年末

神様

「年末の神様」
12月23日——————————。

縁結びの神(以下、神)「はあ……」

稲荷神「あら、縁結びの神様、どうしたんですか？」

神「俺を呼ぶときは『縁』でいいって前に言わなかったか？まあいい」

神「聞いてくれよ稲荷神、1月の終わりに私の神社が取り壊されてしまう事が決まったんだ」

稲荷神「まあ、それは」

神「失ってしまった信仰はなかなか元には戻らない、それに神は神社がなければ一気に信仰は求心力を失う」

神「信仰が無くなった神は消えるほかない」

神「近頃は離婚率も増えて結婚一度もしない独身が多いからなぁ、縁切りの神社の方が人気だって聞くし」

神「俺はもう消えてしまう運命なのかもしれない、と思ってな」

稲荷神「神を総括する神様へ連絡してはどうでしょうか？」

神「連絡したとも、だが『それは自分で解決しろ』とのことだ」

稲荷神「なかなか手厳しいですね」

神「アイツはもう諦めてるよ」

神「『そういう時代なんだ』そういう理由で何人も神を見捨てていくのを見てきた」

神「上からの援助は頼めそうもないよ」

稲荷神「じゃああなたも……」

神「ああ、こういう時って人間はジリ貧とか南無三とか人間は言うんだろうな」

稲荷神「諦めてはだめですよ！」ｶﾞﾊﾞｯ

神「な、なんだ急に」

稲荷神「縁結びの神なら神の力を使って縁を結んで実力を示せばいいのでしょう！」

神「そういってもなぁ。時期が遅いんだ。仮に地域住民に嘆願書募ろうにも、今の信仰力じゃあな」

神「今の若者は三次より二次、エッチよりひとりエッチだよ」

稲荷神「なら、その一人エッチに対応するニーズを強化すればいかがでしょうか？」ﾋﾟｰﾝ

神「どういう事だ？」

稲荷神「思い付きですみませんが、『二次元キャラの縁結び神社』というものはどうでしょう」

神「……おお！確かにいい案だな！でも具体性が」

稲荷神「あなたにもまだ僅かかもしれませんが神としての力が残っていると思います」

稲荷神「その力で信者の方、とりわけ二次元キャラが好きな方が縁結びを祈った時に祈りの内容を聞きます。これは神なら当たり前にできるでしょう」

稲荷神「後に幻想を見せ、実力を見せつけるというものはどうでしょうか？」

神「成程……でもちょっとせこい気もするが」

稲荷神「この際四の五の言ってる余裕はないのでは？」

神「……うーん、そういわれればなぁ……」