
材木座「……また、読んでくれるか?」
八幡「あんだけ言われてお前…」
材木座「確かに酷評された。だが、それでも嬉しかったのだ」
材木座「自分で書いたものを誰かに読んでもらえて、感想を言ってもらえると言うのは良い物だ」
材木座「さらばだ!また新作が出来たら持って来る!」
材木座「……ってそういえば八幡よ。最近、ラップにはまったと言うのは本当か?」
八幡「厳密には去年からな。なんでそれを知ってるんだ」
材木座「いや実は…学年でも随分噂になってるぞ八幡よ?2年F組に比企谷と言う気持ち悪いラッパーがいるとな!」
八幡「ま、まじかよ…もう学年中に広まりつつあるのかよ…」orz
雪乃「あら良かったじゃない、アナタの存在価値が認められて。キモ谷くん」
八幡「フォロー仕切れてねぇし」
材木座「しかし八幡よ。お主は我と同じオタクであるにも関らず、また随分とリア充や不良共が聴いてそうな音楽にはまった物だな」
八幡「お前ほどガチオタじゃねぇよ。まあヒップホップが似合わないって思うことに関しちゃ否定はしない」
八幡「おれ自身も、なんでラップにはまったのか未だに不思議な位だ」
材木座「ふむ…では、ポエムとかも創ったりしてるのか」
八幡「ポエムって表現は止めてくれ…なんか痛々しい中学時代を思い出す」
結衣「え、ヒッキーってポエムを書いてるの!?」
八幡「だからその表現はやめろ…リリックなら、ちょくちょく書いてる」
結衣「わぁぁすご~い!!あたし文才とか無いし、憧れるな~」パァァ
八幡「そ、そうか?絶対、引くやつの方が多いんだけどな…変わってるな…」ドキッ
雪乃「リリックを書くと言う事は、いつかはオリジナルの曲を作ると言う事かしら?」
八幡「まあな。妹が曲をサンプリングするって言ってたからな、俺はリリックを作ることにした」
結衣「見せてよ見せてよ!」
八幡「はぁ?や、やだよ…」
結衣「えー!!けちー!!バカ!キモい!ふぁっく!」凸
八幡「だから中指立てんな」凸
雪乃「比企谷くん、いずれは曲として発表するつもりなのに、どうして嫌がるのかしら?」
八幡「いや、だってこう…なんか、恥ずかしいじゃん?」
材木座「非常に興味深い…八幡よ。我もラノベの原稿を見せたのだ。お主も見せるべきだ!!」
八幡「いやいや、ラノベの原稿はお前が勝手に渡してきたモンだろうが」
結衣「ヒッキー見せてよ!」
材木座「八幡!」
雪乃「……」チラッチラッチラッ
八幡「……はぁぁ、わかったよ」
八幡「これがオレの作ったリリックの一覧だ」ススッ
【タイトル:『8-Man Mile~リア充とボッチの境界線~』】
材木座「うむ、八幡らしくタイトルだ」
結衣「なにこのタイトル?よくわかんないんだけど」
八幡「今度8-MileってDVD貸してやる。そうすれば元ネタがわかる」
結衣「ふーん」
雪乃「それで歌詞の方は…手始めにタイトルだけ、ざっと見させて貰いましょうかしら」ペラッ
『ステルス』
『青春とは嘘であり悪である』
『生まれ変わるなら熊になりたい』
『オレの友達の友達の話』
『ファック!リア充ワールド』
『マイネームイズ、Mr.ボッチ』
『ビッチクッキー☆』
『氷の女王・ブルジョア』
『マイラブリーシスター、DJリトルタウン』
『比企谷菌はバリアが効かない』
『ヒキガエル』
『孤独のキャンプファイヤー』
『アイラブ千葉』
『ロンリネス。オレの人生論理です』
結衣・雪乃「」
材木座「……」ペラッ
材木座「うむ。タイトルも歌詞の内容を見ても、やはり八幡は八幡であるな!」
八幡「ほっとけ」
雪乃「……」カチカチ
八幡「ん?どうした、ボールペンなんて出して」
雪乃「……」キュキュッ
八幡「あぁぁ!おま、なんで『氷の女王・ブルジョア』のリリック消してんだよ!」
雪乃「なにか文句でも?」ギロッ
八幡「はい。すいません」
結衣「あ、ゆきのんクッキーのやつも消して」
雪乃「ええ」キュキュッ
八幡「おい!」
結衣「何よビッチクッキーって!あのタイトルも歌詞の中身も、完全にアタシの事じゃん!ヒッキーマジきもい!」凸
八幡「中指立てるな」凸
八幡(それから俺は学園生活での出来事を元に、リリックを書きまくった)
~~~~
八幡「YO、ここの安らぎ、俺の安らぎ。マジで良い場所、潮風の安らぎ。ここを見つけて俺はラッキー。ここは臨海部で、おれは外部で、飯を食らうぜ。存在しない凪(なぎ)、潮風の安らぎ、俺の安らぎ。風になびくススキ、癒しの時間は静かに続き、ランチタイムはまだまだ続き、そして感じる、俺の安らぎ」
八幡「タイトルは『ベストプレイス』だな…俺にしては珍しく爽やかな曲が出来た」カキカキ
結衣「あ、ヒッキー!またリリック書いてるの?」
八幡「おう」
八幡(その後、俺は大天使・戸塚との運命的な出会いを果たし、後に『アイラブ、S.T』というリリックを書く)
~~~~
八幡「俺の起床後!妹が見ている雑誌は偏差値25!妹部屋に戻るぜ脱衣後!俺は片付け妹の食後!」
八幡「……う~ん続きはどう書こうか。とりあえずタイトルは『妹の偏差値は多分25』にしとくか」
小町「お兄ちゃん!遅刻するよ早く!それとそんなに低くない!」
【数日後・職員室】
平塚「……で、職業希望調査票は書き直してきたか?」
八幡「へいへい、やりましたよっと」ススッ
八幡(もう殴られたくないから、一応真面目に書いてきた)
八幡(だがしかし…)
平塚「……?どうした、早く出したまえ」
八幡「は、恥ずかしい」
平塚「は?何を言ってるんだ。ほら」バッ
八幡「あ、ちょ」
平塚「なになに…」
平塚「…………歌手になりたい?」
八幡「ア、ハイ、一応」
平塚「……ぷっ」
八幡「おい教師。人の夢を笑うな」
平塚「いや、すまんすまん。まさかこんな事を書くとは思わなくてだな」
平塚「そうか!夢が合って良いじゃないか!見直したぞ比企谷!」ポンポン
八幡「そりゃどうも」
八幡(本気でラップで飯を食う覚悟はまだ出来てないんだけどな。目立った生き方したくないし)
八幡(でもまあ全ては妹のため。やるだけやってみるしかないよな)
~チェーンメール事件の一件後~
葉山「しかし意外だな…でも良いね。歌手になるのが夢って」
八幡「別に。妹のためだ」
葉山「……?まあ良く分からないけど、職場見学は一緒にヨロシク。スタジオ見学楽しみだよ」
八幡「あ、ああ」
彩加「ヨロシクね八幡!」
八幡「愛してるぜ戸塚」
彩加「もう!からかわないでよ!」
~川崎大志からの依頼にて~
Mr.ボッチ「YO、聞けサキサキ…黒のレース、教えてやるぜ。スカラシップ」
Mr.ボッチ「DJリトルタウン…カモン!」
リトルタウン「オケェイ!」ススッ
キュワキュワ!
Mr.ボッチ・リトルタウン「YO、YO!丁寧に教えるぜ!スカラシップ!」凸
川崎「ねぇ、普通に教えてくんない?」
サブレビッチ「よ、よ!いぇい!」ミブリテブリ
雪乃「由比ヶ浜さんも乗ってないで二人を止めなさい。というかなぜ小町さんはターンテーブルとDJミキサーを持ってきたの?」
~職場見学後~
八幡「もう俺の事を気にかけるのは止めろ」
結衣「……」グスッ
結衣「……ばか!」凸
タタッ
八幡「……」
八幡「リリックノートに…書き留めるか」ススッ
八幡「YO…俺は優しい女の子が嫌いだ」カキカキ
八幡「あの犬助けたの偶然。瞬間的で突発的に決意を起こすあの事故の寸前。あの事故なくてもきっと友達できない全然。サブレビッチ、YO、悪いな。お前は気に病む必要全く無し。これからは気にする必要全く無し」
八幡「気にして優しくするなら、そんなの止めろ。俺は元にいた真のボッチの道に戻ろう。お前もリア充グループに帰ろう」
八幡「ドコまでもお前優しい、多分最後まで優しい」
八幡「優しい女の子なんて嫌いだ。ファック!挨拶を交わせば気になるし、メールすれば心ざわつくし、女子からの着信履歴見れば頬は緩むし、昔の俺マジチョロかったぜ」
八幡「でも優しい女子、他の連中にもマジ優しいし、俺は意外と嫉妬深い可能性微レ存だし、そんな現実を知った日には俺は死にたくなるし」
八幡「ファック。優しさなんてきっと嘘。そんな奴らはマジでクソ。そんな俺もマジでクソ」
八幡「優しさに勘違いして、絶望して、俺は希望を捨てて、諦めた」
八幡「優しい女の子。ファックユー」
八幡「………オッケーこれでいい。どいつもこいつもファックだ」q
~ショッピングモール~
八幡(悲痛なる思いでリリックを書き終えた後日、俺と雪ノ下、それと妹で、由比ヶ浜の為に誕生日プレゼントを買いに出かける)
八幡(以前に小町に買ってもらった、ブカブカの黒のパーカーに、ニット帽とフードを被った姿で買い物に向かう)
八幡(別にファッションには興味ないが、この格好だけは落ちつく。顔が半分ほど隠せるから)
八幡(雪ノ下には『死神みたいね、気持ち悪い』と軽く引かれた。地味に傷つく)
~~~~
八幡「YO!雪ノ下家の人間はマジでリッチ!だがコイツ飛んだビッチ!俺に胸を当ててくるクソビッチ!そして!こいつの表情はマジで強化外骨格!お前の仮面を見抜いた俺の観察眼マジで合格!」ミブリテブリ
陽乃「あはははは!比企谷くんって面白い!お姉さん気に入っちゃった!」ツンツン
八幡「いや、だから頬を指で突かないで下さい。あと胸を押し当ててこないで下さい」ドキドキ
雪乃「アナタ、よく初対面の人間にそこまで言えるわね。あと気持ち悪い」
八幡「テメェも初対面の時、俺の事ボロクソ言ってたじゃねぇか」凸
八幡(そうだ。今のラップもメモって置こう。タイトルは…強化外骨格みたいなツラした女、と)カキカキ
雪乃「アナタ、また書いてるのね…」
【部室】
八幡(由比ヶ浜から、俺と雪ノ下の事で色々と誤解もあったけど、無事に誤解が解けて、プレゼントを渡すことができた)
結衣「ありがとう…バカ」凸
八幡「はぁ」
ガララ
結衣「えへへへ///」
八幡(……雪ノ下の言ってた『ちゃんと始める事もできるわ、アナタ達は』って言葉が気になるな)
八幡「ま、今はそれより」ガタッ
ガララ
八幡「おい由比ヶ浜!」
結衣「えへへへ///…って!なにヒッキー!?いきなり出てこないでよ!!」ビクッ
八幡「お前を正式にウチのメンバーに入れてやる。妹にまだ話してないけど、俺が許可する」
結衣「ふぇ?」
八幡「だから…一緒にヒップホップやるんだろ?」
結衣「あ……ほ、本当!?」
八幡「ああ」
結衣「やったー!!それじゃこれからは毎日特訓だね!!」
八幡「まあお前は三浦達とかの付き合いもあるだろうし。無理はするなよ」
結衣「うん。そこら辺は上手くやってく」
雪乃「あら、アナタ達まだいたのね」
八幡「早かったな」
雪乃「ええ。報告だけだし」
結衣「ねぇ、ゆきのん!あたしね、正式にヒッキーとヒップホップやる事になったんだ!」
雪乃「あら良かったじゃない。でも気をつけてね由比ヶ浜さん。この男から少しでも下卑た視線感じたのなら、すぐに脱退を勧めるわ」
八幡「おい、人を犯罪者みたいに言うな」凸
結衣「ゆきのんもさ!やろうよ!」
雪乃「え」
結衣「だから!ゆきのんも私たちとヒップホップやろうよ!」
雪乃「以前にも話したけど、私はヒップホップは嫌いだから」
結衣「だーかーらー!食わず嫌いはやめて、一緒にやろうよ!」ミブリテブリ
雪乃「ゴメンなさい、気持ちは嬉しいけど…私はお断りするわ」
八幡「諦めろ由比ヶ浜」
結衣「むぅぅ!あたしは絶対諦めないからね!」
【次の日】
八幡「……」ペラッ
雪乃「あら、アナタって本読むのね。いや本読めた?違うわね…字が読めた?」
八幡「おい。国語は学年3位なんだけど」
雪乃「あらそうなの意外ね」
八幡「最初に会った時話したろ…つーか本当は覚えてるだろ」
雪乃「さあどうかしら、そもそもアナタは歌ってるイメージが強いから」
ガララ
結衣「やっはろー!おーいヒッキー!フリースタイルしよ!」
八幡「部活の時くらい本を読ませろ」
サブレビッチ「えーー……よ!よ!何言ってんのこのネクラ!ヒッキーの思考マジヒッキーで超暗!ヒッキーにドンビキなアタシの頭クラックラッ!そんな引き篭ってないで健康的に行こうぜオラオラ!因みにあたしが好き食べ物は健康的思考に言うとオクラ!ヒッキーのネコはカマクラ!いぇい!」
八幡「少しはフロウが上手くなったが、リリックの繋げ方がかなり強引すぎる」ガタッ
Mr.ボッチ「YO!クソビッチよく聞け!本を読む若者昔と比べて減る一方な昨今!お前もその一人で本を読まずに携帯のネットサーフィンにゾッコン!もしくはお前友達とのメールに送る即行!少しは教養身に付けろお前の身分はまだ高校!そんな事じゃ良いところ就職できないぜ親不孝!お前の思い描く未来はきっと消光!」
Mr.ボッチ「ま、俺は専業主夫希望だけどな。チェック」
サブレビッチ「うぅ~~~!!なんかオチが酷いのに負けた気分~~!!」
雪乃「アナタ達、部室で静かに過ごせないのかしら?」
結衣「いや~ごめんごめん」
八幡「すまんつい…さて読書を再開するか」
雪乃「……アナタ達、仲が良いのね」
八幡「え?」
結衣「そ、そう?そういう風に見える?///えへへへ///」
雪乃「ふん……」プイッ
八幡「……?」
結衣「……?ゆきのん怒ってる?」
雪乃「別に」
【7月・スタジオにて】
キュワキュワ!キュルルル!
リトルタウン「イェイ、チェケラ!」
Mr.ボッチ「YO!YO!チェック!」
サブレビッチ「は~~疲れた!」
Mr.ボッチ「休憩にするか」
サブレビッチ「あ、そうだ!あたしね、最近ダンス始めたんだ!」
リトルタウン・Mr.ボッチ「ダンス?」
サブレビッチ「うん!ヒップホップダンスをね!」
Mr.ボッチ「ほう」
サブレビッチ「ボッチーはリリックを書いてるし、リトルタウンちゃんはDJやってるし…あたしも自分にしかない得意分野が欲しかったの!」
Mr.ボッチ「そこでヒップホップダンスか」
サブレビッチ「ネットとか見て独学でやってるんだけど…見てもらっても良いかな」
Mr.ボッチ「わかった。リトルタウン。何かトラック流してくれ」
リトルタウン「オケェイ!」キュワキュワ
サブレビッチ「よ!よ!よ!」クネクネ
サブレビッチ「ちぇけちぇけ、ちぇけら、ちぇけら!」ピョンピョン
ブルン!ブルン!
Mr.ボッチ「おぉぉ…」
サブレビッチ「イェイ、イェイ!」グルングルン
ブルン!ブルン!
Mr.ボッチ(豊満な胸が…物凄く揺れてやがる…!!)
サブレビッチ「ちぇっく!」ブルルン
サブレビッチ「ボッチー…ど、どうかな?」
Mr.ボッチ「ああ、最高だったぜ。お前ダンスーとしての才能あるな」b
Mr.ボッチ(ヒップホップダンスってより、ストリップショーの近かったがな)
サブレビッチ「え、そ、そうかな?///ありがとう、嬉しいな///」
リトルタウン「サブレビッチさん超セクシーでしたよ!」
【夏休み・高速道路】
平塚「残念千葉村でした!まさに外道!」
八幡「なんスかそのアレなテンション…」
八幡「連日明け暮れる特訓の合間を縫って、ようやくゲーム三昧出来ると思ったらコレだよ…」
平塚「まあそういうな」
平塚「そういえば比企谷。お前はヒップホップが好きだったな」
八幡「ええ」
平塚「丁度いい。私が学生時代に友人から勧められて買ったCDを流してやろう」
八幡「先生の学生時代…さぞレトロなラップが」
平塚「ココから突き落とすぞ?」
八幡「ごめんなさい」
結衣「へ~!先生が聞くグループってドコのですか?」
平塚「キック・ザ・カンクルーを知ってるか?」
八幡「たしか、クレバが所属してたグループですよね?俺はソロになった方しか聞いた事ないから、キックの方は良くわかりません」
平塚「そうか。まあ私はそこまでラップ通じゃないが、聞いてみると良い」
平塚「比企谷が好きそうな曲か流してやろう」
平塚「アンバランスって曲だ」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14756750
八幡「アンバランス…素晴らしいっス、歌詞も歌も俺好みですね」
戸塚「ヒップホップも良いね。僕も聞こうかな」
小町・結衣「イェイ!確かにチョーカッコよかった!」ミブリテブリ
雪乃「私には歌詞も歌も理解に苦しむわ」
八幡「おい、ディスってんじゃねぇよ」凸
小町・結衣「ブーブー!」pq
雪乃「でもまあ、比企谷君にはピッタリな曲だと思うわ。身も心もアンバランスなアナタにはお似合いよ」
八幡「るっせーファック」凸
平塚「良し。せっかくだし他の曲も聞いてみろ」
~視聴終了後~
雪乃「そうですね…『ユートピア』は非常に素晴らしい曲でした」
八幡「お、ヒップホップ嫌いのお前が高評価するか。だが確かに素晴らしかったなあの曲は」
雪乃「でもそれ以外の曲はやはり無理です。特に『地球ブルース337』は」
結衣「えええーー!!?あたしが一番気に入った曲なのに!!ゆきのんそれは無いよ!!ふぁっく!!」凸凸
小町「小町的には『イツナロウバ』が一番ポイント高いかな!」
戸塚「僕もそれが一番好きかな。爽やかな感じで好き」
八幡(そんなこんなしているウチに、千葉村へ到着する)
【千葉村】
八幡(千葉村に付くや早速、葉山たちと合流)
三浦「あれ?結衣アンタ…ファッションチェンジした?」
結衣「うん!」ミブリテブリ
八幡(由比ヶ浜の服装は、赤いキャップを後ろに被り、ダボダボのTシャツにジーンズ、更にサングラスを着用している)
結衣「何てたってあたしは、びーがーるだからね!」ドヤッ
三浦「へぇ~結衣かっけーし!」
結衣「えへへ」
八幡「お前の英語の発音の悪さを聞くと、本当にBガールなのか不安になってくるぞ」
結衣「う、うっさいなもう!ふぁっく!!」凸
八幡「中指立てんな」凸
戸部「YO!YO!兄弟!」
八幡「……はぁ、タダでさえ暑いのに更に暑苦しいヤツが来た」
戸部「そんな事いうなよ!ノッて行こうぜ兄弟!!」
戸部「YO!しけたツラしてんじゃねぇよ兄弟!そのまんま辛気臭い空気になってるぜその存在!自然溢れる千葉村は校外!溢れるテンションは盛大!イベント事はノって行こうぜ兄弟!」
八幡「……」ウズウズ
八幡「YO、YO」
八幡「冗談じゃねぇ!こんな所いられるか暑苦しい自然!直射日光で干からびちまうぜ俺の生命は死線!ガチでファック!ここの土地は暑く!下がりゆくテンションで身も心もやられちまうぜマジでココは公害!壮大な自然見てるだけでウンザリするぜ気分は損害!未来が目に見えるぜ日射病にかかって後悔!俺は理解できないぜお前らのその表情マジで爽快!」
八幡「ま、戸塚が一緒にいるから良いけどな。チェック」
八幡・戸部「……」
八幡・戸部「イェイ!!」ハイタッチ
戸部「今日も絶好調だぜ兄弟!!」ミブリテブリ
八幡「逆に絶不調だよ。面倒クセェ」q
雪乃「仲良いわねあの二人」
結衣「確かに」
三浦「あ、戸部っちに隼人。バンドの事で話があるんだけど…」
葉山「うん、どうしたんだい?」
三浦「えっとね――」
八幡「ん?戸部、お前バンドやってるのか?」
戸部「おうやってるぜ!文化祭でショーを披露するからヨロシク!」
八幡「……」シラー
戸部「な、なんだよ兄弟!」
八幡「ふん、所詮お前はラッパーもどきか」
戸部「良いじゃん良いじゃん!俺はリンプみたいなミクスチャーもいける口だしさ!」
八幡「リンプ・ビズキットはカッコ良いが、お前らどうせスイーツ(笑)御用達のポップソングでも披露するんだろ?くだらねぇ、ファック!」q
戸部「べ、別に良いじゃん兄弟!あとスイーツ御用達ってなんだよ?」pq
八幡「知らなくて良い」
結衣「別にジャンルは何だって良いじゃん。あたしだって今でもJポップ聞くし」
八幡「はん、クソビッチが」凸
結衣「ヒッキーだって未だにアニソン聞くでしょ!」凸
八幡「う…それ言われたら何も言い返せん」
結衣「……」
結衣「あ!良いこと思いついた!」
八幡「ん?なんだよ」
結衣「ねぇ、あたしたちも文化祭でショーを披露しようよ!」ミブリテブリ
八幡「はぁぁ?どうして俺があんなリア充御用達の社交場みたいな場所で、ショーを披露しなきゃいけないんだ」
八幡「だいたい学校の連中に、俺がラップやってるのあまり知られたくないし」
結衣「ヒッキー、それ今更だと思うよ」
三浦「……」ギロッ
戸部「良いね良いね!ショーを見せてくれよ兄弟!」ミブリテブリ
八幡「ぅぅ…そういや少なくとも2年の連中は俺がラップやってる事知ってるヤツ多いんだよ…」orz
小町「お兄ちゃん!これは良い修行になるよ!小町も参戦するからやってみようよ!」
八幡「いやお前は在校生じゃないから無理だろ」
小町「そこはお兄ちゃんが先生達と交渉してよ!」
結衣「そっか…小町ちゃんがDJだから、何とか先生達に説得して貰わないと、参戦できないや」
八幡「いやだから何で参加すること前提で話が進んでるんだ」
小町「とにかく文化祭でショーを披露するからね!分かったら返事しなさいゴミ!!」
八幡「頼むからゴミの後に兄ちゃんを付けてくれ」
結衣「ね?だからゆきのんも一緒にやろうよ!」
雪乃「ごめんなさい、それは無理」
結衣「もーーゆきのんの分からず屋!!」凸凸
雪乃「両手で中指を立てないでくれるかしら」
【オリエンテーリング】
八幡(オリエンテーリングを開始して間も無く、孤独の少女を発見)
留美「……」
八幡(彼女の名は鶴見留美…皆から省かれ、沈うつな表情で佇んでいる)
八幡(葉山に励まされるも、その孤独の立ち位置は何も変わらない)
雪乃「あの子の事、何とかしてあげたいわね」
八幡「……」
~夕食時間~
八幡「あー食った食った」
小町「よーし!そろそろ修行を始めようかな!」ゴソソッ
八幡「ちょ、おま。ターンテーブルとDJミキサー持ってきたのかよ!?」
小町「勿論!」
キュワキュワ、キュルルル!
リトルタウン「イェイイェイ!チェケラ!」
少年1「わーアレ見ろよ!」
少年2「すげぇ!DJだ!」
ワラワラ、ガヤガヤ
八幡「おーおー小学生達が集まってきたぞ」
キュワキュワ、キュルルル!
リトルタウン「イェイ!お兄ちゃんも修行開始だよ!」
八幡「こんな人だかりの中できるか」
リトルタウン「もー!そのヘタレの性格を矯正するための修行でしょ?」
結衣「良いね良いね!始めちゃおっか!」
八幡「おい…はぁぁ、分かったよ」
八幡「どうせオーディエンスは小学生だし…そこまで緊張する必要も無いしな」
――俺の出番か?
八幡「いやお前が出る幕じゃない。この程度なら俺で充分だ」
――そうか、んじゃ俺はお前の中で、影として見守ってるよ
八幡「まあ、いざとなったら頼む」
留美「なんだろう、あの人だかり」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
八幡「YO、YO!」
留美「……八幡?」
八幡「クソビッチ、何しにきたんだこの暑苦しい日に!お前のその寒いラップで涼ませてくれるようだが油を注ぐだけだぜ火に!止めてくれよアッチッチ!お前マジデカ乳!とっとと帰って寝たほうが良いぜキミ!日射病で余計アホになるぜビッチ!あ、もう手遅れか」
サブレビッチ「ふぁっく!手遅れなのはボッチ!頭の中まじネクラ、おーでぃふぇんすの隅っこにいるのがお似合いだから行っちゃいなアッチ!ほら、シッシッ!その場で体育座り、しっと(座る)!ヒッキーは勝者のあたしに嫉妬!誰もきっと受け入れてくれないよから安心してボッチ!」
サブレビッチ「あ……でもあたしは見捨てないからね?ちぇっく///」
リトルタウン「イェーイ!」キュワキュワ
小学生達「オオオー!」
留美「」
戸部(司会)「イェーイ!最高のショーをありがとう!」
戸部(司会)「皆はドッチが良いかな!?」
男子1「ん~どっちが良いかな」
男子2「俺は目つき悪いにーちゃんかな、魂がこもってた」
男子3「兄ちゃんカッケェけど暑苦しい。デカ乳姉ちゃんでよくね?可愛いし」
男子4「俺もデカ乳姉ちゃん!」
女子1「あのお兄さん、サラッとセクハラ発言してたし、お姉さんに一票!」
女子2「私もお姉さん!」
戸部「勝者サブレビッチ!」
サブレビッチ「イェーイ!」v
八幡「なんだろう。何か凄く理不尽な理由で負けた気が」
――だから俺を呼べって言ったろ
八幡「ま、まあ、勝つ事が全てじゃねぇよ」
雪乃「そういうのを負け犬の遠吠えっていうのよ。負け谷くん」
結衣「そうだよこの負け犬!」
八幡「お前に犬呼ばわりされる筋合いねぇよ」凸
留美「今のって…ラップ?」
八幡「お、ルミルミか」
留美「その呼び方気持ち悪いからやめて」
雪乃「小学生にまでドンビキされるとは愚かね」
八幡「黙れファック」
留美「……私も」
八幡「ん?」
留美「私も八幡みたいに…そうやって言いたい事ハッキリ言えたらな…」
八幡「なに?バカ言っちゃいけない。俺は人と話すのが苦手なんだよ」
留美「え?」
八幡「さっきお前だって言ってたじゃねぇか、俺と雪ノ下はその辺の連中と違うと」
八幡「まあ雪ノ下はその気になれば、口で相手をねじ伏せる事くらい簡単だろうが」
雪乃「私はアナタみたいに歌ってねじ伏せようとは思わないわ」
八幡「そうだな、お前はラップが嫌いだもんな」
留美「八幡は何でラップやってるの?」
八幡「エミネムって歌手に憧れを抱いた事がキッカケだ」
八幡「彼をテレビで見たとき俺は違和感を覚えた。俺のような真のボッチにしか理解できん何かをな」
八幡「彼の瞳の奥に、薄暗い何かを感じた…普通にみればスーパースターなのだろうが、俺の目には誤魔化しはきかん」
八幡「何でこんなボッチオーラのある人が、悪のイメージが強いラップなんて歌ってるだと思った」
八幡「そして彼の曲。Lose Yourselfを聞いて衝撃を受けた」
八幡「後日、俺はネットを通して調べてみたが案の定、彼の半生はかなり不遇だった。あのPVと彼の瞳を見ただけで、大体予想は出来ていたが」
八幡「そうだ。彼もまた、俺やルミルミと同じボッチだった」
留美「……」
八幡「俺が今ラップをやってる理由は、単なる自己満足と妹の夢を叶える為だ」
八幡「生憎、俺は自己顕示欲と社会的地位とかに興味ないんでね。別に一生ボッチでも構わん」
八幡「……だが矛盾するようだが、エミネムの様になってみたいと思う気持ちも多少ある」
留美「結局、八幡も人に、誰かに認めてもらいたいの?」
八幡「少なくともウチの妹は俺を、人から認知して貰いたいと言ってるな。ラップを通して」
八幡「俺の本音は正直…よくわからん」
八幡「だから妹の夢を叶える事で、俺の単なる自己満足を満たすことで…」
八幡「いつか答えを見つけるつもりだ。自己満足目的以外でラップやってるその意味をな」
留美「……」
【深夜】
八幡(戸部がしつこくラップバトルを仕掛けてきたり、戸塚が可愛かったりで俺は全然眠れん)
八幡(仕方なく俺は散歩がてらリリックでも考えてたところ、雪ノ下に会った)
雪乃「30分かけて論破したら三浦さんを泣かせてしまって…」
八幡「気まずくなったのか…」
雪乃「ええ、ちょっとだけアナタの気持ちが分かったわ」
八幡「そういや俺も三浦を泣かしたんだっけ…まさかお前もラップ攻撃で」
雪乃「そんなわけ無いでしょ。頭がイカレてる貴方と一緒にしないで」
八幡「……だろうな、お前はヒップホップが嫌いだもんな」凸
雪乃「ええ、あの音楽の良さを全く理解できないわ」
八幡(鶴見留美を気にかける雪ノ下の話に耳を傾けていると、そこに一人の少女が現れる)
ガササ
雪乃「あなたは…」
留美「……」
八幡「ルミルミ、どうした」
留美「ねぇ八幡」
留美「私にもラップを教えて」
八幡「ラップを教えてほしい?」
留美「うん」コクッ
八幡「……ルミルミ、まさかとは思うが」
留美「私ね、八幡のラップを見て胸が熱くなったの」
留美「八幡は私と同じ側の人なのに、あんな大勢の前で…」
八幡「いやいや、俺を買い被りすぎだ。今日はオーディエンスが小学生だからシラフでも問題なかったが…」
八幡「オーディエンスが大人数の同級生となれば、Mr.ボッチにならなきゃ大勢の前で披露できん、俺はヘタレだからな」
留美「Mr.ボッチ?誰?」
八幡「あ……いや、今のは気にするな」
留美「とにかく教えて」
八幡「ルミルミ、ボッチが何かを頑張って目立てば、攻撃の材料にされるだけだ」
留美「いいから教えて」
八幡「……」
留美「私にラップを!」
八幡「……………わかった」
八幡「まずは基本的な事からだ…フロウ、韻の踏み方」
八幡「俺も修行中の身だし、まだまだ未熟だが…」
八幡「エイ・ヨー…教えてやるぜ、ヒップホップ」フラフラ
留美「……」フラフラ
八幡「手を振り上げろ…YO、YO」スッ
留美「YO、YO」
~~~
八幡(俺は人通り基礎的な事を教え込んだ)
八幡「んじゃ次はリリックだが…お前、即興で歌える自信あるか?」
留美「ない」
八幡「だろうな、それが普通だ」
八幡「まあお前が『事を起こさない』ことを信じて、一緒にリリックを考えてやる」
留美「……」
八幡「ルミルミ、まずお前の感情を吐き出すことから始めようか」
八幡「韻の踏み方とか、リズムはどうでも良い」
八幡「教えろ。そして吐き出せ。お前の感情を全てを」
留美「……」
留美「スゥー…」
留美「みんなバカばっかり、やってる事も考えてることも、くだらない、一人を省いて影でコソコソ、バカばっか」
留美「でも、お母さんみんなと仲良くしなさいって言う」
留美「友達がほしい、仲良くしたい、惨めなのはイヤ」
留美「シカトされると自分が一番下なんだって感じる、惨めっぽい」
留美「このデジカメ、誰かと撮りたい、使いたい」
留美「でも私も裏切ってきた、今更誰かと仲良くなんて」
留美「都合が良いよね…もうどうしようもない」
八幡「えっと見え辛いから携帯で文字を……」ピッピッ
雪乃「何を打ってるの?」
八幡「お前まだいたのか…」
雪乃「アナタが変なことをしないか監視してるのだけど」
八幡「お前は俺を何だと思ってるんだ」
雪乃「犯罪者」
八幡「……」ピッピッ
雪乃「あら、無言という事は肯定してるのね」
八幡「ちげぇーよ…いま集中してるんだ。邪魔すんな」
八幡「よしメモ完了だ」
留美「メモ?」
八幡「ああ、リリックを作るための土台をな」
留美「八幡が作ってくれるの?」
八幡「いや、お前も考えるんだ」
留美「……」
八幡「共同作業って奴だ」
八幡「他にも吐き出したい事はあるか?」
留美「ちょっと考える」
八幡「おう、じっくり考えろ」
八幡「それと雪ノ下、お前はもう寝ろ」
雪乃「あら、どうしてアナタに指図を受けなければならないのかしらロリコン谷くん」
八幡「マジで邪魔だから帰れ、コッチは真剣なんだよ」
雪乃「……最後まで見届けさせてもらうわ、アナタのヒップホップが、彼女にどう影響を与えるか」
八幡「はん、勝手にしろ」
~数十分後~
結衣「あれ、ヒッキーにゆきのん!それに留美ちゃんまで?」
雪乃「由比ヶ浜さん、ゴメンなさい。さっきは御迷惑をお掛けしてしまって」
結衣「ううん、優美子も泣き止んだし」
結衣「それよりもあの二人は何やってるの?」
留美「このメスブタ共が!ファック!」凸
八幡「もうちょっと攻撃的に。リズムを込めて。リリックももう少し長く言葉を繋げろ」
結衣「!?」
雪乃「比企谷君が鶴見さんに、悪知恵を仕込んでるわ」
留美「うーん…」
八幡「ヒントをやる。嫌いな物は汚物同然。醜い物は粗大ゴミ。フタに閉めて廃棄。さあ、続けルミルミ。お前ならどう歌う?」
留美「えーっと……」
~~
八幡「よし、完成だ」
留美「ありがとう八幡、私もリリックを携帯にメモしないと」ピッピッ
八幡「……さて、もう遅い。寝るぞ」
留美「待って、まだ寝たくない」
留美「えっと…フリースタイル、したい」
八幡「フリースタイルか…よし、やるか」
留美・八幡「YO、YO」フラフラ
結衣「じゃあ、あたしがビートボックスしてあげる!」
結衣「ボォッ、プス!ボッボップスプス!トゥクトゥク!ボォボォ!キュワキュワ!」
結衣「ちぇけら!ボォボォ!キュワキュワ!ボッボップスプス!」
八幡「へイ、カモン」
留美「イェイ、イェイ」
雪乃「由比ヶ浜さん…いつの間にそんな芸を…」
八幡(そして夜が明ける)
【翌日・大広場】
八幡(日中、男組は夜に行うキャンプファイヤーの準備を行っている)
八幡「……」ソワソワ
戸部「どうしたんだブラザー!落ち着きが無いぜ!」ミブリテブリ
八幡「暑苦しいから近寄ってくんな」q
八幡「……」ソワソワ
八幡「なあ戸部、あと…葉山に戸塚」
戸部「オー!なんだブラザー!」
葉山「なんだい?」
戸塚「どうしたの?」
八幡「実はちょっと別にやらなきゃいけない事があるから、キャンプファイヤーの準備、あとは任せてもらえるか?」
戸部「お安い御用だぜブラザー!イェイ!」
戸塚・葉山「うん良いよ」
八幡「悪いな…特に戸塚すまん、こんなクソ暑い中」ダダッ
戸塚「走って行っちゃった…どうしたんだろ八幡」
葉山「……?」
~~~
八幡「ぜぇぜぇ…ドコにいる」
留美「……」ギロッ
少女1「あつーい!日陰いこ!」
少女2~4「うん!」
八幡「いた…やっぱり殺る気満々じゃねぇか…!」
八幡「おいルミルミ」
留美「八幡」
八幡「昨日オレは言ったはずだ…ボッチが何かを頑張って目立てば、攻撃の材料にされるだけだと」
八幡「ラップを好きになるのは結構な事だ、だがこれ以上はダメだ」
八幡「嫌われるのは俺だけで充分だ。俺だけのアイデンティティだしな」ザッ
留美「……」バッ
八幡(俺がルミルミの心の葛藤を代弁して、あのイジワル同級生を罵りに行こうとしたが、両手を広げ止められる)
留美「……」チラッ
留美「……」コクン
八幡「……?」
八幡(いま、誰に頷いたんだ?)
留美「それじゃ行ってくるね」ダッ
八幡「ルミルミ…」
雪乃「彼女の決意は本物みたいね」
八幡「うぉ!?びっくりしt……??」
雪乃「あら卑猥谷君」
八幡「いきなり来て人を変態呼ばわりするなよ…ってなんで水着?」ドキッ
雪乃「川が近くにあるから、遊ぼうと由比ヶ浜さんに誘われて…アナタは鶴見さんをストーカー?」
八幡「ちげぇーよ、俺をどれだけ犯罪者に仕立て上げたいんだ。ルミルミの様子を見に来ただけだ」ドキドキ
留美「……」
少女1「ん?」
少女2「ねぇ…なんか来たよ」クスクス
少女3「本当だ、何しにきたんだろ」クスクス
少女4「仲間に入れて欲しいんじゃない?ま、入れてあげないけどね」クスクス
留美「……」フラフラ
少女達「?」
留美(片手をピストルみたいに構えて、そのまま下に向ける)ススッ
留美(もう片方の手はマイクを持つことをイメージして、拳を作って口元に)ググッ
留美「YO、YO」フラフラ
留美「YO…ダサいメスブタ4匹。群がる事で自分を守りたい脳無しブタが世に生き。私のラップでミンチにしちゃうよ残念だねメスブタ共全員あの世逝き」ミブリテブリ
少女達「!?」
留美「私、小さなヒップホッパー、鶴見留美。ラップ攻撃でしかけるこの勝負。アンタ達、集まらなきゃ何も出来ないクズな性分。心身共にも醜いアンタ達を殺傷処分」
留美「影愚痴叩いて楽しんでるの?群がって見下して面白がってるの?集団になる事で心から安心してるの?へェイ、それならダサいよアンタ達ガチで、思い上がるのも程々にしなよマジで」
留美「いつから自分が偉いって錯覚でもしたの?集中攻撃する事で偉くなる感覚でもしたの?だとしたらアンタ達イカレてるよその品格は私以下よ」
留美「でも昔の私もクズ野郎。今は反省してるよあの時の私はクソ野郎。アンタ達、能無し反省できなくて可哀そう、頭の中いつもお花畑でのん気そう」
留美「アンタ達みたいな醜いメスブタ、閉じこめてやるんだからドラム缶のフタ。ゴーゴー!捨てられちゃえ東京湾へ。誰も助けてくれないよ惨めに泣けば声上げてワンワンって」
留美「私、たった一人でも強く生きるよ。あんた達みたいなバカなガキと違って。私は小さなヒップホッパー・孤高で孤独の鶴見留美」凸
留美「チェック」q
少女達「」
少女1「な、な…」ワナワナ
少女2「なによ!なにアンタ!何様のつもり!?」ピキピキ
少女3「一人で吠えてダッサー!結局アンタは友達なんていないんじゃん!」イライラ
少女4「こんなの放って置いてあっちに行こう!見てると気分悪くなるよ」プンプン
少女達「ばーか!!」テクテク
留美「……」
八幡「やっちまったな」
留美「うん」
八幡「この先、風当たりは強くなるぞ。もう後戻りできない」
留美「構わない」クルッ
八幡「っ!」
八幡(振り返った彼女の表情は、とても充実した表情を浮かべていた。不安そうな表情は一切無い)
留美「八幡、ラップって楽しい」
八幡「ルミルミ…」
留美「ねぇ、もっとラップの事いっぱい教えて!」ガシッ
八幡「うぉ!?」
八幡(そういって鶴見留美は、俺の腕を両手で掴む)
留美「八幡」ギュッ
八幡「……っ」
雪乃「通報しようかしら」
八幡「おい」
~川辺~
キャッキャ、ワイワイ
八幡(皆が川で水遊びを楽しんでる最中、オレはルミルミにヒップホップの歴史から、曲など色々教えていた)
八幡「小学生からラップ聞く奴なんてそうそういないからな、俺だって高1にラップと出会うまではアニソンばかり聞いてたしな」
留美「運が良ければ中学入れば、趣味合うやつとか見つけられると思うぞ」
留美「そっか…」
八幡(さっきの歌の中で、一人でも強く生きると言っていた彼女だが、やはり友達は欲しいようだ)
八幡(彼女はきっと、これまでよりも一層、風当たりの強い日々を送るのだろう。あのラップが原因で)
八幡(大きな生きがいを見つけたとは言え、代償は大きい)
八幡「……」
留美「八幡?」
八幡「惨めなのはイヤか?」
留美「私にはラップがあるから」
八幡(歯切れよく言ってくれるじゃないか。だが現実は、歌だけでどうになるものじゃない)
八幡「……よし」
~~~~
八幡(その後、オレは夜の肝試しにてある提案を持ち出す)
八幡(それを肝試しにて決行)
八幡(結果は予想と違う自体が起こり、鶴見留美は彼女達を助け、無視しイジワルしてた同級生達の関係性はバラバラとなる)
【キャンプファイヤーにて】
~~
葉山「比企谷くんとは仲良く慣れなかっただろうな」
八幡「……」
葉山「冗談だよ」ニコッ
留美「八幡」
八幡「ルミルミ」
葉山「あ…」ビクッ
留美「大丈夫だよお兄さん。私…もう薄々分かってるから」
葉山「さっきはすまない」
留美「ううん、それより八幡…ありがとう」
八幡「さあ何のことだか」
留美「……」ギュッ
八幡「お…おい、腕に抱きついて来るなよ」
留美「ねぇ、もっと色んなこと教えて?八幡」
葉山「……比企谷くん?」ジッ
八幡「おい、そんな目で見るな。誤解だ」
八幡「おいルミルミ離せ」
留美「……」ギュッ
留美「ねぇ八幡、私決めた」
留美「私もラッパーになる」
八幡「マジか」
葉山「キミ…まさか彼女にラップを教えたのか?」
八幡「ああ、なんか気に入ったらしく」
留美「だから約束して、八幡も有名なラッパーになるって」ススッ
八幡「お、おい」
八幡(そういって彼女は俺の小指に強引に、自分の小指を絡める)
留美「はい……指きった!」
八幡「おい、オレはまだ本気で歌手になるとは」
留美「約束だからね!」
八幡「……」
留美「それでラッパーになるために私、何をすれば良い?」
八幡「そうだな…俺が一通り教えた曲を聴いてみる事」
留美「うんうん」
八幡「後は毎日、国語辞典と英語辞典を読むことだな。まあ普通はやらないけど」
留美「えーなんでそんな面倒なこと」
八幡「色んな言葉を覚えろ、リリック作りに苦労しないぞ」
留美「わかった。努力する。だから八幡も頑張ってね」
八幡「……ま、気が向いたら」
【最終日】
八幡「……」
雪乃「昨日はいろんな事があったわね、主に比企谷君の奇策から来る物で」
八幡「ああ、そうだな」
雪乃「夜の肝試しに…そしてヒップホップ…」
雪乃「アナタの頭の中は一体どうなってるのかしら?常人とは思えないわね」
八幡「遠まわしにディスるの止めてくんない?」
雪乃「あらバカにされた事の自覚はあるのね」
雪乃「でも…彼女は随分と報われたと思うわ」
八幡「そうか」
雪乃「……私もあの時、ヒップホップをやってれば違ったのかしら」ボソッ
八幡「……?なんだ、お前もラップやりたくなったのか?」
雪乃「バカ言わないで。あのノリは嫌いだって言ったじゃない」
八幡「本当、根っから嫌いなんだなラップが」
留美「八幡!」
八幡「ルミルミ…」
留美「約束、絶対守ってね」
留美「ばいばい」凸
先生「鶴見さん!中指なんて立てちゃダメでしょ!」
留美「これは私と八幡だけの挨拶だよ先生」凸
八幡「……」凸
八幡(バスに乗る直前の鶴見留美は、挨拶代わりに中指を立てながら別れを告げる。それに答えるように俺も中指を立てる)
留美「ばいばーい!」ミブリテブリ
八幡(鶴見留美)
八幡(彼女は後に、ヒップホップグループ『鶴の恩返し』を結成)
八幡(そのアイドル顔負けの美しき容姿と、圧倒的ラップスキルでカリスマ的人気を博し、日本で最強と呼ばれるラッパーになるのは別の話である)
【8月中旬・比企谷家】
結衣「お邪魔します!ヒッキーやっはろー!」
八幡「また来たのかお前」
結衣「何その言い方!来ちゃいけないの!?」
八幡「別に来るなとは言わんが…何しに来た?」
結衣「もーー!とぼけないでよ!特訓しようよ!」
八幡「ラップは好きだが毎日する必要ないだろ」
小町「はぁぁ…これだからゴミは」
八幡「頼むからゴミで区切らないでくれ」
結衣「さあ特訓!特訓!」
八幡(夏休みに入ってからと言うもの毎日毎日、由比ヶ浜は俺の自宅まで特訓に来ていた)
八幡(三浦とかの誘いが無い限り、ほぼ毎日)
八幡(特訓は楽しいが、一人になる時間が少ない)
八幡(おかしい。夏休みは一人になれる時間が多いはずなのに)
結衣「ヒッキー!」ズイッ
八幡「う!?ちょっ、近い!」
結衣「早く特訓しよ…ね?」
八幡「あ、ああ」ドキッ
【3時間後】
結衣「あーー疲れた!」
小町「疲れた…ちょっと飲み物買って来るね」
八幡「休憩か、よし」ゴソゴソ
結衣「なにするの?」
八幡「ゲーム」
結衣「また?なんか別な事しようよ」
八幡「別な事って…なに?」
結衣「えっと…その…せめてみんなで出来るゲームとかさ!」
八幡「ボッチの俺がそんなゲーム持ち合わせてねぇよ」
結衣「もーー!」プクッ
結衣「……ん?これって」ススッ
八幡「あ?俺のリリック帳がどうした」
結衣「見ても良い?」
八幡「前に見せたしな。良いぞ」
結衣「……」ペラッ
結衣「ねぇーヒッキー」
八幡「ん?」
結衣「前から気になってたけどさ、リア充ってなに?」
八幡「……お前は知らなくて良い」
結衣「えーー!教えてよ!」
八幡「……まあ簡単に言うとネットスラングで――」
~~~
八幡「……っと言う訳だよ」
結衣「ふーん」
八幡「まあお前はそのリア充だけどな」
結衣「」ビクッ
結衣「え、あたしが?」
八幡「ああ。友達も多いし誰からも好かれるし。コミュ力高いし」
結衣「…………あのさヒッキー」
八幡「?」
結衣「『ファック!リア充ワールド』に書かれてる部分で気になる所があるんだけど」
八幡「なんだよ」
結衣「この『視界に入るなリア充。ボッチの害悪近寄るな漂う悪臭。鼻がひん曲がるぜ腐臭。オレは構えるボッチの怒りの拳銃。これは怒れるボッチの逆襲』って部分があるけどさ」
結衣「あたし…そんなに臭い?そんなに迷惑?」ウルウル
八幡「……は?」
結衣「ヒッキーはあたしの事嫌いなの?憎いの?」グスッ
八幡「いや、別にお前が憎いなんて言ってないだろ」
結衣「ほ、本当?嘘じゃない?」ボロボロ
八幡「お、おい…嫌いじゃねぇよ。だから泣くなよ」オロオロ
結衣「良かったぁ…」パァァ
八幡「っ」ドキッ
八幡(不覚にもその笑顔にときめいたじゃねぇか…やめろ、勘違いしちまうじゃねぇか…)ドキドキ
結衣「ヒッキーも頑張って、他の人と話してみたら良いじゃん」
八幡「それが出来たら苦労しねぇよ。つーか他人と関り持ちたくないし。面倒くさいし」
結衣「あーーもう!そんなんだからダメなんだよ?」
八幡「はぁぁ…」
結衣「……」
八幡「前にも話したけど俺は中学時代に抱えたトラウマが多すぎるだよ」
八幡「コミュ力ゼロの俺が勇気を持って誰かと関係を築こうとしても、無視され嘲笑される」
八幡「手に入れたと思った関係も俺の勘違いで、いとも簡単に裏切られる」
八幡「葉山みたいに全ての発言を皆から肯定される訳でもない、オレは常に否定され続けてる」
八幡「もう仕方ないんだ、そういう運命なんだよオレは。受け入れてやるしかない」
結衣「………」
結衣「あ、あたしは!」
八幡「?」
結衣「あたしは…そんな事しない」
結衣「あたしはヒッキーの友達だもん」
八幡「………っ」
結衣「その…クラスでグループとかは違うかも知れないけど、それでも一緒にいたい」
結衣「だから夏休み中も、学校始まっても、あたしはこれからもずっとヒッキーの家に来るからね!」
八幡「っ」ドキッ
八幡「か、勝手にしろ」
小町「ほうほう、結衣さんが一歩リードかな」コソコソ
【数日後・ららぽーと】
八幡(今日は小町と由比ヶ浜と一緒に、ららぽーとにあるタワレコに来た)
八幡(オリジナルの曲を作るために、サンプリングする曲を選び買いにきた)
小町「いや~結衣さんとは他の音楽のジャンルとも話が合うから助かります!」
結衣「えへへ」
~~~
八幡(CDを購入後はすぐに自宅へ戻る。さっそく小町と由比ヶ浜の選んだ曲を視聴してみたが)
八幡「なにこのスイーツ(笑)が好きそうなラブソング。こんな曲を切り取って編集するのかよ」
結衣「何その言い方!」
小町「大丈夫大丈夫!このDJリトルタウンに任せて!目に物を見せてあげるから!」
八幡(その後、小町が作った編集した曲、おれが歌った『ファック!リア充ワールド』と重ねて録音してみたが…)
結衣「……」
小町「えーと…あれ?なんか微妙?」
八幡「選曲ミス。いや選んだジャンルが間違いだな」
小町「い、い、いやいや!まだもっかいCD聞きなおし練り直して…」
結衣「選曲が悪いってより、このヒッキーのひねくれ曲がったような歌い方に問題があるんじゃない?」
結衣「あたし、ヒッキーのあの歌い方を合わせるの大変だったんだからね?」
小町「確かに…この煽りまくったり、やさぐれた歌い方どうにかならないの?」
八幡「オレは今さら違う歌い方はしないぞ?リア充への憎しみを込めた想いが薄まっちまう」
小町「ポップソングじゃこの曲をうまく表現できないのか…うーん…」
八幡「それじゃ…クラシックとかどうだ?」
小町「小町はクラシックとか聞かないから、どう選んでいけば良いか分からないよ」
結衣「あ!一人知ってるよ!クラシック聞いてそうな人!」
小町・八幡「だれ?」
結衣「ゆきのん!」
八幡「」ビクッ
小町「あーーなるほど、たしかに雪乃さんなら詳しそうですね!」
結衣「じゃあ今からさ、ゆきのんと遊ぼっか!」
小町「良いですね!」
八幡「オレは遠慮しとくわ」
結衣「え」
八幡「お前らだけで行ってこい」
小町「……??」
結衣「ねぇヒッキー…もしかして…」
八幡「余計なことは気にしなくて良いから行ってこい」
八幡「……いまアイツは会う気分になれん」
八幡(あの車…間違いない…)
八幡(雪ノ下は自覚あるのか、ないのか知らんが、いま会う気になれん)
【次の日の深夜】
八幡「……」
八幡「今日は小町もいなかったし、由比ヶ浜もこなかった」
八幡「久しぶりにボッチ生活を満喫できたな」
ガチャッ
結衣「やっはろーヒッキー!」
小町「ただいま!」
八幡「……来ないかと思ったら、こんな時間にきやがった」
結衣「なにその反応、いけないの?」プンスカ
八幡「別に。ドコ行ってたんだよ?」
結衣「ゆきのんと一緒に海水浴行ってた!」
八幡「ほう、道理で二人とも日焼けしてるわけだ」
小町「お兄ちゃんも来れば良かったのに…二人の水着見れるチャンスだったのに」ニヤニヤ
八幡「べ、べべ、別に見たくねぇーし」ドキッ
結衣「……ドコと無く、ゆきのん元気なかったかな」ボソッ
八幡「気のせいだろ。行ってないから分からんが」
八幡「あ、そういやクラシックの件は聞いたのか?」
結衣・小町「あ、忘れてた」
八幡「お前ら…」
【夏休み後半・駅前】
八幡(今日は由比ヶ浜と花火大会。小町の妙な計らいもあって二人で行くことに)
八幡(しかし小町のいらん気遣いには困る。あれだけお膳立てされて何も気付かない訳無い)
八幡(だがオレは勘違いしないぞ、決してな)
結衣「ヒッキーどうしたの?元気ないよ?」
八幡「別に」
結衣「……」
サブレビッチ「YO、YO!」ミブリテブリ
八幡「なんだ突然」
サブレビッチ「ヒッキーが作った曲、一緒に歌おうよ」
八幡「………」
八幡「んじゃ曲は『青春とは嘘であり悪である』で良いか?」
サブレビッチ「オーケー!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「YO、YO」フラフラ
Mr.ボッチ「結論から言おう…青春は楽しむ愚か者ども、砕け散れ」
サブレビッチ「砕け散れ!砕け散れ!」
ミスタービッチ「イカれてるリア充爆発しろ!怒れる俺のラップ魂爆発しろ!」
サブレビッチ「爆発しろ!爆発しろ!」
Mr.ボッチ「リア充!奴らの存在マジ欺瞞!非リア充!おれは奉仕部のキーマン!」
サブレビッチ「キョロ充!いつもキョロキョロ!奴らの存在クソにたかるハエの如く!チョロQ!動かせチョロチョロ!ママに買ってもらって遊んでろガキの如く!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「爆発しろクソリア充!暴発せよ非リア充!」
通行人1「なにあのカップル」
通行人2「さあ?頭おかしいんじゃない」
結衣「次は何を歌う?」
八幡「そうだな…ってかお前、英語の発音上手くなったな」
結衣「えへへへ///」
相模「あ、結衣ちゃん」
結衣「あ、さがみん!」
~~
結衣「紹介するね。同じクラスの比企谷君だよ」
八幡「……」ペコッ
相模「……プッ」
ゆっこ「ねぇアレっていつも教室の隅にいる比企谷だっけ?前に三浦さんに喧嘩売った奴だよね?」ヒソヒソ
遥「いつも一人ぼっちなのに何してんだろ?」ヒソヒソ
相模「結衣ちゃんもどうしちゃったんだろ?頭おっかしい」クスクス
八幡(聞こえてるっつーのクソビッチ共が)ピキピキ
結衣「……?」
相模「じゃあね結衣ちゃん!」
結衣「ばいばい!」
八幡「やっと消えたか」
ガヤガヤ
通行人1「ん、うわぁぁ…!」ササッ
通行人2「やばい…避けろ」ササッ
八幡「ん?なんだ騒がしい」
ザッザッザッ
結衣「うわっ!?なんか怖そうな人達がでこっちに来るよ」
不良達「……」ギロッ
八幡「っ!!?あ、あれは…」ビクッ
DQN「……」
結衣「あのドレッドヘアーのデカイ人、知り合い?」ガクガク
八幡「ああ…前にライブハウスでバトルした奴だ…」ガクガク
八幡(しかもその周りに、小町をナンパしようとした連中までいるじゃないか)
通行人3「おい…あのデカイの地元のカラーギャングチームのリーダーじゃねぇか…」ガクガク
八幡「ギャングチームのリーダー…!?」
結衣「っ!?ヒッキーなんであんな人とバトルしたの!?」
八幡「し、ししし、知るか!」ガクガク
八幡(どんだけ運が悪いんだよ俺は!!つーかこの辺にカラーギャングチーム何てあったの!?千葉通のこの俺がしらないとは何たる不覚…!)
八幡「は、早く逃げるぞ!目線合わせるなよ?」
結衣「うん!」
DQN「ん?おいお前まさか」チラッ
八幡「!?!?」ビクッ
不良1「どうしたんすかリーダー…あ!Mr.ボッチだ」
不良2「本当だ。今日は可愛い妹いないの?」
不良3「脇にいるの彼女?可愛いじゃん。この間の件チャラにしてやるから貸せよ」
DQN「確かに上玉だな」
八幡(つーか何でコイツら俺の事覚えてるんだよ!俺のステルスは通用しないの!?)
結衣「ヒッキー怖いよ…」ガクガク
八幡(こうなったら…俺の本気を見せてやる)
八幡「……この間の件はすいません」土下座
結衣「ヒッキー!?」
八幡「だ…だからお願いします。コイツは大切なメンバーなんで手を出さないで下さい」ペコッ
不良1「メンバー?なんだお前ユニット組んでんの?ラップできないのに」
不良2・3「ぎゃはははは!!」
DQN「行くぞお前たち」
不良達「え、いいんスか?」
DQN「オレはそいつをしらない、赤の他人だ」
DQN「こんな喧嘩も出来ない、ラップもできない腰抜け、俺のライバルにはいない。知らん奴に喧嘩売っても仕方ない」
不良達「プッ…なるほど、納得っす」
DQN「ああそうそう、脇に居る嬢ちゃん。そんな奴に股を開くなら俺に抱かれた方がマシだと思うぜ?」
不良達全員「ぎゃははははは!」
結衣「はぁぁ!!?」
DQN「まあオレには女が何人もいるし、お嬢ちゃんみたいな男の見る目のない女を抱く気は無い」
DQN「行くぞ、帰って酒飲んで女抱くぞ」
不良達「うす。楽しみっす」
結衣「な、な、何言って…!」プルプル
八幡「おい止めろ!」ポンッ
結衣「なんなのあの人達、サイテー!マジ有り得ない!つーか下ネタ言い過ぎ!」
八幡「だけどあのリーダー多分、俺達を見逃した感じだったぜ。すげぇヤリチンっぽそうだけど」
八幡「それより…すまん。俺のせいで変なことに巻き込ませて」
結衣「え、別にヒッキーは悪く無いじゃん」
結衣「それにあたしの為に土下座してくれたし…///」
八幡「……」ドキッ
結衣「でもこれで証明できたね」
八幡「は?何を」
結衣「前に言ってたよね?あたしは誰とでも仲良く出来るリア充だって」
結衣「でもあんな人達と仲良くなれない…だからあたしもヒッキーと一緒、非リア充だよ?」
八幡「っ」ドキッ
八幡「ばっかお前、あんな連中と仲良くなる奴なんてそれこそ大問題だ」
結衣「えへへへ、そうだよね」
八幡「……雪ノ下がいなくて良かった。あの場に居たらアイツはお前以上にキレてたぞ」
結衣「そ、そうだね…」
陽乃「雪乃ちゃんがどうかしたの比企谷君?」
八幡「一難去ってまた一難…」
八幡(その後、雪ノ下さんに呼ばれて貴賓席までくる)
八幡(家の事や雪ノ下の事を、聞かされる)
陽乃「そういえば比企谷君はラップが好きなんだっけ?格好もラッパーっぽいけど」
八幡「ええ。まあ服装に関しては妹が買ってくるので、仕方なく着てるだけですが」
陽乃「ふーん。ドコのグループが好きなの?」
八幡「エミネムですかね。あとはまあ他にも…色々と」
陽乃「……エミネムねぇ」
八幡「知ってるんですか?」
陽乃「うん。聴いた事もあるよ」
八幡「意外ですね。雪ノ下はラップ嫌いなのに」
陽乃「私も日常的には聴かないけどね。由比ヶ浜ちゃんもラップ好きなの?」
結衣「はい!」
陽乃「ふーん、そうなると二人の夢はラッパーかな?」
八幡「まあ一応……由比ヶ浜は知りませんが」
結衣「あたしは……はい!そうです!」
八幡「え、お前も!?」
結衣「うん、今決めた!あたしヒッキーと小町ちゃんと一緒に、プロのラッパーになる!」
八幡「何そのノリ」
結衣「……でも出来ればゆきのんも居て欲しいかな」
八幡「お前まだ諦めてなかったのか」
【自宅】
八幡「ただいま~」
八幡(今日は色々あったな…疲れたし早く寝よ)
八幡「……」
八幡(雪ノ下の奴…やっぱり知ってたのか事故の件)
八幡「……」
八幡「YO…俺は自分が好きだ。だが、初めて嫌いになりそうだ」
八幡「雪ノ下雪乃…常に美しく誠実で、嘘を付かない何事も堅実で、そんな彼女にオレは憧れていて」
八幡「勝手に期待して、勝手に理想を押し付けていて、勝手に理解した気になっていて、勝手に失望して」
八幡「彼女の嘘を許せない、でもそんな自分が嫌いだし許せない」
八幡「はぁぁ…未完成だし韻の踏み方も微妙だし、嫌な詩だが、一応リリックノートに書いておくか」カキカキ
八幡「……」
八幡「ファック、雪ノ下も俺もファック」
八幡「ファック!!!!」
【次の日・道端】
結衣「あ、ゆきのん!やっはろー!」
雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん、買い物かしら?」
結衣「ううん、ヒッキーの家に行くの」
雪乃「え」
結衣「そうだ!ゆきのんも一緒にいこ?」
雪乃「……音楽活動なのでしょ?」
結衣「ううん、宿題を一緒にやる」
雪乃「そう…お生憎、今は買い物の用事があって…」
雪乃「……ごめんなさい」
結衣「そっか。宿題終わってれば一緒に買い物してたのにな」
雪乃「ええ残念ね、この埋め合わせはまた後でしましょ」
結衣「うん分かった。じゃあね!」
雪乃「ええ、また学校で」
雪乃(やっぱり由比ヶ浜さんに付いていけば良かったかしら)
雪乃(学校始まったら、改めて彼に謝罪しないと)
雪乃(……でも伝えられるかしら)
【八幡の部屋】
八幡「……ったく、なんで俺がお前の宿題の手伝いしなきゃならんのだ」カキカキ
結衣「ごっめーん!このままだと終わらなくて」カキカキ
八幡「今日くらい一人でゆっくりしたかったな」
結衣「もう、そんな事言ってるから友達出来ないんだよ?」
八幡「うっ…うるさい。ほっとけ」
結衣「でも…あたしはヒッキーの友達だから、ね」
八幡「お、おう」ドキッ
結衣「ねぇ、夏休みはどうだった?」
八幡「え?」
結衣「ほぼ毎日来ちゃってたけど、迷惑じゃなかった?」
八幡「……本当に迷惑ならとっくに追い返してる」
八幡「まあなんだ、いつもの夏休みと比べたら…その、ずっと楽しかった」
結衣「そっか…//」
八幡「でも…」
結衣「ん?」
八幡「いや、なんでもない」
八幡(このモヤモヤした気持ちだけは処理し切れなかったな。雪ノ下を許してやれない俺が嫌になる)
結衣「あ、そういえば。さっきゆきのんに会ったよ」
八幡「そ、そうか」ビクッ
結衣「用事あるとかで連れて来れたなかったけど」
八幡「ふーん」
結衣「あ、そういえば二学期になったら文化祭だね、発表たのしみだね」
八幡「なあ、マジで参戦するの?」
結衣「あたしと小町ちゃんは本気だよ!」
八幡「はぁぁ…出たくない」
以上です
前スレの>>260まで投下しました
また前スレの>270にも投下しましたが、もしよければアンケート御協力お願いします
次回投下は多分3,4日後かと思います
>>117
(訂正文)
八幡「んじゃ曲は『青春とは嘘であり悪である』で良いか?」
サブレビッチ「オーケー!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「YO、YO」フラフラ
Mr.ボッチ「結論から言おう…青春は楽しむ愚か者ども、砕け散れ」
サブレビッチ「砕け散れ!砕け散れ!」
Mr.ボッチ「イカれてるリア充爆発しろ!怒れる俺のラップ魂爆発しろ!」
サブレビッチ「爆発しろ!爆発しろ!」
Mr.ボッチ「リア充!奴らの存在マジ欺瞞!非リア充!おれは奉仕部のキーマン!」
サブレビッチ「キョロ充!いつもキョロキョロ!奴らの存在クソにたかるハエの如く!チョロQ!動かせチョロチョロ!ママに買ってもらって遊んでろガキの如く!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「爆発しろクソリア充!暴発せよ非リア充!」
通行人1「なにあのカップル」
通行人2「さあ?頭おかしいんじゃない」
【2学期】
八幡(朝から雪ノ下と遭遇。彼女は俺に何か言いたそうだったが、俺は適当に流して教室に入る)
八幡(その後オレは、半ば強引に文化祭実行委員に任命される。相模もやる事に)
八幡(そして文化祭実行委員の会議に向かう前に、オレは由比ヶ浜に強引に職員室まで引っ張られる)
平塚「文化祭でラップショーを披露したい?」
結衣「はい!ヒッキーとあたしと…あと、ヒッキーの妹の小町ちゃんと、ショーがしたいんです!」
平塚「だが比企谷の妹は」
八幡「そうです。アイツはウチの在校生じゃない。だから無理だ」
八幡「しかも小町しかDJ出来る奴がいない」
八幡「だからこの1件は忘れてください。お時間とらせてスイマセンでした」
平塚「……」
平塚「分かった。なんとか上に許可をしてもらえる様に頼んでおこう」
八幡「」
結衣「やったー!」
八幡「え?いや無理でしょう普通」
平塚「大丈夫だ、私に任せろ」
八幡「えぇー……」
平塚「なんだ比企谷、お前は出たくないのか?将来の夢は歌手じゃなかったのか?」
八幡「え、でも、その」
平塚「とにかく私に任せろ。絶対に妹も参戦出来るようにしてやる」
八幡「……はぁぁ。もう腹をくくるか」
結衣「やったねヒッキー!」
八幡「ああ、嬉しすぎて涙が出ちまいそうだよ」
平塚「その割には苦い表情してるぞ」
八幡(うわぁぁ…イヤだ…出たくねぇ…)
【放課後・部室】
八幡「……」
雪乃「……」
結衣「えーと…その…」キョロキョロ
~~~~
八幡(まだ夏の暑さが残っているハズなのに、外から来る風も、心の中も冷えきっていた)
八幡(そんなとき、クラスメイトの相模南から奉仕部に依頼にくる)
八幡(結果、雪ノ下が依頼を引き受けて、しばらく奉仕部はお休みになる)
~~~
結衣「もう!なんかもう!!」プンプン
八幡「いきなりどうしたんだ」
結衣「むぅ~~!YO、YO!気に入らないYO!」ミブリテブリ
八幡「!?」
サブレビッチ「ゆきのんマジでおかしいよ!いつもと違って超クレイジー!ヒッキーもおかしいよ!治まらない怒りの気持ちを伝える為に歌う事を維持!こんなの間違ってるアタシ嬉しくないし!ファック!さがみんのやり方はマジでイヤだし!おかげでアタシの怒りはもろ爆発感情剥き出し!ゆきのんとさがみん仲良くなるのもアタシイヤだし!あんな依頼マジ!無し無し!ゆきのんの能無し!ファック!!」
八幡「」
結衣「あ…あたし思ってたより、ゆきのんの事好きみたい…チェック」
八幡「お前は何を言ってるんだ」
結衣「とにかく!ゆきのんが困ってたら助けること!」
八幡「…できる範囲でな」
結衣「あとヒッキーも歌ってよ!ノリ悪い!」q
八幡(その後、依頼を受けた雪ノ下は副委員長として、相模の補佐を完璧にこなした)
八幡(だがあれはもう副委員長とか補佐の領域を完全に超え、代理委員長化している)
八幡(正直、良くも悪くもワンマンすぎる所がある。まあ相模は無能でもっと酷いが)
八幡(その最中、雪ノ下の姉の陽乃さんが、文化祭に有志団体で参加する話が)
~~~
陽乃「わぁぁ~!!ありがとう!!」ダキッ
相模「いえいえ…これで、地域との繋がりも、これでクリアでしょ?」
雪乃「……」
~~~
陽乃「ひゃっはろー!比企谷くん!」ミブリテブリ
八幡(うわぁぁ…この人にジェスチャーされるとマジうぜぇぇ…)イラッ
陽乃「あれ?なんで何も反応しないの?つまんなーい!」
八幡「……」
陽乃「それにしても意外だね、文化祭実行委員とか絶対やらなさそうなのに」
八幡「それはお宅の妹さんも一緒なんじゃないんですか?」
陽乃「雪乃ちゃんはやると思ってたよ?私も昔、文化祭実行委員長だったし。部活にも居辛いだろうし」
八幡「……」
~~~
八幡(その後、相模は雪ノ下さんに褒められて調子に乗ったのか、無責任な提案、仕事振りが始まる)
八幡(陽乃さんもまるで雪ノ下を煽るようにして、相模を擁護)
相模「雪ノ下さーん、お姉さんと何があったのか知らないけど、私情を挟まないど皆の事も考えようよ?」
雪乃「……」
陽乃「いや~本当に良いこと言うな~!ね?」チラッ
八幡「……ふん」
~~~
八幡(その後も、雪ノ下は他の人間の何倍もの量で仕事をこなしていた。効率性とやらを重視して)
葉山「手伝うよ、有志団体の取りまとめだけ、有志団体側の代表ってだけで」
めぐり「雪ノ下さん、誰かを頼るのも大事だよ」
雪乃「……っ」
八幡「……」
八幡「……」フラフラ
葉山「……?ヒキタニくん、何やってるんだ?」
八幡「あれ…体が勝手に…」
――おいおい、何をとぼけてやがる
八幡「……」
――もうとっくに覚悟は出来てるハズだ。いくぞ
八幡「」ドクンッ
Mr.ボッチ「YO、YO」ミブリテブリ
全員「!?」
葉山「キミ…まさか…」
Mr.ボッチ「イェイ、葉山のいう事も間違ってないぜ最高。めぐり先輩のいう事も正しいぜ感動。その麗しい仲間意識みんなに賞賛される賛同」
Mr.ボッチ「だがおかしいぜ。孤高を貫いて来たの者の生き方をなぜ否定?これ俺の生き方までをも全否定。気分最悪だぜオレは悔しくて心が痛ぇ」
Mr.ボッチ「ファック、許せねぇよ、気にいらねぇよ。見てみろ、考えてみろ。ここに居ない頼るき満々のおバカさん。無責任な存在感。仕事の足を引っ張る存在は癌(ガン)。体裁だけ整える天才か。イェイ」
Mr.ボッチ「ま、要するにオレ以外の誰かが楽してるのは許せないって意味だよ。チェック」
全員「」
めぐり「」
八幡「あ、今のはただの独り言なんで…まあ、気にしないで…くれ」
葉山「は、はは。そっちも手伝うよ」
実行委員1「ねぇ、何アレ」ヒソヒソ
実行委員2「さあ」ヒソヒソ
雪乃「……」
雪乃「お手伝いの件、城廻先輩のご判断もありますし、承ります…ごめんなさい」
~~~
雪乃「相模さん、ここに決裁印を」
相模「そう、ありがとう」ポンポン
相模「ていうかウチの判子を渡して置くから、次からは勝手に押しちゃって良いよ。ほら?委任って奴?」
雪乃「では次からは私の方から決裁します」
相模「楽しいことやってると1日が早―い!んじゃ、お疲れ様でした!」
全員「……」
八幡(アイツら…)
【次の日】
八幡(翌日、雪ノ下が風邪で休んだことを平塚先生から教えられる)
八幡(仕方なくオレと由比ヶ浜は、見舞いに行くことに)
八幡(ラップ口調で、雪ノ下を論しようとした由比ヶ浜をなだめた。さすがに病人相手にラップは歌えん)
~~~
結衣「あのね…ゆきのん。あたしとヒッキーを頼って!誰かとかじゃなくて、あたし達を!」
八幡「……」
雪乃「……」
~~~
雪乃「由比ヶ浜さん…今すぐは難しいけど、いつかきっとアナタを頼るわ」
雪乃「だから、ありがとう」
結衣「うん…」
八幡「由比ヶ浜、後はヨロシク」
結衣「あ、ちょっと…!」
~~~
八幡「自分が変われば世界が変わる…そんなの嘘だ。都合の良い嘘を押し付けられて、妥協させられてるだけだ」
八幡「誰もが自分を理解してくれる訳じゃない。むしろ否定される事ばかりだし、理解してほしいとも思わん」
八幡「だがそれでもオレは歌う。そしてオレのやり方で、世界を変えると言う事を…教えてやる」
【その頃、雪乃と結衣】
雪乃「由比ヶ浜さん、今日は来てくれて本当にありがとう」
結衣「ううん…ゆきのんも、迷惑じゃなかった?」
雪乃「そんな事ないわ」
結衣「そっか良かった」
雪乃「…………」
雪乃「由比ヶ浜さん、あの」
結衣「ん?」
雪乃「私…入っても良いわ。アナタと比企谷くんのグループに」
結衣「え、ほんと!?」
雪乃「いつもいつも、グループに入らないかって、私を誘ってくれて…本当はうれしかった」
雪乃「そして今日はお見舞いまで来てくれてた。感謝してるわ」
結衣「ゆきのん…」ウルウル
雪乃「でもまだ、ヒップホップを音楽的に嫌悪感を抱いているのも事実」
雪乃「私が今までアナタ達のグループに入らなかったのは、その嫌悪な気持ちを抱きながら一緒に音楽活動するのが申し訳なくて…だから…」
結衣「それならラップをちゃんと聴こうよ!千葉村行く時に、平塚先生の車の中でも聴いてたように!」
雪乃「そうね…いつまでも先入観ばかりは良く無いわ」
雪乃「ともかくグループには入るわ…ただ」
結衣「?」
雪乃「とりあえず、文化祭の発表までの『臨時メンバー』って形で良いかしら?」
結衣「臨時…メンバー…」
雪乃「正式にメンバーとして入るか否かは…もう少し考えさせて」
結衣「……うん。わかった!ゆきのんの気持ちが少し変わってくれただけでもアタシ、嬉しいから」
雪乃「ところで夏休み中は、どれ位の頻度で活動をしていたのかしら?」
結衣「んっとね、ほぼ毎日」
雪乃「え…ま、毎日?」
結衣「うん」
雪乃「えっと…比企谷君の家で…活動してるのよね?」
結衣「うん。家っていうか、ヒッキーの部屋だけどね」
雪乃「……」
結衣「あと、スタジオなんかもたまに行ってたよ」
雪乃「えっと…いずれにしても…毎日、彼と会っていたのかしら?」
結衣「うん!とっても楽しかったよ!」
雪乃「……1日どれ位の時間、彼と過ごしたのかしら?」
結衣「んーっとね、大体朝の9時から、夜の9時まで」
雪乃「じゅ、12時間も…毎日…?」
結衣「うん。あ、でもたまにヒッキーが予備校行ってる時もあったけど、その時も8時間くらい居たかな」
雪乃「そ、そんなに多くの時間を彼と共に…」
結衣「でも実際、練習してたのは5~6時間くらいで、残りの半分は適当に遊んだり、ダラダラしたり…あとたま~に宿題一緒にやってた」
結衣「あ、夕飯なんかも一緒作ってたかな…アタシがやってたのは食器洗いだけだけど」
雪乃「まあともかく…充実した日々を送ってたのね」
結衣「うん!」
雪乃「…………」
雪乃(比企谷君の部屋に毎日…)
雪乃(比企谷君と…毎日…)
雪乃「………」ドクンッ
【次の日・会議】
雪乃(…………)ボーッ
相模「雪ノ下さん!」
雪乃(比企谷君と…毎日…)ボーッ
雪乃「へ?」
相模「もう会議!始まるよ!」
雪乃「え、ええ…」
雪乃「それでは、本日の議題はスローガン決めです」キリッ
~~~
八幡(その後、なにかツッコミ所満載なスローガンが多々発表されていく)
八幡(まあ最も、オレのこれから発表するスローガンも他の連中からすれば、おかしいのかも知れんが)
相模「それじゃ最後、ウチらからのスローガンを」
『絆~共に助け合う文化祭~』
八幡「うわぁぁ…」
相模「ぅぅ…何かな?何か変だった?」ピキピキ
八幡「いや別に」
相模「何かあるんじゃない?」
八幡「はあ、まあ別に」
相模「ふーん、何か良い案あるなら言ってね」
八幡「……それじゃ」カキカキ
八幡「『人~良く見たら片方楽してる文化祭』」
全員「」ゼック
陽乃「くく…ははは!あはははは!!バカだ!バカがいる!!あっはははは!いや~お腹痛い…あたしは結構好きだよ?」b
平塚「おい陽乃その辺にしろ。比企谷、説明を」
八幡「……」ガタッ
全員「ん…?」
八幡「……」フラフラ
葉山「おい、比企谷…お前…」
Mr.ボッチ「YO…人と書いて支えあう?ファック、良く見たら片方寄りかかってるぜ」
Mr.ボッチ「誰も気付いてなくて残念。誰かが犠牲になるってのが人としての概念。そうさ無責任な奴がいるせいで気分は最低」
Mr.ボッチ「まさに文化祭実行委員に相応しいぜ、イェイ」ミブリテブリ
Mr.ボッチ「オレとかまさに犠牲、押し付けられた仕事量をこなすオレの生真面目な姿勢。これがアンタの言う共に助け合うという信念たる至誠?冗談じゃねぇ!ファックユー!!」
Mr.ボッチ(オレは相模の目の前まで歩く)テクテク
Mr.ボッチ「……」
相模「な、何よ…」
Mr.ボッチ「さて前振りは終わりにします」
全員「?」
Mr.ボッチ「えーこれより相模南の公開処刑を開始します」
全員「!?」
Mr.ボッチ「被告人、せいぜい覚悟しろ…イェ」
Mr.ボッチ「YO…オレは孤高で孤独のヒップホッパー。道化師Mr.ボッチ。だが今日のオレの役目は処刑人」
Mr.ボッチ「見てくれよ、コイツが今日の受刑者・相模南」
相模「」
Mr.ボッチ「それと脇に居る寄生虫の女が二人」
ゆっこ・遥「」
Mr.ボッチ「YO、YO」
Mr.ボッチ「委員長になることで自身の成長?よく言うぜつまらんプライド掲げる自分の威信を提唱。周り見下したいだけがお前の本性。実力も無いのによく言うぜお前の頭の中マジでイカれてる重症」
Mr.ボッチ「脇に居る女二人はただの無能。見ていて見苦しいぜこの低脳。精々付いてけばいいさ相模とか言うあのバカ帝王」
Mr.ボッチ「ついでにお前らの実態もバラしてやろうか?」
Mr.ボッチ「委員長になったのは単なるノリだと言ってたお前の思考が痛い。そのあと奉仕部の雪ノ下に『委員長の補佐』を依頼。YO、お前は言った協力し合うのも成長。だがお前が一番協力してないマジ無成長、オレは呆れてラップを独唱(どくしょう)」
Mr.ボッチ「副委員長に活躍取られたら途端に嫉妬。自分の無能さを理解したハズだぜきっと。YO、そのくせ雪ノ下の姉におだてられ調子に乗りだす。恩を仇で返し嫌味を言う始末。救いようの無いバカこいつはマジお粗末」
Mr.ボッチ「最後に質問良いかい?雪ノ下が体調崩してた時お前何してたんだい?ま、正直聞くまでも無い」
Mr.ボッチ「公開処刑はこれにて終わり。あとお前、このままだと本番でミスるぜ?チェック」
相模「」
ゆっこ・遥「」
全員「」
八幡「ぜぇぜぇ」
八幡「……ま、随分と説明が長くなったけど、以上がこのスローガンを立てた理由です」
全員「」
平塚「……」
陽乃「くく…ははは!あはははは!!比企谷くん最っ高!!あっはははは!」
平塚「陽乃…笑うのは止めろ」
相模「」
全員「………」
八幡(陽乃さんの笑い声が止まると、一瞬、静寂になる)
八幡(実行委員たちは何を思っているのだろうか)
八幡(相模への更なる不信感の増長か、はたまたオレへの軽蔑か)
雪乃「ぷっ…くくくく…フフフフ…」
全員「……!?」
八幡「……」
八幡(静寂を断ち切ったのは雪ノ下の笑い声だった)
雪乃「比企谷君、却下」ニッコリ
八幡(程なくして会議は終了。スローガン決めは後日に)
実行委員1「そうか、最初から雪ノ下さん頼みだったんだ」
実行委員2「どうりでおかしいと思った訳だ」
八幡(相模の信頼は決定的に落ちた)
相模「」
八幡(その彼女は完全に消沈)
八幡(だが、批難の対象は相模だけでない)
実行委員3「なあ、なにあのキモラッパー」
実行委員4「普段ネクラそうなのに何あれ。アイツもアイツで調子こいてるよな」
八幡(まあ分かってたよ。俺の評判も悪くなること位)
平塚「比企谷」
八幡「先生」
平塚「えい」ゴンッ
八幡(げん骨を頭にぶつけて来るが、さほど痛くない。いつもの鉄拳制裁とは違う)
平塚「お前はあの状況でハッキリと言いすぎだ…でもまあ、あの相模にはこれ位のショックが必要なのも事実だ」
平塚「この後の彼女のフォローは私の役目としよう。今日はお疲れ様」
八幡「うす」
~~
平塚「相模」ポンッ
相模「あ、先生…」
平塚「アイツには説教しておいた」
相模「どうも」
平塚「だがアイツのキチガイラップの中には正論はあった…お前は謙虚な気持ちを忘れてた」
平塚「まあ雪ノ下もワンマン過ぎる所はあったが…そこに意地でも喰らいついて行くのが成長って物だろ、違うか?」
相模「……」
平塚「私が思うに、比企谷の言うとおり、このまま行けばキミは本番でミスをする」
相模「……っ」ビクッ
平塚「それと別に奉仕部に頼るのは悪くない、むしろどんどん頼ってくれ」
平塚「だが甘えたり、活動を軽くみたり、恩を仇で返したり嫉妬はよくない」
平塚「だから…ここからは全力で望みなさい」
相模「……はい」
葉山「比企谷」
八幡「葉山、そういえばやっとオレの名前を覚えたんだな」
葉山「流石にさっきのは良い過ぎた」
八幡「ムシャクシャした想いをラップにして歌って何が悪い」
葉山「あれじゃあ彼女も不憫だし、お前も…」
八幡「俺の事なんてどうだって良い。どうせ何やったって認められないんだ」
八幡「相模に関してはアレだ。平塚先生がフォローしてくれてる。あとはアイツ次第」
八幡「オレは帰る。どけ」
葉山「……」
相模「……あ、葉山くん」トボトボ
葉山「さっきのは気にしなくて良いよ。俺から比企谷には注意しておいた」
葉山「それにオレも奉仕部で相談に乗ったことはある、だから気にしなくて良いと思う…ただ、これからはしっかり頑張ろうね?」
相模「……うん!!」ボロボロ
八幡(帰り、雪ノ下に呼び止められた)
~~~
雪乃「どうでも良いことは良いわけするのに、大事な事は良いわけしないのね」
八幡「人間大事な時ほど、勝手に判断するんだよ」
雪乃「そうね…良い訳なんて無意味だもの、ならもう一度、問い直すしか無いわね」
八幡「……」
雪乃「……」フラッ
八幡「ん?」
雪乃「……」フラフラ
八幡「雪ノ下?」
雪乃「YO、YO」
八幡「……!!?っ!!?」
雪乃「ねぇ、さっきのアレは何?センスの欠けらも無い。目も思考も本当に腐っているキチガイ。もう一度やり直しなさい人生そうでないと残るわ悔い。あ、元々アナタは人じゃなかったわねゴメンなさい。でもゾンビでも良いから自分を改めなさいその存在」
雪乃「もっとも、私の言ってる事を理解出来てるのか怪しいけれどもね、ェック」
八幡「」
雪乃「……」
雪乃「な、何か言いなさい」
八幡(なんてエレガントなラップなんだ…)
八幡「えーっと…?雪ノ下…?」
雪乃「全く…折角ラップを歌って上げたのに、気の利かない反応ね」テクテク
八幡「……じゃあな」
雪乃「ええ、さよなら」クルッ
八幡「ん?」
雪乃「……///」凸
八幡「!?」
八幡(さっきのラップにも驚いたが、またしも俺は驚かされる)
八幡(頬を真っ赤に染めながら、中指を立てる雪ノ下の姿が目に映る)
雪乃「また、あした…ファ、ファック…ユー…///」凸
八幡(彼女の謎のノリに答えるため、オレも笑顔で返答する)
八幡「また明日な」凸
【次の日・文実活動終了後】
雪乃「比企谷君」
八幡「どうした」
雪乃「昨日、言いそびれてしまったのだけれど」
八幡「おう何だ」
雪乃「私も、アナタのヒップホップグループ入るわ」
八幡「……は?」
雪乃「だからヨロシク」
八幡「どういう風の吹き回しだ?」
雪乃「由比ヶ浜さんに前々からずっと誘われていて…私もその、考えが変わっていったの…」
雪乃「それに……」チラッ
雪乃「………」ジーッ
八幡「な、なんだよこっちをジロジロと」
雪乃「……」カァァァ
八幡(おい…おいおい、なぜ上目使いしながら頬を赤く染める)ドキドキ
八幡(か、かか、勘違いしちまうじゃねぇか…)ドキドキ
八幡「なんだよ、なんか言えよ」
雪乃「……ゴ、ゴホン。まあ同じ部活のメンバーと、音楽活動をやるのもやぶさかでは無いと言うか」
雪乃「ただ、臨時メンバー希望だから…まだ正式じゃないから、そこは理解して頂戴」
八幡「あ、ああ。まあ臨時とは言え、自らメンバー入り希望するのは意外だな」
雪乃「そこでお願いが」
八幡「おう」
雪乃「これから一緒にヒップホップのCDを購入したいのだけれど」
八幡「え、構わんが…お前、ラップ嫌いなんだろ?」
雪乃「食わず嫌いを治すわ、全力でね」
八幡「いや無理せんでも」
雪乃「……」ジトッ
八幡「……はぁぁ、まあ良いや」
八幡「でも今日の由比ヶ浜は放課後、三浦達と出かけるぞ?」
八幡「別な日が良いんじゃ?」
雪乃「あらそうなの、それなら別な日に…」
雪乃「……」
八幡「じゃあな」クルッ
クイッ
八幡「っ!!な、何だよいきなり服の裾を引っ張って」
雪乃「……」クイクイ
八幡(いやいや、そんな無言で服を掴むなよ!しかも何で顔が、そんなに真っ赤なんだよ…)
雪乃「あの、比企谷くん」
雪乃「……二人で買いに行きましょう」カァァァ
八幡「」
今日はここまで
>>148(訂正)
葉山「比企谷」
八幡「葉山、やっとオレの名前を覚えたんだな」
葉山「流石にさっきのはやり過ぎだ」
八幡「ムシャクシャした想いをラップにして歌って何が悪い」
葉山「あれじゃあ彼女も不憫だし、お前も…」
八幡「俺の事なんてどうだって良い。どうせ何やったって認められないんだ」
八幡「相模に関してはアレだ。平塚先生がフォローしてくれてる。あとはアイツ次第」
八幡「オレは帰る。どけ」
葉山「……」
相模「……あ、葉山くん」トボトボ
葉山「さっきのは事だけど…俺から比企谷には注意しておいた」
葉山「実はオレも奉仕部で相談に乗ったことはある、だから気にしなくて良いと思う…ただ、これからはしっかり頑張ろうね?」
相模「……うん」ボロボロ
>>149(訂正)
八幡(帰り、雪ノ下に呼び止められた)
~~~
雪乃「どうでも良いことは良いわけするのに、大事な事は言い訳しないのね」
八幡「人間大事な時ほど、勝手に判断するんだよ」
雪乃「そうね…言い訳なんて無意味だもの。ならもう一度、問い直すしか無いわね」
八幡「……」
雪乃「……」フラッ
八幡「ん?」
雪乃「……」フラフラ
八幡「雪ノ下?」
雪乃「YO、YO」
八幡「……!!?っ!!?」
雪乃「ねぇ、さっきのアレは何?センスの欠けらも無い。目も思考も本当に腐っているキチガイ。その人生もう一度やり直しなさい。そうでないと残るわ悔い。あ、元々アナタは人じゃなかったわねゴメンなさい。でもゾンビでも良いから自分を改めなさいその存在」
雪乃「もっとも、私の言ってる事を理解出来てるのか怪しいけれどもね、チェック」
八幡「」
雪乃「……」
雪乃「な、何か言いなさい」
八幡(なんてエレガントなラップなんだ…)
【繁華街】
八幡「えーと…っとコレと、コレなんかおススメだぞ」
雪乃「そ、そう」
八幡「……」
八幡「あー…そのさ。早いところ引き上げた方が良いんじゃないか?」
雪乃「?」
八幡「オレと二人でいる所、他の同級生に見られたら色々と厄介だろ」
雪乃「あら気遣ってくれてるのね。でも安心しなさい。アナタなんて居ても居なくても大差ないのだし、注目される事もないわ」
八幡「なにそれ、オレは空気の様な存在とでも言いたいのか?」
雪乃「あら、なけなしのその脳みそで理解出来たのね意外だわ…」
八幡「なあお前はオレをいちいち貶めないと気が進まないのか?」
雪乃「フフフ」
八幡「…っんだよ」ドキッ
雪乃「さあ、CDだけでなくプロモーションDVDとライブDVDも購入しないと」
【帰り道】
雪乃「久しぶりに沢山CDを買ったわ」
八幡「別に買わんでもオレが貸してやったのに」
雪乃「アナタからレンタルするなんて、屈辱以外何物ないわ。気持ち悪い」
八幡「どうしてCDを貸すだけで、屈辱に繋がるんだよ」
ガヤガヤ
通行人1「う、うわぁぁ…!」ササッ
通行人2「ひっ…避けろ…」ササッ
雪乃「…?何かしら、前に歩いてる人達が一斉に道を開け始めたわ」
八幡「何だこのデジャブ感。イヤな予感がする」
ザッザッザッ
不良達・DQN「……」ギロッ
八幡「」ビクッ
雪乃「比企谷君…?」
八幡「雪ノ下、何があっても相手すんなよ?あと目線を逸らせ」ヒソヒソ
雪乃「……ええ」
八幡(頼む!何も反応しないでくれ!!)
DQN「……」チラッ
八幡「……」ガクガク
DQN「……フン」テクテク
八幡「……ホッ」
不良1「あ!Mr.ボッチだ」
八幡「っ!?」ビクッ
不良2「本当だ…ってあれ?この間の彼女とは別な女といるぜ」
不良3「なになに?これってもしかして浮気現場?」
八幡「いやこれは…」
雪乃「え…う、浮気?ひ、比企谷くん、アナタ彼女いたの…?」サァァァ
八幡「いやいや誰とも付き合ってないから」
八幡(って、何でそんなに顔蒼ざめてるんだよ!?か、勘違いしちまうだろ…)
八幡「あれだよ、前に由比ヶ浜と花火大会に行ったって、お前の姉ちゃんから聞いてるだろ?その時にアイツらとあって…」ヒソヒソ
雪乃「そ、そう…って、それよりあの下劣極まりない集団は何?」ヒソヒソ
八幡「話すと長くなる、後でな」ヒソヒソ
八幡「いや、ま、その、せ、せせ、先日はどうも」ガクガク
八幡(やっべ汗が止まらん…こぇぇ…)ダラダラ
不良1「つーかその制服、もしかして総武高校?」
不良2「ぎゃははは!マジかよ、進学校のお坊ちゃまだったのか!」
不良3「よくラップなんかやる気になったなお前。似合ってねぇし」
八幡(別に必ずしも不良ばかりラップをするとは限らんだろ。近年じゃ中流層の真面目な人間がラップするのだって珍しくないんだぞ!…なんていったら殺されそうだから言わんが)
DQN「お前らそんな奴ら放っておけ。行くぞ」
不良1「まあまあリーダー!見てくれよ…極上のJKがいるぜ」
雪乃「……」ジッ
八幡(雪ノ下はまるでゴミを見るような目で彼らを睨んでいる…オレを罵倒する時と比べ物にならないほど蔑んだ目で)
不良1「んで、今日はそこのお嬢様とデート?ガリ勉君も下半身だけはお盛んだな」
不良2「その子は清楚系って奴?良いね!俺たちの知り合いの女は股ゆるいビッチしかいないしな。ぜひ貸してくれよ」
雪乃「……」ピキピキ
八幡「……」チラッ
雪乃「……」コクッ
八幡(怒りに満ちてる雪ノ下に、オレは無言で目線を送る)
八幡(『言われなくても分かってるわ』と言いたげに頷く。流石の雪ノ下も口で反抗すべき相手を弁えてる様だ)
不良3「お前らそんなにそこのお嬢様が気に入ってるのか?」
不良1・2「え?」
不良3「おれはさ、前に花火大会であったあのビッチもどきの方がタイプなんだけどな」
雪乃「……ビッチもどき?」ピクッ
八幡「おい、落ち着け」ボソッ
八幡(オレが普段アイツに投げかける冗談と、彼らの由比ヶ浜への悪口の重さは違った。雪ノ下の目は一気に絶対零度へと変化していく)
雪乃「ねぇ比企谷君…今の会話の流れからして、まさかビッチもどきと言うのは」ボソッ
不良3「だってあの子の方がエロそうじゃん!オレは股ゆるそう奴の方が好きだし」
不良1・2「あーわかるわかる。1回抱かれたら後はもう夢中になってそうだしな!」
不良1~3「ぎゃはははは!!!」
雪乃「」ブチッ
八幡「っ!!?止めr」
雪乃「あなた達、比企谷君以下ね」
不良1~3「ん?」
雪乃「さっきから卑猥な言葉ばかり。人の友人を何だと思ってるのかしら。あなた達みたいな低脳が気安くry」
八幡「やめろぉぉぉ!!!」
全員「!!?」
八幡「やめろ!やめろ!!」
雪乃「」
八幡「ぜぇぜぇ…」グスッ
八幡「やめろ、何も言うな…く…ぅぅ…」ボロボロ
雪乃「比企谷君…アナタ…泣いてるの?」
八幡「ぜぇぜぇ…」クルッ
八幡(雪ノ下の怒りを制止した後、オレは不良達の方に向かい、再び『本気』を見せ付ける)
八幡「お願いします!!その…大切なメンバーなんで…どうか許して下さい…」土下座
不良1~3「……」ポカーン
DQN「お前ら、いつまでそんな奴らと話してるんだ。いくぞ」
不良1~3「リーダー」
DQN「確かに上玉だ。度胸もありそうだしな。だが所詮は勉強ばかりやってるお嬢様だ」
DQN「オレも股がゆるい女の方がタイプなんだよ。堅物に興味ない」
不良1~3「ぎゃははははは!!」
DQN「だがお前ら、からかうのもその辺にしておけ。カタギの連中に手出すのはダセェ連中がやる事だ」
八幡(カタギって…お前は元ヤクザか何かなの?)
DQN「俺たちはこれから違うチームをぶっ潰しに行く。じゃあな。行くぞお前ら」
不良達「うす」
八幡(やっと終わった…)
DQN「あーそうそう」
八幡「」ビクッ
DQN「近いうちに俺たちのチームで、イベントを開こうと思う」
DQN「ま、お前には関係ない話か。ラップも喧嘩も出来ない腰抜けだしな」
八幡「イベント…」
雪乃「……」
雪乃「はぁぁ…それで比企谷君、さっきのは何だったの?」
八幡「……」
雪乃「アナタにはマトモな知り合いがいないのかしら?まさかあんな下劣極まりない集団とお知り合いだなんて見損なったわ。想像以上に品のない人間なのね」
八幡「バカヤロウ…」
雪乃「……っ」
八幡「あんな危なそうな連中…相手してんじゃねぇよ…」プルプル
八幡「全く…お前と言い、由比ヶ浜と言い…なんであんな連中相手にキレかけるんだよ…」グスッ
八幡(まあオレも1回ブチ切れたけどさ)ボロボロ
八幡(って、なんでまた泣いてるんだよ…チクショー…つい最近まで雪ノ下を許せないんじゃなかったのかよ…)ボロボロ
八幡「すまん…その、色々な意味で」
雪乃「……」
八幡「さっきの連中だけど…アイツらのリーダーと以前、ライブハウスでラップバトルしたんだよ。運悪くな」
雪乃「……つくづく哀れな男ねアナタわ」
八幡「っるせーほっとけ」グシグシ
雪乃「はい」ススッ
八幡「……?」
雪乃「ハンカチよ」
八幡「いや、いいよ」
雪乃「良く無いわ」ススッ
八幡「おい…!」
八幡(覗き込むように俺を見て、雪ノ下はハンカチでオレの目元をゆっくりと拭き始める)
雪乃「……その、ありがと」フキフキ
八幡「は?何言ってんだ…巻き込ませちまったのは俺のせいだろ」
雪乃「……」
八幡「……じゃあな、もう駅も近いだろ?」クルッ
雪乃「待って」グイッ
八幡「なんだよ」
雪乃「ウチによって来なさい」
八幡「……は?」
【雪乃の部屋】
雪乃「はい紅茶」
八幡「あ、悪い」
雪乃「早速、聴きましょう」
八幡(そういって雪ノ下は、コンポにCDを入れる。その後になぜかノートとシャーペンを用意し始める)
八幡「なぜノートにシャーペン?」
雪乃「採点をするの」
八幡「……もしも点数が低い物ばかりだったりどうすんだよこれから」
雪乃「好きになるまで聴き続けるわ」
八幡「あのよ、オレだって全ての曲が好きって訳じゃないんだぞ?言葉悪いが捨て曲ってのがあってだな…」
雪乃「それでも努力するわ。何回も何回も聴いて…」
雪乃「アナタと由比ヶ浜さんと…同じ感性と手に入れるわ」
八幡「感性なんて人それぞれだ。限界がある」
雪乃「それでも、それでも感覚を共有したいの…あなたと」
八幡「っ」ドキッ
雪乃「さあ、聴きましょう」
八幡「ああ」
~~~
八幡(オレが勧めたCDに半分がエミネムだったので、まずはそこから聴き始める)
八幡(ベストアルバムを勧めたが、全ての曲を聴きたいとの事で、結局一から全部視聴する覚悟のようだ)
~~~
雪乃「5点」カキカキ
八幡「嘘だろ…今の曲をそんな低評価するのかよ」
雪乃「もう一度、聴くわ」
八幡「へ?」
雪乃「もう一度、聴くわ。好きになるまで」
雪乃「アナタと由比ヶ浜さんを理解したい…だから聴くわ」
八幡「それなら、一旦全部の曲を一通り聴いてからでも遅くないだろ」
八幡「今日一日だけで何枚CD買ったと思ってんだよ」
雪乃「そうね。低評価の曲は後でまた聴き直しましょう」
雪乃「……」カキカキ
八幡(ふと、ノートを見ると殆んどが低い点数ばかりだった)
♪~♪~
雪乃「……」
八幡(こいつ、いつまで続ける気だ…つーか)
八幡「なあ、今更だがオレここにいる必要なくね?」
雪乃「良いからいなさい」
八幡「なんで」
雪乃「……何でも、よ」
八幡「ただ聴くだけならオレがいる必要ないだろ?だから帰る」
グイッ
八幡「な、なんだよ…服の裾を掴んで…」
雪乃「由比ヶ浜さんとは夏休みは毎日、一緒にいたのに、私といるのはイヤなのかしら」
八幡「はぁ?な、なんで今ここで由比ヶ浜が出て来るんだよ」ドキッ
雪乃「……少なくとも9時頃まではいなさい」
八幡「わかったよ」
八幡(そういえば由比ヶ浜も毎日9時頃までウチにいたっけな…って、それは関係ないよな、多分)
八幡(低評価を続けた雪ノ下が、突然に高評価出した)
雪乃「……100点」カキカキ
八幡「っ!?いきなり高評価だな」
雪乃「このMockingbirdという曲は素晴らしいわ」
♪~♪~
雪乃「この『When I'm Gone』という曲も素晴らしいわ」ボロボロ
八幡(あのラップ嫌いな雪ノ下がガチ泣きしてる…だと…)
雪乃「文句なし100点ね」カキカキ
♪~♪~
雪乃「アナタの一押しの曲『Lose Yourself』もなかなかね…100点」
八幡「まあその曲を評価してもらえて安心した」
八幡「まあなんつーか…おの好みの曲の傾向は大体わかった気がする」
八幡「内容がクソ真面目な物か、バラード物に偏ってるな」
雪乃「……言われてみればそうかもね」
八幡(時間が9時を回ったので、オレは帰ること)
八幡「んじゃ、またあしたな」
雪乃「……夕食くらい作ってあげても良かったのだけれど」
八幡「いや、これ以上長居は悪いし。つーか小町に怒られる」
雪乃「……」
雪乃「明日、土曜日よね。練習あるの?」
八幡「そういや明日休日なんだっけ…すっかり忘れてた」
八幡「だとしたら練習日だ。由比ヶ浜の奴も来るだろうな」
雪乃「……私も行って良いのかしら」
八幡「まあ臨時とはいえ、メンバーだしな。良いんじゃね?」
雪乃「それでは明日、楽しみにしてるわ」
八幡「おう…あんま夜更かしすんなよ」
雪乃「愚問ね。私はこの後も聴き続けるのだけれど」
八幡「別に今日全部聞く必要ないだろ…」
八幡(そういや材木座の依頼の時ですら一夜漬けしてたんだよなコイツ…どんだけ生真面目なんだよ)
【翌日・比企谷家】
ピンポーン
小町(眠い…)
小町「はいはい」ガチャッ
雪乃「おはよう、小町さん」
小町「えっ…ええー雪乃さん!!?どうしたんですか!?」
八幡「おう来たか」
小町「え…」キョロキョロ
小町「あっなるほど」
小町「あ、お兄ちゃん!小町用事を思い出したから出かけてくるね!」
八幡「待て待て、お前に話しておく事がある」ガシッ
小町「離せゴミ。空気読めファック」凸
八幡「頼むからゴミの後に兄ちゃんと言ってくれ」凸
~~~
小町「ええ~~!?雪乃さんもメンバー入りするんですか!!」
雪乃「ええ…まだヒップホップの事はあまり詳しくないけど」
雪乃「臨時メンバーと言う形で入るのだけれど…いいかしら?」
小町「勿論ですよ!あ、それじゃお兄ちゃん!小町は祝福のケーキを買ってくるので出かけてきます!」ダダッ
八幡「いや祝福とかいらんだろ…って行っちった」
八幡(それから1時間後、小町は由比ヶ浜を連れて帰宅してくる)
【八幡の部屋】
結衣「それじゃゆきのんがメンバー入りを記念して」
小町「かんぱーい!」
雪乃「どうも…//」
八幡「大げさだな」
結衣「ってか、ゆきのん大丈夫?目の下に隈が出来てるけど」
雪乃「実は昨日、夜更かしをしてしまって」
八幡「お前、まさかあれから本当にずっとCDを聴き続けたのか?」
雪乃「……6時ごろに我慢できなくて寝てしまったわ」
八幡「お前ほとんど寝てないじゃないか…」
結衣「え、ヒッキーも途中までいたの?」
八幡「ま、まあな」
結衣「……むぅぅ」プクッ
八幡「んだよ」
結衣「なんでもない!」
結衣「それでゆきのんもMC担当になるの?」
雪乃「ええ、でも歌う事以外にもやりたい事が」
小町「やりたいこと?」
雪乃「演奏がしたいわ」
八幡「……?小町がDJをやってるが」
雪乃「その…ピアノとかバイオリンを弾いてみたい」
八幡「ピアノやバイオリンか…確かにラップで演奏されてるの結構あるな」
雪乃「ピアノ、ギター、バイオリン…楽器なら大抵なんでも扱えるわ」
小町「え、本当ですか!?もしよければ小町にも色んな楽器を教えてくれませんか!?」
雪乃「小町さんはターンテーブル専門なのでは?」
小町「既存の曲をサンプリングするだけでなく、オリジナルのトラックを作りたいんです!だからお願いします!」
雪乃「そういう事なら…教えてあげても良いけれど」
小町「やったー!」
八幡「思わぬ所に講師がいたものだな」
結衣「じゃあゆきのんは、MC兼…ピアニスト?ヴァイオリニスト?」
八幡「基本的にはどうしたい?」
雪乃「そうね、とりあえずピアノメインで」
雪乃「そういえば比企谷君、私にステージネームを付けてくれるかしら?」
八幡「ステージネーム?」
雪乃「小町さんはリトルタウン、由比ヶ浜さんはサブレビッチ、アナタはMr.ボッチ。私にもステージネームを」
八幡「オレがつけるのかよ…」
雪乃「言っておくけれど、ブルジョアは無しよ」
八幡「……じゃあリッチ。MCリッチ」
雪乃「却下」
結衣「雪ノ下雪乃…雪…ゆきのん……アイスノンとか!」
小町「良いですね!」
八幡「良いなアイスノン、決定だ」
雪乃「却下」
結衣・小町・八幡「えぇぇーー…」
雪乃「もっとマトモな名前を付けられないのかしら?」
八幡「なんでそんなに上から目線なんだよ…ったく」
八幡「雪ノ下雪乃…雪…雪…」
八幡「……ブリザードとかどうだ」
雪乃「ブリザード(大吹雪)ね…」
雪乃「……」
結衣「他に何かある?」ヒソヒソ
八幡「もう無難にYUKINOでよくね?」
雪乃「良いわ。気に入ったわ」
小町・結衣・八幡「え」
雪乃「良いわね。ブリザード…気に入ったわ。それにしましょ」
八幡「どうやら気に入ってもらえたようだ」
結衣「ヨロシクね!ブリのん!」
雪乃「そのあだ名はやめて頂戴。何か下品だわ」
八幡「DHA豊富そうなあだ名だな」
~~~
リトルタウン「それじゃそろそろ、練習始めますか」
リトルタウン「マイブラザーMr.ボッチ、サビレビッチさん、そしてブリザードさん!」
Mr.ボッチ・サビレビッチ・ブリザード「ok!」
ブリザード「あ、その前に小…リトルタウンさん」
リトルタウン「はいはい」
ブリザード「グループ名は改名するって聞いてたけど」
リトルタウン「あ、すかり忘れてた」
リトルタウン「どうするリーダーMr.ボッチ?」
Mr.ボッチ「は?オレがリーダー?冗談よしてくれ、創始者のリトルタウンか、性格的にブリザードにすべきだろ」
リトルタウン「そこは男で、かつ一番初期からのメンバーって事で責任を取るべきでしょ!このゴミ!」凸
Mr.ボッチ「わけがわからないよ」凸
ブリザード「良いんじゃないかしら?名ばかりリーダーって事で」クスクス
Mr.ボッチ「黙れファック」q
サブレビッチ「で、グループ名はどうするの?」
Mr.ボッチ「……」
Mr.ボッチ「奉仕部メンバーによるラップグループ…」
Mr.ボッチ「44Bってのはどうだ」
サビレビッチ「よんよんびー?」
Mr.ボッチ「違う。44B(フォーシブ)だ」
サブレビッチ「それって奉仕部とかけてる?」
Mr.ボッチ「ああ」
ブリザード「何か発音が違う気がするけど…まあ、アナタにしてはまともなグループ名だと思うわ」
リトルタウン「よーし!それじゃグループ名も決まったし、練習開始しましょ!」
サブレビッチ「OK!ノッテいこう!ほらボッチー!ブリのんも!」
ブリザード「頼むからブリのんはやめて」
Mr.ボッチ「魚食いたくなってきたな」
【翌週・学校】
陽乃「あ、委員長さん!」
相模「あ…どうも」ペコッ
陽乃「ひゃっはろー元気してる~?」
相模「ええーっと…その」
陽乃「えっとね、実は委員長さんに、お願いがあるの」
相模「え……」
~~~~
相模「わかりました!」
陽乃「ありがとう!」ダキッ
相模「いや~それほどでも」
相模「でも―――ですね」
陽乃「うん。―――で―――ってね」
相模「そうなんですか!」
陽乃「それじゃヨロシクね!」
相模「はい!」
陽乃「あ、くれぐれも内密にね」
相模「わかってます!」
陽乃「フフフ。比企谷くん、雪乃ちゃん…楽しみにしててね」
陽乃「とっておきの仕掛けを用意してあげるから」
今日はココまで
次回、文化祭本番
文化祭本番ではヒッキーたちの発表より、姉のんによる仕掛けの方がメインになるかも
投下します
前回の後書きにも書いたけど、ヒッキー達の発表より、姉のんの仕掛けがメインになるかも
八幡(あれから俺たちは練習を必死に積み重ねた)
八幡(雪ノ下は途中からの加入だが、メンバーの誰よりも、楽器演奏も歌も努力を重ねた)
八幡(そして本番を迎える)
【文化祭当日】
結衣「待たないで、コッチから行くの!」
八幡「そうか」ドキッ
八幡(まあ既に毎日、俺の家に訪れてはいるけどな…って、さっきの言葉の意味は俺に対して言ってるとも限らんが…)プイッ
結衣「はいこれお昼!ハニトー食べよう!」
結衣「んまーー!」パクッ
八幡「硬!モサモサしてるじゃん…」パクッ
結衣「……さがみん、ちゃんとミスせずに頑張ってたね」
八幡「まあ、実行委員長なんだし。挨拶くらいはしっかり出来なきゃダメだろ」
結衣「ヒッキーのおかげだね」
八幡「……」
結衣「さがみんとの1件。ちょっとやりすぎな感じはあるけど…荒治療って思えば、結果的にさがみんの為だったのかもね」
八幡「……別に俺は感情に身を任せてラップを歌っただけだ」
結衣「発表、楽しみだね!」
八幡「全然」
結衣「えええ!?何でよ!!ヒッキーのバカ!!ファック!!」凸
八幡「俺はステージに上がるのが怖くて仕方ないんだよ」凸
【体育館】
八幡(雪ノ下さんによる有志団体の演奏を観戦する)
雪乃「流石だわ…」
八幡「お前が褒めるとは意外だな」
雪乃「これでも私は姉さんを高く評価してるのよ…私もあんな風になりたい」
八幡「ならなくて良いだろ…そのままで」
雪乃「……っ」ドキッ
八幡「さて、俺たちもそろそろ準備しないとな」
雪乃「ええ…」
【体育館裏】
小町・結衣「YO、YO!あたしたちはもう準備万端だよ!」ミブリテブリ
八幡「おう、俺も準備は出来た」ミブリテブリ
結衣「ゆきのんは?」
八幡「まだ着替え中だ」
雪乃「お待たせ」コツコツ
結衣「あれれ?ゆきのんの格好…」
雪乃「何かおかしいかしら?」
結衣「イヤ、おかしくはないけど…思いっきり清楚な格好じゃない?」
雪乃「ごめんなさい。私、ダボダボした服は好きになれなくて」
八幡「ま、良いんじゃね?ファッションなんてどうだって…俺も小町から半ば強引に着せられてるし」
八幡「それよりもお前のその服装…」
雪乃「?」
八幡「由比ヶ浜のプレゼント買いに行った時と同じ奴だろ」
雪乃「そ、そうよ…お、覚えててくれたのね…」ドキッ
結衣「あ、本当だ!」
雪乃「それでは本番前に、軽く打ち合わせをしましょ」
小町・結衣「OK OK!」ミブリテブリ
雪乃「本来はリーダーである比企谷君が仕切るハズなのにね、ホント無能な名ばかりリーダーね」
八幡「強引にリーダーを押し付けられた俺が、どうして罵倒されなきゃならんのだ。っていうか、お前は奉仕部の部長なんだからお前がリーダーやるべきだ」
雪乃「さて、うるさいハエは放っておくとして」
八幡「おいテメエ」凸
雪乃「発表する曲は合計6曲」
雪乃「小町さんはトラックを流す際に、歌なし演奏のみのトラックを流す事を忘れないように気をつけて」
小町「アイアイサー!」
雪乃「それと比企谷君、アナタの提案だけど…ライブ中の合間のトーク担当は、由比ヶ浜さんで良いのかしら?」
八幡「何を戸惑ってる。むしろ適任だろ」
結衣「でもヒッキーは私たち44Bのリーダーだよ…?トークとかは普通はリーダーとかが」
八幡「俺が喋ったところで、会場が白けるのは目に見えてる」
八幡(それに無駄なトークとかしたくないし。淡々と歌っていたいし)
結衣「でも…」
八幡「いいか?ショーを盛り上げられるのは、お前しかいない。俺じゃお前のマネはできない」
結衣「……もう、ヒッキーずるい///」ドキドキ
~~~
結衣「あ、隼人くんたちだ!お疲れ~」タッチ
葉山「ありがと。結衣たちもがんばってね」タッチ
三浦「しっかり見てるからがんば」
結衣「それじゃお先!」
八幡「おう、しっかり盛り上げて来い」ガタガタ
八幡(はぁぁ…いつまでもビビッてる場合じゃねぇよな…)ガクガク
――そうだ、いい加減ハラをくくれ。ショータイムだ
八幡「っ」ドクンッ
Mr.ボッチ「うし、本気だす」ギンッ
(俺たちが歌う曲は決まっている)
(好きなラッパーであるエミネムの曲を歌う)
(歌う曲は、『Mockingbird』『When I'm Gone』『The Monster』『THE WAY I AM』『Rap God』そして『Lose Yourself』の計6曲)
(じっくり話しあって決めた曲を、今日俺たちは披露する)
発表曲一覧
・Mockingbird
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6306145
・When I'm Gone
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4620611
・The Monster
http://www.nicovideo.jp/watch/sm22474340
・THE WAY I AM
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6959283
・Rap God
http://www.nicovideo.jp/watch/sm22344850
・Lose Yourself
>>8
司会「続きまして、ヒップホップグループ『44B(フォーシブ)』の発表です」
パチパチパチ
サブレビッチ「YO、YO!やっはろーー!」ミブリテブリ
生徒1「あ、由比ヶ浜さんだ!」
生徒2「本当だ!」
三浦「がんばー結衣!!」
サブレビッチ「あたしは2年F組!MC…サブレビッチこと由比ヶ浜結衣だよ!イェイ!」凸
サブレビッチ「それじゃ早速だけど、曲を流しながらメンバー紹介始めるね!」
サブレビッチ「最初の曲は『Rap God』だよ!」
サブレビッチ「カモン!2年J組、MC兼ピアニスト…ブリザードこと雪ノ下雪乃!」
ブリザード「……」ペコッ
~♪~♪
ブリザード「Look, I was gonna go easy on you not to hurt your feelings
But I'm only going to get this one chance」
生徒3「あ!J組の雪ノ下さんだ!」
生徒4「あの人ラップとか聞くのか、意外だな。つーか英語上手すぎだろ」
生徒5「まずはピアノの伴奏から始まるのか」
サブレビッチ「続いてリーダーの妹!因みにJCだよ!DJリトルタウンこと比企谷小町!カモン!」
リトルタウン「イェイ!チェケラ!」
キュワキュワ!ドッドッド!
生徒1「おお中学生か」
生徒2「可愛いね…で、リーダーって誰だ?」
サブレビッチ「最後にリーダー!2年F組…MC!ミスターボッチこと比企谷八幡!」
Mr.ボッチ「……」ペコッ
Mr.ボッチ(俺は軽く会釈するが…)
生徒達「……」ヒソヒソ
F組生徒1「うわ…アイツかよ…」
F組生徒2「なんであんな奴が雪ノ下さんや由比ヶ浜さんと共演してんだよ…」
F組生徒3「マジありえねぇーし。つーかアイツがリーダーかよ」
三浦「……」ギロッ
Mr.ボッチ(ま、予想通りの反応だな)
戸部「イェー!!兄弟応援してるぜ!!」
Mr.ボッチ(嬉しくねぇ…)
材木座「八幡!その勇姿!しかと見届けさせてもらうぞ!」
Mr.ボッチ(うぜぇ…)
戸塚「八幡!カッコいいよ!がんばって!!」
Mr.ボッチ(テンション上がってきた!!!!!!)グッ
Mr.ボッチ「I'm beginning to feel like a Rap God, Rap God」ミブリテブリ
全校生徒「……」
サブレビッチ「All my people from the front to the back nod, back nod」ミブリテブリ
全校生徒「おお!!」
戸塚「なんか八幡の時だけみんな反応が薄い…材木座くん!戸部くん!負けないで応援しよう!」
戸部「勿論だぜイェイ!!」
材木座「ふ、勿論そのつもりだ!!」
~~~
Mr.ボッチ(『Rap God』の後半には超高速ラップパートがある)
Mr.ボッチ(俺とサブレビッチは夏休み中、このパートを必死に練習した)
Mr.ボッチ(ブリザードは途中でスタミナ切れするので、この部分は歌わない)
Mr.ボッチ(いくぞサブレビッチ)チラッ
サブレビッチ(OK)コクッ
Mr.ボッチ(俺とサブレビッチは互いに向かい合い、高速ラップを歌い始める)
Mr.ボッチ「Uh, sama lamaa duma lamaa you assuming I'm a human What I gotta do to get it through to you?I'm superhuman Innovative and I'm made of rubber So that anything you say is ricocheting off of me and it'll glue to you!」
サブレビッチ「And I'm devastating, more than ever demonstrating How to give a motherfuckin' audience a feeling like it's levitating Never fading, and I know the haters are forever waiting For the day that they can say I fell off, they'll be celebrating!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「Cause I know the way to get 'em motivated I make elevating music, you make elevator music!」
全校生徒「」
平塚「」
葉山「」
戸塚「八幡すごい!!」グッ
戸部「マジぱねぇ!!」
三浦「結衣すっげ!ヒキオはキモ」
Mr.ボッチ(英語発音がヘタクソだったサブレビッチも夏休み中は、朝から晩まで練習しまくったおかげで発音もよくなり、高速ラップも出来るようになった)
~~~~~
Mr.ボッチ(その後、雪ノ下が『The Monster』でピアノ演奏と同時に、女性ボーカルパートを披露したりと会場は大いに盛り上がる)
Mr.ボッチ(そして他の曲も歌いきり、いよいよ最後の曲となった)
サブレビッチ「みんな~!!今日はどうもありがとう~!!最高にファッキンなショーだったよ!!」凸
全校生徒「イェェェイ!!!」
Mr.ボッチ(本番前は緊張と恐怖のあまり体が震えっぱなしだったが…なんとか、ここまで歌いきった…)
サブレビッチ「次でラストだけど、最後までヨロシクね!」
Mr.ボッチ「……」チラッ
ブリザード「……」ススッ
リトルタウン「……」キュ、キュワ、キュワワ
Mr.ボッチ(ブリザードは鍵盤に手をかざし、リトルタウンはレコードに手をかざす)
Mr.ボッチ「……」チラッ
サブレビッチ「……」コクンッ
Mr.ボッチ(サブレビッチにも目線を送り、歌う準備を整った事を確認しあう)
陽乃「ハーイ!ストップ、ストップ!」
全校生徒「!?」
44Bメンバー全員「!?」
Mr.ボッチ(ステージの横から声がしたので振り向くと、雪ノ下さんがマイクを手に、いきなり演説し始める)
陽乃「えっとごめんなさーい!ブリザードこと雪ノ下雪乃の姉、陽乃です!」
陽乃「さっきは有志団体での発表見てくれてありがとう!」
陽乃「それで次の曲で、44Bの発表が終わってしまいますが…」
陽乃「最後に壮大な仕掛けを用意しました!」
陽乃「そういう訳なので、最後までたっぷり楽しんでください!」
44Bメンバー全員「」ポカ―ン
平塚「……??何も聞いてないぞ」
陽乃「ふふ」
ブリザード「ね、姉さん!?何やってるの!?」ガタッ
陽乃「あ~ん、そんな怒らないで~」
Mr.ボッチ「……??良く分からんが、行くぞ」チラッ
リトルタウン「う、うん…」キュワキュワ
Mr.ボッチ(まあどうせ、煙幕とかでも出すんだろうな…何も気にする必要は無い)
サブレビッチ「そ、そ…それじゃ最後の曲『Lose Yourself』聞いてね!」
リトルタウン「……」カチッ
ブリザード「……」ススッ
~♪~♪
Mr.ボッチ(レコードが流れ、同時にゆっくりとピアノの演奏が始まる)
Mr.ボッチ・サブレビッチ「Look」
『Look(なあ)』
Mr.ボッチ・サブレビッチ「?」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「if you had」
『if you had(もし)』
サブレビッチ(もしかしてリトルタウンちゃん…)
Mr.ボッチ(歌なしトラック流せって、本番前に打ち合わせしたのに…あいつミスしたな)
Mr.ボッチ(仕方ない、上手く合わせて歌うか。いや、もしかしてこのミス自体が、雪ノ下さんの言う『仕掛け』の正体なのか?)
Mr.ボッチ・サブレビッチ「one shot」
『one shot(たった一度の)』
コツコツ
Mr.ボッチ・サブレビッチ「one opportunity」
『one opportunity(チャンスだけど)』
コツコツ
Mr.ボッチ(なんだ…?後ろから足音が…)
Mr.ボッチ・サブレビッチ「To seize everything you ever wanted」
『To seize everything you ever wanted(欲しいものすべてを手にできる機会に出会ったら)』
コツコツ
サブレビッチ(誰の足音…?)
Mr.ボッチ・サブレビッチ「One moment」
『One moment(それも一瞬にして)』
全校生徒「オオオオオオオ!!!!」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「!?」ビクッ
Mr.ボッチ(な、なんだ…この異様な盛り上がり方は…??)
Mr.ボッチ・サブレビッチ「Would you capture it or just let it slip?」
コツコツ
『Would you capture it or just let it slip?(それを掴もうとするか、それとも逃げてしまうか?)』
全校生徒「オオオオオオオ!!!!」
Mr.ボッチ(何が…どうなって…)
バンッ!!
Mr.ボッチ「ぐぁっ!?」
Mr.ボッチ(後ろから誰かが、俺と肩を組んできた。ガッシリと力強く俺の肩を掴む)
Mr.ボッチ(思わず前のめりになるが、すぐに体勢を戻す)ググッ
Mr.ボッチ(それと同時に何者かが、ヒョコッと俺の視界の横側から現れる)
エミネム「YO」
Mr.ボッチ「」
Mr.ボッチ(な、なな、何でエミネムがこんな所にいるんだよ…!?!?)
サブレビッチ「」
ブリザード「」
リトルタウン「」
44Bメンバー全員「」ポカーン
エミネム「His palms are sweaty, knees weak, arms are heavy
(ヤツの手のひらは汗びっしょり 膝がガクガク腕も重い)
There's vomit on his sweater already, mom's spaghetti
(セーターにゲロがついてる ママが作ってくれたスパゲッティさ)
He's nervous, but on the surface he looks calm and ready
(ヤツはナーバス うわべは落ち着いて)
To drop bombs, but he keeps on forgettin
(爆弾を落とす準備はオーケーみたいだけど)
What he wrote down, the whole crowd goes so loud
(何を書き付けたかも忘れちまった 観衆の声がでかくて)
He opens his mouth, but the words won't come out
(口を開けても 言葉が出てこない)
He's chokin, how everybody's jokin now
(窒息しそうだ 誰もが笑ってる)
The clock's run out, time's up over, bloah!
(タイムオーバー、おしまいだ)」
エミネム「ヘイ、ビッチガール&ロンリーボーイ…カモン」ボソッ
Mr.ボッチ・サブレビッチ「っ!?」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「Snap back to reality, Oh there goes gravity(現実に戻り 足元を取り戻す)」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「Oh, there goes Rabbit, he choked(ラビットは喉を詰まらせちまった)」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「He's so mad, but he won't give up that Is he? No(バカなヤツだぜ でもヤツは簡単にあきらめやしない)」
~中略~
Mr.ボッチ・サブレビッチ「All the pain inside amplified by the fact(心の苦痛は広がっていく)」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「That I can't get by with my 9 to 5(俺には9時から5時の仕事がまともに出来ない)」
エミネム「And I can't provide the right type of life for my family(だが自分が食っていくだけじゃなく)」
エミネム「Cuz man, these goddam food stamps don't buy diapers(最悪な事に食料用のクーポンじゃ娘のオムツも買ってやれない)」
~~~
エミネム・Mr.ボッチ「And these times are so hard and it's getting even harder(生きていくのはずっと辛かったし、 これからも更に辛くなっていく)」
エミネム・Mr.ボッチ「Tryin to feed and water my seed, plus(俺の遺伝子はそれをネタにして 更なる困難に挑もうとしている)」
~~~~
~~~~
エミネム・Mr.ボッチ・サブレビッチ「You better lose yourself in the music, the moment(音楽に我を失うんだ)
You own it, you better never let it go
(音楽はお前のものなんだから 手放しちゃいけない)
You only get one shot, do not miss your chance to blow
(機会はたった一度 たった一度のチャンスを逃すな)
This opportunity comes once in a lifetime yo
(人生はたった一度だけのチャンスなんだから)」
エミネム「You can do anything you set your mind to, man(決心すればなんだってできるんだ)」
生徒全員「オオオオオ!!!!ヒューヒュー!!!」
パチパチパチパチ!!!
エミネム「センキュ」
Mr.ボッチ・サブレビッチ「」
すいません
用事が出来たので、一旦ここで区切ります
早く用事が済めばまた投下します
>> 198(解説)
なぜあんなに盛り上がってたのか…↓
ラップ好き生徒1「あ、エミネムだ!」
ラップ好き生徒2「本当だ!すげー!!」
何も知らない生徒1「え、なになに?あの白人そんな有名な人なの?」
何も知らない生徒2「マジかー!よくわからんけどすげぇぇ!」
女生徒1「キャーー!エミネムだ!カッコいい!」
女生徒2「良くわかんないけどあの白人カッコ良い!」
女生徒3「良くわかんないけど…とにかくあの人凄いんだ!キャー」
こんな感じで
【文化祭終了後・体育館】
陽乃「いやー今日はありがとう~!」
エミネム「………」
八幡・結衣・小町「」
雪乃「姉さん!!これは一体どういう事!?」
陽乃「言ったでしょ?仕掛けを用意したって。あ、因みに実行委員長さんには前もって内密に説明しておいたから大丈夫だよ」
雪乃「な、内密って…いえ、それ以前にどうして彼と知り合いなの!?」
陽乃「ずっと前に海外にショートホームスティした時に、彼の家でお世話になって、彼の娘さんと仲良くなったの」
陽乃「もっとも彼とは、世界ツアー直前だったから今日を含めて二回しか会った事ないけど」
陽乃「まあぶっちゃけた話?久しぶりに彼の娘のへイリーに会いたかったんだ~!」
八幡(だ、だからエミネムを知ってたのか)
エミネム「それじゃ俺は帰る。用は済んだし娘と寿司を食いたい」
陽乃「だーめ!ちゃんと挨拶してから帰らないと」
エミネム「……ま、いきなり現れた訳だし。仕方ないか」
雪乃「雪ノ下雪乃です。えーっと…」
エミネム「マーシャルでいい」
雪乃「マーシャルさん、この度は姉がご迷惑を」ペコッ
エミネム「英語上手いな」
雪乃「昔、海外に留学してたので…」
エミネム「なるほど。演奏も歌も素晴らしかった。ウチのバックミュージシャンとして雇っても良いぜ?」
雪乃「は、はあ」
エミネム「お前は性格があまり姉に似てないな…俺に近いか?」
雪乃「全然そうは思えません」
エミネム「そうかい」チラッ
結衣・小町「っ!!」ビクッ
エミネム「―――」
結衣「えっと、ゆきのん。何て言ってるの?」
雪乃「通訳するわね…『俺はマーシャル。またの名をスリム・シェイディ。良いスキル持ってるなお前ら。あとウチの娘と仲良く成れそうだ』と言ってるわ」
雪乃「『しかしこんなにキュートな、ヒップホップグループは初めて見た』とも言ってるわ」
結衣・小町「え、えへへ。なんか照れちゃうな//」
エミネム「―――」チラッ
雪乃「『一人、変な奴がいるが』と言ってるわよ、比企谷君」
八幡「」
雪乃「比企谷君?」ユサユサ
結衣「ヒッキー!」ユサユサ
小町「あ~…お兄ちゃん完全にテンパッてますわ~」
エミネム「ミスターボッチ a.k.a. 八幡」ズイッ
八幡「ひぃっ」ビクッ
八幡(彼はズイッと体を前のめりにして、俺と至近距離で目線を合わせてきた)
エミネム「……」ジーッ
八幡「あ…ぁ…ぁ…」ガクガク
八幡(まばたき一つせず、真顔で俺の顔をジッと見てくる。まるで俺の全てを覗き込む様に)
エミネム「―――」
八幡「ゆ、雪ノ下…彼は何て言ってるんだ…」ガクガク
雪乃「『その目を見てすぐに分かった。お前もさぞ辛い生き方をしてきたんだな』と言ってるわ」
エミネム「―――」
雪乃「『所で陽乃から聞いてるがお前、俺の筋がね入りのファンだってな』と言ってるわ」
八幡「……イ、イエス」コクンッ
エミネム「―――」
雪乃「『つまり俺の過去の経歴…見ても良い部分、見たくない部分とかもそれなりに知ってる訳だ』と言ってるわ」
エミネム「―――」
雪乃「…………っ」
雪乃「『そうだ。俺も学生の頃は散々だった。貧乏だったし、親父はオレが幼い頃に蒸発、友達もいなかったし、ギャングみたいな同級生に毎日リンチされてたし、死ぬ事ばかり考えてた』…と言ってるわ」
エミネム「―――」
雪乃「『もっとも八幡はこんな進学校に通ってる時点で、俺よりかはまともな生き方をしてきたんだろうが。だがお前が受けた痛みはお前にしか理解できない。見下すつもりは無い』と言ってるわ」
エミネム「……」ポンッ
八幡(彼は真顔のまま、そっと俺の肩に手を置く)ビクッ
エミネム「―――」
雪乃「『音楽はお前を裏切らないから、頑張れ』って言ってるわ」
八幡「セ、セ、センキュ…」ガクガク
雪乃「それじゃ…今日はどうも」ペコッ
エミネム「グッバイ」
結衣「なんか…凄いクールな感じだったね」
小町「確かに。終始表情を崩しませんでしたね。なんかロボットみたい」
「ダディ~!!」ダダッ
結衣「あれれ、なんか凄い美人な子がコッチに来るよ」
エミネム「っ!!オー!!ヘイリー!!!!」ダキッ
ヘイリー「ダディ!!」ギュゥゥゥ
全員「!?」
ヘイリー「ダディ!今日もカッコよかったよ!!」スリスリ
エミネム「HAHAHA!パパは嬉しいよ!」ギュゥゥ
雪乃「そういえばマーシャルさんって…」
八幡「あの人、物凄い娘好きって話だよな…想像以上だが…」
結衣「さっきまでのクールさが吹っ飛んじゃったよ…物凄いニヤケ顔だぁ…」
小町「なんかウチのパパみたい」
エミネム「~~~~~~~~~~~~~!!」
雪乃「っ」ドンビキッ
結衣「ゆきのん…何て言ってるの?」
雪乃「えと…通訳するわ」
雪乃「『どうだお前たち。俺の娘最高にキュートだろ?お前たちもキュートだが、俺の娘には及ばないな。なんてたって俺の娘はハイスクールのミスコンで優勝してしまう程だしな。ああそうだ。俺の娘こそ世界一だ。あ、でも困ったな。この場合、世界一が複数出てしまう。俺の子供はヘイリー以外にもいる。今日は都合が会わなくてヘイリーしか呼べなかった。ああ実に残念だ。俺の自慢の子供達を紹介できなくてな。もう良い。この際オレの子供たちこそが世界で最も至高の存在だ。拒否権はない。否定してみろ?ダディが絶対に許さないぜ!』……っとラップで歌ってるわ」
結衣・小町「」
八幡(ウチの親父以上に娘に溺愛してるな…)
エミネム「良いかお前たち」グイッ
八幡(突如、彼は腕をまくる)
八幡(露わになったその腕にはタトゥーが彫られていた。その絵は幼き日の頃の娘の姿だった)
エミネム「コレこそが。オレがヒップホップよりも愛してるものだ。分かったかお前ら?」
全員「」アゼン
ヘイリー「えへへへ、ダディ大好き」ギュゥゥ
エミネム「さあ寿司を食いに行こう!!お前が望むなら、何だって食べさせてやる!何ならすき焼きでも良いぞ!HAHAHA!」スリスリ
陽乃「あ、マーシャル!私も良いかな?」
エミネム「ふざけるな」
陽乃「」
八幡(あれ?なんか危ない空気になってきたぞ…なんて言ってるか分からないけど)
陽乃「もーやだなー!アメリカンジョークよね?」
エミネム「そう思うならもう一度、アメリカの文化を一から勉強するんだな」
エミネム「オレは娘と共に帰る」
ヘイリー「ダ、ダディ?」キョトン
陽乃「ねぇねぇ、冷たい事言わないで私も連れてってよ~」グイグイ
エミネム「軽々しく触るな」バッ
陽乃「……」
八幡(ああ、そうかわかったぞ)
八幡(彼は…もう見抜いてるんだ。雪ノ下陽乃という人間の正体を。強化外骨格の中身を)
八幡(だからいくら美人でも、まったくデレデレしない)
結衣「ねぇゆきのん…なんか様子がおかしくない?」
雪乃「マーシャルさん、姉さんに喧嘩売ってるわ…」サァァ
八幡(あの雪ノ下が、顔面真っ青になってる…)ビクッ
陽乃「ねぇ…私なにか気に触るような事した?してないよね?」
エミネム「……あのな、オレを博愛主義か何かと勘違いしてないか?オレは世界一クレイジーな男。育ちも悪けりゃ性格も悪い。気に入らない物は容赦なくディスるぜ。オレはそういう男さ」
エミネム「……いや、いつからか。そういう男になっちまったのさ。ガキの頃、あの地獄の生活の中でな」
陽乃「でもそれって私を嫌う理由になってないよね?ねぇ私も連れてってよー」
エミネム「……」プイッ
エミネム「さあ、行こうヘイリー」
ヘイリー「ちょ、ちょっとダディ!?」
陽乃「待ちなさいよ」
エミネム「……」
陽乃「ふーん…」
八幡(こ、こえぇぇ…)ガクガク
エミネム「じゃあハッキリ言うぜ…YO」フラフラ
八幡「まさか…」
雪乃「ラップで…」
※英語でラップするので、文章の和訳では韻とか全然踏みません。そこら辺は上手く脳内変換してください
エミネム「YO、地方の大金持ちのお嬢様。オレを対等に肩を並べるのは止めてくれないか?」
エミネム「大体お前みたいな得体のしれない女と一緒にいたくないんだよ。オレがお前を見抜けないとでも思ったかい?」
エミネム「オレは地獄の最中、血を吐く思いで歌い、築き手に入れたぜアメリカンドリーム。お前は生れながらただのお嬢様、レベルが違うのさ」
エミネム「ま、失う物も多かったけどな…ゴ、ゴホン」グスッ
エミネム「ヘイ、美人だからといって、オレを落とせるとでも思ったかい?オレに色仕掛けは通用しないぜ?擦り寄ってくる女なんていくらでもいるしな。興味ないけど」
エミネム「オレが望む物は、子供らの幸福とラップだけだ。眼中に無いんだよお前なんか」
エミネム「オレとお前じゃスケールも格も違うのさ。ファック」
陽乃「」ブチッ
雪乃「!?」ビクッ
陽乃「ふーん…」
八幡(目、目が…笑ってない…)ビクッ
エミネム「分かっただろ?オレは世界一のクズさ、オレみたいなクズと寿司食ったって不味くなるだけぜ?」
エミネム「さあヘイリー、今度こそ…」
ヘイリー「バカ」
エミネム「ホワッツ?」
ヘイリー「ダディのバカ!!!私の友達になんて事言うの!?」
ヘイリー「もうダディなんて大っ嫌い!!」
大っ嫌い…大っ嫌い…大っ嫌い…
エミネム「」
エミネム「あ…ぁぁ…あああああ…」ガクッ
エミネム「そうだ…陽乃は…ヘイリーのお友達じゃないか…」グスッ
エミネム「ああ…オレはなんてダメな父親なんだ…」ボロボロ
結衣「な、泣いてる!?ねえ一体どういう状況なの!?」
雪乃「ごめんなさい…ちょっと頭が痛いわ…」
エミネム「ソーリー…陽乃、良く知りもしないでお前の事を批判すべきじゃなかった…」
ヘイリー「もっとちゃんと真剣に謝る!」
エミネム「あ…ぁぁ!ご、ごめんよヘイリー!」
エミネム「あーー…ヘイ、雪乃。通訳を頼む」
雪乃「え、あ、はい。何でしょうか」
エミネム「―――」
雪乃「比企谷君」
八幡「?」
雪乃「彼が『ジャパニーズ土下座のやり方を教えろ』と言ってるわ」
八幡「」
八幡「本気を見せてやると意気込んで…ごめんなさい」土下座
雪乃「『本気を見せてやると意気込む事がポイント』と言ってるわ」
エミネム「本気か…わかった」
エミネム「ソーリー…ゴメンナサイ」土下座
陽乃「……」
陽乃「フ、フフ、フフフ…クク、ククク」
陽乃「あはははははは!!!あはははははは!!最っ高!!マーシャル最高!!比企谷君も最っ高…!!」b
陽乃「うん!その努力に免じて許してあげる!」ナデナデ
エミネム(屈辱だぜ…)
八幡(なんでオレは世界のスターに土下座を教えてるんだ…つーかオレ最近、土下座ばっかりしてるな、てかなぜオレまで雪ノ下さんに土下座してんだ)
ヘイリー「ダディ、グッド!許してあげる!」ナデナデ
エミネム「ヘイリー!!」ダキッ
~~~~~
エミネム「ソーリー。見苦しい所を見せたな」キリッ
雪乃「全くよ…頭痛いわ…」
小町「元の無表情の状態に戻ってる」
結衣「うん。マーシャルさんって喜怒哀楽が激しいんだね」
陽乃「さ!いっぱいお寿司食べさせてね!」
エミネム「ああ」
ヘイリー「グッバイ!」
エミネム「あ、そうだ八幡」
雪乃「彼が呼んでるわよ」
八幡「ひゃ、ひひゃ、ひゃい」キョドッ
エミネム「―――」
雪乃「通訳するわ…『お前はなぜラップをやってる?』」
八幡「え?は?えーと……」キョドッ
八幡「―――」
雪乃「『アナタに憧れて、それでラップが好きになったから』と言ってます」
八幡「―――」
雪乃「『それと妹が将来、プロのラッパーになることを望んでいるから。あとオレを周りの人間から認めさせたいらしい。自分は目立つの嫌だし、静かに生きたいし、ロンリーな生き方を望んでるけど、妹の夢を叶えてやりたい。大切で大好きな妹だから』…と言ってます」
エミネム「―――」
雪乃「『オレと違ってハングリー精神は無いんだな。音楽を志す者としては珍しい奴だ。だがオレは好きだぜ?家族想いの奴はな』と言ってるわ」
エミネム「……」ポンッ
八幡(彼はオレの肩に手を置く)ビクッ
雪乃「『それと残念だが、お前はもうロンリーじゃない』と言ってるわ」
八幡「え?」
エミネム「―――」
雪乃「え…」ドキッ
八幡「な、なんだよ…顔真っ赤にして」
雪乃「その…『お前を慕うキュートな仲間達がいる。羨ましいな』……と言ってるわ」
雪乃「べ、別に…深い意味は無いわ…きっと…」
結衣「あぅぅ……///」
八幡「は、はあ」
エミネム「じゃあな…グッドラック。期待してるぜ」ボンッ
八幡「ぉ…っ」
八幡(彼は最後にオレの胸を拳で軽く叩いて、後ろを振り向く)
エミネム「さあ、寿司食いに行こう」テクテク
ヘイリー「うん!」ギュッ
陽乃「じゃあね比企谷くん!雪乃ちゃん!あと由比ヶ浜ちゃんに妹ちゃん!」
雪乃「強烈な人だったわね」
八幡「ああ…」
八幡(こうして俺たちの文化祭は幕を閉じた)
今日は以上です
【部室】
八幡(文化祭も終わり、オレと雪ノ下はそれぞれの用事をここで済ませる)
八幡(そして雪ノ下からまたしても友人申請を断られる)
~~~
雪乃「でも、いまはアナタを知っている」
八幡「……っ。そうですか」ドキッ
雪乃「ええ、そうよ」
八幡「……」
雪乃「でも」
八幡「ん?」
雪乃「でも、その、私…正s」
ガララ
結衣「やっはろー!文化祭お疲れ様!」
八幡(何を言いかけたんだ?)
~~~
八幡「後夜祭ね…」
雪乃「行ってきたらいいじゃない、引き立てや君」
八幡「……言っとくが葉山の引き立て役はゴメンだ」
結衣「もー!行こうよ!」
pppp
結衣「あ、隼人君からだ!」
結衣「もしもし!」
結衣「………え?」
八幡・雪乃「?」
結衣「駅地下のライブハウスでの後夜祭は中止だって」
八幡「ふーん…何かあったのか?」
結衣「隼人君が予約を取りに言ったら、危なそうな人達が来て、横から割り込みされたんだって」
八幡「……危なそうな人達?」
~回想~
DQN「近いうちに俺たちのチームで、イベントを開こうと思う」
~~~~
八幡「……」
八幡「……由比ヶ浜、携帯を貸してくれ」
結衣「え?うん…」ススッ
雪乃「……?」
八幡「……」ピッピッ
『はい、もしもし』
八幡「おう葉山か」
『比企谷?どうした…これは結衣の携帯だろ?』
八幡「アイツから借りてる。それより後夜祭が中止になったそうだな」
『ああすまない。事情は聞いてると思うが…変なトラブルに巻き込まれない用に、彼らに貸切の件を譲ることにした』
『彼らは集団できているしな。皆は安全な場所に避難させてる』
八幡「……」
『でも安心してくれ。後夜祭は別な場所で開こうと考えてる所だ。個人的には…』
八幡「葉山、聞け」
『?』
八幡「俺が問題を解決してやる」
結衣・雪乃「!?」
『なっ…何を言ってるんだ!?』
八幡「今からオレが行く。ちょっと待ってろ」ピッ
八幡「んじゃ、オレは帰るわ」ガタッ
雪乃「待ちなさい」ガタッ
結衣「ちょ、解決って…危なそうな人達がいるんだよ!?」
八幡「……」
八幡「その危ない連中ってのは…きっと、オレの知り合いだ」
雪乃・結衣「!!」
八幡「だから行かなきゃ」
結衣「ま、まさか…それって…」
雪乃「待ちなさい。無謀なマネは止しなさい。身の程をしりなさい」
八幡「奉仕部の部員として、44B(フォーシブ)のMCとして、問題を解決してやる」
雪乃「部長として許さないわ」
八幡「……雪ノ下、お前は体力には自信ないんだよな?」
雪乃「それが一体何だって言うのかしら」
八幡「逃げるが勝ち…!」ダダッ
ガララッ
雪乃「!!」
結衣「あ、待ってよ!!ゆきのん、追いかけよ!」
雪乃「全く…あの男と来たら…!」
ガララッ
結衣「ヒッキードコにいるの!」ダダッ
雪乃「まだそんなに遠くには行ってないハズよ」ダダッ
結衣「うん!」
~男子トイレ~
八幡「さて、流石に男子トイレで隠れてる何て思いもしないだろ」
八幡「後は材木座辺りに……」ピッ
『我だ。どうした八幡よ!』
八幡「頼みがある。奉仕部員に偽の情報を流してくれ」
八幡「さて…後は」
【駅地下のライブハウス前】
F組生徒1「隼人くん…やっかいな事になったな…」
F組生徒2「すまん隼人くん、俺たち何も出来なくて」
葉山「仕方がないさ、みんなの安全が第一だし」
F組全員「隼人くん…!!」
三浦「隼人…アイツら怖い」ガクガク
不良集団「……」ギロッ
戸部「んで、どーすんの隼人くん?あれってカラーギャングって奴でしょ?マジでヤバイ連中だぜアレ」
葉山「……安全を考慮して、ライブハウスでの後夜祭は諦めたい」
葉山「だが実はさっき、比企谷から連絡があって」
戸部「え、兄弟から!?マジ!?」
葉山「アイツがどうにかすると言っててだな」
戸部「はぁぁ!?」
葉山「何を考えてるか知らないけど、アイツにリスクを背負わせる訳には行かない」
葉山「オレが引き止める」
八幡「そうか、でもオレは止まらない」
葉山「っ!!来たか…何をしでかす気だ」
八幡「勘違いするな。オレは後夜祭なんて興味ない」
八幡「ただ…」
~回想~
――帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!!
――なんだお前ユニット組んでんの?ラップできないのに
――こんな喧嘩も出来ない、ラップもできない腰抜け、俺のライバルにはいない。知らん奴に喧嘩売っても仕方ない
~~~
八幡「アイツらから大好きなラップへの想いを何度も踏みにじられて来た」
八幡「それと小町と約束したんだ…リベンジとしてもう1回、ライブハウスでラップバトルをやって貰うってな」
八幡「ここはライブハウスの中じゃないけど…ある意味、ライブハウスの中より度胸を試される」
八幡「だからオレは行く。お前らのためじゃない。ケジメを付ける為に、奉仕部員としてラッパーとしてオレは奴らと闘う」
戸部「兄弟!流石に無謀すぎるぜ!止めようぜ?」
八幡「戸部、頼みがある」
戸部「え?」
八幡「……」ヒソヒソ
戸部「兄弟…」
八幡「頼んだぜ、お前は…その、えと、オ、オレの兄弟なんだろ?」
戸部「っ!!OK、OK!!兄弟の心意気に答えるぜ!」
葉山「……?」
戸部「んじゃ、ちょっと皆のところに行って来るわ」タタッ
葉山「戸部?」
戸部「おーいみんな!隼人君がうまく交渉するってさ!」
葉山「!!?」
F組全員「!!?」
戸部「心配しないで近くの公園で待っててくれって言ってたぜ!」
F組生徒1「でもそれじゃ隼人君が!」
戸部「隼人くんの覚悟を無駄にしてはいけないぜ!行こうぜ!」
F組全員「隼人君…」
~~~
八幡「さて、戸部もお前の取り巻き達も、公園に避難した」
八幡「残るはお前とオレだけ」
葉山「……何がしたいんだ」
八幡「良いか?お前はこっから動くなよ」
八幡「お前は離れたい位置からオレを見てろ」
八幡「事がうまく運べばお前は、クラスの英雄になれる。いつも通りな」
葉山「それはこの無謀とも思える勝負に勝ったらの話か?」
八幡「そうだ」
葉山「失敗したらどうなる?」
八幡「大丈夫だ。少なくとも危害に及ぶことは無い」クルッ
八幡(オレ以外はな)
八幡「んじゃ言ってくる。オレが勝負に勝って」
八幡「お前を英雄として引き立ててやる。全ての手柄はお前にやる」
八幡「絶対にコッチにくるなよ」
葉山「……」
戸塚「八幡!」
八幡「戸塚!?お前まだいたのか!」
戸塚「僕も…最後まで八幡を見守る!」
八幡「……」
八幡「葉山、もし何かあったら戸塚を頼む」
葉山「あ、ああ」
~~~
不良1「リーダーは?」
不良2「もう近くまで来てるって」
不良3「危なかったな、もう少しで総武高校のイケメン坊っちゃんに、予約を取られる所だった」
不良4「取られたら脅せば良いだけだろ?」
不良全員「ぎゃはははは!!」
不良1「せっかくリーダーが提案したイベントだ。あんな坊っちゃんの為に、潰す訳にはいけねぇよな!」
八幡「あの」
不良全員「ん?」クルッ
不良1「おい、おいおい。これはとんだゲストだ」
不良2「Mr.ボッチ!何してきたんだよ。ボコられに来たのか?」
不良3「今日は女と一緒にいなんだな。振られた?」
不良全員「ぎゃははは!!」
八幡「オレに彼女は元々いないッス…それより」
八幡「さっきのイケメン、同じクラスメイトなんですが」
不良1「あー?で?」
八幡「文化祭の打ち上げのため予約を取ろうとした所、割り込む形で横取りしたと聞きまして」
不良2「割り込む?人聞き悪いね、俺たちはに譲ってくれたんだよ親切にな」
八幡「……オレは後夜祭には興味ないけど。勝負がしたい」
不良全員「は?」
八幡「オレが勝ったらアンタらのイベントとやらを、無かったことにして欲しい」
不良1「お前が負けたら?」
八幡「……オレの財布をプレゼントしますよ。大して入ってないけど、煙草くらい買えるんじゃないっすか?」
八幡「あとオレの事、気が済むまでぶっ飛ばしてくれて構いません…その代わり」
八幡「クソみたいな同級生共に手を出さないで下さい」
不良1「クソみたいって…お前、何?イジメられてんの?」
不良2「名前の通り、孤立してんじゃね?」
八幡「そうですけど」
不良3「ぷっ、図星かよ」
不良全員「ぎゃはははは!!」
八幡「話はまだ終わってない」
八幡「オレの大切なメンバーに二度と近づくんじゃねぇよ。この下半身脳丸出しのクソゴミクズ共」凸
不良全員「」
八幡「分かったか能無し共」凸
八幡(うわ…うわうわ…勢いで言っちったああああああ!!やべ、オレ今日で死ぬわ。死ぬ前にコンプしたかったギャルゲーとかあったのに…)ガクガク
八幡(か、体が…震える…)ガクガク
不良1「どうする?シめる?」ピキピキ
不良2「やるか」
八幡(おい、おいおいおいおい、オレは喧嘩しに来たんじゃないんですけど。ラップバトルしにきたんだけど、あれ?なんで死亡フラグ立ってんの?)
DQN「ちょっと見ないうちに随分、態度がでかくなったな」
八幡「」ビクッ
不良全員「リーダー!!お疲れさんっス!!」
DQN「んで、そこの進学校のガリ勉坊っちゃんがバトルがしたいって?」
DQN「筆記試験ならオレに勝てるんじゃねぇか?」
不良全員「ぎゃはははは!!」
八幡「……」
八幡(どうか足よ震えないでくれ)ガタガタ
――震えるな、立ち向かえ
八幡「アンタじゃオレに勝てない」ガタガタ
DQN「あ?」
八幡「勝負しろ、社会のゴミクズ」凸
DQN「ほう…」ピキッ
DQN「良いぜ。覚悟しな」
八幡「……」
DQN「おいお前ら。俺と坊っちゃんを囲め」
不良全員「うす」
ゾロゾロ…ゾロゾロ…
八幡(約40人以上の不良達が、オレと彼を円の陣形を作り囲む)
八幡「……」
DQN「ビートボックス、だれかやれ」
不良1「OK…ボォッ、プス!ボッボップスプス!トゥクトゥク!ボォボォ!キュワキュワ!」
不良1「YO、YO!チェケラ、ボォボォ!キュワキュワ!ボッボップスプス!」
不良全員「YO、YO!YO、YO!YO、YO!」
DQN「分かってると思うが、審査員はオレの仲間たちだ」
DQN「覚悟しておけ。まずはオレからだ」
八幡「……」ガクガク
八幡(目の前には体が異様にデカい奴。周りには不良集団が俺たちを円状に囲む。耳に入ってくる歓声とビートボックス)
八幡(オレの緊張を加速させるには充分だ。でも負けるわけにはいかない)
――さあ行け、ショーの時間だ
DQN「YO、YO」ミブリテブリ
Mr.ボッチ「……」
ごめん今日はここまで
本当は今日で本編終わりにしようと思ったけど眠いので
また近いうちに更新します
Mr.ボッチ「……」
不良1「ボォッ、プス!ボッボップス!ボォッ、プス!ボッボップスプス!ボォボォ!キュワキュワ!」ビートボックス
不良全員「YO、YO!YO、YO!YO、YO!」
DQN「YO!ボウヤ、またママとはぐれて迷子かい?」
DQN「今回は俺が先行。くらえ俺のラップ先攻。今のうち捧げるぜお前にお線香」ミブリテブリ
DQN「寂しくてラップに寄り所を求めたのかい?残念だけどお前にラップの才能無い」
DQN「止めとけよ進学校のお坊ちゃん。大人しくシャーペン握ってやってろお勉強。ママに叱られないように気をつけなお説教。なあ坊ちゃん、妙に強がってラップ歌うのは何故?その姿かえって滑稽なだけだぜ?お前来るだけでこの場の空気は吹く寒い風」
DQN「お受験失敗しないように目指してろ大学。頭下げてばかりの身も心も脆弱(ぜいじゃく)。弱いお前はラッパーとして最悪。オナニーラップは一人でヤッて感じてろ快楽」
DQN「ヒップホップそれは不良のための音楽。俺たちは社会のはみ出しもの傍若無人。まさに俺たちの音楽シーン。俺たちは踏むぜ韻(いん)」
DQN「俺とお前の格の違いを教えてやるぜ。まず俺がどれだけのワルか教えてやるぜ」
DQN「気に入らない先輩KOしたぜこの拳でワンパン。先輩達ビビッて泣いてるぜワンワン。君臨したぜ学校のナンバーワン。悪のリーダーはこの俺だぜオンリーワン」
DQN「女の味も知ってるぜ。その数50人は越えてるぜ。中1の時にはとっくに捨てたぜ童貞。多くの女を喜ばせてきたぜオーイェー。俺は女落としの皇帝」
DQN「多くの仲間が俺にはいるぜ。多くの女が俺にはいるぜ?俺とお前じゃ格が違うのは見え見えだぜ。俺と勝負なんて自殺行為だぜ」
DQN「せいぜいママに泣きつくんだな坊ちゃん。ファック!」凸
不良全員「フゥーーー!!イェイーーー!!」
不良1「リーダーさすがっす!」
不良1「んじゃ次はMr.ボッチ、カモン!」
不良1「ボォッ、プス!ボッボップス!ボォッ、プス!ボッボップスプス!ボォボォ!キュワキュワ!」
不良全員「YO、YO!YO、YO!YO、YO!」
Mr.ボッチ「……」
DQN「おいおい…まただんまりかよ」
不良2「おい何やってんだよ!」
Mr.ボッチ「……」
不良3「また何もしないのかよ…お前何なの?死ねよ!」
不良全員「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」
Mr.ボッチ「YO」
不良全員「おっ…やっと口を開いた」
DQN「……」
Mr.ボッチ「YO、聴くに堪えない下らない自慢暴露ありがとう。聞くに価値無い自己アピール耳が腐りそう」ミブリテブリ
Mr.ボッチ「イェ、始めるぜリズムカルにこの囲まれた戦況の中で戦闘。総武高校に通う俺は後攻。目に物を見せてやるぜ俺のラップは閃光(せんこう)。俺の方こそやるよお前にお線香」
Mr.ボッチ「女にやたらモテる?。そりゃ良かったな、でもお前は盛行な性交の果てにお前きっと性病。成功に性交、性病に成功」
Mr.ボッチ「ヒップホップが不良の為の音楽?勝手に決めるなヒップホップシーン。俺の存在はいつだって陰(いん)。それでも歌って踏むぜ韻」
Mr.ボッチ「YO、所でお前の見た目色々な意味で凄い。日本人なのにやたら肌が黒い。日サロ行ってまで黒くなりたいお前のオシャレ感覚が酷い。不良ゆえに身も心も黒い?違うお前は身も心もグロい」
Mr.ボッチ「日サロに行ってまで黒くなったその訳。どうてみも黒人ギャング意識した物マネ。見ていて痛いぜただの猿マネ。黒くなる為の代償に払われるマネー。似合ってないから全部ムダ金」
Mr.ボッチ「自慢話なら俺も負けないぜ?」
Mr.ボッチ「小学生の頃から常に独りで友達いない。女子と付き合ったことも無いし彼女もいない。全くモテないし相手にされない。何やっても認められない。皆の視界からは俺は存在はない。俺のカーストレベルは常に最下位」
Mr.ボッチ「周りからの見て俺の存在は猛毒。俺が近寄れば周りは直ぐどく。誰も見向きしようとしない俺を放っとく。そうさ俺はいつも孤独」
Mr.ボッチ「それでも歌うぜマイヒップホップ!」凸
Mr.ボッチ「お前らの存在はただの社会の害悪。ラップを不良だけの物と称してラップイメージを改悪。その戯言を訂正し反省し胸にきざめ罪悪」
Mr.ボッチ「俺のラップスキルはお前らと違うぜ知的で才覚。俺のラップ表現それは歌の楽しみと過去の悲しみの哀楽(あいらく)。過去の多大なるトラウマ思い出として最悪。だがそのトラウマを力に変えて日本のラップ界をきっと改革」
Mr.ボッチ「YO、見かけ倒しのお前らと俺は違う。俺は孤高で孤独のヒップホッパー、たった一人のMr.ボッチ。孤独の道化いつも一人のボッチ」
Mr.ボッチ「クソ喰らえファックリア充ワールド!!チェック」凸
不良全員「」
八幡「ぜぇぜぇ…」
不良1「終了!」
DQN「……」
不良全員「……」
不良1「……」
DQN「どうしたお前ら、早く判定を下せ」
不良1「え、あ…はい」
不良2「ど、どうする…?」チラッ
不良3「どうするってお前…そりゃ…」チラッ
不良全員「まあ…ここは…」ヒソヒソ
不良1「それじゃ…Mr.ボッチが良いと思った人、挙手」
不良全員「……」
不良1「リーダーが良いと思った人「」
不良全員「イェーー!!」ノ
不良1「勝者!ウチのリーダー!!」
不良全員「イェーーー!!」
パチパチパチパチ
DQN「……」
八幡(……終わった、か。まあ無理もない)
八幡「……」ゴソソッ
八幡(俺はポケットに入れていた財布を相手に渡す)ポイッ
DQN「……」パシッ
八幡「俺の負けだ。約束通り財布は渡す…」
八幡「んじゃ、俺を好きなだけぶん殴れ。その代わりもう二度と総武高校の人間に関らないでくれ」
八幡「ここじゃ目立つから場所を変えたほうが良い」
不良全員「……」
八幡「なあ、どうしたんだ?何で何もしてこない」
DQN「……お前ら本音で言ってるのか?」
不良全員「……」
DQN「俺から言わせれば奴は良くやった。前に闘った時とは別人だ」
DQN「そもそも単身で俺達に挑戦しに来た時点で、いつも土下座してヘコヘコしてた奴とは思えない」
DQN「ラップバトルは即興で難しいが、そのスキルだってなかなかだった」
DQN「もう一度きくぜ、俺とアイツどっちが良い?」
不良全員「……」
不良2「ごめんリーダー…俺は不覚にもアイツのが凄いと思った」
不良2「全然自慢になってない自慢話をラップにして…でもそんな孤独で惨めな男が、俺たちのリーダーに闘いに挑む姿が凄かった…」
不良3「俺も…そうだな、悪くなかった…」
不良1「そもそもリーダーは体でかいし、喧嘩でもラップでも、大抵の連中はリーダー見ただけでビビッて何も出来ない事が多いし」
不良4「おれはどっちも良かったから…どう決めれば良いのか…」
俺はそれでもリーダーが…まあMr.ボッチも悪くなかった
俺はリーダーが!
すまん!おれはMr.ボッチが!
DQN「半々って所か…」
不良1「それじゃ…どうする?」
DQN「……いや。この勝負コイツの勝ちだ」
不良全員「え…」
八幡「え、え?」
DQN「大体、どっちが有利で不利なのか一目瞭然だろ。でもコイツはそれでも闘いに挑んできた」
DQN「そして俺の仲間に実力を認めざる終えない闘いを見せた」
DQN「ほら、財布を返す…お前の勝ちだ」ポイッ
八幡「」ポカーン
八幡(え、マジで?おれ勝ったの?)
八幡(半分、負け戦のつもりで来たんだが)
DQN「おい祝福してやれ。今日からコイツは俺のライバルありクルーだ」ブンッ
ボゴッ
八幡「ぐっ」
八幡(彼はそう言うと、おれの胸に軽く拳を当ててくる…地味に痛い)
不良全員「おおおお!!!」
不良全員「ファックリア充ワールド!Mr.ボッチ!ファックリア充ワールド!Mr.ボッチ!」
不良全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
八幡「」ビクッ
八幡「っ!」ドサッ
不良全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
八幡(円を囲む全員が敵たちが、拳を振り上げて俺を賞賛する)
八幡(その瞬間、俺は思わずビビッて腰が砕ける)
八幡(こんなに多くの人間に、一斉に賞賛される事が今まで生きてきて無かった。初めてだ)
DQN「盛大に拍手を送ってやれ」
不良全員「ヒューヒューイェー!!!」
パチパチパチパチパチ
八幡「」ガタガタ
DQN「おいおいどうした…俺のライバルなんだからしっかりしてくれ」
不良1「そうだ俺たちのクルーであり、リーダーのライバルだ。しっかりしろ」
八幡「」ガクガク
八幡(一斉に同時に、多くの人間から賞賛される事に不慣れせいか、動揺が止まらなず、立てない)
DQN「しょうがねぇな…ほら立てよ」スッ
八幡「」ググッ
八幡(彼が俺に手を差し伸べる、俺はなんとか手を伸ばそうとするが、体が動かない、言う事を聞かない)
「どいてもらえるかしら?」
不良全員「っ!?」バッ
不良1~3「あ、お嬢ちゃんたちは…」
八幡(凛とした声。不良達が円陣を崩しつつ振り向くと、そこには見知った顔がいた)
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜、それに小町まで…」
結衣「ヒッキー!!」
小町「お兄ちゃん…」
雪乃「……」テクテク
八幡「……」
雪乃「立てる?」
八幡「……立てるならとっくに立ってる」ガクガク
雪乃「全く…しょうがないわね」ススッ
結衣「あ、あたしも助けるから!」ススッ
八幡(そういうと彼女達は俺の肩を組んで立たせてもらう)
八幡「悪い。もう…大丈夫」ガタガタ
小町「お兄ちゃん。まだ震えてるよ?」
八幡「……こういうのに慣れてなくて」ガタガタ
雪乃「バカ…心配かけさせて」ギュッ
八幡「っ……」
八幡(雪ノ下は俺の服の裾を強く掴む)
結衣「ヒッキーのバカ!」バシッ
八幡「痛っ!」
結衣「もう!!心配かけさせて!!何ひとりで暴走してんの!?このバカ!キモイ!」ポカポカポカ
八幡「おい、肩をひっ叩くな!痛いって!」
結衣「ぅぅ…ぐすっ…ぅぅ…だって…心配だったんだもん…」ボロボロ
八幡「由比ヶ浜…」
小町「お兄ちゃん!」ダキッ
八幡「うお!?おいおい…真正面から抱きついてくるな」
小町「えへへへ、まあ無茶したのは許せないけど、自らトラウマだった相手に勝負を仕掛けたのは評価します!あ、いまの小町的にポイント高い!」
八幡「……はいはい、高い高い」ナデナデ
小町「えへへへ」スリスリ
不良1「ねぇ、リーダー」
DQN「なんだ」
不良1「Mr.ボッチってさ、友達いないって言ってたよな?」
DQN「ああ、言ってたな」
不良2「女にモテないとも言ってたよな?」
DQN「ああ、言ってたな」
不良3「嫌われてて相手にされないとも言ってたよな?」
DQN「ああ、言ってたな」
雪乃「……」ギュッ
八幡「お、おい…いつまで服の裾を掴んでるんだ。あと強く引っ張り過ぎだから」
結衣「バカバカ!もう本当にバカ…ぅぅ…グスッ…」ポカポカ
八幡「だから痛いって!もういいだろ!あともう泣くな…」
小町「おにいちゃーん」スリスリ
八幡「小町可愛い」ナデナデ
不良1~3「なにあれ」
DQN「……モテ期なんじゃね?」
八幡「んじゃ俺は帰ります」ペコッ
DQN「おう。それじゃ俺たちも帰るか。行くぞお前ら」
不良全員「うーす」
DQN「じゃあな…えーと本名は」
八幡「比企谷八幡です」
DQN「そうか。じゃあな八幡…またいつか勝負しようぜ」テクテク
八幡「……」ペコッ
八幡「……よし、じゃあなお前ら。心配かけさせて悪かった」
結衣「えー!ヒッキー後夜祭は!?」
八幡「やだよ。参加しない」
葉山「比企谷」
八幡「……お前がいた事、すっかり忘れてた」
葉山「お前も参加すべきだ」
八幡「やだよ」
葉山「俺からお前の事は、クラスの皆に上手く言っておくよ」
八幡「無駄だ。今回の一件はお前の活躍で解決したって事になるハズだ…さっき俺が戸部に言わせたじゃないか」
葉山「だから、そこは俺が上手く」
八幡「だから無駄だって。誰も俺を褒める事は無い」
葉山「皆もきっと分かってくれる」
八幡「お前なら何やっても褒められるが、俺はそうはいかない」
葉山「お前が認められないのはおかしい」
八幡「仮にクラスの連中に話しても『キチガイが命知らずの行動を取ったおかげでライブハウスが使える』程度しか思わんだろ。そこには感謝の想いは無いハズだ」
八幡「いいか?俺とお前は違う」
葉山「……」
八幡「葉山、お前がクラスの英雄だ。俺は帰る」
葉山「おい比企谷!」
八幡「……」
戸塚「八幡!!」
八幡(!!!?)ビクッ
八幡(そういえば戸塚いたんだよな!!でもココで引き返したら格好悪!まあ元々かっこ悪いですけど…あああああ!でも戸塚といっしょに後夜祭楽しみたかったぁぁ!!)ブツブツ
八幡「ご、ごめん…じゃなあ…」
八幡「……はぁぁ」
【帰り道】
八幡「……」
八幡(今日は色々合ったな…でも色々と答えも見つけた)
八幡(あの歓声の中で俺は…分かってしまった…)
八幡(俺は…)
「お~い!おにいちゃーん!」
ダキッ
八幡「うぉ!?」
小町「えへへへ」ギュゥゥ
八幡「おい小町…今度は背後から抱きついてなんだよ…つーか、後夜祭はどうした?」
雪乃「後夜祭なら私たちも参加しない事にしたわ」
八幡「雪ノ下…」
結衣「まったくもう、ヒッキーの我がままには困っちゃうよ!」
八幡「っ!?由比ヶ浜、お前も!?」
結衣「あーあ、残念だなー参加できなくて」
八幡「お前までどうして…」
結衣「だってゆきのんも帰るっていうし…それに、後夜祭よりもヒッキーと一緒にいたかったし」
八幡「……っ、なんだよそれ」ドキッ
結衣「だから4人で文化祭の打ち上げしよって話になったの!」
雪乃「それでこれからドコへいくのかしら?」
結衣「うーん、どうしよ?カラオケでも行く?」
小町「あー良いですね!」
八幡「また歌うのかよ…」
八幡「……」
八幡「なあ、お前らに聞きたいことあるんだけどさ」
小町・結衣・雪乃「え?」
八幡「俺ってさ…頭、おかしいかな」
小町・結衣・雪乃「……」
小町「お兄ちゃん、今更なに言ってるの?」
結衣「ヒッキーやっと気付いたの?」
雪乃「アナタが頭がおかしいなんて周知の事実よ」
八幡「お前ら本当に容赦ないな。少しは否定してくれよ」
雪乃「それで?なぜそんな分かりきった事を私達に?」
八幡「……」
八幡「お前らさ、誰かから褒められたらどう思う?」
小町・結衣・雪乃「え?」
八幡「それも自分の事をあまり知らないような奴が、やたらと自分を褒めてきたらどう思う?」
結衣「えーっと…嬉しい?」
小町「うんうん」
雪乃「その相手や状況にもよるけど…大体は悪い気はしないかと思うのだけれど」
八幡「そうだな。その状況や相手にもよる…だが大抵は悪い気がしない」
八幡「嬉しいハズなんだよ…でも」
八幡「俺は嬉しくなかった」
雪乃「……さっき不良集団にやたら評価されてたけど、そのことを言ってるのかしら?」
八幡「ああ」
結衣「いやいや、あんな怖そうな人達に認められても反応に困るじゃん!」
八幡「……」
八幡「あの時点で、彼らが俺に敵意がない事は察してた。だからあの時はそこまでビビッてもなかった」
八幡「ただ…彼らは俺が学校で、実際はどんな立場でいるかなんて分かってないだろ?」
八幡「確かに俺はラップで歌う中に、これまで受けてきた屈辱、学校での立場を軽く説明した」
八幡「でも実際に現場で、俺の事を見たわけじゃないだろ?」
八幡「しかも彼らと俺は3~4回位しか会ってないし、それも常に短い時間でしか関わらなかった」
八幡「……俺の事をライバルだのクルーだの言ってたけど、そんな短期間で俺の何が分かるんだ」
小町・結衣・雪乃「……」
八幡「結局、俺の性格とか良く分かってくれば…彼らは俺を裏切るんじゃないか?実際はわからんが」
八幡「俺はいつもそうだった。勝手に期待して、そして裏切られる…その繰り返しだ」
雪乃「……それで、その事が分かって一体どうしたというの?」
八幡「音楽をやればラップをやれば…何か価値観が変わってくるのかと心のどこかで思ってた。でも違った」
八幡「漫画にしろ現実にしろ、よくある話だと思うが…そうだ例えば、惨めな男がいたとしよう」
八幡「さえないその男は何かを成功する事で、周りからの見る目が変わる」
八幡「結構な話だ。美談だ。でもその評価してくれた人間たちは初めからその男の人間性を知ってたのか?惨めな部分もダメな部分も含めて」
八幡「知ってるならそれはそれで良いと思う。だがよく知りもしない人達から賞賛されたらどうだ?」
結衣「でも素直に評価してくれのは良いことだし、嬉しいと思うけどな」
八幡「そうだな。普通はそうなんだ。嬉しいハズなんだよ。何もおかしくない」
八幡「例え賞賛してくる人達が、良く知らない人達でも自分を評価してくれる訳だしな」
八幡「でも…それでも俺は嬉しくなかった。だから俺はビビって腰が砕けちまった」
八幡「だから俺は…頭がおかしい。音楽を志す者としては」
八幡「ミュージシャンは自分の歌なり演奏なり、そして曲なり…それを表現したいから、なにより評価してもらいたいから音楽をやる」
八幡「だから認めてくれるファンに心から感謝する…だけどオレはそれが出来る気がしない」
八幡「俺がもしもミュージシャンだったら、きっとミュージシャン失格だ」
結衣「ヒッキー…」
雪乃「……」
小町「……」
八幡「悪い…変な話して」
小町「分かったよお兄ちゃん…お兄ちゃんの気持ちは良く分かったよ」
小町「お兄ちゃんはやっぱり目立つのとか苦手なんだよね?」
小町「もう無理やりプロの道に歩ませたりしないから」
小町「小町もプロのDJになる夢は諦めるよ」
八幡「……」
八幡「何いってんだ小町、俺は今でもラップは好きだ。これは嘘じゃない」
小町「じゃあ…趣味で続ける?」
八幡「いや違う。絶対になるぞプロに」
結衣・雪乃「…!?」
小町「な、なんで…」
八幡「さっきも言ったけど俺がラップ好きなのは変わってない」
八幡「何より…お前は俺の大切な妹だから」
八幡「俺の事をよく知ってる妹だから。ボッチな俺といつも一緒にいてくれた可愛い妹だからな」
八幡「そんなお前の夢を叶えさせてやりたい」
八幡「俺のステージ上での立ち位置とか全く関係ない」
八幡「さっきはあんな事言ったけど、オレが注目されようが、されまいがなんて、そんなの問題じゃない」
八幡「大体、文化祭じゃオレ個人の事を注目してたのなんて精々、戸塚に戸部に材木座に葉山、それと平塚先生くらいだろ」
八幡「残りの全校生徒は全員、お前達3人ばかり見て、お前達ばかり評価していた」
八幡「だから周りがどうこうなんて、俺には関係ないし興味ない」
八幡「ただ…ラップを通して、惨めな奴でも何か足掻くこと位はできることがわかった」
八幡「それで充分だ」
結衣「あたしも…プロになる!」
八幡「それ、夏休みにも聞いたんだが…」
結衣「本気でラッパーになる!それで…」
結衣「小町ちゃんを支えるヒッキーに…あたしの命を預ける!」
八幡「あ、預けるって何だよ、メッチャ責任重大じゃないですか」
結衣「誰も本当のヒッキーを評価しなくとも、あたしはヒッキーを評価する!あたしはヒッキーを知ってるもん!」
八幡「……っ」ドキッ
結衣「だから…ずっと一緒だよ?ヒッキー」
八幡「お、おう…」ドキドキ
雪乃「比企谷くん」
八幡「ん?」
雪乃「私はさっき部室で言ったわよね?あなたの事を知ってるって」
八幡「……ああ」
雪乃「私はまだ…比企谷君達と一緒にプロのミュージシャンになるとか、そんな事はまだ考えられないけど」
雪乃「でも、一緒に音楽を続けたい」
雪乃「だから…私でよければ、正式メンバーに入れてもらえないかしら?」
結衣「ゆきのん!」
小町「雪乃さん!」
雪乃「……お願いします」ススッ
八幡(雪ノ下はゆっくりと俺に手を差し伸べる。それに答えるため握手を交わす)
八幡「……ま、いつかお前が飽きる時が来るまでヨロシクな」ギュッ
小町「でたでた捻デレ」
【カラオケ店】
結衣「ヒッキー!ゆきのん!小町ちゃん!ラップの曲入れたから一緒に歌おう!」
八幡「はえぇっつーの!全く…今日はラップ尽くしだったから、アニソン歌いたかったのに…」
結衣「ゆきのん!マイク二個しかないから二人で共用で良いよね?」ススッ
雪乃「ええ、構わないわ」ススッ
八幡「出た出た百合フィールド」
小町「お兄ちゃん!一緒に歌おう!」ススッ
八幡「おう」ススッ
~♪~♪~
全員「YO、YO…イェイ」ミブリテブリ
八幡(俺たちのヒップホップグループは正直、かなり特殊だと思ってる)
八幡(一体このメンバーでドコまでいけるか、正直わからん)
八幡(卒業と同時に奉仕部を引退するように、俺達44Bも解散してしまうかもしれない)
八幡(それでもオレは、出来ればこのメンバー共にずっと音楽をやっていきたい)
全員「YO、YO…!」
八幡(オレは地位や名声には興味ない。それでもプロを目指す。妹のために)
八幡(俺達の音楽活動はまだ始まったばかり)
終わり
本編は以上です。ここまで読んでくれてありがとう
次回からはオマケ編
前スレ>>170でアンケートとり>>186で結果を書いたと思うけど
ラブコメ要素かなり濃くなってるので注意ね
(ほぼ別なSS読んでるって思っても良い)
時系列も数年後なので、好感度も完全に振り切ってる状態
メチャクチャ甘々だけど、あくまでヒップホップが題材になってるので
恐らく2~3回位に間隔を空けて投下するので、もうしばらく続きます
プロデビュー編~武道館編まで書いて終わりにします
【オマケ編の次回予告】
様々な困難を乗り越え高校を卒業し、数年が立つ
出したCDが売れに売れて、メジャーデビュー寸前まで話が進む。楽しくほのぼのと音楽活動を続ける毎日
その最中、八幡に異変が
※オマケ編は完全に蛇足だけど気が向いたら読んで下さい
おまけ編を投下します
>>248-249でも書いたけど蛇足的で、ほぼ別SSと良い内容になってるけど、良ければ見て行ってください
八幡(あれから色んな事があった)
八幡(楽しかった体育祭、終わりの悪い修学旅行、泥沼の生徒会選挙…そして奉仕部崩壊の危機)
八幡(正直ラップだけじゃどうにもならない事も沢山あった)
八幡(それでも俺は歌った)
八幡(その後、奉仕部は再生した。だが年明け、俺たちはまた試された)
八幡(三浦からの依頼を聞いて色々と奮起したり)
八幡(マラソン中に、葉山にラップバトルを仕掛けてみたり)
~回想~
八幡「ぜぇぜぇ…YO、YO。イェイ」ダダッ
葉山(は、走りながらラップをし始めた…!!?)ダダッ
~~~~
八幡(その後も色々あった。陽乃さんが、たびたび人の心をかき乱し)
八幡(更に難しい問題に直面して、辛く苦しい時期もあった)
八幡(それでも俺は歌った)
~~~~
八幡(そして様々な困難を乗り越えた俺たちは総武高校を卒業、大学に進学)
八幡(俺と由比ヶ浜は、卒業後は上京しフリーターになる覚悟を決めてたが、二人とも親の説得を受けて渋々と大学へ通う)
八幡(雪ノ下も大学に進学。この時点では共にプロを目指すか否か、決まらず悩んでいた)
八幡(小町は総武高校を卒業後、地元のメイド喫茶でアルバイト。つまりフリーターになる)
八幡(いつも小町に甘い両親だが流石に大反対だった。しかし小町の今まで見た事もない気迫の前に両親も根負けした)
八幡(そして、数年の時が立つ)
【数年後…千葉・駅地下ライブハウス】
客「オオオオオオ!!!ヒューヒュー!」
サブレビッチ「みんな!やっはろー!今日は来てくれてありがとう!」凸
サブレビッチ「次の曲は『ステルス』!」
Mr.ボッチ「カモン、DJリトルタウン…ブリザード」
リトルタウン「イェイ!チェケラ!」
キュワキュワ、ドッドッド、ズンチャズンチャ
ブリザード「……」ススッ
~♪~♪
Mr.ボッチ(リトルタウンが流すリズムカルなトラック、ブリザードの美しいピアノ演奏が会場に響く)
Mr.ボッチ「YO…俺は一人でいるのが好きだ。放っておいてくれ、お前らのお望み通りステルスしてやるよ。俺は消えた存在」
~♪~♪
ド、ドドン、ドドンッド、ドド、キュワキュワ
Mr.ボッチ・サブレビッチ「YO、YO。イッツ、ステルスタイム」
Mr.ボッチ「皆から見えないその存在。姿も形も謎の形態。無視され続けて痛みに慣れたその心は鋼の抗体。誰にも見えないその薄き存在。それでも始めるぜ孤独ショのータイム。俺だけしか存在しない舞台」ミブリテブリ
サブレビッチ「YO、俺はきっと透明人間。俺が見えても周りの反応は冷たく陰険。くそリア充共は俺の因縁。だがその孤独こそ俺の信念。曲げないぜ茨の道をたどるその気持ちは真剣」ミフ ゙リテブリ
Mr.ボッチ・サブレビッチ「ステルス、ステルス!この世界から存在を捨てるっス!これが俺の存在証明!孤独に照らされるスポット照明!確かにある存在だが見えない存在の俺は透明!」
客「オオオオオオ!!」
八幡(奉仕部での活動は終わった)
八幡(共に思い出を作った大切な仲間も、きっと卒業と同時に失うばかりだと思ってた)
八幡(そしていつか、その思い出を振り返って微笑み、失った事を悔やむとばかり思ってた)
八幡(だが44B(フォーシブ)は終わらなかった)
八幡(結論から言おう)
八幡(俺たちはミュージシャンになった)
Mr.ボッチ(まあ色々あったけど、小町の夢を叶えてやれる事ができて良かった)
Mr.ボッチ(良かったんだが…)
~ライブ終了後~
サブレビッチ「みんな今日はありがとう!」
客1「ヒューヒュー!サブレビッチちゃん可愛いよぉぉぉ!!」
サブレビッチ「えへへへ///」
客2「リトルタウンちゃん!最高にキュートだったよ!結婚してくれぇ!!」
Mr.ボッチ「」ブチッ
リトルタウン「ありがとう!でも結婚はお兄ちゃんの許可がないと厳しいかな?」
客全員「wwwww」
客3「ブリザードちゃん!今日も最高にクールでビューティフルだったよぉぉ!!」
ブリザード「……」ノ
Mr.ボッチ(由比ヶ浜は愛想よく大きく手を振り、小町は観客を笑わせ、雪ノ下は黙って手を上げてステージから去る)
サブレビッチ・リトルタウン「みんなありがとう~~!!」ノ
Mr.ボッチ「良いのかよブリザード…サブレビッチとリトルタウンみたいに、もっとファンサービスしてやれよ」
ブリザード「そういう性格でない事くらい知ってるでしょ?アナタこそファンサービスしてきたら?」クスクス
Mr.ボッチ「お前ぜったい、嫌味で言ってるだろ?俺はお前らみたいに人気無いんだよ」
ブリザード「そういえばそうね。リーダーなのに人気が無い物ね。リーダーなのに。もしかして存在感がないのかしら?」
Mr.ボッチ「大事な事だからといって二回言わんでいい。あと分かりきってる事をいちいち再確認しないでくれるか」
客全員「44B最高!またくるからね~!!」
パチパチパチパチパチ
~~~
Mr.ボッチ(夢は叶い、人気グループとなったが…果たして音楽的には評価されてるのか?)
Mr.ボッチ(正直、客たちは全員ラップを聴きにきてるのか怪しい)
Mr.ボッチ(俺が見る限りファンのほとんどが、間違いなくアイドルオタクだ)
Mr.ボッチ(純粋なラップ好きは、観客全体の3割程度に過ぎないだろう)
~ステージ裏~
八幡「俺たちはヒップホップを愛してる…そしてこの会場にいる観客もヒップホップファンなハズなのに…なんだろこの間違った感じ」
雪乃「私は44Bの音楽は好きだけど、ヒップホップは好きじゃないわ」
八幡「……そうでしたね」
ウオオオオオオオ!!!!
雪乃「物凄い歓声ね」
八幡「アイツらまだファンサービスしてるのか…」
~ステージ上~
サブレビッチ「みんな~ありがとう!それっ!それっ!」ナゲキッス
リトルタウン「それそれ~!大サ~ビス!」ナゲキッス
客全員「んほおおおおおお!!!」
クソ客1「サブレビッチちゃん!おっぱい触らせてよ!」
クソ客2「脱いじゃえ脱いじゃえ!」
サブレビッチ「え…ちょ!へ、へへ、変な事言わないでよ!もうバカ!」凸
クソ客1、2「wwwww」
~~~
八幡「」ピキピキ
八幡(流石に注意しに行かないとな)クルッ
雪乃「……」パシッ
八幡「何だよ人の肩掴んで…」
雪乃「私も行くわ」
八幡「いや俺が」
雪乃「お願い」
~ステージ上~
客1「あ、ブリザードちゃんとMr.ボッチがまたステージに出てきた」
Mr.ボッチ「……」テクテク
客全員「……」シーン
ブリザード「……」テクテク
客全員「うおおおお!ブリザードちゃん可愛い!!」
Mr.ボッチ「ご、ごほん。本日はご来館どうもありがとうございます…ただマナーのなってない客がいるのは残念ですね」
シーン
Mr.ボッチ(ああ分かってたよ。俺が喋るとこうなる事くらい)
客1「いつも黙ってるMr.ボッチが喋った」
客2「珍しい。つーかトークしてるの初めて見たな」
Mr.ボッチ「サブレビッチはああ見えて清らかな女なので。ウチの大切なメンバーに安易な発言で不快な想いを与えないで下さい。マナーを守った上での楽しいライブ参加を切に願います」
サブレビッチ「ボッチー…///」
客全員(無愛想なくせに無駄に礼儀正しいな)
Mr.ボッチ「あとうちの妹と結婚したいとか言った奴、後で楽屋こい。殺す。許してほしけりゃCD1000枚買って俺達に金を貢げ」凸
Mr.ボッチ「次に余計なことを言ったらテメェらその口を縫い合わすぞ。ファック」q
Mr.ボッチ「帰る」テクテク
客全員「」
Mr.ボッチ「ほらマイク」ススッ
ブリザード「ええ」パシッ
ブリザード「ごほん。由比ヶ…サブレビッチさんは私の親友よ」
ブリザード「さっきセクハラ発言した人は誰かしら?手を挙げなさい」ギロッ
クソ客1,2「ぅ…は、はい」ビクッ
ブリザード「……」無言の威圧
クソ客1、2「ゴ、ゴメンなさい!」
ブリザード「だ、そうよ?」クルッ
サブレビッチ「うん!許してあげる!」
ブリザード「まあ貴方達はファンであるから私も許してあげるわ。次からは気をつけなさい…彼女は私の親友よ」
サブレビッチ「えへへ、ゆき…じゃなくてブリのん!!」ダキッ
ブリザード「もう…」ナデナデ
客全員「んほおおおおおおお!!百合展開ktkr!!キマシタワー!!」
~ステージ裏~
八幡「……」
八幡「あんのアイドルオタクの豚共が…」
八幡「やはり俺のヒップホップは間違っている」
【夜・宿泊先のホテル。八幡の部屋】
八幡「お、そろそろ時間だぞ」
雪乃「ええ、そうね…ランクインされてるかしら」ピッ
『それでは今週の順位を発表します』
『第20位…44Bのアルバム【ファックリア充ワールド】』
小町・結衣「やったーー!!ランクインされた!!」
八幡「すげぇぇ…嘘だろ…」
雪乃「……」
結衣「ゆきのん?どうしたの、あんまり嬉しそうじゃないけど」
雪乃「屈辱ね。私たちの努力の結晶が20位、納得いかないわ」
八幡「いやいや、インディーズで20位は凄いぞ」
雪乃「目指すはランキング1位よ」
八幡「……相変わらず負けず嫌いだな」
雪乃「それに、アルバムチャート3位のヒップホップグループ『暴走反徒』…これって」
八幡「ああ、俺が過去に勝負したギャングチームのリーダー…ステージネーム『DQN』。彼が率いるグループ」
八幡「千葉の房総半島とかけたそのグループ名、その名に恥じぬ活躍をしてる。今や不良少年達のカリスマ的存在になってる」
結衣「む~~!!あの人達だけには負けたくない!」
雪乃「次は絶対に負けないアルバムを作るわよ」
八幡(現在インディーズグループとして、初の全国ツアーを開催してる)
八幡(大学に入学してから、少しずつオリジナル曲を作り、デモCDをライブハウス、クラブハウスにて配布)
八幡(その地道な活動が功を奏して、俺たちの評判は少しずつ浸水していった)
八幡(非リア充を思わせるリリック、リア充への恨みを込めた呪詛(じゅそ)を思わせるラップ…)
八幡(その暗い印象に反して、メンバーにはアイドル顔負けの美女3人)
八幡(あらゆる面で、従来のヒップホップグループのイメージと一線を画する俺たちは、いつしか人気グループになっていた)
八幡(大学3年になる頃に、小町がフリーターとなり音楽活動に熱をいれ、俺たちも秋から就活開始がキッカケで、この頃よりプロになる為の本格的な活動を始める)
八幡(そしてインディーズとしての全国ツアーも終わり、いよいメジャーレーベルとの契約も済んだ)
八幡(最も、メジャーレーベルとの契約を結ぶまでは様々な困難があった)
~メジャー契約の交渉の場~
結衣「はぁぁ!?ヒッキーを解雇して、44Bをアイドルグループにする!?」
大手社長「ああ、キミたちには専属のプロデューサーをつける。でも曲のジャンルはヒップホップにしてもらうようにお願いするから心配いらない」
大手社長「あと比企谷君はスタッフでもやってもらうから大丈夫」
八幡「……俺は構わん。小町の夢を叶えるのが俺の目的だ。小町を夢の舞台へとステップアップできるなら喜んで俺は解雇されt」
小町「ダメ!!そんなの小町は絶対許しません!お兄ちゃんと共に音楽をやりたいんです!」
結衣「アイドルは素敵だけど、私たちはラッパーとして活躍したいんです!それとヒッキーを解雇なんて嫌です!」
雪乃「この契約は破談ですね。それでは」ガタッ
大手社長「あ…待っ、待ってくれ!」ガタッ
小町「こんなふざけた内容で契約なんて出来ません!一昨日きやがれです!」
小町「それからプロデューサー役は、この比企谷小町…いやDJリトルタウンですから!!専属プロデューサーなんて要りません!ファック!!」凸
結衣「ヒッキー無しの44Bなんて嫌です!ファッキュー!!」凸
八幡「お、おい…お前ら…一応ここは交渉の場なんだぞ…」
雪乃「比企谷君をバカにする権利があるのは私たちだけです。こんな下劣極まりない契約内容に同意は出来ません」
~~~~
八幡(その後も、色んなレーベルと交渉しにいくたびに、様々な要望と『比企谷八幡を解雇』との条件が必ず付いてきた)
八幡(メンバーでもない人間から、解雇を言い渡されるのは不愉快だが、俺が抜けることで、44Bの為になるならそれで良い思った。だがメンバーはそれを許さなかった)
八幡(そしてやっとの想いで融通の聞くレーベルと契約を交わし、俺はメンバーと共に頑張ることを決意した)
八幡(それから時が経ち大学を卒業。メジャーデビューの為のファーストアルバムを作成する)
【数ヵ月後・スタジオ】
小町「はーい皆さーん!午後の三時なのでブレイクタイムしましょう!」
雪乃「……」ススッ
八幡(そういうと皆、テーブルを囲むようにイスに座る。雪ノ下は紅茶入りポットを出して、カップに注いでいく)
結衣「ん~!紅茶の香りたまんない!」
八幡「アルバムは9割方は完成したか?」ゴクッ
小町「うん。後はもう一回聴きなおして、気になる点があったら修正して終わり」
八幡(トラックメイキングは小町と雪ノ下が担当して、俺と由比ヶ浜がラップ作り担当)
八幡(俺が前もって作ったリリックと歌を、最終的に由比ヶ浜と話し合い編集していく)
八幡(俺はライブの時よりも、スタジオに篭もって曲作りに励んでる時が一番楽しい)
八幡(そして何よりも)
結衣「あ、クッキー作ってきたよ!」ススッ
雪乃「今日は命日ね」
小町「お兄ちゃん…まだ小町は死にたくないよ…だから先に食べて?」
八幡「俺に毒見させる気満々かよ」
結衣「みんな酷いし!?」
八幡(何気なく進む、ほのぼのとした空間)
八幡(あの奉仕部の時の空気が今でも継続できている事が、何よりも嬉しかった)
【アルバム完成して数週間後】
八幡「明日から、メジャーに移行してから初の全国ツアーか」
八幡「今日は夕方からラジオ出演もあるしな…俺は出てもあまり意味がないけど」
八幡「本屋に行って新刊でも買ってくるか。明日からはずっと忙しいだろうし」
~~~
ガチャ
八幡「……ん?誰かが家の前に」
折本「よっ」
八幡「お、折本?」
折本「久しぶりじゃん」
八幡「おう。どうした」
折本「お茶しようよ」
八幡「は?俺は忙しいんだ…」テクテク
折本「忙しくなるのは明日からじゃないの?」
八幡「っ!!」
折本「ちょっと付き合ってよ」
【喫茶店】
折本「驚いたよ、アンタが本当にプロのラッパーになってたなんて」ススッ
八幡(そういって折本は俺に音楽雑誌を見せつけてくる。表紙には俺達が載っている)
折本「高校の時に再会した時も、アンタがラッパー化しててマジで笑ったけどさ…」
八幡「それを言いに来たのか?」
折本「まあ何だかんだでアンタ有名人な訳だし?」
八幡「俺は人気ナンバー4なんだけどな」
折本「プッ…それって一番下じゃん、ダサッ!」
八幡「もう帰って良いか?」
折本「あ、待ってよ!」
八幡「んだよ」
折本「……初日は千葉でライブだよね?」
八幡「ああ」
折本「チケットはもう買ってるから」
八幡「お前…」
折本「CD2枚とも買ったよ。インディーズのと、メジャーになってからの」
折本「いちおう、応援してるから」
八幡「そうか」
~~~~
八幡「んじゃあな」
折本「あ、待って」
八幡「?」
折本「……」
折本「その…中学時代は、ごめん」
八幡「……は?」
折本「アンタが書いた歌詞を見たけどさ、まさかあんな苦しんでたとは思わなくて」
八幡「………あのな、俺は別に中学時代の奴らに謝罪をして欲しくてあんなリリックを書いたわけじゃねぇよ」
八幡「ただ応援してくれてる事は感謝してる」
折本「そっか」
八幡「お前の事を歌った曲は多々あるけど、止めて欲しいならライブで歌うの止めても良いぞ?」
折本「別に良いよ。本名が晒されてる訳じゃないし…まあ何、あのトラウマの日々は曲を作る為の、私からのプレゼントって事で」
八幡「……嫌なプレゼントだな」
折本「所でさ」
八幡「ん?」
折本「結局アンタ、誰と付き合ってるの?」
八幡「いや、おれは彼女いないけど」
折本「じゃあ、あの二人のどっちが好きなの?」
八幡「っ」ビクッ
八幡「俺は…」
八幡「…………」
八幡「帰る」テクテク
折本「あ!ちょっ!待ってよ!」
八幡「そういう話は…苦手だから」
折本「何それ、もう!」
八幡(……)
――ヒッキー!
――比企谷君
八幡「……はぁぁ」
八幡(折本の気持ちは嬉しかった)
八幡(謝ってくれた事も、俺たちを応援してくれる事も)
八幡(おれは高校の頃、ギャングチームのリーダーとラップバトルをした)
八幡(俺は勝利し、そのギャングチーム一同から賞賛された。初めてあんな大人数から認められた)
八幡(でも嬉しくなかった。大して俺の事知らないくせに、さも全てを知ったような顔して賞賛されても嬉しくなかったからだ)
八幡(でも折本は違う。俺の惨めな部分も相当知っている。知った上で認めてくれた。望んではいなかったが謝ってくれた。だから嬉しかった)
八幡(もっとも折本の場合、高校の時も多少関る事もあって、既にあの時から多少なり不快な思いは消えていたが…それでも嬉しかった)
【午後・ラジオ局】
Mr.ボッチ(午後からのラジオ生放送。俺たちはこれで3回目のラジオ出演の訳だが)
Mr.ボッチ(俺はこれまで一度として、司会者から質問されたことない)
Mr.ボッチ(まあ目立つのイヤだから良いけど、あまりに露骨に無視してくるものだから、これはこれで傷つく…)
司会「今日は44Bの皆さんです!」
サブレビッチ・リトルタウン「やっはろーー!!」
ブリザード「どうも」
Mr.ボッチ「うっす」
~~~
司会「メジャーデビューおめでとうございます!」
リトルタウン「えへへへ、どうもどうも」
司会「明日からの全国ツアー期待してます」
サブレビッチ「いやー照れちゃうな~あははは」
Mr.ボッチ(質問に答えるのは大体、小町か由比ヶ浜。雪ノ下は質問されれば答える)
Mr.ボッチ(俺は隅っこでよそ見してる事がデフォ)
~~~
司会「えーここで質問ですが、リトルタウンさん以外の3人は同級生と聞いてますが」
サブレビッチ「はいそうです!」
ブリザード「はい」
Mr.ボッチ「そっすね」
司会「なるほど、それでサブレビッチさんとブリザードさんは昔から友人だったんですか?」
Mr.ボッチ(そして露骨に俺を無視するという流れ。さすがステルスヒッキー)
サブレビッチ「あたしとボッチーとブリのんは部活が一緒で…それからは、ブリのんとはずっと親友です!」ダキッ
ブリザード「ええ、彼女とは親友です」ナデナデ
Mr.ボッチ(はいはいキマシタキマシタ。コイツらラジオ出演のたびに惚気てるな)
サブレビッチ「……でも同時にライバルでもあるかな。ね、ブリのん?」
Mr.ボッチ「ん??」
ブリザード「ええ、私も彼女に負けられない闘いがあるわ」
サブレビッチ・ブリザード「……」チラッ
Mr.ボッチ(な、何で俺を見るんですかね…)フイッ
司会「それで…失礼ですが。私はずっとリーダーが、リトルタウンさんかサブレビッチさんだと思ってたんですが…」
Mr.ボッチ(おいおい司会者、そういうのは前もって調べとけっつーの!)
リトルタウン「ああウチの兄、名ばかりリーダーなんで。実質リーダーの役目を担ってるのはブリザードさんで、リトルタウンがプロデューサー的な立ち位置にいます!」
Mr.ボッチ(妹よ、人にリーダー役職を押し付けておいてよく言うぜ)
Mr.ボッチ(あと歌やリリック作ってるのは俺だからな!)
司会「ふむ、そんな名ばかりリーダー・Mr.ボッチさんの事をメンバーの皆さんはどう思ってますか?」
Mr.ボッチ(この司会者、俺に喧嘩売ってんのか?つーか未だに質問の一つもせずに名ばかりリーダー呼ばわりして来やがったし)ピキッ
Mr.ボッチ(結局、ミューシャンになっても世間からの俺の扱いは対して変わらんな)
リトルタウン「う~ん。重度の中二病で、その癖に変な所で高二病で…そうだ。二人とも、兄の事どうおもいます?」
サブレビッチ「捻くれてて、いつも屁理屈ばかりいうし…あと独り言多いし、笑い方キモいし」
ブリザード「そうね。あと根性が腐ってて、目が腐ってて…あと頭がおかしい」
Mr.ボッチ「お前ら少しは思いやりの心を持てよ、結構傷つくんですが」
ブリザード「しょうがないじゃないボッチ君、事実なのだから」
サブレビッチ「現実を受け入れるのだボッチー!」
Mr.ボッチ「現実は常に非常だ」
司会(このリーダーはよっぽど人望がないんだな…)ジロッ
司会「でもそんな残念なリーダーと共になぜ音楽活動をやっているのですか?」
Mr.ボッチ(いちいち一言多いんだよこの司会者は!絶対喧嘩売ってるだろ)
ブリザード・サブレビッチ「……」ガタッ
リトルタウン「お、このパターンは」ニヤニヤ
Mr.ボッチ「……?」
司会「ん?」
ブリザード・サブレビッチ「……」テクテク
ブリザード「失礼するわボッチ君」ストッ
サブレビッチ「ちょっと狭くなるけど我慢してね」ストッ
Mr.ボッチ「なんだよ二人とも、いきなり隣に座ってきて」
ブリザード「司会者さん…私は学生時代、ボッチ君に救われてきたんです」
Mr.ボッチ「!?」
Mr.ボッチ(ふと雪ノ下の方に向くと、頬を赤らめながらコチラに視線を向ける)
司会「は?救われた?」
ブリザード「ええ、何度も…」
ポンッ
Mr.ボッチ「ちょ、おい!?人の肩に頭を預けるな!……良い匂い」
ブリザード「私が苦しかった時、いつも彼は私も救ってくれた」
ブリザード「彼を尊敬してます…私が出来なかったことを彼はやり遂げてしまう」
ブリザード「だからボッチ君に、いや比企谷君に私の命を預け、人生捧げようと…胸に決めました」
司会「」
Mr.ボッチ(おい。人生を捧げるって何?その言葉は誤解を生むぞ。よ、よし、まず落ち着け。コレはあれだ。雪ノ下がつい失言してしまったパターンだ。特に深い意味はない…はず)
サブレビッチ「あ、あたしも!ボッチーに何度も助けられて来ました!」
ゴン!
Mr.ボッチ「痛っ!!ちょ、おま何をする!!」
Mr.ボッチ(由比ヶ浜も俺の肩に頭を預けてきたが、勢いを付けすぎて俺のアゴに由比ヶ浜の頭部が激突する)
サブレビッチ「あ、ごめんボッチー!///」
Mr.ボッチ「痛ぇよ!あとお前も自分の頭を、俺の肩に乗っけてくるな!……い、良い匂い」
サブレビッチ「やだ!」
サビレビッチ「司会者さん!あたしはボッチーから高校生のときにラップを教わりました!」
サブレビッチ「それから…ブリのんとボッチーと多くの思い出を作ってきました!」
サブレビッチ「リトルタウンちゃんの為に、プロを目指したボッチーの役に立ちたかった!それがあたしのプロを目指した一番の理由です!」
サブレビッチ「ね!ボッチー!」
Mr.ボッチ「そんなことより二人ともいい加減、俺の肩から頭を離してくれませんかねぇ…?」ドキドキ
サブレビッチ「やーだ!///」スリスリ
ブリザード「ごめんなさい、それは無理」スリスリ
Mr.ボッチ(……つーか、いつから俺にこんなスキンシップ取るようになった?高校まではこんなんじゃなかったのに)ドキドキ
リトルタウン「よーし!リトルタウンも混ざっちゃっおう!背後からハグしちゃう!」ダキッ
Mr.ボッチ「妹よ愛してる」
司会(なにこのグループ)
【一週間後・空港】
八幡(千葉で2件、都内で4件ライブを終え、今日は北海道へと移動する為に空港に来ている)
八幡「そういえばツアー中の世話になるスタッフの連絡先を知らんな。もしもの時の為に知っておかねば」
八幡「よし、まずは目の前にいる二人の女性スタッフさんに……あの」キョドッ
女スタッフ1・2「っ!?」ビクッ
八幡(何この反応。あれ?トラウマが蘇る。デジャブ?)
八幡「あの…ツアー中は世話になるので、連絡先を」
女スタッフ1「えー…でも他のメンバー方々の連絡先は知ってるんで、別に交換する必要ないじゃないですか」
八幡「えっと…いちおう俺、リーダーなんで」キョドッ
女スタッフ1「……はい。連絡先です」ススッ
八幡(なにその面倒くさそうな顔)ススッ
女スタッフ2「あ、じゃあ私のは交換する必要ないですよね?それじゃ」
八幡(どうしてそういう流れになる…もう良いよ連絡先など入らん)
~~~~~
ファン全員「ウオオオオオオオ!!!きたきた!!!」
結衣「あ、ファンの皆だ。やっはろー!」凸
小町「やっはろー!」凸
ファン全員「やっはろーー!!!」凸凸
結衣「ほら、ゆきのんも一緒に挨拶しよ?」
雪乃「え…?ご、ごほん…ご、御機嫌よう」ノ
ファン全員「んほおおおお!!ブリザードちゃん今日も綺麗だよ!!」
雪乃「は、はぁ」
小町「ほらお兄ちゃんも挨拶!」
八幡「え、おう」
八幡(とりあえずラッパーらしく、ジェスチャーしとくか)
八幡「YO」ミブリテブリ
ファン全員「……」ギロッ
八幡「え」
八幡(おい、なにこの反応の差は。てか睨まれてる?)
ファン1「アイツさ、先週のラジオで女メンバー全員とイチャイチャしてたよな」ヒソヒソ
ファン2「マジありえねぇ、死ね」ヒソヒソ
ファン3「何がミスターボッチだよ、全然ボッチじゃねぇし」ヒソヒソ
八幡「ぇぇー……」
小町「ごめんお兄ちゃん!まだ時間あるから、ファンの人達と即席サイン会してくるから」
八幡「おう」
雪乃「あら、貴方はいかないの?」
八幡「サイン会に参加したら俺がどんな目に合うか、分かってんだろ。無駄な質問しないでくれ」
雪乃「あらわからないわよ?貴方を慕ってくれる虫に出会えるかもしれないわ」
八幡「無視されるって言いたいんだろ。虫だけに」
~~~
八幡「……出発時間まだかな」
八幡「ん?」
DQN「おう」
不良1~3「久しぶり」
ビッチ全員「知り合い?」
DQN「ああライバル」
ビッチ全員「ふーん」
八幡(見るからに男好きっぽそうなビッチ集団と、メンバーを引き連れて現れるDQN)
八幡「相変わらずモテモテのようで」
DQN「まあな。んでお前のメンバーは?」
八幡「あっち」
DQN「凄い人気だな」
八幡「アンタだって人気じゃないっスか。異性からもファンからも」
DQN「お前だってプロになったんだから、モテて女には困らないだろ?」
八幡「俺に彼女はいないし、アンタみたいに女を侍らせてる事すらしてませんよ」
【機内】
八幡「プロのミュージシャンになれば女にモテるだと?そんなの幻想だ」
八幡「……別に良いんだ。俺はそこらの下半身脳丸出しの連中と違って、妹の夢追いの手伝いしてるだけだ」
雪乃「なにをブツブツと独り言いってるの?」
結衣「ヒッキー!先に機内向かわないでよ!」
八幡「お前らがサイン会なんてするからだろ」
雪乃「……失礼するわ」
結衣「よっと」
八幡(二人が間を挟むように、俺の右隣に雪ノ下が、左隣に由比ヶ浜が座る)
小町「小町は後ろにいるからね!」
八幡「はいはい」
結衣「……」ジーッ
八幡「んだよジロジロ見て」
結衣「ヒッキーはさ、やっぱりミュージシャンになってもヒッキーはヒッキーだね」
雪乃「そうね。いつか誰かが言ってたけど、人間そうそう変わらない物ね」
八幡「るっせぇな、ほっとけ」
ギュッ
八幡「……っ」ドキッ
八幡(俺の両手から、人肌の体温を感じる)
八幡(手のほうへ目をやると、俺の両手の甲に、手が置かれていた)
結衣「私は…ヒッキーの事見捨てないからね///」ギュッ
雪乃「貴方を理解できる人間なんて、そうそういない物ね…でも私は理解してるわ、比企谷くん」ギュッ
ポンッ
八幡「っ」ドキッ
八幡(今度は二人が俺の肩に、頭を預けてくる…先週のラジオ放送の時の様に)
結衣「ずっと一緒だよヒッキー…//」ドキドキ
雪乃「あまりに哀れだから、側にいてあげるわ比企谷くん」スリスリ
八幡「ぅ……」ドキドキ
小町「……」ニヤニヤ
八幡(この時の俺は全く気付いてなかった)
八幡(折本の謝罪が皮切りに…俺の中の『ある物』に小さなほころびが、何かの崩壊が始まっていたことに)
八幡(メンバーとのほのぼのとした音楽活動の中で、その何かが崩壊を加速させていく)
今日はここまで。おまけ編の前半終了
次回は中盤
【報告】
本当は昨日に投下しようと思ったけど、きり良く執筆しきれず断念
しばらく忙しいので更新まで五日~八日になるかもしれません
感想に関してですが
見直しましたが、確かに不快な印象を与えても仕方ないとは思いました
そこの描写に関してイヤな想いを与えてしまい、申し訳なく思っています
もう少し違った描写にしても良かったとは思いました
ただ自分としては悪意があってやったわけじゃないと言う事だけしか言えません
そこの所は中編と後編を、もし興味があったら続き見て判断してくれると幸いです
続きは蛇足だけど自分は書いていくつもりです
もしよければ、最後までヨロシクお願いします
【札幌ライブ終了後・打ち上げ飲み会】
小町・結衣「お疲れ様でーす!かんぱーい!」
全スタッフ「かんぱーい!」
女スタッフ1「ぷはぁ…ビール上手い」
女スタッフ2「あれ?何で今日はウーロン茶なんですか?」
小町「雪乃さんから今日はお酒禁止令が出てまして…はぁぁ、ライブ後にウーロン茶って何か微妙…」ゴクゴク
結衣「ゆきの~ん、お酒飲みたいよ~」ゴクゴク
雪乃「ダメよ。ここ3日間は泥酔状態だったじゃない。毎日あんな調子じゃ体に毒よ」
八幡「体に悪いって人間いつかは死ぬんだから、いちいちそんな事気にして禁酒してられるかよ…」
八幡「あーあ、カルーアミルク飲みたい」
雪乃「そうね、比企谷君は元々死んでるからお酒をいくら飲んでも平気かもね」
八幡「遠まわしに俺をゾンビって言うの止めてくれない?」
雪乃「ゾンビと言えどメンバーなのだから、グループ内の規律は守ってもらうわよ。ゾンビ谷くん」
八幡「はいはい…はぁぁ、お酒飲みたい」
雪乃「……我慢して、アナタには長生きして欲しいの」
ポンッ
八幡「っ」ドキッ
雪乃「フフ」ウットリ
八幡「おい…俺の肩に頭を預けるな」ドキドキ
全スタッフ「」
女スタッフ1「雪ノ下さんってよく比企谷さんの悪口言うけど、いつも必ず比企谷さんの隣にいるよね…まさか…」ヒソヒソ
小町「ええ、察しの通りです」ニヤニヤ
女スタッフ2(あんな凄い美人なのに…何であんなネクラそうな人を)
女スタッフ1(確かに…)
結衣「……むぅ~~~っ!」ガタッ
結衣「あのスイマセン、失礼します!」ススッ
八幡(由比ヶ浜が小走りで、俺の隣にいるスタッフを押しのけて強引に割り込んでくる)
結衣「ヒッキー!!アタシも!!」ピタッ
八幡「お前も止めろよ…早く元の席に戻れ」ドキッ
結衣「いや!」
八幡「……っ」ドキドキ
女スタッフ1・2「」
小町「二人とも兄に救われて、その人柄に惚れ込んでるんですよ」ニヤニヤ
小町「ただあれだけスキンシップして、未だに勝負を決する決定的な事をしていないんですよね…」
八幡(その後も全国各地を回った)
八幡(メンバーと共にほのぼのと、充実した音楽活動を行った)
八幡(……充実?あれ?この単語を使うと何故か不愉快な気持ちになるんだが何故だ。まあいいや)
【秋田ライブ終了後】
サブレビッチ「みんな今日もありがとう!!またね~!」凸
客全員「うおおおおおお!!!」
~~
結衣「お疲れみんな!!」
小町・雪乃「お疲れさま」
八幡「お疲れ」
結衣「……」ジーッ
八幡「ん?どうした」
結衣「あの、ヒッキーさ」
八幡「なんだよ」
結衣「歌い方少し変わった?」
八幡「……は?」ポカーン
雪乃「そういえば少しだけ違う感じがしたわね」
八幡「そ、そうか?」
結衣「上手くは言えないけど、いつもと雰囲気が違う感じがしたよ」
【とある大会場】
八幡(今日はヒップホップイベントに参加)
八幡(多くの有名ラッパーたちがこの会場に集結している)
司会者「イェェ!盛り上がっているか!」
客全員「オオオオオオオ!!!」
八幡「久しぶりのフリースタイルだな」
結衣「決勝で会おうねヒッキー!」
八幡「おう。できたらな」
雪乃「決勝までいくのはこの私よ」
八幡「……とりあえず雪ノ下はあれだ、体力を決勝まで温存しとけ」
小町「小町はDJバトルの方に出るからラップバトルは参加しないけど、見守ってるね!」
八幡「おう、精一杯楽しんでくる」ミブリテブリ
小町・雪乃・結衣「??」
八幡「何だよ…そんな不思議そうな顔して」
小町「いや…なんでもない」
雪乃・結衣「……」
~~~
司会者「続いては…44Bメンバー!MC!ミスターボッチ!」
客全員「オオオオオ!!」
Mr.ボッチ「っ!?」ビクッ
Mr.ボッチ(何だ何だ!?いつもより俺のファンが多い!?)
小町「そっか。今日はヒップホップイベントで、コアなラップファンが多いんだよね」
結衣「え、いつものお客さんって、ラップファンじゃないの!?」
雪乃「どちらかと言うと見てると、ラップファンよりもアイドル好きな人の方が多いわね」
Mr.ボッチ(あんま客の声援には慣れてないんだよな…落ち着かん…)
~数分後~
司会者「えー…集計結果…」
司会者「勝者!Mr.ボッチ!!」
客全員「オオオオオオオオオ!!!」
客全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
Mr.ボッチ「っ」ビクッ
Mr.ボッチ(や、やっぱ慣れねぇな…)
ラッパー「負けたよ、Mr.ボッチ握手してくれ」アクシュ
Mr.ボッチ「おう」アクシュ
司会者「二人に拍手!!」
客全員「オオオオオオオ!!ヒューヒュー!!」
パチパチパチパチ
Mr.ボッチ「あー楽しかった…フリースタイルは良い物だ」
~~~
八幡(その後も奮闘するも、俺はベスト4で終わった)
結衣「あ~あ、アタシはベスト8で終わっちゃった」
雪乃「同じくベスト8…なぜかしら、徹底的に叩いたハズなのに」
八幡「たしかに叩き方は凄いけど、おまえのフロウはいちいちエレガント過ぎるんだよ…歌い方がお上品っていうか…」
雪乃「そういうアナタも随分、攻め方が変わったわよね」
結衣「あ、ゆきのんも思った?」
八幡「……?どういう意味だ。前もそんな事言ってたけど」
雪乃「うーん…どう表現すればいいのかしらね」
結衣「うん、ただ凄く楽しそうっての伝わってたよ」
雪乃「そうね。悪くは無かったわ」
八幡(……なら問題ないか)
~イベント終了後~
八幡「今日はなかなか充実した一日だった」
八幡「……しかし充実って単語使うとなぜこんなにイライラするんだ」ピキッ
DQN「よお」
八幡「あ、本日のチャンピオンじゃないっすか」
DQN「惜しかったな、もう少しで決勝で闘えたのに」
八幡「ま、世の中そうそう上手くはいきませんよ」
DQN「……でもまあ、いまのお前じゃ俺には勝てん」
八幡「でしょうね、アンタはいまや日本で最強のラッパーと呼ばれてるし」
DQN「いやそうじゃない。お前、歌い方が変わったよな」
八幡「メンバーにもそれ言われたんですが…」
DQN「なんつーか…すげぇ楽しそうには歌ってる。リズムの取り方も歌い方も昔より格段にレベルアップしてる。それは良いんだ」
DQN「ただ、気迫が減ったよな」
八幡「え」
DQN「俺と駅地下でラップバトルした時は、今と比べてラップスキルは未熟だったが、その気迫は凄かったぞ?」
DQN「いまはスキルアップはしてるけど、勢いが減った」
八幡「……」
DQN「でもまあ、ラッパーとしての実力は一流クラスだと思ってる」
DQN「あんま気を落とすな」
八幡「……」
八幡(気迫が減った…か)
【ある日、宿泊先ホテル・八幡の部屋】
八幡(打ち上げ終了後、俺と雪ノ下で二次会的な晩酌を行っている)
八幡・雪乃「……」ゴクゴク
八幡・雪乃「……」
八幡(ツアー中は、3日に1回は2人で晩酌をしていた)
八幡(社交的な性格の、小町と由比ヶ浜はスタッフたちと2次会、3次会は当たり前に参加するが、俺たちは1次会で帰ってしまう)
八幡(そんなある時、雪ノ下からの誘いでパンさんDVDを寝る前に二人で鑑賞した事が、晩酌を始めるキッカケになった)
八幡・雪乃「……」
八幡(特に会話も無く淡々と酒を飲む。奉仕部で2人きりだった時の様に静かに過ごす)
雪乃「……」
ギュッ
八幡「ど、どうした手を握ってきて」ドキッ
雪乃「……何となく」カァァ
八幡「そ、そうか」
雪乃「今日もパンさん鑑賞会に付き合ってくれて感謝してるわ」
八幡「ああ」
雪乃「……比企谷くん、アナタ変わった?」
八幡「歌い方の事か?」
雪乃「声質が変わったわけでもないのに…」
雪乃「無意識に歌い方が変わると言う事は、何か心に変化があったとしか思えない」
八幡「心に変化ね…」
八幡「……つーかお前も変わっただろ。いや一番変わったろ4人の中で。色々と」
雪乃「フフ、そうね。初めて会った頃の私ならアナタに触れたいなんて思わなかったもの」
八幡「だろうな。割と本気で軽蔑してたし」
雪乃「でも、いまはそんな事ない」ギュッ
八幡(その白い手は綺麗な細い指で、俺の指と絡め、俺をしっかりと見つめる)
雪乃「私達メンバーの関係も…変わるのかしら」
八幡「いつかは変わるかもな…どんな形かは知らんが」
八幡・雪乃「……」
雪乃「比企谷くん」ドキドキ
八幡「雪ノ下」ドキドキ
コンコン
八幡「ん?誰だこんな夜中に?」ムクッ
八幡「はい」ガチャッ
結衣「やっはろー!」
八幡「……あれ?二次会にいったんじゃ」
結衣「小町ちゃんがいきなり『インスピレーションが閃きました!』って言い始めて、早くヒッキーの部屋に行けって言われて…」
八幡「アイツ何を言って…」
結衣「あ、あれ、ゆきのん!?」
雪乃「由比ヶ浜さん…」
結衣・雪乃「……」
結衣「ヒッキー」
八幡「お、おう」
結衣「あたしも晩酌付き合う!良いよね?」
八幡「……」チラッ
雪乃「ええ、構わないわ」ニコッ
八幡(雪ノ下も一瞬、呆気に取られた表情を浮かべるも、笑顔で由比ヶ浜を引き入れる)
~~~
結衣「ほら、ゆきのん。ワインついであげる!」
雪乃「ありがとう」ニコッ
八幡「……」
八幡(俺たちはきっと、しばらくは3人…いや4人だな)
八幡(この日以降、3日に一辺の晩酌会は2人から3人で行われる事となる)
【ツアー後半・沖縄】
八幡(ツアーも大詰めで、今日は沖縄に来てる)
八幡(ライブは明日から2件。その後は千葉に帰ってツアー最終日のライブ)
八幡(今は海水浴に来てる。海水浴シーズンは終わっていて、俺たちしかいない)
結衣「ヒッキーほら!」バシャバシャ
八幡「ちょ、おい!冷てぇよ!」
雪乃「アナタは元々冷たいじゃない」
八幡「……人を遠まわしにゾンビ扱いしてるお前の心こそ冷たいだろ」
雪乃「あら、私は真実を伝えてるし寧ろ慈しみの思いで接してると思うのだけれど?」
八幡「お前の道徳観念は間違っている」
小町「みなさーん!スイカ割りしましょう!」
~数時間後~
八幡(泳ぎ疲れた俺たちは、パラソルの下で休憩中)
結衣「あれ、小町ちゃんは?」
八幡「さっきメールで『疲れたからホテル戻る』っ来た」
八幡(妹よ、また余計なマネを…)
八幡「……」チラッ
結衣「?」
八幡(左隣にいる由比ヶ浜の、水色ビキニから見える二つのメロンが、俺の鼓動を速める)ドキドキ
結衣「ちょ…ヒッキー、そんな見られると恥ずかしい…//」
八幡「す、すまん」フイッ
八幡「……」ジーッ
雪乃「……」
八幡(右隣に雪ノ下の白いビキニ姿。大きくないが、そのスレンダーな体型はやはり俺の鼓動を速める)
雪乃「そ、そんなに見られたら…恥ずかしいわ…」
八幡「わ、悪い」フイッ
八幡「……」
八幡(煩悩を消す為に何か…そうだ、久々にリリックを書こう)
八幡(鞄の中から、メモ帳を取り出しペンを取り出す)
八幡「……」
八幡「……」カキカキ
八幡「……ダメだ。何か納得いかん。ボツだ」カキカキ
ポンッ
雪乃・結衣「zzz…」
八幡(二人は寝てしまったのか、同時に俺の肩にもたれ掛かって来る)
八幡(……)ドキドキ
八幡(以前、俺は言われた…『気迫が減った』)
八幡「なんか最近、ふぬけてるのだろうか」
八幡「だがラップ自体は好きだ。歌ってて楽しいしな」
八幡「……だけど、確かに以前と感覚が変わってきたのは分かる」
八幡「録画されたライブのDVDを見直しても、それは日に日に分かり易く変化していた」
【深夜・八幡の部屋】
八幡「……」ゴソソッ
八幡(俺は小中学時代のアルバムを開く)
八幡(なんでこんな物をツアー中に持ち歩いているか、それには理由がある。あの時を振り返る為だ)
八幡「俺がプロを目指したキッカケは小町の夢追いの手伝いだ」
八幡「だがラップを歌う時の原動力は、音楽への愛と…」
八幡「トラウマだった」
八幡「あのトラウマの日々が…俺の音楽性を決定付けるといっても過言じゃなかった」
八幡「上手く人と話せず、友達ができず、無視され、嘲笑され…」
八幡「『俺たち友達だろ?』と言われ掃除を押し付けられ…」
八幡「女の子からのメール返事が来なかったり、失恋を暴露されたり…」
八幡「俺はおかげで孤独が好きになっていた」
八幡「だからラップでもこのトラウマを武器に変えようと思った」
八幡「あの中学時代の憎しみ、悲しみ、妬み、怒りは…俺の財産だ。負の遺産だ」
八幡「いつも胸の奥に染み付いてて離れる事がなかった。どんな時もだ」
八幡「……」ペラッ
八幡(俺はアルバムを見る。過去を振り返る)ペラッ
八幡(それなのに)ペラッ
八幡「……」
八幡「憎しみも、悲しみも、妬みも、怒りも…湧かない」
八幡「昔の俺なら、いちいちアルバムなんて見なくても、勝手にトラウマが蘇っていたのに」
八幡「……」ガリガリ
八幡(頭をかきむしる)
八幡「ダメだ…」
八幡「あの憎きリアルに充実した連中を罵る事ができない、何故だ」
八幡「新曲が…作れない…」
八幡「またボッチになれば、前の感じに戻れる?」
八幡「……」
八幡「それだけはイヤだ」
【機内】
結衣「ヒッキー、リリック考えてるの?ペンが止まってるけど」
八幡「……」
雪乃「さっきからノートを見つめっぱなしのようだけど…ノートに恋をしてしまったのかしら?」クスッ
八幡「……」
雪乃「?」
結衣「ヒッキー?」
八幡「過去に受けてきたトラウマ…それらをテーマにしたリリックはすでに書き尽した」
八幡「これまで書いてきたリリックは約1500曲以上。その内の4分の1が過去のトラウマをテーマにした物だ」
八幡「それでも以前ならいくらでも掘り下げて、トラウマを元に曲を作れた」
八幡「それが最近出来ない」
雪乃「スランプ…かしら?」
結衣「でも1500曲も作ってるんじゃ別に良いんじゃ」
八幡「1500曲の内、8割が下らない内容だ。だから捨て曲が多いと言っていい。採用する気も無い」
八幡「それでも自信作を含め、あとアルバム4枚分は作れるとは思うが…」
八幡「……」ガリガリ
八幡(無造作に髪をかきむしる)
八幡「その気になれば、相手をディスるワードなんていくらでも思いつく」
八幡「ただ釈然としない。こんなの書いても意味ないと思ってしまう。滑稽と思ってしまう。何故かは知らんが」
八幡「あれだけ憎かったリア充が、トラウマの日々が…近頃、意識が薄れてきた」
八幡「ラップはディスってなんぼだろ」
八幡「ディスる対象が分からなくなってきた」
八幡「何を表現すれば良いか分からん」
雪乃「……」
結衣「ヒッキー…」
八幡「ただ一つ言える事がある」
雪乃・結衣「……?」
八幡「1人でいるのは好きだ。だけどお前たちと離れたくない」グスッ
雪乃・結衣「…っ」ドキッ
八幡(何だよ…何を涙ぐんでるんだ俺は)グッ
八幡「正直言おう。俺はお前たちとの関係は高校までだと思ってた」
八幡「それでも今日まで関係を続ける事ができた」
八幡「……お前らとの音楽活動の日々が楽しくて仕方ないんだ」
八幡「不覚にも俺は昨日、またボッチになればあの時の怒りを取り戻せると…一瞬、考えてしまった」
八幡「だけど、孤独に生きた日々には戻りたくない」
八幡「ずっと側にいてほしい。かけがえのない本物だからだ」
ギュッ
八幡(両手から人肌の体温を感じる。雪ノ下と由比ヶ浜が俺と手を重ねてくる)
雪乃「私も人と距離を取る事ばかりしてたけど…アナタと、それとこのメンバーは特別。離れたくない」
結衣「あたしも皆と一緒にいたい。ずっと一緒にいたい」
小町「小町もだよ!」ノ
八幡(後ろの座席から、小町が声が聞こえる)
【ツアー最終日・打ち上げ会場】
結衣「それじゃ全国ツアーお疲れ様でした!」
全員「かんぱーい!!」
八幡(由比ヶ浜が連絡を回して、懐かしい顔が集まっている)
平塚「お疲れ、久しぶりだな」
八幡「うす、久しぶりっス」
陽乃「比企谷くん、雪乃ちゃん、ひゃっはろー!」
雪乃「あら姉さん」
八幡「うす」
葉山「やあ比企谷、雪乃ちゃん。久しぶり」
八幡「葉山…」
雪乃「久しぶり葉山くん」ペコッ
葉山「キミ達もすっかりスターになったな」
八幡「何の冗談だ。雪ノ下はともかく俺は不人気ラッパーだ。人気者はお前だろ」
葉山「いやいや。キミだってミュージシャンであり有名人だろ」
材木座「八幡!久しぶりだな相棒よ!」
八幡「なんだ来たのかよ…」
戸部「おう兄弟!久しぶり!」
八幡「おう44Bファンクラブ副会長。元気そうだな」
戸塚「はちまーん!」
八幡「戸塚ぁぁぁ!!!44Bファンクラブ会長!!会いたかった!!」
戸塚「久しぶりだね、千葉でのライブは全部見たよ!」
~~~
結衣「んじゃカラオケタイムと行きましょう!!」
オオオオオ!!
八幡「おいおい…ライブ終えたばかりなのに、また歌うのかよ」
雪乃「フフ、由比ヶ浜さんもタフね」
八幡「いいのか?せっかく和解した陽乃さんや葉山と話さなくて。久しぶりに話して来いよ」
雪乃「それも良いけど…そもそもアナタのおかげだし」
八幡「お前と陽乃さんと葉山が、お互いに向き合ったからだよ。俺は大した事してない。言って来いよ」
雪乃「……アナタの側にいさせて」
八幡「……お前がそういうなら」ドキッ
いろは「私もいますよ先輩?」
川崎「……私もいる」
八幡「今日はありがとな来てくれて」
いろは「先輩の為ならドコへでも行きますよ?//」
川崎「……別に、暇だったし//」
結衣・三浦「~~~!」
八幡(由比ヶ浜と三浦が一緒に、Jポップの曲を歌ってる)
八幡「……」
結衣「ぜぇぜぇ…98点だって!やったね優美子!」
三浦「さすが結衣、歌唱力あんじゃん」
ワイワイ、ガヤガヤ
八幡(かつてはボッチで、自分の周りには人なんていなかった)
八幡(俺は不人気だけど…でも、それでも)
八幡「なんか、幸せだな」
雪乃「え」
結衣「え?」
全員「……!?」クルッ
八幡「な、なんだよ…一斉にこっち向いて…」
結衣「いや…ヒッキーがそういう事を言うキャラだったっけ?って思って」
雪乃「確かに驚いたわ」
八幡「そ、そうか…」
八幡(幸せ…確かに、高校の時の俺だったらそんな事言わなかったよな…)
【自宅】
八幡「……」
八幡「ツアー…楽しかったな…」
八幡「次のツアーはいつだろうか…」
八幡「……」
八幡「新しいアルバムも作らないとな…」
八幡「でも…どうしようか…」
八幡「……」
八幡「とりあえずゲームでもしよ。休暇中だし」
~~~~
コンコン
小町「お兄ちゃ~ん!結衣さんと雪乃さんが来たよ!」
八幡「おう」
結衣「やっはろー!」
雪乃「こんにちは比企谷くん、今日は一段と目が腐ってるわね?目がいやらしいわ」
八幡「ほっとけ」
結衣「なんのゲームやってるの?女の子が画面に映ってるけど」ヒョコッ
小町「あれれ、もしかしてギャルゲー?」
八幡「ああ」
結衣・小町「…………」
八幡「なぜだろう、俺は画面しか見てないのに軽蔑の視線を感じる」
雪乃「私はアナタが何のゲームをやっていようが気にしないけど、あまりに堂々としてるから呆れたわ」
結衣「ヒッキーまだそういうゲームをやってるんだ…」
八幡「ばっかお前。このゲームは俺達の曲が、主題歌として抜擢されてる奴だぞ」
結衣「え、本当!?コレが!?」
小町「へぇぇ、これが私達の曲が抜擢された例のゲームだったんだ~」
雪乃「それなら折角だし、私達も一緒にこのゲームを参加させて貰いましょう」
八幡「え、これ1人用のゲームなんだが」
小町「1人に付き30分で交代して、ヒロイン攻略を進めるってのはどうですか?」
雪乃「異議は無いわ」
結衣「うん!それで良いよ」
八幡「俺の拒否権は無いんですね…」
ppppp
八幡「ん?スマホから連絡が」
八幡「はい、もしもし」
八幡「…………はぁ。わかりました」
結衣「誰から?」
八幡「社長から」
小町「何だって?」
八幡「今度、俺とサシで話がしたいから来いってさ」
【数日後】
八幡「お久しぶりです社長」
社長「いやいや全国ツアーお疲れ様。はいマックスコーヒー」
八幡「あざっス」グビグビ
八幡「それで話って?」
社長「ああ…次のアルバムについてだが」
八幡(やっぱりその話だったか…)
八幡「ええ、その話をされると思って、用意してきました」
社長「おお流石だね…なになに、タイトルは『絶対に許さないノート』?」
八幡「はい。俺が学生時代に書いてた日記です。それを元に次のアルバムを作成しようと思いまして」
社長「……」
社長「比企谷くん…そろそろ違った試みに挑戦しないか?」
八幡「どういう意味ですか?」
社長「より幅広い層に評価される曲を作るんだ」
八幡「幅広い層…つまり、一般大衆にうけそうな曲を作れと」
社長「勿体無いんだよ、君達の実力を知ってる身として」
社長「キミと結衣ちゃんのラップスキル、そして雪乃ちゃんと小町ちゃんが作るハイセンスなトラック…」
社長「彼女達の容姿においては言うまでも無い。曲もビジュアルも全てが一級品と言って良い」
社長「それなのに何故いつも半端な評価のされ方なのか?」
社長「ファーストアルバムだって17位で、その前に出した4枚のシングルも15位から20位で留まっていた」
八幡「……俺が作るリリックがあまりにも大衆向けじゃないからですか?」
社長「君達が出したシングルCDの曲名…『※going going alone way』『青春とは嘘であり悪である』『俺の友達の友達の話』『死ねリア充』」
社長「正直、君が作る曲はオタク層向けなのは明らかだね」
※元ネタ…八幡のキャラソン
八幡「まあそうですね、俺としても一部のマニアに受けてくれればそれで良いと思ってました」
八幡「……ただ、コアなラップファンよりアイドルオタクが多いのは気になりますが」
社長「キミが作ってきた歌詞を否定するつもりはない、寧ろこれはこれで良い」
社長「この『絶対に許さないノート』を元にアルバムを作っても良いと思う」
社長「だがそれは原点回帰の時にでもやってくれ。次回作は趣向を変えて欲しい」
八幡「……」
八幡(社長には返しきれない恩義がある)
八幡(数々のレーベルと交渉に行く度に『比企谷八幡の解雇』を提案され続けてきたが、この社長だけはそんな事を言わなかった)
八幡(そしてギャルゲーの主題歌に抜擢してもらったり、深夜アニメの主題歌に抜擢してもらったり…その恩は多々ある)
八幡「わかりました。どうにか幅広いそうに受けそうな曲を作りましょう」
社長「感謝する」アクシュ
八幡「うす」アクシュ
八幡「んじゃ、俺はこの辺で…」
社長「ところで、ライブDVDを見させてもらったが」
八幡「ああ、この間のツアーの?」
社長「ああ…キミ、歌い方変わったかい?」
八幡「そうですね。周りからも言われてるし、自分も初めは気がつかなかったけど、途中から自覚してます」
八幡(昔はラップバトルやる時は、俺はカースト最下層だがラップだけは誰にも負けないと決意してたが…だが最近はラップを純粋に楽しむ事ばかり考えてた)
社長「以前までは、『呪詛ラップ』なんて言われてて、暗くて毒々しい感じだったが、ライブを重ねるごとにクリーンになっていって」
社長「ツアー最終日になる頃には、正統派ラッパーになってたね」
八幡「正統派ラッパーって…俺のラップはこれまで正統なラップじゃなかったんすね…」
社長「何かあったのかい?」
八幡「強いて言うなら…そうっスね」
八幡「キッカケは俺に最大級のトラウマを植え付けた女が、44Bを応援し始めた事…」
八幡「それから高校の頃からの付き合いのメンバーと、今日まで楽しく音楽活動ができた事…」
八幡「それが嬉しくて幸せで、いつしかトラウマが消えかかってきていて」
八幡「いつ間にかラップの歌い方にまで影響を及ぼしてたみたいですね」
【自宅】
八幡「ただいまー……って、何でお前らいるの」
結衣「あ、ヒッキーやっはろー!見てみて!ヒロイン攻略したよ!」
八幡「ちょ、おま!俺が攻略しようと思ったのに!」
小町「結衣さん、何だかんだで一番このゲームにハマってますね」
雪乃「由比ヶ浜さん、エンディングを見終えたら次は私がプレイする番よ」
~~♪~~♪
結衣「私達が作った曲が流れてる!エンディングの曲も抜擢されてたんだね!」
~♪~♪
小町「あ、エピローグです!ヒロインがウエディングドレス着てますよ!」
結衣「わぁあ…綺麗…アタシもいつか…」チラッ
雪乃「そうね、私もいつか…」チラッ
雪乃・結衣「……」ジーッ
八幡(何で俺を見るんですかね…いや、気のせいだ。そうに決まってる)
八幡(それにしても…新曲はどうしようか…)
八幡(幅広い層に受け入れられる曲ね…)
キャッキャッ、ワイワイ
八幡(ま、後で考えるか。いまはコイツらとほのぼのしてツアーの疲れを取りたい)
ppppp
八幡「んだよ、またスマホから連絡が…だれだ?」
八幡「はい、もしもし」
『おう比企谷、私だ』
八幡「平塚先生…?」
今日はここまで
次回は後編で、一気に最後まで書いて終わりにします
最後の投下します
レスの数は約35くらいです
【ファミレス】
八幡(いきなり呼ばれた俺たちは、ファミレスで会う事に)
八幡「いきなりファミレスに呼び出してどうしたんですか」
平塚「突然すまない。大事な話があってだな」
結衣「大事な話?」
雪乃「お言葉ですが、先日の打ち上げ会の時に言ってくれても良かったのでは?」
平塚「あの時の主役はお前たちだ。私が出しゃばっていけないと思ってな」
小町「出しゃばるって…何をですか?」
平塚「ご、ごほん」
八幡「何をそんなにかしこまって…」
平塚「……」
平塚「このたび、私は結婚する事になった」
結衣・小町「」
八幡「ん?いま幻聴が」
雪乃「おかしいわね…私も幻聴が聞こえたわ。比企谷菌のせいかしら」
八幡「何でもかんでも俺のせいにするの止めてくれない?」
平塚「……おいお前たち、私は本気で言ってるんだぞ」
八幡「マ、マジッすか?」
雪乃「その信じられませんが…ご結婚おめでとうございます」
結衣「先生やっと夢が叶ったんですね…ご結婚おめでとうございます!!」グスッ
小町「おめでとうございます!」
平塚「ああ…本当、本当に長かった…」グスッ
八幡「んで、お相手は?」
平塚「私と同じ位の年齢で…まあ気が合ったというか、なんというか」
平塚「付き合ったのは2年前位からだな」
八幡「2年前…丁度、俺たちが学生でインディーズでの活動を本格的に始めた頃か」
八幡(そうか…先生も夢を叶えたのか…)
平塚「ああ、それで」
平塚「今年度で私は教師を退職する」
ズキッ
八幡「」
雪乃「ついに退職される日が来たんですね」
結衣「って事は、これからは専業主婦をやるんですか?」
平塚「ああ、子育てに専念する。バンバン子供生むぞ!」
八幡「……」
平塚「……比企谷?どうした」
八幡「えっ?」
平塚「顔色が悪いようだが」
八幡「いや…そんな事無いです」
平塚「?」
八幡「……先生」
平塚「なんだ」
八幡「その…もう教師は完全に引退するんですか?」
平塚「ああ、完全引退だ」
八幡「」ズキッ
八幡「そうっ…すか…」
雪乃・結衣・小町「?」
平塚「来月には籍を入れる」
平塚「平塚の名も…今月までだ」
【帰り道】
八幡「……」
結衣「ヒッキー」
八幡「……」
雪乃「比企谷くん」
八幡「……」
小町「お兄ちゃん!」
八幡「……あ?」
結衣「ねぇ…さっきからどうしたの?ちょっと変だよ」
八幡「……」
小町「もしかしてお兄ちゃんって、平塚先生の事、好きだったとか?」
雪乃・結衣「え…!?」
八幡「いや。平塚先生に対する感情はそういうのとは違う。確かに綺麗だし、性格も…まあ重いけど良い人だが。そういうのとは違う」
八幡「ただ…」
雪乃・結衣・小町「……?」
八幡「もう…あの人は、俺たちの先生じゃないんだって事を思っただけだ」
雪乃「今更何を」
八幡「ああ…本当、今更だよな…」
八幡「それにしても…結婚か…」チラッ
雪乃・結衣「……」チラッ
八幡「……」ドキッ
八幡(なぜか雪ノ下と由比ヶ浜の方を向いてしまい、目が合ってしまった)
雪乃・結衣「……」ドキドキ
八幡「なあ、俺から提案がある」
雪乃・結衣・小町「?」
八幡「平塚先生に結婚祝いって事で」
八幡「新曲…作るぞ」
雪乃「平塚先生に向けた曲を?」
八幡「ああ、後でリリック書いてくるから」
結衣「良いね!作ろう作ろう!」
~~~~
八幡(それから割と短い期間で平塚先生に向けた曲を作成した)
平塚「なんだと…私の結婚式に向けて曲を作った?」
八幡「はい」
平塚「お前たち…また粋なマネを」グスッ
雪乃「それで今度、プロモーションビデオの撮影があるので、付き合って頂けますでしょうか?」
【PV撮影初日・総武高校】
八幡「撮影に来たのは良いけど…」
結衣「ここ総武高校だよね」
監督「いや、恩師へ送る曲というならやはり母校で撮影すべきだと思うんだ」
八幡「えっとアレですか?回想シーン的な撮影ですか?」
監督「そうそう…って訳で、平塚さん。ヨロシクお願いします」
平塚「はい」
監督「それでは本番まで…3,2、1」
~~~
平塚「小僧…屁理屈を言うな」
八幡「小僧って…確かに先生の年齢からしたら俺はk」
平塚「ふん!!」
ブンッ!
八幡「」
平塚「次に年齢の事を言ったら当てるからな?」
八幡「しゅ、しゅみませんでした…」
平塚「……よし、ちょっと付いてきたまえ」
監督「カット!」
平塚「お疲れ比企谷」ニコニコ
八幡「何でそんなに嬉しそう何ですかね…コッチはあの時の恐怖をまた味わってるんですけど…」
平塚「懐かしいな、もうあれから随分経つんだな」
八幡「…っそうすね」
~~~
八幡「しかし何だ、お前たちは制服着ても全然違和感ないな」
雪乃・結衣「え?」
八幡「全然変わってないっつーか…」
雪乃「そ、そう。ありがとう…アナタのその腐った目も相変わらずね」ドキッ
結衣「確かに」
八幡「ほっとけ」
雪乃「平塚先生もあまり変わってないわよね」
八幡「ああ、そうだな」
~1時間後~
監督「はい、今日はここまで」
八幡「え、もう終わりですか?」
監督「いや、撮影は後日また取る。今日の分は終わり」
八幡「はぁ…?」
八幡(だがその後PV撮影の続きの予定が入らないまま、平塚先生の結婚式が開かれる)
【結婚式当日・披露宴】
八幡「ん?」
?「……今日はヨロシクお願いします」
小町・静「コチラこそ」ペコッ
八幡「なあ小町、あの見るからに怪しそうな黒装束の集団は何だ?」
小町「ん、さあ?挨拶してきたから何となく返しただけ」
静「私の知り合いだ。結婚記念の動画撮影を担当してくれる」
八幡「……先生の知り合って変わった人が多いんですね」
~~~~~
司会者「えー続いては、○○静さんの元教え子だったヒップホップグループ・44Bの皆さんから祝辞を」
パチパチパチパチ
雪乃「旧姓・平塚静先生。ご結婚おめでとうございます」ペコッ
八幡(俺は隅っこの席に座りながら、顔を壁の方へとそっぽ向く)
雪乃「――――」
八幡(メンバーが次々と祝辞の言葉を述べる)
結衣「先生!ご結婚おめでとうございます!!」
八幡「……」
小町「ちょっとお兄ちゃん、何そっぽ向いてるの?ちゃんと前を向かなきゃダメだよ」ヒソヒソ
八幡(……)ググッ
小町「……?」
司会者「最後に、リーダーのミスターボッチこと比企谷八幡さんから祝辞を」
パチパチパチパチ
八幡「……」ペコッ
八幡「……」
八幡「あー…その」
結衣「ちょっとヒッキー、そっぽ向いてないで先生の方みて話さないとダメだよ」ヒソヒソ
小町「お兄ちゃん、前を向いて話して」ヒソヒソ
八幡「……」プイッ
八幡「あー…言いたい事を他のメンバーに言われてしまい、言葉が見付かりませんので」
夫「は、ははは…変わった教え子だね」
静「すまん…捻くれ者でな。根は良い奴なんだ」
八幡「ただ」
八幡「この後、44Bで旧姓・平塚静先生の為に作ってきた新曲を披露するので、俺たちのショーを見てって下さい」
八幡「自分からいう事は特にありません」
雪乃・結衣・小町「!?」
ザワザワ…ザワザワ…
客人1「ねえ…何あれ?」
客人2「あれはないわ」
小町「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん!」
結衣「ヒッキー!」
雪乃「全くアナタって人は…」
静(比企谷…こんな場面で何をいきなり捻くれ始めてるんだ)
>>319(訂正)
司会者「最後に、リーダーのミスターボッチこと比企谷八幡さんから祝辞を」
パチパチパチパチ
八幡「……」ペコッ
八幡「……」
八幡「あー…その」
結衣「ちょっとヒッキー、そっぽ向いてないで先生の方みて話さないとダメだよ」ヒソヒソ
小町「お兄ちゃん、前を向いて話して」ヒソヒソ
八幡「……」プイッ
八幡「あー…言いたい事を他のメンバーに言われてしまい、言葉が見付かりませんので」
八幡「自分からいう事は特にありません」
雪乃・結衣・小町「!?」
ザワザワ…ザワザワ…
客人1「ねえ…何あれ?」
客人2「あれはないわ」
夫「は、ははは…変わった教え子だね」
静「すまん…捻くれ者でな。根は良い奴なんだ」
小町「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん!」
結衣「ヒッキー!」
雪乃「全くアナタって人は…」
八幡「ただ」
八幡「この後、44Bで旧姓・平塚静先生の為に作ってきた新曲を披露するので、俺たちのショーを見てって下さい」
静(比企谷…こんな場面で何をいきなり悪態をついて)
八幡「いくぞお前たち」ガタッ
雪乃「比企谷くん、一体どういうことかしら?なぜあんな態度で」
八幡「お前の怒った声、久々に聞いたな」プイッ
雪乃「ちゃんとコッチを向きなさい。さっきから何故、目線を合わせようとしないの」
八幡「……」プイッ
雪乃「ちょっといい加減に…」ズイッ
雪乃「……っ」ビクッ
八幡「バカヤロウ。見んじゃねえよ」
雪乃「……」
結衣「ゆきのん…?どうしたの?」
雪乃「……それぞれの持ち場に行きましょう。曲を披露するわよ」
結衣「え?うん…」
小町「……?」
八幡「……」
結衣「えーそれでは皆さん!やっはろー!今から歌う曲は先生の為に作ってきました!」
結衣「この曲を作ろうと言い始めたのは…そこの態度の悪いリーダー・Mr.ボッチこと比企谷くんです!」
ザワザワ、ザワザワ
客人1「え、あの態度悪い彼が?」
客人2「??」
Mr.ボッチ「……」スッ
Mr.ボッチ(そっとマイクを口元まで持って来る)
ブリザード「……」ススッ
~♪~♪
Mr.ボッチ(雪ノ下のピアノの伴奏が始まる)
Mr.ボッチ(堪えろ…耐えろ…我慢しろ…)ググッ
Mr.ボッチ(俺は必死の思いで、顔面の表情を固定させながら、ゆっくりと先生へと視線を合わす)
静「……!」
ザワザワ、ザワザワ
Mr.ボッチ(俺が先生と目線を合わすと、会場中の人間がざわつき始める)
サブレビッチ(……?みんなヒッキーを見てる?)チラッ
サブレビッチ(っ!!)
サブレビッチ(ヒッキー…)
Mr.ボッチ(由比ヶ浜も俺の顔を覗き込むように見つめて来るが、お構い無しに口を開く)
Mr.ボッチ「YO…いつもリア充をディスってるけど今日は違う。どうか末永く爆発してくれ先生。アンタにこの歌を送る」
Mr.ボッチ「タイトルは『だから俺達は、恩師の幸せを願っている』」
リトルタウン「……」ススッ
ドッドッドッドッ
キュワキュワキュワ
~♪~♪
八幡(雪ノ下のピアノの伴奏に続き、小町のターンテーブルからトラックが流れ始める)
Mr.ボッチ・サブレビッチ・ブリザード「YO、YO」
Mr.ボッチ「さえないその日常、孤独は俺の一定、現実は常に非情、アンタの対応は異常、俺のボッチ哲学アンタは怒り、孤独に満足した俺を叱り、そして導いてくれたあの光」
サブレビッチ・ブリザード「YO、奉仕部」
Mr.ボッチ「イェイ、初めは戸惑ったぜ」
Mr.ボッチ「方針に理解できない概要、曰く人助けと言う謎の活動内容、それでもこれ以上の居場所はないよう、謎の部活にボッチの俺を強制採用、怒れたアンタの対応はまさにサイコ、でもアンタが俺にくれた居場所は最高」
Mr.ボッチ「YO」ウルッ
~~~
Mr.ボッチ「―――――」
Mr.ボッチ(途中からの記憶が曖昧だ)
Mr.ボッチ(由比ヶ浜も雪ノ下も歌声が聞こえたから、懸命に歌ってくれてたのは分かるが)
Mr.ボッチ(俺は感極まってしまい)
Mr.ボッチ(ずっと我慢してたが涙腺が崩壊してしまった)
Mr.ボッチ(理性の化け物と呼ばれた俺だが、この時ばかりは感情むき出しで歌ってたに違いない…まあ歌ってる時はいつもそうだけど)
Mr.ボッチ(こんなに涙を流したのはいつ振りだろうか…)
Mr.ボッチ(俺は何故、涙を流してるのか分からない)
Mr.ボッチ(返しきれない恩義を思い起してるのか、恩師の幸せに感動しているのか、教師を止めてしまう事実に悲しんでるのか)
Mr.ボッチ(それとも全ての感情が合わさってるのか、自分自身よく分かってない)
Mr.ボッチ(とにかく俺は、ただひたすら必死に歌った)
メンバー全員「YO、アンタは素晴らしい教師、ずっと永久に俺の恩師、忘れない永遠の恩人、尊敬すべき存在の尊師、あの部活の活動を通し、めぐり合えた素晴らしい今日に、そんなアンタに幸あれ、どうか価値ある幸あれ、この想い願いはガチだぜ」
Mr.ボッチ「YO…返しきれない恩がある。だからこそ言うぜ。アンタの幸せを願ってる。チェック」
静「……」ボロボロ
夫「良い教え子じゃないか」グスッ
Mr.ボッチ「……」ポロポロ
客人全員「……」ガタッ
パチパチパチパチパチパチパチ
Mr.ボッチ「ぅぅ…くっ…ぅ…ぅぅ…」グスッ
Mr.ボッチ(歌い終えると、客人たちは全員立ち上がり、拍手を送ってくれてた)
Mr.ボッチ(先生はウェディングドレス姿で、ゆっくりとした歩調で、俺の目の前まで歩いてくる)
静「比企谷」グスッ
八幡「ぅぅ…ぅ…先生…ぅぅ…」ボロボロ
静「……」ポンッ
八幡(先生はそっと俺の頭に手を置く)
静「泣きすぎだ」
八幡「ぐっ…ぅぅ…」ボロボロ
静「でも感謝してる」
八幡「ぅぅ…先生…」
八幡「ご結婚、おめでとうございます」グシグシ
八幡(泣きすぎたな…これは恥ずかしい)
?「はいカット!」
八幡「?」クルッ
監督「いやーお疲れさん。素の状態であれだけのシーンが取れるとは思わなかった」
雪乃・結衣「!?」
八幡「え、なんでPV撮影の監督さんがここに…?」
静「いやー比企谷、お前、本当は真実を知ってたんじゃないか?奇跡としか言い様の無い表現っぷりだったぞ」
小町「んじゃそろそろネタばらしをしますか」テクテク
八幡「どういうことだ小町?」
小町「えっとね、実は…お兄ちゃんと雪乃さんと結衣さん以外の人は。全員分かってるんだけど」
小町「この結婚式をPVの撮影に使う事になってたの」
八幡・結衣・雪乃「!!?」
小町「黙っててごめんなさーい!」テヘペロ
雪乃「小町さん…そういう大事な事を何故黙っていて…」
小町「えっとですね、変に意識して演技するより、自然体の方が良いって監督さんに言われたので」
小町「あ、小町は一応メンバー代表って事で、前もって教えてもらってました!」
八幡「えっと…って事は」
小町「お兄ちゃんのボロ泣きシーンは確実に世に出回るね!」b
八幡「」
【数日後・自宅】
『ぅぅ…ぅ…先生…ぅぅ…ご結婚、おめでとうございます…』ボロボロ
八幡「うわあああああああ!!止めてくれぇぇ!!」ジタバタ
八幡(ニューシングルの予告として、俺達のPVがテレビで公開されている)
八幡(画面には回想シーンとして、学生時代の俺と先生のやり取りを小刻みに映し出されながら)
八幡(式での悪態の挨拶から、曲を終えたあとも尚も涙止まらない俺、先生に頭を撫でられる瞬間までバッチシ公開されていた)
八幡「あああああ!!!」ジタバタ
結衣「は、はは…なんか凄いインパクト大きいPVになったね」
雪乃「良く取れてるじゃない。比企谷くんの泣き顔とか」
八幡「もうイヤだ…グスン」
雪乃「ただ今回の曲がどういう風に評価されるかよね」
八幡「……確かに、今まではリア充をディスった内容だったり、ボッチを肯定する曲ばっかりだった」
~~~
八幡(そして翌週、俺達は目を疑った)
八幡(44Bの新曲はPVのインパクトも強かったせいか)
八幡(その後、2週連続でシングルチャートで1位に輝いた)
八幡(負けず嫌いな雪ノ下が歓喜したのは言うまでもない)
八幡(ディスるだけでなく、感謝を込めた正の感情で歌うのも悪くないな…)
八幡(結婚…か、平塚先生は言っていた。『専業主婦となり、バンバン子供を生み、子育てに専念する』と)
八幡(俺の場合もし結婚したら、目指した専業主夫以外の選択肢なら、男は働かなければならない)
八幡(だが女はどうだ?本人に意志があるなら出産もある)
八幡(勿論、生んでからも働く女性は大勢いるが…これがもしミュージシャンならどうだ?)
八幡(全国をまたにかける女性ミュージシャンは…結婚による出産=ほぼ引退に繋がる)チラッ
雪乃・結衣・小町「……?」
八幡(この中で、そんな自体が起きれば誰かが引退を余儀なくされる)
八幡(俺はこのグループ全員と音楽がしたい。誰一人抜けてほしくない)
八幡(それは恐らく、皆同じだと思う)
八幡(それでもいつか、このメンバーとも別れなければならない時が来るのだろう)
八幡(そして、人の命がいつか尽きるように、どんなに有名になったミュージシャンたちも栄枯盛衰してきた。いつかは時代に見放され、人々から忘れ去られる)
八幡(俺達も例外じゃない)
八幡(俺たちの場合もし、1人でも抜けるなら…解散してしまう気がする。なんとなくだが)
八幡(グループの解散…世間じゃ色々な理由がある)
八幡(『音楽性の方向の違い』なんてのもあるが、実際は人間関係の問題が多いらしい)
八幡(俺達も学生時代、奉仕部が崩壊しかけた事が何度かあったが、そのたびに向き合い修復してきた)
八幡(現在の俺達は上手く機能している。どのグループよりも遥かに上手くいってる自信がある)
八幡(だがしかし俺以外のメンバーが全員女性だ)
八幡(もしも雪ノ下が、由比ヶ浜が、小町が…止む終えず引退だなんて考えたくない。想像したくない)
八幡(それでも終わりはいつか来るのだろう…多分)
八幡(……………)
八幡(現状、俺は少なくとも…2人の事が…いやあの2人以外は考えたくないと言うべきか)
八幡(昔の俺はこんな人に執着するタイプじゃなかったんだけどな…人間強度がガクッと下がったな俺)
雪乃「比企谷くん、どうしたのかしら?」
結衣「ヒッキーどうしたの?難しい顔して」
八幡「……いや、ちょっとな」
八幡(………後で考えよう、いつかは何かしら選択し答えを出さなければならないが)
八幡(いま、俺がすべき事は……)
【数週間後・スタジオ】
八幡(休暇期間を終え、とりあえず全員をスタジオに集める)
八幡(まあ休暇期間中も、俺の部屋がたまり場化してたが)
八幡(俺なりに密かに作業を進めていた)
小町「それではミーティングを始めまーす!」
雪乃「まあ新曲はずっと前に、平塚先生へ向けた物を作ったのだけれど」
雪乃「それで比企谷くん、今回のアルバムだけれど実は…」
八幡「それならもう出来てる」
雪乃「えっ」
結衣「もう出来てるの!?」
八幡「ああ。リリックは俺が17歳の時に書いた物で、歌の録音は休暇中に」
雪乃・結衣・小町「……」
八幡「な、なんだよ」
雪乃「アナタがスランプに陥ってる様子だったから、私たちで密かにリリックを書いて、歌も録音してきたのだけれど」
八幡「え…?」
結衣「ツアー中にヒッキーさ、『何をディスれば良いのかわからん』って言ってたから、今度はあたし達がリリックを書いて歌を作ろうって話してたの」
八幡「そうだったのか。なんかすまん…俺が不甲斐ないばかりに」
八幡「でもスランプって言っても、平塚先生への曲を書いたの俺なんだがな…」
~~~~
八幡(それから雪ノ下と由比ヶ浜、小町が作ってきてきてくれた、歌のみのデモCDを聞く。色々な曲があった)
八幡「代表的な曲は※雪ノ下が作った曲は『雪解けに咲いた花』、由比ヶ浜は『Smile Go Round』、小町は『ヒマワリGood Days』」
八幡(雪ノ下は終始、顔を赤くしていた。俺も聞いてて何故かドキドキしてしまった)
八幡「全体的になかなか良い曲作って来てるな。だが由比ヶ浜、お前の曲のタイトルは雪ノ下辺りから助言貰ってるだろ」
結衣「う、うっさいし!あたしだって、ヒッキーがスランプだって聞いてたから一生懸命つくったんだからね!」
※元ネタ…雪乃、結衣、小町のキャラソン
雪乃「さて次は、比企谷くんが作って来た曲を聞かせて貰おうかしら」
八幡「おう」ゴソソッ
八幡(俺はタイトルが書かれたデモCDと、歌詞カードを渡す)
雪乃「タイトルは…『奉仕部』」
結衣「奉仕部…コレを17歳のときに?」
八幡「元々このリリックは世に出すつもりは無かった」
八幡「俺の音楽の方向性はトラウマを武器に、世のリア充を罵る事をテーマにやって行こうと考えていたからだ」
八幡「だが社長から呼び出し喰らって、次回作はより大衆向けの曲作りを目指してくれと申されてな」
八幡「んで色々考えてる時、平塚先生の結婚式の話が出てきて…今までに無いタイプの曲を作ってみて」
雪乃「あのような曲を作るのも悪くないと…思ったのかしら?」
八幡「ああ、こういう曲もアリなんだって思った」
八幡「んじゃ、後はじっくり聴いててくれ。曲数も多いし」
八幡「おれは1時間ほど散歩してくる」ガタッ
結衣「え、ちょっヒッキー!?」
ガチャン
八幡「……」
八幡(アイツらどんな反応するんだろうな…)
八幡(俺が17歳のとき、書いてきたあの曲は…)
八幡(高校二年のとき、俺が奉仕部で経験してきた事ばかりだ)
八幡(そしてアイツらに対する想いや、感謝の言葉が書かれた物だ)
八幡(なんつーか…恥ずかしい。ドン引きされてるかもな)
【1時間後】
八幡「ただいまー」ガチャッ
八幡(さてどんな悪口を言われる事やら)
雪乃・結衣「ぅぅ…ぅ…」ボロボロ
八幡「!?」
小町「あ、お帰りお兄ちゃん!」ダキッ
八幡「おう…なあ、なんでアイツら泣いてるんだ?さてはあまりに曲が酷すぎて泣いてしまったのか」ギュッ
小町「ううん。みんな感動しちゃってるんだよ…小町も含めてね!」スリスリ
八幡「感動…?」ナデナデ
結衣「ヒッキーの気持ちが凄く伝わったよ…悲しかった時も、楽しかった時も、辛かった時も、嬉しかった時も…ヒッキーの必死な想いが」ボロボロ
雪乃「当時のアナタは今よりも更に捻くれてたわね…でも、その切なる想いが伝わってきたわ」
雪乃「あんなリリックが書けるとは思わなかったわ…本当に17歳の頃に書いたの?今よりもずっとクズだった当時のアナタが」
結衣「別な人が書いたのかと思ったよ!」
八幡「まあ日記感覚で書いた物だったし。こんな恥ずかしい物を出すつもり無かったが」
八幡「とりあえず今回のアルバムは、今までのリア充へのディスりとは違う」
八幡「……っとは言うものの、お前たちが作ってきた曲はどうしようか」
八幡「俺が作って来た物は、次回作にしようか?」
雪乃「いえ、今回は比企谷くんが作って来たものを優先させましょう」ガタッ
結衣「うん!絶対そうすべきだと思う!」ガタッ
テクテク
八幡「おい何だよ」
ダキッ
八幡「!!?」
八幡(俺の右腕を雪ノ下が、左腕を由比ヶ浜が抱きしめてくる)
雪乃「比企谷くん…過去最高のトラックを作って見せるわ。アナタの気持ちに答える為に」ギュゥゥ
結衣「ヒッキー!アタシも一生懸命歌うからね!//」ギュゥゥ
小町「最高のアルバムを作ろうねお兄ちゃん!」ギュゥゥ
八幡「あ、ああ…」ドキドキ
八幡(その後、数ヶ月かけてゆっくりとレコーディングが始まった)
八幡(俺はライブよりもレコーディングの方が好きだ。メンバーと色々話し合い手がける曲作りは楽しい)
八幡(そして月に一度づつ、シングルを発表していった)
八幡(小町に向けた曲『マイラブリーシスター、DJリトルタウン』)
八幡(由比ヶ浜には2曲…『優しい女の子は嫌いだと言ったがあれは嘘だ』と『リア充のお前と非リア充の俺』)
八幡(雪ノ下にも2曲…『本物』と『閉じた幸福』)
八幡(平塚先生への曲も含めて、俺たちが出し続けた計6枚のシングル曲は)
八幡(全て初登場1位に輝いた。雪ノ下が一番、歓喜したのは言うまでもない)
八幡(その後、出したセカンドアルバム『奉仕部』も初登場1位に輝き)
八幡(俺たちは日本を代表するヒップホップグループになってしまった)
~しばらくして~
小町「皆さん聞いてください!ついに武道館でのライブが決まりました!」
結衣「やったー!」
小町「それが終わったら次に大阪城ホールでのライブもあります!」
雪乃「ついに来たわね」
八幡「まさかあんなに売れるとは思わなかった…」
結衣「あんまり嬉しそうじゃないね」
八幡「いや、小さなライブハウスで、ほそぼそとやってるぐらいが好きだったんだがな…」
【武道館ライブ前】
小町「武道館とうちゃ~く!」
結衣「わぁぁ!大きい!!」
八幡「こ…こんな所でやるのかよ…」ガクガク
雪乃「堂々としなさい、私たちは日本を代表するグループになったのよ」
ファン全員「あ、きた!!ウオオオオオオオ!!!!」
結衣「ファンの人達だ。やっはろー!」凸
小町「やっはろー!」凸
ファン全員「やっはろー!!!」凸
雪乃「ごきげんよう」ノ
ファン全員「んほおおおおお!!!ごきげんよう!!」ノ
八幡(この様子だと、初期からのアイドルオタクみたいなファンも離れてないみたいだな)
八幡(セカンドアルバムは、非リア充向けの曲ではないから、初期のファンが離れるか不安だったが…杞憂だったな)
八幡(ま、不人気の俺には関係ないか。俺は先に控え室に向かおう)テクテク
ファン1「あれMr.ボッチは?」
小町「お兄ちゃんなら…あ、あそこにいます!」
結衣「おーいヒッキー!」
八幡「ん?俺は先に控え室に…」
雪乃「ファンがお呼びよ」
八幡「……?」
ファン全員「……」
八幡「うす…今日はどうも」
ファン全員「ウオオオオオオオ!!!!」
八幡「!!?」ビクッ
八幡(な、なんだ…何が起きて…)ビクビク
ファン全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
ステーン!
八幡「痛っ!!」
八幡(ビビッて尻餅ついてしまった…)ガクガク
小町「お兄ちゃんの人気が上がってる…!」
八幡(前まで俺の評判は最悪だったのに、一体なにがあったんだ)ガクガク
ファン1「Mr.ボッチ!俺はアンタを見直したよ!!」
ファン2「過去のアルバムも評価してたけど、今回は特に凄かった!」
ファン3「メンバーの美女3人が、アンタを慕ってる理由が良く分かったよ!」
ファン4「恩師に宛てた曲のPVはガチで泣けた。あれ演技じゃなくて素の状態だったんだろ?」
ファン5「俺達もMr.ボッチに一生付いてくぜ!!」
ファン全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
八幡「」
小町「やっと…やっとお兄ちゃんが本当の意味で認められた…小町嬉しいよ」グスッ
八幡(お兄ちゃん、こういうの慣れてないから怖いんだけど…)ガクガク
【控え室】
八幡「本番まで…あと2時間か…」ガクガク
コンコン
結衣「はいはーい!」ガチャッ
結衣「あれ、確か…」
折本「比企谷いる?」
八幡(やべー武道館こえーもっと小さい所でライブしてー)ガクガク
折本「おーい」ポンポン
八幡「うわぁ!?折本か、よく控え室までこれたな」
折本「関係者だって言ったら通してくれた」
八幡「ザル警備過ぎるだろ…んで?どうした」
折本「武道館に来た訳だけど…実は来てるの私や千佳だけじゃないんだ」
八幡「どういう意味だ?」
折本「実は前に同窓会があってね。その時、アンタの話題になって」
八幡「ふーん、俺呼ばれてないけどね。まあ呼ばれても絶対に行かないけど」
折本「私が比企谷がラッパーになったって話したらみんな驚いて」
八幡「だろーな」
折本「んで、今度みんなでライブに行こうって計画してて」
八幡「おい、まさか」
折本「うん、中学の同級みんな来てるよ」
八幡「」
折本「アンタのメールを無視した女の子も、掃除を押し付けてきた奴らも、アンタを笑った奴ら全員ね」
八幡「……あー折本、もう一度言うがな、俺は普通のミュージシャンと違って社会的地位とかに興味ないんだよ」
八幡「俺がミュージシャンになった一番の理由は妹が原因だしな。普通のミュージシャンと動機が一般的に異なる」
八幡「俺を笑った連中を見返したいとか、偉くなって見下したいとかそんな想いは無い。まあ怒りはあったけど」
八幡「だから、そういうお節介は」
折本「…私は44Bが凄いって事を伝えたかっただけ、別にアンタ個人を立場を考えて同級生達を誘った訳じゃないから」
八幡「……」
折本「ライブ楽しみにしてるから」
八幡「おう」
【本番前・舞台裏】
八幡「いよいよか」
結衣「それじゃ先に行って来るね!」
小町「んじゃ、またステージの上で!」
雪乃「後からは来る時、しっかり頼むわよ比企谷くん」
パチッパチッパチッ
八幡(俺はメンバー全員とハイタッチした後、その背中を見送る)
ウオオオオオオオ!!!!
八幡(凄い歓声だ。さすが武道館。今までとレベルが違う)
八幡(今回は初めの2曲は俺なしで、由比ヶ浜と雪ノ下に歌わせる)
八幡(俺は後から登場する演出になっている)
~♪~♪
八幡(小町のターンテーブルから流れるトラック、雪ノ下のピアノ伴奏と美しい声のラップ、由比ヶ浜のキレのあるラップが聞こえてくる)
~~~~~
八幡(そろそろ2曲目が終わる)
八幡「くそ…緊張する…」ガクガク
――ほら行くぞ
八幡「……OK。イェイ」
Mr.ボッチ「YO、YO。もう開き直ってくしかない。大会場だろうが何だろうが関係ない」
女スタッフ1「はい比企谷さん、マイク」
Mr.ボッチ「え?ああ…どうも」
女スタッフ1「頑張ってくださいね!」バシッ
Mr.ボッチ「痛っ!」
Mr.ボッチ(背中叩いて激励してきた…?あの悪態ついてた女性スタッフさんが?)
女スタッフ2「あ、比企谷さん、ライブ終わったら連絡交換しましょう!」
Mr.ボッチ「……??は、はぁ」
Mr.ボッチ(なぜこのタイミングで…つーか、なんでいきなり俺に優しくなってんだ)
【ステージ上】
サブレビッチ「みんなーー!!やっはろーー!!」
ファン全員「やっはろーー!!!」
サブレビッチ「武道館ライブ来てくれてありがとう!」
サブレビッチ「えーとね、最初の2曲は私のワガママで、ブリのんと私だけでラップパートやらせて貰いました!」
サブレビッチ「さあ!みんなでボッチーを呼ぼう!!」
サブレビッチ「せーの…Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
ファン全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
~ステージ裏~
Mr.ボッチ(観客の声援が聞こえる)
Mr.ボッチ(俺は静かにマイクを口元に持っていく)
Mr.ボッチ「YO…」
YO…YO…
Mr.ボッチ(自分の声が会場中に響く)
Mr.ボッチ「これは」
これは…これは…
Mr.ボッチ「俺の友達の友達の話だ」
俺の友達の友達の話だ…俺の友達の友達の話だ…
ウオオオオオオオ!!!!
【ステージ上】
Mr.ボッチ(『俺の友達の友達の話』歌い終える。意外と人気曲でライブでは定番化してる)
ファン全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
Mr.ボッチ「」ビクッ
Mr.ボッチ(危ない…危うくまた尻餅をつく所だった)ガクガク
サブレビッチ「えーここで、ボッチーのトークが始まりますので注目!」
Mr.ボッチ「ご、ごほん」ススッ
ファン1「お、Mr.ボッチがトークとは珍しい」
ファン2「基本、Mr.ボッチとブリザードは喋らないからな」
Mr.ボッチ(由比ヶ浜にライブ前、トークしろと命令され仕方なくやる事に)
Mr.ボッチ「あー…歌う事には慣れてるんですがね…」チラッ
折本「比企谷ファイト!」
同級生全員「」アゼン
Mr.ボッチ(あの中学の同級生共…よりによって最前列にいるとは…)
同級生1「まさか本当にラッパーになってたとは…」
女同級生1「でも相変わらずネクラそうだね。でも周りにいる子達…」
同級生2「周りの女メンバー全員レベル高すぎだろ。アイドルにしか見えねーし。なにちゃっかりハーレムしてんだアイツ」
同級生3「比企谷の癖に生意気な」
Mr.ボッチ「えーどうも、人気ナンバー4のMr.ボッチです」
Mr.ボッチ(落ち着け落ち着け。いつも人前で歌ってるじゃないか)ガクガク
Mr.ボッチ「そ、その、小さなライブハウスで、コアなファンとほそぼそとやるのが好きだったんですがね」
Mr.ボッチ「こんなに売れるとは思ってませんでした」
Mr.ボッチ「…………」
ファン全員「……」ジーッ
同級生全員「……」ジーッ
Mr.ボッチ(いかん。トークを続けないと)
Mr.ボッチ「この前に出したアルバム『奉仕部』が売れまくったおかげで…金も入ったので」
Mr.ボッチ「ちょっと高価な物を買いました。ありがとう」
ファン全員「おおお」
Mr.ボッチ「中古の原付バイクですが」
ファン全員「wwwwww」
ファン1「普通の新車を買えよwww」
Mr.ボッチ「俺はそこらのスターと違い、外車とか高級車を乗り回す趣味はありません。似合わないし」
Mr.ボッチ「ボッチの名にかけて俺は中古バイクを貫きます」
Mr.ボッチ「でもまあ…結婚する時がきたら、まともな車買うと思います」
サブレビッチ「ヒッキー!カッコいい車買ってね!期待してるよ!//」
ブリザード「比企谷くん。燃費と安全性を考慮した物を選びなさい。私をしっかりエスコートしてね」
Mr.ボッチ「」
ファン全員「wwwww」
Mr.ボッチ「ご、ごほん!ライブ中はステージネームで呼んでくれ…」
Mr.ボッチ「えっと…その…あー…」
Mr.ボッチ「と、とりあえず!ここでメンバー紹介をします」
Mr.ボッチ「まずは…見た目ビッチ、中身は清純。こんなに優しい奴は世の中探してもきっといない。MC・サブレビッチ」
サブレビッチ「やっはろー!!」凸
ファン全員「ウオオオオオ!!!」凸
サブレビッチ「ファンのみんな大好きだよ!あ、ブリのんもリトルタウンちゃんも!
サブレビッチ「……あとボッチーも///」
Mr.ボッチ「ご、ごほん!次」カァァ
Mr.ボッチ「口を開けばとんでもない毒舌女。だが気高く、美しく、常に正しくあろうとする彼女に俺は憧れてる。MC兼ピアニスト・ブリザード」
ブリザード「ごきげんよう」ノ
ファン全員「ウオオオオオオ!!!」
ブリザード「以前、雑誌やラジオでも話したけど、初めはラップが嫌いだったわ。でもサブレビッチさんに徐々に感化されて行って…」
ブリザード「何よりボッチくんの事を考えると、嫌いだったヒップホップもいつしか嫌いでは無くなっていたわ」
ブリザード「私はアナタを尊敬してるわボッチくん。今日までありがとう」カァァ
同級生全員「」アゼン
ファン1「Mr.ボッチ顔赤いぞ!」
Mr.ボッチ「ご、ごほん…次!」カァァ
Mr.ボッチ「世界中探してもこんなにキュートなDJはドコにもいない。俺の妹!!DJリトルタウン!!」
リトルタウン「やっはろー!!」ミブリテブリ
ファン全員「ウオオオオオオオ!!!」ミブリテブリ
リトルタウン「みんな大好きだよ!だけどお兄ちゃんはもっと好きです!!あ、今のリトルタウン的にポイント高い!!」
Mr.ボッチ「愛してるぜリトルタウン!!」
同級生全員(どんだけシスコンなんだ…)
Mr.ボッチ「えー…続いて、メンバーじゃないけど…この会場の何処かに俺の恩師がいるはずです」
観客全員「おおお…あのPVに出てた人か…」
Mr.ボッチ「あの恩師がいなければ、俺はサブレビッチやブリザードと会う事もなかった。つまり今の44Bもなかった」
Mr.ボッチ「この会場にいる俺たちの恩師、旧姓・平塚静に拍手」
パチパチパチパチパチパチパチ
静「比企谷…」グスッ
夫「……」パチパチ
Mr.ボッチ「そして」チラッ
同級生全員(こっちを見た!気付いてるのか?)
Mr.ボッチ「さきほど控え室で聞かされましたが」
Mr.ボッチ「俺に中学時代、トラウマを植えつけてきた同級生達もこの会場にいるらしいです」
ファン全員「おおお…全ての元凶…」
同級生全員「……」
Mr.ボッチ「クソ同級生達よ…お前らには武道館に来て欲しくなかったが聞いてくれ」
Mr.ボッチ「インディーズの頃に出したアルバムと、ファーストアルバム聞いたか?」
Mr.ボッチ「まあ改めて言わせて貰うけど、俺はお前らが憎くて仕方なかった」
同級生全員「……」
Mr.ボッチ「おかげで人間関係に対し期待を持つのを止めた。目に映るもの全てが灰色だった」
Mr.ボッチ「だがあのトラウマのおかげで、先生に奉仕部へと連行され、ブリザードこと雪ノ下に、サブレビッチこと由比ヶ浜に出会えた」
Mr.ボッチ「嫌な事も沢山あったけど…おかげでかけがえの無い仲間と出会えた」
Mr.ボッチ「『トラウマ』を武器にラップを歌う事も出来た…今の武器は『メンバーへの想い』だが」
Mr.ボッチ「この会場にいる皆さん、どうか俺の中学の同級生達に拍手を」
パチパチパチパチパチパチパチ!!
同級生全員「!?」
同級生1「あいつ…」
Mr.ボッチ「俺からは以上です。サブレビッチ、トークの進行を頼む」
同級生1「おう比企谷!言うようようになったなお前!!」
女同級生1「比企谷くん!相変わらずキモいね!でも昔よりカッコよくなったから応援してあげる!」
女同級生2「いまなら毎晩メールしてあげても良いよ!」
折本「頑張れ比企谷!じゃなくてMr.ボッチ!」
ファン全員「Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!Mr.ボッチ!」
Mr.ボッチ「ひっ」ビクッ
ステーン!
Mr.ボッチ「痛てて…また尻餅ついた…」
観客全員「wwwww」
サブレビッチ「大丈夫ボッチー?」ススッ
ブリザード「全く…何回倒れてるのよアナタは」ススッ
Mr.ボッチ(小走りで向かってきた雪ノ下と由比ヶ浜に、俺の体を起こしてもらう)
Mr.ボッチ「いかん…まだ膝が笑ってやがる…」ガクガク
ブリザード「頑張って。アナタは日本を代表するMCなのよ」
Mr.ボッチ「代表かどうかは知らんが…まあ頑張る」
サブレビッチ「それじゃ次の曲は『奉仕部』行くよ!」
リトルタウン「OK!」ススッ
キュワキュワ
ブリザード「……」ススッ
~♪~♪
ブリザード「YO、YO!」
Mr.ボッチ「YO、YO!」
観客全員「ウオオオオオオオ!!!」
Mr.ボッチ(俺は自分がカースト最下層を誇りに思ってたし、同時にラップの誇りだけは誰にも負けない思いで歌ってきた)
Mr.ボッチ(だが気がついたら自分が底辺の人間じゃなくなった事に、ようやく自覚した。ずっと目を背けてきたが)
Mr.ボッチ(アンチリア充をテーマにしてきたのに…随分と目的が変わってしまった)
Mr.ボッチ(ま、何だっていい)
Mr.ボッチ(俺はヒップホップが好きだ。それで充分だ)
Mr.ボッチ(いつか、このメンバーとも別れる時が来るかもしれないが)
Mr.ボッチ(どうか最後まで仲良く、このメンバーと音楽を続けたい)
リトルタウン「YO!チェケラ!」
Mr.ボッチ「YO…カモン!」
終わり
随分ダラダラ続けてきたけど以上で終了です
リア充に対するアンチをテーマに歌い続けた八幡、その結果、自分がそのリア充なってたというオチです
この後、八幡たちはどうなったのか
更にアルバムを2枚ほど出した後、雪乃か結衣どちらかと結ばれ、小町も誰かと結ばれ、人気絶頂の最中ファンに惜しまれつつ、メンバー全員と最後まで仲良く笑顔で解散していったのか
はたまた、メンバーとの仲を更に深め(ハーレム状態)その後も、ミュージシャンとして長く活躍したのか
それは各々、読み手側の脳内補完という形でご想像任せます
(一応ルート的な物も考えたけど、あくまでヒップホップをテーマにしたSSなので止めました)
ノリで立ててしまったこのSSを今日まで読んでくれて本当に感謝してます
個人的な趣味嗜好をぶち込んだこの作品はこれで終わりです
では…チェック!
このSSまとめへのコメント
良かった
俺は泣いた泣いたぞおおおおお
まじで泣ける