海未「手錠をつけているで、離れることができませんからね」
穂乃果「アハハハハ、そうだねー」
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「いやー……あれだね、海未ちゃん」
穂乃果「改めて実感したんだけどさ、手錠つながった状態で」
穂乃果「海未ちゃんと一緒に外を歩くのって…………恥ずかしいね」
海未「当たり前ですよ……」
海未「全国の女子高生が、手錠つけて家に帰る二人組なんて」
海未「今の私達ぐらいしかいませんって……」
穂乃果「じゃあ、手錠をつけながら家に帰る女子校生って、私達が世界で初めてかもね」
海未「そうだったとしても嬉しくありません……」
穂乃果「そうだね、私も今すぐ外したいな……」
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女1「あれ? μ'sの穂乃果と海未じゃね?」
女2「あ、ほんとだー。あれれー? なんか手錠つけている。」
女1「マジ!? あ、ほんとだ!」
女1「うけるー超うけるー」
女2「なんで手錠しているのかな? キマシ? イチャイチャ?」
女3「きっとお互い離れたくないから手錠しているだよ。なんかかわいいなぁ……」
女1「穂乃果ならともかく、海未がそんなことするなんて、なんかマジうけるー」
ほのうみ「「…………」」
女2「あ、照れてる照れてる」
女3「末永くお幸せにー」
海未「なんですかあの人達は!」
海未「けっこう距離あるのに、こそこそ話の声量じゃない会話って意味あるのですか!」
海未「私に聞かれたくない話なら、聞こえないように話してください!」
穂乃果「う、海未ちゃん落ち着いて!」
海未「そもそもの話、好きで穂乃果と手錠かけているわけではないのですからね!」
遡ること数時間前の放課後。
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ちょっといい?」
穂乃果「なになに?」
海未「はい、なんでしょうか」
ことり「えっと……穂乃果ちゃんは左手を出して、海未ちゃんは右手ね」
穂乃果「こう?」
海未「いったい何をするのですか?」
ことり「それはあとで教えるね。あ、海未ちゃんもう少し手を伸ばして」
海未「こ、こうですか?」
ことり「そうそう。それで穂乃果ちゃんは海未ちゃんの右腕とくっつけさせて」
穂乃果「うん、わかった」
ことり「ありがとう穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
ガチャ
ほのうみ「「え?」」
ことり「これで穂乃果ちゃんと海未ちゃんはずっと一緒だね」
穂乃果「ええっ!?」
海未「ことり! これはいったいどういうことですか!」
ことり「どうって……」
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんに手錠をかけたんだよ」パシャ
海未「何故、私と穂乃果に手錠をかける必要があるのですか!? 外してください!」
海未「あと、さり気なく撮らないでください!」
ことり「本当にいいの、海未ちゃん?」
海未「なんでことりは、実は私が手錠を外すことに躊躇っているような訊ね方をするんですか」
穂乃果「海未ちゃん、私のこと嫌いだから離れたいんだね」
海未「いえ、けしてそういうわけでは……って、なにのっているんですか!」
穂乃果「いやぁー……たまには海未ちゃんと手錠で繋がれていてもいいんじゃないかな」
穂乃果「こう、さ……相容れない二人の逃走劇が今始まる! みたいなことが起きそうで新鮮だよね!」
海未「私達はなにから逃げようとしているんですか……」
ことり「残酷な運命とか?」
海未「壮大すぎます」
穂乃果「テスト!」
海未「それは逃げないで勉強しなさい」
穂乃果「それにしてもこの手錠、ちょっと変わっているね」
ことり「あ、そこに気がついたね」
海未「警察が使うような手錠じゃないですね。ピンク色で、派手で、輪っかの部分がハート型なんて初めて見ました」
穂乃果「ことりちゃん、こんな可愛い手錠いつ買ったの?」
ことり「実はそれ私のじゃないんだ」
海未「ことりの物ではないのですか?」
ことり「それはクラスメイトの天海さんから借りたの」
穂乃果「あのおっちょこちょいで、よく転ぶ人だよね」
海未「それ穂乃果が言うのですか」
注意:某アイドルの天海さんとは関係ありません。
海未「人の借りた物を私と穂乃果につけたのですか……」
ことり「ごめんね……穂乃果ちゃんと海未ちゃんに似合うと思ったから……つい」
海未「手錠が似合うって、喜んでいいのでしょうか?」
穂乃果「すごーい、左手振ると海未ちゃんの右腕もブンブン振ってくれる」ブンブン
海未「手錠で繋がっているから当たり前です! 無意味に腕を振り回さないでください!」
穂乃果「そうだ! 今日はずっとこのままでいようよ!」
海未「どんなノリでそうなるのですか!」
穂乃果「なんか海未ちゃんと手錠で繋がっているの楽しいし、いいじゃん」
海未「ただ手をブンブン腕を振っただけで楽しいと結論づけないでください!」
ことり「またまた~、海未ちゃんも楽しいくせに~」
海未「楽しくありません! 煽ってないで手錠外してください!」
穂乃果「えーそんな~」
海未「なんで穂乃果が残念そうにするんですか」
ことり「本当は海未ちゃんだって」
海未「残念がっていません!」
海未「真面目な話」
海未「このあと、屋上で最終予選のダンス練習があるんですよ」
穂乃果「うん、そうだね」
海未「このままだと練習の支障になるだけです」
穂乃果「そんなのわかっているよ~。海未ちゃん心配しすぎだって」
海未「わかってもらわないと困るのですが……」
海未「そういうことで、ことり」
ことり「うん。目的の写真は撮ったことだし、今外すね」ガサガサ
海未「それは消してください」
ことり「えっと…………」ガサガサ
ことり「…………」ガサガサ
ことり「あ、あれ…………?」ガサガサ
穂乃果「ことりちゃん?」
海未「こ、ことり?」
ことり「ちょ、ちょっと待っててね……」
穂乃果「こ、ことりちゃんが、切符を失くしたかもしれないサラリーマンのようなことをしてる!」
海未「その例えはともかく、ま、まさかそんなことは…………」
ことり「あ、あれ、おかしいなぁ……あれ……?」
ことり「…………」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん……海未ちゃん……」
ことり「ごめんなさい……」
ほのうみ「「」」
海未「嫌な予感はしていましたが……本当に失くしてしまったのですか?」
ことり「ごめんなさい……」シュン
穂乃果「だ、大丈夫だよ。誰にだって物を失くすことだってあるんだしさ」
穂乃果「私達も一緒に探すから元気出して、ね?」
ことり「…………」
穂乃果「ことりちゃん?」
海未「ことり?」
ことり「……あのね」
ことり「どこで手錠の鍵を失くしたか、それを思い出してみたんだけど……」
ことり「そもそも鍵…………貰ってないんだよね」
ほのうみ「「…………」」
ほのうみ「「え?」」
穂乃果「う、海未ちゃん! この手錠、鍵穴ないよ!」
海未「そ、そんなはずありません!」
海未「鍵穴がない手錠なんて聞いたことありません! どこかに必ずあるはずです!」
海未「あ、これなんてどうですか? 無数に穴が開いています。これで間違いないでしょう!」
穂乃果「違うよ、海未ちゃん! それチェーンの輪っかだよ!」
海未「ですが、やっぱり手錠に鍵穴がないっておかしいじゃないですか!」
海未「これでは手錠の意味がありません!」
穂乃果「あ、もしかしたら鍵じゃなくてさ、カードで開くようになっているんじゃないかな?」
穂乃果「家にカードで開け閉めするのテレビで見たことあるから、手錠もきっと……」
海未「なるほど、カードが鍵になるような手錠があってもおかしくはありませんね」
穂乃果「そうだよ。そういうわけで、ことりちゃん」
ことり「ごめんね、カードも貰ってないの」
ほのうみ「「ですよねー」」
部室
にこ「話は聞かせてもらったわ」
にこ「まったく、思い返せばなにかしらトラブルを起こすよね」
穂乃果「いやぁー……面目ない」
にこ「まぁいいわ。アイドルたるもの、ハプニングやトラブルは常に背中合わせよ」
にこ「それを如何に早く対処できることが重要よ」
絵里「そうね。ラブライブの最終予選まで、あまり日がないし」
絵里「早くその手錠を開くか壊さないと二人共踊りにくいわよね?」
海未「そうですね、部室に行く前に穂乃果と軽く踊ってみたんですが……」
穂乃果「左腕を上げたら海未ちゃんの右腕も上がっちゃうから、振り付けが合わなくなるんだよね」
絵里「そうなるよね……」
希「せやけど、みんなが一人だけ左手を上げているのに、海未ちゃんだけ両手上げているって」
希「なんかおもろいやん」
海未「面白くありません!」
絵里「そ、そうよ、失礼よ」クスッ
海未「絵里も想像して笑わないでください!」
にこ「ぶはははははっ!」
海未「そ、そんなに笑えることですか!?」
希「ま、冗談は早めに切り替えるとしてやな」
希「部室に来たってことは手詰まったわけやろ?」
海未「はい。私と穂乃果とことりでいろいろと試してみたのですが」
海未「どれも駄目でした」
真姫「なんとなく想像つくけど、どんな方法で試したの?」
穂乃果「最初にやったのは、力ずくで手錠を外す」
花陽「力ずく!?」
にこ「なんで握力だけで手錠を外そうと思ったのよ!」
穂乃果「もしかしたらいけるんじゃないかと思って」
花陽「ど、どうしてそう思ったんだろう……」
真姫「握力で金属を壊せるなんて、あり得ないでしょ」
凛「でも、穂乃果ちゃんなら握力で壊せそうな気がするにゃ」
穂乃果「え、なんで?」
凛「なんかこう…………強そう」
穂乃果「強そう?」
海未「何が強そうなんですか?」
凛「凛もよくわかんないにゃ」
花陽「わかっちゃいけないような……」
真姫「そっとしておきましょう。あんまり触れてはいけないことだと思うわ」
凛「海未ちゃん怒ると恐いからもしかしたらと思って……」
海未「もしかしなくても、そんな人間離れした存在能力なんて持っていませんから」
海未「そのイメージを改めてください」
希「海未ちゃんのイメージ?」
絵里「穂乃果」
にこ「穂乃果でしょ」
ことり「穂乃果ちゃんだよね」
海未「なんでみんな揃いも揃って、私のイメージが穂乃果だけなんですか!」
絵里「いや、だって……」
希「活動日誌にはほとんど穂乃果ちゃんのことしか書いてないやん」
ことり「別名ほのキチダイアリーだね」
海未「大げさです! 穂乃果のことしか書いているわけないじゃないですか!」
穂乃果「そうだよね、キチってつくんだから穂乃果の悪口書いてないよね?」
海未「当然です。そもそも穂乃果の悪口なんかありませんから書けませんよ」
真姫(うわ、素で自覚していないみたいね)
絵里(自覚してもしなくても、穂乃果のことが好きなのは変わりないのよね)
絵里(あと、キチって悪口のことを言っているわけじゃないのよ、穂乃果)
凛「海未ちゃんはどうだったにゃ?」
海未「私も一応やってみましたが無理でした」
凛「それはきっと力を放出していないから外れなかったんだよ」
海未「ど、どういう意味ですか?」
凛「海未ちゃんが怒り状態の時だったら、手錠なんて粉々に壊せそうな恐いイメージあるから、力を放出すれば……きっと」
希「穂乃果ちゃんと繋いでいる手錠が外れて、一見落着になるってことになるんやな」
海未「なるほどそう言うわけですか。では今から怒って力を放出って、できるわけありません!」
穂乃果「おおぉ、う、海未ちゃんがノリツッコミ。でもなるほど、その手が……」
海未「……穂乃果?」
穂乃果「じょ、冗談だから怒らないでね。ふ、粉砕しないでね」ブルブル
海未「できるわけありませんから、そんなに怯えないでください」
にこ「海未。あんたが否定したがるのもわからなくはないわ」
にこ「でもね、海未を円グラフで表すなら90パーは確実に穂乃果で埋まっているようなものだわ」
海未「それではまるで、私は穂乃果がいないと生きていけないみたいじゃないですか!」
穂乃果「海未ちゃん! 私がいないと海未ちゃん死んじゃうの!?」
穂乃果「だったらずっと一緒にいるよ! 私も海未ちゃんのこと大好きだし」
海未「ななななななな、なに言ってやがるのですか!!?」
海未「ババババカバカバカなこと言わないでやがるのです!」
真姫「やがるのですって……」
絵里「動揺し過ぎて言葉使いがおかしくなったわね」
ことり「穂乃果ちゃんとキス、キス、キス」
海未「ことりはなんのコールしているんですか!?」
ことり「キスコール」
海未「しなくていいです!」
真姫「それで手錠を外す他の方法はなかったの?」
穂乃果「握力で外せなかったから最終手段に念じてみたんだ」
にこ「最終手段早っ」
花陽「しかも最終手段念じなんだね……」
穂乃果「開け、ゴマ!って言っても開かなかったんだよね~」
真姫「それ念じたの?」
凛「凛もよく使った呪文だにゃー」
海未「私は山と言いましたが反応ありませんでした」
花陽「山?」
希「多分やけど、山と問われたら川と答える合言葉で開こうとしたんやないかな?」
にこ「手錠が川って答えるか!」
ことり「お前もことりのおやつにしてやろうか!」
絵里「こ、ことり?」
穂乃果「あ、それことりちゃんの念じ」
にこ「最早念じじゃないわよ、それ!」
真姫「ていうか、誰一人念じていないじゃない」
にこ「まったく、しょうがなわねー」
にこ「このにこにーにこちゃんが直々に」
凛「そんじゃあ、にこちゃん。穂乃果ちゃんと海未ちゃんの手錠を外すにゃー」
にこ「なんであんたが私に命令するのよ!」
にこ「でもいいわ……それじゃあ、とりあえずペンチで手錠の鎖を切るから」
にこ「二人共鎖をピンと伸ばして」
海未「わかりました」
にこ「それじゃあ、いっくわよー!」
にこ「ふぐっ」
にこ「ふぐぐぐ」
にこ「ぐぬぬぬぬっ!」
海未「にこ、今とてもアイドルとは思えない酷い顔ですが、頑張ってください!」
穂乃果「そうだよ、にこちゃん。アイドル以前に、とても人に見せられる顔になっちゃっているけど、ファイトだよ!」
にこ「あ、あんた達、応援するんだったら、気が利く言葉をかけなさいよ、ね……っ!!」
ちょっとスーパーで買い物しに行って来ますので、ちょっと抜けます
絵里「あの顔はとても妹達には見せられないわね……」
希「そうやな……」
絵里「希?」
希「なんや、えりち」
絵里「なんで急にタロット占いやりだしたの?」
希「んー……なんて言えばいいやろうな……」
希「嫌なスピリチャルを感じたんよ」
絵里「嫌なスピリチャル?」
希「例えを出すと……」
希「μ'sインパクト計画の時、一度アイドルを捨ててデスメダルに迷走したことあるやろ」
絵里「あ、あぁ……ハロウィンイベントの時ね」
希「あの時、嫌なスピリチャルを感じてやな。試しにウチからカードに告げてみたんよ」
希「そしたらな、愚者の逆位置が出たんよ」
タロットカード:愚者:逆位置
意味:愚かな考え。無謀・愚考。愚行などなど。
絵里「嫌な予感していたなら止めなさいよ!」
希「ごめんな、えりち。うちにとっても、えりちやみんなにとっても面白かったから黙ってたんよ」
絵里「そのおかげで理事長から呼び出されたんだけど……」
希「面白いやん」
絵里「面白くないわよ!」
希「数ヶ月前までのスクールアイドルを認められないわーのえりちがって思うと、面白いわけないやろ」
絵里「やめて、その過去を掘り起こさないで!」
絵里「ただでさえクラスメイトや教師やら、散々言われているんだから……」グスン
希「エリチカ、おうちに」
絵里「帰らない!」
希「そういうわけやから、今回もウチからカードに告げているところなんよ」
絵里「それ言うために、私の過去を掘り起こす必要はあった?」
希「細かいことは気にしな~い、気にしない」
希「気にするのは穂乃果ちゃんと海未ちゃんと、にこっちやな」
絵里「穂乃果や海未ならともかく、なんでにこまで入るの?」
希「ウチの嫌なスピリチャルとカードの結果が同じであれば……」
希「出た」
絵里「結果は?」
穂乃果「ぎゃあああああああああああっ!!」
海未「ひゃあああああああああ!!?」
にこ「ごああああああああああああああっ!!」
絵里「!?」
花陽「ええっ!?」
ことり「穂乃果ちゃん!? 海未ちゃん!?」
真姫「ヴェッ!?」
希「間に合わなかった……」
絵里「塔の正位置……」
希「事故、不幸、災難、危機やな……」
絵里「それより今の何!?」
絵里「何が起きたの!?」
希「う~ん……ウチの見間違いじゃなければ……」
希「にこっちが穂乃果ちゃんと海未ちゃんの手錠の鎖をペンチで壊そうとしている時」
希「いきなり電流が三人にくらって痺れてしまったってことやろうな」
真姫「イ、イミワカンナイッ!」
絵里「ほ、穂乃果! 海未! 大丈夫!?」
穂乃果「な、なん、とか……だ、だい、じょう……ぶ」
海未「し、痺れまし、たが……も、問題、ないと思います……」
ことり「穂乃果ちゃん! 海未ちゃん!」
ことり「ごめんなさい……私のせいで……」
絵里「ことり……」
ことり「私が私利私欲でほのうみ写真を撮るために始めたことが、体を張るようなことになっちゃって……」
ことり「丁度、海未ちゃんの上に穂乃果ちゃんが乗っかっている図も撮らせてもらうね」カシャ
絵里「やめなさい」
絵里「にこも大丈夫?」
にこ「…………」
凛「返事がない!?」
真姫「ちょっと、にこちゃん!」
にこ「…………」
真姫「う、嘘でしょ……」
花陽「そ、そんな……だ、誰か……ダレカタスケテー!」
凛「にこちゃん……そんな本当に……」
にこ「…………」
凛「凛、にこちゃんのこと、にこちゃんと過ごした日々のこと」
凛「ちょっと寒いにっこにっこにーのこと」
凛「いろいろあったけど、凛はけして、にこちゃんのことを忘れたりはしない」
凛「だから、安らかに眠ってね……ににょちゃん」
にこ「勝手に[ピーーー]んじゃないわよ!」
にこ「ていうか、肝心なところで噛むってどういうことよ!」ガシッ
にこ「それとやっぱり、にっこにっこにーがちょっと寒いって思っていたのねぇ?」
凛「ほっへひゃいたいにゃ……!」
希「ツッコミで立ち直ったな、にこっち」
ピーのところ書き直した方がいいのかな?
穂乃果「あー、びっくりした」
穂乃果「海未ちゃんもにこちゃんも、電流でアフロヘアにならなくて良かったね」
海未「変な心配しないで体の心配してください」
海未「幸い、痺れるだけで痛みはあまりありませんでしたが……」
真姫「ていうか、なんで手錠から電流なんか流れるのよ。あり得ないじゃない」
にこ「そもそもの話、手錠なのに鍵穴がないっておかしいじゃない!」
海未「やっぱりそう思いますよね……」
絵里「この手錠、クラスメイトの天海さんから借りた物なのよね」
ことり「うん。でも、二つ返事で借りちゃったから詳しいことはなに一つ聞いてないの」
穂乃果「こうなったら、天海さんに連絡を取って聞くしかないね」
にこ「最初からそうしなさいよ!」
???「その必要はないわ!」
μ's『!?』
???「天海さんに変わって私達が教えるわ」
真姫「誰?」
花陽「こ、この声」
花陽「ま、間違いありません!」
にこ「えぇ、聞き間違えるはずがないわ!」
にこ「まさか……ここで会えるなんて……っ!」
???「えぇ、そうよ」
???「みんなも知っての通り」
ツバサ「私よ!」
ED
ツバサ「嬉しいから、君に会いに行こう」
ツバサ「寂しいから、君に会いに行こう」
あんじゅ「会いに行くよ」
にこ「ちょっと待ったああああああ!!」
ツバサ「あら、矢澤さん。どうしたの?」
にこ「どうしたもこうしたも、何歌っているのよ!」
ツバサ「何って……」
ツバサ「どんなときもずっと、A-RISEバージョンよ」
絵里「乗っ取られた!?」
希「しかも、ウチらの曲やしな」
真姫「というか、なに勝手にEDに突入しているのよ! まだ何も終わってないじゃない!」
あんじゅ「別にいいじゃない。A-RISがμ'sの曲を歌って、EDを担当したって」
花陽「どうぞどうぞ、歌っても構いません。いいえ、是非とも歌ってください!」
絵里「こらこら」
ことり「なんで急にEDに入ったんですか?」
ツバサ「その方が来週辺り盛り上がるし、お当番回もA-RISになるからよ」
花陽「メタいですね……」
英玲奈「何を今更……EDって言っている時点で十分メタい」
ツバサ「というわけで、次回タイトルはツバサよ」
海未「勝手に次回に持ってかないでください!」
英玲奈「そして完全にお当番回を自分の物にしたな」
海未「ところで、どうしてA-RISが音ノ木坂に来ているのですか?」
にこ「そうよ、どうしてA-RISがここに!? まさかにこに会いに……」
ツバサ「ごめんなさい」
にこ「謝らないで! まだスルーの方がマシ!」
あんじゅ「心配いらないで、ネタ的な意味じゃなく、マジ謝罪だから」
にこ「余計に悲しくなるわよ!」
真姫「まさかとは思うけど、潜入しに来たんじゃ……」
花陽「せ、潜入!?」
ツバサ「そんなんじゃないわ」
ツバサ「ただ、私達は呼ばれてここに来たの……」
ツバサ「小泉さんから」
花陽「わ、私!?」
穂乃果「花陽ちゃんが呼んだの?」
花陽「と、ととととととととととととととんでも、ありませんっ!」
花陽「わ、わわ私ごきが、あ、あああA-RISEを呼びだずず、だなんて、 あり、あり得ましぇん!」
ツバサ「ごめんなさい動揺させちゃって」
ツバサ「厳密に言うと、小泉さんが私達を呼び出したわけじゃないの」
海未「どう言う意味ですか?」
ツバサ「……小泉さんが言いました。ダレカタスケテー、と」
ツバサ「そして私達はチョットマッテテーと意気込み」
ツバサ「小泉さんを助けるために、私達はやって来たのよ!」
花陽「な、なんですぅってぇえええええええええ!?」
穂乃果「すごい! まるでヒーローみたいでかっこいいです!」
にこ「流石A-RISEのリーダー、綺羅ツバサね」
ツバサ「フフッ、ありがとう」ドヤァ
英玲奈「ありがとう、じゃないだろ」ベシッ
ツバサ「いたっ」
英玲奈「ツバサがなんかかっこいい流れになっているが……」
英玲奈「実際はツバサが高坂穂乃果を名前で呼ぶ許可を得るためだけに、音ノ木坂に訪れただけなんだ」
穂乃果「え?」
あんじゅ「つまりー、遊びに来ただけなんだよねー」
海未「想像以上に、か、軽いですね……」
希「メールのやり取りで済ませそうな用事やな」
英玲奈「それと、小泉花陽の誰か助けてーのくだりはずっと前からスタンバイしていたんだ」
あんじゅ「もっと正確に言えば、園田海未が高坂穂乃果のことしか考えていないというやり取りからね」
ツバサ「手錠まで繋ぐ仲良しさに、正直羨ましいわ」
海未「語弊があります! 別に穂乃果だけのことしか考えているわけではありません!」
ツバサ「……本当にそう言い切れるの?」
海未「お願いですから真顔で問いかけないでください」
あんじゅ「まったまた~謙遜しなくてもいいんじゃないかしら?」
海未「謙遜していません!」
ツバサ「じゃあ、私が高坂さんをもらっても問題ありませんよね」
海未「それは問題大ありです!」
ツバサ「なにが語弊よ! やっぱり高坂さんのこと好きなのね!」
海未「それについては私が止めなくても、誰かが必ず止めます!」
ツバサ「そういうわけだから、高坂さんのことを穂乃果さんって呼んでいいかしら?」
にこ「どんな流れそうなるのよ!」
穂乃果「いいですよ」
にこ「いいんかい!」
真姫「名前で呼ぶ流れはともかく、呼び方くらい別にいいでしょ。」
絵里「ツバサさんって……意外とフリーダムなんだね」
花陽「流石ツバサさんです、憧れちゃいます!」
凛「かよちんブレないにゃ~」
ツバサ「ありがとう、小泉さん」
英玲奈「良かったな、幻滅しなくて」
ツバサ「それはそうと……あ、お水貰ってもいいかしら?」モグモグ
英玲奈「ほんと、フリーダムだな……」
花陽「つ、ツバサさんが、私のお、おにぎりを食べていらっしゃるぅ……」
花陽「か、感激ですぅ~……」
凛「かよちん、幸せそうだにゃ」
真姫「一応超えなければならない相手でもあるんだけどね」
ツバサ「最終予選については、今は置いといて」
ツバサ「穂乃果さんと園田さんは、どうしてその手錠をつけているのかしら?」
穂乃果「実は……」
かくかくちゅんちゅん
ツバサ「わかるわ~……南さんが悪戯する気持ち、わかるわ~」
英玲奈「わかるのか?」
ツバサ「わかるわよ。よく、授業前に英玲奈のシャーペンの芯を抜いているもの」
英玲奈「地味な嫌がらせはお前のせいか」
ことり「それで……手錠のことについて、なにか知っているのですか?」
ツバサ「知っているも何もその手錠、UTX学院の物だから」
μ's『ええええぇ!?』
あんじゅ「正確に言うと、UTX学院開発部が作った物よ」
海未「な、なんですか、それは?」
英玲奈「名前の通り、あらゆる物を開発する部だ」
絵里「本当にまんまですね」
ツバサ「その中の一つである、穂乃果さんと園田さんが繋いでいる手錠」
ツバサ「その名も」
ツバサ「ハニーのばかぁ!よ」
穂乃果「は、ハニーの……」
花陽「ば、ばかぁ……?」
海未「な、なんですか、それは?」
真姫「なにそれ、イミワカンナイ」
にこ「それには同意するわ」
凛「それにこちゃんが言うのかにゃ?」
にこ「それどういう意味よ!」
希「スピリチュアルやな」
絵里「は、ハラショー……」
ことり「ちゅん」
英玲奈「お前達の言葉便利だな」
あんじゅ「今度、フルハウスって口調決めようと思うけど、どうかな?」
英玲奈「やめとけ、理解し難いだけではなく、ネタにされるだけの結末しか見えん」
海未「そ、それでその……は、はにぃ、のばかぁ……は、なんなのですか?」
絵里(今、ちょっとエロかったわね)
ツバサ「それはね……」
ことり「あ、ちょっと待って!」
海未「ことり?」
ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃんにハニーのばかぁ!って、言って」
海未「なんで穂乃果にそんなことを言わなければいけないのですか!?」
ことり「海未ちゃんの為に決まっているじゃない」
絵里「いや、完全にことりの趣味でしょ」
ツバサ「ぐいぐいと攻め込む姿勢」
ツバサ「流石秋葉に誇るメイド、ミナリンスキーね」
英玲奈「それ関係ないだろ」
ことり「海未ちゃん、おねが~い」
海未「む、無理です! おねだりしても言いませんから!」
穂乃果「そうだよ、ことりちゃん。海未ちゃん困っているし、言わなくてもいいんじゃない?」
海未「穂乃果……」
ことり「それじゃあ、穂乃果ちゃんが海未ちゃんにハニーのばかぁ!って、言って」
穂乃果「ええっ!?」
ことり「穂乃果ちゃん、おねが~い」
穂乃果「え、えっと……ど、どうしても、言わなくちゃ駄目なの?」
ツバサ「ええ、言ってください!」
英玲奈「便乗すんな!」
ツバサ「それとできたら、私にも言って!」
英玲奈「そして自重しろ!」
真姫「もう放っといて話進めたら?」
凛「いつまで経っても進まないにゃ」
英玲奈「……それもそうだな」
英玲奈「説明するとハニーのばかぁ! 略してハニばかはある切っ掛けで開発された物なんだ」
希「ある切っ掛け?」
あんじゅ「なんでも、開発部の部員の友人の友人の彼女とケンカしたことが始まり」
あんじゅ「仲直りしようとするも上手くいず、時間ばかりが経過していくだけ」
あんじゅ「上手く仲直りさせることができるアイテムが必要だったと思って、できたのがハニばかなのよ」
にこ「イマイチ信憑性のない話ね」
花陽「それに、さり気なく女の子同士で付き合っている人いるんですね……」
ことり「まるで穂乃果ちゃんと海未ちゃんの関係みたいだね」
穂乃果「付き合ってないよ!」
海未「付き合っていません!」
ことり「あ、これからなるんだっけ?」
穂乃果「ならないよ!」
海未「なりません!」
あんじゅ「あ、付き合っているで、思い出したんだけどさ」
あんじゅ「音ノ木の元生徒会長と副会長が常に付き合っているらしく、既に結婚もする予定だとか」
のぞえり「「え?」」
あんじゅ「そういう噂がしているんだけど、それってほんと?」
絵里「はあああああああああああ!?」
凛「け、結婚!? け、けけけけけけけけけけけっ!」
凛「にゃ――――っ!!」
真姫「凛!?」
花陽「凛ちゃんが結婚と聞いておかしくなっちゃった!?」
あんじゅ「流石、星空凛ね」
あんじゅ「活発そうに見えて乙女の一面を持つ可愛らしさ」
あんじゅ「結婚と聞いて、壊れてしまった姿でもマジエンジェーだわ」
あんじゅ「それで星空さんは、誰と結婚したいと思う?」
凛「うにゃああああああああああああああ!!」
英玲奈「やめてやれよ」
絵里「り、凛、とりあえず落ちつきなさい!」
穂乃果「で、でも絵里ちゃん。私も、凛ちゃんの気持ち分からなくないよ」
穂乃果「だって、絵里ちゃんと希ちゃんが……け、結婚を予定しているだなんて……っ!」
絵里「そ、そんなことあるわけないじゃない!」
ことり「でも絵里ちゃん、満更そうな顔しているね」
絵里「これは動揺しているだけなの!」
あんじゅ「事実だからじゃないのかしら?」
絵里「そうじゃない! 急にの、希と、結婚って言われて、動揺しないほうがおかしいじゃない!」
絵里「だいたい、どこからそんな噂が流れていくのよ!」
あんじゅ「えっと……ラジオで、希とずっと一緒という発言が広まったんじゃない?」
絵里「知らない! というか、ラジオなんかしていないわよ!」
希「…………」
絵里「の、希もなにか言ったらどうなのよ!」
希「……私?」
にこ(私?)
希「そうだね。えりちとは仲良いけど、結婚するなんて言ってないし」
穂乃果「あれ? なんかおかしいよ」
海未「関西弁を使っていませんね」
希「恋人になってくださいも言ってないから、その噂は事実じゃないわ」
希「えりちはとても魅力的な人で素敵で、可愛くて綺麗なかしこいかわいいエリーチカ」
希「そんな私と結婚なんて、釣り合わなくて罰が当たるよ」
希「だからこの話はお終いにしよう。はい、おっしま~い!」
ことほのうみにこえりまきぱな(((((((か、かわいいっ!!!!!!!)))))))
英玲奈「一見落ち着いて対応しているけど、東條希の方がかなり動揺しているんだな」
ツバサ「初期の穂乃果さんと同じ二年生で不良気質なのんたんとは思えないわね」
にこ「なんでそんなメタいことを知っているのよ!」
絵里「希、マジ女神。結婚したい」
希「えりち、頼むから今そんなこと言わないで」
英玲奈「落ち着いたところで話を戻すと」
英玲奈「仲直りを確実にさせるために開発されたのがハニばかなんだ」
海未「それがこの手錠ですか?」
ツバサ「そうよ。手錠なら嫌でも相手と離れられないからね」
希「もしかして、鍵穴がないのも仕様なん?」
あんじゅ「せいかーい。無理矢理にでも、頑張って仲良くしないと外れないわ」
海未「そういうことですか……」
ことり「あれ? でも穂乃果ちゃんと海未ちゃん、仲良しなのに外れてないよ?」
ツバサ「それはまだ試験用だから、そういう機能はまだ完成されていないの」
ツバサ「今のところ完成しているのは、無理矢理壊そうとした時とケンカした時に電流が流れるくらいだわ」
絵里「電流も使用だったのね……」
海未「こんな危ない物、一体どうやったら外れるんですか?」
ツバサ「試験用だから、12時間後に外れると思うわ」
穂乃果「本当ですか!?」
ツバサ「説明にはそう書かれているけど、実際はどうかわからないのよね」
海未「なんでそんな曖昧なんですか?」
ツバサ「実際に見たことも、使用したことも聞いたことはないからね。だからこればかりは確信は保障できないわ」
ツバサ「だからそんな時、一番手っ取り早いのは好感度が高く維持している時にキスで外れる使用になっているんだけど……」
海未「き、キス!?」
ことり「海未ちゃん!」
海未「やりませんからね!」
ツバサ「あと、ちょっとした機能に手錠つけたままでも服が着られるようになっているから」
ツバサ「わざわざ袖を切らないと脱げないことはないから、安心してね」
海未「あ、ありが、とう……ございま、す?」
凛「そっちより、緊急用に鍵で開けられる方がいいんじゃないかにゃ?」
ツバサ「それも試験用だから、仕方ないね!」
英玲奈「別に私達が作ったわけではないが、威張るなよ」
ことり「じゃあ、海未ちゃん。穂乃果ちゃんとキス」
海未「だからやりませんからね!」
あんじゅ「でも12時間経っても開かなければ、好感度が高い時にキスしないと外れないわよ?」
海未「な、なんとかなりますよ……」
あんじゅ「もしものことだってあるのよ。だからキスを……」
海未「しません!」
真姫「余程、穂乃果とキスしたくないのね」
凛「穂乃果ちゃんのこと……嫌いなのかな?」
ことり「ううん、大好きだよ」
まきりん「「でしょうね」」
穂乃果「あ、ほんとだー」
海未「なにがですか?」
穂乃果「上着だけ脱ごうとしたら、一瞬だけ手錠が外れて上着脱げたよー!」
海未「本当ですね」
希「便利やなー」
穂乃果「でも、すぐに海未ちゃんと繋がっちゃうんだよね……」
ツバサ「流石、我がUTX学院開発部の技術ね!」
英玲奈「そのせいで高坂穂乃果と園田海未は困っているんだけどな」
希「……ふむ」
絵里「希?」
希「思ったんやけど」
希「二人共同時に脱げば、手錠も外れるんやないかな?」
穂乃果「なるほど!」
海未「試してみる価値はありますね」
穂乃果「あ、でもその前に上着着ないと……」
あんじゅ「大丈夫よ」
あんじゅ「ブラだけになっても、例えスッポンポンになっても、私達しかいないんだから平気よ」
英玲奈「それ、女性としていいのか?」
凛「場を弁えてほしいかな……」
ツバサ「アイドルたるもの、可愛く、美しく、そして自分という個性を輝かせるのよ」
花陽「さ、流石です、ツバサさん……っ!」
絵里「つまり、かしこかわいい、エリーチカね!」
にこ「まぁ、合ってなくはないけどね」
にこ「でも流石、A-RISEのリーダー。言うことは違うわね」
ツバサ「スクールアイドルですから」
英玲奈「その割には、アイドルとしても人間としてもどうかと思うくらいフリーダムしていたじゃないか」
ツバサ「砕けた一面を見せるのもアイドルとしての魅力よ」
真姫「ああ言えば、こう言うわね……」
英玲奈「今日はテンション高いんだ……そっとして置いてくれ」
穂乃果「海未ちゃん」
穂乃果「穂乃果達は今、片方だけ脱いでいる状態」
穂乃果「そして手錠側の袖を通して上着脱ぐと同時に腕を引っ込める」
穂乃果「そうすれば、多分手錠が外れるんじゃないかと思うんだけど……」
海未「その方法で行きましょう」
海未「というか、穂乃果にしては上出来な発想ですね」
穂乃果「そんなことないもん! 私だって思いつく時は思いつくんだもん!」
海未「そうでしたわね」クスクス
海未「ただ、この方法だと、タイミングが良くいかないと失敗しそうですね……」
穂乃果「でも、そこは問題ないんじゃないかな」
穂乃果「私と海未ちゃんなら絶対に大丈夫だよ」
海未「穂乃果……」
海未「……それもそうですね」
ほのうみ「「…………」」
絵里「これは……」
あんじゅ「空気が変わったわね」
にこ「一本勝負に集中しているのね」
ツバサ「幼い頃から信頼し合う二人の意気込みと集中力からの爆発力は想像を超えてくるわ」
英玲奈「だけど、それで本当に成功するとは限らない」
ことり「大丈夫」
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんなら成功するよ」
穂乃果(海未ちゃんとなら……)
海未(穂乃果となら……)
ほのうみ((いける!!))
穂乃果「行くよ!」
海未「はい!」
穂乃果「いっせい」
海未「のー」
ほのうみ「「せっ!!」」
ほのうみ「「ぎゃあああああああああああああ!!」」
ことり「穂乃果ちゃん!?」
絵里「海未ぃ――――!?」
凛「またビリビリが流れたにゃ!」
花陽「でも、な、なん……ええええええええ!?」
真姫「マジイミワカンナイ!」
にこ「ちょっと、これどういうことなの!?」
ツバサ「えっと……どういうこと?」
あんじゅ「わかんないわ」
英玲奈「……おそらくだが」
英玲奈「12時間後に手錠が外れるか、キスが鍵の変わりになるか」
英玲奈「その二つの方法以外で開こうとすると、電流が流れる仕組みになっているのではないか?」
ツバサ「なるほど!」
あんじゅ「納得した!」
にこ「納得しているんじゃないわよ!」
希「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、生きているー?」
穂乃果「な、なん……とか……」
海未「い、生きていま……す」
ことり「良かったぁ……」
ことり「じゃあさっそく、穂乃果ちゃんと海未ちゃんでキスしよう」
絵里「しばらくそっとしてあげなさいよ」
ツバサ「なら変わりに私とキスしましょう、穂乃果さん」
英玲奈「お前は割り込んでセクハラするな」
ツバサ「冗談よ」
英玲奈「冗談にしてくれ」
ツバサ「でも、本気になっちゃっても良いよね?」
英玲奈「駄目に決まっているだろうが!」
海未「A-RISEと雑談するだけで今日は終わってしまいましたね」
穂乃果「でも、楽しかったね!」
海未「そうですね。A-RISEと交流を得て、印象が大分変わりました」
穂乃果「特にツバサさんがあんなにはっちゃけるとは思わなかったね」
穂乃果「それでいて、歌って踊ったりする時はかっこよくて可愛くて綺麗になったりするんだから、すごいよ」
海未「私達も負けられません。だからこそ、今日はボイストレーニングぐらいでもしたかったのですが……」
穂乃果「しょうがないよ。A-RISEが来てくれたんだし……あ」
海未「穂乃果?」
穂乃果「ちょっとトイレに行ってくるね」
海未「では、私も教室に忘れ物したので、取りに行ってきますね」
穂乃果「うん、わかった」
穂乃果「おっと!?」
海未「きゃっ」
穂乃果「う、海未ちゃん、トイレに行かせてよ!」
海未「穂乃果こそ、引っ張られると教室に戻れないじゃないですか」
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「えっと……どうしよう」
海未「どうしようと言われましても……」
ほのうみ「「…………」」
トイレ前
海未「む、無理です!」
海未「一緒にお風呂とか、一緒に寝るならともかく」
海未「一緒にトイレに入るのは流石に無理です!」
穂乃果「私だって嫌だよ!」
穂乃果「でも、この手錠の鎖の長さだと、どうしても海未ちゃんと一緒に入らないといけないんだよ!」
海未「そこをなんとかならないんですか!?」
穂乃果「私もなんとかしたいよ!」
穂乃果「えーい、開けゴマー!」
海未「それで開かないと証明したじゃないですか!」
穂乃果「そ、そうだ! キス、キスしよう!」
海未「こんな時になに言っているんですか!」
穂乃果「それで手錠が開けられるってツバサさん言っていたでしょ!」
穂乃果「だからキスしよう、キス!」
海未「それこそできるわけありません!」
海未「というか、トイレのためにキスをすることになんにも感じないんですか!?」
穂乃果「感じないわけないよ! 本当はこんなことで海未ちゃんとキスしたくないよ!」
海未「だったら」
穂乃果「ああぁぁん! もう、駄目ぇ――――!!」
海未「ちょ、ほ、穂乃果!?」
穂乃果「我慢の限界だぁ――――っ!!」
海未「穂乃果ぁ――――!!」
ヒデコ「ユメノトビラ……ずっと探し続けた……」
ほのうみ「「…………」」ガチャ
ヒデコ「あ、ほの、穂乃果!?」
ほのうみ「「…………」」
ヒデコ「ど、どうしたの? しかもなんで穂乃果と海未ちゃんが一緒にトイレに入っていたの?」
ほのうみ「「…………」」シャアー
ヒデコ「しかも、手錠までして……本当になにがあったの!?」
ほのうみ「「…………」」フキフキ
ヒデコ「ねぇ、ちょっと……ハンカチで手を拭きながらでもいいから、なにか言って」
海未「……してください」
ヒデコ「え?」
海未「見なかったことにしてください……」
ヒデコ「え、その……」
海未「お願いします……」
ヒデコ「う、うん……」
ほのうみ「「…………」」ガチャ
ヒデコ「…………」
ヒデコ「な、なにかあったかわからないけど」
ヒデコ「なにもなかったことにしたいんだね……」
ほのうみ「「…………」」
海未「…………穂乃果」
穂乃果「なーに、海未ちゃん……」
海未「今日は泊ってもいいですか?」
穂乃果「いいよ。うちはいつでも大歓迎しているから嬉しいよ」
海未「ありがとうございます」
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」
海未「なんでしょうか……」
穂乃果「……穂乃果、もう……お嫁に行けないよぉ……」シクシク
海未「穂乃果……」
海未「安心してください」
穂乃果「海未ちゃん……」
海未「私も……お嫁に行けなくなりました……」シクシク
穂乃果「海未ちゃん」ギュッ
海未「穂乃果」ギュッ
フミコ「あ、穂乃果と海未ちゃんだ」
ミカ「なんでこんなところで抱き合っているの?」
ヒデコ「そっとしとこう」
フミコ「な、なにがあったの?」
ヒデコ「私もよくは知らないけど、聞かない方が二人のためになるわ」
回想終了
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」
穂乃果「今日のこと思い返してみたんだけどさ……」
穂乃果「ダンスも発声も基礎練習もしれたいのに……」
穂乃果「すっごく疲れちゃったね」
海未「同感です……」
海未「主にト」
穂乃果「そのことはなかったことにしよう」
海未「……そうですね」
海未「その方がいいですね」
穂乃果「うん」
穂乃果「ただいま~」
海未「お邪魔します」
雪穂「お帰り~おね……お姉ちゃん!?」
海未「あ、これはですね……」
雪穂「お姉ちゃん、ついにやっちゃったんだね……」
穂乃果「え、なにが?」
雪穂「だってお姉ちゃん……海未ちゃんに手錠かけられているじゃん!」
穂乃果「ち、違うよ! 別になにかやらかして、海未ちゃんに連行されたとかじゃないよ!」
雪穂「えー本当ー?」
穂乃果「本当だもん!」
雪穂「だってお姉ちゃん、いっつも海未ちゃん困らしているじゃん」
穂乃果「そ、それは……申し訳ないとは、思っているけど……」
雪穂「だからそんなお姉ちゃんを野放ししないように、海未ちゃんが手錠をかけているんでしょ?」
海未「それは……あり得ますね」
穂乃果「納得しないでよ!」
海未「――――というわけなんです」
雪穂「なるほどねぇ……」
海未「そういうわけですので、今日はよろしくお願いします」
雪穂「そんな改めなくてもいいよ、いつでも歓迎しているんだからさ」
海未「ありがとうございます」
穂乃果「そういえば、お母さんは?」
雪穂「母さんなら友達と飲みに行くってさ。お父さんも夜遅くなるから今日は三人だけだよ」
穂乃果「そっか、今の状況を考えると丁度いいかもね」
雪穂「話通りに12時間後……朝になった時、その手錠が外れていたらだけどね」
海未「そうでないと困ります」
雪穂「困ると言えば、お風呂とかトイレとかどうするの?」
ほのうみ「「…………」」
雪穂(な、なんで急に揃って眼を逸らした!?)
雪穂(あ、もしかして……既に事故を起こしてしまったのか?)
雪穂(心なしか、お姉ちゃんも海未ちゃんも急に疲労感が漂っている……聞かないでおくのが正解かな?)
穂乃果「いただきまーす!」
うみゆき「「いただきます」」
穂乃果「いやー、いっぱいご飯を食べられることは良いことだね!」
海未「食べ過ぎて太らないでくださいよ」
雪穂「そうだよ、お姉ちゃん」
雪穂「結局は海未ちゃんもお姉ちゃんのダイエットに付き合うんだから、気をつけてよね」
穂乃果「もーわかっているよ!」
海未「あっ」
穂乃果「あ、ごめん、海未ちゃん」
穂乃果「手錠のこと忘れてた」
雪穂「お姉ちゃんが左手を動かすと、海未ちゃんの右手も動いちゃうから食べ辛くなるよね?」
海未「そうなりますね」
海未「こういう時のために、左手でも橋を使えるように鍛えるべきでした」
海未「園田海未、一生の不覚」クッ
雪穂「怪我ならともかく、友達と手錠をつける機会なんて滅多にないから」
雪穂「そこまで悔しがらなくても……」
海未「う~ん……邪魔にならないようにしていますが、やはり食べづらいですね……」
穂乃果「あ、そうだ! これならどうかな?」
雪穂(あ、お姉ちゃんがなにか思いついた)
雪穂(といっても、なんとなく予想つくんだよね……)
雪穂(お姉ちゃんが海未ちゃんにあ~んして)
雪穂(海未ちゃんは恥ずかしくなって赤面をする)
雪穂(海未ちゃん、お姉ちゃんをよく叱っているて誤解する人もいるけど)
雪穂(お姉ちゃんのことが大好きだから叱っちゃうんだよね~……)
雪穂「はい、あ~ん……」
海未「ゆ、雪穂、だ、大丈夫ですから……」
雪穂「って、なんで私が海未ちゃんにあ~んしなくちゃいけないのよ!」
穂乃果「雪穂! そんな言い方失礼だよ!」
雪穂「別に海未ちゃんが嫌いなわけじゃなくて、なんで私なの!?」
穂乃果「なんでって……」
穂乃果「海未ちゃんと対面しているから」
雪穂「だったら隣にいるお姉ちゃんがやればいいでしょ!」
雪穂「てっきりそうするんだと思っていたよ!」
穂乃果「それじゃあ、私がご飯食べられないじゃない」
雪穂「そうだったね! お姉ちゃんはそういう人だったね!」
海未「そもそも、あ~んしなければいけないんですか?」
穂乃果「海未ちゃん食べ辛そうにしていたから、あ~んすれば手を使わなくて済むよね」
海未「ですが……」
穂乃果「はい、あ~ん……」
雪穂「最初からそうしなさいよ……」
海未「む、無理です……」
穂乃果「いいからいいから」
穂乃果「はい、あ~ん……」
海未「あ、あ~ん……」パクッ
海未「…………」モグモグ
穂乃果「美味しい?」
海未「美味しいです……」
穂乃果「じゃあ、もう一回」
海未「やりません!」
穂乃果「じゃあ、雪穂!」
海未「雪穂に変わっても同じです!」
雪穂(いや、私とお姉ちゃんとでは絶対違うだろうなぁ……)
雪穂「それにしても、海未ちゃんアイドルになっても恥ずかしがり屋なところは変わらないんだね」
雪穂「お姉ちゃんのあ~んなんか、平気じゃないの?」
海未「そういうの関係なく恥ずかしいのです……」
雪穂(知っていたけど、それだけじゃないもんね)
穂乃果「でも、その割には海未ちゃんライブの時は恥ずかしがっていないんだよね」
雪穂「あ、そう言えば亜里沙が言ってた」
雪穂「海未さんはよく投げキッスするって」
穂乃果「言われてみれば確かに……」
海未「あれはその……その場の雰囲気に身を寄せたというか……流れに乗ったといか……」
海未「とにかく歌っている時と普段の時は違うのです!」
穂乃果(あわわしている海未ちゃんかわいい)
雪穂(前から思っていたんだけど、お姉ちゃんよりも海未ちゃんの方がノリノリだと思うんだよね)
雪穂(この前、鏡の前でラブアローシュートとか言っていたし、ありがとうって鏡の前で手を振っていたし)
雪穂「それだと、お姉ちゃんとお風呂入る時大丈夫なの?」
穂乃果「大丈夫だよ。海未ちゃんとお風呂入ったことあるんだし、ね?」
海未「だ、大丈夫だと思います……」
雪穂「とても大丈夫に見えないんだけど……」
穂乃果「でも、海未ちゃん。手錠の鎖の長さを考えると、どちらかが風呂に入らないのは無理だと思うんだけど……」
海未「だったら、穂乃果は目隠ししてください」
穂乃果「えーやだよ、女の子同士なんだし、海未ちゃんと一緒にお風呂入ったことあるじゃん」
海未「それはことりやみんながいたからであって、二人っきりはちょっと別格といいますか、二人っきりで風呂は恥ずかしいのです……」
海未「それに……今日はあのこともありましたから…………」
穂乃果「そうだね……それは仕方ないね……」
雪穂(あ、お姉ちゃんが納得した)
雪穂(やっぱり、なにかあったんだ……)
雪穂「でも、お姉ちゃんとで一緒にお風呂に入らないとなると」
雪穂「手錠を外すしか方法はないよ?」
海未「そうなのです。いったいどうしたら…………はっ!」
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「そうです…………この方法なら……えぇ、えぇ!」
穂乃果「う、海未ちゃん、何を納得したの?」
海未「決まっています」
海未「お風呂で恥ずかしがるのを、なるべく抑える方法ですよ」
雪穂「そこは恥ずかしがらないって断言しないんだね」
穂乃果「その方法って?」
海未「それはですね……」
雪穂「?」
穂乃果「はぁ~……ごくらくごくらく~……」
海未「おやじくさいですよ、穂乃果」
穂乃果「今日はいろいろあったんだから、おやじくさくてもいいも~ん」
海未「まったく、しょうがないですね……」
穂乃果「…………」
海未「ほ、穂乃果?」
穂乃果「うん、やっぱりそうだね」
海未「な、なにがですか? 人の顔をジーっと見ないでください」
穂乃果「えっとね……やっぱり海未ちゃんて綺麗だなって」
海未「なっ……!」
穂乃果「あ、海未ちゃんが顔タコみたいに茹で上がっている」
穂乃果「顔真っ赤~」
海未「だ、誰のせいだと思っているんですか! 恥ずかしいこと言わないでください!」
雪穂「二人に挟まれていて、風呂に浸かっている私の方が恥ずかしいわよ!」
穂乃果「雪穂ー、急にどうしたの?」
雪穂「どうしたもこうしたもないよ!」
雪穂「浴槽にお姉ちゃんと海未ちゃんの間に私が挟まっているって」
雪穂「絵面的にもおかしいでしょ! 明らかにさ!」
海未「そんなことはないです。何もおかしくはありません!」
雪穂「お姉ちゃんと二人っきりでお風呂に入れず」
雪穂「私を引き込んだ海未ちゃんが言っても説得力ないよ!」
穂乃果「いいじゃん、雪穂。たまにはこんな形でお風呂に入っても」
雪穂「だからって、何も三人一緒に入らなくてもいいじゃない……」
海未「雪穂、恥ずかしがる必要ありません」
雪穂「それ海未ちゃんが言う!?」
穂乃果「そうだよー、恥ずかしがることないよ」
雪穂「いくら相手がお姉ちゃんと二つ上の幼馴染と一緒だからって」
雪穂「ただいま思春期真っ只中の女子中学生が、一緒のお風呂に入ることが恥ずかしいがらないわけがないでしょ!」
穂乃果「そうかなー?」
雪穂「私……お姉ちゃんのそういうところが羨ましいよ」
海未「同感です……」
穂乃果「えへへ、ありがとう二人共」
雪穂「褒めてないのに、眩しい笑顔をしないでよ……!」
海未「逆にこっちが恥ずかしいです……」
穂乃果「いやー、いい湯だったねー」バタッ
海未「きゃっ」
穂乃果「そうだった、手錠しているんだった。ごめん、海未ちゃん」
海未「いきなりベッドにダイブしないでください」
海未「危うく穂乃果をのしかかるところでしたよ」
穂乃果「ごめんごめん」
海未「まぁ……穂乃果と手錠で繋がっている生活なんて、今後一切ありませんが……」
穂乃果「もう海未ちゃんと手錠で繋ぐ生活こりごりだよー」
穂乃果「強制的に勉強やらされるし、逃げられないし、隠れることもできないし……」
海未「でしたら、サボり防止のために、定期的に穂乃果と手錠で繋ぐのもいいかもしれませんね」
穂乃果「海未ちゃんの鬼ー!」
海未「さて、もう寝ましょう」
穂乃果「うん、よいしょっと……」
海未「…………」
穂乃果「海未ちゃん、おいでー」ポンポン
海未「本当に二人で一つのベッドで寝るのですね……」
穂乃果「だって隣に布団敷いても、この手錠の長さでは海未ちゃんその布団で寝られないでしょ」
海未「そうかもしれませんが……」
海未「この歳で、二人で一つのベッドだなんて……」
穂乃果「もー、いつまでも恥ずかしがってないで、一緒に寝ようよー」
海未「わ、わかりました。一緒に寝ますから強引に引き込まないでください!」
海未「ほ、穂乃果」
海未「ちょ、ちょっと……近くないですか?」
穂乃果「シングルベッドだから、ちょっと狭く感じるのも仕方ないよ」
海未「それでも……も、もうちょっと離れることはできませんか?」
穂乃果「それでもあんまり変わらないんじゃない?」
海未「そうかもしれませんが……」
穂乃果「だから逆に密着しようよ」ギュッ
海未「なにも抱きつくことないじゃないですか!」
穂乃果「良い匂いする~」スリスリ
海未「スリスリしながら嗅がないでくださいっ」
海未「もう……穂乃果が抱きつくから熱いじゃないですか」
穂乃果「えへへ……経緯はちょっと特殊だけど、久しぶりに海未ちゃんとお泊りが嬉しくって」
海未「まったく……そういうところはほんと昔から変わっていませんよね」
穂乃果「そうかな?」
海未「そうですよ」クスクス
海未(もちろん全てが変わっていないわけではありませんが)
海未(私も……みんなも大好きな穂乃果らしい真っ直ぐな性格はずっと変わりませんね)
穂乃果「海未ちゃん、なんか楽しそうだね」
穂乃果「もしかして、海未ちゃんもお泊り嬉しいの?」
海未「そ、そういうわけでは……」
穂乃果「海未ちゃーん!」ギュッ
海未「なんでまた抱きついてくるのですか!」
海未「もう電気消して、寝ますよ?」
穂乃果「うん」
穂乃果「今日送れた分は明日取り戻そうね」
海未「そうですね。最終予選まで本当に時間がありませんから……」
穂乃果「そう思うと、A-RISEが来てくれるなんて予想してなかったなぁ……」
海未「しかも穂乃果の名前を呼ぶためだけに訪れたんですから」
海未「余程本戦へ進む自信でもあるのでしょうか」
穂乃果「う~ん……今日のツバサさんを見ていると、多分自信とか余裕とか関係ないんじゃないかな?」
海未「振り回される統堂さんの苦労が目に浮かびますね……」
穂乃果「実は結構変わった性格かもしれないね」
海未「例えば?」
穂乃果「う~んっと……飛びっきりの変態とか」
海未「本人に聞いたら悲しむか怒りますよ?」
穂乃果「そう言えばことりちゃん、いつもよりも積極的だったね」
海未「積極敵というか、ちょっとおかしかったんですよ」
海未「意図的ではないにしろ、今穂乃果と手錠が繋がっている原因なんですよ」
穂乃果「あははは……ことりちゃんも謝ったんだし、許してあげようよ」
海未「別に最初から許さないわけではないのですが」
海未「ところどころ撮るのはやめていただきたいですね……」
海未「あとキスコール」
穂乃果「なんでことりちゃん、私達にキスコールしたんだろう」
穂乃果「手錠を早く外してほしいからなのかな?」
海未「それだけではない気がするのですが……」
穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん。もしもの話しない?」
海未「もしもの話、ですか?」
海未「というか、本当に寝ようとした途端にスイッチ入るように喋りますよね」
穂乃果「えーいいじゃん。少しぐらい話しても」
海未「しょうがないですね」
海未「それで、もしもの話ってなんですか?」
穂乃果「もしも女の子に恋をしたらどうする」
海未「…………」
海未「え?」
海未「な、なんでその話題なんですか?」
穂乃果「絵里ちゃんと希ちゃんが結婚を前提に付き合っている話あったじゃない」
海未「噂でしたが、そうでしたね」
穂乃果「それで思い出したんだけど」
穂乃果「もしも女の子に恋をしたらどうな風になるんだろうって、考えちゃった」
穂乃果「だから海未ちゃんはどう思う?」
海未「ど、どう思うって言われても……」
海未「ほ、穂乃果はどう思うのですか?」
穂乃果「私? うーん……どうだろう」
穂乃果「一度も恋したことないからな~……」
海未「そうですよね。恋愛映画を見始めて寝てしまうような人にはわかりませんよね」
穂乃果「それ海未ちゃんが言う? キスシーンの時、ビクビク怯えて涙目になって」
穂乃果「ついにはテレビ消しちゃったくせに~」
海未「なんで穂乃果がそれを知っているのですか!?」
穂乃果「絵里ちゃんが教えてくれた」
海未「絵里ぃ……覚えていてください……っ!」
穂乃果「じゃあ、海未ちゃん。好きな女の子のタイプでも告っちゃう?」
海未「何故同性なのですが、そこは異性でいいじゃないですか?」
穂乃果「いいの! もしも女の子と付き合う話をしているんだから同性でいいの!」
海未「そんなムキになることないじゃないですか……」
海未「なら穂乃果は……いるのですか?」
穂乃果「私?」
海未「そこまで言うのですから、穂乃果は好きな女の子のタイプいるのですよね」
穂乃果「んー……私は気が合う子かな」
海未「要するに誰でもいいんですね、なんか不純です」
穂乃果「ち、違うよ、誰でもいいっていうわけじゃないよ!」
海未「ほんとですか? 穂乃果なら誰でもいいような気がします」
穂乃果「そんなことないもーん!」
穂乃果「あ、でもね」
穂乃果「海未ちゃんみたいな人が好き……かな」
海未「え……」
海未「……私、ですか?」
穂乃果「うん」
穂乃果「海未ちゃんは可愛いくて綺麗で、言葉使いも丁寧で、私と違ってしっかりとしていて真面目で」
穂乃果「時に恥ずかしがる姿も、時にかっこいい姿も、美味しそうにうちのまんじゅうを食べている姿も」
穂乃果「いつも助けられていて、私のわがままに付き合ってくれて、バカな自分についてきてくれる海未ちゃんが好き」
穂乃果「このタイミングで言うのはちょっとおかしいかもしれないけど、お礼言わせてね」
穂乃果「ありがとう」
穂乃果「いつも私と一緒にいてくれて、一緒についてきてくれて」
海未「穂乃果……」
穂乃果「あと、海未ちゃんのネットで晒されるような顔芸も好きだよ」
海未「そこは言わなくてもいいです」
すみません、メシ食ってきますのでちょっと抜けます。ラストシーンに力を蓄えたいのでww
穂乃果「えへへ……なんか、恥ずかしくなっちゃった」
海未「聞いている方が恥ずかしいですよ……」
海未「こっちは……告白された気分なんですから」
穂乃果「え、えっと……そ、そんなつもりなかったんだけどなぁ……アハハハ……」
海未「そ、そうですよね。私もまさか穂乃果がそんなことを言うとは思いませんでしたよ」
穂乃果「だ、だよねー」
海未「ほ、ほんとですよ、まったく、もう……」
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「こ、ことりちゃんも好きだよ」
海未「は、はい」
穂乃果「え、絵里ちゃんも、μ'sのみんなも好きだよ」
海未「わ、わかっています」
ほのうみ「「…………」」
ほのうみ((き、気まずい……))
穂乃果(自分でもしもの話しておいて、こうな空気になるとは思わなかったよぉ……)
穂乃果(そうじゃん。私、海未ちゃんに告白したみたいに言っちゃったじゃん)
穂乃果(そんなつもりで言ったわけじゃないのに……気味悪がってない、よね?)
穂乃果(絶交とかしないよね?)
海未(ううぅ……耐えられません! 恥ずかし過ぎます!)
海未(まさか穂乃果がそんなことを思っていることも、言うことも思いもしなかった!)
海未(もしもの話なのはわかっています、わかっていますが……)
海未(どう考えてもやっぱり好きな人に告白されたと同じ気分になります!)
海未(こんなに恥ずかしいなら、穂乃果にずっと抱きしめられている方がまだマシです)
ほのうみ「「…………」」
穂乃果「え、えっと……」
海未「は、はいぃ」
穂乃果「……ね、寝よっか?」
海未「そ、そうですね」
穂乃果「おやすみ海未ちゃん良い夢を!」
海未「お、おやすみなさいませ」
海未「…………」
海未「…………」チラッ
穂乃果「えへへ……もう、食べられないよぉ…………」
海未「……ベタな寝言ですね」
海未「まったく……こっちは告白みたいなことを聞かされて、恥ずかしくて眠れないでいるのに」
海未「何事もなかったようにすぐ寝ている穂乃果が羨ましいですよ」
穂乃果「えへへ……」
海未(褒めていないのに、気持ち良さそうですね。なんの夢を見ているのでしょうか)
海未「…………」
海未「穂乃果」
海未「私も……もしもの話をしますね」
穂乃果「…………」
海未「私も穂乃果みたいな人が好きですね」
海未「いつも真っ直ぐで何事にも全力で前向きで」
海未「周囲を笑顔にする太陽のような明るいところが大好きです」
海未「私はそんな穂乃果に何度救われたことか、感謝し切れない程感謝しているのです」
海未「でも穂乃果は……なんでもできるような人ではありませんよね」
海未「直してほしいところはたくさんありますし、ちゃんとしてほしいところもたくさんあります」
海未「でもいいんです。私が決めたことですし、穂乃果のことをわかっていてついてきているのですから」
海未「間違いが起きたら私達が直してあげます」
海未「例え穂乃果に嫌われても、私は穂乃果のことを想って言いますからね」
穂乃果「…………」
海未「……それでですね」
海未「前に……穂乃果がいろいろあってμ'sをやめようとした時があったじゃないですか」
海未「私はその時の穂乃果に失望してしまったこと私自身に…………後悔しています」
穂乃果「…………」
海未「本当は、穂乃果がどんな状況に追い込まれようとも」
海未「心臓を締めつけるような苦しい時でも」
海未「なにもかも全てから逃げ出したい時でも」
海未「どうしようもないくらいに泣き出したい時でも」
海未「そして……μ'sをやめてしまいたい時でも」
海未「私は……私だけでも穂乃果を支えるべきだったと思うのです」
海未「どんなことがあろうとも、穂乃果の味方であるべきだったと、それが正しいのではないかと思うのです」
海未「もっと良い方法があったはずなのに」
海未「これ以上、穂乃果を悲しませるようなことはなかったはずなのに」
海未「それのことをせず、穂乃果を非難してしまっただけの私自身を後悔しています」
海未「バカですよね……少し考えれば、わかることだったのに……」
海未「誰もが……完璧ではないことも、わかっていたはずなのに……」
海未「誰だって、嫌なことから逃げ出したい時だって、あるのに……」
海未「そんな時こそ、幼馴染の私だけでも、穂乃果を支え、味方でいるべきだった」
海未「でも、そうしなかった……それができなかった」
海未「これでは……穂乃果の親友として、幼馴染として失格ですよね……」
海未「私は、穂乃果に好きと言われる資格なんて、ないのですよ……」
穂乃果「…………」
海未「グスン……すみません」
海未「泣くつもり……なかったのですし……当時、泣きたかったのは穂乃果、ですよね……」
穂乃果「…………」
海未「だから…………今後の誓いというべきでしょうか」
海未「今後、穂乃果が独りになってしまっても……私は」
海未「私だけになっても、穂乃果の側に必ずいます」
海未「例え人類全てが、穂乃果の敵になろうとも」
海未「必ず私は穂乃果の味方でいます」
海未「そして苦しい時、悲しい時、逃げ出したい時があったら支えます」
海未「言えなかったらずっと側で見守ります」
海未「重いと思われてしまいますが、私はそれくらい穂乃果が好きなんです」
海未「弱そうで強い、強くて弱そうな穂乃果が」
海未「そんな穂乃果を守りたい、時には引っ張ってもらいたい」
海未「それくらい穂乃果のことが大好きです」
海未「この気持ちは自分にも、誰にも負けません」
海未(本当はこういうのは口にはせず、想い留めるべきでありますが……)
海未(私がどんなことがあろうと、私が穂乃果の想いが揺るぐことがなければ、なにも問題ありませんね)
海未「フフッ、途中からもしもの話ではなくなりましたね……」
海未「でも、私も穂乃果のことが好きです」
海未「そういう意味では、私達両想いですね」
海未「どちらかが異性だったら、恋人同士になっていたかもしれませんね」クスクス
穂乃果「…………」
海未「では、私の話は終わりです」
海未「ラブライブ優勝目指して、頑張りましょう」
海未「でも優勝するには、最終予選突破しないといけませんね」
海未「おやすみなさい」
穂乃果「…………」
海未「…………」
穂乃果「…………グスッ」
海未(……やっぱり、起きていたんですね)
海未(ということは、私の想いは全部聞かれてしまいましたね)
海未(恥ずかしいですが……気分は不思議と良いですね)
海未(今日はぐっすりと良い夢を見られそうな気がします)
海未(穂乃果が泣いていることは聞かなかったことにしましょう)
海未(私はもう寝ているのですから)
海未「…………」
穂乃果「う、海未ちゃん……」
海未(はい)
穂乃果「ありが、とう…………ありがとう……っ」
海未(お礼言われるようなことは言っていませんが)
海未(どういたしまして)
海未(そして朝を迎えていました)
海未(私と穂乃果を繋いでいた手錠は、ツバサさんの言う通りに時間経過で外れていました)
海未(本当に外れて良かったです。でなければ、穂乃果とキスしなければいけませんでした)
海未(別に穂乃果とキスがしたくないわけではありませんが……)
海未(手錠を外す条件として、穂乃果とキスするのはなんか違う気がするのです)
海未(あと何よりも恥ずかしいから、例え相手が幼馴染で同性だったとしても)
海未(穂乃果とキスするのは好きな異性と似たような気がします)
海未(そういう意味では時間経過で外れて本当に良かったです)
海未(もう手錠をつけた生活は昨日で十分です)
海未(穂乃果のために手錠つけて逃げられないようにすると思いつきましたが、やっぱりやめようと思います)
海未(それに手錠なんて最初からいりません)
海未(手錠がなくても、私は穂乃果とずっと一緒にいます)
海未(私だけではなく、ことりも絵里もμ'sのみんなも)
海未(なんだかんだで、ずっと一緒なような気がします)
海未(でも、私が穂乃果のことを好きだという気持ちは誰にも負ける気はありません)
海未(この気持ちは私が決めたことです)
海未(どんな時があっても、私は貴女の側にいますよ、穂乃果)
穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」
海未「なんです?」
穂乃果「最終予選に披露する曲のラストのところなんだけどさ」
穂乃果「海未ちゃんと手でハートを作ったらいいと思うんだけど、どうかな?」
海未「う~ん……良いんじゃないでしょうか」
穂乃果「反対しないんだね」
海未「それくらいのことなら別に問題ありませんし、曲にも合っているので反対する理由がありせん」
海未「でも、絵里達に相談しないといけませんね」
穂乃果「そっか……そうだよね!」
穂乃果「よーし、今日も頑張って、まずは最終予選を突破するぞー!」
海未(クスッ……今日も元気で良い笑顔ですね)
穂乃果「……海未ちゃん、ちょっといい?」
海未「今度はなんですか?」
穂乃果「頬っぺたちょっとこっちに寄ってくれない?」
海未「え、な、なんでですか?」
穂乃果「いいから早く早く」
海未「こ、こうですか?」
チュッ
海未「!?」
海未「ほ、穂乃果……?」
穂乃果(海未ちゃん)
穂乃果(昨夜、海未ちゃんの話を聞いて)
穂乃果(私とっても嬉しいくて幸せなんだ)
穂乃果(だからね、唇にキスするのは……流石に恥ずかしくて無理だけど)
穂乃果(頬っぺたなら、キスしてもいいよね)
穂乃果(私も海未ちゃんのこと、大好きだから)
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「な、なんです? と、というかいきなり、どうして……」
穂乃果「行こう、一緒に」
海未「穂乃果……」
海未「はい」
おわり
おまけ
海未『それくらい穂乃果のことが大好きです』
海未『この気持ちは自分にも、誰にも負けません』
花陽「ううぅ……うみちゃんっ……!」
凛「泣けるにゃあぁ……」
ことり「ごめんね。ごめんね、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
ことり「ことりが、ことりがあの時、優柔不断なばっかりに……ごめんね」
絵里「自分を責めるのはやめなさい、ことり」
絵里「今は……海未が穂乃果の想いを見届けるべきなのよ。グスン」
ことり「絵里ちゃん……」
ことり「うわあああああああああん!」
ツバサ「穂乃果さん、良い幼馴染に恵まれて、良かった……」
にこ「まったく、なによ、こんなことで泣いてどうするのよ……っ!」
希「にこっち、涙出とるよ」
真姫「……ねぇ」
にこ「なによ、今良いところなのよ!」
真姫「いや、今更だし、空気読めてないし、私も……感動しているところ悪いんだけどさ」
真姫「こんなことして……いいの?」
希「う~ん……バレなきゃいいんじゃないかな?」
希「雪穂ちゃんにも協力はしてもらっているんやし、大丈夫しょ」
真姫「あと、なんで私達はA-RISEと一緒に隠しカメラの映像見ているのよ」
ツバサ「……決まっている」
ツバサ「ハニばかの監視よ!」
英玲奈「嘘つくな。そもそもみんなで二人を見届けようと提案した張本人だろう」
英玲奈「結果的に言えば……みんなで見届けて良かったけどね」
真姫「それに……ここどこ?」
あんじゅ「決まっているじゃな~い。あたしの家だよ」
真姫「わかんないわよ!」
今度こそ終わり
以上です。
海未ちゃんのSIDとほのうみSIDを読んだ衝動で書きました。機会があればまた書いてみたいですね。
読んでいた方々に満足していただけたのかはわかりませんが、自分なりに満足したものを書けました。
それにしてもSIDの海未ちゃんがイケメンで可愛いなぁww
手錠の元ネタはシュタゲですが、ダーリンでそんなのあったような感は今気がつきましたww
書いている時は全然意識してなかったです。
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