穂乃果「ふふ……君も穂乃果の彼女になりたいの?」 (962)
男
体
化
オリジナル設定多数
エロもある
ルートによってはハッピーだったり鬱だったりその都度注意書きします。
とても長い、だらだら長い。書き溜めあり。
感想くれると、とても喜びます。モチベーションが、あがります。
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穂乃果「ふぁ……♡や、ぁ……♡」
穂乃果「はぁっ、んくぅ♡ことりちゃ……ごめ♡もうでちゃ……っ」ギシギシ
ことり「ふぇ!? あんっ、んっ、ぁぁ……はやく、ないっ!?
ことり「んんぅっ!!!」
穂乃果「んぁっ、で……♡んんっ!!!」ビュルルッッ
穂乃果ちゃんは私をぎゅっと抱きしめて、そのまま最後の一突きが私の一番奥まで突き刺さってくる。
それと同時に穂乃果ちゃんは情けない声を上げながらビクビク身体を痙攣させるのが、最高に可愛くて……。
ことり「ぁ……びくびくしてる……♡」
穂乃果「はぁはぁ……はぁ……♡」ビクビク
ちゅぶっていう音と共に穂乃果ちゃんはおちんちんを私の中から抜き出して、そのままことりの横に倒れこみました。
運動が得意な穂乃果ちゃんでさえ、目を閉じて息を切らして胸板を激しく上下させている。
チラリと時計に目をやる。
2分と30秒、か。
ことり「……んぁ……この前より短くなっちゃってるよ?」
穂乃果「ごめん……♡」トローン
穂乃果「射精しちゃダメってわかってるのに、ことりちゃんの膣内に挿れたら、頭真っ白になっちゃって……それで」
ことり「……そっか、それなら仕方ないね?」
ことり「溜まってた? すっごい量。ゴムから溢れちゃうんじゃないかな……」
これだけ多いと、出す時本当に気持ちいいんだろうな……。びゅっびゅって……。穂乃果ちゃんの出す瞬間の情けない表情と声を思い出すと身体も熱くなる。
ことり「でも、早漏を治したいって言ってきたのは穂乃果ちゃんだよ?」
穂乃果「そう、だけど」
ことり「ことりね穂乃果ちゃんが気持ちよくなってくれるのはすっごく嬉しいんだよ?」
ことり「女の子は人より敏感だと良いって言われて、男の子は敏感だとダメだなんておかしいよ」
ことり「だから別に早漏なの気にしなくてもいいんじゃないかな?」
穂乃果「……ことりちゃんは気持ちよかった?」
ことり「うん」
ことり「穂乃果ちゃん上手いんだもん」
ことり(穂乃果ちゃんでイッたことはないけど……)
穂乃果「……」
穂乃果「穂乃果ね知ってるんだよ。えっちが終わった後、ことりちゃんがバレないように一人でシテるの」
ことり「……ふぇ?」
ことり「い、いやあれは……」
ことり「そ、そもそも膣内でイクって難しいことなんだって。私も一人でする時は膣内じゃないよ?」
穂乃果「……でも、ことりちゃんのことも気持ちよくしてあげたい」ウルウル
ことり「……」キュン
穂乃果「それに……」
ことり「――まだ気にしてるの……?」
穂乃果「う、ん」
ことり「そっか……そうだよね」
ことり「ことりは気にしないからね? いくらでも付き合ってあげるから」
穂乃果「ありがと……」
ことり「……じゃあもっと訓練しようか」
ことり「今日は元気いいね? なんだか昔に戻ったみたい、穂乃果ちゃんはそれがいいところだよ?」
穂乃果「ふっ、あぁ……♡」
ことり「ダメ、逃げないで。腰引いちゃダメ」
穂乃果ちゃんは本当に敏感です。それこそ男の子としては珍しいんじゃないかなぁ。触っただけでガクガクしだすんだもん。
ことり「はい、お手手でしてあげますね」シュコシュコ
穂乃果「ん、ぁぁっ……!! んぁしっ……!!」
ことり「知ってる? おまんこの中よりもね、手でした方が気持ちいい人も多いんだって?」シュコシュコ
ことり「ことりの場合、おまんことお手手どっちが、気持ちいいですか?」シュコシュコ
穂乃果「ひっ、こと……はぁんっ……おまんこの方が……ひぅぅあ!!!!」
ことり「本当? 嬉しいな」
ことり「じゃあおまんこでやるよりも長く耐えられるよね?」シュコシュコ
穂乃果「待って……そんな激しくっ……ふぁぁっ!!」
敏感なのは先っぽの方だけれど、快感がたまりやすいのは芯の方だっていうこと、ことりは知ってるよ。
だから今回は芯を重点的に刺激しているんだけど……一分を超えた辺りから穂乃果ちゃんの腰がガクガク震え始めた。
ことり「もう出ちゃいそう?」
穂乃果「はっ、ぅん……♡」
穂乃果「あっ、ダメ……ダメ……っ」
ことり「ふふ可愛い」シュッシュッ
穂乃果「あっ……ふぁぁっ!!」ビクビク
ことり「はい、おしまいー」
穂乃果「ふぁ……ことりちゃぁん♡」ビクビク
ことり「イッちゃうとこだったでしょ?」
ことり「まだ一分――」
穂乃果「んっ、んぁっ!!」ビュッビュッ
ことり「――きゃ!!」
穂乃果「ふぁんっ、やぁっ……♡」ビュッビュッ
ことり「ちょ、出しすぎっ!」
ことり「もぉ……」
ことり「顔ベタベタだよぉ……髪の毛にもついちゃったし……」
穂乃果「はぁ……はぁ……♡」
寸止めしたと思ったのに、少しだけ遅かったみたい。ビクビクし始めたら限界に近いのかと思ったけど、それはもう限界って合図なんだね……寸止めって難しいな。
じゃあさっきの穂乃果ちゃんはおちんちんビクビクさせて射精しないように耐えてたってこと、だよね?
ことり「かわいい……」
穂乃果「ごめ、んね……」
穂乃果ちゃんは立ってることが出来なくなったのか、そのままベッドに寝転がって薄い胸板を上下させる。
そこにすっと手をなぞらせて、頬を寄せる。バクバクした心臓の鼓動が頬に伝わる。
ことり「大丈夫だよ。気持ちよかった?」
穂乃果「うん」
ことり「でも、あんまり硬くないね?」
穂乃果「ごめん」
ことり「ううん、随分回復した方だもん。焦らなくていいからね?」
穂乃果「ありがと」
ことり「穂乃果ちゃんすっごく可愛かったよ?」
穂乃果「か、可愛いって言わないで……」
ことり「かっこいいって言われたい?」
穂乃果「」コクリ
ことり「うーん、可愛いものは可愛いからねえ……」
穂乃果「むぅ……」
ことり「でも、穂乃果ちゃん肉食系だもんねー」
穂乃果「穂乃果そんなんじゃないよ!」
穂乃果「だってことりちゃんとしかしてないよ……?」
ことり「それは知ってるけど……彼女はいっぱい作ったでしょ?」
穂乃果「まぁ……」
ことり「それにすぐ生でしたいって言うし……」
穂乃果「うぐ……気をつけます……」
ことり「赤ちゃん出来ちゃったらどうするのさ……」
ことり「ぁ……もしかして海未ちゃんともえっちしたい?」
穂乃果「な、なんで海未ちゃん!?」
ことり「穂乃果ちゃんさ、海未ちゃんには手を出さないなーって」
穂乃果「……昔キスしようとしたら断られたから……」
ことり「あ、手出してたんだ……」
穂乃果「……すっごい昔だけどね」
ことり「海未ちゃんそういうこと厳しそうだもんね」
穂乃果「うん」
ことり「あ、そっか好きだったもんね海未ちゃんのこと」
穂乃果「いつの話さ」
ことり「いつだったかなあ?」
穂乃果「――穂乃果ね……えっちするの、怖くて……」
穂乃果「だから仮にこれから新しい彼女が出来ても……そういうことは」
ことり「そっか……」
ことり「――ねえ、ことりはさ……」
穂乃果「?」
ことり「……ううん、なんでもない」
ことり「来月から別の学校、だね」
穂乃果「そうだね……寂しいな」
ことり「またこうやって会えるよね?」
穂乃果「うん、大丈夫だよ!」
ことり「穂乃果ちゃんどうせモテるんだもん。ことりなんか捨てられちゃいますよー」
穂乃果「そんなことないって!」
穂乃果「穂乃果はことりちゃんのこと大好きだよ?」
ことり「もぉ……///」
ことり(そんなに言われたら、本気にしちゃうよ……)
ことり(だから肉食系って言ったんだよ……可愛い顔してるのに)
穂乃果「?」
ことり「な、なら……高校に行っても、えっちしてくれる……?」
穂乃果「いいの……?」
穂乃果「だって……穂乃果とずっとえっちなんて……」
ことり「穂乃果ちゃんなら、いいよ……」
穂乃果「ことりちゃん」
穂乃果「――音ノ木坂ってさ……絵里ちゃんがいる所、だよね」
ことり「そうだね」
穂乃果「……」
ことり「思い出しちゃった?」
穂乃果「……うん」
ことり「もう、今日は寝るの!」
ことり「ほら穂乃果ちゃんも!」
穂乃果「うわぁ!!」
◇――――◆
約一年後
海未「え、穂乃果ですか?」
海未「今はあんまり……」
海未「はい、すみません」
ことり「……やっぱりモテるねえ……」
ことり「背も低いし万人受けするってことではないみたいだけど……可愛い系が好きな子には本当にモテるね」
海未「そうですね」
ことり「穂乃果ちゃんに関して聞かれること多くなったもんね。私達が幼馴染だってことで」
海未「ええ……半年くらいは会ってませんけれどね」
ことり「クリスマスは会いたいなって思ったら彼女作っちゃうしさー」
ことり「結局誰だったんだろう」
海未「はは……」
海未「……」
ことり「――今でも好きなの?」
海未「……はい」
ことり「どうして中学校の頃告白しなかったの?」
海未「だって……穂乃果はモテますから」
ことり「……海未ちゃんだってモテてたじゃん……」
海未「モテてませんよ」
海未「それに穂乃果もきっと私みたいな人より良い人を見つけます」
海未「それこそことりの方が――」
ことり「ならことりが穂乃果ちゃんのこと好きって言ったら、応援してくれる?」
海未「ぇ……そ、そうなのですか?」
ことり「……」
海未「……」
ことり「ほら」
ことり「嘘だけどさ、嫌なんでしょ? なら自分から行動しないと、ダメじゃない?」
海未「ぅ……」
ことり「とにかく、今度久しぶりに誘ってみようよ。穂乃果ちゃんのこと!」
ことり「ことりもね、会ってなくて……」
海未「わ、わかりました!!」
◇――――◆
ことり「え……!? は、廃校ー!?」
海未「う、そ……」
◇――――◆
穂乃果「廃校……?」
ことり「うん」
まるで現実感もなく、穂乃果ちゃんはストローでメロンソーダを啜った。
穂乃果「なにほれ?」
ことり「あのね、学校なくなっちゃうの」
海未「……」
穂乃果「え!?」
穂乃果「大丈夫なの!?」
ことり「とりあえず私たちが卒業するまでは大丈夫だけど、来年からは生徒を募集しないって」
穂乃果「ふーん、じゃあ別にいいんじゃない?」
ことり「そうだけど……」
海未「少しだけ、寂しいですよ」
ギュッと唇を噛み締めた海未ちゃんのこの気持ちはきっと伝わらない。穂乃果ちゃんは頼んでおいたポテトを口に運んで幸せそうな表情だ。
穂乃果ちゃんは男の子だから、音ノ木には行けない。だから少しだけ離れた普通科の高校に通っているんだけど……音ノ木の廃校なんてどうでもいいに決まってるよね……。
穂乃果「それより本当に久しぶりだね!」
ほら、やっぱり。興味もないみたいで、廃校のことから違う話題にシフトしていく。
ことり「そうだね」
海未「会う機会もあまりありませんでしたからね」
穂乃果「2人から誘われた時はやったって思ったよ!!」
ことり「なにそれー」
ことり「穂乃果ちゃんの話、私たちの高校にまで伝わってるんだよ?」
穂乃果「なにが?」
ことり「すっごく可愛い男子がいるって」
穂乃果「むぅ、また可愛いかぁ……」
ことり「ねえねえ、高校で彼女何人出来たの?」
穂乃果「一人だけかな」
海未「一人……」
ことり「穂乃果ちゃんにしては抑えめ……?」
ことり「じゃあさ――何人とえっちしたの?」コショコショ
穂乃果「ぅ……どうしたの急に!」
ことり「教えて?」
海未「?」
ことり「ふふ」ワクワク
穂乃果「ぅぅ」
穂乃果「して、ない」
ことり「え?」
穂乃果「高校ではしたことないっ!!」
穂乃果「ぅぅ……///」
ことり「意外……」
海未「……なんのことです」
ことり「海未ちゃん……」
ことり「そっか、なら……私が最後なんだ?」
穂乃果「うん……」
ことり「ふぅん……」
ことり「――ねえ、今夜どう、かな?」
穂乃果「っ……」キュン
海未「あのー……」
穂乃果「なな、なんでもないよ!?」
ことり「危ない危ない……」
海未「?」
ことり「ねえそろそろ暗くなってきたし、帰らない?」チラッ
穂乃果「……」
穂乃果「あ、ごめんね海未ちゃん。今日ちょっと用事あるから一緒に帰れないや……」
海未「……わかりました」
◇◇
ことりの家は海未ちゃんや穂乃果ちゃんの家とは駅をはさんで反対側。だから穂乃果ちゃんが用事がある、といえば簡単に2人だけでことりの家までくることが出来た。
ことり「んぁ……♡」
穂乃果「はぁはぁ……♡穂乃果ね、ずっとことりちゃんと、したかったんだ」
ことり「ことりもだよ……?」
ことり「なんで連絡くれなかったの……?」
穂乃果「……えっちしたいだなんて……言えないし……迷惑かなって……」
ことり「……穂乃果ちゃん」
ことり「一年も放っておかれて、寂しかったんだからね。んぅぅ!!」
ことり「穂乃果ちゃんたら」
穂乃果「ことりちゃんの……柔らかい」モニュモニュ
ことり「ふぁぁ……♡」ピクン
ことり「もぉ……んはぁ……穂乃果ちゃん、なんだか前より前戯、上手くなったね?」
穂乃果「そうかな?」
ことり「やっぱり一杯えっちしてたんじゃないの?」
穂乃果「してないってば!」
穂乃果「た、多分……ずっと一人でしてた、から……」
ことり「え、穂乃果ちゃん一人でするの好きじゃないって……」
穂乃果「が、我慢出来なくなっちゃったんだもん……」
ことり「へぇ……」
ことり「えっちな動画みながらしてたんだ?」
穂乃果「っ……だ、だってぇ……」ウルウル
ことり「どれくらいの頻度でしてたの?」
穂乃果「一週間に、い、一回……とか」
ことり「……嘘だ」
穂乃果「え」
ことり「本当のこと言わないと、えっちしてあげないよ?」
穂乃果「い、いやだよ! えと……ほ、ほとんど、まい……に、ち」////
ことり「ふぅん、ことりと一緒だ♪」
穂乃果「え?」
ことり「ことりもね、穂乃果ちゃんのこと考えながらずっと一人でしてたんだよ?」
穂乃果「そ、そうなんだ」
ことり「引いちゃったよね……?」
穂乃果「ううん、全然」
ことり「……ありがとう」
ことり「穂乃果ちゃんの、見せて?」
穂乃果「あぅ」ボロン
ことり「うゎ……前よりちょ、ちょっとおっきくなった……?」
恥ずかしがる穂乃果ちゃんの顔を見ると、ことりの声なんて耳に入っていないようでふるふると顔を横に振った。
あーもうかわいいな、可愛すぎてイジメたくなっちゃう。
早くこのおっきなおちんちん、挿れて貰いたいけど……まだお楽しみ。だって、ずっと待ってたんだもん。
ビクビク脈を打っている穂乃果ちゃんのおちんちんが可哀想だから、少しだけ指先を触れてみる。
穂乃果「ひゃ……ぅぁ」
ことり「やっぱり敏感なんだね」
ことり「……今日はもう一人でしたの?」
穂乃果「ん、まだしてな……」
ことり「……そっか、なら。――しなくちゃダメだよね?」
穂乃果「え?」
ことり「いつもしてるみたいに、ことりの前で見せて?」
穂乃果「や、やだよっ!!」
穂乃果「そんな恥ずかしいこと……」
ことり「……そっかぁ……じゃあえっちはまた今――」
穂乃果「わ、分かったよ! ことりちゃんのいじわる……」
ことや「穂乃果ちゃんがかわいいのが悪いの!」
うなだれる穂乃果ちゃんだったけど、本当にえっちがしたいみたいで、右手をおっきくなったおちんちんに添える。
こっちをチラリと見て、また顔を赤らめるけれど、状況は変わりそうにないってことを悟ったみたい。
穂乃果「ふっ……ん///」モゾモゾ
ことり「……」ワクワク
穂乃果「……んぁ♡」シュコシュコ
ことり「ふーん、先っぽだけこするんだ?」
穂乃果ちゃんは親指と人差し指でわっかを作って、その二本だけで先っぽをこしゅこしゅし始めた。それは私が思っていた方法とは違って、少しだけびっくり。
私の問いかけにも答えられない穂乃果ちゃん。だけど、手の動きは止まらない。
ことり「なにを考えてるの?」
ことり「くす……これからことりとえっちすること?」
穂乃果「っ~~~♡」
ことり「ことりのおまんこに穂乃果ちゃんのおちんちんがぐちゅぐちゅって入るとこ想像してみて?」
穂乃果「んっ、やぁぁぁ……♡」シュコシュコ
穂乃果「んっ、ことりちゃぁん……なん、で……一人でしなきゃいけないの……?」
穂乃果「ことりちゃんが目の前にいる、のに……はぁはぁ」グチュ…クチャ
ことり「ふふ、えっちなお汁出てきたね?」
穂乃果「挿れさせてよぉ……」グズグズ
ことり「ことりにびゅっびゅってするとこ見せてくれたら――ことりのこと、好きなようにしていいよ?」
穂乃果「ぅぁぁ…んっ、ぁあ!!」
穂乃果「ふぅ、んっ……♡」
ことり「……あれ、やり方変えるの?」
穂乃果「だって……早くイキたいから……んっ……や、ぁ」////
穂乃果ちゃんはさきっぽへの刺激をやめて、今は下の方を勢いよくしゅこしゅこし始めた。
ことり「む……ダメだよ」スッ
穂乃果「な、なんで」
ことり「ことりがなんて言ったかわかる?」
穂乃果「え」
ことり「いつもしてるみたいにって言ったんだよ。いつもは先っぽだけでやってるんでしょ?」
穂乃果「ぅ」
ことり「なら下の方ゴシゴシしちゃダメです」
穂乃果「でも、それだと時間かかっちゃって」
穂乃果「ことりちゃんとする、その……体力が」
ことり「穂乃果ちゃんなら、そのくらい頑張れる、よね?」チラッ……
穂乃果「ん……ぐっ」
穂乃果「ことりちゃ……♡ことりちゃん……♡」
穂乃果「ん、やぁ……イケないよぉ……」グチュ……コシュ
穂乃果ちゃんは気持ちいいのか、それとも辛いのかどっちともつかない表情を浮かべながら、泣きそうな声を上げる。
そっかあ、ちょっと緊張しちゃってるから気持ちいいことに集中出来てないのかな?
というか……長くなってる、よね、確実に。 前はこんなに長くもたなかったのに……。
ことり「なら……ことりが手伝ってあげるね?」
ことり「ね、ことりのおっぱい見て?///」チラッ
穂乃果「はぁ……ん」
シャツのボタンを外して、下着だけの姿を穂乃果に見せる。そんなに自信があるわけじゃないけれど……胸をぎゅっと寄せてあげると、おちんちんがビクって震えちゃってる。
ことり「ことりね……おっぱいおっきくなったんだよ」
ことり「ほら」モニュモニュ
穂乃果「はぁ……はぁ」////
ことり「下着の中もみたい?」
穂乃果「ん……♡」ドクドク
ことり「どうしよっかなぁ。んっ、ぁ♡」
ことり「穂乃果ちゃんに見られてると……おっぱいだけでもちょっと気持ちいいや……」ゾクゾク
ことり「普段、おもちゃばっかり使ってるから……んぁ……手じゃあんまり、感じないんだけ、どぉ……ふぁ♡」///
穂乃果「ふぁ、っ、んっぁ!!!」グチュグチュ
さっきよりも一層溢れ出した液体が穂乃果ちゃんのおちんちんをぐちゅぐちゅにしてしまっている。手はすっごい速さでぐちゅぐちゅってしてるのに、目線だけはことりのおっぱいに固定してる。上下に擦る度に腰が震えて、擦るスピードから見ても限界は近そうだ。
ことり「気持ちいい?」
ことり「ことりに一人でしてるとこ見られて」
ことり「ことりが目の前にいるのに、おちんちん一人で弄っててどう?」
穂乃果「気持ち、い……ぁっ!!」
穂乃果ちゃんの耳元に口を近づけて、ふっと息を吐く。
穂乃果ちゃんはことりがえっちなことを耳元で囁くと興奮するみたい。意識的にえっちな言葉を選ぶのって、結構恥ずかしいんだけど……。
ことり「もう少し手伝ってあげる」クリクリ
穂乃果「ひぅぅっ♡」
ことり「くす……穂乃果ちゃんは乳首も気持ちいいもんね? くすくす女の子みたい」クニクニ
穂乃果「や、ぁ♡」
穂乃果「イッちゃ……♡ぅ、ぁぁあああ……♡」ドクドク
ことり「――イッていいよ?」
穂乃果「あっ、ッっ!! っぁっ!!!」ビュルッビュルッドクッドク‼︎
穂乃果「ふぁ……やぁ//」ビュルビュッ
穂乃果「んぁ……♡」ピュッ……ピュ
ことり「すごぉい……」パチパチ
穂乃果「はぁはぁ……♡」グッタリ
ことり「すっごい飛んだね……一メートルは飛んでるよ?」
ことり「すごい匂い……♡」ハァハァ
穂乃果「う、んぅぅ……」
力が抜けてしまった穂乃果ちゃんはそのまま仰向けに倒れこんで、虚ろな目で天井を見つめる。
ことり「……大丈夫?」
男の人は時間をかけてすると深いオーガズムになるっていうけど……なるほど。確かにそうみたい。この深いオーガズムが好きだからわざわざ時間をかけてしてるんだね。
ことり「……おーい、大丈夫ですかぁ」ツンツン
穂乃果「ふぁ、ん……」
ことり「……萎えちゃったね……」
ことり「それに……ちょっと精液、薄い?」
ことり「昨日もひとりえっちしてたからかな」
穂乃果「ん……」
ぴたぁって元気がなくなって、肌に張り付いてしまった穂乃果ちゃんのおちんちん。ことりが触ってみても、全然おっきくなる気配がない。
ことり「……」
ことり「……今日はやめとく?」
ちょっとイジメすぎちゃったみたい。穂乃果ちゃんこれからえっちなんて、無理そうだ。
穂乃果「や、だぁ……」
ことり「……したいの?」
穂乃果「……」コクッ
ことり「……そうだよね。でもまだ無理みたいだから、大丈夫になるまで待っててあげる」
ことり「うーん、あ、ゴム用意しないと」
ことり「穂乃果ちゃん持ってる?」
穂乃果「ぁ……用意、してない」
ことり「そっか、昔のあったかなぁ……」
ことり「――あれ、ないや……」
穂乃果「え?」
ことり「ゴムもないし……どっちみち今日は出来ないね?」
穂乃果「そんな……」
ことり「ことりだってしたかったんだよ? ずっと穂乃果ちゃんのこと考えながら一人でしてたんだから」
ことり「また近いうちに、ね?」
穂乃果「……む」
ことり「な、生はダメだよ!!」
ことり「妊娠しちゃったらどうするの」
穂乃果「ぅぅ……」
ことり「ね、また今度」
◇――――◆
穂乃果「あれ、これなに?」
ことり「うぇぇ!?」
ことり「あ、あの、それは……」///
穂乃果「……?」
穂乃果ちゃんが持っているのは、私の、その、おもちゃ。
いくつか持っているんだけど、片付けるのを忘れてしまっていたらしい。どうしよう……せっかく穂乃果ちゃんに諦めてもらって、えっちな雰囲気じゃなくなったのに……。おもちゃでしてるとは言ったけど、実際見られるのは恥ずかしいよぉ……。
あ、でもでも、分かってない、よね?
ことり「ああ、うん、それはね……」
ことり「ま、マッサージする、やつだよ」
穂乃果「ふぅん」
穂乃果ちゃんはそれを聞いて、興味もなさそうに私のおもちゃを床に置いた。
ことり「……ぁ」
ことり「穂乃果ちゃんの精液が……」
ほっと一息机に目を向けると、円卓の上に置いてあって雑誌が黄ばんでいることに気がついた。
穂乃果「あ、ご、ごめん!!」
ことり「んぅー、まあ仕方ないよ」
穂乃果「本当に、ごめん……」
ことり「……まあそんなに見たいと思ってた雑誌でもないから……」
穂乃果「なんの雑誌だったの?」
穂乃果「……スクールアイドル?」
ことり「最近流行ってるんだって」
穂乃果「……」
おもむろに雑誌を開いて、食らいつくように目を動かす。どうしたんだろ?
穂乃果「……これだ」
ことり「え?」
穂乃果「これだぁ!!」
終了。
中盤にかけてエロは徐々に減ります。
エロ好きな方はごめんなさい、エロ嫌いな方は耐えてね。
◇◇
海未「スクールアイドル?」
穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんならやれるよっ!!」
海未「……な、なにを言っているのですか?」
穂乃果「最近流行りのスクールアイドル、これで有名になれば音ノ木の評判と高まって廃校がなくなるってのもありえるんじゃない?」
海未「……」
海未「穂乃果……大丈夫ですか?」
穂乃果「なにがさ!」
海未「ことり、何故あなたまで」
ことり「そ、その……いっぱい可愛い衣装着れるかなって」
海未「何を言っているんですか……全然現実的ではありませんよ!」
穂乃果「でも、海未ちゃん可愛いし絶対いけるって!!」
海未「な……///」
海未「わ、私はそんな……」
穂乃果「逆に聞くけど、自分がブスだとか思ってる?」
海未「ブス……とまでは……」
穂乃果「ね? なら可愛いってことじゃん」
海未「だ、だからそんな0か100かみたいな!」
穂乃果「周りから可愛いとかかっこいいとか綺麗とか言われていたの聞こえてたでしょ? 少なくとも男子からはそう言われてたよー?」
海未「そ、そうなのですか……」///
穂乃果「あ、海未ちゃんうれしーんだ」
海未「それは……悪い気はしませんが、恥ずかしいことには変わりません」
穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんなら出来るよ!!」
海未「しかし……」
◇◇
ことり「結局海未ちゃんもやってくれるって」
ことり「海未ちゃんは押しに弱いからねー」
穂乃果「穂乃果も応援するから!」
ことり「でも、たった二人かぁ……」
穂乃果ちゃんが海未ちゃんにこの話をしてから二日、しつこくしつこく言い続けたらついに海未ちゃんは折れてくれた。
海未ちゃんは穂乃果ちゃんのことが大好きだから、なんだかんだ穂乃果ちゃんの言うことは断れないんだよね。
穂乃果「これから集めていけばいいじゃん」
穂乃果「しかも、トップのあらいずってグループも三人しかいないしー」
ことり「そうだけど……。でも、そんな人、いるかなぁ……」
穂乃果「うーん……」
ことり「それに、曲はどうしよう……」
穂乃果「とりあえず既存のアイドル曲とかで練習した方がいいかもね」
ことり「うーん、そうだよね」
ことり「やること多すぎて……」
穂乃果「でも、やらなきゃどうにもならないんだよ? ならやってみようよ」
穂乃果「練習には穂乃果も参加して見てるから!」
ことり「本当!?」
それってつまり、穂乃果ちゃんといる時間が増えるってこと、だよね?
海未ちゃんも喜びそう。
ことり「……とりあえず、やってみようか。明日から」
穂乃果「どこでしようか」
ことり「このへんするとこないからね……」
ことり「穂乃果ちゃんが練習参加するためにも、明神様のとこでやる?」
穂乃果「確かに、朝なら誰もいなそうだしね」
ことり「じゃ、そういう風に海未ちゃんに言っておくね!!」
◇◇
神田明神
海未「全く……」
ことり「こないね、穂乃果ちゃん……」
海未「穂乃果がやるって聞かないから来たんですよ?」
ことり「うーん……」
希「――そこのお二人さん」
ことり「……?」
海未「あなたは……」
希「音ノ木の生徒さん、だよね?」
ことり「あ、はい。確かあなたも……」
希「副会長やってます、東條希」
ことり「あ、南ことりです」
海未「園田海未です」
海未「……それで、いきなりどうして?」
希「ん、いや……普段見ない人が練習着でこんな朝早くから居て気になったのと、音ノ木の生徒さんやったから」
海未「はぁ……」
ことり「いつも来てるんですか?」
希「うん、お手伝いにね」
希「お二人さんはなにか運動部の活動とかをするん?」
ことり「あ、いえそういう訳では……」
穂乃果「――ごめーんー!!!!!」
海未「穂乃果……」
希「お……?」
穂乃果「はぁはぁ……ご、ごめんこれには深い訳がありまして……」
穂乃果「あれ、その人は……」
希(男の子? いや、女の子かな……でも男モノのブレザーにズボン履いてるし……)
穂乃果「も、もしかして新しいメンバー!?」
穂乃果「さすが二人とも、もう見つけたんだね!! それにことりちゃんと海未ちゃんに負けないくらい可愛い人!!」
希「え、え!?」
穂乃果「これから、よろしくお願いします!!」グイッ
希「あ、あの……///」カァアアアアア
海未「穂乃果、東條さんが迷惑してます」
穂乃果「え、ああごめんなさい」
希「い、いえ……」
ことり「あ、あと東條さんは新しいメンバーとかじゃ……」
穂乃果「あれ、違うの?」
海未「ただの同じ高校の人です」
穂乃果「あ、そうなんだ……すみません」
希「い、いやいいんよ、別に」
希「君たちは、なにかしようとしてるん?」
穂乃果「――スクールアイドルです!!」
希「スクールアイドル……最近流行りの?」
穂乃果「そうです!!」
ことり「……ことり……わ、私達の学校廃校になっちゃうのが嫌でなんとか出来ないかって考えたら……」
希「……有名になって、廃校を阻止したいってこと?」
ことり「はい」
希「……ふぅん、いいやん。すごいね、そういうこと思えるっていうのは。応援してるよ」
海未「ありがとうございます」
海未「じゃあ練習を始めましょうか」
穂乃果「あ……すぐ着替えるから」
ブレザー姿できた穂乃果ちゃんは、ジャージが入ってるであろうカバンを置いて、すぐにブレザーを脱ぎだした。
ことり「穂乃果ちゃん!?」
希(ちゃん……?)
穂乃果「ふぇ?」
ことり「き、着替えるならあっちで……」
穂乃果「なんで……?」
海未「……い、いいからあっちで着替えて下さい……!」
穂乃果「えー!?」
海未ちゃんが穂乃果ちゃんをグイグイ押して、そのまま物陰に押し込んだ。
海未「全く……」
希「あの子……男子、だよね?」
海未「はい」
希「なら別にここで着替えても……」
海未「は、肌は人前で見せるものじゃありませんから」///
希「ふぅん」
希「あと……なんでちゃん付けなん?」
ことり「えっと……可愛いから?」
希「あはは……まあ確かに美形ではあるね、背も低いし、声も高めだし、髪の毛もそこそこ長いし」
希「髪の毛長めだからチャラチャラしてるように見えるかも……?」
ことり「短くするのは嫌いって言ってました」
ことり「男の子じゃなくて、女の子だったらきっとすっごいことになってますよ」
希「ふふ、そうかもね」
穂乃果「お待たせ!!」
希「じゃ、がんばってね! ウチは大体この辺にいるから時々声かけてねー」
海未「はい、ではまた」
ことり「じゃあまず……」
海未「――走ります」
ことり「え……」
海未「この坂を……何往復がいいでしょうか」
ことり「ちょ、ちょっと待ってよ、なんで走るの?」
海未「ことり、全く運動していませんよね。そんなんじゃ足腰も弱いでしょう。それではダンスをする時に耐えられません」
ことり「ぅぅ」
海未「ことり、去年のシャトルランどれくらいでしたか」
ことり「さ、さんじゅうに……」
穂乃果「え……」
海未「ことり……」
ことり「ぅう」
海未「走ります」
ことり「ふぁい……」
海未「穂乃果も」
穂乃果「え、穂乃果も走るの?」
穂乃果「穂乃果130回だよ」
ことり「え!?」
ことり「そんなに多いの!?」
穂乃果「もっと多い人もいるよ、160とか」
130だなんて、ことりからすれば考えられない。だって海未ちゃんよりも40回くらい多いってこと、だよね。
海未「む……」
あれ、ちょっと悔しそう。
穂乃果ちゃんは体力作りとか対してしてないように思えるけど……これが性別の差なんだね……。
海未「勝負です」
穂乃果「へ?」
海未「この坂30往復、どちらが先におえられるか勝負です!!!!」
穂乃果「えー……」
こうなってしまったら止まらない。海未ちゃん負けず嫌いだもんね。
◇◇
海未「はぁはぁ……」
穂乃果「ふっふー」
海未「くっ……」
海未「なぜ……」
膝に手をついて、息を荒げる海未ちゃん。
勝負はやっぱり海未ちゃんが大差で負けちゃった。
海未「も、もう一度……!!」
ことり「いや、海未ちゃん……」
趣旨変わっちゃってるよ、勝ち負けじゃない気が……。
海未「んっ……――あ」フラッ
穂乃果「うわっ!」ダキッ
穂乃果「だ、大丈夫……?」
海未「あ……は、はい……」
穂乃果(う、海未ちゃんがこんな、近くに……)
穂乃果(う、海未ちゃんの汗の匂い……)スゥッ
穂乃果(全然臭く、ない……)
穂乃果(な、なんか変な気分)ムラムラ
海未「ぁ、ぁの……///」
穂乃果「え!? ご、ごめんっ!!」
海未「……」
穂乃果「えっと……」
ことり「ふぅん……」ニヤニヤ
海未(穂乃果の腕の中なんだか安心しました……)ドキドキ
穂乃果「……」ドキドキ
ことり「……私……邪魔かな?」
海未「え!? あ、いやそんなことは……」
ことり「くすくす」
穂乃果「ぅ……」
希「――三人とも、お疲れ様」
ことり「ちべたっ……」
ことり「東條さん」
ほっぺたに冷たい何かが当てられて、びくりと身体が反応する。振り返ると、くすくすと笑う東條さんは穂乃果ちゃんと海未ちゃんそしてことりにスポーツドリンクを持って来てくれていた。
希「あの坂そんなに往復して……疲れたやろ?」
海未「ありがとうございます」
穂乃果「ありがとうございまーす!」
希「あんなに早く走って、君は疲れてないの?」
穂乃果「うーん、疲れましたけど……普通ですかねー」
希「すごいねー」
希「君たちが本当に廃校を阻止してくれるなら……ウチは嬉しいなあ」
海未「まだ夢みたいなもの、ですし」
希「そんなチャレンジするってだけですごいと思うよ?」
希「……ウチらは、もう諦めちゃってるから……」
ことり「……」
ことり「あなたは、やっぱり音ノ木坂が好きですか?」
希「うん」
穂乃果「……ならなら、東條さんも一緒にしませんか!?」
希「は?」
穂乃果「人数はまだまだ集めるつもりですし、その気持ちがあれば出来るんじゃないかって思うんです!!」
希「ふふ、もう……馬鹿いわんでよ」
希「ウチにそんなん出来るわけないやん?」
穂乃果「大丈夫です、東條さんすっごく可愛いですよ!!!」ニギッ
穂乃果ちゃんは興奮した様子で、グイッと身体を近づけて手を握った。もう……またそんな。
東條さんは顔を赤くしながら目を逸らしている、その様子は満更でもなさそう。
穂乃果ちゃんたら……見境ないんだから……。無意識なんだろうけど。
穂乃果「ね、ね!?」
希「ウ、ウチには、そんなん……」
穂乃果「……そうですか」
希「でも、応援してるからね?」
穂乃果「ありがとうございます!!」
希「お二人さんも、学校で会ったらよろしくね」
ことり「よろしくお願いします!」
海未「はい」
そう言って、東條さんはどこかへ行ってしまった。着替えに行ったのかな、そろそろ学校だしね?
穂乃果「良い人だったねー」
海未「話したのは初めてですが……そうですね」
ことり「穂乃果ちゃん、ああいう人が好みなの?」
穂乃果「ど、どういうこと?」
ことり「いや、あんなに熱心に勧誘するから……」
穂乃果「だ、だって……可愛いかったし……それに、良い人そうだったし」
ことり「おっぱいおっきかったね♪」
穂乃果「な……」
穂乃果「それは別に……」//
海未「……」
穂乃果「とにかく、良い人を見つけたら二人とも勧誘しないとダメだよ?」
ことり「はーい」
ごめんなさい、少し更新空くかも。ちょっと色々書き直してきます。
◇――――◆
海未「……」ペタペタ
海未「はぁ……」
ことり「……どうしたの?」
海未「穂乃果は、胸が大きい人が好きなのでしょうか……」
ことり「え?」
ことり「え?」
海未「い、いや、その……。なんといいいますか、やはりそうなのかなと。私は、お世辞にも大きいとは言えませんし」
ことり「海未ちゃんが胸のこと気にするなんて……」
海未「ぅう……///」
海未「や、やはり女性としての魅力がない、のでしょうか」
ことり「うーん、あんまり気にしなそうだけどねえ」
海未「……」
海未「最近穂乃果と会う機会が増えて、なんだか自分が自分じゃなくなる気が、して」
ことり「……」
胸なんていらない。海未ちゃんが言っていたのを思いだした。高校になって弓道部に入った海未ちゃんは弓道をするのに胸があると矢を引き絞るのが邪魔だからと、そう言っていた。
あの時の海未ちゃんも穂乃果ちゃんのことが好きとは言っていたけれど……今の海未ちゃんは弓道とかそういうことなんかよりも穂乃果ちゃんのことが頭から離れないってことなのかな。
ことり「そっか」
慰めも、応援も、出来なかった。
普通友達が誰々が好きなんだとか言えば、応援してあげたりするものなんだろうけど、海未ちゃんに対してはしてあげられそうにない。理由、そんなの簡単。
穂乃果ちゃんだから。
これに深い意味があるってわけじゃないんだ。ことりが穂乃果ちゃんのことを好きとかそういうんでもない。
ただ、関係性を変えたくないなって。ずっと、このまま今の関係のまま行けばいいなって。
でもそれって卑怯なんだろうか。だってことりは穂乃果ちゃんと身体の関係を持っているわけで……普通は恋人同士がすることだから、海未ちゃんよりことりの方が良い思いをしてるってことになっちゃうよね?
海未「ごめんなさい急に」
ことり「ううん」
ことり「海未ちゃんは、穂乃果ちゃんと恋人になりたいの?」
海未「どう、なんでしょう」
海未「正直わかりません」
ことり「……」
ことり「あ、じゃあえっちしたいとか!?」
海未「な……!!!」
海未「そんなこと、いきなりなんですか!?」
ことり「じょうだーん」
海未「もう……」
ことり「くすくす」
ことり(あ、メール。穂乃果ちゃんから?)
今日、ことりちゃんの家に行っていい?
ことり「……」
ことり「……ゴム買って帰らなきゃ」
海未「?」
ことり「なんでもないよっ」
◇――――◆
穂乃果「……」ソワソワ
ことり「くす……」
ことり「どうしてそんなにソワソワしてるの?」
穂乃果「え!?」
穂乃果「そ、そうかな」
ことり「……今日はどうして来たの?」
穂乃果「え、えと……ほら今後のこととか……」
ことり「ふぅん……」
穂乃果「……」
ことり「――もうちょっとしたらお母さん帰ってくるなぁ」
穂乃果「!?」
ことり「どうしたの?」
穂乃果「え、あ、いや……」
ことり「んー?」ニヤニヤ
穂乃果「もうっ!!」ガバッ
ことり「きゃっ」
ちょっとイジメすぎちゃったかな、衝撃を感じた後ことりはベッドに押し倒されて穂乃果ちゃんのぷくっと怒った顔を下から見上げていた。
穂乃果「いじわる」
ことり「くすくす、なにが?」
穂乃果「分かってるくせに」
ことり「うん、分かってる。でもだからそれは穂乃果ちゃんの反応がいちいち可愛いのが問題で……」
穂乃果「穂乃果のせい?」
ことり「そう」
穂乃果「んー……」
ことり「今日の朝さ、海未ちゃんを抱きとめたでしょ?」
穂乃果「あれは不可抗力で……」
ことり「……海未ちゃんの匂い、嗅いでたでしょ?」
穂乃果「そ、そんなこと……!!」
ことり「汗臭かった?」
穂乃果「そんなわけない、……よ」
ことり「やっぱり嗅いで興奮してたんだ」
穂乃果「ち、違うよ!!」
ことり「……海未ちゃん、えっちの時、どんな顔するんだろうね?」
穂乃果「……」ムクムク
ことり「やっぱり敬語なのかな。顔赤くして、必死に気持ちいいの堪えて……」
穂乃果「も、もぉ!!」
ことり「くす……そろそろえっちしよっか?」
穂乃果「……うん」
ことり「穂乃果ちゃんの為にね、今日はゴム買っておいたんだよ?」
ことりが視線を机の上においてあるゴムに向けてそう言う。結構多めに買ってきたから、びっくりしたかな。
穂乃果「あー、でも穂乃果も買ってきたんだけど……」
ことり「くす……どうせ何回もするでしょ?」
穂乃果「ごくっ……」
ことり「さ……しよ?」
密着。上にいた穂乃果ちゃんがぐっと身体を近づけて、ことりと穂乃果ちゃんの身体の距離はゼロになる。
ことりの胸に顔をうずめる穂乃果ちゃんの頭をなでなでしてあげるていると、なんだかほんとに子供が出来たみたい。
その感情を察したのか顔をあげてそこにあったのはなんとも可愛らしい怒りの表情。
あ、やっぱりわかっちゃったかな?
ことり「んっ……ふっ♡」
男の子なのに、ことりと同じくらいの小さな手のひらが胸に触れてそのままゆっくりゆっくり撫で回す。やっぱり前より上手くなってる。前はこんなに優しく触ることなんてなかったのに。
穂乃果「脱がすね」
ことり「……うん」
脱がせやすいように少しだけ身体を浮かせて、後は穂乃果ちゃんに任せる。
制服とブラジャーを脱いで、ことりだけほぼ裸の姿になりながら今だに制服姿の穂乃果ちゃんに見下ろされているこの状況はなんだかゾクゾクしてくる。……あれおかしいな、ことりは攻める方が好きなんだけど。
穂乃果「……おっぱい、おっきくなってる……」
ことり「んん……//」
本当に子供みたい。ことりのおっぱいをさわさわ撫でるように触りながら、そのクリクリとした目は一点だけ見つめている。
知ってか知らずか、穂乃果ちゃんの手はことりの気持ちいいところには当たらないで脂肪の部分だけを撫で続ける。
ことり「……もう、そんなにジロジロ見ないで?」
穂乃果「つ、つい……」
ことり「穂乃果ちゃんは、おっきいのと小さいの、どっちが好き?」
穂乃果「えと……」
ことり「?」
穂乃果「言わなきゃ、ダメ?」
ことり「えっちしてあげないよー?」
穂乃果「……そしたら無理やりするけど?」
くすりと笑ったその表情は、なんだかいつもの表情じゃなかった。冗談じゃなくて、本当にそうしてしまいそうなくらい妖しい微笑みを一瞬だけ浮かべていた。
ことり「っ」ゾクッ
穂乃果「嘘だよ。無理やりなんてしない」
ことり「……もう」
穂乃果「で、胸の話だっけ。胸はねー……えっと、おっきい方が好き、かな」
ことり「ほぉ……」
ことり「穂乃果ちゃんは巨乳好きの変態さんなんだ!」
穂乃果「なんでそうなるの!?」
穂乃果「穂乃果は別におっきいのだけが好きじゃないよ! どっちかって言えばってだけ」
ことり「なぁんだ」
ことり「じゃあことりのも好き?」
穂乃果「う、うん……」
ことり「んっ、はぁ……♡」
穂乃果「んっ、ちゅ……じゅるっ」
穂乃果「首筋は一人じゃ気持ちよく出来ないでしょ?」ペロッ
ことり「ひゃ……♡はぅ……も、もぉ……♡」
ことり「ひゃぅ……♡穂乃果ちゃ……乳首、触ってよぉ……♡」モジモジ
穂乃果「えー?」
ことり「ま、周りばっかり……」
首筋に舌で刺激を与えられながら、穂乃果ちゃんの手はことりの胸を優しく触り続けていた。本当に触れるか触れないかのところで焦らされ続けるから、もう我慢出来ない。
穂乃果「この前の仕返しだよ?」
ことり「え?」
この前、この前……うん、えっちさせてあげなかったのを根にもってるみたい。
ことり「あ、あれは……」
ことり「ご、ごめん……」
穂乃果「いいよ、その代わり今日は穂乃果がいじめてあげる」
ことり「んんっ……♡ぁ、ぅん……そ、こ……」
柔らかい手がことりの胸の頂点に触れる。四本の指を使って、ゆっくりゆっくりと頂点に刺激が与えられる。
ことり「ふぁ……んぅ、ぁん……穂乃果ちゃ……♡」
自分でする時はいつも道具を使ってする。だからあんまり感じないかななんて思っていたけれど、穂乃果ちゃんに与えられる刺激は自分のものとは全然違って、自然に声が漏れてくる。
ことりは激しいのが好きだからぐりぐり強い刺激ばかり与えていたけれど、穂乃果ちゃんはその逆。怖いくらい優しい刺激。
穂乃果「堅くなってる」
穂乃果「興奮してる?」
ことり「う、ぁ……♡穂乃果ちゃ、もっとぉ……♡」
腰がぐねぐねと動いちゃう。流石に胸だけじゃ達することは出来なくて、早く触れて欲しい、早くめちゃくちゃにして欲しいって身体は悲鳴を上げている。
穂乃果「ここも、いじめて欲しい?」サワッ……
ことり「はぅぅ……♡」
穂乃果「くす……やらしい顔♡はぁはぁ……♡」
気がつけば、穂乃果ちゃんは息を荒げて余裕のある表情はすでに消えていた。……そうだよね、穂乃果ちゃんの方がえっちしたかったんだもんね。それをことりばっかり気持ちよくなろうとして……。
ことり「……ことりが気持ちよくしてあげるね」
起き上がる反動を利用して、一気に体勢を逆転させる。
突然のことだったし、穂乃果ちゃんも意識が散漫としていたから押し倒すのは容易だった。
穂乃果「ちょ、ちょっと、今日は穂乃果がいじめるって――」
ことり「ううん、だーめ。やっぱりことりはいじめる方が好きみたい」
穂乃果「ええ!?」
ことり「おとなしくしてて? 気持ちよくしてあげるから」
穂乃果「んっ……」
制服のズボンはすでにテントが張ってるみたいに盛り上がっていて、それだけでかなりきつそうだ。大丈夫、今からことりが解放してあげますからね。
ことり「わ……」
下着ごと全部脱がせると、跳ね馬みたいにぶるんと穂乃果ちゃんのお腹に当たって反り返る。
ことり「やっぱりおっきいね……」
穂乃果「ことりちゃんのせい……」
ことり「そっか、なら早く気持ちよくしてあげないとね?」
穂乃果「ふぁっん……♡んっぁ……」
ことり「あっつい……♡」
ことり「ことりの手、気持ちいい?」コシュコシュ
穂乃果「ゃぁ……んっ、んっぁ……ぁっ……」///
ことり「えっちなお汁こんなに出て来たね、偉い偉い」グチュ……クチャ
穂乃果「や、だぁ……♡」
ことり「なにがやなの? 気持ちいいなら嫌なことなんてないでしょ?」
穂乃果「い、いや……気持ちよく、なりたく……んぁっ、ない………♡」
ことり「どうして?」
穂乃果「――ことりちゃんと一緒に、気持ちよく、なりたいから」
ことり「……」
ことり「そうだよね……わかった」
一度立ち上がり、穂乃果ちゃんの目の前にことりの下半身がくるちょうどいい位置まで移動して下着に手をかける。
ことり「んっ……♡」
ことり「よく見て……? 穂乃果ちゃんのこと考えてただけで、こんなになっちゃってるんだよ?」ツーッ
ツーっと糸を引く銀糸を救いとって、口に含んで見せる。
穂乃果「……」
やば、見られてると……奥からどんどん……。
ことり「ここに、穂乃果ちゃんのこれが入るんだよ? 懐かしいね……?」
近くに置いておいたゴムを手にとり、穂乃果ちゃんのおちんちんに付けてあげる。
ことり「ちょっと小さかったかな?」
穂乃果「はぁ……はぁ……」
おちんちんがぴくぴくって動いて、もう可愛いなぁ。今気持ちよくしてあげますからね。
壁におっかかっている穂乃果ちゃんの肩を片手で掴んで、体勢を安定させる。もう片方の手でおちんちんを掴んで、ことりのおまんこに入れられるよう狙いを定める。
穂乃果ちゃんはもうほとんど抵抗しなくなって、目は虚ろだ。くすくす……やっぱり穂乃果ちゃんは受けの方が似合ってるね。
ことり「いく、よ……」ヌチュ
穂乃果「んっ、ぁぁ……っぅ」グイッグイ
ことり「んっ……」
穂乃果「や、ぁ……ん、きもちっ……ぃ……♡」
穂乃果「ことりちゃん……ふぁ♡溶ける♡溶け、……んっぁ♡ちゃうよぉ……♡」////ガクガク
ことり(はぁはぁ……♡凄いえっちな顔してる♡かわいい、かわいい♡)キュンキュン
ことり「はぁ……はぁ……」
ことり(あ、れ?)
ことり「全部入った、よね?」
穂乃果「う、ん」
ことり「……」
ことり「動くね?」
穂乃果ちゃんに抱きついてそのまま、腰を動かす。
穂乃果「あっ、あっ……♡ことりちゃんの膣内、やば……♡ふっんっ……♡」
穂乃果「はぁはぁ、や、すご……熱く、てぇ……あっ、いやぁぁ……」グチュッグチュ
ことり「んっ、ぁ……ことりも、気持ちぃ……」ギシギシ
ことり「もっと、もっと気持ちよくなってぇ?」
穂乃果「んぁっ!! やだ、やだ……そんな、締め付け……♡んっぁはぁ……///」
ことり(あ、れ、前より、気持ちよくない?)
ことり「穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃん……」グチュッグチュ///
穂乃果「んぁ……や、やぁ……」
ことり「すっごい、前より長くできるね?」
ことり「はぁはぁ…………穂乃果ちゃんのおちんちん、ぐちゅぐちゅって言ってるよ? ことりのおまんこかき回されちゃってるよ?」
穂乃果「気持ちい……♡きも、ち……」
穂乃果「はぁはぁ……もうダメ……!!」
おもいっきり抱きしめられて、今度は穂乃果ちゃんが下から腰を突き上げる。
ことり「ひゃぅっ」
穂乃果「あっ♡あっ♡ことりちゃんはことりちゃん♡」
ことり「んっ、ふぁ……」
ことり「はげしっ」
穂乃果「出ちゃう……やだ、出ちゃうよぉ♡」キュンキュン
穂乃果「もっと、ことりちゃんと、繋がってたい、のに♡」
穂乃果「あっ♡あっ♡あっ♡」ギシギシ
ことり「ことりのことは、いいから、気持ちよくなって?」ギュゥゥ
穂乃果「や、や♡で、る……♡」
穂乃果「んっぁぁっ♡」ビュルッルッ
穂乃果「ふぁ♡や♡あ♡」ビュルッルッルルル
ことり「ふぁ、ビクビクしてるよぉ」
穂乃果「まだ♡止まんな、ぃ♡」ビュルッ
穂乃果「ふぁ……♡ハーッハーッ♡」グッタリ
ことり「気持ちよかった?」
穂乃果「う、ん……」
穂乃果ちゃんに痛いくらい抱きしめられていた手が解けて、力なくダラリと投げ出される。
ぬぷって音ともにことりはおちんちんを抜いて、ゴムを外してあげます。
ことり「うわぁ……出過ぎだよぉ……」
本当、一年前よりも出す量増えてるよね?
ことり「大丈夫?」ナデナデ
絶頂の余韻なのか、穂乃果ちゃんは焦点が会わない瞳をこちらに向ける。
男の子でこんなになるって、相当気持ちいいってことだよね……。おちんちんに触れてみると、穂乃果ちゃんは苦痛の表情を浮かべて腰を引いてしまう。連続は、無理、か……。久しぶりのえっちだったから全部出し切っちゃったのかな?
穂乃果「あ、ぅ……」
パクパクと口を開けて、何か言いたそう。
ことり「?」
穂乃果「ことり、ちゃん、気持ちよかった?」
ことり「……」
ことり「うん、気持ちよかったよ!」
初めて嘘をついた。今まではイケはしなかったけれど、確かに気持ちよかった。でも今回は……。
穂乃果「そっか……」
穂乃果「ごめん……」
ことり「どうして謝るの?」
穂乃果「……」
ことり「ことりは穂乃果ちゃんが気持ちよくなってくれればそれでいいんだからね?」
穂乃果「うん……」
◇――――◆
ことり「ふぁんっ、んぁ、んんっ♥︎」
ことり「や、ぁぁあ!! イっちゃ、ぅ……♥︎気持ち……ぃ♥︎」ヴヴヴヴ
ことり「っ♥︎んぁっっ!!!♥︎」ビクッビク
ことり「はぁはぁ……ア……ん」
ことり「一人ならイける、のに……」
膣に突き刺さっている振動するおもちゃを投げる。久しぶりに膣内でのオナニーだけど、気持ちよかった。穂乃果ちゃんとのえっちでイケなかったのに……。
ことり「……どうして前より気持ちよくなかったんだろう……」
ことり「……」
やっぱりこれのせい、かな。そう思って見るのは、穂乃果ちゃんのそれよりもおっきい人工物。
毎日毎日、穂乃果ちゃんのことを考えながら一人で出し入れしていた。最近はちょっと控えてるけど……。
やっぱりこういうのって人工の刺激だから普通のセックスでは満足出来なくなるって聞いたことがある。事実、今日の穂乃果ちゃんは早漏とかそういう感じじゃなかったしね。
ことり「うーん……」
前は穂乃果ちゃんが早漏だったからことりはイケなかっただけ。でも今は……。
ことり「ことりのせい、だよね……」
ことり「どうすればいいんだろう……」
◇――――◆
やりたいことはある。しなければならないこともある。
しなければならないことは、やりたいことなんかよりもずっと重要で、私はやりたいことを諦めなければならないんだろう。
でもそれにはもう慣れたし、こうやって音楽室を使わせて貰って一人でピアノを弾くのも悪くない。こんなところを見たクラスメイトからの嘲笑も、別にどうでもいい。
まあ放課後に一人で部活でもないのにピアノを弾いているだなんて、とんだナルシストだと私も思うけれど。
勉強もしなくちゃ。
やらなくちゃ。夏になったら予備校にも行って、こんなことをしてる暇なんて微塵もない。だから今だけは、今だけは私のやりたいことをさせて欲しい。
「っ……」
音楽室の外から誰かが覗きこんではふふっと嘲けり笑う。今のはクラスの人か。あーあ、また何か陰で言われるのかしら。
春は出会いの季節。
私にとっては違うけれど。誰とも深い関係にはなれないし、なりたくもない。そんなの邪魔なだけだし、なにより……疲れるじゃない。
一人でいた方が楽だしね。
時々思うことがある。なんで私はここでピアノを弾くんだろうって。家にもこれくらいのピアノはあるし、親がいない時なら心置きなく弾くことだって出来る。それなのに、私がここでピアノを弾く理由は……。
「帰ろう」
今日もいつもどおり。いつも通りに私は一人。
◇――――◆
ことり「んっ……はぁ……」
穂乃果「ふぁ……♡ことりちゃん……♡」
ことり「もぉ、学校でなんてぇ……」
ことり「ここ女子校だよ? 見つかったら……」
穂乃果「だ、だって……みんなスカート短いんだもん……」
ことり「はぁ……猿じゃないんだかりぁ……」
ことり達がスクールアイドルの活動を始めてから二週間くらいが経ちました。練習する場所も神田明神からここ音ノ木坂の校庭へ。なんだか可愛い男子が校庭でことり達と何かの練習をしてるって、穂乃果ちゃんのことも少しずつ噂になってる。
部室とかがあれば穂乃果ちゃんも校舎の中に入っても大丈夫なんだけどなぁ。人数が足りない部活とかは他校から人を借りたりしているわけで、例え異性だとしても穂乃果ちゃんはマネージャーとしてやれば問題ないって話を海未ちゃんと生徒会長に聞きに行ったのは最近のこと。
ことり「うーん……」
穂乃果ちゃんを校舎に入れて大丈夫かなぁ……。下校する女の子達を見て発情しちゃうくらいだし……。今日だって海未ちゃんが弓道部の活動で来れないからいきなりえっちしようだなんて……。
穂乃果「ふぅ……ふぅ……」
ことり「気持ちよかったね」
穂乃果「う、ん……」
あれから何度も穂乃果ちゃんとえっちをしたけれど、やっぱり気持ちいいと思えることは少なくなっていた。穂乃果ちゃんが気持ちいいならそれでいいんだけど、どうせならことりだって気持ちよくなりたいもん。
えっちも終わって疲れ果てた穂乃果ちゃんをベンチに座らせて頭をそっと撫でる。こうされるのは嫌がるんだけど、仕方ないね。可愛いんだもん。
希「――やぁ、お二人さん」
ことり「あ、希さん!」
穂乃果「あ、久しぶりです!」
姿を見せたのは希さんだった。初めて希さんと話したのはことり達がスクールアイドルとしての練習を始めた頃だった。その頃から希さんはこの活動に興味を持ってくれて学校でも話しかけてくれることが多くなった。
希「今日もお疲れ様」
ことり「ありがとうございます!」
穂乃果「……」
穂乃果ちゃん、どこ見てるのかと思ったら……。
希「?」タユタユ
……悪かったですねーおっぱいそこまで大きくなくてー。ついさっきことりとえっちしたばっかりなのに、他人のおっぱいばっかり見てさ……。確かにすっごくおっきい、けど。
制服の上からなのに、なんであんなに膨らんでるの……? 脱いだらどうなるんだろ……。
希「……ウチ、いない方が良かったかな?」
穂乃果「え?」
希「いや、二人は恋人なのかなーって」
穂乃果「こここ恋人!? ち、違いますよ?」
希「あ、そうなの?」
希「てっきり恋人かと……」
希「あ……もう海未ちゃんがいないね。……なるほど、高坂君、海未ちゃんとことりちゃんで迷ってるんやなー?」
穂乃果「そそそそんなことないですよー!!!」
ことり「あはは……」
希「いいなぁ両手に花、このこのー」ツンツン
穂乃果「や、やめてくださいよー」
希「そうそうことりちゃん」
ことり「なんですか?」
希「練習する場所なんやけどさ、校庭じゃないとこでやった方がいいんやないかな」
ことり「え?」
希「ここだと人目につきすぎるし……」
ことり「まあ、そうですけど……。でも部活でもないのに穂乃果ちゃんが校舎の中に入って大丈夫なんですかね?」
希「うーん別に大丈夫だと思うよ。穂乃果ちゃん可愛いし」
穂乃果「もう希さんまでちゃん付けはやめて下さい、しかもそういう問題じゃ……」
希「えー?」
希「……ということで、屋上、なんてどう?」
ことり「屋上……?」
希「うん、あそこなら人もほとんど来ないし」
ことり「確かに……屋上行ったのって一回くらいしか……」
希「ね?」
ことり「それなら絵里ちゃんにも断っておかないと……」
希「あ、そっか、君たちえりちと幼馴染なんやっけ」
ことり「あ、はい……」チラッ
穂乃果「……」
希「……何かあるならウチから言っておいてあげよか?」
ことり「あ、それならお願いします」
希「うんおっけー。じゃさっそく行こうか!!」
穂乃果「え?」
希「屋上!!」
◇――――◆
穂乃果「おおぉ……」
穂乃果「な、なんか面白いですね、屋上の形……」
希「そうかな?」
ことり「本当に使っていいんですか?」
希「大丈夫大丈夫」
ことり「ありがとうございます! 海未ちゃんにも見せないと!」
希「じゃあウチはこれで」
ことり「希さん! 希さんはなんでそこまでしてくれるんですか?」
希「……だって、廃校になるのなんて、嫌やん?」
希「えりちは諦めてるみたいやけど……まだ諦めたく、ないから」
穂乃果「……」
希「君たちのグループ名、決まったんやっけ」
ことり「はい、µ’sっていう……」
希「……そっか」
希「あと少しで講堂の使用許可をとった日やろ?」
ことり「……はい」
希「曲とか、大丈夫なん?」
ことり「……」
希「作曲、か……作曲はウチには出来ないからなぁ」
ことり「……頑張ります」
この二週間でかなりの進歩は得られたと思う。場所も確保出来た、さらにグループ名も決まった。
希「……時間はないけれど、がんばってな?」
希「じゃあね」
ただ、最後の難関をどう、するか。講堂の使用許可をとってしまったから、やるからには、やらないと……。それももう時間がない。
もっとメンバーを集めてからやりたかったんだけど、結局集まらなかった。グループ名募集の時に、メンバーも募集したんだけどなぁ……。
バタン
穂乃果「……希さんもこの高校が好きなんだね」
ことり「良い高校だよ」
穂乃果「……穂乃果はこの高校の生徒じゃないからわからないけど……でも、そうなんだろうね」
ことり「うん」
穂乃果「うちね、おばあちゃんもお母さんもここの高校の生徒だったんだって」
ことり「へぇ」
穂乃果「穂乃果も入りたかったなぁ。ここに三人で入学して、馬鹿みたいなこといっぱいして……」
ことり「……」
穂乃果「穂乃果も今の学校が嫌いってわけじゃないんだけどさ、なんかそういう気持ちになれるの羨ましいなって」
ことり「穂乃果ちゃんのおかげだよ」
ことり「ことりだけだったらこんなアイドルの活動やろうなんて絶対思わなかったもん。まだ全然始まったばかりだけど……でも、ことりは穂乃果ちゃんと一緒にこの高校を救いたいの。救うなんて大袈裟かな?」
ことり「とにかくこれからもよろしくお願いします」ペコリ
穂乃果「あ、こ、こちらこそ……」
ことり「なんか変だね?」
穂乃果「そうかな?」
ことり「ふふっ」
ガチャ
海未「本当にここに居たのですか」
ことり「海未ちゃん」
海未「さきほど希さんが私のところに来てここにいる、と」
穂乃果「なにからなにまでやってらくれるねー」
海未「穂乃果が部活でもないのに……本当に大丈夫なのでしょうか」
ことり「希さんが絵里ちゃんに話をつけてくれるんだって」
海未「なるほど」
海未「一応私たちも絵里に会いに行ってみませんか? きっとまだ残ってるでしょうし、絵里も穂乃果に会いたいでしょう」
ことり「ぁ、穂乃果ちゃんは……」
海未「?」
穂乃果「ご、ごめん、ちょっと絵里ちゃんとは喧嘩しちゃってて……」
海未「そうなんですか……」
ことり「絵里ちゃんには二人で会いにいこ?」
海未「そうしましょうか」
ことり「なにはともあれ……これで場所は確保出来たね!」
海未「後は……曲、ですか」
穂乃果「いつまでも既存の曲じゃダメ、だし」
穂乃果「アライズはバックに居る人達が曲を用意してくれるんだもんねー」
ことり「すごいよねえ」
穂乃果「うーん」
海未「……」
海未「いつかぶつかる問題、だとは思っていましたが……」
穂乃果「……」
海未「今こうして考えていても何も起きません。今日はひとまず場所が確保出来た、それだけでもよしとしませんか?」
穂乃果「そうだよね!」
穂乃果「明日から頑張ろうね!」
海未「じゃあ今日はこれで終わりにしましょうか」
ことり「じゃあ絵里ちゃんのところ行こっか」
海未「はい」
海未「では穂乃果も、気をつけて帰って下さいね」
穂乃果「穂乃果外で待ってるね!」
ことり「分かったー」
~~~♩♩♩
穂乃果「なんだろう、この音?」
◇――――◆
絵里「なるほどねえ」
海未「あの、それで一応絵里にも報告に、と」
絵里「まあさっき希から聞いたけど……」
絵里「あんまり勝手に決めないでよ希。先生に女子校で男子生徒が同好会活動をしてるっていうのはあんまり良くは聞こえないわ」
絵里「明確に禁止されているわけではないとはいえ……タブーには変わりないことよ?」
絵里「そもそも普通の女子校は――」
希「ええやんええやん」
希「もし先生になんか言われてもなんとかなるって!」
絵里「はぁ……」
希「それに……ことりちゃんのお母さんのコネもあるわけやし、ね?」
絵里「……」
絵里「穂乃果、元気にしてる?」
ことり「今外で待ってるはずだよ」
絵里「そう……」
ことり「話さないの?」
絵里「やめとくわ」
ことり……」
◇――――◆
真姫「ふぅ……」
今日もいつも通り。私はここでピアノを弾いていた。
なんにも変わることもなく、すでに入学から一ヶ月が経とうとしている。そういえば廃校騒ぎなんてものもあったけれど、私にとってはいいのかもしれない。ここから先、人間関係が変わる可能性が狭まるってことでしょう?
今でさえ先輩との関わりもないし、後は先輩がいなくなれば私は一人でいられる。
ああ、今日は少し歌いすぎたかもしれない。もうこんな時間だ。ピアノにカバーをかけて、カバンを手にとる。
穂乃果「ぉぉー!!!」
なんだか見慣れない人が、入り口から私のことを見ていた。
真姫「……」
真姫「誰……?」
ガチャ
穂乃果「すごい、すごいよっ!!」
ブレザー姿のその人は勢いよく扉を開けて、一気に距離を詰めてきた。
真姫「ちょっ……」
穂乃果「ねえねえもしかして今歌ってた曲ってオリジナル!?」
真姫「そ、そうですけどなにか」
私がそう答えるとこの人は目をキラキラさせて私の手を取る。一体なんなの? ブレザー姿ってことはこの高校の人じゃないし、しかもスカートも履いてない。
……男?
穂乃果「すごいすごいすごい!! ねえ、名前教えてよ!!!」グイッグイッ
真姫「ちょ、ちょっと離れて下さい!!」
穂乃果「え、ああごめんなさい」
真姫「……あなたこの学校の生徒じゃないですよね。しかも……男?」
穂乃果「そうなんだけど、色々あって放課後はこの学校に来てるんだ」
真姫「へえ」
穂乃果「そんなことより!!!!」
穂乃果「あなた、アイドルに興味ありませんか!?」
真姫「――は?」
それはきっと新しい風。眩しくて、強くて、私なんてあっという間に飲み込んでしまう。それによって連れていかれる世界は――きっと素晴らしい世界なんだろう。
◇――――◆
真姫「ただいま」
帰ってくる声もなく、私はすぐに部屋に。両親共々医療に携わる仕事をしているからこんなに早く帰ってくることはあまり無い。でも一人の時間は好きだから全然寂しいとか思ったことはない。
真姫「はぁ」
ベッドに横たわって、すぐに浮かんで来たのは今日の放課後のこと。
穂乃果『高坂穂乃果っていうの!!』
クリクリした目に活発そうな声、それに結べるほどじゃあないけれど男にしたら長い髪の毛。
真姫「女みたい」
真姫「ま、見た目はそこそこかしら」
同年代の男子と対面してなんだかどもってしまった自分が悔しい。いやそもそも初対面なのにあんなにグイグイ来るの? なんか髪の毛も長いしチャラチャラしてそうだけど……。
真姫「何がアイドルよ」
彼、高坂穂乃果君の話の内容はアイドル活動をやっている友達がこの学校にいるから協力して貰いたいとのこと。それは廃校を阻止するためのもので、自分はそのマネージャー的な立ち位置で一緒に活動している、とも言っていた。
なんだか胡散臭い、それが第一印象だった。まずアイドル活動で廃校を阻止するって意味わからない。
じゃあ私に話しかけてきた理由はなにかしら?
あ、もしかして私に惚れたとかそういうのかしら。確かに中学の頃はよく告白とかされたけど……。
うーん、あの子背も低いし馬鹿っぽいし、無理ね。
やっぱり私には背が高くてイケメンで頭が良くてお金持ちの人が似合うわ。
真姫「……」
穂乃果『また来るから!!』
なんだか彼の言葉は不思議な力をもっている気がした。対して意識もしていないのに、スッと頭の中に入ってくる。
真姫「はぁ、勉強しないと」
◇――――◆
凛「かよちーん早く部活決めようよー。もう学校始まって二週間も経ってるよー」
花陽「え、あ、うん……」
凛「もう明日で仮入部期間も終わりなんだよー?」
花陽「そ、そうだけど……」
凛「……?」
花陽「……ぶ、部活入らなくても、いいかなって」
凛「えー」
花陽「中学の時も入ってなかったし……」
凛「……そっかぁ」
花陽「凛ちゃんは?」
凛「陸上部入ろうか迷ってるん、だけど……」
花陽「そっ、か」
もうみんな部活を決め始めて、私も高校では部活に入ろうって決めてたのに……。結局決められずに今まで来てしまいました。
少しだけ、少しだけ気になるポスターも見たんだけれど、私には絶対出来ないし。
花陽「私は、これでいいから」
◇――――◆
真姫「また来たんですか」
穂乃果「迷惑だったかな?」
真姫「迷惑です」
穂乃果「あちゃー」
真姫「……」
穂乃果「真姫ちゃんの歌きかせてよ」
真姫「な、なんで……。それに、馴れ馴れしいです」
穂乃果「えー、仲良くしようよー?」
真姫「はぁ……」
穂乃果「ねえねえ真姫ちゃん、アイドルやってみようよ!」
真姫「だから、この前も言いましたけど、お断りします」
穂乃果「なんでさ! 真姫ちゃんすっごく可愛いし、スタイルもいいし、大丈夫だよ!」
真姫「変態……」
真姫「たいして話してもない人に可愛いとかスタイルいいとか変態にも程がありますよ」
穂乃果「ご、ごめん……」
真姫「それに、ああいうポップスとか興味ないんで。なんか薄いし軽いし」
穂乃果「……そうだよね」
穂乃果「穂乃果もそう思ってたんだ」
穂乃果「でもね――」
◇◆
穂乃果「また来るから!!!」
真姫「……全く」
真姫「スクールアイドル、なんて」
希「――迷える子羊さん」ガシッ
真姫「ひゃっ!?」
真姫「ちょっ、なっ!!」
希「うーん、発展途上、かも?」モニュモニュ
真姫「ふぁ、や……んぁ……///」
希「でも、まだまだ諦めたらダメやで?」ムニュ……クリッ
真姫「んっ、はぁ……♡ほ、本当にや……や、やめて!!!!」ブンッ
希「あらあら」
真姫「いきなりなにすんのよ!!!」
希「そう怒らんで」
真姫「っ……」
希「ウチはここの副会長やってます。見たことくらいはないかな?」
真姫「興味ないんで!」
希「……あらら」
真姫「その副会長さんがなんの用ですか。人が音楽室から出てくるところ待ち伏せしてこんなこと!!」
希「もう、そんな怒らないでって。ウチら女同士やん? おっぱいくらい――あ、もしかして他人におっぱい触られるの始めて――」
真姫「そんなことはどうでもいいんです!!」
希「……」
希「……さっきの男の子と何を話してたんやろ」
真姫「……あなたには関係ありません」
希「そっか……。ならこれだけ言わせてもらうね」
希「恥ずかしいなら、こっそりって手もあるんやない?」
真姫「な、なにを……」
希「じゃ」
真姫「ちょっと!!」
◇――――◆
にこ「あんた、一体なにをしたいの」
希「んー?」
にこ「あんなの、モノになるわけないでしょ!! あんな舐めたやつら!!」
希「……それはどうやろ」
にこ「さっきのつり目の子、あの男に誘われてたみたいね」
希「知ってる」
にこ「認めないから」
希「そっか」
にこ「……」
希「にこっちがなにもしなくても、あの男の子は、にこっちとなんかしらの関わりを持つ、と思うよ」
にこ「は、あんな女子校に入り込むような気持ち悪い男関わりたくないわ」
◇――――◆
凛「あーあ結局なにも部活入らなかったなぁ」
花陽「陸上部、入ればよかったのに」
凛「んー……なんかピンと来なくて」
凛「別に部活してなくてもね」
花陽「そ、そうだよね」
花陽「……ぁ」
凛「ん?」
凛「なにこのポスター、スクールアイドル?」
花陽「……」
凛「スクールアイドルかぁ、最近流行ってるもんね。ここでもやってたんだね、同好会みたいだけど」
花陽「そ、そうみたいだね」
凛「……あ、かよちんやりたいんだ」
花陽「え!? 私には無理だって!!」
凛「……ううん、そんなことない!! やりたいならやるべきだよっ!!」
花陽「ちょ、ちょっと待って!」
凛「なになに、活動場所は屋上、メンバーは二年生の南ことり、園田海未……」
凛「えー!! ことり先輩と海未先輩がやってるのー!?」
凛「ねえねえかよちん行こう! 見に行ってみよう!?」
花陽「わ、私は……」
凛「いいからいいから!!」
花陽「た、助けてぇ……」
◇――――◆
それは本当に突然、突然のことでした。
穂乃果「ねえ、これ聞いてよ!!!」
穂乃果ちゃんがもってきたのは一枚のCD。
海未「なんですかそれは」
穂乃果「とにかく聞いてみて!!!」
ことり「……?」
パソコンで再生ボタンを押すと……。
ことり「――これ、歌?」
穂乃果「すごい、すごいよっ!!」
海未「穂乃果、説明して下さい!!」
穂乃果「うん、えっとねこの学校の一年生で作曲が出来るすっごい人がいてね、その人に頼んでみたの!!」
海未「この学校に……?」
穂乃果「西木野真姫ちゃんっていうすっごく可愛い子!!」
海未「ああ……」
ことり「あの子……か」
穂乃果「知ってるの?」
ことり「結構有名だよ。ほら、あそこの総合病院の娘さんだから、お嬢様なんだよ」
穂乃果「へぇー!」
海未「まさかこんなことができるとは……」
穂乃果「声かけてみてよかったー!」
ことり「どういう経緯?」
穂乃果「なんかね音楽室で歌ってたから」
ことり「なにそれ? しかも音楽室かあ」
ことり「あそこ建て付け悪いから時々扉開かなくなるんだよねぇ、前閉じ込められたことあったし」
穂乃果「そうなの?」
穂乃果「まあとにかくこれなら講堂の使用許可とった日には間に合いそうだね!」
海未「一週間しかないのですが……」
穂乃果「やれば出来る!」
ことり「ぅぇぇ……自信ないよぉ」
穂乃果「やるしかないの!」
穂乃果「さあ、これからの二人の練習だけど――」
ガチャ
凛「――すみませーんスクールアイドルのポスター見てきたんですけどー!!!!」
花陽「ちょっとぉ……」
ことり「お?」
穂乃果「なになに!?」
穂乃果「え……」
凛「あ……」
花陽「……?」
凛「――な、なんで……穂乃果ちゃんが……」
穂乃果「り、凛ちゃん……音ノ木、だったんだね」
凛「……うん」
ことり「あー、凛ちゃん!!」
海未「久しぶりですね」
凛「久しぶりです!!」
ことり「凛ちゃんが来たのは知ってたけど、話す機会もなかったから……」
凛「凛もです!!」
海未「えっと、そちらの方は――」
ことり「小泉花陽ちゃんだよね? 凛ちゃんの友達の」
花陽「は、はい……」
ことり「君もここの学校だったんだね! 中学の時はあんまり話す機会なかったもんね?」
花陽「そ、そうですね……」
穂乃果「あ、あの凛ちゃん……」
凛「……」
凛「ど、どうしたんですか穂乃果"先輩"!! あ、そういえばなんで穂乃果先輩がここにいるんですかー?」
穂乃果「っ……」
穂乃果(せん、ぱい)
穂乃果「えっとね、スクールアイドル活動の為に……」
海未「まあその話は少しだけ長くなりそうなので」
海未「凛、今日はなんでここに?」
凛「そうそう!! 今日はかよちんが――」
凛「あれ……?」
凛「あれれかよちんは!?」
ことり「なんか走って行っちゃったけど……」
凛「あーもう!」
海未「どうしたのですか?」
凛「いやえっと……かよちんがですね、スクールアイドルの活動、したそうにしてたから……」
ことり「本当!?」
凛「はい、でもかよちん自分に自信も無いみたいだし……でも絶対やりたいって思ってます」
ことり「……そっか、そっか……あの子、大人しそうだけど可愛いもんね……」
ことり「誘ってみようよ!」
凛「凛からもお願いします」
凛「きっとかよちんなら戦力になりますから!!」
新しいメンバーになれそうな子がようやく見つかりました! しかもそのなりたいって子が可愛い子なら余計嬉しいよね!
普段なら穂乃果ちゃんは喜びそうなんだけど……。
穂乃果「……」
なんだか元気がなさそう。さっきまであんなに元気だったのに。
海未「今度私たちはライブをしますから、是非見に来て下さいね」
凛「はい、もちろん!!」
凛「穂乃果先輩」
穂乃果「っ、な、なに?」ビクッ
凛「頑張って下さいね!」
穂乃果「ぁ、ありがと」
凛「凛はこれで」
バタン
穂乃果「……」
ことり「さっきからどうしたの? 急にテンションさがっちゃって」
穂乃果「いやあ、あはは……」
ことり「もう……」
海未(穂乃果……)
海未「とりあえずもう練習を始めてしまいましょう。時間もありません」
ことり「うんっ!!」
◇――――◆
凛「穂乃果ちゃん……」
凛「なんでこんなところに……」
凛「……そんなことより、どうして逃げたの!?」
花陽「だ、だって……私なんかじゃ」
凛「大丈夫だって、かよちんは可愛いよ! ことり先輩だって可愛い子が入りたいって言ってくれて嬉しいって言ってたよ!!」
花陽「……」
海未「あの……」
凛「あ、海未先輩!」
凛「どうしたんですか?」
海未「西木野真姫さんはいらっしゃいますか?」
凛「えっと……あれ? いない」
ことり「――こっちに居たよー!」
真姫「ちょ、ちょっと……!」
真姫「いきなりなんの用ですか」
ことり「んー、ほら曲のお礼!」
海未「あなたが作ってくれたんですよね、私たちの曲を」
海未「あ、遅れました。園田海未と言います」
真姫「……」
花陽(曲を?)
凛(西木野さん、あの人達となんか関わりあったんだ)
ことり「ね、ね、この際だからさ……私たちのグループ入らない?」
海未「あなたが入ってくれると、私たちも嬉しいのですが……」
真姫「……だ、だれも私が曲作ったなんて言ってないでしょ!」
ことり「もう……意地っ張りなんだから……」
ことり「そうだなぁ……あ、私たちのグループに入れば穂乃果ちゃんと毎日会えるよ!」
ことり「海未ちゃんはそれが目的で――」
海未「ことり! なななな、なにを!?」
ことり「ふふ」
ことり「ね、どうかな、穂乃果ちゃんと仲いいんでしょ?」
凛(……やっぱり、穂乃果先輩の周りには可愛い子がたくさん集まる……。西木野さんだって見た目はズバ抜けてる、ことり先輩も海未先輩も……)
真姫「興味ありませんよ、あんな女々しい人」
真姫「じゃあ私はこれで」
ことり「あん、真姫ちゃぁん……」
ことり「行っちゃった……むぅ」
凛「あ、あの……穂乃果先輩って……」
ことり「ん?」
凛「今、彼女とか、いるんですか?」
ことり「え? えっと……」
ことり「あ……なるほどぉ」
凛「い、いやいや勘違いしないで下さい!」
ことり「今はいないよ」
凛(そ、そうなんだ……)
ことり「とにかく、花陽ちゃんも、凛ちゃんも今度のライブ来てね!!」
◇――――◆
一週間後。
それは偶然のことだった。
彼、高坂穂乃果も音楽室に来ることも少なくなってまたいつもの日常が戻ってきた頃のこと。
ただ、その日は少しだけ違うルートで校舎を出ようとした。きっかけは出し忘れのプリントを出しに職員がいる教室まで行ったこと、なんだけど、そこからのルートには講堂があった。
講堂なんて使う機会も少なければ、なんで立派なものが用意されているのかと思いたくもなるが……その日だけは違った。
真姫「なに、この音……」
真姫「これ、は」
講堂の前を通った時、聞き覚えのある音楽が鼓膜に響いた。何回も何回もチャックして、寝ないで作った曲。そんなことをしてやる義理もないのに、自然に作ってしまっていたµ’sの曲。
真姫「そういえば」
今日がライブある日、だったわね。
少しだけ覗いてみよう。私の作った曲がどんな感じになっているか気になるし。まあ長居する気もないから、チラッとだけど。
真姫「……」
中を覗いてみると、2人が衣装を着て踊っていた。観客は――ほとんどいないようだ。
真姫「……これが現実ね」
どこか冷めた気持ちが私を支配した。どうでもいいと思っていたけれど、心の底では応援していたのかもしれない、なんて。
そのまま帰ってしまおうかとも思ったけれど、なぜか私の足は貼り付けられたみたいにその場から動かない。目もステージだけを見つめる。
なんだか不思議な感情。腕立て伏せをしながら笑えるか。これは彼の言葉だけれど、今踊っている2人はこれを実践しているってことになる。聞いた感じ、歌声にも息切れとかも、ない。
最初は不思議な気持ちだった、なんで自分がこんな低俗でレベルの低いパフォーマンスを見ているかなんてわからなかった。でも次に気がついたのは自分がそのパフォーマンスに魅力されていること、だった。
素直に凄い。飛び散る汗も、歌声も、ダンスも……。
パフォーマンスが終わると、ことり先輩が目に涙を浮かべながら……それでも笑おうとしながら、見てくれている極少数の人に向かって感謝の言葉と悔しさの言葉を口にしていた。見てくれた人が自慢出来るようにする、この講堂を満員にする。
感極まった、にしてはとても良いことを言っていた。
真姫「……」
途端に遊びだと馬鹿にしていた自分が恥ずかしくなった。実情も知らずにただただイメージだけで語ってしまっていたんだと気づかされてしまった。
穂乃果「――あ、真姫ちゃん!!」
真姫「穂乃果、先輩……」
穂乃果「……泣いてる?」
真姫「え?」
真姫「ウソ……」
目元を拭った手は、雄弁に物事を語っていた。
真姫「ち、違うわよ、これは」
穂乃果「すごいよね、ことりちゃんは」
真姫「……ええ」
穂乃果「どうだった?」
真姫「良かったわ、とっても」
穂乃果「穂乃果もそう思う」
穂乃果「これも真姫ちゃんのおかげ、だよ?」
穂乃果「ありがとね」ニコッ
真姫「っ……」キュンッ
真姫「だ、だから私が作ったなんて……」
穂乃果「うん、わかったわかった」
真姫「なによ……」
穂乃果「――ねえ、µ’sにさ入らない?」
真姫「え」
穂乃果「……これで断られたら穂乃果達はもう真姫ちゃんのことは誘わない。迷惑になるだけだし、穂乃果達の力の無さを誰かに頼り切ることにもなっちゃうから」
穂乃果「だからこれが最後。でも……穂乃果は真姫ちゃんと一緒にやりたい」
穂乃果「どうかな」
思えばこれは初めての経験、なのかもしれない。こんなに人から必要とされて、こんなに熱心に誘われて――。
例えば私が曲を作れるから誘ってるだけ、というのも十分ありえる。でも、でもこの人からは……そんな感じが伝わってこないんだ。
真姫「私は――」
半ば無意識的に、私は彼の瞳を見つめたまま、言葉を紡いだのだった。
遅くなり申し訳ありません。
ちょっと急遽ある人の話まるまる追加してたら長くなりました。書き溜めたくさんありますので、起きたら投下していく。
先に言っておくと、共通ルート的なのが本当に長いです。個人ルートやハーレムルートはその後一応考えてありますがその時の>>1のやる気とかでいくつやるかきまっていきます。
ちなみに共通ルートでは全員分のエロがあるわけじゃない、あくまでもエロがメインじゃないから。そこは本当にごめんなさい。
◇――――◆
穂乃果「真姫ちゃんだいすきー!!」ギュッー
真姫「ちょ、ふざけないで!」///
海未「もう、穂乃果ったら……スキンシップが過度ですよ」
ことり(おや、海未ちゃん、これは焦ってるなー?)
ついに私たちのグループに、黄金ルーキーが入ってくれました。いつの間にって思ったけれど、やっぱり穂乃果ちゃんが囲いこんだんだって。
全く……囲いこんだのはµ’sに入れるためだったけど……心まで囲いこんじゃったんじゃないかな……。
真姫「……///」
ほら……。
そして、真姫ちゃんがもたらした功績はもうひとつ。
花陽「お、遅れましたぁ」
凛「遅れましたー!」
ことり「うん」
この2人もµ’sに入ることとなりました! ことりは全然わからないんだけど、この裏では真姫ちゃんが動いていたらしい。自信のない花陽ちゃんを凛ちゃんと一緒に連れてきたことがきっかけだったりします。
凛ちゃんはその場にいたからなんとなくお試しで入ってみたってこと、なんだけど……。結構しっくりしきたみたいで、正式にµ’sに入ることが決まりました。
凛「穂乃果先輩」
穂乃果「うぇ、あ、なに?」
凛「い、いやなんでもないです」
少しだけ、気になることがあるんだ。
凛ちゃんがいる時だけ、穂乃果ちゃんの様子が変になる。変なふうに意識しているっていうか……なんていうんだろう。凛ちゃんは積極的に話に行くんだけど、穂乃果ちゃんの方が全然打ち解けられなくて業務的な会話しかしていない。
穂乃果ちゃんが珍しいな。
海未「……さて、部員もこれだけ集まって、残る問題は……」
ことり「部室部室!!」
真姫「いい加減落ち着ける場所や荷物がおける場所が欲しいところね」
花陽「それに――」
穂乃果「ラブライブ」
ことり「うん」
廃校を阻止するためのルートも、最近になってようやくビジョンが見え始めていた。ラブライブという大きな大会に出て、注目されること。
穂乃果「よしっ、とりあえず部活にしないとっ!」
希「おっはー」
穂乃果「あ、希先輩!」
希「久しぶりやねえ」
穂乃果「はい!
◇――――◆
穂乃果「……」
凛「……」
凛「なんとか言ってよ」
穂乃果「……ごめん」
凛「どうして、どうしてそんなに凛を避けるの」
穂乃果「だって……」
凛「……凛はもう気にしてないよ?」
穂乃果「ごめん」
凛「……穂乃果ちゃんがしたいならら、させてあげても、いいよ?、」
それは忌まわしい記憶。男の力で無理やり押さえつけられた過去の記憶。
穂乃果「な、なに言ってるの」
凛「だって、前みたいに話してくれない、から」
穂乃果「それは穂乃果が凛ちゃんに無理やり……」
凛「……」スッ
凛は何も言わず、ただスカートをめくった。
穂乃果「な、なにしてるの!?」///
凛「ほら良く見て?」
穂乃果「待って!! り、凛ちゃんおかしいよ!!」
凛「……今彼女いないんでしょ?」
穂乃果「そうだけど」
凛「なら、凛と――もう一度付き合おう?」
穂乃果「ダメだよ……穂乃果は」
凛「凛は気にしてないって言ったよ? 凛こそごめん」
凛「今度は……そういうことも、させてあげるから」
穂乃果「ごくっ……」
凛「思えば、自分勝手だったにゃ……。自分の身が可愛くて、穂乃果ちゃんのことなんて何も考えないで」
穂乃果「そんなことない、凛ちゃんは悪くない!!」
凛「自分勝手に告白して、自分勝手にフって……」
凛「最低だね」
凛「凛ね、穂乃果ちゃんと別れてから本当に辛かったの……。付き合ってる時でさえ、辛かったのに……凛は馬鹿だね」
穂乃果「……凛ちゃんが穂乃果をフったのは、穂乃果が凛ちゃんと無理やりしようとしたからでしょ?」
凛「……ううん、そうじゃないの」
穂乃果「え……?」
凛「ごめんね、言いたくないにゃ」
穂乃果「……」
凛「凛ね……まだ穂乃果ちゃんのことが好き」
凛「また、自分勝手でごめんね。でも、これが凛だから」
穂乃果「でも、穂乃果我慢出来なくて……また凛ちゃんに無理やりしちゃうかもしれない、だから凛ちゃんは穂乃果なんかじゃなくて――」
凛「……なら、ならさ彼女にしてとは言わないよ」
凛「――えっちだけする関係なら、いいでしょ?」
◇――――◆
絵里「そう、そんなに集まったの」
海未「はい、だから部活の申請に」
絵里「本当にやるつもり?」
海未「どういうことですか」
絵里「この前のでわかったでしよまう? その道が甘くないってことを」
海未「ええ……でも」
ことり「見てくれた人はゼロじゃありませんでした」
希「へぇ……」
ことり「希さんも、絵里ちゃんも凛ちゃんも真姫ちゃんも花陽ちゃんも、手伝ってくれたクラスの人も! こんなに見てくれた人がいたんだもん!」
ことり「それに約束したから、µ’sのファーストライブを見てくれた人が、他の人に自慢出来るようにするって」
絵里「……」
絵里「はぁ、わかったわ。なら部活申請は受ける。と言いたいところなんだけど」
海未「まだなにかあるんですか?」
絵里「アイドル研究部って部活がね――」
◇――――◆
凛の部屋
穂乃果「お邪魔します」
凛「いらっしゃい」
凛「ふふ、凛の部屋くるの久しぶりだね!!」
穂乃果「……そうだね」
凛「ぎゅー」ギュッー
穂乃果「ちょ、ちょっと……」///
凛「……こうするの半年ぶりくらいかな」
穂乃果「そうだね……」
凛「はぁ、あったかい」
凛「……さっき言わなかったこと、やっぱり言っていい?」
穂乃果「なんのこと?」
凛「穂乃果ちゃんをフった理由」
凛「ほら、凛てさあんまり女の子っぽくないでしょでしょ? 胸だってぺったんこだし、髪の毛も短い、スカートだって履かない、おしとやかでもない」
凛「穂乃果ちゃんを拒絶した時から、凛は気がついたんだ」
凛「穂乃果ちゃんの周りにはたくさんの女の子がいる。みんな可愛くて女の子っぽくて、みんな笑ってるの」
凛「……凛じゃ、穂乃果ちゃんとは対等になれないって、隣には要られな――」
穂乃果「――それ以上言ったら怒るよ」
凛「え」
穂乃果「そんなことないっ……そんなこと、ない!!」ガシッ
穂乃果「穂乃果は凛ちゃんのことが好きだったの!! 他の誰でもない、凛ちゃんのことが!」
凛「……」
穂乃果「だから……そんな悲しいこと、言わないでよ」
凛「……」
凛「穂乃果、ちゃん」ギュゥ
凛「ひっぐ……ごめ、ん」
◇――――◆
凛「せっかく覚悟決めてたのにー」
穂乃果「あはは、流石にえっちっていう気分じゃ……」
凛「まあそうだけど……。凛が女の子だってこと、教えてくれるんでしょ?」
穂乃果「……またいつかね」
凛「今からでもいいのに……」
花陽「あ、あれは穂乃果先輩……? なんで凛ちゃんの家から」
穂乃果「自分の身体は大切にして下さい」
凛「はぁーい」
凛「――あ、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「ん?」
チュッ
凛「さっきも言ったけど、凛は穂乃果ちゃんのことが好きです!! 今でも好きです!!」
穂乃果「……」
穂乃果(口……)
凛「返事は、いつか聞かせてね!」
穂乃果「……」
凛「へへ」
凛「バイバイ!」バタン
花陽「え……?」
花陽「二人は、そう、いう?」
穂乃果「返事……か」
【星空 凛 に告白されました】
◇――――◆
穂乃果「アイドル研究部?」
真姫「なによそのうさんくさい名前」
海未「絵里から聞いた話によると、似た部活があると部としての申請は出来ないとのことなんです」
真姫「ならその部活潰せばいいってこと?」
ことり「真姫ちゃん、そんな怖いこと言わないで……」
花陽「あ、あとタメ口……」
海未「現実問題どうするかは私たちだけで決められません。ですから、今からそのアイドル研究部のもとに行こうと思います」
ことり「さ、みんな行こー」
ことり「あ、穂乃果ちゃんはここに居てね」
屋上で練習を始めようとしていたみんなを誘ってアイドル研究部の部室に。事前に話し合う日もこの前海未ちゃんと一緒に決めておいたから、既に部室に待機してくれているはずだ。
真姫「――ここ?」
ことり「そうだよ」
ことり「お邪魔しまーす」
ことり「あ、あれ、あかない?」
海未「おかしいですね、今日はいるも矢澤さんは……」
にこ「――ごめんなさい、少しだけ用事があって」
ことり「あ、にこ先輩」
真姫「だれ?」
海未「部長さんですよ」
花陽「この人が……」
にこ「ま、入って」
にこ先輩は鍵を使って扉を開けて、ことりたちを招き入れました。
ことり「すごい……」
にこ「そう言ってくれるとありがたいわ」
にこ「座って」
にこ「で話っていうのは」
海未「はいそれは――」
◇――――◆
希「そんなに意地はらなくてもええやん」
にこ「意地なんて張ってない!」
希「あのライブ、みたやろ?」
希「もうあれであの子達の本気度はわかったはずや」
にこ「……べつに、あんなの」
希「見入ってたくせに」
にこ「うっさい」
希「……ねえ、そろそろ素直になっても」
にこ「……そんな簡単に素直になれてたら……こんなになってないわよ」
希「にこっち……」
にこ「それに、あいつはなんなのよ。あの男は」
希「高坂君のことかな」
にこ「そう、なんで放課後だけとは言え、女子校にあんな男が紛れこむのよ!」
希「校則では禁止されてないからなー」
にこ「そういう問題じゃないでしょ!」
希「えりちにも怒られたなー」
希「――でもさ、熱い信念見せつけられたら、そらを頭から否定するなんて出来ないやん?」
にこ「……どうせ女とセックスしたいだけでしょ」
希「ふふっ、なにそれ」
にこ「言ったまんまの意味よ」
希「セックスなんて、ほとんど知らないくせに」
にこ「う、うるさいっ」
希「にこっちほどメルヘン思考な人ってなかなかいないよー?」
にこ「む……いいじゃない別に」
にこ「ま、このにこにーが確かめてあげる」
希「はいはい」
希「高坂君に惚れないようにねー」
にこ「馬鹿じゃないの、あんな女々しい男」
◇――――◆
海未「はぁ……」
穂乃果「どうだった?」
海未「ダメでした」
穂乃果「どうして?」
海未「舐めてる、と」
穂乃果「この活動が?」
ことり「そういうこと、みたい」
ことり「あとね……穂乃果ちゃんのことが気に入らないみたいで」
穂乃果「穂乃果のことが?」
穂乃果「穂乃果話したことないよ?」
ことり「そうなんだけど……向こうは知ってるみたいで」
穂乃果「そっ、か……」
穂乃果「穂乃果のせい、か……」
凛「違うよ、穂乃果ちゃんのせいじゃ……」ギュッ
真姫「……」
にこ先輩の言っていたことも気になったけど……少し問題だなぁと思っていた穂乃果ちゃんと凛ちゃんの仲が改善しているようだった。今だってさりげなく手を掴んじゃってるし。
いいこと、なのかな?
真姫「ねえ凛、どうして急に穂乃果先輩にタメ口になったの?」
凛「え? それは」
凛「えっと……」
穂乃果「ほ、穂乃果がタメ口でもいいよって言ったの」
凛「そ、そう!!」
真姫「ふぅん……」
ことり(な、なんかちょっと真姫ちゃん威圧感が……)
海未「それで、矢澤先輩という方なのですが……穂乃果と二人で会いたい、と」
穂乃果「穂乃果と二人で……?」
凛「えーずるいっ!」
凛「凛とも二人でいよー?」
穂乃果「あははまた今度ね?」ナデナデ
真姫(……なんか、モヤモヤする)
花陽「真姫ちゃん?」
真姫「なんでもない」
ことり(あらー? 真姫ちゃんもオちちゃったのかな……? ふふ、ライバルが増えるねー? 海未ちゃん)
海未「……」
ことり「積極的な人には、負けちゃうよ?」ボソッ
海未「っ……」
ことり「ね?」
海未「……む、無理ですよ」
凛「穂乃果ちゃんもいっかいなでなでして欲しいにゃー」ゴロゴロ
穂乃果「はいはい」
海未「わ、私はあんな風には……///」
穂乃果「ねえ海未ちゃん」
海未「ひゃいっ!!」
穂乃果「どうしたの?」
海未「い、いえ」
穂乃果「矢澤先輩、だっけ? どうすればいいの?」
海未「今から矢澤先輩のところに行って下さい、場所は部室なんですが、案内しますね」
海未「では私は穂乃果を案内してくるので、みんなは練習を始めていて下さい」
凛「はーい!!」
ことり(さりげなく二人きりになるとは、やるねぇ。……でも、海未ちゃんと穂乃果ちゃん毎日一緒に帰ってるから二人きりの時間で言うと一番多い、のかな)
◇――――◆
にこ「いらっしゃい」
穂乃果「はじめまして」
にこ「ふぅん……」
にこ「顔は悪くないわね」
穂乃果「え? ありがとうございま、す?」
にこ「初めまして、矢澤にこよ」
穂乃果「あ、はい」
穂乃果「で、話って」
にこ「ああ……うーん、そうね」
にこ「あなた、どうしてこの学校に居るの?」
穂乃果「へ? それは、活動のためで――」
にこ「……私はね、あなたさえいなければあのグループの為にここの部室を譲ってもいいかもって思ってるのよ」
穂乃果「え……?」
にこ「あの子達には言わなかったけど……とりあえず、園田海未と南ことり、この二人は凄いと思うし、強い信念も感じたわ。他の三人もあの二人がいれば大丈夫でしょう」
にこ「で、問題はあなたよ」
にこ「あなたが発案者なんですって?」
穂乃果「は、はい」
にこ「そう……。それは凄いと思うわ」
にこ「でも、あんたがいることで他の人に悪影響があるんじゃないの?」
穂乃果「え?」
にこ「ここは女子校よ? あんまりいいことじゃないでしょ、男子がいたら。それにどうせあの子達と変な関係もちたいだけでしょ? セックスしたいだけでしょ?」
穂乃果「そ、そんなことありませんよ!!」///
にこ「……私、男ってあんま好きじゃないのよ」
にこ「それに、いずれあんたがいることでなんか変な感じになりそうだし」
にこ「私が何がいいたいか、わかる?」
穂乃果「い、いや……」
にこ「はぁ……つまりね」
にこ「あんた、あのグループから――消えて欲しいの」
◇――――◆
希「厳しいこと言うなぁ」
にこ「当たり前よ」
にこ「せっかくスクールアイドルっぽくなってきたんでしょµ’sは」
希「あら、認めたんや」
にこ「べ、別に認めたわけじゃない!」
にこ「あいつがいたらあのグループはおかしくなりそうな気がするのよ」
希「どうして?」
にこ「さあ」
にこ「だって男のあいつがいてもマイナスにしかならないでしょ」
希「そっか」
希(……高坂君のことあんまりわからないけど……あの子がいるからあのグループが成り立っている気もするけどね)
希(精神的支柱。どの集団においてもそれは重要で、µ’sにとっては高坂君がそれ)
希(ま……にこっちにはまだわからない、か)
にこ「とにかく、私はあいつがいなくなれば部室くらい貸してあげてもいいわ」
希「貸すって、どういうこと?」
にこ「着替えたり荷物置く場所が欲しいって言ってただけだし」
希「……にこっちもあのグループに入るんやなくて?」
にこ「――私が……?」
希「てっきりそのつもりだと」
希「ことりちゃん海未ちゃんがいて、きっとにこっちの理想にもついて来てくれる。まさに理想のグループ、にこっちが欲しかったもの」
希「違う?」
にこ「私が、欲しかった、もの……」
にこ「い、いや……私が入るなんて……」
希(ふふ、さあ高坂君。ここにも迷える子羊さんが一匹。君はどうおとすのかな……?)
◇――――◆
ことり「ここ三日くらいしてなかったもんね……?」
穂乃果「……」
ことり「……どうして何も言わずに帰っちゃったの?」
海未ちゃんが穂乃果ちゃんをアイドル研究部の部室に案内してから、穂乃果ちゃんが再び私たちのもとに現れることはなかった。
みんな不安がっているところで、ことりのところに穂乃果ちゃんから二人きりで会いたい、とメールが来た。二人で会いたいってことは決まってそういうことをする時だから、今日もそうなのかななんて思って穂乃果ちゃんを招き入れたけどそうではないらしい。
すすっとふとももの辺りを摩っても、ただ俯いているだけ。
ことり「どうしちゃったの?」
ことり「何か嫌なことでもあった?」
穂乃果「……」
穂乃果「――穂乃果ね、もうスクールアイドル活動に参加するの、辞めるね」
ことり「なに言ってるの……?」
穂乃果「だって、もうメンバーも増えてさ練習だってみんなでやっていける。海未ちゃんとことりちゃんがいれば大丈夫だし」
穂乃果「穂乃果は男だから、そういうこと出来ないし……もういいかなって」
ことり「……」
ことり「矢澤先輩になにか言われた……?」
穂乃果「っ」ビクッ
穂乃果「言われて、ない……よ」
ことり「……」
穂乃果「そんなこといいからさ……早くえっち、しよ?」バサッ
まるで何か嘘をついていて、そしてことりにそれをズバリと言い当てられて焦っているような態度。いや、もうそういうことなんだよね。
肩をぐっと押されて押し倒される。下から見上げる穂乃果ちゃんはいつもとは違って何処か弱々しい。
ことり「ダメです」
穂乃果「え」
ことり「正直に今日あったことを話してくれないと、もう一生してあげません」
穂乃果「うぇぇ……」
穂乃果「別に、なにもないって……」
ことり「嘘」
穂乃果「どうしてわかるの」
ことり「わかるもん」
穂乃果「だからなんで」
ことり「それは……ずっと一緒にいるんだから、それぐらいわかるよ」
穂乃果「……」
ことり「ね、話してみて?」
穂乃果ちゃんの肩を押して、ベッドに座らせる。
穂乃果「……穂乃果がいなければ、部室を譲ってもいいって。穂乃果がいるとみんなの邪魔になるから――消えろって」
ことり「あの人がそんなことを……」
穂乃果「あの人は言ってたんだ。µ’sにはことりちゃんと海未ちゃんこの二人がいればやっていけるって。強い信念がある人がいれば、他のメンバーも大丈夫だって」
ことり「でも、ことり達の前では……認めないって」
穂乃果「……きっと穂乃果に言ったことが本心なんだよ」
穂乃果「あの人はことりちゃん達のことを認めてる。だからその邪魔になりそうな穂乃果には……」
ことり「そんなこと、ない」
穂乃果「でもことりちゃんはすっごく強くなったよ? 自分で物事を決められるし、みんなを引っ張っていける……もう穂乃果なんて」
ことり「それは違う」
ことり「ことりはね穂乃果ちゃんがいるから今のことりになってるの。穂乃果ちゃんがそばにいてくれて安心出来るからなんだよ」
ことり「ことりが前に出てなにか出来るのも、こんなことやろうって思えたのも。……まだµ’sは全然グループとして完成されていない」
ことり「真姫ちゃんや凛ちゃん花陽ちゃんを引っ張っていけるのは穂乃果ちゃんしかいないんだよ?」
穂乃果「……」
ことり「だからね、邪魔だなんておもわないで? だれもそんなこと思わない」
穂乃果「でも……」
ことり「穂乃果ちゃんはどうしたい?」
穂乃果「まだ……ことりちゃん達と一緒に、いたい」
ことり「ふふっよく言えました」ナデナデ
穂乃果「矢澤先輩は……」
ことり「みんなで頼みに行く……?」
穂乃果「――ううん、いいや」
ふっと顔を上げた穂乃果ちゃん。横顔にもう曇りはないみたい。
穂乃果「くす……なんでこんな簡単なことに気がつかなかったのかな」
穂乃果「穂乃果はまだみんなと一緒にいたい!」
穂乃果「これを矢澤先輩に伝えるんだ!」
ことり「うんっ!」
ことり「……で、えっち、する?」
穂乃果「うーん、今日はいいかな」
ことり「えー……したかったのに」
穂乃果「またこんど!!」
◇――――◆
にこ「……勝手に部室に入ってこないでくれる」
穂乃果「あ、そのことはごめんなさい!!」
にこ「µ’sから出ていくことにした?」
穂乃果「いいえ!!」
穂乃果「穂乃果は、まだみんなと一緒に活動したいんです!!」
にこ「昨日私があんなにあんたがいない方がいいって言ったのに?」
穂乃果「はい!」
にこ「そう、つまりあなたは部室がいらないってこと? 部活にしたくないってこと?」
穂乃果「そういうことを言ってるんじゃ――」
にこ「そういうことでしょ。あの子達、かわいそうね。せっかく芽が出そうなのにまさか発案者に邪魔されるなんて」
穂乃果「……」
穂乃果「確かに穂乃果はみんなにとって、邪魔なのかもしれません……」
にこ「なら」
穂乃果「でも、みんなと一緒にいたいって気持ちだけは、本当です。自分勝手かもしれないけどことりちゃんや海未ちゃんの初めてのライブを見て本当に感動したんです」
穂乃果「穂乃果も発案したからには少しでいいから力になりたい……でも、今の自分じゃあ全然力が足りない。知識も全部」
にこ「言葉だけならなんとでも」
穂乃果「――だからにこ先輩!! µ’sに入って下さい!!!」グイッ
にこ「は!?」
にこ「あ、あと近いのよ!!」
穂乃果「お願いします!!」グイッ
にこ「まず理由を聞かせて」
穂乃果「穂乃果はみんなと違って踊ったりとかはできません。なら違うところで頑張るしかない。さっきも言った通り知識が全然足りない」
穂乃果「穂乃果は、見たんです。にこ先輩がスクールアイドルをやっている映像を」
にこ「っ!?」
穂乃果「希先輩から昔の文化祭のビデオを借りてみんなで見ました」
にこ「あいつ……」
穂乃果「……素直にすごいって思いました! きっと色んなことを知っていて、すっごくアイドルのことが好きで、すっごく熱いものを持ってる人なんだってそう思ったんです」
穂乃果「そして、なんだろう……見てるうちにこの人と一緒にやりたいって思っちゃって……」
穂乃果「にこ先輩がµ’sに入ってくれればみんな喜ぶし、もっともっと高いところにいけると思うんです! 穂乃果も、足手まといにならないようににこ先輩に色々教えて貰いたいんです!!」
穂乃果「だから、µ’sに入って下さい!!!」
にこ「……」
にこ「なんなのよ……」
にこ「私、は」
希『にこっちが一番欲しかったもの』
にこ「っ……」
穂乃果「……お願いしますっ!!」
にこ「ふぅ……」
まったく……。希が言ってたことがほんの少しだけ分かった気がするわ。
この子は本当にまっすぐで、見えないところでみんなを引っ張っているのね。
にこ「負けたわ」
穂乃果「え?」
にこ「厳しいわよ? ビシビシ行くわよ?」
穂乃果「……それって」
にこ「――さ、屋上行きましょうか」
にこ「あいさつしないとね?」
穂乃果「は、はいっ!!!」
席を立って、そのまま部室を後にする。ここを使う人は長らく私だけだったけど、もうその景色を見ることも少なくなりそうね。
名残惜しくも思わず、部室を出ると見知った顔が笑顔で待っていた。
希「おめでとう! µ’sの矢澤にこさん!!」
にこ「あんたね……」
希「ねえねえ高坂くん! にこっちのことはどうやっておとしたの?」
穂乃果「お、おとしたって……」
にこ「なに言ってんのよ、あんたが色々裏でやってたくせに」
希「あら、ばれてた?」
にこ「当たり前よ」
希「あららー」
穂乃果「ありがとうございます!」
にこ「早く行くわよ」
穂乃果「――希さんも入りましょうよ!」
希「い、いやだからウチは……」
にこ「いいじゃない入ってみれば」
希「いやあ……」
穂乃果「入って欲しいなぁ……」
◇――――◆
海未「よろしくお願いしますね」
にこ「こちらこそ」
ことり「まさか本当に入ってくれるなんて!!!」
ことり「なんて言って入ってもらったの!?」
穂乃果「ひーみーつー」
真姫「穂乃果先輩がにこ先輩を入れたいって言った時はどうなるかと思ったわ」
花陽「でも上手くいってよかったね」
凛「じゃあ新曲の振り付けとか決めるにゃ!」
穂乃果「あ、穂乃果ねいい案あるよっ!」
にこ(……なるほど、穂乃果がいないとこのグループは――)
真姫「それより、センターはどうするの?」
穂乃果「センター?」
穂乃果「――ことりちゃんと海未ちゃんがいいんじゃない?」
ことり「ことり!?」
にこ(まあ、センターじゃなくても他で目立てばいいか……)
海未「私はともかく、いいんじゃないでしょうか、ことりなら」
ことり「むり、無理だよぉ……」
穂乃果「海未ちゃんもだよ!」
海未「ええ……?」
真姫「初めてのライブの時はあんなに堂々としてたじゃない」
花陽「そうですよ、ことり先輩と海未先輩ならみんな納得します」
ことり「うぅ」
穂乃果「――決まりだね!!」
◇――――◆
穂乃果の部屋
穂乃果「センターも決まったしー♪まあ偶数だからWセンターになるのかな?」
穂乃果「その辺も色々みて勉強しよ!」
穂乃果「勉強するって言ってもなぁ……」
穂乃果「まだ普通の勉強の方が楽かもしれない。だって何していいかわかんないんだもん」
穂乃果「とりあえず雑誌買ってきたけど……」
ペラッ
穂乃果「うーん……」
穂乃果「なんかなぁ。とりあえずスクールアイドルは上位層は決まってるみたいだね」
穂乃果「――A-RISEか……このセンターの人、すごいなぁ……」
穂乃果「やっぱりかわいい……//」
穂乃果「水着グラビアとかも撮ってるんだ、これじゃプロと何が違うの……?」
穂乃果「……センターの人、ツバサって言うんだ//」ムラムラ
穂乃果「肌白い……」
穂乃果「んっ……♡」サワサワ
穂乃果「ツバサ、さん……♡ふぁ♡」シュコ……シュコ
穂乃果「んっ♡んっぁ♡」グチュグチュ
雪穂「――穂乃果ー!!!」ドタドタ
穂乃果「――!?」バッ
穂乃果「ななななにー?」
ガチャ
穂乃果(危なかった……)
雪穂「ママが店番しろだって」
穂乃果「えーなんで穂乃果が!!」
雪穂「伝えたからねー」
穂乃果「ちょ、ちょっと……」
穂乃果「むぅ……雪穂がやってよー。最近冷たいったらないよ、お兄ちゃんとも呼んでくれないしー」プンスカ
◇――――◆
UTX
ツバサ「……」ブルブル
英令奈「大丈夫か?」
ツバサ「ええ……」
あんじゅ「全く、治らないわねツバサは」
ツバサ「……残念ながら多分もう治ることはないと思うわ」
英令奈「本番に影響が無かったんだから別にいいさ」
あんじゅ「それでよくオーディション勝ち抜いたね」
ツバサ「もう……」
ツバサ「あー疲れた、二人ともこれからどこか行かない?」
あんじゅ「今日はいいかなー」
英令奈「私も今日は遠慮しておく」
ツバサ「んー……」
あんじゅ「どこか行きたいところでもあったの?」
ツバサ「まあ、そうなんだけど」
あんじゅ「どこ?」
ツバサ「和菓子屋さん」
あんじゅ「和菓子ー?」
ツバサ「たまには食べたくなるでしょ?」
あんじゅ「全然」
ツバサ「む……」
あんじゅ「クリームの方が好きよ」
英令奈「現代人だな」
あんじゅ「現代人ですよー。じゃ私は帰るわね、また明日ー」
英令奈「私も帰ろう」
ツバサ「お疲れ」
ツバサ「はぁ……」
ツバサ「そんな遠くないみたいだし、一人でも行こうかしら?」
英玲奈の漢字ミスってました、すみません。
――――
ツバサ「変装もしてないけど……ま、夜だしこの辺人も少ないし大丈夫よね?」
ツバサ「あったあった……穂むら、か。あんじゅに明日買っていってあげようかな」
ツバサ「あの子の認識改めさせてあげるわ」
ってなんか私が和菓子好きみたいなこと言ってるけど、やっぱり最近は和菓子に対してふれあいは少ないないわよね?
昨日テレビで和菓子の特集やってたから、まあそれで影響されてしまっただけなんだけど。
目の前の穂むらというお店、行列が出来たりするほどではないみたいだけれどネットとかを見る限りでは評判は上々らしい。
ガララ
穂乃果「いらっしゃいませー」
穂乃果「――!?」
穂乃果(ウソ……この人って……)ジッ
なんだか店の雰囲気からは想像がつかないほど若い店員さんだった。中世的な顔立ちで、男か女かもわからない。こういうお店って大体渋い人がやってる気がするんだけれど。バイトかしら。
ツバサ「えっと……」
穂乃果(す、すごい……ツバサだ……本物だ!?)
穂乃果「お、お持ち帰りですか? それとも店内でお召しあがりになりますか?」
ああ、店内でも食べられるのね。てっきり持ち帰りだけだと思ってた。チラリと店内を見渡すと奥の方に畳で食べるスペースがあるらしい。どうしようかな、この時間人もいないし。
ツバサ「――じゃあ店内で」
穂乃果「ではこちらへどうぞ」
穂乃果「おしながきはこちらになります、お決まりになったらお声がけ下さい」
若い店員さんからメニューを渡されて、さっと目を通す。
ツバサ(色々あるけど、やっぱり揚げ饅頭かなあ)
まあ有名らしいし、美味しかったら買って行ってあげよう。そう思って声をかけようと振り向いたところで――。
穂乃果「あ、あのっ……」
先ほどの若い店員さんが正座をしながら、まさにガチガチな様子で声をかけてきた。
穂乃果「A-RISEのツバサさんですよね……?」
中世的な店員さんは、恐る恐る口を開いた。うーん、やっぱりばれてたか。まあこの制服目立っちゃうし、変装もしてないしね。普段なら適当に取り繕うんだけれど今は人もいないし……。
ツバサ「ええ、そうですよ」ニコッ
営業スマイル。
穂乃果「やっぱり!」パァッ
穂乃果(顔小さくて、可愛い……)///
穂乃果「あ、あの応援してますっ……」
ファンの人かな? まあ応援してくれるっていうんだからファンの人よね。
ツバサ「ありがとう」
穂乃果「っ……」ドキドキ
穂乃果(こんなにドキドキするなんて……)
ツバサ「注文いいですか?」
穂乃果「は、はいっ」
◇――――◆
ツバサ「くす……あんじゅこれ食べたらひっくりかえるんじゃないかしら」
ツバサ「美味しかったです」
穂乃果「ほんとですか?」
ツバサ「ええ」
食べ終わったあとこの揚げまんじゅうを持ち帰りすることを即決した私は、驚くあんじゅの顔が目に浮かびながら持ち帰りの注文をした。でもなんだか表に出ていなかったみたいで今裏で用意しているらしい。
ツバサ「あなたはここのアルバイトさん?」
穂乃果「いいえ、ここの息子なんです」
ツバサ「へぇ……」
息子、か。なるほど手伝いみたいなものなのね。見た感じ私と同い年くらいだけど、ほんとに男?
穂乃果「まさかこんなところにツバサさんが来るだなんて夢にも思いませんでした……」
ツバサ「大袈裟じゃない? 私だって人間なのよ」クス
ツバサ「高校でしょ、何年生?」
穂乃果「あ、二年生です」
ツバサ「そう、年下なのね」
穂乃果(年上なんだ)
穂乃果「――あ、出来たみたいです。待ってて下さい」
穂乃果「ありがとうございました!」
ツバサ「ありがとう、また来るわ」ニコッ
穂乃果「ま、待ってます!」///
穂乃果(すごい……本物のアライズの人……)
どこに出会いがあるかなんて、予想も出来ないしそんなの予想しても無粋すぎてなんの意味もないから価値はない。いつだってそれは偶然で、逆に必然の方が私は無いんじゃないかって思うの。先のことで必ず決まるなんておかしいじゃない?
だとしたらこの和菓子屋での出逢いも、きっと偶然なんだ。
◇――――◆
穂乃果「ねえねえねえねえ!!」
にこ「なにようるさいわね」
穂乃果「昨日アライズのツバサと話したの!!」
にこ「は?」
花陽「はい……?」
ことり「アライズって、あれ?」
穂乃果「そう!!」
穂乃果「夜店番してる時にね、暇だなぁって思ってたらひとりで来たの!!!」
にこ「店番?」
穂乃果「ウチ和菓子屋でさ、そこに来たの!!!」
花陽「いいなぁ……」
穂乃果「すごく可愛いの!!」
穂乃果「可愛かったなぁ……」ポーッ
ことり(やっぱりそんなに違うのかな……)
穂乃果「なんかもうね、オーラっていうかなんていうか……」
海未「私も見てみたいです」
穂乃果「また来ないかなー?」
◇――――◆
一週間後 UTX
英玲奈「少し前にラブライブにエントリーしたグループで順調に伸びてきてるグループはこの4つだな」
ツバサ「ふぅん……」
ツバサ「端から見て行きましょう」
英玲奈「あんじゅは?」
あんじゅ「うーん、後で見るー」モグモグ
英玲奈「まったく……すっかり和菓子にはまってしまったみたいだな」
ツバサ「そうね……」
ツバサ「じゃあまずこのグループから――」
――――
英玲奈「最後は、µ’sか」
ツバサ「なあんかどれもパッとしないわね」
英玲奈「まあそんなものだろう」
ツバサ「早く再生してよ」
英玲奈「分かった」
~~~♪
ツバサ「……」
なに、この感覚……。
踊っているのは二人、サイドテールの髪の長い子と黒髪のストレートの子。これがµ’sのデビュー曲らしい。
技術なんか私達の足元にも及ばない、技術だけじゃないその他の要素も負けているところは一つとしてない。
ツバサ「なによ……」
英玲奈「どうした?」
恐怖を感じていた。とても小さい存在のはずなのに、とても大きな存在に感じる。こんなに足りない技術で何もかも足りないはずなのに、なんでこの二人はこんなにも楽しそうに踊っている? 一体なにがこの人達を動かしてる? 一体なにが支えに――。
ツバサ「次……次の曲も再生して!」
夢中になって英玲奈に再生させる。今度は六人になっていた。順調にメンバーを増やして、クオリティも上げてきている。この数ヶ月の間に相当な練習を重ねたんだろう。それでもやはり足りない。
英玲奈「――普通だな」
ツバサ「え?」
英玲奈「どうかしたか?」
ツバサ「い、いや……」
ただの勘違い? µ’sから感じるモヤモヤとしたこの感じはなに……?
ツバサ「ちょっとµ’sのこと調べていい?」
英玲奈「気になるのか?」
ツバサ「まあ、そんな感じ」
URLからµ’sのページに飛ぶ。おお結構凝った作りをしてる、素人が作ったにしてはかなりのものな気がするわ……。
とりあえずメンバーのところをクリック。写真とともに六人のメンバーが映し出される。ルックスはみんな悪くない……なるほどこの子が衣装、この子が歌詞、この子が作曲、この子が広報……あれこの子みたことあるわ。
英玲奈「……すごいな全て自分達のグループでやっているのか」
ツバサ「――え!?」
英玲奈「どうした……」
あんじゅ「なになに?」ニョキ
あんじゅ「あ、この男の子知ってる!」
画面を指差すあんじゅ。そこにはつい先日、和菓子屋で話した店員が映し出されていた。
――マネージャー……?
あんじゅ「この前穂むら行ったらね、この男の子がいた気がする」
英玲奈「行ったのか……。よく店員の顔覚えてるな」
あんじゅ「なんか女の子みたいに可愛かったから印象的で」
英玲奈「ツバサも知っているのか?」
ツバサ「ええ……穂むらに行った時声かけられたわ、アライズの人ですかって」
あんじゅ「私声かけられなかったのに……」
ツバサ「変装も何もしてなかったから」
あんじゅ「なるほど……」
ツバサ「――高坂……穂乃果か」
◇――――◆
一ヶ月後
凛「穂乃果ちゃん穂乃果ちゃあーん!!」
穂乃果「なにー?」
にこ「相変わらずべったりしてるわね」
真姫「……そうね」
にこ「?」
真姫「ねえ穂乃果せんぱ――」
花陽「だ、だめ!!」グイッ
真姫「な、なにすんのよ!」
ことり「どうしたの花陽ちゃん」
花陽「だ、ダメなの、穂乃果ちゃんと凛ちゃんの邪魔をしちゃ」
真姫「どういう意味?」
花陽「えっと、その」
海未「……なにかあったのですか」
花陽「わ、前に私、見ちゃったんです」
ことり「なにを?」
花陽「その……」
花陽「……凛ちゃんの家から穂乃果ちゃんが出てきて……抱きしめているところを……」
海未「え……」
真姫「二人は、そういう関係ってこと?」
にこ「……ったく、これだから男がいると」
ことり「ま、待ってよみんな。まだそうだと決まったわけじゃないよ」
ことり「みんなわかってるでしょ? 穂乃果ちゃんは女の子との距離をすぐに詰めちゃうことくらい」
にこ「あー……確かにそうね」
真姫「……」キュ
胸が、苦しい。
わからない、なんでこんな感情が私の中に生まれてきてしまったんだろう。あの日ピアノを引いていつも通りの日々を送っていた私を、違う世界に連れてきてくれた人。その人のことを思う度、胸が苦しくなるんだ。
苦しいならば、思い浮かべなければいいんだけれど……私の心はそれを許さない。いつからだったかな、気がついたら家にいる時も彼のことを考えて、彼のことを目で追いかけて、彼の一挙一動に、一喜一憂する私がいた。
とても弱くてとてもデリケート。
私はいつでも一人でなんでもやってきた。だからそれなりに強い自信はあったんだ。
でも、結果はこの様。
今しがた聞いた、凛と穂乃果が恋人なんじゃないかという話。それを聞いただけで視界は歪んで、クラクラと回り始める。
ああ、私は彼に引っ張られてこの活動を始めて……そしてその時は純粋にみんなと歌うのが、踊るのが楽しかった。
真姫「せん、ぱい……」
でも今は違う。私は今、恋をしているんだ。人生で始めての。
私は今、欲しいものがある。欲しいものはいくらでも買って貰えたけど、こればかりはお金ではどうにもなりそうにない。
その視線を私にだけで向けて欲しい、その声を、その笑顔を。
穂乃果先輩の特別になりたい、凛と穂乃果先輩が仲良く話しているのを見ていることは、今の私には出来そうになかった。
海未「……穂乃果」
真姫「……」
それに、周りを見渡せば……ライバルだって多そう。海未先輩はもちろん、凛だってそう、それに……。
ことり「」ニコニコ
いつもにこにこしているこの先輩は、どうなんだろう。海未先輩と同じく時間を共にしてきたもう一人の幼なじみ。海未先輩とは正反対なふわふわした人。この人の感情だけは読めない。
ことり(うーん、なるほどなるほど……真姫ちゃんと海未ちゃんと凛ちゃんは穂乃果ちゃんのことが好きで……ふむふむ)
ことり(ほんと、モテるんだから)
ことり「おーい、凛ちゃん練習始めるよ!!」
凛「――はーい!!」
ことり「じゃ穂乃果ちゃん指揮お願いね」
穂乃果「はーい」
穂乃果「あ、にこ先輩ちょっといいですか?」
にこ「なに?」
穂乃果「今度……色々教えて下さい!!」
にこ「色々ってなによ」
穂乃果「あー、スクールアイドルのこと、とか」
にこ「そうねぇ……なにから教えればいいんだろ」
穂乃果「あ、あそこ連れてって下さいよ! アイドルショップ!」
にこ「……二人で行くの?」
穂乃果「だ、ダメですか……?」
真姫「――な、なら私も行く!!」
穂乃果「真姫ちゃん?」
真姫「私もその、全然知らないし、だから……」
穂乃果「うん、いいね! いこいこ!」ギュッ
真姫「ひゃ……///」
穂乃果先輩の手……。
海未「……」
ことり「海未ちゃんは行かないの?」
海未「私は……」
海未「いい、です」
ことり「そっか」
◇――――◆
穂乃果「いやー今日もみんなよかったねー!!」
海未「……」
穂乃果「でもねあのステップはもっと飛ぶように――」
海未「楽しそうですね」
穂乃果「もちろん! 海未ちゃんは楽しくないの?」
海未「いえ楽しいですよ、でも」
穂乃果「?」
海未「……なんでもありません」
海未「今日はお饅頭を買って帰るので、少しだけ穂乃果の家に上がってもいいですか?」
穂乃果「いーよいーよ!!」
穂乃果の家に上がるのはいつぶりでしょうか。
海未「ちゃんと掃除はしてますか?」
穂乃果「あー……どう、かな?」
海未「ダメですよ掃除はきちんとしないと」
穂乃果「海未ちゃんがやってよー」
海未「どうして私が穂乃果の部屋を……」
穂乃果「んー、だって海未ちゃんならいいかなーって。なに見られても大丈夫だし」
海未「ふふ、もう……」
海未「穂乃果は私がいないとダメですね?」
穂乃果「あははそうかもねー」
こうして二人で歩くのも、また慣れてきてしまいました。高校が別になって、いつも二人で帰っていた日常がどれだけ私にとって重要だったのかが今ならわかります。隣で穂乃果が笑っているだけで、私まで楽しくなってしまう。私と、穂乃果の二人だけの時間。
今、空いている穂乃果の左手を取れたらどれだけ幸せだろう。そのぬくもりを肌で感じることが出来たら……。
他の人ならば、そうしているでしょうか、他の人、ならば――。
ポタポタ
穂乃果「雨!?」
海未「そう、みたいですね」
ザァァァアアア
穂乃果「うわー!!」
海未「ど、どうしましょう!」
穂乃果「ウチまで走るよ!!」ギュッ
海未「あ……///」
海未(手……)
穂乃果「はやくー!!」
海未「は、はい!」
手を引かれて、雨の中を切り裂くように走る。走る。
穂乃果の背中を後ろから見て、もう私の世話は必要ないんだってわかってしまいました。
だって――この小さく見える背中はとっても大きい。みんなこの背中についていってしまう。
穂乃果「……うわーびしょびしょー」
穂乃果「大丈夫?」
海未「……」
穂乃果「びしょびしょだね、とりあえず今日使わなかったタオル貸してあげる」
お互い息を荒げながら、穂乃果の家の裏口に飛び込む。中に入ると穂乃果の家の独特な甘い香りが鼻腔を刺激する。
差し出されたタオルで髪の毛をすっとひとぬぐい。どうしましょう、傘も持っていなかったのでシャツのところまでびしょびしょです。
穂乃果「とりあえず上がって? なんか持っていくからさ。穂乃果の部屋、わかるよね?」
海未「はい」
穂乃果は笑って奥に消えて行きました。私は最後に濡れた場所がないか確認して、靴を脱ぎ穂乃果の部屋へと続く階段を登ります。
手前が雪穂の部屋、奥が穂乃果の部屋、ですよね。そういえば雪穂にもしばらく会っていませんね……挨拶でもしましょうか。
海未「雪穂、いますか?」コンコン
海未「……いないみたいですね」
少しだけ残念。諦めて穂乃果の部屋の扉を開ける。
海未「……綺麗じゃないですか」
久しぶりに見る穂乃果の部屋は、とても整っていました。中学の頃は私と一緒に掃除をしたりしたというのに。その時は穂乃果には私がいないとダメなんだ、だから私は穂乃果の側にいるっていう考え方だったのに。
――穂乃果は他の人を惹きつける人、でした。私が穂乃果にとってただの友達Cなんだっていうことを思い知らされたのはいつでしたっけ……。そうだ穂乃果に初めて彼女が出来た日でした。そこで初めて私は穂乃果への想いを自覚して、穂乃果には私がいないとダメなんじゃなくて、私には穂乃果がいないとダメだということにも気がついたのです。
綺麗になってしまっている部屋を見渡して、ベッドに座る。
海未「穂乃果……」
海未「穂乃、果……」
穂乃果「――なあに?」
海未「うわっ!!」
海未「いたなら言って下さいよ!!!」
穂乃果「えー?」
穂乃果「ココアでいいよね?」
海未「はい。それにしても、珍しいですね、お茶じゃないとは」
穂乃果「ココアの方が簡単だし」
海未「なるほど」
穂乃果は私の横に腰を降ろし、すぅっと音も立てずにココアを一口。
穂乃果「いや、あんなに雨降るなんてねー」
海未「そうですね」
海未「ねえ、穂乃果」
穂乃果「なあに?」
海未「――部屋、綺麗ですね」
穂乃果「そうかな?」
海未「はい」
海未「なにかあったのですか?」
穂乃果「べつに?」
海未「……穂乃果と会わない期間、寂しかったんですよ」
きゅっとコップを持つ手に力が入る。私の知らない間、一体穂乃果はなにをしていたんだろう、なにを思って過ごしていたんだろう。少しでも私のことを思ったりしてくれたんでしょうか。
穂乃果「どうしたの?」
海未「あ、いや」
海未「……穂乃果にとって、私はどう、写るんだろうって」
穂乃果「……どういうこと?」
海未「穂乃果は凛と――っくしゅんっ!!」
穂乃果「大丈夫?」
海未「は、はい」ブルルッ
穂乃果「っ……///」プイッ
海未「?」
こちらを向いた穂乃果はなにかに気がついたように目を逸らします。
海未「どうしたんですか?」
穂乃果「え、いや……その」
穂乃果「――透けて、る」///
海未「……?」
海未「……」
海未「っ!?」バッ
何が透けているか、最初は全然わかりませんでした。でも、穂乃果がこんな反応をする、ということは。
雨によってぴったりと張り付いたシャツが、胸の部分の下着をくっきりと浮き上がらせていることに気がつきました。
普段は下着の上からキャミソール着ています。女子校だからと着ない人も多いのですがやはり透けるのはマナーにも反しますし、着るのが常識です。
でも、今日は今日だけはキャミソールを着ずに学校を出てきてしまいました。よりによってこんな……。
海未「す、すみません……こんなもの、見せてしまって」
穂乃果「いや、べつに……」
海未「……」//
穂乃果「……」
気まずい、とっても気まずいです。穂乃果と二人きりでとても嬉しいはずだというのに、こんなにも気まずいだなんて。たかが下着を見られただけなのに。なんで私はこんなにも意識してしまっているんでしょう。
穂乃果も、こんな気持ちなんでしょうか。私が穂乃果のことを男としてみているから、幼馴染ではなく男として。
なら穂乃果も、女として私を見ている……?
でも穂乃果はこんな経験たくさんして、たくさんの女の子で慣れているはずで……。私なんて……。
海未「穂乃果」
穂乃果「っ、なに?」
海未「……凛と、付き合っているんですか?」
穂乃果「え!? なにそれ!?」
海未「違うんですか?」
穂乃果「違うよ!!」
海未「よかった……」
穂乃果(よかった?)
言うんだ、今しかない、今なら言える。
海未「――私は、穂乃果のことが好きです」
穂乃果「え……」
海未「ずっと、ずっと、好きでした。あなたが他の人と付き合った時も会っていなかった時も」
なぜでしょう、すらすらと言葉が出て行きます。変に冷静な心とは対照的に、顔は熱くてなんだか変な気分。
海未「あなたの特別に、なりたいです」
穂乃果「……」
海未「……」
再び沈黙。こんな沈黙が何度も何度も訪れるだなんて。私はこの沈黙が怖かった。穂乃果に対して、ずっとずっと抱いていた想いを打ち明けてその返答が返ってこないという恐怖。
一秒、また一秒と過ぎる度に唾液が口の中を満たして何度飲み込んでも溢れて、油汗がつぅっと伝うのも感じる。
早く、断るなら早く……。
海未「あ、あの……嫌なら、いいですから」
怖い、怖い、嫌だ嫌だ、返事なんて聞きたくない。もしダメだったらフられたら……。穂乃果と今まで積み上げてきた時間が全て崩れ去ってしまうんじゃないかって思うと、涙が出そうになる。
穂乃果「……」
海未「な、なな……なら、それなら私を――抱いて下さい」ウルウル
穂乃果「は?」
海未「穂乃果……お願いします」ガシッ
穂乃果「ちょ、ちょっとま――」
私はもう自分が何を言っているのかすらわからなくなっていました。こんなこと、普通は言うはずもない。でも断られるかもしれない、そんな恐怖が私を襲ったせいで身体だけでもつながりたいってそう思ってしまったのかもしれません。
身体さえ繋がってしまえば、私は穂乃果にとって特別になれる、繋ぎとめられるかもしれないって。
海未「わかりますか? 私の胸、穂乃果のことを考えただけでこんなにドキドキしてるんですよ……?」
穂乃果「ななな、なにを……」モニュモニュ
穂乃果の手を持って、自分以外が触れたことのない胸へあてがう。穂乃果の手が私の胸に触れてそのぬくもりと自らが発する熱で溶けてしまいそうだ。
海未「……んぁ///」
穂乃果「っ……ダメ、だよ」トクン……
海未「穂乃果、はこういうこと、慣れているんでしょう……?」
海未「いいじゃないですか、一回くらい――その大多数の女の子達の中に、私が一人いたって……」
穂乃果「っ……」
海未「胸は小さいですけど、ちゃんと鍛えてますから引き締まってはいすし……ふ、ふ、不快には、させないと思います」
穂乃果「……」////
穂乃果「か、身体は大切に、しようよ……ダメだよ海未ちゃん……?」
海未「私の初めては……穂乃果がいいんです」
海未「ふぁっ……んぅ♡」
穂乃果「……」バクバク
穂乃果「……よく可愛い可愛いって言われるけど、穂乃果だって男、なんだよ……?」
穂乃果「こんなこと、されたら……」ムクムク
海未「私のことを女として見てくれるんですか?」
穂乃果「ご、ごめん……でもっ」///
ことり『海未ちゃんはどんな風に喘ぐんだろうねー?』
穂乃果「んっ……これ以上すると、穂乃果止まれなくなるよ? ねえ、今ならやめられるから……」
海未「……穂乃果が、昔私にキスをしようとしたの覚えていますよ」
海未「昔ことりと三人で行った花火大会でしたかね」
海未「あの時、なんで拒否してしまったんだろうっていまでも後悔していす。あの時拒否していなければ今頃穂乃果は私だけを見てくれていたんでしょうか」
海未「……あの時、穂乃果は私のことが好きだったのですか?」
穂乃果「……」
穂乃果「……」コクッ
海未「そうですか」
海未「――私ら今、穂乃果が好きです」ギュッ
穂乃果「……っ」バッ
私が最初に抱きついたというのに、あっという間に押し返されてそのままベッドに背中を叩きつけられました。
穂乃果「……本当にいいの?」
海未「……///」コクッ
ぷちぷちとワイシャツのボタンが外されて、すぐさま下着のフロントホックも同様に外され穂乃果の目の前に裸体をさらけ出すことになってしまいました。
穂乃果「はぁ……はぁ……///」
海未(興奮してる?)
海未(穂乃果は私で興奮してくれている、んですね///)
穂乃果「綺麗だね」モニュムニュ
海未「んぅぅぁ♡」
恥ずかしい、想像以上に。
海未「ほの、かぁ……////」ウルウル
穂乃果「大丈夫だよ」
海未「お、願いします……電気……」ブルブル
穂乃果「……電気消した方がいい?」
穂乃果「消すね」パチ
穂乃果の温もりが離れて、パチリという音と共に視界が一気に狭くなる。暗闇の中を彷徨う私を穂乃果は再び抱きしめてくれる。
穂乃果「怖い……?」
海未「そ、そんなこと」ブルブル
穂乃果「……」
なんで、身体がこんなに震えて。怖くなんか、怖くなんかない。目の前にいるのはあの大好きな穂乃果なんですから、こんな身体の震え……。
穂乃果「優しくするからね」
海未「ふ、んぁ……♡」
穂乃果「気持ちいいとこがあったら言ってね?」
胸を優しく触られて、そこを中心にビリビリとした感覚がじわりと広がっていく。
海未「ぁ……そこ」
穂乃果「ここ?」クリクリ
海未「ひゃぅ♡」
海未「ハーッ……ハー♡」///
私、こんな声出るんだ……。
海未「んっ、ぁ穂乃果♡ま、って。変な感じ……♡」
穂乃果「くすぐったい?」クリクリ
海未「わから……ないん、です♡」///
穂乃果「力抜いて? 穂乃果にまかせて?」ボソッ
穂乃果(でも、よく考えると……こんなにリードしながらするの初めてなんだよね……)
耳元で穂乃果はそっと囁いて、耳まで性感帯になってしまったような錯覚。
しかし、不思議と肩の力は抜けてモヤモヤとした変な感覚に身を委ねることができました。
海未「あ……♡んっ♡///」
海未「ふ、ぁ……♡」
穂乃果(そろそろいいかな……。慎重に、優しくしないと)スッ
海未「ひゃぁあ!! ほ、穂乃果そこは……」バッ
穂乃果「電気消してるから見えないよ。大丈夫」
海未「そ、そうですよね」
どうしよう、そんなこと分かっているのに……。恥ずかしさのあまり。
そもそもこれからそういうことをするというのに、隠していたら進みませんよね。面倒だと、思われたでしょうか……。
穂乃果はこういう経験がたくさんあってしかもこんな面倒なことなんてしたくないに決まっています。やだ嫌われたく、ない。
太ももの辺りを優しく撫でられて、それはどんどん内側に、どんどん上へと登ってくる。
穂乃果の荒い息が私の首筋にかかって、私も自然とそういう気分になってしまいます。それになにより……私の足に穂乃果のモノを感じる。硬い、穂乃果も興奮している?
穂乃果「んはぁ……」スリスリ
海未「んんぅ……//」
穂乃果「はぁはぁ……ごめん」
穂乃果(抑えなきゃ、抑えなきゃ……)
海未「い、いえ」
海未(意外と穂乃果も余裕がないんでしょうか)
穂乃果「触るね?」
海未「ひ、ぅ……ふぁ……♡」
さっきまで感じていた胸のビリビリとした感触より遥かに強いものが下腹部を中心に広がっていく。
前に一度好奇心から一人で触ってみたことがある。その時はくすぐったいだけで、それ以来そういうことはしていないのですが……穂乃果の手はまるで魔法のようです。
穂乃果「声聞かせて?」
海未「はぁ♡ぅぁ……ゃ、やぁ♡」///
海未「っ……////」
海未「ご、ごめんなさ……っ」
穂乃果(……ちょっと面倒だな……)
海未「そ、そこはや、です……」
穂乃果(でも……可愛い……もっと良く見たい、電気つけたい)
海未「ゃだ……ひっぐ……」
穂乃果(大丈夫、かな……)
海未「ふぅ……♡んぁ……穂乃果ぁ……♡」///
恥ずかしくて、でも穂乃果の声を聞くたび手を動かされるたびに身体の奥がどんどんと熱を帯びてくる。
海未「ひ、ぁ……♡」
穂乃果「あったかい、海未ちゃんの膣内」クプッ
海未「や、指……だめ♡」//
穂乃果「ん、抑えたら気持ちよく出来ないよ?」
海未「でもぉ……」
穂乃果「大丈夫、可愛いよ」グチュグチュ
海未「はんっ♡あ、あぁ……ひぅ♡」
海未「や、やぁ♡へ……変なんです、身体が……♡」
穂乃果「気持ちいい?」
海未「わか、んない……///」
穂乃果(やっぱりことりちゃんよりは濡れにくいね……でもこれくらいなら)
穂乃果「――そろそろいい?」
海未「っ……は、はい」
そろそろ、ということは……本番てこと、でしょうか。
穂乃果がズボンを脱ぐ音がして、私の太ももを掴んで開く。反射的に閉じようとしたのを力で抑え込まれてしまいました。
穂乃果「えっと……」
穂乃果「はぁぁぁ……♡」ピチャ
暖かい突起が私の秘部に当たる。それがくにくにと動かされて、私は変な声を抑えられなくなってしまう。
海未(今、当たってるのが……穂乃果の……硬い)
穂乃果「ご、ごめん……暗くてよくわかんなくて」スリスリ
海未「ひぅ……♡」
穂乃果(どこだろ……えっと、これ、かな)ググッ
海未「うぐぅ……」
穂乃果「せ、ま……」
海未「い、いたっ……」
ようやく穂乃果は探し当てたようで、ぐぐっと腰が押されると途端に圧迫感と痛みが襲ってくる。身体は緊張と痛みでカチカチに固まってしまっています。
穂乃果(はいんないよ……せまく、て……)グイッ
海未「っ~~」プルプル
穂乃果(海未ちゃんが力入れてるから、だよね)
穂乃果「力抜いて?」
海未「む、り……」
穂乃果「んっ♡はぁ……♡はぁ」
穂乃果(ここまで来てるのに……早く早く……挿入れたい、気持ちよくなりたいっ)ググッ
さきっぽしか入ってないであろう穂乃果はそのまま動きを止めたかと思いましたが、さっきとは変わって一気に押し付けてきました。
海未「っ!?」
海未「――いや!! いたっ、いたぃ!! いやぁ!!!!」バンッ
穂乃果「うぁ!!!」ドスッ
穂乃果「いたっ……うみ、ちゃん……?」
海未「ひっぐ……ぅぅ」
気がつけばそばに穂乃果はいなくて、私がとっさに突き飛ばしてしまったんだと思うのに時間はかからなかった。
海未「わ、わた……し」
穂乃果「――ごめん」
凛『いやぁ!! やだ! やめて、やめて穂乃果ちゃん!!!』
穂乃果「っ……」
穂乃果(穂乃果……また、やっちゃった……)ギリリ
バチッ
海未「っ」
いきなり視界が光で満たされる。びっくりして目を閉じた瞬間に、何かが私の肩にかけられていました。
海未「……」
見ると私のワイシャツがかけられていて、穂乃果は私に背を向けてベッドの端に座っています。
海未「穂乃果……」
穂乃果「ごめん、海未ちゃん……」
穂乃果(なんてこと、してるんだろう。やっちゃった……手を出さなきゃいいだけだったのに……)
海未「ぐす……ぅぅ」
私は、拒絶してしまった。2度も穂乃果を。
自分から誘っておいて拒絶するだなんて、嫌われますよね……。
少しだけ穂乃果の顔を覗こうとして、目に入ってきたのは穂乃果の性器。
海未「っ……」
大きく上に屹立した穂乃果のものは簡単に収まるとは思えませんでした。私のせいであんな風にしてしまったのに、私は……。
海未「ごめん、なさい」
海未「私……」
穂乃果「ううん、穂乃果が悪いんだよ。無理やりしようとしたから」
本来ならばあれが私の膣内に入って気持ちよくなれるはずだったのに、あんなに長くて丁寧にしてもらったのに……無駄にしてしまった。
穂乃果「ごめん、本当に」
海未「……私が、悪いんです」
海未「穂乃果……」
穂乃果「ごめん、今日は帰って……? 送っていくから」
海未「……はい」
背を向けて、こちらを振り向かない穂乃果はそう言い放ちました。
海未「穂乃果、ひっぐ、うぁ……ごめん、なさい」
私は穂乃果の背中に泣きながらごめんなさいと繰り返すことしか出来なかったのです。
◇――――◆
海未「おじゃまします」
ことり「いらっしゃーい」
海未「……」
ことり「……どうしたの」
海未ちゃんを部屋に招き入れて、正面から綺麗な顔を眺めるとすぐさま異変に気づくことが出来た。
目元は腫れて表情も暗い。この腫れ具合は泣いたってことかな海未ちゃんが泣くことなんて、どんなことなんだろう。
――今日は疲れたから早くねよーかなーって思った時のことだった。久しぶりに海未ちゃんからメールが来てその内容は今から行っていいかという一文だけ。
もともと簡素なメールをする方だけど、それでもやっぱり変だと思っちゃう。
それでこの有様。
海未「ことり……」ギュッ
ことり「なにかあったんだね」
海未「ぐす……ぅぅ」
海未「わたし、わたし……」
海未ちゃんを抱きとめて、背中を優しく摩る。胸の中で嗚咽を漏らす海未ちゃんは、まるで海未ちゃんじゃないみたいに小さくて弱い。長い間一緒にいたけれど、こんな海未ちゃんは初めてだ。
しばらくそうしていると、少しだけ落ち着いた海未ちゃんはごめんなさいと一言だけ呟いて、私の胸の中から離れていった。
海未「……」
海未「――私、穂乃果に告白したんです」
ことり「え――」
ことり「どう、だったの」ブルブル
あれ、なんで私震えてるの。なんか急に怖くなってしまった。なんでこんな気持ちになっているのか自分でも理解出来ない。海未ちゃんの次の言葉を早く聞きたくて、でも何故か聞きたくなくて訳がわからなくなってくる。
でも泣いているってことは……。
海未「穂乃果と……その……性行為を、しました」
ことり「えっちしたの?」
心臓が、止まりそうだ。
海未「――でも、途中で怖くなって……突き飛ばしてしまったんです」
ことり「……」
ことり「告白の返事は?」
海未「……いざ告白してみると返事すら聞くのが怖くて、聞く前に身体だけでもつながりたいと、お願いして……」
よくわからないけど、取り敢えず返事はまだらしい。でも海未ちゃんが性行為だなんて……よっぽど追い詰められていたのがわかる。
気がつけば心臓の脈はいつものように動いて特に異変はない。一体さっきのはなんだったんだろう、返事がなくて安心したような。
ことり「告白って、怖いよね」
ことり「嫌われるって思ったの?」
海未「はい……怖くなって、身体さえ繋がってしまえば……穂乃果の特別になれるかもしれないって」
ことり「身体、か」
ことり「海未ちゃんがそんなことするんだもん、相当好きなんだよね」
海未「軽蔑、しますか」
ことり「ううん。好きならどんなことしてでも手に入れたいもんね?」
海未「……」
海未「どうしよう、穂乃果に、穂乃果に嫌われてしまいましたっ……」ギュッ
ことり「大丈夫だよ。穂乃果ちゃんはそんなことで嫌ったりしない」
海未「でも……」
ことり「大丈夫ったら大丈夫!」
穂乃果ちゃんはとっても優しい。しかも相手は海未ちゃん、穂乃果ちゃんだって海未ちゃんのことは十分特別な存在だろうし今頃自分のしたことに後悔しているかもしれない。
ことり「海未ちゃん、明日穂乃果ちゃんとお話しよ?」
海未「でも……」
ことり「あと返事もきかないと! 応援するから!!」
応援する。自然とそんな言葉が漏れていた。ことりは……どうなんだろう。なんだか、自分の心がわからない。
海未「……はい」
◇――――◆
海未「……」
放課後、みんなが練習を始めている時間私は一人部室に居ました。
もう少しだけ時間がたてば穂乃果がやってくるはず、ことりがここに穂乃果を呼び出したと言っていましたから。ことりの手を借りなければ穂乃果一人呼び出せないだなんて、自分の無力さにイライラします。
海未「ふぅ」
一息吐いて、何を話そうか整理をつける。
海未「とりあえず謝っ――」
ガチャ
穂乃果「ことりちゃーん?」
海未「あ……」
穂乃果「海未、ちゃん」
嬉しそうにことりの名前を呼びながら入ってきた穂乃果、しかしそれは私の顔を見たことで曇ってしまう。
穂乃果「……一人?」
海未「え、ええ」
穂乃果「そっか、ことりちゃんは?」
海未「上に……」
穂乃果「ありがと」
穂乃果はそう言って、身を返します。ダメ、このままでは謝る機会もなくなってしまう。
私はすぐに立ち上がって、穂乃果の腕を掴んで部室の中に。
海未「待って下さい!!」
穂乃果「……どうしたの」
穂乃果「この前のことなら……」
海未「んっ」
チュッ
穂乃果「!?」
海未「とりあえず、昨日はごめんなさい。前もいいましたが、私は穂乃果が好きです」
海未「いきなりキスをしてしまって、またごめんなさい。今日は謝るのと、返事を聞きに来ました」
穂乃果「……」
海未「穂乃果」
海未「――私と付き合って下さい」
穂乃果「……っ」
穂乃果「……気持ちは嬉しい」
凛『凛は穂乃果ちゃんのことが好きです!! 今でも好きです!!』
なんだか清々しい気分です。穂乃果の口から発せられたその言葉を聞いて私は何かから解放されたかのような錯覚に陥りました。穂乃果に好きと伝えられた、それだけで十分だったのかもしれません。
穂乃果「――穂乃果に、時間を下さい……」
海未「え?」
穂乃果「まだ決められない、本当にごめん」
海未「……いいえ」
海未「穂乃果が決めてくれるまで、ずっと、私は待っていますから」
穂乃果「……ありがとう」
希「これは聞いちゃいけない会話……やったかな……」
【園田 海未 に告白されました】
◇――――◆
ことり「どうだった」
海未「返事はまた今度、だそうです」
ことり「そっか……なんだかすっきりしたみたいだね」
海未「ええ、もしフられても仕方ないですね。だって――穂乃果は魅力的ですから」
ことり「ふふ、海未ちゃんも同じくらい魅力的だよ!」
海未「もう……口が上手いですね」
ことり「もしフられちゃったら、ことりが海未ちゃんのこともらっちゃおーお嫁さんになってー!」ギュッー
海未「痛いですよことり!」
真姫「穂乃果先輩」
穂乃果「なあに真姫ちゃん」
真姫「あの、曲、聞いて欲しいんですけど」
穂乃果「曲?」
ことり「おや……」
海未「真姫も穂乃果のことが好きなのでしょうか」
ことり「そうみたい、だね」
なんだろうすごく、すごくモヤモヤする。今までこんなこと感じたことないのに、ただ真姫ちゃんと穂乃果ちゃんが話してるだけなのに……。
真姫「はい、だから一緒に音楽室に……」ブルル
穂乃果「いいよ! 穂乃果真姫ちゃんの歌好きだし!」
真姫(トイレは……すぐ行かなきゃって程じゃないわね)
真姫「あ、当たり前でしょ///」
真姫「私の歌が嫌いな人なんていないんだから」
◇――――◆
穂乃果「どーんな曲かなー」ワクワク
真姫「そんなに期待されても……」
穂乃果「だってだってこの前の曲すっごく良かったもん!!」
真姫「まああれはアイドルっぽい曲に出来たと思うけれど……」
穂乃果「さむでーいつのーひかー♪」
真姫「はいはい」
こうして見ると、本当に女みたい。最初は女みたいで私より背が低い男なんて気持ち悪いと思ったけど……案外慣れるものね。まあ慣れるってレベルじゃなくなってしまったのが穂乃果先輩に負けた様な気がして少しだけ悔しいんだけど。
穂乃果「真姫ちゃんを誘ってよかったなあ」
真姫「当たり前でしょ」
穂乃果「かわいいし綺麗だしスタイルもいいし歌も上手いし作れるし!」
真姫「あ、当たり前よ……///」
真姫「……」
真姫「……ねえ穂乃果先輩、私ってあなたの目から見て、可愛いって思えるの?」
穂乃果「うん」
真姫「う、うるさいのよっ!////」
穂乃果「ええ!?」
うぅ、どうしよう自分で聞いたのに恥ずかしすぎておかしくなりそう。前から自分の容姿にはそこそこの自身はあったから可愛いとか綺麗とか言われてもさほど同様はしなかったのに、穂乃果先輩には対したことじゃないことで目すら合わせられなくなってしまっていた。
どう思われているか怖くて、対した行動も出来ない。穂乃果先輩のことになると途端に臆病になる私がいた。
もっと穂乃果先輩と話していたい、もっと二人でいたい、もっともっと――。
穂乃果「でさ新しい曲!!」
真姫「――え? ああそうね」
穂乃果「早く早く」
穂乃果先輩は私の気なんて知らず、ただ曲だけを楽しみにしているみたいだ。私は曲のことよりも穂乃果先輩と二人でいられること自体が嬉しいんだけどな……。
それでも急かされるままにピアノに指を沈み込ませて前奏を奏でる。
真姫「確かな今よりもー」
――――
真姫「ふぅ……」
真姫「どうですか」
穂乃果「……」
穂乃果「最高だよ!!!」ダキッ
真姫「ひゃぁ……!!」////
穂乃果「すごい、やっぱり真姫ちゃんはすごいよ!!」
いきなり飛びついてきた穂乃果先輩はそのまま私のことを包み込むように抱きしめた。普通こんなことしないけれど穂乃果先輩は別、こういうことも平気でしてくる。でも……全然嫌じゃない、好きな相手に抱きしめられるってことがこんなに満たされるものだなんて知らなかったから。
でもこの温もりは……偽りのものでしかない。
真姫「は、離れなさいよっ」
穂乃果「あ、つい……」
真姫「もうっ……」
穂乃果「これなら今すぐにでもみんなに聞かせられるよ」
穂乃果「本当に真姫ちゃんが入ってくれてよかった。ありがとね」ニコッ
真姫「ぅ……///」
反則だ。こんなの。
言葉も出てこない、私は、私はどうしちゃったんだろう。
穂乃果「みんなのとこ戻ろうか」
真姫「え……あ、あの……」
穂乃果「?」
真姫「もう少し、お話しませんか」
穂乃果「お話?」
真姫「あ、いや」
穂乃果「いいよ! 穂乃果も真姫ちゃんのこと知りたいし!」
真姫「わ、私もせんぱいのこと……知りたい、です」
真姫「……」ブルルル
そういえば、トイレ行きたいんだったわ。歌ってたのと緊張で忘れてて、今になって急に尿意が……もう、せっかくちょっといい雰囲気だったのに。
真姫「ごめんなさい、ちょっとトイレ行ってきます」
穂乃果「はーい」
立ち上がって出口へ。
ガチャガチャ
真姫「――あれ、開かない」
穂乃果「え?」
真姫「おかしいわね」
ガチャガチャ
普段ならすんなり空くはずの扉、しかし今回はなぜか開きそうにない。私が粘っていると先輩が来て、先輩も同じように少し重い扉を開けようと試してみる。
ガチャガチャ
穂乃果「開かない、ね」
真姫「携帯もおいてきたし……どうしよう」
穂乃果「原因がわからないんだもんね」
穂乃果「とりあえず待ってれば誰か来てくれるんじゃない?」
真姫「まあそうね」
ひとまずは待機。これしかないようだ。
ブルル
あ、あれ……トイレ行けないってわかったら急に尿意が……。
真姫「……」ソワソワ
穂乃果「まあみんなが来てくれるまでなんか話してよーか」
真姫「そ、そうね」
――三十分後――
穂乃果「それでねー――」
真姫「へ、へぇ……」
真姫「んッぅ……///」モジモジ
ヤバイ……、なんか……穂乃果先輩と二人きりなのに会話が入ってこない。そういえば今日朝からトイレに行ってないんだったわ、なんでここに来る前に行っておかなかったんだろう。
しかし、後悔してももう遅い。
遅いくる尿意に今は耐えることしか出来ない、大丈夫ばれてないはず。
真姫「ん、はぁ……ハアッ……ぅ」////
穂乃果(な、なんだか真姫ちゃん……なんていうかえっち……)
穂乃果(どうしたんだろう……)
最早何もしないでいるとすぐにでも決壊してしまいそうだ。そんなことあってはならない、好きな人の前でそんな、こと……。
気がつかれないようになるべく自然に股の間を指で抑える。
穂乃果(ま、真姫ちゃんがそんなところ人前で抑えるなんて……)
穂乃果(そういえばさっきトイレ行きたいって……)
穂乃果「……どうしたの?」
真姫「ふぇ? な、なんでもないっ」バッ
穂乃果(あ、抑えるのやめた)
真姫「ふぅ……はぁ……///」モジモジ
穂乃果「……トイレ我慢してるの?」
真姫「な、なんでっ」
穂乃果「だってさっき行きたいって行ってたし……。大丈夫?」
真姫「大丈夫ってなにが」
穂乃果「漏らす……とか」
真姫「わ、私が漏らすわけないでしょっ!!」
穂乃果「そ、そうだよね。ごめん!」
そう強気に言ったはいいものの、果たしていつまで我慢出来るのか……。
――十五分後――
真姫「んっ……はぁ……ふぅ」ギュゥ
穂乃果(真姫ちゃん思い切り抑えてる……人前であんなことしなきゃならないくらい我慢してる、んだよね)ムラムラ
穂乃果(な、なんでおしっこ我慢してる姿見てこんな気持ちに!!)
トイレ、トイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレ。
真姫「はぅ……や、ばぁ……//」
穂乃果「大丈夫?」
真姫「ふぅ、ふぅ」ユラユラ
穂乃果先輩の目なんてもう気にしていられなかった。股の間を中指と人差し指で思い切り押し込んでなんとかせき止める。恥ずかしさで死にそうだ、好きな人の前でこんな格好しなければいけないだなんて。……じっとしているとおしっこがしたくなるだけだから、自然と身体も揺れてしまう。
穂乃果(あ、あんなに身体揺らして……)
穂乃果(ダメ、ダメだよこんなの……)チラッ
真姫「ふっ、ぁ……////」
少しだけ生暖かい感触。ほんの少しだけ手に伝わる液体。もしこの状態を下着の上から確認したら割れ目に沿ってシミが出来ているんだろう。少しだけ出てしまったけれど、なんとか後続は抑えこむ。それでも尿道の出口寸前まで迫ったそれらが間をあけることなく私を攻めてくる。
真姫「ぅぅ……」///ウルウル
穂乃果(真姫ちゃん……かわいい)ムラムラ
涙が出そうになる。もうダメだ、ここから出られたとしてもトイレまでいける自信がない。やだ先輩の前でこんな姿見せたら、嫌われ、る、笑われる。やだ、やだやだ。
真姫「――ひっぐ……おしっこ……した、ぃ……」ボソッ
穂乃果「――!?」
穂乃果(ま、真姫ちゃんがおしっこって……そんな直接的な言葉使うだなんて)ムクムク
穂乃果(ど、どうしよう……真姫ちゃんが苦しんでるのに……)オロオロ
真姫「おし、っこ……///」ポロポロ
もう、我慢なんて出来そうになかった。それを私の心は察したのか自然と涙も出てくる。
穂乃果「本当に大丈夫――」ポンッ
先輩に肩を掴まれる。瞬間、なんだか一気に身体の力が抜けていくようなそんな感じがしたんだ。
真姫「ぁ――」チョロ
真姫「い、や」チョロチョロ
シュゥゥウウ
座り込んだところに生暖かい液体が広がっていく。それはどんどん大きくなって私の足まで犯してゆく。どうしようもない羞恥心と、どうしようもない快感で頭がおかしくなりそう。手で顔を覆ってみるけれど、耳から入ってくる放尿音でその行為は意味をなさない。
真姫「あっ、あっ、やぁ……ごめッなさ……ぃ」ビクビクゥ
穂乃果「わ……」
穂乃果(も、漏らしちゃった)
真姫「うぅぅ、みない、でぇ……みないでよぉ……////」シュァアアアアア
穂乃果(ダメ、みちゃダメなのに……)ジー
真姫「ひっぐ……とまんな……い///」
シュゥウウウウ
それは止まることなく、溢れ続けた。体感では永遠に感じられた時間。いままでで一番長い時間出していたかもしれない。スカートまでビショビショになっているのがわかる。
穂乃果(すごい、匂い……それに一分くらいおしっこ、してたよね?)ビンビン
真姫「ひっぐ……うぅ、ごめんなさい……ごめんなさい……」
もう終わりだ、何もかも。
◇◇
――ガチャ
穂乃果「ことりちゃん!!」
ことり「遅いよ二人とも――って……」
真姫「ぐすっ……」
ことり(真姫ちゃん……?)
ことり(泣いてる? しかも座り込んでるところにおっきな黄色い水溜り……)
ことり(――おもらししちゃった? でも、なんで……)
ことり「穂乃果ちゃん……もしかして、ここからでられなかったとか?」
真姫「ぅう」
穂乃果「うん、どうしてことりちゃん知ってるの」
ことり「前に言ったことあるよね、建て付けが悪いから閉じ込められたことがあるって」
穂乃果「あ……言ってた」
ことり「開け方工夫すればすぐに空くんだよ」
穂乃果「なるほど……」
真姫「ひっぐ……ぅぁ」
ことり「……大丈夫だよ真姫ちゃん、保健室いこ?」
ことり「片付けお願いできる?」ボソッ
穂乃果「おっけ」
ことり「あと……穂乃果ちゃんのへんたい」
穂乃果「え!? なにが!?」
ことり「……いこ?」
真姫「ぅ」コクリ
バタン
穂乃果「はぁ……絶対気づかれてたよね、ことりちゃんに」
穂乃果「あんな姿の真姫ちゃん見て興奮するなんて……」
穂乃果「真姫ちゃんの、おしっこ……」クンクン
穂乃果「だ、ダメダメ!!」ギンギン
真姫『おしっ、こ……』
穂乃果「」ドキドキ
穂乃果「穂乃果最低だ……片付けよう」
――
穂乃果「ふぅ、おわりっと」
穂乃果「おしっこの片付けなんて初めてだよ。それにしてもすごい量だったなぁ……あ、あんなに我慢してたんだ……」ムクムク
穂乃果「ど、どうしよう……こんなことで……」
ことり『穂乃果ちゃんのへんたい』
穂乃果「穂乃果……へ、変態なのかな……」
穂乃果「とりあえず、練習戻らないとね」
ガチャ
穂乃果「うーん、ここから屋上は……」
希「――やっほー」
穂乃果「希さん!」
希「音楽室から出てくるとは珍しいねー?」
穂乃果「あー確かにそうかも。校舎の中は女子生徒ばかりなので、穂乃果があんまり目に触れると良くないですから」
希「なるほどなるほどー」
希「……調子はどう?」
穂乃果「最高ですっ」
希「そっかそっかー」
希(どうしよ……高坂君と海未ちゃんの聞いてから、なんか気になって仕方ない……)
希「……高坂君は彼女とかいるん?」
穂乃果「んー、いないですよ」
希「好きな人は?」
穂乃果「好きな人は……わかんないです」
穂乃果「どうして急に」
希「いや、海未ちゃんと高坂君なんかカップルみたいだなーって」
穂乃果「それことりちゃんの時も言ってましたよ?」
希「あれ、そうやったっけ」
穂乃果「……まあ、二人のことは好きですよ。ずっと大切にしたいです」
希「どちらか選べって言われたら?」
穂乃果「どちらか……?」
穂乃果「そんなの……選べません」
穂乃果「どっちも大切ですから!!」
希「……」
希「全く、罪深い男の子やね」
穂乃果「?」
絵里「――希ー」
希「あ、ごめんごめん」
絵里「……穂乃果」
穂乃果「え、り……ちゃん」
希(……なんか様子が変やね)
穂乃果「……」
絵里「早く行きましょう希」
希「あ、うん」
穂乃果「ぁ……」
穂乃果「……絵里ちゃん」
◇――――◆
真姫「ごめん……」
ことり「なにが?」
真姫「いや……」
ことり「……誰も気にしてないよ?」
真姫「笑われる」
ことり「笑われないよ、ことりは誰にも言わないし穂乃果ちゃんだって絶対誰にも言わない」
真姫「嫌われた」
ことり「嫌いません」
真姫「で、も」
ことり「仕方ないよ、漏らしたくて漏らしたんじゃないでしょ?」
ことり「というか穂乃果ちゃんは喜んでたみたいだけど……」
真姫「どういうこと?」
ことり「……全く変態なんだから」
ことり「穂乃果ちゃんに嫌われるのは嫌?」
真姫「あ、当たり前じゃない」
ことり「――どうして?」
真姫「え」
ことり「どうして嫌われたくないの?」
真姫「そ、それは」
ことり「好きなの? 穂乃果ちゃんのこと」
真姫「……」
ことり「好きじゃないなら嫌われてもよくない? そもそも真姫ちゃんそういうこと気にしないんでしょ?」
ことり「ねえどうなの、穂乃果ちゃんのことどう思ってるの!?」
真姫「――ど、どうしたのよ……変よいきなり」
ことり「ぁ……ごめん」
なんか、変。どうして攻めるような口調になってしまったんだろう。気がつけば真姫ちゃんの大きな瞳が眼前に迫っていて、それはことりが詰め寄ったから今の状況が作られているらしい。
真姫「……でも、私はあの人のことが好きよ」
ことり「……知ってる」
真姫「だから、尚更嫌なのよ。好きな人の前であんなとこ見せて」
ことり「大丈夫だよ、穂乃果ちゃんは優しいから」
そう、誰にでも、誰にでも優しい。それは残酷なほど平等でことりだって例外じゃない。
表面上は違う態度を取るかもしれない、例えば海未ちゃん。先日聞いた穂乃果ちゃんとえっちする寸前までいったというお話は、穂乃果ちゃんがあと少しのところで欲望に負けてしまったんだろう。きっとそれまではとても優しく、腫れ物を扱うように海未ちゃんに接したんじゃないかな。
ことりの場合。穂乃果ちゃんと初めてした時……正直そこまで優しくされた記憶はない。当時余裕が全然無かったっていうのもあるんだろうけど、きっと一番の理由はことりが優しくなんてして欲しく無かったから。
優しくしたり、優しくしなかったりまあ正反対のことだけれど本人たちにとっては一番幸せなことなの。穂乃果ちゃんは本人たちにとって一番いいことを無意識に選んじゃう優しくて、勘違いさせちゃう人。
真姫「――あなたはどうなんですか」
ことり「え?」
真姫「海未先輩と凛が穂乃果先輩のことを好きなのはわかります。でも、あなただけはわからない」
ことり「――ことり……?」
ことり「……ことりは」
鉄で叩かれたような衝撃。ことりは穂乃果ちゃんのことをどう思ってるか?
……ことりはその答えを持ち合わせはていなかった。
穂乃果ちゃんに対して恋愛的な好きがあるのかはわからないし、今まではモテても嫉妬なんてしたこともなかった。恋人が出来てもあーそうなんだくらいにしか思わなかった。
ことり「わ、わからないよ……ことり、わかんな……い」ガタガタ
真姫「?」
ことり「知らない、わかんないわかんないわかんないわかんない!!!」
真姫「ちょっとどうしたのよ?」
ことり「ごめん、ごめんね……なんか、わかんなくなって……」
真姫「……」
ことり「とりあえず、応援してるから」
そう、応援。応援だ、ことりは穂乃果ちゃんのことが好きな人を応援していればいいんだ、それがことりだ。
真姫「まあ……ありがと」
◇――――◆
希「高坂君とは幼馴染なんやっけ」
絵里「……ええ」
絵里「――あと、昔付き合ってたの」
希「え……?」
絵里「驚いた?」
希「そ、そりゃぁ、ね」
絵里「同じ中学だったし
希「ウソでしょ……」
絵里「初めての彼氏だったのよ」
希「へぇ……」
希(なんかあるとは思ってたけど……なるほど。まったく、えりちまで虜にしてたとは……末恐ろしい男の子やね)
希「それで、なんでそんなに気まずい感じになっちゃったのか聞いてもいい?」
絵里「あー……詳しくは言えないんだけどね。喧嘩別れっていうか、自然消滅っていうか……かなり馬鹿馬鹿しい理由なのよ」
希「へー、高坂君と喧嘩ねぇ」
絵里「いやまあそんな感じってことなの」
希「じゃあ話しかければええんやない?」
絵里「いや……」
絵里「もう諦めた私の前にいきなり現れてびっくりしちゃうわ」
希「……後悔してる?」
絵里「どうかしら」
絵里「ま、いい思い出なんじゃないかしら」
希「なら話せばいいやん。後悔してなくて、もうなにも後腐れないなら」
絵里「……別に希には関係ないでしょ」ボソッ
希「っ……そうやね。ごめん」
絵里「ううん」
絵里「さ、まだやることあるんだから」
希「はーい」
おもらしだけは、書きたかったの…。また後日。
◇――――◆
海未「ことり、どこへ行ってたのですか」
ことり「あ、真姫ちゃんが体調悪いから保健室で……」
海未「ああそうでしたか。で、どうでした?」
ことり「とりあえず今日は帰らせたよ」
海未「わかりました」
穂乃果「また遅れてるよっ!!」
花陽「は、はいっ」
ことり「……なにしてるの?」
海未「ああ、花陽のダンスが全体的についてこれていないので……」
ことり「一人で踊らせると緊張しちゃうから三人で踊ってるんだね」
海未「はい」
花陽「きゃっ!!」
穂乃果「大丈夫!?」
花陽「は、はい……大丈夫です」
にこ「ふぅ……無理しちゃダメよ……」
凛「自信もってかよちん!!」
花陽「……」
穂乃果「大丈夫?」
花陽「はい……」
穂乃果「にこ先輩と凛ちゃんは大丈夫そうだね」
にこ「当たり前でしょ」
凛「うんうんっ」
花陽「……」
穂乃果「あ、ことりちゃん」
にこ「真姫ちゃんは?」
ことり「体調が悪いから帰ったよー」
にこ「ふぅん……あれ今日体調崩したら大丈夫なのかしら」
ことり「なにが?」
にこ「いや、穂乃果と三人で秋葉原行こうって言ってたの、明日にすることにしたのよ」
ことり「なるほど」
にこ「メールしてみるわ」
にこ「真姫ちゃん来ないとこいつと二人きりだし」
穂乃果「むぅ、悪かったですねー」
花陽「……」
花陽「あ、あの」
にこ「なに?」
花陽「それ、私も行っても……いいですか?」
にこ「……ああそういえば花陽もこういうの好きなんだっけ」
にこ「いいわよ、穂乃果に襲われないようにね」
穂乃果「だーかーらー!!」
花陽「あはは……」
にこ「あ、真姫ちゃん来ないって」
穂乃果「……そっ、か」
にこ「?」
にこ「そんなに真姫ちゃん来て欲しかった?」
穂乃果「そういうわけじゃないんだけど……いや、そういうことでもないんだけど……」
にこ「なにいってるかわけわかんないわよ……」
穂乃果「……」
ことり「大丈夫だよ。だから真姫ちゃんには普段通り接してあげて? それが一番あの子の為だから」コショコショ
穂乃果「うん」
にこ「じゃあ明日駅集合で、花陽もわかった?」
花陽「はいっ」
穂乃果「……ねえことりちゃん」
ことり「ん?」
穂乃果「今日ことりちゃんち行っていい?」
ことり「うん、いいよっ」
にこ「……」
にこ「ねえ穂乃果少しいい?」
穂乃果「はい」
スタスタ
にこ「あんたさ、よくことりの家に行くわよね?」
穂乃果「そう、かも」
にこ「なにしてるの?」
穂乃果「え、と」
穂乃果(大体えっちなんだけど……)
ドン‼︎
穂乃果「!?」
にこ「――あんた、µ’sの和を乱したりしたら許さないわよ?」グイッ
穂乃果「あ、ぐっ……は、離して下さい」
にこ「……私が何を言いたいかわかる?」
穂乃果「は、い」
にこ「手出すとしても、一人にしろってことよ」スッ
穂乃果「はぁはぁ……」
穂乃果「手出す、だなんて……」
穂乃果(す、すごい、怖い……)
にこ「あんたは男なの、これだけは自覚して欲しいな」
穂乃果「男……」
穂乃果「……」
にこ「穂乃果のおかげで随分よくなって来てると思うし、私も色々助けられてる。そこは本当に感謝してるのよ?」
にこ「お願いだから……道は外れないでね?」
穂乃果「は、い」
にこ「こんなことしてごめん……。私、やっと手に入れられた場所だから……」
穂乃果「いえ……」
にこ「ね、明日はたくさん勉強させてあげる!」
穂乃果「は、はい!」
◇――――◆
ことり「はぁ……♡んぅ……♡あっ……あっ♡」
ことり「やだ♡こんな体制やだぁ……♡ふぁあっ……////」
穂乃果「はぁっ、はぁっ、もっと、もっと……」パンパンッ
穂乃果「ことりちゃんの身体が柔らかいのが悪いんだよっ」
ことり「いみ、わかんな……♡ふっん、ぁ♡」グチャグチャ
穂乃果「ことりちゃ♡きもち♡んっ、なか、熱くて……♡」ギシギシ
ことり「ことりも、きもちい……///」ギュウ
穂乃果「ことりちゃんすっごくえっだよ///」グチュッグチユ
ことり「言わないでよぉ!!////」
ことり「ひぅ♡そ、こぉ♡」ビクン
ことり「奥、奥きもちいいよぉ♡」///
穂乃果「こん、なかっこ♡……ことりちゃんしかできないよっ。ふふつ」
ことり「ひぅ……♡」
ことり「あ、あっ! イキそう♡穂乃果ちゃん、ことりの膣内気持ちいぃのぉ……♡」
ことり「イキたいっ♡イキたいよぉ♡ねえ一緒にイこ? 穂乃果ちゃん一緒がいいよぉ♡」////
穂乃果(ダメ、いっちゃう……ことりちゃん、こんなに乱れて……)
穂乃果「穂乃果、もうイっちゃ……ぅ」////パンパンパン
ことり「ま、まって♡もう少しだからもう少しでイケるからぁ!!♡」
穂乃果「もうとまん、な……ぃ//// 」パンパンパン
穂乃果「あ、でる♡でるでるでるっ……♡」
穂乃果「んっ、ぅぅ♡はぁぁんっ……」ビュルルルル
ことり「ぁぁ……」
穂乃果「あ、あ、まだとまんな……♡」ビクビクビュールッル
ことり「あ……んぅ……」
穂乃果「はぁ……はぁっ」ヌプ
ことり「あん」
穂乃果「ごめ、ん」
ことり「もう一回しよ? 次でイケそうなのぉ♡」フワフワ
穂乃果「ごめん……もう」
ことり「ええ!?」
ことり「はぁはぁ……なら、ねえ、今からことり独りでするからみて?」
穂乃果「え」
ことり「んっ、も、いきそ……ぅ」//// クチュクチユ
ことり「みて、ことりがイくとこみてぇ♡」クチュクチユクチュクチユ
ことり「ふぁぅ♡ッ~~///っぁあああっ!!!」ビクビクビクッ
ことり「はぁはぁ……♡ッハァ♡」
ことり「ごめ、ん……我慢出来なくて」
ことり(四回もしたのに……またイケなかった。完全にことりが悪いよね……)
ことり(一人で弄るとすぐイケる、のに……穂乃果ちゃんと一緒がいいのに)
穂乃果「ううん、穂乃果がイカせてあげられなかったから」
ことり「いいんだよ、それより気持ちよかった? いっぱい出たね」
ことり「よしよし」ナデナデ
ことり「4回もしてつかれちゃった……」
穂乃果「穂乃果も……」
ことり「それにしても、久しぶりのえっちだったね」
穂乃果(にこ先輩にああ言われたけど、ことりちゃんとは昔からしてるし……)
穂乃果「そう言っても一週間と少しくらいじゃない?」
ことり「それが、ことりには重要なの」
穂乃果「……女の子って男よりも性欲たまらないんでしょ?」
ことり「そうらしい、けど……ことりは穂乃果ちゃんと毎日したいくらいだよ?」
穂乃果「な、なるほど」
ことり「なんかちょっと引いてる!?」
穂乃果「いや、そんなことないんだけどね」
ことり「えっちでごめんね」
穂乃果「ううん、全然。こちらこそ付き合ってくれてありがとう」
ことり「ことり以外とえっちしたら感想教えてね?」
穂乃果「な、なんでそんなっ」
ことり「他の人に負けないようにするためだよ。お望みならもっと激しくしてあげてもいいよ?」
穂乃果「え、遠慮しておきます」
ことり「あら」
ことり「明日秋葉原行くんでしょ? こんなにえっちしちゃって大丈夫? 今日4回も射精してるけど……」
穂乃果「結構、というかかなり疲れちゃった……」
ことり「ほらぁ」
穂乃果「でも、なんかモヤモヤして」
ことり「?」
ことり「真姫ちゃんのこと?」
穂乃果「それもあるんだけど」
穂乃果(二人に告白されてる、なんて相談できないよね……。これは一人で決めなきゃ……)
ことり「……真姫ちゃんのおしっこ我慢するとこみて興奮してたくせに」
穂乃果「うえぇっ、なんで知って……」
ことり「変態なんだから……。あ、今度ことりも限界まで我慢してみようか?」
穂乃果「だ、だから大丈夫だって」
ことり「どんな感じだったの? 涙を目にいっぱい溜めて顔赤らめながらおしっこ出るところ抑えてた?」
穂乃果「っ……」カアァァァアアアアア
ことり「……まあさっきも言ったけど、普段通りで接してあげて? あの子プライド高いから他人にあんなとこ見られて相当凹んでると思う」
穂乃果「そうだよ、ね。普段通り普段通り……」
ことり「そうそうその調子」
ことり「で、それもって言ったのは?」
穂乃果「……絵里ちゃんのこと」
ことり「どうしたの? 会った?」
穂乃果「うん……」
穂乃果「避けられてて……」
ことり(……絵里ちゃん、か)
ことり「どうなんだろうね……」
ことり「気にしないことが一番じゃないかな?」
穂乃果「そうなのかな……」
ことり「それとも穂乃果ちゃんはまだ絵里ちゃんのことが好き?」
穂乃果「いや……」
穂乃果「でもちょっと後悔、してるかも」
ことり「……」
ことり「そのうち気にならなくなるよ」
ことり「とりあえず明日はちゃんとにこ先輩から色々教えてもらうように」
穂乃果「はーい」
◇――――◆
ツバサ「いない、か……」キョロキョロ
あれから私はµ’sというグループのことを少しだけ意識するようになった。所詮は下位のチームだから上位チームを意識しながら、ではあるけれど。
それでも意識せずにはいられなかった。他のどのチームにもない、恐怖を感じたから。失敗しても大丈夫、なにも気にしない。そんな気概を感じた、そうまで安心して伸び伸びやれる要因は一体……。
悶々とした日々を過ごしているうち、私はある名案を実行することにした。µ’sのマネージャーである高坂穂乃果、この人に近づけばµ’sのことがわかるんじゃない? これも偶然かちょうど私は彼の家を知っていたから。
ツバサ(残念ながらいないみたいね、焼き饅頭でも買って帰りましょう……)
穂乃果「――ただいまー!!」
勢いよく引かれた扉に、快活な声が続く。私の相手をしていた綺麗なおばさんがその声を聞いて、裏から入りなさいと声を荒げた。てことは……穂乃果さんのお母さんかしら。
「ごめんなさいね」
ツバサ「いえ……」
穂乃果「――あ、ツバサさんだ!!」
ツバサ「久しぶりね」
穂乃果「また来てくれたんですね!」
なんて嬉しそうな顔をするんだろう、そういうのには慣れているけれどなんだかこっちまで嬉しくなってきちゃう。
ツバサ「――今日はあなたに用があって来たの、高坂穂乃果さん」
穂乃果「え……?」
◇――――◆
ツバサ「かといっていきなり部屋にあげなくても……」ボソッ
穂乃果「なにか言いましたか?」
ツバサ「いえ、なんでも」
話があるとは言ったけれど、別に店で話しても良かったんじゃないかしら。一応私は女であなたは男よ?
まあそういう経験ないから世間ではこれも普通なのかもしれないけれど……。
ツバサ「少女漫画なんて読むの?」
穂乃果「ああ読みますよ、でも全部妹のやつですよ」
ツバサ「ふぅん」
少女漫画ねえ……普通の女の子なら読んだりするものなのかしら。
穂乃果「で、話って……?」セイザッ
ツバサ「そんなにかしこまらなくてもいいわよ」クスッ
ツバサ「あなたって高校はどこ?」
穂乃果「え、――高校ですよ」
ツバサ「……そうよね」
穂乃果「どうかしたんですか?」
ツバサ「穂乃果さん――」
穂乃果「あとなんで穂乃果の名前も……」
ツバサ「µ’sのホームページ見たのよ」
穂乃果「µ’sの……? え、穂乃果の写真も載ってたんですか?」
ツバサ「ええ、マネージャーって書いてあったわ」
穂乃果「な、なにそれ!? にこ先輩の仕業か……」
ツバサ「それでね穂乃果さん……えっと、なんて聞けばいいのかしら?」
穂乃果「知らないですよ……」
ツバサ「うーん……µ’sってどう思う?」
穂乃果「どう思うって……。というかツバサさんµ’sのことなんで知ってるんですか!?」
ツバサ「ネットで見たのよ――正直……気になってる」
穂乃果「……ツバサさんが?」
穂乃果「ツバサさんが気になってる……!?」
穂乃果「それってすごいこと!?」
ツバサ「……どうなのかしらね」
ツバサ「あなた、普段からそんなテンションなの?」
穂乃果「うーんどうだろう……今日はツバサさんと話してるから?」
ツバサ「ふぅん……」
ツバサ「なんだろうµ’sに関しては全てが足りないのに、何故か気になるの」
穂乃果「ぐ、全てが足りない……」
ツバサ「ええ」
ツバサ「でもなんであんなに伸び伸びとしているの? 安心して踊っているの?」
穂乃果「……」
穂乃果「ごめんなさい……わかんないです。でも」
穂乃果「µ’sを作ろうって言ったのは穂乃果なんです、でも穂乃果は男だし少しでも力になりたいと思っています」
穂乃果「スクールアイドルのことなんて全然わからないけど、だからいっぱい勉強してµ’sのみんなが安心して踊れるように集中出来るように頑張ってるつもりです」
ツバサ「……」
ツバサ「あなた、なんか面白いわね」スッ
穂乃果「なんで携帯……?」
ツバサ「――よければ連絡先、教えて?」
穂乃果「……」
ツバサ「まあ、嫌なら仕方ないけど」
穂乃果「いやいやいやいやいやいやいや!!!」
ツバサ「そう……流石にそんなに拒否されるとショックね」
穂乃果「いやいやいやいや! そういうことじゃなくて!! い、いいんですか!?」
ツバサ「何が?」
穂乃果「穂乃果はただの一般人ですよ!? それなのに連絡先だなんて……」
ツバサ「あのねぇ……まず私も一般人だし、あなた私の友達は芸能人しかいないとでも思っているの?」
穂乃果「はい」
ツバサ「はぁ、なるほど……」
ツバサ「芸能人の友達の方が圧倒的に少ないに決まってるでしょう? 私は普通の高校生よ」
穂乃果「普通の高校生じゃないですって!」
ツバサ「普通なの」ムッ
どいつもこいつも特別扱いして……。
ツバサ「で、連絡先はくれるの? くれないの?」
穂乃果「差し上げますっ」
ツバサ「そう、ありがとう」
穂乃果「ツバサさんの連絡先持ってるなんて……なんか夢みたい」
ツバサ「そうなのかしらね?」
ツバサ「もしかしたら連絡することもあるかもしれないけれど、いい?」
穂乃果「もちろん!」
ツバサ「ふふ、これからよろしくね。高坂穂乃果さん」
◇――◆
真姫「……はぁはぁ」
真姫「先輩……」
真姫「穂乃果先輩……♥︎」クチュゥ
私は、最低だ。最低な行為をしている。手をあてがった下半身は疼いて、脳へと信号を送る。もっともっと手を動かせ快楽を得よ、と。
その信号に逆らう気もなく、私は本能が赴くままに手を動かす。
真姫「ふぅぁ♥︎」クチャ……クチ
真姫「だめ、でちゃぅ♥︎」ブルルル
どうして私はこんな状況で自分を慰めているのだろう。場所は自分の部屋だからなにも問題ないのだけれど……。
真姫「トイレ……いきたぃ……♥︎」スリスリ
真姫「んっぅ♥︎」
真姫「やだやだやだ、でちゃ……ぅ」クチュクチュ
尿意が私を襲う。
ことの発端はごく普通で何気ないこと。夜10時を回った頃私はトイレに行きたくなったんだけど、なぜだか身体が動かなかった。何故か自然と我慢を始めたんだ。なんでって聞かれてもわからない、ただ……我慢してる最中は先輩に見られてる気がして……。
我慢の限界が近づく頃、気がつけば私は興奮していて、手を股の間に伸ばしていた。
真姫「んっ♥︎んっやぁ……////」
いじればいじるほど身体の力が抜けていく、つまりここで漏らしてしまうことになる。自分の部屋で、トイレにも簡単にいけるのに、それなのに私は自分を慰めている。
尿がいますぐにでも出てしまいそうななんともいえない感覚と、手を動かせば動かすほど絶頂に向かって快楽が増幅される感覚がたまらなくて思考を奪っていく。
真姫「んくっっ♥︎……せん、ぱい……っ♥︎」
今目の前で好きな人が見ている、私の恥ずかしい姿を見ている。そんな妄想さえしてしまう。好きな人で、最低な行為をする。私の中の恋ってものはこんなものだったの?
真姫「はっ、ぅぅぅ♥︎//////」ビクッビクッ
真姫「はぁっ♥︎はぁっ♥︎んぅ♥︎……はぁはぁ……」グッタリ
真姫「……」チョロッ
真姫「!? だ、だめっ……!!」ガバッ
いくらなんでもこんなところで漏らすわけにはいかない!!
真姫「は、ぅぅ……///」ノソノソ
真姫「トイ、レ……///」キュゥゥウ
部屋を出て、ゆっくりゆっくりトイレに向かって歩みを進める。ここで早く行こうとして激しい動きをしたらすぐにでも決壊してしまうだろう。
幸いなことに私の部屋からトイレは近くて、もう扉が目で確認出来るところまで来ている。
真姫「ぁぁ……っ」
その少しの距離が、とても遠かった。
穂乃果『くす……また漏らしちゃうの?』
穂乃果『漏らさないって自信満々だったのにね?』
真姫「やぁ……」
穂乃果先輩が見ていたらそんなことを言うだろうか。……そんなことは決してないんでしょうね。だってあの人は優しいから、そんなことは絶対言わない。
だとしたら、何故私の中の穂乃果先輩はこんなことを言うの……?
ガチャリ
真姫「ふぅ……ッァハ、ついた……っ」チョロ
真姫「ぇ……?」シュゥゥゥゥ
真姫「あ……! ああっ……や、だぁ……///」ペタン
私はついにトイレに辿りついた。でも、なんでだろう。今の私は目先にある洋式のトイレをみながらペタンと力が抜けた足に逆らわず、座り込んでいる。徐々に広がってゆく下半身の生暖かい感触に、私の心は何故か満たされていた。
真姫「は、ぁぁ……♥︎///」チョロチョロ
この上ない幸福感。
穂乃果『くす……また漏らしちゃったね?』
真姫「ごめん、なさ……い」ビクッビク
やっぱり明日のお誘い断っておいてよかった……。
こんな年になってまで、今日一日で2回も漏らしてしまったんだもの。一回はまあ仕方ないっていえるかもしれないけれど2回目は……。
今日の出来事で、私の中のなにかが変わった気がした。
◇――――◆
花陽「はぁっはぁっ」
私は今近くの公園に来ています。本当ならば一人で練習しにって思ったんだけど、一緒について来てくれた凛ちゃんはベンチに座って私のダンスを見てくれている。
かれこれ一時間はこうしているんだけど、いつも決まったところで躓いてしまう。
花陽「ひゃぁっ!!」ドサッ
凛「大丈夫!?」
花陽「へい、き」
膝には痣が出来てしまった。仮にもアイドルに近いことをやっているんだから足は綺麗にしなくちゃいけないのに……。
凛「かよちんもうやめようよぉー」
花陽「でも……」
凛「また明日からやればいいにゃ」
花陽「それは凛ちゃんは出来るからで……」
凛「大丈夫大丈夫!!」
凛「練習のしすぎも良くないよ? それにかよちんはがんばってるって!」
花陽「でも……」
凛「明日は遊びにいくんでしょ? なら早く寝ないと。あ、でも今から一緒にコンビニ行くにゃー」
花陽「あ、ちょ……」
こうして今日も凛ちゃんに引っ張られます。私は結局いつの日も引っ張られて、それなのに私はその人のことを引っ張って……。
もう足手まといは嫌なのに……そう思って明日穂乃果先輩とにこ先輩についていけば何か変わるかもしれない、そういう思いでついていくことにしたけど……なにか変わるのかな。
真姫ちゃん凛ちゃんは変わったって言ってくれるけど、私は……なにも変わってはいないんだ。
◇――――◆
翌日
にこ「うん、調子いい」
手鏡をカバンにしまって一呼吸。なんだか人と出かけるのって久しぶりだから少しだけ緊張してしまう。メイクも久しぶりにしたし、服装だってこの前買ったやつを着てきて待ち合わせよりも少しだけ早く私は駅前にいる。もうすぐ夏が近いなーなんて思いながら額から垂れてくる汗を拭う。今年の夏はどんな風に過ごすのかしら。
でもこういう季節だと服装選びに困っちゃうのよね。朝は少し肌寒いかと思ったら昼はすごく暑いんだもの。メイクも崩れないかしら……。メイクにはそこそこ自信があるし服も決してダサい方じゃないと思うからそこは大丈夫だと思うけど、相手が穂乃果達でこんなに気合入れてくる必要あるのかしら?
にこ「そいえば穂乃果はスカートで来るのかしら」
純粋な疑問。だってどこからどう見ても女の子にしか見えないじゃない?
にこ「んー」
にこ「まあまだ二十分前だし――」
バサッ
「だーれだ!?」
不意に誰かの手が私の視界を覆う。なによこれ、いきなりなんなのよ。声の主は今日の待ち合わせの一人。なんだかイラつく、こんなこと恋人にでもやってなさいっての。
ドンッ‼︎
穂乃果「うぐぅっ……」
にこ「まったく……気安くこういうことするんじゃないの」
穂乃果「ひどいよ!!」
にこ「はいはい――って……」
穂乃果「?」
……普通に男だった。
服装も最近男モノで流行ってる白いクロップドパンツ……。まあ着回しやすいし簡単にオシャレに見えるからいいわよね。上は……デニムシャツかしら、インナーの黒いVネックTシャツとなかなか合ってるし……ただ黒いんじゃなくて首元の白いラインが爽やかね。
……穂乃果がこんないい感じの服装してるとは思わなかったわ。
穂乃果「せんぱいー?」
待って、頭にもなにかついてる? 男だからワックスだと思うけど……。なんかふわっとしてるし。
にこ「穂乃果……ワックスつけてるの?」
穂乃果「あ、はい……変ですかね……?」
にこ「いやいいと思うけど……それにその服……」
穂乃果「あーこれこの前ことりちゃんが選んでくれたんです。あとワックスも……結構前にかっこよくなりたいならつけないと!! って言われて……」
にこ「ふぅん、なるほど。あんたことりの子供みたいね?」
穂乃果「あはは……ことりちゃんには色々お世話になってます」
にこ「ま、今のあんたなら女の子には見えないわよ」
にこ「……なんかむかつく」
穂乃果「どうしてですかーっ」
にこ「あと、待ち合わせ時間よりもまだ早いんだけど」
穂乃果「がんばって起きました!!」
穂乃果(昨日はすごい疲れたし……)
にこ「ふぅん、まいいけど」
穂乃果「にこ先輩、今日お化粧してるんですか?」
にこ「そうよ」
穂乃果「似合ってますね!!」
にこ「ありがと」
なんか真顔で言われると恥ずかしい、ような。こいつ真顔でこんなこと言う? ……なんだか少しだけこいつがモテるってのがわかったような気がするわ。
にこ「……言っとくけど私はそんなのきかないわよ」
穂乃果「なんのことですか?」
にこ「っ////」
にこ「なんでもないっ!」
そ、そうよなに考えてんのよ。これじゃ穂乃果が私を狙ってるみたいな感じじゃない。まったく……今のは完全に自意識過剰だったわね。別に穂乃果に好かれてようと好かれてなかろうとどうでもいいけど。
にこ「それにしても、本当にこういうことするなんて思わなかった」
穂乃果「うーん、だってにこ先輩言ったじゃないですか! 穂乃果を鍛えてくれるって!」
にこ「……そんなこと言った記憶ないんだけど」
穂乃果「あれーそうでしたっけ」
にこ「あんたが色々教えてくれーって頭下げてただけよ」
穂乃果「あらら」
穂乃果「でもまあそういうことです! にこ先輩に色々教えて欲しかったんです。こういうのはにこ先輩じゃないとダメですから!」
にこ「そ、そう……」
にこ「あ、あと……文化祭のビデオみたってほんと?」
穂乃果「見ましたよ?」
にこ「その、どうだった?」
穂乃果「――可愛かったですよ!!」
にこ「……///」
だから……そんな真っ直ぐ言うなっての……。なんか、いつもと外見違うし……顔、熱い……。
花陽『見ちゃったんです、凛ちゃんとキスしてるとこ』
にこ「っ……」
そうだ穂乃果は凛と……。そういう関係じゃない可能性が高いってことりは言ってたから日常的に"そういう"こともしているのかもしれない。もしかしたらことりや海未とも……。
にこ「――あんた誰にでもそんなこというの?」
穂乃果「そんなこと?」
にこ「……そうよね」
花陽「――待たせちゃいましたか?」
背後から聞こえてきたのはか細い綺麗な声。その声が発せられた瞬間穂乃果はパッと笑う。
穂乃果「ううん待ってないよ!」
にこ「私たちが少しだけ早く来ちゃっただけだから」
花陽「そうだったんですか」
穂乃果「じゃいこうよ!」
にこ「そうね――じゃあまずは」
◇――――◆
花陽「なんだか穂乃果先輩いつもと違いますね」
穂乃果「そうかな、変……?」
花陽「い、いえ……かっこいい、と思います……」
穂乃果「ほんとー? 花陽ちゃんも可愛いよ!」
花陽「でも私……お化粧とかも全然できない、し……」
にこ「今度私が教えてあげましょうか? ことりもうまそうだけど」
花陽「ほんとうですか……?」
にこ「あと服もね……ダサいってわけじゃないけど」
花陽「そ、そうですよね……でもそんなオシャレなの私には……」
穂乃果「そんなことないっ!」ガシッ
穂乃果「花陽ちゃんは可愛いんだからどんな服でも似合うよ、だから自信持って!」グイッ
花陽「い、いや……でも」
ザワザワ
にこ「人混みでそういうことするのやめてくれる? こっちが恥ずかしくなるんだけど……」
穂乃果「ご、ごめん」
にこ「まあいいけど……ほらついたわよ」
花陽「わぁ……!!」
穂乃果「ここがアイドルショップかぁ」
花陽「すごい、あのアイドルの新商品入ってる」
にこ「ね、このタイミングで来ると思わなかったけど」
花陽「そうですよねっ! 私もうお金なくて……」
にこ「搾取されてなんぼの世界でもあるからねー」
穂乃果「ふぅん」
穂乃果「穂乃果は全然そういうのわかんないから……」
にこ「だから今日はついて来たんでしょ。徹底的に叩き込んでやるから」
穂乃果「の、望むとこです」
ガヤガヤ
穂乃果「人意外と多いね」
にこ「こんなものよ」
花陽「今日は空いてるんじゃないですかね」
にこ「そうかもね」
穂乃果「あ、あの人達みたことあるっ!」
にこ「あのアイドル知らなかったら最早異常レベルよ」
穂乃果「えぇ……」
にこ「確かに人気はあるけど売り方が評判よくないのよね」
穂乃果「あれでしょ、握手券とかつけるんでしょ!」
にこ「そうそう」
花陽「……それでもあの売り方は天才的だと思いますよ。やっぱり売り込む戦術とかも大事です」
にこ「私も意識してµ’sのホームページとか作るんだけど、全然ダメね……」
穂乃果「でも流石に素人集団だしそこでの新規獲得は難しいんじゃ」
にこ「そうなのよね」
にこ「やっぱりスクールアイドルだから……」
にこ「ルックスの問題はあるけど、多分そこは問題ないし、後は実力の問題ね」
穂乃果「実力……」
にこ「そう実力。大きく言うと曲だったりダンスだったりね」
にこ「とりあえずそういうのがいいアイドル知ってるから」
花陽「……」
にこ「これなんかどうかしら。残念ながらさっきのグループよりは全然売れてないけれどダンスとかの質は圧倒的に高いわ」
穂乃果「ほぉほぉ」
にこ「アイドルってのは厳しい世界でね、決して実力だけで判断される世界じゃないの。例えばその人の雰囲気とかオーラとかってのはとっても重要。でもそんなのは鍛えようがないじゃない? 多少の意識で少しは変わるけどね」
にこ「じゃあ私たちはどうすればいいんだろう、そう考えると……とりあえずは実力をつけるしかない」
穂乃果「そうなるよね」
にこ「ほら、あれみて」
花陽「……アライズ」
穂乃果「スクールアイドルで一番凄い人達だよね」
にこ「そう」
にこ「凄いわよね、実力もそうだけどオーラとか雰囲気とかが異常」
にこ「どうすればああなるのか、私にはわからない。どう努力していいのかもわからない」
花陽(すご、い……意識が全然違う)
穂乃果「……でもこの人達楽しくなさそうだよ」
にこ「え?」
穂乃果「なんか……すごいんだけど、なんか仕事してるみたいっていうか」
にこ「……穂乃果にはそう見える?」
穂乃果「ごめんなさい、あんまりそういうのわからないですけど、なんとなく……」
にこ「……なるほどね」
にこ「……」
にこ「スクールアイドルショップ行ってみる?」
穂乃果「なんですかそれ?」
花陽「スクールアイドルのグッズを専門に扱ってるんですよ」
穂乃果「でもアライズはあるじゃん」
花陽「あれだけは特別なんです」
にこ「売れるからね」
にこ「スクールアイドルショップってのは店舗は一つしかないけど、私たちと比べることが出来るわ」
穂乃果「なるほどぉ」
穂乃果「じゃあそこ行きましょうよ!」
◇――――◆
穂乃果「さっきと比べるとかなり小さいんですね」
にこ「最近ブームとはいえ、一部のトップ層以外は流石に素人集団だから」
にこ「あ、いいなー……アライズのライブのポスターだ」
花陽「私チケット取れませんでした……」
穂乃果(ツバサさん、やっぱり凄いや……)
穂乃果「アライズがライブするんですか?」
にこ「ええ、今度少し大きめのライブをUTXでやるんですって」
穂乃果「へえ」
にこ「なんなのよもう……売り切れるの早すぎじゃない?」
花陽「仕方ないですよ……」
穂乃果(そういえばライブとか見に行ったことないなぁ……)
穂乃果(やっぱり見に行った方が勉強になるかな?)
にこ「私たちももっと人気が出ればグッズとかのお話もくるかもしれないわよ」
花陽「私たちが、グッズ……」
穂乃果「すごいねっ!!」
にこ「まあまだまだ先だと思うけどね」
穂乃果「そう、ですよね」
にこ「ちゃんとあんたも分析するって気持ちで色々みないとね」
にこ「マネージャーなんだから」
穂乃果「はーい!」
にこ「まあここで色々見てももう無駄じゃない? あと少ししたら出よう?」
穂乃果「どうしてですか?」
にこ「もう大体方向性はわかったでしょ? 分析とかなら家でネット使った方がいいからよ」
穂乃果「あー」
花陽(……私、全然ダメだ)
穂乃果「さっきから花陽ちゃんどうしたの?」
花陽「あ、いや……」
花陽「私もそういうの好き、なんですけど……意識が全然違うなって」
にこ「?」
花陽「私はあくまでアイドルが好きなだけ、でもにこ先輩はそれを分析してやる方に持っていく」
花陽「……もうここから違うんだって」
にこ「……別にいいんじゃないの?」
にこ「あんたのこと悪く言うつもりはない、けど……とにかく自信がなさ過ぎると思う」
花陽「……」
にこ「なんでもかんでも自分のこと否定してたらどうにもならないでしょう?」
にこ「ここに写ってる人達を見て? 自信なさそうな人はいないでしょう?」
花陽「……そうですよね」
にこ「焦らなくていいんじゃない?」
花陽「はい……」
にこ「お昼ご飯は食べてきた?」
花陽「え、いや……」
穂乃果「穂乃果は食べてき――」
にこ「うっさい、じゃお昼食べにいこ!」
花陽「は、はい!!」
にこ「じゃあいきましょう」
花陽「あ、私ちょっとトイレに……」
にこ「わかったわ」
にこ「あんたお腹空いてないの?」
穂乃果「食べてきちゃいまして……でも付き合います!!」
にこ「はぁ……」
「そこのカップルさん」
にこ「? 私たち?」
にこ(呼び込みかなにかね……)
「よかったら来て下さいね」
にこ「あ、はい」
にこ(メイド喫茶?)
穂乃果「カップル……」
にこ「あんたとでもそう見えるのね」
にこ「……」
穂乃果「……//」
にこ(な……///)
にこ「あーやだやだ」
穂乃果「酷いー!!!」
穂乃果「なんでそういうこと言うんですか!」
にこ「当たり前でしょ男なんで」
穂乃果「……」
穂乃果「にこ先輩は男が嫌いですか」
にこ「好きじゃない。別に過去になんかあったわけでもないんだけどね」
穂乃果「……そうですか」
穂乃果「なんか、わかんないですけど……穂乃果はにこ先輩と居て楽しいですよ?」
にこ「……べ、別にあんたといて楽しくないって言ってるわけじゃないし」
にこ「てかなんでそうなるのよ!」
穂乃果「穂乃果といても嫌じゃないんですか!? やった!」
にこ「だからぁ!」
にこ「背小さいくせに生意気なのよ!」
穂乃果「にこ先輩よりおっきいです!!」
にこ「うるさいのよほんの少しでしょ!」
花陽「――あ、あの……」
にこ「あ、ああ花陽」
花陽「どうしたんですか?」
穂乃果「にこ先輩が穂乃果を馬鹿にするんだよ! 背小さいとか!!」
花陽「あはは……仲いいですね」
にこ「仲良くないっ!!」
花陽「……で、どこ食べにいきましょう?」
にこ「適当にその辺歩く?」
穂乃果「さっきの紙はなんだったの?」
にこ「メイド喫茶のチラシよ」
花陽「見せて下さい」
花陽「あれここってミナリンスキーがいるって噂の……」
にこ「ミナリンスキー? ここだったの!?」
にこ「……行くしかない」
にこ「行って正体を確かめるのよ!!!」
穂乃果「そのミナリンスキーってなに……」
◇――――◆
花陽「裏の方から行かないとつかないみたいですね」
にこ「めんどうね」
穂乃果「まあいいんじゃないですか、そのミナリンスキーさんに会えるなら」
にこ「いる確証もないけどね」
ミナリンスキー。名前だけ聞いたことがある伝説のメイドさん。その可愛さと接客のうまさからそう呼ばれているらしい。
そもそも今までなぜ私はどこのメイド喫茶にいるかの情報が入ってこなかったのかしら。
あげく少し裏から通らないとダメなとこまで来て。
にこ「車もいるから危ないわね」
穂乃果「気をつけて下さいよー」
花陽「にこ先輩がそんなにミナリンスキーに会いたかったなんて」
にこ「そうなのよ! 私もメイド喫茶とかでバイトしたことあるんだけど、何がどうなったらそんな噂がたつほどになるのかが気になって……」
にこ「そもそも――」
ペチャクチャ
花陽「止まりませんね……」
穂乃果「そうだね……」
にこ「だから――」
ブゥゥン
にこ「え……?」
花陽「――先輩!」
穂乃果「にこ先輩!!!!」
不意に横からの車の音と今まで聞いたことがないくらい大きな穂乃果の叫び声。首をそっちに向けると大きなトラックが来ていて、なぜかスピードが落ちていない。どうして、スピード落としなさいよ。
やば……どうしよう、間に合わな――。
穂乃果「っ!!!」グイッ
ギュッ
にこ「……?」
あ、れ……なにが起こったの? 私は確かに、生きてる。
腕に包み込まれて、微かな温もりも感じる。
穂乃果「……なにしてるんですかっ!!」
にこ「ごめ、ん……」
穂乃果「轢かれてたらどうするんですかっ!!」
穂乃果「死んだら……どうするつもりだったんですか!!」
その声の主は私を抱きしめる力を強めて、それと同時に語気も強める。
穂乃果「……」
にこ「は、離しなさいよっ……////」
穂乃果「離しません」
にこ「はぁ!?」
花陽「あわわ……」
穂乃果「にこ先輩がいなくなったら……ダメなんですよ。もっと色々……穂乃果にはあなたが必要だから」
にこ「穂乃果……な……なに言ってんの……/////」
穂乃果「本当ですよ、だから二度とこんな目に合わないよう気をつけるって約束して下さい」
こ、こいつ、何言ってんの……。あ、あれ……なんか顔熱い……。
にこ「や、約束するから! いいから離してっ!!」////
穂乃果「目、見て?」
にこ「う、ぅぅ……////」
穂乃果「……よし」スッ
花陽「大丈夫でしたか!?」
にこ「ええ」
穂乃果「大丈夫ですか?」
にこ「……ええ」
どうしよう、顔、見れない……。
穂乃果「よかった……」グス
にこ「な、泣いてるの?」
穂乃果「ちょっと、だけ。にこ先輩が轢かれてたらって思うと……」
にこ「……ごめん、心配かけて」
穂乃果「大丈夫です、今度からは気をつけて下さいね?」
にこ「ええ」
穂乃果の腕の中……あったかかったな……。な、なに考えてんの私は! 男なんて……男なんて!
穂乃果「?」
にこ「ふん……////」
穂乃果「顔赤いですよ?」
にこ「うるさい!!!」
◇――――◆
にこ「じゃあね」
花陽「はい!!」
穂乃果「さようなら!」
にこ先輩の姿が駅の中へ消えていく。結局あのメイド喫茶にはミナリンスキーという人はいなくて、勤務外の時間だったらしい。すっごく残念がってたにこ先輩だけれど、なんだか時々頬を赤らめながら楽しそうにしてたからそれはそれでいいのかな?
穂乃果「花陽ちゃんは電車じゃないの?」
花陽「あ、はい……ここから歩いていくんで」
花陽「あ、凛ちゃんの家の近くですよ!」
穂乃果「そうなの!? そうだよね、幼馴染だもんね」
穂乃果「そろそろ夕方だし送ってくよ?」
花陽「い、いや……」
……穂乃果先輩に相談すれば、何か変わる、かも。
花陽「じゃあお願いします」
穂乃果「喜んでっ」
二人で大通りから外れていく。
穂乃果「楽しかったね」
花陽「はい、にこ先輩の時はどうなるかと思いましたけど」
穂乃果「本当ね」
花陽「でも私たちのµ’sの努力の方向性を感じられたのはいいことだと思います」
穂乃果「もっとレベルを上げないと土俵にもたてないもんね」
花陽「はい」
花陽「私は……足を引っ張ってばかりで」
穂乃果「そんなことないよ?」
花陽「だって、今回のダンスだって私だけついていけなくて……」
穂乃果「それは」
花陽「もう嫌なんです。こうやって人の足ばかり引っ張って……努力しても全然できなくて……」
花陽「邪魔なんじゃないかいかって思われると怖くて……でもどうしていいかわかんなくて」
穂乃果「……」
花陽「私、どうすればいいんですか、µ’sに居ていいんですか、私さえいなければもっといいグループに――」
穂乃果「本気で言ってる?」
穂乃果「本気で言ってるならそれ以上言わないで」
花陽「……」
穂乃果「花陽ちゃんがµ’sからいなくなるだなんて考えられない。ダンスができないっていうならもっともっと練習しよう?」
穂乃果「誰よりも練習して誰よりも上手くなるの! 花陽ちゃんならきっとできる、出来ないわけない!」
穂乃果「その為だったら穂乃果はいくらでも付き合うよ、いくらでもアドバイスしてあげるよ」
穂乃果「花陽ちゃんがそんな風に悩んでるだなんて思わなかった。それに気がつけなくて、本当にごめん」
花陽「……先輩……」
花陽「ぐすっ……」
穂乃果「大丈夫、誰も花陽ちゃんを邪魔だなんて思ったりしないよ?」
花陽「はいっ……」
穂乃果「うんっ!」
◇――――◆
穂乃果「本当に穂乃果が来て大丈夫だった?」
花陽「誘ったのは私ですよ。それに掃除もそこそこしてますから」
穂乃果「確かにすっごく綺麗だね!」
穂乃果「うわー、全身鏡だー!」
花陽「え、あ……それはっ」////
穂乃果「どうしたの?」
花陽「あ、いや……」////
穂乃果「?」
花陽「……」
花陽「……私、なんだか穂乃果先輩と話していると安心するんです」
穂乃果「そう? 穂乃果は花陽ちゃんの落ち着いた雰囲気好きだよ」
花陽「そ、そうですか……//」
花陽「男の人は得意じゃないんですけど、穂乃果先輩は全然男の人って感じがしなくて……」
穂乃果「いいのか悪いのか……」
花陽「で、でも今日はすっごくかっこいいです!」
穂乃果「本当?」
花陽「はいっ」
花陽「……穂乃果先輩がモテる理由もわかる気がします」
花陽「みんなに優しくて、親身になってくれて」
穂乃果「な、なんか恥ずかしいね」
花陽「……」
花陽「先輩は凛ちゃんと付き合ってるんですか?」
穂乃果「な、なんで?」
花陽「凛ちゃんの家から出て来て……キスされるところを見てしまいまました」
穂乃果「……」
穂乃果「……告白されたんだ」
花陽「そう、なんですか」
穂乃果「でもまだ返事はしてない」
花陽「……」
凛ちゃんが、告白……そうなんだ。凛ちゃんはやっぱり穂乃果先輩のことが……。
花陽「あ、そういえばお茶持ってきますね!!」
穂乃果「あ、うんっ」
穂乃果(海未ちゃん知ってたのも、花陽ちゃんから聞いたのかな。花陽ちゃんの家凛ちゃんの家に近いし)
◇――――◆
花陽「また何かあったら相談乗ってもらってもいいですか?」
穂乃果「もちろん!!」
花陽「あと練習のことも……」
穂乃果「そうだね……近いうちに二人で練習しようかっ!」
穂乃果「……あとね穂乃果に少しだけ考えがあるんだ」
花陽「考え?」
穂乃果「やっぱり他のトップにいるグループと比べちゃうとµ’sのダンスや歌は少しお粗末に見えちゃうの。……花陽ちゃんだけじゃなくてみんなね」
花陽「……」
穂乃果「花陽ちゃんは穂乃果が指導したりするんだけど、そうなると他の人のレベルが保てるか心配なの、レベルアップも必要だしね?」
穂乃果「……だから新しいコーチが欲しいの」
花陽「コーチ?」
穂乃果「そう、穂乃果ねすっごくいい人知ってるんだ」
穂乃果「みんなにはまだ話してないんだけど――」
穂乃果「生徒会長いるでしょ?」
穂乃果「あの人ね、昔バレエやっててね すっごくダンスが上手いの。ジャンルは全然違うけど、きっといい方法も色々知ってるはず!」
花陽「そうなんですか?」
花陽「でも生徒会長がそんなことしてくれるんでしょうか……」
穂乃果「わからない……とりあえず明日みんなに話してみる。希さんにも話してみようかな?」
穂乃果「今日はありがとね!」
花陽「はい、さようなら!」
離れていく背中。
穂乃果先輩の目はキラキラしていてやる気に満ち溢れていました。誰も思いつかないことを平気でやろうとする、それがあの人のいいところで……だからみんなついて行きたくなるんですよね。
生徒会長、か……大丈夫かな。
◇――――◆
あんじゅ「ツバサー英令奈ー、今回もちょうだいー」
英令奈「ほら」
あんじゅ「ありがとー」
ツバサ「……」
あんじゅ「あれ、ツバサは?」
ツバサ「今回はあげたい相手がいるの」
あんじゅ「あら珍しい」
差し出された手を引っ込めるあんじゅに少し肩をくすめてみせる。私達A-ISEがライブをする時は毎回UTXの教員や関係者が目を光らせる。ライブってのは私達にとっては学校の試験見たいなものだからね。
そしてそういう人達が観覧する専用の場所が普通の観客席とは少しだけ離れたところに存在するんだけれど、席が余ってしまった時には招待券が私達に配られる。
その招待券とお金を払えばチケット争奪戦に参加せずとも私達のライブが見られるっていう便利なもの。今回も例の如く関係者席にいくつか空きがあるらしくて、招待券を先ほど受け取ったばかりだ。
あんじゅ「今回は誰を誘おうかなー?」
基本的に私と英令奈はあんじゅにその招待券をいつも渡している。交友関係がかなり広いらしいあんじゅは知り合いを男女問わず招待していて、ほとんどの空席を埋めてくれるからUTXに資金面で貢献しているといえる。私が持っていても使わないからあんじゅが使ってくれた方がいいものね?
あんじゅ「――誰を呼ぶの?」
英玲奈マジでミスりまくってすいません。
ツバサ「と、友達よ」
あんじゅ「ふーん? いつも私に渡してたのに、なんか怪しいー?」
ツバサ「別に」
あんじゅ「ま、いいけどねー」
彼はスクールアイドルのこと勉強したいって言ってたしね?
その場を離れて、携帯電話を手にする。
プルルルル
穂乃果『ももももも、もしもしっ!?』
ツバサ「あ、穂乃果さん?」
穂乃果『な、なんの御用でしょうか!?』
ツバサ「……緊張してるの?」
穂乃果『は、はい……』
ツバサ「緊張する必要なんてないわよ。あなた女の子と話し慣れてないとかじゃないんでしょ?」
穂乃果『まあそうですけど……』
穂乃果『そういえば今日メンバーと秋葉原行って色々とスクールアイドルのこと勉強しに行ったんです』
ツバサ「へえ、がんばってるのね」
穂乃果『はいっ。それでアライズのみなさん近々ライブやるんですね!』
ツバサ「そうよ」
穂乃果『メンバーがチケット取れなかったって言ってました。凄い人気なんだなーって』
ツバサ「……あなた私達のライブに興味ない?」
穂乃果『え、ありますけど……』
ツバサ「そう――なら今度直接会いましょう?」
穂乃果『え、え?』
ツバサ「嫌?」
穂乃果『嫌じゃないですけど』
ツバサ「場所はメールで送るわね」
穂乃果『ちょ、ちょっと待ってください!』
ツバサ「なに?」
穂乃果『あのー、よくわからないんですけど……』
ツバサ「会えばわかるわ、じゃあね」
穂乃果「あ――」
ツバサ「……ちょっと強引だったかしら」
なんか説明するの面倒で誘っちゃったけど……。
あんじゅ「――誰と会うのかなー?」
ツバサ「ひっ」ビクッ
ツバサ「いきなりなによ!」
あんじゅ「なんだか面白そうな電話してるなって」
ツバサ「……だからただの友達だって言ってるでしょ」
あんじゅ「ほんとかなー?」
なに、どういう意味? あんじゅは一体私になにを望んでいるの。
あんじゅ「期待してるね」
ツバサ「だからなにが……」
◇――――◆
穂乃果「ね、どうかな!?」
にこ「どうかなって言われても……」
ことり「絵里ちゃんが受けてくれるわけないよ……」
海未「確かに穂乃果の言う通り、絵里はそういうことが出来ると思います」
海未「しかし……」
穂乃果「……頼んでみるよ」
穂乃果「もしかしたらやってくれるかもしれないでしょ?」
ことり「……いいよ、やってみようか」
ことり「いつだって穂乃果ちゃんが言い出すことは正しいことが多いんだもん。今回もきっとそうかもよ?」
真姫「あの生徒会長さんて怖い人なの?」
ことり「んー怖い時もあるよ」
真姫「ふぅん」
にこ「……まさかそんな考えに至るだなんてね」
穂乃果「なんかピンと来ちゃって」
にこ「ま、いいんじゃないあんたがしたいならしてみれば」
にこ「その代わりちゃんと私たちのプラスになるようなことをね。マネージャーさん」
穂乃果「はいっ!!」
にこ「ふふっ」
ことり「……なんか、仲良くなりました?」
にこ「え?」
ことり「なんか前と雰囲気違うっていうか……」
にこ「ど、どういう意味!?」
穂乃果『穂乃果にはあなたが必要だから……』
にこ「……///」
にこ(な、なんであの時のことがっ……)
穂乃果「?」
ことり(……この反応……)
穂乃果「この前ミナリンスキーさんいなくて残念でしたね?」
ことり「ぴいっ!?」
穂乃果「どうしたの?」
ことり「い、いや……」
ことり(ななななんでミナリンスキーの名前が!?)
にこ「そうねー見てみたかったんだけど……」
凛「なにそれー?」
ことり「そ、その話は……」
にこ「伝説のカリスマメイドって呼ばれてるの。バイトらしいけど」
真姫「バイトでそんなになるなんて相当なのね」
ことり(ちょ、ちょっと待って……なんでこんなことに)
ことり「どうしてその……ミナリンスキーさんがいるお店知ったの?」
穂乃果「なんか呼び込みのチラシに書いてあったよ?」
ことり「へ、へえ」
ことり(な、なにそれ!? ことり聞いてないよっ!? ていうかカリスマメイドとか言われてるんだ……そんな大層なことした覚えないけど……)
ことり(シフト入ってなくて良かった……)
ことり「そ、そんなことより絵里ちゃんのことを!」
穂乃果「そうだね……」
海未「あの……穂乃果、絵里とは……」
穂乃果「……大丈夫だよ、もう関係ない」
にこ「なにかあったの?」
海未「あ、いや……」
穂乃果「隠すようなことじゃないよ。絵里ちゃんと昔ね、付き合ってたんだ」
凛「……」
穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんは知ってるよね」
花陽「は、はい」
凛「同じ中学だもん」
真姫「あの人と穂乃果先輩、が……」
にこ「うそ……」
にこ「本当?」
穂乃果「うん」
真姫「……」キュッ
真姫(やっぱり、モテるんだ……あの人ともそんな関係だったなんて)
ことり(……穂乃果ちゃんがこの手の話題出すと一気に暗くなっちゃうのは……そういうこと?)
ことり(真姫ちゃんは目に見えてテンション下がってるし……にこ先輩も……)
ことり(あれ、にこ先輩も……?)
ことり(ほんと、なんなの穂乃果ちゃん……このままだと部員全員が穂乃果ちゃんのこと……)チクッ
ことり(あれ……なんだろ、これ……なんだろこの気持ち……)
穂乃果「ちょっと色々あったけど、その辺も含めて仲直りしたいって思ってるから」
海未「そうですね……そっちの方がいいと思います」
穂乃果「うんっ、絵里ちゃんはまだいるかな?」
ことり「いると思うよ」
穂乃果「じゃあ行ってくるね!!」
◇――――◆
希「えりちはいないよ?」
穂乃果「ええ!?」
希「さっき妹さんのことでなんか返っていったなぁ」
穂乃果「そうですかぁ……」
希「どこにいるか聞いてみようか?」
穂乃果「うーん、じゃあ一応」
希「ちょっと待ってね」
希「どうして急にえりちのとこに?」
穂乃果「はい……絵里ちゃんがダンス上手いの、知ってますか?」
希「え、上手いん……?」
穂乃果「昔はバレエを本気でやっていたらしいんです」
希「へぇ……さすが元彼」
穂乃果「な、なんで知ってるんですか?」
希「えりちから聞いた」
穂乃果「そうですか……。それでダンスの種類は違いますけど、色々参考に出来る部分とかもあると思うんです」
希「えりちに指導して貰いたい、と」
穂乃果「はい」
希「なるほど……」
希「でもえりちはどう言うかな……。知ってるでしょあの頑固な性格」
希「一度否定されたら面倒やで?」
穂乃果「あはは……そうですよね」
穂乃果「でもきちんと話せばわかってくれる人だから」
希「高坂君が言うと、重みがあるね」
穂乃果「そうですか?」
希「あ、えりちにはどっちから告白したん?」
穂乃果「む、向こうから……」
希「へぇ……積極的」
穂乃果「そうですよね」
希「なんか見てみたいなぁ……えりちがそういう風な反応するとこ」
穂乃果「普段と変わりませんよ?」
希「はたから見たらきっと惚気まくってるんよ」
希「――あ、来たよ」
穂乃果「どうですか?」
希「すぐ近くの公園にいるって」
穂乃果「あそこですか……わかりました」
希「ねえ、今から行くならついて行ってもいい?」
穂乃果「……いいですけど」
希「ありがと! ウチがいると役に立つかもよー?」
穂乃果「あはは、そうなるといいですね」
◇――――◆
絵里「亜里沙」
亜里沙「なあに?」
絵里「ごめんなさいね早く帰りたいでしょう?」
亜里沙「ううん、希さんが来るんでしょう? なら大丈夫だよ」
絵里「そう……」
絵里「希ったら一体なにかしら」
希「やっほー!」
角からケミカルな声とともに希が姿を現す。
亜里沙「希さん、お久しぶりですっ」
希「亜里沙ちゃん久しぶりー」
絵里「それで、話ってなんなの?」
希「あーうん、それなんやけどね」
穂乃果「……」
絵里「っ!? 穂乃、果」
亜里沙「穂乃果さん!!!!」
亜里沙「久しぶりですね!!」ギュッ
希「なーんかウチと反応違いすぎんー?」
穂乃果「久しぶり」ナデナデ
絵里「どういうこと、希」ギロッ
希「そんな怖い顔せんでー」
穂乃果「久しぶりだね、絵里ちゃん」
絵里「……行くわよ亜里沙」
亜里沙「え?」
希「おっと、逃がさんよ」
絵里「どういうつもり」
希「逃げないで」
絵里「あなたには関係ない!」
穂乃果「絵里ちゃんと話したいの」
絵里「……なによ、今更……」ボソッ
絵里「すぅ……」
絵里「分かったわ、話くらい聞くわ」
穂乃果「ありがとう」
希「亜里沙ちゃん、ウチらあっちいこ?」
亜里沙「はい」
穂乃果「……」
絵里「……」
穂乃果「あのね、穂乃果達がスクールアイドルやってるの知ってるよね?」
絵里「ええ」
穂乃果「どう思う?」
絵里「いいんじゃないの、本当よ。そこはそう思ってる」
穂乃果「そっか……」
穂乃果「活動はって意味だよね」
絵里「……」
穂乃果「言わなくても分かってるよ、µ’sの実力は全然足りてないって」
穂乃果「気持ちだけじゃどうにかなる問題じゃない」
絵里「そう……分かってるのね」
穂乃果「うん」
穂乃果「絵里ちゃん、絵里ちゃんがダンスを出来るのを穂乃果は知ってる」
穂乃果「絵里ちゃん、µ’sのコーチをして下さい!」
絵里(……穂乃果はもうµ’sのことしか、頭にないのね)
絵里「っ……」
絵里(私はなにを期待していたの? もう、三年も経つのに)
絵里「……そんなことを言う為に私を引き止めたの?」
穂乃果「っ……」
絵里「なら帰るわね」
穂乃果「待ってよ!」ガシッ
穂乃果「お願い……お願いだから……いかないで……っ」
絵里(……なんで、なんで今そんなこと言うの)
絵里「……いいわ」
穂乃果「え……」
穂乃果「絵里ちゃん絵里?」
絵里「――コーチ、してあげてもいいわ」
穂乃果「ほんと?」
絵里「ええ、今日からいけばいい?」
穂乃果「う、うんっ!!!」
希「話は終わった?」
穂乃果「はいっ、絵里ちゃんいいって!」
穂乃果「結構あっさりいって良かったです!」
絵里「……」
希「そっか!」
希「……」
希「なに考えてるん」ボソッ
絵里「別に、少しだけ力を貸してあげようとしただけ。ふふ、きっとこれっきりになるから」
希(なにするつもり……)
穂乃果「~~♪」
◇――――◆
海未「まさか……本当に連れてくるだなんて……」
希「あ、ウチは見学でーす。お構いなくー」
ことり「あはは……」
絵里「ふぅん……」
海未「絵里……穂乃果に無理やり言われたのなら……」
絵里「ううん、問題ないわ」
にこ(なんかイラつく……なに考えてんの、こいつ)
絵里「穂乃果に言われてまあ来てみたんだけれど……じゃあ試しに踊ってもらえるかしら」
海未「え、あはい」
ことり「何がいいかな」
にこ「start dushでいいんじゃないの、今ある中じゃ一番ダンスっぽいわ」
花陽「し、失敗したら」
凛「大丈夫だって!」
絵里「……」
真姫(この人はなに考えてる……? どう考えてもコーチとして来たって感じじゃない……)
真姫(穂乃果先輩もなにを考えて……)
穂乃果「音行きまーす!」
~~~~♪
悲しみに~閉ざ~されて
絵里「なるほど」
穂乃果「どう?」
絵里「はは」
絵里「……全然ダメよ」
凛「な、なんでっ!」
絵里「あなた、大きく動きすぎで調和を乱してる」
凛「え……」
絵里「あなたはダンスにすらなってない」
花陽「っ……」
真姫「ちょっとあんた! 言い方ってのが――」
絵里「丘の上の病院のお嬢さん、運動は苦手かしら? あなた身体がついていってないんじゃない?」
真姫「な、そんなわけ!!」
絵里「そう、なら基本ワンテンポ遅れるのは意図的なのね」
真姫「うる、さい……!」
絵里「海未、日舞の練習、はかどってるみたいね」
海未「え……?」
絵里「あなた、まるで日舞を早くしたみたい、根本的におかしいわ」
海未「……」
ことり『なんか海未ちゃんのダンスって面白いよねえ?』
海未「っ……」
にこ「あんたね……一体なんのつもり」
絵里「コーチをしてあげてるんだけど?」
にこ「そんなコーチなら必要ない!」
絵里「あらおかしいわ。私は穂乃果に頭を下げられて来たんだけれど」
希「えりち……」
絵里「あなた少し自分に酔いすぎなんじゃない、自分だけ目立てばいいのかしら自分だけ輝けばいいのかしら、あなたのアイドル像ってのはそういうものなのかしら」
にこ「っ……あんたに何がわかんのよ……!!」
絵里「そうよねえ、一年生の時からずっと苦労してきたものね。目立ちたいのは当然だわ」
にこ「黙れ……黙れ!!」
絵里「――ことり」
にこ「あんたいい加減に!!」
絵里「……なにか?」ギロッ
にこ「っ……」
絵里「ことりがセンターをしているの?」
ことり「……うん」
絵里「そう、ダンスも別に悪くない。あなた運動は苦手よね? うん、努力はしたと思うんだけれど」
ことり「あ、ありがと」
絵里「……なんでそんなに自信がなさそうなのかしら、いくらダンスが上手くなっても、根本的なことを変えない限り……」
絵里「――あなたセンターは向いてないんじゃない?」
ことり「っ!?」
ことり「……ご、ごめん、なさい……」
絵里「なんで謝るの?」
ことり「い、いや……」
真姫「――いい加減にしなさいよ」
絵里「……」
真姫「黙って聞いてれば好き勝手言って、一体あなたはなんの為にきたのよ。私たちの邪魔をしに来たの!?」
ことり「ま、真姫ちゃん……上級生だよ……」
真姫「穂乃果先輩はなんでこんな人連れてきたんですか!!!」
穂乃果「え、えっと……」
希(普通ならえりちがこんなこと言うなんて想像出来ないよねえ)
穂乃果「……」
真姫「っ、ならあなたはそれほどダンスが出来るんですか」
絵里「そうでもないわよ、ジャンルも違うし」
絵里「……まあ相手がそれを出来ないから教えて貰う意味がないって考えてるようじゃ上手くなんてならないわよ」
真姫「なんですって」
絵里「……そうね、なら私がやってみせればいいのよね」
ことり「え」
絵里「海未」
海未「は、はい」
絵里「さっきのダンス教えてくれない?」
海未「ちょ、ちょっと意味が……」
絵里「十五分でいいわ、それで覚えられる」
海未「……」
海未「わかりました」
◇――――◆
希「えりちはね、本当は素直な子なんよ」
穂乃果「……」
希「なんでこんなことしてるんやろねえ」
穂乃果「穂乃果が、悪いんですか」
希「うーん……」
希「……えりちは廃校には賛成っていうスタンス、なんやけどね。それは絶対本心じゃないはずなんよ」
希「自分の第でそれが決まってしまうだなんて、えりちのプライドだってあるし……それにえりちもこの学校が好きなはず」
穂乃果「なら、なんで……」
希「責任感が強すぎたんや。そこで生徒会長である自分が好き勝手動いてしまったら、仮にも廃校が阻止されてしまったら、どれだけの迷惑がかかるだろうって」
穂乃果「……」
希「――羨ましいんやないかな、高坂君たちが」
穂乃果「え?」
希「自分達が信じることだけをして、好きなことをして、みんなで熱くなれて……そんな穂乃果ちゃん達が羨ましいって」
穂乃果「絵里ちゃんが?」
希「最終的には、どう思ってるかはわからないけどね」
海未「……十五分、経ちました」
絵里「そう」
絵里「音楽を流してちょうだい」
にこ「そんな、たった十五分で覚えられるわけないでしょ!?」
絵里「……ふぅ」
~~~~~~~~♪
にこ「!?」
花陽「すご、い」
真姫「なんなのよ……」
ことり「……」
海未「……」
絵里「ふぅ……どうかしら。サビの最後の部分は少しうろ覚えだったんだけど」
海未「お見事、です」
絵里「ありがとう」
絵里「これでわかった? あなた達が必死でやってきたものは、私の十五分に負けてしまうのよ? なら、もっと練習しなきゃいけない、もっともっと、ね」
絵里「――すべてが足りてないのよ」
絵里「それでやってきたつもりなのかしら、ふふ」
にこ「っ……」ギリリ
絵里「じゃあ今日は私、帰るわね」
バタン
にこ「なん、なのよあいつは!!!」
真姫「……」
海未「絵里……」
希「追いかけなくていいん」
穂乃果「え」
希「きっと待ってる。えりちは高坂君のこと」
穂乃果「はい!」
希「ここにいる人のみんなのフォローは任せといて」
希「えりちを悪役になんかさせないから」
◇――――◆
絵里『もう別れましょう?』
本心じゃなかった。でも私の口はそんなことをいとも簡単に発していて、それを聞いた彼の顔は酷く歪んでいたことを覚えている。
二人で別々の傘を持った私たちの間に沈黙が流れた。言葉も発さず傘に打ち付ける雨の鈍い音だけが間を埋めていた。
穂乃果『……や、だよ。別れたくないよ……』
絵里『……』
絵里『じゃあね』
後から酷く後悔した。この行動さえしなければ私はいまでも穂乃果と結ばれていたんだろうか。なにからなにまで全て全て全て全て私が悪いのに、穂乃果のせいにして、本心じゃないことを口にして、本当は止めてくれるんじゃないかって期待して、そんなわけもわからない複雑な感情に支配されていた中学校三年生の時の思い出。
穂乃果「――絵里ちゃん!!!」
絵里「……」
ふと、思い出の世界から引きずり出したのは、最愛の人の声。
私はその最愛の人の居場所を壊そうとした、コーチという名目で持って近づいて。
もう私がこの人と話す資格なんてない、そばにいることなんてもう絶対に――。
絵里「どうしたの」
穂乃果「……ありがとう」
絵里「は?」
穂乃果「絵里ちゃんの言ってたことは、大体正しい」
絵里「……」
穂乃果「無理言ってごめん、でも今日でみんな自分の力のなさに気がつけたと思う。穂乃果はあんなにはっきり言えないし、穂乃果が言ってもきっとあんまり意味はなかった」
絵里「……好きなのね、あのグループが」
穂乃果「うんっ」
もう私なんて穂乃果の眼中にすらないんだって思って、悲しくなった。あのグループに散々言って立ち直れないくらいまで散々言って、穂乃果の目を私に向けようと思っていた。
もう終わってしまった関係にいつまでもしがみついて、馬鹿みたい。
絵里「責めないの」
穂乃果「責めないよ」
絵里「どうして、自信を無くしてやめちゃう人だっているかもしれない」
穂乃果「そんな人はµ’sにはいないよ、きっと今頃みんな悔しがってる。今度こそ絵里ちゃんを見返そうって、練習してる」
絵里「そんなわけないわ」
絵里「私はあのグループを壊そうとしたのよ」
穂乃果「……」
穂乃果「どうしてそんなことしようとしたの?」
絵里「……」
絵里「な、なんでもない」
絵里「もう行くから、じゃあ後はがんばって」
穂乃果「待ってよ!!!」ガシッ
絵里「……」
絵里「なんで……なんで今なのよ!!!!」
穂乃果「え……?」
絵里「――もっと前に止めてよ!! 今じゃ、遅いのよ……!!!」ポロポロ
穂乃果「えっと……」
分かってる、全部私のわがままなんだってことくらい。きっと穂乃果は全然状況なんて理解出来ていないはず。それもそうよね、何一つとして言葉に出していないんだもの。言葉に出さずして察して欲しいだなんて、虫が良すぎること。
でも涙は止まらなくて、あの日のことだけが蘇ってくる。
絵里「ぅ、うう……」
穂乃果「絵里ちゃん……」
穂乃果「ごめん」ギュッ
絵里「……っ」
穂乃果「あの時のことだよね。絵里ちゃんが別れようって言った日」
絵里「え……」
穂乃果「……本当にごめん」
絵里「覚えて、くれてた、の?」
穂乃果「穂乃果ねずっと後悔してた、あの時なんで止めなかったんだろうって」
絵里「……」
穂乃果「ごめんね」
絵里「……」
穂乃果「ごめんね」
絵里「ううん、私が悪いの、全部全部」
絵里「穂乃果に振り向いて貰いたくて、でも穂乃果に話しかけられなくて……!! いざ話しかけられたと思ったらµ’sのことで、それが辛くて……!!! 楽しそうにしている穂乃果が……羨ましくて……嫉妬して……!!」
穂乃果「だからみんなにあんな風に辛く当たったの?」
絵里「ええ、最低でしょ」
穂乃果「そっか……なら絵里ちゃんの気持ちに気がつけなかった穂乃果が悪いね」
絵里「違う……!! そういうことじゃ……!!!」
穂乃果「ごめん……」ギュッ
絵里「ぅ、ぅ……ほの、かぁ……」
真姫「――先輩の前では随分弱いんですね、会長さん」
絵里「っ!?」
絵里「な、なによ……いたなら言いなさい……」ゴシゴシ
穂乃果「みんな……」
海未「お取り込み中申し訳ありません」
海未「――絵里、µ’sに入って下さい」
絵里「……は?」
真姫「……」
真姫「さっきはあんなこと言われたけど、あなたが何を思ってたのか想像したら、ね?」
絵里「……どういうこと……希」
希「んー? さっきも高坂君に羨ましいって言ってたばっかやん?」
絵里「聞いてたの……?」
ことり「私たちはまだまだ力が足りない、本当に全然。さっきの絵里ちゃんのを見ててそう感じたの」
にこ「ま、なかなかやるんじゃないの」
にこ「入りたいなら入れば、きっとそこの彼もそういうでしょうから」
穂乃果「……うん、そうだよ! 絵里ちゃん、穂乃果達と一緒にやろうよっ!!!」
絵里「い、いや……今更」
絵里「それに、例え廃校が阻止になったとしたらどれだけの迷惑がかかるか分かっているの!?」
花陽「……あなたはどう思うんですか」
絵里「え」
花陽「その……迷惑とか、その後のことを考えてても……後で後悔する、と思います」
希「そうやで。周りがどうなるかより、自分がどうしたいかで動いてみてもいいんやない? せっかくの高校生なんやから」
絵里「で、も……」
もう後悔したくないって、絶対に後悔しないって、後悔だけはしない。
穂乃果「――やろうよ、また一緒に!!」
絵里「本当に、いいの? あんなに酷いこと言ったのよ?」
真姫「今度はあんな酷いこと言わせないくらい私たちが上手くなるから心配しないで」
絵里「……ごめん。みんな、本当にごめんなさい……」
真姫「いいって言ったでしょ」
絵里「あり、がとう……」
穂乃果「――これで絵里ちゃんも穂乃果達の仲間だね!!!」
絵里「……ねえ穂乃果、話があるわ」
穂乃果「ん?」
チュッ
凛「にゃ!?」
真姫「は!?」
海未「え、り?」
にこ「っ!?」
ことり「……」
絵里「――私は穂乃果のことが、今でも好きです。付き合って下さい」
穂乃果「……」
絵里「返事は今すぐにでも聞きたいところだけど……ふふ、穂乃果も色々あるでしょうから、いつかでいいわ。卒業するまでに返事をくれれば」
穂乃果「……う、うん」
ことり「……」
希「全く……みんなの前だっていうのに」
にこ「少しは考えなさいよアホ」
真姫「……」
海未「絵里、もですか」ボソッ
ことり「……」ギリリ
絵里「……色々あったけれど、これからよろしくお願いします」
◇――――◆
後日
ツバサ「……五分遅れちゃったわね」
ツバサ「待ち合わせです、はい」
店員に旨を伝えて、店内を探す。どこかに座ってるはずなんだけど。
ツバサ「穂乃果さんは……」キョロキョロ
いた。窓際の角の方で携帯をいじりながら、なんだか退屈そうにしている。五分とは言え遅れちゃったしね……。
ツバサ「ごめんなさい穂乃果さん」
穂乃果「……?」
穂乃果「え、えっと」
携帯から目を離して、こちらを見た彼の表情はいつもとは違っていた。おかしいないつもならぱあっと明るい表情になるはずなんだけど。
……そっか、帽子にサングラスしてるからわからないのか。
ツバサ「――ごめんね、ツバサよ」スッ
穂乃果「あ!」パァッ
やっぱり、なんかこっちまで明るくなりそう。
ツバサ「ほんとにごめんなさい、こっちから呼び出したのに遅れちゃって」
穂乃果「ううん、いいんです」
穂乃果「変装とかするんですか?」
ツバサ「休日とかは街中だと帽子とか被ったりはするわ。昔囲まれてことがあるの」
穂乃果「大変なんですね……」
ツバサ「まあ店に入ったら普通にするけどね」
穂乃果「ツバサさんは普段の方がいいですよ」
ツバサ「ありがと」
ツバサ「で、いきなり呼び出しちゃってごめんなさい。今日はあなたにこれを渡しに来たの」
穂乃果「?」
穂乃果「なんですかこれ」
ツバサ「――A-RISEのライブの招待チケットよ」
穂乃果「……」
ツバサ「それがあれば今度のライブ、観ることが出来るの。お金はかかるんだけどね……」
穂乃果「で、でもアライズのチケットって……全然取れないって……」
ツバサ「そうみたいね。だから特別枠みたいなので穂乃果さんを、と思って」
穂乃果「こんなの頂いていいんですか……? もっと他の人に……」
ツバサ「あなたには見て欲しいのよ、スクールアイドルのトップってものを」
穂乃果「……ありがとうございます!!」ギュッ
ツバサ(手……)//
穂乃果「ほんとに嬉しいです! ありがとうございます!!」
ツバサ「喜んで貰えて良かった」ニコッ
穂乃果「……///」
ツバサ「……」
穂乃果「……」ギュッ
ツバサ「ふふ……いつまでこうしてる?」ニコニコ
穂乃果「ぁ……ご、ごめんなさいっ!!」///
穂乃果(ど、どうしよう……すっごく可愛いよぉ……)////
ツバサ(ちょっと可愛いかも)
ツバサ「……やっぱりあなた面白いわね」
ツバサ「――!?」
あんじゅ「ふふ」ニヤニヤ
英玲奈「なるほど……」
ツバサ「――!?」
ツバサ「な、な……////」
穂乃果「?」
窓の向こう。そこにはほとんど毎日顔を合わせている二人がいた。あんじゅはニヤニヤしてるし、英玲奈は角度を変えたりして穂乃果さんの顔を見ようとしている。
ツバサ「っ」
すぐに携帯を取り出して、グループに書き込む。
あんじゅ『ごめんね邪魔してー(≧∇≦)』
既にあんじゅから書き込みがあって、睨んでやろうと窓の外に意識を向けるけど、すでに二人はいなくなっていた。
二人から今日遊び行こうと言われてたけど……ウソでしょ……。
ツバサ「……絶対からかわれる」ズゥゥン
穂乃果「ツバサさん?」
ツバサ「なんでもないわ」
というか、なによ別に穂乃果さんはただの友達だしからかわれたって痛くも痒くもないじゃない? そんなこと意識するからダメなのよ。
……あれ、私は意識してた? そういえば同年代の男の子と二人でこんなとこ来るの初めてかも……。
それにあんじゅと英玲奈に見られた瞬間一気に顔が熱くなって……。
穂乃果「?」
ツバサ「……」チラッ
――……ま、そんな訳ないわよね。
◇――――◆
翌日
あんじゅ「ふふ」ニヤニヤ
英玲奈「うん、うん」
ツバサ「だー、もう!! なによ、なんなのよ!」
あんじゅ「別になんでもないわよー?」
英玲奈「久しぶりにµ’sのマネージャーの顔でも見るとするか」
ツバサ「言いたいことあるならはっきり言いなさいよ」
なんなのこの二人……!!
あんじゅ「まさかツバサちゃんがねぇ?」
ツバサ「ほんとに違うって言ってるでしょ」
英玲奈「敵の調査ってことかな」
ツバサ「そう、そういうこと」
英玲奈「――お、新しいメンバーが増えてるぞ」
ツバサ「え?」
英令奈「絢瀬絵里……」
あんじゅ「うわ、金髪、青い目……!」
ツバサ「綺麗な人ね」
ツバサ「よくあんな小さな高校にこんな人材がいるわね」
英玲奈「運命とか」
ツバサ「馬鹿馬鹿しい」
ツバサ「――なにがあろうと、勝つのは私達よ」
◇――――◆
真姫「――穂乃果先輩は絵里先輩のことが好きなんですか?」
穂乃果「え!?」
二人きりの音楽室、再度曲の調整という名目で二人きりの空間を作り出すことに成功していた。普通男の人だったら二人きりになったりとかしたら意識するものじゃないの? ……そんなに男の人との経験があるわけじゃないけれど……やっぱり私は意識されていないのかしら。
真姫「……」
穂乃果「い、いや……昔は好き、だったんだけど」
真姫「今は……?」
穂乃果「わかん、ない」
真姫「少なくとも検討の余地はあるってこと?」
穂乃果「……どうかな」
真姫「……そう」
真姫「――なら、私は……?」
そう呟くようにして聞いた時の声は酷く震えていた。なんで震えるんだろう、答えは分かっている。もし意識されていなかったら、無理なんて言われてしまったら。穂乃果先輩がそんな酷いことをいうはずもないことは分かっているのに、身体は恐怖で震え出す。
自分には自信があるほうだ。でも穂乃果先輩になんて思われているか考えるだけで、怖い。
穂乃果「?」
真姫「な、なんでもない」///
大きな瞳に見つめられると私が私でなくなってしまうような錯覚に陥る。
それとともに、忌まわしい記憶も。
真姫「……この前は、ごめんなさい」
穂乃果「え? あ……う、うん……全然」
真姫「引いたでしょ? 高校生にもなって」
穂乃果「あれは仕方ないことだし」
じわり。あの日から私の中の何かが変わってしまった。トイレはすぐに行ける状況でも我慢するようになったし、一人で慰める時は……我慢しながらすることが多くなった。
自分が何故そんなことで興奮を覚えるようになったのかはわからない。でも、少しずつ変な方向に進んでいる実感はあった、これが穂乃果先輩にバレてしまったらと思うと……怖くなるけども、身体は熱くなる。もし、また見られながら漏らしたら……。
真姫「……////」
……どうしよう、私こんな変なこと考えてる。好きな人でこんな変なこと……。
【西木野 真姫 が新しい性癖に目覚めたようです】
穂乃果「顔真っ赤だよ?」
真姫「う、うるさい」
真姫「ほ、穂乃果先輩は……彼女とか何人くらいいたんですか?」
穂乃果「え? うーん、結構いたような……」
真姫「……」
穂乃果「真姫ちゃんは? 可愛いからそういう経験多そうだね!」
真姫「……ないですよ」
穂乃果「うそだー」
真姫「無いです! 悪かったですね無くて」
穂乃果「へぇ……意外……」
穂乃果「男遊び好きそう!」
真姫「ひど……」
真姫「私ってそうみえるんですか」
穂乃果「真姫ちゃんは好きな人とかいるの?」
真姫「っ……」
真姫「い、ます」
穂乃果「へぇ……きっと背が高くてイケメンなんだろうなー」
真姫「……」
そんなこと、ない。イケメンかイケメンじゃないかはわからないけど、女々しくて私より背が低くて、でも……とっても優しい人。
真姫「……穂乃果先輩、私は――」
凛「――あー二人してサボってるー!」ガチャ
ことり「えー?」
真姫「……凛」
凛「ダメだよ真姫ちゃん穂乃果ちゃんと話してるだけなんて」
真姫「こ、これは……」
ことり「……なるほどぉ」
穂乃果「サボってたわけじゃないから大丈夫だよ、ね?」
真姫「え、ええ」
凛「えー?」
凛「むぅ……」
ことり「……」
穂乃果「な、なに……?」
凛「なんでもないもーん」
ことり「……」
凛「とりあえず戻ろうよ、絵里先輩が怖いのー」
穂乃果「あはは厳しくなったからね」
穂乃果「真姫ちゃん行こ?」
真姫「ええ……」
ツバサと真姫ちゃんが似た感じしまうのですが、どうしてでしょうか。見た目で脳内補完して下さい、どちらも可愛いですね。
また今度。
◇――――◆
にこ「……」
穂乃果「絵里ちゃん絵里ちゃん」
穂乃果「真姫ちゃん!」
穂乃果「なにそれことりちゃん!」
穂乃果が他の人の名前を叫ぶ。順番てわけじゃあないけれど、平等にみんなに対して仲良く優しく。
この前のあれはなんだったんだろう。みんなの前で、まるで宣言するかのように穂乃果に告白をした生徒会長の様子には変化がない。
あくまで平然と。
にこ「……」
なんだか、胸が痛い。あの告白があってから、私は穂乃果のことを目で追うようになっていた。誰と仲が良いのか、誰のことを気にかけているのか――誰のことが好きなのか。
穂乃果「にこ先輩!!」
にこ「え? ああ、うんごめん」
穂乃果「もお……」
穂乃果「あ、ねえねえ凛ちゃん!」
離れていく。一瞬和らいだ胸の痛みは、穂乃果が離れていく距離に応じて復活してくる。
痛い、胸が痛い。
――いつか恋をしてみたいだなんて思ったことがあった。きっと清々しくて毎日が楽しくて……でもこんな胸の痛みを伴うものだなんて知らなかった、こんなことなら……恋なんてしたくなかった。
いつからなんだろう、私があんな人を好きになるだなんて……。
凛「あ、穂乃果ちゃん耳かしてー」
穂乃果「?」
凛「」コショコショ
もし想いを伝えることが出来たなら、この胸の痛みは消えてくれるのかな?
◇――――◆
凛の部屋
穂乃果「おいしー、すごいこれ凛ちゃんが作ったの?」
凛「え、うん……がんばってみたにゃ……」
穂乃果「ことりちゃんにも負けてないよっ」
凛「それは言い過ぎだよ」
凛「……」
穂乃果「テンション低い?」
初めて作ったお菓子を穂乃果ちゃんがおいしいって言ってくれる、でも今の凛はそんなこと、頭になかった。だってこれはただの口実で穂乃果ちゃんと二人きりになりたいだけだったんだもん。
凛「……」
凛「絵里先輩から告白、されてたね」
穂乃果「……」
凛「どうするの?」
穂乃果「えっと……」
凛「……凛は穂乃果ちゃんのこと好きだよ?」
穂乃果「……」
凛「ごめん……困っちゃうよね」
穂乃果「返事をすぐ返せない穂乃果が悪いんだよ……」
凛「そんなことない」
凛「ねえ……」ギュッ
穂乃果「っ」
穂乃果ちゃんの小さな背中に抱きつく。ぴくんと身体を震わせるけれど、凛を振りほどくようなことはしない。
凛「凛と穂乃果ちゃん、どんな関係だっけ?」
穂乃果「とも、だち……?」
凛「ざんねん。惜しいよ。友達は友達、でもね前に言ったよね?」
凛「凛と穂乃果ちゃんはセックスフレンド、でしょ?」
凛「今の凛と穂乃果ちゃんはえっちだけする関係、そうでしょ?」ペロッ
穂乃果「……ふ、ぁ。ちょっと凛ちゃんいきなりどうしたの」
凛「……別に、ただえっちしたいだけだにゃ」
穂乃果「凛ちゃんがそんな簡単にえっちだなんていうわけないよ」
穂乃果「何か悩み?」
凛「――穂乃果ちゃんのこと、だよ……。返事は後でいいけど……不安なの」
凛「絵里先輩はとっても綺麗で可愛くてスタイルもよくてなんでも出来て……凛が勝ってるところなんて一つもない」
穂乃果「……」
凛「――ねえ教えてよ、凛が本当に女の子なんだってこと」
穂乃果ちゃんはふっと深呼吸した後、凛を振りほどいてそっと肩に両手を下ろした。穂乃果ちゃんの雰囲気がさっきとは打って変わっていることに気がついて、少しだけ身体が硬直する。
穂乃果「んっ……」
穂乃果ちゃんと凛の唇の距離がゼロになる。前は自分からした行為、今回は穂乃果ちゃんからしてくれた。
凛「嬉しい……」
でも、複雑。まだ恋人じゃないんだ、こんなことしてるのに恋人じゃないんだ。穂乃果ちゃんは悪くない、こんなこと無理やりさせてる凛が悪いんだ。
穂乃果「……さ、最後までしちゃうよ? 本当に大丈夫?」
凛「うん」
凛「は、初めてだから……その、優しくして」
穂乃果(初めて……か)
海未『――いやぁっっ!!』
穂乃果「……」ズキッ
穂乃果「や、やっぱり初めては大切な人がいいんじゃ――」
凛「凛の大切な人は穂乃果ちゃんだもん」
凛「お願い、もう昔のことなんて忘れて?」ギュッ
穂乃果「……」
凛「……」スッ
穂乃果「!?」
凛「こんなにちっちゃい胸でごめんね?」
穂乃果「……」ドクッドク
にこ『手を出すなら一人にしなさいよ』
穂乃果(凛ちゃん可愛い……//す、少しだけ……少しくらい、いいよね……?)
穂乃果「凛ちゃんっ」バッ
凛「やっとその気になってくれたね」
穂乃果「はぁはぁ……」ムニュムニュ
凛「んっ♡」
穂乃果「かわいい」
凛「や、やめてよ……」
穂乃果「やめないよ、凛ちゃん可愛いもん」
穂乃果「凛ちゃんは女の子だよ、ほらこんなに……」
凛「……////」
今の穂乃果ちゃんはちゃんてつけるのが失礼なくらいかっこよく見えて、自然と顔を逸らしてしまう。胸に触れていた冷たい手が、優しくなでるように這い回る。
凛「はふぁ♡」
凛「なんか、ジンジンするっ……♡」
穂乃果「それが気持ちいいってことだよ」
穂乃果「ほら、もうすっごく硬くなってる」
凛「ふぁぁ……♡」
穂乃果「凛ちゃん一人でしたこととかある?」
凛「うぇ……えっと……う、うん……」////
穂乃果「良かった。じゃあちょっとは慣れてるんだ」
穂乃果「電気は消した方がいい?」
凛「大丈夫だよ」
穂乃果(海未ちゃんよりは……やりやすそうだね)
凛「ね、ねえ……凛、もう……」モジモジ
穂乃果「え?」
凛「ぅぅ……///」
穂乃果「……くす、えっちだね凛ちゃんは」
穂乃果「今してあげる」
クチュ
凛「んっぁ……♡」
穂乃果「すっごい濡れてるよ」
凛「んっ♡はぁはあ♡」
凛「穂乃果ちゃぁん……♡」
穂乃果「ここ気持ちいいんだ」クリックリ
凛「んんんんっぅ♡」
凛「はっ♡ぁ♡」
穂乃果「ふふっ……」ゾクゾク
穂乃果「ほんとすごいことになってる……」クチャクチャ
穂乃果(ことりちゃんより濡れやすいかも……?)
凛「はぁ♡はぁ♡」
穂乃果ちゃんの声が少しだけ遠く聞こえる。自分の身体が自分のものじゃなくなったみたいにぐねぐね動いて……気持ち悪い。
穂乃果(ちゃんとほぐさないと……)
穂乃果「――指入れるね」
チュプ
コツッ
穂乃果(あれ、もう奥…? すっごい浅い……こんな浅いとおちんちん全部入んないよ……)
穂乃果ちゃんの指が凛の膣内で蠢く。なんだかお腹の辺りが苦しい、とんとんってノックされるみたいな……。
凛「んぅ……///」
穂乃果(……これ、なんだろ?)クチュッ
凛「――ひゃぁっっっ!!!♡♡」ビクンッッ
穂乃果「うわっ……大丈夫?」
凛「ご、ごめ……びっくりしちゃって」
凛(い、いまの、なに!?)
凛(他のとこと、全然違った)
穂乃果(さっきのとこ……気持ちいいのかな……? 奥の……子宮の入り口のとこだよね多分)
穂乃果「痛かったら言ってね」クチュ……スリスリ
凛「んっ♡ひゃぁぅああああっ!!♡♡♡」プシュップシャ
凛「ダメ、ダメぇ!!♡なんか、変なのそこはダメなのっ♡ふぁ……や、おかしくなる♡やっ、らやぁああああ♡♡」/////バタバタ
穂乃果「ちょ、暴れないでよ」
凛「ハッーァハーッー♡♡」
穂乃果「もしかして……いっちゃった?」
凛「わかん、ない……」
穂乃果(どうしたの、こんな反応……あそこってそんなに気持ちよくなるとこだっけ……ことりちゃんはあそこちょっと痛いって言ってたような……)
穂乃果「痛かった?」
凛「ううん」ビクッ
凛「はぁ……♡なんか、やばいのぉ……♡」トローン
凛「ねえ、もう一回触って……?」
穂乃果(な、なんかすっごいえっち……)
穂乃果「ここでいいの?」
凛「んっはぁっ♡♡はぅぁ♡そこ、そこぉ♡やっぁ♡」ビクビクビク
穂乃果「んふっ、もっと気持ちよくなっちゃえ」
凛「や、やだぁっっ♡やめて、やめて♡り、ん! おかしくなるのぉ♡ふぁっ♡んぅぁっ!♡」
凛「また、んっぅクぅ♡っ!!!♡」
凛「んっぁあああああっ♡♡」ガクガクガク
凛「ハッハッハッ♡ンッァアア……♡」
身体に力が入らない、目もチカチカする、あれ凛はなにしてるんだっけ。わかんない、ただすっごく気持ちのいいことがあったってことだけ覚えてる。
ダメ、眠い。まどろむ視界に抵抗することすら、いまの凛には出来そうになかった。
凛「すぅ、すぅ……」
穂乃果「え……?」
穂乃果「寝ちゃってる?」
穂乃果「これどうしよう……」ビンビン
穂乃果「んっ……♡」
穂乃果「はぁはぁ……♡」シュコシュコ
穂乃果「凛ちゃん……♡凛ちゃん♡」グチュクヂュ
穂乃果「んっ、ぁ♡」ビュッルルルルル
穂乃果「はぁはぁ……♡」
凛「すぅ……すぅ……」
穂乃果「あ……顔にかけちゃった……」
穂乃果「ごめんね」フキフキ
穂乃果「で、どうしよう……」
――――1時間後
凛「んっ……」
凛「あれ……」
穂乃果「おはよう」
凛「あ、おはよう」
凛「凛はなにを……」
穂乃果「疲れて眠っちゃったみたいだよ」
凛「……あ、えっちしてたんだ」
凛「……////」
凛「あれ、てことは凛……勝手に一人で気持ちよくなって一人で寝ちゃってたの?」
凛「ごめん……」
穂乃果「ううんいいよ」
凛「それより、どうしたの?」
穂乃果「なにが?」
凛「そ、その……興奮してたでしょ?」
穂乃果「え、えっと……」
凛「――あれ、なんか髪の毛がカピカピ……」
穂乃果「っ」
凛「……」
凛「……もしかして、一人でシテ凛の顔にかけたの?」
穂乃果「ご、ごめんっ!!」
凛「ううん、凛が寝たのが悪いの」
凛「今度こそする――」クラッ
凛「あれ……」
穂乃果「大丈夫?」
凛「なんか下半身に力……入らない」
穂乃果「……」
凛「……またしたい、すっごく気持ちよかったの。ねえしよ? 凛の膣内に指入れてまたあそこいじって……?」トローン
穂乃果「凛ちゃんなんか、大丈夫?」
凛「だって気持ちよかったの!!」
穂乃果「……」
穂乃果(凛ちゃんのあの反応、普通じゃなかったよね……? 今度ことりちゃんで確かめてみようかな……)
穂乃果「今日はやめよ? 凛ちゃんまたあんなになっちゃったら立てなくなるよ?」
凛「むぅ……」
凛「いいもん、一人で弄るから……」
穂乃果「それもダメだよ……いやダメとは言えないけど……」
凛「――今日、キスしてくれたね」
穂乃果「え……」
凛「嬉しかったよ」
穂乃果「……」
凛「凛は待ってるから」
穂乃果「……」
穂乃果「う、ん」
穂乃果(また、手だしちゃった……。付き合っても、ないのに……)
穂乃果(待って、それならことりちゃんは……嫌な思いしてるかもしれない? ずっと穂乃果がしたいって言って振り回して……)
穂乃果(どうすれば……)
◇――――◆
穂乃果「ただいまー」
雪穂「……」
穂乃果「あ、雪穂まだここにいたんだ」
雪穂「別にいいでしょ」
穂乃果「まあね」
雪穂「――最近あんた帰ってくるの遅いね」
穂乃果「色々あるから」
雪穂「どうせ女の子の家とか行ってるんでしょ?」
穂乃果「う……」
雪穂「やっぱり」
穂乃果「雪穂はそういうのは?」
雪穂「……私は別に。穂乃果と違ってモテるわけじゃないし」
穂乃果「そうかなぁ、雪穂可愛いのに」
雪穂「ぅ、褒めてもなんもしてあげないよ」///
穂乃果「おっぱいが小さいからとか?」
雪穂「死ね」
穂乃果「ごめんなさい……」
穂乃果「雪穂は彼氏とか欲しいの?」
雪穂「……うーん、そういうのは今のところいらないかな」
穂乃果「そっか」
雪穂「……」
穂乃果「――雪穂、今度どこかでかける?」
雪穂「え」
穂乃果「今彼女もいないしさ、気軽に行けるの雪穂くらいなんだよね。友達誘ってもいいんだけど」
穂乃果「最近全然雪穂とは話してないし、出かけてもなかったし」
雪穂「……行こうかな」
穂乃果「やった」
雪穂「……ねえ」
穂乃果「んー?」
雪穂「もし私があんたと兄妹じゃなかったらさ、どうだった?」
穂乃果「どうってなにが」
雪穂「いや……やっぱりなんでもない
穂乃果「?」
雪穂「っ……」
【穂乃果が雪穂のことを時々気にかけるようになりました】
◇――――◆
翌日 練習後
穂乃果「……んっ」
ことり「ね、ねえ……」ツンツン
穂乃果「なあに?」
ことり「久しぶりに、その……え、えっちしたいんだけど」////
穂乃果「っ!?」
穂乃果「……//」
穂乃果「あー、どうしようかな?」
ことり「……してくれないの?」
穂乃果「どうしたの突然?」
ことり「……前は突然でもしてくれたじゃん」
穂乃果「でも……」
ことり「……」
穂乃果「なんだかことりちゃん変だよ?」
ことり「そんなことないと思うんだけど……」
ことり「溜まってないの……?」
穂乃果「うーん、なんでだろう。最近あんまりそういうことしたいって思わないっていうか……」
穂乃果「したくなっても一人でするから大丈夫だよ? ことりちゃんには色々負担かけちゃってるし、そんなことさせられない」
ことり「……」
ことり「ことりのことはいいから、ね?」
穂乃果「――身体は大切にしよう?」
穂乃果「今更言うのもあれなんだけどさ……」
ことり「っ……」
◇――――◆
二週間後
希「んー……タイミング逃したなぁ」
絵里「なにが?」
µ’sのメンバーの一人、えりちがウチに向き直る。
希「んー……いやー、ねえ?」
今更µ’sに入りたい、だなんて。
絵里「どうしたの一体」
絵里「はい、これで終わり」
希「お疲れさま」
絵里「じゃあ練習してくるわね」
希「……最近楽しそうやね」
絵里「そうかしら?」
希「うん、なんか生き生きしてるっていうか」
絵里「……あの子達に救ってもらったのかもしれないわね」
希「きっとそうやね」
絵里「酷いことも言ったから……少しでも力になれるといいんだけど」
希「えりちなら力になれるよ」
絵里「そうだといいんだけど……希は帰るの?」
希「あー……うん、そうやね」
絵里「……」
絵里「そう、じゃあバイバイ」
絵里「――あ、お酒は飲んじゃダメよ」
希「わ、わかってるって」
希「じゃあね」
バタン
希「――楽しそうやなあ」
希「……高坂くんに誘われた時、入ってれば良かったかも」
希「……まあ今更言っても遅いよね」
希「さ、神社行こうか」
ガチャ
にこ「あ、いたいた」
希「にこっち」
にこ「あんたこれから帰り?」
希「まあそんなとこやけど」
にこ「なら一緒に帰りましょうよ」
希「でも家の方向……」
にこ「私そっちの方で買いたいものがあるのよ」
希「買いたいもの?」
にこ「まあそんなとこよ」
希「……」
希「なーんか怪しい……?」
◇――――◆
希「そろそろなにがしたいか言ってくれてもいいやん?」
にこ「……」
にこ「めんどうな人ね」
にこ「なんかあんた最近元気ないなって」
希「っ……そ、そう?」
希「ウチは全然大丈夫やって!」
絵里『にこ……少しだけいい?』
にこ『なによ』
絵里『希のことなんだけど……にこは希と仲が良いわよね?』
にこ『まあ、そこそこ……』
絵里『相談があるの』
にこ『……』
絵里『最近、希が元気なくて……』
にこ『生理なんじゃないの』
絵里『いや違うみたいだし……とにかく、なんか変なのよ』
にこ『変ねえ……』
絵里『寂しそう、ていうか……』
にこ『寂しそう?』
にこ『ま、とりあえず様子見ね』
にこ『ていうかあんたが聞いてダメならみんなダメなんじゃ……』
それは絵里がµ’sに入ってから一週間後のことだった。急に希が変だなんて言われても、私は全然わからないし検討もつかなかった。まあそれでも希のことを観察するようになったから絵里が私に相談してきたのは正解って言えるわね。
にこ「……あんた、自分は感情隠すの上手いとか思ってるでしょ」
希「は、はあ?」
にこ「……わかるのよ? あんたがいつもと違うことくらい」
希「……」
にこ「……なんかあったの」
希「いや……別になんでもないから」
にこ「そう、ならいいんだけど」
言ってくれないか……。
ここ最近の希を見ていて分かったことは、よくため息をつく。あと……一人でいることも多い気がした。いつもなら絵里が隣にいる気がするんだけど……。
にこ「どっか行く?」
希「連れ出したのはにこっちやん」
にこ「そう、だったわね」
希「――でも……今日は家に帰らないと」
にこ「どうして?」
希「えっと……」
……。
希「に、にこっちだって練習さぼってきてるんやろ?」
にこ「う……」
希「早く練習行きなさい」
にこ「はぁ……はいはい」
にこ「……なんかあったら言ってね」
希は手を振って、私もそれに応えながら学校へと向かった。
希とは結構昔から友達で、色々助けて貰ったことだってある。
……だから私も力になってあげたいんだけど……。やっぱり絵里でも無理だったのを私なんかじゃ無理なのかな。
電車の時間を確認して、駅のホームへ。
穂乃果「――あれにこ先輩!」
にこ「ほ、穂乃果」ドキッ
どくどく、その声が耳に入った瞬間心臓の鼓動が早くなって、顔も熱を帯び始める。もう嫌だ、こんな、こんな……。
穂乃果「どうしてこんなとこに?」
にこ「あ、まあ色々」
穂乃果「へえ……あ、学校行くんですか?」
にこ「そうよ」
穂乃果「なら一緒ですね」
にこ「そ、そう……」
穂乃果「あ、ことりちゃんは今日休むって言ってましたよ」
にこ「どうして?」
穂乃果「さあ……理由までは」
にこ「ふぅん……」
「――あ、高坂くんだ!!」
穂乃果「ん? あ、茜と海音だ」
突然穂乃果に話しかけてきた女の子二人組……結構可愛い。
「この電車だっけ?」
穂乃果「そうだよー」
「……彼女さん?」
にこ「え、あ……いや」
穂乃果「違うって、音ノ木の先輩」
「へえ」
穂乃果「ほら前に言ったでしょ?」
「そういえば言ってたねー」
「なにしてるの一体?」
穂乃果「ごめん電車来ちゃった」
「じゃあ今日メールするねー」
穂乃果「うんっ」
穂乃果「いこ」
穂乃果に腕を掴まれてそのまま電車へ。
にこ「……」
穂乃果「どうしたの?」
にこ「あの子たちと仲良いの?」
穂乃果「クラスが一緒なだけだよ」ニコッ
にこ「……」ドキッ
きっとそれは本当なんだろう、でも……穂乃果が他の人と親しくしているのを見ていると、辛い。穂乃果は私のものってわけでもない、穂乃果にとっては私とあの二人組は同じ扱いなんでしょうね……。こんなに好きなのに、穂乃果はなんとも想ってない。
にこ「……っ」
穂乃果「?」
穂乃果「そういえばなんでにこ先輩はここにいたんですか?」
にこ「希のことでちょっと」
穂乃果「希先輩? へー……」
穂乃果「――希先輩、µ’sに入ってくれないかなー」
にこ「は?」
穂乃果「結構誘ってるんだけどね」
にこ「そういえば……
」
穂乃果「うん、ずっとお世話になってるから。可愛いし」
にこ「あんたね……」
穂乃果「あと……胸がおっきい!」
にこ「……」
穂乃果「あ……」チラッ
にこ「喧嘩売ってんの?」
穂乃果「い、いやーそういうつもりでは……」
にこ「まあ……あんたの言うことも合ってるわよ」
にこ「――µ’sには……身体で売り込める人が少ない!」
穂乃果「え?」
にこ「……身体ってのは重要でね、悔しいけど私じゃあ身体で売ることは出来ないでしょう?」
にこ「µ’sでいけそうなのは……絵里。これは文句ないでしょう、男から見てもそうでしょ?」
穂乃果「ま、まあ」
にこ「あとはスレンダー枠で真姫ちゃんが行けるかもしれない、くらいかしら……あとことりも……かな」
穂乃果「な、なるほど」
にこ「まあ……希のあのダイナマイトなら身体でも売れると思うわよ」
にこ「ってフォローをしたわけだけど……あんた希のこと胸でしか見てないのね」
穂乃果「そ、そんなことないですっ!」
にこ「はぁ……小さくて悪かったわね」
穂乃果「いや別に……」
にこ「あんたは大きいのが好き?」
穂乃果「え、えっと……」
にこ「まあ普通そうよね」
にこ「……」
穂乃果「な、なんかごめんなさい」
にこ「謝んないでよ……こっちが悲しくなる」ペターン
にこ「希のこともう一回誘ってみればいいじゃない」
穂乃果「……そうだね」
穂乃果「にこ先輩はいい?」
にこ「もちろん」
にこ「最近あいつ元気なくて……絵里から相談されてたのよ」
穂乃果「そうなの?」
にこ「なんでかはわからないけれど、きっと寂しいんじゃないかって」
にこ「あいつも色々あってね……人には敏感なのよ」
穂乃果「……そうだったんだ」
穂乃果「うん、入れよう! 希先輩をµ’sに!」
◇――――◆
雨雲が空を覆い尽くし始めた頃、ウチはある人物のことを追っていた。
希「――なんでことりちゃんがメイド喫茶に……それも一人で、練習も休んで……?」
帰ろうとした時、見知った後ろ姿が走っていくのを目撃した。それがことりちゃんだってことはすぐにわかって、なんだか本能的に追いかけてしまっていた。
希「入ってみる……?」
ことりちゃんがメイド喫茶に入っていったのは――裏口からだった。
それが意味するのは……つまり関係者ってこと、だよね?
ウチはメイド喫茶の入り口にたって、鮮やかなポップを眺める。
希「へーこんなんもあるんや、とりあえず入ってみよ」
ことり「――お帰りなさいませ」
希「……」
ことり「え……」
希「や、やあ」
◇――――◆
公園
ことり「うわあああああああ!!」
ことり「なんでよりによって今日来たんですかぁ!!!!」
希「い、いやあ……ことりちゃんが裏口から入るのを見ちゃって……」
ことり「もお……誰にも言わないで下さいよ……?」
恥ずかしさからか、目に涙を浮かべて、顔を真っ赤にしている。かわいい。
希「まさかバイトしてるなんてねー」
希「ミナリンスキーっていうんや、あれこれって聞いたことあるかも……」
ことり「本当にみんなには内緒で……」
希「でも、なんでバイトなんて?」
ことり「……」
ことり「衣装代が……その、部費じゃ賄えなくて」
希「……自分で出してるの?」
ことり「……」
希「それは……褒めていいのかな」
希「みんなは……」
ことり「大丈夫なんですっ、自分がそうしたいって思ってるだけですから!!」
ことりちゃんは必死で訴えてくる。µ’sのために自分を犠牲にして……。
ことり「だって……私はあのグループが出来てから楽しいことばかりなんですよ。今更失速したくないんです」
希「µ’sが大好きなんやね」
ことり「はい」
希「……羨ましいなあ」
ことり「え?」
希「ううん……」
ことり「なにが羨ましいんですか?」
希「え? い、いや……」
ことり「……」
ことり「希先輩、少しは自分のことも考えて下さいね。なんだか……人のことばかり考えている気がします……」
希「……人のこと」
ことり「希先輩にはずっと助けて貰ってばかりでしたから……今度はことり達も力になりたいなって」
希「……」
希「――ウチをµ’sに入れてくれん?」
ことり「え……」
【ミナリンスキーのことが希にバレました】
◇――――◆
穂乃果「希先輩をµ’sにいれますっ」
絵里「どういうこと?」
穂乃果「どういうこともこういうこともありませんっ、いれたいから入れるんです」
海未「ちょ、ちょっと穂乃果理由は……」
にこ「胸が大きいからだそうよー?」
穂乃果「にに、にこ先輩……それは」
海未「……」
凛「む……」
真姫「どういうこと?」
穂乃果「ま、まあそれは置いておいて……」
にこ「メリットから話すと、希がいるとメンバー間のスタイルのバランスが取れやすくなるの。大きい人が少し足りないと思わない?」
穂乃果「だ、だからぁ……」
海未「なるほど」
にこ「ま、メリットだけじゃ入れる理由にはならないけどね。穂乃果は昔から誘ってたみたいだし」
海未「そうなんですか?」
穂乃果「ことあるごとに誘ってたんだけど大体断られて……」
穂乃果「なんだか希さんと話していると安心するっていうか……」
穂乃果「わかんないけど……そばにいてほしいっていうか……」
絵里「そんなふうに言ってもらえるなら希も嬉しいと思うわ」
絵里「希……なんだか最近寂しそうだったから」
にこ「……多分絵里がµ’sに入ったからだと思う」
にこ「最近あんた希と一緒にいないでしょ」
絵里「前よりは減ったわね」
にこ「……やっぱりそうなのね」
穂乃果「みんなそれでいいかな?」
◇――――◆
帰り途
海未「……穂乃果には驚かされてばかりです」
穂乃果「ん?」
海未「もし、私とことりだけだったら……メンバーは今でも二人だったかもしれません、なんて」
穂乃果「そんなことないよ」
海未「穂乃果は凄いですね」
海未「みんなを巻き込んで……すごいことをしてくれる……」
穂乃果「……」
穂乃果「ううんみんながやりたいって気持ちがあるから、穂乃果はそれを少しだけ押してあげてるだけだよ」
海未「それがすごいんですよ」
穂乃果「そうかなぁ?」
海未「はい」
海未「……」スッ……ギュッ
穂乃果「!?」
海未「て、手くらい……いいでしょう?」////
穂乃果「う、うん……」
海未「私の家まで……いいですか」
穂乃果「……////」
海未「……絵里のこと、どうするんですか」
穂乃果「……」
海未「そうですよね」
海未「……私はあなたに選んで貰えなくても、仕方ないと思っています」
穂乃果「え」
海未「だって、穂乃果の周りには魅力的な人が多すぎるんです。でも……そのなかで私をえらんでくれるというのなら……私はとても嬉しいです」
海未「ごめんなさいこんなことをいきなり、困りますよね」
穂乃果「いや……」ドキドキ
海未「私、知っているんですよ。凛と穂乃果が付き合っていたこと」
穂乃果「え……?」
海未「ことりは知らないようですが……」
穂乃果「どうして?」
海未「いつだったか手を繋いでいるところをみました。……クリスマスでしたかね」
穂乃果「そっ、か」
海未「――凛からも告白されているんじゃないですか?」
穂乃果「……」
海未「……穂乃果にとって、一番良い人を、選んで下さいね。きっとみんな喜びますから」
――プルルルルル
穂乃果「ごめん――ことりちゃんから」
穂乃果「もしもし」
希『あ……ごめんことりちゃんの電話借りとるんよ』
穂乃果「どうして希先輩が……」
希『うん……ちょっと話があって』
穂乃果「?」
希『……ウチをµ’sに入れて下さい』
穂乃果「え……?」
希『ずっと、一緒にやりたかったんやけど、その……怖くて。ウチ昔から転勤族で人と深い関係になるのが怖かった。高坂くんに誘われても……なんだか怖くて……』
希『深い関係になるのはえりちとか一部のひとだけでいいやって思ってたところもあった』
希『でも……みんなを見てたら――』
穂乃果「――大歓迎ですよっ!」
穂乃果「そもそもずっと誘ってたじゃないですか! 最初からずっとずぅっと!! 思えばµ’sのメンバーに勧誘したのは希先輩が初めてなんですよ!?」
希『あの時の神社……?』
穂乃果「もう二ヶ月は経っちゃいましたけどね……」
穂乃果「――明日から練習始めますよ? 練習着もってきて下さいね?」
希『……うんっ』
希『じゃあね!』
ことり『あ、待って代わって下さい』
ことり『もしもーし、良かったね!』
穂乃果「ことりちゃんが色々してくれたってこと?」
ことり『うーん、ほんの少しだけだよ?』
穂乃果「ありがとことりちゃん、やっぱり流石センター!」
ことり『それ関係ないし』
ことり『じゃ、また今度ね』
穂乃果「はーい」
ブツッ
海未「良かったですね」
穂乃果「希先輩が入ってくれるって!!!」
海未「……これであの大きな胸をいつでも見られますね」
穂乃果「え……い、いやだからそういうわけじゃなくて」
海未「……」
穂乃果「もお、違うってばー!」
◇――――◆
希「んあー今日くらいいいよね?」
お家に帰ってきてからホッと一息。
今日はなんだか色々なことがあった気がする。自分のなかの殻も……少しだけ破れたかな?
えりちがお酒は飲むなーって言ってたけど……今日くらい、ね?
冷蔵庫を見て、そのなかから缶を一本取り出す。少し前に親が間違えて送ってしまったものを飲んだことがきっかけで……定期的に送ってくるようになった。別に嫌と断ればいいんだけれど、その……結構美味しかったりするんだ。
もちろん未成年だからおおやけには飲めないけれど……まあこれくらいの年になれば飲んだことある人だって多いはずやん? だから少しくらいは神様だって……見逃してくれるはず。
希「んぐっ……」
ベッドに座って、その液体を流し込む。するとすぐに頭がくらくらしてきて、視界もゆがむ。この感覚が好きでみんなはお酒を飲むんだろうなー。ウチはかなり酔いやすいみたいで以前えりちと一緒に飲んだ時の記憶もない。
ていうかえりちも一緒にあの時は飲んだんやから注意出来ないよねえ?
希「ふにゃ……」
希「ねるー」
あ、そういえば明日から練習参加できるんやっけ。……楽しみだなぁ。ことりちゃんに背中を押して貰えて良かった、ことりちゃんじゃなくて他の人に話していたらどうなってたかな。
きっと結果は同じはずよね? みんな良い人ばかりだもん。
◇――――◆
翌日
にこ「穂乃果から聞いた」
花陽「これで9人ですね」
にこ「全く……入りたいなら私にも言ってくれれば良かったのに」
希「なんか言い出せなくて」
にこ「ま、いいけどね」
にこ「でも穂乃果」
穂乃果「?」
にこ「これ以上人数増やすのはやめた方がいいんじゃない?」
穂乃果「えどうして?」
にこ「流石にこれ以上後から入ってくると統率だって取れなくなるし、練習内容だっておのおので変わってきちゃう。今ならいい具合にみんな同じくらいだし、希だってまだまだ追いつける」
穂乃果「でも8人だとセンターが作れないよ……?」
にこ「そんなの昔からそうやってきてるでしょう?」
絵里「私もその方がいいと思うわ」
絵里「あんまり増えすぎても……ね?」
穂乃果「うーん……」
絵里「なにももう募集は停止するって言ってるわけじゃないわ。ポスターとかは剥がして大々的な募集はやめるけれど、入りたいって子がいたら考えればいいでしょう?」
絵里「希みたいな子も現れるかもよ?」
穂乃果「なるほど……」
希「――多分、そういう人は現れないんやないかな」
絵里「どうして?」
希「µ’sってグループ名、箱に入れたのウチなんよ」
ことり「え!?」
海未「本当ですか!?」
希「うん」
凛「凛知ってるよ!! 最初の方にあったやつだよね」
穂乃果「希先輩だったんですか」
絵里「それとなんの関係があるの?」
希「占ってみたんよ、このグループを。そしたら九人の女神が見えた気がしてな、それでµ’sって名前にしたんよ。あ、神話で女神のことを表す言葉ね」
穂乃果「でも九人なら……」
希「その九人目は、高坂くん、君やと思うんや」
穂乃果「は……? 男、なんだけど……」
希「うんそうなんやけど……なんかそんな感じがして。女神みたいな人っていうか」
穂乃果「うーん……」
ことり「いいじゃん穂乃果ちゃんが女神様で!」
穂乃果「だからなんでー!」
にこ「最近いい調子だしね」
にこ「この前貸したBD返しなさいよ」
穂乃果「はーい」
にこ「はぁーぁ……明日のA-RISEのライブ行きたかったなぁ」
穂乃果「そっか、明日だったっけ」
穂乃果「穂乃果勉強の為に明日のライブ行って来ます!」
にこ「――は?」
花陽「なに言ってるんですか……?」ギロッ
穂乃果「ぅ……」
真姫「穂乃果先輩、そういうのってチケットなきゃ入れないのよ?」
穂乃果「だからチケット持ってるもん!」
にこ「どういうこと!?」
穂乃果「え、あそっか……。言ってないもんね」
穂乃果「あのね、穂乃果ツバサさんと知り合いでね、スクールアイドルのこともっと知りたいって言ったら招待チケット貰ったの」
花陽「どどどどういうこと!?」
ことり「ツバサさんと知りあい……?」
絵里「ツバサってアライズの」
穂乃果「色々ありまして……」
にこ「一体なんなのよあんた……」
穂乃果「えへへ……」
ことり「なにそれ……」
にこ「羨ましすぎて死にたいんだけど」
花陽「……私も」
穂乃果「え、な、なんかごめんなさい」
にこ「はぁ……」
花陽「……」
にこ「ほんとに観れるの?」
穂乃果「ツバサさんが言うには……」
にこ「……穂乃果頼みがあるの」
花陽「私も」
穂乃果「なに?」
「――サイン貰って来て下さいっ!!!!」
◇――――◆
ライブ当日
穂乃果「うわ、人すごいっ。まだまだ時間あるのに……」
穂乃果「えと、えと……穂乃果は裏口なんだっけ?」
穂乃果「あ、あのこれ渡されたんですけど……」
「はい、かしこまりました。では事務所の方で料金のお支払いをお願いします」
穂乃果「は、はい……」
穂乃果(う、うわ……これがUTXの中……。全部白いよ、すごいすごいっ!!)
穂乃果(えと……事務所はどこだろう……?)ポツン
ツバサ「――穂乃果さん」
穂乃果「あ、ツバサさん!!」
ツバサ「ほんとうに来てくれたのね」
穂乃果「あの、大丈夫なんですか?」
ツバサ「なにが?」
穂乃果「ライブ前ですよ? 準備とか」
ツバサ「ああ大丈夫よ、言ってもまだ二時間くらいあるし」
ツバサ「事務所はこっちよ」
ツバサ「お金持ってきてる?」
穂乃果「はは、流石に大丈夫です」
ツバサ「うん、なら良かった」
◇――――◆
穂乃果「なんかあんなに並んでたのにいいのかな……」
ツバサ「大丈夫よ」
ツバサ「それ無くしちゃダメよ?」
穂乃果「はい」
ツバサ「ここのソファで座っててもいいけど、暑いでしょ? 来客用の休憩室あるからそっちで休んでましょう?」
穂乃果「え、でもそんなとこまで入っていいんですか?」
ツバサ「そのチケット、入場券みたいなものだから」
穂乃果「な、なるほど……」
スタスタ
穂乃果「あ、ツバサさんお願いが」
ツバサ「?」
穂乃果「あとで、その……サインを……」
ツバサ「サイン……? なんか今更な気もするわね」
穂乃果「穂乃果じゃなくて、メンバーにツバサさんの大ファンが居て……」
ツバサ「へえ、あ! あの黒髪のツインテールの子でしょ!」
穂乃果「なんで知ってるんですか?」
ツバサ「お花いつもありがとうって伝えておいて」クスッ
ツバサ「名前もいれた方がいい?」
穂乃果「あ、そっちの方が喜ぶと思います」
ツバサ「わかったわ、はいどうぞ」
穂乃果「ありがとうございます!」
穂乃果(にこ先輩……一体なにしてるんだろ……)
ガチャ
穂乃果「涼しー」
ツバサ「飲み物はそこから適当にとってね」
穂乃果「すごい、ただなんだ!」
ツバサ「こういうのも全部学費に含まれてるんだけどね」
穂乃果「……嫌なこと言わないで下さいよ」
ツバサ「冗談」
ツバサ「そういえば穂乃果さん――」
ガチャ
英玲奈「こんなところに居たのかツバサ」
ツバサ「英玲奈」
穂乃果(う、うわ……すごい。アライズの人だ……!!)
英令奈「早く準備しないとダメだって言っただろう? どうせツバサはライブ前"ああ"なるんだから」
ツバサ「ぅ……」
英玲奈「行くぞ」
ツバサ「はい……」
ツバサ「あ、穂乃果さんライブ始まるまではここにいていいからね」
穂乃果「は、はいっ!」
◇――――◆
ツバサ「ふぅ……」
メイクをして貰って、ライブの衣装も着て確認も終わらせた。後はライブの会場に行くだけ……。全身鏡で確認すると、ほんとうにライブ前なんだってことが実感できる。
ツバサ「……」
英玲奈「引きずらないようにな」
ツバサ「え、ええ」ガタガタ
あんじゅ「ライブまでにはちゃんと戻ってきてね?」
バタン
ツバサ「……ふぅ」
崩れ落ちそうになるのをドアに寄りかかってなんとか耐える。震える足はどんどんと酷くなって、胸の鼓動が耳に響いてうるさい。
ツバサ「はぁ、はぁ」
怖い。怖い。
なんとか立ち上がって近くのソファに座り込む。
ツバサ「……全く、なんで毎回こんなになるのよ……っ」ガタガタ
自分の臆病さに、心底腹が立った。A-RISEに入ってからもうかなり経つのにこの症状は治りそうにない。そういえばオーディションの時もそうだったっけ。こんな姿、メンバー以外に見せられない。
ツバサ「……ふぅ、ふぅ」
ツバサ「大丈夫、私は綺羅ツバサ。大丈夫、大丈夫」
穂乃果「――ツバサさん?」
ツバサ「……穂乃果さん!?」
穂乃果「な、なんか変ですけど大丈夫ですか?」
ツバサ「……ええ」ガタガタ
穂乃果「となり座りますね」
ツバサ「……」ガタガタ
穂乃果(震えてる……)
どうしよう、いつも通りにしないと。いつも通り、いつも通り。
穂乃果「――不安なんですか?」
ツバサ「!?」
ツバサ「い、いやそういうんじゃなくて」
穂乃果「ほんとですか?」ジッ
ツバサ「……」
じっと見つめられて、彼の透き通った瞳を見つめ返す。
ツバサ(なに、この感覚)
ツバサ「っ……」
穂乃果「大丈夫ですよ、穂乃果の知ってるツバサさんなら不安なことなんて絶対起きませんから!」
ツバサ「……今の私はあなたの知ってるツバサじゃないわ」
穂乃果「?」
ツバサ「――怖いのよ……ライブが」
穂乃果「え?」
ツバサ「ライブ前は失敗したらどうしようとか、ほんとにこれで大丈夫なのかとかマイナスなことしか考えられなくなるの」
なに、なんで私こんなこと言ってるの。穂乃果さんはファンよ、こんな弱音吐いたらダメ。楽しませてあげなきゃなのに、私は、私は綺羅ツバサとして、綺羅ツバサらしく――。
ツバサ「恐くて……恐くてたまらないの……! でも練習して練習して練習して練習して、身体が完全に覚えるまで練習して……完璧に飾り切った状態でやっと、ライブができるの」ブルブル
穂乃果「……」
ツバサ「ごめんなさいこんなこと言って、あのA-RISEのセンターがこんなんだって知って失望したでしょ、笑っちゃうでしょ」ブルブル
穂乃果「いえ……」
穂乃果「――なんか安心しました」
ツバサ「え」
穂乃果「A-RISEのセンターって言うから、きっともう人間じゃないくらいすっごいメンタルを持ってて何事にも動じなくてだから最高のパフォーマンスが出来るって思ってたんです」
穂乃果「失礼かもしれないですけれど、ツバサさんも本質はµ’sのみんなと何も変わらない。みんな失敗が恐くて、怯えて、それでも頑張ってる」
穂乃果「――穂乃果は完璧なツバサさんよりも、すっごく頑張ってるそっちのツバサさんの方が好きです!」
ツバサ「なに、言ってるの……」
穂乃果「やっぱり失礼だったかもしれません……でも」
穂乃果「自分の信じてきたことをやり続けている人を見て失望するわけありません、笑うわけありません」ギュッ
穂乃果「完璧に見えて実は臆病な人。――だって、それが本物のツバサさんでしょ? それなら本物の綺羅ツバサの方が好きに決まってます」ニコッ
ツバサ「っ……」///キュンッ
ツバサ「そ、そんな恥ずかしいことよく言えるわね」ドキドキドキドキ
穂乃果「そうですか?」
ツバサ「……」カァァァァアア
なに、顔暑い。胸も不自然なくらい高鳴ってる。ライブ前の緊張? いや違うそんなんじゃない、わかんない、なにこれ、なにこれ。穂乃果さんの顔、なんでまともに見れないの?
あんじゅ「あら、ツバサが完全に女の子になってる……」
英玲奈「……確かに」
ツバサ「っ!?」
ツバサ「だから居たならいいなさいって毎回!!」
穂乃果「……」
あんじゅ「あら、お邪魔かなって」
ツバサ「ど、どういう意味っ……」///
英玲奈「そういう意味だとおもうんだが」
穂乃果「……?」
あんじゅ「――君、高坂穂乃果君でしょ」
穂乃果「あ、はい……」
あんじゅ「君んちの和菓子美味しいね!」
穂乃果「ありがとうございます」
あんじゅ「うん、あとツバサの緊張解いてくれてありがと!」
ツバサ「……」
あ、そういえば……震えが収まってる。どうして……。
英玲奈「時間だ、行くぞ」
あんじゅ「うん」
ツバサ「ほ、穂乃果さんっ」
穂乃果「?」
ツバサ「――A-RISEのライブ、心から楽しんでもらえるよう頑張るわ」
穂乃果「はいっ! 楽しんで下さい!」
◇――――◆
ライブ後
ツバサ「はぁ、はぁ……」ヘナヘナ
あんじゅ「お疲れ様」
ツバサ「どうだった」
英玲奈「ばっちりだ。流石はA-RISEのセンターだな」
ツバサ「……良かった」
あんじゅ「ツバサはその賢者モードさえなんとかしてくれればねー?」
英令奈「……」
ツバサ「……?」
ツバサ「でも……」
なんでライブ前、震えが止まったの? 前までファンの人たちの前に出るまでスイッチが切り替わらなかったのに。
――彼の、おかげ?
あんじゅ「……まだ反省会が始まるまで時間あるわよ」
ツバサ「だから?」
あんじゅ「まだあの彼、UTXの近くにいるかもね? お礼言わなくていいの?」
ツバサ「……」
ツバサ「……そうね」
◇――――◆
そうは言ってもあてもなく探すだなんてことを出来るわけがなくて、私はすぐに携帯電話を取り出して穂乃果さんに連絡を取った。なんでもUTXの前のベンチに座ってるらしい。
ツバサ「……いた」
流れていく人の中で、ぽーっと上を向いて心がまるで抜け切っているようだ。
ツバサ「あの、穂乃果さん」
穂乃果「え、えっと……ツバサ、さん?」
ライブ直後、辺りにはライブを見たばかりのファンの人がたくさんいるはず。だからサングラスにコートも羽織って近づいたんだけれど、普通に気がついてくれた。
ツバサ「なんだか元気ない?」
ツバサ「も、もしかして……つまらなかった?」
穂乃果「そんなことありません!!」バッ
ツバサ「……ほんと?」
穂乃果「感動しました。本当に、もうなんて言ったらいいのか……感動しすぎて今でもライブを見てるみたいで……ぼーっとしちゃうんです」
穂乃果「ライブになった時のツバサさん、本当に輝いていて、星みたいでした」
ツバサ「……そっか、良かった」
穂乃果「改めて、ありがとうございます。こんなライブに招待して頂いて、勉強になりました」
穂乃果「いつかµ’sもアライズに勝てるくらいすっごいグループにしてみせます!」
ツバサ「こちらこそ、今日はありがとう」
ツバサ「あなたのおかげで緊張が解れたのは事実だから」
ツバサ「µ’sのこと、少しだけ気にかけてみるわね」
穂乃果「ありがとうございます!!」
喜んでくれたなら、良かった。今日のライブはこの人に助けられたこともあったしね。もし、あのままライブをしててスイッチ切り替えられて無かったら……そんなことになったら、想像したくもないわね。
ツバサ「なんで私は穂乃果さんと話してたら不安や緊張がなくなったんだろう……」
穂乃果「うーん……」
手を握られたから? 素の私を受け入れられたから?
穂乃果「もう一度こうしてみればわかるかも?」ギュッ
ツバサ「ひゃ……///」
ツバサ「……////」
な、なに。おかしい、アイドルモード、アイドルモードで……。
ツバサ「……」ウツムキ
穂乃果「あはは、わからないですよね?」
ツバサ(や、やっぱり私、おかしいわ。どうしてこんなに……)ドキドキ
ツバサ「と、とにかくありがとう」//
穂乃果(な、なんかツバサさん……いつもより、可愛いような……)
ツバサ「あ、あの……」
ツバサ「――ま、また連絡してもいいかしら?」//
穂乃果「え、あ……もちろん!!」
また今度。
ツバサさんのイメージは、ジャイロボーラー眉村。…好きな人はごめんなさい。
言うの忘れていました。
時々【】が出てきますが、これは個人ルートとかに入った時に掘り下げる可能性があるかも……?数はかなり少ないですけど…。
まだ共通ルートです。あと三分の一くらいで終わります。その後いくつくらい個人ルート書くかはわかりません。
◇――――◆
後日
穂乃果「うん、いいね希先輩!」
にこ「初めてにしては悪くないと思うわよ。そんなでっかいのぶらさげてるくせに」
希「な、関係ないっ」///
穂乃果「……///」
にこ「……いつから大きくなり始めたのよ」
希「うぇぇ……なんでそんなこと」
希「大丈夫、にこっちも大きくなるよ」
にこ「……」
凛「大丈夫、にこ先輩――」
にこ「あんたには言われたくなーい!!」
ことり「あ、そうそう。みんなにクッキー作ってきましたよー」
穂乃果「やたー!」
ことり「今日はねーいつもより美味しいと思うよー?」
穂乃果「どうして?」
ことり「食べてみて」
真姫「クッキー……」
にこ「ふぅん」
花陽「いただきます」
穂乃果「――おいしいっ」
穂乃果「なんで、いつもより味が濃いよ!!」
ことり「ふふっいつもより手間かかってるんだよー」
穂乃果「へぇ、ことりちゃんは凄いね!!!」
穂乃果「――毎日作って貰いたいなー」
ことり「え、え?」
絵里「……」
真姫「……」
凛「……」
海未「……」
にこ「私も作ってあげよっか?」
にこ「お菓子はあんまりわかんないけどね?」
にこ(し、自然に対抗するようなこと言っちゃった……)
穂乃果「ほんとーですか? あ、なら普通の料理でも……」
海未「あんまり人にばかり作って貰ってはいけませんよ。自分でも作れるようにならないと」
穂乃果「穂乃果男だしー」
海未「関係ありませんっ」
絵里「そうよ、今の時代男の人も自炊くらい出来ないと」
凛「う……り、凛はこの前お菓子作ったし」
真姫「……」
希「なるほど、真姫ちゃん重症みたいやね」
絵里「希もでしょ」
希「あちゃー……」
真姫(自炊……か)
真姫(やっぱり出来た方がいいわよね……)
【西木野 真姫 は料理が出来ないようです】
穂乃果「そいえば花陽ちゃんとにこ先輩!」
にこ「?」
穂乃果「はいどうぞー」
花陽「――ここここここここれは!!!!!」
にこ「ツバサのサインー!!!」
花陽「し、しかも小泉花陽さんへって書いてある!?」
にこ「ほ、ほんとだ!! すごいすごい、なにこれ!?」
穂乃果「ツバサさんに書いて貰いました」
にこ「あんたほんとだったの!?」
にこ「ありがとう!!!」
花陽「ふぁ……しんでもいい……」
真姫「で、どうだったのライブの方は」
穂乃果「うん……凄かったよ」
絵里「なんだかテンション低いわね」
穂乃果「凄すぎて……今でもライブなんじゃないかって思うくらい」
穂乃果「もっと、もっと練習しなきゃ追いつけない。死ぬ気でやらなきゃ追いつけない」
穂乃果「こんなこと言ってみんなの士気を下げたくはないんだけどさ……」
にこ「……」
花陽「っ……」
ことり「色々教わったんだね」
穂乃果「うん。絶対みんなでアライズを倒そう!」
海未「そうですか……ならさっそく、練習を始めますよ」
海未「……花陽だけ少しいいですか?」
花陽「あ、はい……」
穂乃果「?」
◇――――◆
帰り途
穂乃果「花陽ちゃんと何を話していたの?」
海未「……」
海未「……少し花陽がついてこれてないのは穂乃果も知ってますよね」
穂乃果「あ……うん」
海未「それで」
穂乃果「――穂乃果が教えるよ」
海未「え」
穂乃果「みんなも自分のことで手いっぱいな面もあるだろうし、そしたら穂乃果しかいないじゃん?」
穂乃果「それに、もう花陽ちゃんとも約束しちゃってるし」
海未「もうしていたのですか……」
穂乃果「結構前だけどね」
海未「そうですか、穂乃果に任せておけば安心ですね」
海未「花陽のこと、よろしくお願いします」
穂乃果「希先輩は大丈夫?」
海未「はい、穂乃果も見ていた通り、すぐにでも追いつくと思います」
穂乃果「へー」
海未「では私はここで」
穂乃果「ばいばーい」
穂乃果「……」
プルルルルル
穂乃果「あ、もしもし」
花陽『穂乃果先輩……どうしたんですか?』
穂乃果「ううん、なんだかきになっちゃって。帰る時元気なかったでしょ?」
花陽『……』
穂乃果「海未ちゃんになにか言われた?」
花陽『いえ……私がなんにも出来ないのが悪いんです。私……全然出来なくて足手まといで……』
穂乃果「大丈夫だよ、そんなこと誰も思ってない」
花陽『……』
穂乃果「……いまどこ?」
花陽『え……駅のとこ、です。凛ちゃんの家の近くの』
穂乃果「今から行く! 待ってて!!」
花陽『え!?』
プツッ
穂乃果「……よし」
◇――――◆
ただただびっくりした。
だって、いきなり電話されてそしていきなりここに来る、だなんて。
もう夏も近いから日は長くはなってるんだけれど、今はもうとっくに落ちてしまっている。こんな時間からここまで……。
穂乃果「――あ、いたいた」
花陽「ほんとに来たんですか」
穂乃果「約束やぶるほど馬鹿じゃないよ」
穂乃果「花陽ちゃんこそ、居てくれて嬉しいよ」
花陽「……」
花陽「あ、あの……」
穂乃果「ん?」
私はこの人が苦手。嫌いってわけじゃない、いい人っていうのはほかの人と話しているのを見ていればわかる。
でも……。
花陽「きょ、今日は……どうして」
穂乃果「花陽ちゃんの練習見てあげようと思って!」
花陽「い、今から……?」
穂乃果「あ……ごめん都合悪かったかな?」
花陽「い、いえ……」
花陽「……」
そういえば……私この人と二人きりになったの初めて、かも。私、多分µ’sの中で穂乃果先輩とは一番話してない。穂乃果先輩も男の人だって考えちゃったら……なんだか恥ずかしいしどう話していいかわからなくなるんだもん。
この前にこ先輩と三人で出かけた時はにこ先輩が間を埋めてくれたけど……。
花陽「……」
穂乃果「……」
穂乃果「あ、じゃあどこか練習する場所あるかな」
花陽「それなら公園に」
穂乃果「ほんと? ならいこっか」
穂乃果先輩は私の背中に手を回しそのまますっと押して、私の横を歩き始めた。
穂乃果「んー暑いねえ」
花陽「そうですね」
穂乃果「もう夏も近いよ」
花陽「はい」
穂乃果「花陽ちゃんは夏と冬どっちが好き?」
花陽「えっと……」
穂乃果「?」
花陽「えっ、と」
穂乃果「――穂乃果は夏が好きだよ」
花陽「あ、そうなんですか?」
穂乃果「だって雪とかふったら外出られないしね?」
花陽「でもあんまりこっちじゃ降りませんよ?」
穂乃果「寒いし!」
花陽「……私は冬の方が好きです」
穂乃果「へえ」
花陽「暑いと動きたくなくなるし」
穂乃果「あーなるほどお」
花陽「私……運動とか出来なくて。凛ちゃんとかはすっごく出来るのに私だけ」
穂乃果「出来なくても楽しければいいと思うけどなあ」
穂乃果「あ、でもことりちゃんもそんなこと言ってたな……」
花陽「穂乃果先輩は運動が得意ですもんね……」
穂乃果「もしかして……バスケとか嫌い?」
花陽「あんまり……」
花陽「だって……私は全然出来ないから迷惑に」
穂乃果「なるほど――もしかしてµ’sでもそんなこと思ってる?」
花陽「え……」
駅から少し離れて、小さな時によく遊んでいた公園の中に入っていく。
穂乃果先輩はベンチに座って、となりをぽんぽんと叩いて笑った。遠慮しようかと思ったけれどこれ以上気をつかわせるのもあれだから、恐る恐る腰を降ろす。
穂乃果「そんなこと、ないんだよ?」
穂乃果「いくら花陽ちゃんが出来なくてもみんなが支えてくれる。みんなが教えてくれる。みんなが忙しいなら穂乃果が教えてあげる、穂乃果がみんなと同じくらいまで鍛えてあげる」
穂乃果「出来ないことは悪いことじゃないよ」
花陽「……でも」
花陽「私、こんなんでµ’sにいても大丈夫なんですか」
花陽「後から入ってきた人にどんどん追い越されて、希先輩にも追い越されそうでっ……!!」
穂乃果「ねえ、花陽ちゃんがなんでµ’sに入ったか覚えてる?」
穂乃果「好きだからでしょ?」
花陽「……」
花陽「……なんで、穂乃果先輩はそんなに優しくしてくれるんですか……」
花陽「こんなにぐじぐじして……私はなんにも出来ないのに」
穂乃果「……どうしてかな」
穂乃果「なんだか放っておけないんだもん」
花陽「……」
穂乃果「まあなにより……花陽ちゃんが友達だから、かな!」ニコッ
花陽「っ……」キュンッ
花陽(あ、あれ……なに、なんか顔熱い……しかもなんか心臓が……)ドキドキドキドキ
穂乃果「どうしたの?」
花陽「ひゃ、あ……なんでもない、です」////
穂乃果先輩の方を向けなくて、顔も熱くてドキドキする。……どうしちゃったの、私。
穂乃果「……?」
なんで、なんでこんなにドキドキするの。なんでなんでなんで。
花陽「……」//////
穂乃果「……熱?」
花陽「いや、これ、は」
穂乃果「今日はやめとく?」
花陽「いえ、します!!」
穂乃果「よし、じゃあしよっか!」
花陽「は、はい」
穂乃果「じゃあ今から服脱いで?」
花陽「――え……?」
花陽「え、えと……なにをするんですか?」
穂乃果「?」
なんで不思議そうな顔をするの? もしかして不快にさせちゃったかな……ふ、服を脱ぐ? えっとここで? でも何か穂乃果先輩にも考えがあるかもしれないし。それを私が知らずに口答えなんかしたら悪いよね。
ま、周りに人はいないし。
花陽「……ぅ」プチプチ
穂乃果「っ!?」////
花陽「こ、これで、いいですか?」////ウルウル
ワイシャツのボタンを外して、キャミソールの姿になる。
穂乃果「ちょ、ちょっとなんで脱いでるの!?」///
花陽「え……?」
花陽「だって穂乃果先輩が……」
穂乃果「ち、違うよ! 着替えてきてってこと!!」
花陽「あ……///」
花陽「ご、ごめんなさい!! こんな醜いのみせて!!」
穂乃果「いや……醜くはないけど」////
花陽「でも太ってるし……」
穂乃果「そうかな?」ジッ
花陽「あわわ……」バッ
穂乃果「あ、ごめん!!!」////
花陽「着替えてきますっ!」
穂乃果「う、うん」
穂乃果(……花陽ちゃん、結構おっぱいおっきいな……ことりちゃんより……)ゴクッ
タッタッタッ
花陽「はあっ、はぁ」
花陽「やっちゃった……恥ずかしいよ」
花陽「……どうしよう」
花陽「馬鹿、馬鹿馬鹿!!!」
花陽「ぅ……」
穂乃果先輩のことを考えると……。漫画とかで読んだことがある、でも自分がこんな気持ちになるだなんて。
花陽「――好きになっちゃった、かも」
◇――――◆
真姫「お菓子……か」
真姫「普通の料理とどっちがいいのかしら」
真姫「……」
真姫「調べても全然わかんない」
真姫「というか焼く時って油敷かなきゃなのね、へえ……」
真姫「……」
真姫「穂乃果先輩……」
真姫「んっ、ぁ……♥︎」ブルルッ
真姫「ん、まだトイレ行かなくていいや、あと一時間」
真姫「んっ……♥︎」
真姫「誰か教えてくれる人……」
真姫「でも大体穂乃果先輩のことが好きな人ばかり」
真姫「――本人に聞いてみる?」
真姫「そうよ本人に聞いてみて、一緒に作ってみればいいんじゃない?」
真姫「先輩は料理出来ないみたいだけどそれはそれでいいし。一緒に作ってみればいいし」
真姫「私の家にも呼べるしふたりきりにもなれるわよね?」
真姫「よし……」
真姫「でも、上手く言えるかしら」
真姫「……」
真姫「出来る――だって私は西木野真姫よ?」
◇――――◆
一週間後
花陽「……」
穂乃果「今の出来てたよ!」
花陽「ほんと?」
穂乃果「うん!」
穂乃果「ねみんな!」
花陽「……」
海未「良かったですね、花陽」
花陽「はいっ」
真姫「油断しちゃダメよ」
絵里「真姫もよ」
真姫「わかってる」
海未「では休憩にします」
穂乃果「ふぅ……」
花陽「あ、あの……ありがとうございました」
穂乃果「ん? 全然大丈夫」
花陽「あれから毎日来て貰って……」
穂乃果「まだ続けるんでしょ?」
花陽「……いいんですか?」
穂乃果「もちろん、まだまだ上手くならないとダメだもん」
花陽「ありがとうございますっ」////
凛「――かよちーん!!」
花陽「あ、ごめんなさい」
穂乃果「行っていいよ」
花陽「はいっ」ペコリ
真姫「――穂乃果先輩」
穂乃果「なにー?」
真姫「毎日練習終わったら花陽と二人で練習してるって、ほんとなんですか?」
穂乃果「そうだよ」
真姫「……優しいんですね」
穂乃果「そう? だってやれることなんてこれくらいしかないし」
真姫「……優しすぎる」
ここ最近、花陽の穂乃果先輩に対する態度が変わっていることが気になっていた。そんな中で、先ほど花陽と二人で秘密の訓練をしている、だなんて。
鈍感な私でも花陽がどういう経緯であんな態度を取るようになったのかくらいはわかる。
つまり花陽は穂乃果先輩のことが好きになってしまったんだろう。
真姫「あなたは優しすぎる」
穂乃果「ありが、と……?」
真姫「褒めてない!」
穂乃果「なんでさー」
こうやって人を無意識のうちに惚れさせていくだなんて、本当に女たらし。酷い、最低。……私もそれにかかってしまっているのが情けないけれどね。
ライバルが多いということはもう分かっている。凛、花陽、海未先輩、絵里先輩、そして――にこ先輩も。
多分本当に意識しなければわからない、と思う。でも私はここ何日かメンバーを観察し続けてきた。
時々赤らめる頬や、目を直視出来ていない時それらを意識的にみていれば答えは見えてきたんだ。
真姫「多すぎんのよ……」
穂乃果「ん?」
なら先手必勝。明日の休みに誘うの……!
真姫「――ほ、穂乃果せんぴゃっ……」
真姫「うっ……」
穂乃果「わ……!れ」
穂乃果「噛むなんてさ珍しい! いいもの見れたー」
真姫「うっさいのよ! たまにくらい噛むわよ!」
真姫「――背小さいくせに生意気よ!」
穂乃果「え……」
穂乃果「……」シュンッ
真姫「……え、あごめん……」
真姫「あ、あの、先輩……私そんなつもりじゃ――」
どうしよう、つい口が滑って……。そんなことこっちは気にしてないし、馬鹿にするつもりもなかったのに。どうしよう…傷つけちゃった? そうよね……私、さいて――。
穂乃果「――じょうだーん!!」
穂乃果「気にしてるんだからこれ以上言うなデカブツー!!!」
真姫「な……っ、このっ!」
海未「――はいはい二人ともはしゃいでないで、休憩おわりです」
真姫「え、そう……」
真姫(言えなかった……)
穂乃果先輩の方がやっぱり最低だ。
◇――――◆
UTX
ツバサ「……」ポーッ
英玲奈「……ツバサ」
英玲奈「ツバサ!」
ツバサ「え?」
あんじゅ「最近抜けてるわよ」
英玲奈「ちゃんとして貰わないと困る」
ツバサ「……ごめん」
英玲奈「練習しないとライブで失敗してしまう。ツバサはとことん練習しないとダメなんだから」
ツバサ「……ごめん」
あんじゅ「どうしたの?」
あんじゅ「ライブだって成功したし、何か考えることある?」
ツバサ「……」
そう、心配なことなんてなにもない。少し大きいライブも成功して、軌道に乗っている。このまま行けばラブライブだって優勝出来る。
それなのに、最近気になって気になって仕方がないことがある。
英玲奈「――高坂穂乃果」
ツバサ「……」ビクッ
あんじゅ「へぇ」
英玲奈「なるほど」
ツバサ「ななななによ!?」///
あんじゅ「なぁんだ、恋愛をしたことがないツバサちゃんもー、ついに恋の病ってことなんだ」
ツバサ「はあ!?」
英玲奈「高坂穂乃果か……」
英玲奈「デートは?」
ツバサ「ちょ、だからどういうことよ!?」
あんじゅ「いつまでとぼけるんだか」
英玲奈「バレバレだぞ」
ツバサ「だ、だから……」
なに、二人ともなんなのよ。
あんじゅ「――好きなんでしょ?」
ツバサ「っ……」///
ツバサ「わ、わかんないわよ」
好き、私が穂乃果さんのことを? 顔を見ればドキドキするし、メールしてもドキドキする。何もない時も穂乃果さんの顔思い出して……。
――あれ、私……。
ツバサ「好き、なのかも……」
英玲奈「おお、これは好都合。アライズは恋愛禁止じゃない」
あんじゅ「ま、ツバサも女子高生だし恋愛くらい楽しんでもいいんじゃない」
ツバサ「……ぅ///」
あんじゅ「くす、やっぱり可愛いー」
ツバサ「うるさい」
英玲奈「普段はキャーキャー言わせてるのにな」
ツバサ「あんただってキャーキャー言わせる方じゃない」
英玲奈「タイプが違う」
あんじゅ「英令奈は見た感じで引っ張っていくタイプってわかるでしょ? でもツバサは小さいのに王子様系だから女の子もキャーキャー言うの!」
ツバサ「……」
英玲奈「で、どうなんだ」
ツバサ「なにが」
英玲奈「デートとか」
ツバサ「で、でーと……?」
あんじゅ「誘わないのー?」
ツバサ「え、えっと……そ、そうよね。誘った方がいい、わよね」カァァアア
ああ、もうダメだ。デートに誘う? それってどうやるの、普通に遊びに行こうとか言うの? でもでも変なふうに思われたりしないかしら。
私がこんなこと考える日が来るなんて……ほんとに彼のこと――。
ことり「……穂乃果ちゃん!」
穂乃果「んー?」
ことり「あ、明日休みだし……」
凛「――穂乃果ちゃん穂乃果ちゃーん!」
穂乃果「なあに?」
凛「今日凛の家に来てよ! ね、ね?」ギュッ
ことり「……」
穂乃果「うーん、どうしようかなぁ……」
凛「またエッチしようよ」ボソッ
穂乃果「……」///
穂乃果「今日は疲れてるし、ダメだよ……」
凛「っ……」
凛「――したいしたい! ねえ穂乃果ちゃん、凛この前のが忘れられないんだよ!」
穂乃果「ど、どうしたのさ!」
凛「あ……ひ、一人じゃ届かないし……」///
穂乃果「そ、そういうことじゃなくて」
ことり「――なんのはなし?」ニコニコ
穂乃果「え!? あ、いや」
凛「あ……」
ことり「ことりが聞いたらダメな話かなあ?」
凛「いや全然!」
ことり「そっか、なら続けていいよ?」
凛(……な、なんか怖いな)
凛「やっぱりいいやっ!」
凛(でも、エッチしたいよお……)ムズムズ
【星空 凛 が特殊なエッチにハマったようで】
凛「また今度にするにゃ」
穂乃果「あ……」
ことり「なにか都合でも悪くなったのかな」
穂乃果「うーん?」
ことり「あ、ねえねえことりの家に来ない?」
穂乃果「……どうしようかなあ。花陽ちゃんとの練習もあるから」
ことり「そっか……」
ことり「なら今から少しだけ付いてきて?」
穂乃果「……いいけど?」
スタスタ
ことり「さっきの凛ちゃんなんだったんだろう?」
穂乃果「さ、さあ」
ことり「……」
ことり「最近穂乃果ちゃんさ、色んな女の子と仲良いね」
穂乃果「そうかな」
ことり「ふふ、前からだよね?」
穂乃果「そんなことないよー……」
ことり「モテモテ!」
穂乃果「もう……」
穂乃果「ことりちゃんだっていっぱい告白されてたじゃん」
穂乃果「どうして断ってたの? 中学の頃の石田とかすっごいイケメンで背も高くていいやつだったのに……」
ことり「そうだけど……どうしてかな? なんかみんなピンと来ないというか」
ことり「穂乃果ちゃんは?」
穂乃果「ん?」
ことり「――海未ちゃんから告白されてるしょ」
穂乃果「え……」
ことり「知ってるんだよ」
穂乃果「――な、なんで知ってるの?」
ことり「……へえ、そうなんだ」
穂乃果「あ、あれ?」
ことり「ことりはなんにも知らないよ。今知ったの」
ことり(知ってたけどね)
穂乃果「あ……」
ことり「絵里ちゃんからも告白されてる、穂乃果ちゃんはどうしたいの?」
穂乃果「……」
ことり「海未ちゃんは初恋の人だもんね」
穂乃果「わかんないよっ……」
ことり「ここ入って、この教室なら誰も来ないから」
バタン
穂乃果ちゃんを先に教室内に入れて、扉を閉める。薄暗い教室内にはたくさんのダンボールが散乱していて、物置みたいな役割になっている場所なんだろう。練習終わりのこんな時間だし、誰も来ることはないはず。
ことり「――絵里ちゃんは元彼女、海未ちゃんは初恋の人」
穂乃果「っ……」
ことり「どうするの」
穂乃果「やめて」
ことり「どうしたいの」
穂乃果「やめて」
ことり「誰がいいの?」
穂乃果「やめてよ」
ことり「待ってるよ、きっと」
穂乃果「……やめて」
ことり「穂乃果ちゃんしか決められる人は――」
穂乃果「――うるさいっ!!!」
ことり「……」
穂乃果「どうしていいか……わかんないんだよ……」
穂乃果ちゃんは苦しそうに、目元を抑えた。
人から告白されているんだもの、本当なら嬉しいに決まっている。でも……複数からなら話は別なのかもしれない。それは穂乃果ちゃんが優しいから、複数の気持ちには応えることは出来ないから。
もしかしたら……絵里ちゃんと海未ちゃんだけじゃない可能性も――それはないか。
ことり「あ、またおっきくなった?」
穂乃果「ふぁ……」
ことり「ほんとにおっぱい好きなんだね? もしかして、絵里先輩や希先輩に誘惑されたらすぐ落ちちゃうんじゃない?」
穂乃果「そんなことない」
ことり「そうかなあ」
ことり「……最近一人でもしてないでしょ?」
ことり「ダメだよ、男の子は二三日に一回は抜いてあげないと身体にもよくないんだから」サワサワ
穂乃果「や……♡」
ことり「ふふっ」
なんだろう、少しだけ穂乃果ちゃんの様子がいつもとは違う。なんでかわからない、穂乃果ちゃんはエッチが好きだからきっと――。
ことり「じゃあ脱がすね?」
ボロン
ことり「こんにちは♡」
ことり「ほら穂乃果ちゃんのおちんちんが気持ちよくなりたいよーって言ってる♡」
穂乃果「……」
ことり「……む」
ことり「いいよ別に、気持ちよくしちゃうから」グチュグチュ
穂乃果「んっ……///」
ことり「どう?」グチュグチュ
穂乃果「気持ち、いいよ」
ことり(……あんまり硬くない、どうして?)
穂乃果「ふぅ、ん♡」
穂乃果「あっ、出ちゃうよ……//」
ことり「え!?」
ことり(だってまだ半勃ちなのに……?)
穂乃果「ふぁぁっ♡」ドピュッダラダラ
ことり「!?」
穂乃果「んっ、はぁはぁ……」///
ことり(量少ない……しかも勢いも全然ない……)
ことり「気持ちよく、なかったの……?」
穂乃果「ううん、気持ちよかったよ。ありがとう」ギュッ
ことり(全然興奮してくれてなかった……)
ことり(……しかも、なんでこんなにことりに気を使って……っ)
ガサッ
ことり「そっか、それならもっと気持ちいいこと、しよう?」
ことり「ふふ」
穂乃果「っ♡」
穂乃果「……」
穂乃果「――やめて」
ことり「え……?」
穂乃果「……これから花陽ちゃんとの練習、あるからさ」
穂乃果「あんまり体力使いたくないの」
ことり「……」
穂乃果「ごめん」
断られた……? 嘘……。
下を向いている穂乃果ちゃんの表情はよくわからないけど……本気みたい。
ことり「――分かった、ごめんね。こんな急に……」
穂乃果「ううん」
ことり「……ことりも寂しいの、またしてくれる?」
穂乃果「うん」
小さく頷いて、穂乃果ちゃんは出て行ってしまった。なんであんな反応するの、穂乃果ちゃんはエッチが好きでしょ? する場所が嫌だったのかな? それともことりとなんてもう、したくない?
ことり「……」
花陽ちゃんとの練習と言っていた。そうか、穂乃果ちゃんはそういう人だ。
ことり「優し過ぎるんだよ……」
ことり「……」
ことり「ふぁ……♥︎」
ことり「……ん♥︎穂乃果ちゃ……ん♥︎」クチュ……クチュ
◇――――◆
希「――あれ、なにしてるの?」
穂乃果「の、希先輩……!?
希「……なにをそんなビックリしてるん?」
穂乃果「いや別に、あはは」
希「……」
希「あそこの教室から出てきた?」
穂乃果「は、はい……えっとちょっと急いでますから」
穂乃果ちゃんはそそくさとウチの横を通りすぎて行く。なんか怪しい。
希「待って」ガシッ
穂乃果「な、なに?」
一瞬だけピンと伸びた高坂君。下半身のジャージに不自然な白い染みがいくつもあるのに気がついた。これって……。
穂乃果「用がないなら……」
希「ごめん、なんでもないや」
高坂君はなんだか苦しそうに微笑んで、角を曲がっていった。
希「あれ……」
希「……」////
もしかして、そういうこと、だよね? 一人でしてた、とか?
希「……それにしてもなんであそこから?」
あそこは行事に使うような荷物が置かれている場所。そろそろ夏の球技大会も近いから得点ボードとかを取りに来たんやけど……。
まあとりあえず目的は果たさないと。
「んっ……ふぁっ♥︎ひぅ♥︎」ピチャ……ピチャ
希「え?」
希「ことり、ちゃん?」
薄暗い教室の奥、壁によりかかって艶やかな声を発していることりちゃんの姿が確認できた。
口に手をあてて、下半身に伸ばされた手を見ればなにをしているかくらい、ウチにも分かる。
ことり「……穂乃果、ちゃん……♥︎」
ことり「んんっぅ♥︎」ビクッビク
ことり「ハッーハァ……ぁ♥︎」
希「……」
ウチはよくこういう場面に遭遇するな、とか考えながら本来あった目的を放棄してその場を後にした。艶やかな声をあげ、色っぽい表情のことりちゃんはウチの目に強烈に焼き付いた。そして、呟いていたある名前。
希「さっきみた高坂君の状態と関係あるんかな……」
海未ちゃんが告白していた時も高坂君絡みだったな。
希「……全く……ことりちゃんにあんな顔させるなんてね」
希「そういう経験ないウチからしたらわからんなー」
希「……」
希「高3でそういうのないって……結構マズイ……よね」
◇――――◆
凛「今日も練習?」
花陽「う、うん」
凛「へー、いいなー穂乃果ちゃんと二人で練習なんて」
花陽「そうかな」
凛「凛も練習したいなー」
花陽「凛ちゃんは大丈夫だよ」
凛「うーん」
凛「――かよちんてさ、穂乃果ちゃんのこと好きなの?」
花陽「っ」ビクッ
花陽「ど、どうしたの急に」
凛「なんかかよちん、最近穂乃果ちゃんと話す時だけ態度が違う気がしたから」
花陽「……」
花陽「――凛ちゃんは、好きなの?」
凛「好きだよ」
言葉が、重い。とても、とても。
穂乃果先輩から凛ちゃんに告白されたということは既に知っていた。でも本人の口からはっきりと好きだという気持ちを聞かされるのは初めてのことだった。
凛「全く、絵里先輩とか強敵多すぎて困るにゃー」
凛「でも、凛はもう引かないよ。後悔はしたくないから」
後悔……。
凛「かよちんも好きなんでしょ」
先ほどの質問形式ではなく、もう花陽の心は読まれていて、確信した言い回しに変わる。
花陽「……でも、凛ちゃんの応援――」
凛「凛に気をつかうなら、怒るから」
凛「どうせ凛の応援ーとか言って自分は身を引くつもりだったんでしょ?」
花陽「……」
凛「かよちんは、かよちんのやりたいようにやって? ……絶対後悔だけはしないで」
花陽「凛ちゃん……」
凛「じゃ、練習がんばってね!!」
凛「――あーあ、またライバルが増えちゃうかも……なんてね?」
凛「ふふ、バイバイ」
◇――――◆
花陽「……」
穂乃果「練習、疲れちゃった?」
花陽「いや……」
穂乃果「これいる?」
花陽「え……」
練習終わり、差し出されたのはペットボトル。でもそれはさっき穂乃果先輩が飲んでたやつで、つまりこれを飲んだらあれがああなるわけで……。
花陽「あわわわわわ」//
穂乃果「どうしたの?」
花陽「だ、ダメです間接キスなんて!!!」
穂乃果「これ花陽ちゃんがさっき飲んでたやつだけど……」
花陽「え……」
よく見ると、そうだ。だって穂乃果先輩は両手にもう一つペットボトルを、持っている。しかも置いておいた私のものがない。つまりただの勘違い。
花陽「あ……ご、ごめんなさいっ」///
穂乃果「いや、いいんだけどさ」
穂乃果(……そんなに穂乃果嫌われてるのかな)
穂乃果「……」
花陽「あ、あの……決して嫌ってるとかじゃ、ありませんから」
穂乃果「え?」
花陽「その、恥ずかしくて……」
穂乃果「そ、そっか」
ダメだ。穂乃果先輩と二人でいるのが、少しだけ辛い。喋ることが見つからなくて黙ってしまうことも多くなってしまっていた。どうしてだろう、これも――好きになってしまったからなのかな。
自分の気持ちには気がついている、穂乃果先輩のことが好きなんだって。でもそんな気持ちと向き合うと脳裏に浮かぶのはいつかの凛ちゃんと穂乃果先輩がキスをしていた場面。
――凛ちゃんは穂乃果先輩のことが好きなんだ。穂乃果先輩の口から告白された、というのがなによりの証拠だった。
花陽「……」
私は凛ちゃんを応援しなきゃいけない立場なのに、もし自分の気持ちだけに素直になっちゃったら凛ちゃんを裏切ることになっちゃう。凛ちゃんはああ言ってたけど、でも……。
そんなの……出来ないよ。
穂乃果「どうしたの?」
花陽「――せんぱ」
ポタポタ
穂乃果「雨……?」
花陽「ほんとだ」
穂乃果「……こっち来て」
穂乃果先輩に手を引かれて、小さな屋根とベンチがある場所に。
ザァアアアアア
穂乃果「降ってきたね。良かったぁ、早めに動いて」
花陽「そうですね」
穂乃果「濡れてない?」
花陽「はい、大丈夫です」
穂乃果「良かった」
穂乃果「風邪引いたらダメだもんね」
花陽「……先輩」
穂乃果「なあに?」
凛『後悔だけはしないで』
凛ちゃん……いいんだよね? 好きなようにしても。
花陽「――好きです」
穂乃果「え、え?」
花陽「穂乃果先輩のことが好きです」
穂乃果「……」
花陽「……私、ずっと人のことばかり考えて生きてきたんです。自分が本当にしたいことや欲しいものがあっても、人と被ったら全部譲ってきました」
花陽「凛ちゃんが穂乃果先輩のことを好きになって、告白していた瞬間から私は……この想いを封じ込めるはずだったんです。いつもみたいに」
花陽「でも……もう後悔、したくないんです」
花陽「っ……」
花陽「――先輩、私と付き合って下さい」
穂乃果「……」
花陽「……答えられませんよね」
穂乃果「ごめ、ん」
穂乃果「……本当に……ごめんっ」
花陽「いつか聞かせて下さい」
穂乃果先輩は下を向いてしまって、きゅっと唇を噛み締めている。迷惑、だったかなやっぱり。
穂乃果「絶対、いつか答えるから」
花陽「な、なら……」
チュッ
穂乃果「!?」
花陽「今こ、答えを返してくれない、罰、です……////」
穂乃果「……」
花陽「あ……あ///ご、ごめんなさいっ! 急に、こんな……!! 嫌でしたよね、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!」
花陽「……でもみんなに、負けたくないから!」
自分でも、驚くほど大胆になれた。ああ、恋は人を変えてくれるっていうけども、私も例外ではないのかな。
花陽「……雨、上がりましたね」
穂乃果「そ、そうだね」
花陽「また、練習付き合ってくれますか?」
穂乃果「――もちろん!!」
花陽「……ありがとうございますっ」
なんだ少しだけ、強くなれた気がした。
◇――――◆
凛「そっかぁ……」
花陽「言えたのも凛ちゃんのおかげ」
凛「……負けないよ」
花陽「わ、私だって!」
真姫(なんの話をしてるのかしら……)
穂乃果「……」
真姫「穂乃果先輩」
穂乃果「……」
真姫「先輩?」
穂乃果「え、真姫ちゃん」
真姫「大丈夫ですか?」
穂乃果「全然大丈夫」
真姫「そうですか」
真姫(なんか、考え事してる?)
真姫「ちょっと話があるんですけど」
穂乃果「なあに」
真姫「今度の日曜日、ウチに来ませんか?」
穂乃果「どうして?」
真姫「そ、その……料理教えて欲しくて、一緒に作らない?」
穂乃果「料理? 穂乃果料理なんて全然作れないんだけど……」
穂乃果「料理ならことりちゃんかにこ先輩がすっごく出来るよ。――ねえねえことりちゃ――」
真姫「い、いいです!! 私は穂乃果先輩と作りたいの!」
穂乃果「え」///
真姫「……ダメ?」///
穂乃果「ダメじゃ、ない」
真姫「なら色々概要はメールするから」
穂乃果「は、はい」
穂乃果(なんで穂乃果なんだろう。料理を教えて貰うなら他の人でいいのに)
穂乃果(……もしかして、真姫ちゃんも穂乃果のことを……? さ、流石にそれはない、か)
プルルルルル
穂乃果「ツバサさんから……」
穂乃果「もしーもし」
ツバサ『あ、もしもし』
穂乃果「ん、ツバサさんどうしたんですか」
ツバサ『え、あ、いや』
穂乃果「?」
ツバサ『そ、その突然で悪いんだけど……明日どこか二人で遊びに行かない?』
ツバサ『ご飯、とか』
穂乃果(いきなりどうしたんだろう……?)
穂乃果「明日ですか……?」
穂乃果(真姫ちゃんとの約束があるね)
穂乃果「――ごめんなさい、明日はちょっと……」
ツバサ『っ……』
ツバサ『そう、ごめんなさい。急に誘ったりして』
穂乃果「いえ別に大丈夫です」
ツバサ『じゃあまたね』
穂乃果「え、はい……」
プツッ
穂乃果「……今度暇な時こっちから誘った方がいいかな?」
◇――――◆
UTX
ツバサ「……はぁ」ズゥゥン
あんじゅ「どうしたのかしらツバサ」コソコソ
英玲奈「さぁ」コソコソ
あんじゅ「――どうしたのツバサ」
ツバサ「別に……なんでもない」
英玲奈「高坂穂乃果のことか?」
ツバサ「……別に」
あんじゅ「あ、そういえばどうなったの?」
ツバサ「言いたくない」
あんじゅ「デートは?」
ツバサ「はぁ……断られたわよ」
こんなに、辛いなんて。どうしよう、練習も手につかない……。断られたっていうより都合があるからってのほうが正しいのかもしれない。でも、私とどこかに行くのが嫌で……それで都合がある風にしたかもしれないし。
英玲奈「……」
あんじゅ「でもまだ可能性は?」
ツバサ「……知らない」
ツバサ「ちょっと休んでくる」プイッ
明日は休みだし、服でも買いに行こうかしら……。
英玲奈「これは重症みたいだ……」
あんじゅ「ね……」
◇――――◆
日曜日
穂乃果「でか……!!」
穂乃果「というかこの辺の家全部大きいなぁ……」
穂乃果「えっと、インターホンは……」
ピンポーン
真姫「――いらっしゃい、待ってたわ」ニコッ
穂乃果「あ、こんにちは!」
真姫「上がっていいわよ」
穂乃果「お邪魔します」
穂乃果「す、すごいね」
真姫「なにが?」
穂乃果「家おっきくて」
真姫「ああ……」
真姫「大きくてもいいことってあんまりないのよ」
真姫「あ、そこ座って」
穂乃果「ふ、ふかふか……!!」
真姫「いちいち驚いてたらキリがないわよ」
穂乃果「ごめんなさい」
穂乃果(……こんなおっきい家なら人とか呼びなれてるんだろうな……)
穂乃果「なんかパーティとか出来そうだね」
真姫「したことないけどね」
穂乃果「へぇ」
真姫「そもそも、今年入ってから家に入れたの先輩だけだし」///
穂乃果「へえそうなんだ」
真姫(いい加減気がつきなさいよ……なんで気がついてくれないの?)
真姫(やっぱり自分から、言うしか……)
穂乃果(なんで、そんなこと穂乃果に言うんだろ……)
穂乃果「あ、真姫ちゃんの部屋見せてよ!」
真姫「私の部屋? いいけど……なにもないわよ?」
穂乃果「うん」
真姫「ついてきて」
ザッザッザッ
穂乃果「廊下長いー」
真姫「廊下はもっと短い方がいいわね」
真姫「ここよ」
ガチャ
穂乃果「おー……あんまり広くないね?」
真姫「そりゃあね、あんまり広いの好きじゃないし」
真姫「ちょっとだけ休む? 暑かったでしょ?」
穂乃果「じゃあお言葉に甘えて」
真姫「なにもないけど、まあ許して下さい」
穂乃果「勝手に見たいって言ったのは穂乃果だし」
穂乃果「お、あのベッド……」
穂乃果「……真姫ちゃん」キラキラ
真姫「そ、そんな目で見ないで」
真姫「す、好きにすればいいでしょ」
穂乃果「やったー!」
穂乃果「はぁ!!! フカフカ……!!」ポフポフ
穂乃果「涼しくてきもちー」
真姫「全く……」
穂乃果先輩は私のベッドに寝転がって、クーラーの風を一身に受けている。外は最早猛暑だし、なんだか穂乃果先輩は暑がりそうだからちょうどいいかもしれないわね。
真姫「なにか飲み物持ってきます」
穂乃果「はーい」
部屋を出てリビングに行って冷蔵庫の中を漁る。なにが好みかはわからないけれど、まあいくつかジュース持っていけば好きなのはあるでしょ。
そういえば、穂乃果先輩を呼んだ理由ってなんだっけ。
ああ、料理を作るとかいう自分でもわけわかんない理由だった……というかあの先輩はよくあんな理由で来てくれたわね。まあ本人が覚えてなければそんなのどうでもいいか。
いくつかのジュースを持って部屋へ。
扉を開けると包み込むような冷気に思わず息が零れる。
真姫「――先輩?」
穂乃果「ん、ぅ……」
さっきまでは私のベッドでせわしなく動いていたのに、今は見る影もなく、動きが鈍い。
穂乃果「真姫ちゃ……」
真姫「」ドキッ
穂乃果「すぅ……すぅ……」
真姫「寝てんの?」
……寝てるらしい。人の家に来ておいて、寝てるらしい。よっぽど気持ちいいのね。
真姫「……そんな無防備にしちゃって」
お腹も出してまるで女の子みたいに眠る先輩を見ていると、なんだか変な気分。女の子を家に呼んでリラックスしちゃったから寝ちゃった、みたいな世間の女子同士なら普通のことをしているように感じる。
真姫「男なんだけどね」
穂乃果「んぅ……」
真姫「ふふ……」
気がつけば私は穂乃果先輩が寝ているベッドに肘をついて、穂乃果先輩の顔を間近で眺めていた。
真姫「かわいい……」
穂乃果「すぅ……すぅ」
少しずつ、少しずつ近づいていく。今ここで穂乃果先輩にキスしたら、どうなる? 胸の鼓動が速い、セミの泣く声がそれをさらに促進させている気がする。
真姫「一回、だけ……」
チュッ
真姫「……ふぁ」
柔らかい……。どうしよう、クセになりそう……。
真姫「もう、一度」
スッ
穂乃果「――ま、真姫……ちゃん?」
真姫「え……?」
もう一度キスをしようと顔を落としたところで、大きく見開かれた穂乃果先輩の目が私の視界に飛び込んできた。
瞬間私は飛びのいて、部屋の隅っこにうずくまる。
穂乃果「今……」
真姫「言わないでっ」
真姫「――気持ち悪いでしょ、こんなことしようとして」
穂乃果「いや」
真姫「……どこから起きてたんですか」
穂乃果「なんか、唇に当たったのを感じて……」
穂乃果「もしかして真姫ちゃん――」
真姫「そうよ、キスしたの。悪い? 寝ていて意識もない先輩にキスしたの。こんなことで自分の気持ちが抑えられるとでも思ったのかしら」
真姫「――ごめんなさい」
穂乃果「……」
真姫「前に好きな人がいるっていったの、覚えてる?」
穂乃果「……」
穂乃果(真姫ちゃんも穂乃果のことが……)
真姫「もう流石に気がついたでしょ? 好きなの、私はあなたのことが」
真姫「ずっと好きだった。今日だって料理なんてどうでもよくて、ただ先輩と一緒に居たかっただけ」
穂乃果「っ……」
真姫「私と――付き合って」
ああ、またうるさい。今度はセミの鳴き声なんかより自分の胸で暴れる心臓が私の音を支配する。こんなにも早く鼓動して大丈夫なのかしら。
真姫「な、なんとか言って下さいよ」
穂乃果「……ごめん、答えはまだ、出せない」
真姫「絵里先輩に告白されているからですか」
穂乃果「……」
真姫「もしかして、他の人からも……」
穂乃果「っ」
真姫「そう。やっぱりモテるんですね」
穂乃果「ごめん」
真姫「謝らないでよ」
真姫「私が馬鹿みたい」
穂乃果「……」
真姫「返事は後でいいですよ」
穂乃果「……」
真姫「はぁ……そんな顔しないで」
真姫「別に私が勝手にあなたのことを好きになって、勝手にキスして、勝手に告白しただけでしょう?」
真姫「先輩は堂々としてればいいの、私が全部勝手にやったことだから」
穂乃果「ありがとう」
真姫「はあ、全くあなたこういうことは慣れているんじゃないの?」
穂乃果「慣れるなんてありえないよ……だって人の気持ちを真っ直ぐぶつけられるんだよ?」
真姫「まあ」
穂乃果「答えを出さないってことがどれだけ失礼なことかも分かっているつもり。でも……選べないんだよ」
真姫「誰から告白されてるかとか、聞いてもいいですか?」
穂乃果「……凛ちゃん、海未ちゃん、絵里ちゃん、花陽ちゃん――真姫ちゃん」
真姫「……うそ」
穂乃果「……」
そんなに。そんなにたくさんの人の気持ちを一身に受けて……。きっと考えているうちに次から次に告白されてしまったんでしょうね。
真姫「……よく考えてからでいいから、自分の答えを出して下さい」
穂乃果「うん」
真姫「――はぁあー今日は何しますか?」
穂乃果「え」
真姫「さっきも言ったけど、残念ながら私、料理なんて興味ないんで。なにかしましょうよ」
穂乃果「ええ!?」
真姫「だから先輩と二人でいたかっただけって」
穂乃果「うぅ」
真姫「家に居てもいいけど……夜はご飯でも食べに行かない?」
穂乃果「うん、いいよ」
真姫「夜まで時間あるし……あ、そうだまた曲作らない?」
穂乃果「え?」
真姫「――夏だし、思いっきり夏っぽいやつ!!!」
きっと、今年の夏はいつもとは違うことを信じて。
◇――――◆
ツバサ「っ……う、そ」
初めは信じられなかった。ただの友達だってそう思った。彼の周りには女の子が多いことはµ’sのマネージャーを勤めているということで分かっているし、だってそもそも彼に彼女がいるなんて話――。
思ったところで思考を止める。そういえば彼女がいるかだなんて聞いていなかった。そりゃ聞かれてもないことに答えるわけないわよね、ましてや恋愛関係のことで。
ツバサ「……」
街で穂乃果先輩と赤髪の彼女――西木野真姫が歩いていた。初めは信じられなかった、彼の周りには女の子が多いことは分かっている。それでも、それでも――。
赤髪の彼女が穂乃果先輩の手を奪ったその瞬間に、何かが弾ける音がした。
ツバサ「なんだ……」
ツバサ「はは……ただのピエロじゃない、私……」
オシャレな飲食店に二人が入っていくのを確認した後、私は静かに背を向けたのだった。
◇――――◆
花陽「ふぁ……ん♥︎」
花陽「あ♥︎あ♥︎」
パシャッ
花陽「はぁ……はぁ……」
花陽「っ……こんな、いやらしいかっこ……♥︎」
携帯で、自分自身の姿をとった写真を見て、身体が熱くなっていく。目隠しをして自慰をしながら目の前の全身鏡を使って写真を撮るのにはもう慣れてしまった。
スタイルに自信があるわけじゃないし、顔だって自信があるわけじゃない。でも……それに対して快楽を覚え初めてしまったのはいつのことだったかな。
保存されているのは、あられもない自分の姿。こんなの人に見せることなんてできない。
花陽「……はぁ、はぁ……♥︎」
もし誰かに見られたら……? こんなことをして冷たい目で見られる? もうその人は話してくれなくなる?
穂乃果『気持ち悪い……』
花陽「んっぁぁ!!……♥︎」ビクビクッ
パシャ
花陽「はぁはぁ♥︎」
花陽「酷い顔……目隠しすれば良かった」
花陽「私……穂乃果先輩のこと、考えながらしちゃった……」
あの人に私のこんな部分を知られたらどうなる? もう口も聞いてもらえない? 冷たい目で見られる?
花陽「……」ゾクゾク
罵倒されたい、好きなだけ汚い言葉をかけられたい。好きなだけいじめられたい、好きなだけ叩かれたい。
花陽「せん、ぱい……♥︎」
歪みきった私の性癖は、いつ暴走してしまうんだろう。――時々それが怖くなってしまうの。
【小泉 花陽 には特殊な性癖があるようです】
◇――――◆
約一週間後
屋上
穂乃果「あと少しで夏休みだよみんなー!」
真姫「そんなこと分かってる」
絵里「穂乃果勉強は大丈夫なの?」
穂乃果「今回はだいじょーぶ!」
穂乃果「赤点ゼロー!」
海未「珍しい……」
穂乃果「補習なんてしてられないからねー」
穂乃果「練習しなくちゃー!」
真姫「そうね」
絵里「じゃあ今日は……」
にこ「――あ、あの」
絵里「なに?」
にこ「用事があって、今日も練習出られない」
ことり「3日連続だよ? どうしたの?」
にこ「え、えっと……」
穂乃果「……」
希「ま、たまにはいいんやない」
にこ「もう少ししたら普通に復帰するから」
穂乃果「そっか、なにかあるんだね」
にこ「ごめん」
にこ「じゃあ私は帰るわ、バイバイ」
バタン
穂乃果「どうしたんだろう」
凛「珍しいにゃー」
希「にこっちも色々あるみたいやし、そっとしといてあげよ」
穂乃果「うん」
希「じゃあウチは着替えてくるねー」
絵里「ええ」
ことり「夏休みになったら合宿とかしたいなー」
穂乃果「いいねそれー」
凛「やりたーい!」
海未「合宿ですか?」
海未「このメンバーで合宿なんてしてしまったら――遊ぶだけになる気が……」
凛「大丈夫だって!」
絵里「いいじゃないたまには」
真姫「私の家の別荘使うか頼んでみましょうか? 長期間するなら泊まるお金出すの辛いでしょうし」
穂乃果「ほんとー!!?」
穂乃果「真姫ちゃんちの別荘とか凄そう!」
穂乃果「――この前真姫ちゃんち行ったんだけどね、すっごく大きいの!」
真姫「ちょ……」
ことり「……」
ことり「――なにそれ、二人きり?」
穂乃果「え……うん」
ことり「ふぅん」
絵里「……」
花陽「……」
凛「……」
真姫(待ってよ……今ここにいるのって、ことり先輩以外、全員……)
海未「そうなのですか、もし合宿をするなら頼んでくれるとありがたいかもしれません」
穂乃果「そ、そうだよね!」
海未「それでは練習を始めましょうか」
穂乃果「あ待って、練習のスケジュール取ってくるね」
海未「はい」
タッタッタ
穂乃果「部室だったかなー?」
◇――――◆
ガチャ
希「――ん?」
こんなことなら部室じゃなくてちゃんと更衣室で着替えれば良かった。
予期せぬ来客は、µ’sの核である高坂穂乃果君。
シャツを脱いでキャミソールになった瞬間のことだった、交わされる視線に顔が熱くなるのを感じる。
穂乃果「――ぁ」
希「っ!?」///
穂乃果「ご、ごめんなさい、着替えて――」
希「だ、大丈夫! 出てかなくていいっ」ガシッ
穂乃果「え……えっと」
穂乃果(お、おっぱい……おっきい)ドキドキ
希「だ、だってほら、部室で着替えてたウチが悪いんやし……」///
希「そ、それにキャミ着てるから大丈夫!」
希「下もまだスカートだし!」
穂乃果「あ、はい……」
希「そういえばあんま二人きりってなかったね、ちょっとお話してようよ」
穂乃果「穂乃果でいいなら……」
希「そっか」
希「そうやねえ、あ、まずはお礼いいたいな」
穂乃果「お礼?」
希「µ’sに入れてくれてありがとう」
穂乃果「そんなことですか、穂乃果はずっと誘ってたじゃないですか。こっちがお礼を言いたいくらいです」チラッ
穂乃果「っ……/////」
希「そう?」
……高坂君も男の子なんや。人より胸が大きいことは自覚してるけど、いくらなんでもそんなに見られたら恥ずかしいよ。
穂乃果「は、はい」
あ、あれ……なんだろあんまり嫌じゃない。恥ずかしいのに、なんで。
希「……あ、後ろ向いてて」
穂乃果「はい」
なんだろ男の子に見られてるのに……。ウチはスカートを脱いでから練習着を履いて、穂乃果ちゃんを振り向かせる。
穂乃果「う、上も着て下さいよ」///
希「んー? 暑いし」
穂乃果「ぅぅ///」
希(かわいい……)
希「ね、ちょっと座ろうよ」
穂乃果「練習は……」
希「少しくらい、ね?」
なんだか納得いかないような高坂くんを座らせてウチも対面になって腰を降ろす。
希「もうすぐ夏休みやなー」
穂乃果「そうですねー」
希「高坂くんて彼女は作らないの?」
穂乃果「え、えっと」
希「絵里ちとか――海未ちゃんとか?」
穂乃果「っ……」
希「……ごめん、そんなつもりじゃなかったの」
穂乃果「いえ」
希「あんまり深く考えないようにね」
穂乃果「希さんはどうなんですか?」
希「ウチ? ウチはそういうの経験なくて」
穂乃果「そうなんですか?」
希「うん――高校3年生にもなって処女ってマズイかな?」
穂乃果「しょ、処――」////
希「あはは、そんな反応しないでって」
穂乃果「いきなり言うからですよっ」
笑っていったものの、結構気にしてることなんやけどね。周囲の人はみんな彼氏だなんだって言ってさ。
目の前にいる一見ウブそうな男の子は……どうなんだろう。
希「高坂くんはどうなの?」
穂乃果「どうって?」
希「――童貞?」
穂乃果「っ///」
希「どうなん?」
穂乃果「い、言いません!!」
希「あー童貞なんやー」
希「……」クスッ
穂乃果「ち、違いますよっ、童貞じゃないですっ!」
希「――へえ!!」
穂乃果「ぁ……」
希「……いつ卒業したの?」
穂乃果「ぅ、ぅ……」
穂乃果「小学校の、とき」
【穂乃果は小学生の時、卒業したようです】
希「うそ……」
希「小学校!?」
穂乃果「お、お願いですから、これ以上は」///
希「う、うん」
ちょっと、正直びっくりした。こんなかわいい顔してるのに、夜の時はきっと……。いやいやいや……いくらなんでも小学生って早すぎるよ?
カラン
希「……あ、髪留め落ちた」
希「んしょ」
穂乃果「っ!?」
穂乃果(谷間、見えて……)////
希(な、なんか凄い視線を感じる)チラッ
穂乃果「ハァ……ハァ//」
希(あ、高坂くんの角度からだと谷間見えるんやね。ウチを見て興奮してくれてる、のかな?)ゾクゾク
希(もっと寄せてみたら……)キュッ
穂乃果「っ!!?」
希「ンフッ……♡」
希「ん……おっけ」
希「いやーそれにしても暑いねー」パタパタ
穂乃果「そ、そうですね」//
穂乃果「あ、あのそろそろ服を……」
希「そうやね、そろそろ行かないと怪しまれるし」
すぐに上から練習着を着て、その場から立ち上がる。
希「あ、ストレッチ一緒にやろうよ」
穂乃果「にこ先輩いませんもんね」
希「うん」
どうしよう……なんか、見られても嫌な感じしない。それより、むしろ――。
希「ふふっ♡」
◇――――◆
希「じゃ、高坂君から!」
穂乃果「なんで!?」
希「いいやんたまには、はい押すよー!」
穂乃果「うぎぎ……」
希「おーいいねー」
ウチらが戻ってきた時には既に練習は始まっていて、ウチと高坂くんは少し離れたところで柔軟を始めていた。
希「まだいけるよねー?」
穂乃果「は、はぃ」
希「いくよー」
ムニュゥ
穂乃果「ひゃっ」
希「んー? どうしたん?」
穂乃果「い、いや……」
希「ふふっ♡」
穂乃果(当たって、る)
希(喜んでくれてるかな?)///
ムニュムニュ
ムクムク
穂乃果「や、やば……」
希「なにが?」
穂乃果「い、いや……」
希(……あ、ちょっと前かがみになってる……てことは)
希「ふふっ……高坂くんのえっち」ボソッ
穂乃果「っ!?」
穂乃果「ぅ、ぁえっと……」
希「――さ、次はウチの番だよー」
希「さ、立って立って」
穂乃果「ちょ、ちょっと待って下さいっ」
穂乃果「お願い、ですから……」ウルウル
希「ふふっ仕方ないなあ?」ゾクゾク
きっと今立ってしまったら、大きくなってしまったものを隠せなくなってしまうからだろう。ジャージは制服よりも薄いしね?
それにしても可愛いなぁ……なんだろうこの子の反応を見てるとゾクゾクしてくる。
……待って、分かってて男の子に胸押し付けたり見せたりするのってビッチっぽい? ウチ、そういう人好きじゃないのに。
穂乃果「そ、そろそろ大丈夫です」
希「じゃお願いー」
背中に手が当てられて、ぐぅって押される。あ、そいえばストレッチもするの初めてかも?
希「ふっ、ん♡」
穂乃果(希さん、なんか声、えっち……)
希「ふっ、ぁ♡」
穂乃果「い、痛いですか!?」
希「ううん、大丈夫」トローン
穂乃果「そ、そうですか」
希「ねえねえ高坂くん」
穂乃果「はい」
希「いつかウチに来てよ」
穂乃果「どうしてですか?」
希「うーん……ほらお礼っていうか」
希「真姫ちゃんちにも行ったんやろ? ならいいやん、悪いようにはしないから」
穂乃果「まあ、いいですけど」
希「ふふ」
どうしよう。なんだか、いつもとは違う自分になったみたい。
それはこの暑さのせい? それとも……ウチまで心が熱くなってしまったの?
◇――――◆
にこ「はいはい、分かった分かった」
にこ「明日もあるんだから早く寝なくちゃダメよ」
小さな姉弟達は育ち盛りというにはちょうどいい年齢。
ようやくおとなしくなった姉弟を寝かせると、私は少しだけ遅めのお風呂に入る。この後はお風呂に入ってそのあとは洗濯物をしなくちゃいけない。
ママがいない一週間だけは妹達の世話は私がしなくちゃいけない。お仕事が忙しくてこの一週間は家に帰ってくる暇すらないらしい。
にこ「ま、毎年のことね」
服を脱いで湯船につかると、自然に声が出る。練習の時よりも疲れてないはずなのに、疲れてるのよね。まだ慣れきってない証拠ね。
にこ「ふぅ……」
~~~~~~~♪♪♪♪
にこ「電話……えと、どうしよ」
考える時間は一瞬で、すぐに風呂を上がり、手だけ吹いた後脱衣所にあった携帯電話を手に取る。
にこ「――穂乃果?」
とくん。
にこ「もしもし?」
穂乃果『あ、先輩』
にこ「なな、なによ」
声が震える。嬉しいのに、震える。嬉しいから、震える?
穂乃果『大丈夫かなって』
にこ「大丈夫」
にこ「言ったでしょ大したことじゃないって」
穂乃果『それなら、いいんだけど』
にこ「心配してくれた?」
穂乃果『はい』
にこ「気にしなくていいのに」
穂乃果『そういうわけにはいきませんよ』
にこ「なんでそんな優しいの……」
穂乃果『優しいですかね? 普通だと思いますよ』
にこ「……」
卑怯だ。そんな優しいなら、好きになるに決まってる。
でも、誰にでも優しいのよね……。
穂乃果『とりあえず大丈夫ならいいんです』
にこ「――あ、あの」
穂乃果『はい?』
にこ「そ、その……明日ウチに来てくれない?」
穂乃果『……どうして急に?』
にこ「私が今練習に行けない理由がね、年の離れた兄妹の世話しなきゃだからなの。……親が一週間いなくて」
穂乃果『そうだったんですか』
こんなこと、言うべきじゃない。
にこ「だから遊び相手というか、手伝ってくれたら嬉しい」
穂乃果『そういうことならもちろんいいですよっ!』
穂乃果『あ、でも明日花陽ちゃんとの練習が……』
穂乃果『それ終わってから行きますね?』
にこ「む、無理はしなくてもいいのよ?」
穂乃果『全然大丈夫!』
穂乃果『明日また連絡しますね』
にこ「え、ええ」
にこ「あ、待って」
穂乃果『ん?』
にこ「謝りたいことがあるの」
にこ「あんたのこと、セックスしたいだけの男とか言って、ごめん」
穂乃果『え……それって最初の時の』
にこ「そう。男なんて全部そういう人だと思ってた。でも……あんたは違った、すっごく優しくて自分のことよりも他人のことばかり考えていて。……なんだか男が好きじゃないって言った自分が馬鹿みたい」
にこ「こういう人もいるんだなーって思ったわ。だから、ごめんね……?」
穂乃果『気にしてません。でも……そう思ってくれるならとっても嬉しいです』
にこ「……///」
にこ「じゃあ、住所送っておくわ」
穂乃果『はい、さようなら!』
にこ「はぁ……言っちゃった……」
私は穂乃果の優しさに漬け込むようなことしたわよね。だってああいえばあの子は断るわけないじゃない。……最低、私。
でも、嬉しい。来てくれる。明日ご飯とか作ってあげようかな……。
にこ「ふふ……楽しみ」
ああやっぱり好きだ。穂乃果のことが好きだ。あの人の声を聞くだけで安心する。
にこ「穂乃果……」
◇――――◆
翌日 屋上裏
希「どうする? 高坂くん」
穂乃果「え、えっと……」
また今日も高坂くんを誘惑してたら、昨日と同じくあっさりと乗ってくれた。
そこを少しだけ攻めてあげたら、簡単に謝ってしまった。それは見てたってことを認めてるわけで。
希「昨日からウチの胸みてたよね?」
穂乃果「……」
希「好きなん? 胸」
穂乃果「お、お願いだから許して下さい」
くすくす、高坂くんはなんも悪くないんよー? だって誘惑したのウチやし、押し付けたのもウチやし。
希「昨日おっきくしてたのも知ってるんよ、ばれてないと思った?」
穂乃果「っ!? それは……あのっ」
穂乃果「ごめん、なさい」
希「ふふっ♡」
希「溜まってるん?」
穂乃果「違います……」
希「そっか、なら興奮してもすぐにはおっきくならないよね?」
穂乃果「え?」
希「ほら……」スルッ
穂乃果「の、希先輩!?///」
自らの練習着をキャミソールごと上にまくりあげる。外気にさらされる肌に、すぐに高坂くんの視線が向かうのが分かった。
希「まだ下着見せてるだけやん?」
希「見たかったんでしょ?」
不思議だった、なんで自分がここまで出来るのか。ここまで軽くなれるのか。高坂君の前ではなにをしても恥ずかしくないような感じさえする。
穂乃果「ぅ、ぅ」////
希「――そんなに好きなら、触ってみる?」クスッ
穂乃果「え……」ゴクッ
希「いいよ?」
穂乃果「い、いや」
希「ふふ」
穂乃果(ダメ、ダメなのに……)
高坂くんは下を向きながら。
ムニュ
希「ふぁ……♡」
やば、なんか変な感じ……。
穂乃果「っ……」
穂乃果「ハァ……ハァ♡」////
穂乃果(どうしよう……とまんない)
あれ、なんかさっきとは様子が違う。少し触ったら高坂君は恥ずかしくて逃げるかも、なんて思ったけど……。
穂乃果「すっごい、柔らかい……」モニュモニュ
息を荒げた穂乃果ちゃんの指が、胸に食いこむ。そういえば人から触られるのは初めてだったなぁ、そんな初体験に身体が疼く。
希「ふぁ、ゃ♡んっ、ぁ♡」
穂乃果「先……輩」ハァハァ///
穂乃果(おっぱい……おっぱいっ……)
希「んっ……意外に、大胆やね♡」
ま、まあ高坂君をからかうのはこのくらいで――
穂乃果「希先輩っ……♡」ガサッ
希「え? ちょ、ちょっと高坂君……」
穂乃果「はぁはぁ……♡」
穂乃果(どうしよう、とまんない。どうしよう……希先輩のおっぱい……おっきいよお)
穂乃果(もっと触りたい……そういえば最近、誰ともエッチしてないなぁ。……ことりちゃんとしてればよかった)
穂乃果「――誘ったのが悪いんですよ、先輩」
希「え?」
ムニュムニュ
希「はぁっ、んっぅ♡」
豹変していた。高坂君を取り巻くふわふわとしたイメージが全て尖ってしまったような妙な感じ。
今からされることがなんとなく予想がついた。上から男の力でのしかかられて、胸を触られて、腰の辺りに手を回され始めるとそれは現実味を帯びてくる。
ウチは高坂君のことを怖い、と思いはじめていた。
希「――や、やめて……」ブルブル
なんとか絞り出した声。
穂乃果「っ……ご、ごめんなさい……」
穂乃果「穂乃果、なにして……」
勢いよく離れた高坂君は、自分に対しての問いを投げかけていた。
希「……ごめん」
ああまさかこんなことでウチは恐怖を感じるだなんて。好き放題誘うだけ誘って、怖いだなんて。そもそも本番なんてするつもりなくて、ただの好奇心で誘ってしまっただけなのに。
そりゃそうだ、胸まで触らせたんだから最後まで行かせてあげるのが普通なのかもしれない。高坂君だって男の子だ、我慢出来なくなってもしょうがない。きっとさっきの尖った雰囲気をもった高坂君は……性欲が抑えられなくなってしまったからなんだろう。
穂乃果「ごめんなさい」
穂乃果「ごめんなさい」
穂乃果「ごめんなさい」
希「いや、高坂君は悪くないから」
自分から脱いだシャツを羽織る。
穂乃果「でも……」
希「……」
希「――どうやった? ウチのおっぱい?」
穂乃果「え?」
希「よかったやろー?」
希「µ’sのマネージャーさんとしてよくやってくれてるからたまにはご褒美あげんとなーって」
穂乃果「……」
希「……ごめんちょっと無理あったか」
穂乃果「はい……」
希「高坂君、それどうするの」
穂乃果「……」ビンビン
穂乃果「自然にしてれば、そのうち治ります」
希「……そっか」
希「今日のことは、無かったことにしよ」
穂乃果「……いいんですか?」
希「二人だけの秘密」
穂乃果「っ……はい」
◇――――◆
にこ「まだかな」
にこ「そろそろ練習も終わって、いい時間なんだけど」
にこ「……」
にこ「ん? 今日はね、私の後輩の男の子が来てくれるの。遊び相手になってくれるって」
にこ「そう、前話した穂乃果って人よ」
にこ「なっ……か、彼氏とかじゃないわよ!」
にこ「もう……いいからあんたたち穂乃果が来るまで大人しくしてて」
にこ「まったく……」
にこ「彼氏……か」
ピンポーン
にこ「あ、来たわね」
ガチャ
にこ「いらっしゃい」
穂乃果「お邪魔します」
にこ「ごめんね狭くて」
穂乃果「いえいえ……」
なんか様子が変……?
にこ「上がって」
穂乃果「はーい」
にこ「ごめんね、来てもらっちゃって」
穂乃果「謝りすぎですよ」
穂乃果「……」
にこ「座って」
にこ「なんか元気ない?」
穂乃果「そ、そんなことありませんよ?」
にこ「ならいいんだけど」
穂乃果「……あ、あれが兄妹ですか!?」
にこ「ああそうよ、ほら挨拶して」
穂乃果「そんなかしこまらなくても……」
にこ「小さい時のが大きくなっても続くんだから」
穂乃果「なるほど」
小さな姉弟達が穂乃果に興味津々で寄っていく。
穂乃果「あはは、かわいい。にこ先輩にそっくり」
にこ「もう……」
にこ「――だからか、彼氏じゃないって言ってるでしょ!?」
穂乃果「……//」
にこ「まったくどこでそんな言葉覚えて来たのあんたたちは」
穂乃果「あはは……」
穂乃果「三人と遊んでてもいいですか?」
にこ「……お願い。その間に色々家事しちゃうから」
穂乃果「はーい」
穂乃果が姉弟達と一緒に奥へ消えていく。まあ弟の方はあんまり穂乃果に興味はないみたいだけれど。
にこ「さて今のうちに色々しないと……」
二時間後
にこ「今日は疲れたのかしらね」
穂乃果「こどもならこのくらいの時間に寝るのが普通じゃないですか?」
にこ「普段はもっと遅いのよ」
穂乃果「なんだかにこ先輩お母さんみたい。いいお母さんになりそうですね」
にこ「そうかしら。今日だってあんたがいなかったら色々終わらなかったかもしれないし」
にこ「……私たち、夫婦みたい……な、なんて……」////
男なんて、女の身体にしか興味がないような人ばかりだと思ってた。でも目の前の人は違う、優しくていつも人のことを気にかけてくれる。そこに惹かれるのだって、最早当然のことだったのかもしれないわ。
私が家事をして、穂乃果が子供の世話をしてくれて……。
にこ「ふふ……」//
そんな理想すら浮かべてしまう。
穂乃果「……」
穂乃果(この、感じ……)
穂乃果(にこ先輩、も?)
穂乃果「――にこ先輩……」
にこ「ん?」
いつも通りの問い。いつも通りの態度だと思っていた。
穂乃果「――先輩は穂乃果のことが好きなんですか?」
にこ「え……」
なに、言ってるの? この人は一体なにを。
穂乃果「……」
心臓が止まってしまいそうだ。
私をまっすぐに見つめる穂乃果に笑みはない。どうしてそんな顔をするの?
にこ「……」
にこ「――別に? 好きじゃないけど」
穂乃果「え」
私は、臆病だ。
にこ「なに言ってるのよ急に。私があんたのことを好き? 私はあんたみたいな女々しい人は嫌よ」
にこ「――それともあんた私のこと、好きなの?」
成り行きで問いかけた。これで私の恋は決まってしまうのかと思ったら、身体が震えてきた。
穂乃果「そ、そんなことないです」
にこ「っ……」
にこ「そう」
穂乃果「なら先輩に、相談があるんです!」
私は今、なにをしているんだろう。生きてるんだろうか、血はちゃんと流れているだろうか。穂乃果の言葉が耳に届いた瞬間、すぅっと全身が冷たくなるような感じがした。
にこ「なによ」
穂乃果「穂乃果、色々な人から告白されているんです」
にこ「え……どういうこと」
穂乃果「こんなこと、言っちゃダメだと思うんですけど。にこ先輩、希先輩、ことりちゃん以外のµ’sの全員から」
にこ「うそ……」
穂乃果「だから……こんなことを言うのはあれですけど、告白されるのが怖くて。人の気持ちを受け取るのが、怖くて」
穂乃果「昔は告白されたらすぐに付き合っていました。相手の気持ちを否定するのはダメだって思ってたから。そのせいで基本的に長続きしないんですけどね」
穂乃果「でも、状況が変わったんです。µ’sを作って、最初に告白してきた人の気持ちに応えるべきか迷ってたら、次々に」
にこ「……」
穂乃果「――どうしよう、穂乃果はどうすればいいんですか」
にこ「……」
私はスタートからすでに遅れていたのね。もしかしたら絵里が告白した時も、すでに他の人から告白をされていたってことかしら。もうこんな状態で告白をしても、穂乃果自身を苦しめるだけ。
にこ「――優しすぎんのよ」
穂乃果「……」
にこ「相手のことなんかたまには考えないで、自分の好きな人を選べばいいじゃない」
穂乃果「そんな簡単に言うけど……」
にこ「わからないの、あんたのその態度が人を傷つけることもあるって」
穂乃果「っ……」
にこ「あなたは自分のことだけ考えて。相手をフったらどうなるかだなんて、考えなくていい」
穂乃果「でもっ」
にこ「相手は全力を出してぶつかって来ているのよ? それに対して全力でぶつかってあげないだなんてそれこそ失礼よ」
にこ「――しかもあんた……勘違いさせるような行動とりすぎなんじゃないの?」
穂乃果「……」
にこ「自覚した方がいいわ」
穂乃果「自覚……」
にこ「結局――どうするかは自分で決めるしかないのよ」
穂乃果「わかってるよ……そんなこと」
にこ「あんたに選ばれた人は、きっと嬉しいわよ」
穂乃果「どうしてですか?」
にこ「……なんかあんた良い意味で男って感じがしないもの。無防備でいても全然影響ないし」
どうしようさっきは女々しい人は嫌いって言ったのに。
にこ「……」
にこ「下心が感じられないっていうか、純粋に愛してもらえそうじゃない?」
穂乃果「い、いや……流石にそれは……」
にこ「ま、あんたはいい男よ」
穂乃果「ありがとうございます。……にこ先輩に相談して良かったかもしれません」
にこ「いつでも相談して?」
穂乃果「はいっ」
その言葉は私自身を輪から外す言葉だった。相談役という役割は決して恋愛には発展しないだろう。それでも私がこの役割を選んでしまったのは……穂乃果のことが好きだから。
私が今の状態で想いを伝えたら、どうなる? さらに穂乃果を苦しめることになるだけ、私はそんなの嫌。私が原因で苦しめることになるなんて、この人の笑顔を奪ってしまうなんて。
穂乃果「ありがとう……」
にこ「いいのよ」
――なんだか、前みたいに笑えなかった。
◇――――◆
翌日
希「……」
穂乃果「あ、あの……」
希「――ねえねええりち」
絵里「んー?」
穂乃果「っ……」
穂乃果(希先輩に……避けられてる)
穂乃果(そりゃそうだよね……)
希「……」
希「ウチは最低やね」
絵里「どうしたの急に」
希「……えりちやったらきっと堂々としてるんだろうねえ」
絵里「なんのこと?」
希「スタイルいいし」
絵里「だから」
希「足長いし」
絵里「どうしたのよ」
希「……なんでもない」
強烈な罪悪感が、ウチの心を支配していた。昔ネットで見たことがある、男の人は攻撃体制に入った後に拒否をすると心に強烈なダメージが入るって。あんなに見た目は強そうになるのに、心は繊細で敏感になってしまうらしい。
希「完全にやっちゃった」
自分の好奇心に勝てなかったウチが悪い。あのまま誘ったらどうなるかなんて分かってたはずなのに、覚悟ってやつがなにも出来ていなかった。
希「やっちゃったなぁ……」
胸を触られて、なんだか心がフワフワとしてしまったのかな。いやすでにその前からだね……見られてもあんまり恥ずかしくなかった。おかしいよ相手は男の子なのに、なにやってたんやろウチは。
穂乃果「……」
ことり「……」チラッ
希「……」
ことり「ほーのーかちゃん」
穂乃果「……なあに?」
ことり「なんだか変だけど大丈夫?」
穂乃果「え、そうかな」
ことり「そうだよ」
穂乃果「なんでもないよ」
ことり「そっか……」
ことり(なにがあったんだろ……)
ことり「なんでも相談してくれていいんだよ?」
穂乃果「いや……大丈夫だから」
ことり(なんか、最近冷たい……)
穂乃果(ことりちゃんには色々迷惑かけてるし……言わない方がいいね。センターもやって貰ってるし。そっちに集中してもらわないと)
穂乃果「ことりちゃんは気にしなくても大丈夫だよ。穂乃果なんかのことより、こっちが悩み聞いてあげたいくらい」
ことり「うーん……」
穂乃果「そういうわけだから!」
ことり「あっ……」
穂乃果「あ、あの……にこ先輩……」
にこ「ん?」
穂乃果「さっそくなんですけど相談が……」
にこ「いいわよ」
ことり「っ!?」
ことり「なん、で……?」
◇――――◆
ベッドに寝転んで、ぼんやり天井を眺める。一人の生活にも慣れて、それでも飽きることのない高校生活を謳歌しているつもり。
嫌なことは日常ではほとんどなくて、人を嫌いになったり、話しかけにくいとかそういうのもあんまりない。一人暮らしを始めてからは、人間関係だけは円滑に進むよう暮らしてきたからだと思う。
希「……なんであんなことしたんやろ」
あんなわけわからないことして、高坂くんとの関係が円滑になるとでも思った? 高坂くんだって男の子なんやから……。
希「悪いのはウチだよね……」
初めて人に胸をさわられたこと、いつもとは違う生々しい高坂君の視線を思い出す。
希「……」ゾクゾク
希「な、なんでウチ……こんな気持ち……」
希「こんなこと、好きじゃないのに。やだ……ビッチみたい、やん……」
自分で胸に触れてみる。
希「なんだったんやろ……」
あのゾクゾクする感覚は、やってこない。
希「ウチも興奮、してた?」
希「でも……」
それ以上に恐怖が勝ってしまった。
希「……」
希「はあ、あっつ……。でも、節約はせんと――」
ピンポーン
希「ん、なんやろ」
居留守できるようになるべく気配を消して玄関に向かい、外を覗き込む。
希「っ!?」
希「高坂、くん」
小さな穴から覗きこんだ先には、大粒の汗を額に浮かべて激しく肩を上下させる高坂くんの姿があった。
ガチャ
希「ど、どうして!?」
穂乃果「あはは、こんばんは」
ちょっと意味がわからない。色々なことが重なりすぎて今自分がなにに対して疑問を抱いているかすら把握することも難しい状態だった。
希「え、えと……なにしに?」
穂乃果「――謝りに来ました」
穂乃果「許されないかもしれないけど、本当に本当にごめんなさい!!!」
希「……」
穂乃果「……こ、これ!! ウチのお饅頭ですっ、きっと美味しいと思います。食べて下さいっ!!」
頭が地についてしまうんじゃないかと思うくらい腰を折り曲げて、紙袋を差し出される。
希「あ、ありがと」
穂乃果「ではっ!!」
希「ま、待って!」ガシッ
穂乃果「……」
希「せ、せっかくやし上がって?」
穂乃果「でも、いいんですか?」
希「うん、お饅頭、一緒に食べよ?」
穂乃果「でも……」
希「いいからいいから!!!」グイッ
穂乃果「うわっ!」
穂乃果「ほ、ほんとにいいんですか? 穂乃果を家になんか入れたらまた……」
希「ん? だって高坂くんは悪いことなんかしてないもん」
穂乃果「え……」
希「――あ!! ここでちょっと待ってて! 三分でいいからっ」
穂乃果「え?」
とまどう穂乃果ちゃんを尻目にすぐにリビングと部屋に向かう。
希「あーん、もう掃除しとくんやったー!」
なんでこういう時に限って散らかってるんやろー! 普段は綺麗にしてるのに!
すぐに片付けようとしたところで、高坂くんの暑そうな表情が脳裏をよぎる。
希「ジュースでものんで待っててもらおうか」
冷蔵庫から親に送ってきてもらった様々な缶ジュースが入っている袋を取り出す。
希「高坂くん、暑かったでしょ?」
希「好きなの飲んでて?」
穂乃果「ありがとうございます!」
穂乃果「あの、別にきたなくても……」
希「ウチがやなの!」
穂乃果「ですよねー……あはは」
すぐにリビングに戻る。
希「むぅ……えと、これはそこで……」
十分後
希「おっけー、終わった……」
希「高坂くん、どうぞー!」
穂乃果「おじゃましまーす」フラッ
希「どうぞ座って」
穂乃果「あ、うん」
希(顔赤い、やっぱ暑いかな?)
希「クーラーつけたからもうすぐ涼しくなるよ」
穂乃果「はい」
希「この時間はいつも花陽ちゃんと練習してるんやないの?」
穂乃果「……あ、はいそうですけど」
穂乃果「あやまりたかったから」
希「……高坂くんは悪くないって」
希「悪いのはウチ。……なんでかわかんないけど、高坂くんにわざと胸とか押し付けたりしてた。ごめん、ほんとになんでそんなことしたかわかんないの」
穂乃果「でもそれは……それでおかしくなったのは穂乃果の責任、ですし」
希「……男の子はそんなもんなんやないの?」
希「おっぱいまで触らせてそりゃ襲われても仕方ないよ」
穂乃果「ごめんなさい……」
希「ううん、いいよ。謝りたいのはウチやから」
希「ごめん、避けたりして」
穂乃果「いえ……」
穂乃果「……にこ先輩に相談して良かった……」
希「にこっちに相談したん?」
穂乃果「内容は濁しましたけどね? やっぱり謝った方がいいって言われて……住所教えてくれたのもにこ先輩です」
希「色々手を焼いてくれたみたいやね」
希(全く……)
穂乃果「そういえば親御さんは?」
希「言ってなかったっけ。ウチは一人暮らしなんよ」
穂乃果「へえ、すごいっ!」
穂乃果「大変そうですよね」
希「そうでもないよ、慣れたし」
穂乃果「すごいですよ、本当に」
希「そんなに褒めないで」
希「あ、お饅頭食べよ?」
穂乃果「――あ、そのことなんですけどやっぱり穂乃果は食べなくていいです」
希「なんで?」
穂乃果「あんまり長居すると迷惑だと思うんで、今日は失礼します」
希「ウチは大丈夫なのに……」
穂乃果「すみません」
希「まあ高坂くんがそういうなら」
希「またいつでも来てね?」
希「あ、いつでもはやっぱこまる」
穂乃果「あはは、今度は気をつけます……」
穂乃果「じゃあこのへんで……」
高坂くんが立ち上がって、ウチもそれに続いて立ち上がる。
穂乃果「おっと……」フラフラッ
希「どうしたん?」
穂乃果「わ、わかんない……」
穂乃果「う、ぁ……」クラッ
希「ちょ、ちょっと!?」ダキッ
穂乃果「う、う」
希(顔真っ赤……熱は、ないみたいだけど)
穂乃果「なんかクラクラして……」
希「と、とりあえずすわろ?」
高坂くんを抱きとめたまま、寝室のドアを開いて、ベッドに座らせる。リビングで座らせても良かったんだけど、この体調を見る限り寝かせることも必要かもしれないからだ。
希「大丈夫? どこか痛い?」
穂乃果「だいじょ、ぶ……なんか変な感じ」
希「熱もないし……いったい……」
希「いつから変だった?」
穂乃果「リビングですわったとき、くらいから」
希(なんだ、原因はなに?)
穂乃果「へへ、ほのかはだいじょーぶですよぉ……だからかえらないと」
希「だめやって!」
穂乃果「うぇ? もうせんぱいたらー」
希(なにこの変なテンション……)
希(ん、もしかし、て?)
穂乃果「ふにゃ……」
希「じっとしてて?」
少しだけ、思い当たるところがあった。ウチはそれを確かめるべく玄関に。
希「……やっぱり」
下駄箱の上、ウチが渡したジュースの袋の隣に高坂くんが飲み干したであろう缶が置いてあった。
希「――なんでお酒なんて飲んでるん」
つまるところの原因は、それらしい。
ため息を吐きながら寝室に戻る。まさか高坂くんがお酒飲んでたなんて、気がつかなかったんかな? まあ見た感じ弱いチューハイ飲んだみたいやけど。
穂乃果「うにゃー」
枕に顔を埋めて足をバタバタさせている。
希「元気そうでなによりです、心配して損した」
穂乃果「んー?」
穂乃果「せんぱいの匂いするー!」
希「……なんでお酒なんてのんだん?」
穂乃果「おさけ? のんでないよ?」
希「気づいてないんや。まあ……ジュースとほぼ変わらないやつだけどさ」
希(それでこんなんなるってどんだけ弱いん……)
希(喉がからからの状態で一気飲みして、立った瞬間一気に酔いが回ったってことか)
穂乃果「穂乃果のんでなーい!」
希(これが酔っ払いのめんどくささ……)
ムクッ
穂乃果「んぁ……せんぱぁい、なんか穂乃果……変です」モタレカカリー
希「大丈夫?」ダキッ
穂乃果「んー……」
穂乃果「んぅぅ……せんぱい……」
希「ん?」
穂乃果「――おっぱい、さわらせて?」
希「え、え、え!?」
希「いやいや急にそんなこと」
穂乃果「おねがい……」ギュッ
希「ちょ、ちょっと待ってよ……」ゾクゾク
起き上がった穂乃果ちゃんに抱きとめられて、耳元で囁かれる。
穂乃果「せんぱい、いい匂い」
希「な、な……///」
突然すぎることに理解が追いつかない。クーラーもこっちの部屋まで届いてないから、高坂くんに抱きしめられる熱で汗がにじむ。
穂乃果「はぁ……はぁ……」///
穂乃果「ねえ、いいでしょ?」サワサワ
お酒は人の仮面を取るなんて言われてる。てことは今の高坂くんが本当の高坂くん? うちのおっぱいを、触りたくて仕方ないのが本心?
希「い、いいよ……?」
また、あの感覚だ。あんまり恥ずかしくない、なんでだろう。求められて嬉しい、こんなウチを……求めてくれるなんて。
そっか、わかった。ウチは求めて欲しかっただけなんだ。どんな形でさえ、求めてくれることが嬉しかったんだ。
求められることで、そこが居場所なんだってどこかで実感していたのかもしれない。
たとえ今お酒のせいで正気を失っている高坂くんだとしても。それが本心だというのならば。
穂乃果「ずっとさわりたかったんだ」ムニュ、ムニュ
希「ふ、ぁぁ♡」
穂乃果「はぁ……すご、い」
希「おっぱい、すき?」
穂乃果「おっきいのすき……♡」ハァハァ///
希「ふぁ……息かかってる……♡」ビクビク
穂乃果「ごめんなさい」
穂乃果「だってせんぱい、かわいいんだもん……」ボソッ
希「~~~っ!?」カァァァ
希「ぅぅ……///」
穂乃果「れろ……♡」
希「ひゃぅっ、高坂くんなにしてっ」
穂乃果「ちゅ、じゅる……」
希「んんっ……」
高坂くんはウチの首筋のあたりに舌を這わせる。ウチを舌から生意気に見つめて、にやりと笑った。
穂乃果「ちょっとしょっぱい」
希「……汗かいてたから」
穂乃果「そっか」
穂乃果「んっ――」
チュッ
希「!?」
希「ちょっ、高坂く……んんっ」
穂乃果「はぁ、はぁ……れろ……ちゅぷ……♡」
なにこれ、なにこれ!? キス? 初キス。高坂くんと? 状況に流されるがままに、ウチは人生で初めて、ファーストキスを経験することになった。
希「んっ♡はぁ……♡」チュプ
穂乃果「かわいい」レロチュッ……
希「んんんっ!!!♡/////」バタバタ
高坂くんの舌が侵入してきて、暴れまわる。未知の快楽に怯えるウチの舌を高坂くんの舌は絡め取るように強引に引きずりだして全体を嬲りあげる。気がついた時にはもうウチは高坂くんのことを見上げていて、いつの間にこうなっていたんだろうなんて疑問が浮かんだ。
お酒の力によって暴走している高坂くんの攻撃は止みそうにない。絶え間無く続けられる舌の攻撃が徐々にウチの理性も壊していった。押し寄せる快楽の波がウチをさらおうとギリギリまで迫る。
初めてがこんなに深いキスだとは夢にも思わなかった。
希「ふぁっ……♡ ちゅっ……こうさか……んっ♡ んぁっ♡」
希(キス……うま……い)
スッ
希「はぁ、はぁ……♡」
いよいよ危ないと思った矢先、先ほどまでの攻撃が嘘のように止んだ。
穂乃果「……かわいい、かわいいよ?」
穂乃果「せんぱいのおっぱいだいすき♡」///ギュッ
穂乃果「ぜんぶみせてください」
希「これで、い?」////
穂乃果「っ……綺麗……」ジーッ
希「だらしない身体だから……そんなみんでよ……」
穂乃果「そんなことない」
穂乃果「こんなに綺麗」クニュックニ
希「くっ、はぁぁっ……♡」ガクガク
穂乃果「こうされるのきもちいい?」
希「そんなん、きかんで……♡」トローン
穂乃果「はっ♡はっ♡」
穂乃果「んっ、ちゅ……じゅる」
希「んっぁ♡」
穂乃果「しぇんぱい……♡」///モミモミ
希「ひぅぅ」
穂乃果「はぁ……はぁ……」スルスル
希(!? し、下……)
高坂くんは何も言わずにウチの下半身に片手を伸ばした。口はウチの硬くなったところを虐めてるくせに器用なもんやね。
穂乃果「んっ、あれ」モタモタ
希(もしかして高坂くんも余裕ないんかな?)
ウチのを脱がそうとズボンに手をかけるけど、ファスナーが下ろせなくてもたついている。やっぱり難しいよね
穂乃果「っ……ご、ごめん」ギンギン
希「待ってて、今脱ぐから」
泣きそうな表情の高坂くんは見ていられなかった、素早くズボンを下ろして、下着姿を高坂くんに晒す。
不思議だった、きっとこれから本番て言われるのをするんだろう。それでも前のような恐怖心は微塵も湧いてこない。
下着姿になって、少しはなにかするのかと思ったけれど高坂くんはすぐにウチの下着を掴んで、ずり下ろす。荒くなった息と舐め回すような視線。
希「ひゃっ」
穂乃果「もうこんなになってる……」ピチャ
希「っ……////」
穂乃果「ほら」
希「見たくないっ」
穂乃果「……」ドキドキドキドキ
穂乃果「はぁ……んはぁ……♡挿入れたい……♡」
穂乃果「ねえせんぱい、挿入れてもいい?」ウルウル
希「……」コクッ
ぱあっと表情が明るくなる。ここまでして断られるとでも思ったんだろうか。まあ昨日は断っちゃったんだけど……。
ベルトをカチャカチャ外して、高坂くんの下半身も下着だけの姿になった。下着の上からでもまるでテントみたいに突き上げる高坂くんのモノが目に入る。
やっぱり下ろしてあげて多少の前戯もしてあげて――。
穂乃果「んっ」ズルッ
これからどうやって高坂くんを気持ち良くしてあげられるかを考えていた矢先、自ら下着も外し、跳ね馬みたいに飛び出した高坂くんのモノが目に飛び込んできた。
希「で、でか……///」
初めてみる男の人のモノ。パンパンに膨れ上がった物体。これが欲望の塊、その先端は何故か玉みたいな透明な液体が付着している。
希「ま、待ってよそんなおっきいの入らな――」
穂乃果「せんぱいっ」ガバッ
考える暇すらない、さらに強い力でのしかかられ足を開かれる。
希「ちょ、いきなりっ」
穂乃果「挿入れますよ!?♡」ハッーハーッ////
希「無理、むりやって! そんなのおっきいの無理だよぉ……」
本当に余裕がないみたい、すぐにでも挿入したくてたまらないんだろう。ネットでみたえっちってもっと前戯とかしてたからそれが当たり前なんだって思ってた。でも違うのかな?
――あれ、ちょっと待って……ゴムは!?
ズチュッ
希「いった……ぃ」
希「ぁっぐぅ……」
一瞬の衝撃とともに、高坂くんが今まで聞いたこともないような情けない声をあげた。ずぅぅんと奥に重たい感覚、ああこれが挿入れられるってことなんや。結構、痛いもん、やね。
穂乃果「ふっ、ぁぁああ♡♡」トロン
希「……ぅ、こうさかく」
希「ゴムっ……してないよ!」
穂乃果「はぁぁ……♡ 膣内には出さないから、ね♡ね?」
希「でも……わかった」
希「ふぅ、んっ♡ウチんなか高坂くんでいっぱいんなって……♡」
穂乃果「ふわふわしてて溶け、ちゃいそ……♡」///
穂乃果「ゴムない方が、気持ちいいや♡」///
穂乃果「ふぁぁ……なま……だぁ♡なますごいよぉ!!♡」
穂乃果「ことりちゃんはね、させてくれないんだ♡希先輩はさせてくれるから好きー♡♡」
希「え、えっと……」
穂乃果「せんぱい、このまま動くよ?」
希「んっ、はぁ……」
穂乃果「んっ♡あ♡あ♡♡」ズチュズチュ
希「はっ、ん……」
穂乃果「あ♡っぁ♡ふぁ♡せんぱいっ、ことりちゃんのより……っ――きもちいよぉ♡」
希「――ふえ?」
穂乃果「ごめんなさ♡もうイキそ……♡」
穂乃果「せんぱい」チュっ
希「んッ♡」チュぅ
穂乃果「んぅ、ァひゃあ♡」チュッヂュルル
希「んんんぅ♡~~~っ♡」ガクガク
穂乃果「ハァッ……♡ハァッ……!!///」グチャグチャ
希「好き♡穂乃果ちゃん好き♡」
穂乃果「で、る……♡」ブルルッ
穂乃果「せんぱい、でちゃいますっ♡」ハァッ……ハァ……///」ウルウル
穂乃果「すごいっ♡せんぱいっ……なますごいよぉ……っ♡」///グチュッグチュ
希「!?」
希「お願い、膣内はダメ!!! 膣内はダメだよ!?」
穂乃果「大丈夫、大丈夫だから♡」パンパンパンパン
穂乃果「あ♡あ♡でる、でるでるっ♡」パンパンパンパン
希「ダメ、だめー!!!」バタバタ
穂乃果「っ♡」ヌプ
穂乃果「あっ♡あっ♡ふぁぁぁ♡んっぁ♡」ビュルルルッビュルル
穂乃果「とまんな、ぃ♡あっ♡んっ、んぁ♡」ビュルルル
希「きゃっ、すごい量……あったかい」
ギリギリでウチの中から出して全てを放出した高坂くん。ウチのあそこ付近で出したはずの精液は勢いが強すぎて顔にまでかかってしまっている。もしこんなの膣内に出されてたら絶対妊娠してたよね……。
穂乃果「はぁぁぁぁ……////」グッタリ
希「気持ちよかった?」
穂乃果「はぁっ♡はあっ♡」
ウチの横に寝転がった高坂くんは心底疲れ切っているようだ。額に汗をいっぱいに浮かべて、恍惚の表情も浮かべている。
……やっちゃった。シーツに染みた赤いものがなによりの証拠だ。
前はいざ本番となると怖くて拒否してしまったけれど、求められることが純粋に嬉しいんだってことに気がつけたから今の状態がある。どんな形でさえ求めてくれている。――それが正気でない状態でも。
正直気持ちいいかどうかはわかんなかったけれど、この満足感は肉体的な快楽だけで得られたものではないことは確実だった。
希「キスしちゃった……」
穂乃果「すぅ……すぅ」
希「寝ちゃったか」
希「くすっ――穂乃果ちゃん。かわいい」
希「でも、なるほど……ことりちゃんともしてたんやね」
◇――――◆
二時間後
穂乃果「んっ……あ、あれ」
希「すぅ、すぅ……」ギュッ
ムニュムニュ
穂乃果「やわらかい……なに、これ?」
穂乃果(顔うずめるの、気持ちいい)ムニュムニュ
クスクス
希(なんかくすぐったいから起きてみたら……かわいいなあ)
穂乃果(あれなんか抱きしめられてる?)
穂乃果「……」チラッ
希「」ニコニコ
穂乃果「」
穂乃果「はぁ!?!?」
穂乃果「なななななななにこれー!?」バッ
希「あら……」
穂乃果「し、しかも先輩なんで裸なんですか!!!」
希「あら、覚えてないん?」
穂乃果「お、覚えてないって……どう、いう」
希「とりあえず、前隠したら?」
穂乃果「え、あ、あ!!」バッ
穂乃果「……///」
希「可愛い顔しておっきいんやね♪」
穂乃果「一体、なにが……」
希「ほんとにお酒弱いんやね。あんな弱いので記憶吹き飛ぶなんて」
穂乃果「お酒なんて飲んでないです!」
希「ジュースの袋の中にお酒が入ってたみたいで、気がつかずに飲んでたんよ」
希「記憶、ないでしょ?」
穂乃果「……」
穂乃果「穂乃果、なにしたんですか」
希「……察してくれん?」
穂乃果「もし、かして……」
希「……///」
穂乃果「ごめん、なさい……」
穂乃果「なんてこと……を」
穂乃果「ごめんなさい!!」
穂乃果「ごめんなさい!ごめんなさい!!」
希「そんなに謝らないでよ」
希「ちょっとびっくりしたけど、同意の上だったから大丈夫」
穂乃果「……でも」
希「――あ、穂乃果ちゃんの精液カピカピんなっちゃった」
穂乃果「さ、最近そういうのなにもしてなかったから……」
希「そうだよね、じゃなきゃこんなに出ないよ」カピカピ
希「とにかく穂乃果ちゃんは気にしないでいいよ」
穂乃果「どうして……無理やりしたみたいなもんなのに」
希「ん……それはね」
希「――ウチが穂乃果ちゃんのこと、好きやから」
穂乃果「え……」
希「ほんとだよ」
希「ライバルが多いのも、知ってる」
希「海未ちゃんから告白されてたでしょ」
穂乃果「見てたんですか?」
希「聞こえたんよ」
穂乃果「……」
希「ことりちゃんからは?」
穂乃果「ことりちゃん?」
穂乃果「いや、それは……」
希(違うんや)
穂乃果「……」
穂乃果「希先輩がそんなこと思ってたなんて思わなかったです」
希「……えっちしてから気がついた、なんて不純かな?」
穂乃果「……それはわかんないです」
希「そっか」
希「……」ギュッ
穂乃果「な……せんぱい///」
穂乃果「はだか、なんですよ……」
希「知ってる」
希「穂乃果ちゃんはえっちした記憶なんてないんやもんね」
希「ねえ、今度もう一回しよう? 好きなようにウチを使ってくれていい、見返りなんて求めないから」ムニュ
穂乃果「ぁ……ダメ……っ」ムクムク
希「あらら、元気になっちゃったね」
穂乃果「はぁ……はぁ……///」ギンギン
希「おっきい胸が好きなんでしょ? 酔った穂乃果ちゃんは正直やったよ」
穂乃果「だ、め……♡」
希「ふふっ」シュコ……シュコ
穂乃果「はぁ、ぅぁ♡ せんぱい……だめです♡」ガクガク
希(女の子みたいに感じるんやね……)
希「ウチら、もうえっちしちゃったんよ? 一回したら二回も三回も変わらないと思わん?」
穂乃果「ぅ……」プルプル
希「……そっか。穂乃果ちゃんがえっちしたいって言ったから任せたのに、ウチがしたいって言ってもしてくれないんだ……」
希「――それって酷いと思わない?」
穂乃果「っ……」
穂乃果「は、い……♡」
希「そうだよね」シュコシュコ
穂乃果「ひぅ……♡」////
希「気持ちよかった?」スッ
穂乃果「ふぇ……」
希「今日はもうしてあげない。その代わり、明日ならいつでもしてあげるよ?」ボソッ
穂乃果「……ふぅ、ふぅ……♡」
希「決まり、やね」クス
◇――――◆
一週間後
にこ「ごめんね、今日も来てもらって」
穂乃果「いえいえ」
にこ「でも明日からはほんとにママも帰ってくるから」
穂乃果「そうなんですか?」
にこ「ええ、一週間じゃ帰れなそうって言われた時はどうしようって思ったけど、こうやってあんたが毎日来てくれるなら悪くはなかったかもね」
穂乃果「夏休みは暇ですからねー」
にこ「でもあんた今日真姫ちゃんの誘い断ってなかった?」
にこ「昨日は凛の……」
穂乃果「そ、それは……」
にこ「あんた最近なんか変わったわよね」
穂乃果「……だって告白されてて、どう接していいかわからなくなってきて」
にこ「急にどうしたの?」
穂乃果「前に自覚した方がいいって」
にこ「ああ……」
穂乃果「最近は人とあんまり二人でいないようにしてるんです。海未ちゃんと二人で帰るのもやめたし、花陽ちゃんと二人で練習するのもやめました」
なら、私はなんなの……?
にこ「……そこまでしなくても」
穂乃果「でも……」
穂乃果「これ以上人に優しくしてたら……」
にこ「あんたに変われって言ってるわけじゃないのよ? あんたはあんたのままがいいのは本当よ?」
穂乃果「矛盾してるよ……」
穂乃果「優しくしない方がいいって言ったから優しくしてないのに」
にこ「……それは」
穂乃果「……」
穂乃果「ごめんなさいこんなこと」
にこ「私も」
穂乃果「なんかにこ先輩といると安心するんです」
にこ「ふぅん」
穂乃果「なんでもはっきり言ってくれるし、だからこれからもよろしくお願いします」ニコ
にこ「え、ええ……//」ドキドキ
穂乃果が笑うと私の鼓動が早くなる。穂乃果が近づくと私の鼓動が早くなる。
最近は毎日ウチに来てくれる穂乃果、毎日毎日穂乃果と二人きりになれてこれ以上に幸せなことはない。
穂乃果が私とは普通に二人きりになるのは、心を許してるというか……私が穂乃果に対して恋愛感情がない、とはっきり嘘をついたからだろう。私なら二人でいても平気、つまり都合が良い女ってこと。
これで良かったのかな? 穂乃果の相談役といえばまず思い浮かぶのはことりなんだけど、この前はことりと比較しても私の方がいいとも言ってくれた。
嘘をついて、安全な立ち位置で穂乃果と関係を持つ。私はなんて卑怯で臆病なんだろう。
にこ「……」
穂乃果「?」
にこ「――あんたさ、なんで毎日ウチに来てくれるの?」
穂乃果「うーん、妹さん達もこたろう君もかわいいし、それに……にこ先輩と話すの楽しいから!」
にこ「っ……」キュンッ
にこ「なんでよ……」ドキドキ
穂乃果「え?」
にこ「なんでもない」
そんなの、誰だって勘違いするに、決まってるじゃない……。
「性的暴行を受けたとして――」
にこ「……」
にこ「……酷いわね」
穂乃果「……」
ただつけていただけのテレビが発したのは、小さな女の子を男がレイプしたというニュース。最近はこの手の話も珍しくなくなっていて、対した衝撃はない。
にこ「私あんたのこと、こういう人たちと同じだと思ってたのよねー」
穂乃果「ひどいっ!」
にこ「まあ身体にしか興味ないような人じゃなくて、ほんとに良かった」
穂乃果「……」
私が微笑みながら安堵の息をはくと、穂乃果の顔色がなんだか悪くなってしまった。
にこ「穂乃果?」
穂乃果「い、いや……なんでもないですよ」
にこ「そう?」
チクリと胸が痛んだ。目を逸らす穂乃果に少しだけ影が落ちているような、そんな気がした。
◇――――◆
海未「雪穂」
雪穂「あ、久しぶり!!!」
海未「店番ですか」
雪穂「そうだよー、この時間はいつも暇なんだけどね~」
海未「穂乃果は?」
雪穂「穂乃果に用?」
海未「いえ、そういうわけではないのですが」
雪穂「――あいつさ、最近帰りがいつも遅いんだよね」
そう呟いた雪穂の顔は決して明るいとは言えませんでした。あいつ、だったり、穂乃果だったり、雪穂がそういう風に呼び出したのはいつ頃からでしょう。
昔はいつでも二人でいて、仲が良くて少しだけ嫉妬をしたこともあったのですが……。
海未「寂しいんですか?」
雪穂「はあ? そ、そんなわけないよ……」
雪穂「……」
海未「雪穂……」
【園田 海未 が 高坂 雪穂 のことを気にかけるようになりました】
◇――――◆
翌日
ことり「変だよ」
ことり「……ねえ穂乃果ちゃん」
穂乃果「なあに?」
ことり「どうして最近えっちしてくれないの?」
穂乃果「……そういう気分じゃないっていうか」
ことり「一人でもしてないの?」
穂乃果「してないよ」
ことり「……」
ことり「溜まってるよきっと、抜いてあげるからさ」
穂乃果「い、いいって……」
ことり「ことりがしたいの……ダメ……?」
穂乃果「ダメ」
ことり「っ……」
ことり「最近冷たいよ……」
穂乃果「……」
ことり「何かあった? あったなら相談に乗ってあげるよ」
穂乃果「そういうわけじゃないの……ほんとに、大丈夫だから」
穂乃果「ことりちゃんのためなの、負担をかけたくないの」
ことり「……」
穂乃果「……ごめんね」
ことり(なんで、一体どうしたっていうの? ことりのなにがいけないの? なにかしたの?)
ことり(しかも相談はにこ先輩にしてるみたいだし)
海未「――少しだけ穂乃果、変わりましたよね」
ことり「そうだよね」
海未「なんというか……少し棘があるというか」
ことり「……」
海未「――最近一緒に帰ってないんです」
ことり「花陽ちゃんとの練習があるからじゃないの?」
海未「いえ……もう花陽との練習はやめたみたいです」
ことり「そうなの?」
海未「はい、花陽本人はもう少しやった方がいいと思っていたらしいですが……」
ことり「どうしたんだろう……確かにもう花陽ちゃんは十分だけど」
ことり「穂乃果ちゃんからやめようっていうのはなんか珍しいね」
海未「それに、雪穂から聞いた話なのですが……」
ことり「うん」
海未「穂乃果毎日帰りが遅いらしいんです」
ことり「どういうこと?」
海未「なんでも、にこ先輩の家に毎日入り浸っているとか」
ことり「――……」
ことり「雪穂ちゃんが言うなら確かみたいだね」
海未「はい、でも一体何故……」
海未「仲が良いのはいいことですが、少しだけ気になりますね」
ことり「……あと、ちょっと前から希先輩と一緒にいることも増えたなーって」
海未「……そういえば呼び方も変わりましたね」
ことり「――聞いてくる、にこ先輩に」
海未「ちょっと」
ことり「にこ先輩!」
にこ「どうしたの」
ことり「最近穂乃果ちゃん、にこ先輩の家にいること多いですか?」
にこ「……そうだけど」
ことり「どうしてですか?」
にこ「知らないわよ」
ことり「……」
ことり「――にこ先輩、穂乃果ちゃんのこと好きですよね?」
にこ「なななな、なによ、それ」
ことり「やっぱり。バレバレです」
にこ「……」
ことり「告白しないんですか?」
にこ「……こっちのセリフよ」
ことり「は?」
にこ「あんたこそ、告白しないの?」
ことり「――ことりが、穂乃果ちゃんのことを……?」
にこ「違うの?」
ことり「……」
ことり「……わかんない」
にこ「わかんない?」
ことり「わかんない」
ことり「わかんないの!!!」
にこ「ちょ、ちょっと……」
ことり「……ごめんなさい」
にこ「……よくわからないけど、自分の気持ちは知っておいた方がいいと思う」
ことり「……」
ことり「なら、なんでにこ先輩は告白しないんですか」
ことり「自分で好きってはっきりと自覚しているのに」
にこ「あの子に負担かけたくないのよ」
ことり「?」
にこ「あの子ね、今たくさんの人から告白されてるらしいの」
ことり「知ってます」
にこ「そう、それなら良かった。私とあんた以外のµ’sのメンバー全員に、ね」
ことり「え……」
にこ「知ってるんじゃないの?」
ことり「ことりが穂乃果ちゃんから聞いた時はもっと少なかったのに……」
にこ「その間に告白されたんでしょうね」
ことり(言ってくれなかった……ことりに言う必要なんて、なかった?)
にこ「あの子もあの子なりに悩んでる。今まで受けたことがないくらいたくさんの人の想いを一身に受けているの」
にこ「穂乃果が優しすぎるってことはことりも知ってると思う。だから……今更私が告白して、負担になんかなりたくない」
ことり「……」
ことり「そうですか」
ことり「……いきなり変なこときいてごめんなさい」
にこ「別に大丈夫よ」
ことり「自分の気持ち、はっきりさせて来ます」
にこ「ええ」
にこ「……ことり」
ことり「はい?」
にこ「あんた――私と似てるのかもね」
◇――――◆
練習後、屋上
希「あ♡あっ……♡ひゃぅ、そこぉ♡」
穂乃果「ふぁ、せんぱ……ぃ♡」ズチュグチュグチュ
穂乃果「おっぱい……柔らかい」モニュモニュ
希「はっ、うぅぅぅっ♡」ビクビクビク
希「ちょ、ちょっと休ませて……♡」ハーッハー///
穂乃果「ん……♡イっちゃいましたか?」
希「うぅ……///」キュンキュン
穂乃果「……ね、もう動いてもいいですか?」
希「む、り……♡」
穂乃果「はぁ……ん……はぁはぁ♡」
穂乃果(希先輩、クセになっちゃう……先輩の膣内きもちいいよぉ……♡)///
希「ごめん、手でしてあげるから、許して……」
穂乃果「で、でも……」
穂乃果「……わかり、ました」ヌプッ
希「ふぁ♡」
希「ごめんな満足させてあげられないで、ゴム取るよ?」パチッ
穂乃果「いえ……」
希「穂乃果ちゃんの方からしたいって言ってくれて、今日は嬉しかったよ?」グシュグシュ
穂乃果「そ、それは先輩が胸の谷間見せてくるからっ……♡」
希「んー、それで流される穂乃果ちゃんも穂乃果ちゃんやと思うけど……」
穂乃果「んっ、ぁはぁ♡」
希「ウチのと穂乃果ちゃんの汁……ぐちゃぐちゃやね……///」グチャ……グチャ
穂乃果「で、る……でる♡」
希「いいよ、顔にかけても大丈夫」
穂乃果「ふぁっ、ふぁぁっ♡」ビクビクビク
穂乃果「んっ♡」ビュルルル
希「わっ……」
穂乃果「ひゃ、ごめんなひゃ……♡んっんっ♡」
穂乃果「……きもちい♡」ビクッビクッ
希「いっぱい出たね」
穂乃果「はぁはぁ……」///
希「またしたい時はいつでも言ってね?」
穂乃果「ふぁい……♡」
穂乃果(また……やっ、ちゃった……♡)
穂乃果(先輩の身体見ると……抑えられなく、なって……)
穂乃果(こんなの、身体しか見てないと同じだよ……)ズゥウン
穂乃果(せっかくことりちゃんの誘いは断れるようになったのに……」
希「どうしたん?」
穂乃果「……」
希「賢者モードってやつ?」
穂乃果「そうかも」
希「ん、これにこっちのリストバンドや」アレッ
希「後で返しとこ」
ザッ
希「……?」
希「!?」
にこ「……なにしてんの?」
にこ「――あんた達……なに、してんのよ……!!!」
穂乃果「……え?」
にこ「なにしてんのよ……!!」
穂乃果「にこ、先輩……」サァァアアアアア
希「……」
にこ「穂乃果、あんたがそんなやつだなんて……思わなかった」
にこ「――無理やり希にさせるなんて……!!」
穂乃果「え」
にこ「最低……最低!!」
穂乃果「ちょ、ちょっと……」
にこ「大丈夫、希?」
にこ「行きましょう?」
希「にこっち、あ、あの……」
穂乃果「せんぱ――」
にこ「触るな! その汚い手で、触らないで……」
穂乃果「っ……」
希「あ、あのねにこっちちょっとだけ話をきいて?」
にこ「なに?」
希「……ここじゃあれやから、穂乃果ちゃんも含めて部室行こう?」
にこ「……」チラッ
穂乃果「……」
◇――――◆
にこ「で、どう釈明するの?」
穂乃果「それは……」
にこ「前に私が言ったこと、覚えている? あんたが邪魔って言ったこと」
穂乃果「はい」
にこ「一人でも男がいるとね、絶対こういうことが起こると思ったからよ!」
にこ「あんたは……そんなやつじゃないって、思ってたのに……」
にこ「そんなやつじゃ、ないって……」
希「違うんよ、これはウチが悪くて……」
にこ「……」
希「……ウチが穂乃果ちゃんのこと誘惑したせい」
にこ「……なによそれ」
希「そのままの意味や、ウチが穂乃果ちゃんのことが好きで誘惑した」
にこ「いみわかんない……希がそんなこと……」
にこ「――なによ、なによなによ、結局身体の関係がなきゃダメなの!?」
希「……」
穂乃果「……」
にこ「――私、なんでこんなやつ、好きになったの?」
穂乃果「え?」
希「……」
にこ「教えてよ……!!」
穂乃果「どういう……こと」
にこ「――好きなのよ、あんたが!!」ポロポロ
穂乃果「で、でも、前は好きじゃないって」
にこ「……」
にこ「希……」
希「うん……帰るね」
にこ「ごめん」
希「いいんよ、じゃあ」
バタン
にこ「……希に誘惑されたってのはほんと?」
穂乃果「うん」
にこ「告白もされてるんだ?」
穂乃果「う、ん」
にこ「……」
にこ「私ね……あんたのことが好きなの」
穂乃果「……っ」
にこ「でも好きじゃないって嘘、ついてた。相談役になれば穂乃果と話す機会も増えるし、安全な立ち位置にいることが出来るから」
にこ「――臆病でしょう?」
にこ「卑怯でしょう?」
穂乃果「……」
にこ「ねえ、穂乃果は希のことが好き?」
穂乃果「……」
にこ「好きじゃないのに、セックスしてたの?」
穂乃果「っ……」
穂乃果「ごめんなさい……」
にこ「!!!」
パァァンッ‼︎‼︎
穂乃果「いった……」
にこ「……女の子なら、誰でもいいの?」
穂乃果「そう思われても、仕方ないと思います」
にこ「――じゃあにこでも、いい?」
穂乃果「え?」
ガバッ
穂乃果「な、なんですか? 先輩……」
にこ「……あんたと、セックスすれば選んで貰える?」ブルブル
穂乃果「……」
にこ「好きなんでしょ? こういうこと、こういうことすれば私のこと選んでくれるかもしれないんでしょ?」ブルブル
穂乃果(震えてる……)
にこ「なんとかいいなさいよ!!」
穂乃果「……にこ先輩とは、出来ないよ」
にこ「……」
にこ「なんでよ、私は候補にも入らないってこと!?」
穂乃果「そうじゃない」
穂乃果「――だって震えてるよ?」
にこ「……っ」
にこ「こ、こんなの問題ないわよ」
穂乃果「……自分は大切にして欲しいって、前に言ったよね?」
穂乃果「自分でも矛盾してると思う。じゃあなんで希先輩とはしたんだって思いますよね。でも……にこ先輩とは、出来ません」
にこ「……」
穂乃果「穂乃果はにこ先輩のことが大切なんです、わかってください」
にこ「なんでよ……なんなのよ!!」
にこ「そんなことわかってるわよ! 私じゃそういうことが出来ないことくらい! したこともないし、したくもない!」
にこ「……ほんとなら、あんたのこと嫌いになるはずなのに――今更嫌いになんか、なれないのよ!!!」
にこ「本当なら、あんたのこともっともっともっとぶんなぐってぶんなぐってぶんなぐって……µ’sから追い出さなきゃいけないのに」
にこ「っ……ひっぐ」
にこ「……好きな人にそんなこと、出来るわけないじゃないっ……」
にこ「ぅぅ……」
穂乃果「こんな男で、ごめんなさい……」ギュッ
にこ「ひっぐ……許さない」
にこ「許さないんだからぁ……」ポカッ
穂乃果「……っ」
【矢澤 にこ は性行為が嫌いなようです】
◇――――◆
3日後
穂乃果「あー……」
穂乃果「……そう言えばツバサさんにご飯誘われてたんだっけ」
穂乃果「でもな……女の子と二人か……」
穂乃果「返さないのは失礼だよね……一応返した方がいいのかな?」
穂乃果「明日は予定特にないし」
穂乃果「メールでいいよね?」
穂乃果「よし、おっけ」
◇――――◆
ツバサ「!?」
ツバサ「……穂乃果さんからだ」
ツバサ「でも、どうしよう」
彼女持ちの人から、お誘い……。あの時私が誘ったのを覚えてくれていたのかしら、それであっちから誘ってきた。
ツバサ「……」
ツバサ「後悔は、残念ながらしたくないの」
たとえ彼女持ちだって、そんなの関係ない。付き合えなくたって、そんなの関係ない。想いを伝えることくらい自由だと思わない?
好きになって、少し臆病になったかもしれない。こういう時こそ大胆に、これは戦い、きっと戦争みたいなもの。
ツバサ「よし……」
◇――――◆
翌日 夕刻
ツバサ「暑いわね?」
穂乃果「そうですねー……」
ツバサ「なんか、あなた普段と雰囲気違う……」
穂乃果「あはは、よく言われます」
なんだか結構いい感じというか、少し頼りない感じだったけど……かっこいいっていうか。でも、なんだか……辛そう。
ツバサ「ごめんなさい、気を使わせちゃって」
穂乃果「ぜんぜん!」
ツバサ「この前のお礼みたいなものだから今日は私がご馳走するわ」
穂乃果「そんな、いいですって!」
ツバサ「ケジメみたいなものだから」
穂乃果「でも……」
ツバサ「ここね」
穂乃果「なんか高そうなんですけど……」
ツバサ「普通だと思うけど」
穂乃果「そ、そうなんですかね」
――――
穂乃果「や、やっぱり……」
ツバサ「別に大丈夫よ、なに頼んでも」
穂乃果「い、いや……」
ツバサ「大丈夫って言ってるの」
穂乃果「は、はい……」
ツバサ「そう言えば、µ’sのメンバーまた増えたのね」
穂乃果「希先輩ですか」
ツバサ「そうそうその子」
ツバサ「どう、あれから?」
穂乃果「いい調子です」
穂乃果「絶対前よりは良くなってます!」
穂乃果「ラブライブのランキングも40位まで来ました!!」
ツバサ「知ってる」
ツバサ「なかなか出来ることじゃないわ、そんな短期間で」
ツバサ「がんばってね、応援してるから
ツバサ(でもµ’sはいずれ絶対的な問題に……)
【µ’sには絶対的な問題が存在しているようです】
穂乃果「これもツバサさんが穂乃果を指導してくれたおかげですよ?」
ツバサ「お世辞がうまいのね?」
穂乃果「お世辞じゃないですって」
穂乃果「でも……穂乃果が原因でちょっと……」
ツバサ「なにかあったの?」
穂乃果「人間関係の面で……」
ツバサ「なにかしちゃったのね」
穂乃果「はい」
ツバサ「居づらいなら逃げたらいいんじゃない?」
穂乃果「え……」
ツバサ「それか――まだ活動をやりたいならちゃんと謝りなさい。マネージャーさんなんでしょ、あなたがいなきゃ回らないかもしれないし」
ツバサ「私はいつか見てみたいわ、µ’sのライブを」
穂乃果「……」
穂乃果「あ……そういえばこんどオープンキャンパスの時にライブやるんですけど、言うの忘れてました……あはは」
ツバサ「む、ひどいわね」
穂乃果「ごめんなさい……」
穂乃果「いつだったかな、今度教えますね」
ツバサ「空いてたら是非見に行かせてもらうわ」
ツバサ「µ’sのメンバーは8人もいるけど、仲はいいの?」
穂乃果「はい、みんないいですよ!!」
ツバサ「そう……」フフッ
ツバサ(穂乃果さんと話してるだけで楽しい……)
穂乃果「」キュン
穂乃果(な、なんかツバサさんの笑顔……いつもと違う? なんか、硬くないっていうか、柔らかいっていうか)
ツバサ「――彼女さんとも仲良くやってるの?」
穂乃果「え、彼女なんていない、ですけど」
ツバサ「え……、でもこの前西木野真姫さんと街中歩いてるのみたけど」
穂乃果(ご飯食べに行った時かな……)
穂乃果「あれは……違いますよ」
ツバサ「そうなの……?」
穂乃果「ツバサさんは?」
ツバサ「私はそういうのは……色々忙しかったし」
穂乃果「そうですよね、恋愛なんてしてる暇なさそうな気もします」
ツバサ「……」
◇――――◆
ツバサ「あの時のお礼って言ったのに」
穂乃果「流石に奢ってもらうなんてできませんて」
ツバサ「はぁ……」
穂乃果「その代わり、また色々教えてくださいねっ」ニコッ
ツバサ「え、ええ……//」
穂乃果「駅まで送って行きましょうか?」
ツバサ「大丈夫よ」
ツバサ「ねえ……穂乃果さん」
穂乃果「はい?」
ツバサ「私、ライブの時、あなたに今のままの綺羅ツバサがいいって言われて本当に嬉しかったの」
ツバサ「今まではみんなにライブの時の綺羅ツバサとして接して来られたからね。メンバーにしかあんな姿見せたことなかった」
ツバサ「絶対失望されるし、笑われるって思ったから」
穂乃果「ツバサさん……」
ツバサ「ある意味、救われたのよ私」
穂乃果「大袈裟ですよ」
ツバサ「ううん、そんなことない。あなたは綺羅ツバサを受け入れてくれた」
穂乃果「……」
ツバサ「――私ねあなたのこと、好きになっちゃったみたい」
穂乃果「え……?」
ツバサ「くす……驚いた?」
穂乃果「……うそ」
ツバサ「残念ながら、嘘じゃないの」
ツバサ「……あなたのこと考えるだけでドキドキするし、顔を見ればもっとドキドキする」
穂乃果「……」
ツバサ「よくわからないけど、これが好きってことじゃない?」
ツバサ「人を好きになるのも初めてだし、告白するのも初めてだしよくわからないけれど……私と、付き合ってください」
なんでだろう、少しだけ冷静になれた。告白だなんて緊張しすぎて言えないんじゃないかって思ったけれど、スイッチが入ったみたいに言葉が出てくる。後のことなんて全く想像できなくて、後悔したくないって一心だけで口を動かしていた。
穂乃果「……時間を、ください」
ツバサ「……」
穂乃果「違う人からも告白されてて、それで……まだ決められないんです」
ツバサ「……へぇ」
ツバサ「モテるのね」クスクス
穂乃果「……」
穂乃果「ツバサさんだって」
ツバサ「モテないわよ」
ツバサ「ま、決まったら聞かせてね。期待して待ってるから」
穂乃果「は、はい……」
ツバサ「そんなに申し訳なさそうな顔しなくてもいいのに」
穂乃果「いや……」
ツバサ「ま、そういうことだから」
穂乃果「帰るんですか?」
ツバサ「ええ」
ツバサ「ふふ、次会える時は恋人として……がいいなぁって」
穂乃果「……」
ツバサ「ふふ、冗談よ。がんばってね、µ’sのみんなと」
穂乃果「はい」
ツバサ「――ラブライブまで、来なさいよ」
穂乃果「ありがとうございますっ!!!」
ツバサ「ふふっ」
頭を下げたのを見て、背を向ける。私がµ’sのことを少しだけ気になって、たまたま和菓子屋で穂乃果さんに出会って、たまたま招待チケット渡して……たまたま好きになって、たまたま告白した。……偶然て怖いわね。あとは、たまたま恋人になれるといいなあって――。
◇――――◆
英玲奈「なんだか吹っ切れたみたいだな」
ツバサ「告白したもの」
あんじゅ「え!?」
あんじゅ「どうだったの!?」
ツバサ「時間が欲しいって言われた」
あんじゅ「なにそれ、あの子ヘタレなの!?」
ツバサ「いえ、なんか他の人からも告白されているらしいの。多分µ’sのメンバーじゃないの」
あんじゅ「うわぁ……意外と彼罪深いのね」
英玲奈「ハーレムか……」
ツバサ「意味がわからないわよ」
ツバサ「ま、これで吹っ切れたし練習に集中出来るわ」
ツバサ「µ’sのみなさんが20位圏内に入って来た時のためにも――私たちはトップじゃなきゃいけないの」
【◆将来はツバサとスクールアイドルとして争うことになるかもしれません……◆】
◇――――◆
二日後
にこ「私ね、告白したの」
ことり「……」
ことり「……そっか」
ことり「希先輩と穂乃果ちゃんがしてたことと、なにか関係ある?」
にこ「ええ……」
昨日の練習後に希先輩と穂乃果ちゃんがそういうことをしていた、と希先輩の口からみんなに伝えられていた。なんでそんなことを言ったんだろうと思ったけれど、希先輩は罪悪感を感じていたのかもしれない。
でも後から穂乃果ちゃんに話を聞いたら、穂乃果ちゃんの口からみんなに言うつもりだったらしい。希先輩に手を出してしまった、と。
その時のみんなの表情は忘れられない、ことりを含めて思い当たるふしがある人がほとんどだったんじゃないかな。例えば海未ちゃん、海未ちゃんも穂乃果ちゃんとそういうことをしている。凛ちゃん、凛ちゃんも会話から想像するにもう済ませているはずだ。
ことり「っ……」
ことり「どうして穂乃果ちゃんは今更あんなことを言ったのかな」
にこ「耐えきれなくなったんじゃない? 付き合ってもないひとに手を出して隠し続けることに」
ことり「……」
にこ「あんたもしてるんでしょ、穂乃果と」
ことり「……」
にこ「やっぱりね」
ことり「穂乃果ちゃんは悪くないよ」
にこ「…… 悪くないとは言えないけど、言い過ぎたとは思ってるわ」
にこ「結局、誘惑したのは希の方だもの
にこ「最近穂乃果元気ないわね」
ことり「そうですね……」
にこ「私も叩いちゃったけど……」
ことり「……」
ことり「罪悪感があるのかな」
にこ「……そうよね。あんなに……言わなきゃ良かった……」
◇――――◆
絵里「穂乃果」
穂乃果「……絵里ちゃんに、真姫ちゃん……」
真姫「なにぼけっとしてるのよ」
穂乃果「……」
真姫「別に手を出したわけじゃないでしょ? 無理やりってわけじゃないんだから、希だって嫌だとは思ってないんだしそんなに気にすることないわ」
絵里「……」
絵里「褒められることではないかもしれないけど、そんなに自分を追い込む必要はないと思う」
絵里「私達には穂乃果が必要なのよ? ここで潰れられたら困るわ」
穂乃果「……」
穂乃果「希先輩だけじゃないんだよ」
真姫「え?」
穂乃果「……他の人にも、手出しちゃってる」
絵里「うそ……」
真姫「……」
穂乃果「みんなに、謝らなきないけない」
穂乃果「謝らなきゃ……」
真姫「……」
絵里「穂乃果……」
真姫「ねえ、あなたその人のことが好きだから手を出したの?」
絵里「どういう状況かわからないけど相手がいいって言ってるならいいんじゃないかしら」
穂乃果「え」
穂乃果「誘惑してきたって、穂乃果がちゃんとしてればっ……!!」
絵里「男だからって悪いわけじゃないと思うの、お互いの同意さえあれば」
真姫「そうよ、少なくとも私なら私から誘った相手に手を出されても嫌な気はしない」
穂乃果「……でも」
絵里「まあ、謝った方がいいかもね? でも、結局みんな真姫と同じようなことを言うんじゃないかしら。希だってそうだったでしょう?」
穂乃果「……」
穂乃果「謝る……」
真姫「気負いすぎちゃダメ、今みたいな先輩を見たい人なんていないんだから」
◇――――◆
ことり「いいよ、そんなの」
穂乃果「でも……」
ことり「穂乃果ちゃんがえっちな人だってことくらい小学生の頃から知ってるんだから」
穂乃果「……」
ことり「他の人にも謝ったの?」
穂乃果「うん」
ことり「みんな許してくれたでしょ?」
穂乃果「うん……」
ことり「なんでだと思う?」
穂乃果「わかん、ない」
ことり「穂乃果ちゃんがみんなのことら本当に大切に扱ったから許してくれてるんだと思うよ」
ことり「ことりだってそうだよ?」
穂乃果「……ありがと」
ことり「いえいえ」
ことり「だからこれからもしよう?」
ことり「ことりは別に大丈夫だから……」
穂乃果「……ごめん」
穂乃果「これからはそういうことはしないって決めたんだ。本当に好きになった人としかしないって」
穂乃果「本当に、ごめん……」
穂乃果「ごめん……っ」
ことり「……そっか」
ことり「……そっか」
ことり「だからことりの誘いを断ってたんだ?」
穂乃果「うん」
ことり「そっ、か」
ことり「む、おっぱいに負けたくせに……」
穂乃果「……ごめん」
穂乃果「ねえ」
穂乃果「――もう少ししたら合宿だね」
ことり「……」
ことり「そうだね」
穂乃果「あ、ことりちゃん枕忘れたらダメだよ?」
ことり「大丈夫大丈夫、絶対忘れないから」
穂乃果「よし、じゃあ今日は帰るよ!」
ことり「うん、バイバイ。また明日」
ことり「……穂乃果ちゃん」
穂乃果「ん?」
ギュッ
ことり「――やっぱりことり、穂乃果ちゃんとえっちしたいよ」
穂乃果「……」
穂乃果「……ごめん」
ことり「ほんとに、ダメ……?」
ことり「不満ならがんばるから……穂乃果ちゃんが気持ちよくなれるようにことりいっぱいがんばるからっ」
穂乃果「……」
スッ
穂乃果「――遅れちゃダメだよ?」
穂乃果「穂乃果ね――合宿行くのやめるよ」
ことり「……へ!?」
穂乃果「ばいばいー!」
タッタッタッ
ことり「……ちょっと!?」
【◆南 ことり が爆発する可能性も、どこかであるかもしれません◆】
◇――――◆
にこ「はあ!? あいつが来ない!?」
ことり「反省するって……」
絵里「全く……穂乃果いなきゃ意味ないでしょ」
真姫「……どうすんの、練習メニュー」
海未「仕方ありません、ここは私が――」
凛「やだー!!!!!」
海未「なんでですか!?」
花陽「厳しすぎるから……」
希「――ごめん……」
希「ウチがあんなことしてたせいで……」
「……」
にこ「希だけのせいじゃないでしょ」
希「……」
絵里「ね、大丈夫だから」ギュッ
真姫「で、どうすんの。あの人置いていくの」
ことり「……ダメだよ」
真姫「?」
ことり「穂乃果ちゃんがいなきゃ……あの人がいなきゃ、ダメなんだよ」
希「――ウチもそう思うよ……?」
希「あの人のおかげでウチらここにいるんだから……」
花陽「……」
にこ「もう……そんなこと分かってるわよ」
凛「じゃ連れてこうよ!」
絵里「部長さん、穂乃果への連絡よろしくね?」
にこ「わ、私?」
真姫「当然」
真姫「後腐れがあるの、もうにこ先輩だけみたいだし」
にこ「うぇぇ……もう、分かったわよ!!」
にこ「もう……」
プルルルルル
穂乃果『も、もしもし……』
にこ「もしもし」
穂乃果『えっと……』
にこ「――あんた、合宿行かないの?」
穂乃果『……はい』
にこ「どうして?」
穂乃果『……だって』
にこ「みんなに謝ったんでしょ? それで許して貰ったんでしょ? それならいいんじゃないの?」
穂乃果『……』
にこ「――私は許さない」
にこ「……でも、私も悪かった。いきなり叩いたりして……」
にこ「許さないけど、でも……私達にはあなたがきっと必要だから」
にこ「だから本当に反省してるなら、合宿に来て?」
穂乃果『……』
にこ「ううん、やっぱり違う。合宿に来なさい! これは命令よ、分かった!?」
穂乃果『は、はいっ……』
プツッ
にこ「全く……」
絵里「素直に来て欲しいって言えばいいのに」
にこ「な、なんのことにこ~?」
真姫「ま、これでちゃんと九人で行けるみたいじゃない」
海未「良かったですね!」
◇――――◆
後日
穂乃果「海だぁ!!!」
海未「海未はわた――」
穂乃果「海未ちゃんじゃなくてね!」
海未「……」
凛「穂乃果ちゃん穂乃果ちゃん、一緒に泳ごうよ!!」
穂乃果「いいね競争だ!!」
海未「――穂乃果?」
穂乃果「うぐ……なんでしょう」
海未「みんなも、練習に来たのですよ」
絵里「そうよ、遊んでたら勝てるものも勝てないわよ」
穂乃果「ぅ、でも少しくらい……」
希「ちょっとくらいいいんやない?」
希「ウチも遊びたいなー」
海未「希まで……」
希「真姫ちゃんも遊びたそうにしとるよー?」
真姫「は、はあ!? 私は別に……」
希「ほら遊びたいって」
にこ「にこもせっかく水着持って来ちゃったしー?」
花陽「あ、真姫ちゃんも持ってきてる」
真姫「こ、これは!」///
海未「真姫まで……」
真姫「ち、違うわよ!」
絵里「真姫まで遊びたいっていうなら……」
ことり「仕方ないね!」
穂乃果「よし遊ぼう!!」
海未「昼だけですよ!!」
穂乃果「わかってるわかってる!」
穂乃果「凛ちゃん行こ!!」
凛「競争だにゃー!!!!」
◇――――◆
深夜
穂乃果「ふぅ……」
穂乃果「月がきれー」
ザァァァ
穂乃果「真夏なのに涼しいや」
みんなが寝静まったころ、ベランダから眺める景色は絶景だった。流石南国、青い海に満月の白い光が透き通るように浸透している。すぅっと吹き抜ける浜風に髪の毛が揺れて、少しだけ鬱陶しい。髪の毛もそろそろ切った方がいいのかなーとか思いながら、ぼぅっとその景色を見つめていた。
穂乃果「色んなことあったなあ」
二年生になって、まさかこんなことが起こるだなんて。去年の夏休みと同じように適当に友達と遊んで過ぎていくものだって思っていた。その時間が楽しくなかったわけじゃない、充実はしていたはずなんだけれど、どこか虚しさも感じていた。
春、完全に見切り発射で出発したスクールアイドルプロジェクトはここまで来たよ。まだ音ノ木坂の廃校を阻止するには至っていないけれど、きっと近い将来実現するっていう確信があるんだ。だってみんな必死だもん、自分達がどうしたいかを明確に分かっている。すごいことだと思うよ。ここまで女の子に生まれてればなあって思った年はなかったかもね?
これからどうしようかな、とりあえず文化祭でライブをして、穂乃果の学校でも宣伝して、その前にオープンキャンパスのライブも成功させなきゃでしょ? そしてツバサさんを倒すために、ラブライブにも――。
やりたいことが多すぎて、整理出来そうもない。みんな本当に強くなった、穂乃果がその輪の中に入れないのは残念だけれど外から見ているだけでも楽しい。なにより必要って言ってくれるのが一番嬉しいんだ。
みんな嫌なことだってあったし、割り切れないことだってあったに違いない。それを乗り越えて今のµ’sがあるんだ。まだまだ完全じゃないけど、いつかきっと。
穂乃果「――ケジメは、つけなくちゃね」
最初に告白していたのは、凛ちゃんだった。迷っているうちに告白してきたのは、海未ちゃんだった。絵里ちゃん、花陽ちゃん、真姫ちゃん、希ちゃん、にこちゃん、ツバサさんからも想いを告げられてしまった。自分が自分の気持ちに逃げて来たから、こんなにたくさんの女の子の気持ちを放置することになってしまった。最低だ、手を出したこともある。
好きな人でもないのにセックスをするのか、にこ先輩の言葉が心に刺さった。欲望だけで動いて自分を律せなかった、穂乃果は弱い人間だ。それをいつもと変わらない調子で受け入れてくれたこと……感謝しても仕切れない。
傷つけた、たくさんの人を。本当に最低な行為をしていた。
穂乃果「――穂乃果は……誰が好きなんだろう」
ことり「――穂乃果ちゃん」
月に問いかけるように呟いた言葉は、浜風に乗ってどこかへ行ってしまった。その代わり背後からは聞き慣れた甘い声が聞こえてきて、そのまま振り向くこともなくベランダに肘をついたまま景色を見ていると、横に長い灰色の髪の毛がなびく。
ことり「綺麗だね」
穂乃果「そうだよね」
穂乃果「……ことりちゃん」
ことり「なあに?」
穂乃果「そろそろ穂乃果もケジメ、つけないとだよね」
ことり「……選ぶの?」
穂乃果「……」
穂乃果「怖いんだ、選ぶのが。みんな優しくて、みんな良い人でそんな人達の想いを裏切ることになってしまうかもしれないから」
ことり「大丈夫、選ばれなかった人もなにも文句なんて言わないよ?」
穂乃果「穂乃果に選ぶ資格なんてあるのかな……あんな酷いことばかりして」
穂乃果「っ……どうしていいか、わかんないよっ……」
ことり「大丈夫、誰も責めたりしないよ? 自分の心に聞いてみて?」
穂乃果「……うん」
ことり(ことりは……どうなんだろう)
ことり(ずっと一緒に居て、ずっとずっと近くにいた人……ことりは……)
ことり(他の人が少し特別なことをしていると、嫉妬心というか黒い心が湧き上がってきて……)
【ことりはとてもとても嫉妬深いようです】
ことり(やっぱりことりは――)
ことり「穂乃果ちゃん」
穂乃果「ん?」
やけに声が近く感じた。横に振り向くと、何故かことりちゃんの両手が穂乃果の顎ラインを掴んでいて、そのまま、二人の影が満月の中に収まった。
チュッ
穂乃果「……ことり、ちゃん?」
ことり「――あ、あの……ことりも、彼女に立候補しても……いいですか?」
穂乃果「え……?」
ことり「その……自分の気持ちがずっとわからなかった。えっちするのも好きだからするって感じじゃ、なかったから」
ことり「でもようやく、分かったんだ。なんで嫉妬するのかも、なんでそばにいたいのかも。なんでえっちしたいのかも。それはね、ことりがあなたのこと――好きだから、だよ」
ことり「こんな簡単なことに気がつくまで、何年かかったかな? ……ふふ、馬鹿だね、ことりは」
ことり「ううん、ほんとは気がついてたんだ。でも穂乃果ちゃんとえっちしてれば恋人みたいに感じることが出来てたからそれでいいやって思ってたんだと思う。身体だけ繋がってれば満足だって錯覚してたんだ」
ことり「本当は好きで好きで好きでたまらないはずなのに、関係を変えるのが怖くて……」
穂乃果「……」
ことり「……くす、これでµ’sのみんなに告白されちゃったね?」
穂乃果「な、なんで知ってるの?」
ことり「――女の子は恋バナが好きなんだよ?」
穂乃果「もぉ……」
穂乃果「女の子は怖いなぁ」
ことり「穂乃果ちゃんはモテるから、流石に自覚したでしょ?」
穂乃果「どう、なのかなあ?」
ことり「みんな穂乃果ちゃんのことが大好きだよ」
穂乃果「も、もう……///」
ことり「じゃ、ことりは戻るね」
ことり「しばらくしてから戻ってこないと、まだ恋バナしてるかも」
穂乃果「みんな起きてるの!?」
ことり「うん、みんなに背中押されてことりはここに来たんだし」
穂乃果「なるほど……」
穂乃果「じゃあしばらくここにいるよ」
なんだか女の子って凄いな、って思うと苦笑いが出てくる。
ことりちゃんが綺麗な髪をなびかせながら建物の中に入っていく。
穂乃果「ふぅ……」
穂乃果「穂乃果は――」
◇穂乃果はどうするべきなんだろう?◆
ここからルート選択に、入っていきます。共通パートを見てくれた方はありがとうございます。ちなみに私が書きやすいかなあと思うのは鬱系統のルートです。力が入りやすいです。
ルート選択後は選択肢によっては序盤若干無理やりになる可能性もあります。
全てのルートに平等に力を注げるわけではありません。ルートによっては短かったり長かったりストーリー重視だったりエロ重視だったりします。
◆鬱系統。◇良い系統。ご参考に。
全てのルートをやれるわけではありません、一つやってそこでやめるかもしれません。ご了承下さい。
◇穂乃果はどうするべきなんだろう?◆
1 ◇西木野真姫◇
綺麗な声……二人で曲も作ったね? ちょっと素直じゃないけれど、分かりやすいし面白い! 穂乃果は……真姫ちゃんが、好きなのかな?
2 ◇星空凛◇
凛ちゃんと付き合ってた時……楽しかったな。穂乃果がもっとちゃんと向き合ってあげてれば……。
3 ◇小泉花陽◇
花陽ちゃんとも二人きりでたくさん練習したよね……?なんだか自信がない子だけど、守ってあげたくなっちゃうんだよね……。
4 ◇園田海未◇ 初恋の相手は海未ちゃん、だったなぁ。ことりちゃんもだけど、穂乃果のことを一番よく分かってくれてるね?
【◆◆◆クリアにより、穂乃果に新たな人物との関係が築かれるかも?◆◆◆】
5 ◇◇南ことり◇◇ ことりちゃんにはすっごくお世話になっずっとずっと気にかけてもらって、一緒に過ごしてきたよね。穂乃果は、やっぱりことりちゃんのこと――。
【◆◆◆クリアにより、ことりに関する選択肢が新たに解放されるようです◆◆◆】
6 ◇絢瀬絵里◇
絵里ちゃんは初めての彼女……。あの日穂乃果が止めていれば絵里ちゃんを悲しませることなんてなかったのに。……もう悲しませたくない!
7 ◇矢澤にこ◇
何事にも一生懸命で、真っ直ぐな人。穂乃果のせいで傷つけちゃったよね。今更この人を守ってあげたいなんて……先輩に失礼かな?
8 ◇東條希◇
初めて会ったのは神社だったよね。とても優しくて……なんでも受け止めてくれるかな。穂乃果が暴走したせいで襲っちゃって……その償いもしたい。
9 ◆◆綺羅ツバサ◆◆
まるで星みたいにキラキラしている人。穂乃果に色々教えてくれて、師匠みたいな人。でもこの人も色々大変なんだよね……支えて、あげたいな。
【◇◇◇クリアにより、ツバサやµ’sに関する選択肢が増えるかもしれません◇◇◇】
10 ◇◇◇◇◇◇◇
……みんな穂乃果の彼女に出来たらいいのに。(ツバサ以外)
◇◇◇◇◇◇◇
11 ◆◆◆◆◆◆◆
そうだ、みんな穂乃果の彼女にしちゃおう。それならみんなとたくさんえっち出来るもんね……?ふふ……。(ツバサ以外)
◆◆◆◆◆◆◆
>>543から>>547の間で一番多かったルートに進みます。ご希望の番号を書いて下さい。決まらない場合は>>548のルートにします。
10
3
8
無事書き終わりました。そして一応注意というか予防線を。
全員のエロがあるわけじゃない。
ハーレムルートやりすぎると個人ルートで書くことなくなるのであんまり長くない。
個人ルートのために各キャラのネタはとっておいてるので、もっと踏み込んだエロがみたい時は再安価の時好きなキャラクターのルートを選んでみて下さい。今回は触り的なのだけ書いたので個人ルートの参考にしてみて下さい。
穂乃果「――みんな、穂乃果の彼女に出来たら……いいのにな」
穂乃果「……最低だ、こんな考え」
穂乃果「でも選べないよ」
穂乃果「みんな、みんな大切だもん」
穂乃果「……誰も選ばないってのは、ダメかな……?」
穂乃果「無理やり選ぶのも良くないけど……みんな好きなんだもん。みんな大切なんだもん……」
穂乃果「そもそもなんで1人を選ばなくちゃいけないのさ」
穂乃果「……やっぱり、みんなの断ろう……いつもどうりに戻そう」
穂乃果「……ごめん、みんな」
目の前の綺麗だったはずの景色が、なんだかくすんで見えた。
◇――――◇
穂乃果「……」
ことり「あ、戻ってきた」
穂乃果「なんでみんな起きてるのさ……」
絵里「え、あ……いや」
穂乃果「まあいいや、穂乃果違う場所で寝るね?」
真姫「どうして?」
穂乃果「いや……周りみんな女の子だし、男がいるとなんか安心出来ないでしょ?」
ことり「別に大丈夫だよ?」
穂乃果「いや……ごめん」
ことり(どうしたんだろう……なんでこんなに暗い顔……)
真姫「……それなら上に部屋があるから適当に使っていいわ」
穂乃果「うん、ありがとう」
穂乃果「じゃ、みんなちゃんと寝ないとダメだよ?」
穂乃果「海未ちゃんまで寝てないだなんて……珍しいね」
海未「あ、こ、これは……//」
穂乃果「じゃ」
スタスタ
ことり「……」
にこ「なぁんか様子変だったわねー?」
真姫「決めてきたんじゃなかったの? とてもそんな風には見えなかったけど」
ことり「……うーん」
ことり「近いうちに決めるってことだったのかも」
真姫「なるほどね」
ことり(なんか、辛そうだったな……)
海未「明日からは本格的に練習をします、今日はみんな眠りましょう」
凛「えーもうちょっとー!」
海未「ダメですっ!」
凛「ぅう」
凛「さっきまで穂乃果ちゃんのこと語ってたくせにー!!!」
海未「お、怒りますよ!?」
凛「もう怒ってる!!」
◇――――◇
深夜
ことり「……」
ことり「まだ起きてるかな?」
ことりの家よりも全然広い真姫ちゃんの別荘。穂乃果ちゃんは一体どこで寝てるんだろう、とりあえず上に来てみたけれど、部屋がいっぱいあるからわかんないや。
ことり「えっと……ここかな」
凛ちゃんと穂乃果ちゃんが二人で大きなベッドでゴロゴロしてたのをことりは覚えていた。大きなベッドで寝るの好きそうだし。
ガチャ
穂乃果「!?」
ことり「――ここだったんだ」
暗い室内、もうとっくに寝ているはずの時間だけれど、彼は暗闇のなか上体を起こしたままだった。
穂乃果「ことりちゃん……待って、電気つけるから」
ことり「ううん、いいよつけなくて」
穂乃果「え」
暗闇のなかに微かに見える人影が動こうとしたのを、言葉で静止する。
ことり「座るね」
ことりも穂乃果ちゃんと同じように、ベッドに座る。暗闇の中だから表情はつかめないけれど……。
ことり「……悩んでるんだ」
穂乃果「……っ」
穂乃果「……ううん、決めたよ?」
穂乃果「ことりちゃん……」
ことり「なあに?」
穂乃果「――ことりちゃんとは、付き合えない」
ことり「え……」
ことり「――そ、そっか……あはは……フられちゃった……」
穂乃果「っ……ごめん、ごめんね」
ことり「……いいの」
ギュッ
ことり「苦しめちゃってごめんね? 大丈夫、穂乃果ちゃんがそんなに苦しむことないんだよ?」ナデナデ
穂乃果「なんで……そんなに優しいの。穂乃果はことりちゃんのことフったんだよ!?」
ことり「……どうしてかな」
ことり「でも、穂乃果ちゃんもみんなにこういう風に接してるんだよ?」
穂乃果「そんなことしてない、そんな優しくなんて……してない」
ことり「……」
穂乃果「……」
ことり「もしよかったら、誰にするか教えてくれないかな?」
穂乃果「……」
穂乃果「……全員、断る」
ことり「……」
ことり「そっか……」
穂乃果「みんなには悪いけど……誰も好きじゃないから」
ことり「それでいいの?」
穂乃果「……」
ことり「――それでいいの?」
穂乃果「――っ!!!」バサッ
ことり「きゃっ!!」
穂乃果「んっ……」
ことり「ちょっ……んっ、あむっ……」
穂乃果「ふむっ……ちゅ、ふぁ」
穂乃果「ぷはぁ……っ」
ことり「……」
穂乃果「っ……」
ことり「……穂乃果ちゃんはどうしたいの?」
ことり「どうして、ことりにキスしたの?」
穂乃果「――そんなの好きだからに決まってるじゃん!!!!」
ことり「え……?」
穂乃果「……みんな好きで選べないのっ! みんな彼女にしたいけど、そんなのダメに決まってる!! 中途半端な気持ちで一人を選んだって、そんなの相手に失礼なだけ!!」
穂乃果「だから……だから断るの……っ」
ことり「……」
穂乃果「ごめん、キスしちゃって……もうこれからはこんなことしないから。これで最後だから……ほんとにほんとにごめ――」
チュッ
ことり「んっ……」
穂乃果「……なに、してるの?」
ことり「なら、ことりのことも本当は好きなの?」
穂乃果「……」コクッ
ことり「……嬉しい」ギュッ
穂乃果「……」
ことり「ことりはいいよ?」
穂乃果「なにが?」
ことり「ことりの他に彼女がいても」
穂乃果「え……」
ことり「穂乃果ちゃんがみんな大切にしてくれるなら、ことりは全然構わない、嫉妬だってしないって約束する」
穂乃果「で、も……」
ことり「みんな好きなんでしょ? みんな大切なんでしょ? それなら、みんなにそう話してみようよ」
穂乃果「……」
穂乃果「でも、そんなの最低ってことくらい……穂乃果でもわかるよ……」
ことり「そうかもしれない、でもさ……大切にしてくれるならそれでもいいって人もいると思うな」
ことり「ね……?」
穂乃果「……ほんとにいいの? ことりちゃんの他にも穂乃果は好きな人がいるんだよ? それでもいいの? それでも彼女になってくれるの……? そんなの、そんなのおかしいよ……!」
ことり「……おかしいかもしれないね。でもね、そんなことどうでもよくなるくらい、ことりはそれくらい穂乃果ちゃんのことが好きなんだよ……?」
穂乃果「っ」キュンッ
穂乃果「……////」
ことり「ことりと付き合ってくれる?」
穂乃果「う、うん……」
ことり「ありがとう……」
ことり「大好き」
穂乃果「……」
穂乃果「――穂乃果も大好き、ことりちゃんのこと大好きだよ!」ギュゥウ
ことり「あはは力強いよ……」
ことり「今日はこのまま寝よう?」
穂乃果「ちょっと暑いかも?」
ことり「うーん、確かに。汗かいちゃったらごめん」
穂乃果「ことりちゃんの汗なんて臭くないよ?」
ことり「もう、そういうことじゃないもん!」
穂乃果「え?」
ことり「なんでもないっ」
穂乃果「ことりちゃんの枕は?」
ことり「穂乃果ちゃんとくっついてれば眠れるよ」
ギュッ
ことり「……明日の練習頑張ろうね」
穂乃果「うん」
ことり「大好き」
ことり「おやすみなさい」
◇――――◆
ことり「眠れなかった……」ズゥゥン
ことり「うぅ死んじゃう……。枕持っていけばよかった」
真姫「――どうして穂乃果と同じ部屋で寝ていたの?」
ことり「ん?」
真姫「……」
ことり「だって――恋人だから」
真姫「え……?」
真姫「そ、そう……なるほど。ことりが選ばれたんだ」
ことり「そうじゃないよ」
真姫「え?」
ことり「真姫ちゃんのことも穂乃果ちゃんは好きなんだよ?」
真姫「……ちょっと意味がわからないわ」
ことり「あはは、そうだよね……」
ことり「穂乃果ちゃんならきっと……みんな大切にしてくれるから……」
真姫「……?」
◇――――◆
穂乃果「あっつ……」
真姫「あなたは見てるだけじゃないっ」
穂乃果「それは……仕方ないよ」
真姫「今日はなかなか飛ばすメニュー作ったのね」
穂乃果「合宿だからね」
真姫「海未まで手ついてるし、珍しい」
海未「はぁ……はぁ」
穂乃果「真姫ちゃんは大丈夫なの?」
真姫「キツイわよ……しぬほど」
穂乃果「ちゃんと日焼け止めは塗ろうね?」
真姫「わかってる」
真姫「――ねえ、ことりから聞いたんだけど……あなた、ことりと付き合ってるの?」
穂乃果「……うん」
真姫「そう……」
真姫「ことりのこと選んだのね」
穂乃果「……」
穂乃果「……真姫ちゃんのことも好きだよ」
真姫「はあ? 意味わかんない」
穂乃果「……穂乃果はさ、みんなのことが大好きなの。選べなくて、どうしようか迷ってたらことりちゃんが助けてくれたの」
穂乃果「穂乃果は……みんなと付き合いたい」
真姫「あなた、本気で言ってるの」
穂乃果「本気だよ、最低かもしれないけど…本気」
真姫「……」
ギュッ
真姫「な……////」
真姫「や、やめなさいよ……あなた、ことりと恋人なんでしょ!」
穂乃果「ことりちゃんはいいって言ってくれたもん」
真姫「だからって……///」
穂乃果「真姫ちゃんのことも大切にするから、穂乃果と付き合って……?」
真姫「ぁ、あう……///」
穂乃果「――好きだよ、真姫ちゃん」ボソッ
真姫「ひ……」ゾクゾク
真姫「――わ、わたしも……好き」///
穂乃果「ほんと?」
穂乃果「他の人もいるけど、いい?」
真姫「……大切にしてくれる?」
穂乃果「大丈夫、絶対大切にする大事にする」
真姫「……」
真姫「な、なら……彼女になってあげても……い、いいわよ?」
穂乃果「本当!?」
穂乃果「やった!!!」
真姫「そんなに喜ぶこと?」
穂乃果「だってこんなに可愛い人と両想いなんだよ!?」
真姫「な……//ま、まあそうよね!」
穂乃果「うんっ!」
真姫「……///」
穂乃果「ほんと顔に出やすいね?」
真姫「う、うるさいのよっ!!」
穂乃果「あはは」
私の選択は正しかったのだろうか。馬鹿みたいな選択だ、他に彼女がいるって本人から聞いてるにも関わらず、私はそれに乗ってしまった。
穂乃果に抱きしめられた瞬間全部忘れちゃって、この人がそれで喜んでくれるならいいかって思っちゃった。意外と私、ダメな男捕まえるタイプなのかもしれないわね?
穂乃果「~~~♪」
はぁ……ま、間違ってないわね。
◇――――◇
ことり「うふふ」
真姫「気持ち悪い」
ことり「だってー」
ことり「姉妹みたいなものじゃない? 恋人を共有するなんて」
ことり「正直真姫ちゃんが恋人になるだなんて思わなかったよ?」
真姫「そ、それは……//」
ことり「あー、また穂乃果ちゃんにかっこいいこと言ってもらったんだ」
真姫「な、そういうわけじゃ!」
ことり「えっちもしてくれるのかな?」
真姫「な……///」
真姫「そ、そういうこと興味ないからっ!!」//
ことり「じょうだん!」
ことり「これからよろしくね、真姫ちゃん!」
◇――――◆
穂乃果「……」
希「ウチは別にいいよー?」
凛「凛も!」
穂乃果「ほんと?」
穂乃果「そんな軽くでいいの?」
希「だってウチ、穂乃果ちゃんといっぱいエッチ出来ればええし」
穂乃果「……///」
凛「えー、凛もしたーい!」
凛「この前してくれなかったんだから今度はしてにゃ!」
凛「だってだって、恋人なんだもんね? そういうことするのも普通だよね!?」
穂乃果「う、うん」
希「なあんだ一夫多妻制かあ、予想外やったなぁ……」
希「ま、別にいいけどね! 穂乃果ちゃんならみんな大切にしてくれそうやし」
凛「てことは……凛と希ちゃんの関係はなに?」
希「うんっと……なんだろうね?」
希「まあなんでもいいやん」
希「穂乃果ちゃん、よろしく」
穂乃果「うん! 二人とも大好きっ!!!」
◇――――◇
絵里「話って?」
穂乃果「……」
穂乃果「絵里ちゃん、穂乃果と――付き合って下さいっ!」
絵里「え……うそ」
絵里「……私でいいの?」
穂乃果「……うん、でもね穂乃果他にも好きな人がいるんだ」
絵里「――どういうこと?」
穂乃果「みんな好きでみんな大切で……一人には決められないの」
絵里「……つまり、私だけじゃなくて他の人とも同時に付き合うってこと?」
穂乃果「……」
絵里「なるほど……あなたそれがどういうことか分かっているの?」
穂乃果「――うん」
カベドン‼︎
穂乃果「ひ……」
絵里「ふぅん……そんなことする人には、お仕置きが必要かしら?」
絵里「――昔のこと、思い出してみる……?」 ボソッ
穂乃果「え、あ……いや。それは勘弁して下さい……」ブルブル
絵里「ふふっ……」サワサワ
穂乃果「あっ……♡」
絵里「これがあるから色んな女の子が好きになっちゃうの?」サワサワ
穂乃果「ち、違うっよ……♡んっぁ♡」
絵里「ふふ……」ゾクゾク
絵里「また前みたいに、虐めたくなっちゃう……♡」
絵里「私にそんなこと言っておきながら、ただで済むとは思わないわよねえ?」クス
穂乃果「あ……ご、ごめんなさい……っ」
絵里「……どうして謝るの? 私がしてきたお仕置きは気持ちいいことばかりじゃなかった?」
穂乃果「そ、そうだけど……っ」
絵里「ちゅ……んっ」
穂乃果「えりちゃ……あむ……ちゅ」
絵里「ちゅる、じゅる……ふぁ、んっ♡」
穂乃果「はぁ、はぁ……♡」
絵里(なにこれ……服の上からでもおっきい……前はこんなに大きくなかったのに……)
絵里「ちょっと虐めちゃうわね?」ゾクゾク
穂乃果「……」ゾクゾク
穂乃果「あっ♡あっ♡だめだよ、こんなとこで♡」
絵里「あら、私に逆らえるの?」
穂乃果「ち、違うけど……っ」ガクガク
絵里「ならおとなしくしてて?」
絵里「……」
穂乃果「はぁ、はぁ♡」
絵里「ここいいの?」
穂乃果「ひぅ♡」
絵里「ふふ、前よりも我慢できるようになったのね」
穂乃果(あ、れ。もうイっちゃいそう……っ。こんな早くイクなんて……どうして!?)
穂乃果「ああぁぁ……でるっ♡」
絵里「ふふ、このまま服の中で射精しちゃいましょう?」サワサワ
穂乃果「や、やだよぉ♡ベタベタになるもん!!」
絵里「じゃあ我慢してね?」
穂乃果「むり、むりっ!!」
穂乃果「あああぁぁっ♡♡」ドピュットヒュ
穂乃果「あああぁぁ……」
絵里「あーあ……出しちゃった……"まだ"相変わらず早いのね」
穂乃果「はぁ、はぁ♡……」
穂乃果(違う、いつもはこんな早くないのに……なんで)
絵里「あらら、染みてきちゃったわ――くす……情けない」
穂乃果「うぅ……」ウルウル
絵里「っ……」ズキッ
絵里「――ごめんなさい。これも原因で別れちゃったんだもんね」スッ
穂乃果「え……」
絵里「穂乃果のこと、なにも分かってなかった。本当にごめんなさい」
穂乃果「……こっちこそ、ごめん。最低だよね……」
絵里「もしかして、それを受け入れた人もいるの?」
穂乃果「ことりちゃんと真姫ちゃんと凛ちゃんと希ちゃんには話して、オッケー貰ったよ」
絵里「はぁ……希もなの? どうせそういうことしたいだけのくせに」
絵里「穂乃果」
穂乃果「なあに?」
ギュッ
絵里「……本当に私のこと、好きでいてくれる? 他の人を好きになっても、私のことも愛してくれる……?」ブルブル
穂乃果「……約束するよ」
穂乃果「絵里ちゃん、大好き。絶対前みたいになんかしない。絵里ちゃんのこと、絶っっ対離さないよ?」ギュッッ
絵里「……ほんと?」
穂乃果「本当!」
絵里「私も、離さないんだから……っ」
【絵里と穂乃果の夜の生活は主従の関係にあったようです】
◇――――◆
ことり「いや、素直にすごいと思うの」
穂乃果「なにが?」
ことり「いまのところ全勝? こんなおかしい条件なのに……」
穂乃果「おかしいよねやっぱり……あはは」
ことり「なんだろう、穂乃果ちゃんならいいかなって思えちゃうの」
穂乃果「本当に?」
ことり「……」ギュッ
穂乃果「どうしたの?」
ことり「好き」
穂乃果「穂乃果も好きだよ」
ことり「――ねえ穂乃果ちゃん、ことりね……その、えっちしたいな……なんて……」///
穂乃果「……」
穂乃果「……うん」
穂乃果「その前にお風呂入ってきていい?」
ことり「うん……待ってるね」ドキドキ
◇――――◇
希「凛ちゃん穂乃果ちゃんが来たよ!!」
凛「で、でも……」
希「大丈夫やって! ね、ねウチらもう穂乃果ちゃんと恋人なんだよ? ちょっとくらい襲ったって大丈夫!」
凛「うーん……」
希「気持ちよくしてくれるかもよ?」
凛「そ、そうかにゃ……」///
希「女の子はみんなでお風呂入ったし、邪魔はされないから大丈夫!」
凛「え、そうだっけ? にこちゃん入ってなかったよ?」
希「あー……でもあがってくるの見たような気がするんよ」
凛「それなら大丈夫かな!」
希「うんっ、いこいこ!」
今日は終わり。600までスレが行ったのは初めてで、驚いてます。
誤字は>>1が頭悪いんでご勘弁を。
仮に全ルートかいたら確実に3レスは埋まる気がするな
ちなみに個別ルートの長さは共通を1とするとどれくらいありますか?
>>604
共通ルートが15万字超えてるんで、差はあれど0.1か0.2くらいかなあ0.3くらいもあるかも。
各個別ルートは決して長くないと思うんで適当に読んでくれると嬉しいです。
こういうスレは大抵ルート半分消化くらいでエタる可能性高いから〆と言わず自分の見たいものから希望していった方がいいと思うよ
◇――――◆
お風呂
穂乃果「お風呂おっきいなー、結構な人数入れそうだね。全員は……どうなのかな……?」
穂乃果「……」ワシャワシャ
穂乃果「……」ドキドキ
穂乃果「ことりちゃんとえっち、久しぶりだな……ちゃんと身体洗わないと……」
穂乃果「ん……」ムクムク
穂乃果「ま、まだだよっ……!」
穂乃果「はぁ……はぁ……♡」
穂乃果「どうしよう……こんなんじゃ興奮しすぎてすぐイっちゃうよ……」ギンギン
穂乃果「ちょっとだけ……ちょっとだけ鎮めた方がいいよね……?」
希「――わぁ……もうこんなになってる……♡」ヒョイ
凛「――こ、こんなになるんだ……」
穂乃果「っ!?」
穂乃果「な、ななななななんで二人がいるのさ!?」バッ
穂乃果(し、しかもなんで裸っ……)
希「気がつかなかったん? ウチら別に隠れようと思って入ってきたわけじゃないんやけど」
穂乃果「だ、だってもうみんなお風呂入ったでしょ!?」
希「うーん……えっちしたいなって!」
穂乃果「え!?」
凛「……」モジモジ
希「ほら凛ちゃんも」
凛「だ、だって……希ちゃんと裸で並ぶのやだよ……///」カクシー
希「え?」ボイーン
凛「……////」
穂乃果(恥ずかしがってるのかな? ……かわいい)
希「ま、とりあえずっ」ムギュッ
穂乃果「な……///」
希「えっちしてくれる……?」ウワメヅカイ
穂乃果「はぁ……♡はぁ♡」ビクッビクッ
希「はいはい隠さない隠さないーさっきまで一人でしようとしてたんやから同じやん?」
穂乃果「ひゃ……」
凛「う、うわ……////」
希「もうおちんちんパンパン……やね? したいってことだよね?」
穂乃果「……」
穂乃果「う、ん♡」
穂乃果(ごめん、ことりちゃん……希ちゃん達とも恋人だから……いいよね?)
凛「……」
希「凛ちゃんがしてくれるってさ?」
凛「え? でも、凛したことないよ……? 穂乃果ちゃんにされるがままだったし……」
希「これ掴んでみて?」
凛「……」ゴクッ
ニギ
穂乃果「はぁぁぁ……♡」トローン
凛「大丈夫?」
希「ふふっ、おちんちん気持ちいいってさ」
凛「これで気持ちいいの?」
希「動かしてみて?」
シュッ…シュッ
穂乃果「あ♡んっひぁ♡」ガクガク
凛(……穂乃果ちゃん気持ちよくなってくれてる、みたい?)
希「上手上手!」
希「じゃ、ウチは……穂乃果ちゃんのおっぱい気持ちよくしちゃお」
ペロッ
穂乃果「んっぅぅ♡」
希「うふっ……ちゅっ……れろ」
穂乃果「希ちゃ♡だめっ♡やだ、んぁはぁ♡」
希「ちゅっ……んむっ、穂乃果ちゃん乳首でこんなになるなんていよいよ女の子みたい、ちゅっむ♡」
凛(すごい……なんかぐちゅぐちゅっていっぱい液体出てきたにゃ……)
希「じゃこのボディソープ使って……」ワシャワシャ
希「ほーらぬるぬるー!」
穂乃果「な、なにこれ♡や、やだぁ……///」
凛「わぁ……すべりやすくなったにゃ!」
シュッシュッシュッ
穂乃果「んはぁぁっ♡」
希「そうそうくびれてるとこいっぱいごしごししてあげてね」
凛「はーい」
穂乃果(ぐっ、すべりやすくなってるから……カリのとこ……いっぱい……っ♡いつもよりビリビリするっ……///)
穂乃果「あ♡でるっ♡でちゃ、ぅ♡」///
凛「え!?」
穂乃果「んぁぁっ♡」ドピュッビュルルルッ
凛「きゃっ」
穂乃果「あっ♡あっ♡」ドクッピュルッ
穂乃果「んぅ……はぁ……はぁ///」
希「わ……凛ちゃんの顔ベタベタになっちゃったね?」
凛「うへぇ……これが精液かぁ……」
穂乃果「はぁ……はぁ……♡」ビクビク
凛「顔にかけられたの二回目だにゃー……」
凛「おいじくなぁぁい……」
希「あはは……」
希「でもね凛ちゃん、穂乃果ちゃん気持ちよかったみたいよ?」
凛「ほんと?」
穂乃果「うん……ありがとう」ナデナデ
凛「えへへ……」
凛「……あ、あの」モジモジ
穂乃果「どうしたの?」
凛「その……凛も穂乃果ちゃんと一緒に気持ちよく、なりたい」///
希「ウチもー」
穂乃果「うんっと、二人同時……どうしようかな……」
希「凛ちゃんはまだしたことないんだよね? それなら今してもらお?」
凛「え……でも」
穂乃果「え」
凛「っ……お、お願いします」
希「でもここベッドじゃないから痛いよね……あ、そうだ」
希「穂乃果ちゃん少しだけ痛いの我慢出来る?」
希「ここに寝そべって欲しいんやけど」
穂乃果「は、はい」
希「じゃ凛ちゃん、上から穂乃果ちゃんにまたがって?」
凛「こ、こう?」
穂乃果「こ、これ騎乗位ってやつだよね」
希「そうそう」
凛「ここから入れればいいの?」
希「うん」
穂乃果「はぁ……はぁ♡」ギンギン
凛「こんなおっきいの入るかな……」
クニュ
凛「んっ♡」
穂乃果「あ♡」
凛「はいんないよぉ……」
スリスリ
凛「ふぅん♡」
穂乃果「凛ちゃんのこすれて……♡」
穂乃果「大丈夫? そう、そこだよ」
ググッ
凛「ひぎぃ……」
希「大丈夫、大丈夫や」
希「んぅ……ちゅっ、ちゅぱ……落ち着いて、凛ちゃん」
凛「ぷはぁ……のぞ、みちゃん……♡」
凛「全部は入んない……ここが限界だよぉ……」
穂乃果「んっ……これ以上は入らないみたい、すっごい浅いんだね?」
凛「ごめんね……」
穂乃果「ううん、じゃあちょっと動くね?」
凛「んっ……あ」
穂乃果「ああぁ♡すご、ぃ♡はぁはぁ……♡」
希「そいえば生やね……」
凛「穂乃果ちゃんの、いっぱい……すごいっ……んっ」
穂乃果「い、痛くない?」
凛「だい、じょぶ……」
グチュグチュ
穂乃果「ひゃぁぁ♡やばっ♡ぎゅっぎゅってぇ♡」グチュ……グチュ
希(繋がってるとこ、すっごい……お互いのえっちなお汁が絡み合って……)ゾクゾク
穂乃果「ふぁんっ……♡」
希(すごい気持ちよさそう……♡エッチな動画とかじゃ男の人はあんまり気持ちよさそうじゃないのに……)
希「はぁぁ♡ねえねえ、ウチも気持ちよくして?」
穂乃果「え?」
希「な、舐めて欲しい……なんて////」
穂乃果「ふぁ♡うんっはぁ♡いいよぉ?」
希「凛ちゃん、一緒に気持ちよくなろ?」
凛「う、ん♡」
穂乃果「ちゅっ、んちゅ……ちゅる……んはぁ」
希「ひゃ♡あ♡そこ♡んんんぅ♡」
希「凛ちゃん、キスしよ?♡」
凛「うん♡」
希「んっんぅ♡ちゅ、じゅるる……んはぁ」コリッコリ
希「んふっ、ビンビンやね♡」
凛「い、いや……////」ビクビクッ
凛「んぁ、あむっ♡きもひっ♡ひぅ……あ♡奥、そこ♡」
穂乃果「ちゅ♡じゅる……ぴちゃ……ぴちゃ」
希「あああ♡やばっ穂乃果ちゃんの舌、やばっ♡」
凛「ふぁ、な、なんか変だよ……ふわふわして……ぁあぁ♡」
希「凛ちゃん、いっしよにイこ??」ギュッ
凛「あっあっ♡やだやだやだ♡怖いよ怖いのぉ♡」ビクビク
希「イ、ク♡穂乃果ちゃんっ♡」
希「んんんんんんぅぅ♡」ガクガクガク
穂乃果「――ま、待って、イク♡ダメ離れてっ!!」
凛「ふぁぁああああ♡」ガクガクガク
穂乃果「~~~っ!?」
穂乃果「ダメ!! ぎゅっぎゅってしないでぇ♡出ちゃう、出ちゃうから離れてよぉ♡」
凛「はぁはぁ♡なにこれぇ?♡」
希「んぅ……凛ちゃん離れないとっ」
凛「んぅ……♡」ヨロヨロ
穂乃果「はぁはぁ……ださせてお願い♡」
凛「はぁはぁ……♡」グッタリ
希「凛ちゃんが無理みたいやからウチが出させてあげる」
グチャグチャ
穂乃果「あっ♡~~っ♡」ビュルルッビュクビュク
希「うわっ、すごっ」
希(おちんちんビクビクってして……ポンプみたいに出てくるんや……気持ちよさそう……♡)
希「ウチも顔ベトベトや……♡」
穂乃果「はぁはぁ……気持ちぃぃ……♡」
希「凛ちゃんも無事気持ちよくなれて良かったやん」
凛「……希ちゃんが痛い時とかキスしてくれたからだにゃ」
希「うふ、これでウチらほんとに恋人だよね?」
穂乃果「うんっ!」
希「――ねえ……これからもいっぱいしようね……?」
【◆希は性行為が大好きなようです◆】
凛「穂乃果ちゃん大好きっ!!!」ギュッー!!
カラン
穂乃果「?」
にこ「……な」
にこ「――なにしてるの?」
希「え!?」
希(なにこの既視感!?)
にこ「――っ、ふざけるな!!!!」
タッタッタッ
穂乃果「ぁ……」
希「……また見られちゃったね……。まだお風呂入ってなかったかー……」
凛「だから言ったでしょー?」
希「なんで一緒に入らないんだろー」
希「あはは、そうみたい。穂乃果ちゃん、にこっちは多分一番難しいから、にこっちとお話しする時はおちんちん神棚に預けてから話そうね?」
穂乃果「なんですか穂乃果が股間で喋ってるみたいな……」
希「違うん?」
穂乃果「違いますっー!!」
穂乃果「でも……どうしよう」
希「話すしかないね、ウチも一緒に話してあげるから」
穂乃果「うん……」
◇――――◆
寝室
穂乃果「いや、あ、あのね……さっき二回してきたばかりで……」
ことり「えー!?」
穂乃果「希ちゃんと凛ちゃんと……」
ことり「むぅ……」
ことり「これ以上は無理?」
穂乃果「無理ではないけど……」
ことり「……そっか。ううんいいの、ことりは穂乃果ちゃんとエッチ出来なくても一緒にいられれば幸せだからっ」
ことり「今日も二人で寝ようね? また来るから」
穂乃果「うんっ」
ことり「今度は枕持ってくる!」
穂乃果「……ことりちゃん、かわいいなぁ……。ずっと見てるけど飽きないや」
穂乃果「美人は三日で飽きるなんて嘘だよねー?」
◇――――◆
深夜
ことり「そーっ……」
真姫「――愛用の枕を持ってどこへ行くつもりかしら」
ことり「ぴいっ!」
ことり「あ、はろー……真姫ちゃん」
真姫「そっちは穂乃果がいる場所ね」
ことり「あ、えっと一緒に寝ようかなーって」
真姫「あらそう――なら私も行くわ」
ことり「え」
真姫「私も穂乃果の彼女だもん、それくらい普通でしょう?」
ことり「ま、まあね?」
真姫「なら行きましょう」
真姫「独り占めするつもりだったの?」
ことり「あ、いやー……そういうわけじゃないんだよ……?」
◇――――◆
穂乃果「あれ、真姫ちゃん?」
ことり「あ、なんかそこでたまたま……」
真姫「……」
真姫「私はいない方がいい?」
穂乃果「そんなことはないよ?」
穂乃果「どうしたの?」
真姫「……」
真姫「――あなたはやっぱり、ことりのことが一番好きなの?」
穂乃果「え……」
ことり「どうしたの真姫ちゃん?」
真姫「……」ッ……
穂乃果「……そうだなぁ……うん、ことりちゃんのことは、一番信頼してるよ。嘘はつかない」
穂乃果「なんでも相談のってくれたからね、小さい時から」
穂乃果「うん、だからね海未ちゃんとことりちゃんのことはそういう意味では特別」
穂乃果「でもね一人一人に特別があるの。真姫ちゃんが曲を作ってくれてなかったら、今穂乃果達はきっとこんなところにいない」
穂乃果「もしかしたらスクールアイドルなんかもう辞めてるかもしれない」
穂乃果「そういう意味では真姫ちゃんも特別だよ、ありがとね」
真姫「……ごめん、こんなこと言って」
穂乃果「ううん、不安にさせちゃったかな……?」
穂乃果「じゃあ三人で寝ようか!」
ゴロン
真姫「ん……好き」ギュッ
穂乃果「穂乃果も真姫ちゃんのことすっごく好き」
真姫「……///」
ことり「ことりも穂乃果ちゃんのこと好きだもん」ギュッ
穂乃果「大丈夫だよ、二人とも好きだからさ」ナデナデ
ことり「えへへ……」
真姫「わ、私も撫でなさいよっ……///」
穂乃果「うん」ナデナデ
真姫「ん……///」
真姫(幸せ……)
ことり「穂乃果ちゃんこっち向いて?」
穂乃果「ん?」
チュッ
ことり「ちゅっ……んっ」
真姫「なっ……ことり!?」
ことり「ぷはぁ……♡」
穂乃果「ど、どうしたの?」
ことり「くす……真姫ちゃんにもしてあげて?」
真姫「///」
穂乃果「……いい?」
真姫「は、早くしなさいよっ」プイッ
穂乃果「横向いちゃキス、出来ないよ?」
真姫「わかってるわよ!」カァァアアアア
真姫「っ~~~////」
穂乃果「んっ……ちゅっ」
真姫「ちゅ……ん」
真姫「ふぁ……♡」トローン
ことり「そのまま真姫ちゃんとキス、してて?」サワサワ
真姫「んっちゅっ、せんぱぃ♡」
穂乃果「――こと、りちゃ!?」
ことり「ふふ、真姫ちゃんとキスしながらおちんちんおっきくしちゃったね?」
真姫(硬いの、当たってる……///)
穂乃果「んはぁ……ほれは……ひがうよっ///」
チュプチュパ
ことり「これからことりたちとエッチするんだよ?」
穂乃果「む、むりだよぉ……!」
ことり「こんなにおっきくしてるのに?」
真姫「はぁ、はぁ……♡」ポー
ことり「真姫ちゃんも興奮しちゃってるみたい」
穂乃果「……///」
真姫「ち、違うっ」ブンブン
ことり「ほら、ことりね下着つけてないの。押し付けてわかる?」ムニュツニュ
穂乃果「っ♡」
ことり「はぁ……♡」
真姫「ちょ、ちょっと待ってよ」
真姫「こ、こんないきなりするの!?」
ことり「そうだよ、……エッチなんてそんな感じだと思うよ。あれ……真姫ちゃんもしかして出来ない?」
真姫「で、できるわよ‼︎」
ことり「だってさ穂乃果ちゃん」
穂乃果「……」
穂乃果「あ、あのね……真姫ちゃんのおっぱい触りたい」
真姫「な///……ぅぅ、す、好きにすればいいでしょ!」
穂乃果「やった!」
真姫「っ……」
穂乃果「うわっ……すごい形いい……」サワサワ
真姫「ぅぅ♡」
真姫(穂乃果に、胸、触られてる……やば、変な感じ……)ビクビク
穂乃果「真姫ちゃんスタイルいいんだね」サワサワ
穂乃果「くびれすごい……」
真姫「くす、ぐったいのよ。へん、たい」
穂乃果「お尻おっきい……」ツーッ
真姫「し、仕方ないじゃないっ!」
穂乃果「褒めてるんだよ」
真姫「褒めてないわよ、気にしてんの!」////
ことり「ふふ、穂乃果ちゃんちょっと仰向けになって?」
穂乃果「あ、うん」
ことり「うわぁ……おっきい」
真姫「!? こ、これが穂乃果の……?」
真姫(すごいおっきい……これって絶対普通よりおっきい、わよね……?)
穂乃果「……///」
ことり「ふふ、ことりはもう大丈夫だけど……真姫ちゃんまだ緊張してるからほぐしてあげよ? 穂乃果ちゃんのことも気持ちよくしながらさ」
シュコシュコ
穂乃果「んっ♡ぁぁ♡」
真姫(すごい、すごいエッチな顔してる……可愛い)
穂乃果「んっぁ♡」
ことり「穂乃果ちゃん、真姫ちゃんのこと気持ちよくしてあげないとだよ?」
穂乃果「んっぅ♡真姫ちゃ……キスしよ?///」ビクビク
真姫「んっ……ちゅ……穂乃果ぁ……ちゅるるっ」///
真姫(舌入ってきてっ……なにこれ……気持ちいい。なんでこんなうまいの……っ)ンーッ/////
穂乃果「んんっ♡」ドクドク
ことり「わぁ……いっぱいエッチなお汁出てきたね」
ことり「ふぁ……♡ことりもちょっと気持ちよくなりたいな……///」
ことり「足借りるね?」
スリスリ
ことり「んっぁぁ♡穂乃果ちゃんの足……きもちいぃ……♡」
穂乃果(ことりちゃん……穂乃果の足でオナニーしてる……♡)
穂乃果「ちゅ、じゅるる」
真姫「や、らめ……んちゅふぁ……♡」ビクビク
穂乃果(乳首さわっちゃお)
クニックニ
真姫「ひゃぁんっ♡」
真姫「やだ、そこだめ……っ」
穂乃果「真姫ちゃん乳首きもちいいんだ」クニックニ
真姫「あ♡あ♡あんっ♡」
真姫「ふぁぁ……♡」
穂乃果「ひゃぁ、ことりちゃ……♡そんな動かさない、でっ///」
グッチャグチャ
ことり「んぁ……ぐちゅぐちゅってエッチな音……♡ことりも興奮してきちゃった//」
穂乃果「んっ、びちょびちょだねことりちゃんも♡」
ことり「だ、だってきもちいいんだもんっ……♡」スリスリクチュ…クチ
真姫「んっ……穂乃果ぁ……♡」スリスリ
穂乃果「どうしたの真姫ちゃん?」
ことり「あっ♡いやっ、こすれて……んんんっ♡」
真姫「……だ、だから……///」モジモジ
穂乃果「?」
真姫「ぅぅ……」
ことり「穂乃果ちゃん♡穂乃果ちゃんっ……♡」トローン
真姫「わ、私もことりみたいに気持ちよく……な、なりたいのっ」///ウルウル
穂乃果「……そっか」
穂乃果「どこ触ればいい?」
真姫「ど、どこってそんなのわかってるくせにっ!!」
ことり「んっ♡あっ……真姫ちゃんがかわいそうだよぉ」シュコシュコ
穂乃果「んぁ……♡」
穂乃果「そうだね、穂乃果ももう危ない、し♡」ハァッハァ///
ことり「ほら真姫ちゃん、真姫ちゃんが可愛いから穂乃果ちゃんのこんなになってるんだよ?」
真姫「……///」
真姫(暗くてよく見えないけど……すごいパンパン……)
真姫「穂乃果、はやく……」
穂乃果「ごめんね、切ないよね?」
穂乃果(ことりちゃん……手激しいい……///希ちゃん達としてなかったらとっくに出ちゃってるよ)
穂乃果「はぁはぁ……もう全部脱がせるよ?」
真姫「ええ」
ことり「ことりも脱ごーっと」
スル
ことり「穂乃果ちゃんの足でイってもいい?」
穂乃果「くす……えっちだね、ことりちゃんは」
ことり「昔から知ってるくせに」
ことり「穂乃果ちゃんは真姫ちゃんのこと気持ちよくしてあげて? おちんちんはことりが気持ちよくするからさ」
穂乃果「うんっ」
穂乃果「ことりちゃんの手一番上手くて気持ちいいから大好き」
ことり「嬉しいな//」
真姫「……」
シュコシュコ
穂乃果「ごめんね真姫ちゃん。んんんっ♡はぁはぁ♡気持ちよくしてあげるから」
穂乃果「――うわ……真姫ちゃんすごいね」クチュ
真姫「あああぁ♡」ビクッ
ピチャピチャ
ことり「すごい音ー」
穂乃果「ねー」
真姫「や、やだぁ♡」
穂乃果「恥ずかしがることないよ? 真姫ちゃんが気持ちよくなってくれて嬉しいもん」
真姫「ぁぁ♡ふぅぁ♡あ♡そこっ、そこっ♡」
穂乃果「こうされるのがいいんだ」
穂乃果「わかっちゃったかも」
真姫「あああっ♡やだ、やだぁっ♡」ブルブル
ことり「んっぅ……♡真姫ちゃんの声聞いてたら……ことりもイっちゃいそ。真姫ちゃんてこんな可愛い声、出すんだね……♡」
真姫「~~っ♡」
ことり「穂乃果ちゃんキスして?」
穂乃果「あむっ、んっ♡好き♡ことりちゃんっ」
ことや「んんっ♡ふぁ、や♡ことりも好き、好きっ」
真姫「ああぁんっ♡穂乃果、私にもキス、しなさいよぉ……♡」
穂乃果「うん、ちゅっ、ちゅるる……ぐちゅ」
真姫「はぁんっ、あむっにゅる、ふぁ♡」
真姫「あ、なんか変。イクっ、イッちゃう……」///
ことり「ことりもっ……♡」キュゥウ
穂乃果「はぁはぁ……♡」
ことり「穂乃果ちゃんも、一緒にイこう?」
シュッシュッ
穂乃果「あ♡あ♡でるっでる」
穂乃果「んぁぁあああっ♡」ビュルルッッ
ことり「ふぁっ……♡」ガクガクガク
真姫「っ……~~~♡んっっっ……♡」ビクンビクン
穂乃果「はぁ……はぁ……」
真姫「あ……」
ことり「んんぅ……」
ことり「いっぱい出たね」
穂乃果「あぁぅ……♡」
ことり「川の字になってエッチってなんか不思議だね」
穂乃果「んぅ……」
ことり「疲れちゃった?」
ことり「可愛い可愛い穂乃果ちゃんが大好き」
ことり「穂乃果ちゃんね、真姫ちゃんのおかげで気持ちよくなれたんだよ」
真姫「ほんと……?」
穂乃果「うん」
穂乃果「可愛かったよ」ナデナデ
真姫「嬉しい……好きよ、穂乃果……」
ことり「ずるーい、ことりも穂乃果ちゃんのこと大好きだもん」
チュッ
◇――――◆
翌朝
花陽「はぁっはあっ!!」
穂乃果「大丈夫?」
花陽「大丈夫、大丈夫だから……」
穂乃果「……ちょっと休もうか」
真姫「ちょっと飛ばしすぎなんじゃない?」
ことり「そうかもしれないね」
ことり(穂乃果ちゃん基準で練習メニュー作るからみんなかなりキツそう……)
海未「はぁっ……はあっ……」ヨロヨロ
穂乃果「海未ちゃん!?」
穂乃果「大丈夫!?」ダキッ
海未「ぅ……はい」
海未「こんなことで……っ」
絵里「珍しいわね……」
真姫「調子悪いの?」
海未「い、いえ……」
穂乃果「とにかく二人はちょっと休もうか」
穂乃果「みんなは練習してて? 絵里ちゃんお願いね」
絵里「任せて」
◇――――◆
穂乃果「これ飲んで」
海未「これは……」
穂乃果「スポーツドリンクみたいなものだよ」
花陽「ありがとう……」
穂乃果「本読んで作ったのー」
海未「本?」
穂乃果「うん、なんか色々読んでたらあったんだー。市販のやつより吸収良いかもしれないよ」
花陽「へぇ……」
穂乃果「まあ市販の買えるなら買った方がいいけどねー」
海未「他にも色々読んでるんですか?」
穂乃果「士気あげる方法だとか、とりあえず色々知識は入れてるよ」
穂乃果「でねとりあえず多少の作り物は出来た方がいいかなって。ハチミツレモンとか」
海未「切って漬けるだけでは?」
穂乃果「出来ないよ?」
海未「え?」
穂乃果「切れないもん」
花陽「あはは……」
海未「家のお手伝いたまにしてるじゃないですか……」
穂乃果「あ、そうか。穂乃果料理出来るよ多分!!」
海未「……」
海未(大丈夫でしょうか……)
穂乃果「まあ……ちょっと練習きつかったかな」
穂乃果「花陽ちゃんは体力に自信ない方だと思うけど、海未ちゃんまでこんなになるなんて……」
海未「ごめんなさい……」
花陽「もっと、頑張らないとだね」
穂乃果「ううん、穂乃果もごめんね」
穂乃果「しばらく休んだ方がいいよ?」
海未「はい……」
海未「……っ」
穂乃果「どうしたの? お腹痛いの……?」
海未「……うぅ」
穂乃果「大丈夫? なにか食べた?」
海未「い、いえそうではなくて……」
花陽(あ……なるほど)
花陽「あ、あの穂乃果ちゃん……」
穂乃果「?」
花陽「多分海未ちゃん……」
穂乃果「なに?」
花陽「えと、えと」
海未「っ……」
穂乃果「?」
海未「――せ、生理なんですっ……////」
穂乃果「あ……///」
穂乃果「そ、そっか……」
海未「ごめんなさい、情けなくて……」
穂乃果「それは仕方ないこと、だよ」
穂乃果「そっか、そうだよね……女の子は生理があるんだもんね。そこを考えとかないと……」
穂乃果「海未ちゃんでもこんなになるのに、他の人が生理と辛い練習が被ったら辛いもんね……」
海未「あ、あの……気にしないで下さい」
穂乃果(海未ちゃんでもこんな弱々しくなるんだ……)
花陽「お薬いる?」
海未「でも……」
花陽「そのままだと辛そうだし」
海未「では、お言葉に甘えさせて頂きます……」
穂乃果「……」
花陽「しばらく横になってた方がいいよ?」
海未「はい……」
◇――――◆
穂乃果「大丈夫かな……」
花陽「すぐよくなるよ」
穂乃果「生理って辛いの?」
花陽「私はあんまり……人によるんじゃないかな」
穂乃果「そうなんだ」
花陽「心配?」
穂乃果「うん」
花陽「……」
花陽「ねえ穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんは海未ちゃんのこと、好きなの?」
穂乃果「え?」
花陽「なんだか、他の人と海未ちゃんと話す時の穂乃果ちゃんが違うような気がして」
穂乃果「だって穂乃果――海未ちゃんのこと、好きだもん」
海未「え……?」
穂乃果「あ、海未ちゃん……」
花陽「……」
海未「あ、あの……タオル返そうと思って」
海未「……」
穂乃果「……」
花陽「わ、私、練習戻るね」
穂乃果「待ってっ」ガシッ
花陽「やめてよ……」
穂乃果(泣いてる……?)
花陽「海未ちゃんのことが好きなんでしょ!? ……私のことはいいから……ね?」
海未「……」
穂乃果「海未ちゃん」
海未「はい」
穂乃果「――好き」
海未「っ……」
花陽「……」
穂乃果「花陽ちゃんのことも好き」
花陽「え……?」
穂乃果「一人なんて……選べない。みんな好き。二人とも好き。二人と付き合いたい」
海未「な、なにを言っているのですか!?」
穂乃果「……大切にする。だから、お願い。二人とも穂乃果と付き合って?」
花陽「……」
花陽「穂乃果ちゃんの言うことなら、私は従うよ?」
穂乃果「え?」
花陽「本当に、私のこと……好き、なんですか?」
穂乃果「うん、好き。大好き!!」
花陽「……泣いて損しちゃったかも///」
花陽「穂乃果ちゃんが海未ちゃんののとを好きって言って、もうダメなんだって思って……」
ギュッ
穂乃果「……泣かせちゃってごめんね。もう泣かせるようなこと絶対しないからね?」
花陽「はいっ……」
海未「……」
海未「穂乃果……」
穂乃果「……穂乃果ね、初めて好きになったのは海未ちゃんなんだ」
穂乃果「花火大会の日……ことりちゃんと少しだけ離れて手つないで……キスしようとしたの、覚えてるんだよね?」
海未「……はい」
穂乃果「今年ね花火大会行きたいな。そこは二人きりで、昔みたいにさ……」
穂乃果「今度は海未ちゃんと――恋人同士で」
穂乃果「だから、お願いします」
海未「穂乃果……」//
海未「……全く……」
海未「あなたはいつもいつもおかしならことばかりです」
海未「ここは日本ですよ、一夫多妻ではありません。おかしいはずなのに……なんで――こんなに嬉しいんでしょう……」
海未「スクールアイドルをやると言った時もそうでしたが……また、不思議な世界に連れてこられてしまったようです」フフ
チュッ
穂乃果「っ」
海未「――責任、とって下さいね?」
今回終了。
>>614の方が言うように、半分も消化せずに終わる可能性もあるんで再安価の時は見たいのから選んで下さい。その時はエタらせず、きっぱりhtmlには出しますので。
ギュッ
穂乃果「……///」
穂乃果(う、海未ちゃんなんだかいつもと違う匂いする……汗? 生っぽいというか……独特な……でも全然嫌じゃない)ムラムラ
海未「穂乃果!? な、なにを」///
花陽「――穂乃果ちゃん」
ギュッ
穂乃果(二人から挟まれてっ……)
穂乃果「花陽ちゃんのことも大好きだよ?」
花陽「ほんと?」
穂乃果「二人とも大好きっ」
花陽「私も好きっ……」
ムニュゥゥ
穂乃果「ひゃ……////」
海未「?」
穂乃果「はぁ……♡はぁ」トローン
海未「な、なんで匂いなんか嗅いで――」
穂乃果「海未ちゃんの匂い好き……♡」
海未「や、やめて下さい!! 汗もたくさんかいててっ……それに今私はっ――」///
穂乃果「ううん、大丈夫」
ギンギン
穂乃果「んっはぁ……♡」
花陽(穂乃果ちゃんの息荒い……)
穂乃果「ねえ海未ちゃん、花陽ちゃん……これ収めて……?」
海未「あ……ぁ////」
花陽「……////」
花陽(す、すごいっ……こんなに、テントみたい)
穂乃果「……ぅぅ♡」
海未「ど、どうすれば――」
花陽「……///」サワサワ
穂乃果「ひゃぅぅ♡」
花陽「こ、これでいいですか?」
穂乃果「うん、もっと……♡」
海未「なななな、なにをしてるんですか!?」///
穂乃果「あああああっ……♡」
海未(花陽が後ろから穂乃果のものを……)
海未(穂乃果……こんな顔、するんですね。前は暗くてよくわからなかったですが)
穂乃果「ね、海未ちゃん。キスしよ?」
海未「え!?」
穂乃果「んんぅぅ……♡ちゅるるっ……」
海未「はむっ……にゅるっ、ふぁ……♡」
サワサワ
穂乃果「うみちゃ……♡んぁ……♡気持ちいいよ……♡」
花陽(穂乃果ちゃん、気持ちよくなってくれてるかな?)
海未(ど、どうしよう……わ、私はどうすれば……)カチコチ
スッ
花陽「――海未ちゃん」
海未「は、はい」
花陽「一緒にがんばろう?」
海未「え、えと……」
海未「花陽はこういう経験がたくさんあるんですか?」
花陽「ううん、ないよ。初めて。」
花陽「でもね、なんだか……あんまり緊張しないの」
穂乃果「海未ちゃん……ごめん、嫌なら無理しなくていいから……」
穂乃果「今更でごめん……おかしくなってたみたい……」
海未「気にしないで下さい。だって……私達は恋人でしょう?」
穂乃果「……///」
花陽「脱がせるね?」
ズルッ
花陽「うわっ……なにこれ……」
海未「……」
海未(あの時、私がセックスを拒否していなければ……傷つけることなかったのに)
穂乃果「……////」
花陽「し、失礼します」
花陽「おっきい……」
穂乃果「んんんっ♡」
花陽「海未ちゃんも一緒にやってみよ?」
海未「こ、こうですか」クチュ…クチュ
穂乃果「ふぁあ……♡気持ちいい……♡」
海未「わ……透明な液体が」
花陽「これは確か……」
花陽「気持ちいいと出てくるんですよね?」クチュ…クチュ
穂乃果「そ、そうだよ///」
花陽(おいしそう……)
ペロッ
穂乃果「ふぁぁっ♡」ビクンッ
花陽「ちょっと苦い、かも」
穂乃果「はぁ……はぁ」
花陽「舐めると気持ちいいの?」
穂乃果「ビリビリって……♡舐められるの、初めてだから……///」
花陽「海未ちゃんもやってみよ?」
海未「は、はい」
ペロ
穂乃果「あ♡海未ちゃぁん……♡」ビクッ
海未「い、痛かったですか!?」オロオロ
穂乃果「ううん、気持ちよかったんだよ?」ナテナデ
海未「……///」
花陽「うわぁ……手でしながら先っぽ舐めてあげるといいのかな……咥えられなそうだし……」
穂乃果「咥えるなんて……無理しなくていいから」
花陽「ごめんね、次は挑戦してみるから」
花陽「んっ、れろ……んちゅ……じゅる」シュッシュッ
海未「はぁ……♡穂乃果、気持ちいい、ですか? ちゅるる……んぁ♡」
穂乃果「あ♡あ♡すごいっ、先っぽ……ダメっっ♡」ガクガク
花陽(気持ちよくなってくれてる♡)
穂乃果「はぁっ♡ッぁ♡」
花陽(――なんだかこの体制だと……穂乃果ちゃんに支配されてるみたい……)ゾクゾク
海未「んっ、ぁ♡ちゅるる……ハッ……んぅ♡」
穂乃果(二人とも上手くはないけど……でも必死になってやってくれてる。嬉しい……♡)
穂乃果「あっ♡あぁぁ……出ちゃうっ♡」
チュルッ…ペロ……グチュグチュ
穂乃果「あああぅ♡もうぅ♡だめっ♡」ガクガク
海未(すごいっ♡……こんなになってしまうんですね)
穂乃果「ふぁぁっ♡」ビュルルッ
花陽「わ……」///
穂乃果「んくぅっ♡」ビュクビュクッ
穂乃果「あ……あぁ♡」ピュッ……ピュッ
海未「こ、これが精液……?」
花陽「初めてみた……」
穂乃果「はぁはぁ……♡ごめんね二人とも……顔にかけちゃって」
花陽「ううん、いいの」
花陽(もっと、めちゃくちゃにされたい……もっと、もっと……)
花陽(でも、こんなの言ったら穂乃果ちゃんに嫌われちゃうかもしれない……ダメだやめておかなきゃ)
【◇小泉 花陽 のことだけを見てあげると、本当の彼女を見ることが出来るかもしれません◇】
海未(私ひとりでは、穂乃果をこんなに気持ちよくしてあげることは出来ませんでしたね……良かった花陽と一緒で)
【◆園田 海未 は性行為に対して嫌いではありませんが、かなりの苦手意識を持っているようです◆】
穂乃果「じゃあ二人のことも気持ちよくしてあげなくちゃね?」
花陽「――あ、でも……もう時間が」
穂乃果「え? あー……ほんとだ。怪しまれちゃうね」
花陽「ま、また今度してね?」
穂乃果「うんっ」
穂乃果「海未ちゃんは休んでてね?」
海未「はい……すみません」
穂乃果「行こうか」
◇――――◆
真姫「大丈夫だったの」
穂乃果「うん」
真姫「海未は?」
穂乃果「あーえっと……」
花陽「せ、生理らしくて……」
真姫「ああ……」
真姫「だからここ来てから調子悪かったの」
ことり「珍しいなぁ」
穂乃果「……なんか海未ちゃん可愛かった」
真姫「生理中の女の子が可愛いとかただの変態じゃない」
穂乃果「そ、そうは言ってないでしょ!?」
ことり「穂乃果ちゃんは変態だもんねー」
穂乃果「なんでさ……」
真姫「……?」
花陽「な、なに?」
真姫「――髪の毛、ついてるわよ」
花陽「え?」
ことり「む……」
ことり「――エッチして来たでしょ?」
穂乃果「え、あ、いやっ……」
真姫「はぁ……遅いと思った」
穂乃果「ご、ごめんなさい……」
穂乃果「でもエッチまではしてないから!!」
穂乃果「海未ちゃんと一緒に口でしてもらっただけ!!」
花陽「……///」
ことり「そういえばことり、口でしてあげたことなかったね」
真姫「私も今度してあげるわ」
穂乃果「え……///」
◇――――◆
希「あらあら、じゃああとはにこっちだけなんや?」
穂乃果「まあ、そうなりますね」
希「恐ろしー」
穂乃果「なんで」
希「こぉんな可愛い顔してるのに、やることは大胆なんやもん」
希「こんなの世間様には知らせられないね」
希「で、にこっちやけど」
穂乃果「……避けられてます」
希「ウチも……」
希「どうしよう」
穂乃果「今から話に行かない?」
希「そうやね、この合宿中に話つけた方がいいもんね」
◇――――◆
夕飯前
穂乃果「……」
にこ「……」
にこ「なによ、ご飯作るので忙しいんだけど?」
にこ「ようがないなら話しかけないで」
穂乃果「っ……」
希「あ、あのねにこっち……あれは」
にこ「――なんで前と同じこと繰り返すの?」
穂乃果「……」
にこ「希もよ」ギロッ
希「ぁう」
にこ「今日で合宿は最後なのに……最低よ……」
にこ「また好きでもない人とセックスばかり――」
穂乃果「――それは違う」
にこ「なによ……」
穂乃果「前は好きでもないのにセックスしてるってのは当てはまってたよ。でもね……今は違うんだ。好きなの、好きだからしてるの」
にこ「なにいってんの……あんた凛ともしてたくせに!!」
穂乃果「……凛ちゃんも希ちゃんも真姫ちゃんもことりちゃんも絵里ちゃんも花陽ちゃんも海未ちゃんも――にこちゃんも、みんなみんな大切なの。大好きなの」
にこ「あんた、どういう意味かわかってんの!?」
穂乃果「みんな大切にする。絶対離したりしない、全部のことから守ってみせる」
にこ「……ふざけんな」
ギュッ
穂乃果「にこちゃん……っ」
にこ「離せ……離しなさいよ……」
穂乃果「――好き」
にこ「……///」
にこ「おかしいじゃない、そんなの!」
穂乃果「わかってる、おかしいけど。でも……一人なんて選べない」
穂乃果「お願い。穂乃果と付き合って?」
にこ「……なに、言ってんのよ。遊びも大概に――」
穂乃果「本気だよ?」
穂乃果「本気でにこちゃんのこと、好きだよ?」
にこ「っ……!!」
にこ「どうせ、どうせセックスしないと適当な扱いにするんでしょ!?」
にこ「はは、そりゃそうよね、セックスくらい出来ないと――」
チュッ
にこ「な……////」
穂乃果「そんなことない。無理してセックスしようとするにこちゃんなんて好きじゃないよ?」
穂乃果「穂乃果は今のままのにこちゃんが好き。例え身体の繋がりがなくたって、心さえ通い合ってればそれでいいから」
にこ「……っ///」
穂乃果「大切にする、絶対。絶対」
にこ「……なんなのよ。なんなのよ!!」
穂乃果「……ダメ?」
にこ「っ……」
にこ「――好きっ……私もあんたのこと、好き」ギュゥゥ
希「……良かったね」
穂乃果「うん……っ」
◇――――◆
夕飯
穂乃果「はぁぁ……もう終わりかぁ……」
凛「もう一泊、もう一泊しない!?」
真姫「飛行機のチケットどうすんのよ」
凛「うう」
絵里「楽しかったわね」
絵里「良かった、いい思い出が出来て」
絵里「あ、穂乃果」
穂乃果「なに?」
絵里「――あーん」
穂乃果「あーん♡」
穂乃果「ありがとー」
絵里「いいのよ」
ことり「ずるーい」
にこ「あの……美味しい?」
穂乃果「うんっ! 穂乃果はにこちゃんの料理が一番好きだよ?」
にこ「ほ、ほんと!?」
絵里「私もがんばらなきゃ……」
真姫「ま、まあ……そこは私のフィールドじゃないから仕方ないわね」
希「ウチも諦めてまーす」
海未「……まさかこんな結果になるだなんて思いませんでした」
花陽「え?」
海未「フラれても仕方ないって、誰か一人しか笑えないって思っていたのに」
にこ「……まだわからないわよ?」
にこ「穂乃果が誰か一人だけ優遇するかもしれないし」
海未「穂乃果……」
穂乃果「大丈夫。絶対そんなことしないから、みんな好き、みんな大切にする」
穂乃果「大丈夫か大丈夫じゃないかを判断するのはみんなだけど、精一杯頑張るから!」
真姫「だそうよ」
にこ「……信じるから」
穂乃果「うん」
凛「穂乃果ちゃんは大丈夫だよねー?」ギュッ
海未「こら凛! ご飯中ですよ」
凛「ちょっとくらい許してにゃー」
海未「もう……」
ことり「帰ったらなにする?」
絵里「とりあえずオープンキャンパスの計画を立てないとね」
絵里「夏のオープンキャンパスで決める人は多いわ」
絵里「勝負なんだから、まだ追い込まないとね?」
穂乃果「うんっ」
真姫「でも、絵里は受験もあるし……」
絵里「……どっちも頑張るつもりよ。真姫なら大変さが少しはわかるかもしれないけれどね……」
真姫「……」
【◆三年生には大学受験が控えています◆】
ことり「ごちそーさま」
穂乃果「ありがとねにこちゃん本当に美味しかったよ!」
にこ「当たり前でしょー?」
真姫「そろそろみんな準備始めないとよ」
穂乃果「そうだね……」
穂乃果「ねえみんな最後にもう一回だけ、浜辺に行ってみようよ」
◇◇◇夕刻 浜辺◇◇◇
穂乃果「きれー!!!」
月明かりに照らされていた時とは一変。橙色の光が水面に眩く反射している。それを見た凛ちゃんが穂乃果と同じように声をあげて、後ろから他のメンバーがくすくすと笑うのが聞こえる。
穂乃果「うーん、日が長いから見れるんだよね、夏で良かった!!」
日が落ちるのはこっちの方では見れないってことをどこかで聞いたことがある。それはまた違うところに行かなくてはならないらしい。朝日も見ておくんだったなー……後悔。
こんな南国に連れて来てくれた真姫ちゃんには感謝しなくっちゃ! おかげで絶景も見れたしね?
希「こんなの東京じゃみれないよー?」
希「写真撮ろうよ!」
絵里「でも撮る人がいないわよ?」
希「あー……インカメで」
絵里「それじゃあ多分この景色は入らないわね」
希「うー……」
花陽「写真じゃなくてもいいと思うな」
希「え?」
花陽「ここにいるみんなが今ここにみんなでいることを強く覚えていれば……写真なんかなくても大丈夫だよ」
希「……」
希「あーあ……なんかウチが負けたみたいー?」
花陽「そ、そういうことじゃ」
希「でもそうかもね?」
穂乃果「みんな忘れないよね?」
穂乃果を真ん中に左右に並んだµ’sのメンバーに問いかける。ほとんど間も無く帰ってくる強い頷き達が穂乃果の心にこの思い出をさらに、さらに強烈に刻みつける。
あー……楽しいな。最高。
でも……やっぱり少しだけ寂しかったりする。穂乃果が女の子だったらこうやってみんなと本当の意味で横に並べたんだろうか、本当の意味でみんなで一緒に一つのことを目指せたんだろうか。
ううん、そんなことはどうでもよくなるくらいこれから楽しいことをすればいい。穂乃果とみんなでならきっとできる。
穂乃果「もう一回来ようよ」
真姫「え?」
穂乃果「いつかもう一回……」
ことり「廃校を阻止したら、かな?」
穂乃果「ラブライブを優勝したら!」
海未「大きく出ましたね」
真姫「まだ出場すら決まってないのにね?」
にこ「全く……ウチのマネージャーさんは、無茶ぶりが好きみたいね?」
穂乃果「はは……」
穂乃果「……大きいよ。本当に大きい」
大きく後ろに一歩ジャンプ。みんなの不思議そうな視線が集まる。
穂乃果「でもみんななら出来る! 絶対絶対絶対出来るからっ!!」
穂乃果「――穂乃果はそのサポートをするだけ! 主役はみんなだよ!」
そう、今みたいに後ろから支えてあげるだけ。もし誰かが崩れそうなら後ろからそっと。みんなは穂乃果の力なんかなくても自分達で進んでいける、だからこれは穂乃果のわがまま。少しだけ……少しだけ、みんなにはわがままに付き合って欲しい。
きっとアライズとだって争うことになる。あの人達を越えなくちゃならないんだ。
……ツバサさんにも連絡しなくちゃね。穂乃果はツバサさんの想いには応えられない……µ’sのみんなはいつも近くにいてみんな大切にするつもりだけれど……ツバサさんはやっぱり距離がある。そんな中で平等にしてあげられる自信がなかった。それにいくら本気だと言っても複数の人を愛してるだなんて軽々しいにも程がある、そんなことをツバサさんに言えるわけがない……。
辛いけれど、伝えなきゃ。
ことり「うんっ、みんなでラブライブ出場して、そして優勝して……廃校も阻止して……そして、またいつか、いつか絶対ここに来ようね!!!」
八人分の揃った声が周囲に木霊した。
真姫「――そろそろほんとに時間ないわよ!」
凛「うわー、真姫ちゃんとかよちんあっちまで競争ー!!!」
真姫「はぁ!? 待ちなさい!」
花陽「え!? ちょ、ちょっと!?」
希「じゃあウチらも」ギュッ
にこ「ちょっ、いきなり走るなんてっ」
絵里「あら、短距離走もアイドルになったらあるかもよ?」
にこ「な、そんなこと分かってるわよ!!」
絵里「なら行くわよ?」ギュッ
希「わーー」
ことり「……流れ的にことり達も行かなきゃだよねー?」
海未「ふふ、そうですね」
ことり「よし、走るぞー!」フフッ
ギュッ
二人に手を引かれる。みんなが駆けた時に舞い上がった砂の粒子が視界を覆いつくしそれが目に入ってしまって少しだけ涙が出てた。思わずきゅぅと強く瞼を下ろす。
再び目を開いた時、いっぱいの涙の隙間にみんなの笑顔が写り込んだ。一つ一つがどんな宝石よりもキラキラしていて、放射状に広がった砂の粒子を南国の夕陽が鮮やかなセピア色に彩る。
――綺麗だなあ……。どんな絶景よりも綺麗だ、絶景なんてあんまり見たことはないけれど絶対そうに決まってる。みんなのキラキラした笑顔がこんなに間近で見ていられるなんて穂乃果は幸せだ。こうやって物事は思い出になっていくんだ。でも……思い出にだけはしないように、いつでもみんなが笑ってくれるように、だからみんなの笑顔は守らなきゃいけない。やっぱり、わがままかな……?
スクールアイドルをみんなではじめてから四ヶ月。他のところと比べると歴も浅いし実力だってまだまだだと思う。それでもµ’sは驚くほど早く前に進んでいる。きっとメンバー個人個人の力よりもさらに強い力で前に進んでいる。目指してしまったら止まらない、みんなそういう性格だったんだね。廃校阻止という目的はいつのまにかラブライブの出場から優勝にまで切り替わって……。
みんなが早く進みすぎて転んでしまわないように、怪我をしてしまわないように、躓きそうになったら少しだけでも支えてあげられるように。
みんなで真夏の夕陽に誓ったこと。それに加えて、穂乃果はもう一つ誓うのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
おわり。
終わりました。長くないし、これからも基本ワンパターンで行くと思います。読んでくれた方に感謝です。
もう少ししたら次の安価をとりますので。よければ選んでください。
穂乃果はどうするべきなんだろう?
1 ◇西木野真姫◇
綺麗な声……二人で曲も作ったね? ちょっと素直じゃないけれど、分かりやすいし面白い! 穂乃果は……真姫ちゃんが、好きなのかな?
2 ◇星空凛◇
凛ちゃんと付き合ってた時……楽しかったな。穂乃果がもっとちゃんと向き合ってあげてれば……。穂乃果が凛ちゃんのこと、襲わなければ……。
3 ◇小泉花陽◇
花陽ちゃんとも二人きりでたくさん練習したよね……?なんだか自信がない子だけど、守ってあげたくなっちゃうんだよね……。
4 ◇園田海未◇
初恋の相手は海未ちゃん、だったなぁ。ことりちゃんもたけど、穂乃果のことを一番よく分かってくれてるね?
【◆◆◆クリアにより、穂乃果に新たな人物との関係が築かれるかも?◆◆◆】
5 ◇◇南ことり◇◇
ことりちゃんにはすっごくお世話になって一緒に過ごしてきたよね。穂乃果は、やっぱり、ことりちゃんのこと――。
【◆◆◆クリアにより、ことりに関する選択肢が新たに解放されるようです◆◆◆】
6 ◇絢瀬絵里◇
絵里ちゃんは初めての彼女……。あの日穂乃果が止めていれば絵里ちゃんを悲しませることなんてなかったのに。……もう悲しませたくない!
7 ◇矢澤にこ◇
何事にも一生懸命で、真っ直ぐな人。穂乃果のせいで傷つけちゃったよね。今更この人を守ってあげたいなんて……先輩に失礼かな?
8 ◇東條希◇
初めて会ったのは神社だったよね。とても優しくて……なんでも受け止めてくれるかな。穂乃果が暴走したせいで襲っちゃって……その償いもしたい。
9 ◆◆綺羅ツバサ◆◆
まるで星みたいにキラキラしている人。穂乃果に色々教えてくれて、師匠みたいな人。でもこの人も色々大変なんだよね……支えて、あげたいな。【◇◇◇クリアにより、ツバサやµ’sに関する選択肢が解放されるようです。
10 ◆◆◆◆◆◆◆
そうだ、みんな穂乃果の彼女にしちゃおう。それならみんなとたくさんえっち出来るもんね……?ふふ……。
◆◆◆◆◆◆◆
>>681から>>686の間で一番多かったルートに進みます。選択して下さい。決まらない場合は>>687のルートにします。
海未ちゃん
えりち
9
見事に割れたようですが…ツバサルートで行きます。>>687の通りです。
ちなみに今からライブ行きます。
賢者モードになって書けなくなるかもしれませんが、ご了承を。
ちなみにツバサルートはストーリー重視です。それでは。
書き終わりました。
ツバサルート、非常に長いです。ハーレムルートの二倍はあります。こんなに長くなるとは思いませんでした。長いですが、最後まで付き合って頂けると嬉しいです…。
穂乃果「…………わかんない、誰が好きなんだろう」
穂乃果「とりあえず遅いし、もう寝よう。明日までには絶対、決めるんだ」
◆――――◆
穂乃果「だからなんで起きてる……」
ことり「恋バナしてたのー」
穂乃果「ふぅん……」
ことり「決まったの?」
にこ「いまここで言ってくれるの? 私たち覚悟は出来てるんだけど」
穂乃果「え!?」
穂乃果「あの、えーと」
絵里「まさかまだ決めてないの?」
凛「凛たちさっきまでね、誰が一番穂乃果ちゃんのこと好きか勝負してたんだよ!」
穂乃果「な、なにそれ……//」
凛「海未ちゃんなんか昔のこと――」
海未「そ、それはいけませーん!!」
穂乃果「あ、起きた」
海未「ふぇ、あ、ああああの//」
真姫「さっきみたいに語ってあげれば? 穂乃果は小さい時から私がいな――」
海未「うあああああああ!!!」
花陽「もうやめてあげようよぉ……」
希「あはは……てわけで穂乃果ちゃん?」
穂乃果「え、あう」
希「みんな散々待ったと思うんよ」
穂乃果「……」
希「恨みっこなしでみんな決めてるから、そこは大丈夫。誰を選んでも構わないんよ?」
しん……とその場が静まり返った。先ほどまではワイワイガヤガヤ、まるで恋の話をしているなんて思えないほどだったのに。みんなの視線が穂乃果を貫く、痛い、痛い……。
ここで決められない、だなんて言ってしまったら……。
早く決めないと、誰が、穂乃果は誰が好きなんだろう。
ツバサ『――私ねあなたのこと、好きになっちゃったみたい』
穂乃果「っ……」
まるで雷に打たれたみたいだった。目の前にいる人達を、意識しすぎていた。どうしてこんなにモヤモヤしていたんだろうか、µ’sのみんなは穂乃果のことを良く分かってる、それに見た目だって最高に可愛い子ばかり……それでも誰にも決められないで、モヤモヤしてたのは……。
穂乃果「そっか……」
――穂乃果はツバサさんのことが、好きなんだ。
穂乃果よりも随分華奢な身体、大きな瞳、小さな顔、透き通るような肌。その小さな身体に相当なプレッシャーを負いながらもA-RISEとして活動する姿。その全てに惹きつけられていることに気がついてしまった。もう、気がついたらツバサさんのことばかり考えていた、目の前にいるはずのみんなの姿よりも、遠く離れたアイドルのことを想っていたんだ。
穂乃果「ごめん」
気持ちに気がつけたのなら、話は早い。ごめん、本当にごめんね、みんな。
穂乃果「みんなの想いには答えられないよ」
ことり「……」
にこ「はぁ……まさか全員フるつもりー?」
穂乃果「えっと、そう、かな……」
希「うーん……予想してなかったというかなんというか」
穂乃果「……ごめんなさい」
希「ねえ穂乃果ちゃん」
希「もしかして他に好きな人がいる?」
穂乃果「え!? あ、いやそそそんなことないっ」アタフタ
絵里「……」
凛「隠すの下手だにゃ……」
花陽「穂乃果ちゃんの、好きな人……」
希「教えて教えて!」
凛「だれだれー?」
穂乃果「あ、う……えっと」
ことり「――やめてあげよう?」
ことり「あとは穂乃果ちゃんの問題だもん、ことり達は聞かないでいた方がいいと思うな」
希「……まあ、そうやね」
凛「……」シュン
穂乃果「ことりちゃん……」
ことり「でも、いつか聞かせてくれると嬉しいかな」
ことり「穂乃果ちゃんが好きになった人がどんな人なのか気になるし」
ことり「海未ちゃん絵里ちゃん凛ちゃんと来て次は誰かな」クス
希「この三人より可愛い子なんてなかなかいないと思うんやけど……うーん」
花陽「み、見た目だけじゃないしね?」
真姫「私より可愛い人がいるっていうなら見てみたいけどね?」
花陽「真姫ちゃん……」
真姫「なに?」
花陽「い、いや……」
穂乃果「こんなことを言うのはあれかもしれないけど、穂乃果はみんなのことが大好き、それは変わらないよ」
穂乃果「だから穂乃果もこれから出来ることはするから、がんばろうね!」
真姫「練習メニュー、ちゃんと考えたんでしょうね?」
穂乃果「うん! とびきりキツイやつ!」
花陽「大丈夫かな……」
絵里「そんな笑顔で言うことなのかしら……」
希「穂乃果ちゃんに海未ちゃんが乗り移ったぁ……」
海未「どういうことですか!」
穂乃果「とーにかーく! この合宿はこれからビシビシ行くからね!!!」
◆――――◆
合宿後
穂乃果「あぁ……疲れた……」
穂乃果「穂乃果はなんもしてないけど……みんなは相当疲れただろうな。かなりキツイの組んだしね」
穂乃果「今日は練習もないし……どうしようかな」
~~~♪♪
穂乃果「ん……あ、高校の友達からだ。遊びのお誘いか……どうしようかな」
疲れてる、でも最近高校の友達と遊ぶ機会もなくてかなり久しぶりだからカラオケでも行きたいなぁとか考えながら身体と相談するけれど……身体は正直だね?
ベッドから動きたくないよーって言ってるもん。
穂乃果「また今度にしよ……」
穂乃果「はぁ……昼過ぎまで寝ようかな」
チラッ
穂乃果「……」
机に置いてあった雑誌が目に入った。表紙には例のごとくアライズの三人が写っている、雑誌なのに見ただけで吸い込まれそうになる。そういえばことりちゃんの家で見た雑誌の表紙もアライズだったような気がする、当時はそういうの全然興味なかったから気がつかなかったけれど。
思えばその時から直接的ではないにしろ色々教えて貰ったことになるんだよね? 身体を起こして、雑誌を手にとってそんな四ヶ月前のことを思いながらパラパラとめくる。
やっぱりアライズのページが多いなあ。
昔はただのすごい人という認識だった、ただ可愛い人達という認識だった。
穂乃果「……」ドキドキ
当時とは決定的に違う、高鳴る胸に、困惑してしまう。あの時この人の笑顔が自分だけに向けられていた、この人は……穂乃果のことが好きなんだ。御伽噺みたいな現実離れしていることが本当になるだなんて……。気がついたら好きになっていた、いつからなんだろう。好きだと自覚したのはつい最近のことだけれど、きっとずぅっと前から穂乃果はツバサさんに恋をしていたのかもしれない。
会いたい、ツバサさんに会ってそれで返事をオッケーして……彼女のことを独り占めしたい、本当の意味で穂乃果にだけ笑って欲しい。
携帯電話を取り出して、登録してあるツバサさんの電話番号に。メールよりもなによりも、今は声が聞きたかった、いきなり電話とか変かな気持ち悪いとか思われるかな、でも好きなんだもん、好きになっちゃったんだもん。
ツバサ『もしもし』
穂乃果「え、ぁえっと、つつツバサさん?」バクバクバク
ツバサ『……どうしたの?』
穂乃果「あの、あのあのあの……」
ツバサ『はぁ、少し落ち着いて?』
穂乃果「は、はい……ふぅふぅ……」
穂乃果「あぅ、えっとだからその……」
ツバサ『あのね、とりあえず落ち着くことから始めて欲しいんだけど』
穂乃果「は、はいっ」
一分後
穂乃果「もう大丈夫です」
ツバサ『そう、それは良かった』
ツバサ『で、なんの用かしら』
穂乃果は今、ツバサさんと話しているんだよね? ツバサさんはこの前穂乃果に告白してきて、そしてきっと返事を待ってるはず……。でもどうしてこんなに冷静に返されるんだろう、穂乃果はこんなにドキドキして呂律も回らなくなっちゃうのに。
もしかして……もう好きでいてくれないのかな? 返事返すの遅かったから愛想尽かされちゃったかな?
穂乃果「……」
穂乃果「あ、あのツバサさん今どこですか?」
ツバサ『今? 今は御茶ノ水駅だけど……』
穂乃果「なら今からそこ行きます!」
ツバサ『え?』
穂乃果「お願いします、待ってて下さい!!」
ツバサ『あ、えっと……』
プツッ
◆――――◆
ツバサ「……緊張した」
あんじゅ「よく出来ましたー」
ツバサ「なにが……」
あんじゅ「端からみてても全然動揺してなかったし」
英玲奈「で、彼はなんと?」
ツバサ「え、別になんでもないけど」
あんじゅ「なんでもないってことはないでしょ。告白した後でしょ? なんて言われたの?」ワクワク
ツバサ「ほ、本当になんでもないのよ!」
ツバサ(ど、どうする。こんなとこに三人でいるとすぐ穂乃果さんが来ちゃう……家もかなり近いし)
ツバサ「あ、そうだ私は少し用があるからこの辺で……」
あんじゅ「へぇ……」チラッ
英玲奈「……」コクッ
英玲奈「じゃあ私たちは先に行ってるからな」
ツバサ「! ええ!」
ツバサ(良かった、ものわかりがよくて)
ツバサ(でもここだと二人に見られる可能性もあるし……)
ツバサ(そうだ)
ツバサ「もしもし穂乃果さん?」
穂乃果『なんですか!?』
ツバサ「あ、ごめんなさい。今どこ?」
穂乃果『えっと、秋葉原のメイン通り入ったくらいです』
ツバサ「そう……あの。悪いんだけど、神田明神に来てくれるかしら? 今の時間ならあんまり人はいないと思うから」
穂乃果『神田明神……わかりました、走っていきますっ!!』
プツッ
ツバサ「走ってこなくてもいいのに、悪いことしたかしら……」
私はすぐに駅の改札を出て、駅に隣接する大学のそばを歩く。そういえばここの大学ってかなり頭いい人達がいるところよね、まさに日本の医療界のエリート達って感じかしら? 流石に私でもここは無理ね……。まあ私は違うところでトップになるつもりだから、でも同じように頑張ってる人のことは応援したくなるのよね。
そんなことを考えて、チラリと大学の入り口に目をやる。
ツバサ「……あれは」
真姫「……」キュゥ
なんだか物憂げな表情を浮かべながら、多数の本が入っている紙袋をきゅっと抱える赤髪の少女。その少女のことを私は強く覚えていた。
穂乃果さんの彼女だと間違えて勝手に自己嫌悪した原因の、µ’s西木野真姫その人だ。
一体こんなところで何をしているんだろう……。
後ろを通る時、すっと紙袋の中身を覗いてみた。
ツバサ(なるほど……)
ぎっしりと詰め込まれた参考書はなによりも雄弁に物事を語ってくれた。つまりこの子もここの大学を目指しているってことよね。
ん、ああ……明日オープンキャンパスなんだ。へえ……下見にでも来たのかもしれないわね。
スクールアイドルもやって勉強もトップを目指すだなんてとても難しいことだけれど、応援はしようかな。
そんな頑張る未来のエリートの背中を通り過ぎて、待ち合わせ場所に。緩やかな坂を登ると見えてくる赤い門の前で一礼。
ツバサ「ここで待ってれば来るかしら」
ツバサ「それとも男坂の方?」
ツバサ「うーん」
穂乃果「ツバサさんっ!!」
穂乃果「はぁ、はぁっ」
ツバサ「穂乃果さん」
早い、とても早い。だってさっきまでは秋葉原の中央通りにいたって言ってたわよね? どう考えても私の方が早くつくはずなのに同じくらいにつくだなんて。穂乃果さんの激しく上下する肩に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
ツバサ「急に変更なんて、ごめんなさい」
穂乃果「いえ全然! そもそも勝手に待ち合わせしたのは穂乃果ですから!」
真姫「ん、あれは……」
真姫「穂乃果と……綺羅、ツバサ……なにしてるのかしら」
真姫「気がつかれないように……」コソコソ
ツバサ「そう……」
穂乃果「……」
ツバサ「……」
どうしよう。言葉が出てこない、さっきまでは意識すればあんなに冷静になることが出来たのに、どうして今はできないの?
「あ、あの」
ツバサ「ご、ごめんなさい」
穂乃果「いえ……そちらからどうぞ」
ツバサ「いや、穂乃果さんから」
穂乃果「…………」
穂乃果「じゃあ」
穂乃果「……っ」///
穂乃果「――えと、穂乃果……ツバサさんのこと、好き……です」
穂乃果「ほ、穂乃果でいいなら付き合って下さいっ!!」
真姫「え……」
真姫「はは、そういう、ことだったの」
ツバサ「え」
ツバサ「ウソでしょ?」
穂乃果「ほ、ほんとです」//
ツバサ「えっと……」
ツバサ「な、なら付き合って……みる?」///
穂乃果「いいんですか?」
ツバサ「最初に告白したのは私だったはずだけど?」
穂乃果「そ、そうですよね」
ツバサ「……じゃあ私たちってもう……恋人……?」
穂乃果「た、多分……」
ツバサ「私、本当にこういうことわからなくて」
ツバサ(あんじゅに色々聞いておけば良かった)
ツバサ「……//」
恋人ということはなんか色々するのかしら? で、デートとか? でもあんまり時間はないし……。
穂乃果「あ、えっと……なら穂乃果に任せて下さい」
穂乃果「すすす少しくらいならリード出来ると思います」
ツバサ「リード?」
穂乃果「あ、あの、ごめんなさい、不快に思っちゃったならっ」
ツバサ「ううん、そんなことないわ」
あんじゅ「――わー!!!」
ツバサ「!?」
あんじゅ「おめでとうツバサちゃんっ」
ツバサ「な……」
英玲奈「いやあんじゅがどうしてもって」
ツバサ「電車に乗ったんじゃないの!?」
あんじゅ「んー? 最後まで確認しないとダメよ?」
ツバサ「っ」
あんじゅ「ともかく高坂穂乃果くん、だっけ」
穂乃果「は、はい」
あんじゅ「ツバサのことよろしくね、全然そういう経験ない子だから」
ツバサ「ちょっと……」
あんじゅ「それにしても女の子みたいな名前ね、見た目もだけど」
穂乃果「よ、よく言われます……」
あんじゅ「あはは、可愛いー」
穂乃果(す、すごい……目の前にアライズの三人が……)
あんじゅ「じゃツバサ、UTX戻るわよ」
ツバサ「ええ」
ツバサ「ねえ穂乃果さん」
穂乃果「はい」
ツバサ「あ……や、やっぱりメールにするわ」
穂乃果「はいっ!! 練習がんばって下さいっ」
あんじゅ「……くすくす」
英玲奈「お邪魔みたいだな」
真姫「……あの人には、勝てないわよ……まったく、あんな人落とすなて」クス
◆――――◆
穂乃果「うわ」
穂乃果「前よりアライズのコーナー大きくなってる!」
穂乃果「すごいなあ」
穂乃果「ツバサさん、可愛い……」//
穂乃果「ほ、本当に恋人なんだよね?」
穂乃果「……////」
穂乃果「ツバサさんのグッズ買っちゃお」
穂乃果「えっと、これと、これと……」
穂乃果「えへへ……」
穂乃果「メールとか来てないかな?」
穂乃果「流石にまだだよね? うん、練習忙しいみたいだし」
穂乃果「帰ってねよー! 明日もみんなと練習あるからね」
◆――――◆
部屋
穂乃果「会いたいな……恋人、恋人なんだよね……」
穂乃果「ツバサさん、穂乃果にだけ笑ってくれるんだもんね」
穂乃果「……//」
穂乃果「もう一時か、寝なくちゃ」
~~♪♪
穂乃果「メールだ!」
こんな夜遅くだけど、ごめんなさい。あの……ごめん、特に用事はないんだけど。
穂乃果「~~~////」
穂乃果「どうしよう、ドキドキして、眠気が飛んじゃった……」
穂乃果「な、なんて返信すればいいかな、えっとえっと――」
◆――――◆
穂乃果「んぅぅ……」
ことり「おーい、どうしたの?」
穂乃果「眠い……」
ことり「いつも元気なのにー、まだ疲れ取れてない?」
穂乃果「どうなのかなー……ふぁぁ……」
穂乃果(昨日ツバサさんとメールしすぎちゃった、寝たの三時だったし……)
穂乃果「よし、今日も頑張ろう」
絵里「オープンキャンパスもあと一週間に迫ってる、追い込みだからね?」
花陽「は、はい」
穂乃果「よーし、じゃあ今日は大サビ前の――」
◆――――◆
真姫「先輩」
穂乃果「なあに」
真姫「隣いい?」
穂乃果「どうぞ」
穂乃果「練習終わったのに、どうしたの?」
真姫「こっちのセリフ」
穂乃果「んー、どうしたらことりちゃんをもっと目立たせて上げられ?かなって」
真姫「どういうこと?」
穂乃果「一応フォーメーション的にはセンターってなってるでしょ? それなのに、なんだかいつもいつも自信なさそうだから」
真姫「……よく考えてるんですね」
穂乃果「みんながセンターなら一番いいんだけどね? 流石にそれは無理だからさ……でも気持ちはみんなセンターでいて欲しい」
穂乃果「で、真姫ちゃんは?」
真姫「……特に」
穂乃果「そっか」
真姫「ねえ、穂乃果」
真姫「――綺羅ツバサさんと、恋人なの?」
穂乃果「っ!?」
真姫「……」
穂乃果「な、なんで知ってるの?」
真姫「神田明神で見ました」
穂乃果「あちゃ……」
真姫「まさかあの人だったなんて」
穂乃果「穂乃果もびっくりだよ、告白された時はウソだろって思ったもん」
真姫「向こうから?」
穂乃果「そうだよ」
真姫「なんか色々あるのね、あなた」
穂乃果「あはは……」
真姫「ま、あの人なら仕方ない
か」
穂乃果「?」
真姫「流石に私だってあの人と比べて勝ってるかどうかって言ったらわからないもの」
真姫「あの人、流石人気あるだけあって、可愛いものね」
穂乃果「真姫ちゃんだって可愛いよ?」
真姫「はぁ……そういうことはもうあの人だけに言ってあげた方がいいんじゃない?」
穂乃果「あ……うん」
穂乃果「み、みんなに言った方がいいかな?」
真姫「さあ?」
真姫「まああとあとバレたら色々質問攻めが面倒かもね?」
穂乃果「ぅ……いいます、明日言います」
真姫「それが賢いかも」クス
◆――――◆
UTX前
穂乃果「ツバサさんまだかな……」ソワソワ
穂乃果「あ! あの若干の変装姿は!」
穂乃果「ねえねえ!」
ツバサ「っ」ビクッ
ツバサ「な、なんだ穂乃果さんか」
穂乃果「ここでツバサさーんって大きな声で叫ぶのはあれかなって」
ツバサ「どうしたの?」
穂乃果「いや、そのぉ……ツバサさんに会いたくて」
ツバサ「もう……まったく」
ツバサ「私も会いたかったわ」ニコッ
穂乃果「~~~///」
穂乃果「そういえば今度、音ノ木のオープンキャンパスがあるんです、そこでライブするんです」
ツバサ「へぇ……」
穂乃果「廃校阻止がかかってるじゅーよーなライブなんで、是非来てみて下さい」
ツバサ「ふふ」
穂乃果「?」
ツバサ「穂乃果さん、µ’sのことを話している時が一番楽しそうね」
穂乃果「そ、そうですか?」
ツバサ「ええ、今みたいな穂乃果さんを見ていると元気になる気がするわ。――私はそんなあなたを好きになったのかも」
穂乃果「え、え……//」カァァァア
ツバサ「顔、赤くなってるわよ」クスクス
穂乃果「だ、だって!」
ツバサ「えっと――こ……こ、今度デート、しましょう?」
穂乃果「も、もちろん! いいんですか!?」
ツバサ「ええ」
ツバサ「また連絡するけど、いい?」
穂乃果「気なんて使わないでください」
ツバサ「そ、そうよね」
穂乃果「ふふ」
ツバサ(上手く誘えた……)
ツバサ「ごめんなさい、今日は疲れているからもう帰ってもいい?」
穂乃果「あ……昨日穂乃果がメールあんなにしたから……」
ツバサ「ううん、そういうことじゃないの。そっちこそ気なんて使わなくていいのよ?」
穂乃果「でも……」
ツバサ「あなたもよく休んでね?」
穂乃果「はい、じゃあまた今度!」
ツバサ「ええ」ヒラヒラ
穂乃果「いっちゃった……」
穂乃果「またツバサさんのグッズ買って帰ろー!」
◆――――◆
翌日 夜
穂乃果「明日ですか?」
ツバサ『ええ、練習終わりの三時間くらいしか遊べないけれど……』
穂乃果「全然大丈夫ですよ! またUTXに行けばいいですか?」
ツバサ『来てくれる?』
穂乃果「家から近いですし」
ツバサ『ありがとう……』
穂乃果「いえいえ! こうやって声がきけて嬉しいです!」
ツバサ『そんな……じゃあ明日、いいかしら?』
穂乃果「はい! またあした!」
ツバサ『ええ、ばいばい』
ブツッ
穂乃果「はぁぁ……デートかぁ……ツバサさんとデート」
穂乃果「ポスターでもこんなに可愛いのに……」
穂乃果「~~~///」バタバタ
ガチャ
雪穂「――もう、うるさいなぁ」
穂乃果「あ、雪穂」
雪穂「うわ、なにこれあんたこんなにA-RISE好きだったっけ?」
穂乃果「最近好きになったんだー」
雪穂「ふぅん、なんか意外」
雪穂「でもほどほどにしときなさいよー」
穂乃果「わかってるよー」
バタン
穂乃果「そんなにツバサさんのグッズ増えたかなー?」
穂乃果「だって、可愛すぎるし……。――ツバサさんは穂乃果だけのものだもん」
◆――――◆
穂乃果「待ちました?」
ツバサ「ううん、少しだけ練習が早く終わったの」
穂乃果「良かった、またせちゃったやかなって」
ツバサ「ごめんなさい、あんまり暇がとれなくて」
ツバサ「今日も時間ないからどこかにあそびに行くって感じじゃないわよね……」
穂乃果「じゃあこの辺りで遊びましょうか」
ツバサ「そうね」
穂乃果「あ、ねえねえ、プリクラ撮りませんか?」
ツバサ「プリクラ……うん、いいわね」
穂乃果「行きましょう?」
ツバサ「――あ」
穂乃果「?」
ツバサ「手……繋がない?」///
穂乃果「は、はいっ///」
キュッ
穂乃果「……汗かいたらごめんなさい」
ツバサ「私だって……練習終わりだし、変な匂いするかも……」
穂乃果「そんなことないですから!」
ツバサ「な、なんか変な感じね?」
ツバサ「あんまり恋人っぽくないかしら?」
穂乃果「いえ、十分です」
ツバサ「そうだ……それよ」
穂乃果「?」
ツバサ「私達恋人なのに、なんでお互いのことさん付けなの? しかも穂乃果さんはどうして敬語なの?」
穂乃果「あ……確かに」
穂乃果「でも穂乃果、ツバサさんにタメ口なんて……」///
ツバサ「でも……なんか他人行儀だし……」
穂乃果「そう、ですよね」
ツバサ「えっと……ほ、穂乃果?」///モジモジ
穂乃果(顔赤くして……なんでこんなに可愛いんだろう……)
ツバサ「ちょっと、せっかく……呼んだのに……」
穂乃果「え? あ……なんですか、じゃなくて……なにっ、ツバサ」///
ツバサ「っ……」
ツバサ「すっごく変な感じ」
穂乃果「や、やっぱり戻しませんか!?」
ツバサ「そ、そうね……もう少し慣れたらにしましょうか」
穂乃果「あはは、そうですね」
穂乃果「あ、あれ!」
ツバサ「プリクラなんて久しぶりだわ」
穂乃果「アライズで撮らないんですか?」
ツバサ「んー、三ヶ月前くらいに撮ったかしら」
穂乃果「穂乃果もプリクラなんて相当前かも……下手したら一年くらい」
ツバサ「お互い久しぶりでいいわね」
穂乃果「えーどんな風に撮ろう……」
ツバサ「お金入れるわね」
チャリン
穂乃果「え!? 穂乃果がお金出そうと思ってたのに!」
ツバサ「ふふ、年下にお金なんて出させないわ」
穂乃果「もう」
ツバサ「じゃあフレームとかはこれで――」
ツバサ「もう撮影されちゃうわ」
穂乃果「えっと、えっと」
ツバサ(恋人だし、遠慮はいらないわよね)ギュッ
穂乃果「ひゃぁ」
パシャッ
穂乃果「抱きつくなら言って下さいよっ!」
ツバサ「うふふ」
穂乃果「じゃあ今度はこっちから!」ギュー
ツバサ「もう……///」
◆――――◆
穂乃果「うええ……なんか情けない顔のばかり」
ツバサ「でも最後の方に普通に撮ったやつは二人ともいい感じね」
穂乃果「この写真だけツバサさんスイッチ入ってませんかー?」
ツバサ「ふふ、そうかも」
ツバサ「でも、穂乃果さんも決め顏してるじゃない。なんだか面白い」
穂乃果「そ、そういうのは言わないで下さい!」
穂乃果「でも、なんかお互い抱き合いながらプリクラ撮るってバカップル、みたいですね」
ツバサ「いいじゃない、こういうのも」
ツバサ「あ……さりげなく私達……初ハグ……?」
穂乃果「そ、そう、ですね」
ツバサ「……」//
穂乃果「じゃあこれ待ち受けにしますね! 財布にも入れておこーっと」
ツバサ「私は……普通のやつを、あんじゅに見られたらまたからかわれるかも」
穂乃果「面白そうな人ですよね」
ツバサ「軽いだけよ?」
穂乃果「はは、ひどいですね」
ツバサ「冗談よ」
ツバサ「これからどうする?」
穂乃果「とりあえず歩きませんか?」
ツバサ「そうね」
ギュ
穂乃果「――今日は手、ずっと繋いでていいですか?」
ツバサ「……ええ」フッ
穂乃果「ふふ、ありがとうございます」
◆――――◆
穂乃果「夢みたい」
穂乃果「雑誌にのってる人とこんなこと……でも、夢じゃないんだよね」
穂乃果「プリクラもちゃんとあるし……」
穂乃果「会いたいな……さっき会ったばかりなのに」
穂乃果「ずっと一緒にいたいよ」
穂乃果「迷惑にも程があるね、あはは」
穂乃果「でも少し複雑だなあ、こんなグラビアまでしてるんだもんね。色々な人がツバサさんの身体とか見るんだよね」
穂乃果「やだな……知ってるのは穂乃果だけがいいのに……」
穂乃果「すっごく、綺麗……」
ムラムラ
穂乃果「はぁ……はぁ♥︎」
穂乃果「ダメダメっ! ツバサさんとは純粋な交際をしたいの」
穂乃果「……で、でも、一人でするくらい、いいよね……?」
穂乃果「んっ♥︎はぁっ♥︎」サワサワ
穂乃果「最近っ、一人でもしてなかったから……♥︎やばぁ……♥︎んんんぅ///」ビクビク
穂乃果「あっ♥︎あっんっ♥︎」シュコシュコ
穂乃果「も……♥︎でちゃぅ」
穂乃果「――ツバサ……さんっ♥︎」シュコシュコ
穂乃果「あああっ♥︎んっぁ」ビュルルッビュッ
穂乃果「んっ♥︎んぁぁっ♥︎」ビュルルッ……ガクガク
穂乃果「ぁっ♥︎はぁっ♥︎」ビュク……ビュク
穂乃果「はぁ、はぁ……♥︎」
穂乃果「んぅ……♥︎雑誌にかかっちゃった……♥︎」
穂乃果「もう……なんで穂乃果……いっつもこんなにいっぱい精子出ちゃうんだろう……」ベタベタ
穂乃果「気持ちいいけど、処理大変だし……こんなに出なくてもいいのにさ」フキフキ
穂乃果「こんなに出ると、気持ち悪いとか、思われるかな……ことりちゃんとしてた時も、いつもゴムから溢れそうになってたし」
穂乃果「って……なんでツバサさんのことばかり! 結局ツバサさんでしちゃったし……」
穂乃果「うぅ、抑えないと」
穂乃果「……なんで落ち着かないの?」
穂乃果「こんなに出したのに、まだ出そう……」トローン
穂乃果「んんんっ♥︎」ギンギン
◆――――◆
3日後
穂乃果「曲は前も言ったように、これからのsomedayを一番と大サビだけやって、流れを作る。そしてメインの僕らのlive 君とのlifeに繋げるよ」
絵里「曲の合間のポジションチェンジを気をつけなきゃね」
穂乃果「いっそのこと、これsomeのフィニッシュのところを次の曲のスタートポジションにしておいてすぐ入れるようにした方がいいかもね」
穂乃果「一秒でも待たせない方がいいから」
真姫「気合入ってるわね」
穂乃果「真姫ちゃんだって気合い入れないと!」
真姫「入ってる」
花陽「ラブライブの順位は……35」
凛「また上がったね!」
海未「ならば今回のライブでさらに良くなれば……」
ことり「もしかしたら出られる?」
にこ「そんな甘いものじゃないわよ? こっから上は団子状態だから一つヘマしたらぐっと下がることだってある」
にこ「気をつけなきゃね」
穂乃果(一位はアライズ、か……)
穂乃果「あ」
絵里「どうしたの?」
穂乃果「みんなに言うの、忘れてた……」
ことり「なにが?」
穂乃果「えっと……穂乃果ね、その……A-RISEの綺羅ツバサさんとお付き合い、してます……」//
希「え?」
にこ「は?」
花陽「ど、どういうことですか!?」
にこ「嘘でしょ!? ツバサよ!? 綺羅ツバサ!!!」
穂乃果「ほんと、です」
にこ「証拠は!?」
穂乃果「証拠は……えっと」
穂乃果「これじゃダメ?」
にこ「!!!」
希「おお……」
花陽「ツバサとの、プリクラ……」
ことり「はわわ……」
絵里「本当なのね……」
穂乃果「なんか恥ずかしい」
海未「なるほど、穂乃果の好きな人というのは」
凛「その人にだったら負けても仕方ないにゃー……」
ことり「確かに……可愛いもんね……」
希「みんな敗北宣言しちゃダメー!」
希「穂乃果ちゃん争奪戦では負けたけど、スクールアイドルとして勝とうね」
絵里「希の言う通りよ、最初から負ける気でいたらどうにもならないわ」
海未「そうですよね、では練習を始めましょうか」
またこんど。
◆――――◆
オープンキャンパス当日
英玲奈「これは申し込みとかしなくてもいいのか?」
ツバサ「別にいいんじゃないの?」
ツバサ「ちょっと聞いてくるわ」
あんじゅ「なんだか校舎の前で待ってるの恥ずかしいんだけど」
ツバサ「ええ、じゃあどうしろっていうの」
英玲奈「電話がいいんじゃないか」
ツバサ「あそっか」
ツバサ「穂乃果さんのは……」
穂乃果「――ツバサさんっ!!」
ツバサ「穂乃果さん!」
あんじゅ「お」
穂乃果「本当に来てくれたんですか!」
穂乃果「それに……優木さんに、統堂さんも!」
あんじゅ「ツバサがついてこないかってね」
英玲奈「今日はツバサの保護者がわりだ」
ツバサ「どういうことよ……」
穂乃果「ではこっちに来て下さい」
あんじゅ「はーい」
あんじゅ「そういえばさ、高坂くん」
穂乃果「はい?」
あんじゅ「いつまでツバサに敬語なの? ツバサもいつまで穂乃果さんて呼んでるのよ」
英玲奈「確かに」
ツバサ「一回お互い呼び捨てしてタメ口で話そうとはしたのよ?」
穂乃果「でも、上手く行かなくて……あはは」
あんじゅ「不思議ねえ……」
◆――――◆
にこ「――ちょっと穂乃果はどこ!?」
ことり「え? えっと……どこだろう?」
にこ「もう!! さっき私あいつにカギ貸してって言われたから貸してるの!!」
ことり「カギ?」
真姫「そういえばどうして着替えてないの?」
にこ「だぁからぁー! 穂乃果にカギ渡して置き部屋に入れないの!」
絵里「どうして渡したの?」
にこ「そろそろ着替えに行こうと思ったら穂乃果が貸してって言うから、流されるまま」
凛「なにしてたんだろ」
海未「穂乃果のことだから対した意図はなさそうですが」
ことり「それはいいすぎ……はは」
にこ「すぐ戻ってくるかと思ったら全然戻ってこないしっ、どうしよう!!」ソワソワ
希「落ち着いて、いざとなったらマスターキー借りればいいやん?」
にこ「あ……そ、そうね」
穂乃果「みんなー、準備出来た?」
ガチャ
にこ「穂乃果! どこ行ってたのよ!!!」
穂乃果「え?」
穂乃果「あれ、にこ先輩どうして着替えてないの?」
にこ「はあ!?」
にこ「あんたがカギ貸してって言ったからでしょ!?」
穂乃果「え? あ……」サァァ……
穂乃果「ごめん忘れて、た……」
にこ「はあ!? いいから貸して!」
穂乃果「う、うん」サッ
にこ「もう……!」タッタッタッ
穂乃果「……」
絵里「どうしてカギを借りたの?」
穂乃果「いや……小道具とか置き忘れてるものないかなって……にこちゃん着替えてなかったけど、穂乃果が点検してるうちに来るかと思ってたから、それで……」
真姫「でも、にこちゃん部屋が空いてなかったって」
真姫「なにしてたの?」
穂乃果「えっと……その、点検しに行こうと思ったら窓からツバサさんの姿が見えて……その……」
真姫「――舞い上がって本来やるべきことを忘れた、と」
穂乃果「ごめん、なさい……」
ことり「だ、大丈夫だよ? まだ間に合うし、そんなに気にすることじゃないよ」
穂乃果「……」
希「まあ、一回くらい大丈夫大丈夫、失敗っていう失敗じゃないし」
穂乃果「気をつけます……」
穂乃果「じゃあ、にこちゃんが戻ってきたら、今日の確認をしようか」
◆――――◆
穂乃果「じゃあ最初の挨拶はどうしようか?」
穂乃果「ことりちゃんがいいと思うけど」
ことり「え、こ、ことり?」
ことり「ことりよりも海未ちゃんの方が……」
海未「そんなことないですよ」
真姫「こういっちゃなんだけど、ことりが一番向いてると思う」
にこ「はじめてのライブの時みたいに、自分の思ったこと言えばいいんじゃない?」
にこ「結構いいこと、言ってたでしょ?」
ことり「で、でも……ことりは……」
穂乃果「じゃあことりちゃんにお願いするねっ!」
ことり「……う、うん……」
希「……」
◆◆――――◆◆
ツバサ「大丈夫そう?」
穂乃果「はい」
穂乃果「あれ、他のふたりは?」
ツバサ「あっちで見てるわ」
穂乃果「あ、そうなんですか」
ツバサ「気を使わせちゃったかもしれないわね」
穂乃果「あー……別にいいのに」
ツバサ「まあ二人で見れるならそれに越したことはないけれど」
穂乃果「……//」
ツバサ「今回のセンターは誰なの?」
穂乃果「見てればわかりますよ」
穂乃果「人もたくさん集まりましたね!」
ツバサ「そうね」
穂乃果「そういえば人前でまともにライブするのはじめてなんです」
ツバサ「へえ……」
ツバサ(――なら色々わかりそうね……)
穂乃果「あ、出てきた!」
ことり「こんにちはーー!!!」
ことり(っ……ひ、ひと……多いな……大丈夫、緊張しないで……)
ツバサ「……」
ことり「え、えっと……みなさん、本日は来て下さってありがとうございます!!」
ことり「本日は――」
穂乃果「うんうん」
ツバサ「へぇ、あの子なかなか喋れるのね?」
穂乃果「最初は嫌そうでしたけど、良かった……」
ツバサ(でも、相当緊張してるみたいだけど)
穂乃果「やっぱりことりちゃんに任せて良かったです」
ことり「――それでは聞いてくださいっ」
~~~♪♪♪
ツバサ「……」
穂乃果「~♪」
ツバサ(小泉花陽……ステップの遅れ)
ツバサ(矢澤にこ……腕のあげる位置が絢瀬絵里との身長差のことを考えられてない)
ツバサ(……南ことり……ガチガチ、これは緊張だけとかそういうんじゃ……ううん……やっぱりあの子、センターには――向いてない)
ツバサ(伸び伸びやってる子もいるみたいだけれど……ガチガチな子達のせいで統率が取れなくなってるみたい)
ツバサ(まあ……場数不足ってことくらいかしら)
ツバサ(解消されるのもいくつかあるみたいだけれど……)
ツバサ「――穂乃果さん、どこ見てるの?」
穂乃果「えっ、あ……」
穂乃果(つ、ツバサさんに見惚れてた……)//
ツバサ「ちゃんとライブみなきゃダメなんじゃない?」
穂乃果「そ、そうですよね、えへへ」
◆――――◆
ツバサ(まあ、課題は相当あるけれど……その状態でここまで順位があげられるならかなりのポテンシャルを持ってるということよね)
ツバサ(でもこの先ポテンシャルだけじゃどうにもならないことばかり……このライブで穂乃果さんが第三者目線からちゃんと課題に気がつけて修正出来れば……)
ツバサ(教えてあげたいけれど、ライバルには変わりないものね)
穂乃果「ど、どうでしたか?」
ツバサ「……ここから先どうなるかは全部あなた次第ってことだけ、頭に入れておいて?」
穂乃果「え……?」
ツバサ「私から言えるのはそれだけ、一応敵同士なんだから」
穂乃果「そ、そうですよね!」
穂乃果「今日は見に来てくれてありがとうございます!」
ツバサ「こちらこそ、招待してくれてありがとう」
ツバサ「またアライズのライブに来てくれると嬉しいわ」
穂乃果「は、はいっ」
あんじゅ「ツバサー帰ろうー」
ツバサ「ええ」
ツバサ「じゃあね、また今度」
穂乃果「さようなら!」
穂乃果「やっぱりかわいかったなあ……」
穂乃果「さて、みんなで反省会しないと」
◆◆――――◆◆
ことり「き、緊張したぁ」
希「でも最後までやれたね」
ことり「うんっ」
海未「穂乃果、今日の反省点はどうしでしたか?」
穂乃果「え?」
穂乃果「えっとね……」
穂乃果(どうしよう……ツバサさんばかり見てて、あんまり見てない、んだよね……)
にこ「?」
穂乃果「えっと、すごく良かったよ!」
穂乃果「みんなちゃんと動けてたし、この調子で!!」
絵里「……」
絵里「そうかしら」
穂乃果「え」
真姫「私も、この調子ではまずいかなって」
絵里「私も含めてだけれど、みんな人前でのライブに慣れてなさすぎるなって感じたわ」
絵里「ことりも花陽もいつもとは全然違ったし」
ことり「ご、ごめんね……」
花陽「ごめんなさい」
絵里「ううん、みんな似たようなものだったわ」
にこ「まあ、みんなにこの可愛さにメロメロだったにこー」
絵里「そうね」
にこ「う……」
絵里「でもやっぱりにこは慣れてるのね? すごいと思うわ」
にこ「え、あ……ありがと」//
希「思ったんやけど……」
希「――穂乃果ちゃん、ウチらのことちゃんと見ててくれた?」
穂乃果「え……」ドキッ
凛「あんな至近距離にいて見てないわけないにゃー」
真姫「そうよ、どうしたの?」
穂乃果「う、うん。ちゃんと見てたよ」
希「そっか……うん、それならいいの」
絵里「とりあえずは成功でいいんじゃない?」
海未「そうですね」
絵里「次は……」
真姫「文化祭ね」
絵里「ええ、生徒が一番自由にパフォーマンス出来る場だからね。出来れば講堂を取りたいところだけれど」
希「使用人数はいつも満員やからね、クジ引きやね」
にこ「そしたら私が引――」
希「ウチが引くね!」
にこ「ちょっと!!!」
希「だってにこっち外しそうやん?」
にこ「なによそれ」
希「スピリチュアルガールのウチに任せて」
希「まあまだクジ引きかどうかも分かってないんだけどね?」
真姫「あと一ヶ月の間にもう一つくらい曲が欲しいわね」
穂乃果「まだ曲作れるの?」
真姫「私を誰だと思ってるの?」
穂乃果「はい……」
真姫「そうしたらことり、衣装は間に合う?」
ことり「どうかな、やってみてかな」
絵里「とりあえず、また新しい目標が出来たわね」
ことり「うんっ」
◆――――◆
数日後
穂乃果(ツバサさんに会いたいな……)
海未「穂乃果」
穂乃果(デート全然できてないし)
海未「穂乃果!!」
穂乃果「あ、なに?」
海未「聞いていましたか?」
穂乃果「う、うん大丈夫」
海未「最近の穂乃果はおかしいですよ?」
穂乃果「そうかな?」
ことり「あ、それツバサさんのストラップ!」
穂乃果「買ったんだー」エヘヘ
絵里「幸せそうね」
海未「で……今回の楽曲なのですが……」
穂乃果(そっか今は新しい曲の話だっけ……)
そういえばそうだった。危うく忘れちゃうところだったよ、でも……ツバサさんと会いたい気持ちの方が強くなってきちゃってる……。そういえば今日はツバサさんオフなんだよね……せっかくデートに誘われたのになぁ……。
◆
――µ’sの活動がなかったら、デートいけてたのにな。
◆
穂乃果(だ、だめだめ!)
海未「ということで……今回は……」
海未「――穂乃果、今回のテーマはなんでしたっけ?」
穂乃果「え……?」
ど、どうしよう、また聞いてなかった。えっと……。
穂乃果「し、しっとりした曲……とか?」
真姫「はぁ……」
ことり「穂乃果ちゃん……」
あ、あれ……違ったみたい。えっと……どうしようみんなの視線がなんだか怖い。
絵里「穂乃果大丈夫? ぼーっとすること最近多いけれど」
穂乃果「う、うん大丈夫!」
海未「で、今回はとにかくみんなでワイワイ盛り上がれて、前向きになれる曲を作ろうと思います」
真姫「ハイテンポで、同じフレーズを繰り返す、覚えやすいものがいいわね」
絵里「なるほど……」
真姫「ここらで……代表的な曲が欲しいの。µ’sのライブに行けばこの曲が聞ける、この曲でみんなで盛り上がれるってそう思えるような曲」
真姫「そう海未と打ち合わせしてたんだけれど、どうかしら」
にこ「いいと思うわ」
にこ「どんなアイドルにもライブでの鉄板曲があるしね? 確かに私達にはそういうのは無かったかなって」
真姫「それでいい?」
真姫「うん、なら、というかもう作り始めてるんだけれどね」
真姫「文化祭は十月だから、あと一ヶ月弱。あと二週間で曲を完成させるわ」
凛「うええそこから練習大変そうだにゃー」
ことり「練習時間は三週間くらい、か」
希「少ないねー」
絵里「そこはなんとかするしかないわね、衣装が厳しそうだけど……」
ことり「みんなが協力してくれれば、なんとか……」
にこ「なにかあったらいつでも言っていいのよ?」
穂乃果「……」
あれ、なんか変だな。
なんでこんなに疎外感を感じるんだろう、今までこんなことなかったのに。だってどこかで穂乃果は必要とされてて……でも今はみんな全部自分達でやってるし……。
穂乃果はもう別に必要ないのかな? もうµ’sは軌道に乗ってるみたいだし……。ここからどんどん上に行くよね?
おかしいよ、やっぱりおかしい。にこちゃんにµ’sから出て行けって言われたときはあんなにも悲しかったのに、あんなにも……みんなと一緒にいたかったのに。
――今はそんな気持ち、湧いてこない。
◆――――◆
後日
穂乃果「ツバサさんっ」
穂乃果「お疲れさま!」
ツバサ「穂乃果さん、ありがとう」
穂乃果「いえ」
ツバサ「明日本当に練習とかないの?」
穂乃果「え、あ……はいっもちろん!」
大丈夫だよね、一日くらい穂乃果がいなくたって。
穂乃果「だ、だって今日……すごく楽しみにしてたんですよ?」///
ツバサ「別に、ただのアパートよ?」
ツバサ「一人暮らしだから面白いものも無いし」
穂乃果「で、でも……ツバサさんの家に行けるなんて……」///
ツバサ「……そんなに嬉しいの?」
穂乃果「はい!」
ツバサ「そう……喜んでくれるなら、良かった」
ツバサ「行きましょうか」
穂乃果「はい」ギュッ
あんじゅ「うわー……あんなに幸せそうなツバサ初めてみた」
英玲奈「上手くいってるみたいだな」
あんじゅ「ラブラブだもんね」
◆――――◆
ツバサ「入って」
穂乃果「おー……」
ツバサ「普通でしょう?」
穂乃果「いや、一人暮らしにしては大きいですよ……」
ツバサ「そうかしら?」
穂乃果「普通学生の一人暮らしといえば六畳一間っていう相場がですね」
ツバサ「うーん、そうでもないんじゃない?」
やっぱりUTXに行く人達はみんなお金持ちなのかな? 学費もすっごく高いのにこんないいところに一人暮らしさせる余裕があるなんて。
ふんわり包み込まれるような上品な香りはなんともツバサさんらしいというか……。
ツバサ「お腹減った? 減ったなら何か作るけれど」
リビングに通されて、そのままイスに座る。
穂乃果「いいんですか?」
ツバサ「もちろん、普段作らないけれど……多少なら作れるわ」
穂乃果「じゃ、じゃあ、お願いします……」ペコリ
練習終わりで疲れてるだろうに、いいのかな? ツバサさんはエプロンを取り出して制服の上から袖を通し始めた。
何か手伝えることはないかって聞こうと思ったけれど、穂乃果は料理あんまりできないことを思い出して、言うのをやめた。和菓子のお手伝いならいつもしてるんだけどな……。
料理を作り始めたツバサさんがテレビをつけていいって言うから、形式だけでもテレビを見ているふりをしてみる。実際のところ、ほとんどはエプロン姿のツバサさんを見ているんだけどね……。
可愛いなぁ……こうやってると、なんだか夫婦みたい、だよね。
そんな妄想をしながら、しばらく時間が経ったあと、この部屋をいい匂いが包みこんでいるのに気がついた。なんだろう、この匂い。
ツバサ「はいどーぞ」
穂乃果「うわぁ……ハンバーグだ!」
ツバサ「好き?」
穂乃果「はい!」
ツバサ「良かった……」
エプロン姿じゃないツバサさんは、穂乃果の目の前に座ってコップにお茶を注いでくれた。
ツバサ「どうぞ?」
穂乃果「い、いただきますっ……」
ツバサ「あ、待って」
穂乃果「?」
ツバサ「――あーん」
穂乃果「え、え、あの、あの……/////」
ツバサ「……あれ、恋人はこういうことするんだと思っていたけれど……違うの?」
穂乃果「間違ってないけど」
ツバサ「あーん」
穂乃果「ぅ……あーん」パクッ
穂乃果「あ、おいしい……」
穂乃果「おいしいです!」
ツバサ「それは良かった」
ツバサさんて恥ずかしいことも平気でしてくるから油断もなにもあったものじゃないよ……。全然恥ずかしそうじゃないくせに、口ではすごく恥ずかしいとか言うんだもん。
穂乃果「ツバサさんに毎日作ってもらいたいなぁ……」
ツバサ「……それってプロポーズ?」
穂乃果「そ、そういうわけじゃないです!!」
ツバサ「くす、冗談よ」
ツバサ「でも、穂乃果さんのプロポーズなら……受けてもいいかもしれないわね」
穂乃果「え」
ツバサ「まあこの先も、今の気持ちなら……の話だけど」
穂乃果「……//」
ツバサ「あ、あの。さっきから赤くなりすぎじゃない?」
ツバサ「こっちまで恥ずかしくなるのよ?」//
穂乃果「それツバサさんのせいですーっ!!」
ツバサ「私のせいなの……?」
天然の王子様って言われる理由がわかった気がする。
◆――――◆
ツバサ「ふぅ……」
ツバサ「穂乃果さんもシャワー浴びてくれば?」フキフキ
穂乃果「はははははい」
なにこれ、なんでこんなに可愛いの? お風呂あがりでくしゃくしゃってなった髪の毛、ちょっとはだけたパジャマ……どれもいつもキマっているツバサさんのイメージとは程遠い。
でも一番プライベートな姿を見せてくれてるってこと、心を許してくれてるってことだよね?
あう……ダメあんな姿見てるとすぐそういうことばかり浮かんできちゃうっ!!
と、とりあえず心頭滅却だよ! 海未ちゃんが言ってたもん!
◆――――◆
ツバサ「あとは寝るだけねー」
ツバサ「疲れたわ……」
穂乃果「大丈夫ですか?」
穂乃果「明日のデート、やめますか?」
ツバサ「いや、穂乃果さんに悪いわ」
穂乃果「そんなことないですよ? しっかり休むことも大切ですよ」
穂乃果「お家デートっていうのもありますしっ」
ツバサ「……いいの?」
穂乃果「疲れてる彼女を……無理やり連れてなんて歩けませんから」
ツバサ「……//」プイッ
ツバサ「あなた……それで昔から女の子惚れさせてきたの?」
穂乃果「え?」
ツバサ「……なんでもないわ」
ツバサ「今日は早いけれど、もう寝ましょう?」
穂乃果「そうですね、じゃあ穂乃果はどこで……」
ツバサ「ベッドは一つしかないから」
穂乃果「え」
ツバサ「一緒に寝るしか、ないわね?」
穂乃果「いいんですか?」
ツバサ「こっちこそ、それでいい?」
穂乃果「はいっ」
◆――――◆
海未「真姫明日出来上がった曲、忘れないで下さいね」
真姫『全く、だれに言ってるのよ』
海未「そうですよね」
海未「まさか夏休み中に作り上げるとは思いませんでした」
真姫『当たり前でしょ』
海未「これならまるまる一ヶ月は練習期間がとれます」
真姫『海未が歌詞書き上げるの早かったおかげね』
海未「真姫の言葉を借りて、当たり前とだけ言っておきますね」
真姫『言うようになったわね』
海未「ふふ」
海未「明日みんなに聞かせることになるとは思うんですが……もう明日からダンスも考え始めないとですよね?」
真姫『そうね、そう考えると一ヶ月あっても足りないかもね』
真姫『明日は意地でもみんなに練習出てもらわなきゃ』
真姫『花陽がね、明日埼玉でなんかお米の祭りが行われるからどうか勘弁して下さいって言ってたわ』
海未「……なんですかそれ」
真姫『さあ? まあ明日引っ張ってくるけどね』
真姫『じゃあこのこと、みんなに伝えておくから』
海未「はい、おやすみなさい」
海未「んー……もうすぐ夏休みも終わりですか……」
海未「いい夏休みでしたね。これからもこんな日々が続くといいのですが」
◆――――◆
ツバサ「んっ……ん」ウトウト
穂乃果(かわいい……)
ツバサ「穂乃果さん……」ギュッ
穂乃果「……なあに?」
ツバサ「……好き」
穂乃果「穂乃果もツバサさんのこと、大好きです」
ツバサ「ふふ、嬉しい」
ツバサ「私ね、こんなに人を好きになったの……初めてなの」
ツバサ「"練習の時以外"はいつもいつも穂乃果さんのことばかり考えて、ニヤニヤしちゃったりして……」
ツバサ「ごめんなさい、結構気持ち悪いわよね……」
穂乃果「ううん、本当に嬉しいです。あのツバサさんがこんな男のこと、好きになってくれるなんて」
穂乃果「背も小さいし、極度に女々しいし、喧嘩とかだってしたことないから守ってあげることも多分出来ないのに……」
ツバサ「かっこいいから好きになるんじゃなくて……好きになっちゃったら、全部かっこよく見えちゃうのよ」
穂乃果「ツバサさん……」
ツバサ「……」スッ
カーテンから差し込む月明かりが、ツバサさんの顔を静かに照らした。たたでさえ白く透き通っている肌に、青白い光がさらにそれを強調させる。あれ、これって……。なんだか真姫ちゃんの別荘でみた景色に似てるな……。
――それが合図だとわかるように、ツバサさんは目を閉じた。さっきまではウトウトしながらも目を閉じることはなくて、この合図のためだけにそうしてたかっておもうと、胸の鼓動が一気に早くなる。
穂乃果「……」ゴクッ
穂乃果「んっ……」
キスは何度も経験がある。それでも……こんなに幸せなキスは、いつぶりだろう。
ツバサ「……」パチッ
ツバサ「ファーストキス、よ」
穂乃果「え」
ツバサ「穂乃果さんで良かった」ギュゥウ
穂乃果「こ、このまま眠ると辛くないですか?」
ツバサ「そんなことないわ」
穂乃果(いい匂い……)ムラムラ
どうしようこんな密着されちゃったら……。身体の感触も伝わるし、その……。でも、キスもしたし、お互いシャワーも浴びてるし、いいってこと、なのかな?
湧き出てくる欲望のまま、ツバサさんの腰辺りに手を動かす。
ツバサ「ちょ、ちょっと……あんまり変なところ触らないでよ?」
穂乃果「えへへ……」サワサワ
ツバサ「んっ……♡」ビクッ
ツバサ「ほ、穂乃果さ……」
満更でもないツバサさんの反応に、もう止まれなくなっていた。腰からお腹をさすって、胸に手を伸ばそうとした時、ツバサさんの手が穂乃果の手首を掴んでいた。
ツバサ「――ま、まだ私達……そういうのは早いと思うの」
その言葉とともに、一気に現実に引き戻されてしまう。
穂乃果「ご、ごめんなさい……」
ツバサ「……」
ツバサ「……穂乃果さんは……私とそういうこと、したいの?」
穂乃果「え、えっとぉ……//」モゾモゾ
穂乃果「ひゃっ♡」ビクッ
ツバサ「えっと……なんか硬いものが……//」ソワソワ
穂乃果「うぅ……ち、違うんです」ギンギン
ツバサ「……」
ツバサ「――穂乃果さんも男の人なのよね。仕方ないわ」
穂乃果「……気持ち悪いとか、思わないんですか?」
ツバサ「全然」
ツバサ「むしろ……私で興奮してくれたんだって……ちょっと嬉しいかも」
穂乃果「……」
ツバサ「こう?」サワサワ
穂乃果「んんんっ♡ツバサさ……どう、して……♡」
ツバサ「こんなにしてしまったのは……私のせい、なのよね?」
ツバサ「こ、こうしていればいいの?」///
穂乃果「は、はい……♡」
ツバサ「すごい……こんなに大きくなるのね……」
ツバサさんは困惑の表情を浮かべながら、穂乃果のことをじっと見てくる。ツバサさんに触られる度情けない声と人に見せるには恥ずかしい表情になっていることが自分でもわかる。いますぐ顔を隠したいんだけれど、ツバサさんにじっと見つめられてしまうと……視線を外すことすら出来ない。
ツバサさんにこんなことをさせてる、ツバサさんが穂乃果にこんなことをしてくれている。あのツバサさんが……穂乃果だけのために……そう思うだけで服の上からなのに、いつもの数倍も快感が伝わってくるんだ。
穂乃果「ふ、ぁぁ……♡」ガグガク
ツバサ「……これで気持ちいいの?」サワサワ
穂乃果「う……くっはぁ……♡きもち……いです……♡」
ツバサ「ビクビクってしてるけど……痛かったりするの?」
穂乃果「そのまま、お願いしますっ♡」
穂乃果「んぁぁ……♡」
ツバサ(気持ち良さそうな顔……//)
穂乃果「んっぁ♡ツバサさんっ、ツバサ、さんっぅ♡」
ツバサ「どうしたの?」
穂乃果「でちゃいます、から……手離して……♡後は自分で処理、しますから……♡」ビクビクビク
ツバサ「――これくらい、私に最後までさせて?」ニコッ
穂乃果「ぁぁ……♡だめぇ……♡」
穂乃果「――あぁぁっ♡」ビュッビュッ
穂乃果「んっ、はぁ、ぁん♡」ビュルルッルル
穂乃果「はぁ、はぁ……♡」
ツバサ「男の人は射精すると一番気持ちいいのよね? えっと……気持ちよかった?」
穂乃果「はい……♡」
ツバサ「良かった……」
ツバサ「ごめんなさい、こんなことしか出来なくて」
ツバサ「まだそういうことをするには心の準備が……」
穂乃果「ううん、穂乃果こそごめんなさい……」
ツバサ「着替える?」
穂乃果「……眠いです」
穂乃果「出しちゃうと……その、疲れて一気に眠くなっちゃって……」
ツバサ「ふふ、じゃあもう寝ましょうか」
穂乃果「はい……」
~~~♪♪
ツバサ「携帯、いいの?」
穂乃果「メールは後で見れば大丈夫です」
ツバサ「そう……」
穂乃果「ツバサさん……おやすみなさい」ギュゥ
ツバサ「ええ、おやすみなさい」ナデナデ
◆◆◆――――◆◆◆
チュンチュン
ツバサ「ん、ぅ……」
ツバサ「時間……携帯は……」
朝のまどろみの中、朝日によって制限される視界に私の携帯は映らない。どこだろう、まだすぅすぅと寝息をたてる穂乃果さんを起こさないように周囲を探る。
ツバサ「あった……」
携帯を掴んで、スイッチを押すと8時30という数字。うーん、いつもなら完全に練習に遅刻だけれど……今日は休みだし、まだ眠れるわね。
ツバサ「ん、メール来てる」ウトウト
西木野 真姫
明日はµ’sのこれからを決める大事なことを話すから、インフルエンザとかじゃない限り、なにがなんでもくるように。
8/28 22:43
ツバサ「ん?」
ツバサ「あれ……西木野真姫なんて友達にいたっけ……」ウトウト
ツバサ「にしきの……にしきの……西木野……?」
ツバサ「――µ’s……?」
ふわふわしていたものが眠気が覚めていくのと同時に一つ一つ合致していく。それはいくつかついている綺羅ツバサのストラップが手の甲に当たったことで確信に変わった。
ツバサ「これ……穂乃果さんの携帯……」
人の携帯見ちゃった……。しかもメールまで。
まあ意図的じゃないし、仕方ないわよね?
それにしてもこのメール……。送られたのはちょうど昨日私と穂乃果さんがイチャイチャしてた時ね。あの時のメールか。てこと……。
ツバサ「穂乃果さん、練習あるんじゃない……しかも重要なこと?」
こうやってのんきに寝ている穂乃果さんは……嘘をついている?
私といたいがために、µ’sの重要な話にも参加しない……ということ?
それは考えすぎ、か。残念ながら私にそんな価値があるとは思えないし、それに……穂乃果さんにとっての一番は私じゃなくて――µ’sであって欲しいから。恋人同士になったってライバルには変わりない。きっとこの人なりの理由があるんでしょうね。
ツバサ「……穂乃果さん」ギュッ
昨日の夜、いわゆる"そういうこと"にかなり近い行為をした、のよね。
ツバサ「……//」
流石に恥ずかしい、今までそういうことさ多少の知識でしか知らなかったから。ぶんぶんと頭を振って、穂乃果さんの薄い胸板に鼻を押し付ける。
朝ごはんも作ってあげようかななんて思ったんだけれど、やっぱりまだ眠い。もう少しくらい、寝てもいいわよね?
◆◆――――◆◆
真姫「……穂乃果はなんでこないの?」
ことり「さ、さぁ……」
ことり「あのね、海未ちゃんがきっと連れてくると思うの」
真姫「まあ少しくらい遅れてもいいけどね」
絵里「今日はどうしたの?」
真姫「ええ、ついに曲が完成したの」フフン
希「早くない?」
真姫「当然よ」
真姫「海未と話あってたんだけどね、それでも全然時間がないのよ……あと一ヶ月で振り付けも考えて衣装も作らないと」
凛「大変だにゃ……」
花陽「うう……お米……」
真姫「ほら花陽、切り替えよ」
絵里「どうしたの?」
花陽「うぅ」
真姫「なんかよくわからない米のお祭りがあるんですって、行こうとしてたから引っ張ってきたの」
にこ「……なかなか鬼なのね」
ガチャ
海未「……おはようございます」
絵里「あ、おはよう」
ことり「あれ、穂乃果ちゃんは?」
海未「それが……」
――――
にこ「電話、出ないわ」
花陽「なにしてるんだろう……」
ことり「本当にいなかったの?」
海未「はい、どこへ行ってるのかと雪穂に訪ねたら……」
海未「――彼女の家に行く、とだけ言ったようです」
真姫「綺羅ツバサ、のところ……ね」
ことり「穂乃果ちゃん……」
希「……」
絵里「一体どうしたのかしら」
にこ「……そんなの、彼女と遊びたかっただけなんじゃないの」
ことり「で、でも……穂乃果ちゃんに限ってそんなこと……」
絵里「……まあ今日は穂乃果抜きでやるしかないわね」
ことり「な、なら!! あとでことりが穂乃果ちゃんに色々教えておくね」
絵里「頼んだわ」
真姫「じゃあ、聞いてね。自信作なんだから――」
◆――――◆
ツバサ「電話出なくていいの?」
穂乃果「え? ああ、うん……」
ツバサ「ごめんね、せっかくデートしようって言ってたのに」
穂乃果「昨日もいいましたよ? 穂乃果はツバサさんと一緒にいるだけで楽しいんですっ」
ツバサ「そっか」
ツバサ「じゃあ今日は遠慮せず、穂乃果さんも休んでね?」
穂乃果「はいっ」
ツバサ「あ、それと……穂乃果さんの携帯のストラップ……」
穂乃果「あ……えへへ、いつでもツバサさんを見ていたいなって」
ツバサ「……私も穂乃果さんのストラップつけようかしら?」
穂乃果「え?」
ツバサ「穂乃果さんもスクールアイドルならグッズもあったかもしれないのにね?」
穂乃果「なに言ってるんですかー」
ツバサ「冗談よ」ウフフ
記念日とかいつだったっけ? えーと付き合い初めたのは……まあ穂乃果さんが覚えていてくれるわよね? そういうところは頼っちゃおう。
このまま私が卒業しても、一緒にいられるかしら?
ツバサ「――そういえば穂乃果さん、µ’sの方はどうなの?」
穂乃果「え……」
私がその言葉を発した瞬間、穂乃果さんの表情が一気に曇ったのが……とても気になった。
……。
穂乃果「……え、えっと……」
穂乃果「まあそのことはいいじゃないですか! ね?」
ツバサ「そうね……」
現在快晴、しかし……どこかに曇り空が、とても大きな曇り空がある気がした。
◆――――◆
穂乃果「ただいまー」
穂乃果「あれ、雪穂」
雪穂「おかえりなさい」
穂乃果「うん、ただいま」
雪穂「朝、海未ちゃんが来たよ?」
穂乃果「え」
穂乃果「……なんて言ってた?」
雪穂「特になにも言ってなかったよ? なんか残念そうにはしてたけど」
雪穂「彼女の家に行ってるって言っといたから」
穂乃果「あ、そ、そっか……」
雪穂「彼女さんとうまくやってる?」
穂乃果「うんっ」
雪穂「そっか……」ギリリ
穂乃果「じゃあ部屋戻るね」
タッタッタ
穂乃果「はぁ……」
部屋に入るなり、穂乃果はツバサさんの家できていたスウェットが入っているカバンを放り投げて、ベッドに飛び込んだ。
普段なら携帯をすぐ開くんだけど……今は開きたくない。
ツバサさんといる時はツバサさんのことだけ考えたくて、ほとんど電源を切って過ごしていた。きっと……この携帯の電源を入れた瞬間たくさんの不在着信やメールが溜まっているのかなって、だって雪穂が海未ちゃんに言ったってことはみんな知ってるよね。
そんなことを考えながら、まだ手に残るツバサさんのぬくもりを抱きしめる。……すごく小さかったな、もっと抱きしめたい壊れるくらい、壊れても穂乃果が絶対守ってみせるから。
ふと、携帯を触っていない時間、思いついてしまった。このまま携帯の電源を切っていたらツバサさんのメールだって見えなくなってしまう。それはツバサさんと繋がる手段がなくなってしまうってこと、そんなの無理……怖い。恐る恐る、携帯のスイッチを長押しすると、印象的な白い背景に黒い林檎のロゴが激しく主張する。
穂乃果「っ……」
穂乃果「ことりちゃん、から一件か……」
確か電源を切る前ににこちゃんからの電話も来ていたはずだ、合わせて二件か。良かった……あんまり意識されていないみたい。ことりちゃんからのメールを開くと、大丈夫? とか相談に乗るよなんて書かれていて、心が少しだけ暖かくなったあとやっぱりことりちゃんの優しさには助けられてたんだって実感する。
~~~♪♪
穂乃果「っ、もしもし……」
ことり『あ、穂乃果ちゃん……』
穂乃果「うん」
ことり「あ、あのね……」
穂乃果「……ごめんね、今日行かなくて」
ことり『ううん、そういう日もあると思うよ』
穂乃果「今日はなにしたの?」
ことり『今日はね、みんなで新曲を聞いたんだよ』
穂乃果「へえもう出来たんだ?」
ことり『海未ちゃんと真姫ちゃんが頑張ってくれたんだ』
穂乃果「さすがだね!」
ことり『衣装の方向性も決めたんだ、前よりちょっと露出高くなるかも……』
穂乃果「みんなスタイルいいから大丈夫だよー」
ことり『ことりはよくないよ』
穂乃果「いいってば」
ことり『あはは……』
ことり「……」
穂乃果「……」
ことり『こうやって二人きりで話すの、なんだか久しぶりだね?』
穂乃果「んーそうかな?」
ことり『っ……』
ことり『なにかあったら言ってね? なんでも聞いてあげるから……』
穂乃果「うん、ありがとう……」
ことり『――ことりはいつだって、あなたの味方だからねっ』
プツッ
穂乃果「……ことりちゃん」
穂乃果「ありがとう」
ことりちゃんは、何も聞かなかった。なにか相談があれば乗ると……いつもいつもそうだった。人のことを一番に考えて……全部受け止めて、くれる。
穂乃果はことりちゃんのこと、フったのにどうしてそこまでしてくれるんだろう……?
◆――――◆
後日
穂乃果「夏休み終わっちゃったー……」
凛「やだー!!」バタバタ
ことり「穂乃果ちゃん、宿題は終わったの?」
穂乃果「ん、海未ちゃんに手伝ってもらったよ」
海未「あなたは……いつまで私に頼るつもりなのですか……!!」
穂乃果「まあまあ」
結局、みんなは穂乃果ちゃんに休んだ理由を聞かなかった。ツバサさんと遊んでいたっていうのはほぼほぼ確定ではあるんだけど、本人がそれを言いたがらないことには踏み込むべきじゃないって、判断したのかもしれない。
……結局µ’sのみんなはいつも通りに戻ることが出来ました。
穂乃果「ねえねえー」
真姫「なによ」
穂乃果「どうしてこんな曲作れたの?」
真姫「さぁ……」
真姫「私も多少前向きになれたのかもね」
穂乃果「へぇ……」
真姫「って……なに言わせるのよ」
穂乃果「あは」
うん、いつも通り。そう、いつも通り。これはことりが大好きなµ’s。
きっとこのまま、ずっと――。
でも、流れ出した負の空気は……もう止められなかった。
◆◆◆――――◆◆◆
二週間後
にこ「――また穂乃果は来てないの?」
絵里「ええ」
真姫「なにしてるのよ、穂乃果は」
にこ「そりゃあ……彼女と遊んでるんじゃない?」
ことり「ち、違うよっ」
にこ「え?」
ことり「違うもん……今日は穂乃果ちゃん……お家の手伝いがあるって……」
海未「ことり……」
ことり「なんで、なんで海未ちゃんまで……そんな目でことりを見るの……?」
海未「……」
真姫「だって、この前、その前だって――」
度重なる欠席。元に戻ったんだってそう思ったのに、練習中の穂乃果ちゃんはいつもの穂乃果ちゃんとは全然違っていた。いつも考えことをしていて、話しかけても上の空。なにかµ’sのために考えてくれてるのかとも思ったけれど、それも違うみたい。
でも……穂乃果ちゃんは……今日はお家の手伝いって、言ったもん。
にこ「一回問い詰めた方がいいのかもしれないわね?」
凛「穂乃果ちゃんがいないと寂しいにゃー……」
絵里「そうね……」
絵里「でも――ううんなんでもない」
衣装も完成間近、ダンスの振り付けは完成、練習メニューも絵里ちゃんが作った、指揮も絵里ちゃんや海未ちゃんが変わりがわりに行っている。穂乃果ちゃんが全然来なくなったのに、それとは対照的に――µ’sの活動は順調なんだ。
それがことりには……耐えられない。
――まるで、穂乃果ちゃんがµ’sに必要ないって、言われているみたいで。
◆◆――――◆◆
ツバサ「今日も一緒にいられるの?」
穂乃果「はい」
ツバサ「嬉しい」
穂乃果「えへへ」
練習終わり、穂乃果さんに腕を組まれて身体を寄せられる。疲れた練習の後に穂乃果さんの顔を見れば疲れなんて吹き飛んじゃう。
ツバサ「ここでこうやってると――」
あんじゅ「あーラブラブカップルさん」
ツバサ「ほら」
穂乃果「あんじゅさん、こんばんは!」
あんじゅ「こんばんはー」
あんじゅ「相変わらずふたりとも仲良いわね」
穂乃果「まあ」
ツバサ「またからかいに来たの?」
あんじゅ「そんなんじゃないよ」
あんじゅ「高坂君、君さ、UTXの文化祭とか興味ない?」
穂乃果「え?」
ツバサ「あーそうね……近いもんね」
穂乃果「いつですか?」
あんじゅ「10月の2日よ」
穂乃果「なるほど……」
ツバサ「ラブライブの順位がちょうどその日の三時に確定されるの」
穂乃果「知ってます」
あんじゅ「だから私たちも一位を確定にするために最後のライブを文化祭でやるのよ」
穂乃果「またライブするんですか!?」
ツバサ「ええ」
ツバサ「それにしても……つくづくおかしいわよね、順位が確定した次の週にもうLove Liveのトーナメントが始まるとか」
あんじゅ「ねー、もし第二回があったら形式変わりそうだけどね」
あんじゅ「ということで、高坂くん、アライズのライブ見にこない?」
穂乃果「え……」
穂乃果「でも、その日は……」
穂乃果(音ノ木も文化祭で、µ’sのまんなが……)
穂乃果さん、なにか考えている? 普段なら即答するようなことなのに、一体……。
あんじゅ「――空き時間はツバサと二人で回れるかもよ?」ボソッ
ツバサ「な……////」
穂乃果「……」
穂乃果「でも……」
あんじゅ「なにかあるの?」
穂乃果「え、えっと……」
ツバサ「――私も……その、穂乃果さんが来てくれると、嬉しいわ」
穂乃果「あぅ……」プシュー
あんじゅ「あらあら」
穂乃果「――な、なら行きます!」
あんじゅ「そっか」
あんじゅ「ならツバサから招待券もらってね?」
穂乃果「え?」
ツバサ「UTXの文化祭はね、とても人気があるから入場規制がかけられて、入れるのは招待券をもらった人だけなの」
穂乃果「へぇ……色々あるんですね」
ツバサ「待ってて、今持ってくるから」
穂乃果「ありがとうございます!!」
ツバサ「あれ、あんじゅそれってどこにあるんだっけ?」
あんじゅ「もう……」
◆――――◆
雪穂「あー!!」
穂乃果「?」
雪穂「それ!!」
穂乃果「これ?」
雪穂「UTXの!!」
穂乃果「そうだけど」
雪穂「穂乃果、UTXに友達いるの?」
穂乃果「え、ああ……うん、彼女が」
雪穂「彼女さんUTXの人なんだ」
穂乃果「う、うん」
雪穂「いいなー私も行きたーい」
雪穂「あんたの彼女さんも見てみたいし」
穂乃果「あはは……」
雪穂「――あれ……」
穂乃果「?」
雪穂「この日って音ノ木の文化祭と同じ日なんだ」
穂乃果「っ……そ、そうみたいだね」
雪穂「µ’sの人たちと仲良いから音ノ木の文化祭行くかと思ってたけど……そっか、彼女さんがUTXならそっち行くよね」
穂乃果「そ、そうだよ!!」
雪穂「……なんか穂乃果、変じゃない?」
穂乃果「え? そう?」
穂乃果「もう部屋戻るね!」
雪穂「あ……」
タッタッタ
ガチャ
穂乃果「はぁ……はぁ」
穂乃果「そうだよ、ツバサさんは穂乃果の恋人だもん。一番優先することだもん……」
言い聞かせるように、ベッドに身体を転がす。ツバサさんと付き合う前は、こうやってベッドに寝転んで、µ’sの映像を見ていたっけ。
目を閉じればみんなが必死に練習をしていた風景が、みんなで誓い合った合宿の風景が浮かんでくる。
最近音ノ木に行ってないな……ほとんど練習見ることもなくなったしね……。でもどうなったかとかは知ってるんだよ、ことりちゃんが何かあったらすぐにメールをくれたり電話もくれるから。
それを聞く限り、順調みたいだし別に――穂乃果がいなくても、大丈夫そう。
でも……ツバサさんは穂乃果を必要としてくれてる。ツバサさんにも文化祭行くっていっちゃったけど……本当にそれでいいのかな。
またこんど。
◆――――◆
一週間後
花陽「24位……」
にこ「……」
絵里「にこが気絶してるわ」
ことり「にこちゃーん……?」
にこ「はっ」
にこ「にににににじゅうよん!?」
希「もう少しやね!」
真姫「確か集計は文化祭の日の15時。ライブは11時からだから……」
絵里「うまくいけば、20位圏内に転がり込めるかもしれないわね」
にこ「Love Live……ラブライブ……」
凛「にこちゃん泣きそうー!」
にこ「うるさいっ」
絵里「あと一週間でどうなるか……」
海未「本当にギリギリの闘いですね」
絵里「ええ」
希「ま、ウチが講堂の使用権勝ち取ったから追い風追い風ー!」
凛「ほんと、さすが希ちゃん! これにこちゃんが引いてたらきっと屋上でライブすることになってたにゃ」
にこ「あんたね、さっきから私に喧嘩売ってんの!?」
凛「怒ったー!!」
にこ「ちょっと――」
絵里「落ち着きなさい」
花陽「でも前も言った通り、ここから先はかなりの団子状態……」
真姫「でも底辺にいた私たちがこんな短期間でここまでこれたってことでしょ?」
真姫「それなら同ランクにいるグループに比べれば圧倒的に有利だわ」
絵里「注目度もかなり高くなってるでしょうし、やっぱり文化祭で決めれば……」
海未「あと3日は追い込みます。そのあとは確認をしながら、体調を整えて行きましょう」
絵里「そうね」
ことり「……」
希(ことりちゃん……)
もう、当たり前になりつつある。誰も穂乃果ちゃんの話題は出さない、それどころかみんな穂乃果ちゃんの話題を出すことを避けているみたい。やだよ、そんなの……やだ。穂乃果ちゃんが離れていくなんて……耐えられないよ。きゅぅっと唇を噛みしめる、この想いをみんなに伝えられたら……。
希「――ねえみんな」
絵里「?」
希「穂乃果ちゃんのこと、どうする?」
ことり「え……」
絵里「どうするって」
海未「私が直接家に行ってきます」
海未「私自身……やっぱり穂乃果がいないと、しっくり来ないんです。ずっと一緒にいたから、でしょうか」
ことり「こ、ことりもいく!!」
海未「え?」
ことり「ことりも……穂乃果ちゃんがいないと、やだもん……!」
にこ「こういうことは、幼馴染の二人に任せるのが良さそうね」
にこ「ま、いた方が色々雑用してくれるし」
凛「凛はにこちゃんと違って純粋にいて欲しいけどねー!」
凛「穂乃果ちゃんかわいそうだにゃ、にこちゃんにそういう風にしか見られてないなんて……」
にこ「そうは言ってないでしょ!?」
真姫「あの人がいると、曲聞いてもらうのに便利なのよね」
花陽「練習、また見てもらいたいな……」
絵里「あらら……結局みんな穂乃果が大好きなのね。ま、私も同じだけど」
絵里「任せても大丈夫?」
海未「はい」
ことり「うんっ」
ことり「今日の夜、穂乃果ちゃんの家行ってみよう?」
◆――――◆
ツバサ「穂乃果さん」
クレープを美味しそうに頬張る穂乃果さん、最近は毎日UTXの前で待っていてくれて、そのあと遊びに行くことが多くなっていた。
穂乃果「?」
ツバサ「……練習、終わるの早いのね?」
穂乃果「ああ……うん」
前に聞いた話では、µ’sの練習が終わる時間ではUTXの前まで来て、私を待っていることなんてできないはずなんだ。それでも穂乃果さんは毎日ここに来ている。
ツバサ「――練習、行ってないの?」
穂乃果「っ……」
穂乃果「――ダメなんですか?」
ツバサ「え?」
穂乃果「……毎日ツバサさんに会いたいの」
ツバサ「……」
ツバサ「そう……」
穂乃果「だから、ね? もっといっぱいデートしよ?」
ツバサ「本当にそれでいいの?」
穂乃果「……なんで」
穂乃果「ツバサさんは、穂乃果と一緒にいるのが嫌なんですか?」
ツバサ「……そういうことじゃないけれど」
穂乃果「じゃあ、なんで!」
ツバサ「……」
穂乃果「ごめんなさい……急におっきい声出して」
穂乃果「でも、本当に……ツバサさんのこと、好きだから」ギュッ
ツバサ「穂乃果さん」
穂乃果「今から家に来ませんか?」
ツバサ「え?」
穂乃果「ここからなら歩いて十分くらいですし、ちょっと休もう?」
ツバサ「ええ、分かった、穂乃果さんの家も久しぶりだしね」
穂乃果「やった!」
◆――――◆
ツバサ「っ……なに、これ」
穂乃果「――えへへ、ツバサさんのグッズたくさん集めたんですよ?」
ツバサ「嬉しい、けど」
穂乃果「こうしてればツバサさんがいつでもそばにいる気がして」
ツバサ「……」
ツバサ(こんなにグッズ買ってくれたの? 部屋が、前来た時とは大違い……)
ツバサ(なんだか……穂乃果さん、変わったような……)
ツバサ「……本当に久しぶりね」
穂乃果「そこ、座って下さい」
ツバサ「初めてここに来た時以来?」
穂乃果「そうですね」
ツバサ「UTXからかなり近いのに意外と来る機会無かったわね」
穂乃果「確かに」
ツバサ「いきなり部屋に上げられた時はびっくりしたのよ?」
穂乃果「あはは……あの時は」
穂乃果「お菓子持ってきますね?」
ツバサ「本当? 楽しみ」
ガチャ
雪穂「穂乃果――」
穂乃果「あ、雪穂」
ツバサ「えっと……」
雪穂「」
雪穂「な、な、なんでーーーー!?」
雪穂「ななななんで綺羅ツバサが!?」
ツバサ「あーえっと……」チラッ
穂乃果「妹です……」
ツバサ「なるほど。初めまして、穂乃果さんの彼女の綺羅ツバサです」
ツバサ「いつも穂乃果さんにお世話になってます」
雪穂「は?」
雪穂「か、彼女……?」
穂乃果「ほら、UTXにいるって言ったでしょ?」
雪穂「あ……ウソ」
ツバサ「色々あったんです」
雪穂「……」
雪穂(そっか、この人が彼女か……そりゃ勝てないよ……)
雪穂「えっと、ファンですっ!」
ツバサ「本当?」
雪穂「ささささサイン下さいっ」
ツバサ「ええ、いいですよ」ニコッ
雪穂「あああああありがとうございますっ」
ツバサ「あ、写真も撮る?」
雪穂「え、え……ほんとにそんなこといいんですか?」
ツバサ「もちろん、穂乃果さんの妹だもの」
雪穂「……穂乃果」
穂乃果「ん?」
雪穂「私、穂乃果の妹で良かった……」キラキラ
穂乃果「そ、そっか」
◆◆◆――◆◆◆――◆◆◆――◆◆◆
穂乃果「雪穂があんなにファンだったなんて」
ツバサ「このグッズの数を見る限りあなたも同じようなものじゃない?」
穂乃果「確かに……」チラッ
穂乃果(そろそろµ’sのみんな、練習終わった時間かな……学校はとっくに閉まってるけど、練習のために近くの公園で遅くまでやってるんだっけ)
ツバサ「そろそろ私は帰ろうかな」
穂乃果「近くまで送って行きますよ」
ツバサ「大丈夫よ?」
穂乃果「送らせて下さい」
ツバサ「そこまで言うなら、送ってもらおうかな」
ツバサさんにカバンを渡して、裏口に向かう。階段を下った辺りで、穂乃果だけ先に厨房へ行っていくつか饅頭を包む。ツバサさんに持って行ってもらおう!
ツバサ「本当にいいの?」
穂乃果「家で食べて下さい」
ツバサ「ありがとう……」
ツバサさんが微笑むだけで、身体の奥から力が湧いてくる。ツバサさんといるだけで、笑顔になれる。……もっと、ツバサさんと一緒にいたい。
玄関を出ると、夏らしくない涼しげな空気に包み込まれた。おかしいな、九月なんてまだ夏のはずなんだけど。
ツバサ「涼しいわね」
穂乃果「そうだねー」
ギュッ
穂乃果「もう手汗はかきませんから!」
ツバサ「くす……気にしなくてもいいのに」
穂乃果「えー?」
ことり「――穂乃果、ちゃん……」
海未「……」
海未(綺羅ツバサさんと、一緒ですか)
穂乃果「え……」
なんで、こんなところで? なんでこんなにタイミングが悪いの?
ツバサ(この二人は確か、µ’sの……)
ことりちゃんと海未ちゃん、海未ちゃんの家は穂乃果の家より手前にあるからこっちにくることはないし、ことりちゃんの家は離れたところにある。ということは、穂乃果に用があるってこと。
ことり「穂乃果ちゃん……あ、あのね……練習来てくれない?」
穂乃果「……っ」
海未「穂乃果、私からも……」
穂乃果「――いこ、ツバサさん」
ツバサ「え、でも……」
穂乃果「いいから、もう遅いし早く帰らないと」
グイッ
ツバサ「ちょ、ちょっと」
海未「待って下さい穂乃果!!!」ガシッ
穂乃果「……」
穂乃果「……ちょっと話そうか」
穂乃果「ツバサさん、ここで待っててくれますか?」
ツバサ「ええ……」
穂乃果「そこの角で」
海未「はい……」
ツバサ(……なんだか様子が変ね)
ツバサさんには悪いけれど、少しだけ待ってもらおう。海未ちゃんとことりちゃんを連れてすこしだけ離れた袋小路へ。
ことり「……」
海未「穂乃果」
穂乃果「なにか、用?」
海未「はい」
海未「練習、出てくれませんか?」
穂乃果「……」
ことり「穂乃果ちゃん……お願い……」
穂乃果「っ……でも」
ことりちゃんと、海未ちゃんの視線が痛い。
穂乃果「穂乃果は必要ないでしょ? もうみんなでやっていけてるし」
海未「そんなことありません」
海未「穂乃果がいないと、しっくりこないといいますか……」
海未「とにかく、穂乃果が必要です」
穂乃果「でも」
ことり「ツバサさん?」
穂乃果「……うん」
ことり「……」
ツバサ(……やっぱり、私のせいでµ’sに色々起こっているのね)コソコソ
ことり「µ’sよりツバサさんの方が大切なんだ」
海未「ことり……」
ことり「そうなんでしょ!?」
穂乃果「……」
穂乃果「――当たり前だよ」
ことり「っ……」
ツバサ(……)
ことり「あははそう、だよね……」
ことり「海未ちゃん、いこ?」
海未「でも」
ことり「いいからっ……!!」
ことり「――穂乃果ちゃん……練習は来なくても文化祭の日、見に来てね? 待ってるから」
ことりちゃんはそう言って、海未ちゃんを引っ張っていった。
穂乃果「っ……」
穂乃果「もう、戻れないなぁ……」
ツバサ「穂乃果さん……」
穂乃果「っ、居たんですか」
ツバサ「あなた、µ’sのことはどうでもいいの?」
穂乃果「盗み聴きなんてよくありませんよ……」
穂乃果「……ツバサさんのためなら、それ以外のことなんて……」
ツバサ「……」
ツバサ「私がどうこう言えることではないけれど、それは――間違ってる」
穂乃果「っ……どうして!?」
ツバサ「……自分で気がついて?」
ツバサ「重要なことは何かしっかり考えて欲しいの」
穂乃果「……」
ツバサ「今日は送らなくていいわ」
ツバサ「一人で帰るから」
穂乃果「あ……」
穂乃果「っ……なん、で」
◆◆――――◆◆
ことり「うぐ……ひっぐ、うぇえぇ……」
海未「……」
ことり「ぐす、ごめんね……泣いちゃって……」
海未「いえ」
海未「穂乃果……どうしてしまったんでしょうか」
ことり「……わかんない」
ことり「ぅ……」
海未「好きなだけ泣いて下さい……」
ことり「ううん、大丈夫……」
海未「ことり、あなたはまだ――穂乃果のこと……」
ことり「……」
ことり「でも、あの人には……勝てないから」
そう言って、ことりは笑いました。今まで見てきたなかで一番哀しくて一番痛々しい微笑みでした。
海未「……ことり」
◆◆――――◆◆
文化祭 当日
穂乃果「……」
家の前、このまま左へ行けばUTX。そこではツバサさんが待っていてくれるはずで、大きなライブもある。
家の前、このまま右へ行けば、音ノ木坂。そこではµ’sのみんながライブを行う日、µ’sにとって、ターニングポイントになる日。
穂乃果「……ごめん、みんな」
穂乃果はもう、本人に言ったんだ。ツバサさんのためなら、なんでも犠牲に出来る、例え今まで培ってきた関係だって。
UTX文化祭への入場券を持ったことを確認したあと、左へ大きく踏み出した。
◆◆――――◆◆
ことり「穂乃果ちゃんは……来てくれないか」
にこ「しょうがないわよ」
真姫「大丈夫?」
ことり「うん、切り替えてライブのことだけ考えるよ」
絵里「そう……心強いわ」
絵里「穂乃果本人が決めたこと、それを攻めることはできない。お世話になっていたことも、事実だから」
花陽「辞めちゃうの?」
絵里「さあ……」
絵里「でも」
希「戻ってきたら、歓迎してあげよーね!」
海未「もちろんです」
凛「よーしっ、ライブだ!!」
希「ことりちゃんがセンターなら無敵やね!」
ことり「そ、そんなこと……」
海未「では、最後の確認をしましょうか」
海未「No brand girls 私たちの勝負の曲です。絶対にライブを成功させましょう!」
凛「うんっ!」
◆――――◆
穂乃果「ツバサさんっ」
ツバサ「ぁ……穂乃果さん」
穂乃果「ツバサさん?」
ツバサ「……」ブルブル
穂乃果(ライブ前の……)
ツバサ「ごめんなさい……」
ツバサ「でも、一人でも大丈夫だから」
穂乃果「……」
穂乃果「少しくらい頼って下さい」
ツバサ「でも……」
穂乃果「ツバサさんのためならなんだってします、なんだってやってみせます」
ツバサ「……」
英玲奈「高坂」
穂乃果「英玲奈さん」
英玲奈「今日も来てくれていたのか」
穂乃果「はい!」
英玲奈「でも、いいのか? 今日は確か――µ’sが文化祭でライブを……」
ツバサ「え……?」
ツバサ「穂乃果さん、どういうこと……?」
穂乃果「っ……いいんです」
英玲奈「そうか……」
英玲奈「じゃあツバサは借りていくから」
穂乃果「が、がんばって下さいっ」
ツバサ(……今日は音ノ木で文化祭? しかも、ライブがあるのに……穂乃果さんはここへ来た……)
穂乃果さんは、また……。
ツバサ「あの、穂乃果さん。あとで話があるわ」
ツバサ(確かめなきゃ……場合によっては……)
穂乃果「?」
◆――――◆
ことり「やった……」
ことり「あ……」
ことり「えっと、今日は最後まで見てくれて、ありがとうございます!」
ことり「私たちはまだまだ頑張ります、応援よろしくお願いしますっ!!」
パチパチパチ
満員にはならなかったけれど、それでも8割以上が埋まった講堂。ファーストライブの時は、ほとんどいなかったそれに比べると、今この現状で泣いてしまいそう。
歓声と拍手に包まれながら舞台裏に戻っていく最中も、みんなテンションが上がっちゃって、笑い声が絶えなかった。
――結果として、文化祭ライブは大成功した。
きゃっきゃっと衣装を来たまま足早に部室に戻っていく。
希「大成功!」
凛「やったにゃー!!!」
にこ「あんなに人が来てくれるなんてね」
絵里「努力の成果ね」
花陽「ミスしなくてよかった……」
真姫「私たちは今できる最高のことをした。あとは」
海未「――結果を待つだけ、ですね」
ことり「……」
穂乃果ちゃんにも見せたかったな……。でも仕方ないよね、恋人の方が大切なのは。UTXの文化祭が今日あるんだよね、多分穂乃果ちゃんはそれに行ってる。楽しんでくれてるといいな。
だからことりたちには三時間後の、結果それが全てだ。きっとラブライブに出場出来さえすれば廃校はほぼ無くなると言ってもいいはず、お母さんがそういう全国でも有名なものがあれば入ってくる人は確実に増えるって言ってたから。
ことり(お願いっ……)
◆◆◆◆――――◆◆◆◆
穂乃果「すごいライブでしたよ!!」
ツバサ「ありがとう」
ツバサ「あー……本当によかった……」
ツバサ「……これで問題ないわね」
ツバサ「ちょっと待って、確認するから」
ツバサ(うん、これなら大丈夫……)
ツバサ(急上昇のところにµ’sがある、順位は……21。しかもついさっき新しい動画がアップされたばかりね)
穂乃果「なに見てるんですか?」
ツバサ「……µ’s、新しい曲を発表したみたいね」
穂乃果「へ、へえ」
ツバサ「ついさっき」
穂乃果「……」
ツバサ「今日、ライブだったのね。µ’sも」
穂乃果「……」
ツバサ「……あなた――」
穂乃果「――なにが言いたいんですか」
穂乃果「そんなに……そんなにそばにいて欲しくないんですか。そんなに穂乃果のことが嫌いですか、そんなに離れて欲しいんですか」
ツバサ「……そうは言ってない」
ツバサ「ただ……」
ツバサ「どうしてµ’sのライブすら見てあげないの? µ’sはあなたにとって一番大切なものでしょう?」
穂乃果「……違いますよ。一番大切なものはツバサさんです」
ツバサ「そう、それは本当に嬉しい、でもね――一番大切なもの以外をないがしろにしていいわけじゃないでしょう?」
ツバサ「どうして南さんと園田さんと会った時、避けようとしたの?」
穂乃果「それは……」
ツバサ「前に言ったこと考えてくれた?」
穂乃果「……ツバサさんが何を考えてるのか、穂乃果はわかりません」
穂乃果「ツバサさんのためならなんだってする、そばにいるためならなんだってしますから……"別にµ’sなんて……"」
ツバサ「っ……」
穂乃果「それじゃあダメですか?」
ツバサ「……」
ツバサ「あなた――変わったわね」
穂乃果「え……?」
ツバサ「前のあなたは……そんなんじゃなかった」
ツバサ「なにかに一生懸命で、勝てないって分かってる私たちにも対抗してきて、本気でがんばってた。きっと恋人が出来たってそれは変わらなくて、何かのためになにかを切り捨てる人だなんて……思わなかった」
ツバサ「私は……そんなあなたが好き"だった"」
穂乃果「な、なに言ってるんですか?」
ツバサ「あなたがそうなってしまったせいで苦しんでいる人もきっといる」
穂乃果「だから穂乃果はっ、ツバサさんさえ幸せなら!!!」
ツバサ「……あなたがそうなってしまったのも、私のせいよね」
穂乃果「意味がわかんないです!」
ツバサ「私と、付き合ってしまったから」
コソコソ
あんじゅ「あれ、なんかいつもと雰囲気違う?」
英玲奈「そうみたいだな」
一瞬の間。穂乃果さんは険しい表情を浮かべながら、なにかを察したみたいだ。涙目になって、首をブンブンとふる。なあんだ、もう分かってるのね。分かってるなら……どうしてもっと前に分かってくれなかったの?
穂乃果「……や、やだよ」
穂乃果「ツバサさん、ねえ――」
ツバサ「……ねえ、私たちもう――」
全てを終わらそうって、この言葉でそうしようとした時、私よりも少しだけ大きな身体が飛びついてきて……背後の壁に押し付けられるのと同時に、唇を奪われた。
突然のことで驚いたけれど、その時間は一瞬ですぐに冷静に判断処理が出来た。前までなら、近づいただけで顔が赤くなっておかしくなりそうだったのに。
勢いよく口と口がぶつかったせいで、口の中が切れてしまったらしい。……血の味がする。こんなに乱暴にされたのは初めてでだった。私の好きな穂乃果さんはいつも優しくて……。
穂乃果「はぁ、はぁ」
穂乃果「ね、ツバサさん。文化祭まわりましょう? オバケ屋敷とか、食べ物とか、色々――」
私だって、穂乃果さんのことは好き。でもこのまま付き合っていたら……。どんどん変わっていく穂乃果さんを見るのが怖くて、それに冷めていくかもしれない自分も怖くて。
だから……。
ツバサ「ごめんね」
ツバサ「――もう別れましょう」
◆――――◆
三時間後
ことり「う、そ……」
花陽「……18位」
実感なんて、湧くわけないよね。だって18位だよ? 全国で18位なんだよ? ということはラブライブに出られるってことで……。
みんなが続々とその目で順位を確認する。
ほんの少しの間のあと、悲鳴とも絶叫ともとれる嬉声が部室のなかを木霊した。
やった、やったんだ。
ほら、にこちゃんなんかもう泣いちゃいそうだよ。あれ、ことりも……。
絶対、絶対……ラブライブ勝ち進んで見せるから。ラブライブに出られたってことがわかれば、穂乃果ちゃんだって練習見てくれるかもしれない。
でも……ことりはまたセンターをする、のかな。
ことりに、出来るのかな。そんな大舞台で……。
嬉しいけれど、大きな不安が……生まれた瞬間でした。
◆――◆
今日のことは良く覚えていない。
アライズのライブを見て、ツバサさんと文化祭を回ろうって話になって……あれ、おかしいなツバサさんとはオバケ屋敷とか、色々回ったはずだよね? それなのに、どうして記憶がないの?
文化祭終わったら、また次も遊ぼうねって……。
どうしてメールを返してくれないの? どうして電話にも出てくれないの?
穂乃果「ツバサさん……」
穂乃果「うそでしょ? 別れるなんて、うそでしょ?」
どうしてどうしてどうしてどうして。だって、あんなに好きだったのに。なんで……? 穂乃果、なにかしたの? ツバサさんのことだけ考えて、それで……それなのに。
ツバサ『別れましょう?』
穂乃果「ぁ……ああ……」ガタガタ
まだまだ残暑が強くて、夜になっても布団にくるまるにはまだ早い。それなのに、布団にくるまっていてもガタガタと身体が震えだす。ツバサさんにそう言われたことを思い出して、ツバサさんに飛びかかって、泣きついて、それを見ていたあんじゅさんや英玲奈さんに止められたことも……。今日は文化祭で、ツバサさんと……ずっと一緒にいるはずだったのに。
穂乃果「はは……はは」
部屋が埋まるくらい熱心に集めたツバサさんのグッズ。ああ……なんだツバサさんはまだ笑ってくれてる、穂乃果を見て笑ってくれてる。
穂乃果「ふふ、またデート行こうね、ツバサさん」
◆――――◆
Love Live 前日
ツバサ「こんにちは」
ことり「え……」
ことり「え……?」
練習終わり、帰り道、人通りの少ないところ。
ナンバーワンスクールアイドルが目の前にいる。
ことり「なななな……ツバサさん!?」
ツバサ「……どちらかと言えばこんばんは?」
ことり「いや、どっちでも……」
ツバサ「南ことりさん、あなたに少しだけ聞きたいことがあるの」
ことり「?」
ツバサ「その前に少し世間話でも」
ツバサ「明日、本番ね」
ことり「っ……そうですね」
ツバサ「私とあなたたちは勝てば二回戦で当たることになるわ」
ことり「はい」
ツバサ「調子はどう?」
ことり「精一杯やるつもりです」
ツバサ「そう」ニコッ
ツバサ「なら、本題」
ツバサ「µ’sにとって、穂乃果さんはどういう存在?」
ことり「え?」
ことり「どうしてそんなこと聞くんですか?」
ツバサ「確かめておきたくて、私の行動が間違っていたかどうか」
ことり(どういうこと?)
ことり「えっと……えっと……油? 大黒柱?」
ツバサ「くす……どういうこと?」
ことり「えっと、油みたいにµ’sを動かすのに必要で、みんなを支える大黒柱っていうか……うーん、なんて言っていいのか」
ことり「とにかく――必要不可欠です」
ことり「……//」
ツバサ「そう……」
ツバサ「やっぱり間違ってなかったわ、ありがとう」
ツバサ「もしかしてあなた……」
ことり「?」
ツバサ「穂乃果さんのこと、好き?」ニコッ
ことり「え!?」
ことり「あ、あの……」
ツバサ「ふふっ冗談よ」
ツバサ「じゃあ、お互い頑張りましょうね!」
◆◆――――◆◆
ことり「……」
緊張するな……。
ことり「大丈夫かな……」
ついに明日なんだ。みんなが目標にして……辿りついた場所。他のグループを蹴落として、手に入れた切符。
そこでことりは納得の行く、自分の全力が出せるんだろうか。それなりに練習はしてきたつもり、でもやっぱり本番になると緊張でわけがわからなくなってしまう。
ことり「……」
プルルルル
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「……なに」
ことり「……声、ガラガラだね?」
穂乃果「うん」
ことり「あ、あの――今から行ってもいい?」
穂乃果「……ダメだよ」
ことり「……忙しい?」
穂乃果「そうじゃなくて、穂乃果は、ことりちゃんにあんなこと…」
ことり「忙しいわけじゃないんだね?」
穂乃果「うん」
ことり「……今から行くね」
プツッ
ことり「ちょっと強引だったかな」
◆――――◆
雪穂「ことりちゃん、どうしたのこんな時間に」
ことり「あ、うん。穂乃果ちゃんに会いに……」
雪穂「……今のあいつ、会わない方がいいかもよ?」
ことり「え?」
雪穂「ツバサさんと別れちゃったみたいでさ、ずっと部屋に篭って泣いてるの」
ことり「……」
ことり(別れ、た……?)
ことり「うん、ありがとう。でも大丈夫」
雪穂ちゃんと穂乃果ちゃんのお母さんにあいさつして、階段をのぼる。穂乃果ちゃんの部屋にくるのなんていつぶりだろう、確かこの奥。
ガララッ
ことり「おじゃましまーす……」
ことり「――……!?」
ことり「な、に……これ」
穂乃果ちゃんの部屋に踏み入れた瞬間、まず感じたのは……部屋を間違えた? てこと。そこはことりが知っている穂乃果ちゃんの部屋とは程遠い。ぐっちゃぐっちゃで、電気もつけていなくて、床や壁やいたるところに散乱している……綺羅ツバサさんのグッズ。
でもちゃんとことりが知っている本棚や、写真とか思い出のものもあって……確かに穂乃果ちゃんの部屋なんだってわかる。
ことり「穂乃果ちゃん?」
ベッドの中、布団が少しだけ盛り上がっていてそこから青白い光が見える。
恐る恐る近づいて、布団をとんとんと叩いてあげる。すると、もぞもぞ動き出したかと思ったら穂乃果ちゃんが顔を出した。
穂乃果「電気つけて……」
ガラガラで、とても細い声。いつもなら男の子じゃないみたいな高くて元気で明るい声なのに……こんなになるまで泣いたってこと?
言われるがままに紐を引くと、光に目が眩みそうになる。
ことり「……」
目に飛び込んで来た穂乃果ちゃんの顔は……一週間前会った時とは別人だった。
元から白い方だったけれど、さらに青白い顔をしてそのせいで目の隈をさらに目立たせてしまっている。
穂乃果「ごめんね、汚くて。ベッドの上は綺麗だから、ここ座って」
ことり「……うん」
穂乃果「……」
ことり「大丈夫?」
穂乃果「……」フルフル
ことり「そっか。ことりに力になれそうなこと、ある?」
穂乃果「……ううん、大丈夫」
ことり「っ……!」
ことり「――全然大丈夫じゃないよぉっ!!!」ギュッ
ことり「大丈夫なんかじゃ、ない……っ」
穂乃果「……なにするの」
ことり「ことりは、そんな穂乃果ちゃん、見たくないっ」
抱きしめてみても、反応は薄い。力なく、ことりの腕のなかでどこかを見つめている。本当なら、ことりは喜ぶべきなんだ。だって好きな人がフリーになったんだよ? これでまた遠慮なくアタック出来るんだよ? 告白だって出来ちゃうよ? でも……。
穂乃果ちゃんがこんなになってしまうなら、意味ないよ。それなら、ずっとツバサさんと付き合って幸せな顔を外から見ていた方がずっとマシ。
――それと同時にことりでは穂乃果ちゃんを笑わせることも出来ないんだって、悲しくなった。
穂乃果「ごめん……でも」
穂乃果「もう、どうしていいか……わかんない」
ことり「っ……」
穂乃果「今日はどうして来たの?」
ことり「あ、えっと……」
今日来た、本当の理由。それは穂乃果ちゃんの様子を見るのもあったけれど、ある相談に乗って貰いたかったからだった。でも、それは無理そう。こんな状態の穂乃果ちゃんに、ことりの弱いところなんて見せられない。
――大丈夫なのかな。このまま、ことりが、センターで……。
ことり「穂乃果ちゃんが心配だったのと、あと近況報告」
ことり「Love Live 出れることになったの」
穂乃果「知ってるよ」
ことり「……そっか」
ことり「見に来て、くれる?」
穂乃果「……そんな資格、ないから」
ことり「そんなの、関係ない」
穂乃果「無理だよ……」
ことり「そっ、か」
穂乃果「応援してるからね? がんばって」
今日初めて、穂乃果ちゃんが笑った。力なく、引きつるように。
普段とギャップがありすぎて、もうそれ以上、見に来て欲しいだなんて言えるわけなかった。
◆――――◆
当日
にこ「毎週土日、トーナメント方式、ネットでの視聴者投票や審査員の投票で勝敗が決まるわ」
にこ「今日の私たちの相手は、福岡県のスクールアイドル。順位は6位、私たちより格上よ」
真姫「そもそも私たちより下はほとんどいないでしょう?」
絵里「逆に、捨てるものがなくていいわね」
凛「さ、さっきステージ見てきたけど……すごいにゃー……」
花陽「緊張しちゃうね……」
希「でもこれに勝っても……」
絵里「……A-RISEだって同じ人間なのよ、勝てる可能性だってあるわ」
海未「そうですよ、とりあえず今は目の前の相手に集中です」
ことり「……」
希「ことりちゃん?」
ことり「だ、だいじょぶ」
にこ「緊張してんの?」
ことり「ちょ、ちょっとだけ……」
にこ「まだ私たちの出番まで二時間くらいあるから落ち着いて?」
ことり「う、うん……」
◆◆
UTX
あんじゅ「いよいよ明日ねー」
英玲奈「緊張は?」
あんじゅ「ぜーんぜん。元から緊張しないし」
あんじゅ「ツバサは?」
ツバサ「今回はあまり緊張しないわ」
ツバサ「どうしてかしら」
あんじゅ「いいことね」
あんじゅ「まあ初戦は勝つとして……二回戦は……」
あんじゅ「……あららµ’sと当たる可能性があるんだ」
英玲奈「へえ」
ツバサ「……」
あんじゅ「――µ’sは高坂くんが熱心に指導してたみたいだけど?」
ツバサ「……関係ないわ。私たちは私たちのことをするだけ、例えµ’sが上がってきても、力の差を見せるだけだから」
あんじゅ「おー……」
あんじゅ「――それにしても、どうして別れたの?」
ツバサ「それ、普通訊く?」
英玲奈「私達が見た時は既に修羅場だったからな」
ツバサ「別に……あのまま付き合ってたら、お互いのためにならなかったから」
あんじゅ「なんだかよくわからないわ」
ツバサ「そう?」
あんじゅ「てことはさ」
ツバサ「?」
あんじゅ「――まだ高坂君のこと、好きなんだ?」
ツバサ「……」
ツバサ「――ええ、好きよ。大好き。世界で一番好き。今日だって練習終わりに会いたくてたまらないもの」
ツバサ「でも……それも、今回のには関係ないから」
あんじゅ「……」
あんじゅ「――強すぎる女の子っていうのも、考えものね」
ツバサ(あの乱れようから察して……穂乃果さんにµ’sのみんなを支えられる余裕があるとは思えない……)
ツバサ(つまり……µ’sはガタガタ)
ツバサ「先に言っておくわ」
あんじゅ「?」
ツバサ「――今のµ’sじゃ、勝てないわよ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
にこ「……」
真姫「……」
にこ「な、なに真姫ちゃん緊張してるの!?」
真姫「う、うるさい」
にこ「……ま、まったく……」ブルブル
絵里「……流石に緊張するわね」
希「……」
希(みんなの緊張ほぐしてあげないと、なのに……ウチまで)
凛「ど、どうしよう。なんか怖いよ……」
花陽「私も……」
海未「みんな、とにかく自分を信じてください」
海未「――ことり、大丈夫ですか?」
ことり「う、うん……」
希「大丈夫? 顔色悪いよ?」
ことり「大丈夫」
ことりが、やらなきゃ。みんなは信じて、ことりにセンターのポジションを譲ってくれているんだ。失敗なんて許されない、こんな大勢の前で失敗は絶対に、絶対に許されない。
完璧なライブをするんだ、生きてきたなかで最高で完璧で100パーセントの……!!
海未「え、えっと……出て行く前にみんなで掛け声を……」
「……」
海未(みんな、緊張のしすぎでそれどころじゃない……?)
海未(どうしましょう、私まで――)
ウワアアアアアアアア
にこ「出番よ!」
にこちゃんの掛け声とともにことり達は駆け出した。今までずっと目指してきた場所、ことり達の全てがある場所。
やがて、たくさんの観客が見えてきた。文化祭のライブの時の数倍数十倍の人の視線が波のようにことり達に突き刺さる。眩しすぎる照明に視界が眩む、暑すぎる熱気に身体が揺れる。
ことり(こんなところで、ライブ、するの?)
リハーサルもなにもない、一発本番のみ。
そこで全てが決まってしまう。
練習してきたように、みんながスタート位置について、すっと瞼を落とす。瞼を開けば、後は音ノ木坂学院スクールアイドルとして――駆け抜けるだけ。
音楽が流れる。無名だった私達が、壁を壊して、闇を振り払って、ここまできた。それを伝えるんだ、観客のみんなに、画面から見ているみんなに。
そして、ここでは見ていないことりの――大好きな人にも!!
ことり「!!」
勢いよく飛び込んでくる光。最初は――。
「――ほら負けないよね?」
最初は真姫ちゃん、えっと次はことり。
あ、あれ……?
――次はどうするんだっけ、あれ、あれ?
光で視界が揺れる、お客さんの歓声でイヤモニの音がうまく聞こえない、くらくらする頭に身体が追いつかない、みんなの視線がセンターのことりに集まる。
やだ、やだよ、怖いよ、助けて、誰か助けて。
一瞬の間に思考はパンクして、目の前が白く塗りつぶされていく。
踏み出したと思った足は動いていなくて、横からメンバーの誰かにぶつかられて、綺麗なステージが眼前に迫っていた。あれおかしいな、ことりは観客のみんなを見ていたはずなのに、どうして床を見ているの? 打ち付けた肘がいたい、膝が痛い、そして周りから、困惑の声が聞こえた気がした。
――あれ……ことりは、今、なにをしているんだっけ?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ことり「えぐっ、ひっぐ、うぅ……あぅ……ごめ、みん、な……ぅぅうう」
海未「ことり……」
真姫「私も……よく、周りが見えてなかった……ごめん、ことり」
にこ「誰が悪いとか、そういうのじゃない」
にこ「だから、ことり……」
ことり「ことりのせいでっ、ことりのせいでっ……!!」
絵里「……」
花陽「ことりちゃん……」
ことり「――みんなの全部、無駄にしちゃった! ごめん、ごめんなさいぃ……」ボロボロ
凛「そんなこと、ないよ」
ことり「もうやだ……!! もう、スクールアイドルなんて、したくない……っ……!!!」
ことり「うあああぁぁぁぁ!!!」
希「……」
思えば、会場についた辺りからことりちゃんはおかしかったような気がする。ううん、もっと前かもしれない。ラブライブの第一回戦――µ’sは惨敗に終わった。完膚なきまでに、負けてしまった。
ことりちゃんも普段ならミスなんてしないのに、緊張によって全部わからなくなったしまったらしい。
センターに一番負担がかかるなんて分かっていることなのに、ウチらはそれを支えてあげることが出来なかった。みんな緊張して、ライブ前に必ずやる掛け声すらやらず、いつものことが全く出来なくなっていたんだ。
――穂乃果ちゃん、あなたがいてくれれば……こうはなってなかったかもしれないんよ……?
誰もことりちゃんにかける言葉を見つけられなくて、外の空気とは対照的に、控え室ではことりちゃんの痛々しい嗚咽が静かに響いていた。
◆◆――――◆◆
あんじゅ「あららー……」
英玲奈「なかなか酷かったな……」
ツバサ「……そうね」
あんじゅ「少なくともここまで来たグループのパフォーマンスじゃあないわね」
ツバサ「……やっぱりあの子、センター向きじゃないと思うわ」
英玲奈「私もそう思う」
ツバサ「いつか潰れるとは思ってたけど……こんな大舞台で潰れちゃったら、もう続けたがらないでしょうね」
あんじゅ「すっごい可愛いんだけどねぇ……声も可愛いし。まあ、適性が」
ツバサ「期待してたんだけど」
あんじゅ「ねー」
英玲奈「きっと大舞台慣れしていないから、緊張もあったんだろう」
ツバサ「そうでしょうね、µ’sが普通に力を発揮していたら、このカードµ’sが勝っていたでしょうから」
あんじゅ「え? でも」
ことり『必要不可欠ですっ』
ツバサ(穂乃果さんが、ずっとµ’sのマネージャーをしていればこうはなっていなかったかもしれない)
ツバサ(間接的とはいえ、私は芽が出てきたスクールアイドルにダメージを与えたことになっちゃうのね……)
ツバサ「……明日は我が身よ。さ、練習をしましょう」
◆◆◆ 綺羅 ツバサ ルート ◆◆◆
終わりです。長かったですが、見てくれた方はありがとうございます。多分これ以上ストーリー系のルートはないかもしれません。あとは過去話とか基本エロとかばかりです。
また次の安価をしばらくしたら取りに来ます。
乙
これって先に◇いくつかやっておけば説明通りbad回避とかあったのかしら
>>896
関係ありません。
説明のやつはそのルートが終わった時、次の安価で追加される選択肢の傾向です。
例えば
穂乃果ルート【◇◇クリアにより、新しい選択肢が追加されるようです◇◇】
だと◇◇傾向の選択肢が追加されます。
その選択肢はクリアしたルートの続きだったり、そのキャラクターに関係した全く新しい選択肢だったりします。数自体は少ないですけどね…。
穂乃果はどうするべきなんだろう?
1 ◇西木野真姫◇
綺麗な声……二人で曲も作ったね? ちょっと素直じゃないけれど、分かりやすいし面白い! 穂乃果は……真姫ちゃんが、好きなのかな?
2 ◇星空凛◇
凛ちゃんと付き合ってた時……楽しかったな。穂乃果がもっとちゃんと向き合ってあげてれば……。穂乃果が凛ちゃんのこと、襲わなければ……。
3 ◇小泉花陽◇
花陽ちゃんとも二人きりでたくさん練習したよね……?なんだか自信がない子だけど、守ってあげたくなっちゃうんだよね……。
4 ◇園田海未◇
初恋の相手は海未ちゃん、だったなぁ。ことりちゃんもたけど、穂乃果のことを一番よく分かってくれてるね?
【◆◆◆クリアにより、穂乃果に新たな人物との関係が築かれるかも?◆◆◆】
5 ◇◇南ことり◇◇
ことりちゃんにはすっごくお世話になって一緒に過ごしてきたよね。誰より何よりも親身になってくれて……穂乃果は、やっぱり、ことりちゃんのこと――。
【◆◆◆クリアにより、ことりに関する選択肢が新たに解放されるようです◆◆◆】
6 ◇絢瀬絵里◇
絵里ちゃんは初めての彼女……。あの日穂乃果が止めていれば絵里ちゃんを悲しませることなんてなかったのに。……もう悲しませたくない!
7 ◇矢澤にこ◇
何事にも一生懸命で、真っ直ぐな人。穂乃果のせいで傷つけちゃったよね。今更この人を守ってあげたいなんて……先輩に失礼かな?
8 ◇東條希◇
初めて会ったのは神社だったよね。とても優しくて……なんでも受け止めてくれるかな。穂乃果が暴走したせいで襲っちゃって……その償いもしたい。
9 ◇◇◇綺羅 ツバサ Love Live◇◇◇
ツバサさんにフられてから、もうなにをしていいかわかんないよ。これから、どうすればいいの? ……穂乃果は一体、どうすればっ……!!!
10 ◆◆◆◆◆◆◆
そうだ、みんな穂乃果の彼女にしちゃおう。それならみんなとたくさんえっち出来るもんね……?ふふ……。
◆◆◆◆◆◆◆
>>906から>>910の間で一番多かったルートに進みます。選択して下さい。決まらない場合は>>911のルートにします。
真姫ちゃん
1
まきちゃん
結果の通り、真姫ちゃんで行きます。
個人的に一番好きなキャラクターが真姫ちゃんなので……少し頑張れるかも。長くはならなそう。
あと……このルートは完全に>>1の趣味を押し付けてしまう可能性が高いので、真姫推しの方は注意して下さい。書いてきます。
おもらし……
おまえら、手のひら返しし過ぎだろ・・・
あと今回はどれくらいの比率になりそうですか?
あと始めるときは次スレたててそこから始めた方がいいと思います
ツバサルート書いてる時に途中飽きて、書いてたものです、ことえりです。このスレの宣伝も兼ねてあっちで書いてみました。読んでくれると非常に嬉しいです…。
ことり「今は秋でも春色デイズ」
>>935
まだ50以上残ってますけど、どうなんでしょうか…?
一応書き終わりましたけど…レス100くらいかなと思うので新しいスレ建てる。建てたらURL貼ります。
このスレHTMLは出してきますが、ルート等でなにか質問あれば答えます。
安価出す時は基本的にはあげるつもりだったんですが、前回はsagaとsageを間違えていただけです。
鬱ルートってみんなツバサルートみたいな感じで穂乃果やそれ以外の子も苦しい思いするってことなのかな?
それとも明らかに倫理的にアレなことになってるけど当人たちは幸せそうとかそういう系とかもあるの?
>>945
ツバサルートは少し特殊に書いたつもりです。正規ルート的なイメージで書きます。
他のルートではこんなに時系列は進まないと思いますし、他のキャラクターもほとんど出ません。スクールアイドルの活動とか大会のこともサラサラ流す程度に書くつもりです。
人を[ピーーー]とかはないですが、穂乃果君をクズに書きすぎてしまうとそういうこともあるかもしれません。
ことりと海未の場合白クリア後に黒とかなってるけどそのあとにまた白が解放されたりするの?
それともIFみたいな感じで鬱ルート描いて終わるのかな
好きなキャラと嫌いなキャラいるのはわかるがキャラ間であまり差をつけないで欲しい
>>947
海未は続き、ことりはIF。希か凛は都合上BAD寄りhappy一つに変更になるかもしれません………
続きと言ってもちゃんとそのルートで完結させるようにして、続きはみなくても大丈夫なようにはするつもりです。。ツバサルートも一応はそうしたつもりです……
>>948
嫌いなキャラクターはいませんが、先に安価とってもらった方がいいかもしれない。後の方のメンバーは本当に書くことがなくなりそうです。今の時点ですら何を書くか思い浮かばないメンバーが何人かいますので。
>>946
ツバサがじゃなくて鬱ルート自体が全体的に正規ってことか
怖いなー
>>950
ごめんなさい、ツバサが、です。
特別ツバサが好きというわけではありませんが、なんか正規っぽく書けるなと
穂乃果「ふふ……君も穂乃果の彼女になりたいの?」ことり「その2、だよ!」
穂乃果「ふふ……君も穂乃果の彼女になりたいの?」ことり「その2、だよ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424195589/)
建てました。次からはこちらへあげます。
HTMLされるまでは何かあればこのスレに聞いて下さい……
海未ちゃんは続きなのか、てっきり雪穂解禁かと思ってた
新スレ待ってる
新スレ早いな
今度は結構早めに書けたのか
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