まゆ「Pさん思う、故にまゆあり」 (26)
書き溜めなし
地の分あり
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まゆ「Pさん、今日の午後は空いてますか?」
P「すまない、午後はみくと春菜の撮影に顔を出さないといけないんだ。」
まゆ「そうですか・・・・・・・」
まゆ「なら、夕方からならどうですか?」
P「少し遅くなるかも知れないがいいか?」
まゆ「はい、なら準備をして待っていますね。」
P「・・・準備?」
まゆ「今から。素敵なところに予約を入れて可愛い服に着替えてきますね。」
P「あまり高いところは勘弁してくれよ。」
まゆ「ふふふ・・・その時はまゆが払いますよ。」
P「それは勘弁してくれよ。」
P「それはそうとまゆ、ライブの準備はどうなってるんだ?」
まゆ「大丈夫ですよ、Pさんの期待に応えて見せますから。」
P「他の子の面倒を見なきゃいけないからあまり見てやれなくてごめんな。」
まゆ「うふ・・・もう1年以上アイドルやってる先輩なんですよ。」
P「そうだな・・・」
P「まゆなら、最高のステージを見せてくれると信じてるぞ。」
まゆ「期待・・・しててくださいね」
まゆ「それよりも時間、大丈夫ですか?」
P「ああ!もうこんな時間か。」
P「すまない、跡で連絡するから。」
まゆ「お仕事、頑張ってきてくださいね。」
P「それじゃあ、いってくる。」
まゆ「事故には気をつけてくださいね。」
バタンッ
色が変わった気がした。
まゆ「誰も、いませんね。」
事務員の千尋さんも今は所用で出かけているし事務所の皆も仕事が詰まっている。
最近はPさんの活躍で仕事も前よりもグンと増えて忙しい限りだ。
Pさんと会える時間が減るのは惜しいけど、仕事をしているPさんの顔を見れるのは嬉しい。
まゆ「暇、ですね。」
今日は午後からずっとオフでPさんと時間をすごそうと思っていた。
準備もすぐに終わってしまうし
まゆ「Pさんの机・・・・・・」
机の上には資料とパソコンそれと飲みかけのコーヒー。
少し前までPさんが座っていた椅子は少し暖かくて、座るとPさんを感じた。
マグカップにはPさんが口をつけた痕が残っている。
まゆ「苦い・・・・・・・」
キスは蜜の味なんて誰が言ったのだろう。
机の上の資料にはPさんの頑張りが伝わってくる。
でも、センチメンタルは足音に踏まれて消えていった。
茜「おっはよ¥うございまーーっす!!」
まゆ「うふ・・・おはようございます茜さん、今日も元気ですね。」
茜「何はなくとも元気はありますからね!!」
まゆ「元気はいいですねぇ。」
茜「元気があればなんでも出来ますからね!!」
茜「ところでまゆちゃんはPさんの机で何してるんですかっ!!」
まゆ「散らかっていたから整理してたんです。」
茜「そうですか!!なら、私もお手伝いします!!」
まゆ「嬉しいですけどもう殆ど片付け終わっちゃったの。」
茜「ああっ!ならお茶持ってきますね!!」ダッ
まゆ「ありがとうございます。」
茜「仕事終わった後のお茶は最高ですね!!」
まゆ「取りに行ってから1秒くらいしか・・・・」
茜「頑張れば何とかなります!!」
茜「まゆちゃんもどうですか!!」
まゆ「・・・遠慮しておきますね。」
まゆ「・・・・・・」
まゆ「茜さんは何で自分が生きているのか考えたことはありますか?」
茜「生きている理由ですか!!」
茜「わかりません!!」
まゆ「そうですか。」
茜「でも、頑張ればわかる気がします!!」
茜「努力は必ず報われます!!!」
まゆ「そうですよね。」
まゆ「元気が一番ですね。」
茜「そうです!!元気が一番です!!」
茜「なんだか熱くなってきました!!走ってきます!!」ダッ
バタンッ!!
まゆ「行ってしまいました。」
茜さんの元気な姿は見ていて元気が出てきます。
まゆも元気があればPさんをもっと幸せにできるのかな。
まゆは本当にPさんを幸せに出来ているのだろうか。
Pさんの望むことなら何だってやってみせる、けどもそれは幸せなのかな。
まゆの生きる意味、それはPさんを幸せにすること。
なのに幸せがわかってない。
杏「ああぁーだるい。」
まゆ「・・・いつからそこに。」
杏「茜が走ってどっかいったあたりかな。」
杏「仮眠室で寝てたけどうるさくて起きちゃったよ。」
まゆ「それは、ごめんなさいね。」
杏「いいよ、それよりもまゆは生きる意味考えてるの?」
まゆ「ええ・・・そうですよ。」
杏「悪いことは言わないからやめときなよそんなこと。」
杏「生きる意味なんて考えるだけ無駄だよ。」
まゆ「・・・なんでですかぁ?」
杏「まゆの場合Pから意味を見出そうとしてるみたいだし。」
まゆ「それのどこがいけないんですかぁ?」
杏「いけなくはないよ、でもねつまんないよ。」
杏「自分が好きなだけ満足してゴロゴロする。」
杏「自分って幸せだな、それだけでいいじゃん。」
まゆ「ゴロゴロしてることが幸せなんですか。」
杏「当たり前でしょ、ニートなんだから。」
まゆ「・・・そうですね。」
まゆ「なんとなく気が晴れました。」
杏「それは、よかった。」
杏「私は久しぶりに働いたし寝るぞ。」
まゆ「ふふ・・・お姉さんな杏さんも可愛かったですよ。」
杏「年上をからかうんじゃないよ。」
その後すぐに眠りについた杏さんをきらりさんが台風のごとく連れ去っていきました。
お店の予約を終えてから改めて見る机はなんだか優しい感じがしました。
Pさんが仕事をしている机、少し嫉妬してしまいました。
でもその嫉妬はまゆの心を暖かくしてくれました。
コンッコン
文香「・・・おはようございます。」
まゆ「おはようございます、文香さん。」
文香「Pさんは・・・いらっしゃいませんか。」
まゆ「Pさんなら他の子に付いてますよ。」
文香「・・・そうですか。」
まゆ「Pさんに何か御用ですか?」
文香「用・・・というほどではないのですがスケジュールの調整を。」
まゆ「Pさんならたぶんもう少しで帰ると思いますよ。」
文香「・・・なら、待ちますね。」
そういって文香さんはソファの上で本を読み始めました。
彫刻みたいにきれいで少し見蕩れてしまいました。
まゆ「何の本をよんでるんですか?」
文香「涼宮ハルヒの分裂です。」
まゆ「へ、へぇそれはまた。」
文香「ふふ、意外ですか?」
まゆ「ええ、まぁ文香さんはもう少し純文学のほうがすきなのかと。」
文香「・・・ライトノベルにはライトノベルの面白さがあります。」
文香「一概にジャンルを決めて・・・読むということはしませんね。」
まゆ「ライトノベルにはライトノベルの面白さですか。」
文香「・・・はい、本にはそれぞれ個性があって・・・それもまた。」
まゆ「まゆはそこまで本を読まないのでまだわかりませんね。」
文香「・・・いつかまゆさんにもわかる日が来るといいですね。」
まゆ「・・・・・・・」
まゆ「あの・・・文香さん。」
文香「・・・なんでしょう?」
まゆ「文香さんの幸せって何ですか?」
文香「・・・幸せ、ですか。」
まゆ「まゆには幸せというものがよくわかりません。」
文香「・・・そうですか。」
まゆ「Pさんがそこにいるから幸せ、Pさんの幸せはまゆの幸せ。」
まゆ「そう心では呟くんですがどうしても。」
文香「・・・少なくとも私は本を読んでいるときは幸せです。」
文香「・・・物語に浸って・・・悠然と時を流す。」
文香「・・・そんなときに幸せを・・・感じます。」
まゆ「でも、まゆは一人で何をしていても幸せにはなれません。」
まゆ「まるでいないんじゃないか、Pさんの思いすら幻なんじゃないか。」
まゆ「そう思う時が、あるんです。」
文香「・・・それは・・・幸せですね。」
まゆ「えっ?」
文香「・・・まゆさんはPさんといるとき・・・幸せですか?」
まゆ「それはもちろん・・・でも。」
文香「・・・幸せを感じられる・・・そんな瞬間がある。」
文香「・・・幸せを追い求める・・・そんな瞬間がある。」
文香「それこそが幸せではないのでしょうか。」
まゆ「とてもいい言葉ですね。」
文香「・・・本の受け売り・・・ですけども。」
文香「・・・まゆさんの・・・役に立てたなら嬉しいです。」
まゆ「文香さんありがとうございました。少しすっきりしました。」
文香「・・・それは・・・よかったです。」
文香「・・・それにこんな言葉もあります。」
文香「・・・我思う、故に我あり。」
まゆ「聞いたことはあります、たしかデカルトの言葉でしたか。」
まゆ「授業でやったんですが、意味まではわかりませんでした。」
文香「・・・そうですか。」
文香「・・・これは第三者が訳したので本人はこの様な表現はしていません。」
文香「・・・簡単に説明すると自分の存在を疑う。」
文香「・・・自分が自分を疑う限りは自分は存在する・・・ということです。」
まゆ「自分を疑う自分ですか・・・」
文香「・・・はい、ですからまゆさんが自分を疑う限りそこに・・・まゆさんは存在します。」
文香「・・・周りのモノが全て嘘に見えても自分は存在しているの・・・です。」
文香「・・・なんだか少ししゃべりすぎて・・・しまいましたか。」
まゆ「い、いえそんなことは。」
まゆ「まゆもとっても参考になりました。ありがとうございます。」
文香「・・・少しでもまゆさんのお役に立てたのであれば光栄です。」
まゆ「・・・お茶淹れてきますね。」
文香「・・・お願いします。」
その後、文香さんに面白い恋愛小説を教えてもらい。
紅茶の湯気が消えたころにPさんは帰ってきました。
文香「・・・それでは・・・また。」
P「お疲れ様、最近寒くなってるから気をつけろよ。」
文香「・・・まゆさん・・・頑張ってね。」ボソッ
まゆ「はい・・・頑張ります。」ボソッ
P「二人ともいつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
まゆ「女の子の秘密ですよ。」
文香さんが帰った後Pさん簡単に書類を纏めていました。
P「少し椅子が暖かいな・・・」
まゆ「Pさんのために暖めておきました。」
P「ありがとう、でも人のためだけじゃなく自分もな。」
P「それじゃ、行きますか。」
まゆ「はい」
P「そういやまゆ、着替えなくて良いのか。」
まゆ「・・・この格好はダメですか?」
P「すごく似合ってるよ、これ以上ないくらいに。」
まゆ「少しお世辞くさいけど・・・いいですこのままで行きます。」
P「そうか・・・」
まゆ「それよりも早く行きましょう。」
まゆ「まゆとってもお腹が空いているんです。」
P「今日のまゆはいつもより元気だな。」
まゆ「元気が一番ですから。」
P「それも・・・そうだな。」
車に乗り込むとPさんの匂いが強くなって。
少しだけシートベルトが邪魔になりました。
まゆ「Pさんは・・・今、幸せですか?」
P「・・・幸せだぞ。」
P「事務所の皆も仕事も毎日忙しいけど楽しいし遣り甲斐がある。」
まゆ「まゆも、今幸せです。」
口下手だけどちゃんとまゆのとこを思ってくれて。
無愛想だけどちゃんとまゆのことを見ていてくれて。
優しくてまゆの一番安心できる場所。
まだ幸せについても生きている理由も何もわからないけど。
P「どうしたまゆ?眠いのか?」
まゆ「少し肩を貸してください。」
世界には色が段々と満ちてきて。
少なくとも今は、幸せだと思う。
完
眠気覚ましにコーヒーを飲みながらまゆのパンツでコーヒーを淹れるなら何がいいか
考えていたときにふと、デカルトが頭に浮かび書きました。
パンツは汗などが染み込んでいるのでイルガチェフェあたりで淹れるのがいいのかなと思いましたが、
まゆの汗のしょっぱさがうまく創造できずさらにその日のコンディションもあるのでなかなか決められないのです。
誰かコーヒーに詳しい方がいればどうかご教授ください。
最後に、見てくださった方ありがとうございました。
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